(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-01
(45)【発行日】2025-07-09
(54)【発明の名称】油膜軸受の動作条件を表すパラメータを監視するための監視システム
(51)【国際特許分類】
F16N 29/00 20060101AFI20250702BHJP
F16C 41/00 20060101ALI20250702BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20250702BHJP
F16C 17/24 20060101ALI20250702BHJP
G01M 13/04 20190101ALI20250702BHJP
B21B 1/00 20060101ALI20250702BHJP
B21B 38/08 20060101ALI20250702BHJP
B21B 38/04 20060101ALI20250702BHJP
B21B 38/00 20060101ALI20250702BHJP
B21B 31/07 20060101ALI20250702BHJP
【FI】
F16N29/00 B
F16C41/00
F16C17/02 Z
F16C17/24
F16N29/00 C
F16N29/00 Z
G01M13/04
B21B1/00
B21B38/08
B21B38/04 A
B21B38/00 C
B21B31/07 E
(21)【出願番号】P 2023544260
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 IB2022050744
(87)【国際公開番号】W WO2022162596
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】102021000001889
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】523275190
【氏名又は名称】ダニエーリ エ チ.オフィシーネ メカニケ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノービレ、マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェロネージ、エンリコ
(72)【発明者】
【氏名】ビティエッロ、ジャンルイジ
【審査官】沖 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-097316(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0122838(US,A1)
【文献】特開平10-307065(JP,A)
【文献】特開2005-017147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16N 29/00
F16C 41/00
F16C 17/02
F16C 17/24
G01M 13/04
B21B 1/00
B21B 38/08
B21B 38/04
B21B 38/00
B21B 31/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共に軸Xを画定する静止構成要素(2)と回転構成要素(3、4)との間に、油膜(10)が存在し、前記回転構成要素(3、4)が、前記静止構成要素(2)の内側に配置され、前記軸Xの周りに回転するように適合される、油膜軸受の動作条件を表すパラメータを監視するための監視システムであって、
前記油膜の油圧を検出するための、少なくとも1つの圧力センサ(5)と、
前記静止構成要素(2)と前記回転構成要素(3、4)との間の距離を検出するための、及びそれによって前記油膜の厚さを検出するための、少なくとも1つの距離センサ(8)と、
前記油膜の温度を検出するための、少なくとも1つの温度センサ(9)と
を備え、
前記少なくとも1つの圧力センサ(5)、前記少なくとも1つの距離センサ(8)、及び前記少なくとも1つの温度センサ(9)が、前記回転構成要素(3、4)に収容さ
れ、
