(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-01
(45)【発行日】2025-07-09
(54)【発明の名称】製品梱包用座板の製造方法及びこれによって製造された座板
(51)【国際特許分類】
B31D 5/02 20170101AFI20250702BHJP
B65D 81/05 20060101ALI20250702BHJP
B65D 85/34 20060101ALI20250702BHJP
【FI】
B31D5/02
B65D81/05 200
B65D85/34 160
(21)【出願番号】P 2023212598
(22)【出願日】2023-12-18
【審査請求日】2023-12-18
(31)【優先権主張番号】10-2023-0076557
(32)【優先日】2023-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523475136
【氏名又は名称】権 寧稙
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】権 寧稙
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-37378(JP,U)
【文献】特表2020-537618(JP,A)
【文献】特開平9-272162(JP,A)
【文献】特表平8-500800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31D5/02
B65D57/00-59/08、81/00-81/17、85/30-85/48、85/86、85/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座板上面を形成するように、目的とする規格で第1原紙(110)を裁断し、着座部(130)の配置区域ごとに第1スリット(131)をカッティングする第1原紙裁断段階(S10)と、
座板下面を形成するように、前記第1原紙裁断段階(S10)で裁断された第1原紙(110)に相応する規格で第2原紙(120)を裁断し、着座部(130)の配置区域ごとに第2スリット(133)をカッティングする第2原紙裁断段階(S20)と、
前記第1原紙裁断段階(S10)及び第2原紙裁断段階(S20)で裁断された第1原紙(110)及び第2原紙(120)を上下に重ねて貼り合わせる第1及び2原紙の貼り合わせ段階(S30)と、
前記第1及び2原紙の貼り合わせ段階(S30)で貼り合わせられた第1及び第2原紙を座板成形金型に入れ、
ヒーティングプレスすることで、着座部(130)及び縁部(140)
を有する座板(100)を成形する紙座板成形段階(S40)と、
前記紙座板成形段階(S40)で
高温ヒーティングプレスによって成形された座板を常温で乾燥及び硬化させて一体化する紙座板硬化段階(S50)と、
前記紙座板硬化段階(S50)で一体化した座板をカッティングモールドに入れ、縁部(140)の外周をカッティングして座板完成品を取り出す紙座板カッティング段階(S60)と、を含む
製品梱包用座板の製造方法において、
前記第1原紙裁断段階(S10)及び第2原紙裁断段階(S20)では、
第1スリット(131)及び第2スリット(133)をエックス(×)形又は放射状に交差する線形(*)の形状にカッティングし、第1原紙(110)及び第2原紙(120)を上下に重ねた時に第1スリット(131)と第2スリット(133)が相互ずれて位置するようにカッティングすることと、
前記第1原紙裁断段階(S10)及び第2原紙裁断段階(S20)では、
第1スリット(131)及び第2スリット(133)のそれぞれの中心点において円形又は放射状多角形状の第1スリット中心ホール(132)及び第2スリット中心ホール(134)を穿孔して形成することと、
を特徴とする製品梱包用座板の製造方法。
【請求項2】
前記第1及び2原紙の貼り合わせ段階(S30)では、
第1原紙(110)の下面と第2原紙(120)の上面に天然接着剤を塗布して相互仮接着によって貼り合わせ、
前記紙座板成形段階(S40)では、
180℃~220℃の温度でヒーティングプレスして着座部(130)の第1スリット(131)及び第2スリット(133)がそれぞれ放射状に展開しながら一定深さで凹入成形されるようにすることを特徴とする、請求項1に記載の製品梱包用座板の製造方法。
