(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-01
(45)【発行日】2025-07-09
(54)【発明の名称】敷設補助具、及びケーブル敷設方法
(51)【国際特許分類】
H02G 1/06 20060101AFI20250702BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20250702BHJP
【FI】
H02G1/06
H02G3/04 056
(21)【出願番号】P 2025039269
(22)【出願日】2025-03-12
【審査請求日】2025-04-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519443505
【氏名又は名称】株式会社LEAP
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴村 英準
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-180302(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0492811(KR,Y1)
【文献】特開2011-244579(JP,A)
【文献】登録実用新案第3181819(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/06
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導線路上にケーブルを敷設する作業を支援する敷設補助具であって、
前記敷設補助具は、前記導線路に固定される固定部1と、前記ケーブルを誘導する為の誘導装置に連結される連結部2を備え
、
前記導線路は、所定の厚さを有する線路側面を備え、
前記固定部1は、前記導線路に固定する為に、前記導線路の曲折外部において、前記線路側面の外側から当接し、前記線路側面と略同一の厚さを有する第1固定面11と、前記第1固定面11と直交する第2固定面12を有し、
前記第2固定面12は、貫通孔13を有し、
前記貫通孔13は、前記誘導装置を定位置に固定する為に、前記第1固定面11、及び前記連結部2により前記導線路の曲折外部を挟み込む位置に穿孔される
敷設補助具。
【請求項2】
導線路上にケーブルを敷設する作業を支援する敷設補助具であって、
前記敷設補助具は、前記導線路に固定される固定部1と、前記ケーブルを誘導する為の誘導装置に連結される連結部2を備え
、
前記導線路は、所定の厚さを有する線路側面を備え、
前記固定部1は、前記導線路に固定する為に、前記導線路の曲折外部において、前記線路側面の外側から当接し、前記線路側面と略同一の厚さを有する第1固定面11と、前記第1固定面11と直交する第2固定面12を有し、
前記第2固定面12は前記連結部2を挿通させる為の貫通孔13を有し、
前記貫通孔13は、前記ケーブルを曲げる際に加わる力を前記線路側面で受け止める為に、前記第1固定面11及び前記連結部2により前記導線路の曲折外部を挟み込む位置に穿孔される
敷設補助具。
【請求項3】
前記連結部2は、前記貫通孔13を介して着脱可能に構成される
請求項
1又は2に記載の敷設補助具。
【請求項4】
前記貫通孔13は、前記第1固定面11と前記線路側面を当接させた時に、前記線路側面と前記貫通孔13を介して挿通された前記連結部2との間に、前記ケーブルを曲げる際に加わる力を前記連結部2に伝搬させる為の連結媒体を巻通可能な所定の間隙ができる位置に穿孔される
請求項
1に記載の敷設補助具。
【請求項5】
前記貫通孔13は、前記ケーブルを曲げる際に加わる力を等分する為に、前記導線路の曲折部において敷設される前記ケーブルの曲率中心と、前記曲折部の中心点とを結ぶ直線上に穿孔される
請求項
1に記載の敷設補助具。
【請求項6】
前記敷設補助具は、締結部22、第1締結補助具23、及び第2締結補助具24を更に備え、
前記連結部2は、前記締結部22、第1締結補助具23、及び第2締結補助具24を用いて前記固定部1に係合される
請求項3に記載の敷設補助具。
【請求項7】
ケーブルが敷設される導線路に固定される固定部
1と、ケーブルを誘導する為の誘導装置に連結される連結部
2を備える敷設補助具を用いたケーブル敷設方法であって、
前記固定部
1を前記導線路の曲折外部において、前記導線路の線路側面の外側から当接する工程と、