凸角の中心角に対応する領域において、前記回転構成要素(3、4)の周辺部に沿って配置される、ただ1つの圧力センサ(5)、ただ1つの距離センサ(8)、及びただ1つの温度センサ(9)が、設けられることを特徴とする、監視システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの圧力センサ(5)が、前記回転構成要素(3、4)内に得られる第1の穴若しくは空洞に収容され、前記少なくとも1つの距離センサ(8)が、前記回転構成要素(3、4)内に得られる第2の穴若しくは空洞に収容され、前記少なくとも1つの温度センサ(9)が、前記回転構成要素(3、4)内に得られる第3の穴若しくは空洞に収容されるか、
前記少なくとも1つの圧力センサ(5)、前記少なくとも1つの距離センサ(8)、若しくは前記少なくとも1つの温度センサ(9)のうちのいずれか2つが、前記回転構成要素(3、4)内に得られる第1の穴若しくは空洞に収容され、他の1つが、前記回転構成要素(3、4)内に得られる第2の穴若しくは空洞に収容されるか、又は
前記少なくとも1つの圧力センサ(5)、前記少なくとも1つの距離センサ(8)、及び前記少なくとも1つの温度センサ(9)が、前記回転構成要素(3、4)内に得られる単一の穴若しくは空洞に収容される、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記圧力センサ(5)、前記距離センサ(8)、及び前記温度センサ(9)が、前記軸X上に中心を有する円周の同じ部分に沿って配置される、
請求項1又は2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの圧力センサ(5)、前記少なくとも1つの距離センサ(8)、及び前記少なくとも1つの温度センサ(9)が、それぞれの前記センサによって生成される信号をデジタル化するためのデジタル化装置(7)へ、それぞれのケーブル(6)によって接続され、
前記デジタル化装置(7)が、回転継手によって、又は無線で、デジタル化された信号を送信するように適合される、
請求項1から
3までのいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項5】
前記静止構成要素(2)が、ブッシングであり、前記回転構成要素(3、4)が、シャフト・ピン(4)、又はシャフト・ピン(4)が挿入されるスリーブ(3)から成る、請求項1から
4までのいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項6】
前記シャフト・ピン(4)が、圧延機スタンド又は連続鋳造装置又はコイル形成システムにおいて使用するためのロール(11)のネック又はピンである、請求項
5に記載の監視システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの圧力センサ(5)、前記少なくとも1つの距離センサ(8)、及び前記少なくとも1つの温度センサ(9)が、摺動接点、電池、無線、又はオルタネータ及びフライホイールを設けられた装置によって、電力供給される、請求項1から
6までのいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの圧力センサ(5)、前記少なくとも1つの距離センサ(8)、及び前記少なくとも1つの温度センサ(9)が、前記軸Xに対して径方向又は前記軸Xに対して90°以外の角度で傾斜する、軸Jを画定する穴又は空洞に収容される、請求項1から
7までのいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項9】
各ロール(11)が、それぞれのチョック(1)によって支持される端部ピン(4)を有する、圧延機スタンドであって、
回転構成要素(3、4)が内部を横切る静止構成要素(2)が、各チョック(1)の貫通穴に収容され、前記静止構成要素(2)及び前記回転構成要素(3、4)が、軸Xを画定し、
油膜が、前記静止構成要素(2)と前記回転構成要素(3、4)との間に配置され、
前記回転構成要素(3、4)が、それぞれのロール(11)の端部ピン(4)、又は前記端部ピン(4)が挿入されるスリーブ(3)から成り、
請求項1から
8までのいずれか一項に記載の監視システムが、前記油膜の前記動作条件を表すパラメータを監視するために設けられる、
圧延機スタンド。
【請求項10】
各ロールが、それぞれのチョック(1)によって支持される端部ピン(4)を有する、連続ロール鋳造装置であって、
回転構成要素(3、4)が内部を横切る静止構成要素(2)が、各チョック(1)の貫通穴に収容され、前記静止構成要素及び前記回転構成要素が、軸Xを画定し、
油膜が、前記静止構成要素(2)と前記回転構成要素(3、4)との間に配置され、
