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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-06-30
(45)【発行日】2025-07-08
(54)【発明の名称】遺伝子銃
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/303 20060101AFI20250701BHJP
   A61M 37/00 20060101ALI20250701BHJP
【FI】
A61M5/303
A61M37/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021553698
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(86)【国際出願番号】 JP2020040705
(87)【国際公開番号】W WO2021085564
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】62/928,280
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォアマン デイヴィッド マイケル
【審査官】黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-519570(JP,A)
【文献】特表2001-523328(JP,A)
【文献】特表2000-502036(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0198146(US,A1)
【文献】特表2006-503063(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0216530(US,A1)
【文献】特表2017-535033(JP,A)
【文献】国際公開第2004/071558(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/303
A61M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火工装薬と、前記火工装薬を収容するケーシングと、を有し、前記火工装薬を点火して亜音速波を生成するイニシエータモジュールと、
前記イニシエータモジュールに連結され、組織内の細胞に複数のドープされた金属粒子を送達するための加速器モジュールと、を備え、
前記加速器モジュールは、
伝播軸を有し、底面を有する容器を規定する本体と、
前記容器内に配置され、前記イニシエータモジュールが生成する亜音速波によって点火されることによって超音速波を生成する材料と、
前記伝播軸を通り、前記容器の内部と外部とを隔てる壁セグメントと、
を備え、
前記壁セグメントの外面には、複数のドープされた金属粒子を前記伝播軸に沿って整列するように配置可能であり、
前記超音速波を生成する材料が生成した超音速波は、前記壁セグメントを伝播して通過した後に前記複数のドープされた金属粒子に衝突することで当該複数のドープされた金属粒子を加速させ、
前記複数のドープされた金属粒子が均質であり、
前記容器は第1の部分を有し、
前記超音速波を生成する材料は、前記第1の部分に配置される第1の材料を含み、
前記ケーシングと前記第1の材料との間に隙間が形成されている、
遺伝子銃
【請求項2】
前記超音速波を生成する材料は、前記亜音速波によって点火されることによって超音速で進行する爆轟波を生成する、請求項1に記載の遺伝子銃
【請求項3】
前記超音速波を生成する材料が乾燥爆薬である、請求項1または2に記載の遺伝子銃
【請求項4】
前記底面が前記伝播軸に対して垂直である、請求項1から3の何れか1項に記載の遺伝子銃
【請求項5】
前記壁セグメントは、前記超音速波が通過するときに破裂しないように構成されている
、請求項1から4の何れか1項に記載の遺伝子銃
【請求項6】
前記本体は、前記容器からみて前記壁セグメントの反対側に配置された射出筒を備え、前記射出筒は前記伝播軸と整列し、前記複数のドープされた金属粒子が前記射出筒内に配置される、請求項1から5の何れか1項に記載の遺伝子銃
【請求項7】
前記容器は、前記第1の部分と前記底面との間に配置される第2の部分を更に備え、
前記材料は、前記第2の部分に配置される第2の材料を更に含む、
請求項1から6の何れか1項に記載の遺伝子銃
【請求項8】
前記第1の部分と前記第2の部分とが前記伝播軸に沿って整列されている、請求項7に記載の遺伝子銃
【請求項9】
前記第1の材料が爆燃-爆轟遷移(DDT)材料である、請求項7または8に記載の遺伝子
【請求項10】
前記爆燃-爆轟遷移(DDT)材料が、アジ化鉛および銅(I) 5-ニトロテトラゾレート(DBX-1)のうちの少なくとも何れかを含む、請求項9に記載の遺伝子銃
【請求項11】
前記第2の材料が爆轟出力材料である、請求項7から10の何れか1項に記載の遺伝子銃
【請求項12】
前記爆轟出力材料が四硝酸ペンタエリスリトール(PETN)を含む、請求項11に記載の遺伝子銃
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遺伝子治療のための装置および方法に関する。より具体的には、本開示は、外来性DNA(導入遺伝子)を細胞に送達するためのバイオリスティック法の粒子送達システムに関連する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子銃(gene gun)は、小さなドープ(dope)された金属粒子を、可能な限り最高の速度まで加速する。粒子は、標的細胞への途中で組織を通過する。粒子は、そのような高速度および密度を有し、非常に小さいので、組織を恒久的に損傷することなく組織を貫通する。粒子による損傷は貫通経路のサイズが小さいため、組織によって容易に修復される。標的細胞に到達すると、ドーピング(DNAからなる)が細胞の核内に挿入される。
【0003】
また、特許文献1には、金属粒子を用いることなく、ガスを用いて生物材料を含有する溶液を加速させて細胞中に生物材料を送達する遺伝子銃が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-236657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、粒子を加速するための実用的限界は、使用される気体媒質中の音速である。既存の最速技術は、ヘリウムの雰囲気中で粒子を加速して音速を上げ、故に粒子速度の実用的限界を高めるものである。これは、粒子の浸透(貫通)深さを制限することによって、既存の遺伝子銃の有効性を制限する(粒子浸透(貫通)深さは、粒子速度の関数である)。音速が速い他のガスは水素だけであるが、燃焼性の懸念につながる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある特定の医療用途では、バイオリスティック粒子送達システムを利用することが有利であり得る。特定の実施形態では、遺伝子銃は、任意のガス(気体)内における音速よりも速い、ドープされた金属粒子速度を達成するために、爆轟(爆発)現象に依存する。特定の実施形態において、遺伝子銃は、壁または壁セグメントを通過するが、当該壁を破壊しない爆発波を生成する。爆発波は、壁材料の音速で壁内を通過する。例えば、特定の実施形態において、壁はステンレス鋼である。ステンレス鋼の場合、音速は5,790m/sである。壁の反対側には、ドープされた金属粒子がある。ドープされた金属粒子は、上記の例では爆轟(爆発)波の初速度、すなわち5,790m/sで放出される。これは、ヘリウム中の音速である1,007m/sを大きく上回るものである。
【0007】
一態様は、イニシエータモジュールに連結され、イニシエータモジュールによって生成された亜音速波から超音速波を生成するように構成された加速器モジュール(accelerator module)である。超音速波は、組織内の細胞に粒子を送達するように構成される。加速器モジュールは、伝播軸を有すると共に底面を備えた容器(receptacle)を規定(画定、定義)する、本体を備える。容器は、第1の部分と、当該第1の部分と底面との間に配置された第2の部分とを含む。加速器モジュールは、更に、第1の部分に配置された第1の材料と、第2の部分に配置された第2の材料と、容器の底面と本体の外面との間に少なくとも部分的に規定された壁セグメントと、本体の外面に接触し且つ伝播軸に沿って底面とほぼ整列した複数のドープされた金属粒子とを備える。第1の材料および第2の材料は、超音速波を生成するために、イニシエータモジュールによって生成される亜音速波によって点火(trigger)されるように構成される。超音速波は、壁セグメントを通過して、次いで、複数のドープされた金属粒子をある速度まで加速するように構成される。
【0008】
ある特定の態様において、前記速度が超音速であることを含む。
【0009】
ある特定の態様において、前記速度が前記組織内の前記細胞を貫通(細胞に浸透)するのに十分な速度であることを含む。
【0010】
ある特定の態様は、前記第1の材料が爆燃-爆轟遷移材料(deflagration-to-detonation material、DDT)であることを含む。
【0011】
ある特定の態様は、前記爆燃-爆轟遷移材料が乾燥爆薬(乾燥火薬)を備えることを含む。
【0012】
ある特定の態様は、前記爆燃-爆轟遷移材料がアジ化鉛を備えることを含む。
【0013】
ある特定の態様は、前記爆燃-爆轟遷移材料が銅(I) 5-ニトロテトラゾレート(copper(I) 5-nitrotetrazolate)(DBX-1)を備えることを含む。
【0014】
ある特定の態様は、前記第2の材料が爆轟出力材料(detonating output material)であることを含む。
【0015】
ある特定の態様は、前記爆轟出力材料が乾燥火薬(乾燥爆薬)であることを含む。
【0016】
ある特定の態様は、前記爆轟出力材料が四硝酸ペンタエリスリトール(pentaerythritol tetranitrate)(PETN)を備えることを含む。
【0017】
ある特定の態様は、前記壁セグメントがステンレス鋼を備えることを含む。
【0018】
ある特定の態様は、前記本体が壁セグメントを備えることを含む。
【0019】
ある特定の態様は、超音速波がそこを通過するときに前記壁セグメントが破裂しないように、前記壁セグメントの材料が選択されることを含む。
【0020】
ある特定の態様は、超音速波がそこを通過するときに前記壁セグメントが破裂しないように、前記壁セグメントの厚さが選択されることを含む。
【0021】
ある特定の態様は、前記本体が基部およびキャップを備えることを含む。キャップは、それらの間に前記容器の少なくとも一部を形成する前記基部に固定するように構成される。
【0022】
ある特定の態様において、前記容器は、更に、前記キャップが前記基部に固定されていない状態で前記イニシエータモジュールの少なくとも一部を受け入れるように構成されること、を含む。前記容器は、前記キャップが前記基部に固定されたときに、前記イニシエータモジュールを前記本体に対して固定するように構成される。
