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▶ 辻村 司の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】装飾具、一対の装飾具及び装飾具付帽子
(51)【国際特許分類】
   A42B 1/004 20210101AFI20250701BHJP
   A42C 5/00 20060101ALI20250701BHJP
【FI】
A42B1/004
A42C5/00 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2025077018
(22)【出願日】2025-05-03
【審査請求日】2025-05-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項の規定の適用、令和7年3月25日、ウェブサイトアドレスhttps://www.amazon.co.jp/dp/B0F2F3SW6Hで発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項の規定の適用、令和7年4月2日、ウェブサイトアドレスhttps://item.rakuten.co.jp/r-s-radiant/515/で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項の規定の適用、令和7年2月26日、ウェブサイトアドレスhttps://jp.mercari.com/item/m37652117247で発表
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】525172781
【氏名又は名称】辻村 司
(74)【代理人】
【識別番号】100177231
【弁理士】
【氏名又は名称】鴨志田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】辻村 司
【審査官】岡澤 洋
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第218527831(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0046052(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0350289(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0259348(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 1/004
A42C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウンに複数のアイレットが形成されている帽子に着脱可能な装飾具において、
(A)前記クラウンの外面に配置される本体であって、(A1)綿状体、(A2)開口を有し前記綿状体を収容して立体を成す収容袋、(A3)中央を貫通する雌ねじを有し、前記収容袋の内部に配置されて前記開口を封止する封止板、及び、(A4)中央を貫通する孔を有し、前記封止板よりも可撓性であり、前記封止板の外面に重ねられて、自身の外周側の全周縁部分と前記封止板とで前記収容袋の開口側端部を挟む外板を含む本体と、
(B)前記外面に前記本体を固定させる固定具であって、(B1)前記複数のアイレットのうちの1つを貫通して前記雌ねじに締められる雄ねじ、及び、(B2)中央で前記雄ねじの頭部に取り付けられている取付板を含む固定具と、
を備える、
装飾具。
【請求項2】
前記取付板は、その厚み方向から見て円板状又は多角形状に形成されており、前記外面に前記本体を固定させる際に、前記雄ねじを軸周りに回転させるハンドルとしての機能を有する、
請求項1に記載の装飾具。
【請求項3】
前記取付板は、前記雄ねじが前記雌ねじに締められて前記外面に前記本体を固定させている状態で前記取付板の厚み方向から見ると、(1)前記外板からはみ出さずに配置されており、かつ、(2)前記収容袋の開口側端部に重なっている、
請求項2に記載の装飾具。
【請求項4】
前記外板における前記外面に向く面には、その周方向に沿う凹凸面が形成されている、
請求項1に記載の装飾具。
【請求項5】
前記本体は、前記雌ねじの中心軸に対して非対称に形成されている、
請求項1に記載の装飾具。
【請求項6】
クラウンに複数のアイレットが形成されている帽子に着脱可能な装飾具において、
