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特許7705272ワンドアセンブリに連結されたバックパックアセンブリを有する携帯型除菌システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-01
(45)【発行日】2025-07-09
(54)【発明の名称】ワンドアセンブリに連結されたバックパックアセンブリを有する携帯型除菌システム
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20250702BHJP
   B64F 5/30 20170101ALI20250702BHJP
【FI】
A61L2/10
B64F5/30
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021078974
(22)【出願日】2021-05-07
(65)【公開番号】P2021180835
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2024-04-18
(31)【優先権主張番号】63/021,984
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/016,466
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(74)【代理人】
【識別番号】100217467
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴崎 一磨
(72)【発明者】
【氏名】ジェイミー ジェイ.チルドレス
(72)【発明者】
【氏名】テレサ エー.キング
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-519721(JP,A)
【文献】特表2019-505366(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0112712(KR,A)
【文献】特開2002-320579(JP,A)
【文献】特開2017-018567(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0260601(US,A1)
【文献】国際公開第2019/164810(WO,A1)
【文献】特開2000-024095(JP,A)
【文献】特表2017-530777(JP,A)
【文献】特開2019-042487(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0103836(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0063682(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/10
B64F 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線(UV)ランプを含むワンドアセンブリと、
前記ワンドアセンブリに取り外し可能に連結されたバックパックアセンブリと、を含む、携帯型除菌システムであって、
前記ワンドアセンブリは、前記UVランプを有する長状の除菌ヘッドと、連結手段を介して前記除菌ヘッドに連結された長状のハンドルと、を含んでおり、
前記連結手段は、前記ハンドルを前記除菌ヘッドに対して第1位置と第2位置との間で選択的に枢動させるように構成されており、前記第1位置においては、前記バックパックアセンブリに対して前記ワンドアセンブリを装着させるべく、前記ハンドルが前記除菌ヘッドに対して近づく方向に枢動されて折り畳まれた状態となり、前記第2位置においては、除菌作業を行うべく、前記ハンドルが前記除菌ヘッドから離れる方向に枢動されて前記ワンドアセンブリの長さを伸長させる状態となる、携帯型除菌システム
【請求項2】
前記バックパックアセンブリを前記ワンドアセンブリに連結するホースをさらに含む、請求項1に記載の携帯型除菌システム。
【請求項3】
前記バックパックアセンブリは、前記UVランプを冷却するための空気流を発生させること、前記ワンドアセンブリの除菌ヘッドから空気を吸い込むこと、または、前記除菌ヘッドからオゾンを除去すること、のうちの1つ又は複数を行うように構成された空気流装置を含む、請求項1又は2に記載の携帯型除菌システム。
【請求項4】
前記バックパックアセンブリは、前記ワンドアセンブリの除菌ヘッドから吸い込んだ空気をろ過するように構成された少なくとも1つのエアフィルタを含む、請求項1~3のいずれかに記載の携帯型除菌システム。
【請求項5】
前記バックパックアセンブリは、前記UVランプに電力を供給する1つ又は複数のバッテリを含む、請求項1~4のいずれかに記載の携帯型除菌システム。
【請求項6】
前記UVランプは、200nm~230nmの波長のUV光を出射するように構成されている、請求項1~5のいずれかに記載の携帯型除菌システム。
【請求項7】
前記UVランプは、222nmの波長のUV光を出射するように構成されている、請求項1~6のいずれかに記載の携帯型除菌システム。
【請求項8】
前記UVランプは、230nm~280nmの波長のUV光を出射するように構成されている、請求項1~7のいずれかに記載の携帯型除菌システム。
【請求項9】
前記UVランプは、254nmの波長のUV光を出射するように構成されている、請求項1~8のいずれかに記載の携帯型除菌システム。
【請求項10】
前記ハンドルは入れ子式に伸縮可能である、請求項1~9のいずれかに記載の携帯型除菌システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して除菌システムに関し、例えば民間航空機などのビークル内の構造体やエリアを除菌するために用いることができる除菌システムに関する。
【背景技術】
【0002】
民間航空機などのビークルは、様々な場所に乗客を輸送するために用いられる。航空機内の表面を消毒又は除菌するためのシステムが現在開発されており、例えば紫外線(UV)光を利用するシステムがある。構造体の表面を除菌するために、既知のUV光による除菌方法では、広域スペクトルUVC光を構造体に照射する。
【0003】
しかしながら、ある種のUV光除菌システムは、大型でかさばるのが一般的であり、また、固定された据置型のインフラを必要とすることが多い。
【発明の概要】
【0004】
ビークルの内部キャビン内の表面を効率的に除菌するためのシステム及び方法が必要とされている。さらに、狭い空間や窮屈な空間での除菌を実現するシステム及び方法が必要とされている。加えて、ビークルの内部キャビン、レストランなどの店舗、(スタジアムのような)娯楽施設などの内部のエリアを迅速に除菌することができるシステム及び方法が必要とされている。
