(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-01
(45)【発行日】2025-07-09
(54)【発明の名称】防草施工方法
(51)【国際特許分類】
A01M 21/00 20060101AFI20250702BHJP
【FI】
A01M21/00 Z
(21)【出願番号】P 2024205823
(22)【出願日】2024-11-08
【審査請求日】2024-12-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522422768
【氏名又は名称】有限会社伊藤テクノリサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100174090
【氏名又は名称】和気 光
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 道寛
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-209697(JP,A)
【文献】特開2014-043673(JP,A)
【文献】特開2003-003612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアングル鋼材に所定の加工を行い、形成したフレームとアングル鋼材を背中合わせに接合し、所定の加工をした横桟とで構成される架台(1)と複数の突起部を設けた平瓦(13)とを用い、前記平瓦を位置決めし、嵌合し、挟持し、固定できる機能を具備する前記架台の上に載置し、平瓦と架台とを一体化した遮光構造物を形成する防草施工方法
であって、
前記架台(1)は、2本のフレーム(2)とフレーム(3)の平面部に孔部及び長孔部を複数個設け、左右に対向するように平行に配置し、アングル鋼材を背中合わせに接合し、その垂直面に1個以上の開口部(8a、8b)を設け、その平面部にも孔部を複数個設けた横桟(4)及び横桟(7)を、前記左右のフレームの下部に横桟(4)を、上部に横桟(7)を配置し、さらに、横桟を複数個備え、平瓦の頭部及び尻部に設けた突起部(14、15、16)を横桟に設けた開口部(8a、8b)に合わせて位置決めし、横桟を移動して、平瓦の突起部を嵌合し、挟持した後、フレームと横桟とをボルト締結ができる機能を有し、
前記防草施工方法は、前記平瓦(13)と同じく構成される前記フレームとを用い、前記横桟を備えた架台(1)の上に、下段より上段に向けて遮光構造物を形成する施工方法であって、一列目の施工方法は、左右2本のフレームに設けた長孔部(9)と横桟に設けた下方の孔部(10)を合わせ、締結部材を用いて仮締めし、それぞれの横桟を上方向に止まるまで移動させる第一工程と、1枚目の平瓦(13)の頭部の突起部(14)を横桟(4)の開口部(8b)に合わせて、頭部の端面が前記横桟(4)の垂直部に当たるまで移動させて嵌合し、載置して、次に、載置した平瓦(13)の(1c)側のアンダーラップ部に、2枚目に載置する平瓦(13)の(1d)側のオーバーラップ部を合わせながら、平瓦(13)の頭部の突起部(14)を横桟(4)の開口部(8b)に合わせて嵌合し、頭部の端面が当たるまで移動させて嵌合し、載置して、その後においても同様な方法で防草施工範囲まで順次繰り返し行い載置する第二工程と、次に、横桟(4)の平面に載せた一列目の平瓦を載せたまま横桟(5)を下方に移動させて、平瓦(13)の尻部の突起部(15)及び(16)を前記横桟(5)の開口部(8a)に合わせて嵌合し、平瓦(13)の尻部の端面が横桟(5)の端面に当たるまで移動し、挟持したまま左右2本のフレーム(2)及びフレーム(3)の孔部(12a)と横桟の孔部(12b)と、をそれぞれの締結部材で締付け固定すると共に、先に仮締めした左右の締結部材の増し締めを行い固定する第三工程と、次に二列目以降の施工方法は、一列目と同様な方法で施工範囲まで順次施工を繰り返し行い、架台全域に渡り一体化した平面の遮光構造物を形成する第四工程と、を具備し、
前記遮光構造物が、地面に直接接触するように設置されていることを特徴とする防草施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防草技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の防草技術は、屋根瓦を直接地面に設置して遮光構造物を形成し、防草する施工方法や防草シートを敷く方法等があるが、それぞれに欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特願文献1】
特願2022-173793号公報 (段落番号0010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の防草施工方法は、「防草範囲の地面に直接、遮光できる屋根材の瓦と遮光できる構造部材を用いて、防草効果が高い遮光構造物を形成する施工方法であって・・・」と記載されているが、施工する瓦の一端を直接地面に設置するため、防草範囲の土地の整備が不十分で、地面に凹凸やうねりがある場合には、精度よく遮光構造物を形成することが難しく、また、軟弱な地盤や、傾斜地に施工する場合においても、瓦のずれや沈み込み等の発生が予測され、精度よく遮光構造物を保つことが難しくなる。それが原因で太陽光線が差し込むと、植物が光合成を行い成長するので、長期に渡り雑草を抑えることができず、特許文献1に記載の防草施工方法は、整備が不十分な場所や、軟弱地盤地や、傾斜地等への施工には不都合がある。