(A)前記クラウンの外面に配置される本体であって、(A1)綿状体、(A2)開口を有し前記綿状体を収容して立体を成す収容袋、(A3)中央に第1孔及び当該第1孔内に配置される永久磁石を有し、前記収容袋の内部に配置されて前記開口を封止する封止板、及び、(A4)中央を貫通する第2孔を有し、前記封止板よりも可撓性であり、前記封止板の外面に重ねられて、自身の外周側の全周縁部分と前記封止板とで前記収容袋の開口側端部を挟む外板を含む本体と、
(B)前記外面に前記本体を固定させる固定具であって、(B1)前記複数のアイレットのうちの1つを貫通して前記第1孔に挿入される磁性ピン、及び、(B2)中央で前記磁性ピンに取り付けられている取付板を含む固定具と、
を備える、
装飾具。
【請求項7】
クラウンに複数のアイレットが形成されている帽子に着脱可能な一対の装飾具において、
前記一対の装飾具のそれぞれは、請求項1~6のいずれか一項に記載の装飾具であり、
前記一対の装飾具のそれぞれは、帽子に対して左右対称となる一対のアイレットの位置のそれぞれに前記雄ねじが貫通して着脱可能に取り付けられる、
一対の装飾具。
【請求項8】
請求項7に記載の一対の装飾具と、
クラウンに複数のアイレットが形成されている帽子であって、前記一対の装飾具が取り付けられている帽子と、
を備える、
装飾具付帽子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾具、一対の装飾具及び装飾具付帽子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、その明細書段落「0018」、図4及び5に示されるように、上方の左右に少し離間した位置に、動物(ここでは熊)の耳を表す白色の装飾部6が設けられた帽体(帽子)に関する考案が開示されている。
特許文献1に開示されている帽子は、クラウンがアイレット(貫通孔)を有するものではない。そのため、帽子のクラウンに縫い合わせる、接着する等の実質的に着脱不可能な方法で、白色の装飾部6を帽子に設けていると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3209248号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、白色の装飾部6は帽子に着脱可能な構成となっていない。
【0005】
本発明は、帽子に着脱可能としたうえで、帽子に対し本体が回転し難くかつクラウンの形状を維持し易い装飾具の提供を目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様の装飾具は、
クラウンに複数のアイレットが形成されている帽子に着脱可能な装飾具において、
(A)前記クラウンの外面に配置される本体であって、(A1)綿状体、(A2)開口を有し前記綿状体を収容して立体を成す収容袋、(A3)中央を貫通する雌ねじを有し、前記収容袋の内部に配置されて前記開口を封止する封止板、及び、(A4)中央を貫通する孔を有し、前記封止板よりも可撓性であり、前記封止板の外面に重ねられて、自身の外周側の全周縁部分と前記封止板とで前記収容袋の開口側端部を挟む外板を含む本体と、
(B)前記外面に前記本体を固定させる固定具であって、(B1)前記複数のアイレットのうちの1つを貫通して前記雌ねじに締められる雄ねじ、及び、(B2)中央で前記雄ねじの頭部に取り付けられている取付板を含む固定具と、
を備える。
【0007】
第2態様の装飾具は、
第1態様の装飾具において、
前記取付板は、その厚み方向から見て円板状又は多角形状に形成されており、前記外面に前記本体を固定させる際に、前記雄ねじを軸周りに回転させるハンドルとしての機能を有する。
【0008】
第3態様の装飾具は、
第1態様又は第2態様の装飾具において、
前記取付板は、前記雄ねじが前記雌ねじに締められて前記外面に前記本体を固定させている状態で前記取付板の厚み方向から見ると、(1)前記外板からはみ出さずに配置されており、かつ、(2)前記収容袋の開口側端部に重なっている。
【0009】
第4態様の装飾具は、
第1~第3態様のいずれか一態様の装飾具において、
前記外板における前記外面に向く面には、その周方向に沿う凹凸面が形成されている。
【0010】
第5態様の装飾具は、
第1~第4態様のいずれか一態様の装飾具において、
前記本体は、前記雌ねじの中心軸に対して非対称に形成されている。
【0011】
第6態様の装飾具は、
クラウンに複数のアイレットが形成されている帽子に着脱可能な装飾具において、
