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特許7704443ロボットマイクロサージェリアセンブリ、オペレーティングアリーナ、および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】ロボットマイクロサージェリアセンブリ、オペレーティングアリーナ、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/37 20160101AFI20250701BHJP
【FI】
A61B34/37
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022548512
(86)(22)【出願日】2021-02-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 IB2021051029
(87)【国際公開番号】W WO2021161162
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2024-02-06
(31)【優先権主張番号】102020000002548
(32)【優先日】2020-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518132307
【氏名又は名称】メディカル・マイクロインストゥルメンツ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MEDICAL MICROINSTRUMENTS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】バゲリ ガヴィフェクル,マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】ピネスキ,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】シミ,マッシミリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】プリスコ,ジュゼッペ マリア
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-534099(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0000580(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106175851(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30-34/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット支援マイクロサージェリのためのロボットサージェリアセンブリ(401)であって、
マクロ位置決め受動アーム(450)と、
一対の電動マニピュレータ(420、520)であって、
前記一対の電動マニピュレータ(420、520)のそれぞれが、互いに直交する3つの電動リニアスライダ(423、424、425)を含み、
前記一対の電動マニピュレータ(420、520)の一方の電動マニピュレータ(420)の前記3つの電動リニアスライダ(423、424、425)が、前記一対の電動マニピュレータ(420、520)の他方の電動マニピュレータ(520)の前記3つの電動リニアスライダ(423、424、425)に平行で、
前記一対の電動マニピュレータ(420、520)は共に、前記マクロ位置決め受動アーム(450)の同じリンク(454)に取り付けられている、一対の電動マニピュレータ(420、520)と、
一対の無菌アダプタ(430、530)であって、前記一対の無菌アダプタ(430、530)のそれぞれは、一対の手術器具(440、540)に接続するのに適した結合装置(433)を含む、一対の無菌アダプタ(430、530)と、
前記一対の無菌アダプタ(430、530)にそれぞれ接続された前記一対の手術器具(440、540)であって、前記一対の手術器具はそれぞれシャフト(441、541)を備える、一対の手術器具(430、530)と、
一対の伝達部材(410)であって、前記一対の伝達部材(410)はそれぞれが、
前記一対の電動マニピュレータ(420、520)のうちの少なくとも1つの電動マニピュレータ(420、520)に剛性的に接続するのに適した第1の固定部(411)と、
前記一対の無菌アダプタ(430、530)のうちの少なくとも1つの無菌アダプタ(430、530)に剛性的に接続する第2の固定部(412)と、
前記第1の固定部(411)と前記第2の固定部(412)との間で、前記第1の固定部(411)及び前記第2の固定部(412)をそれぞれの相互位置に保持する部品本体(415)とを備えた、一対の伝達部材(410)とを含み、
前記一対の伝達部材(410)のそれぞれの前記部品本体(415)は、前記第1の固定部(411)及び前記第2の固定部(412)を第1の水平方向(X-X)にオフセット距離(d1)だけ間隔をあけて、前記一対の電動マニピュレータ(420、520)から受けた操作動作が前記オフセット距離(d1)をずらして前記一対の無菌アダプタ(430、530)に伝達され、
前記一対の伝達部材(410)のそれぞれの前記部品本体(415)は、前記一対の伝達部材(410)のそれぞれの前記第1の固定部(411)と前記第2の固定部(412)との間に、前記第1の水平方向(X-X)及び前記第1の水平方向(X-X)と直交する第2水平方向(Y-Y)に立体角(Ω)を形成する角度オフセットを与える少なくとも一つの剛性のロックジョイント(418)を有し、
前記一対の伝達部材(410)はそれぞれ、前記一対の電動マニピュレータ(420、520)の一方と前記一対の無菌アダプタ(430、530)のそれぞれとの間に介在されて、前記一対の電動マニピュレータ(420、530)の前記3つの電動リニアスライダ(423、424、425)と前記一対の無菌アダプタ(430、530)の前記結合装置(433)との相対相互位置及び向きを決定し、
前記一対の手術器具(440、540)のそれぞれの前記シャフト(441、541)は、前記一対の電動マニピュレータ(420、520)の前記3つの電動リニアスライダ(423、424、425)のそれぞれ及び全てのスライド方向(X-X、Y-Y、Z-Z)にオフセットされ、
前記一対の手術器具(440、540)のそれぞれの前記シャフト(441、541)は、それぞれの遠位端(442、542)を前方に向けて互いに収束して延びており 、
前記一対の電動マニピュレータ(420、520)はそれぞれ、前記一対の電動マニピュレータ(420、520)のそれぞれを個別に包む2つのケース(427、527)を含み、
前記2つのケース(427、527)は、窓(434)が前記2つのケース(427、527)によって少なくとも部分的に区画されるように、前記第1の水平方向(X-X)に沿って予め定められた水平距離(X2)だけ互いに離間され、
前記窓(434)は、外科医(402)が前記窓(434)の後ろに位置を占めたときに、前記一対の電動マニピュレータ(420、520)が外科医の肩(402’)の上に位置するように設計されている、ロボットサージェリアセンブリ(401)。
【請求項2】
前記一対の伝達部材(410)のそれぞれと前記一対の無菌アダプタ(430、530)のそれぞれとの間に介在し、
前記シャフト(441、541)を有する前記一対の手術器具(440、540)のそれぞれを、前記一対の手術器具(440、540)の前記シャフト(441、541)の長手方向の展開軸を中心に旋回させるのに適した回転モータ(461)(461)を含む、
少なくとも一つのモータボックスアセンブリ(460)を有する、請求項1に記載のロボットサージェリアセンブリ(401)。
【請求項3】
前記シャフトのうちの一方の第1のシャフト(441)の遠位端(442)が第1の作業ボリューム(403)に達し、前記シャフトのうちの他方の第2のシャフト(541)の遠位端(542)が第2の作業ボリューム(503)に達し、
前記第1の作業ボリューム(403)および前記第2の作業ボリューム(503)は重なり合って共通作業ボリューム(404)を形成し、
前記共通作業ボリューム(404)は、前記第1のシャフト(441)及び前記第2のシャフト(441、541)の両方の遠位部分(442、542)が、前記3つの電動リニアスライダ(423、424、425)の任意の動作位置においても到達可能である、請求項1又は2に記載のロボットサージェリアセンブリ(401)。
【請求項4】
前記共通作業ボリューム(404)は、平行六面体である、請求項3に記載のロボットサージェリアセンブリ(401)。
【請求項5】
前記一対の電動マニピュレータ(420、520)の前記3つの電動リニアスライダ(423、424、425)は、垂直方向(Z-Z)に沿って延びる、請求項3又は4のいずれかに記載のロボットサージェリアセンブリ(401)。
【請求項6】
前記予め定義された水平距離(X2)は、前記オフセット距離(d1)よりも大きく、
