(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】力覚提示装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20250701BHJP
B06B 1/04 20060101ALI20250701BHJP
【FI】
G06F3/01 560
B06B1/04 S
(21)【出願番号】P 2023570982
(86)(22)【出願日】2022-12-23
(86)【国際出願番号】 JP2022047735
(87)【国際公開番号】W WO2023127750
(87)【国際公開日】2023-07-06
【審査請求日】2024-06-05
(31)【優先権主張番号】P 2021213342
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】大川 真司
【審査官】桐山 愛世
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-062647(JP,A)
【文献】特開2004-094307(JP,A)
【文献】特開2011-183374(JP,A)
【文献】国際公開第2019/038887(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
B06B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が手で掴むことが可能な筐体と、
前記筐体の内部に位置している3つ以上の振動体と、
前記各振動体の振動パターンを制御することにより前記各振動体から力覚を提示可能である制御装置と、
を備え、
複数の前記振動体の配置は、同一の仮想直線上に3つ以上の前記振動体が位置しないようになっており、
複数の前記振動体のうちの特定の1つを第1振動体とし、前記第1振動体が提示する力覚の方向を第1方向とし、
複数の前記振動体のうちの前記第1振動体とは異なる特定の1つを第2振動体とし、前記第2振動体が提示する力覚の方向を第2方向とし、
複数の前記振動体のうちの前記第1振動体及び前記第2振動体とは異なる特定の1つを第3振動体とし、前記第3振動体が提示する力覚の方向を第3方向とし、
前記第1振動体、前記第2振動体、及び前記第3振動体を通る仮想の平面を仮想平面としたとき、
前記制御装置は、
前記第1方向と前記第2方向とが前記仮想平面に交差しており、且つ、前記第1方向が前記仮想平面を挟んで前記第2方向と反対側の方向となるように、且つ、前記第3方向が前記仮想平面を挟んで前記第1方向と同一側の方向又は前記仮想平面に平行な方向となるように、前記各振動体の振動パターンを制御する第1制御モードと、
前記第1方向と前記第3方向とが前記仮想平面に交差しており、且つ、前記第1方向が前記仮想平面を挟んで前記第3方向と反対側の方向となるように、且つ、前記第2方向が前記仮想平面を挟んで前記第3方向と同一側の方向又は前記仮想平面に平行な方向となるように、前記各振動体の振動パターンを制御する第2制御モードと、
を実行可能である
力覚提示装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記第1方向と前記第2方向とが前記仮想平面に平行であり、且つ、前記第1方向が前記第1振動体及び前記第2振動体を通る仮想直線を挟んで前記第2方向とは反対側の方向となるように、前記各振動体の振動パターンを制御する第3制御モードを、
さらに実行可能である
請求項1に記載の力覚提示装置。
【請求項3】
4つの前記振動体を備えている
請求項1に記載の力覚提示装置。
【請求項4】
前記仮想平面は、すべての前記振動体を通過する
請求項3に記載の力覚提示装置。
【請求項5】
前記仮想平面に垂直な方向を向いて前記筐体を視たときの前記筐体の幾何中心から前記各振動体までの距離は、すべて等しくなっている
請求項1に記載の力覚提示装置。
【請求項6】
前記制御装置は、すべての前記振動体から同じ大きさの力覚を提示するように制御する