【0005】
本発明の目的は、上述した不都合をなくすためになされたものであり、防草施工場所が未整備な土地であったり、軟弱地盤であったり、急傾斜な法面であったとしても、容易に正確に施工することができ、長期に渡り防草効果が高い遮光構造物を形成することができ、植物が光合成をできないような環境にする「平瓦、架台、及びその防草施工方法」を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで、本発明を構成する要素の「平瓦」とは、防草用に遮光性を有する素材で成形され、正方形状の表面が平面であって、瓦の頭部及び尻部には略長方形状の突起部(以下突起部)を設け、瓦の左側面にはオーバーラップ部を設け、右側面にはアンダーラップ部を設け、連続した平面を形成することができ、平瓦の裏面には、断面が略長方形状の輪郭リブ(以下輪郭リブ)とその内輪郭内には、台形状のリブを設け、
図3の4カ所の角部には、前記輪郭リブの一部を切り欠き、所定の段付き部を設けることで、フレームと横桟を固定するボルト締結に干渉しない構造を具備する瓦を防草用平瓦(以下平瓦)と定義する。
【0007】
本発明を構成する要素の「架台」とは、アングル鋼材で形成した2本のフレームの上に横桟と呼ばれる桟に
図9に示す略長方形状の開口部(以下開口部)を設け、突起部を設けた平瓦を載置し、位置決めし、嵌合し、挟持し、固定できる機能を具備する装置を防草用架台(以下架台)と定義する。
【0008】
本発明を構成する要素の「遮光構造物」とは、平瓦を架台上に載置し、構造物を形成することにより、空からの太陽光線の遮断と横方向からの太陽光線が差し込まないようにした構造物を遮光構造物と定義する。
【0009】
その目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、複数のアングル鋼材を用い、加工してフレーム2,フレーム3とし、前記アングル鋼材を背中合わせに溶接接合し加工した横桟4,5,6,7とで形成する架台1の上に、突起物を設けた複数の平瓦13を載置し、位置決めし、嵌合(緩くはまる程度)し、挟持し、固定できる機能により、平瓦と架台とを一体化した遮光構造物を形成することができる防草施工方法である。
【0010】
本発明の内、請求項2に記載の発明の要旨は、請求項1に記載の遮光性を有する平瓦13において、表面111が平面をなす平瓦13の頭部1b及び尻部1aの側面には、位置決め及び瓦の吹き飛び防止用に1個以上の突起部14,15,16を設け、右側面1cには合わせ形状のアンダーラップ部を設け、さらに左側面1dには、合わせ形状のオーバーラップ部を設けて連結可能とし、裏面112には、平瓦13の外周に沿って全周に前記輪郭リブ24を設けて強度を高めると共に、前記輪郭リブの内輪郭内には1個以上の台形状のリブ26を設けてさらに強度を高め、表裏が平行となる面を有し、且つ、平瓦13の1a側及び1b側の頭部及び尻部の角部においては、輪郭リブの一部を切り欠き所定の段付き部17を設け、軽量化及び締結ボルトとの接触を避けることができる逃げ形状を設けることを特徴とする平瓦(13)。
【0011】
本発明の内、請求項3に記載の発明の要旨は、請求項1に記載の架台1は、
図7に示す構成部材を具備し、2本のフレーム2及びフレーム3の平面部に孔部及び長孔部を複数個設け、左右に対向するように平行に配置し、アングル鋼材を背中合わせに接合し、その垂直面に1個以上の開口部を設け、その平面部にも孔部を複数個設けた横桟4,7を、前記左右のフレームの下部に横桟4を、上部に横桟7を配置し、接合して四角のフレームを形成し、さらに、横桟を複数個備えて締結できる構造にし、平瓦の頭部及び尻部に設けた突起部14、15,16を横桟に設けた開口部(8a、8b)に合わせて位置決めし、横桟5,6、7を移動して、平瓦の突起部を嵌合し、挟持した後、ボルト締結ができる機能を具備することを特徴とする架台1である。
【0012】
本発明の内、請求項4に記載の発明の要旨は、請求項1に記載の施工方法において、構成される平瓦13を用いて、同じく構成される請求項3に記載の架台1の上に、下段より上段に向けて遮光構造物を形成する施工方法であって、一列目の施工方法は、
図11の1)によれば、左右2本のフレーム2及びフレーム3に設けた長孔9と横桟に設けた下方の孔部10を合わせ、ボルト、ワッシャ、ナットを用いて仮締めし、それぞれの横桟を上方向に止まるまで移動させ、平瓦13が載置できるまで拡げる第一工程と、
図11の2)によれば、載置した1枚目の平瓦13の頭部の突起部14を横桟4の開口部8bに合わせて嵌合し、頭部の端面が前記横桟4の垂直部に当たるまで移動させ、次に、載置した平瓦13の1c側のアンダーラップ部と2枚目に載置する平瓦13の1d側のオーバーラップ部を合わせながら、平瓦13の頭部の前記突起部14を横桟4の前記開口部8bに合わせて嵌合し、頭部の端面が当たるまで移動させて載置し、その後においても同様な方法で防草施工範囲まで順次繰り返し行い、載置する第二工程と、次に、
図11の3)及び
図11の4)によれば、横桟5の平面に載せた一列目の平瓦を前記横桟5に載せたまま、下方に移動させて、平瓦13の尻部の突起部15,16を前記横桟5の開口部8aに合わせて嵌合し、平瓦13の尻部の端面が横桟5の端面に当たるまで移動し、挟持したまま左右2本のフレーム2及びフレーム3の孔部12aと横桟の孔部12bとを、それぞれのボルト、ナットで締付け固定すると共に、先に仮締めした左右のボルト、ナットの増し締めを行い固定する第三工程と、次に二列目以降の施工方法は、一列目と同様な方法で施工範囲まで順次施工を行い、架台全域に渡り一体化した平面の遮光構造物を形成する第四工程と、を具備し施工する防草施工方法である。