【0005】
このような需要を念頭において、本開示のいくつかの実施形態は、ランプ(例えばエキシマランプ、水銀灯、UV LED)などの紫外線(UV)光源を含むワンドアセンブリと、ワンドアセンブリに連結されたバックパックアセンブリなどの第2アセンブリとを含む携帯型除菌システムを提供する。少なくとも1つの実施形態において、ホースなどの連結器が、バックパックアセンブリをワンドアセンブリに連結する。ある種の実施形態において、連結器は、ホース及び/又は配線を含む。ある種の実施形態において、配線は、ホースに嵌入されている。ある種の実施形態において、ホースは、連結を目的として、あるいはオゾンの低減のためにワンドアセンブリ又は光源の周囲又は内部で空気を移動させるために用いられる。
【0006】
少なくとも1つの実施形態において、前記バックパックアセンブリは、前記UVランプを冷却するための空気流を発生させること、前記ワンドアセンブリの除菌ヘッドから空気を吸い込んだり除菌ヘッドに空気を吹き込んだりすること、または、前記除菌ヘッドからオゾンを除去すること、のうちの1つ又は複数を行うように構成された空気流装置を含む。
【0007】
少なくとも1つの実施形態において、当該バックパックアセンブリは、前記ワンドアセンブリの除菌ヘッドから吸い込んだ空気をろ過するように構成された少なくとも1つのエアフィルタを含む。
【0008】
少なくとも1つの実施形態において、前記バックパックアセンブリは、前記UVランプに電力を供給する1つ又は複数のバッテリを含む。1つ又は複数の実施形態において、このUVアセンブリは、バッテリに加えて又は代えて、電源によって給電される。例えば、少なくとも1つの実施形態において、電源は、115V 400Hzの電源であり、別の実施形態では、115V 50/60Hzの電源である。
【0009】
一例として、前記UVランプは、200nm~230nmの波長のUV光を出射するように構成されている。さらなる例として、前記UVランプは、222nmの波長のUV光を出射するように構成されている。
【0010】
別の例として、前記UVランプは、230nm~280nmの波長のUV光を出射するように構成されている。さらなる例として、前記UVランプは、254nmの波長のUV光を出射するように構成されている。
【0011】
少なくとも1つの実施形態において、前記ワンドアセンブリは、前記UVランプを有する除菌ヘッドを含む。一例として、前記ワンドアセンブリは、前記除菌ヘッドに連結されたハンドルをさらに含む。さらに、前記ワンドアセンブリは、前記除菌ヘッドに前記ハンドルを移動可能に連結する連結器も含み得る。さらに、前記除菌ヘッドは、前記ハンドルに対して直線的並進移動または旋回のうちの一方又は両方を行うように構成することができる。
【0012】
少なくとも1つの実施形態において、前記除菌ヘッドは、前記UVランプを保持するシュラウドを含む。一例として、前記シュラウドは、前記シュラウド内に空気を流入させるように構成された1つ又は複数の開口を含む。
【0013】
少なくとも1つの実施形態において、前記シュラウドの下面には反射器が固定されている。前記反射器は、前記UVランプによって出射された前記UV光の一部を反射するように構成されている。
【0014】
少なくとも1つの実施形態において、前記除菌ヘッドは、反射器及びカバープレートをさらに含む。前記UVランプは、例えば、前記反射器と前記カバープレートとの間に画定された内部チャンバに内に固定されている。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態は、紫外線(UV)ランプを含むワンドアセンブリにバックパックアセンブリを連結することを含む携帯式除菌方法を提供する。少なくとも1つの実施形態において、前記連結することは、前記バックパックアセンブリをホースで前記ワンドアセンブリに連結することを含む。
【0016】
少なくとも1つの実施形態において、前記携帯式除菌方法は、前記バックパックアセンブリの空気流装置によって、前記UVランプを冷却するための空気流を発生させること、前記バックパックアセンブリの前記空気流装置によって、前記ワンドアセンブリの除菌ヘッドから空気を吸い込むこと、又は、前記バックパックアセンブリの前記空気流装置によって、前記ワンドアセンブリの前記除菌ヘッドからオゾンを除去すること、のうちの1つ又は複数をさらに含む。
【0017】
少なくとも1つの実施形態において、前記携帯式除菌方法は、前記バックパックアセンブリの少なくとも1つのエアフィルタによって、前記ワンドアセンブリの除菌ヘッドから吸い込んだ空気をろ過することを含む。
【0018】
少なくとも1つの実施形態において、前記携帯式除菌方法は、前記バックパックアセンブリ内に収容された1つ又は複数のバッテリによって、前記UVランプに電力を供給することをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の実施形態による、作業者が着用した状態の携帯型除菌システムの斜視図である。
図2】本開示の実施形態によるワンドアセンブリの上面側側方斜視図である。
図3図2のワンドアセンブリの後部側斜視図である。
図4図2のワンドアセンブリの側方斜視図である。
図5】本開示の実施形態による、コンパクトな配置状態の携帯型除菌システムの斜視図である。
図6】本開示の実施形態による、除菌ヘッドが伸長位置にある状態の携帯型除菌システムの斜視図である。
図7】本開示の実施形態による、除菌ヘッドが伸長位置にあるとともにハンドルも伸長位置にある状態の携帯型除菌システムの斜視図である。
図8】本開示の実施形態による、除菌ヘッドをハンドルに対して回転させた状態の携帯型除菌システムの斜視図である。
図9】本開示の実施形態による除菌ヘッドのUVランプ及び反射器の端部側斜視図である。
図10】本開示の実施形態による除菌ヘッドのUVランプ及び反射器の端部側斜視図である。
図11】本開示の実施形態による、除菌ヘッドのUVランプ及び反射器の端部側斜視図である。
図12】除菌ヘッドの上面側斜視図である。
図13】除菌ヘッドの底面側斜視図である。
図14図12の線14-14に沿った除菌ヘッドの軸方向断面図である。
図15】本開示の実施形態による、取付けブラケットに固定されたUVランプの端部側斜視図である。
図16】本開示の実施形態によるバックパックアセンブリの分解斜視図である。
図17】本開示の実施形態によるバックパックアセンブリに連結されたハーネスの正面側斜視図である。
図18】紫外光スペクトルを示す図である。
図19】本開示の実施形態による航空機の正面側斜視図である。
図20A】本開示の実施形態による航空機の内部キャビンの平面図である。
図20B】本開示の実施形態による航空機の内部キャビンの平面図である。
