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特許7705505金属繊維フィルタ、フィルタユニット及び気化器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-01
(45)【発行日】2025-07-09
(54)【発明の名称】金属繊維フィルタ、フィルタユニット及び気化器
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/20 20060101AFI20250702BHJP
   B01D 29/11 20060101ALI20250702BHJP
   B01J 7/00 20060101ALI20250702BHJP
   B01D 46/24 20060101ALI20250702BHJP
【FI】
B01D39/20 A
B01D29/10 510D
B01D29/10 510G
B01D29/10 530A
B01J7/00 Z
B01D46/24 B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2024047076
(22)【出願日】2024-03-22
【審査請求日】2025-04-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000231556
【氏名又は名称】日本精線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】小財 友樹
(72)【発明者】
【氏名】古角 憲弘
【審査官】瀧澤 佳世
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-72852(JP,A)
【文献】特開2020-18981(JP,A)
【文献】国際公開第2019/176249(WO,A1)
【文献】特開昭58-112014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/20
B01D 29/11
B01J 7/00
B01D 46/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属繊維フィルタであって、
軸方向と径方向とを規定する筒状をなし、かつ、第1端を有する支持体と、
前記支持体の径方向の外側に配されたフィルタメディアと、
前記支持体の前記第1端の側に固着された第1エンド部材と、を含み、
前記支持体は、第1の外径を有する第1支持部と、前記第1支持部の前記第1端の側に、前記第1の外径よりも大きい第2の外径を有する第2支持部とを含み、
前記第1支持部には複数の貫通孔が形成されており、
前記第2支持部は、前記第1支持部に繋がり、かつ、前記第1端を形成しており、
前記フィルタメディアは、金属繊維の焼結体であり、
前記フィルタメディアは、前記第1支持部の径方向の外側に配され、かつ、流体を濾過するためのメディア本体と、前記第2支持部の径方向の外側に配され、かつ、前記第1エンド部材に接合された第1延長部とを含み、
前記メディア本体と前記第1延長部とは、第3の外径で軸方向に連続して延びており、
前記第1延長部は、第1接合部を介して、前記第1エンド部材に接合されており、
前記第1接合部は、前記第3の外径よりも大きい第4の外径を有する第1隆起部を含む、
金属繊維フィルタ。
【請求項2】
前記第1隆起部は、溶接ビードにより形成されている、請求項1に記載の金属繊維フィルタ。
【請求項3】
前記第1延長部の肉厚は、前記メディア本体の肉厚の5%~40%の範囲である、請求項1に記載の金属繊維フィルタ。
【請求項4】
前記メディア本体の肉厚は4.0mm以上である、請求項3に記載の金属繊維フィルタ。
【請求項5】
前記第1エンド部材は、前記第3の外径以上の第5の外径を有する、請求項1に記載の金属繊維フィルタ。
【請求項6】
前記第2支持部には、径方向に貫通する貫通孔が設けられていない、請求項1に記載の金属繊維フィルタ。
【請求項7】
前記第4の外径は、前記第3の外径よりも1.0mm以上大きい、請求項1に記載の金属繊維フィルタ。
【請求項8】
前記第1延長部の空隙率は、前記メディア本体の空隙率よりも小さい、請求項1に記載の金属繊維フィルタ。
【請求項9】
前記第1延長部の空隙率は70%以下であり、前記メディア本体の空隙率は80%以上である、請求項1に記載の金属繊維フィルタ。
【請求項10】
前記第1エンド部材は、前記支持体の前記第1端の側を閉塞するエンドキャップである、請求項1に記載の金属繊維フィルタ。
【請求項11】
前記支持体は、前記第1端と反対側の第2端を有し、
前記支持体は、前記第1支持部の前記第2端の側に、前記第1の外径よりも大きい第6の外径を有する第3支持部を含み、
前記第3支持部は、前記第1支持部に繋がり、かつ、前記第2端を形成しており、
前記支持体の前記第2端の側には、第2エンド部材が固着されており、
前記フィルタメディアは、前記第3支持部の径方向の外側に配され、かつ、前記第2エンド部材と接合された第2延長部を含み、
前記メディア本体と前記第2延長部とは、前記第3の外径で軸方向に連続して延びており、
前記第2延長部の前記第2端の側は、第2接合部を介して、前記第2エンド部材に接合されており、