【0023】
ある特定の態様は、前記本体が前記容器への開口部を備えることを含む。前記開口部は、前記イニシエータモジュールが前記加速器モジュールに連結されたときに、前記イニシエータモジュールの一部が前記開口部を通過するようなサイズおよび形状になされる。
【0024】
ある特定の態様は、前記イニシエータモジュールの一部が少なくとも1つの電気ピンであることを含む。
【0025】
ある特定の態様は、前記本体が、前記容器からみて前記壁セグメントの反対側に配置された射出筒(放出チューブ)を備えることを含む。前記射出筒は、前記伝播軸と整列している(一列に並んでいる)。前記複数のドープされた金属粒子は、射出筒内に配置される。
【0026】
ある特定の態様は、前記射出筒が直線状の円筒であり、且つ前記射出筒の断面が前記容器の断面と同様のサイズを有することを含む。
【0027】
ある特定の態様は、前記加速器モジュールが遺伝子銃の構成部品である、ことを含む。
【0028】
ある特定の態様は、前記第1の部分と前記第2の部分とが前記伝播軸に沿って整列されている(一列に並んでいる)、ことを含む。
【0029】
ある特定の態様は、前記底面が前記伝播軸に対して垂直である、ことを含む。
【0030】
ある特定の態様は、前記本体の外面の少なくとも一部に配置された接着剤を、更に含む。前記複数のドープされた金属粒子が前記接着剤中に懸濁されている。
【0031】
ある特定の態様は、前記複数のドープされた金属粒子を覆う位置で前記本体に固定されたスクリーンと、超音速波が存在しない状態で前記複数のドープされた金属粒子が前記スクリーンを通過することを抑制するために前記スクリーンに配置された接着剤と、を更に備える。
【0032】
ある特定の態様は、密封材(seal)を更に備える。前記容器は、更に、前記イニシエータモジュールの少なくとも一部を受け入れるように構成される。前記密封材は、前記イニシエータモジュールと密封を形成するために前記容器内に配置されている。
【0033】
ある特定の態様は、前記複数のドープされた金属粒子の粒子が、約1ミクロンの直径を有することを含む。
【0034】
ある特定の態様は、前記複数のドープされた金属粒子が、金を備えることを含む。
【0035】
ある特定の態様は、前記複数のドープされた金属粒子が、タングステンを備えることを含む。
【0036】
ある特定の態様は、前記複数のドープされた金属粒子が、化学物質を備えることを含む。
【0037】
ある特定の態様は、前記化学物質がDNAである、ことを含む。
【0038】
ある特定の態様は、前記イニシエータモジュールが電気式起爆装置(electro explosive device、EED)である、ことを含む。
【0039】
ある特定の態様は、前記電気式起爆装置(EED)が、電気入力部および火工品出力部を備える、ことを含む。
【0040】
ある特定の態様は、前記火工品出力部がジルコニウムと過塩素酸カリウムとの混合物である、ことを含む。
【0041】
ある特定の態様は、前記電気式起爆装置(EED)がケーシングを含み、前記火工品出力部が前記ケーシング内に配置される、ことを含む。
【0042】
ある特定の態様は、前記ケーシングが金属である、ことを含む。
【0043】
一態様は、伝播軸を有する本体、および底面を有する容器を規定(画定)する加速器モジュールである。前記伝播軸は、前記底面を通過する。前記加速器モジュールは更に、前記容器内に配置されると共に超音速で進行する爆轟(爆発)波を少なくとも部分的に生成するように構成された材料と、前記容器の前記底面と前記本体の外面との間に少なくとも部分的に規定された壁セグメントであって、当該壁セグメントを破裂することなく前記爆轟(爆発)波がそこを通って進行することを可能にするサイズを有する壁セグメントと、前記容器からみて前記壁セグメントの反対側に配置され、前記伝播軸とほぼ整列した(一列に並んだ)複数のドープされた金属粒子と、を備える。
【0044】
一態様は、携帯型装置を用いて複数のドープされた金属粒子を組織内の細胞に送達するための方法である。上記方法は、携帯型装置内に配置された火工装薬(火薬)を点火して亜音速波を発生させ、前記亜音速波を軸に沿って前記携帯型装置内に配置された材料に向かって伝播させることと、前記亜音速波によって前記材料を点火して超音速波を発生させ、前記超音速波を前記軸に沿って前記携帯型装置の壁セグメントに向かって伝播させ続けることと、前記壁セグメントを破裂することなく前記壁セグメントを通って前記超音速波を伝播させ、前記壁セグメントを通過した後に前記超音速波を前記複数のドープされた金属粒子に衝突させて前記複数のドープされた金属粒子をある速度まで加速させることと、を含む。
【0045】
別の態様は、少なくとも火工装薬(火薬)と複数のドープされた金属粒子との間に延在する伝播軸を有する遺伝子銃である。この遺伝子銃は、前記伝播軸にほぼ沿って配置された爆燃-爆轟遷移材料(deflagration-to-detonation material、DDT)と、前記火工装薬からみて前記爆燃-爆轟遷移材料の反対側に配置され、前記伝播軸にほぼ沿って配置された爆轟出力材料(detonating output material)と、前記爆轟出力材料を複数の前記複数のドープされた金属粒子から分離する壁セグメントと、を含む。
【発明の効果】
【0046】
本開示に係る技術によれば、複数のドープされた金属粒子を細胞に送達するための装置および方法において、細胞に送達される金属粒子の速度を従来よりも大きくすることのできる技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1は、本発明の好ましい実施形態による、ハンドルおよび加速器モジュールまたはカートリッジを含む遺伝子銃の実施形態の斜視図である。加速器モジュールはハンドルに取り付けられ、使用後に交換できる。
図2図2は、図1に示す加速器モジュールの遠位端の斜視図であり、複数の粒子を含む射出筒を示す。
図3図3は、図1に示す加速器モジュールの近位端の斜視図であり、加速器モジュールをハンドルに電気的に結合するためのイニシエータの少なくとも1つのピンを示す。
図4図4は、図2に示す加速器モジュールの側面図であり、容器を形成するように一体に固定された加速器モジュールのキャップおよび基部を示す。容器は、イニシエータの少なくとも一部を受容し、チャンバを画定(定義)する。
図5図5は、図2に示す加速器モジュールの遠位端の平面図であり、射出筒内に配置された複数の粒子を示す。
図6図6は、図2に示す加速器モジュールの近位端の平面図であり、ハンドルのコネクタに接続するように構成された少なくとも1つのピンを示す。
図7図7は、図2に示す加速器モジュールの分解斜視図であり、例えば、容器から分離したイニシエータを示す。
図8図8は、図4の切断面8-8に沿って眺めた図4に示す加速器モジュールを通る断面図であり、イニシエータとチャンバの双方が軸に沿って射出筒と整列して示されている。壁セグメントは、チャンバを射出筒から分離している。
図9図9は、少なくとも1つのピンがハンドルのコネクタに接続され、且つ加速器モジュールの遠位端が組織に対して配置されていることを除いて、図8と同様の断面図である。
図10A図10Aは、超音速衝撃波が壁セグメントを通過し、複数の粒子を加速して射出筒を出て組織を通過させる、加速器モジュールが点火されるステップを示すことを除いて、図9と同様の部分断面図である。
図10B図10Bは、超音速衝撃波が壁セグメントを通過し、複数の粒子を加速して射出筒を出て組織を通過させる、加速器モジュールが点火されるステップを示すことを除いて、図9と同様の部分断面図である。
図10C図10Cは、超音速衝撃波が壁セグメントを通過し、複数の粒子を加速して射出筒を出て組織を通過させる、加速器モジュールが点火されるステップを示すことを除いて、図9と同様の部分断面図である。
図11図11は、加速器モジュールの点火前に複数の粒子が射出筒から落下することを抑制するための接着剤を含む射出筒の別の実施形態を示す。
図12図12は、スクリーンが射出筒の遠位端を横切って配置されていることを除いて、図11と同様の図である。
図13図13は、加速器モジュールを介したエネルギーの伝播を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下に、図面を参照して本開示に係る実施形態について説明する。なお、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は、一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本開示は、実施形態によって限定されることはなく、請求の範囲によってのみ限定される。
【0049】
本開示におけるドープされた金属粒子が送達(導入)される粒子送達対象としては、例えば組織が挙げられ、好ましくは、該組織内の細胞である。また、前記粒子送達対象が組織内の細胞である場合、前記粒子送達対象は、当該細胞内の核であってもよいし、当該細胞内の細胞小器官(オルガネラ)であってもよい。
【0050】
前記組織としては、動物の組織や植物の組織が挙げられる。前記動物としては、脊椎動物が挙げられ、具体的には、哺乳動物(哺乳類)、鳥類、爬虫類、両生類、魚類などが挙げられる。前記植物としては、種子植物や胞子植物などが挙げられ、種子植物としては被子植物、裸子植物などが挙げられ、胞子植物としてはシダ植物、コケ植物、藻類などが挙げられる。前記粒子送達対象としての組織が動物の組織である場合には、上皮組織、結合組織、筋組織、神経組織などが挙げられるほか、例えば、器官、臓器、表皮(角層、皮内)、真皮、皮下、筋肉などを含むことができる。前記粒子送達対象としての組織が植物の組織である場合には、分裂組織(頂端分裂組織、形成層などが挙げられる。)、永久組織(表皮組織、通道組織、機械組織、柔組織などが挙げられる。)などが挙げられるほか、例えば、根、茎、葉などを含むことができる。
【0051】
前記粒子送達対象対象は、in vitro系、in vivo系、ex vivo系の何れであってもよい。すなわち、前記粒子送達対象は、個体(生体)内に存在する状態であってもよく、個体(生体)から摘出や分離がされた状態であってもよい。後者はすなわち、前記粒子送達対象が個体(生体)内に存在しない状態であり、具体例として、前記粒子送達対象が細胞(好ましくは、組織内の細胞)である場合には、該細胞(好ましくは、組織内の細胞)としては、個体(生体)内に存在する状態の細胞(好ましくは、組織内の細胞)を除く態様であってもよい。前記個体(生体)は、動物の個体(生体)でも植物の個体(生体)でもよく、動物及び植物の態様は既出の通りである。前記個体(生体)は、動物の個体(生体)である場合には、好ましくは脊椎動物の個体(生体)であり、より好ましくは哺乳動物の個体(生体)である。哺乳動物としては特に制限されないが、ヒト、ヒトを除く哺乳動物などが挙げられる。ヒトとしては、健常者、疾患等に罹患している者(患者)などが挙げられる。ヒトを除く哺乳動物としては、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、サル、イヌ、ネコなどが挙げられる。
