(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】エレベータの乗車案内装置
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20250701BHJP
【FI】
B66B3/00 L
(21)【出願番号】P 2024193532
(22)【出願日】2024-11-05
【審査請求日】2024-11-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】野本 尚
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-066600(JP,A)
【文献】特開2024-134001(JP,A)
【文献】特開2024-067627(JP,A)
【文献】特開2013-056751(JP,A)
【文献】国際公開第2020/213035(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00 - 3/02
B66B 1/00 - 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
かご内の総荷重を測定する荷重測定部と、
前記かご内の乗客のうち前記かごに最後に乗り込んだ最終乗客の位置を検出する検出部と、
前記荷重測定部が測定した前記総荷重が、前記かごの最大積載荷重である第1設定値より大きいことを示す第1表示を表示する表示部と、
前記総荷重が前記第1設定値より大きい場合、前記検出部が検出した前記最終乗客の位置の近傍領域に前記表示部が前記第1表示を表示するように前記表示部を制御する表示制御部と、
を備えるエレベータの乗車案内装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記総荷重が前記第1設定値に達するまでの残余荷重が、所定の乗客人数の重さ未満であることを示す第2表示を表示し、
前記表示制御部は、前記総荷重が前記第1設定値以下かつ前記かごの前記最大積載荷重から前記所定の乗客人数の重さを減じた第2設定値より大きい場合、前記検出部が検出した前記最終乗客の位置の近傍領域に前記表示部が前記第2表示を表示するように前記表示部を制御する
請求項1に記載のエレベータの乗車案内装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記総荷重が前記第1設定値に達するまでの残余荷重が、所定の乗客人数の重さ以上であることを示す第3表示を表示し、
前記表示制御部は、前記総荷重が前記第2設定値以下である場合、前記検出部が検出した前記最終乗客の位置の近傍領域に前記表示部が前記第3表示を表示するように前記表示部を制御する
請求項2に記載のエレベータの乗車案内装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記最終乗客の位置及び当該位置と連続する前記近傍領域に表示する
請求項1から3のいずれか一項に記載のエレベータの乗車案内装置。
【請求項5】
前記表示部は、かご床の奥行方向において、前記かご床の中心よりもかご出入口側の領域に表示する
請求項1から3のいずれか一項に記載のエレベータの乗車案内装置。
【請求項6】
前記表示部は、かご壁の高さ方向において、前記かご壁の中心より下部に表示する
請求項1から3のいずれか一項に記載のエレベータの乗車案内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はエレベータの乗車案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータの乗車案内装置では、エレベータに乗り込み可能な状態か否かを乗客に報知するために、エレベータのかご内の負荷重量に応じて、報知制御手段が報知する音を変化させている。具体的には、かご内が満員時の負荷重量に相当する設定値X2と、かご内が満員時の負荷重量より小さい設定値X1を設定し、報知制御手段は、かご内の負荷重量が設定値X1未満の場合一定の音楽の音量を保ち、設定値X1以上設定値X2未満の場合音楽の音量を次第に下げ、設定値X2以上の場合ブザーを鳴動させる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のエレベータの乗車案内装置では、エレベータに乗り込み可能な状態か否かを音によって報知し、設定値X2以上の場合ブザーを鳴動させる。乗客がかごに乗り込んだ際にかご内が満員となる、つまりかご内の総荷重がかごの最大積載荷重より大きくなると、ブザーが鳴るため、当該乗客は当該乗客よりも前にかごに乗車した他の乗客から注目され、心理的負担を感じる恐れがある。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであって、乗客がかごに乗り込むことによりかご内の総荷重がかごの最大積載荷重より大きくなった場合に、当該乗客が当該乗客よりも前にかごに乗車した他の乗客から注目されることを抑制するエレベータの乗車案内装置、エレベータの乗車案内方法及びエレベータの乗車案内プログラムを得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベータの乗車案内装置は、かご内の総荷重を測定する荷重測定部と、かご内の乗客のうちかごに最後に乗り込んだ最終乗客の位置を検出する検出部と、荷重測定部が測定した総荷重が、かごの最大積載荷重である第1設定値より大きいことを示す第1表示を表示する表示部と、荷重測定部が測定した総荷重が第1設定値より大きい場合、検出部が検出した最終乗客の位置の近傍領域に表示部が第1表示を表示するように表示部を制御する表示制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るエレベータの乗車案内装置によれば、乗客がかごに乗り込むことによりかご内の総荷重がかごの最大積載荷重より大きくなった場合に、当該乗客が当該乗客よりも前にかごに乗車した他の乗客から注目されることを抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1におけるエレベータのかご床及びその周辺を示す図である。