前記回転構成要素(3、4)が、それぞれのロール(11)の端部ピン(4)、又は前記端部ピン(4)が挿入されるスリーブ(3)から成り、
請求項1から
8までのいずれか一項に記載の監視システムが、前記油膜の前記動作条件を表すパラメータを監視するために設けられる、
連続ロール鋳造装置。
【請求項11】
各ロールが、それぞれのチョック(1)によって支持される端部ピン(4)を有する、コイル形成システムであって、
回転構成要素(3、4)が内部を横切る静止構成要素(2)が、各チョック(1)の貫通穴に収容され、前記静止構成要素及び前記回転構成要素が、軸Xを画定し、
油膜が、前記静止構成要素(2)と前記回転構成要素(3、4)との間に配置され、
前記回転構成要素(3、4)が、それぞれのロール(11)の端部ピン(4)、又は前記端部ピン(4)が挿入されるスリーブ(3)から成り、
請求項1から
8までのいずれか一項に記載の監視システムが、前記油膜の前記動作条件を表すパラメータを監視するために設けられる、
コイル形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば圧延機スタンド又はロール鋳造装置又はコイル形成システムに設けられる、油膜軸受の監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鋼板及び鋼帯のための圧延機スタンドにおいて、及び他の同様の適用(例えば、連続ロール鋳造装置、成形製品圧延機、コイル形成システム)において、ロールは、軸受によって支持される。
【0003】
これらの軸受のために使用される主要な技術の1つが、油膜を用いた解決策であり、最も頻繁には交換可能なスリーブによって覆われるシャフトが、静止ブッシングの内側で回転する。
【0004】
部品間の摩擦及び摩耗を制限するために、ある量の油が、ブッシングとスリーブとの間に注入されて、摩擦を低減又はほぼ排除し、相対運動をする2つの部品間の強い接触を防ぐことが可能な、油の層を作り出す。
【0005】
原理的には、この回転では摩擦及び摩耗が無く、シャフトが、案内要素として作用するブッシングに対して同軸であることが理解される。実際には、摩擦及び摩耗は、最小化されるが、依然として存在し、シャフトの変形及びブッシングに対する関連する変位が、起こる可能性があり、部品の摩耗を起こす作動条件を決定する。さらに、これらの条件により、シャフトとブッシングとの間の不均一な距離、圧力のピーク、及び油の加熱が起こり得る。したがって、油膜の温度、圧力及び厚さは、負荷、回転速度、及び他の動作条件に応じて、2つの構成要素間の隙間において変化する。
【0006】
現在、これらの条件は、主に、理論的又は経験的モデルによって何らかの概算で予測され、それらの評価は、部品への負荷、残存する摩耗、軸受の寿命を推定することを可能にする。
【0007】
不都合なことに、予測の水準は、予測の低い精度だけでなく、作動条件の変動性にも起因して、早発及び偶発的な欠陥を予期するには、又は実際に達成可能な性能を決定するには十分ではない。
【0008】
当技術分野において油膜動作条件を推定する能力を有することは、不確実性を減少させ、予測精度の向上を可能にし、実際の動作条件に関する不確実性を排除して軸受の性能及び寿命を向上させる有益な効果を挙げ、そして動作の実行を改善して軸受の挙動を最適化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、前述の欠点を克服することが可能な、油膜軸受の動作条件の監視システムを作成することに対する需要が考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、油膜軸受における動作条件のより効果的な監視のための新規な解決策を作成することである。
【0011】
本発明のさらなる目標は、油膜軸受に固有の3種のパラメータである、シャフトとブッシングとの間に、又はシャフト・スリーブとブッシングとの間に注入された潤滑油の圧力、温度、及び層の厚さの継続的監視を可能にする、監視システムを提供することである。
【0012】
本発明は、本明細書に照らして明らかとなる、これら及び他の目的を達成するものであり、共に軸を画定する静止構成要素と少なくとも1つの回転構成要素との間に、油膜が存在し、少なくとも1つの回転構成要素が、静止構成要素の内側に配置される、請求項1に記載の油膜軸受の動作条件を表すパラメータを監視するためのシステムであって、
- 油膜の油圧を検出するための、少なくとも1つの圧力センサと、