請求項1に記載の力覚提示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力覚提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の力覚提示装置は、筐体と、振動体と、制御装置と、を備えている。振動体は、筐体の内部に位置している。筐体は、例えば使用者の手に握られて使用される。制御装置は、振動体の振動パターンを制御することにより、特定の方向に向かう力覚を提示する。これにより、筐体を握っている使用者は、力覚提示装置が特定の方向に移動しているかのような力覚を感じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような力覚提示装置において、振動体が1つのみであると、使用者に対して与えられる力覚は、特定の方向に限られる。つまり、特許文献1の力覚提示装置は、当該力覚提示装置が回転しているかのような力覚を提示したり、力覚提示装置が発生する力覚の仮想の回転軸を様々に変更したりすることはできない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、使用者が手で掴むことが可能な筐体と、前記筐体の内部に位置している3つ以上の振動体と、前記各振動体の振動パターンを制御することにより前記各振動体から力覚を提示可能である制御装置と、を備え、複数の前記振動体の配置は、同一の仮想直線上に3つ以上の前記振動体が位置しないようになっており、複数の前記振動体のうちの特定の1つを第1振動体とし、前記第1振動体が提示する力覚の方向を第1方向とし、複数の前記振動体のうちの前記第1振動体とは異なる特定の1つを第2振動体とし、前記第2振動体が提示する力覚の方向を第2方向とし、複数の前記振動体のうちの前記第1振動体及び前記第2振動体とは異なる特定の1つを第3振動体とし、前記第3振動体が提示する力覚の方向を第3方向とし、前記第1振動体、前記第2振動体、及び前記第3振動体を通る仮想の平面を仮想平面としたとき、前記制御装置は、前記第1方向と前記第2方向とが前記仮想平面に交差しており、且つ、前記第1方向が前記仮想平面を挟んで前記第2方向と反対側の方向となるように、且つ、前記第3方向が前記仮想平面を挟んで前記第1方向と同一側の方向又は前記仮想平面に平行な方向となるように、前記各振動体の振動パターンを制御する第1制御モードと、前記第1方向と前記第3方向とが前記仮想平面に交差しており、且つ、前記第1方向が前記仮想平面を挟んで前記第3方向と反対側の方向となるように、且つ、前記第2方向が前記仮想平面を挟んで前記第3方向と同一側の方向又は前記仮想平面に平行な方向となるように、前記各振動体の振動パターンを制御する第2制御モードと、を実行可能である力覚提示装置である。
【0006】
上記構成によれば、制御装置は、第1制御モードと第2制御モードとで、各振動体を実行可能である。第1制御モード及び第2制御モードのいずれの場合でも、力覚提示装置は、回転するような力覚を使用者に提示する。そして、力覚提示装置は、第1制御モードと第2制御モードとを切り替えることで、力覚提示装置の仮想の回転軸を、異なる軸に変更できる。
【発明の効果】
【0007】
力覚提示装置が発生する力覚の仮想の回転軸を変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】同実施形態の力覚提示装置の第1制御モードを示す断面図。
【
図4】同実施形態の力覚提示装置の第2制御モードを示す断面図。
【
図5】同実施形態の力覚提示装置の第3制御モードを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<一実施形態について>
以下、力覚提示装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面は、理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は、実際のものと、又は別の図面中のものと異なる場合がある。
【0010】
(全体構成)
図1に示すように、力覚提示装置10は、筐体20と、4つの振動体30と、制御装置40と、を備えている。筐体20は、全体として球状である。筐体20の直径は、5cm以上30cm以下程度である。すなわち、筐体20は、使用者が手で掴むことが可能な大きさである。
【0011】
4つの振動体30は、筐体20の内部に位置している。4つの振動体30は、詳細は省略するが、筐体20の内部に固定されている。
図2に示すように、少なくとも3つの振動体30を通る仮想の平面を仮想平面VPとする。本実施形態では、仮想平面VPは、4つの振動体30、つまりすべての振動体30を通過している。仮想平面VPは、筐体20の重心Gを通っている。
【0012】
