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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】DC/DCコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20250701BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021213046
(22)【出願日】2021-12-27
(65)【公開番号】P2023096959
(43)【公開日】2023-07-07
【審査請求日】2024-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若林 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直久
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表平05-502365(JP,A)
【文献】特表2018-521626(JP,A)
【文献】特開2018-129993(JP,A)
【文献】特開2006-101589(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112751494(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00- 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインスイッチおよび直流リアクトルを含むDC/DCコンバータ回路と、
共振用スイッチ、共振用リアクトル、および前記メインスイッチの電流路に並列接続された共振用コンデンサを含むARCP回路と、
前記共振用スイッチをターンオンさせ、前記共振用スイッチのオン期間に前記メインスイッチをターンオンさせる制御回路と、
前記直流リアクトルを流れるリアクトル電流を測定する第1電流測定手段と、
前記共振用リアクトルを流れる共振電流を測定する第2電流測定手段と、
を備えるDC/DCコンバータであって、
前記制御回路は、
前記メインスイッチおよび前記共振用スイッチのスイッチングを制御する制御部と、
前記メインスイッチをターンオンさせる動作タイミングに関する第1計算式が記憶された記憶部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1計算式に基づいて、前記共振用スイッチをターンオンさせてから前記メインスイッチをターンオンさせるまでの第1時間を算出し、前記第1時間の終了時を前記動作タイミングとして前記メインスイッチをターンオンさせるスイッチング処理と、
記共振電流の立下りと前記リアクトル電流とが交差する交差タイミングと前記動作タイミングとのずれ量が減少するように、前記第1計算式を補正して更新する更新処理と、を実行し、
前記スイッチング処理時の前記制御部は、
前記メインスイッチをターンオンさせた時の前記第1電流測定手段の第1測定値および前記第2電流測定手段の第2測定値を記憶し、
前記更新処理時の前記制御部は、
前記第1測定値と前記第2測定値とを比較し、両者が不一致の場合、前記第1電流測定手段および前記第2電流測定手段の測定値から算出した前記交差タイミングと前記第1計算式から算出した前記動作タイミングとの前記ずれ量が減少するように、前記第1計算式を補正する
こと特徴とするDC/DCコンバータ。
【請求項2】
前記第1計算式の前記第1時間は、
前記共振用スイッチをターンオンさせてから、前記共振電流の立上りと前記リアクトル電流とが交差する第1時点までの第1前半時間と、
前記第1時点から、前記共振電流の立下りと前記リアクトル電流とが交差する第2時点までの第1後半時間と、
前記ずれ量に応じて前記更新処理で補正される補正時間と、を含む
ことを特徴とする請求項に記載のDC/DCコンバータ。
【請求項3】
前記記憶部には、前記メインスイッチをターンオンさせてから前記共振用スイッチをターンオフさせるまでの第2時間に関する第2計算式が記憶されており、
前記制御部は、前記第2計算式を参照して、前記第2時間の終了時に前記共振用スイッチをターンオフさせる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のDC/DCコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ARCP(Auxiliary Resonant Commutated Pole:補助共振転流ポール)回路を備えるDC/DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
ARCP回路を備えるDC/DCコンバータとして、例えば、特許文献1に記載の双方向DC/DCコンバータが知られている。特許文献1に記載の双方向DC/DCコンバータは、図7に示す双方向DC/DCコンバータ1Cと同じ回路構成である。
【0003】
双方向DC/DCコンバータ1Cは、DC/DCコンバータ回路と、ARCP回路2と、DC/DCコンバータ回路およびARCP回路2を制御する制御回路10Cと、入出力端Ta~Tdとを備える。
【0004】