前記線路側面に当接する前記固定部
1の面に直交する面に設けられる貫通孔
13を介して前記連結部
2を挿通させる工程と、
前記連結部
2と前記誘導装置を連結する為の連結媒体を、前記連結部
2に巻通させる工程と、
前記誘導装置を用いて前記ケーブルを敷設する工程と、
を含むケーブル敷設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、敷設補助具、及びケーブル敷設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建造物中の電気ケーブルの配線を補助する装置が知られている。このような装置の一例が、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1では、引き込み工具Bの、開口部3から袋状のワイヤーネット1内に、牽引する電気ケーブルAの一端を挿入し、開口部付近のワイヤーネット1の外周に、バインド線6等を巻き付けて電気ケーブルAを引き込み工具Bに固定し、第1リング2に主ロープ7の一端を接続して主ロープ7の他端を、天井8に吊り下げた第1金車9に通して、主ロープ7の他端をウインチで引っ張り、電気ケーブルAを引き上げ、その際、第2リング5は、ワイヤーネット1の外周にバインド線10等で縛っておき、主ロープ7が掛けられた金車9に引き込み工具Bの先端が近接した際、バインド線10を外して第2リング5に補助ロープ11を接続し、第1金車9に近接して設けた第2金車12に補助ロープ11を掛けてこの補助ロープ11をウインチで引っ張り、引き込み工具Bを引き上げ、この状態で、さらに引き込み工具Bを引き上げて、第1リング2に接続した主ロープ7を第1金車9から外し、その脇のケーブルラック13の他端方向に主ロープ7を引っ張り、第2金車12から補助ロープ7を外して、主ロープ7を引っ張って電気ケーブルを曲げて当該ケーブルラック13に引き入れ、電気ケーブルAの曲げ箇所に、ケーブルガイド14を設置し、電気ケーブルAを直接牽引装置15でけん引して、電気ケーブルAをケーブルラック13の所定箇所まで延線することで、引き込み工具Bを使って、電気ケーブルAの先端を折り曲げて引き込む工法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明は、ケーブルを建物下方からケーブルラック(導線路)の所定箇所まで延線することができるが、導線路の所定箇所に延線したケーブルを適切に配線することができなかった。
【0006】
また、従来におけるケーブルの配線においては、導線路にベルトを結びつけることでケーブルを誘導する為の誘導装置を固定していたが、作業者のスキルによっては誘導装置を適切に固定することができず、安全且つ効率的なケーブル配線ができないという問題があった。
【0007】
上記問題に鑑み、本発明は、誘導装置を利用した導線路への適切なケーブル配線を補助することができる新規な装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために本発明は、導線路上にケーブルを敷設する作業を支援する敷設補助具であって、前記敷設補助具は、前記導線路に固定される固定部1と、前記ケーブルを誘導する為の誘導装置に連結される連結部2を備える。
【0009】
このような構成とすることで、誘導装置を用いたケーブル敷設を補助することができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記導線路は、所定の厚さを有する線路側面を備え、前記固定部は、前記導線路に固定する為に、前記導線路の曲折外部において、前記線路側面の外側から当接し、前記線路側面と略同一の厚さを有する第1固定面11と、前記第1固定面と直交する第2固定面12を有する。
【0011】
このような構成とすることで、敷設補助具を導線路に固定することができ、誘導装置を安定させることができる。これにより、安全なケーブル敷設を実現することができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記第2固定面は、貫通孔13を有し、前記連結部2は、前記貫通孔13を介して着脱可能に構成される。
【0013】
このような構成とすることで、敷設補助具を導線路の様々な箇所で用いることができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記貫通孔13は、前記誘導装置を定位置に固定する為に、前記第1固定面11、及び前記連結部2により前記導線路の曲折外部を挟み込む位置に穿孔される
