(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-02
(45)【発行日】2025-07-10
(54)【発明の名称】美容健康情報提供システム、美容健康情報提供方法及び、美容健康情報提供プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20250703BHJP
【FI】
G16H10/00
(21)【出願番号】P 2024062642
(22)【出願日】2024-04-09
【審査請求日】2025-03-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)学会、セミナー、投資家や顧客向けの説明会、展示会、見本市、博覧会等による公開:令和5年11月2日 虎ノ門CICベンチャーカフェイベント、令和5年11月2日 立命館大阪いばらきキャンパスOICイベント、令和5年11月2日 SAAI Wonder Working Communiity、令和5年11月13日 セブンイレブン社長室向け説明会、令和5年12月4日 虎ノ門CICベンチャーカフェイベント、令和6年1月13日 Faviewイベント、令和6年1月25日 名古屋コワーキングスペースStation Ai、令和6年3月6日 虎ノ門CICベンチャーカフェイベント
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (2)ウェブサイトを通じた公開:令和5年6月1日 https://faview.jp/
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (3)刊行物への掲載による公開:令和5年11月1日 自社(株式会社ViewBE)サービスパンフレット
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (4)メール送信による公開:令和6年1月22日 株式会社ファンケル、令和6年2月1日 広島県東京事務所、令和5年7月1日 株式会社ポーラ、令和5年10月13日 株式会社QOOLキャリア、令和5年11月26日 J.フロントリテイリング株式会社、令和5年11月1日 株式会社オリエンタルランド
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (5)その他、守秘義務のない第三者への公開:令和5年11月15日 東日本旅客鉄道株式会社、令和5年11月27日 株式会社morning boost、令和5年12月12日 ソフトバンク株式会社、令和5年12月13日 株式会社三菱UFJ銀行、令和5年12月15日 株式会社All Right、令和6年1月11日 株式会社ポーラ、令和6年1月15日 株式会社I-ne、令和6年1月17日 株式会社ゼロワンブースター、令和6年2月16日 ウエインズトヨタ神奈川株式会社、令和6年3月12日 三井不動産株式会社、令和6年3月13日 ポジウィル株式会社
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521274809
【氏名又は名称】株式会社ViewBE
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 葉留奈
(72)【発明者】
【氏名】小出 範明
【審査官】松尾 真人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2024/0037622(US,A1)
【文献】特表2021-518244(JP,A)
【文献】特表2021-523785(JP,A)
【文献】国際公開第2021/100880(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0043053(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに対して、頭皮及び/又は頭髪に関する美容健康情報を提供する美容健康情報提供システムであって、
ユーザの問診への回答に関する問診情報と、頭皮及び/又は頭髪の撮像画像と、を入力データ、頭皮及び/又は頭髪についての段階的な評価を出力データとして学習を行った診断モデル
と、ユーザの過去の診断結果である履歴情報と、を記憶する記憶部と、
ユーザの問診への回答に関する問診情報と、頭皮及び/又は頭髪についての撮像画像と、を受け付ける受付部と、
前記診断モデルを利用して、前記問診情報と、前記撮像画像と、
前記履歴情報と、に基づいて、頭皮及び/又は頭髪についての段階的な評価である診断結果を決定する診断部と、
を備える、
美容健康情報提供システム。
【請求項2】
前記美容健康情報提供システムは、更に、学習部を備え、
前記学習部は、ユーザの問診への回答に関する問診情報と、頭皮及び/又は頭髪の撮像画像と、を入力データ、頭皮及び/又は頭髪についての段階的な評価を出力データとして前記診断モデルの学習を行う、
請求項1に記載の美容健康情報提供システム。