【0052】
また、本開示に係る加速器モジュールは、伝播軸を有する容器と、容器内に配置されてイニシエータモジュールが生成する亜音速波によって点火されることによって超音速波を生成する材料と、伝播軸を通り容器の内部と外部とを隔てる壁セグメントと、を備え、壁セグメントの外面には複数のドープされた金属粒子を伝播軸に沿って整列するように配置可能であり、超音速波を生成する材料が生成した超音速波が壁セグメントを伝播して通過した後に複数のドープされた金属粒子に衝突することで当該複数のドープされた金属粒子を加速させる構成となっている。イニシエータモジュールは、例えば火工装薬(火薬)を有し、作動電力の供給を受けて作動することで火工装薬が点火および燃焼することで亜音速波である爆燃を生成する。イニシエータモジュールが生成した亜音速波である爆燃は、容器内に収容された、超音速波を生成する材料に向かって伝播軸に沿って伝播し、当該材料が亜音速波である爆燃によって点火される。超音速波を生成する材料が点火されると、超音速波である爆轟(爆発)波が生成され、当該超音速波である爆轟波が伝播軸に沿って壁セグメントに進行する。壁セグメントに到達した爆轟波(超音速波)は、固体である壁セグメントの内部を伝播(通過)しながら壁セグメントの外面に到達し、当該外面に配置された複数のドープされた金属粒子に衝突する。その結果、爆轟波(超音速波)から金属粒子が加速エネルギーを付与され、当該金属粒子が高速射出され、上記粒子送達対象対象に送達される。
【0053】
イニシエータモジュールの火工装薬は、例えばジルコニウムまたは過塩素酸カリウム、或いはこれらの混合物であっても良い。勿論、火工装薬はこれらに限定されず、点火および燃焼することで亜音速波である爆燃を生成し得る種々の火薬を使用することができる。例えば、本開示に係る火工装薬は、自動車用のエアバッグを膨張させるために使用されるイニシエータに用いられる火工装薬を好適に適用可能である。
【0054】
また、亜音速波によって点火されることによって超音速波を生成する材料についても特に限定されないが、種々の乾燥爆薬を好適に採用できる。亜音速波によって点火されることによって超音速波を生成する材料とは、爆燃を爆轟に遷移させるための材料として捉えることができる。亜音速波によって点火されることによって超音速波を生成する材料は、例えばアジ化鉛、銅(I) 5-ニトロテトラゾレート(DBX-1)、四硝酸ペンタエリスリトール(PETN)などを好適に含むことができるが、勿論、これらに限定されず種々の爆薬を採用できる。また、加速器モジュールの容器には、複数種類の上記超音速波を生成する材料を含むことができる。例えば、亜音速波によって点火されることによって超音速波を生成する材料は、第1の材料および第2の材料を含み、これらが容器内において伝播軸に沿って整列するように配置されていても良い。第1の材料および第2の材料は異種の爆薬材料であっても良いし、同種の爆薬材料であっても良い。
【0055】
加速器モジュールの壁セグメントは、容器内で生成された超音速波としての爆轟波を固体伝播させる。ここで、音速とは、物質(媒質)中を伝わる音の速さであり、媒質によって異なり、ガスを媒質とする場合に比べて固体を媒質とする場合の方が音速を著しく高めることができる。例えば、ステンレス鋼中での音速は、ヘリウムガス中での音速の数倍に至る。勿論、壁セグメントに用いる材料はステンレス鋼に限られない。壁セグメントは、例えばアルミニウムやその他の金属によって形成されてもよいし、金属以外の材料によって形成されてもよい。このように形成される壁セグメントは、例えば、伝播軸に沿って進入した超音速波としての爆轟波を固体伝播によって更に加速させることができる。そして、壁セグメントの外面に到達した超音速波(爆轟波)を金属粒子に衝突させることで、例えば金属粒子を超音速で射出させることができる。このようにして、本開示に係る加速器モジュールおよびこれを備える遺伝子銃は、従来よりも金属粒子の射出速度を高めることにより、より実用性の高い加速器モジュール乃至は遺伝子銃を提供するものである。
【0056】
図1は、本発明の好ましい実施形態による、ハンドル11および加速器モジュールまたはカートリッジ12を含む遺伝子銃10の実施形態の斜視図である。加速器モジュール12は、ハンドル11に組み付けられ、使用後に交換することができる。遺伝子銃10における特定の実施形態は、DNAを細胞核に移植するための研究所または医療施設において使用され得る。細胞核は、植物のものであっても、動物のものであってもよい。例えば、細胞核は、患者(ヒト)のものであり得る。
【0057】
ある特定の実施形態では、加速器モジュール12が本体14およびイニシエータ30を備える。ある特定の実施形態では、イニシエータ30が本体14に組み付けられる。例えば、ある特定の実施形態では、本体14がイニシエータ30の少なくとも一部を受け入れるようなサイズおよび形状の容器(図8に最も明確に示される)を画定(規定)する。ある特定の実施形態では、本体14およびイニシエータ30が別個にフレームに組み立てられる。上記フレームは、イニシエータ30の位置に対する本体14の位置を固定するように構成される。
【0058】
ある特定の実施形態では、本体14の少なくとも一部が、材料強度に少なくとも部分的に基づいて選択された材料を含む。ある特定の実施形態では、上記材料は、本体14内で生じる爆発によって引き起こされる力を本体14が封じ込めることができるように選択される。このようにして、上記材料は、本体14内に爆発力を封じ込めるのに十分な強度を示す。ある特定の実施形態では、本体14の少なくとも一部は金属を含む。勿論、本体14は金属を含む必要はなく、代わりに、金属以外の材料、または金属以外の材料の組み合わせを含むことができる。例えば、ある特定の実施形態では、本体14は複数の材料を含む。
【0059】
図2は、複数の粒子60を含む射出筒(放出管)58を示す、図1の加速器モジュール12の本体14の遠位端の斜視図である。ある特定の実施形態において、複数の粒子60は、ドープされた金属粒子である。ある特定の実施形態では、複数の粒子60が妨げられることなく組織へと自由に移動する。
【0060】
ある特定の実施形態では、本体14が壁セグメント44(図8に最も明確に示される)を備える。ある特定の実施形態において、壁セグメント44は本体14の一部であり、容器20を複数の粒子60から分離する。ある特定の実施形態において、遺伝子銃10は、加速器モジュール12の壁セグメント44を通って進む爆轟波(爆発波)を生成するが、壁セグメント44を破裂させない。
【0061】
ある特定の実施形態において、壁セグメント44は、爆発波がそこを通過するときに破裂せず、したがって、爆轟(爆発)材料と組織との間の障壁(barrier)を維持する。ある特定の実施形態において、本体14の壁セグメント44は、複数の粒子60が射出筒58から射出(放出)されるときに破裂するが、例えば、破裂のサイズおよび形状のために、遺伝子銃10からの圧力の損失を十分に減衰させる。その結果、複数の粒子60は、依然として、組織に入る前に音速よりも大きい初速度を有する。
【0062】
爆轟波(爆発波)は、壁セグメント44を出る(壁セグメント44から出射する)前に、壁材料中の音速で壁セグメント44を通って進む。出射する爆轟波(爆発波)は複数の粒子60と衝突し、爆轟波(爆発波)が壁セグメント44を通過するときの当該爆轟波(爆発波)の速度とほぼ同様な初速度に複数の粒子60を加速させる。気体(ガス)を通過するのとは対照的に、爆轟波(爆発波)が壁セグメント44を通過することによって、爆轟波(爆発波)の速度は、気体を通過する際の音速よりも大きな値まで増加する。
【0063】
ある特定の実施形態では、加速器モジュール12における本体14の少なくとも一部が、大きな音速を有する材料(音速が大きい材料)を含む。ある特定の実施形態において、材料を通過する際の音速が大きい(速い、高い)ほど、射出筒58から射出される複数の粒子60の初速度が大きくなる。
【0064】
ある特定の実施形態では、壁セグメント44が1mmの厚さを有する。ある特定の実施形態では、壁セグメント44が0.5mmの厚さを有する。ある特定の実施形態では、壁セグメント44が2mmの厚さを有する。ある特定の実施形態では、壁セグメント44が変化する又は不均一な壁厚を有する。本開示は、列挙された値に限定されず、厚さについての任意の他の値を含む。ある特定の実施態様において、壁セグメント44の材料は、当該壁セグメント44を通る音速に少なくとも部分的に基づいて選択される。ある特定の実施形態において、壁セグメント44の材料は、複数の粒子60を所望の深さまで組織に浸透(貫通)させるのに十分な初速度まで本体14が複数の粒子60を加速することができるように選択される。このようにして、壁セグメント44の材料は、複数の粒子60が組織内における所望の深さに到達するために十分な音速を示す。ある特定の実施形態では、本体14における第1の部分は、爆発力を封じ込めるために十分な強度を有する材料を含む。一方、同じく本体14における第2の部分は、複数の粒子60が組織内における所望の深さに到達するのに十分な音速まで複数の粒子60を加速するのに十分な音速を有する材料を含む。
【0065】
図3は、加速器モジュール12をハンドル11に電気的に結合するためのイニシエータ30の少なくとも1つのピン38(電気入力部)を示す、図1に示す加速器モジュール12の近位端の斜視図である。ある特定の実施形態において、加速器モジュール12は、所望の任意の手段によって遺伝子銃10に組み込まれる。以下に説明するように、ある特定の実施形態では、イニシエータ30のような電気的な発射機構を使用して、所望の時間に発射パルスが提供される。
【0066】
図4は、図2に示す加速器モジュール12の側面図である。図示された実施形態では、加速器モジュール12の本体14が、基部16およびキャップ18を備える。他の実施形態では、本体14が単一のモノリシック構造として製造される。他の実施形態では、加速器モジュール12の本体14が、3つ以上の構造から組み立てられる。
【0067】
ある特定の実施形態では、基部16およびキャップ18が相補的な係合構造22を備える。係合構造22は、基部16とキャップ18とを一体に固定するように構成される。ある特定の実施形態では、係合構造22が溶接、接着剤、留め具、機械的ロック、ねじ、または、基部16をキャップ18に固定することができる任意の他の構造のうちの1つまたは複数を含む。他の実施形態では、基部16とキャップ18とを直接固定することなく、基部16をキャップ18に対して固定するためにフレームが使用される。
【0068】
図5は、図2に示す加速器モジュール12の遠位端の平面図であり、本体14の外面56(図8に最も明確に示されている)に対して配置された複数の粒子60を示す。ある特定の実施形態では、外面56が本体14における凹形状の一部である。ある特定の実施形態では、上記凹形状が射出筒(放出管)58の形態を有する。ある特定の実施形態では、複数の粒子60が射出筒58の少なくとも外面56によって支持される。ある特定の実施形態では、射出筒58の筒状(管状)壁を形成するボアの少なくとも一部が複数の粒子60を支持する。
【0069】