【
図2】実施の形態1におけるエレベータの乗車案内装置の構成図である。
【
図3】実施の形態1におけるエレベータの制御盤のハードウェア構成を示す図である。
【
図4】実施の形態1におけるエレベータの乗車案内装置の動作を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態1におけるエレベータのかご床における乗客の乗車位置を示す図である。
【
図6】実施の形態1におけるエレベータの乗車案内装置の変形例である。
【
図7】実施の形態2におけるエレベータの乗車案内装置の構成図である。
【
図8】実施の形態2におけるエレベータの乗車案内装置の動作を示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態2におけるエレベータのかご床における乗客の乗車位置を示す図である。
【
図10】実施の形態2におけるエレベータのかご床における乗客の乗車位置を示す図である。
【
図11】実施の形態2におけるエレベータのかご床における乗客の乗車位置を示す図である。
【
図12】実施の形態3におけるエレベータの乗車案内装置の構成図である。
【
図13】実施の形態3におけるエレベータの乗車案内装置の動作を示すフローチャートである。
【
図14】実施の形態3におけるエレベータのかご床における乗客の乗車位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
実施の形態1におけるエレベータのかご床1及びその周辺の構成を説明する。
図1は、実施の形態1におけるエレベータのかご床1及びその周辺を示す図である。
図1(a)はかご床1を上面から見た場合のかごの断面図である。
図1(b)はかご床1をかご出入口2側から見た正面図である。なお、
図1(b)では、かご壁3の図示を省略している。
【0010】
図1(a)において、かご床1は、かごに設けられており、かご床1の上面は略長方形の形状をしている。かご床1の上面のうち、一辺はかご出入口2の一部を構成し、かご出入口2を構成しない三辺はかご壁3と接している。なお、かご床1のうち
図1(b)の紙面上側の面を上面1aと呼び、
図1(b)の紙面下側の面を下面1bと呼ぶ。上面1aは、かご床1のうち乗客が乗る積載面である。
【0011】
かご床1の上面1aは、格子状に分割された格子領域1cを有する。格子領域1cのうち、分割された1つの領域をブロック領域1dと呼ぶ。
図1(a)に示すように、格子領域1cは、かご床1の奥行方向においてかご床1の中心よりかご出入口2側に配置される。格子領域1cは、例えばかご床1の上面1aの三分の一を占める領域である。格子領域1cは、かご床1のうち、後述する最終乗客12がかごに乗り込む際に最初に足が接する位置を想定して設定される。また、
図1(b)に示すように、かご床1の下面1bには、複数の検出部4及び複数の表示部5が配置されている。各検出部4及び各表示部5は、かご床1の各ブロック領域1dの下面1bにそれぞれ配置される。なお、各検出部4及び各表示部5は、各ブロック領域1dの下面1b側に配置されていればよく、例えば、各ブロック領域1dと各検出部4及び各表示部5との間に空間があってもよい。なお、
図1(a)及び(b)では、説明のために破線で格子領域1cのブロック領域1dを図示している。なお、かご床1の奥行方向とは、
図1(a)の紙面における上下方向である。
【0012】
検出部4は、かご内の乗客のうち当該かごに最後に乗り込んだ最終乗客12の位置を検出する。検出部4は、例えば圧力検出装置である。圧力検出装置は、かご床1の上面1aにかかる圧力を検出する装置である。かご床1の格子領域1cに最終乗客12が乗ると、当該最終乗客12が乗ったブロック領域1dの下面1bに配置された検出部4が圧力を検出し、当該検出部4が最終乗客12の位置を検出する。つまり、検出部4は、圧力がかかったブロック領域1dの上面1aの少なくとも一部に最終乗客12の位置があることを検出する。ここで、
図1(a)の紙面左下には、最終乗客12の両足の位置を点線で囲んで簡易的に図示しており、最終乗客12の右足は格子領域1cに接地している。したがって、
図1(a)に示すように、最終乗客12の位置とは、例えば最終乗客12の足がかご床1の上面1aに接する位置である。検出部4は、圧力を検出した場合、圧力を検出したことを示す信号を後述する表示制御部8aに送信する。
【0013】
また、検出部4は、最終乗客12がかご床1の上面1aの格子領域1cを歩行して移動した場合であっても、最終乗客12の位置を検出できる。具体的には、検出部4は、最終乗客12が上面1aから足を上げた時に圧力が消失するタイミング、及び、上面1aに足を下した時に圧力が発生するタイミングのパターンを解析することで、圧力が生じている位置が最終乗客12の位置であるか否かを判定することができる。例えば、最終乗客12の両足の位置を検出した後、すなわち二つの位置で圧力を検出した後、検出した圧力のうちの一つの位置の圧力が消失し、その位置から一歩程度離れた距離の位置に新たに圧力が発生した場合、新たに圧力が発生した位置が最終乗客12の片足の位置であると判定することができる。
【0014】
なお、複数の乗客がかご内に乗車しており、格子領域1c上に存在する場合でも、検出部4は、各乗客の位置を検出できる。検出部4は、前述した圧力の消失及び発生タイミングに加えて、乗客の移動方向、移動距離、静止した位置等のパラメータを用いて解析することで、各乗客の位置を検出することで、各乗客が乗車した後、どの場所に移動したのか検出している。すなわち、検出部4は各乗客の現在の位置を把握できるため、各乗客を識別可能である。そして、誰が最後にかご出入口2を通過しようとしたかを把握できるので、既に乗車している乗車済み乗客11と最終乗客12を識別可能である。なお、このように解析する構成は検出部4自体が有してもよく、他の装置によって機能を実現した上で検出部4にデータを送信するようにしてもよい。
【0015】
また、