前記2つのケース(427、527)のそれぞれは、少なくとも1つの伝達部品(410)を包含し、
前記2つのケース(427、527)は、遠位に取り付けられた前記一対の手術器具(440、540)の前記シャフト(441、541)が、前記シャフトの遠位端(442、542)で前記共有作業ボリューム(404)に達するように、互いに向かい合う凹部を有している、請求項3から5のいずれかに記載のロボットサージェリアセンブリ(401)。
【請求項7】
前記リンクに含まれる第1のリンク(454)及び前記一対の電動マニピュレータ(420、520)が、前記窓(434)を部分的に区画する逆「U」字型の構造を形成する、請求項1から6のいずれかに記載のロボットサージェリアセンブリ(401)。
【請求項8】
前記マクロ位置決め受動アーム(450)が、前記第1のリンク(454)を含む複数のアームリンク(454、455、456)を含み、
前記複数のアームリンク(454、455、456)が互いに直列に接続されると共に複数の回転ジョイント(457, 458、459)を介して関節接合され、
前記一対の電動マニピュレータ(420、520)が取り付けられる前記第1のリンク(454)は、2つの取付部(445、545)をさらに備え、
前記2つの取付部(445、545)はそれぞれ、前記一対の電動マニピュレータ(420、520)のうちの一つの電動マニピュレータ(420、520)に接続するのに適し、
遠位回転ジョイント(457)が、前記第1のリンク(454)と、前記リンクに含まれる第2リンク(455)とを接続し 、
前記遠位回転ジョイント(457)は、前記第1のリンク(454)の取付部(445、545)の間に設けられており、
前記同じ第1のリンク(454)を前記遠位回転ジョイント(457)を中心に所定回動角度回動させる回動動作(P4)が、前記マクロ位置決めアーム(450)の前記第2リンク(455)に対して位置を反転するように、前記電動マニピュレータ(420、520)を決定する、ことを特徴とする請求項に記載のロボットサージェリアセンブリ(401)。
【請求項9】
前記第1のリンク(454)の前記取付部(445、545)の位置が、前記遠位回転ジョイント(457)に対して対称的に配置されている、請求項8に記載のロボットサージェリアセンブリ(401)。
【請求項10】
前記マクロ位置決めアーム(450)は、少なくとも1つの接地ユニット(478)を有するロボット台車(477)に接続されており、
前記少なくとも1つの接地ユニット(478)は、複数の車輪を備える、請求項1から9のいずれかに記載のロボットサージェリアセンブリ(401)。
【請求項11】
前記ロボット台車(477)は、多角形の形状を有し、複数のコーナー部分(436)を形成する頂部周囲(435)を規定する頂部(439)を備え、
前記マクロ位置決めアーム(450)は、前記コーナー部分(436)のうちの一つの近くに接続されている、請求項10記載のロボットサージェリアセンブリ(401)。
【請求項12】
前記ロボット台車(477)の上面部分(439)は、前記ロボットサージェリアセンブリ(401)の状態に関する情報を表示するためのスクリーン(452)を備える、請求項11に記載のロボットサージェリアセンブリ(401)。
【請求項13】
前記手術器具(440、540)の少なくとも1つおよび/または前記一対の電動マニピュレータ(420、520)の少なくとも1つを制御するための少なくとも1つのマスタ入力ツール(465、565)を備えるマスタコントローラアセンブリ(460)を備え、
前記少なくとも1つのマスタ入力ツール(465、565)が機械的に拘束されず光学および/または電磁追跡装置により追跡される、請求項1から12のいずれかに記載のロボットサージェリアセンブリ(401)。
【請求項14】
前記マスタコントローラアセンブリ(460)が、無菌コンソール(463)を備える、請求項13に記載のロボットサージェリアセンブリ(401)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の少なくとも1つのロボットサージェリアセンブリ(401)と、
手術台(405)と、
顕微鏡アセンブリ(470)とを有し、
前記顕微鏡アセンブリ(470)の少なくとも1つの眼球(472)は、少なくとも部分的に前記窓(434)内にある、ことを特徴とする手術用アリーナ(408)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、手術のためのロボットアセンブリである。特に、本発明は、ロボット支援マイクロサージェリに好適なロボットアセンブリに関する。本発明はまた、ロボットサージェリアセンブリのための伝達部材に関する。本発明はまた、手術用アリーナに関する。本発明は、また、ロボット手術システムの位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット手術装置は、当該技術分野において一般に知られており、典型的には、スレーブロボット中央タワー(又はロボット台車)と、中央タワーから延びる複数のロボットアームを有する。各ロボットアームは、それに遠位に取り付けられた手術用エンドエフェクタを移動させるための遠隔操作ロボット電動位置決めシステム(又はマニピュレータ)からなり、手術用エンドエフェクタは、患者に対して外科的処置を行うように設計されている。マスタコントローラは、スレーブ電動位置決めシステムおよび外科用エンドエフェクタを制御するために提供される。
【0003】
典型的には、ロボットの中央タワーは、手術ベッドに対する複数のロボットアームの高さを調整するように、垂直方向に伸縮自在である。中央タワーはまた、ロボットアームを台車から遠ざけるために、水平方向に伸縮可能であってもよい。各ロボットアームは、各アームが中央タワーに近い折り畳まれた構成から、最も遠位の連結棒が中央タワーから最大距離にある伸長した構成まで拡張可能であるように、多数の連結棒を連結する複数のモータ駆動回転ジョイントを有する。最遠位連結棒は、通常、1つの外科用内視鏡器具に、または介在する無菌ドレーピング層を介して1つの腹腔鏡カメラに接続するための無菌アダプタを担持する。連結棒の数及び大きさの選択により、各ロボットアームは、水平面に対して特定の個別姿勢をとることができる。また、すべてのロボットアームを同時に持ち上げるために、各ロボットアームの近位根部をロボットタワーの同じ伸縮部分にヒンジで固定することも知られている。このタイプのロボット装置は、例えば、US-2019-223969およびUS-2011-27777の文献に示されている。
【0004】
遠隔操作ロボットのさらなる例は、US-2006-0087746、US-6731988、WO-2016-201207、CN-106175851、EP-1815949およびUS-2018-0116741に示される。
【0005】
例えばWO-2017-083253、US-5876325、WO-97-29690及びUS-2014-0069437に示されているように、手術ベッドに直接固定された1つ又は複数のロボット手術アームも知られている。
【0006】
患者は、典型的には、例えば病院の手術室内の無菌手術場内に位置する手術用ベッド上に横たわる。通常、手術室アリーナの無菌環境を汚染から保護するために、使い捨ての手術用ドレープがロボットの一部を包んでいる。使い捨てドレープによるロボットシステムの無菌は、ロボット器具の非無菌部分による細菌汚染を回避する。
【0007】
マイクロサージェリ処置は、例えば、小径血管および神経からなる血管吻合の実行、ならびに外傷性病変の発生後の解剖学的部分の再建、組織の再脈管形成、四肢の再接着、移植および再植術処置などの生体組織の再建のいくつかの段階において実施される。マイクロサージェリの分野では、ロボット装置は従来のマイクロサージェリに比べて手術器具を高度に小型化することができ、同時にロボット手術システムのスレーブ手術器具への震動の伝達を低減することができるようになる。マイクロサージェリは開腹手術の手法である。従来の(非ロボットの)マイクロサージェリは、外科医が、患者の解剖学的構造を拡大することができる手術顕微鏡、典型的には光学顕微鏡とともに操作することを必要とし、したがって、マイクロサージェリのためのロボット手術装置は、好適には手術顕微鏡を備えている。患者の解剖学的範囲に関する顕微鏡の視野は、典型的には、倍率と、20~70mmの間のサイズである。DE-102005031557に示されている手術用途の既知の光学ビジョンシステムの一例である。
【0008】
公知のロボット手術装置は、ロボット支援腹腔鏡手術にも適しており、手術器具及び少なくとも1つのカメラは、一組の経皮トロカールを用いて患者の体内に個別に挿入され、視覚化スクリーンは、カメラから取得した患者の体内に関する腹腔鏡画像を視覚化する。ロボット支援腹腔鏡手術の一例は、US-2014-0179997に示されている。
【0009】
ロボット支援マイクロサージェリ中に患者の解剖学的構造がある手術ベッドを囲む手術場は、ロボット、顕微鏡、およびロボット支援手術全体のスレーブ部分の存在に起因して、しばしば混雑を生じる。
【0010】
