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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-01
(45)【発行日】2025-07-09
(54)【発明の名称】車両用画像記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20250702BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20250702BHJP
【FI】
G08G1/00 D
H04N7/18 J
H04N7/18 U
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022088252
(22)【出願日】2022-05-31
(65)【公開番号】P2023176131
(43)【公開日】2023-12-13
【審査請求日】2024-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 遼
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-005148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の後方を撮像して後方画像を取得する撮像部と、
前記後方画像から所定の切出範囲を切り出した切出画像を取得する切出部と、
前記切出画像を記憶する記憶部と、
前記自車両の後方に位置する後方物体と前記自車両との間の距離に応じて前記切出範囲の位置を変更する位置変更部と、を備え、
前記位置変更部は、前記距離に応じて、前記後方画像における地面からの高さを表す方向として予め設定された高さ方向において前記切出範囲の位置を変更し、
前記位置変更部は、
前記距離が所定の閾値距離以上である場合、前記後方物体の種別にかかわらずに、前記切出範囲の位置を予め設定された初期位置に設定し、
前記距離が前記閾値距離未満である場合において、
前記後方物体の種別が車両であれば、前記距離が短くなるほど、前記切出範囲の位置を前記初期位置よりも前記高さ方向において下方側へと変更し、
前記後方物体の種別が前記車両以外であれば、前記切出範囲の位置を前記初期位置に設定する、
ように構成された、
車両用画像記憶装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用画像記憶装置であって、
前記距離に関わらず所定位置に設定された表示用範囲を前記後方画像から切り出した表示用画像を、前記自車両の車室内に配設されたディスプレイに表示する表示部を更に備え、
前記切出部は、前記後方画像から前記表示用範囲を切り出して前記表示用画像を取得するように構成された、
車両用画像記憶装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用画像記憶装置であって、
前記切出部は、第1切出部及び第2切出部を有し、
前記撮像部及び前記第1切出部を有するカメラと、
前記カメラとデータ交換可能に接続され、前記記憶部、前記表示部及び前記第2切出部を有するコントローラと、
を備え、
前記位置変更部は、前記距離が所定の閾値距離未満となった場合、前記距離に応じて前記切出範囲の位置を変更し、
前記距離が前記閾値距離以上である場合の前記切出範囲は前記表示用範囲の総ての範囲を含んでおり、
前記第1切出部は、
前記切出範囲が前記表示用範囲の総ての範囲を含んでいる場合には、前記後方画像から前記切出範囲を切り出した前記切出画像を第1切出画像として取得し、前記第1切出画像を前記コントローラへ送信し、
前記切出範囲が前記表示用範囲の少なくとも一部を含んでいない場合には、前記後方画像から前記切出範囲と前記表示用範囲とを統合した統合範囲を切り出した第2切出画像を取得し、前記第2切出画像を前記コントローラへ送信し、
前記第1切出部が前記第1切出画像を取得した場合において、
前記第2切出部は、前記第1切出画像から前記表示用範囲を切り出して前記表示用画像を取得し、
前記記憶部は、前前記第1切出画像である前記切出画像を記憶し、
前記表示部は、前記第2切出部が取得した前記表示用画像を前記ディスプレイに表示し、
前記第1切出部が前記第2切出画像を取得した場合において、
前記第2切出部は、前記第2切出画像から前記切出範囲を切り出して前記切出画像を取得するとともに、前記第2切出画像から前記表示用範囲を切り出して前記表示用画像を取得し、
前記記憶部は、前記第2切出部が取得した前記切出画像を記憶し、
前記表示部は、前記第2切出部が取得した前記表示用画像を前記ディスプレイに表示する、
ように構成された、
車両用画像記憶装置。
【請求項4】
自車両の前方を撮像して前方画像を取得する撮像部と、
前記前方画像から所定の切出範囲を切り出した切出画像を取得する切出部と、
前記切出画像を記憶する記憶部と、
前記自車両の前方に位置する前方物体と前記自車両との間の距離に応じて前記切出範囲の位置を変更する位置変更部と、を備え、