ある特定の実施形態では、外面56は、凹形状の一部ではなく、代わりに、複数の粒子60が配置される凸形状の一部である。ある特定の実施形態では、複数の粒子60が配置されている外面56が平面形状を有する。
【0070】
ある特定の実施形態では、複数の粒子60が、少なくとも外面56に付着している。ある特定の実施形態では、複数の粒子60が外面56上に配置されている。ある特定の実施形態では、複数の粒子60が外面56上に堆積(積層)されている。ある特定の実施形態では、複数の粒子60が外面56上にランダムに配置されている。
【0071】
ある特定の実施形態では、複数の粒子60は金属粒子である。ある特定の実施形態では、複数の粒子60が小さい金属粒子を含む。ある特定の実施形態では、複数の粒子60における各粒子が1ミクロンオーダーのサイズである。ある特定の実施形態では、複数の粒子60における各粒子が2ミクロンオーダーのサイズである。勿論、複数の粒子60における粒子のサイズはこれに限定されるものではなく、他のサイズであってもよい。
【0072】
ある特定の実施形態において、複数の粒子60の粒子は球形を有する。他の実施形態において、複数の粒子60の粒子は円錐形状を有する。他の実施形態において、複数の粒子60の粒子は円筒形状を有する。他の実施形態において、複数の粒子60の粒子は立方体形状を有する。他の実施形態では、複数の粒子60の粒子が2つ以上の形状の混合物を有する。
【0073】
ある特定の実施形態において、複数の粒子60の粒子は均質である。ある特定の実施形態では、複数の粒子60のうちの少なくともいくつかの粒子が、いくつかの他の粒子とサイズおよび形状が異なる。
【0074】
ある特定の実施形態では、複数の粒子60が高密度材料から作製される。例えば、ある特定の実施形態において、上記高密度材料は、金、タングステン、または他の公知の高密度材料である。ある特定の実施形態において、複数の粒子60は、同じ速度に加速されたときに、密度がより低い粒子よりも、複数の粒子60の運動エネルギーを増加させる高密度を含むことが望ましい場合がある。
【0075】
ある特定の実施形態では、複数の粒子60がドープされている。ある特定の実施形態では、上記粒子に化学物質が付着している。ある特定の実施形態では、複数の粒子60が化学物質でコーティングされている。ある特定の実施形態において、化学物質はDNAを含む。ある特定の実施形態において、DNAがプラスミドDNAである。ある特定の実施形態において、DNAは環状の二本鎖DNA分子である。ある特定の実施形態では、ドープされた複数の粒子60が、DNAでコーティングされ、細胞より小さいサイズの粒子である。ある特定の実施形態において、DNAは染色体DNAである。
【0076】
ある特定の実施形態において、射出筒58は、所定の方向に複数の粒子60を出力することができる。例えば、射出筒58は、軸28に沿って複数の粒子60を出力することができる。ある特定の実施形態において、軸28は伝播軸である。いくつかの実施形態において、射出筒58は、複数の粒子60を組織上における所定の位置に向けることができる。
【0077】
ある特定の実施態様において、射出筒58は一定の内径を有する。ある特定の実施態様において、射出筒58は射出方向(噴出方向)に収束する内径を有する。ある特定の実施態様において、射出筒58は射出方向に発散する内径を有する。ある特定の実施形態において、射出筒58は、射出方向に収束し、次いで、射出方向に発散する内径を有する。
【0078】
ある特定の実施形態において、射出筒58は、射出筒58のボアの内壁に形成された1つまたは複数の偏向板(羽根、vane)を有することができる。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の偏向板は、遺伝子銃10から射出された複数の粒子60を真っ直ぐにするようなサイズおよび形状になっている。上記ベーンは、複数の粒子60が射出筒58から射出されるときに、複数の粒子60における乱流を減少させることができる。
【0079】
ある特定の実施形態において、遺伝子銃10は、ドープされた複数の粒子60を組織、細胞、および/または細胞小器官(オルガネラ、organelle)に射出する。ある特定の実施形態では、ドープされた複数の粒子60の射出がインビトロ(体外)で行われる。ある特定の他の実施形態では、ドープされた複数の粒子60の射出がインビボ(体内)で行われる。ある特定の実施形態において、遺伝子銃10は、ドープされた複数の粒子60を細胞核に射出する。
【0080】
複数の粒子60が射出されると、望ましくは複数の粒子60が組織に浸透する。ある特定の実施形態において、遺伝子銃10によって射出された複数の粒子60は、組織内における所望の深さまで組織を貫通する。ある特定の実施形態において、上記所望の深さは予め規定されている。ある特定の実施形態において、上記所望の深さは、少なくとも部分的に、複数の粒子60の組成(構成)に基づいて決定される。例えば、上記所望の深さは、異なる加速器モジュール12毎に異なっていてもよい。
【0081】
図6は、図2に示す加速器モジュール12の近位端の平面図であり、ハンドル11のコネクタ40に接続するように構成されたイニシエータ30の少なくとも1つのピン38を示す。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのピン38が、2つの導電性ピンを含む。ある特定の実施形態では、2つの導電性ピンが金メッキされている。ある特定の実施形態では、イニシエータ30の少なくとも1つのピン38が、コネクタ40と電気的に接続される。
【0082】
ある特定の実施形態では、イニシエータ30が電気入力によって点火される。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのピン38が電気的な点火パルスの形態で電気入力を受け取る。ある特定の実施形態において、遺伝子銃10は、イニシエータ30を作動させるための1つ以上の電子部品を含む。ある特定の実施形態において、上記1つ以上の電子部品は、遺伝子銃10によって支持されている。
【0083】
ある特定の実施形態では、上記1つ以上の電子部品がイニシエータ30を作動させるための電流を生成するように構成される。ある特定の実施形態では、上記1つ以上の電子部品がコントローラを含む。ある特定の実施形態において、遺伝子銃10は、ユーザがイニシエータ30を作動させるために上記1つ以上の電子部品を起動するためのインターフェースを備える。ある特定の実施形態において、上記インターフェースはプルトリガーである。
【0084】
ある特定の実施形態において、遺伝子銃10は、1つ以上の電子部品のためのエネルギー源を含む。ある特定の実施形態では、エネルギー源がハンドル11によって支持される。ある特定の実施形態では、エネルギー源は電池であってもよい。ある特定の実施形態では、バッテリがイニシエータ30を点火するために、1つ以上の電子部品に電力を供給する。
【0085】
ある特定の実施形態では、バッテリまたは他の電気エネルギー源が、コネクタ40を介してイニシエータ30に電気的点火パルスを提供する。ある特定の実施形態では、イニシエータ30に印加される電気的点火パルスの大きさおよび持続時間が1.2アンペアおよび2msである。ある特定の実施形態では、イニシエータ30に印加される電気的点火パルスの大きさおよび持続時間が1.75アンペアおよび0.5msである。本開示は、列挙された値に限定されず、上記大きさおよび持続時間についての任意の他の値を含む。ある特定の実施形態において、イニシエータ30に印加される電気的点火パルスの大きさおよび持続時間は、少なくとも部分的にイニシエータ30の動作特性に基づいて選択される。
【0086】
図7は、図2に示す加速器モジュール12の分解斜視図であり、例えば、容器20から分離されたイニシエータ30を示す。ある特定の実施形態において、イニシエータ30は、任意の電気式起爆装置(EED)とすることができる。ある特定の実施形態では、イニシエータ30が火工装薬34(火工品出力部)を含む。火工装薬34は、点火されたときに火炎を生成するように構成されている。ある特定の実施形態において、イニシエータ30はケーシング32を備える。ある特定の実施形態では、ケーシング32が火工装薬34を備える。ある特定の実施形態において、イニシエータ30は自動車用イニシエータである。自動車用イニシエータの例には、自動車用のエアバッグに使用されるイニシエータが含まれる。
【0087】
ある特定の実施形態では、容器20が基部16およびキャップ18によって形成される。ある特定の実施形態では、基部16が容器20の少なくとも一部を含む。ある特定の実施形態では、キャップ18が容器20の少なくとも一部を含む。ある特定の実施形態では、イニシエータ30の少なくとも一部が容器20内に配置される。ある特定の実施形態では、基部16およびキャップ18が一体に固定されて、容器を形成する。ある特定の実施形態において、イニシエータ30が容器20内に配置された後、基部16およびキャップ18が一体に固定される。
【0088】
ある特定の実施形態において、容器20は、キャップ18が基部16に固定されたときに容器20に対するイニシエータ30の移動を防止するように、イニシエータ30のサイズおよび形状に対して、そのサイズおよび形状が決定されている。このようにして、イニシエータ30は、少なくとも基部16とキャップ18とが一体に固定されたときに、容器20内にロック(固定)され得る。
【0089】
図8は、図4の切断面8-8に沿って眺めた図4に示す加速器モジュール12を通る断面図であり、イニシエータ30と、軸28に沿って整列された(一列に並んだ)チャンバ45と、射出筒58との双方を示す。ある特定の実施形態において、チャンバ45は、容器20の一部であり、イニシエータ30と容器20の底面54との間に配置されている。壁セグメント44は、チャンバ45を射出筒58から分離している。
【0090】
ある特定の実施形態において、コネクタ40は、本体14に構造的に固定される。ある特定の実施形態において、本体14は、コネクタ40の一部を捕捉してコネクタ40を本体14に構造的に固定するように構成された縁(lip)42を備えている。ある特定の実施形態において、ユーザは、コネクタ40を本体14から分離または取り外すことができる。例えば、加速器モジュール12の使用後、コネクタ40を本体14から取り外すことができ、使用済みの加速器モジュール12を取り外して、新しい加速器モジュール12と交換することができる。
【0091】
ある特定の実施形態では、容器20が開口部26を備える。ある特定の実施形態では、開口部26が基部16に配置される。ある特定の実施形態において、開口部26は、イニシエータ30の表面と基部16の表面との間に配置される。ある特定の実施形態では、キャップ18が基部16に固定されて完全な容器20を形成する前に、イニシエータ30の少なくとも一部が基部16における開口部26を通過する。
【0092】
ある特定の実施形態において、イニシエータ30は抵抗素子36を含む。ある特定の実施形態において、抵抗素子36は、ケーシング32に対して配置される。ある特定の実施形態において、イニシエータ30に印加される電気的点火パルスは、イニシエータ30内の抵抗素子36を加熱する。ある実施形態において、抵抗素子36は、電気的点火パルスによって十分に加熱され、ケーシング32内の火工装薬(火薬)34に点火する。ある特定の実施形態では、火工装薬34がジルコニウムと過塩素酸カリウムとの混合物である。ある特定の実施形態では、火工装薬34が単一の材料または他の材料との混合物である。