【0015】
このような構成とすることで、誘導装置を簡単且つ正確な位置へ固定することができる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記第2固定面12は前記連結部2を挿通させる為の貫通孔を有し、前記貫通孔13は、前記ケーブルを曲げる際に加わる力を前記線路側面で受け止める為に、前記第1固定面11及び前記連結部2により前記導線路の曲折部を挟み込む位置に穿孔される。
【0017】
このような構成とすることで、ケーブルの敷設時に誘導装置にかかる力を線路側面で受け止めることができる。これにより、安定したケーブル敷設を実現することができる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記貫通孔13は、前記第1固定面11と前記線路側面を当接させた時に、前記線路側面と前記貫通孔13を介して挿通された前記連結部2との間に、前記ケーブルを曲げる際に加わる力を前記連結部2に伝搬させる為の連結媒体を巻通可能な所定の間隙ができる位置に穿孔される。
【0019】
このような構成とすることで、連結媒体を容易に連結部に巻き付けることができ、ケーブル敷設作業を効率化することができる。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記貫通孔13は、前記ケーブルを曲げる際に加わる力を等分する為に、前記導線路の曲折部において敷設される前記ケーブルの曲率中心と、前記曲折部の中心点とを結ぶ直線上に穿孔される。
【0021】
このような構成とすることで、ケーブルを曲げる際に加わる敷設補助具にかかる力を分散することができ、敷設補助具の消耗を軽減することができる。
【0022】
本発明の好ましい形態では、前記敷設補助具は、締結部22、第1締結補助具23、及び第2締結補助具24を更に備え、前記連結部2は、前記締結部22、第1締結補助具23、及び第2締結補助具24を用いて前記固定部1に係合される。
【0023】
このような構成とすることで、固定部と連結部を頑健に係合させることができ、誘導装置の連結を安定させることができる。
【0024】
また、上記課題を達成するために本発明は、ケーブルが敷設される導線路に固定される固定部と、ケーブルを誘導する為の誘導装置に連結される連結部を備える敷設補助具を用いたケーブル敷設方法であって、前記固定部を前記導線路の曲折外部において、前記導線路の線路側面の外側から当接する工程と、前記線路側面に当接する前記固定部の面に直交する面に設けられる貫通孔を介して前記連結部を挿通させる工程と、前記連結部と前記誘導装置を連結する為の連結媒体を、前記連結部に巻通させる工程と、前記誘導装置を用いて前記ケーブルを敷設する工程と、を含む。
【0025】
このような構成とすることで、ケーブル敷設作業の安全性、且つ効率性を担保することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、誘導装置を利用した導線路への適切なケーブル配線を補助することができる新規な装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態に係る敷設補助具の模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る敷設補助具のサイズを示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る敷設補助具の使用例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る敷設補助具を用いてケーブルを誘導する際の俯瞰図である。
【
図5】本発明の別の実施形態に係る敷設補助具の模式図である。
【
図6】本発明の別の実施形態に係る敷設補助具のサイズを示す図である。
【
図7】本発明の別の実施形態に係る敷設補助具の使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(実施形態1)
以下、図面を用いて本発明の各実施形態に係る敷設補助具について説明する。説明は、実施形態の構成、実施の方法、他の実施形態の順に詳述する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の各実施形態に限定するものではない。また、出願書類中の「略」は、その後に続く形状に面取りや丸め加工がなされていること、また形状を構成する要素がその構成の目的を阻害しない範囲内で変形や長さ変更されているものを含むことを意味する概念である。