【請求項3】
前記美容健康情報提供システムは、更に、表示処理部を備え、
前記診断結果は、頭皮及び/又は頭髪についての複数の評価項目に関する段階的な評価を含み、
前記表示処理部は、前記診断結果に基づいて、複数の頭皮及び/又は頭髪についての評価項目に係る段階的な評価を表示する診断結果表示画面を表示処理する、
請求項1に記載の美容健康情報提供システム。
【請求項4】
前記診断部は、ユーザの過去の診断結果である
前記履歴情報を診断日と関連付けて前記記憶部に記憶し、
前記診断結果表示画面は、複数の前記診断結果及び診断日に基づく、頭皮及び/又は頭髪についての評価の経過を示す経過表示図を含む、
請求項3に記載の美容健康情報提供システム。
【請求項5】
前記美容健康情報提供システムは、更に、アドバイス提供部を備え、
前記アドバイス提供部は、前記問診情報に基づいて頭皮及び/又は頭髪の美容に関するアドバイスを出力する、
請求項1に記載の美容健康情報提供システム。
【請求項6】
前記美容健康情報提供システムは、更に、ケア情報提供部を備え、
前記記憶部は、更に、ユーザに提供されるケアについて、複数のケア情報を記憶し、
前記ケア情報提供部は、前記診断結果及び前記複数のケア情報に基づいて、ユーザに適したケアについてのケア情報を提供する、
請求項1に記載の美容健康情報提供システム。
【請求項7】
ユーザの問診への回答に関する問診情報と、頭皮及び/又は頭髪の撮像画像と、を入力データ、頭皮及び/又は頭髪についての段階的な評価を出力データとして学習を行った診断モデル
と、ユーザの過去の診断結果である履歴情報と、を記憶部に記憶するコンピュータが実行する美容健康情報提供方法であって、
ユーザに対して、肌や髪の美容に関する情報を提供する美容健康情報提供方法であって、
ユーザの問診への回答に関する問診情報と、頭皮及び/又は頭髪についての撮像画像と、を受け付ける受付工程と、
前記診断モデルを利用して、前記問診情報と、前記撮像画像と、
前記履歴情報と、に基づいて、頭皮及び/又は頭髪についての段階的な評価である診断結果を決定する診断工程と、
を備える、美容健康情報提供方法。
【請求項8】
ユーザに対して、肌や髪の美容に関する情報を提供する美容健康情報提供プログラムであって、
ユーザの問診への回答に関する問診情報と、頭皮及び/又は頭髪についての撮像画像と、を受け付ける受付部と、
診断モデルを利用して、前記問診情報と、前記撮像画像と、
ユーザの過去の診断結果である履歴情報と、に基づいて、頭皮及び/又は頭髪についての段階的な評価である診断結果を決定する診断部と、
として、ユーザの問診への回答に関する問診情報と、頭皮及び/又は頭髪の撮像画像と、を入力データ、頭皮及び/又は頭髪についての段階的な評価を出力データとして学習を行った前記診断モデル
と、前記履歴情報と、を記憶する記憶部を備えるコンピュータを機能させる、
美容健康情報提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容健康情報提供システム、美容健康情報提供方法及び、美容健康情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ユーザはスマートフォン等の端末を利用して自身に関する情報を提供することで、容易に専門家等から自身の健康に関するアドバイスを貰うことができる。
【0003】
特許文献1では、マークシート等を利用して行った問診の内容と皮脂の画像データを提供することで肌診断の結果を出力する肌状態の判定システムについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述する判定システムでは、角質チェッカーや皮脂チェッカーなどの粘着物質を利用した採取装置により取得した角質や皮脂の画像を利用していたが、頭髪や頭皮に関してはこのような粘着物質を利用した採取装置を利用することができず、頭髪や頭皮に関する診断を行うには高価な診断器具が必要になるなど、容易に頭髪や頭皮に関する診断結果を提供することができなかった。
【0006】
本発明は、上述する課題に鑑みて、頭皮及び/又は頭髪に関する美容健康情報を容易に提供する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、
ユーザに対して、頭皮及び/又は頭髪に関する美容健康情報を提供する美容健康情報提供システムであって、
ユーザの問診への回答に関する問診情報と、頭皮及び/又は頭髪の撮像画像と、を入力データ、頭皮及び/又は頭髪についての段階的な評価を出力データとして学習を行った診断モデルを記憶する記憶部と、
ユーザの問診への回答に関する問診情報と、頭皮及び/又は頭髪についての撮像画像と、を受け付ける受付部と、
前記診断モデルを利用して、前記問診結果と、前記撮像画像と、に基づいて、頭皮及び/又は頭髪についての段階的な評価である診断結果を決定する診断部と、
を備える。
【0008】
