(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】同一移動体プローブ情報の判別方法、同一移動体プローブ情報の判別装置、及び同一移動体プローブ情報の判別プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20250701BHJP
【FI】
G08G1/00 D
(21)【出願番号】P 2021185045
(22)【出願日】2021-11-12
【審査請求日】2024-08-07
(31)【優先権主張番号】P 2020198227
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021099323
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】520300057
【氏名又は名称】データバイザー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100213403
【氏名又は名称】加藤 いぶき
(72)【発明者】
【氏名】島田 孝司
【審査官】菅家 裕輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-199329(JP,A)
【文献】特開2012-194627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプローブ情報に含まれる少なくとも2つのプローブ情報が、同一移動体に関するプローブ情報であることを判別する方法であって、
複数の前記プローブ情報に含まれる、
第一のプローブ情報における時刻Xでの位置情報X1と、前記第一のプローブ情報とは異なる第二のプローブ情報における、前記時刻Xと実質的に同時刻での位置情報X2とが実質的に同一であり、かつ、
前記第一のプローブ情報における、前記時刻Xの次にサンプリングされた時刻Yでの位置情報Y1と、前記第二のプローブ情報における、前記時刻Yと実質的に同時刻での位置情報Y2とが実質的に同一であるとき、
前記第一のプローブ情報と前記第二のプローブ情報とは同一移動体に関するプローブ情報であると判別する判別工程、
を含
み、
前記判別工程において、下記数式1又は下記数式2で表される時空間距離が所定値以下のときに、前記位置情報X1と、前記位置情報X2とが、又は前記位置情報Y1と、前記位置情報Y2とが、実質的に同一であるか否かを判断し、
移動状態における時空間距離は、下記数式1で定義され、
停止状態における時空間距離は、下記数式2で定義されることを特徴とする同一移動体プローブ情報の判別方法。
【数1】
【数2】
【請求項2】
前記第一のプローブ情報のサンプリング数と、前記第二のプローブ情報のサンプリング数とが互いに異なる、請求項1に記載の同一移動体プローブ情報の判別方法。
【請求項3】
前記判別工程において、前記同一移動体に関するプローブ情報であると判別されたプローブ情報が3以上である場合、
3以上の前記プローブ情報の中で、サンプリング数の少ない前記プローブ情報における、移動開始地点での時刻に前記移動開始地点と実質的に同時刻での実質的同一の位置情報を有し、かつ、移動開始後から移動終了までにおける任意の地点での時刻に前記移動開始後から移動終了までにおける任意の地点と実質的に同時刻での実質的同一の位置情報を有するプローブ情報を、
前記サンプリング数の少ないプローブ情報と共に前記同一移動体に関するプローブ情報であると判別する、請求項1から2のいずれかに記載の同一移動体プローブ情報の判別方法。
【請求項4】
複数のプローブ情報に含まれる少なくとも2つのプローブ情報が、同一移動体に関するプローブ情報であることを判別する装置であって、
複数の前記プローブ情報に含まれる、
第一のプローブ情報における時刻Xでの位置情報X1と、前記第一のプローブ情報とは異なる第二のプローブ情報における、前記時刻Xと実質的に同時刻での位置情報X2とが実質的に同一であり、かつ、
前記第一のプローブ情報における、前記時刻Xの次にサンプリングされた時刻Yでの位置情報Y1と、前記第二のプローブ情報における、前記時刻Yと実質的に同時刻での位置情報Y2とが実質的に同一であるとき、
前記第一のプローブ情報と前記第二のプローブ情報とは同一移動体に関するプローブ情報であると判別する判別手段、
を有
し、
前記判別手段において、下記数式1又は下記数式2で表される時空間距離が所定値以下のときに、前記位置情報X1と、前記位置情報X2とが、又は前記位置情報Y1と、前記位置情報Y2とが、実質的に同一であるか否かを判断し、
移動状態における時空間距離は、下記数式1で定義され、
停止状態における時空間距離は、下記数式2で定義されることを特徴とする同一移動体プローブ情報の判別装置。
【数3】
【数4】
【請求項5】
複数のプローブ情報に含まれる少なくとも2つのプローブ情報が、同一移動体に関するプローブ情報であることを判別するプログラムであって、
複数の前記プローブ情報に含まれる、
第一のプローブ情報における時刻Xでの位置情報X1と、前記第一のプローブ情報とは異なる第二のプローブ情報における、前記時刻Xと実質的に同時刻での位置情報X2とが実質的に同一であり、かつ、
前記第一のプローブ情報における、前記時刻Xの次にサンプリングされた時刻Yでの位置情報Y1と、前記第二のプローブ情報における、前記時刻Yと実質的に同時刻での位置情報Y2とが実質的に同一であるとき、
前記第一のプローブ情報と前記第二のプローブ情報とは同一移動体に関するプローブ情報であると判別する判別処理、
をコンピュータに行わせ
、
前記判別処理において、下記数式1又は下記数式2で表される時空間距離が所定値以下のときに、前記位置情報X1と、前記位置情報X2とが、又は前記位置情報Y1と、前記位置情報Y2とが、実質的に同一であるか否かを判断し、
移動状態における時空間距離は、下記数式1で定義され、
停止状態における時空間距離は、下記数式2で定義されることを特徴とする同一移動体プローブ情報の判別プログラム。
【数5】
【数6】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一移動体プローブ情報の判別方法、同一移動体プローブ情報の判別装置、及び同一移動体プローブ情報の判別プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IoT(Internet of Things)の進展に伴い、各種車両に様々なプローブ情報収集用車載機(以下、「車載機」と称する)が搭載されるようになってきており、1台の車両に複数種の車載機が搭載される場合がある。
例えば、コンテナ車のヘッド部(以下、「コンテナ・ヘッド」と称する)に車載機としてデジタルタコグラフ等が搭載され、コンテナ・ヘッドに牽引されるコンテナ車のシャーシ部(以下、「コンテナ・シャーシ」と称する)に車載機としてGPS捕捉機等が搭載されることがある。この場合、コンテナ・ヘッドとコンテナ・シャーシは牽引のため結合されると1台の車両となり、切離されると別々の2台の車両となるので、結合と切離の状態を正確に管理しなければならない。
【0003】
この点について、従来技術では、コンテナ・ヘッドとコンテナ・シャーシの結合と切離の状態を車載機毎に個別のシステムを用いて管理していた。そのため、コンテナ・ヘッドとコンテナ・シャーシの結合と切離の状態を正確に把握できておらず、コンテナ・シャーシの運用効率が極めて低いという問題がある。また、情報の登録が手入力によって行われているため、誤入力されていても分からないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、複数のプローブ情報に含まれる少なくとも2つのプローブ情報が、同一移動体に関するプローブ情報であることを判別でき、例えば、コンテナ・ヘッドとコンテナ・シャーシの結合と切離の状態を正確かつ迅速に自動で管理することができ、コンテナ・シャーシの運用効率の大幅な向上を図ることができる同一移動体プローブ情報の判別方法、同一移動体プローブ情報の判別装置、及び同一移動体プローブ情報の判別プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 複数のプローブ情報に含まれる少なくとも2つのプローブ情報が、同一移動体に関するプローブ情報であることを判別する方法であって、