【0093】
ある特定の実施形態において、ケーシング32は金属製である。ある特定の実施形態では、上記金属がステンレス鋼である。勿論、ケーシング32はステンレス鋼に加えて任意の他の金属で作ることができる。ある特定の実施形態において、上記金属はアルミニウムである。ある特定の実施形態では、ケーシング32がポリマーから作製される。ある特定の実施形態において、ケーシング32の材料および厚さは、点火される火工装薬34に応答して材料が破裂するように選択される。ケーシング32の破裂は、火炎がケーシング32から脱出し、軸28に沿ってチャンバ45に向かって亜音速で移動または伝播することを可能にする。
【0094】
ある特定の実施形態において、ケーシング32から逃れる火炎は、チャンバ45内の材料に点火する。火工装薬34が点火されると、ケーシング32内の火工装薬34によって解放された圧力がケーシング32を破壊し、軸28に沿って亜音速で爆燃(deflagration)が伝播し、チャンバ45内の材料に点火する。
【0095】
ある特定の実施形態において、加速器モジュール12は、密封材(seal)24を備える。ある特定の実施形態において、密封材24は、ガスケット、Oリング(o-ring)、または他の適切な構造である。ある特定の実施形態では、密封材24は、本体14における1つまたは複数の表面とイニシエータ30の1つまたは複数の表面との間に配置される。ある特定の実施形態では、密封材24が開口部26内に配置される。ある特定の実施形態において、密封材24は、イニシエータ30が点火されたときに、ケーシング32から逃げる火炎が開口部26を通じてコネクタ40に向かって漏れることを抑制する。ある特定の実施形態において、密封材24は、破裂を通じてケーシング32から逃れた火炎によって点火された際に、チャンバ45内で爆発した材料が開口部26を通ってコネクタ40に向かって漏れることを抑制する。
【0096】
ある特定の実施形態において、チャンバ45内の材料は、火工装薬34の点火によって引き起こされる火炎によって上記材料が点火されるときに、爆轟(爆発)波(detonating wave)を生成するように選択される。ある特定の実施形態では、爆轟(爆発)波が音速よりも大きい速度で進行する。
【0097】
ある特定の実施形態では、チャンバ45からの所望の爆轟(爆発)波を達成するために、最初は火工装薬34の点火によって引き起こされる亜音速の爆燃である火工反応全体の速度が、チャンバ45内の材料の爆発によって、音速よりも大きくなるように増大される。ある特定の実施形態では、所望の爆轟(爆発)波を生成するために、1つまたは複数の材料がチャンバ45内に配置される。
【0098】
例えば、ある特定の実施形態において、上記材料は、爆燃-爆轟遷移材料(deflagration to detonation transition (DDT) material)および爆轟出力材料(detonating output material)を含む。ある特定の実施形態では、上記材料の各々が、チャンバ45の少なくとも一部に配置される。ある特定の実施形態では、上記材料がアジ化鉛、銅(I) 5-ニトロテトラゾレート(DBX-1)、および、四硝酸ペンタエリスリトール(PETN)のうちの1つまたは複数である。勿論、本開示は、列挙された材料または材料の組合せに限定されず、所望の爆轟(爆発)波を生成する他の材料または材料の組合せを使用することができる。
【0099】
ある特定の実施形態において、上記材料は、少なくとも第1の材料48および第2の材料52を含む。第1の材料48および第2の材料52は、チャンバ45の第1の部分46および第2の部分50にそれぞれ配置されてもよい。ある特定の実施形態では、第1の材料48が、チャンバ45内で第2の材料52から分離されている。ある特定の実施形態において、第1の材料48は、界面で第2の材料52と接触する。ある特定の実施形態において、第1の材料48は、バリア(障壁)によって第2の材料52から分離されている。ある特定の実施形態において、上記バリアは、第1の材料48と第2の材料52との間の一時的なバリアである。例えば、第1の材料48が点火されると、上記バリアは破裂する。ある特定の実施形態において、第1の材料48は、第2の材料52の外周の周りに配置される。ある特定の実施形態において、第1の材料48および第2の材料52は、チャンバ45内で混合物を形成する。
【0100】
ある特定の実施形態において、第1の材料48と第2の材料52との間の界面は、軸28に対して垂直に配置される。ある特定の実施形態において、上記界面の位置は、軸28に沿って壁セグメント44に向かう爆轟(爆発)波の伝播を促進する。ある特定の実施形態において、上記界面は、軸28に対して垂直に配置されない。ある特定の実施形態において、第1の材料48と第2の材料52との間の接触領域の大きさは、第1の材料48による第2の材料52の爆発を促進するように選択される。ある特定の実施形態では、上記界面が滑らかであり得る。ある特定の実施形態では、上記界面がでこぼこ(bumpy)であってもよい。
【0101】
図示の実施形態では、第1の部分46が第2の部分50よりもイニシエータ30の近くに配置されている。図示の実施形態では、第2の部分50が、第1の部分46と壁セグメント44との間に配置されている。
【0102】
ある特定の実施形態では、第1の材料48と第2の材料52との比が、50/50である。勿論、他の比率も本開示の範囲内である。例えば、ある特定の実施形態では、第1の材料48と第2の材料52との比が40/60である。例えば、ある特定の実施形態では、第1の材料48と第2の材料52との比は60/40である。
【0103】
ある特定の実施形態では、第1の材料48が爆燃-爆轟遷移(DDT)材料である。ある特定の実施形態では、第1の材料48は乾燥爆薬である。ある特定の実施形態では、第1の材料48はアジ化鉛材料である。ある特定の実施形態では、第1の材料48が銅(I) 5-ニトロテトラゾレート(DBX-1)材料である。
【0104】
ある特定の実施形態では、第2の材料52は爆轟出力材料である。ある特定の実施形態では、第2の材料52は乾燥爆薬である。ある特定の実施態様では、第2材料52が四硝酸ペンタエリスリトール(PETN)である。ある特定の実施形態において、PETNによって生成されるデトネート波は、音速よりも大きい速度で進行する。ある特定の実施形態において、PETNによって生成される爆轟(爆発)波は、壁セグメント44内に同様の爆轟(爆発)波を生成する。
【0105】
ある特定の実施形態において、爆轟(爆発)波は、壁セグメント44を通って継続し、本体14における外面56に対して配置された複数の粒子60にその速度を付与する。爆轟(爆発)波は、次いで、音速を超える初速度で本体14から複数の粒子60を射出(放出)する。ある特定の実施形態において、複数の粒子60は、壁セグメント44を通過する爆轟(爆発)波の速度と同じ初速度で射出される。
【0106】
図9は、少なくとも1つのピン38がハンドル11のコネクタ40に接続され、加速器モジュール12の遠位端が組織に対して配置されていることを除いて、図8と同様の断面図である。図10A-Cは、超音速衝撃波が壁セグメント44を通過し、複数の粒子60を加速して射出筒58を出て組織を通過させる、加速器モジュール12が点火されるステップを示すことを除いて、図9と同様の部分断面図である。
【0107】
図10Aは、イニシエータ30が電気入力によって作動(点火)されていることを示す。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのピン38が電気的な点火パルスの形態で電気入力を受け取る。イニシエータ30は、火工装薬34を含む。火工装薬34は、点火時に火炎を生成する。火工装薬34が点火されると、ケーシング32内の火工装薬34によって解放された圧力がケーシング32を破壊し、爆燃が軸28に沿ってチャンバ45内の第1の材料48に向かって亜音速で伝播することを可能にする。火工装薬34によって引き起こされる爆燃は、伝播する亜音速火炎を生成する。このようにして、亜音速の火炎はチャンバ45に向かって移動する。
【0108】
図10Bは、チャンバ45内の第1の材料48を点火する、逃げてくる爆燃を示す。ある特定の実施形態では、第1の材料48が爆燃-爆轟遷移(DDT)材料である。点火されると、第1の材料48は、爆燃から爆轟(爆発)に遷移(移行)する。第1の材料48が亜音速火炎によって点火されながら、亜音速火炎は最終的に爆轟(爆発)に遷移する。このようにして、第1の材料48に入る亜音速火炎は、超音速火炎として第1の材料48から出る。火炎前面は加速して、第2材料52に向かって伝播する超音速火炎となる。火炎(爆燃)から爆轟(爆発)への移行に伴い、圧力は増大する。超音速波を引き起こす爆轟(爆発)は、第1の材料の温度を当該第1の材料48の自己発火温度より高くする、伝播する火炎の前方を進む強力な圧力波を生成する。
【0109】
図10Cは、第1の材料48の爆轟(爆発)に起因する第2の材料52の爆轟(爆発)を示す。ある特定の実施形態において、第2材料52によって生成される爆轟(爆発)波は、音速よりも大きい速度で進行する。第2材料52によって生成される爆轟(爆発)波は、壁セグメント44内に同様の爆轟(爆発)波を生成する。爆轟(爆発)波は、壁セグメント44を通って継続し、本体14の外面56に対して配置された複数の粒子60にその速度を付与する。爆轟(爆発)波は、次いで、音速を超える初速度で本体14から複数の粒子60を射出(放出)する。
【0110】
以下、加速器モジュール12の製造方法について説明する。勿論、より多くのまたはより少ないステップ、および/またはステップの異なる順序を含む他の方法もまた、本開示の範囲内にある。
【0111】
ある特定の実施形態において、加速器モジュール12を製造するための方法は、基部16を提供することで開始される。基部16は、底面54によって部分的に形成されたチャンバ45を備える。底面54は、壁セグメント45によって外面56から離間されている。射出筒58の遠位端は、組織に対して配置されるように構成される。ある特定の実施形態において、射出筒58は、複数の粒子60を支持するように構成される。
【0112】
第2の材料52は、チャンバ45の第2の部分50に装填される。ある特定の実施形態では、第2の材料52が底面54と接触している。ある特定の実施形態では、第2の材料52は爆轟出力材料である。ある特定の実施形態では、第2の材料52は乾燥爆薬である。特定の実施態様では、第2材料52が四硝酸ペンタエリスリトール(PETN)である。ある特定の実施形態では、第2の材料52が所望の圧縮度を達成するために必要な圧力でチャンバ45の底面54に押し付けられている。
【0113】
