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特許7704588ポリプロピレン系樹脂組成物、及び自動車内装部品用成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】ポリプロピレン系樹脂組成物、及び自動車内装部品用成形体
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/10 20060101AFI20250701BHJP
   C08K 5/103 20060101ALI20250701BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20250701BHJP
   C09K 3/16 20060101ALI20250701BHJP
【FI】
C08L23/10
C08K5/103
C08L71/02
C09K3/16 106B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021105231
(22)【出願日】2021-06-24
(65)【公開番号】P2022008253
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2024-05-31
(31)【優先権主張番号】P 2020109200
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000221797
【氏名又は名称】東邦化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】柿田 泰宏
【審査官】藤原 研司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-196629(JP,A)
【文献】特開平08-291281(JP,A)
【文献】特開平09-013013(JP,A)
【文献】特開昭52-095777(JP,A)
【文献】特開昭60-221442(JP,A)
【文献】特表2017-535628(JP,A)
【文献】米国特許第05534192(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K
C08L
C09K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン系樹脂(A)100質量部に対し、
下記化学式(1):
【化1】
(式中、Rは、全脂肪族アミン中、炭素数10以下の脂肪族アミンを3~20質量%、炭素数12の脂肪族アミンを20~70質量%、炭素数14の脂肪族アミンを10~30質量%、炭素数16以上の脂肪族アミンを5~30質量%含む脂肪族アミンに由来する炭化水素基を示し、Rは、炭素数1以上3以下のアルキル基を示し、m及びnは、オキシエチレン基の平均付加モル数を示し、それぞれ独立に0.5以上10以下の数である。Rは、炭素数1以上3以下のアルキル基を示す。)
で表される第4級アンモニウム塩(B)を0.01~2.0質量部
を配合してなるポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項2】
前記第4級アンモニウム塩(B)が、25℃で液状である、請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項3】
ポリプロピレン系樹脂(A)100質量部に対し、さらに
多価アルコール脂肪酸エステル(C)を0.01~2.0質量部を配合してなる、請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項4】
ポリプロピレン系樹脂(A)100質量部に対し、前記(B)成分、及び(C)成分を合計で0.01~2.0質量部配合してなる、請求項3に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項5】
前記(B)成分と、(C)成分の合計との質量比が、[(B)/(C)]=80/20~1/99である、請求項3又は4に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなる自動車内装部品用成形体。
【請求項7】
下記化学式(2):
【化2】
(式中、 は、全脂肪族アミン中、炭素数10以下の脂肪族アミンを3~20質量%、炭素数12の脂肪族アミンを20~70質量%、炭素数14の脂肪族アミンを10~30質量%、炭素数16以上の脂肪族アミンを5~30質量%含む脂肪族アミンに由来する炭化水素基を示し、R は、炭素数1以上3以下のアルキル基を示し、m及びnは、オキシエチレン基の平均付加モル数を示し、それぞれ独立に0.5以上10以下の数である。R は、炭素数1以上3以下のアルキル基を示す。