複数の前記プローブ情報に含まれる、
第一のプローブ情報における時刻Xでの位置情報X1と、前記第一のプローブ情報とは異なる第二のプローブ情報における、前記時刻Xと実質的に同時刻での位置情報X2とが実質的に同一であり、かつ、
前記第一のプローブ情報における、前記時刻Xの次にサンプリングされた時刻Yでの位置情報Y1と、前記第二のプローブ情報における、前記時刻Yと実質的に同時刻での位置情報Y2とが実質的に同一であるとき、
前記第一のプローブ情報と前記第二のプローブ情報とは同一移動体に関するプローブ情報であると判別する判別工程、
を含むことを特徴とする同一移動体プローブ情報の判別方法である。
<2> 前記第一のプローブ情報のサンプリング数と、前記第二のプローブ情報のサンプリング数とが互いに異なる、前記<1>に記載の同一移動体プローブ情報の判別方法である。
<3> 前記判別工程において、前記同一移動体に関するプローブ情報であると判別されたプローブ情報が3以上である場合、
3以上の前記プローブ情報の中で、サンプリング数の少ない前記プローブ情報における、移動開始地点での時刻に前記移動開始地点と実質的に同時刻での実質的同一の位置情報を有し、かつ、移動開始後から移動終了までにおける任意の地点での時刻に前記移動開始後から移動終了までにおける任意の地点と実質的に同時刻での実質的同一の位置情報を有するプローブ情報を、
前記サンプリング数の少ないプローブ情報と共に前記同一移動体に関するプローブ情報であると判別する、前記<1>から<2>のいずれかに記載の同一移動体プローブ情報の判別方法である。
<4> 複数のプローブ情報に含まれる少なくとも2つのプローブ情報が、同一移動体に関するプローブ情報であることを判別する装置であって、
複数の前記プローブ情報に含まれる、
第一のプローブ情報における時刻Xでの位置情報X1と、前記第一のプローブ情報とは異なる第二のプローブ情報における、前記時刻Xと実質的に同時刻での位置情報X2とが実質的に同一であり、かつ、
前記第一のプローブ情報における、前記時刻Xの次にサンプリングされた時刻Yでの位置情報Y1と、前記第二のプローブ情報における、前記時刻Yと実質的に同時刻での位置情報Y2とが実質的に同一であるとき、
前記第一のプローブ情報と前記第二のプローブ情報とは同一移動体に関するプローブ情報であると判別する判別手段、
を有することを特徴とする同一移動体プローブ情報の判別装置である。
<5> 複数のプローブ情報に含まれる少なくとも2つのプローブ情報が、同一移動体に関するプローブ情報であることを判別するプログラムであって、
複数の前記プローブ情報に含まれる、
第一のプローブ情報における時刻Xでの位置情報X1と、前記第一のプローブ情報とは異なる第二のプローブ情報における、前記時刻Xと実質的に同時刻での位置情報X2とが実質的に同一であり、かつ、
前記第一のプローブ情報における、前記時刻Xの次にサンプリングされた時刻Yでの位置情報Y1と、前記第二のプローブ情報における、前記時刻Yと実質的に同時刻での位置情報Y2とが実質的に同一であるとき、
前記第一のプローブ情報と前記第二のプローブ情報とは同一移動体に関するプローブ情報であると判別する判別処理、
をコンピュータに行わせることを特徴とする同一移動体プローブ情報の判別プログラムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、本発明は、複数のプローブ情報に含まれる少なくとも2つのプローブ情報が、同一移動体に関するプローブ情報であることを判別でき、例えば、コンテナ・ヘッドとコンテナ・シャーシの結合と切離の状態を正確かつ迅速に自動で管理することができ、コンテナ・シャーシの運用効率の大幅な向上を図ることができる同一移動体プローブ情報の判別方法、同一移動体プローブ情報の判別装置、及び同一移動体プローブ情報の判別プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の同一移動体プローブ情報の判別装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の同一移動体プローブ情報の判別装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の同一移動体プローブ情報の判別方法によって同一移動体であると判別する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、車両全体を車載機の種類によって分類した模式図である。
【
図5】
図5は、コンテナ・シャーシとコンテナ・ヘッドの車載機の有無によって分類した図である。
【
図6】
図6は、各車両における車載D又は車載G1の搭載位置を示す模式図である。
【
図7】
図7は、本発明における「一式」の状態を示す模式図である。
【
図8】
図8は、時空間距離を評価する範囲を説明する図である。
【
図9】
図9は、実施例1における車両識別区間での各車両を識別した状態を示す図である。
【
図10】
図10は、実施例1における実質的同一(近傍)の判別方法を説明するための図である。
【
図12】
図12は、実施例2における停止状態の実質的同一(近傍)の判別方法を説明するための図である。
【
図13】
図13は、実施例2における停止状態の実質的同一(近傍)の判別方法を説明するための別の図である。
【
図14】
図14は、実施例2における移動状態の実質的同一(近傍)の判別方法を説明するための図である。
【
図15】
図15は、実施例2における移動状態の実質的同一(近傍)の判別方法を説明するための別の図である。
【
図16】
図16は、実施例3における車載G2と車載Dの取付位置を示す概略図である。
【
図17】
図17は、実施例3における車載G2と車載Dの取付状況を示す概略図である。
【
図18】
図18は、実施例3におけるカーブを有する道路を車両が走行する状態を示す概略図である。
【
図21】
図21は、実施例3の同一移動体プローブ情報の判別方法によって同一移動体であると判別する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(同一移動体プローブ情報の判別方法及び同一移動体プローブ情報の判別装置)
本発明の同一移動体プローブ情報の判別方法は、複数のプローブ情報に含まれる少なくとも2つのプローブ情報が、同一移動体に関するプローブ情報であることを判別する方法であって、判別工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
【0009】
本発明の同一移動体プローブ情報の判別装置は、複数のプローブ情報に含まれる少なくとも2つのプローブ情報が、同一移動体に関するプローブ情報であることを判別する装置であって、判別手段を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
【0010】
本発明の同一移動体プローブ情報の判別方法は、本発明の同一移動体プローブ情報の判別装置により好適に実施することができ、判別工程は判別手段により行うことができ、その他の工程はその他の手段により行うことができる。
【0011】
本発明の同一移動体プローブ情報の判別方法及び本発明の同一移動体プローブ情報の判別装置によると、複数のプローブ情報に含まれる少なくとも2つのプローブ情報が、同一移動体に関するプローブ情報であることを判別することができる。
【0012】