【0013】
本発明は、以上で説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の防草施工方法によれば、アングル鋼材を加工し形成した架台を用い、複数の突起部を設けた平瓦を横桟の開口部に位置決めし、嵌合し、挟持し、固定する機能を有する前記架台の上に、一体化した遮光構造物を形成することができるので、
図1、
図13の1)及び
図19の1)のような架台の下では植物が光合成を行うことができず、雑草の育成を抑制する防草効果を発揮することができる。
【0015】
請求項2に記載の遮光性を有する平瓦は、
図11の4)によれば、表面が平面で側面には1個以上の突起部が設けられているので、横桟及びフレームに設けた開口部に合わせて嵌めることにより、瓦が架台から外れない効果を奏する。また、
図2、
図3によれば、左側面にはオーバーラップ部を備え、右側面にはアンダーラップ部を備えているので、隣接する平瓦どうしを連結することができ、広範囲に渡り平面の遮光構造物を形成することができる。また、ラップの合わさり部分は、
図12のE-E断面図によれば、重なり幅Lが5mm~10mm程度でも太陽光を防ぐことができるので、平面を大きく取れると共に強度面でも有効である。一方、
図3によれば、裏面には、外周に沿って全周に輪郭リブを設け、そのリブの内輪郭内に1個以上の台形状のリブを設けてあるので、瓦本体の強度を高めることができる上、瓦本体の軽量化を図ることができる。さらに、平瓦の頭部および尻部の4箇所の角部においては、前記輪郭リブの一部を切り取り、段付き部を設け、締結部材の逃がし形状にしているので、
図12のF-F断面図により、横桟とフレームとの締結の妨げにならない。また、
図5のA-A断面図によれば平瓦の表裏が平行な面を有するので、平瓦を架台に載置してもガタツキがない一体化した遮光構造物を形成することができる。このようなことから、この防草用平瓦と防草用架台と、を用いる場合、相互に必要な特徴や作用を発揮することができる。その結果、架台下の植物は光合成ができず、雑草が生えにくい環境となり、防草効果を発揮することができる。
【0016】
請求項3に記載の架台によれば、アングル鋼材で形成される高剛性の架台を用いることにより、請求項2に記載の平瓦を載置し、位置決めし、嵌合し、挟持し、架台上に固定することができる機能を備えており、本発明の「平瓦、架台、及びその防草施工方法」の基部である
図11に示す手順を踏めば、平瓦と架台とを一体化した平面の遮光構造物を架台一面に形成することができので、架台下は光が届かず植物の光合成が抑制されることにより、高い防草効果を奏する。
【0017】
さらに、遮光構造物は、架台上に設置されており、直接地面に接していないので、空気や水が滞留することがなく、通気性があるので雑菌の繁殖などが発生しにくく、土壌環境に悪影響を与えない等の効果を奏する。
【0018】
また、好ましくは、高剛性の四角のフレームを設置予定の施工面に、
図13の3)のf)や
図22のi)のような、アンカーボルト998を埋め込み固定しておけば、
図1の架台にあけた孔部999を利用して固定すれば、例え「防草施工場所が未整備な土地や、軟弱な地盤や、急傾斜の法面」であったとしても、防草効果が高い遮光構造物を容易に正確に施工することができる。
【0019】
請求項4に記載の防草施工方法によれば、遮光性を有する平瓦13を用い、平瓦を載置し、位置決めし、嵌合し、挟持し、架台上に固定することができる架台1の上に、
図1及び
図11に示すように、対向した横桟の開口部に平瓦に設けた突起部をはめ込み、横桟を移動させてフレームと横桟とを
図12のF-F断面図に示すボルト及びナットで締め付ける方法を実行すれば、経験がなくとも容易に正確に素早く施工することができる。
【0020】
また、
図12のE-E断面図のように、載置した平瓦13の1c側のアンダーラップ部と2枚目に載置する平瓦13の1d側のオーバーラップ部を合わせることで、順次同様な方法で施工することより、連続した平面の遮光構造物を架台全域にわたり形成することができるので、架台下の植物が光合成をすることができず、雑草が生えにくい環境となり、防草効果を発揮することができる。
【0021】
本発明の係る防草施工方法は、上記の如く優れた効果を奏するものであるので、本発明の目的の防草施工場所が未整備な土地であっても、軟弱地盤であっても、急傾斜の法面であっても、容易に正確に施工することができ、且つ、長期にわたり防草効果が高い遮光構造物を形成することができるので、本発明の「平瓦、架台及びその防草施工方法を提供する」目的を達成することができる。このようなことから、本発明を雑草の成長を抑制したい土地に行う施工方法として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】は、実施形態1の遮光構造物の組立過程の表側から見た斜視図である。
【
図2】は、遮光構造物を構成する平瓦の斜視図である。
【
図5】は、
図4のA-A断面図、B-B断面図である。
【
図11】は、横桟の移動・載置・嵌合・挟持・固定を示す手順1)、2)、3)、4)の変位断面図ある。
【