(A)前記クラウンの外面に配置される本体であって、(A1)綿状体、(A2)開口を有し前記綿状体を収容して立体を成す収容袋、(A3)中央に第1孔及び当該第1孔内に配置される永久磁石を有し、前記収容袋の内部に配置されて前記開口を封止する封止板、及び、(A4)中央を貫通する第2孔を有し、前記封止板よりも可撓性であり、前記封止板の外面に重ねられて、自身の外周側の全周縁部分と前記封止板とで前記収容袋の開口側端部を挟む外板を含む本体と、
(B)前記外面に前記本体を固定させる固定具であって、(B1)前記複数のアイレットのうちの1つを貫通して前記第1孔に挿入される磁性ピン、及び、(B2)中央で前記磁性ピンに取り付けられている取付板を含む固定具と、
を備える。
【0012】
一態様の一対の装飾具は、
クラウンに複数のアイレットが形成されている帽子に着脱可能な一対の装飾具において、
前記一対の装飾具のそれぞれは、第1~第6態様のいずれか一態様の装飾具であり、
前記一対の装飾具のそれぞれは、帽子に対して左右対称となる一対のアイレットの位置のそれぞれに前記雄ねじが貫通して着脱可能に取り付けられる。
【0013】
一態様の装飾具付帽子は、
一態様の一対の装飾具と、
クラウンに複数のアイレットが形成されている帽子であって、前記一対の装飾具が取り付けられている帽子と、
を備える。
【発明の効果】
【0014】
第1、第5及び第6態様の装飾具並びに一態様の一対の装飾具は、帽子に着脱可能としたうえで、クラウンに対し本体が回転し難くかつクラウンの形状を維持し易い。
【0015】
第2態様の装飾具は、クラウンに本体が固定される際に、雄ねじをねじ締めし易い。
【0016】
第3態様の装飾具は、クラウンに本体が固定された状態で、本体におけるクラウンの付け根部分の美観性に優れる。
【0017】
第4態様の装飾具は、外板におけるクラウンの外面に向く面(クラウンとの接触面)が平坦である場合に比べて、クラウンに本体が固定された状態で、本体が雄ねじの軸周りに回転し難い。
【0018】
一態様の装飾具付帽子は、帽子に着脱可能としたうえで、クラウンに対し各本体が回転し難くかつクラウンの形状を維持し易い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態(以下、本実施形態という。)の装飾具付帽子の正面図(正面側から見た写真)である。
図2】本実施形態の装飾具の斜視図(正面側から見た写真)である。
図3】本実施形態の装飾具を構成する本体の斜視図(基部側から見た写真)である。
図4】本実施形態の装飾具付帽子の部分断面図である。
図5】本実施形態の装飾具のセット方法を説明するための図(写真)である。
図6】変形例1の装飾具を構成する本体の斜視図(基部側から見た写真)である。
図7】変形例2の装飾具付帽子の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
≪概要≫
以下、本実施形態及び複数の変形例について説明する。複数の変形例における、本実施形態の構成要素と同一又は類似の機能を有する構成要素を説明する場合、本実施形態の構成要素と同様の符号を付し適宜説明を省略する又は援用する点に留意されたい。
【0021】
≪本実施形態≫
以下、本実施形態の装飾具付帽子10(図1参照)の機能及び構成、一対の装飾具30Aのセット方法並びに効果について説明する。
【0022】
<装飾具付帽子の機能及び構成>
図1は、本実施形態の装飾具付帽子10の正面図(正面側から見た写真)である。本実施形態の装飾具付帽子10は、一例として、帽子20と、一対の装飾具30Aとを備えている。本実施形態の装飾具付帽子10は、市場に流通している一般的な帽子20に、一例として動物の一対の角をモチーフとした一対の装飾具30Aを取り付けたものである。
【0023】
〔帽子〕
帽子20は、一例として、複数のパネルで構成されるクラウン22を有し、かつ、各パネルにアイレット24が形成されたものである。各アイレット24は、通気孔としての機能を有する。図1の例では、クラウン22を構成する複数のパネルの数量は6枚である。
【0024】
〔一対の装飾具又は装飾具〕
一対の装飾具30Aは、図1に示されるように、装飾具30ARと、装飾具30ALとを有する。装飾具30ARは、装飾具付帽子10を正面側から見てクラウン22の右側に取り付けられている。装飾具30ALは、装飾具付帽子10を正面側から見てクラウン22の左側に取り付けられている。ここで、装飾具30ARと、装飾具30ALとは、取付位置及び取付姿勢が相違するが、それぞれ単体での構成は同等である。
【0025】