前記移動体としての車両全体は、
図4に示すように、4種類のプローブ収集用車載機(デジタルタコグラフ(D)、GPS捕捉機(G1)、ETC2.0(G2)、スマートフォン(S))が存在する場合には、複数種の車載機を搭載する車両と、1種類の車載機を搭載する車両と、車載機を搭載しない車両との3つに分類できる。
図4中「1*」、「2*」は1台の車両に複数種の車載機が搭載される場合である。
【0013】
前記3種類の車載機について、デジタルタコグラフ(D)であるプローブD用車載機(総称を車載D、車載IDを「D-ID」)と、GPS捕捉機(G1)であるプローブG1用車載機(総称を車載G1、「G1-ID」)と、ETC2.0(G2)であるプローブG2用車載機(総称を車載G2、「G2-ID」)、スマートフォン(S)であるプローブS用車載機(総称を車載S、車載IDを「S-ID」)とすると、車載Dはコンテナ・ヘッド、生コン車などに搭載される。車載G1はダンプカー、コンテナ・シャーシなどに搭載される。車載G2はコンテナ・ヘッド、トラック単車などに搭載される。車載Sは乗用車などに搭載される。
【0014】
本発明において、第一のプローブ情報と第二のプローブ情報とが同一移動体に関するプローブ情報であることを「一式」又は「同体」であると定義する。
前記「一式」とは、
図5に示すとおり、コンテナ・ヘッドとコンテナ・シャーシが結合されており、かつコンテナ・ヘッドが車載Dを、コンテナ・シャーシが車載G1を搭載している場合を意味する。
前記「一式」の状態を的確に把握するには、全ての車載D及び車載G1を把握した上で、その動きがある時間帯及び道路区間で実質的同一(近傍)であることを判定する必要がある。
前記「一式」は、元々別個の車であるコンテナ・ヘッドとコンテナ・シャーシとが、各々に搭載されたデジタコDとGPS捕捉機G1との関連付けができることから、「一式」として運転されているものという意味である。
一方、前記「同体」は、元々一個の車であるコンテナ・ヘッドや単車に搭載された異なる車載機であるデジタコDとETC2.0(G2)の関連付けができることから、同じ車両に搭載された状態「同体」にある、という意味である。
【0015】
前記「プローブ情報」とは、車載機が搭載された車両が実際に走行して得られた情報を意味し、例えば、車両ID、走行ルートID、位置(経度、緯度)、速度、出発日時、出発地(経度、緯度)、到着日時、目的地(経度、緯度)、移動距離、所要時間などが挙げられる。
【0016】
前記移動体としては、例えば、車両などが挙げられる。前記車両としては、例えば、コンテナ・ヘッド、コンテナ・シャーシ、トラック、生コン車、ダンプカー、普通自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車、大型自動二輪車、普通自動二輪車などが挙げられる。
同一移動体とは、一台の移動体を意味し、例えば、コンテナ・ヘッドとコンテナ・シャーシが結合されている場合は一台の移動体であり同一移動体であるが、コンテナ・ヘッドとコンテナ・シャーシが切り離された場合はコンテナ・ヘッドとコンテナ・シャーシは二台の移動体となり、同一移動体に該当しなくなる。
同一移動体が複数のプローブ情報を有するとは、一台の移動体が少なくとも第一のプローブ情報と第二のプローブ情報を有することを意味し、3種以上のプローブ情報を有していてもよい。
【0017】
<判別工程及び判別手段>
前記判別工程は、複数の前記プローブ情報に含まれる、第一のプローブ情報における時刻Xでの位置情報X1と、前記第一のプローブ情報とは異なる第二のプローブ情報における、前記時刻Xと実質的に同時刻での位置情報X2とが実質的に同一であり、かつ、前記第一のプローブ情報における、前記時刻Xの次にサンプリングされた時刻Yでの位置情報Y1と、前記第二のプローブ情報における、前記時刻Yと実質的に同時刻での位置情報Y2とが実質的に同一であるとき、前記第一のプローブ情報と前記第二のプローブ情報とは同一移動体に関するプローブ情報であると判別する工程であり、判別手段により好適に実施される。
【0018】
前記判別工程においては、第一のプローブ情報と第二のプローブ情報とのサンプリング数が同じであってもよいが、第一のプローブ情報のサンプリング数と、第二のプローブ情報のサンプリング数とが互いに異なることが、同一移動体であることの判別精度を高める点から好ましく、第一のプローブ情報のサンプリング数が第二のプローブ情報のサンプリング数よりも多いことがより好ましい。
【0019】
前記第一のプローブ情報を収集する第一のプローブとしては、例えば、デジタルタコグラフなどが挙げられる。
前記第二のプローブ情報を収集する第二のプローブとしては、例えば、GPS捕捉機、ETC2.0、スマートフォンなどが挙げられる。
【0020】
前記デジタルタコグラフ、GPS捕捉機、ETC2.0、及びスマートフォンの特徴については、下記表Aに示すとおりである。
【0021】
【0022】
デジタルタコグラフ(「デジタコ」と略称することもある)は、国土交通省自動車局と厚生労働省が連携してトラック事業者、バス事業者の労働状況を可視化し運行記録の取得を義務化する目的で、機器の認定を行っている。民間企業約20社が認定機器を出荷しており、例えば、株式会社トランストロン、矢崎エナジーシステム株式会社などが挙げられる。本発明においては、クラウド型に強い株式会社トランストロン製のデジタコを使用するが、クラウド型であれば特に制限されるものではない。なお、デジタコは電源供給有り、GPS取得間隔は1秒間である。
【0023】
GPS捕捉機は、電源供給無し、被牽引車両(トレーラー、コンテナ車のシャーシ部、ダブル連結)等、被牽引状態でしか動かないため、近年、位置情報の把握が物流事業者の課題になっている。そのため、民間企業数社が製品化に着手している。なお、GPS捕捉機は電源供給無し、GPS取得間隔は、電池寿命との関係で用途毎に5秒~1時間で変更可能である。
【0024】
ETC2.0は、国土交通省道路局が高速道路の課金対象のため、従来からETC車載機を規格化してきたが、道路の混雑状況などを取得するために、道路側に路側機を設置し車両がその周辺を通過した際に、車載機に蓄積されたデータをアップロードする仕組みである。なお、ETC2.0は電源供給有り、GPS取得間隔は200m、進行方向の累積変化が45°である。物流事業者向けの高速道路割引制度により導入促進中で民間企業約10社が認定機器を出荷しており、例えば、パナソニック株式会社などが挙げられる。
【0025】
本発明においては、第一のプローブ情報と第二のプローブ情報とが同一移動体に関するプローブ情報であること、即ち、「一式」又は「同体」であることを判別する。
例えば、「第一のプローブ情報D」と、「第二のプローブ情報G1」とがある場合、一般的にそのプローブ情報を収集するプローブ車載機の用途及び特性から、設置する位置は車載機の設計上決まっているのが通例である。具体的には、車載Dはコンテナ車のヘッド部、生コン車の座席前のフロント部に搭載され、車載G1はダンプカー、コンテナ車のシャーシ部の荷台前方付近に搭載されるのが一般であり、その搭載位置は概ね、
図6及び
図7に示す通りである。なお、本発明における「一式」は
図7に該当する。また、「同体」は
図15の[a]に該当する。
【0026】
ここで、移動体の移動状態と移動体の停止状態に分けて、「実質的に同時刻」と「実質的に同一の位置情報」について説明する。
図7に示すように、コンテナ・ヘッドはコンテナ・シャーシに対して、進行方向に向かって前に位置している。そのため、移動状態においては車載Dが通過後に車載G1が通過することになる。なお、コンテナ・ヘッド単独の場合には後退してコンテナ・シャーシと結合することは頻繁に発生するが、コンテナ・ヘッドとコンテナ・シャーシが結合している状態では後退はほとんど発生しない。
【0027】