図1(a)の紙面左下には、最終乗客12の位置及び最終乗客12の位置の近傍領域として、四個のブロック領域1dに跨る領域13を示す。ここで、最終乗客12の位置及び最終乗客12の位置の近傍領域は連続しており、最終乗客12の位置の近傍領域とは、一部に最終乗客12の足が接するブロック領域1dの上面1aのうち、最終乗客12の足が接しない部分を示す。
【0016】
表示部5は、最終乗客12が視認可能な第1表示を表示する。表示部5は、例えば光を点灯又は点滅する点灯装置である。表示部5は、例えば第1表示として赤色の光を点滅する。なお、表示部5が点灯装置である場合は、かご床1の上面1aから最終乗客12が前記表示部5の発する光を視認できるように、かご床1は光を透過する透明又は半透明の部材で形成される。また、かご床1のうち格子領域1cのみ光を透過する透明又は半透明の部材で形成してもよい。
【0017】
かごには、かご内の荷重を検出するための荷重検出センサ6が設けられる。荷重検出センサ6は、例えば
図1(a)に示すように、かご床1の下面1bの四隅に設置され、四隅にかかる荷重をそれぞれ検出する。荷重検出センサ6は、例えば差動トランスである。差動トランスは、変位センサの一種であり、差動トランスが備えるばね(図示せず)の弾性変形に伴う変位量を測定し、かご内の総荷重と対応する電圧に変換する。
【0018】
次に、実施の形態1におけるエレベータの乗車案内装置100aの構成を説明する。
図2は、実施の形態1におけるエレベータの乗車案内装置100aの構成図である。エレベータの乗車案内装置100aは、検出部4と、表示部5と、荷重検出センサ6と、戸開閉検出部20と、戸開閉制御部21と、荷重算出部7と、表示制御部8aと、を備える。なお、戸開閉検出部20、荷重算出部7及び表示制御部8aの機能は、エレベータの制御盤10aによって実現される。
【0019】
戸開閉検出部20は、かご又はかご枠等に取り付けられ、かごの戸の開閉状態を検出する。戸開閉検出部20は、かごの戸が開いたことを検出した場合に、かごの戸が開いたことを示す戸開信号を戸開閉制御部21に送信し、かごの戸が閉じたことを検出した場合に、かごの戸が閉じたことを示す戸閉信号を戸開閉制御部21に送信する。
【0020】
戸開閉制御部21は、エレベータの運転制御部(図示せず)からかごの戸の開閉を指示する信号を受信し、当該信号に基づいてかごの戸の開閉を制御する。また、戸開閉制御部21は、戸開閉検出部20が送信する戸開信号又は戸閉信号に基づいてかごの戸の開閉状態を判定する。
【0021】
荷重算出部7は、荷重検出センサ6と通信可能に接続され、荷重検出センサ6の検出結果から、かご内の総荷重を算出する。例えば、荷重検出センサ6が差動トランスである場合、荷重算出部7は差動トランスが変換した電圧を受信すると、当該電圧に相当する荷重に変換し、かご内の総荷重を計算する。荷重算出部7は、かご内の総荷重の情報を表示制御部8aに出力する。
【0022】
なお、荷重検出センサ6と荷重算出部7は別で設置されなくともよく、1つの装置でかご内の荷重の検出及びかご内の総荷重を計算する構成としてもよい。以後、荷重検出センサ6及び荷重算出部7の機能を有し、かご内の総荷重を測定する構成を、荷重測定部30と称する。
【0023】
表示制御部8aは、検出部4、表示部5、及び荷重算出部7と通信可能に接続される。表示制御部8aは、荷重測定部30が測定したかご内の総荷重が第1設定値T1より大きいか否かを判定する。ここで、第1設定値T1は、かごの最大積載荷重が設定される。なお、かごの最大積載荷重とは、かご内に乗客などの荷物の積んだ状態でかごが移動することができる最大の荷重である。
【0024】
かご内の総荷重が第1設定値T1より大きい場合、表示制御部8aは、検出部4が最終乗客12の位置を検出したか否かを判定する。検出部4が最終乗客12の位置を検出した場合は、表示制御部8aは、検出部4が検出した最終乗客12の位置及びその近傍領域を含む領域13に、表示部5が第1表示を表示するように表示部5を制御する。
【0025】
すなわち、表示制御部8aは、荷重測定部30が測定した総荷重が第1設定値T1より大きい場合、検出部4が検出した最終乗客12の位置及びその近傍領域を含む領域13に表示部5が第1表示を表示するように表示部5を制御する。
【0026】
ここで、第1表示とは、かご内の総荷重がかごの最大積載荷重である第1設定値T1より大きいことを示す表示であるといえる。よって、最終乗客12に対して注意を喚起するために、第1表示は視覚的に鮮明な表示であることが望ましい。例えば、表示部5が点灯装置であれば、表示部5は第1表示として赤色の光を点滅させてもよい。
【0027】
なお、検出部4が最終乗客12の位置を検出しなかった場合は、表示制御部8aは表示部5を制御しない。また、かご内の総荷重が第1設定値T1以下である場合は、表示制御部8aは表示部5を制御しない。
【0028】
ここで、実施の形態1におけるエレベータの制御盤10aのハードウェア構成について説明する。
図3は、実施の形態1におけるエレベータの制御盤10aのハードウェア構成を示す図である。エレベータの制御盤10aは、例えばパーソナルコンピュータ、マイクロコントローラなどのコンピュータにより実現される。
【0029】
エレベータの制御盤10aは、バス40を介して互いに接続された、プロセッサ41と、メモリ42と、インタフェース43と、二次記憶装置44と、を備える。
【0030】
プロセッサ41は、例えばCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)である。プロセッサ41が、二次記憶装置44に記憶された動作プログラムをメモリ42に読み込んで実行することにより、エレベータの制御盤10aの各機能が実現される。
【0031】
メモリ42は、例えば、RAM(Random Access Memory)により構成される主記憶装置である。メモリ42は、プロセッサ41が二次記憶装置44から読み込んだプログラムを記憶する。また、メモリ42は、プロセッサ41がプログラムを実行する際のワークメモリとして機能する。
【0032】