【0029】
本発明は、建造物内に敷設される電気ケーブルの敷設を補助する器具に関する。従来、電気ケーブルが敷設されるケーブルラック(以下、導線路と呼ぶ)上において電気ケーブルを敷設する場合、電気ケーブルを直線状又は曲線上に誘導する為の滑車(以下、誘導装置と呼ぶ)がベルトやロープ等(以下、連結媒体と呼ぶ)に繋げられ、該連結媒体を導線路に括り付けることで誘導装置を固定して電気ケーブルを敷設していた。しかし、連結媒体を導線路に括り付けることには一定のスキルが必要であり、単に連結媒体を導線路に括り付けるだけでは、誘導装置を安定、且つ容易に固定することができなかった。
【0030】
<1.1.実施形態1の構成>
これに対して本発明における敷設補助具は、誘導装置を安定且つ容易に固定し、電気ケーブルの敷設を補助する。
図1は実施形態1における敷設補助具を示す図である。
図1(
a)は敷設補助具の模式図の一例である。敷設補助具0は、導線路に固定される固定部1と、誘導装置に連結される連結部2を備える。本実施形態における敷設補助具0は、斜辺の面が取り除かれた三角柱形状を有し、導線路が直角又はアーチ状に折れ曲がった曲折部において装着される。以下では、取り除かれた面を開放面と呼ぶ。
【0031】
図1(b)は、固定部1の模式図の一例である。固定部1は、第1固定面11、第2固定面12、及び貫通孔13を有する。本実施形態において第1固定面11は、導線路の曲折外部において、導線路の線路側面の外側から当接される面であって、当接する2面が所定の角度を成すように構成される。なお、第1固定面11は、導線路の線路側面の外側から当接されるような湾曲した1面で構成されてもよい。
【0032】
より好ましくは、第1固定面11は、面中央部に所定のサイズの穴を有する。これにより、敷設補助具0の軽量化をすることができる。穴の形状は特に限定されるものではないが、対称性を有する形状などであることが好ましい。所定のサイズの穴をこの形状にすることで、敷設補助具0の重心を安定させる効果が期待できる。
【0033】
第2固定面12は、第1固定面と直交して隣接する三角形状の面であって、連結部2が着脱される貫通孔13を有する。
【0034】
なお本実施形態においては、第1固定面11が導線路の線路側面に当接する形状であればよく、第2固定面12の形状は三角形状に限られない。つまり、第2固定面12の形状の柱体のうち、第1固定面11及び第2固定面12以外の面を開放面とした形状であってもよい。
【0035】
また、本実施形態においては固定部1及び連結部2は、同じ素材(例えば鉄等)であるが、異なる素材であってもよい。例えば、電気ケーブルを誘導する際に固定部1に加わる力を支える為に、第1固定部11の素材を連結部2よりも強度が高い素材を用いて、連結部2を軽量化してもよい。
これにより、ケーブル敷設の安全性を担保しながら、敷設補助具0を軽量化することで、導線路の様々な曲折部において利用する際の持ち運びを楽にすることができる。
【0036】
図1(c)は、連結部2の模式図の一例である。連結部2は、連結部本体21、締結部22、第1締結補助具23、及び第2締結補助具24を有する。
【0037】
連結部本体21は、ボルトであって、一方の端に、貫通孔13を挿通した連結部2を止める為の係止部、他方の端に、締結部22を取り付ける為の螺合部を有する。なお、連結部本体21は、両端が螺合部であってもよい。
【0038】
第1締結補助具23は、ワッシャーであって、連結部本体が挿通可能な穴を有し、好ましくは、貫通孔13の穴径よりも狭い穴径を有する。
【0039】
第2締結補助具24は、スプリングワッシャーであって、第1締結補助具23の一部が切れてねじれた形状を有する。
【0040】
図1(d)は、敷設補助具0の立面図の一例である。本実施形態において敷設補助具0は、係止部側において、係止部と第2固定面12の間に第1締結補助具23を配置し、締結部22側において、締結部22と第2固定面12の間に第1締結補助具23及び第2締結補助具24が配置され、第2固定面12側から順に第1締結補助具23、第2締結補助具24、締結部22の順に装着される。なお、第1締結補助具23及び第2締結補助具24の順番は逆でも良い。