- 静止構成要素と少なくとも1つの回転構成要素との間の距離を検出するための、及びそれによって油膜の厚さを検出するための、少なくとも1つの距離センサと、
- 油膜の温度を検出するための、少なくとも1つの温度センサと
を備え、
少なくとも1つの圧力センサ、少なくとも1つの距離センサ、及び少なくとも1つの温度センサが、少なくとも1つの回転構成要素に収容される、
監視システムによる。
【0013】
したがって、本解決策は、3種の主要なパラメータである、油膜温度、油膜厚さ、及び油圧をマッピングすることを可能にする。
【0014】
有利には、3種類のセンサが、静止ハウジングの代わりに、回転シャフトに、又は回転シャフトに取り付けられるスリーブに設置される。
【0015】
センサが回転構成要素と共に回転することができるので、油膜の前述の3種のパラメータが、異なる区域において測定されることが可能であり、マッピングが達成され得ることが有利である。
【0016】
本発明の解決策により、これらの3種のパラメータが、軸X上に実質的な中心を有する1つ又は複数の円周に沿って間隔を空けて並ぶ、特に軸受の幅(軸Xに平行、
図1)に沿って間隔を空けて並ぶ、油膜の各点について測定されて、実際の作動条件の正確な再現を可能にし、加えて、しばしば予測不能であるが機械的構成要素への局所的な応力に明らかに影響を及ぼし損傷及び摩耗を引き起こし得る、軸受の内側のシャフトの起こり得る変形の正確な再現を可能にし得る。
【0017】
以下の3種類のセンサが、例えば、油膜の温度、圧力及び厚さを同時に測定するために使用され得る。
- 加えられる圧力に基づいて電気信号を作り出すことができる、ピエゾ抵抗型センサ又は他の好適なセンサなどの、圧力センサのセット。
- 測定される温度に基づいて電気信号を作り出すことができる、熱電対又は他の好適なセンサなどの、温度センサのセット。
- それらの間に油隙が存在する場合に、ブッシングとスリーブとの間の距離又はブッシングとシャフトとの間の距離を読み取ることが可能な、誘導センサ又は他の好適なセンサなどの、距離センサのセット。
【0018】
本発明による監視システムは、多数のセンサがそれらへの電力の供給を簡素化するために軸受の静止部位に設置され、センサが上述のパラメータのうちの1つのみを監視する他の可能な監視システムと異なり、少数のセンサを使用して高解像度で前述の3種のパラメータの正確なマッピングを得ることを可能にすることが有利である。
【0019】
その代わりに、本発明においては、センサは、スリーブが存在する場合にはスリーブに、又はシャフトに直接に搭載され、その結果、例えば、各種類のセンサごとに、2つ以上のセンサを有するセンサの単一の列が、軸方向に適切な間隔を有して、設置され得る。したがって、シャフトに掛けられる回転により、規則的な測定グリッドが得られる。
【0020】
代替的に、センサの種類ごとにただ1つのセンサが、設けられてもよい。
【0021】
センサは、摺動接点、電池、無線によって、又はその他、オルタネータ及びフライホイールを装備する装置などによって、電力供給され得る。このようにして、既存の設備も、複雑な技術的介入を要さずに調整され得る。
【0022】
先行技術に優る、本発明の解決策のいくつかの利点を、以下に列挙する。
- 軸受の動作条件の効率的な監視。
- 起こり得る事故を予期し、したがって、事故を減らすことが可能であること。
- 測定された条件が良好であれば、軸受を従来の動作時間を超えて動作させることが可能であること。
- 費用削減。
- 前述の3種のパラメータを独立して監視することが可能であること。
- 新たな負担の発生なく、既存の機械への設置が可能であること。
【0023】
本発明は、請求項11に記載の圧延機スタンド、請求項12に記載の連続ロール鋳造装置、及び請求項13に記載のコイル形成システムにさらに関する。
【0024】
本発明のさらなる特徴及び利点が、好ましいが排他的ではない実施例の詳細な説明に照らして、より明らかとなる。
【0025】
従属請求項が、本発明の特定の実施例を説明する。
【0026】
本発明の説明は、非限定的な実例として提供される、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2】
図1の紙面に垂直な平面に沿って切り取られた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
同じ要素又は構成要素は、同じ参照符号を使用して参照される。
【0029】