さらに、ロボット支援マイクロサージェリのいくつかのアプリケーションは、ロボット支援手術中に無菌手術室アリーナ内で外科医の存在を望む。それによって、単一の介入中に、同じマイクロ外科医は、ロボット支援マイクロ手術から従来の(非ロボット)マイクロ手術に切り替えることを目指し、したがって、ピンセットのような従来のマイクロ手術ツールを手でつかんで、その後、ロボットシステムのマスタコントローラを手でつかんで外科医ロボット マスタ コンソールに戻る。
【0011】
既知のソリューションに関して改善された汎用性のロボット手術システムを提供する必要性を感じ、同時にいくつかの手術構成、それらのいくつかはまた一時的にロボットの使用を除外することができる、この理由のためにロボット システムの複雑さを増加または手術中の外科医の快適さを減らすことがなく適合することができる。
【0012】
外科医がロボット支援マイクロサージェリから非ロボットマイクロサージェリに切り替えることを可能にするロボット手術システムを提供する必要性が感じられ、したがって、マイクロサージェリの視野内のロボットマイクロサージェリシステムの大きさを減らすことができ、この理由のために、スレーブロボット装置の容積の大きさを増やすことなく、またはマイクロサージェリ中のマイクロサージェリの快適性を減らすことなく、ロボットマイクロサージェリのシステムの大きさを減らす。
【0013】
開かれた手術場において、顕微鏡の拡大された視界の下で、少なくとも2、3のロボット器具を同じかつ単一の動きで配置することを可能にするロボット手術システムを提供する必要性が感じられる。
【0014】
同じ、または部分的に重なった、マイクロサージェリワークスペース内で器具を正確に動かすことを可能にするロボット手術システムを提供する必要性を感じている。
【0015】
同じ出願人のWO-2017-064301及びUS-10864051は、特に、単一のロボットアームがロボット台車から延び、その遠位端に、平行に配置され、単一のロボットアームの同じ遠位リンクに接続された一対のスレーブ遠隔操作ロボットモータ式位置決定システムを含んでいるロボットサージェリアセンブリの解決策を開示している。ロボットアームの前記単一の遠位リンクは、2つの関節を有し、各関節は、前記2つの電動位置決めシステムの1つを取り付けられる。各電動式位置決めシステムは、直交する3方向の組に沿ってその遠位に取り付けられたシャフトを有する外科用器具を位置決めするための3つの直交する電動式スライダを有する。2つの電動位置決めシステムは、手術器具の2つの先端が共に1つの作動容積に含まれるように、互いに収束して延びる。収束する一対の電動位置決めシステムの電動スライダの作動を制御する制御システムは、スライド要素にかかる重力の成分も考慮に入れるものとする。
【0016】
いくつかの観点で有利であるにもかかわらず、収束する手術器具シャフトのこのような解決策は、同じ作業ボリューム内の両方の外科チップの位置決めの制御に関連する不都合を生じやすく、前記電動スライダを有する電動マニピュレータは、互いに対してオフセットして配向される。
【0017】
ロボット手術システムに対する制御を単純化する必要性が感じられるが、この理由のために、それにそれぞれ遠位に取り付けられた2つの手術器具が同じ手術ボリュームに到達するための能力を失うことなく、ロボット手術システムに対する制御を単純化することができる。
【発明の概要】
【0018】
公知技術を参照して述べた欠点を克服し、マイクロサージェリに特に適したロボット手術システムを提供することが本発明の範疇である。
【0019】
これらおよび他の範囲は、請求項1による、および請求項33によるロボットサージェリアセンブリ、ならびに請求項12による、および請求項32による手術場アリーナによって達成される。
【0020】
いくつかの好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0021】
本発明の一態様によれば、ロボット支援マイクロサージェリのためのロボットサージェリアセンブリは、マクロ位置決めアームと、前記マクロ位置決めアームの同じ第1リンクに両方取り付けられた一対の電動マニピュレータと、を備える。前記マクロポジショニングアームは、パッシブマクロポジショニングアームであってもよい。同一の第1リンクは、マクロポジショニングアームの最遠位リンクであってもよい。同第1リンクは、前記一対の電動マニピュレータの相互の位置及び向きを剛性的に決定することができる剛性リンクであってもよい。受動的マクロポジショニングアームは、磁気ブレーキだけでなく、前記ブレーキの少なくともいくつかをロック/アンロックするための電気磁気手段、例えば1つ以上のソレノイドバルブ、を含んでいてもよい。
【0022】
本発明の一態様によれば、各電動マニピュレータは、少なくとも3つの相互に直交する電動リニアスライダを有する。各スライダは、溝および/またはレールなどのそれぞれの案内要素に関連付けられることができる。各マニピュレータは、直交マニピュレータであってもよい。つのマニピュレータは、互いに側面となるように配置されてもよく、マクロ位置決め装置の同じ第1リンクから実質的に同じ距離であってもよい。
【0023】
本発明の一態様によれば、各電動マニピュレータは、手術器具に接続するのに適した結合装置を含む無菌アダプタに接続される。外科用器具は、好ましくは、無菌アダプタから着脱可能である。無菌アダプタは、好ましくは、それぞれのマニピュレータから着脱可能である。前記伝達部材と前記無菌アダプタのそれぞれとの間に介在して少なくとも1つのモータボックスアセンブリが設けられ、該モータボックスアセンブリは、前記シャフトを有するそれぞれの外科用器具を該シャフトの長手方向の展開軸を中心に回動させるのに適した回転モータ(461)を有することができる。前記回転軸は、前記シャフトに対して偏心していてもよい。
【0024】
本発明の一態様によれば、それぞれの電動マニピュレータとそれぞれの無菌アダプタとの間には、電動マニピュレータの少なくとも1つの電動リニアスライダとそれぞれの無菌アダプタの前記結合装置との相対相互位置及び向きを剛性的に決定するためのそれぞれの伝達部材が介在される。
【0025】
前記伝達部材は、各無菌アダプタのシャフトが、それぞれの電動マニピュレータの前記電動リニアスライダの各々及び全てのスライド方向に関してオフセットされるように、線形及び角度の両方のオフセットを規定してもよい。
【0026】
外科用器具は、各無菌アダプタに着脱可能に接続されてもよい。
【0027】
外科用器具のシャフトは、収束して延びてもよい。
【0028】
前記一対の電動マニピュレータの第1の電動マニピュレータの電動リニアスライダは、前記一対の電動マニピュレータの第2の電動マニピュレータの電動リニアスライダに対して平行であってもよい。
【0029】
前記一対の電動マニピュレータの少なくとも1つの電動マニピュレータの前記電動リニアスライダの1つは、垂直に延びてもよい。
【0030】
前記手術器具のシャフトは、それぞれの遠位端を前方に向けて互いに収束して延びてもよい。
【0031】
前記一対の電動マニピュレータの各電動マニピュレータを個別に包む目的で可撓性および/または剛性のケースが提供されてもよく、前記ケースは、窓が前記2つのケースによって少なくとも部分的に区画されるように水平方向で互いに離間されてもよい。マクロ位置決めアームの前記同じ第1リンクと、包囲された前記一対の電動マニピュレータとは、前記窓を部分的に区画する逆「U」字型の構造を形成する。
【0032】
遠位回転ジョイントは、マクロポジショニングアームの第2の近位リンクに前記同じ第1のリンクの中間を接続してもよく、これにより、遠位回転ジョイントを中心に同じ第1のリンクを枢動角度に枢動する動作が、マクロポジショニングアームの第2のリンクに対してその位置を反転するように、電動式マニピュレータを決定する。
【0033】
マクロ位置決めアームは、複数の車輪のような少なくとも1つの地面接触ユニットを有するロボット台車に接続されてもよい。台車は、多角形の形状を有し、複数のコーナー部分を形成するトップ部分周辺を規定するトップ部分を含んでもよく、前記マクロポジショニングアームは、介在する垂直リンクを介して、前記コーナー部分のうちの1つの近くに接続され、言い換えれば、マクロポジショニングアームは、ロボットが方向性を持つように、そしてマクロポジショニングアームの同じ第1リンクと操作卓との間の距離を最小化するために台車の幾何学的中心で接続されない。
【0034】
実施形態によれば、手術場は、少なくとも1つのロボットサージェリアセンブリと、手術台と、顕微鏡アセンブリとを備え、顕微鏡アセンブリの少なくとも1つの眼球は、少なくとも部分的に前記2つの電動マニピュレータの間に規定される前記窓内にある。
【0035】
実施形態によれば、手術場は、少なくとも1つのロボットサージェリアセンブリと、手術台と、手術場を視覚化するためのスクリーンと、を備える。
【0036】
アセンブリ及び構成要素の更なる特徴及び利点は、添付の図を参照しながら非限定的な例として与えられる、その好ましい実施形態の以下に提供される説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、一実施形態によるロボットサージェリアセンブリの軸方向図である。