前記第2接合部は、前記第3の外径よりも大きい第7の外径を有する第2隆起部を含む、請求項1に記載の金属繊維フィルタ。
【請求項12】
前記第2隆起部は、溶接ビードにより形成されている、請求項11に記載の金属繊維フィルタ。
【請求項13】
前記第2延長部の肉厚は、前記メディア本体の肉厚の5%~40%の範囲である、請求項11に記載の金属繊維フィルタ。
【請求項14】
前記第1エンド部材は、前記支持体の前記第1端の側を閉塞するエンドキャップであり、
前記第2エンド部材は、前記支持体の前記第2端の側を、ハウジングに固着するためのハウジング装着部材であり、
前記第2エンド部材は、前記支持体の径方向の内部の空間の流体を取り出すための開口部を有する、請求項11に記載の金属繊維フィルタ。
【請求項15】
請求項14記載の金属繊維フィルタと、
前記金属繊維フィルタを収納可能な前記ハウジングと、を含み、
前記ハウジングは、
前記流体の入口と、
前記入口から進入した前記流体を前記フィルタメディアの外周面に案内する入口流路と、
前記フィルタメディアで濾過され、かつ、前記第1支持部の前記貫通孔と前記第2エンド部材の前記開口部とを経た前記流体を取り出すための出口とを有する、フィルタユニット。
【請求項16】
請求項1ないし14のいずれか1項に記載の金属繊維フィルタを用いた気化器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属繊維フィルタ、フィルタユニット及び気化器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、焼結繊維媒質を備えるフィルタエレメントが記載されている。このフィルタエレメントは、該エレメントの中央部分から該エレメントの一端部分に向けて減少する外径を有する円筒状本体を備えており、前記繊維媒質は、前記エレメントの中央部分から前記エレメントの一端部分に向けて増大する密度を有する。このようなフィルタエレメントは、端部が高密度化されていることから、該端部での溶接が容易になるという作用効果が期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2011-502743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図5に示されるように、上述のようなフィルタエレメントaは、ハウジングb内に収容されてフィルタユニットcとして用いられる場合があり得る。フィルタユニットcのハウジングbは、流体の入口dと、入口dから進入した流体をフィルタエレメントaの外周面に案内する入口流路eと、フィルタエレメントaで濾過された流体を取り出すための出口fとを有する。
【0005】
上述のようなフィルタユニットcでは、入口流路eを流れる流体は、フィルタエレメントaの軸方向の端部に設けられた外径を減少させた部分a1付近で滞留しやすい。このような流体の滞留は、濾過効率を低下させる原因となる。
【0006】
また、例えば、図6に示されるように、フィルタエレメントaが、大型のチャンバー内の一つの壁面hに配された場合でも、壁面hとフィルタエレメントaの軸方向の端部に設けられた外径を減少させた部分との間の領域a2では、流体が滞留しやすい。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、フィルタメディア(フィルタエレメント)の端部での流体の滞留を抑制することができる金属繊維フィルタ等を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、金属繊維フィルタであって、
軸方向と径方向とを規定する筒状をなし、かつ、第1端を有する支持体と、
前記支持体の径方向の外側に配されたフィルタメディアと、
前記支持体の前記第1端の側に固着された第1エンド部材と、を含み、
前記支持体は、第1の外径を有する第1支持部と、前記第1支持部の前記第1端の側に、前記第1の外径よりも大きい第2の外径を有する第2支持部とを含み、
前記第1支持部には複数の貫通孔が形成されており、
前記第2支持部は、前記第1支持部に繋がり、かつ、前記第1端を形成しており、
前記フィルタメディアは、金属繊維の焼結体であり、
前記フィルタメディアは、前記第1支持部の径方向の外側に配され、かつ、流体を濾過するためのメディア本体と、前記第2支持部の径方向の外側に配され、かつ、前記第1エンド部材に接合された第1延長部とを含み、
前記メディア本体と前記第1延長部とは、第3の外径で軸方向に連続して延びており、
前記第1延長部は、第1接合部を介して、前記第1エンド部材に接合されており、
前記第1接合部は、前記第3の外径よりも大きい第4の外径を有する第1隆起部を含む、
金属繊維フィルタである。
【0009】
本発明において、前記第1隆起部は、溶接ビードにより形成されても良い。
【0010】
本発明において、前記第1延長部の肉厚は、前記メディア本体の肉厚の5%~40%の範囲であっても良い。
【0011】
本発明において、前記メディア本体の肉厚は4.0mm以上であっても良い。
【0012】
本発明において、前記第1エンド部材は、前記第3の外径以上の第5の外径を有しても良い。
【0013】