入出力端Ta,Tbには、双方向インバータが接続される。入出力端Tc,Tdには、蓄電池(例えば、電気自動車のバッテリ)が接続される。
【0005】
DC/DCコンバータ回路は、メインスイッチS1,S2と、直流リアクトルL1と、コンデンサC1,C2とを備える。メインスイッチS1は、MOSFETからなるスイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q1のドレイン・ソース間に並列接続されたダイオードD1とを含む。同様に、メインスイッチS2は、MOSFETからなるスイッチング素子Q2と、スイッチング素子Q2のドレイン・ソース間に並列接続されたダイオードD2とを含む。
【0006】
ARCP回路2は、共振用スイッチS3,S4と、主巻線N1および補助巻線N2を含む回生用のトランスTR1と、共振用リアクトルL2と、共振用コンデンサC3,C4と、回生用のダイオードD5,D6とを備える。共振用スイッチS3は、MOSFETからなるスイッチング素子Q3と、スイッチング素子Q3のドレイン・ソース間に並列接続されたダイオードD3とを含む。同様に、共振用スイッチS4は、MOSFETからなるスイッチング素子Q4と、スイッチング素子Q4のドレイン・ソース間に並列接続されたダイオードD4とを含む。
【0007】
双方向DC/DCコンバータ1Cは、コンデンサC2側からコンデンサC1側への電力変換動作(昇圧動作)と、コンデンサC1側からコンデンサC2側への電力変換動作(降圧動作)とを行う。
【0008】
図8に、昇圧動作においてスイッチング素子Q2をターンオフさせる際の各種波形図を示す。図8(A)は、スイッチング素子Q2,Q4のゲート電圧Vgsの波形図であり、図8(B)は、直流リアクトルL1を流れるリアクトル電流および共振用リアクトルL2を流れる共振電流の波形図であり、図8(C)は、スイッチング素子Q2のドレイン電流Idおよびドレイン・ソース間電圧Vdsの波形図である。
【0009】
時刻t11において、制御回路10Cがスイッチング素子Q2をターンオフさせると、スイッチング素子Q2を流れていた電流は共振コンデンサC4に転流し、共振コンデンサC4が充電される。スイッチング素子Q2のドレイン電流Idが比較的早く減少する一方、スイッチング素子Q2のドレイン・ソース間電圧Vdsは緩やかに増加するため、ドレイン電流Idの立下りとドレイン・ソース間電圧Vdsの立上りとの重なる領域が減少する。その結果、時刻t11~t12において、ゼロ電圧スイッチングが実現され、スイッチング素子Q2のターンオフ時のスイッチングロスが低減される。
【0010】
図9に、昇圧動作においてスイッチング素子Q2をターンオンさせる際の各種波形図を示す。図9(A)は、スイッチング素子Q2,Q4のゲート電圧Vgsの波形図であり、図9(B)は、リアクトル電流および共振電流の波形図であり、図9(C)は、スイッチング素子Q2のドレイン電流Idおよびドレイン・ソース間電圧Vdsの波形図である。
【0011】
時刻t21において、制御回路10Cがスイッチング素子Q4をターンオンさせると、ダイオードD1を流れていた電流が共振用リアクトルL2に転流し、さらに共振用リアクトルL2が共振用コンデンサC4から電荷を引き抜くように作用するため、共振用リアクトルL2、トランスTR1のリーケージインダクタンスおよび共振用コンデンサC4が共振する。これにより、共振用リアクトルL2に共振電流が流れ、スイッチング素子Q2のドレイン・ソース間電圧Vdsは減少する。
【0012】
時刻t22において、共振電流の立下り時の電流波形とリアクトル電流の電流波形とが交差する交差タイミングで、制御回路10Cがスイッチング素子Q2をターンオンさせると、スイッチング素子Q4がオン状態なのでスイッチング素子Q2のドレイン・ソース間電圧Vdsはほぼ0[V]になり、スイッチング素子Q2のドレイン電流Idは0[A]から立ち上がる。その結果、ゼロ電圧スイッチングおよびゼロ電流スイッチングが実現され、スイッチング素子Q2のターンオン時のスイッチングロスが低減される。
【0013】
共振用コンデンサC4から引き抜かれた電荷が共振電流としてトランスTR1の主巻線N1に流れると、トランスTR1の補助巻線N2に電圧が誘起される。補助巻線N2に誘起された電圧は、ダイオードD5,D6を介してコンデンサC1に回生される。
【0014】
ところで、制御回路10Cは、スイッチング素子Q2をターンオンさせる動作タイミングを予め記憶している。上記動作タイミングは、共振電流の立下りとリアクトル電流とが交差する交差タイミングでスイッチング素子Q2がターンオンするように、共振用リアクトルL2のインダクタンス、トランスTR1のリーケージインダクタンスおよび共振用コンデンサC4の静電容量の設計値(平均値)を使用し、入力電圧および負荷条件を可変させた実験によって算出される。
【0015】
しかしながら、共振用リアクトルL2のインダクタンス、トランスTR1のリーケージインダクタンスおよび共振用コンデンサC4の静電容量は、設計値に対してばらつきが生じる。設計値に対してばらつきが生じると、共振電流が流れる時間(共振時間)にもばらつきが生じ、交差タイミングと動作タイミングとにずれが生じる。
【0016】
図10に、インダクタンスにばらつきが生じた場合の各種波形図を示す。図10(A)は、図9(A)と共通する。図10(B)は、図9(B)に設計値よりもインダクタンスが小の場合およびインダクタンスが大の場合の共振電流の波形を追加したものである。図10(C)は、図9(C)に設計値よりもインダクタンスが小の場合およびインダクタンスが大の場合のスイッチング素子Q2のドレイン・ソース間電圧Vdsの波形を追加したものである。
