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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-02
(45)【発行日】2025-07-10
(54)【発明の名称】自動車の運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20250703BHJP
   B60W 40/09 20120101ALI20250703BHJP
【FI】
G08G1/00 D
B60W40/09
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021115808
(22)【出願日】2021-07-13
(65)【公開番号】P2023012274
(43)【公開日】2023-01-25
【審査請求日】2024-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】青木 優和
(72)【発明者】
【氏名】橋本 洋介
(72)【発明者】
【氏名】濱田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】小川 友希
【審査官】小林 俊介
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-220027(JP,A)
【文献】特開2013-210328(JP,A)
【文献】特開2018-024286(JP,A)
【文献】特開2019-010967(JP,A)
【文献】特開2021-060693(JP,A)
【文献】国際公開第2018/193536(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の運転支援装置であって、
前記自動車の運転手による前記自動車の運転操作を検出することにより、複数の学習項目のそれぞれについて、前記運転手の運転嗜好を学習する手段と、
前記運転手の運転嗜好に応じて前記運転手による前記自動車の運転操作を支援する運転支援制御を実行する手段と、
各学習項目における前記自動車の運転手による前記自動車の運転操作の検出数に基づいて、各学習項目における前記運転手の運転嗜好の学習の進捗度を計算する手段と、
各学習項目における前記運転手の運転嗜好の学習の進捗度を学習項目毎に前記運転手に通知又は表示する手段と、
を備える運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の運転支援装置に関わる。
【背景技術】
【0002】
近年、運転手による自動車の運転操作を支援する運転支援制御に関する研究開発の実用化が進められている。例えば、特許文献1には、運転手の運転技量や運転嗜好に基づいて、自動車の運転操作を支援する車両制御システムが記載されている。この車両制御システムでは、運転手の運転技量や運転嗜好などの情報を含むドライバ情報が、運転免許証兼用のICカードに予め書換可能に記録されている。そして、運転手が運転を開始する際に、ICカードからこのドライバ情報が車両制御システムに読み込まれ、ドライバ情報に基づいた自動車の運転支援制御が行われる。例えば、運転技量の低い運転手に対しては、運転が未熟であることに起因して生じ得る交通事故を未然に防止するための安全に配慮した運転支援制御が行われる。また、運転技量の高い運転手に対しては、その運転手の運転嗜好に合致した運転支援制御が行われ、運転手の期待を満足させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-118425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転手の運転嗜好に合致した運転支援制御を的確に行うためには、複数の異なる学習項目のそれぞれについて、運転手の運転嗜好の学習を終える必要がある。各学習項目について、運転手の運転嗜好の学習を終えるためには、各学習項目における運転手による自動車の運転操作を所要回数検出する必要がある。各学習項目における運転手による自動車の運転操作を所要回数検出するためには、ある程度の期間を要する。
【0005】
しかし、従来の車両制御システムは、各学習項目における運転手の運転嗜好の学習の進捗度を運転手が認識できるようには構成されていないため、運転嗜好の学習を終えるのに要する運転操作の検出回数がどの程度の回数であるのかを運転手は把握することはできない。運転嗜好の学習が完了するまでは、運転手の運転嗜好に合致した運転支援制御が的確に行われないことがあるため、運転手は、このような運転支援制御に違和感を覚えたり、或いは、運転支援制御が適切に機能していないことに対して不安感を覚えたりする。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題を解決し、各学習項目における運転手の運転嗜好の学習の進捗度を運転手が認識できるようにする運転支援装置を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するため、本発明に関わる自動車の運転支援装置は、自動車の運転手による自動車の運転操作を検出することにより、複数の学習項目のそれぞれについて、運転手の運転嗜好を学習する手段と、運転手の運転嗜好に応じて運転手による自動車の運転操作を支援する運転支援制御を実行する手段と、各学習項目における自動車の運転手による自動車の運転操作の検出数に基づいて、各学習項目における運転手の運転嗜好の学習の進捗度を計算する手段と、各学習項目における運転手の運転嗜好の学習の進捗度を学習項目毎に運転手に通知又は表示する手段を備える