本発明において、前記第2支持部には、径方向に貫通する貫通孔が設けられていないことが望ましい。
【0014】
本発明において、前記第4の外径は、前記第3の外径よりも1.0mm以上大きくても良い。
【0015】
本発明において、前記第1延長部の空隙率は、前記メディア本体の空隙率よりも小さくても良い。
【0016】
本発明において、前記第1延長部の空隙率は70%以下であり、前記メディア本体の空隙率は80%以上であっても良い。
【0017】
本発明において、前記第1エンド部材は、前記支持体の前記第1端の側を閉塞するエンドキャップであっても良い。
【0018】
本発明において、
前記支持体は、前記第1端と反対側の第2端を有し、
前記支持体は、前記第1支持部の前記第2端の側に、前記第1の外径よりも大きい第6の外径を有する第3支持部を含み、
前記第3支持部は、前記第1支持部に繋がり、かつ、前記第2端を形成しており、
前記支持体の前記第2端の側には、第2エンド部材が固着されており、
前記フィルタメディアは、前記第3支持部の径方向の外側に配され、かつ、前記第2エンド部材と接合された第2延長部を含み、
前記メディア本体と前記第2延長部とは、前記第3の外径で軸方向に連続して延びており、
前記第2延長部の前記第2端の側は、第2接合部を介して、前記第2エンド部材に接合されており、
前記第2接合部は、前記第3の外径よりも大きい第7の外径を有する第2隆起部を含むことができる。
【0019】
本発明において、前記第2隆起部は、溶接ビードにより形成されても良い。
【0020】
本発明において、前記第2延長部の肉厚は、前記メディア本体の肉厚の5%~40%の範囲であっても良い。
【0021】
本発明において、前記第1エンド部材は、前記支持体の前記第1端の側を閉塞するエンドキャップであり、
前記第2エンド部材は、前記支持体の前記第2端の側を、ハウジングに固着するためのハウジング装着部材であり、
前記第2エンド部材は、前記支持体の径方向の内部の空間の流体を取り出すための開口部を有しても良い。
【0022】
本発明は、上記いずれかの金属繊維フィルタと、
前記金属繊維フィルタを収納可能な前記ハウジングと、を含み、
前記ハウジングは、
前記流体の入口と、
前記入口から進入した前記流体を前記フィルタメディアの外周面に案内する入口流路と、
前記フィルタメディアで濾過され、かつ、前記第1支持部の前記貫通孔と前記第2エンド部材の前記開口部とを経た前記流体を取り出すための出口とを有する、フィルタユニットであっても良い。
【0023】
本発明は、上記いずれかに記載の金属繊維フィルタを用いた気化器であっても良い。
【発明の効果】
【0024】
本発明の金属繊維フィルタは、フィルタメディアの端部での濾過流体の滞留リスクを低減して、濾過効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態の金属繊維フィルタの断面図である。
図2図1のII部の拡大図である。
図3図1のIII部の拡大図である。
図4】本実施形態の金属繊維フィルタを用いたフィルタユニットの断面図である。
図5】従来のフィルタユニットの断面図である。
図6】他の従来のフィルタユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図面は、本発明の理解を助けるために、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれていることが理解されなければならない。また、複数の実施形態がある場合、明細書を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。さらに、実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本発明の内容理解のためのものであって、本発明は、図示されている具体的な構成に限定されるものではない。
【0027】
[金属繊維フィルタ]
図1は、本実施形態の金属繊維フィルタ1の断面図である。図1に示されるように、本実施形態の金属繊維フィルタ1は、支持体2と、支持体2の径方向の外側に配されたフィルタメディア3と、支持体2の軸方向の一端側に配された第1エンド部材4とを含む。また、本実施形態の金属繊維フィルタ1は、支持体2の軸方向の他端側に配された第2エンド部材5を含むものが示されている。
【0028】
本実施形態の金属繊維フィルタ1は、流体中の微粒子といった異物を捕捉するために用いられる。とりわけ、本実施形態の金属繊維フィルタ1は、極めて清浄な環境下で製造される工業製品(例えば、半導体等)の製造工程で用いられる流体から、高い濾過効率で異物を捕捉する高性能のフィルタとして利用される。ただし、本発明の金属繊維フィルタ1の濾過対象となる流体は、特定のものに制限されない。
【0029】
[支持体]
支持体2は、軸方向と、それに直交する方向である径方向とを規定する筒状に構成されている。支持体2の軸方向と直交する横断面において、その外表面に沿った方向は、周方向と定義される。支持体2は、軸方向において、第1端E1から第2端E2まで延びている。支持体2の径方向の内部は、空間iとされている。本実施形態の支持体2は、横断面が円形な円筒状とされている。他の態様では、支持体2は、横断面が多角形の筒状とされても良い。
【0030】