図12】は、
図1のE-E、F-F、G-G、H-Hの断面図である。
【
図13】は、実施形態1の傾斜地Iの斜視図である。1)法面、2)増設ユニット架台の平面図、3)接合部のf)の変位矢視図である。
【
図14】は、実施形態2の傾斜地Jの1)架台40の斜視図である。2)X矢視図 3)Y矢視図、4)Z矢視図である。
【
図15】は、
図13の斜面Jに設置の架台40の平面図である。1)平面図、2)部分拡大図(ア)、部分拡大図(イ)、3)部分拡大図(ウ)4)
図15のN-N断面図である。
【
図16】は、
図13の斜面Kの架台50を形成する部材の模式図である。1)模式図、2)矢視
図0、矢視
図P,矢視
図Qである。
【
図17】は、1)架台50の平面図、2)部分拡大図(エ)、(オ)3)O-O断面図、断面図(カ)である。
【
図19】は、実施形態3の傾斜地Lの1)法面の斜視図、2)ユニット架台の平面図 3)g矢視の変位矢視図である。
【
図22】は、図面19のi矢視図(部分拡大)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照しつつ、本発明の最も好ましい実施形態について詳述する。尚、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
図1は、本発明を構成する全体斜視図、
図2~
図6は、平瓦に関する図面で、
図7~
図10は、架台に関する図面で、
図11~
図12は平瓦と架台との関係を示す図面で、
図13、
図19は、実施形態に係る傾斜面に施工する事例で、
図14~
図17は、傾斜面における架台に関する図面で、
図18は、傾斜部に用いるカット瓦の事例で、
図20~
図22は、特殊事例に関する図面である。
【0024】
(1)平瓦
平瓦において、
図1は遮光構造物の組立過程を表側から見た全体斜視図、
図2は、遮光構造物を構成する平瓦13の斜視図、
図3は、平瓦13の裏面112の斜視図、
図4は、平瓦13の平面図、
図5は、
図4のA-A、B-B断面図、
図6は、
図4の(a)(b)(c)(d)の矢視図を示す。本発明に係る
図2の平瓦13は、太陽光線を受ける平面(露出面)111が正方形状をなしていると共に平面を有し、頭部1b側には突起部14を設け、尻部1a側には、突起部15及び16が設けられている。この突起部は、平瓦13が強風等で吹き飛ばされたり、急斜面でも剥がれたりしないように設けたもので、架台1を構成する
図7及び
図9の横桟に設けた開口部(8a、8b)に、
図11の3)及び4)に示す前記突起部を嵌合し、挟持し、固定して物理的に動かないような構造を具備したものである。この突起部の高さは、強度や成形性からみても横桟を形成するアングル鋼材の厚さt(mm)×2未満にすることが好ましい。
【0025】
そして、
図6に示すように、平瓦13の側面1d側には、合わせ形状のオーバーラップ部21,22,23を設け、さらに側面1c側には、合わせ形状のアンダーラップ部18,19,20が設けられているので、
図12のE-E断面図に示すように、隣接する平瓦どうしを連結できるようになっている。また、そのラップ幅L(合わさり部分)は、太陽光線が架台下まで届かなければ良いので、少なくとも5mm~10mm程度でも太陽光線を防ぐことができる。そのため、平面の働き(遮光)面積を大きくすることができると共に、強度面でも高くすることができる。
【0026】
次に、
図3は、平瓦13の裏面112の斜視図である。裏面112には、平瓦13の外周に沿って全周に輪郭リブ24を設け、そのリブの内輪郭内には、
図4のB-B断面図に示すように、3個の台形状のリブ26を設けてあり、瓦本体の強度を保持したまま瓦本体の軽量化を図ることができる。さらに、平瓦13の4箇所の角部においては、前記輪郭リブ24の一部を切り取り所定量の段付き部17を設けることで、さらなる軽量化と粘土の節約を図ることができる。そしてこの段差は、
図12のF-F断面図より、架台と横桟を締結するボルトが架台に載置した平瓦に干渉しない構造にすることにより、架台と載置した平瓦とを一体化することができる。
【0027】
図4、
図5,
図6に示す平瓦13は、遮光性を有する平瓦であって、表面111が平面なる平瓦13の頭部側1bには1個の突起部14と尻部側1aの側面には二個の突起部15と突起部16とが設けられているので、横桟に設けられた開口部(8a、8b)に合わせて嵌合し、挟持し、架台に固定することより、
図11の断面
図4)及び
図12のH-H断面図は、平瓦の突起部と横桟に設けた開口部との嵌合状態を示す基部の図である。これにより、平瓦13が架台から物理的に外れない構造をなしているので、平瓦がズレたり、ガタツイたり、吹き飛ばされたりしない効果を奏する。
【0028】
図4は、平瓦13の平面図である。本実施例に用いる平瓦13の大きさは、既存の平瓦F形瓦と同等に設定したもので、縦寸法は35cmで横寸法は34.5cmである。そのうち、ラップ幅が1cmとしても、働き面積(遮光)は、35×33.5≒0.117m
2である。よって、3.3m
2には3.3÷0.117≒28枚が必要である。ちなみに、既存のF形瓦の場合は、働き長さが35cm→28cm、働き幅が34.5→30.5cmであり、働き面積は28×30.5≒0.085m
2で、3.3m
2には3.3÷0.085≒39枚必要となる。よって、本発明の防草用平瓦は、同じ施工枚数でも、従来の平瓦と比べて1.39倍の平面を有する遮光構造物にすることができる。但し、本実施形態に限らず、目的、用途に応じて本発明の範囲で材質、形状、大きさ、厚さ等は適宜選択し変更できる。