本発明による監視システムの例示的な実施例が、図を参照して説明される。
【0030】
監視システムは、例えば圧延機スタンド、連続ロール鋳造装置、又はコイル形成システムにおいて有利に使用され得、特にそれらにおいて実装され得る。
【0031】
監視システムは、特に、軸Xを画定する静止構成要素2と少なくとも1つの回転構成要素3、4との間に、油膜が配置され、少なくとも1つの回転構成要素3、4が、静止構成要素2の内側に配置される、油膜軸受の動作条件を表すパラメータを監視するために使用される。
【0032】
用語「回転構成要素」は、特に、回転が可能である構成要素、すなわち、回転可能構成要素を指す。より特に、構成要素は、軸Xの周りに回転することが可能である。
【0033】
用語「静止構成要素」は、特に、特に回転構成要素の回転中に、定位置に固定されている構成要素を意味する。
【0034】
全ての実施例において、監視システムは、
- 油膜の油圧を検出するための、少なくとも1つの圧力センサ5と、
- 静止構成要素2と少なくとも1つの回転構成要素3、4との間の距離を検出するための、及びそうして油膜の厚さを検出するための、少なくとも1つの距離センサ8と、
- 油膜の温度を検出するための、少なくとも1つの温度センサ9と
を備える。
【0035】
有利には、少なくとも1つの圧力センサ5、少なくとも1つの距離センサ8、及び少なくとも1つの温度センサ9は、少なくとも1つの回転構成要素3、4に収容される。
【0036】
特に、少なくとも1つの圧力センサ5、少なくとも1つの距離センサ8、及び少なくとも1つの温度センサ9は、少なくとも1つの回転可能構成要素3、4と共に回転することができるように、例えば少なくとも1つの回転可能構成要素3、4と一体的に回転することができるように、少なくとも1つの回転可能構成要素3、4に収容される。
【0037】
各センサ5、8、9が軸Xの周りで一回転すると、センサが移動した円周に沿ってセンサによって検出されるパラメータの測定値が、得られ得ることが有利である。したがって、各センサ5、8、9は、異なる角度位置でそれぞれのパラメータを検出することができることが有利である。
【0038】
好ましくは、各センサ5、8、9は、回転構成要素3、4の周辺領域に配置される。
【0039】
排他的ではないが好ましくは、各センサ5、8、9の部位が、回転構成要素3、4の周辺部の部分を画定する。回転構成要素3、4の周辺部は、静止構成要素2に近位の回転構成要素3、4の部分である。
【0040】
少なくとも1つの圧力センサ5、少なくとも1つの距離センサ8、及び少なくとも1つの温度センサ9は、好ましくは、少なくとも1つの回転構成要素3、4の1つ又は複数の穴又は空洞に配置される。
【0041】
好ましくは、各穴又は空洞は、望まない油の浸入を防ぐために、適切に栓をされる。例えば、各穴又は空洞は、それぞれのセンサ5、8、9によって、及び/又は封止手段によって、栓をされ得る。
【0042】
特に、各穴又は空洞を区切る壁は、それぞれの軸J(そのうちの1つが
図1に示される)の周りに延び、軸Jは、好ましくは、軸Xを横断する。好ましくは、穴又は空洞の軸Jは、互いに平行である。第1の変形例において、穴又は空洞の軸Jは、軸Xに垂直であり、それによって、センサは、軸Xに対して径方向に配置される。
【0043】
第2の変形例において、穴又は空洞の軸Jの各々は、軸Xに対して90°以外の角度をなし、それによって、センサは、軸Xに対して径方向に配置されない。
【0044】
好ましくは、少なくとも1つの圧力センサ5は、少なくとも1つの回転構成要素3、4内に得られる第1の穴又は空洞に収容され、少なくとも1つの距離センサ8は、少なくとも1つの回転構成要素3、4内に得られる第2の穴又は空洞に収容され、少なくとも1つの温度センサ9は、少なくとも1つの回転構成要素3、4内に得られる第3の穴又は空洞に収容される。特に、第1の穴又は空洞、第2の穴又は空洞、及び第3の穴又は空洞は、互いに別個である。
【0045】
代替的に、少なくとも1つの圧力センサ5、少なくとも1つの距離センサ8、又は少なくとも1つの温度センサ9のうちのいずれか2つが、少なくとも1つの回転構成要素3、4内に得られる第1の穴又は空洞に収容され、他の1つが、少なくとも1つの回転構成要素3、4内に得られる第2の穴又は空洞に収容される。例えば、1つ又は複数の圧力センサ5、及び1つ又は複数の距離センサ8が、第1の穴又は空洞に収容され、1つ又は複数の温度センサ9が、第2の穴又は空洞に収容される。
【0046】