複数種のプローブを融合させるには、複数個の移動体の実質的同一(近傍)を把握することが前提となる。本発明においては、以下に説明するように「時空間距離」により実質的同一(近傍)を判断する。以下、移動体の移動状態と移動体の停止状態に分けて、時空間距離を定義する。
【0028】
-移動体の移動状態-
複数種プローブであるプローブDとプローブGにおいて、コンテナ・ヘッドはコンテナ・シャーシに対して進行方向に向かって前に位置しており、プローブDがプローブGの前にある場合には、プローブ取得時刻の差(時刻G-時刻D)は負の値はとらない。
したがって、移動状態における時空間距離は、下記数式1で定義される。なお、北緯35度付近では、経度1秒は25m、緯度1秒は31mであるが、本発明においては、本質的な問題とはならないため、経度及び緯度共に1秒=25mとする。
【0029】
[数式1]
ただし、第一のプローブDの時刻Dと第二のプローブGの時刻Gとが同一である場合、上記数式1の時空間距離は「0」になってしまうので、「時空間距離を評価する範囲」について以下に定義する。
前記「時空間距離を評価する範囲」は、
図8に示すように、中心を第二のプローブG1とし、半径n秒=[第二のプローブG1を搭載した車両の速度x(km/h)×2秒/60(km/h)]で表される円Aの範囲とする。なお、第二のプローブG1を搭載した車両の速度xが判明していない場合には、60(km/h)をディフォルト値とする。
図8においては、第一のプローブD1、D2、D3、D4は時空間距離を評価する範囲内となるが、第一のプローブD5、D6は時空間距離を評価する範囲外である。
ここで、
図8中G1の近くには、プローブデータD1、D2、D3、D4、D5、D6、・・・が1秒ごとに取得される。例えば、時速60km/hで走行する場合を考えると、16.7m毎にプローブデータが取得され、「半径2秒」の円Aの範囲、即ち「直径4秒」=4秒×25m=100mの「時空間距離を評価する範囲」に4個のプローブデータが入ることになり、他の車両の分も含めて、適切に捕捉できる範囲になる。
【0030】
本発明において、第一のプローブ情報における時刻Xでの位置情報X1と、前記第一のプローブ情報とは異なる第二のプローブ情報における、前記時刻Xと実質的に同時刻での位置情報X2とが実質的に同一であること、及び
前記第一のプローブ情報における、前記時刻Xの次にサンプリングされた時刻Yでの位置情報Y1と、前記第二のプローブ情報における、前記時刻Yと実質的に同時刻での位置情報Y2とが実質的に同一であること、を移動状態における時空間距離で表すと、第一のプローブ情報と第二のプローブ情報との時空間距離が正又はゼロであり、時空間距離が最小値となるプローブ同士を実質的同一(近傍)とする。具体的には、第一のプローブ情報と第二のプローブ情報との移動状態における時空間距離は1.5(秒・秒)以下であることが好ましく、1.0(秒・秒)以下であることがより好ましい。
【0031】
-移動体の停止状態-
コンテナ・シャーシが停止状態の場合、その近傍には複数のコンテナ・ヘッドが存在し得る。停止状態では移動体が移動しておらず、時間的な前後関係を考慮することができないので、プローブ取得時刻の差(時刻G-時刻D)については絶対値とする。
したがって、停止状態における時空間距離は、下記数式2で定義される。
【0032】
[数式2]
ただし、第一のプローブDの時刻Dと第二のプローブGの時刻Gとが同一である場合、上記数式2の時空間距離は「0」になってしまうので、「時空間距離を評価する範囲」について以下に定義する。
前記「時空間距離を評価する範囲」は、
図8に示すように、中心を第二のプローブG1とし、半径n秒=[第二のプローブG1を搭載した車両の速度x(km/h)×2秒/60(km/h)]で表される円Aの範囲とする。なお、第二のプローブG1を搭載した車両の速度xが判明していない場合には、60(km/h)をディフォルト値とする。
図8においては、第一のプローブD1、D2、D3、D4は時空間距離を評価する範囲内となるが、第一のプローブD5、D6は時空間距離を評価する範囲外である。
【0033】
本発明において、第一のプローブ情報における時刻Xでの位置情報X1と、前記第一のプローブ情報とは異なる第二のプローブ情報における、前記時刻Xと実質的に同時刻での位置情報X2とが実質的に同一であること、及び
前記第一のプローブ情報における、前記時刻Xの次にサンプリングされた時刻Yでの位置情報Y1と、前記第二のプローブ情報における、前記時刻Yと実質的に同時刻での位置情報Y2とが実質的に同一であること、を停止状態における時空間距離で表すと、第一のプローブ情報と第二のプローブ情報との時空間距離が正又はゼロであり、時空間距離が最小値となるプローブ同士を実質的同一(近傍)とする。具体的には、第一のプローブ情報と第二のプローブ情報との停止状態における時空間距離は1.5(秒・秒)以下であることが好ましく、1.0(秒・秒)以下であることがより好ましい。
【0034】
本発明の一態様において、移動体の停止状態を停止状態における時空間距離を用いて一次推定した上で、移動体の移動状態を移動状態における時空間距離を用いて検証することによって、第一のプローブ情報と第二のプローブ情報とが実質的同一(近傍)であることを判定でき、両プローブ情報が同一移動体に関するプローブ情報である(「一式」又は「同体」である)と判別することができる。
【0035】
前記一次推定においては、コンテナ・シャーシが停止状態の場合、その付近には複数のコンテナ・ヘッドが存在し得る。停止状態のプローブ情報を中心として停止状態の時空間距離が1.5(秒・秒)以下(好ましくは1.0(秒・秒)以下)の範囲に存在するコンテナ・ヘッドのプローブ情報を推定する。
前記移動体の移動状態を移動状態における時空間距離を用いて検証する方法は、上記移動体の移動状態の判別方法と同様である。
【0036】
本発明の一態様において、判別工程において、前記同一移動体に関するプローブ情報であると判別されたプローブ情報が3以上である場合、3以上の前記プローブ情報の中で、サンプリング数の少ない前記プローブ情報における、移動開始地点での時刻に前記移動開始地点と実質的に同時刻での実質的同一の位置情報を有し、かつ、移動開始後から移動終了までにおける任意の地点での時刻に前記移動開始後から移動終了までにおける任意の地点と実質的に同時刻での実質的同一の位置情報を有するプローブ情報を、前記サンプリング数の少ないプローブ情報と共に前記同一移動体に関するプローブ情報であると判別する。
【0037】
この一態様は、同一移動体であると判別されるプローブ情報の数が3以上と多い場合の「一式」の判別方法である。なお、「一式」の判別方法は上述したとおりである。
サンプリング数の少ないプローブ情報とは、例えば、デジタルタコグラフで収集したプローブ情報に対するGPS捕捉機、又はスマートフォンで収集したプローブ情報などが該当する。
移動開始後から移動終了までにおける任意の地点とは、移動開始地点付近、移動終了地点付近、中間地点などが含まれる。
移動開始地点と移動終了地点の付近において「一式」状態にあることと、中間地点において「一式」状態にあることを検証することにより、移動状態において実質的同一であることをより正確に判別することができる。
【0038】
本発明の一態様において、判別工程において、更に、前記第一のプローブ情報における前記時刻Yの次にサンプリングされた時刻Zでの位置情報Z1と、前記第二のプローブ情報における、前記時刻Zと実質的に同時刻での位置情報Z2とが実質的に同一であるとき、前記第一のプローブ情報と前記第二のプローブ情報とは同一移動体に関するプローブ情報であると判別する。
【0039】
この一態様では、サンプリングする位置情報を多くすることによって、前記第一のプローブ情報と前記第二のプローブ情報とは同一移動体に関するプローブ情報であると判別する判別力を高めることができる。
前記「次に」とは、連続する「次」のサンプルであってもよいし、離間した「次」のサンプルであってもよい。