図21】本開示の実施形態による航空機の内部キャビンの内部斜視図である。
図22】ビークルの内部キャビンの化粧室の内部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上記の概要および下記のいくつかの実施形態の詳細な説明は、添付の図面を参照することによって、より明確に理解されよう。本明細書において、単数形で記載されている要素あるいは工程は、複数の要素あるいは工程を必ずしも排除するものではない。さらに、「一実施形態」に言及することは、その実施形態に記載した特徴を取り入れた別の実施形態の存在を排除することを意図するものではない。さらに、特に明記されていない限り、特定の状態にある1つの要素又は複数の要素を「含む(comprising)」又は「有する(having)」実施形態は、その状態にない別の要素を追加的に含んでいてもよい。
【0021】
本開示のいくつかの実施形態は、例えばビークルの内部キャビン内などの表面を消毒するための携帯型除菌システムを提供する。携帯型除菌システムは、ワンド(wand)アセンブリ及びバックパックアセンブリを含む。ワンドアセンブリは、ハウジング、紫外線(UV)ランプ、反射器、UVランプをハウジングに固定するためのマウント、UVランプに空気を送り込むための吸気口、及び、ワンドアセンブリの到達距離を伸ばすように構成された伸縮式ハンドルを含む。バックパックアセンブリは、本体またはハウジング、電源、1つ又は複数のバッテリ(例えば充電池)、バックパックを充電するためのプラグ、送風機、カーボンフィルタ、排気口、及び、作業者が携帯型除菌システムを着用できるようにするためのハーネスを含む。
【0022】
UVランプは、例えばビークル内の構造体の表面のような部分を消毒するためのUV光を出射するように構成されている。少なくとも1つの実施形態において、UVランプは、遠紫外域のUV光を出射するように構成される。少なくとも1つの他の実施形態において、UVランプは、UVCスペクトルのUV光を出射するように構成される。
【0023】
図1は、本開示の実施形態による、作業者101が着用した状態の携帯型除菌システム100の斜視図である。携帯型除菌システム100は、バックパックアセンブリ104などの第2アセンブリに連結されたワンドアセンブリ102などの第1アセンブリを含み、バックパックアセンブリは、ハーネス105によって、取り外し可能に作業者に固定される。ワンドアセンブリ102は、ハンドル108に連結された除菌ヘッド106を含む。少なくとも1つの実施形態において、除菌ヘッド106は、連結器110によって、移動可能にハンドル108に連結されている。
【0024】
任意で、除菌ヘッド106は、移動可能にハンドル108に連結されない。例えば、除菌ヘッド106は、ハンドル108に対して固定することができる。少なくとも1つの実施形態において、除菌ヘッド106の少なくとも一部が、ハンドル108の少なくとも一部に一体形成及び/又は固定されている。
【0025】
図1に示すように、ワンドアセンブリ102は、収納位置にある。収納位置では、ワンドアセンブリ102は、例えば1つ又は複数のトラック、クリップ、ラッチ、ベルト、タイなどによって、バックパックアセンブリ104の一部に取り外し可能に固定されている。
【0026】
図2は、本開示の実施形態によるワンドアセンブリ102の上面側側方斜視図である。除菌ヘッド106は、連結器110によってハンドル108に連結されている。除菌ヘッド106は、近位端116から遠位端118まで延びる外側カバー114を有するシュラウド(shroud)112を含む。本明細書に記載のように、シュラウド112は、UVランプを収容している。任意で、除菌ヘッド106は、連結器110を用いずにハンドル108に連結される。
【0027】
近位端116からは、ポート120が延びている。ポート120は、ホース122につながっており、ホースは、バックパックアセンブリ104(図1に示す)につながっている。ホース122は、バックパックアセンブリ104(図1に示す)内の電源(例えば1つ又は複数のバッテリ)をシュラウド112内のUVランプ140に連結する電気コード、ケーブル、配線などを内蔵している。任意で、電気コード、ケーブル、配線などが、ホース122の外部にあってもよい。ホース122は、シュラウド112の内部チャンバを、バックパックアセンブリ104内の送風機、真空発生装置、エアフィルタなどに流体連結する送気ライン(例えばエアチューブ)も含む。
【0028】
連結器110は、シュラウド112の外側カバー114に固定されており、例えば近位端116に隣接する位置に固定されている。連結器110は、例えば1つ又は複数のファスナ、接着剤などによって外側カバー114に固定された固定梁124を含み得る。延長梁126が固定梁124から外方に延びており、これによってハンドル108をシュラウド112から離間させている。ベアリングアセンブリ128が、固定梁124の反対側で延長梁126から延びている。ベアリングアセンブリ128は、1つ又は複数のベアリング、トラックなどを含み、これによって、ハンドル108は、連結器110に対して矢印Aの方向に直線的に並進移動したり、枢動軸129を中心として円弧Bの方向に枢動したりすることができる。任意で、固定梁124は、ベアリングアセンブリを含み、これによって、ハンドル108がベアリングアセンブリ128に連結されることに加えて又は代えて(例えばハンドル108が連結器110に固定されていてもよい)、除菌ヘッド106が矢印Aの方向に並進移動したり、円弧Bの方向に回転(例えば旋回)したりすることができる。
【0029】
少なくとも1つの実施形態において、ハンドル108は、ロッド、ポール、梁など130を含み、これは、例えばシュラウド112より長い。任意であるが、ロッド130は、シュラウド112より短くてもよい。ロッド130には、1つ又は複数のグリップ132が固定されている。グリップ132は、作業者が把持または保持できるように構成されている。グリップ132は、人間工学に基づいた触覚特徴部134を含み得る。
【0030】
任意で、ワンドアセンブリ102は、図示のものとは異なるサイズや形状を有していてもよい。例えば、少なくとも1つの実施形態において、ハンドル108がシュラウド112に対して固定されていてもよい。また、ハンドル108は、それ自体及び/又はシュラウド112に対して移動するように構成されていてもよいし、そのような構成でなくともよい。例えば、ハンドル108とシュラウド112とを一体成形して単一のユニットとして形成してもよい。さらなる例として、ワンドアセンブリ102は、2020年5月19日に出願された米国意匠特許出願29/735,235「Ultraviolet Wand」に記載されているようなサイズ、形状、及び構成とすることができる。
【0031】