図2図2は、図1の矢印IIによって示される点からの上面図である。
図3図3は、実施形態による、ロボットサージェリアセンブリを上面図として描いたスケッチであり、ロボット台車の第1の側面が外科医に面し、点線で、移行位置にあるマクロ位置決めアームを示している、動作状態における図である。
図4図4は、ロボット台車の第2の反対側が外科医に面している動作状態におけるロボットサージェリアセンブリを描いている図3としての斜視図である。
図5図5は、それぞれ、図3及び図4の操作状態における、実施形態によるロボットサージェリアセンブリを示す軸方向図であり、ここで、ドレーピング及びケーブル配線は、明確さを求めるために示されていない。
図6図6は、それぞれ、図3及び図4の操作状態における、実施形態によるロボットサージェリアセンブリを示す軸方向図であり、ここで、ドレーピング及びケーブル配線は、明確さを求めるために示されていない。
図7図7は、実施形態によるロボットサージェリアセンブリの一部、及び外科医を示す切断軸方向図である。
図8図8は、図7の矢印VIIIによって示される観点からの切断されたアキソノメトリック図である。
図9図9は、実施形態によるロボットサージェリアセンブリと、顕微鏡アセンブリと、手術台とを含む手術アリーナを軸線図として示す斜視図である。
図10図10は、実施形態による、ロボットサージェリアセンブリの一部の正面軸方向図である。
図11図11は、図10に示されるロボットサージェリアセンブリの一部の背面軸方向図である。
図12図12は、実施形態による、ロボット手術システムの一部の軸方向図であり、ここで、いくつかの部品は、明瞭さを求めるために透明である。
図13図13は、実施形態による、ロボット手術システムの一部の軸方向図であり、ここで、いくつかの部品は、明瞭さを求めるために透明である。
図14図14は、実施形態による、ロボット手術システムの一部の軸方向図であり、ここで、いくつかの部品は、明瞭さを求めるために透明である。
図15図15は、実施形態による、無菌コンソールの軸方向図である。
図16図16は、実施形態による、ロボットサージェリアセンブリのための伝送コンポーネントの平面図である。
図17図17は、図16の矢印XVIIによって示される方向による図である。
図18図18は、実施形態による、ロボットサージェリアセンブリのための伝動構成要素を示す軸方向図である。
図19図19は、実施形態による、シャフトの遠位端にある多関節端末工具を示す軸方向図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
一般的な実施形態によれば、ロボットサージェリアセンブリ401のための伝達部材410が提供される。
【0039】
一実施形態によれば、前記伝達部材は、金属材料で作られている。
【0040】
実施形態によれば、前記ロボットサージェリアセンブリ401において、近位-遠位方向W-Wが定義される。実施形態によれば、前記近位-遠位方向W-Wは、前記ロボットサージェリアセンブリ401の長手方向の展開方向と実質的に一致する。実施形態によれば、前記近位-遠位方向W-Wは、ロボットサージェリアセンブリ401の長手方向の展開方向と実質的に一致し、受動マクロ位置決めアームと無菌アダプタとの間の力の伝達方向、好ましくは受動マクロ位置決めアームと無菌アダプタに遠位に取り付けられた外科用器具のシャフトとの間の力の伝達方向と一致する。当業者は、アセンブリ401が、両方とも同じマクロ位置決めアームに接続された一対の電動マニピュレータを有するとき、局所近位遠位方向が、2つのブランチのそれぞれについて、すなわち、各電動マニピュレータとそれぞれの無菌アダプタの間、好ましくは各電動マニピュレータとそれぞれの無菌アダプタに遠位で取り付けられた外科用器具のシャフトとの間で定義されてよいことを理解する。
【0041】
前記伝達部材410は、電動マニピュレータ420、520に剛性的に接続するのに適した少なくとも1つの第1固定部411、すなわち近位固定部411を備える。実施形態によれば、前記第1固定部411は、近位-遠位方向W-Wに沿って局所的に向けられた、例えば少なくとも1つの雌要素及び/又は少なくとも1つの雄要素を有する近位固定手段421を有する。
【0042】
実施形態によれば、前記伝達部材410は、無菌アダプタ430、530に剛性的に接続するのに適した少なくとも1つの第2固定部412、又は遠位固定部412を備える。実施形態によれば、前記第2固定部412は、例えば、局所的な近位-遠位方向W-Wに沿って局所的に向けられた、少なくとも1つの雌要素及び/又は少なくとも1つの雄要素を有する遠位固定手段422を具える。
【0043】
例えば、前記固定手段421及び/又は422は、前記電動マニピュレータ420、520及び前記無菌アダプタ430、530にそれぞれ直接的又は間接的に、さらなる伝達要素の介在によって接続するためのネジ付きネジを受け入れるのに適したネジ付き貫通孔から構成されている。
【0044】
実施形態によれば、前記局所近位-遠位方向W-Wは、前記電動マニピュレータから前記無菌アダプタへの機械的作用の伝達方向と局所的に一致する。
【0045】
前記伝達部材410は、前記第1固定部411と前記第2固定部412との間に部品本体415を備える。
【0046】
前記第1固定部411及び前記第2固定部412は、前記部品本体415によってそれぞれの相互位置に保持される。実施形態によれば、前記部品本体415は、本体厚さ414を有する体積エンカウントを有する。実施形態によれば、前記本体厚さ414は、動作状態にある[すなわち、電動マニピュレータ420、520に接続されている]とき、局所的に近位-遠位方向W-Wに平行に延在する。
【0047】
実施形態によれば、前記部品本体415は、プレート413の少なくとも一部を構成する。
【0048】
実施形態によれば、前記部品本体415の前記プレート413は、近接に面するのに適した第1のプレート面416と、前記第1のプレート面416に関して反対側の第2のプレート面417とを有する。
【0049】
好ましい実施形態によれば、前記第1固定部411と前記第2固定部412とは、互いにオフセット距離d1だけ離間している。オフセット距離dは、動作状態にあるとき、垂直方向Z-Zに関して評価されてよく、その上流の電動マニピュレータ420、520に対する伝達部材410の向きに依存する。実施形態によれば、プレート413の少なくとも1つのエッジ473は、前記オフセット距離dに平行に配向される。
【0050】
前記オフセット距離dは、前記電動マニピュレータ420、520から受けた操作動作が前記オフセット距離d1をずらして前記無菌アダプタ430、530に伝達されるように、前記局所近位-遠位方向W-Wと直交する方向に評価されてもよい。好ましくは、前記操作動作は、3つの相互に直交する方向X-X、Y-Y、Z-Zに沿って向けられる並進動作である。それによって、伝達部材410の下流側の局所的な近位-遠位方向W-Wは、伝達部材410の上流側の局所的な近位-遠位方向W-Wに対して前記オフセット距離d1だけオフセットされる。言い換えれば、前記第1固定部411で評価される局所的な近位-遠位方向W-Wは、前記第2固定部412で評価される近位-遠位方向W-Wに対して、前記オフセット距離d1のオフセットである。前記オフセット距離dの評価のために、前記第1固定部411及び/又は前記第2固定部412が所定のグローバル表面積A1及び/又はA2を有する場合、それぞれの固定部411及び/又は412は、前記所定のグローバル表面積A1及び/又はA2の評価幾何学的中心G1及び/又はG2である。
【0051】
実施形態によれば、第1の固定部411のグローバル表面積A1及び第2の固定部412のグローバル表面積A2の相互の向きは、少なくとも1つの平面、例えば少なくとも水平面及び/又は垂直面において角度的にオフセットしている。好ましくは、第1固定部411のグローバル表面積A1と第2固定部412のグローバル表面積A2の相互の向きは、立体角ωを形成するように、少なくとも2つの平面[すなわち水平および垂直]において角度をもってオフセットされている。
【0052】
実施形態によれば、前記部品本体415は、第1の固定部411のグローバル表面積A1と第2の固定部412のグローバル表面積A2との間に第1の角度オフセットを与えるのに適した少なくとも一つの剛体ロックジョイント418を有する。それによって、前記伝達部材410に対して遠位に評価される局所近位-遠位方向W-Wは、前記伝達部材410に対して近位に評価される前記局所近位-遠位方向W-Wに対して前記第1の角度オフセットの方向付けがされる。実施形態によれば、第2の固定部412は、ブラケット419、419'に取り付けられ、前記ブラケット419、419'は、順に、前記第1の固定部411に対して第2の角度オフセットの向きにされる。実施形態によれば、前記ブラケット419と前記第1の固定部411との間の距離d2は、前記オフセット距離d1よりも大きい。
【0053】