このような構成とすることで、問診への回答と画像データを含む簡易なデータに基づいて、段階的な評価である問診結果を容易に提供することができる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記美容健康情報提供システムは、更に、学習部を備え、
前記学習部は、ユーザの問診への回答に関する問診情報と、頭皮及び/又は頭髪の撮像画像と、を入力データ、頭皮及び/又は頭髪についての段階的な評価を出力データとして前記診断モデルの学習を行う。
【0010】
このような構成とすることで、段階的な評価を行うことができる診断モデルの学習を行うことができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記記憶部は、ユーザの過去の診断結果である履歴情報を記憶部に記憶し、
前記診断部は、更に、前記履歴情報に基づいて、前記診断結果を決定する。
【0012】
このような構成とすることで、過去の診断結果を参酌した診断結果を提供することができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記美容健康情報提供システムは、更に、表示処理部を備え、
前記診断結果は、頭皮及び/又は頭髪についての複数の評価項目に関する段階的な評価を含み、
前記表示処理部は、前記診断結果に基づいて、複数の頭皮及び/又は頭髪についての評価項目に係る段階的な評価を表示する診断結果表示画面を表示処理する。
【0014】
このような構成とすることで、複数の評価項目に関する段階的な評価を表示し、ユーザに診断結果に関する情報を容易に提供することができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記診断部は、ユーザの過去の診断結果である履歴情報を診断日と関連付けて記憶部に記憶し、
前記診断結果表示画面は、複数の前記診断結果及び診断日に基づく、頭皮及び/又は頭髪についての評価結果の経過を示す経過表示図を含む。
【0016】
このような構成とすることで、過去の診断結果等の複数の診断結果に基づいて、評価の経過についてユーザが直感的に理解しやすい形で提供することができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記美容健康情報提供システムは、更に、アドバイス提供部を備え、
前記アドバイス部は、前記問診情報に基づいて頭皮及び/又は頭髪の美容に関するアドバイスを出力する。
【0018】
このような構成とすることで、ユーザに対して、診断結果に基づくケア方法等のアドバイスを提供することができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記美容健康情報提供システムは、更に、ケア情報提供部を備え、
前記記憶部は、更に、ユーザに提供されるケアについて、複数のケア情報を記憶し、
前記ケア情報提供部は、前記診断結果及び前記複数のケア情報に基づいて、ユーザに適したケアについてのケア情報を提供する。
【0020】
このような構成とすることで、診断結果に基づく、ユーザに適した商品などのケアに関する情報を提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、頭皮及び/又は頭髪に関する美容健康情報を提供する新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて、本発明の美容健康情報提供システム、美容健康情報提供方法及び、美容健康情報提供プログラムについて説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することができる。
【0024】
本実施形態では、美容健康情報提供システムの構成、動作等について説明するが、同様の構成の方法、装置、コンピュータのプログラム及び当該プログラムを格納したプログラム記憶媒体なども同様の作用効果を奏することができる。以下で説明する本実施形態に係る一連の処理は、コンピュータで実行可能なプログラムとして提供され、CD-ROMやフレキシブルディスクなどの非一過性コンピュータ可読記録媒体、更には通信回線を経て提供可能である。
【0025】
<システム構成>
図1は、美容健康情報提供システム0のシステム構成図を示す。美容健康情報提供システム0は、
図1に示すように、美容健康情報提供装置1と、ユーザ端末2と、を備え、各構成部は、通信ネットワークNWを介して通信可能に接続される。通信ネットワークNWは、IP(Internet Protocol)ネットワークなど、任意の通信プロトコルを用いる任意のネットワークである。また、本実施形態において、美容健康情報提供システム0は、更に、専門家等のユーザに対して美容に関する情報を提供する提供者の端末装置である提供者端末3を備えていてもよい。
【0026】
ユーザ端末2は、美容健康情報提供システムを利用して、頭皮及び/又は頭髪に関する美容健康情報の提供を受けるユーザが利用する端末装置である。
図1においてユーザ端末2は、1つのみ示されるが、本実施形態において、ユーザ端末2は複数存在する。本実施形態において、ユーザ端末2は、問診情報及び撮像画像を含むユーザからの頭皮及び/又は頭髪についての情報等必要な情報の入力を受け付け、美容健康情報提供装置1に送信する。