図3は、図2のワンドアセンブリ102の後部側斜視図である。図4は、図2のワンドアセンブリ102の側方斜視図である。図3及び図4を参照すると、ハンドル108は、例えば、ハンドル108を連結器110に枢動可能に連結する枢動軸138を有するベアリング136を介して、枢動可能に連結器110に連結される。ハンドル108は、さらに、ベアリング136に出し入れされるように直線的に並進移動する構成とすることができる。例えば、ハンドル108は、入れ子式に出し入れされる構成であってもよい。任意で、あるいは代替的に、少なくとも1つの実施形態において、ハンドル108は、ハンドル108の外方への伸張及び内方への収縮を可能にする入れ子式本体部を含んでいてもよい。
【0032】
図5は、本開示の実施形態による、コンパクトな配置状態の携帯型除菌システム100の斜視図である。ワンドアセンブリ102は、(図1に示すような)バックパックアセンブリ104から取り外されて、図5に示すようなコンパクトな配置状態とされる。ワンドアセンブリ102はホース122によってバックパックアセンブリ104につながっている。このコンパクトな配置状態では、除菌ヘッド106は、ハンドル108に対して完全に後退している。
【0033】
少なくとも1つの他の実施形態において、バックパックアセンブリ104は、開閉できるように構成されている。バックパックアセンブリ104内には、内部チャンバが画定されている。少なくとも1つの実施形態において、ワンドアセンブリ102は、使用しない際はこの内部チャンバに収納されるように構成されている。
【0034】
図6は、本開示の実施形態による、除菌ヘッド106が伸長位置にある状態の携帯型除菌システム100の斜視図である。除菌ヘッド106をハンドル108に対して伸長するには、除菌ヘッド106をハンドル108に対して矢印A’の方向に外方に摺動させる。(あるいは、ハンドル108を除菌ヘッド106に対して後方に摺動させる。)先に言及したように、除菌ヘッド106は、連結器110を介してハンドル108に対して矢印A’の方向に直線的に並進移動することができる。図6に示すように除菌ヘッド106が伸長することによって、携帯型除菌システム100は、離れたエリアに容易に到達することができる。これに代えて、除菌ヘッド106は、ハンドル108に対して直線的に並進移動しなくともよい。
【0035】
図7は、本開示の実施形態による、除菌ヘッド106が伸長位置にあるとともにハンドル108も伸長位置にある状態の携帯型除菌システム100の斜視図である。さらに遠くに到達するために、ハンドル108を、例えば入れ子部によって直線的に並進移動するように構成することができ、これによれば、除菌ヘッド106をさらに外方に到達させることができる。これに代えて、ハンドル108は、伸縮する構成でなくともよい。
【0036】
少なくとも1つの実施形態において、ハンドル108は、ロック109を含み得る。ロック109は、ハンドル108を所望の伸長(または収縮)位置に固定するために選択的に操作されるように構成される。
【0037】
図8は、本開示の実施形態による、除菌ヘッド106をハンドル108に対して回転させた状態の携帯型除菌システム100の斜視図である。先に言及したように、除菌ヘッド106は、連結器110を介してハンドル108に対して回転するように構成されている。ハンドル108に対して除菌ヘッド106を回転させることによって、除菌ヘッド106を所望の位置に移動させ、除菌ヘッド106がハンドル108に堅固に固定されていた場合には届きにくいエリアを通過または到達させることができる。これに代えて、除菌ヘッド106は、ハンドル108に対して回転可能でなくともよい。
【0038】
図9は、本開示の実施形態による、除菌ヘッド106のUVランプ140及び反射器142の端部側斜視図である。UVランプ140及び反射器142は、除菌ヘッド106のシュラウド112(例えば図2に示す)内に固定されている。少なくとも1つの実施形態において、反射器142は、例えば1つ又は複数の接着剤によって、シュラウド112の下面141に固定されている。別の例として、反射器142は、シュラウド112に一体に形成された部分である。例えば、反射器142が、シュラウド112の下面141を構成していてもよい。反射器142は、UVランプ140によって出射されたUV光を外方に反射するように構成された反射面143(例えばテフロンで形成された面、鏡面など)を提供する。少なくとも1つの例において、シュラウド112は、例えばガラス繊維で形成された外殻を含み、反射器142は、例えば98%の反射率を実現するテフロンによって形成され得る。
【0039】
反射器142は、例えば、シュラウド112の下面141の全長に沿って延びる。任意で、反射器142の長さが、シュラウド112の下面141の全長より短くてもよい。
【0040】
UVランプ140は、全長に沿って(あるいは端部116と118との間などの実質的な全長に沿って)延びている。UVランプ140は、例えば、1つ又は複数のブラケットによって、反射器142及び/又はシュラウド112に固定されている。UVランプ140は、1つ又は複数の電球、発光素子(例えば発光ダイオード)などの1つ又は複数のUV光発光体を含む。少なくとも1つの実施形態において、UVランプ140は、波長200nm~230nmのような遠紫外スペクトルのUV光を出射するように構成されている。少なくとも1つの実施形態において、UVランプ140は、222nmの波長のUV光を出射するように構成されている。例えば、UVランプ140は、222nmの波長のUV光を出射するように構成された300Wの電球を含み得る。
【0041】
少なくとも1つの実施形態において、UVランプ140は、波長230nm~280nmのようなUVCスペクトルのUV光を出射するように構成されている。例えば、UVランプ140は、254nmの波長のUV光出射するように構成され得る。
【0042】
図示のように、反射器142は、上部湾曲壁146を介して互いに接続されたフラットな直立側壁144を含む。上部湾曲壁146は、例えば、UVランプ140から離れる方向に外方に曲がっている。例えば、上部湾曲壁146は、放物線状の断面及び/又は輪郭を有し得る。
【0043】
まっすぐな直線状の側壁144によって、UVランプ140から出射されたUV光を所望の位置に反射及び/又は集束できることがわかっている。代替の例として、側壁144は、直線状やフラットでなくともよい。
【0044】
図10は、本開示の実施形態による、除菌ヘッドのUVランプ140及び反射器142の端部側斜視図である。図10に示した反射器142は、側壁144が上部湾曲壁146から外方に傾斜していること以外は、図9に示した反射器142と同様である。
【0045】
図11は、本開示の実施形態による、除菌ヘッドのUVランプ140及び反射器142の端部側斜視図である。本実施形態では、側壁144が、例えば、上部湾曲壁146の曲率に従って湾曲している。
【0046】