前記位置変更部は、前記距離に応じて、前記前方画像における地面からの高さを表す方向として予め設定された高さ方向において前記切出範囲の位置を変更し、
前記位置変更部は、
前記距離が所定の閾値距離以上である場合、前記前方物体の種別にかかわらずに、前記切出範囲の位置を予め設定された初期位置に設定し、
前記距離が前記閾値距離未満である場合において、
前記前方物体の種別が車両であれば、前記距離が短くなるほど、前記切出範囲の位置を前記初期位置よりも前記高さ方向において下方側へと変更し、
前記前方物体の種別が前記車両以外であれば、前記切出範囲の位置を前記初期位置に設定する、
ように構成された、
車両用画像記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の後方の後方画像を記憶する車両用画像記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、後方画像を記憶する車両用画像記憶装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の車両用画像記憶装置(以下、「従来装置」と称呼する。)は、自車両と後続車両との間の距離に基いて、後続車両があおり運転を行っているか否かを判定する。従来装置は、後続車両があおり運転を行っている場合、後方画像を所定の記憶装置へ記憶する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-205078号公報
【発明の概要】
【0004】
記憶装置における後方画像用の記憶容量を低減することにより記憶装置が記憶可能な後方画像の時間を長くするために、次に述べる車両用画像記憶装置(以下、「検討装置」と称呼する。)が検討されている。検討装置は、後方画像の所定の切出領域を切り出し、切り出した領域の画像(切出画像)を記憶装置に記憶する。
【0005】
このような検討装置においては、自車両と後続車両との間の距離が短くなると、切出画像に後続車両のナンバープレートが含まれなくなり、後続車両のナンバープレートを記憶装置へ記憶できないという問題がある。このナンバープレートのような、ユーザが記憶装置に確実に記憶したい部分を「記憶要望部分」と称呼する。
【0006】
本発明は前述した課題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の一つは、物体までの距離が短くなっても記憶要望部分を切出画像に含めることができ、記憶要望部分を確実に記憶装置に記憶できる車両用画像記憶装置を提供することにある。
【0007】
本発明の車両用画像記憶装置(以下、「本発明装置」と称呼する。)は、
自車両(VA)の後方を撮像して後方画像(IGr)を取得する撮像部(22、ステップ700)と、
前記後方画像から所定の切出範囲(MR)を切り出した切出画像(IGm)を取得する切出部(20、22、ステップ720)と、
前記切出画像を記憶する記憶部(20、32)と、
前記自車両の後方に位置する後方物体と前記自車両との間の距離に応じて前記切出範囲の位置を変更する位置変更部(20、22、ステップ535、ステップ715、ステップ730、図6図9)と、を備える。
【0008】
本発明装置によれば、後方物体と自車両との間の距離に応じて切出範囲の位置を変更する。これにより、後方物体と自車両との間の距離が短くなっても後方物体の記憶要望部分を確実に記憶できる。
【0009】
本発明装置の一態様において、
前記位置変更部は、前記距離に応じて、前記後方画像における地面からの高さを表す方向として予め設定された高さ方向において前記切出範囲の位置を変更するように構成されている(ステップ530、ステップ715、ステップ720)。
【0010】
上記態様において、
前記位置変更部は、前記距離が所定の閾値距離(Drth)未満となった場合(ステップ525「Yes」)、前記距離が前記閾値距離以上である場合と比べて(ステップ525「No」)、前記切出範囲の位置を前記高さ方向において下方側へ変更するように構成されている(ステップ530、ステップ715、ステップ730、図6図9)。
【0011】
例えば記憶要望部分が後続車両のナンバープレートである場合、後続車両と自車両との間の距離が短くなるにつれて、後方画像におけるナンバープレートの位置は高さ方向において下方側へと移動する。上記態様によれば、距離が閾値距離未満となった場合、距離が閾値距離以上であると比べて、切出範囲の位置を高さ方向において下方側へと変更する。このため、距離が短くなったとしても、ナンバープレートを切出画像に含めることができ、ナンバープレートを確実に記憶できる。
【0012】
なお、記憶要望部分が「歩行者の顔」である場合、歩行者との距離が短くなるにつれて後方画像における歩行者の顔の位置は高さ方向において上方側へと移動する。記憶要望部分がこのような部分である場合には、距離が閾値距離未満となった場合、距離が閾値距離以上であると比べて、切出範囲の位置を上方側へ変更させればよい。
【0013】
上記態様において、