【0027】
本実施形態において、ユーザは、自身の所有するユーザ端末2を介して問診への回答の入力や頭皮及び/又は頭髪についての画像の撮像を行い、美容健康情報提供装置1に問診の内容や撮像画像等のユーザの頭皮及び/又は頭髪に関する情報を送信することで、頭皮及び/又は頭髪に関する診断結果等の美容健康情報の提供を受ける。また、本実施形態において、ユーザは、更に、美容健康情報提供装置1より美容健康情報として自身の悩みや診断結果に応じたアドバイスや、自身に適した商品についての商品情報の提供を受けることができる。美容健康情報提供システム0が提供する美容健康情報は、美容及び/又は健康に関する情報であって、本実施形態では診断結果やアドバイス情報、ケア情報等の美容に関する情報である。
【0028】
<ハードウェア構成>
図2(a)は、美容健康情報提供装置1のハードウェア構成図を示す。美容健康情報提供装置1は、ハードウェア構成として、処理部201と、記憶部202と、通信部203と、を備える。本実施形態において、美容健康情報提供装置1は、サーバやパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いることができる。なお、美容健康情報提供装置1は、複数のコンピュータ装置により構成されてもよく、全体として後述する機能構成要素(11-17)を実現できれば、
図2(a)に示す構成に限定されるものではない。
【0029】
処理部101は、CPUなどの1又は複数のプロセッサにより構成され、美容健康情報提供プログラムやOS(Operating System)、その他のアプリケーションを実行することで、美容健康情報提供装置1における全体処理を制御する。記憶部102は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などの1又は複数のメモリによって構成され、美容健康情報提供プログラム及び各種データを記憶する。通信部103は、通信ネットワークNWとの通信制御を行い、ユーザ端末2等とのデータ通信を実現する。処理部101は、美容健康情報提供プログラムを実行することで、コンピュータを美容健康情報提供装置1として機能させ、美容健康情報提供方法を実行させる。
【0030】
本実施形態において、美容健康情報提供装置1の記憶部102は、問診情報、撮像画像及び評価情報を含む教師データとして利用されるデータや、評価モデルを含む当該システムの処理で利用されるモデル、ユーザ情報等の必要な各種情報を記憶する。
【0031】
図2(b)は、ユーザ端末2のハードウェア構成図を示す。ユーザ端末2は、ハードウェア構成として処理部201と、記憶部202と、通信部203と、入力部204と、出力部205と、を備える。本実施形態において、ユーザ端末2は、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット端末等の端末装置を用いることができる。また、ユーザに美容健康情報を提供する提供者端末3として利用される端末装置は、
図2(b)に示すようなユーザ端末2と同様のハードウェア構成を備えていてもよい。
【0032】
処理部201は、CPUなどの1つ以上のプロセッサにより構成され、OS、その他のアプリケーションを実行することで、ユーザ端末2における全体処理を制御する。記憶部202は、HDD、SSD、フラッシュメモリ、RAMなどであって、ブラウザアプリケーション、および各種データを記憶する。通信部203は、通信ネットワークNWとの通信制御を行い、美容健康情報提供装置1等とのデータ通信を実現する。入力部204は、操作者による操作要求等を受け付ける入力インターフェースであって、タッチパネル、マウス、キーボードなどにより構成される。出力部205は、処理部201による処理結果を表示するディスプレイ等により構成される。
【0033】
美容健康情報提供装置1は、診断モデルを記憶部102に記憶し、この診断モデルに対して、ユーザの問診への回答に関する問診情報及び頭皮及び/又は頭髪に関する撮像画像を入力することで、頭皮及び/又は頭髪に関する段階的な評価である診断結果を決定する。
【0034】
<診断モデル>
美容健康情報提供装置1は、学習部11において学習を行った診断モデルを記憶部102に記憶し、この診断モデルを利用して診断部12が診断結果を決定する。以下、本実施形態における診断モデルについて説明を行う。
【0035】