図3に示すように、筐体20の重心Gは、仮想平面VPに直交する方向を向いて筐体20を視たときの筐体20の幾何中心に一致する。つまり、重心Gは、球状の筐体20の中心である。筐体20の重心Gを通り、且つ仮想平面VPに平行な軸を、第1基準軸Xとする。また、第1基準軸Xに直交し、且つ仮想平面VPに平行な軸を、第2基準軸Yとする。したがって、仮想平面VPは、第1基準軸X及び第2基準軸Yを含む面である。さらに、
図2に示すように、筐体20の重心Gを通り、且つ仮想平面VPに垂直な軸を、第3基準軸Zとする。そして、
図3に示すように、第1基準軸Xに沿う方向の一方を第1正方向X1とし、第1正方向X1と反対方向を第1負方向X2とする。また、第2基準軸Yに沿う方向の一方を第2正方向Y1とし、第2正方向Y1と反対方向を第2負方向Y2とする。さらに、
図2に示すように、第3基準軸Zに沿う方向の一方を第3正方向Z1とし、第3正方向Z1と反対方向を第3負方向Z2とする。
【0013】
図3に示すように、振動体30は、略立方体状である。振動体30は、2つの基準軸に沿う方向に振動可能に構成されている。図示は省略するが、振動体30は、2つのボイスコイルモータと、各ボイスコイルモータに対応した錘と、これらを収容する立方体状のケースと、を備えている。ボイスコイルモータのコイルに電流が流れることに伴って発生する力により、錘が振動する。錘が振動すると、ケースが錘の振動によって振動する。
【0014】
4つの振動体30は、第1振動体31と、第2振動体32と、第3振動体33と、第4振動体34と、である。第1振動体31は、第1基準軸X上に位置している。また、第1振動体31は、重心Gに対して第1正方向X1側に位置している。そして、第1振動体31の振動の方向は、第2基準軸Yに沿う方向及び第3基準軸Zに沿う方向の2種類である。本実施形態では、第1基準軸Xは、第1振動体31及び第2振動体32を通る仮想直線である。
【0015】
第2振動体32は、第1基準軸X上に位置している。また、第2振動体32は、重心Gに対して第1負方向X2側に位置している。第2振動体32から重心Gまでの距離は、第1振動体31から重心Gまでの距離に等しくなっている。第2振動体32の振動の方向は、第2基準軸Yに沿う方向及び第3基準軸Zに沿う方向の2種類である。
【0016】
第3振動体33は、第2基準軸Y上に位置している。また、第3振動体33は、重心Gに対して第2正方向Y1側に位置している。第3振動体33から重心Gまでの距離は、第1振動体31から重心Gまでの距離に等しくなっている。第3振動体33の振動の方向は、第1基準軸Xに沿う方向及び第3基準軸Zに沿う方向の2種類である。
【0017】
第4振動体34は、第2基準軸Y上に位置している。また、第4振動体34は、重心Gに対して第2負方向Y2側に位置している。第4振動体34から重心Gまでの距離は、第1振動体31から重心Gまでの距離に等しくなっている。第4振動体34の振動の方向は、第1基準軸Xに沿う方向及び第3基準軸Zに沿う方向の2種類である。
【0018】
以上のように、第3振動体33及び第4振動体34は第2基準軸Y上に位置している一方、第1振動体31及び第2振動体32が通る第1基準軸X上に位置していない。つまり、複数の振動体30の配置は、同一の仮想直線上に3つ以上の振動体30が位置しないようになっている。また、各振動体30は、第1基準軸X又は第2基準軸Yのいずれかの軸上に位置している。すなわち、4つの振動体30は、仮想平面VP上に位置している。
【0019】
制御装置40は、筐体20の内部に位置している。また、
図2~
図5では、制御装置40の図示を省略している。制御装置40は、CPUとROMとを備えて、ソフトウェア処理を実行する。制御装置40は、制御装置40は、各振動体30に、信号線で繋がっている。各振動体30の振動パターンを制御することにより、各振動体30から特定の方向への力覚を提示可能である。なお、図示は省略するが、力覚提示装置10は、バッテリを備えている。バッテリは筐体20の内部に位置している。バッテリは、制御装置40及び各振動体30に電力線で繋がっている。バッテリは、制御装置40及び各振動体30に電力を供給する。
【0020】
(制御モード)
制御装置40は、3つの制御モードを実行可能である。これにより、筐体20を掴む使用者は、3種類の力覚を感じることができる。3種類の力覚はいずれも筐体20が回転するような力覚であるが、それぞれ筐体20の仮想の回転軸が異なる。各制御モードでは、複数の振動体30から提示する力覚の方向の組み合わせが互いに異なっている。また、各制御モードでは、複数の振動体30から提示する力覚の大きさはすべて同じ大きさである。3つの制御モードは、第1制御モード、第2制御モード、及び第3制御モードである。
【0021】