前記位置変更部は、前記距離が前記閾値距離未満となった場合、前記距離が短くなるほど、前記切出範囲の位置を前記下方側へ変更するように構成されている(ステップ530、ステップ715、ステップ730、図6図9)。
【0014】
これにより、距離が閾値距離未満となった場合であっても、ナンバープレートのような記憶要望部分を確実に切出画像に含まれることができる。
【0015】
上記態様において、
前記位置変更部は、
前記距離が所定の閾値距離以上である場合(ステップ525「No」)、前記後方物体の種別にかかわらずに、前記切出範囲の位置を予め設定された初期位置に設定し(ステップ710「No」、ステップ715)、
前記距離が前記閾値距離未満である場合において(ステップ525「Yes」)、
前記後方物体の種別が車両であれば(ステップ515「Yes」)、前記距離が短くなるほど、前記切出範囲の位置を前記初期位置よりも前記下方側へと変更し(ステップ530、ステップ710「Yes」、ステップ730、図6図9)、
前記後方物体の種別が前記車両以外であれば(ステップ515「No」)、前記切出範囲の位置を前記初期位置に設定する(ステップ710「No」、ステップ715)、
ように構成されている。
【0016】
これにより、距離が閾値距離未満である場合において、後方物体の種別が車両であれば切出範囲の位置を下方側へ変更し、後方物体の種別が車両でない場合には切出範囲の位置は変更されない。これにより、後続車両が接近してきた場合であっても、後続車両のナンバープレートを切出画像に含めるができる。更に、車両以外の物体が接近してきた場合に切出範囲の位置が変更されないため、切出範囲の位置を変更する必要がない場合に切出範囲の位置が変更されない。これにより、切出画像を違和感なく確認することができる。
【0017】
本発明装置の一態様であって、
前記距離に関わらず所定位置に設定された表示用範囲(DR)を前記後方画像から切り出した表示用画像(IGd)を、前記自車両の車室内に配設されたディスプレイに表示する表示部(20、34)を更に備え、
前記切出部は、前記後方画像から前記表示用範囲を切り出して前記表示用画像を取得するように構成されている(図8のステップ720、ステップ810)。
【0018】
本態様によれば、運転者は、ディスプレイに表示された表示用画像を視認することにより、自車両の後方の状況を把握することができる。更に、撮像部が撮像した後方画像に基いて切出画像の記憶及び表示用画像の表示を実現するので、切出画像の記憶の機能及び表示用画像の表示の機能の一方を導入する際に、他方の機能が導入されていれば、新たな撮像部を導入しなくてもよい。
【0019】
上記態様において、
前記切出部は、第1切出部及び第2切出部を有し、
前記撮像部及び前記第1切出部を有するカメラ(22)と、
前記カメラとデータ交換可能に接続され、前記記憶部、前記表示部及び前記第2切出部を有するコントローラ(20)と、
を備え、
前記位置変更部は、前記距離が所定の閾値距離未満となった場合(ステップ525「Yes」)、前記距離に応じて前記切出範囲の位置を変更し(ステップ530)、
前記距離が前記閾値距離以上である場合の前記切出範囲は前記表示用範囲の総ての範囲を含んでおり(図3のMR及びDR)、
前記第1切出部は、
前記切出範囲が前記表示用範囲の総ての範囲を含んでいる場合には(ステップ805「Yes」)、前記後方画像から前記切出範囲を切り出した前記切出画像を第1切出画像として取得し(図8のステップ720)、前記第1切出画像を前記コントローラへ送信し(図8のステップ725)、
前記切出範囲が前記表示用範囲の少なくとも一部を含んでいない場合には(ステップ805「No」)、前記後方画像から前記切出範囲と前記表示用範囲とを統合した統合範囲(IR)を切り出した第2切出画像を取得し(ステップ810)、前記第2切出画像を前記コントローラへ送信し(ステップ815)、
前記第1切出部が前記第1切出画像を取得した場合において、
前記第2切出部は、前記第1切出画像から前記表示用範囲を切り出して前記表示用画像を取得し、
前記記憶部は、前前記第1切出画像である前記切出画像を記憶し、
前記表示部は、前記第2切出部が取得した前記表示用画像を前記ディスプレイに表示し、
前記第1切出部が前記第2切出画像を取得した場合において、
前記第2切出部は、前記第2切出画像から前記切出範囲を切り出して前記切出画像を取得するとともに、前記第2切出画像から前記表示用範囲を切り出して前記表示用画像を取得し、
前記記憶部は、前記第2切出部が取得した前記切出画像を記憶し、
前記表示部は、前記第2切出部が取得した前記表示用画像を前記ディスプレイに表示する、
ように構成されている。
【0020】
本態様によれば、カメラは、切出範囲が表示切出範囲の少なくとも一部を含んでいない場合、後方画像から統合範囲を切り出した第2切出画像を取得し、第2切出画像をコントローラへ送信する。コントローラは、この第2切出画像から切出画像及び表示用画像を取得し、切出画像を記憶し、表示用画像を表示する。カメラが後方画像ではなく第2切出画像を送信するので、カメラが後方画像を送信する場合に比べて、カメラとコントローラとの間の通信帯域を低減できる。