診断モデルは、ユーザへの問診への回答に関する問診情報と、ユーザの頭皮及び/又は頭髪の撮像画像と、を含むユーザの頭髪に関する情報を入力データ、頭皮や頭髪等に関する専門家が問診への回答や撮像画像に基づいて決定した頭皮及び/又は頭髪に関する段階的な評価を出力データとして学習を行った学習済みのモデルである。本実施形態において、診断モデルは、頭皮及び/又は頭髪に関する撮像画像と、ユーザによる問診の内容についての問診情報と、その撮像画像及びユーザによる問診の内容を確認した専門家の行った段階的な評価に関する評価情報と、に基づいて、その専門家が行った評価の学習を行う。このように、撮像画像と問診情報を含む専門家が確認したユーザについての情報と、専門家が行った評価と、に基づいて学習を行うことで、本願における診断モデルは、問診情報と撮像画像に基づいて、厳密な数値による診断結果ではなく、専門家が提供していたものと同様の段階的な診断結果を決定することが可能となる。また、本実施形態において、診断モデルは、問診情報及び撮像画像が入力されると、髪の細さや髪の水分量、髪の量等の複数の評価項目に関して5段階評価などの段階的な評価である診断結果を決定する。
【0036】
以下、
図3を用いて診断モデルの学習及び診断モデルを利用した診断結果の決定に利用されるデータの例を示す。以下に示すデータ構成は本実施形態における例であって、図に示すデータ構成に限定するものではない。また、同じ診断に関する問診情報、撮像画像及び、診断結果/評価情報は、ID等の識別情報を利用して関連付けて記憶部102に記憶される。
【0037】
図3(a)において、問診情報の例を示す。問診情報は、ユーザ端末2において入力された、問診に対するユーザの回答に関する情報である。本実施形態において、問診情報は、ユーザの頭皮や頭髪に関する悩み、ユーザの悩みに対する対応状況、ユーザの悩みについての悩み始めた時期等のユーザの頭皮及び/又は頭髪対する質問へのユーザの回答であって、選択肢以外の入力を受け付けるため、テキストデータとして取得される。また、問診情報は、頭皮及び/又は頭髪の診断に利用可能な情報であればどのような情報であってもよく、例えば、ユーザの年齢や性別等のユーザ自身の情報や、ユーザが頭皮及び/又は頭髪のケアに利用するケア用品についての情報、ユーザ自身が考えるユーザの頭皮及び/又は頭髪の状態についての情報等であってもよい。また、問診情報は、ユーザに行われた質問についての情報とユーザによる回答についての情報を対応付けて含んでいてもよい。
【0038】
図3(b)において、診断モデルの学習又は診断結果の決定に関する処理に利用される頭皮及び/又は頭髪の撮像画像の例を示す。本実施形態において、撮像画像は、ユーザ端末2において撮像されたユーザの頭髪や頭皮に関する画像であって、指定された複数の角度からユーザの頭の撮影を行うことで取得された画像である。撮像画像は、複数の画像データでもよいし、また、複数の角度から撮影した画像を結合したような画像であってもよい。
【0039】
図3(c)において、診断結果及び評価情報のデータ構成の例を示す。本実施形態において、診断結果と評価情報は、同様のデータ構成を示す。
【0040】
診断結果は、問診情報及び撮像画像に基づいて、診断モデルを用いて決定されるユーザの頭皮及び/又は頭髪についての診断の結果であって、髪の細さ、髪の水分量、髪の量、頭皮のかたさ、頭皮の色等の評価項目についての段階的な評価(5段階評価など)である。本実施形態において、診断結果は、複数の評価項目における段階的な評価を含む。
【0041】
評価情報は、診断モデルの学習を行うための教師データとして利用される、頭皮及び/又は頭髪に関する撮像画像やユーザの問診に対する回答を確認した毛髪診断士や医師等の専門家が行った複数の評価項目に関する段階的な評価についての情報である。評価情報は、髪の細さ、髪の水分量、髪の量、頭皮のかたさ、頭皮の色等の評価項目についての段階的な評価(5段階評価など)についての情報であって、それぞれの評価項目における段階的な評価を含む。本実施形態において、診断モデルは、教師データとして利用した評価情報における項目と同様の評価項目に関して、診断結果として段階的な評価を決定する。
【0042】
また、診断モデルは、撮像画像及び問診結果に加えて、更に、ユーザの過去の診断結果に基づいて診断結果を決定してもよい。また、本実施形態において、診断モデルは、いずれのユーザや悩みに対しても共通のモデルであるが、ユーザ情報及び/又は問診情報に基づいて選択される、ユーザの年齢や性別、ユーザの悩み等のユーザごとに適したモデルであってもよい。
【0043】
本実施形態における診断モデルは、画像データである撮像画像とテキストデータである問診情報をデータ処理部13で前処理することで生成したデータを入力データとして受け付けるような、自然言語及び画像データの処理を行うことが可能なモデルを組み合わせることにより構成されるマルチモーダルなモデルである。また、診断モデルは、撮像画像と、問診情報と、でそれぞれのデータが画像処理を行うモデルと自然言語処理を行う異なるモデルに入力された場合、それぞれのモデルが撮像画像と問診情報より抽出した特徴量に基づいて診断結果を決定するような、それぞれ異なる複数のモデルを利用することによって構成されるモデルであってもよい。本実施形態において、診断モデルは、畳み込みニューラルネットワークのようなニューラルネットワークにより構成されるモデルである。また、問診において複数の選択肢から選択された一つの回答を問診情報として受付部16が受け付ける場合、診断モデルが問診情報として取得した選択肢から選択された回答及び専門家による評価に基づいて教師あり学習を行い、診断結果(段階的な評価の値)を決定するような、自然言語の処理を行うことができないモデルであってもよい。