第1締結補助具23及び第2締結補助具24を組み合わせることで、緩み止めや緩んだ際の脱落防止をすることができ、電気ケーブルの誘導時に、敷設補助具0が導線路又は誘導装置から外れてしまう事故を防止することができる。また、固定部1と連結部2との係合に第1締結補助具23及び第2締結補助具24を組み合わせて利用することで、誘導装置からの不規則な動作(例えばケーブルを曲げながら導線路に敷設する際の繰り返し動作等)による力が該敷設補助具0に加わっても、固定部1と連結部2との係合を適切に維持することができる。
また、係止部と第2固定面12の間にも第1締結補助具23を配置することで、係止部が第2固定面12に直接接する場合の接面積に比べて、接面積を増やすことができる。これにより、電気ケーブルの誘導時に働く力によって発生する係止部側の回転を抑制することができ、連結部2の緩み止めや緩んだ際の脱落防止をすることができる。
【0041】
なお、本実施形態では、固定部1と連結部2との係合に3つの締結補助具を利用しているが、4つ以上の締結補助具を利用することもでき、2つであってもよい。また、本実施形態において連結部2は、締結部22によって第2固定面12と係合されるが、第2固定面12と係合されればよく、連結部2の態様はこの限りではない。
【0042】
図2は、本実施形態における敷設補助具0のサイズの一例を示す図である。
図2(a)は、所定の穴が設けられた第1固定面11の平面図であって、第1固定面11のサイズを示している。図示例では、第1固定面11の一面は、厚み3.2mmを有し、111.4mmの高さ、及び106.8mmの横幅を有する。ここで、所定サイズの穴は、軽量化及び電気ケーブルの誘導時に働く力に耐えられる強度の維持を実現する為に、穴の面積と、第1固定面13全体の面積との面積比は、略1:2となるように構成される。なお、
図2(a)における左右の辺が第2固定面13の辺と共通する。
【0043】
図2(b)は、第2固定面12の平面図であって、第2固定面12のサイズを示している。図示例では、第2固定面12の一面は、厚み3.2mmを有し、106.8mmの横幅を有する。また、貫通孔13は、直径18mmを有し、二等辺三角形の二等分線上に穿孔される。
【0044】
図2(c)は、連結部本体21の平面図であって、連結部本体21のサイズを示している。図示例では、螺合部は直径16mm、連結部本体21は全長145mmを有する。本実施形態における連結部本体21の螺合部は、連結部本体21の係止部の他端の一部に設けられる。これにより、連結部本体21に巻通される連結媒体と螺合部による摩擦を減らすことができ、連結媒体の消耗を軽減することができる。
【0045】
なお、敷設補助具0のサイズは、上記サイズに限定されず、導線路の規格等に応じて好適に変更が可能である。
【0046】
<1.2.実施形態1の敷設補助具の使用例>
以下、
図3を参照して、本実施形態における敷設補助具0の使用例について説明する。
【0047】
図3(a)は、電気ケーブルを導線路の曲折部において敷設する際の敷設補助具0、連結媒体LM、導線路GR、誘導装置GA、及び電気ケーブルCAの位置関係の平面図を示す図である。図示例では、敷設補助具0は、導線路の曲折外部BPにおける線路側面の外側から当接されている。また連結部2は、連結媒体LMを介して誘導装置GAと連結されている。また電気ケーブルCAは、ウインチや人手によって誘導装置GAの滑車部分に沿って誘導されることで曲げられる(
図4参照)。
【0048】
ここで、導線路の曲折部は、電気ケーブルが折れ曲がる方向を内側として、導線路の曲折部のうち外側の曲折部である曲折外部BP、及び内側の曲折内部(不図示)を含む。
【0049】
本実施形態においては、貫通孔13は、電気ケーブルを曲げる際に加わる力(中心力)を等分する為に、導線路の曲折部において敷設されるケーブルの曲率中心と、曲折部の中心点とを結ぶ直線上に穿孔される。具体的には、電気ケーブルを曲げる際の中心力によって生じる第1固定面11への力が等分されるように、導線路の曲折部において敷設されるケーブルの曲率中心と、曲折外部の中心点とを結ぶ直線上に貫通孔13が穿孔される。より好ましくは、貫通孔13は、第2固定面12の線対称軸上に穿孔される。更により好ましくは、貫通孔13は、第2固定面12の重心の位置に穿孔される。
これにより、電気ケーブルの敷設において敷設補助具0に係る力を分散させることで、敷設補助具0の消耗を軽減させることができる。また、電気ケーブルを曲げたい方向に応じて、貫通孔13の位置が異なる敷設補助具0を用いることで、柔軟な電気ケーブルの敷設を補助することができる。
【0050】