【0029】
また、架台1において、
図1の斜視図、
図8の平面図と
図10の断面図に示すように、横桟と横桟の中心部に平鋼材11をねじ止め又は、溶接接合することが好ましく、架台の剛性を高くする効果と平瓦の設置面積を広くすることで、遮光構造物の施工時やメンテナンス時に構造物に踏み入れても破壊しにくく、踏み割れ防止に効果的である。
【0030】
尚、
図13のJ面及びK面の傾斜面の施工には、斜め形状の平瓦が必要となるが、平瓦の裏面には、台形上のリブ26を備えており、
図5のB-B断面図に示すように、どのような角度で切断しても平瓦の表裏が平行であるため、架台に載置してもガタツキがない構造物を形成することができる。
図18の1)は、
図13の傾斜面Jと傾斜面Kに施工する架台上に載置する瓦のカット角度を示し、それぞれの架台に合わせてカットしてはめ込み、隙間のない構造物を形成することができる。ここで好ましくは、カット瓦の全周と底面に粘着性の接着剤を塗りはめ込むことで、剥がれることがない遮光構造物を形成することができる。さらに好ましくは、
図17の(カ)に示すようにL型アングル等をねじ止めし、物理的に飛ばされないようにしても構わない。
【0031】
本実施例に用いる平瓦13の素材は遮光性がある素材で形状の成形性が良く、強度を有し耐候性がある粘土材料であることが好ましく、コンクリート材料、合成樹脂材料、あるいはガラス素材等を用いても構わない。また、当該瓦の大きさ、厚さ、形状は用途に応じて変更しても本発明の効果を著しく損なわない限度において、実施形態の一部を変更して実施することができる。
【0032】
また、平瓦13は、
図4及び
図5のA-A断面に示すように、正方形状で表裏が平行であることから、複数の平瓦をコンパクトに梱包することができるとともに、積載しやすく、輸送時の割れや欠けを防止するという効果を発揮する。
【0033】
(2)架台
図7は、架台を構成する部材の模式図、
図8は、架台1の平面図、
図9は、
図8のe矢視図、
図10は、
図8のC-C断面図、
図11は、平瓦を載置する際の横桟の移動・平瓦の載置・嵌合・挟持・固定を示す手順1)、2)、3)、4)の変位断面図、
図12は、
図1のE-E、F-F、G-G、H-Hの断面図を示す。架台1を形成するには、
図7の部材の中のアングル鋼材2,3と平瓦を載置できる横桟4,5,6,7を準備して、2本のアングル鋼材2、3の平面部の所定の位置に、孔部12a及び長孔部9を複数個設け、左右に対向するように平行に配置する。次に、アングル鋼材を背中合わせに接合し、その垂直面に複数個の開口部8a、8bを設け、その平面部にも孔部10,12bを複数個設けた横桟4及び横桟7を、前記左右のアングル鋼材の下部に横桟4を、上部には横桟7を配置し、ボルト・ナットで締結して
図8のような四角のフレームを形成した上、横桟5,6を備えて架台1を形成する。
【0033】
アングル鋼材で形成された高剛性の架台を用いることにより、複数の平瓦を載置することができると共に、必要に応じて架台を増設することで広大な遮光構造物を形成することができる。これについては、実施形態1~3で説明する。
【0034】
そして、この架台で特徴的なのは、
図11において、平瓦13の頭部1b及び尻部1aに設けた前記突起部14及び15,16を横桟に設けた
図9の(e)に示す前記開口部8a、8bに合わせて位置決めし、横桟を移動して平瓦の前記突起部を嵌合し、挟持した後、ボルト・ナットで締結できる機能を有する構造を具備していることである。
【0035】
この架台の機能及び手順については、
図11における断面図から説明する。
図11の1)の工程は、フレームを形成しているフレーム2,3と横桟4及び横桟7の孔部999に、埋設したアンカーボルトを通し、ナットで締め付け固定し、次に、横桟5を載置して横桟5の左右に設けた孔部10とフレームの長孔部9とを合わせ、ボルト、ナット及びワッシャを用いて緩めに仮締めする工程である。
【0036】
図11の2)の工程は、フレーム2及び3に仮締めした横桟5を左(上部)方向に長孔の左端にボルトが引っ掛かり止まるまで移動させて、
図1の平瓦Aを載置できる幅にし、横桟4の平面部と横桟5の平面部に平瓦Aを載置する工程である。平瓦には、
図2、
図3に示すボルトまたはナットの逃がし形状17があるので、干渉することなく載置することができる。
【0037】
図11の3)の工程は、平瓦Aを右(下部)方向に移動させて突起部14を横桟4の開口部8bにはめ込み嵌合し、平瓦の端面1bが当たるまで移動させ、続けて一列目の平瓦B・・・施工範囲の平瓦Cまでを同様に平瓦の端面1bが当たるまで移動させ、載置する工程である。
【0038】
図11の4)の工程は、横桟5を平瓦の尻部を乗せたまま、右方向に移動させて横桟5の開口部8aに平瓦の突起部15,16をはめ込み、位置決めと嵌合(緩く動く程度)したまま、右方向に横桟5が動かなくなるまで移動させ、押えたまま締め付けボルト・ナットで横桟5の両端面に設けた12bとフレーム12aとの穴部を合わせて締め付け固定する。続けて、
図11の1)の工程で仮締めしたボルト・ナットを増し締めし、確実に固定して一列目の施工を完了する。
【0039】
二列目以降についても、
図11の1)~4)の工程を同様な方法で繰り返し行うことで、架台全域に一体化した平面の遮光構造物を形成することができる。以上のように、本発明の防草施工方法は、架台の決められた位置に設けた開口部に平瓦の突起部を嵌めていく方法なので、経験がなくても容易に正確に組み立てることができる。