第1の材料48は、チャンバ45の第1の部分46であって、第2の材料52の上部に装填される。ある特定の実施形態では、第1の材料48が第2の材料52と接触している。ある特定の実施形態では、第1の材料48は爆燃-爆轟遷移材料である。ある特定の実施形態では、第1の材料48は乾燥爆薬である。ある特定の実施形態では、第1の材料48はアジ化鉛である。ある特定の実施形態では、第1の材料48が銅(I) 5-ニトロテトラゾレート(DBX-1)である。ある特定の実施形態では、第1の材料48が所望の圧縮度を達成するのに必要な圧力でチャンバ45内の第2の材料52に押し付けられる。勿論、第1の材料48および第2の材料52は、別々に押し付けることなく、所望の圧縮度を達成するために、同時にチャンバ45内に押し込むことができる。
【0114】
次に、イニシエータ30が基部16の開口部26に取り付けられる。ある特定の実施形態では、ケーシング32の少なくとも一部が容器20におけるチャンバ45内に配置される。ある特定の実施形態では、ケーシング32が第1の材料48に近接して配置される。
【0115】
ある特定の実施形態において、イニシエータ30は、密封材24と共に基部16の開口部26に取り付けられる。ある特定の実施形態では、密封材24がガスケットまたはOリングである。ある特定の実施形態において、イニシエータ30は、キャップ18を取り付けることによって所定の位置に保持される。ある特定の実施形態において、キャップ18は、基部16におけるねじ山と相補的なねじ山を備える。
【0116】
複数の粒子60は、射出筒58内に設置される。遺伝子銃10が、射出筒58が上方を向いている状態で使用される場合、複数の粒子60は、露出した本体14上に注がれ、重力によって本体14の外面56に対して保持され得る。ある特定の実施形態において、複数の粒子60は、射出筒58内において本体14の外面56上に注がれる。
【0117】
ある特定の実施形態において、遺伝子銃10を任意の向きで使用するために、複数の粒子60は、本体14の外面56に対して所定の位置に保持される。このようにして、壁セグメント45を出射する爆轟(爆発)波は、複数の粒子60に伝達されることになる。
【0118】
図11は、加速器モジュール12の点火前に、複数の粒子60が射出筒58から落下することを抑制するための接着剤62を含む射出筒58の別の実施形態を示す。接着剤62は、複数の粒子60を外面56に対して所定の位置に保持する。ある特定の実施形態において、遺伝子銃10が操作されると、複数の粒子60を残して接着剤62は崩れ去りおよび/または蒸発し、爆轟(爆発)波の速度で進行し続けることができる。ある特定の実施形態では、接着剤62が複数の粒子60よりも密度が低く、迅速に分散または減速する。このようにして、接着剤62は、複数の粒子60の移動を妨げない。
【0119】
図12は、スクリーン(覆い)64が射出筒58の遠位端を横切って配置され、それに固定されることを除いて、図11と同様である。図示の実施形態において、接着剤62はスクリーン64に保持されている。ある特定の実施形態では、スクリーン64が複数の細孔(pore)を有する。ある特定の実施形態において、上記複数の細孔は微細孔(micro pore)である。ある特定の実施形態において、スクリーン64は、複数の粒子60が妨げられることなくスクリーン64の細孔を通過することを可能にする微細格子(細目)を有する。
【0120】
図13は、加速器モジュール12を介してエネルギーを伝播するための方法を説明する図面である。この方法は、遺伝子銃10のような携帯型装置を用いて、複数の粒子60を組織内の細胞に送達(導入)する。この方法は、ステップ1302において、亜音速波として進行する火炎(爆燃)を作り出すために、携帯型装置内に配置された火工装薬34を点火することによって開始される。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのピン38が電気的な点火パルスの形態で電気入力を受け取る。火工装薬34は、点火時に火炎を生成する。火工装薬34が点火されると、ケーシング32内の火工装薬34によって解放された圧力がケーシング32を破壊し、爆燃が軸28に沿ってチャンバ45内の第1の材料48に向かって亜音速で伝播することを可能にする。火工装薬34によって引き起こされる爆燃は、伝播する亜音速火炎を生成する。このようにして、亜音速火炎は、軸28に沿ってチャンバ45内に配置された材料48、52に向かって伝播する。
【0121】
次に、ステップ1304において、超音速波を生成するために材料48、52が火炎によって点火される。特定の実施形態において、第1の材料48は、爆燃-爆轟遷移(DDT)材料である。点火されると、第1の材料48は爆燃から爆轟(爆発)に遷移する。第1の材料48が亜音速火炎によって点火される間、亜音速火炎は最終的に爆轟(爆発)に遷移する。火炎面は加速して、第2材料52を伝播する超音速火炎となる。
【0122】
次に、ステップ1306で、超音速波は、携帯型装置の壁セグメント45に向かって軸28に沿って伝播し続ける。ステップ1308において、この方法は、壁セグメント45を破裂することなく、壁セグメント45を通して超音速波を伝播させることによって継続する。この方法は、超音速波が壁セグメント45を通過した後に当該超音速波を複数の粒子60に衝突させて、複数の粒子60をある速度まで加速することによって、ステップ1310に続く。このようにして、爆轟(爆発)波は、音速を超える初速度で、本体14から複数の粒子60を射出する。
【0123】
ある特定の実施形態において、この方法は、組織に複数の粒子60を貫通させることを更に含む。ある特定の実施形態において、この方法は、複数の粒子60に組織の細胞を貫通させることを更に含む。ある特定の実施形態において、上記速度は超音速である。ある実施形態において、超音速は水素中における音速を超える。ある特定の実施形態において、材料48、52は、爆燃-爆轟遷移(DDT)材料および爆轟出力材料のうちの1つまたは複数である。ある特定の実施形態において、複数の粒子60は、携帯型装置の外面56と接触し、軸28とほぼ整列している(一列に並んでいる)。
【0124】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を示す。
(付記1)
イニシエータモジュールに連結され、前記イニシエータモジュールによって生成された亜音速波から超音速波を生成するように構成された加速器モジュールであって、
前記超音速波は、組織内の細胞に粒子を送達するように構成され、
前記加速器モジュールは、
伝播軸を有し、底面を有する容器を規定する本体であって、前記容器は第1の部分と、前記第1の部分と前記底面との間に配置される第2の部分とを備える、本体と、
前記第1の部分に配置された第1の材料と、
前記第2の部分に配置された第2の材料と、
前記容器の底面と前記本体の外面との間に少なくとも部分的に規定される壁セグメントと、
前記本体の前記外面に接触し、前記伝播軸に沿って前記底面とほぼ整列した複数のドープされた金属粒子と、
を備え、
前記第1の材料および前記第2の材料は前記イニシエータモジュールによって生成された前記亜音速波によって点火されて超音速波を生成するように構成され、前記超音速波は前記壁セグメントを通過し、前記複数のドープされた金属粒子をある速度まで加速するように構成される、
加速器モジュール。
(付記2)
前記速度が超音速である、付記1に記載の加速器モジュール。
(付記3)
前記速度が前記組織内の前記細胞を貫通するのに十分な速度である、付記1または2に記載の加速器モジュール。
(付記4)
前記第1の材料が爆燃-爆轟遷移(DDT)材料である、付記1から3の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記5)
前記爆燃-爆轟遷移材料が乾燥爆薬を含む、付記4に記載の加速器モジュール。
(付記6)
前記爆燃-爆轟遷移材料がアジ化鉛を含む、付記4または5に記載の加速器モジュール。
(付記7)
前記爆燃-爆轟遷移材料が銅(I) 5-ニトロテトラゾレート(DBX-1)を含む、付記4から6の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記8)
前記第2の材料が爆轟出力材料である、付記1から7の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記9)
前記爆轟出力材料が乾燥爆薬である、付記8に記載の加速器モジュール。
(付記10)
前記爆轟出力材料が四硝酸ペンタエリスリトール(PETN)を含む、付記8または9に記載の加速器モジュール。
(付記11)
前記壁セグメントがステンレス鋼を含む、付記1から10の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記12)
前記本体が前記壁セグメントを備える、付記1から11の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記13)
前記壁セグメントの材料は、前記超音速波が通過するときに前記壁セグメントが破裂しないように選択される、付記1から12の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記14)
前記壁セグメントの厚さは、前記超音速波が通過するときに前記壁セグメントが破裂しないように選択されることを特徴とする付記1から13の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記15)
前記本体は、基部とキャップとを備え、前記基部と前記キャップとの間に前記容器の少なくとも一部を形成するように前記キャップが前記基部に固定される、付記1から14の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記16)
前記容器は、更に、前記キャップが前記基部に固定されていないときに前記イニシエータモジュールの少なくとも一部を受け入れるように構成され、前記容器は前記キャップが前記基部に固定されたときに前記本体に対して前記イニシエータモジュールを固定するように構成される、付記15に記載の加速器モジュール。
(付記17)
前記本体が前記容器への開口部を含み、前記開口部は、前記イニシエータモジュールが前記加速器モジュールに連結されたときに、前記イニシエータモジュールの一部が前記開口部を通過するようなサイズおよび形状を有する、付記1から16の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記18)
前記イニシエータモジュールの一部が少なくとも1つの電気ピンである、付記17に記載の加速器モジュール。
(付記19)
前記本体は、前記容器からみて前記壁セグメントの反対側に配置された射出筒を備え、前記射出筒は、前記伝播軸と整列し、前記複数のドープされた金属粒子は前記射出筒内に配置される、付記1から18の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記20)
前記射出筒は直線状の円筒であり、且つ前記射出筒の断面が前記容器の断面と同様のサイズを有する、付記19に記載の加速器モジュール。
(付記21)
前記加速器モジュールが遺伝子銃の構成部品である、付記1から20の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記22)