【0044】
また、本実施形態における診断モデルは、撮像画像として取得した画像の特徴量のベクトルと、問診情報として取得した文章をベクトル化して取得したベクトルと、を含む複数のデータを入力として受け付け、診断結果として複数の評価項目についての評価を出力する多入力多出力モデルである。このように、本実施形態における診断モデルは、画像データである撮像画像とテキストデータである問診情報をベクトルに変換して一つのモデルで扱えるようにしてから診断結果の決定に関する処理を行うことで、個々の入力に対応する複数のモデルを生成して診断結果の決定を行う場合と比べて処理の速度の向上を図っている。また、診断モデルは、撮像画像として取得した画像の特徴量のベクトル及び問診情報として取得した文章のベクトルに対して評価情報として取得した専門家の評価をラベルとして付すことで学習を行った教師ありモデルである。
【0045】
また、本実施形態において、診断モデルは、診断結果を決定するための畳み込みニューラルネットワークとアドバイスを生成するための大規模言語モデルを組み合わせることで構成され、アドバイス提供モデルとしても機能する。また、診断モデルとアドバイス提供モデルとでそれぞれ別のモデルとして構成されていてもよい。
【0046】
<機能構成>
美容健康情報提供装置1は、頭皮及び/又は頭髪に関する診断結果等の美容健康情報を提供するための装置であって、学習部11と、診断部12と、データ処理部13と、アドバイス提供部14と、ケア情報提供部15と、受付部16と、表示処理部17と、を備える。以下、美容健康情報提供装置1における機能構成について説明を行う。
【0047】
学習部11は、ユーザの問診への回答に関する問診情報と、頭皮及び/又は頭髪に関する撮像画像を入力データ、頭皮及び/又は頭髪に関する段階的な評価を出力データとして診断モデルの学習を行う。
図1において、学習部11は、美容健康情報提供装置1に備えられるが、学習装置として利用される他のサーバ装置に備えられていてもよい。また、学習部11は、追加で取得したデータを利用してファインチューニングを行うなど、学習済みのモデルを調整する処理を行ってもよい。なお、学習部11において学習を行った学習済みの診断モデルは、美容健康情報提供装置1の記憶部102に記憶され、後述する診断部12における診断結果の決定に関する処理に利用される。また、本実施形態において、学習部11は、データ処理部13により扱いやすい形に変換するための前処理が行われた処理済みのデータ(処理データ)を利用して学習を行うが、前処理がされていないデータ(生データ)について加工が不要な場合は、生データを利用して学習を行ってもよい。
【0048】
受付部16は、問診情報及び撮像画像を含むユーザの頭皮及び/又は頭髪に関する情報をユーザ端末2より受け付け、診断部12等に受け渡す処理を行う。受付部16は、問診情報を含む受け付けた情報を、診断結果の決定等の美容健康情報提供装置1における処理に利用するために記憶部102に記憶してもよい。また、受付部16は、専門家等の提供者が操作する提供者端末3において入力された、ユーザに提供される美容健康情報や、教師データとして利用される頭皮及び/又は頭髪に関する段階的な評価についての情報(評価情報)の入力を受け付けてもよい。
【0049】
データ処理部13は、問診情報、撮像画像及び評価情報を含む教師データ及び、ユーザ端末2より受け付けた問診情報と撮像画像を含む診断のために利用されるデータ等の各種データを美容健康情報提供システム0で扱いやすい形に変換する処理を前処理として行う。前処理が行われず、そのままのデータを生データ、前処理が行われた処理済みのデータを処理データとして呼称するが、データ処理部13は、取得した生データが当該美容健康情報提供システム0で扱いやすい形式であるときは、前処理を行わなくてもよい。
【0050】
データ処理部13は、撮像画像に関して、カラー画像から白黒画像に変換する処理や、複数の角度から撮影された複数の画像データを
図3に示す例のように左右に結合するなどして、複数の画像データを一つの画像データとしてまとめる等の処理を、前処理として行ってもよい。また、データ処理部13は、テキストデータとして取得した問診情報に関して、文章をベクトル化する処理や、文章をトークン化する処理を前処理として行ってもよい。また、データ処理部13は、その他画像データ及びテキストデータに関して、撮像画像や問診情報に対する処理と同様の処理を前処理として行ってもよい。
【0051】
診断部12は、ユーザ端末2より受付部16が受け付けた問診情報及び撮像画像に基づき、診断モデルを用いて、頭皮及び/又は頭髪に関する段階的な評価である診断結果を決定する。本実施形態において、診断部12が決定する診断結果は、教師データとして学習に利用した評価情報における項目と同様の、髪の細さや髪の水分量等の複数の評価項目に係る段階的な評価を含む。
【0052】