【0021】
更に、本発明装置は、
自車両(VA)の前方を撮像して前方画像を取得する撮像部(20)と、
前記前方画像から所定の切出範囲を切り出した切出画像を取得する切出部(22)と、
前記切出画像を記憶する記憶部(20、32)と、
前記自車両の前方に位置する前方物体と前記自車両との間の距離に応じて前記切出範囲の位置を変更する位置変更部(20、22)と、を備える。
【0022】
これにより、前方物体と自車両との間の距離が短くなっても前方物体の記憶要望部分を確実に記憶できる。
【0023】
なお、上記説明においては、発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、発明の各構成要素は、前記名称及び/又は符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車両用画像記憶装置の概略システム構成図である。
図2図2は、図1に示した左後側方レーダ及び右後側方レーダの配設位置及び検知範囲の説明図である。
図3図3は、後方画像における切出範囲の位置の説明図である。
図4図4は、後方距離に応じた切出範囲の変更例の説明図である。
図5図5は、図1に示した画像記憶ECUのCPU(第1CPU)が実行する切出範囲設定ルーチンを示したフローチャートである。
図6図6は、位置設定テーブルの説明図である。
図7図7は、図1に示した後方カメラのCPU(第2CPU)が実行する画像送信ルーチンを示したフローチャートである。
図8図8は、本発明の実施形態の第1変形例に係る後方カメラのCPU(第2CPU)が実行する画像送信ルーチンを示したフローチャートである。
図9図9は、本発明の実施形態の第2変形例に係る位置設定テーブルの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態に係る車両用画像記憶装置(以下、「本記憶装置」と称呼する。)10は、自車両VAに搭載される。本記憶装置10は、画像記憶ECU20を備える。
【0026】
画像記憶ECU20は、エレクトロニックコントロールユニットの略称であり、CPU、ROM、RAM及びインターフェース(I/F)等を含むマイクロコンピュータを主要構成部品として有する電子制御回路である。ECUを「制御ユニット」、「コントローラ」又は「コンピュータ」と称呼する場合もある。CPUは、メモリ(ROM)に格納されたインストラクション(ルーチン)を実行することにより各種機能を実現する。画像記憶ECU20の機能は、複数のECUにより実現されてもよい。
【0027】
本記憶装置10は、後方カメラ22、左後側方レーダ24L、右後側方レーダ24R、記憶装置32及び電子インナーミラー34を備える。これらは、画像記憶ECU20とデータ交換可能に接続されている。以下、左後側方レーダ24L及び右後側方レーダ24Rを区別しない場合には、左後側方レーダ24L及び右後側方レーダ24Rを「後側方レーダ24」と称呼する。
【0028】
後方カメラ22は、図2に示したように、自車両VAの車室内のルーフ後端の車幅方向における中央付近に配設される。後方カメラ22は、リアウィンドウRWを通して自車両VAの後方の領域を撮像することにより後方画像IGr(図3を参照。)を取得する。なお、後方カメラ22は、画像記憶ECU20と同様に、CPU、ROM、RAM及びインターフェース(I/F)等を含むマイクロコンピュータを備えている。後方カメラ22の機能の一部は画像記憶ECU20により実現されてもよいし、画像記憶ECU20の機能の一部は後方カメラ22により実現されてもよい。
【0029】
図2に示したように、左後側方レーダ24L及び右後側方レーダ24Rは、それぞれ、自車両VAの後方の左側方及び右側方に配設される。左後側方レーダ24L及び右後側方レーダ24Rは、それぞれ、ミリ波を検知範囲DR1及びDR2(図2を参照。)に発信し、そのミリ波の反射に基いて検知範囲DR1及びDR2に位置する物体を検知する。より詳細には、後側方レーダ24は、検知範囲DR1及びDR2に位置する物体までの距離、物体の横位置及び相対速度を取得し、これらを含むレーダ情報を画像記憶ECU20に送信する。更に、後側方レーダ24は、上記ミリ波の反射強度に基いて、物体の種別(歩行者又は車両等)を識別することができ、物体の種別もレーダ情報に含めて画像記憶ECU20に送信する。
【0030】
記憶装置32は不揮発性の記憶領域を有しており、その記憶領域には「後方画像IGrの所定の切出範囲MR(図3を参照。)が切り出された切出画像」が記憶される。例えば、記憶装置32は、HDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)等である。
【0031】
電子インナーミラー34は、自車両VAの車室内のルーフ前端の車幅方向における中央付近に配設されているディスプレイである。電子インナーミラー34は、後述の第1変形例で説明する。
【0032】
(作動の概要)