図2は装飾具30ARの斜視図(正面側から見た写真)であり、図3は装飾具30ARを構成する本体の斜視図(基部側から見た写真)であり、図4は装飾具付帽子10の部分断面図である。
装飾具30ARは、装飾具本体40(本体の一例)と、固定具50とを備え、帽子20に着脱可能である。
装飾具本体40は、図1及び図4に示されるように、帽子20のクラウン22の外面に配置され、固定具50により当該外面に固定されることで、帽子20に取り付けられる。
以下、装飾具30ARの具体的な構成について説明するが、その記載内容は装飾具30ALにも援用される点に留意されたい。
【0026】
(装飾具本体)
装飾具本体40(及び一対の装飾具本体40、40)は、図1に示されるとおり、帽子20のクラウン22の外面に配置されることで、帽子20を装飾する機能を有する。本実施形態では、一例として、動物の一対の角をモチーフとする装飾である。
装飾具本体40は、図4に示されるように、綿状体42と、収容袋44と、封止板46と、外板48とを含んでいる。
綿状体42は、綿状で塊の状態で変形可能な部材である。図4では、収容袋44と封止板46とで囲まれた領域に、圧縮された綿状体42が収容されている。
収容袋44は、一例として、布製で、内部に綿状体42を収容すると偏心した円錐形状の立体を成す(図1、2及び4参照)。収容袋44は、その内部に綿状体42が収容される場合に綿状体42を通過させるための開口OPを有している。
封止板46は、一例として、ポリカーボネート等の樹脂製の円板であり、その中央を貫通する雌ねじ461を有している。封止板46は、図4に示されるように、収容袋44の内部に配置されて収容袋44の開口OPを封止している。
外板48は、図3に示されるように、一例として、繊維(フェルト)製の円板である。また、外板48は、図4に示されるように、その中央に後述する雄ねじ52の軸521を貫通させる貫通孔48TH(孔の一例)を有する。貫通孔48THの径は、一例として、雌ねじ461の最大径よりも大きい(ことが好ましい)。外板48は、封止板46よりも可撓性を有する。外板48は、封止板46の外面に重ねられて、自身の外周側の全周縁部分と封止板46とで収容袋44の開口側端部OEを挟んでいる。そのため、外板48の中央部分(開口側端部OE以外の部分)と封止板46の中央部分とは、対向しつつ外板48が封止板46の側に撓まない限りは互いに隙間を形成している。
以上が、装飾具本体40についての要素毎の説明である。ここで、全体的視点で補足すると、装飾具本体40は、図4に示されるように、雌ねじ461の中心軸CAに対して非対称に形成されている。また、収容袋44の開口側端部OEは、図4に示されるように、折り曲げられて二重となっている。
【0027】
(固定具)
固定具50は、帽子20のクラウン22の外面に装飾具本体40を固定させる機能を有する。固定具50は、図4に示されるように、雄ねじ52と、取付板54とを有する。
取付板54は、一例として、ポリカーボネート等の樹脂製の円板であり、その中央に雄ねじ52の頭522及び軸521の根元側部分を嵌め込む孔を有している。そして、取付板54は、当該孔に頭522及び軸521の一部を嵌め込んで板厚方向の一端側に雄ねじ52を突出させている。
雄ねじ52の締めつけ先は、図4に示されるように、封止板46の雌ねじ461である。雄ねじ52がアイレット24を貫通して(かつクラウン22を挟んで)雌ねじ461に締められると、固定具50が帽子20のクラウン22の外面に装飾具本体40を固定させる。
ここで、取付板54の直径は、封止板46及び外板48の直径とほぼ同等又は封止板46及び外板48の直径よりも若干小さく設定されている。また、取付板54は、雄ねじ52が雌ねじ461に締められてクラウン22の外面に装飾具本体40を固定させている状態で取付板54の厚み方向から見ると、外板48からはみ出さずに配置されており、かつ、収容袋44の開口側端部OEに重なっている。
【0028】
以上が、装飾具付帽子10の機能及び構成についての説明である。
【0029】
<セット方法>
次に、一対の装飾具30Aのセット方法について説明する。
まず、ユーザーは、帽子20のクラウン22の内面の右側面のアイレット24に、固定具50の雄ねじ52の軸521の先端を差し込む。その結果、図5に示されるように、クラウン22の外面からアイレット24を貫通して軸521がはみ出す。
次いで、ユーザーは、例えば、左手で固定具50の取付板54及び帽子20を持ったまま、右手に装飾具本体40を持って、軸521の先端を外板48の貫通孔48THに挿入する。その後、取付板54及び装飾具本体40のいずれか一方を他方に対して数回転させて、雄ねじ52と雌ねじ461とを仮締めする。