【0008】
各学習項目における運転手の運転嗜好の学習の進捗度を表示することにより、運転手は、複数の学習項目のうち、どの学習項目の学習が不足しているのかを把握することができる。これにより、特定の学習項目の学習不足に起因して、運転手の運転嗜好に合致した運転支援制御が的確に行われないことによる運転手の不安感を払拭することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、各学習項目における運転手の運転嗜好の学習の進捗度を運転手が認識できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に関わる自動車の運転支援装置の概略構成を示す説明図である。
図2】本発明の実施形態に関わる読み取り/書き込み装置により実行される処理の流れを記述するフローチャートである。
図3】本発明の実施形態に関わる車間制御ECUにより実行される処理の流れを記述するフローチャートである。
図4】本発明の実施形態に関わる各学習項目における運転手の運転嗜好の学習の進捗度を表示する画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。ここで、同一符号は同一の構成要素を示すものとし、重複する説明は省略する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に関わる自動車の運転支援装置10の概略構成を示す説明図である。運転支援装置10は、ECU(Electrical Control Unit)と呼ばれる各種電子制御ユニット(車間制御ECU21、ナビゲーションECU22、エンジン制御ECU23、及びブレーキ制御ECU24)と、レーザレーダセンサ30と、読み取り/書き込み装置41と、表示装置51と、音声出力装置52と、車内通信網60を備えている。ECUは、入出力インタフェース、プロセッサ、及びメモリなどの電子回路から構成されるコンピュータシステムである。
【0013】
車間制御ECU21は、車間制御専用のコンピュータシステムである。車間制御ECU21は、エンジン制御ECU23から車速信号、スロットル開度信号、及び各種制御状態信号(例えば、アイドル制御状態やトランスミッションのシフト位置などを示す制御状態信号)を受信するとともに、ブレーキ制御ECU24から操舵角信号、及びヨーレート信号などを受信する。車間制御ECU21は、これらの各種の受信信号に基づいて、道路のカーブ曲率半径を計算したり、車間制御演算を実行したりする。
【0014】
レーザレーダセンサ30は、レーザによるスキャニング測距器とマイクロコンピュータと備える電子回路である。レーザレーダセンサ30は、スキャニング測距器にて検出した先行車の角度や相対速度、及び、車間制御ECU21から受信する車速信号及びカーブ曲率半径などに基づいて、先行車が自車線に存在する自車線確率を演算し、自車線確率の情報と先行車の相対速度などの情報を含む先行車情報を車間制御ECU21に送信する。
【0015】
車間制御ECU21は、レーザレーダセンサ30から受信する先行車情報に含まれる自車線確率などに基づいて、車間距離制御すべき先行車を決定し、先行車との車間距離を適切に調整するための制御指令値として、エンジン制御ECU23に目標加速度信号及びフューエルカット要求信号などを送信するとともに、ブレーキ制御ECU24にブレーキ要求信号を送信する。
【0016】
ブレーキ制御ECU24は、ブレーキ制御専用のコンピュータシステムである。ブレーキ制御ECU24は、自動車の操舵角を検出するステアリングセンサ、ヨーレートを検出するヨーレートセンサ、及び各車輪の速度を検出する車輪速センサのそれぞれから出力される信号から操舵角やヨーレートの情報を計算し、これらの情報を車間制御ECU21及びエンジン制御ECU23に送信する。また、ブレーキ制御ECU24は、車間制御ECU21から出力されるブレーキ要求信号に応答してブレーキ力を制御するために、ブレーキ油圧回路に備えられた増圧制御弁及び減圧制御弁の開閉をデューティ制御するブレーキアクチュエータを制御する。
【0017】
エンジン制御ECU23は、エンジン制御専用のコンピュータシステムである。エンジン制御ECU23は、スロットル開度を検出するスロットル開度センサ、車速を検出する車速センサ、ブレーキの踏み込み有無を検出するブレーキスイッチ、及びその他のセンサやスイッチ類のそれぞれから出力される信号を受信するとともに、車間制御ECU21から出力される目標加速度信号及びフューエルカット要求信号などを受信する。 エンジン制御ECU23は、これらの各種の受信信号に基づいて、内燃機関のスロットル開度を調整するスロットルアクチュエータ、内燃機関への燃料噴射を制御するインジェクタ、及び自動車の変速を制御するトランスミッションなどに駆動指令を出力する。