【0017】
図10に示すように、設計値よりもインダクタンスが小の場合、スイッチング素子Q2がターンオンする動作タイミング(時刻t22)は、共振電流の立下りとリアクトル電流とが交差する交差タイミング(時刻t221)よりも後になる。その結果、スイッチング素子Q2のドレイン・ソース間電圧Vdsがほぼ0[V]になってから、所定時間経過した後にスイッチング素子Q2のドレイン電流Idが0[A]から立ち上がる。
【0018】
一方、設計値よりもインダクタンスが大の場合、スイッチング素子Q2がターンオンする動作タイミング(時刻t22)は、共振電流の立下りとリアクトル電流とが交差する交差タイミング(時刻t222)よりも前になる。その結果、スイッチング素子Q2のドレイン・ソース間電圧Vdsがほぼ0[V]になる前に、スイッチング素子Q2のドレイン電流Idが0[A]から立ち上がる。
【0019】
このように、共振時間のばらつきによって交差タイミングと動作タイミングとにずれが生じた場合、スイッチング素子Q2のドレイン・ソース間電圧Vdsの立下りのタイミングにもずれが生じる。その結果、スイッチング素子Q2のスイッチングは、ゼロ電圧スイッチングおよびゼロ電流スイッチングから外れてしまい、電力変換効率の低下およびスイッチングノイズの増加を招く。また、双方向DC/DCコンバータ1Cでは、昇圧動作と降圧動作とが同じ動作原理であるため、降圧動作時にも同様の問題が生じる。
【0020】
なお、共振時間のばらつきを抑制するために、共振用リアクトルL2のインダクタンス、トランスTR1のリーケージインダクタンスおよび共振用コンデンサC3,C4の静電容量のばらつきを抑えた部品を作製したり、選別したりすることが考えられるが、その場合、コストアップ、歩留まりが低下する等の別の問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【文献】特開2021-19396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、共振時間のばらつきによって生じる電力変換効率の低下およびスイッチングノイズの増加を抑制可能なDC/DCコンバータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題を解決するために、本発明に係るDC/DCコンバータは、
メインスイッチおよび直流リアクトルを含むDC/DCコンバータ回路と、
共振用スイッチ、共振用リアクトル、および前記メインスイッチの電流路に並列接続された共振用コンデンサを含むARCP回路と、
前記共振用スイッチをターンオンさせ、前記共振用スイッチのオン期間に前記メインスイッチをターンオンさせる制御回路と、
を備えるDC/DCコンバータであって、
前記制御回路は、
前記メインスイッチおよび前記共振用スイッチのスイッチングを制御する制御部と、
前記メインスイッチをターンオンさせる動作タイミングに関する第1計算式が記憶された記憶部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1計算式に基づいて、前記共振用スイッチをターンオンさせてから前記メインスイッチをターンオンさせるまでの第1時間を算出し、前記第1時間の終了時を前記動作タイミングとして前記メインスイッチをターンオンさせるスイッチング処理と、
前記共振用リアクトルを流れる共振電流の立下りと前記直流リアクトルを流れるリアクトル電流とが交差する交差タイミングと前記動作タイミングとのずれ量が減少するように、前記第1計算式を補正して更新する更新処理と、を実行すること特徴とする。
【0024】
この構成によれば、共振時間のばらつきにより交差タイミングと動作タイミングとにずれが生じた場合であっても、更新処理を実行して第1計算式を補正することにより、交差タイミングと動作タイミングとのずれ量を減少させることができる。したがって、この構成によれば、共振時間のばらつきによって生じる電力変換効率の低下およびスイッチングノイズの増加を抑制できる。
【0025】
前記DC/DCコンバータは、
前記リアクトル電流を測定する第1電流測定手段と、
前記共振電流を測定する第2電流測定手段と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1電流測定手段および前記第2電流測定手段の測定結果に基づいて、前記交差タイミングを検出するよう構成できる。
【0026】
前記DC/DCコンバータは、
前記メインスイッチの前記電流路の両端電圧を測定する電圧測定手段を備え、
前記制御部は、
前記電圧測定手段の測定結果に基づいて、前記共振用スイッチの前記オン期間に前記両端電圧が最小値に達したことを検出することで、前記交差タイミングを検出するよう構成できる。
【0027】
前記DC/DCコンバータにおいて、
前記第1計算式の前記第1時間は、
前記共振用スイッチをターンオンさせてから、前記共振電流の立上りと前記リアクトル電流とが交差する第1時点までの第1前半時間と、
前記第1時点から、前記共振電流の立下りと前記リアクトル電流とが交差する第2時点までの第1後半時間と、