ここで、第1振動体31が提示する力覚の方向を第1方向D1とする。第2振動体32が提示する力覚の方向を第2方向D2とする。第3振動体33が提示する力覚の方向を第3方向D3とする。第4振動体34が提示する力覚の方向を第4方向D4とする。
【0022】
図3に示すように、第1制御モードにおいて、制御装置40は、第1方向D1を第3負方向Z2、すなわち
図3において紙面奥方向とするように、第1振動体31の振動パターンを制御する。第1制御モードにおいて、制御装置40は、第2方向D2を第3正方向Z1、すなわち
図3において紙面手前方向とするように、第2振動体32の振動パターンを制御する。第1制御モードにおいて、制御装置40は、第3方向D3を第3負方向Z2とするように、第3振動体33の振動パターンを制御する。第1制御モードにおいて、制御装置40は、第4方向D4を第3正方向Z1とするように、第4振動体34の振動パターンを制御する。
【0023】
つまり、第1制御モードにおいて、第1方向D1は、仮想平面VPに交差している。第2方向D2は、仮想平面VPに交差している。第3方向D3は、仮想平面VPに交差している。第4方向D4は、仮想平面VPに交差している。そして、第1方向D1は、第2方向D2と反対方向となっている。そのため、第1方向D1は、仮想平面VPを挟んで第2方向D2と反対側の方向となっている。
【0024】
一方で、第1制御モードにおいて、第3方向D3は、第1方向D1と同一方向となっている。そのため、第3方向D3は、仮想平面VPを挟んで第1方向D1と同一側の方向となっている。また、第4方向D4は、第2方向D2と同一方向となっている。そのため、第4方向D4は、仮想平面VPを挟んで第2方向D2と同一側の方向となっている。
【0025】
図4に示すように、第2制御モードにおいて、制御装置40は、第1方向D1を第3正方向Z1とするように、第1振動体31の振動パターンを制御する。第2制御モードにおいて、制御装置40は、第2方向D2を第3負方向Z2とするように、第2振動体32の振動パターンを制御する。第2制御モードにおいて、制御装置40は、第3方向D3を第3負方向Z2とするように、第3振動体33の振動パターンを制御する。第2制御モードにおいて、制御装置40は、第4方向D4を第3正方向Z1とするように、第4振動体34の振動パターンを制御する。
【0026】
つまり、第2制御モードにおいて、第1方向D1は、仮想平面VPに交差している。第2方向D2は、仮想平面VPに交差している。第3方向D3は、仮想平面VPに交差している。第4方向D4は、仮想平面VPに交差している。そして、第1方向D1は、第3方向D3と反対方向となっている。そのため、第1方向D1は、仮想平面VPを挟んで第3方向D3と反対側の方向となっている。
【0027】
一方で、第2制御モードにおいて、第2方向D2は、第3方向D3と同一方向となっている。そのため、第2方向D2は、仮想平面VPを挟んで第3方向D3と同一側の方向となっている。また、第4方向D4は、第1方向D1と同一方向となっている。そのため、第4方向D4は、仮想平面VPを挟んで第1方向D1と同一側の方向となっている。なお、第2制御モードにおいて、制御装置40は、第3方向D3及び第4方向D4について、第1制御モードと同様に制御する。
【0028】
図5に示すように、第3制御モードにおいて、制御装置40は、第1方向D1を第2負方向Y2とするように、第1振動体31の振動パターンを制御する。第3制御モードにおいて、制御装置40は、第2方向D2を第2正方向Y1とするように、第2振動体32の振動パターンを制御する。第3制御モードにおいて、制御装置40は、第3方向D3を第1正方向X1とするように、第3振動体33の振動パターンを制御する。第3制御モードにおいて、制御装置40は、第4方向D4を第1負方向X2とするように、第4振動体34の振動パターンを制御する。
【0029】
つまり、第3制御モードにおいては、第1方向D1~第4方向D4のすべては、仮想平面VPと平行である。また、第3制御モードにおいては、第1方向D1と第2方向D2とは、第1基準軸Xに直交する方向である。さらに、第1方向D1は、第2方向D2と反対方向である。そのため、第1方向D1は、第1振動体31及び第2振動体32を通る第1基準軸Xを挟んで第2方向D2とは反対側の方向となっている。
【0030】
第3制御モードにおいては、第3方向D3と第4方向D4とは、第2基準軸Yに直交する方向である。さらに、第3方向D3は、第4方向D4とは反対方向である。そのため、第3方向D3は、第3振動体33及び第4振動体34を通る第2基準軸Yを挟んで第4方向D4とは反対側の方向となっている。