【0018】
ナビゲーションECU22は、ナビゲーション専用のコンピュータシステムである。ナビゲーションECU22は、GPS(Global Positioning System)などの位置検出装置及び地図データ記憶装置に接続しており、運転手が入力した目的地に至る最適な移動経路をダイクストラ法などの手法により選択し、選択した移動経路及び自車の現在位置をナビゲーション用の表示装置に表示させる。ナビゲーションECU22は、位置検出装置から出力される信号と、レーザレーダセンサ30から出力される先行車情報と、ウインカーの動作状態を示す信号とに基づいて、目標加速度規定制御のための各制御信号を生成し、その各制御信号を車間制御ECU21に送信する。
【0019】
読み取り/書き込み装置41は、ICカード42からドライバ情報を読み取り、読み取ったドライバ情報を車内通信網60経由で車間制御ECU21に送信する。
【0020】
ドライバ情報とは、運転手(ドライバ)の運転嗜好に合致した自動車の運転支援制御を行うために用いられる運転手に固有の情報を意味し、例えば、複数の異なる学習項目のそれぞれにおける運転手の運転操作の傾向を示す運転履歴情報を含む。例えば、道路の種別や走行区域或いは天候などの種々の走行環境に応じて変化する運転手のマニュアル操作による自動車の走行速度、加速度、減速度、車間距離などを示す運転履歴情報を、運転手の運転嗜好を反映する情報として用いることができる。ドライバ情報は、運転手の運転操作の傾向を示す運転履歴情報に加えて、運転手の運転歴(運転免許取得年月日)、年齢、性別、居住区域、又は運転技量(例えば、交通法規違反歴、交通事故歴)などの情報を更に含んでもよい。
【0021】
車間制御ECU21内のメモリには、ドライバ情報に対応した車両制御を行うための車両制御情報が記憶されている。この車両制御情報は、ドライバ情報に含まれる運転履歴情報や運転技量を示す情報を基に、各種の走行環境に応じた車両制御を行うための制御情報である。
【0022】
例えば、運転技術が未熟な運転手のドライバ情報に対応する車両制御情報として、車間距離を通常距離より大きく設定したり、加速度を緩めに設定したり、減速度の立ち上がりを強めに設定たり、或いは上限車速を法定速度未満に設定したりするための各種設定情報が車間制御ECU21内のメモリに予め記憶されている。
【0023】
また例えば、運転技術が高い運転手のドライバ情報に対応する車両制御情報として、車間距離を通常距離程度に設定したり、加速度を強めに設定したり、減速度の立ち上がりを弱めに設定たり、或いは上限車速を法定速度付近に設定したりするための各種設定情報が車間制御ECU21内のメモリに予め記憶されている。
【0024】
車間制御ECU21は、読み取り/書き込み装置41からドライバ情報を受信すると、車間制御ECU21内のメモリから、このドライバ情報に対応した車両制御情報を読み取り、読み取った車両制御情報に従って、車間制御処理を実行する。
【0025】
車間制御ECU21は、自動車の運転手による自動車の運転操作を検出することにより、複数の学習項目のそれぞれについて、運転履歴情報から運転手の運転嗜好を学習する。学習項目として、例えば、先行車に追従して走行するときの先行車と自車との間の車間距離、停車時の先行車と自車との間の車間距離、加速のタイミング、及び減速のタイミングなどがある。
【0026】
車間制御ECU21は、各学習項目における自動車の運転手による自動車の運転操作の検出数に基づいて、各学習項目における自動車の運転手の運転嗜好の学習の進捗度を計算する。例えば、ある学習項目についての運転嗜好の学習を終えるのに要する運転操作の検出数をN1とし、その学習項目についてのある学習段階での運転操作の検出数をN2とすると、その学習項目のその学習段階における学習の進捗度は、N2/N1×100(%)として計算することができる。
【0027】
表示装置51は、各学習項目における運転手の運転嗜好の学習の進捗度を表示する。表示装置51は、例えば、自動車のヘッドアップディスプレイ、マルチメディアディスプレイ、又はメータ類のインフォメーションディスプレイなどでもよい。
【0028】
音声出力装置52は、各学習項目における運転手の運転嗜好の学習の進捗度を運転手に音声通知する。音声出力装置52は、例えば、自動車のオーディオ装置又はスピーカでもよい。
【0029】
自動車の走行を通じて新たな運転履歴情報が得られた場合には、読み取り/書き込み装置41は、新たな運転履歴情報をICカード42に書き込むことにより、ICカード42に記録されている運転履歴情報を更新する。ICカード42に記録されている運転履歴情報を更新するタイミングは、例えば、読み取り/書き込み装置41からICカード42が抜き取られる直前でもよい。
【0030】