前記ずれ量に応じて前記更新処理で補正される補正時間と、を含むよう構成できる。
【0028】
前記DC/DCコンバータにおいて、
前記記憶部には、前記メインスイッチをターンオンさせてから前記共振用スイッチをターンオフさせるまでの第2時間に関する第2計算式が記憶されており、
前記制御部は、前記第2計算式を参照して、前記第2時間の終了時に前記共振用スイッチをターンオフさせるよう構成できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、共振時間のばらつきによって生じる電力変換効率の低下およびスイッチングノイズの増加を抑制可能なDC/DCコンバータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】第1実施形態に係るDC/DCコンバータの回路図である。
図2】第1実施形態に係るDC/DCコンバータの昇圧動作時の各種波形図であって、(A)はスイッチング素子Q2,Q4のゲート電圧、(B)はリアクトル電流および共振電流、(C)はスイッチング素子Q2のドレイン電流およびドレイン・ソース間電圧の波形図である。
図3】第1実施形態に係るDC/DCコンバータの昇圧動作時のモード遷移図であって、(A)はモード0、(B)はモード1、(C)はモード2の図である。
図4】第1実施形態に係るDC/DCコンバータの昇圧動作時のモード遷移図であって、(A)はモード3、(B)はモード4、(C)はモード5の図である。
図5】第1実施形態に係るDC/DCコンバータの等価回路図であって、(A)はモード3、(B)はモード4の図である。
図6】第2実施形態に係るDC/DCコンバータの回路図である。
図7】従来のDC/DCコンバータの回路図である。
図8】従来のDC/DCコンバータにおいて、昇圧動作時にスイッチング素子Q2をターンオフさせる際の各種波形図である。
図9】従来のDC/DCコンバータにおいて、昇圧動作時にスイッチング素子Q2をターンオンさせる際の各種波形図である。
図10】従来のDC/DCコンバータにおいて、共振時間のばらつきによって生じる問題を説明するための各種波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照し、本発明に係るDC/DCコンバータの実施形態について、双方向DC/DCコンバータを例に挙げて説明する。
【0032】
[第1実施形態]
図1に、第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータ1Aを示す。双方向DC/DCコンバータ1Aは、DC/DCコンバータ回路と、ARCP回路2と、第1電圧測定手段3と、第2電圧測定手段4と、第1電流測定手段5と、第2電流測定手段6と、DC/DCコンバータ回路およびARCP回路2を制御する制御回路10Aと、入出力端Ta~Tdとを備える。
【0033】
双方向DC/DCコンバータ1Aは、入出力端Tc,Td側から入出力端Ta,Tb側への電力変換動作(昇圧動作)と、入出力端Ta,Tb側から入出力端Tc,Td側への電力変換動作(降圧動作)とを行う。入出力端Ta,Tbには、例えば、双方向インバータが接続され、入出力端Tc,Tdには、例えば、電気自動車のバッテリが接続される。
【0034】
DC/DCコンバータ回路は、メインスイッチS1,S2と、直流リアクトルL1と、コンデンサC1,C2とを備える。
【0035】
メインスイッチS1,S2は、互いに直列接続され、直列接続された電流路の一端が入出力端Taに接続され、他端が入出力端Tb,Tdに接続される。メインスイッチS1とメインスイッチS2との接続点X1は、直流リアクトルL1を介して入出力端Tcに接続される。コンデンサC1は、メインスイッチS1,S2よりも入出力端Ta,Tb側において、入出力端Ta,Tb間に接続される。コンデンサC2は、直流リアクトルL1よりも入出力端Tc,Td側において、入出力端Tc,Td間に接続される。
【0036】
メインスイッチS1は、MOSFETからなるスイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q1のドレイン・ソース間に並列接続されたダイオードD1とを含む。同様に、メインスイッチS2は、MOSFETからなるスイッチング素子Q2と、スイッチング素子Q2のドレイン・ソース間に並列接続されたダイオードD2とを含む。ダイオードD1は、スイッチング素子Q1の寄生ダイオードでもよいし、スイッチング素子Q1とは独立した個別ダイオードでもよい。ダイオードD2についても同様である。
【0037】
ARCP回路2は、共振用スイッチS3,S4と、主巻線N1および補助巻線N2を含む回生用のトランスTR1と、共振用リアクトルL2と、共振用コンデンサC3,C4と、回生用のダイオードD5,D6とを備える。
【0038】
共振用スイッチS3,S4は、メインスイッチS1,S2とコンデンサC1との間に設けられ、互いに直列接続され、かつメインスイッチS1,S2に対して並列接続される。共振用スイッチS3と共振用スイッチS4との接続点X2は、トランスTR1の主巻線N1および共振用リアクトルL2を介して、接続点X1に接続される。共振用コンデンサC3は、スイッチング素子Q1のドレイン・ソース間に並列接続され、共振用コンデンサC4は、スイッチング素子Q2のドレイン・ソース間に並列接続される。トランスTR1の補助巻線N2の一端および他端は、それぞれダイオードD5,D6を介して入出力端Taに接続される。また、補助巻線N2はセンタータップを有し、当該センタータップは入出力端Tbに接続される。なお、主巻線N1と補助巻線N2との巻き数比は、本実施形態ではN1:N2=1:2である。