支持体2は、金属材料で形成されている。金属材料としては、特に制限されるわけではないが、例えば、ステンレス鋼が採用され、とりわけ加工性や耐食性に優れたオーステナイト系のステンレス鋼が好適である。本実施形態の支持体2は、好ましい態様として、より耐食性に優れたSUS316Lで形成されている。
【0031】
図2には、図1のII部の拡大図が示されている。図1及び図2に示されるように、支持体2は、第1支持部11と、第1支持部11の第1端E1の側に設けられた第2支持部12とを含む。本実施形態において、第1支持部11は、第2支持部12に比べて、十分に大きい軸方向の長さを有する。
【0032】
[第1支持部]
第1支持部11は、第1の外径D1を有する円筒状に形成されている。本実施形態の第1支持部11は、第1の外径D1で軸方向に連続して延びている。
【0033】
第1支持部11には、複数の貫通孔11aが形成されている。したがって、第1支持部11の径方向外側の流体は、貫通孔11aを介して、第1支持部11の内部の空間iに流入できる。本実施形態の第1支持部11は、例えば、パンチングメタルなど規則的なピッチで形成された孔を有する金属プレートを円筒状に加工することによって形成されても良い。貫通孔11aの孔径や孔形状は特に制限されるものではなく、用途に応じて適宜設定される。本実施形態では、貫通孔11aは、直径1.5mmの円形とされており、これらが軸方向及び周方向にほぼ等間隔に配置されている。
【0034】
[第2支持部]
第2支持部12は、第1の外径D1よりも大きい第2の外径D2を有する。すなわち、第2支持部12は、第1支持部11の外表面から径方向の外側に突出している。本実施形態の第2支持部12は、円環状に形成されており、例えば、径方向の外周面121と、径方向の内周面122と、軸方向の内端面123と、軸方向の外端面124とを含む。なお、本明細書において、軸方向に関して、内、外は、軸方向の相対的な方向を示し、軸方向の端に向かう方向を「外」、軸方向の中心に向かう方向を「内」と定義される。
【0035】
第2支持部12の外周面121は、例えば、第2の外径D2で軸方向に連続して延びている。
【0036】
本実施形態において、第2支持部12の内周面122には、例えば、第1支持部11の端部が固着されている。より詳細には、内周面122は、一定の内径で軸方向に延びる凹部122aと、凹部122aの第1端E1の側に位置し、かつ、凹部122aから径方向の内側に突出する凸部122bとを含む段差面として形成されている。そして、凹部122aには、第1支持部11の端部が配置され、第1支持部11の軸方向の外端面は、凸部122bの段差面に当接している。また、第1支持部11と第2支持部12とは、溶接等により固着されている。本実施形態では、第1支持部11の内周面と、第2支持部12の凸部122bの内周面とは、軸方向に連続するように形成されている。
【0037】
本実施形態において、第2支持部12の軸方向の内端面123は、例えば、軸方向の内側に向かって外径が徐々に小さくなるようなテーパー面とされている。
【0038】
本実施形態において、第2支持部12の軸方向の外端面124は、例えば、軸方向と直交するような平面に形成されており、この平面が支持体2の第1端E1を形成している。
【0039】
本実施形態の第2支持部12には、径方向に延びる貫通孔を有しない中実の無垢材が用いられている。したがって、流体は、第2支持部12内を通過することはできない。
【0040】
[フィルタメディア]
フィルタメディア3は、支持体2の径方向の外周面に固着されている。したがって、本実施形態のフィルタメディア3は、支持体2の筒形状に対応した筒状とされている。なお、本実施形態において、フィルタメディア3は、焼結時に、支持体2の径方向の外周面に固着される。ただし、フィルタメディア3と支持体2との固着方法は、特に制限されるものではない。
【0041】
フィルタメディア3は、金属繊維の焼結体から構成されている。フィルタメディア3を構成する金属繊維は、特に制限されるものではないが、例えば、ステンレス鋼、とりわけ耐食性に優れたオーステナイト径ステンレス鋼(例えば、SUS316L等)、ニッケル合金、純ニッケル等が適宜用いられる。フィルタメディア3に用いられる金属繊維の線径も、特に制限されるものではないが、例えば、濾過効率を高めるために、0.5~10μm程度の短繊維が望ましい。このような金属繊維は、支持体2の外周面に配された後、金型等に投入されて外部から熱及び圧力を受ける。これにより、金属繊維の集合体は、筒状の焼結体として、支持体2の外周面に一体形成される。このようなフィルタメディア3は、内部に、流体が通過する微細な空隙が形成された多孔質構造であるため、高い濾過精度を有する濾過部材としての機能を有する。
【0042】
フィルタメディア3は、メディア本体30と、メディア本体30の第1端E1の側に形成された第1延長部31とを含む。また、本実施形態のフィルタメディア3は、メディア本体30の第2端E2の側に形成された第2延長部32を含む。
【0043】