インタフェース43は、例えばシリアルポート、USB(Universal Serial Bus)ポート、ネットワークインタフェースなどのI/O(Input/Output)インタフェースである。インタフェース43によって、検出部4及び荷重検出センサ6からの入力、及び、表示部5への出力が行われる。
【0033】
二次記憶装置44は、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)である。二次記憶装置44は、エレベータの乗車案内装置100aの動作に必要な各種情報及びプロセッサ41が実行するプログラムを記憶する。
【0034】
次に、実施の形態1におけるエレベータの乗車案内装置100aの動作を説明する。
図4は実施の形態1におけるエレベータの乗車案内装置100aの動作を示すフローチャートである。
図4(a)はフローチャートの全体図であり、
図4(b)はS10の詳細を示した図である。なお、検出部4は圧力検出装置、表示部5は点灯装置、荷重検出センサ6は差動トランスを用いるとして説明する。なお、点灯装置において、第1表示は赤色の光で点滅する表示である。なお、最終乗客12の位置及び最終乗客12の位置の近傍領域は連続しており、四個のブロック領域1dに跨る領域13であるとする。
【0035】
ステップS1において、戸開閉制御部21は、戸開閉検出部20が送信する戸開信号に基づいてかごの戸が開いている状態か否かを判定する。戸開閉制御部21は、戸開閉検出部20から戸開信号を受信したとき、かごの戸が開いている状態であると判定し、処理をステップS2へ進める。戸開閉制御部21は、戸開閉検出部20から戸開信号を受信しないとき、かごの戸が開いている状態ではないと判定し、ステップS1の処理を繰り返す。
【0036】
ステップS2において、荷重測定部30はかご内の総荷重を測定する。かご内の総荷重の測定は、具体的には、荷重算出部7が、荷重検出センサ6である差動トランスが変換した電圧を受信し、当該電圧に相当する荷重に変換し、かご内の総荷重を計算することにより行われる。荷重算出部7は、かご内の総荷重を表示制御部8aに送信する。
【0037】
ステップS3において、表示制御部8aは、荷重測定部30が測定したかご内の総荷重が第1設定値T1より大きいか否かを判定する。表示制御部8aがかご内の総荷重が第1設定値T1より大きいと判定した場合は、処理をステップS10へ進める。表示制御部8aがかご内の総荷重が第1設定値T1より大きくない、つまりかご内の総荷重が第1設定値T1以下であると判定した場合は、処理をステップS4へ進める。
【0038】
ここで、第1表示の表示制御(S10)について説明する。ステップS10は、表示制御部8aが表示部5を第1表示で表示するように制御する処理であって、ステップS11からステップS14の4つのステップから構成される。ステップS11において、表示制御部8aは、検出部4が最終乗客12の位置を検出したか否かを判定する。表示制御部8aが、検出部4から圧力を検出したことを示す信号を受信した場合、検出部4が最終乗客12の位置を検出したと判定し、処理をステップS12へ進める。表示制御部8aが、検出部4から圧力を検出したことを示す信号を受信しない場合、検出部4が最終乗客12の位置を検出していないと判定し、処理をステップS2へ進める。
【0039】
ステップS12において、表示制御部8aは、検出部4が検出した最終乗客12の位置及びその近傍領域を含む領域13に表示部5が第1表示を表示するように表示部5を制御する。このように制御することにより、表示部5が第1表示を表示する。領域13は表示部5が発する光を透過するため、第1表示がかご床1のブロック領域1dの上面1aに表示され、最終乗客12は第1表示を視認することができる。
【0040】
ステップS12について、具体例を挙げて説明する。
図5は、実施の形態1におけるエレベータのかご床1における乗客の乗車位置を示す図である。
図5では、乗客の乗車位置を示すために、乗客の足の位置を簡易的に図示している。かごには、最終乗客12が一人、最終乗客12より前にかごに乗車した乗車済み乗客11が5人乗車している。また、かご内の各乗車済み乗客11及び最終乗客12の両足は点線で囲んで示している。ここで、最終乗客12の右足は四個のブロック領域1dそれぞれに対して少なくとも一部に接している。この四個のブロック領域1dが上述の領域13に対応する。
【0041】
図5における状態では、最終乗客12が右足を領域13に乗せたときにかご内の総荷重は第1設定値T1より大きく、かつ、検出部4が最終乗客12の位置を検出している状態であるとする。このような場合、表示制御部8aは、検出部4が圧力を検出した最終乗客12の位置及びその近傍領域を含む領域13に対応する表示部5が第1表示を表示するように、表示部5を制御する。具体的には、表示部5が第1表示である赤色の光の点滅を表示する。領域13は表示部5が発する光を透過するため、第1表示がかご床1のブロック領域1dの上面1aに表示され、最終乗客12は赤色の光の点滅を視認することができる。なお、最終乗客12がかご床1の上面1aの格子領域1c上を歩行して移動した場合であっても、検出部4は最終乗客12の位置を検出可能である。よって、最終乗客12が移動したとしても、以後、最終乗客12の足元が少なくとも一部に接しているブロック領域1dは、表示制御部8aによって表示部5が第1表示を表示するように制御される。
【0042】
なお、検出部4は格子領域1c上に存在している最終乗客12以外の乗客、すなわち乗車済み乗客11の位置も検出できるため、最終乗客12とそれ以外の乗客を識別可能である。よって、格子領域1cのうち、最終乗客12の足元が少なくとも一部に接しているブロック領域1d以外の領域では、表示制御部8aによって表示部5が第1表示を表示するように制御されない。具体的には、
図5には2人の乗車済み乗客11が格子領域1c上に存在しているが、この2人の乗車済み乗客11の足元が少なくとも一部に接しているブロック領域1dは、表示制御部8aによって表示部5が第1表示を表示するように制御されない。
【0043】