前記第1の部分と前記第2の部分とが前記伝播軸に沿って整列されている、付記1から21の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記23)
前記底面が前記伝播軸に対して垂直である、付記1から22の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記24)
前記本体の外面の少なくとも一部に配置された接着剤を更に含み、前記複数のドープされた金属粒子が前記接着剤中に懸濁されている、付記1から23の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記25)
前記複数のドープされた金属粒子を覆う位置で前記本体に固定されたスクリーンと、
超音速波が存在しない状態で前記複数のドープされた金属粒子が前記スクリーンを通過することを抑制するために前記スクリーンに配置された接着剤と、
を更に備える、付記1から24の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記26)
密封材を更に備え、前記容器は、更に、前記イニシエータモジュールの少なくとも一部を受け入れるように構成され、前記密封材は、前記イニシエータモジュールと密封を形成するために前記容器内に配置されている、付記1から25の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記27)
前記複数のドープされた金属粒子の粒子が約1ミクロンの直径を有する、付記1から26の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記28)
前記複数のドープされた金属粒子が金を含む、付記1から27の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記29)
前記複数のドープされた金属粒子がタングステンを含む、付記1から28の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記30)
前記複数のドープされた金属粒子が化学物質を含む、付記1から29の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記31)
前記化学物質がDNAである、付記30に記載の加速器モジュール。
(付記32)
前記イニシエータモジュールが、電気式起爆装置(EED)である、付記1から31の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記33)
前記電気式起爆装置(EED)は、電気入力部及び火工品出力部を備える、付記32に記載の加速器モジュール。
(付記34)
前記火工品出力部が、ジルコニウムと過塩素酸カリウムとの混合物である、付記33に記載の加速器モジュール。
(付記35)
前記電気爆発装置(EED)がケーシングを備え、前記火工品出力部は前記ケーシング内に配置される、付記33または34に記載の加速器モジュール。
(付記36)
前記ケーシングが金属である、付記35に記載の加速器モジュール。
(付記37)
伝播軸を有し、底面を有する容器を規定する本体であって、前記伝播軸が前記底面を通過する、本体と、
前記容器内に配置されると共に超音速で進行する爆轟波を少なくとも部分的に生成するように構成された材料と、
前記容器の前記底面と前記本体の外面との間に少なくとも部分的に規定された壁セグメントであって、当該壁セグメントを破断することなく前記爆轟波が通って進行することを可能にするサイズを有する壁セグメントと、
前記容器からみて前記壁セグメントの反対側に配置され、前記伝播軸とほぼ整列した複数のドープされた金属粒子と、
を備える、加速器モジュール。
(付記38)
前記複数のドープされた金属粒子が前記本体の前記外面に接触している、付記37に記載の加速器モジュール。
(付記39)
前記伝播軸が前記底面に対して垂直である、付記37または38に記載の加速器モジュール。
(付記40)
前記材料が爆燃-爆轟遷移材料(DDT)を含む、付記37から39の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記41)
前記材料が爆轟出力材料を含む、付記37から40の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記42)
前記容器は第1の部分と第2の部分とを含み、前記第2の部分は前記第1の部分と前記底面との間に配置され、前記材料は第1の材料と第2の材料とを含み、前記第1の材料は前記第1の部分に配置され、前記第2の材料は前記第2の部分に配置される、付記37から41の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記43)
前記加速器モジュールがイニシエータモジュールに連結されるように構成されており、前記イニシエータモジュールは前記材料を亜音速波で点火するように構成されている、付記37から42の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記44)
前記爆轟波は、前記壁セグメントを通過した後に、前記複数のドープされた金属粒子を加速する、付記37から43の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記45)
携帯型装置を用いて複数のドープされた金属粒子を細胞(好ましくは、組織内の細胞である。また、ヒトの個体(生体)内に存在する状態の細胞(好ましくは、組織内の細胞)を除く態様も好ましい。また、動物の個体(生体)内に存在する状態の細胞(好ましくは、組織内の細胞)を除く態様も好ましい。)に送達するための方法であって、
前記携帯型装置内に配置された火工装薬を点火して亜音速波を発生させ、前記亜音速波を軸に沿って前記携帯型装置内に配置された材料に向かって伝播させることと、
前記亜音速波によって前記材料を点火して超音速波を発生させ、前記超音速波を前記軸に沿って前記携帯型装置の壁セグメントに向かって伝播させ続けることと、
前記壁セグメントを破裂することなく前記壁セグメントを通って前記超音速波を伝播させ、前記壁セグメントを通過した後に前記超音速波を前記複数のドープされた金属粒子に衝突させて、前記複数のドープされた金属粒子をある速度まで加速させることと、
を含む方法。
(付記46)
前記複数のドープされた金属粒子で組織を貫通することを更に含む、付記45に記載の方法。
(付記47)
前記組織の細胞に前記複数のドープされた金属粒子を貫通させることを更に含む、付記46に記載の方法。
(付記48)
前記速度が超音速である、付記45から47の何れかに記載の方法。
(付記49)
前記超音速が水素中の音速を超える速度である、付記48に記載の方法。
(付記50)
前記材料が爆燃-爆轟遷移材料(DDT)である、付記45から49の何れかに記載の方法。
(付記51)
前記材料が爆轟出力材料である、付記45から50の何れかに記載の方法。
(付記52)
前記複数のドープされた金属粒子は前記携帯型装置の外面と接触し、前記軸とほぼ整列している、付記45から51の何れかに記載の方法。
(付記53)
少なくとも火工装薬と複数のドープされた金属粒子との間に延在する伝播軸を有する遺伝子銃であって、
前記伝播軸にほぼ沿って配置された爆燃-爆轟遷移材料(DDT)と、
前記火工装薬からみて前記爆燃-爆轟遷移材料(DDT)の反対側に配置され、前記伝播軸にほぼ沿って配置される爆轟出力材料と、
前記爆轟出力材料を前記複数のドープされた金属粒子から分離する壁セグメントと、
を含む、遺伝子銃。
(付記54)
前記壁セグメントは、前記爆轟出力材料の爆発に応答して破裂しないサイズを有する、付記53に記載の遺伝子銃。
(付記55)
イニシエータモジュールに連結され、組織内の細胞に粒子を複数のドープされた金属粒子を送達するための加速器モジュールであって、
伝播軸を有し、底面を有する容器を規定する本体と、
前記容器内に配置され、前記イニシエータモジュールが生成する前記亜音速波によって点火されることによって超音速波を生成する材料と、
前記伝播軸を通り、前記容器の内部と外部とを隔てる壁セグメントと、
を備え、
前記壁セグメントの外面には、複数のドープされた金属粒子を前記伝播軸に沿って整列するように配置可能であり、
前記超音速波を生成する材料が生成した超音速波は、前記壁セグメントを伝播して通過した後に前記複数のドープされた金属粒子に衝突することで当該複数のドープされた金属粒子を加速させる、
加速器モジュール。
(付記56)
前記超音速波を生成する材料は、前記亜音速波によって点火されることによって超音速で進行する爆轟波を生成する、付記55に記載の加速器モジュール。
(付記57)
前記超音速波を生成する材料が乾燥爆薬である、付記55または56に記載の加速器モジュール。
(付記58)
前記底面が前記伝播軸に対して垂直である、付記55から57の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記59)
前記壁セグメントは、前記超音速波が通過するときに破裂しないように構成されている、付記55から58の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記60)
前記本体は、前記容器からみて前記壁セグメントの反対側に配置された射出筒を備え、前記射出筒は前記伝播軸と整列し、前記複数のドープされた金属粒子が前記射出筒内に配置される、付記55から59の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記61)
前記容器は、第1の部分と、前記第1の部分と前記底面との間に配置される第2の部分とを備え、
前記材料は、前記第1の部分に配置される第1の材料と、前記第2の部分に配置される第2の材料と、を含む、
付記55から60の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記62)
前記第1の部分と前記第2の部分とが前記伝播軸に沿って整列されている、付記61に記載の加速器モジュール。
(付記63)
前記第1の材料が爆燃-爆轟遷移(DDT)材料である、付記61または62に記載の加速器モジュール。
(付記64)
前記爆燃-爆轟遷移(DDT)材料が、アジ化鉛および銅(I) 5-ニトロテトラゾレート(DBX-1)のうちの少なくとも何れかを含む、付記63に記載の加速器モジュール。
(付記65)
前記第2の材料が爆轟出力材料である、付記61から64の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記66)
前記爆轟出力材料が四硝酸ペンタエリスリトール(PETN)を含む、付記65に記載の加速器モジュール。
(付記67)
前記イニシエータモジュールが火工装薬を有し、前記火工装薬を点火して前記亜音速波を生成する、付記55から66の何れかに記載の加速器モジュール。
(付記68)
付記55から67の何れかに記載の加速器モジュールを備える遺伝子銃。
(付記69)
携帯型装置を用いて複数のドープされた金属粒子を細胞(好ましくは、組織内の細胞である。また、ヒトの個体(生体)内に存在する状態の細胞(好ましくは、組織内の細胞)を除く態様も好ましい。また、動物の個体(生体)内に存在する状態の細胞(好ましくは、組織内の細胞)を除く態様も好ましい。)に送達するための方法であって、