で表される第4級アンモニウム塩(B)を含有する、自動車内装材用帯電防止剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物及びそれを成形してなる自動車内装部品用成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車内装材は、ポリプロピレン樹脂に無機フィラーやゴムを添加した樹脂組成物を成形したものが用いられているが、成形後およびユーザー納入時に内装材にほこりが付着しないことが望まれている。ほこりの付着は、主として静電気によるものであるから、付着しにくくするために、帯電防止剤を添加して内装材表面の電気抵抗を低下させ、静電気を逃がすことが一般に行われている。
【0003】
しかし、帯電防止剤はタルクなどの無機フィラーに吸着され易く、帯電防止性能が発現しにくい。帯電防止性能を改善するために、帯電防止剤の添加量を増加させると、夏場などに自動車の室内温度が上昇したときに帯電防止剤が気化しフロントガラスなどに付着して、ガラスの透明性が損なわれるフォギングと呼ばれる不具合が発生する。このようなことから、自動車内装材には、内装材の表面へのほこりの付着性がないこと、さらには帯電防止剤の付着による自動車のガラスの透明性が損なわれないことが要求される。
【0004】
特許文献1には、エチレン含量が25~75重量%のプロピレン・エチレンランダム共重合体部5~20重量%を含有するプロピレン・エチレンブロック共重合体(成分A)30~82重量部、タルク(成分B)10~40重量部およびオレフィン系エラストマー(成分C)8~30重量部の合計100重量部からなり、該成分Bと成分Cとの合計が20~60重量部である混合物に、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、アルキルジエタノールアミンとの混合物からなる帯電防止剤(成分D)を、組成物基準で0.3~0.45重量%配合したことを特徴とする、帯電防止性とフォギング防止性に優れた自動車内装材用樹脂組成物が開示されている。
【0005】
特許文献2には、(A)結晶性ポリプロピレン樹脂50~90重量部、(B)無機フィラー10~50重量部、(C)ゴム0~40重量部(ここで、(A)、(B)および(C)成分の合計量は100重量部である)、ならびに(D)パルミチン酸ジエタノールアミド0.01~3重量部を含有することを特徴とするポリプロピレン樹脂組成物が開示されている。
【0006】
特許文献3には、プロピレン重合材料100重量部と、モノグリセリンの脂肪酸エステル及びジグリセリンの脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種のエステル化合物を0.1~0.4重量部と、ステアリルジエタノールアミンモノステアレートを0.1~0.4重量部とを含有する帯電防止剤0.2~0.8重量部と、N,N’-ジ(ヒドロキシエチル)アルキルアミド0.01~0.4重量部と、ヒンダードアミン系光安定剤0.01~0.3重量部とを含有するポリプロピレン樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平11-323070号公報
【文献】特開2002-212353号公報
【文献】特開2014-201615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1~3に記載のポリプロピレン樹脂組成物はフォギング防止性が十分でなく、また揮発性の有機化合物(VOC)、特にアセトアルデヒドやホルムアルデヒド等のアルデヒド類の放散量については、満足できるものではなかった。
本発明は、上記のような従来技術における問題を解決することを目的とするものであって、帯電防止性を損なうことなく、フォギングとアルデヒド類の発生を抑制したポリプロピレン系樹脂組成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、帯電防止剤成分の構造や性状が、フォギングやアルデヒド類の発生と関係していることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、以下に示すものである。
〔1〕ポリプロピレン系樹脂(A)100質量部に対し、
下記化学式(1):
【化1】
(式中、Rは、全脂肪族アミン中、炭素数10以下の脂肪族アミンを3~20質量%、炭素数12の脂肪族アミンを20~70質量%、炭素数14の脂肪族アミンを10~30質量%、炭素数16以上の脂肪族アミンを5~30質量%含む脂肪族アミンに由来する炭化水素基を示し、Rは、炭素数1以上3以下のアルキル基を示し、m及びnは、オキシエチレン基の平均付加モル数を示し、それぞれ独立に0.5以上10以下の数である。Rは、炭素数1以上3以下のアルキル基を示す。)
で表される第4級アンモニウム塩(B)を0.01~2.0質量部
を配合してなるポリプロピレン系樹脂組成物。
〔2〕前記第4級アンモニウム塩(B)が、常温で液状である、〔1〕に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
〔3〕ポリプロピレン系樹脂(A)100質量部に対し、さらに
多価アルコール脂肪酸エステル(C)を0.01~2.0質量部を配合してなる、〔1〕又は〔2〕に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