この他の好ましい形態では、第2固定面12の厚みに応じて、第2固定面12の斜辺から貫通孔13までの距離を変動させる。具体的には、第2固定面12の厚みが大きい程、第2固定面12の斜辺から貫通孔13までの距離が短くなるように変動させる。
これにより、第2固定面12の斜辺から貫通孔13までの距離が短くなる(貫通孔13と曲折外部の中心点の距離が遠くなる)ことにより、誘導装置にかかる中心力が第1固定面11のうち開放面寄りに加わることとなり、敷設補助道具0がより導線路に密着し、安定して誘導装置を固定することができる。
【0051】
図3(b)は、導線路の曲折外部における線路側面に当接されている敷設補助具0の斜視図である。本実施形態において第1固定面11は、第2固定面12と導線路の線路側面に直交する面とが当接する高さを有する。具体的には、第1固定面11は導線路の線路側面と略同一の高さを有する。
これにより、敷設補助具0を導線路に固定して取り付けることができ、誘導装置を安定して固定することができる。
【0052】
また、連結部2が挿通されている貫通孔13は、誘導装置GAを定位置に固定する為に、第1固定面11及び連結部2により導線路の曲折外部を挟み込む位置に穿孔される。
従来では、導線路の連結媒体を括り付ける(固定)することで誘導装置GAを固定していた。しかしこの場合、連結媒体の固定が緩い場合や、連結媒体の固定位置がうまくいかない場合には、誘導装置GAを安定して固定することができない。一方、本発明は、第1固定面11及び連結部2により導線路の曲折外部を挟み込む位置に貫通孔13が穿孔され、貫通孔13に挿通された連結部2に連結媒体を巻き付けるのみで、誘導装置GAを固定することができる。これにより、連結媒体を導線路に括り付ける作業がなくなり、且つ連結部2に巻通させるという単純作業だけで誘導装置GAを安定して固定することができるという顕著な効果を奏する。
【0053】
好ましくは、連結部2が挿通されている貫通孔13は、電気ケーブルCAを曲げる際に加わる力を線路側面で支持する為に、第1固定面11及び連結部2により導線路の曲折外部を挟み込む位置に穿孔される。
従来であれば、誘導装置GAと連結した連結媒体を導線路に括り付けることで、誘導装置GAに加わる中心力を導線路で支持していた。一方、本発明では、連結媒体を直接導線路に括り付けるのではなく、連結媒体を連結部2に巻き付け、誘導装置GAに加わる中心力を該連結部2に伝え、更に該連結部2に加わる中心力を固定部1を介して導線路で受け止める。
【0054】
好ましくは、貫通孔13は、第1固定面11と導線路曲折外部の線路側面を当接させた時に、線路側面と貫通孔13を介して挿通された連結部2の間に、連結媒体LMを巻通可能な所定の間隙ができる位置に穿孔される。
これにより、連結媒体を用いて誘導装置を容易に固定させることができる。また、誘導装置GAに加わる力を連結部2に伝える為の連結媒体LMを連結部2に容易に巻き付けることができ、誘導装置GAを安定して固定することができる。
【0055】
<1.3.実施形態1のケーブル敷設方法>
以下、敷設補助具0を用いたケーブル敷設方法について説明する。ケーブル敷設を行う作業員は、導線路の曲折外部において、導線路の線路側面の外側から固定部1の第1固定面11を当接し、第2固定面12に設けられる貫通孔13を介して連結部2を挿通させ、連結媒体を連結部2に巻通し、該連結媒体を介して連結部2に誘導装置を固定させ、誘導装置の滑車に沿うように電気ケーブルをけん引することで電気ケーブルを敷設する(
図4参照)。
【0056】
(実施形態2)
次いで、
図5~7を参照して、実施形態2について説明する。本実施形態では、敷設補助具0が直線状の導線路の線路側面において装着されることで、電気ケーブルの敷設を補助する。
【0057】
実施形態1では、導線路の曲折外部における線路側面の外側から第1固定面11を当接させ、第2固定面12に設けられた貫通孔13に連結部2を挿通することで、連結部2と誘導装置を連結し、電気ケーブルの敷設を補助する。一方、本実施形態では、導線路の直線部における線路側面の外側から第1固定部11を当接し、第1固定部11に設けられた貫通孔13に連結部2を挿通することで、連結部2と誘導装置を連結し、電気ケーブルの敷設を補助する。
【0058】
<2.1.実施形態2の構成>
図5は実施形態2における敷設補助具0を示す図である。
図5(a)は、固定部1の模式図の一例である。固定部1は、第1固定面11、及び2つの貫通孔13を有する。本実施形態において第1固定面11は、導線路の直線部において、導線路の線路側面の外側から当接される板状の面を有する。