メディア本体30は、フィルタメディア3のうち、第1支持部11の径方向の外側に配された部分である。メディア本体30は、フィルタメディア3の本来の機能として、濾過機能を発揮する部分である。本実施形態のメディア本体30は、支持体2の形状に対応した軸方向に延びる円筒形状である。第1延長部31は、フィルタメディア3のうち、第2支持部12の径方向の外側に配された部分である。第1延長部31は、メディア本体30と一体化されている。第1延長部31は、後述の第1エンド部材4との接合に利用される。
【0044】
図2において、本実施形態において、メディア本体30と第1延長部31とは、第3の外径D3で軸方向に連続して延びる。すなわち、メディア本体30と第1延長部31とは、実質的な段差なく、軸方向に同じ外径で連続している。ただし、フィルタメディア3は、金属繊維の焼結体であることから、ミクロ的観察によれば、フィルタメディア3の表面には、微小な凹凸が存在する。したがって、上述の「実質的な段差なく」という用語は、このような金属繊維焼結体として不可避的な表面の微小な凹凸の存在を許容することを意味する。より具体的には、上述の「実質的な段差なく」という用語は、当業者が、通常の注意力の下、メディア本体30及び第1延長部31を、肉眼観察(マクロ的観察)をしたときに、それらが軸方向に同一の外径で連続すると認識可能な程度で足りるものとして理解されるべきである。なお、ミクロ的観察の場合、フィルタメディア3の最大径と最小径との差は、例えば、2mm以下、好ましくは1.5mm以下とすることで流体の滞留をより効果的に抑制することができる。
【0045】
[第1エンド部材]
第1エンド部材4は、支持体2の第1端E1の側に固着されている。本実施形態の第1エンド部材4は、例えば、筒状の支持体2の第1端E1の側を閉塞するエンドキャップとして構成されている。第1エンド部材4は、金属材料、とりわけ耐食性に優れたオーステナイト系のステンレス鋼(本実施形態では、SUS316L)で形成されたプレート形状を有する。第1エンド部材4は、第2支持部12の軸方向の外端面124に当接する軸方向内側の端面を含む。第1エンド部材4により、支持体2の空間i内の流体は、支持体2の第1端E1の側からは外部に流出することはできない。
【0046】
また、第1延長部31は、第1接合部6を介して、第1エンド部材4に接合されている。本実施形態の第1接合部6は、第1エンド部材4と支持体2の第2支持部12との間も接合しているが、第1接合部6は、少なくとも、第1延長部31と、第1エンド部材4とを接合していれば良い。さらに、第1接合部6は、第3の外径D3よりも大きい第4の外径D4を有する第1隆起部6Aを含む。
【0047】
[本実施形態の作用]
本実施形態のフィルタメディア3では、メディア本体30と第1延長部31とは、第3の外径D3で軸方向に連続して延びている。つまり、メディア本体30及び第1延長部31の径方向の外表面は、メディアのミクロ的な凹凸を除き、実質的な凹部を有さない連続面で形成されている。また、第1接合部6は、第3の外径D3よりも大きい第4の外径D4を有する第1隆起部6Aを含む。したがって、本実施形態の金属繊維フィルタ1は、第1端E1の側において、濾過対象の流体の滞留を抑制することができる。また、外径(第4の外径D4)が相対的に大きい第1隆起部6Aは、例えば、流体を、外径の小さいメディア本体30側へと導くことも可能である。以上より、本実施形態の金属繊維フィルタ1は、濾過対象の流体の圧力損失の低減と均一な流速の生成に役立ち、濾過効率にも優れる。
【0048】
以下、本発明のさらに好ましい態様が説明されるが、以下はいずれも本発明の任意の構成要素である。
【0049】
第1接合部6は、種々の接合手段によって形成されても良い。第1接合部6は、例えば、溶接、ろう付け、拡散接合、又は摩擦圧接により生成されても良い。第1接合部6からの流体の漏れ(ショートパス)等を塞ぐ観点では、接合手段は、気密な接合部が容易に得られる溶接が特に望ましく、とりわけ、TIG溶接などが望ましい。本実施形態の第1接合部6は、溶接によって形成された周方向に連続する溶接ビードであり、第1隆起部6Aも、この溶接ビードが径方向外側に盛り上がった部分で形成されている。
【0050】
フィルタメディア3の外面から第1隆起部6Aの径方向の突出量(すなわち、(D4-D3)/2)は、特に制限されないが、接合強度の向上や流体をメディア本体30側へと導く作用を期待する観点では、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.9mm以上とされても良い。つまり、第4の外径D4は、第3の外径D3よりも1.0mm以上大きいことが望ましい。
【0051】
本実施形態では、フィルタメディア3の第1延長部31は、メディア本体30よりも小さい肉厚t1を有する。また、第1延長部31は、金属繊維の焼結体からなる多孔質構造であることから、溶接時の熱によって、変形等しやすい。しかし、本実施形態の第1延長部31は、第2支持部12によって径方向の内側から支持されているため、溶接時の溶け落ちや空孔の形成などを抑制しつつ、支持体2及び第1エンド部材4との接合が可能である。また、フィルタメディア3は、支持体2及び第1エンド部材4と接合された一体構造を有するため、高い剛性を有し、例えば、振動する環境下や高い圧力下においても優れた強度を発揮することができる。
【0052】
第1エンド部材4の外径(以下、「第5の外径D5」という。)は、特に制限されないが、本実施形態ではフィルタメディア3の第3の外径D3以上とされている。したがって、第1エンド部材4の周辺においても、流体の滞留が抑制され得る。