図12は、除菌ヘッド106の上面側斜視図である。図13は、除菌ヘッド106の底面側斜視図である。図14は、図12の線14-14に沿った除菌ヘッド106の軸方向断面図である。図12図14を参照すると、シュラウド112の1つ又は複数の開口152を通じて(または単に開放チャンバとすることによって)、空気150が除菌ヘッド106内に吸い込まれるように構成されている。空気150は、例えばバックパックアセンブリ104(図1に示す)内の真空発生装置によって、除菌ヘッド106内に吸い込まれる。空気150は、シュラウド112内に吸い込まれて、UVランプ140の上方や周囲を通過する際にUVランプ140を冷却する。空気150は、ポート120内に入り、ホース122内に、例えばホース122内のエアチューブ内に入る。空気150は、UVランプ140を冷却するだけでなく、例えばUVランプ140の動作によって生成されたシュラウド112内のオゾンを除去する。空気150は、例えば、バックパックアセンブリ104内の活性炭フィルタなどのエアフィルタに引い込まれる。
【0047】
少なくとも1つの実施形態において、携帯型除菌システム100は、代替のオゾン低減システムを含み得る。一例として、オゾン低減システムは、シュラウド112またはシステムの別の部分に配置され、不活性ガス槽または米国特許第10,232,954号に記載のような面不活性ガスシステム(face inert gas system)を含み得る。
【0048】
特に図13を参照すると、シュラウド112の露出された下側周縁に、緩衝部材153を固定してもよい。緩衝部材153は、ゴムやその他のエラストマー材料、連続または独立気泡発泡体などの弾性材料で形成することができる。緩衝部材153は、除菌ヘッド106が意図せずして表面に接触した場合に除菌ヘッド106を損傷から保護する。緩衝部材153は、当該表面も、損傷から保護する。
【0049】
開口152は、開口からUVランプ140が直接見えることのないように、シュラウド112の下面から離間させて設けてもよい。例えば、開口152は、UVランプ140から離間した下側部分に配置してもよい。
【0050】
特に図14を参照すると、除菌ヘッド106は、UVランプ140の下方に設けられたカバープレート154を含み得る。カバープレート154は、例えば、ガラスによって形成され、UVランプ140によって出射されたUV光をフィルタリングするように構成される。UVランプ140は、反射器142とカバープレート154との間に画定された内部チャンバに156内に固定することができる。少なくとも1つの実施形態において、カバープレート154は、遠紫外バンドパスフィルタを含む。例えば、カバープレート154は、UVランプ140によって出射されたUV光を222nmの波長にフィルタリングする222nmバンドパスフィルタである。これにより、除菌ヘッド106から出射されたUV光が、222nmの波長で出射され得る。任意で、カバープレート154は、遠紫外バンドパスフィルタを含まなくともよい。少なくとも1つの他の実施形態において、カバープレート154は、UVCバンドパスフィルタを含む。
【0051】
図13及び図14を参照すると、例えば、リム157(例えば厚さ0.020インチのチタンリム)によって、カバープレート154がシュラウド112に連結される。リム157は、それ自体や周囲に衝撃負荷を分散させる。
【0052】
少なくとも1つの実施形態において、測距発光ダイオード(LED)159を、UVランプ140の端部に隣接させて配置することができる。測距LED159を用いて、例えば除菌対象の構造体までの所望の距離を測定することができる。少なくとも1つの実施形態において、測距LED159は、例えば、リム157及び/又はカバープレート154の上または内部に配置される。
【0053】
図15は、本開示の実施形態による、取付けブラケット又はクランプ160に固定されたUVランプ140の端部側斜視図である。UVランプ140の各端部は、取付けブラケット又はクランプ160に連結されており、これが、UVランプ140をシュラウド112(図12図14に示す)に固定する。UVランプ140の端部とブラケット160との間には、シリコンの薄いシート(例えば0.040インチ)などの緩衝材を配置してもよい。任意で、図示のものとは異なるブラケットまたはクランプを介して、UVランプ140をシュラウド112に固定してもよい。別の例として、接着剤、ファスナなどによってUVランプ140をシュラウド112に固定してもよい。
【0054】
図16は、本開示の実施形態によるバックパックアセンブリ104の分解斜視図である。バックパックアセンブリ104は、後部外殻172、基部174、及び上蓋176に連結された前壁170を含む。内部チャンバ178は、前壁170、後部外殻172、基部174、及び上蓋176の間に画定されている。内部チャンバ178には、充電式リチウム電池などの1つ又は複数のバッテリ180が収容されている。内部チャンバ178には、空気生成サブシステム182も収容されている。空気生成サブシステム182は、ホース122(例えば図2に示す)内のエアチューブと流体連通している。空気生成サブシステム182は、真空発生装置、送風機などの空気流装置を含み得る。空気流装置は、UVランプを冷却するための空気流を発生させ、除菌ヘッド106からバックパックアセンブリ104内に空気を吸い込んで排気管から排出し、発生したオゾンをシュラウド112などから吸い出すことなどにより除去するように構成されている。
【0055】
バックパックアセンブリ104には、カーボンフィルタなどの1つ又は複数のエアフィルタ183が設けられている。エアフィルタ183は、ホース122を通してバックパックアセンブリ104に空気を送るエアチューブまたは他の同様の送気ダクトまたはラインと連通している。エアフィルタ183は、シュラウド112からバックパックアセンブリ104内に吸い込まれた空気をろ過するように構成されている。例えば、エアフィルタ183は、オゾンを除去、不活性化、または中和するように構成することができる。
【0056】
バックパックアセンブリ104内のバッテリ及び/又は電源は、除菌ヘッド106(例えば図2に示す)のUVランプ140の動作電力を提供する。上壁176は、前壁170及び後部外殻172に取り外し可能に連結することができる。例えば、上壁176を取り外すことで、(バッテリの取り外し及び/又は充電などのために)バッテリ180に手が届く状態となる。消耗品、追加のバッテリ、追加の部品などを収容するための追加のスペースを、バックパックアセンブリ104内に設けてもよい。少なくとも1つの実施形態において、前壁170、後部外殻172、基部174、及び上蓋176は、ガラス繊維エポキシ樹脂によって形成され得る。
【0057】