【0031】
(実施形態の作用)
次に、上記実施形態の作用について説明する。
図1に示すように、使用者が力覚提示装置10の筐体20を手で掴んだ状態で、制御装置40は、上述した各制御モードで各振動体30を制御する。使用者の手には、筐体20から各振動体30から力覚が与えられる。
【0032】
図3に示すように、第1制御モードにおいて、第1方向D1及び第3方向D3は、第3負方向Z2となっている。また、第1制御モードにおいて、第2方向D2及び第4方向D4は、第3正方向Z1となっている。そして、使用者の手には、これらの方向となった第1力覚~第4力覚が与えられることで、第1仮想軸R1を回転軸として筐体20が回転するような力覚が与えられる。第1仮想軸R1は、重心Gを通り、仮想平面VP上を延びている。第1仮想軸R1は、第1振動体31及び第4振動体34の間を通る。また、第1仮想軸R1は、第2振動体32及び第3振動体33の間を通る。そして、第1仮想軸R1と第1基準軸Xとのなす角の鋭角は45度である。また、第1仮想軸R1と第2基準軸Yとのなす角の鋭角は45度である。
【0033】
図4に示すように、第2制御モードにおいて、第1方向D1及び第4方向D4は、第3正方向Z1となっている。また、第2制御モードにおいて、第2方向D2及び第3方向D3は、第3負方向Z2となっている。そして、使用者の手には、これらの方向となった第1力覚~第4力覚が与えられることで、第2仮想軸R2を回転軸として筐体20が回転するような力覚が与えられる。第2仮想軸R2は、重心Gを通り、仮想平面VP上を延びている。第2仮想軸R2は、第1振動体31及び第3振動体33の間を通る。また、第2仮想軸R2は、第2振動体32及び第4振動体34の間を通る。そして、第2仮想軸R2は、第1仮想軸R1と直交する。
【0034】
図5に示すように、第3制御モードにおいて、第1方向D1は、第2負方向Y2となっている。第3制御モードにおいて、第2方向D2は、第2正方向Y1となっている。第3制御モードにおいて、第3方向D3は、第1正方向X1となっている。第4方向D4は、第1負方向X2となっている。そして、使用者の手には、これらの方向となった第1力覚~第4力覚が与えられることで、第3仮想軸R3を回転軸として筐体20が回転するような力覚が与えられる。第3仮想軸R3は、重心Gを通り、仮想平面VPに直交する。つまり、第3仮想軸R3は、第1仮想軸R1及び第2仮想軸R2の双方に直交する。
【0035】
(実施形態の効果)
次に、上記実施形態の効果について説明する。
(1)上記実施形態によれば、制御装置40は、第1制御モードと第2制御モードとで、各振動体30を実行可能である。第1制御モードでは、使用者の手には、第1仮想軸R1を回転軸として筐体20が回転するような力覚が与えられる。また、第2制御モードでは、使用者の手には、第2仮想軸R2を回転軸として筐体20が回転するような力覚が与えられる。第1仮想軸R1は、第1振動体31及び第2振動体32の間と、第2振動体32及び第3振動体33の間とを通るように延びている。第2仮想軸R2は、第1振動体31及び第3振動体33の間と、第1振動体31及び第2振動体32の間と、を通るように延びている。そのため、力覚提示装置10は、第1制御モードと第2制御モードとを切り替えることで、力覚提示装置10の仮想の回転軸を、異なる軸に変更できる。
【0036】
(2)上記実施形態によれば、制御装置40は、さらに第3制御モードで各振動体30を実行可能である。第3制御モードでは、使用者の手には、第3仮想軸R3を回転軸として筐体20が回転するような力覚が与えられる。第3仮想軸R3は、仮想平面VPに直交して延びている。そのため、力覚提示装置10は、第3制御モードに切り替えることで、回転しているような力覚の仮想の回転軸を、第1制御モード及び第2制御モードの双方に対して、さらに異なる軸に変更できる。さらに、力覚提示装置10は、仮想平面VP上に延びる軸のみならず、仮想平面VPに直交する軸を回転軸として筐体20が回転するような力覚を使用者に与えることができる。
【0037】
(3)上記実施形態によれば、力覚提示装置10は、4つの振動体30を備えている。そのため、仮に振動体30を3つのみしか備えていない場合と比べて、各制御モードにおける回転軸を、互いに直交するように設定しやすい。
【0038】
(4)上記実施形態によれば、仮想平面VPは、すべての振動体30を通過している。そのため、第1制御モードの回転軸である第1仮想軸R1及び第2制御モードの回転軸である第2仮想軸R2が、仮想平面VPにおける各振動体30に囲まれた範囲の中央を通るように設定しやすくなる。