本記憶装置10は、後方画像IGrから図3に示した切出範囲MRの画像を切り出した切出画像IGmを取得し、切出画像IGmを記憶装置32に記憶する。なお、後方画像IGrの全範囲を記憶装置32に記憶するのではなく切出画像IGmのみを記憶装置32に記憶する理由は、記憶装置32の記憶容量を低減するためである。
【0033】
本記憶装置10は、後方物体Orと自車両VAとの間の距離(以下、「後方距離」と称呼する。)Drに応じて、後方画像IGrにおける切出範囲MRの位置を変更する。なお、後方物体Orは、自車両VAの後方に設定されている後方領域RA(図2を参照。)に位置する物体である。
【0034】
仮に、切出範囲MRの位置が後方距離Drによらずに常に一定の位置に設定されていれば、後方距離Drが短くなると切出画像IGmに後方物体Orの一部(又は全部)が含まれなくなる。
図4の(A)では、切出範囲MRの位置が後方距離Drによらず常に一定の位置(初期位置)に設定されている場合の切出画像IGmを示している。図4の(A)において、後方距離Drが距離Drth以上である場合には、後方物体Or(図4においては車両)のナンバープレートが切出画像IGmに含まれるが、後方距離Drが距離D2(距離D2は距離Drthよりも短い)以下となった場合には、ナンバープレートの一部又は全部が切出画像IGmに含まれていない。
【0035】
ナンバープレートに記載された自動車登録番号はあおり運転をされた場合や交通事故が発生した場合の証拠となるため、ナンバープレートの画像を記憶装置32に確実に記憶しておきたいとの要望がある。しかし、上記したように、切出範囲の位置が後方距離Drによらず常に一定の位置に設定されていれば、後方距離Drが比較的短くなった場合に「このナンバープレートのような記憶要望部分」を記憶装置32に記憶できない。
【0036】
そこで、本記憶装置10は、後方距離Drに応じて切出範囲MRの位置を後方画像IGrの高さ方向において下方側へと移動(変更)するように構成されている(図4の(B)を参照。)。高さ方向は、後方画像IGrにおいて地面からの高さを表す方向であり、予め設定されている。本例においては、高さ方向は後方画像IGrの縦方向に予め設定されている。後方画像IGrの向きによっては、高さ方向は、後方画像IGrの横方向に予め設定されていてもよいし、その他の方向に予め設定されていてもよい。
【0037】
本記憶装置10は、後方距離Drが所定の閾値距離Drth以上である場合には、切出範囲MRの位置を初期位置に設定している。本記憶装置10は、後方距離Drが閾値距離Drth未満である場合には、切出範囲MRの位置を初期位置よりも下方側へと変更している。換言すれば、本記憶装置10は、後方距離Drが閾値距離Drth未満である場合、後方距離Drが閾値距離Drth以上である場合と比べて、切出範囲MRの位置を後方画像IGrにおける高さ方向に下方側へと変更する。
【0038】
これにより、図4の(B)に示したように、後方距離Drが距離D2以下となっても、切出画像IGmがナンバープレートを含んでいるため、本記憶装置10は、後方距離Drが距離D2以下となっても、ナンバープレートを記憶装置32に確実に記憶することができる。
【0039】
(具体的作動)
<切出範囲設定ルーチン>
画像記憶ECU20のCPU(以下、「第1CPU」と称呼する。)は、図5にフローチャートにより示した切出範囲設定ルーチンを所定時間が経過する毎に実行する。
【0040】
従って、所定のタイミングになると、第1CPUは、図5のステップ500から処理を開始し、ステップ505及びステップ510を順に実行する。
【0041】
ステップ505:第1CPUは、後側方レーダ24からレーダ情報を取得する。
ステップ510:第1CPUは、レーダ情報に基いて後方物体Orが存在するか否かを判定する。
【0042】
詳細には、第1CPUは、レーダ物体情報に基いて特定される物体の位置が上記後方領域RAに含まれる場合には、後方物体Orが存在すると判定する。後方領域RAは、図2に示したように、長方形の形状に設定されており、その幅は、一般道路の道路幅程度に設定され、長さは閾値距離Drthよりも長い任意の値に設定されている。
【0043】
なお、複数の物体の位置が後方領域RAに含まれる場合には、第1CPUは、後方距離Drが最も短い物体を後方物体として特定する。
【0044】
後方物体Orが存在する場合、第1CPUは、ステップ510にて「Yes」と判定し、ステップ515に進む。ステップ515にて、第1CPUは、レーダ情報に基いて後方物体Orの種別が車両であるか否かを判定する。
【0045】
後方物体Orの種別が車両である場合、第1CPUは、ステップ515にて「Yes」と判定し、ステップ520及びステップ525を順に実行する。
【0046】
ステップ520:第1CPUは、レーダ情報に基いて後方距離Drを特定する。
ステップ525:第1CPUは、後方距離Drが閾値距離Drth未満であるか否かを判定する。
閾値距離Drthは、初期位置に設定された切出範囲MRの切出画像IGmに車両のナンバープレートの一部が含まれなくなり始める距離に予め設定されている。
【0047】