図4に戻りエレベータの乗車案内装置100aの動作について説明を続ける。ステップS13において、表示制御部8aは、荷重測定部30が測定したかご内の総荷重が第1設定値T1より大きいか否かを判定する。表示制御部8aがかご内の総荷重が第1設定値T1より大きいと判定した場合は、ステップS12を繰り返す。表示制御部8aがかご内の総荷重が第1設定値T1より大きくない、つまりかご内の総荷重が第1設定値T1以下であると判定した場合は、処理をステップS14へ進める。
【0044】
ステップS14において、表示制御部8aは、表示部5に第1表示の表示を停止させる。そして、処理をステップS2へ進める。
【0045】
次に、ステップS4において、戸開閉制御部21は、戸開閉検出部20が送信する戸閉信号に基づいてかごの戸が閉まっている状態かを判定する。戸開閉制御部21は、戸開閉検出部20から戸閉信号を受信したとき、かごの戸が閉まっている状態であると判定し、処理を終了する。戸開閉制御部21は、戸開閉検出部20から戸閉信号を受信しないとき、かごの戸が閉まっている状態ではないと判定し、処理をステップS2へ進める。
【0046】
以上より、実施の形態1におけるエレベータの乗車案内装置100aにおいて、表示制御部8aは、荷重測定部30が測定した総荷重が第1設定値より大きい場合、検出部4が検出した最終乗客12の位置の近傍領域を含む領域13に表示部5が第1表示を表示するように表示部5を制御する。このように、最終乗客12の位置の近傍領域を含む領域13に第1表示が表示されると、最終乗客12は第1表示を視認しやすく、最終乗客12はかご内の総荷重がかごの最大積載荷重より大きくなったことを認識しやすい。また、表示部5は、最終乗客12の位置及び当該位置と連続する近傍領域に第1表示を表示するため、乗車済み乗客11は第1表示を視認しづらい。そのため、最終乗客12がかごに乗り込むことによりかご内の総荷重がかごの最大積載荷重より大きくなった場合に、最終乗客12が乗車済み乗客11から注目されることを抑制することができる。
【0047】
また、表示部5は、かご床1の奥行方向において、かご床1の中心よりもかご出入口2側の領域に第1表示を表示することにより、かご床1の奥行方向において反対側に位置する乗車済み乗客11は第1表示を視認しづらく、かつ、かご出入口2からかごに乗り込む最終乗客12が第1表示を視認しやすくなる。
【0048】
なお、格子領域1cは、かご床1のうち、最終乗客12がかごに乗り込む際にかご床1に最初に足が接することが想定される位置を含む領域であればよく、その領域の範囲は適宜設定してよい。また、かご床1は、格子領域1cの代わりに他の形状に分割された領域を有してもよい。
【0049】
なお、検出部4は、最終乗客12の位置を検出する装置であれば、圧力検出装置に限定されない。例えば、かご内又は乗場に設けられたカメラによって最終乗客12の位置を検出する構成としてもよい。
【0050】
なお、表示部5は、最終乗客12が視認可能な第1表示を表示する装置であれば、点灯装置に限定されない。例えば、かごの天井、かご壁3又は乗場に設けられ、かご床1に投影可能なプロジェクターを用いてもよい。また、第1表示として、文字又はイラストによりかご内の総荷重が第1設定値T1より大きいことを示してもよい。
【0051】
また、表示部5は、かご床1の上面1aでなく、かご壁3の高さ方向において、かご壁の中心より下部に表示してもよい。かご壁3の下部とは、例えば、かご床1の上面1aから1m以下の領域付近に距離にあるかご壁3の一部である。このように乗車済み乗客11の目線よりも低い位置に第1表示を表示すると、乗車済み乗客11は第1表示を視認しづらく、かつ、かご出入口2からかごに乗り込む最終乗客12は第1表示を視認しやすくなる。
【0052】
なお、検出部4が検出した最終乗客12の位置の近傍領域の範囲は適宜設定できる。例えば
図6に示すように近傍領域を設定してもよい。
図6は、実施の形態1におけるエレベータの乗車案内装置の変形例であり、エレベータのかご床1における乗客の乗車位置を示す図である。
図6において、乗車済み乗客11及び最終乗客12は、
図5と同じ人数、同じ状態であるが、最終乗客12の位置及びその近傍領域を含む領域13が16個のブロック領域1dである点で上述の説明と異なる。このように、領域13が最終乗客12の足が接していないブロック領域1dを含む場合にあっては、領域13が最終乗客12の足の少なくとも一部が接しているブロック領域1dのみを含む場合と比較して、より広範囲に第1表示が表示される。そのため、最終乗客12がかごに乗り込むことによりかご内の総荷重がかごの最大積載荷重より大きくなった場合に、最終乗客12が乗車済み乗客11から注目されることを抑制することができ、かつ、最終乗客12が第1表示を視認しやすくなる。
【0053】
なお、最終乗客12の位置の近傍領域とは、例えば最終乗客12の足がかご床1の上面1aに接する位置から10cm以内の領域としてもよい。また、最終乗客12の位置の近傍領域は、最終乗客12の位置と連続していなくてもよい。
【0054】
なお、表示制御部8aが、検出部4が検出した最終乗客12の位置及びその近傍領域を含む領域13に表示部5が第1表示を表示するように表示部5を制御する例について説明したが、表示制御部8aは、検出部4が検出した最終乗客12の位置の近傍領域のみに表示部5が第1表示を表示するように表示部5を制御してもよい。つまり、表示部5は最終乗客12の位置に第1表示を表示せず、最終乗客12の位置の近傍領域のみに第1表示を表示してもよい。例えば、表示部5は、最終乗客12の足が接しているブロック領域1dには第1表示を表示せず、最終乗客12の足が接していないブロック領域1dに第1表示を表示してもよい。この場合、最終乗客12の足が接していないブロック領域1dが最終乗客12の位置の近傍領域となる。
【0055】
なお、戸開閉検出部20、戸開閉制御部21、荷重算出部7及び表示制御部8aの機能は、エレベータの制御盤10aによって実現されるとしたが、これに限定されない。たとえば、エレベータの制御盤10aとは異なるコンピュータを別途接続したり、エレベータ制御サーバを用いたりして、これらの機能を実現してもよい。
【0056】
実施の形態2.