なお、ICカード42は、例えば、運転免許証を兼用するカード媒体が好ましい。運転手には、運転免許証の携帯が法律で義務付けられているため、自動車を運転する際にはこのICカード42を携帯することになる。これにより、運転手が自動車を運転する際にICカード42を忘れることを防止できる。また、このICカード42は、運転免許証と兼用されているため、携帯が煩わしい等の問題が生じることもない。
【0031】
次に、図2及び図3を参照しながら、自動車の制御処理の流れについて説明する。
図2は、読み取り/書き込み装置41により実行される処理の流れを示しており、図3は、車間制御ECU21により実行される処理の流れを示している。
【0032】
ICカード42が読み取り/書き込み装置41に挿入されると(図2のステップ201;YES)、読み取り/書き込み装置41は、ICカード42からドライバ情報を読み取り(図2のステップ202)、その読み取ったドライバ情報を車内通信網60経由で車間制御ECU21に送信する(図2のステップ203)。
【0033】
車間制御ECU21は、読み取り/書き込み装置41から車内通信網60経由でドライバ情報(図2のステップ203で読み取り/書き込み装置41から送信されたドライバ情報)を受信すると(図3のステップ301;YES)、運転手によるクルーズメインスイッチの操作により、車間制御(ACC)モードが起動しているか否かを判定する(図3のステップ302)。
【0034】
車間制御モードが起動している場合(図3のステップ302;YES)、車間制御ECU21は、ドライバ情報に対応する車両制御情報を車間制御ECU21内のメモリから読み取る(図3のステップ303)。例えば、ドライバ情報が、運転歴や運転技量などから、運転手の運転技術が未熟であることを示す情報である場合、車間制御ECU21は、車間距離を通常距離より大きく設定したり、加速度を緩めに設定したり、減速度の立ち上がりを強めに設定たり、或いは上限車速を法定速度未満に設定したりするための各種設定情報を車両制御情報として車間制御ECU21内のメモリから読み取る。
【0035】
車間制御ECU21は、車両制御情報(車間距離、加速度、減速度、上限速度などの各種設定情報)と、レーザレーダセンサ30から受信した情報とに基づいて、車間制御演算を実行する(図3のステップ304)。
【0036】
車間制御ECU21は、車間制御演算の結果に基づいて、エンジン制御ECU23やブレーキ制御ECU24に各種制御信号を送信し、運転手の運転嗜好や運転技量に応じた車間制御を実行させる(図3のステップ305)。
【0037】
車間制御モードが起動していない場合(図3のステップ302;NO)、すなわち、運転手によるマニュアル操作により自動車の運転が制御されている場合、車間制御ECU21は、運転手のマニュアル操作による自動車の走行速度、加速度、減速度、車間距離などを示す運転履歴情報を、運転手の運転嗜好を反映する情報として収集する(図3のステップ306)。このようにして収集された運転履歴情報は、車間制御ECU21内のメモリに保存される。
【0038】
車間制御ECU21は、自動車の運転が終了したか否かを判定する(図3のステップ307)。例えば、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替えられると、車間制御ECU21は、自動車の運転が終了したものと判定する。
【0039】
自動車の運転が終了していない場合(図3のステップ307;NO)、車間制御ECU21は、ステップ302の処理に戻る。
【0040】
自動車の運転が終了した場合(図3のステップ307;YES)、車間制御ECU21は、車間制御ECU21内のメモリに保存されている運転履歴情報を含むドライバ情報を車内通信網60経由で読み取り/書き込み装置41に送信する(図3のステップ308)。
【0041】
車間制御ECU21は、各学習項目における自動車の運転手による自動車の運転操作の検出数に基づいて、各学習項目における自動車の運転手の運転嗜好の学習の進捗度を計算する(図3のステップ309)。
【0042】
車間制御ECU21は、各学習項目における運転手の運転嗜好の学習の進捗度を示す情報を表示装置51又は音声出力装置52に出力する(図3のステップ310)。表示装置51は、車間制御ECU21からの指令に応答して、各学習項目における運転手の運転嗜好の学習の進捗度を表示する。音声出力装置52は、車間制御ECU21からの指令に応答して、各学習項目における運転手の運転嗜好の学習の進捗度を運転手に音声通知する。なお、車間制御ECU21は、表示装置51及び音声出力装置52のうち何れか一方に、各学習項目における運転手の運転嗜好の学習の進捗度を表示又は通知する指令を出力すればよく、必ずしも、各学習項目における運転手の運転嗜好の学習の進捗度を表示又は通知する指令を両者に出力する必要はない。
【0043】
読み取り/書き込み装置41は、車間制御ECU21から車内通信網60経由でドライバ情報(図3のステップ308で車間制御ECU21から送信されたドライバ情報)を受信したか否かを判定する(図2のステップ204)。
【0044】