【0040】
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通信工程、入力工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通信手段、入力手段などが挙げられる。
【0041】
前記通信部としては、同一移動体プローブ情報の判別装置と通信可能なものであれば特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、送受信機、情報通信ネットワーク、インターネットなどが挙げられる。
【0042】
前記入力部としては、同一移動体プローブ情報の判別装置に対する各種要求を受け付けることができれば特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクなどが挙げられる。
【0043】
(同一移動体プローブ情報の判別プログラム)
本発明の同一移動体プローブ情報の判別プログラムは、複数のプローブ情報に含まれる少なくとも2つのプローブ情報が、同一移動体に関するプローブ情報であることを判別するプログラムであって、複数の前記プローブ情報に含まれる、第一のプローブ情報における時刻Xでの位置情報X1と、前記第一のプローブ情報とは異なる第二のプローブ情報における、前記時刻Xと実質的に同時刻での位置情報X2とが実質的に同一であり、かつ、前記第一のプローブ情報における、前記時刻Xの次にサンプリングされた時刻Yでの位置情報Y1と、前記第二のプローブ情報における、前記時刻Yと実質的に同時刻での位置情報Y2とが実質的に同一であるとき、前記第一のプローブ情報と前記第二のプローブ情報とは同一移動体に関するプローブ情報であると判別する判別処理、をコンピュータに行わせる。
【0044】
本発明の同一移動体プローブ情報の判別プログラムは、例えば、本発明の同一移動体プローブ情報の判別方法をコンピュータに実行させるプログラムとすることができる。また、本発明の同一移動体プローブ情報の判別プログラムにおける好適な態様は、例えば、本発明の同一移動体プローブ情報の判別方法における好適な態様と同様にすることができる。
【0045】
本発明の同一移動体プローブ情報の判別プログラムは、使用するコンピュータシステムの構成及びオペレーティングシステムの種類・バージョンなどに応じて、公知の各種のプログラム言語を用いて作成することができる。
【0046】
本発明の同一移動体プローブ情報の判別プログラムは、内蔵ハードディスク、外付けハードディスクなどの記録媒体に記録しておいてもよいし、CD-ROM、DVD-ROM、MOディスク、USBメモリなどの記録媒体に記録しておいてもよい。
更に、本発明の同一移動体プローブ情報の判別プログラムを、上記の記録媒体に記録する場合には、必要に応じて、コンピュータシステムが有する記録媒体読取装置を通じて、これを直接又はハードディスクにインストールして使用することができる。また、コンピュータシステムから情報通信ネットワークを通じてアクセス可能な外部記憶領域(他のコンピュータなど)に本発明の同一移動体プローブ情報の判別プログラムを記録しておいてもよい。この場合、外部記憶領域に記録された本発明の同一移動体プローブ情報の判別プログラムは、必要に応じて、外部記憶領域から情報通信ネットワークを通じてこれを直接、又はハードディスクにインストールして使用することができる。
なお、本発明の同一移動体プローブ情報の判別プログラムは、複数の記録媒体に、任意の処理毎に分割されて記録されていてもよい。
【0047】
<コンピュータが読み取り可能な記録媒体>
本発明に関するコンピュータが読み取り可能な記録媒体は、本発明の同一移動体プローブ情報の判別プログラムを記録してなる。
本発明に関するコンピュータが読み取り可能な記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、内蔵ハードディスク、外付けハードディスク、CD-ROM、DVD-ROM、MOディスク、USBメモリなどが挙げられる。
また、本発明に関するコンピュータが読み取り可能な記録媒体は、本発明の同一移動体プローブ情報の判別プログラムが任意の処理毎に分割されて記録された複数の記録媒体であってもよい。
【0048】
以下では、装置の構成例やフローチャートなどを用いて、本発明で開示する技術の一例を更に詳細に説明する。
図1に、本発明の同一移動体プローブ情報の判別装置のハードウェア構成例を示す。
同一移動体プローブ情報の判別装置100においては、例えば、制御部101、主記憶装置102、補助記憶装置103、I/Oインターフェイス104、通信インターフェイス105、入力装置106、出力装置107、表示装置108が、システムバス109を介して接続されている。
【0049】
制御部101は、演算(四則演算、比較演算等)、ハードウェア及びソフトウェアの動作制御などを行う。制御部101としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)であってもよいし、同一移動体プローブ情報の判別方法に用いるマシンの一部であってもよく、これらの組み合わせでもよい。
制御部101は、例えば、主記憶装置102などに読み込まれたプログラム(例えば、本発明の同一移動体プローブ情報の判別プログラムなど)を実行することにより、種々の機能を実現する。
本発明の同一移動体プローブ情報の判別装置における判別手段(判別部)が行う処理は、例えば、制御部101により行うことができる。
【0050】
主記憶装置102は、各種プログラムを記憶するとともに、各種プログラムを実行するために必要なデータ等を記憶する。主記憶装置102としては、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)の少なくともいずれかを有するものを用いることができる。
ROMは、例えば、BIOS(Basic Input/Output System)などの各種プログラムなどを記憶する。また、ROMとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)などが挙げられる。
RAMは、例えば、ROMや補助記憶装置103などに記憶された各種プログラムが、制御部101により実行される際に展開される作業範囲として機能する。RAMとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)などが挙げられる。
【0051】
補助記憶装置103としては、各種情報を記憶できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ソリッドステートドライブ(SSD)、ハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。また、補助記憶装置103は、CDドライブ、DVDドライブ、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)ドライブなどの可搬記憶装置としてもよい。
また、本発明の同一移動体プローブ情報の判別プログラムは、例えば、補助記憶装置103に格納され、主記憶装置102のRAM(主メモリ)にロードされ、制御部101により実行される。
【0052】
I/Oインターフェイス104は、各種の外部装置を接続するためのインターフェイスである。I/Oインターフェイス104は、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk ROM)、MOディスク(Magneto-Optical disk)、USBメモリ〔USB(Universal Serial Bus) flash drive〕などのデータの入出力を可能にする。
【0053】
通信インターフェイス105としては、特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、無線又は有線を用いた通信デバイスなどが挙げられる。