後方距離Drが閾値距離Drth以上である場合、第1CPUは、ステップ525にて「No」と判定し、ステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。この場合、後述する設定指令は後方カメラ22に送信されないため、後方カメラ22は、切出範囲MRを初期位置に設定する。
【0048】
後方距離Drが閾値距離Drth未満である場合、第1CPUは、ステップ525にて「Yes」と判定し、ステップ530及びステップ535を順に実行する。
【0049】
ステップ530:第1CPUは、後方距離Drを図6に示した位置設定テーブル60に適用することにより、後方距離Drに応じた切出範囲MRの位置を特定する。
ステップ535:第1CPUは、上記切出範囲MRの位置を含む設定指令を後方カメラ22に送信する。
その後、第1CPUは、ステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0050】
位置設定テーブル60は、画像記憶ECU20のROMに記憶されており、後方距離Drと切出範囲MRの位置との関係を定義したルックアップテーブルである。図3に示したように、切出範囲MRの位置は、後方画像IGrの座標系(X,Y)において、切出範囲MRの基準点BPmの座標によって表される。上記座標系(X,Y)の原点は、後方画像IGrの左下の点を原点である。上記座標系(X,Y)のX軸は後方画像IGrの横方向であり、上記座標系(X,Y)のY軸は後方画像IGrの縦方向(即ち、高さ方向)である。切出範囲MRの初期位置は、座標(0,Ymdf)によって表される。
【0051】
位置設定テーブル60によれば、後方距離Drが閾値距離Drthである場合に基準点BPのY座標は「Ymdf」に設定されている。更に、位置設定テーブル600によれば、基準点BPのY座標は後方距離Drが短くなるにつれて「Ymdf」から連続的に小さくなり、後方距離Drが距離D1となったときに基準点BPのY座標が「0」となる。なお、基準点BPのX座標は後方距離Drにかかわらずに「0」に設定される。
【0052】
第1CPUは、ステップ530にて、後方距離Drを上記位置設定テーブル60に適用することにより、基準点BPの座標を切出範囲MRの位置として取得し、ステップ535にて基準点BPの座標を含む設定指令を送信する。
【0053】
第1CPUがステップ515に進んだときに後方物体Orが車両でない場合、第1CPUは、ステップ515にて「No」と判定し、ステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。後方物体Orが車両でない場合には、ナンバープレートを切出画像IGmに含める必要がないためである。
【0054】
第1CPUがステップ510に進んだときに後方物体Orが存在しない場合、第1CPUは、ステップ510にて「No」と判定し、ステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0055】
切出範囲設定ルーチンによれば、切出範囲MRの位置は、後方距離Drが閾値距離Drth未満である場合、後方距離Drが閾値距離Drth以上である場合と比べて、後方画像IGrの縦方向において下方側に変更される。更に、後方距離Drが閾値距離Drth未満である場合、切出範囲MRの位置は、後方距離Drが短くなるにつれて、より下方側に変更される。
【0056】
これにより、後方距離Drが閾値距離Drth未満である場合であっても、自車両VAの後方の車両のナンバープレートの画像を切出画像IGmに含めることができ、ナンバープレートの画像を記憶装置32へ確実に記憶できる。
【0057】
<画像送信ルーチン>
後方カメラ22のCPU(以下、「第2CPU」と称呼する。)は、図7にフローチャートにより示した画像送信ルーチンを所定時間が経過する毎に実行する。
【0058】
従って、所定のタイミングになると、第2CPUは、図7のステップ700から処理を開始し、ステップ705及びステップ710を順に実行する。
【0059】
ステップ705:第2CPUは、自車両VAの後方の領域を後方カメラ22に撮影させることにより後方画像IGrを取得する。
ステップ710:第2CPUは、本ルーチンを前記実行してから今回実行するまでの間に設定指令を受信したか否かを判定する。なお、画像送信ルーチンの実行時間間隔は、切出範囲設定ルーチンの実行時間間隔よりも長いものとする。
【0060】
設定指令を受信していない場合、第2CPUは、ステップ710にて「No」と判定し、ステップ715乃至ステップ725を順に実行する。
ステップ715:第2CPUは、切出範囲MRの位置を初期位置に設定する。
ステップ720:第2CPUは、後方画像IGrから切出範囲MRの画像を切出画像IGmとして取得する。
ステップ725:第2CPUは、切出画像IGmを画像記憶ECU20に送信する。
その後、第2CPUは、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0061】
画像記憶ECU20は切出画像IGmを受信した場合、第1CPUは、受信した切出画像IGmを記憶装置32に記憶する。