【0059】
より好ましくは、第1固定面11は、面中央部に所定のサイズの穴を有する。これにより、敷設補助具0の軽量化をすることができる。
【0060】
なお第1固定面11は、線路側面と当接する面が板状であればよく、線路側面と当接しない部分については板状に限定されない。
【0061】
本実施形態における2つの貫通孔13は、所定の間隔を有する。具体的には、所定の間隔は、連結部本体21を固定部に挿通可能に、導線路の線路側面の高さ幅よりも長い幅を有する。好ましくは、所定の間隔は、導線路の線路側面の高さ幅と略同一の幅を有する。
【0062】
図5(b)は、連結部2の模式図の一例である。連結部2は、連結部本体21、締結部22、第1締結補助具23、及び第2締結補助具24を有する。本実施形態における連結部本体21は、略U字型のボルトであって、連結中間部211、及び連結要部212を有する。
【0063】
連結中間部211は、両端に貫通孔13を挿通し締結部22を取り付ける為の螺合部を有する。また連結中間部211は、導線路の直線部における線路側面と直交する面の横幅(
図3におけるGRS)よりも長い幅を有する。好ましくは、連結中間部211は、導線路の直線部における線路側面と直交する面の厚みと略同一の幅を有する。
【0064】
連結要部212は、連結媒体が巻通されることで誘導装置と連結される部分である。本実施形態において連結要部212は、第1固定面11が有する2つの貫通孔13の間隔と同じ長さを有する。
【0065】
締結部22、第1締結補助具23、及び第2締結補助具24については、実施形態1と共通する構成の為、説明を省略する。
【0066】
図6は、本実施形態における敷設補助具0のサイズの一例を示す図である。
図6(a)は、所定の穴が設けられた第1固定面11の平面図であって、第1固定面11のサイズを示している。図示例では、第1固定面11は、厚み3.2mmを有し(不図示)、1117mmの横幅、及び50mmの縦幅を有する。ここで、第1固定面11における横とは、電気ケーブルの延線方向と略垂直方向である。
【0067】
図6(b)は、連結部本体21の平面図であって、連結部本体21のサイズを示している。本実施形態における連結要部212においては、螺合部が設けられない。これにより、連結部本体21に巻通される連結媒体と螺合部による摩擦を減らすことができ、連結媒体の消耗を軽減することができる。
【0068】
なお、敷設補助具0のサイズは、上記サイズに限定されず、導線路の規格等に応じて好適に変更が可能である。
【0069】
<2.2.実施形態2の敷設補助具の使用例>
以下、
図7を参照して、本実施形態における敷設補助具0の使用例について説明する。
【0070】
図7(a)は、電気ケーブルを導線路の曲折部において敷設する際の敷設補助具0、連結媒体LM、導線路GR、誘導装置GA、及び電気ケーブルCAの位置関係の平面図を示す図である。図示例では、敷設補助具0は、導線路の直線部における線路側面の外側から当接されている。また連結部2は、連結媒体LMを介して誘導装置GAと連結されている。また電気ケーブルCAは、誘導装置GAの滑車部分に沿って延線される。
【0071】
図7(b)は、導線路の直線部における線路側面に当接されている敷設補助具0の斜視図である。本実施形態においては、電気ケーブルCAを延線する際に加わる力を線路側面で支持する為に、第1固定部11及び連結要部212により導線路の直線部を挟み込む位置に配置される。
【0072】
また、連結中間部211は、第1固定面11と導線路直線部の線路側面を当接させた時に、線路側面と連結要部212の間に、連結媒体LMを巻通可能な所定の間隙ができる位置に穿孔される。
【符号の説明】
【0073】
0 敷設補助具
1 固定部
11 第1固定面
12 第2固定面
13 貫通孔
2 連結部
21 連結部本体
22 締結部
23 第1締結補助具
24 第2締結補助具
211 連結中間部
212 連結要部
【要約】
【課題】
本発明は、誘導装置を利用した導線路への適切なケーブル配線を補助することができる新規な装置を提供することを解決すべき課題とする。
【解決手段】
上記課題を解決する為に本発明は、導線路上にケーブルを敷設する作業を支援する敷設補助具であって、前記敷設補助具は、前記導線路に固定される固定部と、前記ケーブルを誘導する為の誘導装置に連結される連結部を備える。
【選択図】
図1