【請求項3】
第1原紙(110)及び第2原紙(120)が上下に複数層で重なって一体に貼り合わせられ、外周には縁部(140)が形成される座板ボディー(100)と、
前記座板ボディー(100)に複数個が配置され、梱包対象製品の外形に相応する内形を有するように一定深さで凹入成形される着座部(130)と、を含み、
前記第1原紙(110)及び第2原紙(120)は、
着座部(130)の配置区域ごとに第1スリット(131)及び第2スリット(133)をエックス(×)形又は放射状に交差する線形(*)の形状にカッティング形成し、第1原紙(110)及び第2原紙(120)を上下に重ねた時に第1スリット(131)と第2スリット(133)が相互ずれた位置に形成されるように備え、
前記着座部(130)は、
凹入成形時に前記第1スリット(131)及び第2スリット(133)が放射状に展開しながら第1原紙(110)及び第2原紙(120)の上面が交互に着座部(130)の内周面及び底面を形成するように備え、
前記着座部(130)の底面中心には、
第1スリット(131)及び第2スリット(133)のそれぞれの中心点において円形又は放射状多角形状にカッティングされてなる第1スリット中心ホール(132)及び第2スリット中心ホール(134)によって通気孔が形成されるようにすることを特徴とする製品梱包用座板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品梱包用座板の製造方法及びこれによって製造された座板に関し、より詳細には、製品の梱包時に損傷及び揺動防止のために外部ケースの内部に使用する座板(tray)を製造するとき、紙を使って環境に優しい製品梱包用座板をより容易に製造する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、外部刺激によって傷みやすい果物などの食料品及びその他製品を単純に段ボール箱に梱包すると、取扱の際に製品間の僅かな摩擦や揺動によっても製品が深刻に損傷することがあるため、製品を個別に収容して安定に着座させるように一定形状に製造された梱包用座板又は卵座が利用されている。
【0003】
通常の梱包用座板は、合成樹脂原料を用いて、梱包対象となる製品の外形に相応する形態で成形製造している。
【0004】
公知技術の一例として、韓国登録実用新案第20-0264461号には、外側縁に延長部が形成された本体と、本体の上側面に一体に形成されて果物を収納するための卵座溝と、卵座溝の内側面の円周方向に少なくとも一つが溝又は突起の形状に形成される空気誘導溝と、卵座溝が互いに隣接する境界部に形成される開放溝と、を含み、ポリエチレンテレフタレート(PET)材質からなる果物用卵座が開示されている。
【0005】
他の例として、韓国登録実用新案20-0447103号には、合成樹脂からなり、果物の箱の内部に設置される支えボディーと、支えボディーに形成されて果物を個別に収納する複数個の着座溝と、収納された果物の底面部の一部分が外部の空気と連通するように着座溝内に形成された陰刻溝と、支えボディーの着座溝の底面から陰刻溝が支えボディーの下向に突出した領域によって形成されるクッション部を含む果物用卵座を構成する。
【0006】
一方、最近では、紙くずのリサイクルのために、パルプを原料にして座板又は卵座を製造する技術が提供されており、例えば、韓国登録特許第10-0561234号には、パルプをきれいに洗浄した後に溶解する段階と、薬品投入段階と、撹拌工程段階と、撹拌されたパルプを成形する段階と、成形された製品を乾燥させる段階と、撹拌工程段階の後に機能性添加剤投入段階を経て成形する段階において、銀イオン系無機抗菌剤と酸化チタニウムとを配合したパウダー形態の添加剤を蒸留水に希釈した水溶性液状の機能性添加剤を、薬品及びパルプが撹拌された原料に投入する段階と、を含むパルプモールドを用いた卵座の製造方法を構成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国登録実用新案第20-0264461号公報(2002年02月19日)
【文献】韓国登録実用新案20-0447103号公報(2009年12月23日)
【文献】韓国登録特許第10-0561234号公報(2006年03月15日)