実施形態によれば、前記部品本体415は、前記プレート413の前記第2表面417と前記第2固定部412とを接続する少なくとも1つのブラケット419、419'を備える。実施形態によれば、前記少なくとも1つのブラケット419、419'は、少なくとも1つの剛性ロックジョイント418を含み、前記剛性ロックジョイント418は、第1ブラケット部分419と第2ブラケット部分419'との間に介在される。実施形態によれば、距離d3は、前記第2表面417と前記ジョイント418との間に定義される 実施形態によれば、前記少なくとも1つの第2ブラケット部分419'は、前記第2固定部412を構成し、好ましくは「L」字形状である。ねじ接続要素などの固定手段を介してプレート413に一体的に接続された複数のブラケット部分419、419'を備えるおかげで、第1固定部411と第2固定部412の相互の位置と向きを調整するように、ブラケット部分419、419'とプレート413の相互の位置と向きを調整することが可能にされる。
【0054】
実施形態によれば、「剛性的にロックされたジョイント418」は、剛性的にロックされたジョイントが相対的に可動な部分を欠いた剛性要素であることを意味し、相対的に可動な部分を欠いた当該剛性要素は、一体的に作られてもよい。実施形態によれば、"剛性的にロックされたジョイント418 "は、必ずしもブロック化されたロボット回転/プリズムジョイントを意味するものではない。
【0055】
実施形態によれば、前記部品本体415は、例えば図18に示すように、単一ピースの凸状固体要素として形成されている。
【0056】
一般的な実施形態によれば、ロボットサージェリアセンブリ401が提供される。
【0057】
実施形態によれば、前記ロボットサージェリアセンブリ401は、上述した実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つの伝達部材410を具備する。
【0058】
前記ロボットサージェリアセンブリ401は、少なくとも1つの電動リニアスライダ423;424;425を含む少なくとも1つの電動マニピュレータ420、520を具備している。
【0059】
実施形態によれば、前記少なくとも1つの電動リニアスライダ423、424、425は、それぞれのリニアガイド423'、424'、425'に対してスライドすることが好適である。
【0060】
実施形態によれば、前記少なくとも1つの電動マニピュレータ420、520は、3つの電動リニアスライダ423、424、425からなり、前記電動リニアスライダの各々は、他の電動リニアスライダのスライド方向と直交する方向X-X、Y-Y、Z-Zに沿ってスライドすることが好適である。それにより、前記電動式マニピュレータ420、520は、直交電動式マニピュレータ420、520である。好ましい実施形態によれば、前記少なくとも1つの電動リニアスライダ423;424;425は、垂直ガイド425'に対して実質的に垂直方向Z-Zに沿ってスライドするのに適した、少なくとも1つの垂直スライダ425を有する。垂直リニアスライダ425と、2つの互いに直交する水平方向X-X、Y-Yに沿ってそれぞれスライドするのに適した2つの更なるスライダ423、424とを備えるおかげで、重力は垂直リニアスライダ425のスライドのみに影響を与える。それにより、電動マニピュレータの制御が簡素化される。また、自然な動作は、各スライダに対してそれぞれの動作を合成する必要がないため、さらに制御を簡略化することができる。
【0061】
実施形態によれば、前記垂直リニアスライダ425は、前記垂直リニアスライダ425に影響を及ぼす重力加速度を補償するためのカウンターウェイト426に関連付けられる。
【0062】
実施形態によれば、前記垂直リニアスライダ425は、前記少なくとも1つ、好ましくは3つの電動リニアスライダ423、424、425のうち最も遠位にあるスライダである。
【0063】
実施形態によれば、前記直交電動マニピュレータ420、520は、第1水平リニアガイド424'と、前記第1水平リニアガイド424'に対して第1水平方向Y-Yに沿ってスライドするのに適した第1水平電動リニアスライダ424とを有する。前記第1水平電動リニアスライダ424は第2水平リニアガイド423と一体である。前記直交電動マニピュレータ420、520は、前記第2の水平リニアガイド423'に関して第2の水平方向X-Xに沿ってスライドするのに適した第2の水平電動リニアスライダ423を含む。前記第2の水平電動リニアスライダ423は、前記垂直ガイド425'と一体である。前記垂直電動スライダ425は、前記垂直ガイド425'に関して垂直方向Z-Zに沿ってスライドするのに適している。
【0064】
実施形態によれば、前記一対の電動マニピュレータ420、520のうち第1の電動マニピュレータ420の1つ以上の電動リニアスライダ423;424;425は、前記一対の電動マニピュレータ420、520のうち第2の電動マニピュレータ520の1つ以上の電動リニアスライダ423;424;425に対し平行に配置されている。
【0065】
好ましくは、両方の前記電動マニピュレータ420、520は、マクロ位置決め受動アーム450の同じリンク454に取り付けられる。
【0066】
前記垂直電動スライダ425に前記第1固定部411を介して固定された前記伝達部材410が設けられているおかげで、前記電動マニピュレータ420、520によって加えられる操作動作を、少なくとも前記オフセット距離d1の水平方向X-Xに並進させることができる。
【0067】
実施形態によれば、前記ロボットサージェリアセンブリ401は、手術器具440、540に接続するのに適した結合装置433を含む少なくとも1つの無菌アダプタ430、530を更に備える。実施形態によれば、前記無菌アダプタ430、530は、外科用ドレープ431と共に、無菌アダプタ430、530に近接したロボットサージェリアセンブリ401の部分と外科用器具440、540の間の相互汚染を妨げるのに適したドレーピングアセンブリ432を形成する。
【0068】
実施形態によれば、局所的な近位-遠位方向はW-Wと定義され、単語「上流」は「近位」と同等の意味を持ち、単語「下流」は単語「遠位」と同等の意味を持つ。
【0069】
実施形態によれば、前記伝達部材410は、前記少なくとも1つの電動マニピュレータ420、520と少なくとも1つの無菌アダプタ430、530との間に直接的又は間接的に介在される。それによって、前記伝達部材410は、前記電動マニピュレータ420、520の前記少なくとも1つの電動リニアスライダ423、424、425、好ましくは前記電動垂直リニアスライダ425と、前記無菌アダプタ430、530の前記結合装置433の相対相互位置及び/又は向きを剛性的に決定する。
【0070】
好ましい実施形態によれば、モータボックスアセンブリ460が、前記伝動部品410と前記無菌アダプタ430、530との間に介在される。それにより、前記伝達部材410は、前記電動マニピュレータ420、520の前記少なくとも1つの電動リニアスライダ423、424、425と前記モータボックスアセンブリ460の相対的な相互位置および/または向きを剛性的に決定する。好ましい実施形態によれば、前記垂直電動スライダ425は、前記伝達部材の前記近位固定部411に接続された垂直スライダ435の遠位固定部を有する。それにより、前記伝達部材410は、前記垂直電動スライダ425を前記モータボックスアセンブリ460に接続する。
【0071】
実施形態によれば、前記ロボットサージェリアセンブリ401は、前記無菌アダプタ430、530の前記結合装置433に接続可能な少なくとも1つの外科手術器具440、540を備える。実施形態によれば、前記少なくとも1つの手術器具440、540は、前記無菌アダプタ430、530に着脱可能に接続可能である。実施形態によれば、前記少なくとも1つの外科用器具440、540は、シャフト441、541を備え、前記シャフト441、541は、好ましくは局所近位-遠位方向W-Wに沿って局所的に延びている。
【0072】
それによって、前記シャフト441、541は、前記少なくとも1つの電動リニアスライダ423、424、425のスライド方向X-X、Y-Y、Z-Zに関してオフセットされている。実施形態によれば、 、前記シャフト441、541は、前記3つの電動リニアスライダ423、424、425の各々および全ての摺動方向X-X、Y-Y、Z-Zに関してオフセットされている。
【0073】
実施形態によれば、前記モータボックスアセンブリ460は、前記無菌アダプタ430、530に関して前記外科用器具440、540の少なくとも1つのそれぞれの自由度を作動させるために適した少なくとも1つのアクチュエータを備える。実施形態によれば、前記モータボックスアセンブリ460は、回転モータ461と、例えば伝達ベルト462を有するロールアクチュエータであって、シャフト441、541の長手方向展開軸を中心に、好ましくは局所近位-遠位方向W-Wを中心に前記シャフト441、541を有する前記外科用器具440、540を回動させるために好適なものと、を備えている。実施形態によれば、前記モータボックスアセンブリ460は、前記無菌アダプタ430、530を局所的な近位-遠位方向W-Wについて、好ましくは前記シャフト441、541の長手方向展開の軸について枢動させるのに適した回転モータ461およびロールアクチュエータ462を有する。好ましくは、前記外科用器具440、540は、前記無菌アダプタ430、530に接続されるとき、前記無菌アダプタ430、530と一体である。それにより、前記回転モータ461は、前記ドレーピングアセンブリ432に関して上流にある。