【0062】
第2CPUがステップ710に進んだときに設定指令を受信している場合、第2CPUは、ステップ710にて「Yes」と判定し、ステップ730に進む。ステップ730にて、第2CPUは、切出範囲MRの位置を設定指令に含まれる切出範囲MRの位置に設定する。
【0063】
第2CPUは、ステップ730の実行後、ステップ720及びステップ725を実行することにより、切出画像IGmを画像記憶ECU20に送信する。その後、第2CPUは、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0064】
以上により、本記憶装置10は、後方距離Drに応じて切出範囲MRの位置を後方画像IGrの高さ方向(本例の縦方向)における下方側へと変更するので、自車両VAの後方の車両のナンバープレートを記憶装置32へ確実に記憶することができる。
【0065】
後方カメラ22は、特許請求の範囲に記載の「撮像部」及び「切出部」を有し、画像記憶ECU20は、特許請求の範囲の「記憶部」を有する。
更に、画像記憶ECU20が、図5に示したステップ535にて後方距離Drに応じた切出範囲MRの設定指令を後方カメラ22に送信し、後方カメラ22は、図7に示したステップ730にて設定指令に基いて切出範囲MRの位置を設定する構成が、「位置変更部」に相当する。
【0066】
本発明は前述した実施形態に限定されることはなく、本発明の種々の変形例を採用することができる。
【0067】
(第1変形例)
本変形例に係る車両用画像記憶装置10は、後方画像IGrの所定の表示用範囲DR(図3を参照。)が切り出された表示用画像IGdを電子インナーミラー34に表示する。運転者は、電子インナーミラー34に表示された表示用画像IGdを見ることにより自車両VAの後方の状況を確認できる。
【0068】
表示用範囲DRの位置は後方距離Drによらずに常に一定の位置に設定されている。図3に示したように、表示用範囲DRは切出範囲MRよりも狭く、初期位置にある切出範囲MRは表示用範囲DRの総ての範囲を含んでいる。この場合、後方カメラ22は、切出画像IGm(以下、「第1切出画像」と称呼する場合もある。)を画像記憶ECU20に送信する。そして、画像記憶ECU20は、切出画像IGmを記憶装置32に記憶するとともに、切出画像IGmから表示用範囲DRを切り出した表示用画像IGdを切り出して表示用画像IGdを電子インナーミラー34に表示する。
【0069】
しかし、後方距離Drが短くなり切出範囲MRが下方側へ変更されると、切出範囲MRが表示用範囲DRを含まなくなる。この場合、後方カメラ22が切出画像IGmを送信しても、この切出画像IGmは表示用範囲DRの少なくとも一部を含んでないので、電子インナーミラー34には表示用範囲DRの全領域の画像が表示されなくなってしまう。
【0070】
そこで、本変形例では、後方カメラ22は、表示用範囲DRの少なくとも一部が切出範囲MRに含まれない場合には、後方画像IGrから「切出範囲MR及び表示用範囲DRを統合した統合範囲IR」を切り出した統合画像IGi(以下、「第2切出画像」と称呼する場合もある。)を取得し、統合画像IGiを画像記憶ECU20へ送信する。
【0071】
画像記憶ECU20は、統合画像IGiから切出画像IGm及び表示用画像IGdを取得して、切出画像IGmを記憶装置32に記憶させるとともに、表示用画像IGdを電子インナーミラー34に表示させる。
【0072】
本変形例の第2CPUは、図7に示した画像送信ルーチンの代わりに図8に示した画像送信ルーチンを実行する。なお、図8に示したフローチャートでは、図7に示したフローチャートと同じ処理は同じ符号を付与し、説明を省略する。
【0073】
<画像送信ルーチン>
従って、所定のタイミングになると、第2CPUは、図8のステップ800から処理を開始し、ステップ705及びステップ710を順に実行する。
【0074】
設定指令を受信していない場合(図8に示したステップ710にて「No」)、第2CPUは、図8に示した「ステップ715乃至ステップ725」を実行して切出画像IGmを画像記憶ECU20へ送信する。その後、第2CPUは、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0075】
一方、設定指令を受信した場合(図8に示したステップ710にて「Yes」)、第2CPUは、図8に示したステップ730にて切出範囲MRの位置を設定し、ステップ805に進む。ステップ805にて、第2CPUは、切出範囲MRが表示用範囲DRの総ての範囲を含むか否かを判定する。
【0076】
切出範囲MRが表示用範囲DRの全範囲を含む場合、第2CPUは、ステップ805にて「Yes」と判定し、図8に示した「ステップ720及びステップ725」を実行して切出画像IGmを画像記憶ECU20へ送信する。その後、第2CPUは、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0077】