〔4〕前記(B)成分、及び(C)成分を合計で0.01~2.0質量部配合してなる、〔3〕に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
〔5〕前記(B)成分と、(C)成分の合計との質量比が、[(B)/(C)]=100/0~1/99である、〔1〕~〔4〕に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
〔6〕〔1〕~〔5〕に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなる自動車内装部品用成形体。
〔7〕下記化学式(2):
【化2】
(式中、R、R、R、m及びnは、前記と同じ意味を示す。)
で表される第4級アンモニウム塩(B)を含有する、自動車内装材用帯電防止剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなる成形体は、ほこり等の付着を防ぐために必要な帯電防止性を維持しつつ、フォギングとアルデヒド類の発生を大幅に抑制することができる。また、ブリードアウトに起因する白濁化を生じないため、自動車内装用部品として好ましく使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を構成するポリプロピレン系樹脂(A)としては、従来公知のポリプロピレン系樹脂を適宜選択して用いることができる。このようなポリプロピレン系樹脂(A)として、例えばプロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン以外の他のα-オレフィンとのプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体およびプロピレンブロック共重合体などを挙げることができる。また、ポリプロピレン系樹脂(A)は、無水マレイン酸などの極性基含有モノマーで変性されていてもよい。ポリプロピレン系樹脂(A)は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0013】
好ましいポリプロピレン系樹脂(A)として、プロピレン単独重合体、他のα-オレフィン単位を30重量%以下、好ましくは5重量%以下含有するプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体、およびn-デカン抽出量が10重量%以下、特には該抽出量が8重量%以下のプロピレンブロック共重合体を挙げることができる。なお、「α-オレフィン単位」は、α-オレフィンから誘導され、重合体を構成する構造単位を意味する。また、本発明では、α-オレフィンには、エチレンが包含される。
【0014】
上記プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体またはプロピレンブロック共重合体を形成する他のα-オレフィンとしては、プロピレン以外の炭素数2~20のα-オレフィンが好ましく挙げられ、具体的には、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-ヘキサデセン、4-メチル-1-ペンテンなどを挙げることができる。これらのα-オレフィンは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0015】
プロピレンブロック共重合体は、通常、直列に連結した複数個の重合器で、例えば前段側の重合器でプロピレン単独重合体を生成し、後段側の重合器でプロピレン単独重合体の存在下でプロピレン・α-オレフィンランダム共重合ゴム(典型的には、プロピレン・エチレンランダム共重合ゴム)を生成することにより得られるものであり、プロピレン単独重合体とプロピレン・α-オレフィンランダム共重合ゴムとが均一に混合している。ポリプロピレン樹脂(A)として、プロピレンブロック共重合体を用いる場合、プロピレンブロック共重合体中に共重合ゴムが十分存在していれば、ゴム成分の配合を省略することもできる。
【0016】
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂(A)は、それ自体公知の固体状チタン触媒あるいはメタロセン系触媒などを用いて、公知の方法により製造することができる。
【0017】
また、ポリプロピレン系樹脂(A)は、ASTM D1238に準拠して測定されるメルトフローレートMFR(230℃、2.16Kg荷重下)が、通常0.1~300g/10分であり、好ましくは1~100g/10分であり、より好ましくは50g/10分である。
【0018】
本発明で用いられる第4級アンモニウム塩(B)は、下記化学式(1)で表される化合物である。
【化3】

(式中、Rは、全脂肪族アミン中、炭素数10以下の脂肪族アミンを3~20質量%、炭素数12の脂肪族アミンを20~70質量%、炭素数14の脂肪族アミンを10~30質量%、炭素数16以上の脂肪族アミンを5~30質量%含む脂肪族アミンに由来する炭化水素基を示し、Rは、炭素数1以上3以下のアルキル基を示し、m及びnは、オキシエチレン基の平均付加モル数を示し、それぞれ独立に0.5以上10以下の数である。Rは、炭素数1以上3以下のアルキル基を示す。)