図17は、本開示の実施形態によるバックパックアセンブリ104に連結されたハーネス105の正面側斜視図である。ハーネス105は、例えば、肩ストラップ190、及び/又は、ウエストもしくはヒップベルト又はストラップ192を含み、これによって、作業者がバックパックアセンブリ104を快適に着用することができる。
【0058】
図1図17を参照すると、作業の際には、作業者は、例えばバックパックアセンブリ104を着用してエリア内を歩く。除菌対象の構造体が見つかると、作業者は、ハンドル108を把持して配置し、除菌ヘッド106をハンドル108に対して伸長させたり回転させたりすることにより、除菌ヘッド106を所望の配置とする。そして、作業者は、例えば、ハンドル108に設けられた起動ボタンを操作するなどによって、UVランプ140を起動させ、除菌用UV光を構造体に照射させる。UVランプ140を起動させると、シュラウド112内に空気150が吸いこまれてUVランプ140を冷却するとともに、発生したオゾンをバックパックアセンブリ104内に送り込み、そこでオゾンはエアフィルタ183によってろ過される。
【0059】
伸長式ワンドアセンブリ102によって、除菌ヘッド106を離れたエリアに到達させることができ、例えば、民間航空機の内部キャビン内の列における3つの乗客シートの組全体などに到達させることができる。
【0060】
図18は、紫外光スペクトルを示している。図1図18を参照すると、少なくとも1つの実施形態において、除菌ヘッド106は、例えば200nm~230nmのような遠紫外スペクトルの除菌用UV光を(UVランプ140の作動によって)出射するように構成されている。少なくとも1つの実施形態において、除菌ヘッド106は、222nmの波長の除菌用UV光を出射する。少なくとも1つの実施形態において、除菌ヘッド106は、例えば230nm~280nmのようなUVCスペクトルの除菌用UV光を出射するように構成されている。
【0061】
図19は、本開示の実施形態による、航空機210の正面側斜視図である。航空機210は、例えば、エンジン214を含む推進系212を含む。任意で、推進系212は、図示よりも多くのエンジン214を含み得る。エンジン214は、航空機210の翼216に搭載されている。他の実施形態において、エンジン214は、胴体218及び/又は尾部220に搭載することもできる。尾部220は、水平安定板222及び垂直安定板224も支持し得る。
【0062】
航空機210の胴体218は、内部キャビン230を画定しており、内部キャビンは、フライトデッキ又はコックピット、1つ又は複数の作業セクション(例えばギャレー、職員持ち込み手荷物エリアなど)、1つ又は複数の乗客セクション(例えばファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラスのセクション)、1つ又は複数の化粧室などを含む。内部キャビン230は、本明細書で説明するように、1つ又は複数の化粧室システム、化粧室ユニット、または化粧室を含む。
【0063】
あるいは、本開示の実施形態は、航空機に代えて、自動車、バス、機関車、鉄道車両、船舶などの他の様々なビークルで用いることができる。さらに、本開示の実施形態は、商業ビルや居住用ビルなどの固定の構造体で用いることもできる。
【0064】
図20Aは、本開示の実施形態による、航空機の内部キャビン230の平面図である。内部キャビン230は、例えば図19の胴体218のような航空機の胴体232内にある。例えば、1つ又は複数の胴体壁が内部キャビン230を画定し得る。内部キャビン230は、前方セクション233、ファーストクラスセクション234、ビジネスクラスセクション236、前方ギャレーステーション238、拡張エコノミーセクション240、標準エコノミーセクション242、及び後方セクション244を含む複数のセクションを含み、これらは、複数の化粧室及びギャレーステーションを含み得る。なお、内部キャビン230は、図示よりも多いセクション又は少ないセクションを含み得る。例えば、内部キャビン230は、ファーストクラスセクションを含まない場合もあり、また、図示よりも多い又は少ないギャレーステーションを含む場合もある。これらのセクションは、例えば、客室区分けエリア246によって区切られており、当該エリアは、通路248どうしの間にクラス仕切りアセンブリを含み得る。
【0065】
図20Aに示すように、内部キャビン230は、後方セクション244に繋がる2つの通路250及び252を含む。任意で、内部キャビン230は、図示よりも少ない又は多い通路を有し得る。例えば、内部キャビン230は、内部キャビン230の中央を通って延びて後方セクション44に繋がる1つの通路を含み得る。
【0066】
通路248、250、及び252は、出口経路又はドア通路260まで延びている。出口ドア262が出口経路260の端に位置している。出口経路260は、例えば通路248、250、252に対して垂直である。内部キャビン230は、図示以外の場所にさらに出口経路260を有する場合もある。図1図18において図示及び説明した携帯型除菌システム100を用いて、内部キャビン230内の様々な構造体、例えば、乗客用の座席、内装設備(monument)、収納箱アセンブリ、化粧室の上や中の部品、ギャレーの設備や部品などを除菌することができる。
【0067】
図20Bは、本開示の実施形態による、航空機の内部キャビン280の平面図である。内部キャビン280は、図19に示した内部キャビン230の一例である。内部キャビン280は、例えば航空機の胴体281内にある。例えば、1つ又は複数の胴体壁が内部キャビン280を画定し得る。内部キャビン280は、乗客用の座席283を有するメインキャビン282及びメインキャビン282の後方の後方セクション285を含む複数のセクションを含む。なお、内部キャビン230は、図示よりも多いセクション又は少ないセクションを含み得る。
【0068】
例えば、内部キャビン280は、後方セクション285に繋がる単一の通路284を含み得る。この単一の通路284は、例えば、内部キャビン280の中央を通って延びて後方セクション285に繋がる。例えば、この単一通路284は、内部キャビン280の中央の縦平面と同軸に配置されている。
【0069】
通路284は、出口経路又はドア通路290まで延びている。出口ドア292が、出口通路290の端に位置している。出口経路290は、例えば通路284に対して垂直である。内部キャビン280は、図示以外の場所にさらに出口経路を有する場合もある。図1図18において図示及び説明した携帯型除菌システム100を用いて、内部キャビン230内の様々な構造体、例えば、乗客用の座席、内装設備、収納箱アセンブリ、化粧室の上や中の部品、ギャレーの設備や部品などを除菌することができる。
【0070】