次いで、ユーザーは、クラウン22に対し装飾具本体40を定められた姿勢(一例として図1参照)にした状態で装飾具本体40の基部(封止板46の辺り)を右手で摘まみつつ、左手で取付板54の周面を摘まんで(雄ねじ52を軸周りに回転させるハンドルとして機能させて)雄ねじ52がねじ締めされるまで取付板54を回転させる。
以上の動作を、装飾具30AR及び装飾具30ALに対して実施し、一対の装飾具30Aのそれぞれ(装飾具30AR及び装飾具30ALが、帽子20に対して左右対称となる一対のアイレット24の位置のそれぞれに雄ねじ52が貫通して着脱可能に取り付けられると、図1に示される装飾具付帽子10のセットが完了する。
【0030】
以上が、一対の装飾具30Aのセット方法についての説明である。
【0031】
<効果>
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0032】
〔第1の効果〕
本実施形態の装飾具30AR(及び装飾具30AL)は、図4に示されるような構成を有する。そして、セット時に、外板48の中央部分はクラウン22に押されて封止板46側に突出する一方で、外板48の外周側の全周縁部分は、封止板46と取付板54とに加圧される。そのため、装飾具30ARが帽子20に取り付けられている状態でも、帽子20のクラウン22の形状(内面側から外面側に向けて凸状)が維持される。そのうえで、装飾具本体40は、外板48の外周側の全周縁部分のみに固定具50からの圧力が付与される。
したがって、本実施形態では、クラウン22に対し装飾具本体40が回転し難くかつクラウン22の形状が維持され易い。
【0033】
〔第2の効果〕
また、本実施形態の装飾具30AR(及び装飾具30AL)は、封止板46がクラウン22の外面に直接接触して当該外面を加圧する構成を採用していない。本実施形態の封止板46は、図4に示されるように、クラウン22との間に収容袋44の開口側端部OE及び封止板46よりも可撓性を有する外板52の外周側の全周縁部分を挟んでクラウン22の外面を加圧する。
そのため、帽子20から装飾具30AR(及び装飾具30AL)を取り外した場合、すなわち、ユーザーが装飾具付帽子10から通常の帽子20に変形させて使用する場合、クラウン22の外面における装飾具30AR(及び装飾具30AL)が取り付けられていた部位に、封止板46の外側の周縁の加圧痕が残り難い。
【0034】
〔第3の効果〕
一般的に流通する帽子20のアイレット24は、M2規格のねじよりも大きいねじを槓子させることができない。そのため、例えば、ねじ頭の溝にドライバー等を嵌め込んでねじ締め動作を行うのは意外にも難しい。
これに対して、本実施形態では、固定具50の取付板54は、前述の第1の効果を奏するための主要な構成であるが、実は前述のセット方法で説明したとおり、雄ねじ52を軸周りに回転させるハンドルとしても機能する。そのため、小型ドライバー等を使用してねじ締めを行う必要がない。また、固定具50そのものにドライバーの機能を持たせることができるため、装飾具30ARの取り外しも容易となる。
【0035】
〔第4の効果〕
ねじのサイズが小さくなるほど、雄ねじを雌ねじにねじ締めすることは意外に難しい。
この点において、本実施形態の場合、雄ねじ52の先端部分は、直接封止板46の雌ねじ461に挿入されるのではなく、まず外板48の貫通孔48THに挿入されて当該先端部分が位置決めされたうえで、雌ねじ461に案内される(図4参照)。
したがって、本実施形態では、雌ねじ461を有する封止板46の外側に貫通孔48THを有する外板48が重ねられていることで、セット性が容易である。
【0036】
〔第5の効果〕
本実施形態では、取付板54は、その厚み方向から見ると、雄ねじ52が雌ねじ461に締められてクラウン22の外面に装飾具本体40を固定させている状態で、外板48からはみ出さずに配置されており、かつ、収容袋44の開口側端部OEに重なっている。
そのため、装飾具30AR(及び装飾具30AL)は、クラウン22に装飾具本体40が固定された状態で、装飾具本体40におけるクラウン22の付け根部分(装飾具本体40の基部)の美観性に優れる。
【0037】
以上が、本実施形態の効果についての説明である。
【0038】
≪複数の変形例≫
次に、複数の変形例について、前述の本実施形態の場合と異なる部分についてのみ説明する。
【0039】
<変形例1>
図6は、変形例1の装飾具付帽子10B(一対の装飾具30B(装飾具30BR、30BL))を構成する装飾具本体40Bの斜視図(基部側から見た写真)である。