【文献】韓国公開実用新案第20-2010-0007938号公報(2010年08月11日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような従来技術が適用される梱包用座板又は卵座は、主に合成樹脂又は発泡樹脂の原料を使って成形した製品が殆どである。
【0009】
しかしながら、合成樹脂の原料で製造された梱包用座板は、原料の処理及び製造工程が比較的簡便であるという利点はあるが、1回使って捨てられる梱包材の特性上、合成原料製品の処理及び廃棄によって環境汚染が生じる欠点がある。
【0010】
しかも、近年、韓国を含めて全世界的なプラスチック容器使用の規制政策によって、従来のような合成樹脂材の座板はその消費が顕著に減っていくと予想されるし、炭素中立の実現にも役立たないという問題がある。
【0011】
このような問題から、最近では、紙くずをリサイクルして製造される座板又は卵座が開発されて提供されているが、成形工程以外の大部分の工程が手作業でなされているのが現状であり、パルプに溶解後に製紙工程を実施するための設備の構築及び運用に莫大な労力と費用がかかるため、作業性、生産性、及び経済性が低いという問題点がある。
【0012】
そのうえ、従来のような、パルプを再生して紙を製造する過程では各種化学薬品の添加が不回避であるため、発生する廃水の処理のための別途の設備及び工程が必要であり、作業環境の悪化を招くだけでなく、製造された原紙は延伸率がないため、卵座の形態に成形する過程でよく破れてしまい、品質管理及び取扱が困難である実情である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するために案出したものであり、
座板上面を形成するように、目的とする規格で第1原紙(110)を裁断し、着座部(130)の配置区域ごとに第1スリット(131)をカッティングする第1原紙裁断段階(S10)と、
座板下面を形成するように、前記第1原紙裁断段階(S10)で裁断された第1原紙(110)に相応する規格で第2原紙(120)を裁断し、着座部(130)の配置区域ごとに第2スリット(133)をカッティングする第2原紙裁断段階(S20)と、
前記第1原紙裁断段階(S10)及び第2原紙裁断段階(S20)で裁断された第1原紙(110)及び第2原紙(120)を上下に重ねて貼り合わせる第1及び2原紙の貼り合わせ段階(S30)と、
前記第1及び2原紙の貼り合わせ段階(S30)で貼り合わせられた第1及び第2原紙を座板成形金型に入れ、着座部(130)及び縁部(140)を成形する紙座板成形段階(S40)と、
前記紙座板成形段階(S40)で成形された座板を常温で乾燥及び硬化させて一体化する紙座板硬化段階(S50)と、
前記紙座板硬化段階(S50)で一体化した座板をカッティングモールドに入れ、縁部(140)の外周をカッティングして座板完成品を取り出す紙座板カッティング段階(S60)と、を含む方法により、紙を使って環境に優しい製品梱包用座板をより容易に製造する目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、製品の梱包時に損傷及び揺動の防止のために外部ケースの内部に使用する座板を製造するとき、紙を使って環境に優しい製品梱包用座板をより容易に製造する方法を提供する。
【0015】
したがって、本発明は、従来の合成樹脂又は発泡樹脂を使う座板又は卵座の製造技術に比べて、環境汚染誘発及び廃棄物処理に伴う経済的負担を顕著に低減させ、また、最近のプラスチック容器使用規制政策や炭素中立に応えることができる効果がある。
【0016】
また、本発明は、従来のパルプ原料を使う座板又は卵座の製造技術とは違い、製造された紙自体を、既存の座板製造に用いられる金型に原紙として適用し、安定した成形性を具現することにより、従来技術におけるような複雑な製紙工程を省いて生産原価を節減することができ、また、パルプの溶解及び製紙過程に使われる各種化学薬品の添加が不要であるので、より環境に優しい紙原料からなる高品質の梱包用座板を製造することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る製品梱包用座板の製造方法を示す工程流れ図である。
【
図2】本発明に係る製品梱包用座板の製造方法における第1原紙裁断段階及び第2原紙裁断段階の実施例示図である。