読み取り/書き込み装置41は、ドライバ情報に含まれる運転履歴情報が更新されているか否かを判定する(図2のステップ205)。ドライバ情報に含まれる運転履歴情報が更新されているか否かは、新たな運転履歴情報がドライバ情報に含まれているか否かに基づいて判定される。
【0045】
ドライバ情報に含まれる運転履歴情報が更新されている場合(図2のステップ205;YES)、読み取り/書き込み装置41は、新たな運転履歴情報をICカード42に書き込むことにより、ICカード42に記録されているドライバ情報に含まれる運転履歴情報を更新する(図2のステップ206)。
【0046】
ドライバ情報に含まれる運転履歴情報が更新されていない場合(図2のステップ205;NO)、又はICカード42に記録されているドライバ情報に含まれる運転履歴情報の更新処理(図2のステップ206)が完了すると、読み取り/書き込み装置41の処理は終了する。
【0047】
このようにして、ICカード42に記録されているドライバ情報に含まれる運転履歴情報を更新することにより、運転手の運転嗜好に合致した運転支援制御を的確に行うことができる。
【0048】
図4は、各学習項目における運転手の運転嗜好の学習の進捗度を表示する画面60の一例を示す。この画面60は、表示装置51により表示される。この例では、先行車に追従して走行するときの先行車と自車との間の車間距離の学習の進捗度は、82%であり、停車時の先行車と自車との間の車間距離の学習の進捗度は、100%であり、加速のタイミングの学習の進捗度は、36%であり、減速のタイミングの学習の進捗度は、60%である。
【0049】
各学習項目における運転手の運転嗜好の学習の進捗度を表示することにより、運転手は、複数の学習項目のうち、どの学習項目の学習が不足しているのかを把握することができる。これにより、特定の学習項目の学習不足に起因して、運転手の運転嗜好に合致した運転支援制御が的確に行われないことによる運転手の不安感を払拭することができる。また、運転手は、学習が不足している特定の学習項目の学習が早く完了するように配慮しながら自動車の運転操作を行うことができる。これにより、全ての学習項目の学習を早期の段階で終了させ、運転手の運転嗜好に合致した運転支援制御を早期の段階で的確に行えるようにすることができる。
【0050】
なお、車間制御ECU21は、自動車の運転手による自動車の運転操作を検出することにより、複数の学習項目のそれぞれについて、運転手の運転嗜好を学習する手段、及び各学習項目における自動車の運転手による自動車の運転操作の検出数に基づいて、各学習項目における運転手の運転嗜好の学習の進捗度を計算する手段として機能する。
【0051】
各種電子制御ユニット(車間制御ECU21、ナビゲーションECU22、エンジン制御ECU23、及びブレーキ制御ECU24)は、運転手の運転嗜好に応じて運転手による自動車の運転操作を支援する運転支援制御を実行する手段として機能する。
【0052】
上述の例では、自動車の動力源として、内燃機関を用いる構成を例示したが、内燃機関と電気モータとを併用する構成でもよく、或いは内燃機関に替えて電気モータを用いる構成でもよい。
【0053】
自動車の動力源として、内燃機関と電気モータとを併用する構成においては、車間制御ECU21、ナビゲーションECU22、エンジン制御ECU23、ブレーキ制御ECU24、及び電気モータを制御するECUが、運転手の運転嗜好に応じて運転手による自動車の運転操作を支援する運転支援制御を実行する手段として機能する。
【0054】
自動車の動力源として、内燃機関に替えて電気モータを用いる構成においては、車間制御ECU21、ナビゲーションECU22、ブレーキ制御ECU24、及び電気モータを制御するECUが、運転手の運転嗜好に応じて運転手による自動車の運転操作を支援する運転支援制御を実行する手段として機能する。
【0055】
表示装置51は、各学習項目における運転手の運転嗜好の学習の進捗度を表示する手段として機能する。
【0056】
音声出力装置52は、各学習項目における運転手の運転嗜好の学習の進捗度を運転手に通知する手段として機能する。各学習項目における運転手の運転嗜好の学習の進捗度を運転手に通知する手段は、音声出力装置に限られるものではなく、例えば、運転手が携帯する携帯端末装置(例えば、スマートフォンと呼ばれる多機能電話機、又はタブレット端末)に、各学習項目における運転手の運転嗜好の学習の進捗度を示す情報を送信する無線通信装置でもよい。この場合、運転手は、各学習項目における運転手の運転嗜好の学習の進捗度を示す情報を携帯端末装置から確認することができる。
【0057】
本発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更又は改良され得るととともに、本発明には、その等価物も含まれる。なお、同一符号は、同一の構成要素を示すものとし、重複する説明は省略する。
【符号の説明】
【0058】
10…運転支援装置 21…車間制御ECU 22…ナビゲーションECU 23…エンジン制御ECU 24…ブレーキ制御ECU 30…レーザレーダセンサ 41…読み取り/書き込み装置 42…ICカード 51…表示装置 52…音声出力装置 60…車内通信網
図1
図2
図3
図4