【0039】
(5)上記実施形態によれば、仮想平面VP上において、各振動体30から重心Gまでの距離は、すべて等しくなっている。そのため、各振動体30から提示する力覚の大きさを同じ大きさとしたうえで、各制御モードの回転軸が、重心Gを通るように調整しやすくなる。
【0040】
(6)上記実施形態によれば、制御装置40は、すべての振動体30から同じ大きさの力覚を提示するように制御する。そのため、仮に制御装置40が各振動体30から異なる大きさの力覚を提示して、各制御モードの回転軸が重心Gを通るようにする場合と比べて、単純な制御で済む。
【0041】
<その他の実施形態について>
上記実施形態は以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせて実施することができる。
【0042】
・上記実施形態において、筐体20の形状は、球状に限られない。筐体20は、例えば、柱状であってもよいし、多角形状であってもよい。筐体20は、少なくとも使用者の手によって掴まれるものであればよい。
【0043】
・
図6に示す変更例のように、筐体20は、使用者の両手に掴まれるものであってもよい。
図6に示す変更例の力覚提示装置110は、ゲームコントローラに適用されている。そして、力覚提示装置110の筐体120は、2つの把持部121を有している。一方の把持部121は、使用者の右手に掴まれる。他方の把持部121は、使用者の左手に掴まれる。各振動体30は、各把持部121に、2つずつ位置している。
【0044】
・制御装置40は、筐体20の外部に位置していてもよい。
・上記実施形態において、制御装置40としては、CPUとROMとを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。例えば、上記各実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(例えばASIC等)を備えてもよい。すなわち、制御装置40は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア実行装置や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。
【0045】
・制御装置40は、第3制御モードを実行しなくてもよい。少なくとも、制御装置40は、第1制御モードと第2制御モードとを実行可能であればよい。
・制御装置40は、各振動体30から提示する力覚の大きさを異なるように制御してもよい。例えば、制御装置40は、各振動体30から重心Gまでの距離が異なるとき、重心Gからの距離に併せて、各振動体30から提示する力覚の大きさが異なるように制御してもよい。
【0046】
・制御装置40は、第1制御モードの状態から、一部の振動体30の振動パターンを徐々に弱くする制御モードをさらに実行してもよい。この制御モードでは、例えば、制御装置40は、第1制御モードの状態から、第1振動体31及び第2振動体32の振動モードを徐々に弱くするとする。この場合、第1仮想軸R1は、第1基準軸Xに徐々に近づくように変化する。そのため、この制御モードでは、使用者は、回転するような力覚における回転軸が、仮想平面VP上で変化するように感じる。同様に、制御装置40は、第2制御モードの状態から、一部の振動体30の振動パターンを徐々に弱くする制御モードをさらに実行してもよい。
【0047】
・第1制御モードでは、第1方向D1及び第2方向D2について、第1方向D1が仮想平面VPを挟んで第2方向D2と反対側の方向となっていればよい。そのため、第1方向D1は、第2方向D2と反対方向でなくてもよい。例えば、第1方向D1は、第3負方向Z2に対して傾いていてもよい。さらに、第2方向D2は、第3正方向Z1に対して傾いていてもよい。
【0048】
・第1制御モードでは、第3方向D3は、仮想平面VPを挟んで第1方向D1と同一側の方向又は仮想平面VPに平行な方向となっていればよい。第3方向D3が仮想平面VPを挟んで第1方向D1と同一側の方向となる場合、第3方向D3は第1方向D1と同一方向でなくてもよい。例えば、第3方向D3は、第3負方向Z2に対して傾いていてもよい。また、第3方向D3は、仮想平面VPに平行な方向となっていてもよい。この場合であっても、第1仮想軸R1と第2仮想軸R2とが異なる軸となることで、力覚提示装置10は、第1制御モードと第2制御モードとを切り替えることで、力覚提示装置10の仮想の回転軸を、異なる軸に変更できる。