前記携帯型装置内に配置された火工装薬を点火して亜音速波を発生させ、前記亜音速波を軸に沿って前記携帯型装置内に配置された材料に向かって伝播させることと、
前記亜音速波によって前記材料を点火して超音速波を発生させ、前記超音速波を前記軸に沿って前記携帯型装置の壁セグメントに向かって伝播させ続けることと、
前記壁セグメントを通って前記超音速波を伝播させ、前記壁セグメントを通過した後に前記超音速波を前記複数のドープされた金属粒子に衝突させて、前記複数のドープされた金属粒子を加速させることと、
を含む方法。
【0125】
<用語>
特定の実施形態および実施例が本明細書に開示されているが、本発明の主題は具体的に開示された実施形態における実施例を超えて、他の代替の実施形態および/または使用、ならびにそれらの改変および均等物に及ぶ。したがって、本明細書に添付されたクレームの範囲は、上述の特定の実施形態のいずれによっても限定されない。例えば、本明細書に開示される任意の方法またはプロセスにおいて、方法またはプロセスの操作または工程(操作)は、任意の適切な順序で実行されてもよく、必ずしも特定の開示された順序に限定されない。様々な工程(操作)は、特定の実施形態を理解するのに役立ち得る方法で、複数の別々の工程(操作)として順番に説明され得るが、その説明の順序は、これらの工程(操作)が順序に依存することを暗示するように解釈されるべきではない。更に、本明細書に記載される構造、システム、および/または装置は、統合されたコンポーネントとして、または別個のコンポーネントとして具現化され得る。様々な実施形態を比較する目的で、これらの実施形態における特定の態様および利点が説明される。したがって、例えば、種々の実施形態は、本明細書で教示または示唆され得るような他の態様または利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示されるような1つの態様、利点、または一群の利点を達成または最適化する方法で実行され得る。
【0126】
特定の態様、実施形態、または実施例に関連して説明される特徴、材料、特性、またはこれらの組み合わせは、本明細書の本節または他の箇所で説明される何れの他の態様、実施形態、または実施例と互換性がある限り、それらに適用可能であると理解されるべきである。本明細書に開示されたすべての特徴(添付のクレーム、要約および図面を含む)、および/または、そのように開示された任意の方法またはプロセスの全てのステップは、そのような特徴および/またはステップの少なくとも一部が相互に排他的である場合を除き、任意の組み合わせで組み合わせることができる。必ずしも全てのそのような態様または利点が特定の実施形態によって達成される訳ではない。例えば、1つまたは複数の特徴は、1)DDTとPETNとの組み合わせ、2)火工装薬(火薬)と、当該火工装薬の下流に配置されるDDTと、DDTの下流に配置されるPETN、3)イニシエータモジュールを受け取るように構成された加速器モジュールと、4)ドープされた金属粒子から爆轟出力材料を分離する壁セグメントと、5)壁セグメントを破壊することなく壁セグメントを通過する爆轟(爆発)波と、6)音速を超える速度を達成するドープされた金属粒子と、7)爆轟(爆発)波の下流に配置されたドープされた金属粒子および/または8)爆燃を使用して爆轟(爆発)波を点火すること、を含む。したがって、保護は、前述の実施形態の詳細に限定されない。保護は、本明細書(添付のクレーム、要約書、および図面を含む)に開示された特徴の任意の新規な1つ、または任意の新規な組み合わせ、またはそのように開示された任意の方法またはプロセスのステップの任意の新規な1つ、または任意の新規な組み合わせに及ぶ。
【0127】
更に、別個の実施の文脈で本開示に記載される特定の特徴は、単一の実施において組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施の文脈で記載される様々な特徴は、複数の実施で個別に、または任意の適切なサブコンビネーションで実施することも可能である。更に、特徴は特定の組み合わせで作用するものとして上記に記載され得るが、クレームされた組み合わせからの1つまたは複数の特徴は、場合によっては、組み合わせから切り出すことができ、その組み合わせはサブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形としてクレームされてもよい。
【0128】
更に、工程は、図面に示されるか、または特定の順序で本明細書に記載され得るが、そのような工程は、所望の結果を達成するために、示される特定の順序または連続した順序で全ての工程が実行される必要はない。図示または説明されていない他の工程を、例示的な方法およびプロセスに組み込むことができる。例えば、1または複数の追加の工程を、説明した工程の前、後、同時に、またはそれらの間に実行することができる。更に、工程は、他の実施において再配置または再順序付けされてもよい。当業者であれば、いくつかの実施形態において、図示および/または開示されたプロセスにおいて取られる実際のステップが、図面に示されたものとは異なる場合があることを理解するであろう。実施形態に応じて、上記のステップのうちのいくつかを省くことができ、他のステップを追加することができる。更に、上記開示された特定の実施形態の特徴および特性は、追加の実施形態を形成するに当たって異なる方法で組み合わされてもよく、それらは全て本開示の範囲内にある。また、上記の実施態様における様々なシステムコンポーネントの分離は、全ての実施態様においてそのような分離が必要であるものとして理解されるべきではなく、説明されるコンポーネントおよびシステムは、一般に、単一の製品に一体化されるか、または複数の製品にパッケージ化され得ることを理解されるべきである。
【0129】
本開示の目的のために、特定の態様、利点、及び新規な特徴が本明細書で説明されている。必ずしも全てのそのような利点が、特定の実施形態に従って達成され得るとは限らない。したがって、例えば、当業者は、本明細書で教示または示唆され得る他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示される1つの利点または一群の利点を達成する方法で本開示が具体化または実行され得ることを認識するであろう。
【0130】
説明の目的のために、本明細書で使用される「水平」という用語は、その向きに関係なく、説明される装置が使用されまたは説明される方法が実行される領域の床または地面の平面または表面に平行な平面として定義される。「床」という用語は、「地面」という用語に置き換えることができる。「垂直」という用語は、定義される通り、水平に対して垂直な方向を指す。「上方(above)」、「下方(below)」、「底部(bottom)」、「頂部(top)」、「側(side)」、「高い(higher)」、「低い(lower)」、「上部の(upper)」、「上に(over)」および「下に(under)」等の用語は、水平面に対して定義される。
【0131】
とりわけ、「できる(can)」、「あり得る(could)」、「可能性がある(might, may)」、「例えば(e.g.)」等の本明細書で使用される条件付き用語は、特に明記しない限り、または使用される文脈内で他の意味として理解されない限り、一般に、特定の実施形態が特定の特徴、要素、および/またはステップを含むが、他の実施形態は含まないことを伝えることを意図している。したがって、そのような条件付き用語は、一般に、特徴、要素、および/またはステップが1つまたは複数の実施形態に何らかの形で必要とされること、または、1つまたは複数の実施形態が他の入力または指示の有無にかかわらず、これらの特徴、要素、および/またはステップが任意の特定の実施形態に含まれるか、または任意の特定の実施形態で実行されるべきかどうかを決定するためのロジックを必然的に含むことを暗示するものではない。「備える」、「含む」、「有する」などの用語は同義語であり、オープンエンド方式で包括的に使用され、追加の要素、特徴、動作、操作などを除外するものではない。また、「または」という用語は、その包括的な意味で使用されるため(排他的な意味ではない)、例えば、要素のリストを接続するために使用される場合、「または」という用語は、リスト内の要素のうちの1つ、いくつか、或いは全てを意味する。
【0132】
「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」という語句などの接続詞は、特に明記しない限り、物品、用語などがX、Y、またはZの何れかであり得ることを伝えるために一般的に使用される文脈とは別に理解される。したがって、このような接続詞は、一般に、特定の実施形態がXの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、およびZの少なくとも1つの存在を必要とすることを暗示するものではない。
【0133】
本明細書で使用される「おおよそ」、「約」、「一般的に」、および「実質的に」という用語など、本明細書で使用される「程度の言語」は、記載された値、量、または特性に近い値、量、または特性を表し、依然として所望の機能を果たし或いは所望の結果を達成する。例えば、「おおよそ」、「約」、「一般的に」、および「実質的に」という用語は、記載された量の10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、および0.01%未満の範囲内の量を指す場合がある。別の例として、特定の実施形態において、「一般的に平行」および「実質的に平行」という用語は、厳密に平行から15度、10度、5度、3度、1度、0.1度、またはその他以下だけ逸脱する値、量、または特性を指す。
【0134】
遺伝子銃は、特定の実施形態および実施例の文脈で開示されてきたが、遺伝子銃は、具体的に開示された実施形態を超えて、実施形態の他の代替実施形態および/または使用、並びにその変形例および均等物に及ぶことが、当業者によって理解されるであろう。したがって、本明細書に開示される遺伝子銃の範囲は、上述の特定の開示された実施形態によって限定されるべきではなく、以下のクレームを公正に読むことによってのみ決定されるべきである。
【0135】
本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0136】
10・・・遺伝子銃
11・・・ハンドル
12・・・加速器モジュール
14・・・本体
16・・・基部
20・・・容器
30・・・イニシエータ
32・・・ケーシング
34・・・火工装薬
44・・・壁セグメント
45・・・チャンバ
46・・・第1の部分
48・・・第1の材料
50・・・第2の部分
52・・・第2の材料
54・・・底面
58・・・射出筒
60・・・粒子
図1
図2
図3
図4
図5
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図10A
図10B
図10C
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