【0054】
入力装置106としては、同一移動体プローブ情報の判別装置100に対する各種要求や情報の入力を受け付けることができれば特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクなどが挙げられる。また、入力装置106がタッチパネル(タッチディスプレイ)である場合は、入力装置106が表示装置108を兼ねることができる。
【0055】
出力装置107としては、特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、プリンタなどが挙げられる。
表示装置108としては、特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどが挙げられる。
【0056】
図2に、本発明の同一移動体プローブ情報の判別装置の機能構成例を示す。
図2に示すように、同一移動体プローブ情報の判別装置100は、通信機能部120と、入力機能部130と、出力機能部140と、表示機能部150と、記憶機能部160と、制御機能部170とを備える。
【0057】
通信機能部120は、例えば、各種のデータを外部の装置と送受信する。通信機能部120は、例えば、外部の装置から、車両属性データ、走行実績データ等のデータを受信してもよい。
入力機能部130は、例えば、同一移動体プローブ情報の判別装置100に対する各種指示を受け付ける。また、入力機能部130は、例えば、複数のプローブ情報を受け付ける。
出力機能部140は、例えば、同一移動体に関するプローブ情報であると判別した結果をプリントアウトする。
表示機能部150は、例えば、同一移動体に関するプローブ情報であると判別した結果をディスプレイに表示する。
【0058】
記憶機能部160は、例えば、各種プログラムを記憶すると共に、プローブ情報DB161と、判別結果DB162とを有する。
プローブ情報DB161では、車載機により収集されたプローブ情報を保存するDBである。
プローブ情報データは、下記表Bに示すように、「車両ID」、「走行ルートID」、「位置(経度、緯度)」、「速度」、「出発日時」、「出発地(経度、緯度)」、「到着日時」、「目的地(経度、緯度)」、「移動距離」、「所要時間」のデータ項目を含む。
【0059】
【0060】
「車両ID」のデータ項目は、車載機が搭載されている当該車両を識別するためのデータであり、予め設定される。
「走行ルートID」のデータ項目は、目的をもってある出発地からある目的地へ移動する単位である走行ルートを識別するために用いられる。
「日時」及び「位置(経度、緯度)」のデータ項目は、車載機に搭載されているGPS(Global Positioning System)ユニットにより取得される。
「速度」のデータ項目は、GPSユニットと同期させ、車載機が有する速度センサを用いて車両の車軸から取得される。
「出発日時」及び「出発地(経度、緯度)」のデータ項目は、当該走行ルートの出発日時及び出発地の経度・緯度である。
「到着日時」及び「目的地(経度、緯度)」のデータ項目は、当該走行ルートの到着日時及び目的地の経度、緯度である。
「移動距離」のデータ項目は、出発地から現在地までの移動距離である。
「所要時間」のデータ項目は、出発地から現在地までの所要時間である。
【0061】
判別結果DB162は、同一移動体プローブ情報の判別装置が判別した結果を保存するDBである。
【0062】
制御機能部170は、判別手段としての判別部171を有する。制御機能部170は、例えば、記憶機能部160に記憶された各種プログラムを実行するとともに、同一移動体プローブ情報の判別装置100全体の動作を制御する。
判別部171は、例えば、複数の前記プローブ情報に含まれる、第一のプローブ情報における時刻Xでの位置情報X1と、前記第一のプローブ情報とは異なる第二のプローブ情報における、前記時刻Xと実質的に同時刻での位置情報X2とが実質的に同一であり、かつ、前記第一のプローブ情報における、前記時刻Xの次にサンプリングされた時刻Yでの位置情報Y1と、前記第二のプローブ情報における、前記時刻Yと実質的に同時刻での位置情報Y2とが実質的に同一であるとき、前記第一のプローブ情報と前記第二のプローブ情報とは同一移動体に関するプローブ情報であると判別する処理を行う。
【0063】
ここで、
図3は、本発明の同一移動体プローブ情報の判別方法における処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下、
図2を参照して、同一移動体プローブ情報の判別処理の流れについて説明する。
【0064】
ステップS101では、同一移動体プローブ情報の判別装置100における制御機能部170は、移動体における複数のプローブ情報を受け付けると、処理をS102に移行する。
【0065】
ステップS102では、同一移動体プローブ情報の判別装置100における判別部171は、複数のプローブ情報に含まれる、第一のプローブ情報における時刻Xでの位置情報X1と、前記第一のプローブ情報とは異なる第二のプローブ情報における、前記時刻Xと実質的に同時刻での位置情報X2とが実質的に同一であるかを評価すると、処理をS103に移行する。
【0066】
ステップS103では、同一移動体プローブ情報の判別装置100における判別部171は、前記第一のプローブ情報における、前記時刻Xの次にサンプリングされた時刻Yでの位置情報Y1と、前記時刻Yと実質的に同時刻での位置情報Y2とが実質的に同一であるかを評価すると、処理をS104に移行する。
【0067】
ステップS104では、同一移動体プローブ情報の判別装置100における判別部171は、ステップS102での評価結果が実質的に同一であり、かつステップS103での評価結果が実質的に同一であるとき、前記第一のプローブ情報と前記第二のプローブ情報とは同一移動体に関するプローブ情報であると判別すると、本処理を終了する。
【実施例】
【0068】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0069】
以下の実施例では、車載機としてデジタルタコグラフ(総称を車載D、車載IDを「D-ID」)と、GPS捕捉機(総称を車載G1、「G1-ID」)とを用いた。車載D及び車載G1の詳細については、下記表1に示すとおりである。なお、
図7に示すように、車載Dはコンテナ・ヘッドに搭載されている。車載G1はコンテナ・シャーシに搭載されている。
【0070】
【0071】
(実施例1)
<移動体が移動状態の例>
特定の道路上の「車両識別区間(CIA)」(例えば、300mの区間)において、コンテナ・ヘッドとコンテナ・シャーシが結合されており、かつコンテナ・ヘッドが車載Dを搭載し、コンテナ・シャーシが車載G1を搭載している場合(「一式」であること)を判別する。
各車両の識別は、「車両識別区間(CIA)」において行う。
図9に示すように、「車両識別区間(CIA)」において、時間帯(t31~t32、t32~t33、S
31、S
32の各10秒間)に、合計6台の車両が通行している。
各車両の分類は下記表2に示すとおりである。なお、6台のうちの1台は表2中の[d]、[g]、又は[h]に該当し、コンテナ・ヘッド及びコンテナ・シャーシ、又はコンテナ・ヘッドに車載D又は車載G1が搭載されておらず、プローブ情報がないため、把握することができない。
【0072】
【0073】
プローブ情報を把握できるものは、DnはD-ID、G1mはG1-IDで表すことができ、表2中の[a]、[b]、[c]、[e]、又は[f]である。これらのうち、表2中[a]が「一式」であり、コンテナ・ヘッドとコンテナ・シャーシが結合しており、かつコンテナ・ヘッドが車載Dを搭載し、コンテナ・シャーシが車載G1を搭載している。