【0074】
好ましい実施形態によれば、前記ロボットサージェリアセンブリ401は、一対の電動マニピュレータ420、520を形成する2つの電動マニピュレータ420、520を有する。それにより、前記ロボットサージェリアセンブリ401は、第1の電動マニピュレータ420及び第2の電動マニピュレータ520を有する。実施形態によれば、各電動マニピュレータ420、520は、前記少なくとも2つの電動マニピュレータ420、520のそれぞれを個別に包むケース427、527を有する。それにより、前記ロボットサージェリアセンブリ401は、2つのケース427、527、即ち、第1のケース427及び第2のケース527を有する。
【0075】
好ましい実施形態によれば、前記2つの電動マニピュレータ420、520は共に、水平方向X-Xにおいて互いに側面となるように、実質的に同じ高さでマクロ位置決めアーム450が固定されている。実施形態によれば、各電動マニピュレータ420、520は、前記マクロ位置決めアーム450に固定するための固定部451、例えば、固定ブラケットを備える。実施形態によれば、前記固定部451は、前記リニアガイド423'、424'、425'のうちの1つと一体であり、好ましくは水平リニアガイド423'、424'に、より好ましくは前記第2水平リニアガイド424'に一体である。
【0076】
好ましい実施形態によれば、前記各ケース427、527は、前記伝達部材410の少なくとも1つを包囲する。実施形態によれば、前記各ケース427、527は、近位ケース部分428、528と、前記近位ケース部分428、528に関して遠位の遠位ケース部分429、529とを含み、前記近位ケース部分428、528は、それぞれの電動マニピュレータ430、530を包含し、前記遠位ケース部分429、529は、それぞれの伝達部材410を包含している。
【0077】
電動マニピュレータ420、520の下流に前記伝達部材410をそれぞれ設けることにより、外科用器具440、540の2つのシャフト441、541は、一方が他方に向かって収束している。それによって、各シャフト441、541の遠位端442、542は、同じ共有作業ボリューム404に到達する。各シャフト441、541の遠位端には、患者に手術を行うのに適した先端部分を有するロボット手術用の手首のような、例えばエンドエフェクタなどの多関節端末ツール475が設けられていてもよい。実施形態によれば、各シャフト441、541の遠位端に設けられた前記多関節端末ツール475は、1つ以上の自由度P、Y、G、好ましくは少なくとも1つのピッチP自由度、少なくとも1つのヨーY自由度、及び少なくとも1つのグリップG自由度を有している。実施形態によれば、前記多関節端末工具475は、互いに関節結合された複数のリンク476,477,478,479と、多関節端末工具475のリンク476,477,478,479の自由度P,Y,Gを作動させる複数の作動ケーブル480,481,482を有する。各リンク476,477,478,479は、好ましくは、ワイヤ放電加工によって一体に作られる。作動ケーブル480,481,482は、前記リンク476,477,478,479の凸状外面に摺接する。
【0078】
実施形態によれば、各ケース427,527は、それぞれの電動マニピュレータ420,520及び伝動部品401に可能な限り密着し、それぞれの近位ケース部分428,528と遠位ケース部分429,529との間にエルボを形成している。それにより、2つのケース427、527は、それに遠位に取り付けられた外科用器具440、540のシャフト441、541が、その遠位端442、542で前記共有作業ボリューム404に達するように、互いに向かい合う凹部[即ちエルボ]を有している。
【0079】
実施形態によれば、第1のシャフト441の遠位端442は第1の作業ボリューム403に達し、第2のシャフト541の遠位端542は第2の作業ボリューム503に達する。前記第1の作業ボリューム403及び前記第2の作業ボリューム503は、一緒になって前記共有作業ボリューム404を定義する。前記共有作業ボリューム404は、スライダ523、524、525の任意の動作位置について、各シャフト441、541の遠位部分442、542によって、到達することが可能である。言い換えれば、共有作業ボリューム404は、第1作業ボリューム403と第2作業ボリューム503の交わる体積によって与えられる。
【0080】
前記スライダが設けられているおかげで、各作業ボリューム403、503は、それぞれの電動マニピュレータ420、520のスライダ423、424、425のスライド方向X-X、Y-Y、Z-Zに平行である。前記垂直スライダ425と前記水平スライダ423,424が設けられているおかげで、同じ共有作業ボリューム404は、水平平行六面体である。本明細書で使用される単語「平行六面体」は、同じ共有作業ボリューム404が立方体である場合をも包含する。好ましくは、前記同一の共有作業ボリューム404は、前記第1及び第2の作業ボリューム403、503の各々の少なくとも50%であり、好ましくは、前記第1及び第2の作業ボリューム403、503の各々の少なくとも3分の2であり、より好ましくは、実質的に90%である。実施形態によれば、前記第1及び第2の作業ボリューム403、503は、完全に一緒になって、単一の共有作業ボリューム404を形成する。
【0081】
このようなロボット手術システムのおかげで、シャフト441、541の両方の遠位端は、共有作業ボリュームに到達し、前記共有作業ボリューム内で互いに平行に移動することが可能である。
【0082】
操作者、例えばマスタコンソールからスレーブロボットサージェリアセンブリを制御する外科医は、それによって、シャフトの一方または両方が共有作業ボリュームの境界に到達したことを感じることができる。このようにして、外科医のための快適さが強化される。
【0083】
好ましい実施形態によれば、前記ケース427、527は、水平方向X-X、Y-Y、好ましくは前記第1の水平方向X-Xに沿って、予め定められた水平距離X2の範囲で互いに離間されている。好ましい実施形態によれば、前記予め定められた水平距離X2は、前記オフセット距離d1よりも大きい。好ましい実施形態によれば、前記所定の水平距離X2は、前記オフセット距離d1の2倍よりも大きい。
【0084】
前記所定の水平距離X2は、局所的な近位-遠位方向W-Wに沿って変化してもよい。好ましい実施形態によれば、前記所定の水平距離X2は、それぞれの電動マニピュレータ430、530を包む近位ケース部分428、528において、それぞれの伝達部材410を包む遠位ケース部分429、529より大きい。それによって、予め定められた水平距離X2は、好ましくは、無菌アダプタに向かって下流に向かうにつれて減少する。
【0085】
有利には、窓434又は通路434が、前記2つのケース427、527によって少なくとも部分的に区切られる。好ましくは、前記窓434は、第1の水平方向X-Xにおいて前記2つのケース427、527によって区切られる。前記窓434が設けられることにより、前記2つの電動マニピュレータ420、520の間に第2の水平方向Y-Yに沿った貫通路が形成される。前記窓434のおかげで、前記電動マニピュレータ420、520を包むケース427、527の間に、自由にしておいてもよい容積が提供される。前記窓434は、好ましくは、第1の水平方向X-Xにおける予め定められた水平距離X2と同じ幅である。
【0086】
前記窓434を区画する前記それぞれのケース427、527内に包含される2つの電動マニピュレータ420、520の相互位置及び向きのおかげで、外科医402は、マニピュレータ420、520が結果として外科医の402肩402'の上に位置するように前記窓434の後ろの位置を占め得る。
【0087】
実施形態によれば、前記ロボットサージェリアセンブリ401は、共有作業ボリューム404の拡大画像を外科医に提供するのに適したビジョンデバイス472に接続された画像取得部471を含む顕微鏡アセンブリ470に関連付けられる。ビジョンデバイス472は、好ましくは、少なくとも1つの眼球、好ましくは1対の眼球を有する。好ましい実施形態によれば、前記画像取得部471は、マイクロサージェリ用の光学顕微鏡である。ビジョンデバイス472の少なくともオキュラーをドレープするために、顕微鏡ドレープが設けられてもよい。
【0088】
例えば図9に示すような好ましい実施形態によれば、顕微鏡アセンブリ470の前記少なくとも1つの眼球472は、少なくとも部分的に前記窓434内にある。それによって、前記少なくとも1つの眼球472は、前記ケース427、527の間にある。
【0089】
各ケース427、527内の前記伝達部材410の提供のおかげで、手術器具440、540のシャフト441、541が、その遠位端442、542を第2の水平方向Y-Yに沿って垂直スライダ425に対して前進した位置に向ける互いの方へ収束するように、第2の水平方向Y-Yに沿って角度のオフセットをも提供される。それによって、共有作業ボリューム404は、外科医402に対して前方に位置する手術台405の上又は上にある。それによって、外科医402は、眼球472を見るロボット支援マイクロサージェリおよび前記手術台405上の患者の解剖学的構造を直接下方に見る従来の手のマイクロサージェリを交互に行うことができる。術者402が手術状態で窓434に面するとき、第2の水平方向Y-Yは術者402の矢状面に実質的に平行である。