【0039】
共振用スイッチS3は、MOSFETからなるスイッチング素子Q3と、スイッチング素子Q3のドレイン・ソース間に並列接続されたダイオードD3とを含む。同様に、共振用スイッチS4は、MOSFETからなるスイッチング素子Q4と、スイッチング素子Q4のドレイン・ソース間に並列接続されたダイオードD4とを含む。ダイオードD3は、スイッチング素子Q3の寄生ダイオードでもよいし、スイッチング素子Q3とは独立した個別ダイオードでもよい。ダイオードD4についても同様である。
【0040】
第1電圧測定手段3は、コンデンサC1の両端電圧すなわち入出力端Ta,Tb間のリンク電圧Vを測定する。第2電圧測定手段4は、コンデンサC2の両端電圧を測定する。第1電流測定手段5は、直流リアクトルL1と入出力端Tcとの間に設けられ、直流リアクトルL1を流れるリアクトル電流IL1を測定する。第2電流測定手段6は、共振用リアクトルL2と接続点X1との間に設けられ、共振用リアクトルL2を流れる共振電流IL2を測定する。第1電圧測定手段3、第2電圧測定手段4、第1電流測定手段5および第2電流測定手段6は、測定結果(測定した電圧値または電流値に応じたセンサ信号)を制御回路10Aに出力する。
【0041】
制御回路10Aは、制御部11Aおよび記憶部12Aを備える。制御回路10Aは、例えば、マイコンで構成される。
【0042】
記憶部12Aには、制御部11AがメインスイッチS1,S2のスイッチング素子Q1,Q2をターンオンさせる第1タイミング(本発明の「動作タイミング」に相当)に関する第1計算式と、制御部11Aが共振用スイッチS3,S4のスイッチング素子Q3,Q4をターンオフさせる第2タイミングに関する第2計算式とが記憶されている。
【0043】
昇圧動作時の制御部11Aは、第1計算式に基づいて算出した第1タイミングでスイッチング素子Q2をターンオンさせ、かつ第2計算式に基づいて算出した第2タイミングでスイッチング素子Q4をターンオフさせるスイッチング処理を実行する。降圧動作時の制御部11Aは、第1計算式に基づいて算出した第1タイミングでスイッチング素子Q1をターンオンさせ、かつ第2計算式に基づいて算出した第2タイミングでスイッチング素子Q3をターンオフさせるスイッチング処理を実行する。また、制御部11Aは、第1計算式を補正して更新する更新処理を実行する。
【0044】
記憶部12Aには、ARCP回路2の動作停止となる動作条件に関する複数の条件テーブルが記憶されている。動作条件には、例えば、昇圧動作時にARCP回路2の動作を停止させる場合のDC/DCコンバータ回路の入力電圧値、出力電圧値および出力電流値からなる動作条件と、降圧動作時にARCP回路2の動作を停止させる場合のDC/DCコンバータ回路の入力電圧値、出力電圧値および出力電流値からなる動作条件とが含まれる。
【0045】
昇圧動作時の制御部11Aは、共振電流IL2が流れていない期間(例えば、図2のPWM制御可能期間:時刻t~t)に、スイッチング素子Q2のPWM制御を行い、共振電流IL2が流れている期間(例えば、図2のPWM制御不可期間:時刻t~t)に、第1計算式に基づいて算出した第1タイミングでスイッチング素子Q2をターンオンさせる(例えば、時刻t)。同様に、降圧動作時の制御部11Aは、PWM制御可能期間にスイッチング素子Q1のPWM制御を行い、PWM制御不可期間に第1計算式に基づいて算出した第1タイミングでスイッチング素子Q1をターンオンさせる。
【0046】
昇圧動作時の制御部11Aは、PWM制御可能期間内でスイッチング素子Q2のデューティを可変させてPWM制御を行うが、軽負荷になるにつれてスイッチング素子Q2のオフ期間を増加させる必要がある。軽負荷がさらに進行すると、共振電流IL2が流れているPWM制御不可期間にもPWM制御を行う(スイッチング素子Q2をオフさせる)必要が生じる。その場合、制御部11Aは、ARCP回路2の動作を停止させて共振電流IL2が流れないようにし、PWM制御不可期間をPWM制御可能期間とする。
【0047】
次に、昇圧動作時の双方向DC/DCコンバータ1Aの動作モードについて説明する。動作モードは、モード0~モード5のサイクルの繰り返しとなる。なお、降圧動作時は、スイッチング素子Q2,Q4の代わりにスイッチング素子Q1,Q3をスイッチングさせるだけで、昇圧動作時と同様にモード0~モード5のサイクルの繰り返しとなる。
【0048】
モード0では、スイッチング素子Q2がオンしており、コンデンサC2→直流リアクトルL1→スイッチング素子Q2の経路で電流が流れ、直流リアクトルL1にエネルギーが蓄積される(図3(A)参照)。スイッチング素子Q2がターンオフするとモード1に移行する。
【0049】
モード1では、スイッチング素子Q2を流れていた電流が共振用コンデンサC3,C4に転流し、コンデンサC2→直流リアクトルL1→共振用コンデンサC3の電流経路と、コンデンサC2→直流リアクトルL1→共振用コンデンサC4の電流経路が形成される(図3(B)参照)。共振用コンデンサC4は充電され、共振用コンデンサC3は放電される。共振用コンデンサC4の充電により、スイッチング素子Q2のドレイン・ソース間電圧Vdsは緩やかに増加するため、ゼロ電圧スイッチングが実現される。