【0049】
・第2制御モードでは、第1方向D1及び第3方向D3について、第1方向D1が仮想平面VPを挟んで第3方向D3と反対側の方向となっていればよい。そのため、第1方向D1は、第3方向D3と反対方向でなくてもよい。例えば、第1方向D1は、第3正方向Z1に対して傾いていてもよい。さらに、第3方向D3は、第3負方向Z2に対して傾いていてもよい。
【0050】
・第2制御モードでは、第2方向D2は、仮想平面VPを挟んで第3方向D3と同一側の方向又は仮想平面VPに平行な方向となっていればよい。第2方向D2が仮想平面VPを挟んで第1方向D1と同一側の方向となる場合、第2方向D2は第3方向D3と同一方向でなくてもよい。例えば、第2方向D2は、第3負方向Z2に対して傾いていてもよい。また、第2方向D2は、仮想平面VPに平行な方向となっていてもよい。この場合であっても、第1仮想軸R1と第2仮想軸R2とが異なる軸となることで、力覚提示装置10は、第1制御モードと第2制御モードとを切り替えることで、力覚提示装置10の仮想の回転軸を、異なる軸に変更できる。
【0051】
・第3制御モードにおいて、第3方向D3は、上記実施形態の例に限られない。第3制御モードにおいて、第3方向D3は仮想平面VPに交差していてもよいし、第3振動体33から力覚が提示されていないことで、第3方向D3がなくてもよい。
【0052】
・各制御モードにおいて、第4方向D4は、上記実施形態の例に限られない。第4方向D4はどの方向であってもよいし、第4振動体34から力覚が提示されていないことで、第4方向D4がなくてもよい。
【0053】
・制御装置40は、第1~第3制御モード以外の制御モードを実行してもよい。各振動体30の力覚の方向の組み合わせを変更することで、第1仮想軸R1~第3仮想軸R3とは異なる他の仮想軸を回転軸として筐体20が回転するような力覚を与えることができる。また、各振動体30の力覚の方向の組み合わせによっては、筐体20が直線的に移動するような力覚を与えることもできる。
【0054】
・制御装置40は、各制御モードにおいて、各振動体30の振動パターンを制御すればよい。この場合、振動体30が実際に振動しているか否かは問わない。また、各振動体30の振動パターンを制御する、とは、意図して一部の振動体30を振動させないことも含む。
【0055】
・上記実施形態において、振動体30の構成は、上記実施形態の構成に限られない。例えば、振動体30は、モータによる振動を用いたものであってもよいし、ピエゾ素子を有するものであってもよい。
【0056】
・振動体30の数は、3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。この場合、複数の振動体30のうち、特定の1つを第1振動体31とし、第1振動体31でない特定の1つを第2振動体32とし、第1振動体31及び第2振動体32でない特定の1つを第3振動体33とすればよい。そして、制御装置40が第1制御モードと第2制御モードとで、各振動体30を制御すればよい。
【0057】
・振動体30の位置は、上記実施形態の例に限られない。例えば、仮想平面VPは、第4振動体34を通過しなくてもよい。つまり、第4振動体34は、仮想平面VPが通過しない箇所に位置していてもよい。この場合であっても、仮想平面VPは、少なくとも3つの振動体30が存在する仮想の平面として定められる。
【0058】
・第2振動体32は、第1基準軸X上に存在していなくてもよいし、第2振動体32から重心Gまでの距離は、第1振動体31から重心Gまでの距離と異なっていてもよい。
・第3振動体33は、第2基準軸Y上に存在していなくてよいし、第3振動体33から重心Gまでの距離は、第1振動体31から重心Gまでの距離と異なっていてもよい。
【0059】
・第4振動体34は、第2基準軸Y上に存在していなくてもよいし、第4振動体34から重心Gまでの距離は、第1振動体31から重心Gまでの距離と異なっていてもよい。
・少なくとも3つの振動体30が存在する仮想平面VPは、筐体20の重心Gを通っていなくてもよい。上記実施形態において、仮想平面VPは、重心Gに対して第3正方向Z1側又は第3負方向Z2側にずれていてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10,110…力覚提示装置
20,120…筐体
30…振動体
31…第1振動体
32…第2振動体
33…第3振動体
34…第4振動体
40…制御装置
D1…第1方向
D2…第2方向
D3…第3方向
D4…第4方向
VP…仮想平面