実施の形態2におけるエレベータの乗車案内装置100bの構成を説明する。
図7は実施の形態2におけるエレベータの乗車案内装置100bの構成を示す構成図である。なお、実施の形態1と同一の構成には同一符号を付してその説明を省略する。
【0057】
実施の形態2におけるエレベータの乗車案内装置100bは、制御盤10bで機能が実現される表示制御部8bの動作が実施の形態1におけるエレベータの乗車案内装置100aと異なる。
【0058】
表示制御部8bは、表示制御部8aの動作に加えて、荷重測定部30が測定したかご内の総荷重が第1設定値T1以下である場合、第2設定値T2より大きいか否かを判定する。ここで、第2設定値T2は、第1設定値T1より小さい値が設定され、最大積載荷重よりも乗客数人分程度小さい値を設定することが望ましい。すなわち、第2設定値T2は、第1設定値T1以下かつかごの最大積載荷重から所定の乗客人数の重さを減じた値とすることが望ましい。以下では、第2設定値T2は、第1設定値T1以下かつかごの最大積載荷重から一人の乗客の体重を減じた値として説明する。なお、乗客一人あたりの体重は、法令、規格で規定された値を用いてもよい。第2設定値T2の値を設定するにあたり、何人の人数の乗客の体重を減ずるかについては、かごの大きさや、乗車人数の利用実態に基づいて適宜決定されてもよい。
【0059】
かご内の総荷重が第1設定値T1以下かつ第2設定値T2より大きい場合、表示制御部8bは、検出部4が最終乗客12の位置を検出したか否かを判定する。検出部4が最終乗客12の位置を検出した場合は、表示制御部8bは、検出部4が検出した最終乗客12の位置及びその近傍領域を含む領域13に、表示部5が第2表示を表示するように表示部5を制御する。
【0060】
すなわち、表示制御部8bは、荷重測定部30が測定した総荷重が第1設定値T1以下かつ第2設定値T2より大きい場合、検出部4が検出した最終乗客12の位置及びその近傍領域を含む領域13に表示部5が第2表示を表示するように表示部5を制御する。
【0061】
ここで、第2表示とは、総荷重が第1設定値に達するまでの残余荷重が、所定の乗客人数の重さ未満であることを示す表示であるといえる。言い換えると、かごの最大積載荷重に近づいていることを示す表示であるといえる。よって、第1表示を表示させる場合と比較して、第2表示を表示させる場合は最終乗客12に対して注意を喚起する優先度は下がるが、視覚的に鮮明な表示をすることが望ましい。例えば、表示部5が点灯装置であり、第1表示が赤色の光を点滅させる場合、第2表示では黄色の光を点灯させてもよい。なお、残余荷重とは、第1設定値から荷重測定部30が測定した総荷重を減じた値であり、現在の総荷重から最大積載荷重までに積載可能な荷重を示す。
【0062】
なお、検出部4が最終乗客12の位置を検出しなかった場合は、表示制御部8bは表示部5を制御しない。また、かご内の総荷重が第2設定値T2以下である場合は、表示制御部8bは表示部5を制御しない。
【0063】
次に、実施の形態2におけるエレベータの乗車案内装置100bの動作を説明する。
図8は、実施の形態2におけるエレベータの乗車案内装置100bの動作を示すフローチャートである。
図8(a)はフローチャートの全体図であり、
図8(b)はS20の詳細を示した図である。なお、実施の形態1におけるエレベータの乗車案内装置100aと同様のステップの説明は省略する。また、第2表示は黄色に点灯する表示である。なお、最終乗客12の位置及び最終乗客12の位置の近傍領域は連続しており、六個のブロック領域1dに跨る領域13であるとする。
【0064】
ステップS3において、表示制御部8bは、荷重測定部30が測定したかご内の総荷重が第1設定値T1より大きいか否かを判定する。表示制御部8bが、荷重測定部30が測定したかご内の総荷重が第1設定値T1より大きいと判定した場合は、処理をステップS10へ進め、荷重測定部30が測定したかご内の総荷重が第1設定値T1より大きくない、つまりかご内の総荷重が第1設定値T1以下であると判定した場合は、処理をステップS21へ進める。ステップS10では、表示制御部8bは、第1表示の表示制御を行う。ステップS21では、表示制御部8bは、荷重測定部30が測定したかご内の総荷重が第2設定値T2より大きいか否かを判定する。表示制御部8bがかご内の総荷重が第2設定値T2より大きいと判定した場合は、処理をステップS20へ進める。表示制御部8bがかご内の総荷重が第2設定値T2より大きくない、つまりかご内の総荷重が第2設定値T2以下であると判定した場合は、処理をステップS4へ進める。
【0065】
ここで、第2表示の表示制御(S20)について説明する。ステップS20は、表示制御部8bが表示部5を第2表示で表示するように制御する処理であって、ステップS22からステップS25の4つのステップから構成される。ステップS22において、表示制御部8bは、検出部4が最終乗客12の位置を検出したか否かを判定する。表示制御部8bが、検出部4から圧力を検出したことを示す信号を受信した場合、検出部4が最終乗客12の位置を検出したと判定し、処理をステップS23へ進める。表示制御部8bが、検出部4から圧力を検出したことを示す信号を受信しない場合、検出部4が最終乗客12の位置を検出していないと判定し、処理をステップS2へ進める。
【0066】
ステップS23において、表示制御部8bは、検出部4が検出した最終乗客12の位置及びその近傍領域を含む領域13に表示部5が第2表示を表示するように表示部5を制御する。このように制御することにより、表示部5が第2表示を表示する。領域13は表示部5が発する光を透過するため、第2表示がかご床1のブロック領域1dの上面1aに表示され、最終乗客12は第2表示を視認することができる。
【0067】
ステップS23について、具体例を挙げて説明する。
図9は、実施の形態2におけるエレベータのかご床1における乗客の乗車位置を示す図である。かごには、最終乗客12が一人、最終乗客12より前にかごに乗車した乗車済み乗客11が4人乗車している。ここで、最終乗客12の左足は六個のブロック領域1dそれぞれに対して少なくとも一部に接している。この六個のブロック領域1dが領域13に対応する。
【0068】