【0050】
モード2では、コンデンサC2→直流リアクトルL1→ダイオードD1の経路で直流リアクトルL1のエネルギーが放出されるため、同経路で電流が流れる(図3(C)参照)。スイッチング素子Q4がターンオンするとモード3に移行する。
【0051】
モード3では、ダイオードD1に流れる電流は徐々に共振用リアクトルL2に転流し、コンデンサC2→直流リアクトルL1→共振用リアクトルL2→トランスTR1の主巻線N1→スイッチング素子Q4の電流経路が形成される(図4(A)参照)。ダイオードD1に流れる電流が全て共振用リアクトルL2に転流するとモード4に移行する。
【0052】
モード4では、共振用リアクトルL2が連続的に電流を流そうとして共振用コンデンサC3,C4から電荷を引き抜くように作用するため、共振用リアクトルL2、トランスTR1のリーケージインダクタンスおよび共振用コンデンサC3,C4が共振する(図4(B)参照)。これにより、スイッチング素子Q2のドレイン・ソース間電圧Vdsは減少する。スイッチング素子Q2がターンオンするとモード5に移行する。
【0053】
モード5では、スイッチング素子Q2がオンしているので、共振用リアクトルL2の両端電圧は、共振用リアクトルL2とトランスTR1の主巻線N1との接続点X3の電圧とグランド(GND)で固定され、共振電流IL2は減少する(図4(C)参照)。その結果、コンデンサC2→直流リアクトルL1→共振用リアクトルL2→トランスTR1の主巻線N1→スイッチング素子Q4の経路で流れていた電流は、コンデンサC2→直流リアクトルL1→スイッチング素子Q2の経路で流れるようになり、モード0に移行する。
【0054】
次に、記憶部12Aに記憶された第1計算式および第2計算式について説明する。第1計算式および第2計算式は、昇圧動作時の計算式と降圧動作時の計算式とを含むが、両者の算出方法は共通するため、以下では昇圧動作時について説明する。
【0055】
昇圧動作時の第1計算式は、スイッチング素子Q2をターンオンさせる第1タイミングに関するものであり、具体的には、スイッチング素子Q4をターンオンさせてからスイッチング素子Q2をターンオンさせるまでの第1時間T1(例えば、図2の時刻t~t)に関するものである。第1時間T1の終了時が第1タイミングになる。
【0056】
昇圧動作時の第2計算式は、スイッチング素子Q4をターンオフさせる第2タイミングに関するものであり、具体的には、スイッチング素子Q2をターンオンさせてからスイッチング素子Q4をターンオフさせるまでの第2時間T2(例えば、図2の時刻t~t)に関するものである。第2時間T2の終了時が第2タイミングになる。
【0057】
第1時間T1および第2時間T2は、スイッチング素子Q2のターンオン時の共振波形の動作原理(モード3~モード5)と理論値から算出できる。
【0058】
モード3における双方向DC/DCコンバータ1Aの等価回路を、図5(A)に示す。図5(A)において、VX3は共振用リアクトルL2とトランスTR1の主巻線N1との接続点X3の電圧であり、IはダイオードD1を流れる電流である。モード3の初期状態では、共振電流IL2=0[A]で、I=IL1である。
【0059】
モード3ではスイッチング素子Q4がオンしているので、共振用リアクトルL2の両端電圧は、V-VX3となる。よって、下記(1)~(3)式が成立する。(1)~(3)式において、Lは共振用リアクトルL2のインダクタンスである。
【数1】
【数2】
【数3】
【0060】
モード3の期間をT1’(本発明の「第1前半時間」に相当)とすると、T1’は、共振電流IL2の立上りからIL2=IL1となるまでの期間となる。よって、T1’は下記(4)式で表せる。
【数4】
リアクトル電流IL1の電流リプルを考慮して、リアクトル電流IL1の平均値から電流リプルを引いた値をIL1minとおくと、T1’は下記(5)式で表せる。
【数5】
ここで、トランスTR1の主巻線N1と補助巻線N2との巻き数比が、N1:N2=1:2であるため、VX3=(1/2)Vとなり、T1’は下記(6)式で表せる。
【数6】
【0061】
モード4における双方向DC/DCコンバータ1Aの等価回路を、図5(B)に示す。モード4では、下記(7)式が成立する。
【数7】
(7)式において、Vは共振用コンデンサC(=共振用コンデンサC3+共振用コンデンサC4)の両端電圧、VL2は共振用リアクトルL2の両端電圧である。VL2およびVは、それぞれ下記(8)式および(9)式で表せる。
【数8】
【数9】
は、図5(B)に示す等価回路の閉ループを流れる電流である。上記(7)~(9)式から、下記(10)式が成立する。
【数10】
さらに、下記(11)~(13)式が成立する。
【数11】
【数12】
【数13】
【0062】
=0[V]になった時点でモードが切り替わるので、モード4の期間をT1’’(本発明の「第1後半時間」に相当)とすると、T1’’は共振の半分周期の時間となる。よって、下記(14)式および(15)式が成立する。
【数14】
【数15】
【0063】
したがって、第1時間T1は下記(16)式で表せる。
【数16】
【0064】
双方向DC/DCコンバータ1Aでは、(16)式に補正値α(本発明の「補正時間」に相当)を加えた下記(17)式を、第1計算式として記憶部12Aに記憶させている。