代替的に、少なくとも1つの圧力センサ5、少なくとも1つの距離センサ8、及び少なくとも1つの温度センサ9は、少なくとも1つの回転構成要素3、4内に得られる単一の穴又は空洞に収容される。例えば、圧力センサ5、距離センサ8、及び温度センサ9は、同じ穴又は空洞に配置され得る。例えば、2つ以上の穴又は空洞が設けられることが可能であり、それらの各々に、圧力センサ5、距離センサ8、及び温度センサ9が収容される。
【0047】
好ましくは、2つ以上の圧力センサ5、2つ以上の距離センサ8、及び2つ以上の温度センサ9が設けられる。
【0048】
好ましくは、2つ以上の圧力センサ5は、軸Xに対して互いから軸方向に隔てられる、及び/又は2つ以上の距離センサ8は、軸Xに対して互いから軸方向に隔てられる、及び/又は2つ以上の温度センサ9は、軸Xに対して互いから軸方向に隔てられる。
【0049】
好ましくは、圧力センサ5の列、距離センサ8の列、及び温度センサ9の列が設けられ、各列が軸Xに平行な方向に沿って配置される。
【0050】
換言すると、2つ以上の圧力センサ5が、列を形成するように配置される。特に、2つ以上の圧力センサ5が、特に軸Xに平行な方向に沿って、互いと整列する。距離センサ8及び温度センサ9についても、同様である。
【0051】
こうして、3種のパラメータが、軸Xに沿って異なる位置で測定され得ることが有利である。
【0052】
好ましくは、圧力センサ5の列、距離センサ8の列、及び温度センサ9の列は、好ましくは凸角の中心角に対応する領域において、少なくとも1つの回転構成要素3、4の周辺部に沿って配置される。
【0053】
好ましくは、圧力センサ5は、互いに等距離にあり、距離センサ8は、互いに等距離にあり、温度センサ9は、互いに等距離にある。
【0054】
好ましい変形例において、1つの圧力センサ5とその次のものとの間の距離は、1つの距離センサ8とその次のものとの間の距離、及び1つの温度センサ9とその次のものとの間の距離の両方と等しい。
【0055】
好ましくは、圧力センサ5、距離センサ8、温度センサ9から成る各3つ組は、軸X上に中心を有する円周の部分に沿って配置される。
【0056】
しかしながら、好ましくは凸角の中心角に対応する領域において、特に少なくとも1つの回転構成要素3、4の周辺部に沿って配置される、ただ1つの圧力センサ5、ただ1つの距離センサ8、及びただ1つの温度センサ9を設けてもよい。好ましくは、センサ5、8、9のこの単一の3つ組は、軸X上に中心を有する円周の部分に沿って配置される。
【0057】
全ての実施例において、少なくとも1つの圧力センサ5、少なくとも1つの距離センサ8、及び少なくとも1つの温度センサ9は、デジタル化装置7へ、それぞれのケーブル6、特に電気ケーブルによって接続される。デジタル化装置7は、それぞれのセンサ5、8、9によって生成される信号をデジタル化するように構成される。好ましくは、デジタル化装置7は、回転継手によって、又は無線で、デジタル化された信号を送信するように適合される。
【0058】
デジタル化装置7は、好ましくは、センサ5、8、9の信号を増幅及び変換、特にデジタル化することが可能な電子ハードウエアを包含する、筐体を備える。
【0059】
デジタル化装置7、特にその筐体は、好ましくは、回転構成要素3、4に、特に、例えばシャフト・ピンである、回転構成要素4に搭載される。より詳細には、デジタル化装置7は、好ましくは、回転構成要素4に固定され、その結果、デジタル化装置7は、それと共に、例えばそれと一体的に、回転することができる。
【0060】
好ましくは、デジタル化装置7は、回転構成要素4の軸端(軸Xに関して軸方向の)に固定される。好ましくは、デジタル化装置7は、軸Xを横切るように配置される。
【0061】
全ての実施例において、少なくとも1つの圧力センサ5、少なくとも1つの距離センサ8、及び少なくとも1つの温度センサ9は、摺動接点、電池、無線、又はオルタネータ及びフライホイールを設けられた装置によって、電力供給され得る。
【0062】
特に、装置は、回転構成要素4に固定され、その結果、装置は、それと一体的に回転することができる。回転構成要素4及び装置は、互いに同軸(軸Xに対して)であるように配置される。
【0063】
回転構成要素4が軸Xの周りに回転すると、フライホイールが、回転され、回転すると、オルタネータによってエネルギーを生成する。このようにして、センサ5、8、9は、電池を必要とすることなく、電力供給され得る。
【0064】
静止構成要素2は、例えば、ブッシング2である。