図9に示すように、「プローブ情報D1-0~D1-9とプローブ情報G1-1~G1-2」、「プローブ情報G2-1~G2-2」、「プローブ情報D3-0~D3-9とプローブ情報G3-1~G3-2」、「プローブ情報D4-0~D4-9とプローブ情報G4-1~G4-2」、「プローブ情報D5-0~D5-9」が挙げられる。これらのうち、「プローブ情報D1-0~D1-9とプローブ情報G1-1~G1-2」、「プローブ情報D3-0~D3-9とプローブ情報G3-1~G3-2」、及び「プローブ情報D4-0~D4-9とプローブ情報G4-1~G4-2」が「一式」である。
また、「プローブ情報G2-1~G2-2」は表2の[c]の状態である。また、「プローブ情報D5-0~D5-9」は表2中の[b]、[e]、又は[f]の状態である。なお、表2中の[e]と[f]、[g]と[h]を分けるメリットは無い。
【0074】
次に、「プローブ情報D3-0~D3-9とプローブ情報G3-1~G3-2」が「一式」であることを検証する。
図10に示すように、「車両識別区間」の200mから300m付近をG3-2が通過する時刻t33(X+5.0)を基準として、その2×Ig(=10秒)前であるt31(X-5.0)に着目する。
【0075】
10秒毎に、コンテナ・シャーシに搭載されているGPS捕捉機が「車両識別区間」の200m~300m地点と0m~300m地点にある全てのG1-IDを抽出する。抽出した全てのG1-IDに対して以下の処理を行うが、ここでは、
図10に示す「プローブ情報D3-0~D3-9」を例として示す。
プローブG3-2が検出されるある時刻t33の2×Ig(=10秒)前であるt31からのIg(=5秒)間である時間帯S
31に着目する。
時間帯S
31において、「車両識別区間」にある全てのD-IDを抽出する。その集合をD-ID1とする。
D-ID1の集合の中から、プローブ情報G3-1に最も近い(位置情報、時刻)を持つD3を抽出する。プローブ情報D3-0、D3-1、D3-2、D3-3、D3-4が該当する。プローブ情報G3-1との実質的同一(近傍)を時空間距離によって評価する。
時空間距離は移動状態においては、コンテナ・ヘッドはコンテナ・シャーシに対して、進行方向に向かって前に位置し、プローブDがプローブG1の前にあるので、プローブ取得時刻の差(時刻G1-時刻D)は負の値はとらない。したがって、移動状態における時空間距離は、下記数式1で定義される。なお、北緯35度付近では、緯度及び経度ともに1秒=25mである。
図10に示す「プローブ情報D3-0、D3-1、D3-2、D3-3、D3-4、D4-1、D4-2」とプローブ情報G3-1との移動状態における時空間距離を求めた。結果を表3に示す。
【0076】
【0077】
【表3】
表3の結果から、プローブ情報D3-4とプローブ情報G3-1の移動状態の時空間距離が最小の0.3(秒・秒)であることが分かる。即ち、移動状態の時空間距離が1.5(秒・秒)以下であるプローブ情報G3-1とプローブ情報D3-4は実質的同一(近傍)であることがわかる。
このことから、プローブ情報D3-0~D3-4の軌跡の上にプローブ情報G3-1が載っていることがわかる。
【0078】
次に、
図11に示す時間帯S
31の次の時間帯S
32におけるD3の軌跡「プローブ情報D3-5、D3-6、D3-7、D3-8、D3-9」の上に、プローブ情報G3-2が載っているかを判別する。
図11に示す「プローブ情報D3-5、D3-6、D3-7、D3-8、D3-9、D4-3、D4-4、D4-5、D4-6、D4-7」とプローブ情報G3-2との移動状態における時空間距離を上記と同様にして求めた。結果を表4に示す。
【0079】
【表4】
表4の結果から、プローブ情報D3-9とプローブ情報G3-2の移動状態の時空間距離が最小の0.3(秒・秒)であることがわかる。即ち、移動状態の時空間距離が1.5(秒・秒)以下であるプローブ情報D3-9とプローブ情報G3-2は実質的同一(近傍)であることがわかる。
このことから、プローブ情報D3-5~D3-9の軌跡の上にプローブ情報G3-2が載っていることがわかる。
【0080】
以上の結果から、プローブG3のプローブ情報(G3-1とG3-2)は、プローブD3のプローブ情報(D3-0~D3-9)と同じ軌跡にあり、両者は実質的同一であることから、同一移動体に関するプローブ情報である(「一式」である)と判別できる。
【0081】
(実施例2)
<移動体が停止状態から移動状態に遷移する例>
(1)~(3)の移動体の停止状態で一次推定した上で、(4)~(5)の移動体の移動状態で検証し、これらの結果から、同一移動体のプローブ情報が実質的同一(近傍)であることを判別する。
【0082】
-停止状態での一次推定-
(1)プローブG1におけるプローブ情報G-0の実質的同一(近傍)を停止状態の時空間距離によって判定し、プローブDの集合{Da、Db}を特定する。
コンテナ・シャーシが停止状態の場合、その付近には複数のコンテナ・ヘッドが存在し得る。
図12に示すように、プローブ情報G-0を中心として停止状態の時空間距離が1.5(秒・秒)以下の範囲(
図12中ε1で示す範囲)には、プローブ情報Da-10、Db-29、及びDb-30が存在する。
プローブG1における取得間隔Igは5秒であり、停止状態の間のプローブ情報はないので、議論することはできない。したがって、下記数式2の停止状態における時空間距離で判別する。
図12に示すプローブ情報G-0とプローブ情報Da-10、プローブ情報G-0とプローブ情報Db-29、プローブ情報G-0とプローブ情報Db-30の停止状態における時空間距離を求めた。結果を表5に示す。
【0083】
【0084】
【表5】
表5の結果から、プローブ情報G-0とプローブ情報Da-10の停止状態の時空間距離は0.9(秒・秒)、プローブ情報G-0とプローブ情報Db-29の停止状態の時空間距離は0.6(秒・秒)、プローブ情報G-0とプローブ情報Db-30の停止状態の時空間距離は1.2(秒・秒)であり、いずれも停止状態の時空間距離が1.5(秒・秒)以下であることから、実質的同一(近傍)である。
その結果、プローブ情報G-0と実質的同一(近傍)であるプローブDの集合{Da-10、Db-29、Db-30}を把握することができる。
【0085】
(2)プローブG1におけるプローブ情報G-nの実質的同一(近傍)を停止状態の時空間距離によって判定し、プローブDの集合{Db、Dc}を特定する。
図12に示すように、プローブ情報G-nを中心として停止状態の時空間距離が1.5(秒・秒)以下の範囲(
図12中ε2で示す範囲)に含まれるプローブ情報Db-90とプローブ情報Dc-1との実質的同一(近傍)を判別する。
プローブG1における取得間隔Igは5秒であり、停止状態の間の情報はないので、議論することはできない。したがって、上記数式2の停止状態における時空間距離で判断する。結果を表6に示す。
【0086】
【表6】
表6の結果から、プローブ情報G-nとプローブ情報Db-90の停止状態の時空間距離は0.6(秒・秒)、プローブ情報G-nとプローブ情報Dc-1の停止状態の時空間距離は1.1(秒・秒)であり、いずれも停止状態の時空間距離が1.5(秒・秒)以下であることから、実質的同一(近傍)である。なお、プローブ情報G-nとプローブ情報Db-89の停止状態の時空間距離は2.3(秒・秒)であり、停止状態の時空間距離が1.5(秒・秒)を超えているので、実質的同一(近傍)の範囲を外れている。
その結果、プローブ情報G-nと実質的同一(近傍)であるプローブDの集合{Db-90、Dc-1}を把握することができる。
【0087】
(3)次に、
図13に示すように、(1)及び(2)で把握されたプローブDの集合{Da、Db}とプローブDの集合{Db、Dc}との積をとり、プローブDbを停止状態での一次推定の候補とした。
【0088】
-移動状態での最終判定-
(4)