また、本実施形態において、診断部12は、診断結果の経過についての情報をユーザに提供する処理に利用するため、決定した診断結果を、診断を行った対象のユーザのユーザ情報及び診断日等の診断を行った日時に関する情報と関連付けて記憶部102に記憶する。記憶部102は、このような過去のユーザが行った診断における診断結果を履歴情報として記憶するが、更に、その診断結果の決定に利用した問診情報及び撮像画像を診断結果と関連付けて記憶してもよい。更に、ユーザが過去に診断を行ったことがある場合、診断部12は、撮像画像及び問診情報に加えて、更に、ユーザ情報と関連付けて記憶されているユーザの過去の診断結果(履歴情報)に基づいて、ユーザの前回までの診断結果を参照した診断結果を決定する。
【0053】
アドバイス提供部14は、診断部12による診断結果に基づいてアドバイスを出力する。本実施形態において、アドバイス提供部14は、アドバイスを出力する処理として、専門家が提供したアドバイスやユーザと専門家のチャットでのやり取り等のテキストデータに基づいて学習を行った言語モデルであるアドバイス提供モデルを利用してアドバイスを生成する処理を行う。本実施形態において、アドバイス提供モデルは、問診情報及び撮像画像と、専門家がこの問診情報及び撮像画像を確認して過去に提供したアドバイスについての情報(アドバイス履歴)を利用して学習を行った、ユーザへの頭皮及び/又は頭髪に関するアドバイスを生成することができるモデルである。本実施形態におけるアドバイス提供モデルは、文章を生成可能な大規模言語モデルであって、診断モデルと同様に撮像画像として取得した画像のベクトル及び問診結果として取得した文章をベクトル化したベクトルが入力されると、アドバイスを出力するモデルであるが、更に、過去の診断結果(診断履歴)を入力として受け付けていてもよい。また、アドバイス提供部14は、問診情報、撮像画像及び診断結果に基づいてアドバイス提供モデルに入力するためのプロンプトを生成し、生成したプロンプト及びアドバイス提供モデルを利用して生成したアドバイスを出力してもよい。
【0054】
また、アドバイス提供モデルは、問診情報、撮像画像及び診断結果に基づいて、いずれのアドバイスを提供するか決定するモデルであってもよい。このとき、アドバイス提供部14は、問診情報、撮像画像及び診断結果に基づいて、提供するアドバイスに関する分類(アドバイス分類)を決定し、記憶部102に記憶されるアドバイス情報を参照して決定した分類に対応するアドバイスを出力する。記憶部102に記憶されるアドバイス情報は、アドバイス提供モデルが決定する分類分け(アドバイス分類)ごとに設定されるアドバイスに関する情報であって、アドバイス提供モデルによる分類と分類に対応するアドバイスの内容に関する情報(例えば、若白髪に関する分類が決定されると、若白髪に関する分類に対応する「若白髪には〇〇のようなケアをするとよいですよ。」といった内容のアドバイス等)を含む。アドバイス提供部14は、例えば、ユーザの悩みが毛の細さであり、診断結果における髪の細さの項目の評価が5段階評価のうち1(1が最も細く、5が最も太い評価)であるとき、アドバイス情報を参照してアドバイス提供モデルが決定した分類に対応するアドバイスとして「細い髪の場合は〇〇のようなケアをするとよいですよ。」等のアドバイスを出力する。
【0055】
また、ケア情報提供部15は、記憶部102に記憶される複数のケアについてのケア情報と、診断結果と、に基づいて、ユーザの髪質等に対応するようなユーザに適した商品等、ユーザに適したケアを決定し、決定したケアについてのケア情報を提供する。記憶部102が記憶するケア情報は、ヘアケア商品や頭皮のケア商品など、頭皮及び/又は頭髪のケアに利用される商品についての商品情報と、ユーザがとるべき美容成分等についての成分情報と、ユーザが行うべきトレーニングについてのトレーニング情報と、ユーザがとるべき食事についてのレシピ情報と、髪についての相談を行うべき専門家(例えば、栄養士、美容師、医師など)についての相談先情報と、を含むユーザに提供されるケアについての情報である。本実施形態において、ケア情報提供部15は、例えば、診断結果として髪が細いといった結果が出た場合、髪が細い人向けのケアについての情報を提供するなど、診断結果に基づいて、ユーザに適したケアを決定し、その決定したケアについてのケア情報を提供する。このとき、ケア情報提供部15は、診断結果に基づいてユーザを分類し、その分類に基づいて分類ごとのケア情報を提供してもよいし、ユーザの診断結果の中で最も平均から離れた評価が得られた項目に関連するケアについての情報を提供(例えば、他の項目が平均程度だったが、髪の細さの項目についての評価結果のみが平均から非常に離れていた場合、髪の細さ対策のケアについてのケア情報を提供するなど)してもよいし、また、ユーザが指定した項目に関するケア情報を提供(髪の太さに関する項目が選択された場合は、診断結果から得られたユーザの髪の太さに応じたケアについての情報を提供するなど)してもよい。
【0056】