【数17】
補正値αは、制御部11Aの更新処理により補正される値であり、初期値はα=0に設定されている。
【0065】
第2時間T2は、図2に示すように、モード5の期間を超える期間であればよい。モード5の期間は、モード3の期間、すなわち第1前半時間T1’と同じであるため、モード5の期間の計算式は(6)式と同様に算出できる。
【0066】
ただし、スイッチング素子Q4をターンオフさせる第2タイミングは、共振が完了した後であれば特に制限はない。このため、双方向DC/DCコンバータ1Aでは、第2時間T2=β(ただし、βはT1’よりも大となる定数。例えば、β=2[μs]。)とし、定数βを第2計算式として記憶部12Aに記憶させている。
【0067】
次に、昇圧動作時の制御部11Aの制御について説明する。
【0068】
制御部11Aは、まず停止判定処理を行う。停止判定処理時の制御部11Aは、第1電圧測定手段3、第2電圧測定手段4および第1電流測定手段5により取得した動作条件と、記憶部12Aに記憶されている条件テーブルの動作条件とを比較して、ARCP回路2の動作を停止させるか否かの停止判定を行う。
【0069】
停止判定においてARCP回路2の動作を停止させると判定した場合、制御部11Aは、ARCP回路2の動作を停止させて(スイッチング素子Q4を連続オフ状態にして)共振電流が流れないようにし、PWM制御不可期間(図2の時刻t~tの期間)をPWM制御可能期間とする。制御部11Aは、所定時間経過後に再び停止判定を行う。
【0070】
停止判定においてARCP回路2の動作を停止させないと判定した場合、制御部11Aは、スイッチング処理を行う。スイッチング処理時の制御部11Aは、記憶部12Aに記憶された第1計算式(本実施形態では(17)式)に基づいて第1時間T1を算出した後、所定のタイミングでスイッチング素子Q4をターンオンさせる(時刻t)。
【0071】
制御部11Aは、スイッチング素子Q4をターンオンさせてから第1時間T1が経過した第1タイミングで、スイッチング素子Q2をターンオンさせる(時刻t)。制御部11Aは、スイッチング素子Q2をターンオンさせた時の測定値(少なくとも第1電流測定手段5および第2電流測定手段6の測定値)を記憶する。
【0072】
制御部11Aは、記憶部12Aに記憶された第2計算式(=第2時間T2=定数β)を参照し、スイッチング素子Q2をターンオンさせてから第2時間T2が経過した第2タイミングで、スイッチング素子Q4をターンオフさせる(時刻t)。その後、制御部11Aは、PWM制御のデューティに応じてスイッチング素子Q2をターンオフさせる(時刻t)。
【0073】
制御部11Aは、スイッチング処理と並行して、更新処理を行う。更新処理時の制御部11Aは、記憶部12Aに記憶された第1計算式から算出した第1タイミングと、第1電流測定手段5および第2電流測定手段6の測定値から算出した実際に共振電流IL2の立下りとリアクトル電流IL1とが交差する交差タイミングとを比較する。
【0074】
例えば、制御部11Aは、スイッチング素子Q2のターンオン時(時刻t)におけるリアクトル電流IL1の電流値と共振電流IL2の電流値との比較を行う。比較の結果、両者が一致する場合、制御部11Aは、記憶部12Aに記憶された第1計算式を更新することなく、更新処理を終了する。両者が不一致の場合、制御部11Aは、第1タイミングと交差タイミングとのずれ量が減少するように、第1時間T1の補正値αを増減させる補正をして第1計算式を更新し、更新処理を終了する。
【0075】
更新処理を終了した制御部11Aは、所定時間経過後に再び停止判定を行う。このように、昇圧動作時の制御部11Aは、停止判定処理、スイッチング処理および更新処理を含む一連の制御を繰り返し行う。なお、降圧動作時の制御部11Aも、同様の制御を行う。
【0076】
第1実施形態に係る双方向DC/DCコンバータ1Aは、第1電流測定手段5により取得したリアクトル電流IL1の電流値と第2電流測定手段6により取得した共振電流IL2の電流値とが一致したタイミングでスイッチング素子Q2(降圧動作時はスイッチング素子Q1)をターンオンさせるリアルタイム制御方式を採用することなく、第1計算式から算出した第1タイミングでスイッチング素子Q2(降圧動作時はスイッチング素子Q1)をターンオンさせる方式を採用している。このため、双方向DC/DCコンバータ1Aは、リアルタイム制御方式による制御の遅延を回避できる。
【0077】
また、双方向DC/DCコンバータ1Aでは、共振時間のばらつきにより第1計算式から算出した第1タイミングと実際の交差タイミングとにずれが生じた場合であっても、制御部11Aが更新処理を実行して第1計算式を補正することにより、第1タイミングと交差タイミングとのずれ量を減少させることができる。したがって、双方向DC/DCコンバータ1Aによれば、共振時間のばらつきによって生じる電力変換効率の低下およびスイッチングノイズの増加を抑制できる。
【0078】
[第2実施形態]
図6に、第2実施形態に係る双方向DC/DCコンバータ1Bを示す。双方向DC/DCコンバータ1Bは、第2電流測定手段6の代わりに第3電圧測定手段7および第4電圧測定手段8を備える点、制御回路10Aの代わりに制御回路10Bを備える点において第1実施形態と相違し、その他の点において第1実施形態と共通する。
【0079】