変形例1の装飾具30BR、30BLは、本実施形態の外板48(図3参照)が外板48Bに変更されている点で、本実施形態の場合と相違する。
具体的に、外板48Bは、樹脂製の板材であって、クラウン22の外面に向く面、すなわち、帽子20への取付時にクラウン22の外面に接触する面に、その周方向に沿う凹凸面でが形成されている。また、この凹凸面は、取付時にクラウン22に接触して弾性変形しながらクラウン22に食い込む。
そのため、帽子20に取り付けられている状態において、変形例1の装飾具30BR、30BLは、前述の本実施形態の装飾具30AR、ALに比べて、周方向に回転し難い。
【0040】
<変形例2>
図7は、変形例2の装飾具付帽子10Cの部分断面図である。
変形例2の装飾具付帽子10C(一対の装飾具30C(装飾具30CR、30CL))は、(1)本実施形態の封止板46(図3参照)が封止板46Cに変更されている点、及び、(2)本実施形態の雄ねじ52(図3参照)が磁性ピン52Cに変更されている点で、本実施形態の場合と相違する。
【0041】
(封止板46C)
封止板46Cは、封止板46の雌ねじ461が単なる貫通孔461Cに変更されるとともに、貫通孔461Cの奥側(磁性ピン52Cの挿入口側と反対側)に永久磁石462Cが取り付けられている。
【0042】
(磁性ピン52C)
磁性ピン52Cは、外形は概ね雄ねじ52と同等であるが、軸521が磁性を有する円筒521Cに変更されている。
【0043】
本実施形態の場合、固定具50が装飾具本体40にねじ締めされることで、装飾具本体40がクラウン22に固定されるのに対し、変形例2の場合、固定具50の磁性ピン52Cと永久磁石462Cとが磁力で引き付けられることで、装飾具本体40がクラウン22に固定される。つまり、両者は固定のために利用する力の種類が相違するが、全体的な構成は基本的に共通する。
したがって、変形例2は、本実施形態に準じた効果を奏するといえる。
なお、変形例2の場合、磁性ピン52Cが永久磁石で、永久磁石462Cが磁性体であってもよいし、両者が互いに引き付け合う極性の関係を有する永久磁石であってもよい。
【0044】
<その他の変形例>
例えば、取付板54を、封止板46よりも弾性変形し易く、かつ、外板48よりも弾性変形し難くし、固定時において取付板54がその中央をクラウン22側に向けて凸状に変形するように設定してもよい。
また、本実施形態では、収容袋44の開口側端部OEが折り曲げられて二重となっているが(図4参照)、折り曲げられていなくても、三重以上に取り曲げられていてもよい。
また、本実施形態及び変形例では、取付板54は円板であるとしたが、六角形、八角形その他多角形であってもよい。また、多角形と円形とを組み合わせた複合形状であってもよい。
【0045】
以上が、複数の変形例についての説明である。
【符号の説明】
【0046】
10 装飾具付帽子
10B 装飾具付帽子
10C 装飾具付帽子
20 帽子
22 クラウン
24 アイレット
30A 一対の装飾具
30AL 装飾具
30AR 装飾具
30B 一対の装飾具
30BR 装飾具
30BL 装飾具
30C 一対の装飾具
30CR 装飾具
30CL 装飾具
40 装飾具本体
40B 装飾具本体
42 綿状体
44 収容袋
46 封止板
461 雌ねじ
462 永久磁石
462C 永久磁石
46C 封止板
48 外板
48B 外板
48TH 貫通孔
50 固定具
52 雄ねじ
521 軸
521C 円筒
522 頭
52C 磁性ピン
54 取付板
CA 中心軸
OE 開口側端部
OP 開口
【要約】
【課題】本発明は、帽子に着脱可能としたうえで、帽子に対し本体が回転し難くかつクラウンの形状を維持し易い装飾具の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の装飾具30ARは、クラウン22に複数のアイレット24が形成されている帽子20に着脱可能な装飾具30ARにおいて、綿状体42、開口OPを有し綿状体42を収容する収容袋44、中央を貫通する雌ねじ461を有し、収容袋44の内部に配置されて開口OPを封止する封止板46、及び、中央を貫通する孔48THを有し、封止板46よりも可撓性であり、封止板46の外面に重ねられて、自身の外周側の全周縁部分と封止板46とで収容袋44の開口側端部OEを挟む外板48を含む本体40と、複数のアイレット24のうちの1つを貫通して雌ねじ461に締められる雄ねじ52、及び、中央で雄ねじ52の頭部522に取り付けられている取付板54を含む固定具50と、を備える。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7