【0090】
上記のように各ケース427、527内の前記伝達部材410の提供のおかげで、眼球427、527は手術用器具440、540の上に表れ、手術用器具440、540は順番に手術台405の上に存在する。術者402は、手術台に対して正面から[すなわち第2の水平方向Y-Yに沿って]接近する。手術器具440、540のシャフト441、541は、共に、その遠位端442、542が共有作業ボリューム404に正面から[すなわち第2の水平方向Y-Yに沿って]、上方から[すなわち垂直方向Z-Zに沿って]近づき、第1の水平方向X-X[すなわち横方向]に互いに向かって収束している。それによって、ロボット手術システム401のボリューメトリック・エンカンバーは、外科医402が、自分の視線を向けるだけで、顕微鏡アセンブリ470の眼球472の有無にかかわらず、共有作業ボリューム404及び患者の解剖学の関連部分を自分の眼402''で見ることができるようにする。言い換えれば、ロボット手術システム401の容積的な包囲は、前記ケース427、527内に包まれた伝達部材401のおかげで、外科医の視線から作業容積404を隠すことを回避している。
【0091】
実施形態によれば、前記ロボット手術システム401は、マクロ位置決めアーム450を具備する。
【0092】
好ましくは、前記マクロ位置決めアーム450は、受動的に移動させることができ、その位置決めのためのモータを必要としない。それによって、マクロ位置決めアーム450は、オペレータ、例えば外科医402及び/又は外科エクイップのメンバーによってマクロ位置決めアーム450を手で操作するための少なくとも1つのハンドル453を有する。マクロ位置決めアーム450の変位を減衰させるために、回転ジョイント内にダイナミックブレーキが設けられてもよい。
【0093】
実施形態によれば、前記マクロ位置決めアーム450は、互いに直列に接続され、回転ジョイント457、458、459を介して関節運動する複数のアームリンク454、455、456を有する。それによって、前記マクロ位置決めアーム450は、実質的に水平に向けられた細長い遠位リンク本体を有し、遠位回転ジョイント457を介して第2リンク455に近位に接続された最遠位リンク454、すなわち第1リンク454を有する。好ましくは、前記遠位回転ジョイント457は、遠位リンク454が遠位回転ジョイント457の周りで枢動し得るように、遠位リンク454の中心部分444に実質的に接続される。好ましくは、中央部分444は、遠位リンク454の長さの半分のところにある 好ましい実施形態によれば、遠位回転ジョイント457の軸は、垂直に配向される。
【0094】
実施形態によれば、前記マクロ位置決めアーム450は、前記一対の電動マニピュレータ420、520に接続された前記遠位リンク454と、前記遠位リンク454に近接して、回転軸が実質的に垂直な前記遠位回転ジョイント457を介して前記遠位リンク454に接続された第2のリンク455とを具備し、前記遠位リンク454に近接する前記遠位リンク455は、回転軸が前記遠位回転ジョイント457に近接して、回転軸が垂直な前記遠位回転ジョイント457を具備する。および、前記第2リンク455に近接して、回転軸が実質的に垂直である第2回転ジョイント458を介して前記セコンドリンクに接続された第3リンク456からなり、前記第2リンク455は水平に方向付けられ、前記遠位リンク454および前記第1リンク456が実質的に同じ高さにあるように、前記セコンドリンク454と前記第1リンク456との両方の上に延びていることを特徴とする。好ましい実施形態によれば、前記第3リンク456は、第3回転ジョイント459を介して、手術台405及び外科医402に対するマクロ位置決めアーム450の高さを調整するために垂直方向Y-Yに伸長するのに適した伸縮自在な伸縮部分446に接続され、ロボットサージェリアセンブリ401はロボット台車447又はタワー447を更に備え、前記伸縮自在部分446は前記台車447に対して伸縮自在である。実施形態によれば、前記台車447は、車輪448のような地面接触ユニット448を含んでいる。前記マクロ位置決めアーム450及び前記台車447の少なくとも一部をドレープするために、少なくとも1つの外科用ドレープ431が設けられていてもよい。台車447は、台車447を手術用ベッド405の周囲内で移動させるための少なくとも1つの台車ハンドル449を具備してもよい。実施形態によれば、前記マクロ位置決めアーム450は、前記ロボット台車447に接続されている。
【0095】
実施形態によれば、前記遠位リンク454は、1つの電動マニピュレータ420、520に、好ましくはそれぞれの電動マニピュレータ430、530の固定部451に接続するのに適した2つの取付部445、545をそれぞれさらに備え、遠位回転ジョイント457は、遠位リンク454の取付部445、545間にあるので、遠位リンク454を枢動ジョイント457に対して枢動角の枢動操作P4が行われるようにされている。例えば実質的に180度又は半回転を測定する枢動角度によって、電動マニピュレータ420、520が、例えばマクロ位置決めアーム450の第2のリンク455に関して、及び/又は台車477に関して、及び/又は外科医402、及び/又は手術台405に関して、それらの位置を反転するように決定される。
【0096】
好ましい実施形態によれば、遠位リンク454の取付部445、545の位置は、遠位回転ジョイント457に対して対称的に配置されている。言い換えれば、好ましくは垂直である遠位回転ジョイント457の回転軸と、第1の電動マニピュレータ420、520に接続する第1の取付部445との間の第1の距離X4は、遠位回転ジョイント457の回転軸と第2の取付部545との間の第2の距離X5と等しい。それによって、マクロ位置決めアーム450の下流のロボット要素の動的及び静的バランスが、動作状態におけるその安定性を向上させるように強化される。
【0097】
好ましい実施形態によれば、遠位リンク454と、それぞれのケース427、527内に封入された電動マニピュレータ420、520は、前記窓434を上方および横方向に一緒に区切る。好ましい実施形態によれば、遠位リンク454およびそれぞれのケース427、527内に封入された電動マニピュレータ420、520は、前記窓434を部分的に区切る「逆U」字型の構造を形成している。言い換えれば、遠位リンク454と、それぞれのケース427、527内に封入された電動マニピュレータ420、520は、部分的に前記窓434を区切る馬蹄形構造を形成する。実施形態によれば、前記少なくとも2つの電動マニピュレータ420、520の両方は、マクロ位置決め受動アーム450の同じリンク454に取り付けられる。
【0098】
実施形態によれば、ロボット台車447は、第1の側面437及び第2の側面438を備え、第1の側面437及び第2の側面438は、前記伸縮自在部分446に対して水平方向で互いに対向し、好ましくは、前記第1の水平方向X-Xで互いに対向している。前記遠位リンク454がその中央部444において前記第2リンク455に接続されている前記複数のリンク454、455、456を接続して関節運動させる前記複数の回転ジョイント457、458、459を有する前記マクロ位置決めアーム450と、前記反対側面437、438を有するロボット台車477とを組み合わせて設けることにより、共有作業ボリューム404を前記第1側面437または前記第2側面438のいずれかに向けて配置することができ、ロボット手術組立体401の多様性が改善されている。それによって、ロボット台車477は、手術室ベッド405に対して実質的に任意の位置に配置することができる。それにより、外科医402は、ロボット台車477と手術室のベッドの任意の相互位置において、前記窓434に向かい、前記窓434を通して患者の解剖学的構造にアクセスでき、一方、手術器具440、540のシャフト441、541の遠位端442、542は常に手術室のベッド405に正面から近づき、マニピュレータ420、520は外科医402に対し同じ水平位置にある。
【0099】
実施形態によれば、台車477は、多角形の形状を有し、複数のコーナー部分436を形成する頂部周囲435を規定する頂部439を備え、前記マクロ位置決めアーム450が前記コーナー部分436の1つに接続されている。前記台車477の頂部部分439は、前記ロボットサージェリアセンブリ401の状態に関する情報を表示するためのスクリーン452を含んでいてもよい。
【0100】