【0019】
式(1)中のRを構成する脂肪族アミンに含まれる炭素数10以下の脂肪族アミンとしては、オクチルアミン、デシルアミンが挙げられ、全脂肪族アミン中、3~20質量%、好ましくは5~15質量%含まれる。
炭素数12の脂肪族アミンとしては、ドデシルアミン(ラウリルアミン)が挙げられ、全脂肪族アミン中、20~70質量%、好ましくは30~60質量%含まれる。
炭素数14の脂肪族アミンとしては、テトラデシルアミンが挙げられ、全脂肪族アミン中、10~30質量%、好ましくは15~20質量%含まれる。
炭素数16以上の脂肪族アミンとしては、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン(ステアリルアミン)、イコシルアミン、ドコシルアミン(ベヘニルアミン)、オクタデセニルアミン、オレイルアミンが挙げられ、全脂肪族アミン中、5~30質量%、好ましくは10~25質量%含まれる。中でも、脂肪族アミンが常温で液状となり、帯電防止性及び耐フォギング性を向上させる観点から、オレイルアミンが好ましい。
【0020】
上記組成の脂肪族アミンの混合物としては、ヤシ油、パーム核油、あおもじ種子油、いぬがし種子油、かごのき種子油、くろもじ種子油、しろだも種子油、たぶのき種子油、にっけい種子油、はまびあ種子油等の天然油脂に含まれる複数の脂肪酸に由来する脂肪族アミンが好ましく使用できるが、予め高純度に精製された脂肪族アミンを組み合わせて調整したものであってもよい。
【0021】
式(1)中のm及びnは、オキシエチレン基の平均付加モル数を示し、高濃度で液状であり、帯電防止性能を向上させる観点、及び耐フォギング性を向上させる観点から、それぞれ独立に、0.5以上であり、好ましくは1.0以上であり、同様の観点から、10以下であり、好ましくは5以下、より好ましくは1.5以下である。
【0022】
また、m+nは、帯電防止性能、及び耐フォギング性を向上させる観点から、1以上であり、好ましくは1.5以上であり、同様の観点から、20以下、好ましくは5以下、より好ましくは3以下である。
【0023】
式(1)中のR及びRは、炭素数1以上3以下のアルキル基を示す。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられるが、最も好ましくはエチル基である。
【0024】
本発明で用いられる第4級アンモニウム塩(B)の製造方法に特に制限はないが、例えば、前記脂肪族アミンにエチレンオキサイドを付加したポリオキシエチレン脂肪族アミン(b1)と、硫酸ジアルキル(b2)とを反応させることにより製造することができる。
【0025】
ポリオキシエチレン脂肪族アミン(b1)としては、オクチルジエタノールアミン、デシルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン、ミリスチルジエタノールアミン、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン及びオレイルジエタノールアミンからなる群から選ばれる脂肪族アミンの混合物、ヤシアルキルジエタノールアミン、ポリオキシエチレンココアミン等が挙げられるがこの限りではない。
【0026】
硫酸ジアルキル(b2)としては、例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジプロピル等が挙げられるが、この限りではない。
【0027】
ポリオキシエチレン脂肪族アミン(b1)と硫酸ジアルキル(b2)とを反応させる際の反応温度は、反応を速やかに進行させる観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上であり、そして、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下である。
【0028】
ポリオキシエチレン脂肪族アミン(b1)と硫酸ジアルキル(b2)の反応モル比は、好ましくは(b2)/(b1)=0.1~1.2、より好ましくは0.5~1.0、さらに好ましくは0.7~1.0である。特に反応モル比が1以下になると未反応の化合物の影響で粘度が低くなり、表面に移行して帯電防止性が効きやすくなる。
【0029】
本発明で用いられる第4級アンモニウム塩(B)は、帯電防止性と耐フォギング性に優れるため、自動車内装材用の帯電防止剤として好適に用いることができる。第4級アンモニウム塩(B)が常温で固体状やゲル状である場合、耐フォギング性が低下する傾向があるため、常温で液状であることが好ましい。この場合の常温とは25℃である。なお、本発明における「第4級アンモニウム塩(B)」には、前記一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩のみからなるものの他に、その製造過程で残存した未反応原料や副反応生成物、分解物等を含んだ反応混合物も包含される。
【0030】
本発明において、第4級アンモニウム塩(B)の配合量は、ポリプロピレン系樹脂(A)100質量部に対して、0.01~2.0質量部であるが、帯電防止性やフォギング防止性の観点で好ましくは0.1~1.0質量部、さらに好ましくは0.2~0.5質量部の割合で配合される。