【0065】
少なくとも1つの回転構成要素3、4は、例えば、シャフト・ピン4(若しくは端部ピン)、又はシャフト・ピン4が挿入されるスリーブ3から成る。
【0066】
シャフト・ピン4は、例えば、圧延機スタンド又は連続鋳造装置又はコイル形成システムのロール11のネック又はピンである。
【0067】
図示される実例において、センサ5、8、9は、スリーブ3に収容される。スリーブ3とブッシング2との間に、油膜が存在する。特に、油膜は、スリーブ3及びブッシング2と接触する。好ましくは、それらの間に油膜が存在する、スリーブ3の表面及びブッシング2の表面は、円筒形又は実質的に円筒形である。
【0068】
ピン、特にシャフト・ピン4又は端部ピンは、スリーブ3に挿入される。
【0069】
好ましくは、スリーブ3は、外面が先細りである、例えば円錐台形状である、シャフト・ピン4の部分の周りに配置される。この場合、スリーブ3の内面もまた、特に、シャフト・ピン4の表面部が先細りになる方向と反対の方向に、先細りである、例えば円錐台形状である。好ましくは、スリーブ壁3の、軸Yに平行な厚さは、軸Xに沿って外向きに増加していく。軸Yは、軸Xと直交する。
【0070】
シャフト・ピン4は回転するようになっている。スリーブ3とシャフト・ピン4は互いに固定され、特にスリーブ3とシャフト・ピン4は一体的に回転するように設計される。
【0071】
センサ5、8、9がスリーブ3に収容される場合、穴又は空洞の軸Jは、好ましくは、軸Xに垂直であり、それによって、センサは、軸Xに対して径方向に穴に配置される。
【0072】
使用されるセンサの最大寸法が軸Yに沿ったスリーブ3の厚さを超える場合、穴又は空洞の軸J(
図1)が、傾斜して、軸Xに対して90°以外の角度を形成し、その結果、センサが、軸Xに対して径方向に配置されないことが好ましい。この解決策は、シャフト・ピン4を変更せずスリーブ3のみを改変することを可能にし、それによって、この解決策は、後付けの場合に適用され得る。
【0073】
代替的な実例(図示せず)において、センサ5、8、9は、例えば、ピン、特にシャフト・ピン4又は端部ピン4である、回転構成要素4に収容される。特に、スリーブ3は設けられない。シャフト・ピン4とブッシング2との間に、油膜が存在する。特に、油膜は、シャフト・ピン4及びブッシング2と接触する。ここでも、穴又は空洞の軸Jが、軸Xに垂直であることが好ましい。しかしながら、穴又は空洞の軸Jは、傾斜して、軸Xに対して90°以外の角度を形成することができる。
【0074】
図1は、ロール11の一部を示している。ロール11は、被加工材と接触する部分を有する。
【0075】
ロール11は、2つのシャフト・ピン4又は端部ピン4を設けられ、そのうちの1つが、
図1に示される。シャフト・ピン4は、特に、ロール11の軸方向の(軸Xに関して)端部分である。加工される材料と接触するように適合される前述の部分は、2つのシャフト・ピン4の間に延びる。
【0076】
各端部ピン4は、それぞれのチョック1によって支持される。静止構成要素2は、各チョック1に、特に各チョック1の貫通穴に収容され、少なくとも1つの回転構成要素3、4が内部を横切っている。
【0077】
各ロール11について、監視システムは、軸Xに垂直な、特に
図1に描かれた軸Yに対して平行な平面に関して反対側にある、静止構成要素2及び回転構成要素3、4の両方の組に対して実装され得る。各ロール11について実装される2つの監視システムは、好ましくは、好ましくは平面に関して対称的に配置される、同じ構成要素を備える。
【0078】
上記したように、本発明は、各ロール11が、それぞれのチョック1によって支持される端部ピン4を有する、圧延機スタンド、又は連続ロール鋳造装置、又はコイル形成システムであって、
少なくとも1つの回転構成要素3、4が内部を横切る静止構成要素2が、各チョック1の貫通穴に収容され、静止構成要素2及び少なくとも1つの回転構成要素3、4が、軸Xを画定し、
油膜が、静止構成要素2と少なくとも1つの回転構成要素3、4との間に配置され、
少なくとも1つの回転構成要素3、4が、それぞれのロール11の端部ピン4、又は端部ピン4が挿入されるスリーブ3から成り、
上記で説明されたような、油膜の動作条件を表すパラメータの監視システムが、設けられる、
圧延機スタンド、又は連続ロール鋳造装置、又はコイル形成システムにさらに関する。
【0079】
圧延機スタンド、連続ロール鋳造装置、及びコイル形成システムは、各々が1つ又は複数のロール11を備える。