【0053】
メディア本体30の肉厚t0は、特に制限されるものではないが、濾過精度をより一層高めるために、例えば、3.0mm以上、好ましくは3.5mm以上とされても良い。
【0054】
第1延長部31の肉厚t1も、特に制限されるものではないが、例えば、メディア本体30の肉厚t0の5%以上、好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上とされても良い。第1延長部31の肉厚t1がメディア本体30の肉厚t0の5%以上とされることにより、例えば、第1延長部31と第1エンド部材4との溶接接合時、第1延長部31の溶け落ち等をより確実に抑制し、ひいては、気密な第1接合部6を形成することができる。これは、第1接合部6付近での流体のショートパスなどを効果的に抑制するのに役立つ。
【0055】
一方、第1延長部31の肉厚t1が過度に大きくなると、第2支持部12に達する深い第1接合部6を形成するのが困難なおそれがある。このような観点では、第1延長部31の肉厚t1は、例えば、メディア本体30の肉厚t0の40%以下、好ましくは35%以下、さらに好ましくは30%以下とされても良い。
【0056】
上述の観点では、一つの態様として、メディア本体30の肉厚t0が5.0mmの場合、第1延長部31の肉厚t1は、例えば、0.25~2.0mmの範囲、好ましくは0.50~1.75mの範囲、さらに好ましくは0.75~1.5mmの範囲とされるのが望ましい。
【0057】
第1延長部31の空隙率は、メディア本体30の空隙率よりも小さいことが望ましい。これにより、第1エンド部材4と接合される第1延長部31の剛性を相対的に高め、溶接時の接合不良等が抑制される。好ましい態様では、第1延長部31の空隙率は、例えば、70%以下、好ましくは65%以下、さらに好ましくは60%以下とされても良い。このような第1延長部31の空隙率は、例えば、焼結工程時、第1延長部31に作用する圧縮度をメディア本体30よりも高くなるように調整するなどして得ることができる。また、第1延長部31は、例えば、2~6μmの孔径を主体的に含む多孔質構造体とされるのが望ましい。
【0058】
本明細書において、多孔質構造の「空隙率」とは、対象領域の見かけの総体積に対する空隙部分の体積の割合で表される。本明細書において、空隙率は、計算で求める。その場合は、まず、フィルタメディアの質量を測定し、当該フィルタメディアの空隙も含めた体積を求める。次に、フィルタメディアの体積と同一とした無垢材の質量を測定する。そして、次の式(1)から空隙率を算出することができる。
空隙率(%)={1-(フィルタメディアの質量/無垢材の質量)}*100 …(1)
【0059】
メディア本体30は、第1支持部11によって径方向の内側から支持されることから、濾過時の流体圧に対する耐差圧強度を高く確保することができる。このため、流体の速度を高めてもフィルタメディア3の変形等が抑制され、その結果、濾過効率の向上に寄与することとなる。好適な濾過機能を十分に発揮させるために、メディア本体30の空隙率は、第1延長部31よりも大きい空隙率とされても良い。好ましい態様では、メディア本体30の空隙率は、例えば、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上とされても良い。同様に、メディア本体30は、第1延長部31よりも大きい孔径を主体的に含む多孔質構造体とされても良い。好ましい態様では、メディア本体30は、とりわけ5~30μmの孔径を主体的に含む多孔質構造体とされるのが望ましい。
【0060】
[第3支持部]
本実施形態の支持体2は、第1支持部11の第2端E2の側に、第1の外径D1よりも大きい第6の外径D6を有する第3支持部13をさらに含む。すなわち、第3支持部13は、第1支持部11の外表面から径方向の外側に突出している。第3支持部13の外周面131は、例えば、第6の外径D6で軸方向に連続して延びている。この実施形態では、第6の外径D6は、第2支持部12の第2の外径D2と同一とされているが、異ならせても良い。
【0061】
第3支持部13の構成は、第2支持部12と同一の構成を有するため、その説明は省略される。すなわち、第3支持部13の径方向の外周面131、径方向の内周面132、軸方向の内端面133及び軸方向の外端面134は、それぞれ、第2支持部12の径方向の外周面121、径方向の内周面122、軸方向の内端面123及び軸方向の外端面124と同一の構成を備えている。また、第3支持部13の内周面132には、第1支持部11の第2端E2の側の端部が固着されている。
【0062】
[第2エンド部材]
支持体2の第2端E2の側には、第2エンド部材5が固着されている。本実施形態において、第2エンド部材5は、支持体2の第2端E2の側を、ハウジング(後述)に固着するためのハウジング装着部材とされている。より具体的には、第2エンド部材5は、中心部に開口部5aが形成された円盤状をなす。第2エンド部材5は、その中心を、支持体2の軸心に揃えて、支持体2の第2端E2の側に固着されている。第2エンド部材5の外径は、金属繊維フィルタ1において、最も大きい第8の外径D8を有し、その外周部は、後述のハウジングに固着される。また、第2エンド部材5の開口部5aは、支持体2の径方向の内部の空間iの流体を取り出すために用いられる。