【0031】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、帯電防止効果を高めるため、必要に応じ、多価アルコール脂肪酸エステル(C)を配合することができる。多価アルコール脂肪酸エステル(C)は、多価アルコールと脂肪酸とのエステル化反応、又は多価アルコールと脂肪酸低級アルキルアルコールエステルとのエステル交換反応等の公知の方法によって得られるエステル化合物である。
【0032】
多価アルコール脂肪酸エステル(C)の原料となる多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ジグリセリン、キシリトール、トリグリセリン、ソルビトール、ジペンタエリスリトール、イノシトール、テトラグリセリンなどが挙げられ、これらの中でも、グリセリン、ジグリセリン、ソルビタン、ソルビトールが好ましい。
【0033】
多価アルコール脂肪酸エステル(C)の原料となる脂肪酸は、適度なブリード性を付与する観点から、炭素数が10以上であることが好ましく、12以上であることがより好ましい。また、当該炭素数は22以下が好ましく、より好ましくは20以下であり、さらに好ましくは18以下である。炭素数8~22の脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸等の飽和脂肪酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、テトラデセン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレイン酸、リシノール酸等の不飽和脂肪酸などが挙げられる。これらの中でも、帯電防止性、ブリード性の観点からラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が好ましく、パルミチン酸、ステアリン酸が特に好ましい。
【0034】
多価アルコール脂肪酸エステル(C)の中でもモノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルがVOC低減の観点からも好ましい。
【0035】
モノグリセリン脂肪酸エステルは、モノグリセリンと脂肪酸とのエステル化反応、又はモノグリセリンと脂肪酸低級アルキルアルコールエステルとのエステル交換反応等の公知の方法によって得られるエステル化合物であって、好ましくはモノグリセリンと炭素数8~22の脂肪酸とから得られるモノグリセリンのモノ脂肪酸エステル化合物であるが、ジ脂肪酸エステル、トリ脂肪酸エステルが存在していても良い。これらは蒸留したものであってもよいし、未蒸留のまま使用してもよい。
【0036】
ジグリセリン脂肪酸エステルは、ジグリセリンと脂肪酸とのエステル化反応、又はジグリセリンと脂肪酸低級アルキルアルコールエステルとのエステル交換反応等の公知の方法によって得られるエステル化合物であって、好ましくはジグリセリンと炭素数8~22の脂肪酸とから得られるジグリセリンのモノ脂肪酸エステル化合物であるが、ジ脂肪酸エステル、トリ脂肪酸エステルが存在していても良い。これらは蒸留したものであってもよいし、未蒸留のまま使用してもよい。
【0037】
原料のジグリセリンはグリセリンが2モル縮合したジグリセリンの含有量が90質量%以上のものが好ましいが、3モル、4モル縮合したポリグリセリンが存在していてもよい。炭素数8~22の脂肪酸は、モノグリセリン脂肪酸エステルと同じものが使用できる。
【0038】
本発明に用いるポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルは、例えば、ソルビトール又はソルビタンと脂肪酸との部分エステルであるソルビタン脂肪酸エステルにアルキレンオキシドを付加することにより得られるが、特にそれに限定されるものではなく、ソルビトール又はソルビタンにアルキレンオキシドを付加したものと、脂肪酸とをエステル化した反応物であってもよい。
【0039】
本発明において、多価アルコール脂肪酸エステル(C)の配合量は、帯電防止性やフォギング防止性の観点から、ポリプロピレン系樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0~2.0質量部であるが、より好ましくは0.01~1.0質量部、さらに好ましくは0.1~0.5質量部の割合で配合することができる。
【0040】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に含有される前記(B)及び(C)成分の合計量は、ポリプロピレン系樹脂組成物に対し優れた帯電防止効果を付与する観点から、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、0.1~2.0質量部の範囲であることが好ましく、0.2~0.5質量部であることがより好ましい。この範囲内とすることにより、表面固有抵抗値(LоgΩ/□)が13以下を有し、界面活性剤を含有させることにより発生するフォギング、VOCの上昇をより少なくさせることができるため好ましい。