図9における状態では、最終乗客12が右足を領域13に乗せたときにかご内の総荷重は第1設定値T1以下かつ第2設定値T2より大きく、かつ、検出部4が最終乗客12の位置を検出している状態であるとする。このような場合、表示制御部8bは、検出部4が圧力を検出した最終乗客12の位置及びその近傍領域を含む領域13に対応する表示部5が第2表示を表示するように、表示部5を制御する。具体的には、表示部5が第2表示である黄色の光の点灯を表示する。領域13は表示部5が発する光を透過するため、第2表示がかご床1のブロック領域1dの上面1aに表示され、最終乗客12は黄色の光の点灯を視認することができる。なお、実施の形態1と同様に、検出部4によって各乗客は識別されるため、以後、格子領域1cのうち最終乗客12の足元が少なくとも一部に接しているブロック領域1dは、表示制御部8bによって表示部5が第2表示を表示するように制御される。また、格子領域1cのうち乗車済み乗客11の足元が少なくとも一部に接しているブロック領域1dは、表示制御部8bによって表示部5が第2表示を表示するように制御されない。
【0069】
図8に戻りエレベータの乗車案内装置100bの動作について説明を続ける。ステップS24において、表示制御部8bは、荷重測定部30が測定したかご内の総荷重が第2設定値T2より大きいか否かを判定する。表示制御部8bがかご内の総荷重が第2設定値T2より大きいと判定した場合は、ステップS23に進む。表示制御部8bがかご内の総荷重が第2設定値T2より大きくない、つまりかご内の総荷重が第2設定値T2以下であると判定した場合は、処理をステップS25へ進める。
【0070】
ステップS25において、表示制御部8bは、表示部5に第2表示の表示を停止させる。そして、処理をステップS2へ進める。以後の処理は、実施の形態1におけるエレベータの乗車案内装置100aの動作と同様である。
【0071】
ここで、ステップS20において表示制御部8bが表示部5を第2表示で表示制御し、処理をステップS2に進めた後、ステップS10において表示制御部8bが表示部5を第1表示で表示制御した場合について、具体例を挙げて説明する。
図10は、
図9の後のエレベータのかご床1における乗客の乗車位置を示す図であり、
図11は、
図10の後のエレベータのかご床1における乗客の乗車位置を示す図である。
【0072】
図10において、かごには乗車済み乗客11が5人乗車している。ここで、乗車済み乗客11のうちの一人は
図9における最終乗客12であり、
図9の状態からかご内を移動し、
図10では紙面右下に位置している。すなわち、
図10における紙面右下に位置する乗客14aは、
図9における最終乗客12と同一の人物である。乗客14aがかごに乗った
図9の時点では、かご内の総荷重が第1設定値T1以下かつ第2設定値T2より大きい状態であったため、
図10において、乗客14aは移動をしても乗客14aの位置及びその近傍領域を含む領域13aは第2表示で表示されている。また、
図10において、紙面左下に、新たにかごに乗り込む乗客、すなわち
図10における最終乗客12である乗客14bが存在している。
【0073】
図11において、乗客14aは
図10の状態から動いておらず、乗客14bは右足をかご床1の上面1aの四個のブロック領域1dに乗せている。ここで、乗客14bがかごに乗った時点では、かご内の総荷重が第1設定値T1より大きい状態であるとすると、乗客14bの位置及びその近傍領域を含む領域13bは第1表示で表示される。ここで、
図11においても、
図10と同様に、乗客14aの位置及びその近傍領域を含む領域13aは第2表示で表示されている。このように、ステップS20の処理を行った後、ステップS10の処理を行うと、第一表示及び第二表示がともに表示されることがある。
【0074】
以上より、実施の形態2におけるエレベータの乗車案内装置100bは、表示部5は、総荷重が第1設定値T1に達するまでの残余荷重が、所定の乗客人数の重さ未満であることを示す第2表示を表示し、表示制御部8bは、荷重測定部30が測定した総荷重が第1設定値T1以下かつかごの最大積載荷重から所定の人数の乗客の体重を減じた第2設定値T2より大きい場合、検出部4が検出した最終乗客12の位置の近傍領域に表示部5が第2表示を表示するように表示部5を制御する。このよう制御されることで、最終乗客12は、見送って次に乗るか、乗れるかどうかとりあえず試してみるか、判断することができる。また、第1表示及び第2表示がともに表示されていない時は、最終乗客12は重量に十分余裕があると判断でき、重量超過の不安を感じず乗り込みすることができる。
【0075】
なお、エレベータの乗車案内装置100bの動作において、第1表示と第2表示が同時に表示される場合があるとしたが、第1表示と第2表示が同時に表示される状態では、第2表示の表示を消して、第1表示のみを表示する構成としてもよい。
【0076】
実施の形態3.
実施の形態3におけるエレベータの乗車案内装置100cの構成を説明する。
図12は実施の形態3におけるエレベータの乗車案内装置100cの構成を示す構成図である。なお、実施の形態2と同一の構成には同一符号を付してその説明を省略する。
【0077】
実施の形態3におけるエレベータの乗車案内装置100cは、制御盤10cで機能が実現される表示制御部8cの動作が実施の形態2におけるエレベータの乗車案内装置100bと異なる。
【0078】
表示制御部8cは、表示制御部8bの動作に加えて、荷重測定部30が測定したかご内の総荷重が第1設定値T1以下である場合、かご内の総荷重が第2設定値T2より大きいか否かを判定する。かご内の総荷重が第2設定値T2より大きくない、つまりかご内の総荷重が第2設定値T2以下である場合、表示制御部8cは、検出部4が最終乗客12の位置を検出したか否かを判定する。検出部4が最終乗客12の位置を検出した場合は、表示制御部8cは、検出部4が検出した最終乗客12の位置及びその近傍領域を含む領域13に、表示部5が第3表示を表示するように表示部5を制御する。
【0079】
すなわち、表示制御部8cは、荷重測定部30が測定した総荷重が第2設定値T2以下である場合、検出部4が検出した最終乗客12の位置及びその近傍領域を含む領域13に表示部5が第3表示を表示するように表示部5を制御する。なお、検出部4が最終乗客12の位置を検出しなかった場合は、表示制御部8cは表示部5を制御しない。
【0080】
ここで、第3表示は、総荷重が第1設定値T1に達するまでの残余荷重が、所定の乗客人数の重さ以上であることを示す表示であるといえる。言い換えると、第3表示は、かごの最大積載荷重まで余裕があることを示す表示であるといえる。よって、第1表示又は第2表示を表示させる場合と比較して、第3表示を表示させる場合は最終乗客12に対して注意を喚起する優先度は下がるが、視覚的に鮮明な表示をすることが望ましい。例えば、表示部5が点灯装置であり、第1表示が赤色の光を点滅させる場合、第3表示では緑色の光を点灯させてもよい。
【0081】
次に、実施の形態3におけるエレベータの乗車案内装置100cの動作を説明する。
図13は、実施の形態3におけるエレベータの乗車案内装置100cの動作を示すフローチャートである。
図13(a)はフローチャートの全体図であり、