【
図3】本発明に係る製品梱包用座板の製造方法における第1及び2原紙の貼り合わせ段階の実施例示図である。
【
図4】本発明の実施例に係る製品梱包用座板の製造方法によって製造された製品梱包用座板の平面図及び側面図である。
【
図5】本発明の実施例に係る製品梱包用座板の製造方法によって製造された製品梱包用座板の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の製品梱包用座板の製造方法及びこれによって製造された座板の好ましい実施例に係る構成及び作用を、添付の図面を参照して詳細に説明すれば、次の通りである。下記の説明において、当該技術の分野における通常の技術者が容易に具現できる部分に関する具体的な説明は省略されてよい。なお、下記の説明は、本発明について好ましい実施例を挙げて説明するものであり、本発明は下記の実施例によって限定されるものでなく、本発明の範疇から逸脱しない範囲内で様々な変形が提供されてよいことは当然であるといえる。
【0019】
図1は、本発明に係る製品梱包用座板の製造方法を示す工程流れ図であり、
図2は、本発明に係る製品梱包用座板の製造方法における第1原紙裁断段階及び第2原紙裁断段階の実施例示図であり、
図3は、本発明に係る製品梱包用座板の製造方法における第1及び2原紙の貼り合わせ段階の実施例示図であり、
図4は、本発明の実施例に係る製品梱包用座板の製造方法によって製造された製品梱包用座板の平面図及び側面図であり、
図5は、本発明の実施例に係る製品梱包用座板の製造方法によって製造された製品梱包用座板の斜視図である。
【0020】
本発明の技術が適用される製品梱包用座板の製造方法及びこれによって製造された座板は、製品の梱包時に損傷及び揺動防止のために外部ケースの内部に使用する座板を製造するとき、紙を使って環境に優しい製品梱包用座板をより容易に製造する技術によるものであることを明らかにする。
【0021】
そのための本発明の製品梱包用座板の製造方法は、第1原紙110製造段階と、第2原紙120製造段階と、第1及び2原紙の貼り合わせ段階(S30)と、紙座板成形段階(S40)と、紙座板硬化段階(S50)と、紙座板カッティング段階(S60)と、を含んでなり、その詳細は下記の通りである。
【0022】
前記第1原紙裁断段階(S10)は、座板上面を形成するように、目的とする規格で第1原紙110を裁断し、着座部130の配置区域ごとに第1スリット131をカッティングする段階である。
【0023】
前記第1原紙裁断段階(S10)では、既に製紙された第1原紙110を、例えば、四角形状に規格によって裁断するが、梱包対象製品を安定して載せる着座部130の配置区域に相応する位置に第1スリット131をカッティングする。本発明の実施例では、直四角形の第1原紙110上の12箇所に並列に着座部130を配置するので、当該区域ごとに第1スリット131をカッティングする。
【0024】
図2に示すように、前記第1原紙裁断段階(S10)では、第1スリット131をエックス(×)形に又は放射状に交差する線形(*)の形状にカッティングする。
【0025】
前記第1原紙裁断段階(S10)において、第1スリット131のカッティング時には、第1原紙110と、後述する第2原紙裁断段階(S20)で裁断される第2原紙120とを上下に重ねた時に
図3のように第1スリット131と第2スリット133とが相互外れて位置するようにカッティングする。例えば、第1スリット131をエックス(×)形状に形成する場合に、第2スリット133は十字(+)形状にカッティングして相互外れるようにする。
【0026】
前記第1原紙裁断段階(S10)では、第1スリット131の中心点において円形又は放射状多角形状の第1スリット中心ホール132を穿孔して形成する。
【0027】
前記第1スリット131は、後述する紙座板成形段階(S40)で金型によって展開時に中心部に尖鋭部を形成することになるため、前記第1原紙裁断段階(S10)では第1スリット131のカッティング時に中心点に円形又は放射状多角形状、例えば、本発明の実施例のように直線部を湾曲させた六角形状の第1スリット中心ホール132を穿孔し、尖鋭部の形成を防止する。
【0028】
前記第2原紙裁断段階(S20)は、座板下面を形成するように、前記第1原紙裁断段階(S10)で裁断された第1原紙110に相応する規格で第2原紙120を裁断し、着座部130の配置区域ごとに第2スリット133をカッティングする段階である。