【0041】
前記(B)成分と及び(C)成分の合計との質量比は、好ましくは、(B)/(C)=100/0~1/99であるが、帯電防止性を付与する点では、より好ましくは80/20~51/49、さらに好ましくは80/20~70/30である。また、VOCの点からは、好ましくは5/95~49/51、より好ましくは5/95~30/70である。
【0042】
本発明のポリプロピレン樹脂組成物には、ポリプロピレン樹脂組成物を補強し、かつ増量するために、無機充填剤を配合することができる。無機充填剤としては、特に制限されないが、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、石こう、ドーソナイト、シムゴン、ラジオライト、セライト、ノバサイト、アスベスト、アルミナ、アタバルジャイト、カオリングレー、火山灰、シリカ、ケイ灰石、ケイ藻土、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、長石粉、黒雲母、ケイ酸マグネシウムなどを挙げることができる。なかでも、タルクの使用が好ましい。これら無機充填剤は、1種単独で使用してもよいし、2種類以上併用してもよい。
【0043】
本発明のポリプロピレン樹脂組成物には、該組成物に柔軟性、耐衝撃性などを付与するために各種ゴム成分を配合することができる。ゴム成分としては、特に制限されないが、エチレン・α-オレフィン共重合ゴム、エチレン・α-オレフィン・非共役ジエン共重合ゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、イソブチレン・イソプレン共重合ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、スチレン・イソプレン共重合ゴム、シリコンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、および上記ゴムの水添物などを挙げることができる。なかでも、エチレン・α-オレフィン共重合ゴムおよびエチレン・α-オレフィン・非共役ジエン共重合ゴム(以下、「エチレン系共重合ゴム」と言うときは、両者を意味する)の使用が好ましい。上記ゴムは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
以下、ゴム成分として好ましく用いられるエチレン系共重合ゴムについて説明する。エチレンと共重合するα-オレフィン、好ましくは炭素数が3~10のα-オレフィンとして、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンなどを挙げることができる。これらα-オレフィンは2種類以上組み合わせて用いることができる。エチレン系共重合ゴムのエチレン成分の含量は、耐衝撃性の観点から60~90モル%、好ましくは70~85モル%である。
【0045】
非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,9-デカジエン、シクロオクタジエン、ノルボルナジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、7-メチル-1,6-オクタジエンなどを挙げることができる。
【0046】
エチレン・α-オレフィン・非共役ジエン共重合体のヨウ素価は、好ましくは5~50、より好ましくは10~45である。エチレン系共重合ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、ポリプロピレン樹脂との分散性、耐衝撃性の観点から10~100、好ましくは20~60である。
【0047】
エチレン系共重合ゴムは、公知の重合方法で例えば、バナジウム系、チタン系、メタロセン系の触媒の存在下で共重合することにより、得ることができる。
【0048】
また、ポリプロピレン系樹脂から成形体を製造するに至るまでの各々のプロセスにおいて、本願発明の効果を著しく損なわない範囲において、使用目的に応じて、ポリ4-メチル-1-ペンテン、ポリスチレン、ポリブタジエンあるいはポリイソプレンのスチレングラフト重合体及びそれらの水素添加で得られる共重合体エラストマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネートなどの高分子重合体などを添加してもよい。これら高分子重合体の配合量は、通常5質量%まで、好ましくは3質量%までである。
【0049】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、上記ポリプロピレン系樹脂、他の重合体あるいはエラストマー、帯電防止剤、無機充填剤の他に、本願発明の効果を著しく損なわない範囲において、使用目的に応じて合成樹脂や合成ゴムの分野で広く利用されている熱、酸素、光などに対する安定剤、耐候剤、結晶核剤、滑剤、難燃剤、可塑剤などの添加剤を添加してもよい。本発明においてはこれら安定剤、あるいは各種添加剤が配合されたポリプロピレン系の樹脂に、さらに顔料を配合してもよい。
【0050】