第3電圧測定手段7は、共振用コンデンサC3の両端電圧、換言すればスイッチング素子Q1のドレイン・ソース間電圧を測定する。第4電圧測定手段8は、共振用コンデンサC4の両端電圧、換言すればスイッチング素子Q2のドレイン・ソース間電圧を測定する。第3電圧測定手段7および第4電圧測定手段8は、測定結果(測定した電圧値に応じたセンサ信号)を制御回路10Bに出力する。
【0080】
制御回路10Bは、制御部11Bおよび記憶部12Bを備える。制御回路10Bは、例えば、マイコンで構成される。記憶部12Bは、第1実施形態の記憶部12Aと同じ構成である。
【0081】
制御部11Bは、第2電流測定手段6の測定結果の代わりに第3電圧測定手段7および第4電圧測定手段8の測定結果を用いる点を除いて、第1実施形態の制御部11Aと同じ構成である。
【0082】
制御部11Bは、共振電流IL2の立下り時の電流波形とリアクトル電流IL1の電流波形とが交差する交差タイミングを、昇圧動作時は第4電圧測定手段8で測定した電圧値が最小値(例えば、0[V]または0[V]近傍の値)に達したことを検出することで特定し、降圧動作時は第3電圧測定手段7で測定した電圧値が最小値(例えば、0[V]または0[V]近傍の値)に達したことを検出することで特定する。
【0083】
制御部11Bは、更新処理において、記憶部12Bに記憶された第1計算式から算出した第1タイミングと、第4電圧測定手段8(降圧動作時は第3電圧測定手段7)の測定値から算出した実際にスイッチング素子Q2(降圧動作時はスイッチング素子Q1)のドレイン・ソース間電圧が最小値となる交差タイミングを比較する。
【0084】
例えば、制御部11Bは、スイッチング素子Q2(降圧動作時はスイッチング素子Q1)をターンオンさせた時に第4電圧測定手段8(降圧動作時は第3電圧測定手段7)で測定した電圧値と上記最小値との比較を行う。比較の結果、上記電圧値が上記最小値である場合、制御部11Bは、記憶部12Bに記憶された第1計算式を更新することなく、更新処理を終了する。上記電圧値が上記最小値とは異なる場合、制御部11Bは、第1タイミングと交差タイミングとのずれ量が減少するように、第1時間T1の補正値αを増減させる補正をして第1計算式を更新し、更新処理を終了する。
【0085】
第2実施形態に係る双方向DC/DCコンバータ1Bによれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
[変形例]
以上、本発明に係るDC/DCコンバータの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0087】
本発明に係るDC/DCコンバータは、メインスイッチおよび直流リアクトルを含むDC/DCコンバータ回路と、共振用スイッチ、共振用リアクトル、およびメインスイッチの電流路に並列接続された共振用コンデンサを含むARCP回路と、共振用スイッチをターンオンさせ、共振用スイッチのオン期間にメインスイッチをターンオンさせる制御回路とを備え、当該制御回路が、メインスイッチおよび共振用スイッチのスイッチングを制御する制御部と、メインスイッチをターンオンさせる動作タイミングに関する第1計算式が記憶された記憶部と、を備えていれば適宜構成を変更できる。
【0088】
本発明の制御部は、第1計算式に基づいて、共振用スイッチをターンオンさせてからメインスイッチをターンオンさせるまでの第1時間を算出し、第1時間の終了時を動作タイミングとしてメインスイッチをターンオンさせるスイッチング処理と、共振用リアクトルを流れる共振電流の立下りと直流リアクトルを流れるリアクトル電流とが交差する交差タイミングと動作タイミングとのずれ量が減少するように、第1計算式を補正して更新する更新処理と、を実行するのであれば適宜構成を変更できる。
【0089】
第1計算式は、共振用スイッチをターンオンさせてから、共振電流の立上りとリアクトル電流とが交差する第1時点までの第1前半時間と、第1時点から、共振電流の立下りとリアクトル電流とが交差する第2時点までの第1後半時間と、更新処理で補正される補正時間と、を含むのであれば適宜変更できる。例えば、上記実施形態における(17)式をさらに変形させて算出した式を、第1計算式として記憶させてもよい。なお、共振電流の立上りとは、共振電流が0から離れる方向の波形であり、共振電流の立下りとは、共振電流が0に近づく方向の波形である。
【0090】
同様に、第2計算式も適宜変更できる。例えば、定数βを用いることなく、第1前半時間T1’のように変数を含む式を用いてもよい。
【0091】
上記実施形態では双方向の電力変換動作(昇圧動作および降圧動作)を行う双方向DC/DCコンバータ1A,1Bについて説明したが、本発明は、片方向の電力変換を行うDC/DCコンバータにも適用可能である。
【0092】
メインスイッチおよび/または共振用スイッチのスイッチング素子として、MOSFET以外のスイッチング素子(例えば、IGBT)を用いることができる。
【符号の説明】
【0093】
1A,1B 双方向DC/DCコンバータ
2 ARCP回路
3 第1電圧測定手段
4 第2電圧測定手段
5 第1電流測定手段
6 第2電流測定手段
7 第3電圧測定手段
8 第4電圧測定手段
10A,10B 制御回路
11A,11B 制御部
12A,12B 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10