図21は、本開示の実施形態による、航空機の内部キャビン300の内部斜視図である。内部キャビン300は、天井304に繋がった外側壁(outboard wall)302を含む。外側壁302には、例えば、窓306が形成されている。床308が、座席310の列を支持している。図21に示すように、1つの列312は、通路313の両側に其々2つの座席を有し得る。ただし、列312は、図示よりも多い座席又は少ない座席を有し得る。さらに、内部キャビン300は、図示よりも多い通路を含み得る。
【0071】
PSU(passenger service unit)314が、通路313の両側の外側壁302と天井304との間に固定されている。PSU314は、内部キャビン300の前端と後端との間に延びている。例えば、PSU314は、列312内の各座席310の上方に位置している。各PSU314は、通常、列312内の各座席31(又は座席のグループ)の上方に配置された通気口、読書灯、酸素ボンベ落下パネル、乗務員リクエストボタン及びその他の制御装置を収容するハウジング316を含み得る。
【0072】
頭上収納箱アセンブリ318は、通路313の両側において、PSU314より上方且つ内側で天井304及び/又は外側壁302に固定されている。頭上収納箱アセンブリ318は、座席310の上方に固定されている。頭上収納箱アセンブリ318は、内部キャビン300の前端と後端との間に延びている。各収納箱アセンブリ318は、ストロングバック(図21では隠れている)に枢動可能に固定された枢動式の箱またはバケツ320を含み得る。頭上収納箱アセンブリ318は、例えば、PSU314の下面よりも上方且つ内側に位置している。頭上収納箱アセンブリ318は、乗客の手荷物や身の回り品を入れられるように枢動式に開くように構成されている。
【0073】
本明細書において、「外側(outboard)」という用語は、別の部品と比べて内部キャビン300の中央の縦平面322から遠い位置を意味する。「内側(inboard)」とは、別の部品と比べて、内部キャビン300の中央の縦平面322に近い位置を意味する。例えば、PSU314の下面は、収納箱アセンブリ318に対して外側にある。
【0074】
図1図18において図示及び説明した携帯型除菌システム100を用いて、内部キャビン300内の様々な構造体を除菌することができる。一例として、携帯型除菌システム100を用いて、航空機のコックピット又はフライトデッキ内の様々な部品を除菌することができる。
【0075】
携帯型除菌システム100は、使用しない時は、例えばビークルの内部キャビン内のクローゼット、ギャレーカートベイ、またはギャレーカートなどに収容することができる。
【0076】
図22は、ビークルの内部キャビンの化粧室330の内部斜視図であり、内部キャビンは、例えば本明細書に記載の内部キャビンのいずれかである。化粧室330は、例えばビークルの内部キャビン内などにある閉鎖された空間、内装設備、またはチャンバの一例である。化粧室330は、上述のように、例えば航空機に搭載されたものである。任意で、化粧室330は、他の様々なビークルに搭載のものである。他の実施形態において、化粧室330は、商業ビルや居住用ビルなどの固定の構造体内にあるものでもよい。化粧室330は、トイレ332、キャビネット334、シンク336または洗面台を支持する底面床331を含む。化粧室330は、図示とは配置が異なる場合もある。化粧室330は、図示よりも多くの部品又は少ない部品を含み得る。図1図18において図示及び説明した携帯型除菌システム100を用いて、化粧室330内の様々な構造体、部品、及び、表面を除菌することができる。
【0077】
本開示のいくつかの実施形態は、紫外線(UV)ランプを含むワンドアセンブリにバックパックアセンブリを連結することを含む携帯式除菌方法を提供する。少なくとも1つの実施形態において、前記連結することは、バックパックアセンブリをホースでワンドアセンブリに連結することを含む。
【0078】
少なくとも1つの実施形態において、この携帯式除菌方法は、バックパックアセンブリの空気流装置によって、UVランプを冷却するための空気流を発生させること、バックパックアセンブリの空気流装置によって、ワンドアセンブリの除菌ヘッドから空気を吸い込むこと、及び/又は、バックパックアセンブリの空気流装置によって、ワンドアセンブリの除菌ヘッドからオゾンを除去すること、をさらに含む。
【0079】
少なくとも1つの実施形態において、この携帯式除菌方法は、バックパックアセンブリの少なくとも1つのエアフィルタによって、ワンドアセンブリの除菌ヘッドから吸い込んだ空気をろ過することを含む。
【0080】
少なくとも1つの実施形態において、この携帯式除菌方法は、バックパックアセンブリ内に収容された1つ又は複数のバッテリによってUVランプに電力を供給することをさらに含む。
【0081】
図1図22を参照すると、携帯型除菌システム100を用いることにより、タイムリー且つ費用対効果の高い方法で、フライトデッキや内部キャビン内の触れる機会の多い表面を安全且つ効果的に除菌することができる。UV消毒により、例えばフライトの合間などに、内部キャビンを迅速且つ効果的に消毒することができる。少なくとも1つの実施形態において、携帯型除菌システム100を用いて、例えば手作業によるクリーニングの後などにクリーニング処理を補うことができる。
[付記]
【0082】
さらに、本開示は、以下の付記による実施形態を含む。
【0083】
付記1. 紫外線(UV)ランプを含むワンドアセンブリと、
前記ワンドアセンブリに連結されたバックパックアセンブリと、を含む、携帯型除菌システム。
【0084】
付記2. 前記バックパックアセンブリを前記ワンドアセンブリに連結するホースをさらに含む、付記1に記載の携帯型除菌システム。
【0085】
付記3. 前記バックパックアセンブリは、前記UVランプを冷却するための空気流を発生させること、前記ワンドアセンブリの除菌ヘッドから空気を吸い込むこと、または、前記除菌ヘッドからオゾンを除去すること、のうちの1つ又は複数を行うように構成された空気流装置を含む、付記1又は2に記載の携帯型除菌システム。
【0086】
付記4. 前記バックパックアセンブリは、前記ワンドアセンブリの除菌ヘッドから吸い込んだ空気をろ過するように構成された少なくとも1つのエアフィルタを含む、付記1~3のいずれかに記載の携帯型除菌システム。
【0087】
付記5. 前記バックパックアセンブリは、前記UVランプに電力を供給する1つ又は複数のバッテリを含む、付記1~4のいずれかに記載の携帯型除菌システム。
【0088】
付記6. 前記UVランプは、200nm~230nmの波長のUV光を出射するように構成されている、付記1~5のいずれかに記載の携帯型除菌システム。
【0089】
付記7. 前記UVランプは、222nmの波長のUV光を出射するように構成されている、付記1~5のいずれかに記載の携帯型除菌システム。
【0090】
付記8. 前記UVランプは、230nm~280nmの波長のUV光を出射するように構成されている、付記1~5のいずれかに記載の携帯型除菌システム。