【0029】
前記第2原紙裁断段階(S20)では、既に製紙された第2原紙120を、例えば、四角形状に規格によって裁断するが、梱包対象製品を安定して載せる着座部130の配置区域に相応する位置に第2スリット133をカッティングする。本発明の実施例では直四角形の第2原紙120上の12箇所に並列に着座部130を配置するので、該当区域ごとに第2スリット133をカッティングする。
【0030】
図2に示すように、前記第2原紙裁断段階(S20)では、第2スリット133をエックス(×)形又は放射状に交差する線形(*)の形状にカッティングする。
【0031】
前記第2原紙裁断段階(S20)において、第2スリット133のカッティング時には、第2原紙120と、前記第1原紙裁断段階(S10)で裁断された第1原紙110とを上下に重ねた時に
図3のように第2スリット133と第1スリット131とが相互ずれて位置するようにカッティングする。例えば、第1スリット131をエックス(×)形状に形成した場合に、第2スリット133は十字(+)形状にカッティングして相互外れるようする。
【0032】
前記第2原紙裁断段階(S20)では、第2スリット133の中心点において円形又は放射状多角形状の第2スリット中心ホール134を穿孔して形成する。
【0033】
前記第2スリット133は、後述する紙座板成形段階(S40)で金型によって展開時に中心部に尖鋭部を形成することになるため、前記第2原紙裁断段階(S20)では第2スリット133のカッティング時に、中心点に円形又は放射状多角形状、例えば本発明の実施例のように直線部を湾曲させた六角形状の第2スリット中心ホール134を穿孔し、尖鋭部の形成を防止する。
【0034】
前記第1及び2原紙の貼り合わせ段階(S30)は、前記第1原紙裁断段階(S10)及び第2原紙裁断段階(S20)で裁断された第1原紙110及び第2原紙120を上下に重ねて貼り合わせる段階である。
【0035】
前記第1及び2原紙の貼り合わせ段階(S30)では、前記同一規格で裁断された第1原紙110及び第2原紙120を上下に貼り合わせるために、前記第1原紙110の下面と第2原紙120の上面に天然接着剤を塗布し、両方を仮接着によって貼り合わせる。
【0036】
前記第1及び2原紙の貼り合わせ段階(S30)では、天然接着剤、例えば澱粉接着剤を塗布して仮接着することで、後述する紙座板成形段階(S40)で第1原紙110及び第2原紙120が動かない程度に貼り合わせる。
図3に示すように、貼り合わせられた状態で前記第1スリット131と第2スリット133は相互外れて位置する。
【0037】
前記第1原紙110及び第2原紙120は、高温でなされる紙座板成形段階(S40)及び紙座板硬化段階(S50)を経て完全に一体化する。
【0038】
前記紙座板成形段階(S40)は、前記第1及び2原紙の貼り合わせ段階(S30)で貼り合わせられた第1及び第2原紙を座板成形金型に入れ、着座部130及び縁部140を成形する段階である。
【0039】
前記紙座板成形段階(S40)では、上金型及び下金型との間に、貼り合わせられた第1及び第2原紙を入れ、ヒーティングプレスすることで、座板ボディー100内に複数の着座部130を凹入成形し、外周には縁部140を成形する。着座部130同士の間には、空間を区画するリブ部が形成され、必要によって、リブ部に所定の曲面部形状を成形してより強い支持力を座板ボディー100に付与してもよい。
【0040】
前記紙座板成形段階(S40)では、180℃~220℃の温度でヒーティングプレスし、
図4及び
図5に示すように、着座部130の第1スリット131及び第2スリット133がそれぞれ放射状に展開しながら一定深さで凹入成形される。
【0041】
前記紙座板成形段階(S40)では、前記第1原紙裁断段階(S10)及び第2原紙裁断段階(S20)でカッティングされた後、前記第1及び2原紙の貼り合わせ段階(S30)で天然接着剤によって仮接着された第1原紙110及び第2原紙120の第1スリット131及び第2スリット133が、高温金型によって着座部130を成形する過程で互いにずれた位置で展開されて着座部130の内周面及び底面を形成し、座板ボディー100の外周に沿っては縁部140を成形する。
【0042】