【0040】
また、この頑強な架台を用いることによって、設置場所が未整備な土地や、多少凹凸がある土地や、軟弱な地盤や急傾斜の法面でも、架台を固定する設置個所に、
図11の1)や
図13の3)に示すようにアンカーボルト等で確実に設置できる準備をしておけば、安全に施工することができる上、急斜面での危険な草刈りから解放されるなどの安全面からも有効である。
【0041】
尚、架台に使用する鋼材は、防錆処理を施したアングル鋼材が好ましく、より好ましいのは、孔部や長孔部や長方形状の開口部の加工後に防錆剤を塗布し、架台に錆が発生しないようにして、長期に渡り性能を維持することがより好ましい。
【0042】
(3)防草施工方法
本実施例での防草施工方法は、様々な実施形態があるので、代表的な実施形態を以下に具体的に説明する。
【0043】
実施形態1:太陽光発電等の平面地に施工する場合
施工手順は、必要個数の平瓦13とフレームと横桟を備えた架台を準備して、防草する範囲の整地を行い、架台を設置する箇所を決め、小規模の施工には、施工範囲の四隅に
図11の1)に示すように、コンクリートブロックを埋め、アンカーボルト998を入れてセメント等で固めてから施工することが好ましく、具体的には、図面7のフレーム2,3と横桟4及び横桟7の999部の4箇所の孔部に、
図11の1)図面のように、アンカーボルト998を通し、ワッシャ72を入れてナット71で固定することで施工を始めることが好ましい。
【0045】
この実施形態における太陽光発電等の平地への防草施工は、
図13の2)のユニット架台(横方向への拡張)と
図19の2)ユニット架台(縦方向への拡張)方法を利用して連結し、平瓦を組み込み構造物としてユニット化することで、効率よく施工することができ、且つ工事期間の短縮となりコスト的にも安価にできるので好ましい。
【0046】
前記架台への平瓦の載置方法は、本明細書の段落0012で説明した防草施工方法を実施することで、架台一面に架台と平瓦を一体化した遮光構造物を形成することができる。その一体化した遮光構造物を1ユニットとし、このユニットを
図13の2)及び
図19の2)に示すように、縦方向及び横方向に連結して所定の大きさまで拡張し、広大な面積を持つ遮光構造物を形成する。そうすることにより、広範囲に渡り防草効果を発揮することになる。また、平瓦と架台に関しては、「発明を実施するための形態」の(1)及び(2)で述べたものと同じであるので、詳細説明を省く。
【0047】
実施形態2:法面等の傾斜地に施工する場合
図13の1)に示す斜面Iの傾斜地への施工は、高剛性の四角のフレームを準備し、設置する傾斜地に対し、事前にアンカーボルトの位置を決め、打設しアンカーボルトを固定する。好ましくは、
図13の3)のようにしても良いし、又は、コンクリートの基礎工事部分64に打ち込み式のアンカーボルトに取り付けてもよい。
【0048】
この斜面Iに施工する架台30は、本発明の架台に
図13の2)のように架台を増設し、
図13の3)に示す接合方法で繋ぎ合わせたものを用いるか、又は溶接接合をしても構わない。架台を設置後の施工方法は、「解決するための手段」の段落0012と同じなので省略するが、同様の施工を行うことより、傾斜面に沿った遮光構造物を形成することができる。
【0049】
また、
図13の1)の傾斜Jに施工する場合は、架台を設置する位置を決め、アンカーボルトを埋設しておき、好ましくは、工場等で架台を製作し、平瓦及び斜めに加工したカット瓦を架台にはめ込み確認した上で分解し、現地で再び組み付けることにより、精度よく確実に遮光構造物を形成することができる。これは、傾斜地での作業は危険が伴う上、不具合等の対応が直ぐにできないためで、事前準備後に実施する方が効果的である。
【0050】
ここで、
図13の1)の斜面Jの架台の製作は、施工地の測量を行い、水平面を基準としてフレーム及び横桟の設計を行い図面化する。例えば、斜面Jの架台40は、
図18の2)に示すようにフレーム41を水平にし、フレーム42との交点を基準点として、その交わり角度をθとすると、フレーム43との交わり角度は90-θで表せる。そして、フレーム及び横桟の締め付け孔部、長孔部及び開口部についても図面化し、図面に基づき加工を行う。
図14の1)に示すフレーム42,43の上に取り付けるフレーム41と横桟44,45,46の加工については、
図18の2)に示すように、フレーム41と交わる角度がθなので、図面に基づき横桟44,45,46の右端面は、切断角度θでカットを行い、また、フレーム43とフレーム41との交わる角度は、90-θとなるので横桟44,45,46の左端面の切断角度は90-θでカットを行う。
【0051】
そして、本発明の架台の特徴である平瓦に設けた突起物を嵌合し、挟持し、固定する機能を、この傾斜面に用いる架台にも適用する。但し、フレームと横桟の交わり角度が90度未満である場合は、図面15の(ア)(イ)に示すように横桟46の右端面を切断して上部方向に移動できるようにし、端面が当たるまで横桟を上部方向に持ち上げることより、瓦の突起部を横桟の開口部に嵌合することができる。その持ち上げに必要な長さは、
図11の1)~4)に示すように、アングル鋼材の厚さ=t×2mm以上で突起部を嵌合することができる。よって、持ち上げる距離をL2とすると、2×t≦L2=L1/cosθで求めることができるので、横桟を切断角度θでカットした面からさらにL1≧2×t×cosθmm切断すれば、横桟を上部に移動して平瓦の突起部を横桟の開口部に嵌合することができる。また、横桟の左端面は、