図13(b)はS30の詳細を示した図である。なお、実施の形態2におけるエレベータの乗車案内装置100bと同様のステップの説明は省略する。また、第3表示は緑色に点灯する表示である。なお、最終乗客12の位置及び最終乗客12の位置の近傍領域は連続しており、七個のブロック領域1dに跨る領域13であるとする。
【0082】
ステップS21において、表示制御部8cが、荷重測定部30が測定したかご内の総荷重が第2設定値T2以下と判定した場合は、処理をステップS30へ進める。
【0083】
ここで、第3表示の表示制御(S30)について説明する。ステップS30は、表示制御部8cが表示部5を第3表示で表示するように制御する処理であって、ステップS31からステップS32の2つのステップから構成される。ステップS31において、表示制御部8cは、検出部4が最終乗客12の位置を検出したか否かを判定する。表示制御部8cが、検出部4から圧力を検出したことを示す信号を受信した場合、検出部4が最終乗客12の位置を検出したと判定し、処理をステップS32へ進める。表示制御部8cが、検出部4から圧力を検出したことを示す信号を受信しない場合、検出部4が最終乗客12の位置を検出していないと判定し、処理をステップS4へ進める。
【0084】
ステップS32において、表示制御部8cは、検出部4が検出した最終乗客12の位置及びその近傍領域を含む領域13に表示部5が第3表示を表示するように表示部5を制御する。このように制御することにより、表示部5が第3表示を表示する。領域13は表示部5が発する光を透過するため、第1表示がかご床1のブロック領域1dの上面1aに表示され、最終乗客12は第3表示を視認することができる。ステップS32の後、処理をステップS4へ進める。
【0085】
ステップS32について、具体例を挙げて説明する。
図14は、実施の形態3におけるエレベータのかご床1における乗客の乗車位置を示す図である。かごには、最終乗客12が一人、最終乗客12より前にかごに乗車した乗車済み乗客11が3人乗車している。ここで、最終乗客12の左足は七個のブロック領域1dそれぞれに対して少なくとも一部に接している。この七個のブロック領域1dが領域13に対応する。
【0086】
図14における状態では、最終乗客12が右足を領域13に乗せたときにかご内の総荷重は第2設定値T2以下であり、かつ、検出部4が最終乗客12の位置を検出している状態であるとする。このような場合、表示制御部8cは、検出部4が圧力を検出した最終乗客12の位置及びその近傍領域を含む領域13に対応する表示部5が第3表示を表示するように、表示部5を制御する。具体的には、表示部5が第3表示である緑色の光の点灯を表示する。領域13は表示部5が発する光を透過するため、第2表示がかご床1のブロック領域1dの上面1aに表示され、最終乗客12は緑色の光の点灯を視認することができる。なお、実施の形態2と同様に、検出部4によって各乗客は識別されるため、以後、格子領域1cのうち最終乗客12の足元が少なくとも一部に接しているブロック領域1dは、表示制御部8cによって表示部5が第3表示を表示するように制御される。また、格子領域1cのうち乗車済み乗客11の足元が少なくとも一部に接しているブロック領域1dは、表示制御部8cによって表示部5が第3表示を表示するように制御されない。
【0087】
図13に戻り、ステップS4において、戸開閉制御部21は、戸開閉検出部20が送信する戸閉信号に基づいてかごの戸が閉まっている状態かを判定する。戸開閉制御部21は、戸開閉検出部20から戸閉信号を受信したとき、かごの戸が閉まっている状態であると判定し、処理をステップS33に進める。戸開閉制御部21は、戸開閉検出部20から戸閉信号を受信しないとき、かごの戸が閉まっている状態ではないと判定し、処理をステップS2へ進める。
【0088】
ステップS33において、表示制御部8cは表示部5に第3表示の表示を停止させる。そして、処理を終了する。
【0089】
以上より、実施の形態3におけるエレベータの乗車案内装置100cにおいて、第3表示は、総荷重が第1設定値T1に達するまでの残余荷重が、所定の乗客人数の重さ以上であることを示し、表示制御部8c、総荷重が第2設定値T2以下である場合、検出部4が検出した最終乗客12の位置の近傍領域に表示部5が第3表示を表示するように表示部5を制御する。このように、最終乗客12の位置の近傍領域を含む領域13に第3表示が表示されると、最終乗客12は第3表示を視認しやすく、最終乗客12はかご内の総荷重がかごの最大積載荷重まで余裕があることを認識しやすくなり、最終乗客12は、重量超過の不安を感じずに迅速にかごに乗り込むことができる。
【0090】
なお、ステップS4において、かごの戸が閉まっている状態であると判定した場合処理をステップS33に進み、表示制御部8cは表示部5に第3表示の表示を停止させるとしたが、かごの戸が閉まる直前に表示制御部8cが表示部5に第3表示の表示を停止させる構成としてもよい。
【0091】
上記の実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものである。実施の形態は、別の公知の技術と組み合わせることが可能である。本開示の要旨を逸脱しない範囲で、実施の形態の構成の一部を省略または変更することが可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 かご床、1a 上面、1b 下面、1c 格子領域、1d ブロック領域、2 かご出入口、3 かご壁、4 検出部、5 表示部、6 荷重検出センサ、7 荷重算出部、8a、8b、8c 表示制御部、10a、10b、10c 制御盤、11 乗車済み乗客、12 最終乗客、13、13a、13b 領域、14a 乗客、14b 乗客、20 戸開閉検出部、21 戸開閉制御部、30 荷重測定部、40 バス、41 プロセッサ、42 メモリ、43 インタフェース、44 二次記憶装置、100a、100b、100c 乗車案内装置
【要約】
【課題】乗客がかごに乗り込むことによりかご内の総荷重がかごの最大積載荷重より大きくなった場合に、当該乗客が当該乗客よりも前にかごに乗車した他の乗客から注目されることを抑制する。
【解決手段】かご内の総荷重を測定する荷重測定部30と、かご内の乗客のうちかごに最後に乗り込んだ最終乗客12の位置を検出する検出部4と、荷重測定部30が測定した総荷重が、かごの最大積載荷重である第1設定値T1より大きいことを示す第1表示を表示する表示部5と、荷重測定部30が測定した総荷重が第1設定値T1より大きい場合、検出部4が検出した最終乗客12の位置の近傍領域に表示部5が第1表示を表示するように表示部5を制御する表示制御部8aと、を備える。
【選択図】
図4