【0091】
付記9. 前記UVランプは、254nmの波長のUV光を出射するように構成されている、付記1~5のいずれかに記載の携帯型除菌システム。
【0092】
付記10. 前記ワンドアセンブリは、前記UVランプを有する除菌ヘッドを含む、付記1~9のいずれかに記載の携帯型除菌システム。
【0093】
付記11. 前記ワンドアセンブリは、前記除菌ヘッドに連結されたハンドルをさらに含む、付記10に記載の携帯型除菌システム。
【0094】
付記12. 前記ワンドアセンブリは、前記除菌ヘッドに前記ハンドルを移動可能に連結する連結器をさらに含む、付記11に記載の携帯型除菌システム。
【0095】
付記13. 前記除菌ヘッドは、前記ハンドルに対して直線的並進移動または旋回のうちの一方又は両方を行うように構成されている、付記11又は12に記載の携帯型除菌システム。
【0096】
付記14. 前記除菌ヘッドは、前記UVランプを保持するシュラウドを含む、付記10~13のいずれかに記載の携帯型除菌システム。
【0097】
付記15. 前記シュラウドは、前記シュラウド内に空気を流入させるように構成された1つ又は複数の開口を含む、付記14に記載の携帯型除菌システム。
【0098】
付記16. 前記シュラウドの下面に固定された反射器をさらに含み、前記反射器は、前記UVランプによって出射された前記UV光の一部を反射するように構成されている、付記14又は15に記載の携帯型除菌システム。
【0099】
付記17. 前記除菌ヘッドは、
反射器、及び、
カバープレートをさらに含み、
前記UVランプは、前記反射器と前記カバープレートとの間に画定された内部チャンバに内に固定されている、付記14又~16のいずれかに記載の携帯型除菌システム。
【0100】
付記18. 紫外線(UV)ランプを含むワンドアセンブリにバックパックアセンブリを連結することを含む、携帯式除菌方法。
【0101】
付記19. 前記連結することは、前記バックパックアセンブリをホースで前記ワンドアセンブリに連結することを含む、付記18に記載の携帯式除菌方法。
【0102】
付記20. 前記バックパックアセンブリの空気流装置によって、前記UVランプを冷却するための空気流を発生させること、
前記バックパックアセンブリの前記空気流装置によって、前記ワンドアセンブリの除菌ヘッドから空気を吸い込むこと、
前記バックパックアセンブリの前記空気流装置によって、前記ワンドアセンブリの前記除菌ヘッドからオゾンを除去すること、のうちの1つ又は複数をさらに含む、付記18又は19に記載の携帯式除菌方法。
【0103】
付記21. 前記バックパックアセンブリの少なくとも1つのエアフィルタによって、前記ワンドアセンブリの除菌ヘッドから吸い込んだ空気をろ過することをさらに含む、付記18~20のいずれかに記載の携帯式除菌方法。
【0104】
付記22. 前記バックパックアセンブリ内に収容された1つ又は複数のバッテリによって、前記UVランプに電力を供給することをさらに含む、付記18~21のいずれかに記載の携帯式除菌方法。
【0105】
付記23. 紫外線(UV)ランプを含むワンドアセンブリと、
前記ワンドアセンブリに連結されたバックパックアセンブリと、を含み、前記バックパックアセンブリは、
前記UVランプを冷却するための空気流を発生させること、前記ワンドアセンブリの除菌ヘッドから空気を吸い込むこと、または、前記除菌ヘッドからオゾンを除去すること、のうちの1つ又は複数を行うように構成された空気流装置と、
前記ワンドアセンブリの除菌ヘッドから吸い込んだ空気をろ過するように構成された少なくとも1つのエアフィルタと、
前記UVランプに電力を供給する1つ又は複数のバッテリと、を含む、携帯型除菌システム。
【0106】
本明細書で説明したように、本開示の実施形態は、ビークルの内部キャビン内の表面、部品、構造体などを効率的に殺菌するシステム及び方法を提供する。さらに、本開示の実施形態は、内部キャビン内の表面をUV光を用いて殺菌するためのコンパクトで使いやすく安全なシステム及び方法を提供する。
【0107】
本開示の実施形態を説明するために、上、底、下、中央、側方、水平、垂直、前などの様々な空間および方角に関する用語を用いたが、これらの用語は図面に示した向きについて用いたに過ぎない。これらの向きは、逆転、回転、または他の方法で変更することができ、その場合には、上部が下部となったりまたその逆となったり、あるいは、水平方向が垂直方向になったり、またその逆となったりする。
【0108】
本明細書において、ある処理や動作を実行する「ように構成された」構造、限定事項、又は要素は、当該処理や動作に対応するように具体的に構造的な形成、構成、又は適合化がなされたものである。明瞭化のため、また疑義を避けるために付言すると、当該処理や動作を実行するように単に改変することができるに過ぎないものは、ここでいう、処理や動作を実行するように「構成された」ものには該当しない。
【0109】
なお、上述した説明は、例示的なものであり、限定を意図するものではない。例えば、上述の実施形態(及び/又はその側面)は、互いに組み合わせて用いることができる。加えて、様々な実施形態の範囲を逸脱することなく、これらの教示に特定の状況や材料を適合させる多くの変形が可能である。本明細書で説明した材料の寸法や種類は、本開示の様々な実施形態におけるパラメータを明確にするためのものであり、これらの実施形態は、限定を課すものではなく、例示的な実施形態に過ぎない。上述の説明を検討すれば、当業者には他の多くの実施形態が明らかであろう。従って、本開示の様々な実施形態の範囲は、添付の請求の範囲を、これら請求の範囲に認められる均等物の範囲と併せて参照して決定されるべきである。また、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、単なる区別のための標識として用いられており、これらにより言及される対象に数的な要件を課すものではない。
【0110】
本明細書の記載は、例を用いてベストモードを含む様々な実施形態を開示するものであり、また、任意の装置又はシステムの作製および使用、並びに、組み入れられた方法の実行を含む本開示の様々な実施形態を当業者にとって実施可能にするものである。本開示の様々な実施形態についての特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって規定されるものであり、当業者が想定しうる他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが、特許請求の範囲の文言と相違のない構成要素を有する場合、又は、特許請求の範囲の文言に対して非本質的な相違を有するだけの均等の構成要素を含む場合、特許請求の範囲に包含されると考えられるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図21
図22