図15の3)より、横桟を上部に持ち上げてもフレーム43に干渉しないので、机上の計算で求めた締め付け位置に孔部を設けてもよいが、好ましくはフレーム43には長孔加工をして調整代を設ける方がよい。
【0052】
図13の傾斜面Jへの施工には、
図14の架台40を用いる。前記架台40は、フレーム41,42、43と横桟44,45,46で構成するが、各フレームの平面には、
図18の2)に示す斜線部のカット瓦を用いるが、これを載置する際にカット瓦のガタツキをなくすために、
図14の2)~4)の各矢視図に示す当て板58(斜線部)を取り付け、ねじ止め又は、溶接接合をして横桟の平面と同じ高さにする。好ましくは、
図14の1)の図中には示していないが、
図8に示す当て板11を横桟と横桟の間に設けるとさらに良い。同様に、フレーム42とフレーム43の交点部には
図15の4)のN-N断面図に示すように、両フレームの上下に当て板58をねじ止め又は溶接で接合してもよい。
【0053】
架台を構成するフレーム42には、横桟を締め付ける穴部と長孔部を設ける必要があり、
図15の2)の(ア)と(イ)に示すように、締め付け孔部48aと長孔部47aを設け、横桟44,45,46には締め付け孔48b,47bを設ける。また、
図15の3)に示すように、43のフレームには、孔部48aとフレーム41と直角(上下)方向に長孔47aを設け、所定の位置からL2mm横桟が動く範囲に長孔を設ければよく、横桟にはフレームと接合する孔47b及び48bを所定の位置に設け、ボルト接合を行う。
【0054】
次に、横桟の左端面は、フレーム43に交わる角度(90-θ)で長さを考慮して切断する。持ち上げても横桟がフレームに当たらないので、フレームには、48a,47aの締め付け孔と横桟には、48b,47bを所定の位置に設ければよいが、好ましくは、
図15の3)の(ウ)のように調整代を加味し、長孔を設けても構わない。フレーム上に横桟を備えた後、実際にフレームと横桟とを組み立て架台を完成させる。
【0055】
次に、施工のために必要数の平瓦13と
図18の2)に示すカット瓦(斜線部)用の瓦を準備し、まず平瓦から架台30にはめ込み、空いている場所(カット瓦をはめ込むことができる)の寸法測定を行い図面化し、架台に合わせて切断してカット瓦を作製する。次に、突起部がないカット瓦を後回しにして、架台の下部から
図11の手順のごとく組み立てる。但し、最上段の組み付けは、フレーム41の締め付けボルトを緩め、平瓦の突起部をはめ込んでから再度締め付けを行う方が好ましい。
【0056】
次に、突起部がないカット瓦を架台にはめ込む場合には、前記瓦の裏面及び外周面に粘着性の接着剤を塗り、はめ込むことで固定する。好ましくは、
図15の4)のN-NN断面図のごとく、フレーム42及び43にアングル材を取り付け、ねじ止めをして瓦が剥離しない(飛ばない)ように固定するとさらによい。
【0057】
図13の斜面Kへの施工については、施工地の測量を行い、
図17の1)の架台50を製作する。
図18の3)に示すように、水平面(底面)のフレーム53を基準として、フレーム52との交点を基準点として図面化する。また、フレーム51とフレーム53の交わり角度をθ1とすると、フレーム53と横桟54~57の右端面を切断角度θ1で加工を行う。図面17の(エ)(オ)に示すように、フレームの持ち上げに必要な長さは、アングル鋼材の厚さ=t×2mm以上で、突起部を嵌合することができるので、持ち上げる距離をL4とし、角度θ1の端面からの切断長さをL3とすると、2×t≦L4=L3/cosθで求めることができるので、横桟を切断角度θ1でカットした面からさらにL3≧2×t×cosθmm切断すれば、横桟を上部に移動して平瓦の突起部を横桟の開口部に嵌合することができる。
【0058】
図13のKの傾斜面に施工する場合は、傾斜の底辺に沿った
図18の3)に示すフレーム53を基準として、フレーム51,52を用いて架台50を形成する。この架台製作については、
図13の傾斜I面,傾斜J面に制作した架台と同様に、構成部材として
図16及び
図17に示すように加工する。架台製作手順は、
図17の1)に示すフレーム52とフレーム53を直角にして、フレーム51とフレーム53を角度θ1に合わせ、
図17の1)のO-O断面に示す当て板58に固定し、各締め付け孔部にボルト・ワッシャ・ナットで接合する。また、横桟54,55,56の右端面を、架台40と同様に横桟を持ち上げ瓦を載置するため、フレーム53と垂直に方向に長孔部を設ける。
図17の2)に示すように、角度θ1で切断する。よって、持ち上げる距離をL4とし切断長さをL3とすると、2×t≦L4=L3/cosθ1で求めることができるので、横桟を切断角度θ1でカットした面からさらにL3≧2×t×cosθ1mm切断すれば、横桟を上部に移動して平瓦の突起部を横桟の開口部に嵌合することができる。
【0059】
尚、前記架台40と同様であるが、カット瓦で突起部を含むことができない部位は、
図18の平瓦の裏の任意の角度であっても、切断線と輪郭リブと台形状のリブの関係より、平瓦の表面と前記リブの裏面が平行となるので、架台上に粘着力のある接着剤を用い、架台から外れないように貼り付け固定してもよい。好ましくは、
図17の3)の(カ)のごとく、架台を形成するフレームと横桟にアングル鋼材を取り付け瓦が飛ばないように固定しても構わない。