実施形態によれば、前記ロボットサージェリアセンブリ401は、前記少なくとも1つの手術器具440、540、前記電動マニピュレータ420、520、及び前記少なくとも1つのモータボックスアセンブリ460によって形成されるロボットスレーブ部分407を備える。実施形態によれば、前記ロボットサージェリアセンブリ401は、手動コマンドを検出するのに適した少なくとも1つのマスタ入力ツール465、565と、例えば前記手術器具440、540の少なくとも1つ及び/又は前記電動マニピュレータ420、520の少なくとも1つを起動するのに適したロボット407の前記スレーブ部分とを備えるマスタコントローラアセンブリ406を具備している。例えば、前記少なくとも1つのマスタ入力ツール465、565の位置および向きは、ロボット407の前記スレーブ部分に制御信号を送信するために、前記フィールド内の少なくとも位置および好ましくは前記マスタ入力ツール465、565の向きも検出する目的で、フィールドを発生するフィールド発生器443を含む電磁および/または光学追跡装置により追跡される。
【0101】
実施形態によれば、前記マスタコントローラアセンブリ406は、外科用椅子464と、前記外科用椅子434をドレープし、好ましくは前記少なくとも1つのマスタ入力ツール465、565もドレープするマスタドレープアセンブリ467とを備える無菌コンソール463を更に備える。実施形態によれば、前記手術用椅子464は、外科医の手によって把持されたときにマスタ入力ツール465、565のための運動の自由度の円錐469、569を規定するように、外科医402が手術中にその上に肘を置くための、例えばドーム形の少なくとも一つの静止要素468、568を有する。手によるマイクロサージェリおよびロボット支援マイクロサージェリの交代を促進する目的で、外科医402が少なくとも1つのマスタ入力ツール465、565を落とすためのドロップホルスター474、574も、マスタコントローラアセンブリ406に提供されてもよい。手の手術ツール466、566はまた、手のマイクロサージェリおよびロボット支援マイクロサージェリを交互に行うために外科医402を促進するために、マスタコンソールアセンブリ406で提供され得る。
【0102】
好ましくは、2つのマスタ入力ツール465、565が設けられ、各マスタ入力ツールは、ロボットシステムの1つのブランチを制御し、各ブランチは、前記電動マニピュレータの1つとそれに取り付けられた下流の要素とを含む。
【0103】
一般的な実施形態によれば、手術室アリーナ408は、上述の実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つのロボットサージェリアセンブリ401と、上述の実施形態のいずれか1つによる手術室テーブル405と、上述の実施形態のいずれか1つによる顕微鏡アセンブリ470と、を備える。当業者であれば理解できるように、「手術台」は、手術中に患者を支持する任意の場所を意味する。
【0104】
実施形態によれば、前記手術室アリーナ408は、上述した実施形態のいずれか1つによるマスタコントローラアセンブリ406を有する。好ましくは、2つのマスタ入力ツールが提供され、各マスタ入力ツールは、ロボットシステムの1つのブランチを制御し、各ブランチは、前記電動マニピュレータの1つとそれに取り付けられた下流の要素とを含んでいる。
【0105】
一般的な動作モードによれば、上述の実施形態のいずれか1つによる手術場アリーナ408内のロボットサージェリアセンブリ401のスレーブロボット部品407の再位置決め方法は、以下のステップを備える。
【0106】
この方法は、電動マニピュレータ420、520がマクロ位置決めアーム450の第2のリンク455に対して位置を反転させるように、遠位リンク454を旋回角の遠位回転ジョイント457を中心に旋回させる旋回動作P4を発揮させるステップを含む。
【0107】
可能な動作モードによれば、本方法は、前記遠位リンク454をロボット台車477の側面または反対側のいずれかに向かわせるように、前記遠位回転ジョイント457に並進動作T4を及ぼすステップを含む、方法。
【0108】
可能な動作モードによれば、本方法は、前記マクロポジショニングアーム450を前記ロボット台車477に対して、好ましくは垂直軸を有する回転ジョイントを中心に枢動させるステップを含む。
【0109】
本方法は、前記共有作業ボリューム404を手術台405上又はその上に維持しながら、前記ロボット台車477を手術台405に対して再位置決めするステップを具備する。
【0110】
特定の実施形態において、ばらばらに又はその任意の組み合わせで提供される上述の特徴によって、上述の利点を提供する上述のニーズに対応することが可能であり、特にそうである。
【0111】
外科用器具のシャフトは、互いに向かって収束する。
【0112】
外科用器具のシャフトがスライダに対して平行でない。
【0113】
各電動マニピュレータのスライダはそれぞれ平行である。
【0114】
共有された作業ボリュームは、シャフトの遠位端、及びそれにそれぞれ取り付けられたエンドエフェクタによって、前方、上方及び側方に最大化され、接近される。
【0115】
ロボットのスレーブ部分の容積的な包囲は、顕微鏡と患者の解剖学的構造の両方が見えるように、外科医が手術場アリーナ内で彼・それ自身を位置づけることを可能にする。
【0116】
外科医は、最小限の労力で、別の場所に座る/立つことを必要とせずに、手によるマイクロサージェリからロボット支援マイクロサージェリに切り替えることを許される。
【0117】
外科医は、ロボット台車の右側または左側のいずれかに位置することができる。
【0118】
受動的な(すなわち、電動自由度のない)マクロ位置決めアームは、その回転ジョイントに設けられたブレーキのおかげで、手術中にも移動させることができる。
【0119】
ロボットのスレーブ部分は、垂直方向に関して対称に作られている。
【0120】
当業者は、上述した実施形態に対して多くの変更および適応を行うことができ、あるいは、添付の請求項の範囲から逸脱することなく、偶発的なニーズを満たすために、機能的に同等である他の要素に置き換えることができる。
【符号の説明】
【0121】
401 ロボット手術用アセンブリ
402 外科医
402' 外科医の肩
403、503 作業量
404 共有作業量
405手術台又は手術用ベッド
406 マスタコンソールアセンブリ
407 スレーブアセンブリ
408 オペラトリーアリーナ
410 伝達部材
411 トランスミッションコンポーネントの第1固定部
412 トランスミッションコンポーネントの第2固定部
413 プレート
414 厚さ
415 伝達部材本体又は部品本体
416 プレートの近位面
417 プレート遠位面
418 伝達部材の継手
419, 419' 伝達部材のブラケット
420、520 電動式マニュピレータ
421近位固定手段
422 遠位固定手段
423 第2の水平方向電動スライダ
424 第1の水平方向電動スライダ
425 垂直方向電動スライダ
426 カウンターウェイト
427、527 ケース
428、528 ケースの近位部
429, 529 ケース遠位部
430, 530 無菌アダプタ
431 手術用ドレープ
432 ドレーピングアセンブリ
433 無菌アダプタの遠位連結部
434 窓または通路
435 多角形の外周
436 台車の上部の角部分
437 台車の第1の側部
438 台車の第2の反対側
439 台車の上端部
440,540 手術用器具
441,541 シャフト
442, 542 シャフト遠位端
443磁場発生装置
444 遠位リンクの中央部
445、545 遠位リンクの取付部
446 テレスコープ状に伸びる部分
447 ロボット台車又はタワー
448 ロボット台車の接地ユニット又は車輪
449 ロボット台車のハンドル
450 マクロ位置決めアーム
451 電動式マニピュレータの固定部
452 スクリーン
453 マクロポジショニングアームのハンドル
454 マクロポジショニングアームの第1リンクの遠位リンク
455 マクロポジショニングアームの第2リンク
456 マクロポジショニングアームの第3のリンク
457 マクロポジショニングアームの遠位回転ジョイント又は第一ジョイント
458 マクロポジショニングアームの第2回転継手
459 マクロポジショニングアームの第3回転継手
460 モータボックスアセンブリ
461 回転モータ
462 伝達ベルト
463 無菌コンソール
464 サージカルチェア
465, 565 マスタ入力ツール
466, 566 ハンドサージェリツール
467 マスタドレープ
468, 568 安静要素
469, 569 自由度コーン
470 顕微鏡アセンブリ
471 顕微鏡の画像取得部
472 視覚装置
473 エッジ
474, 574 ドロッピングホルスター
476, 477, 478, 479 多関節端末ツールのリンク
480、481、482 多関節端末工具の作動ケーブル
P ピッチ
Y Yaw
G グリップ
X-X 第1の水平方向
Y-Y 第2の水平方向又は前方方向
Z-Z 垂直方向
W-W 局所的な近位-遠位方向
A1 第1の固定部の全面積
A2 少なくとも1つの第2の固定部のグローバル表面積
G1 第1の固定部のグローバル表面積の幾何学的中心
G2 第2の固定部のグローバルサーフェスエリアの幾何学的中心
d1 透過部材のオフセット距離
X2 あらかじめ定義された水平距離
X4 第1距離
X5 第 2 距離
P4 首振り動作
T4 並進動作
Ω 立体角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19