切出範囲MRが表示用範囲DRの少なくとも一部を含んでいない場合、第2CPUは、ステップ805にて「No」と判定し、ステップ810及びステップ815を順に実行する。
【0078】
ステップ810:第2CPUは、後方画像IGrから統合範囲IRの画像を統合画像IGiとして取得する。
ステップ815:第2CPUは、統合画像IGiを画像記憶ECU20へ送信する。
その後、第2CPUは、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0079】
画像記憶ECU20は、統合画像IGiを受信した場合、統合画像IGiから切出画像IGm及び表示用画像IGdを取得し、切出画像IGmを記憶装置32へ記憶し、表示用画像IGdを表示させる。
【0080】
これにより、後方距離Drに応じて切出範囲MRの位置を変更し、電子インナーミラー34に表示用画像を表示する車両用画像記憶装置10において、後方カメラ22と画像記憶ECU20との間の通信帯域を可能な限り低減できる。
【0081】
なお、後方カメラ22は、切出範囲MRが表示用範囲DRを含むか否かにかかわらず後方画像IGrを画像記憶ECU20へ送信してもよい。この場合、画像記憶ECU20が後方画像IGrから切出画像IGm及び表示用画像IGdを取得し、切出画像IGmを記憶装置32へ記憶させ、表示用画像IGdを電子インナーミラー34に表示させる。この場合、上記した後方カメラ22が切出画像IGm又は統合画像IGiを送信する場合に比べて、後方カメラ22と画像記憶ECU20との間の通信帯域が大きくなってしまう。後方画像IGrのデータ容量は、切出画像IGm又は統合画像IGiのデータ容量よりも大きいためである。
【0082】
(第2変形例)
上記実施形態の位置設定テーブル60によれば、基準点BPのY座標は後方距離Drに比例して小さくなる。本変形例の位置設定テーブル70によれば、図9に示したように、基準点BPのY座標は、後方距離Drが短くなるにつれて段階的に小さくなる。
【0083】
(第3変形例)
上記実施形態では、記憶要望部分がナンバープレートであるため、後方距離Drが短くなるにつれて切出範囲MRの位置を後方画像IGrの縦方向において下方側へと移動した。しかし、本発明はこれに限定されず、記憶要望部分に合わせて切出範囲MRの位置の移動方向を変更してもよい。
【0084】
例えば、記憶要望部分が歩行者の顔であると仮定する。後方距離Drが短くなるにつれて、歩行者の顔は後方画像IGrの上方側へ位置するようになる。このため、第1CPUは、後方物体Orが歩行者である場合には、後方距離Drが所定の閾値距離Drth未満となったとき、後方距離Drが閾値距離Drth以上であるときよりも、切出範囲MRの位置を後方画像IGrの縦方向において上方側に移動させる。
【0085】
(第4変形例)
上記実施形態では、後方カメラ22が撮像した後方画像IGrにおいて後方距離Drに応じて切出範囲MRを変更したが、図1に示した前方カメラ42が撮像した前方画像において前方距離に応じて切出範囲を変更してもよい。
【0086】
本変形例に係る車両用画像記憶装置10は、上記前方カメラ42及び前方レーダ44を備える。
前方カメラ42は、自車両VAの車室内のルーフ前端の車幅方向における中央付近に配設され、自車両VAの前方の領域を撮像することにより前方画像を取得する。
前方レーダ44は、自車両VAのフロントバンパーの車幅方向における中央付近に配設され、自車両VAの前方に位置する物体までの距離、物体の横位置及び相対速度を取得し、これらを含むレーダ情報を画像記憶ECU20に送信する。
【0087】
(第5変形例)
左後側方レーダ24L、右後側方レーダ24R及び前方レーダ44は、ミリ波以外の無線媒体を送信し、反射された無線媒体を受信することによって物体を検出できるリモートセンシングセンサであればよい。
【0088】
更に、後方カメラ22が後方画像IGrに基いて後方距離Drを正確に測定できる場合には、車両用画像記憶装置10は、左後側方レーダ24L及び右後側方レーダ24Rを備えなくてもよい。自車両VAの後方の物体を検知するためのレーダの数は二つに限定されず、一つであってもよいし、二つより多くてもよい。
【0089】
更に、前方カメラ42が前方画像に基いて前方距離を正確に測定できる場合には、車両用画像記憶装置10は、前方レーダ44を備えなくてもよい。
【0090】
(第6変形例)
車両用画像記憶装置10は、エンジン自動車、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、燃料電池車(FCEV:Fuel Cell Electric Vehicle)及び電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)等の車両に搭載可能である。
【符号の説明】
【0091】
10…車両用画像記憶装置、20…画像記憶ECU、22…後方カメラ、24L…左後側方レーダ、24R…右後側方レーダ、32…記憶装置、34…電子インナーミラー、42…前方カメラ、44…前方レーダ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9