前記紙座板成形段階(S40)で前記温度範囲を外れる場合には、第1スリット131及び第2スリット133が展開過程で破綻されるか、貼り合わせられた状態が保持されなることがある。
【0043】
前記紙座板硬化段階(S50)は、前記紙座板成形段階(S40)で成形された座板を常温で乾燥及び硬化させて一体化する段階である。
【0044】
前記紙座板硬化段階(S50)では、高温ヒーティングプレスによって成形された座板を乾燥及び硬化させ、第1原紙110及び第2原紙120が貼り合わせられた状態で目的の形状を完成する。
【0045】
前記紙座板カッティング段階(S60)は、前記紙座板硬化段階(S50)で一体化した座板をカッティングモールドに入れ、縁部140の外周をカッティングして座板完成品を取り出す段階である。
【0046】
前記紙座板カッティング段階(S60)では、カッティングモールドに、成形された座板を安着させ、カッターを昇降して座板の縁の外周をカッティングして仕上げることで、座板完成品を形成する。
【0047】
前述したような本発明の技術が適用された製品梱包用座板の製造方法によって製造された座板は、第1原紙110及び第2原紙120を貼り合わせて形成する座板ボディー100に着座部130と縁部140を含んでなる。
【0048】
前記座板ボディー100は、第1原紙110及び第2原紙120が上下に複数層重なって一体に貼り合わせられ、中心部には梱包対象製品を安定して載せる複数の着座部130を配置し、外周には縁部140を形成する。本発明の実施例では、上下に2層の原紙を適用しているが、紙の材質及び厚さによって2層以上の原紙を積層して座板ボディー100を形成してもよい。
【0049】
前記座板ボディー100を構成する前記第1原紙110及び第2原紙120は、着座部130の配置区域ごとに第1スリット131及び第2スリット133をエックス(×)形又は放射状に交差する線形(*)の形状にカッティング形成する。第1スリット131及び第2スリット133は、第1原紙110及び第2原紙120を上下に重ねた時に第1スリット131と第2スリット133とが相互ずれて位置するように形成することにより、着座部130の凹入成形時に着座部130の内周面及び底面を形成するように構成する。
【0050】
前記第1スリット131及び第2スリット133のそれぞれの中心点には円形又は放射状多角形状の第1スリット中心ホール132及び第2スリット中心ホール134をカッティングして備え、着座部130の成形時に前記第1スリット131及び第2スリット133の展開過程で拡大されるように構成することにより、着座部130の底面に通気孔が形成されるようにする。
【0051】
前記着座部130は、前記座板ボディー100に複数個を配置し、梱包対象製品の外形に相応する内形を有するように一定深さで凹入成形する。
【0052】
前記着座部130は、前記紙座板成形段階(S40)で凹入成形時に前記第1スリット131及び第2スリット133が放射状に展開しながら第1原紙110及び第2原紙120の上面が交互に着座部130の内周面及び底面を形成するように構成する。
【0053】
以上述べたように、本発明に係る製品梱包用座板の製造方法及びこれによって製造された座板は、既存の製紙された紙を使ってより容易に環境に優しい製品梱包用座板を提供することができる。
【0054】
したがって、本発明は、従来の合成樹脂又は発泡樹脂を使う座板又は卵座の製造技術に比べて、環境汚染誘発及び廃棄物処理に伴う経済的負担を顕著に低減でき、また炭素中立を実現できる効果がある。
【0055】
特に、本発明は、従来のパルプ原料を使う座板又は卵座製造技術とは違い、製造された紙自体を、既存の座板製造に用いられる金型に原紙として適用することで安定した成形性を具現できるので、複雑な製紙工程を省いて生産原価を節減し、より環境に優しい紙原料からなる高品質の梱包用座板を製造できる等の諸効果がある。
【符号の説明】
【0056】
S10:第1原紙裁断段階
S20:第2原紙裁断段階
S30:第1及び2原紙の貼り合わせ段階
S40:紙座板成形段階
S50:紙座板硬化段階
S60:紙座板カッティング段階
100:座板ボディー
110:第1原紙
120:第2原紙
130:着座部
131:第1スリット
132:第1スリット中心ホール
133:第2スリット
134:第2スリット中心ホール
140:縁部