図14に示すように、プローブG1におけるプローブ情報G-1~G-mとプローブDbは移動状態であるので、出発地点o2の付近(直後)及び到着地点d2の付近(直後)において「一式」状態であることと、中間地点において「一式」状態であることを検証することにより、移動状態において実質的同一(近傍)であることを担保する。
【0089】
(5)
図15に示すように、プローブG1における、プローブ情報G-1(出発後加速中)、プローブ情報G-m(到着前減速中)、プローブ情報G-2(安定走行中)、及びプローブ情報G-3(安定走行中)について、実施例1と同様にして、プローブ情報G-1とプローブ情報Db-30、プローブ情報G-2とプローブ情報Db-45、プローブ情報G-3とプローブ情報Db-65、及びG-mとプローブ情報Db-88の移動状態の時空間距離を求めた。結果を表7及び表8に示す。
【0090】
【0091】
【0092】
表7及び表8の結果から、プローブ情報G-1とプローブ情報Db-30の移動状態の時空間距離は0.1(秒・秒)、プローブ情報G-2とプローブ情報Db-45の移動状態の時空間距離は0.3(秒・秒)、プローブ情報G-3とプローブ情報Db-65の移動状態の時空間距離は0.3(秒・秒)、プローブ情報G-mとプローブ情報Db-88の移動状態の時空間距離は0.2(秒・秒)であり、いずれも移動状態の時空間距離が1.5(秒・秒)以下であることから、プローブ情報G-1とプローブ情報Db-30、プローブ情報G-2とプローブ情報Db-45、プローブ情報G-3とプローブ情報Db-65、及びG-mとDb-88は、いずれも実質的同一(近傍)であることがわかる。
【0093】
以上の結果から、プローブG1におけるプローブ情報(G-0、G-1、G-2、G-3、G-m、G-n)は、プローブDbにおけるプローブ情報(Db-30、Db-45、Db-55、Db-65、Db-75、Db-88、Db-89)と同じ軌跡にあり、両プローブ情報は実質的同一(近傍)であることから、同一移動体に関するプローブ情報である(「一式」である)と判別できる。
【0094】
(実施例3)
各車両(ヘッド又は単車)には、
図16に示すように複数の車載機D(デジタコ)、車載機G2(ETC2.0)が搭載されており、これら車載機の搭載状態について、
図17に示す。
図17の[a]、[b]、[c]、及び[d]のうち[a]の場合を車載機が「同体」であると定義する。
実施例3は、
図17の[a]、[b]、[c]、及び[d]の車載機の搭載状態の車両が混在しながら
図18に示すようなカーブを通過する際において、[a]の状態(同体)の車両を抽出する例である。
車載機G2(ETC2.0)は、大型車だけでなく普通車にも搭載されているので、[c]では普通車からの情報も大量に取得される。
なお、実施例3では、実際に使用頻度の高いカーブでの例を取り上げたが、直線においても同様に適用できる。
【0095】
図18に示すように、速度50km/時でカーブに侵入し、速度維持したケース(道路構造令15条、50km/時の場合、R=100m)である。
車載機D(デジタコ)の位置情報は、1秒毎に取得され、13.9m毎である。r=100mなので1/4周で157m、157/13.9=11.3個取得する。
車載機G2(ETC2.0)は200m毎又は進行方向の累積変化が45°時に取得する。
判断する区間として、R=100mのカーブをP2~P5の3/4周約471mとカーブ直前の直線P1~P2の約140mの計約611mのP1~P5を対象とする。
まず、[a]状態(同体)にある車両がP1~P5を通過する間に取得する地点をプロットすると、車載機G2(ETC2.0)ではg1、g2、・・・、g7となり、車載機D(デジタコ)では1、2、・・・、9、10、・・・、21、・・・、32、・・・、43となる。
このままでは、時間軸との重ね合わせ表現が困難なので、以降では、
図19及び
図19のA部分を拡大した
図20に示すようにP1~P5を直線に伸ばした形で表現する。
【0096】
図19及び
図19のA部分を拡大した
図20に示すように、4台の車両α、β、γ、δが該当カーブを走行しており、各々[c](普通車)、[a]、[c](ヘッド)、及び[a]である。
車両βの通過地点g2を基軸に判定する。
50km/時で9秒毎に通過すれば、車間距離は約125m-15m=110mである。
北緯35度付近では、緯度及び経度ともに、1秒=25mとする。
相対経度及び相対緯度は、カーブ中心点を0.00、0.00とした相対値である。
相対時刻は「β-g-2」の時刻を00:00:06.00とした相対値である。
【0097】
次に、
図21は、実施例3の同一移動体プローブ情報の判別方法によって同一移動体であると判別する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図18に示すカーブにおいて、4台の車両α、β、γ、δが走行しており、各々[c](普通車)、[a]、[c](ヘッド)、及び[a]である場合、領域1、領域2において、以下に示すようにして実質的同一(「同体」)状態を判定する。
【0098】
ステップS11では、車載機G2(ETC2.0)において、ある区間で最初に進行方向の累積変化が45°になったプローブ情報を抽出し、g2を候補とすると、処理をステップS12に移行する。
【0099】
ステップS12では、g2(領域1)において時空間距離が最も短い車両βを特定すると、処理をステップS13に移行する。
【0100】
具体的には、g2(領域1)において、下記数式3から、プローブ情報β-g-2とプローブ情報β-d-15の時空間距離、プローブ情報β-g-2とプローブ情報β-d-16の時空間距離、プローブ情報β-g-2とプローブ情報β-d-17の時空間距離、プローブ情報β-g-2とプローブ情報β-d-18の時空間距離、プローブ情報β-g-2とプローブ情報β-d-19の時空間距離、及びプローブ情報β-g-2とプローブ情報β-d-20の時空間距離をそれぞれ求めた。結果を表9に示した。
【0101】
【0102】
【表9】
表9の結果から、領域1における時空間距離の最小値は、プローブ情報β-g-2とプローブ情報β-d-16の時空間距離=0.023(秒・秒)であり、時空間距離が1.5(秒・秒)以下であるプローブ情報β-g-2とプローブ情報β-d-16は実質的同一(近傍)であることがわかる。
【0103】
ステップS13では、g3(領域2)において時空間距離が最も短い車両βを特定すると、処理をステップS14に移行する。
【0104】
具体的には、g3(領域2)において、上記数式3から、プローブ情報β-g-3とプローブ情報β-d-20の時空間距離、プローブ情報β-g-3とプローブ情報β-d-21の時空間距離、プローブ情報β-g-3とプローブ情報β-d-22の時空間距離、プローブ情報β-g-3とプローブ情報β-d-23の時空間距離、プローブ情報β-g-3とプローブ情報β-d-24の時空間距離、及びプローブ情報β-g-3とプローブ情報β-d-25の時空間距離をそれぞれ求めた。結果を表10に示した。
【0105】
【表10】
表10の結果から、領域2における時空間距離の最小値は、プローブ情報β-g-3とプローブ情報β-d-21の時空間距離=0.000(秒・秒)であり、時空間距離が1.5(秒・秒)以下であるプローブ情報β-g-3とプローブ情報β-d-21は実質的同一(近傍)であることがわかった。
【0106】
ステップS14では、車両βにおいて車載機Dと車載機G2が実質的同一(「同体」)状態であると確定すると、本処理を完了する。
【符号の説明】
【0107】
100 同一移動体プローブ情報の判別装置
101 制御部
102 主記憶装置
103 補助記憶装置
104 I/Oインターフェイス
105 通信インターフェイス
106 入力装置
107 出力装置
108 表示装置
109 システムバス
120 通信機能部
130 入力機能部
140 出力機能部
150 表示機能部
160 記憶機能部
170 制御機能部
171 判別部