【0063】
[第2延長部]
本実施形態のフィルタメディア3は、第3支持部13の径方向の外側に配され、かつ、第2エンド部材5と接合された第2延長部32を含む。第2延長部32は、メディア本体30と一体化されている。第2延長部32は、後述の第2エンド部材5との接合に利用される。
【0064】
本実施形態において、メディア本体30と第2延長部32とは、第3の外径D3で軸方向に連続して延びる。すなわち、メディア本体30と第2延長部32とは、実質的な段差なく、軸方向に同じ外径で連続している。上で述べたように、上記「実質的な段差なく」という用語は、当業者が、通常の注意力の下でメディア本体30と第2延長部32との接続部分を、肉眼観察(マクロ的観察)をしたときに、それらが軸方向に同一の外径で連続すると認識可能な程度で足りるものとして理解されるべきである。
【0065】
また、第2延長部32は、第2接合部7を介して、第2エンド部材5に接合されている。本実施形態の第2接合部7は、第2エンド部材5と支持体2の第3支持部13との間も接合しているが、第2接合部7は、少なくとも、第2延長部32と第2エンド部材5とを接合していれば良い。さらに、第2接合部7は、第3の外径D3よりも大きい第7の外径D7を有する第2隆起部7Aを含む。
【0066】
このような実施形態では、メディア本体30と第2延長部32とは、第3の外径D3で軸方向に連続して延びている。つまり、メディア本体30及び第2延長部32の径方向の外表面は、メディアのミクロ的な凹凸を除き、実質的な凹部を有さない連続面で形成されている。したがって、本実施形態の金属繊維フィルタ1は、フィルタメディア3の第1接合部6と第2接合部7との間の区間が実質的に第3の外径D3で軸方向に連続する。したがって、本実施形態の金属繊維フィルタ1は、フィルタメディア3の第2端E2の側においても、濾過対象の流体の滞留を抑制することができる。また、外径(第7の外径D7)が相対的に大きい第2隆起部7Aは、例えば、流体を、外径が小さいメディア本体30側へと導くことも可能である。
【0067】
第2接合部7は、種々の接合手段によって形成されても良い。例えば、第2接合部7は、溶接、ろう付け、拡散接合、又は摩擦圧接により生成されても良い。第2接合部7からの流体の漏れ(ショートパス)等を塞ぐ観点では、接合手段は、気密な接合部が容易に得られる溶接が特に望ましく、とりわけ、TIG溶接などが望ましい。本実施形態の第2接合部7も、溶接によって形成された周方向に連続する溶接ビードであり、第2隆起部7Aも、この溶接ビードが径方向外側に盛り上がった部分で形成されている。
【0068】
フィルタメディア3の外面から第2隆起部7Aの径方向の突出量(すなわち、(D7-D3)/2)は、特に制限されないが、接合強度の向上や流体をメディア本体30側へと導く作用を期待する観点では、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.9mm以上とされても良い。つまり、第7の外径D7は、第3の外径D3よりも1.0mm以上大きいことが望ましい。
【0069】
本実施形態では、フィルタメディア3の第2延長部32は、メディア本体30よりも小さい肉厚t2を有する。また、第2延長部32は、金属繊維の焼結体からなる多孔質構造であることから、溶接時の熱によって、変形等しやすい。しかし、本実施形態の第2延長部32は、第3支持部13によって径方向の内側から支持されているため、溶接時の溶け落ちや空孔の形成などを抑制しつつ、支持体2及び第2エンド部材5との接合が可能であり、流体のショートパスなどを抑制することができる。また、フィルタメディア3は、支持体2及び第2エンド部材5と接合された一体構造を有するため、高い剛性を有し、例えば、振動する環境下や高い圧力下においても優れた強度を発揮することができる。
【0070】
第2延長部32の肉厚t2は、特に制限されるものではないが、例えば、第1延長部31の肉厚t1と同様の範囲とされることが望ましい。すなわち、第2延長部32の肉厚t2は、メディア本体30の肉厚t0の5%以上、好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上とされても良い。
【0071】
一方、第2延長部32の肉厚t2が過度に大きくなると、第3支持部13に達する深い第2接合部7を形成するのが困難なおそれがある。このような観点では、第2延長部32の肉厚t2も、例えば、メディア本体30の肉厚t0の40%以下、好ましくは35%以下、さらに好ましくは30%以下とされても良い。
【0072】
上述の観点では、一つの態様として、メディア本体30の肉厚t0が5.0mmの場合、第2延長部32の肉厚t2も、例えば、0.25~2.0mmの範囲、好ましくは0.50~1.75mの範囲、さらに好ましくは0.75~1.5mmの範囲とされるのが望ましい。
【0073】
第2延長部32の空隙率は、メディア本体30の空隙率よりも小さいことが望ましい。これにより、第2エンド部材5と接合される第2延長部32の剛性を相対的に高め、溶接時の接合不良等が抑制される。好ましい態様では、第2延長部32の空隙率は、例えば、70%以下、好ましくは65%以下、さらに好ましくは60%以下とされても良い。また、第2延長部32は、例えば、2~6μmの孔径を主体的に含む多孔質構造体とされるのが望ましい。