熱・酸素に対する安定剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられ、光による劣化防止の耐候剤としては、アミン系、トリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ニッケル系、サリチル酸系等の各化合物が挙げられ、結晶核剤としては、ソルビトール系、リン系、ロジン系、有機リン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩等が挙げられ、滑剤としては、脂肪酸アミド、高級アルコール、ポリエチレンワックス等が挙げられ、難燃剤としては、ホスフェート系、メラミン系、リン系、ハロゲン系、ノンハロゲン系化合物等が挙げられ、可塑剤としては、フタレート系、脂肪酸系、アジペート系、トリメリテート系、エポキシ系、ポリエステル系化合物が挙げられる。
【0051】
顔料としては、無機顔料または有機顔料が挙げられる。無機顔料は発色部分が無機物で、成分として元素単体よりなるもの、及びZn、Pb、Ti、Sb、Cd、Fe、As、Mg、Al、Co、Crなどの酸化物、硫化物、硫酸塩などが挙げられる。有機顔料は発色部分が有機化合物であり、アゾ顔料、ポリアゾ系顔料、アチン系顔料、銅フタロシアニン顔料、ジオキサン顔料、キナクリドン顔料などが挙げられる。ポリプロピレンへの顔料の分散性向上を目的として、分散助剤(脂肪酸金属塩、ナフテン酸金属塩、界面活性剤、シリコンオイル、レシチンなどが挙げられる)を用いてもよい。
【0052】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を成形体とする場合は、通常の方法により、主成分のポリプロピレン系樹脂に本発明に係る(B)~(C)成分を配合して製造することができ、さらに、他の重合体、無機充填剤、顔料や他の添加剤を配合してもよい。例えば、パウダー状、ペレット状のポリプロピレン系樹脂及び他の重合体に、本発明に係る(B)~(C)成分、必要により無機充填剤、顔料その他の添加剤を配合し、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー等にて混合後、一軸または二軸の混練押出機で溶融混練してペレット化する。このようにして得たペレットを射出成形機にかけて成形体に加工する。ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRが5g/10分に満たないと、射出成形における成形性が悪く、自動車内装部品用途として適さない。また、150g/10分を超える場合は、耐衝撃性に劣り、自動車内装部品用途として適さない。
【0053】
本発明の成形体は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を、公知の成形方法によって、成形して得られる成形体であり、例えば、射出成形体、プレス成形体、真空成形体、真空プレス成形体、圧空成形体、発泡成形体、押出成形体等が挙げられる。
【0054】
本発明の成形体として、好ましくは射出成形体である。射出成形法としては、例えば、一般的な射出成形法、射出発泡成形法、超臨界射出発泡成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、射出プレス成形法、ガスアシスト射出成形法、サンドイッチ成形法、サンドイッチ発泡成形法、インサート・アウトサート成形法等が挙げられる。
【0055】
本発明の成形体の用途として、好ましくは自動車内装用部品であり、例えば、ドアートリム、ピラー、インストルメンタルパネル、コンソール、ロッカーパネル、アームレスト、ドアーパネル、スペアタイヤカバー等が挙げられる。
【0056】
本発明の自動車内装部品用成形体は、上記のポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形することにより製造することができる。成形温度は一般的には150~350℃、好ましくは170~250℃で実施される。成形温度が350℃を超えると、樹脂組成物の劣化及び成形不良の原因となり、150℃より低いと外観不良、成形不良が発生する。金型温度については、10~60℃の範囲で行うことが好ましい。金型温度が60℃を超えると成形体の表面仕上げ度が優れ、剛性に優れた成形体が得られるものの、成形サイクルが長くなり生産性が低下する。逆に、金型温度を10℃より低温に設定すると反りや収縮などが顕著になり、満足な成形体が得られにくくなるばかりか、金型に結露を生じやすくなるために金型腐食を進行させる原因となる。冷却に関わるエネルギーコストの観点からも適さない。
【実施例
【0057】
次に本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特に指定のない限り、配合量は質量部で示す。
【0058】
[化合物Bの製造方法]
[製造例1:4級アンモニウム塩(1)の合成]
500mLの4つ口フラスコに、ヤシアルキルジエタノールアミンを287g入れ、窒素バブリング下で60℃まで昇温した後、滴下ロートより硫酸ジエチル154g(ヤシアルキルジエタノールアミンと硫酸ジエチルとの反応モル比は1.0)を120分かけて滴下し、滴下終了後60分反応させ、黄~赤褐色透明液体からなる4級アンモニウム塩(1)を得た。