図13のような、傾斜面における瓦の斜めカットが必要である場合でも、平瓦の表裏は平行な平面であるので、どのような部位であってもフレーム及び横桟上でガタつくことなく載置することができる。
【0060】
実施形態3:公共交通機関(道路、鉄道)の法面
図19の1)に示す場所への施工において、
図13の2)や
図19の2)のように必要に応じて架台を増設することで広大な遮光構造物を形成することができる。これについては、実施形態2と同様の方法であるため省略するが、別途、次のような施工方法も考えられるので説明を行う。傾斜地で広大な面積への施工は、トラックの荷台に乗る範囲の架台を工場等で製作し、平瓦を組み込み構造物としてユニット化することが好ましく、現地で重機にて設置作業をすることで、安全で正確に施工することができ、大幅な時間短縮が図れると共に、コストダウンが図れるので、大規模な防草施工工事に相応しい。
【0061】
一方、傾斜面に施工した大規模の遮光構造物は、表面が平らで架台上に構築した一体化した遮光構造物であるため、設置については、事前に施工箇所にコンクリートで基礎工事を行い、JIS制定された建設用のアンカーボルトを用い、埋設しておくことが好ましい。また、急勾配で高さがある施工場所では、大雨時に一気に雨水が瓦の表面を流れ、危険になることを防ぐ手段として、
図20、21、22に示す横桟の一方に不等辺アングル66を用い、等辺アングル65とを溶接接合し、平瓦より上部に穴部61を設け、雨水を徐々に通過させると共に、施工時の足の踏み場とし、安全に施工ができるようにしてもよい。さらに、
図22に示すように、ユニットとユニットの継ぎ目に側溝62となるような溝をつけることにより雨水を排出してもよい。また、傾斜部に設けた広大な遮光構造物を施工することにより、降雨による地盤のゆるみを少なくすることができるので、法面の崩れ防止にも効果的である。
【0062】
本発明を実施する場合には、前記実施形態に示すものに限らず、目的、用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。材質、形状、大きさ、個数、材質等は用途に合わせて適宜選択できる。以上のように、実施形態1、実施形態2及び実施形態3は、平瓦及び架台の特徴を生かした防草施工方法であり、どのような土地であっても、どのような傾斜地であっても容易に遮光構造物を形成できるので、植物が光合成を行えないような環境となり確実に防草効果が発揮できる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の「平瓦、架台、及びその防草施工方法」は、公共機関の道路、鉄道、工場、住居周りの法面等の傾斜地や遊休地、未耕作地、道路拡幅用地、大規模太陽光発電施設(メガソーラー)敷地内の雑草や防塵・砂埃等の長期間の対策に利用することができ、エクステリア、土木、建築等の業界や、また防草を兼ねた宣伝用の看板として利用できる広告業界やこの施工を生業とする個人・中小企業等の業者に好影響を与える。特に、近年の粘土瓦の出荷量は、昭和48年度のピーク時の約10%程度で、今なお衰退傾向にあり、本発明の平瓦は、粘土材料を防草用途に活用できるように発明したものであるので、粘土瓦業界やコンクリート瓦業界の活性化に大きく貢献するものと思われる。
【符号の説明】
【0064】
1:架台
2、3:フレーム
4、5、6、7:横桟
8a:尻部開口部
8b:頭部開口部
9:長孔
10:締め付け孔
11:当て板(平鋼)
12a:締め付け孔
12b:締め付け孔
13:平瓦本体
14:頭部側突起部
15、16:尻部側突起部
17:角部段差部
18:アンダーラップ部上部端面
19:アンダーラップ部傾斜部
20:アンダーラップ部下部端面
21:オーバーラップ部下部端面
22:オーバーラップ部斜面部
23:オーバーラップ部上部端面
24:輪郭リブ
25:輪郭リブ底面
26:台形リブ
27:ボルト
28:ワッシャ
29:ナット
30:連結架台
31、33:連結フレーム
32、34:フレーム
35、36、37:連結横桟
40:架台
41、42、43:フレーム
44、45,46:横桟
47a:締め付け孔
47b:締め付け孔
48a:締め付け孔
48b:締め付け孔
49:カット瓦
50:架台
51:フレーム
52:フレーム
53、54、55、56、57:横桟
58:あて板
60:横桟取り付け部
61:雨水逃がし孔
62:雨水逃がし側溝
63:取り付けプレート
64:基礎工事部
65:等辺アングル
66:不等辺アングル
67:追加形状
70:ボルト
71:ナット
72:ワッシャ
111:表面
112:裏底面
995:L型アングル鋼
996:止めねじ
997:コンクリートブロック+セメント
998:アンカーボルト
999:アンカーボルト用孔
【要約】
【課題】整備が不十分で、施工地に凹凸やうねりのある土地や、軟弱地盤や急な勾配がある法面であっても、容易に正確に施工することができ、長期に渡り防草効果が高い遮光構造物を形成することができる「平瓦、架台及びその防草施工方法」を提供する。
【解決手段】遮光できる平瓦とアングル鋼材で形成したフレームの上に横桟と呼ばれる桟に略長方形状の開口部を設けた架台を用いて、前記平瓦に設けた突起部を合わせて嵌合し、挟持し、固定できる機能を有する前記架台の上に載置し、フレームと横桟とを締結することで、平瓦と架台とを一体化した遮光構造物を形成し、植物が光合成をすることができない環境にする。
【選択図】
図1