【0074】
[ハウジング]
図4には、本実施形態の金属繊維フィルタ1を用いたフィルタユニット100の断面図である。図4に示されるように、フィルタユニット100は、金属繊維フィルタ1を収納可能な空間を有するハウジング101を含む。ハウジング101は、流体の入口102と、入口102から進入した流体をフィルタメディア3の外周面に案内する入口流路103と、フィルタメディア3で濾過された流体の出口104とを有する。
【0075】
ハウジング101は、例えば、ステンレス鋼からなり、好ましくは、オーステナイト系ステンレス鋼で形成される。本実施形態のハウジング101は、特に耐食性に優れたSUS316Lで構成されている。ハウジング101は、例えば、インラインフィルタとして実施する場合において、金属繊維フィルタ1の外装体を形成する。
【0076】
図4のフィルタユニット100において、入口102から進入した濾過対象の流体は、ハウジング101と金属繊維フィルタ1との間の入口流路103を通ってフィルタメディア3の外周面側に回り込む。フィルタメディア3の外周面側に回り込んだ流体は、フィルタメディア3を通過する際に、微粒子などの異物がフィルタメディア3で捕捉され、清浄化される。さらに、清浄化された流体は、第1支持部11の貫通孔11aを経由し、支持体2の内部の空間i及び第2エンド部材5の開口部5aを経て出口104から取り出される。
【0077】
上述の濾過工程において、上で説明したように、フィルタメディア3のメディア本体30、第1延長部31及び第2延長部32の外表面は、実質的に同一の第3の外径D3で軸方向に連続する。また、フィルタメディア3の軸方向の両端に位置する第1接合部6及び第2接合部7は、それぞれ、第3の外径D3よりも大きい外径を有する第1隆起部6A及び第2隆起部7Aを備える。このため、流体が、第1隆起部6A及び第2隆起部7Aからメディア本体30側に向けて流れやすくなり、メディア本体30の軸方向の両側での滞留が抑制される。これにより、濾過工程中の圧力損失の低減と均一な流速が生成され得る。
【0078】
また、フィルタメディア3は、支持体2で径方向の内側から支持されているため、多孔質構造体であっても、濾過中の耐差圧強度を高く維持することができる。したがって、本実施形態の金属繊維フィルタ1及びフィルタユニット100は、高い濾過圧力環境下においても好適に使用することができ、この点でも、濾過効率の向上にも寄与することが可能となる。
【0079】
本実施形態の金属繊維フィルタ1は、濾過に伴う圧力損失を小さくできることから、例えば、低蒸気圧液体を濾過する場合でも、フィルタメディア3内での再液化を防止することができる。したがって、本実施形態の、金属繊維フィルタ1は、気化器としても活用することが可能となる。例えば、半導体製造工程において、プリカーサを気化させた流体である低蒸気圧液体を濾過する場合は、フィルタメディア3内で再液化することが防止できる。
【0080】
本発明の金属繊維フィルタ1は、ハウジング101を用いずに使用されても良い。例えば、図6に示したように、濾過した直後の気体を直接次の工程に流す等、真空チャンバーに搭載されるディフューザー(ベントフィルタ)として実施される場合、ハウジング101は不要となる。
【0081】
以上、本発明の実施形態が詳細に説明されたが、本発明は、上記の具体的な開示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において、種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 金属繊維フィルタ
2 支持体
3 フィルタメディア
4 第1エンド部材
5 第2エンド部材
5a 開口部
6 第1接合部
6A 第1隆起部
7 第2接合部
7A 第2隆起部
11 第1支持部
11a 貫通孔
12 第2支持部
13 第3支持部
30 メディア本体
31 第1延長部
32 第2延長部
100 フィルタユニット
101 ハウジング
102 入口
103 入口流路
104 出口
E1 第1端
E2 第2端
【要約】      (修正有)
【課題】フィルタメディアの端部での流体の滞留を抑制できる金属繊維フィルタ等を提供する。
【解決手段】金属繊維フィルタ1は、筒状をなし、かつ、第1端E1を有する支持体2と、支持体の径方向の外側に配されたフィルタメディア3と、支持体の第1端E1の側に固着された第1エンド部材4とを含み、支持体は、第1の外径D1を有する第1支持部11と、第1の外径D1よりも大きい第2の外径D2を有する第2支持部12とを含み、第1支持部には複数の貫通孔11aが形成されており、フィルタメディアは、金属繊維の焼結体であり、第1支持部の径方向の外側で、第2支持部の径方向の外側に配され、第1エンド部材に接合された第1延長部31とを含むメディア本体30を含み、第1延長部は、第3の外径D3で軸方向に連続して延び、第3の外径D3よりも大きい第4の外径D4を有する第1隆起部を第1接合部6で第1エンド部材4に接合される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6