【0059】
[製造例2~9:4級アンモニウム塩(2)~(9)の合成]
表1に示す通り、脂肪族アミンの種類、エチレンオキサイドの付加モル数並びにアルキル化剤を変化させた以外には、製造例1と同様の手順にて、本発明及び比較例の4級アンモニウム塩(2)~(9)を製造した。
【0060】
【表1】
【0061】
[射出成型体の製造]
実施例1~8及び比較例1~5
ポリプロピレン樹脂(A)として日本ポリプロ(株)製ノバテックMA1Bを用いて、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM26SS)に、下記表2及び表3に示す種類・量の(B)~(C)成分及びその他の成分を配合し、溶融混練り(スクリュー回転数:250rpm、シリンダー温度:200℃)した。この押出物を冷水により冷却固化、切断して、樹脂成分コンパウンドペレットを得た。
作製したコンパウンドを日精樹脂工業(株)製、ハイブリット式射出成型機FNX140にて成型温度190℃で平板試験板150mm×150mm×3mmを作製した。
【0062】
各評価項目の測定及び評価は、下記の方法により行った。結果を表2及び表3に示す。
【0063】
(1)帯電防止性の評価
作成した試験板を23℃、湿度50%の条件下で14日間放置した後、三菱化学アナリテック(株)製ハイレスタUP MCP―HT450を使用し、表面固有抵抗値を求めた。ここで、成形品に対するゴミ、ほこりの付着を防止するのに有効な表面固有抵抗値は、過去の知見より、13.0(logΩ/□)以下とした。
【0064】
(2)フォギング防止性の評価
試験板から25mm×100mm×3mmtを2枚切り出し、フォギング性評価用試料とした。フォギング性評価は、トーマス科学製フォギングテスター(恒温油槽)を使用し、ガラス容器の加熱温度100℃、加熱時間20時間で評価を実施した。加熱処理終了後、フォギングの付着したガラス板を取り出し、23℃、湿度50%の条件下で1時間放置した後、村上色彩技術研究社製ヘーズメーターHM-150 L2型を用いて、ガラス板の全光線透過率を測定しフォギング防止性を評価した。ここで、自動車乗車時の視認性を妨げることのないフォギング性は5%未満とした。
【0065】
(3)ブリード性の評価
試験片を40℃ に設定したオーブンに200時間入れておき、取り出してから、外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。
○ : ブリードが目視では観察されない
△ : ブリードが目視で観察される
× : ブリードが目視で容易に観察され、実用上使用できない。
各試験片のブリード性の観察結果を表1 に示す。
【0066】
(4)アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド放散量
アセトアルデヒド放散量の測定は、上記の[射出成形体の製造]によって得られた平板成形体から試験片を80mm×100mmのサイズに切り出して用い、以下の方法により測定を行った。
(i)試験片を容積10Lのサンプリングバッグに封入し、純窒素ガスを充填した。その後、純窒素ガスを抜くことにより、サンプリングバッグ内のガスを窒素ガスに置換する作業を2回繰り返し行った。
(ii)サンプリングバッグに純窒素ガス4Lを充填し、サンプリングバッグのコックを閉じた。サンプリングバッグをオーブンの中に入れ、コックの先にサンプリング用テフロン(登録商標)チューブを取り付けてオーブンの外まで延ばし、この状態で65℃、2時間加熱処理を行った。
【0067】
(iii)アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドの採取及び測定
上記(ii)で調製した試料ガスを65℃の加熱状態で、模擬吸着管に1L採取後、残りの試料ガスを2,4-ジニトロフェノルヒドラジン(2,4-Dinitrophenylhydrazine(略称:DNPH))カートリッジに採取速度0.4L/minで全量採取した。採取後のカートリッジはアセトニトリルで溶出処理を行い、得られた溶出液を高速液体クロマトグラフ(HPLC;Waters製、型式:Ultra Performance Liquid Chromatography Aquiy)を用いて、カートリッジから溶出した成分の測定を行った。
【0068】
アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド放散量(所定サイズの試験片1枚から放散されるアセトアルデヒド、ホルムアルデヒドの量、単位:μg/試験片) は、当該成分の標準物質の検量線を用いて算出した。
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
表2に示すように、実施例1~8のポリプロピレン樹脂組成物は、いずれも帯電防止性、ブリード防止性に優れるものであった。また、フォギングとアルデヒド類の発生を大幅に抑制することができた。
これに対し、表3に示すように、比較例1~5のポリプロピレン樹脂組成物は、帯電防止性の不良、フォギングやアルデヒド類の発生が認められた。