以下、ケア情報の提供について、ユーザに適した商品に関する商品情報が提供される際の例について示す。本実施形態では、商品情報は、商品名と、商品画像と、商品IDと、提供商品分類と、を含む。本実施形態において、ケア情報提供部15は、診断結果に基づいて、ユーザに情報を提供する商品についての分類である提供商品分類を決定し、提供商品分類及び商品情報に基づいて、決定された分類に属する商品についての商品情報を提供する。また、ケア情報提供部15は、問診情報や撮像画像等の診断に利用される他の情報に基づいて、ユーザの悩み等に適した商品についてなど、情報を提供する商品の決定を行ってもよい。このとき、ケア情報提供部15は、診断結果、問診情報及び撮像画像のうちの何れか又は複数に基づいて、情報を提供する商品に関する分類を行い、決定されたその提供商品分類に基づいて、その分類に属する商品に関する商品情報を参照してユーザに適した商品情報の提供を行う。また、ケア情報提供部15は、決定した提供商品分類に関して複数の商品が登録されている場合、その提供商品分類に登録されている商品の中から、年齢や性別等のユーザについての情報に基づいて商品情報を提供する商品を決定してもよいし、また、決定された提供商品分類に対応する複数の商品に関する情報を提供してもよい。
【0057】
また、ケア情報提供部15は、商品情報に含まれる所定の評価項目に係る評価の範囲及び診断結果に含まれる所定の評価項目の評価に基づいて、例えば、髪の細さの評価が1から2(1が最も細く、5が最も太い評価)である場合は髪が細い人用の商品の情報を提供するなど、診断結果に基づいて、何れか又は複数の評価項目における評価が所定の範囲である場合に特定の商品についての商品情報を提供するようにしてもよい。
【0058】
表示処理部17は、診断結果を含む各種必要な情報に基づいて、診断結果表示画面を含む画面を表示処理する。以下、図面を用いて表示処理部17が表示処理する画面について説明を行う。本実施形態において、表示処理部17が診断結果、アドバイス提供部14が提供したアドバイス及びケア情報を含む美容健康情報をユーザ端末2に表示することで、美容健康情報提供システム0は、ユーザに美容健康情報を提供する。
【0059】
図4において、ユーザが問診情報及び撮像画像を含む診断を行うために必要な情報を入力する際にユーザ端末2に表示される情報入力画面の画面表示の例を示す。図に示す、情報入力画面W1は、受付部16がユーザによる診断の開始の選択を受け付けると表示される、問診情報及び撮像画像を含む頭皮及び/又は頭髪についての診断を行うために必要な各種情報の入力を受け付けるための画面である。本実施形態において、表示処理部17は、記憶部102に記憶する質問情報に基づいて、情報入力画面W1において質問を表示し、受付部16は、表示された質問に対する回答を問診情報として受け付ける。このとき、表示処理部17は、ユーザ情報に基づく年齢や性別等のユーザの特性や、ユーザの悩みの内容等の他の質問へのユーザの回答に基づいて表示処理する質問を決定し、質問の表示処理を行ってもよい。受付部16は、このとき、ユーザの性別や年齢等によって異なる問診情報(例えば、女性であれば妊娠や出産後であるかなど)を受け付けてもよい。受付部16は、情報入力画面W1において入力された問診情報及び撮像画像を受け付ける。
【0060】
図5において、診断結果を表示する診断結果表示画面の画面表示の例を示す。図に示す、診断結果表示画面W2は、診断部12によって診断結果が決定されると、診断結果に基づいて表示処理され、ユーザ端末2に表示される診断結果を表示する画面であって、評価表示部W21と、経過表示
図W22と、を含む。また、
図5に示す診断結果表示画面W2は、それぞれの評価項目に関する複数の評価表示部W21を含む。また、診断結果表示画面W2は、アドバイス提供部14が提供するアドバイスを表示するアドバイス表示部や、ケア情報提供部15が提供する商品情報を表示する商品情報表示部を含んでいてもよい。
【0061】
評価表示部W21は、診断結果に含まれる何れかの評価項目についての段階的な評価(
図5では5段階評価)を表示する画面表示である。
図5に示す例では、評価表示部W21は、直感的に理解しやすくするため、薄く着色されていた棒グラフを評価に応じて濃い色などの他の色で着色するような、グラフ形式での表示を行っているが、段階的な評価を数値として表示してもよい。また、評価表示部W21は、更に、所定の評価項目における基準となる評価を示す画面表示である基準表示を含み、所定の評価項目における基準となる評価(評価項目が髪の細さの場合は、5段階のうち4段階目の細さが基準となる評価であるなど)を示すことができる。このとき、表示処理部17は、記憶部102に記憶されるそれぞれの評価項目ごとの基準となる評価についての基準情報に基づいて、評価項目ごとの基準の表示を行う。また、評価の基準は、ユーザの評価項目ごとの評価の平均や、年齢や性別ごとに設定される評価項目ごとの基準となる評価の値であってもよい。
【0062】
経過表示
図W22は、ユーザの診断結果に含まれる評価の推移を表示する画面表示であって、今回実行された診断による診断結果とユーザ情報と関連付けて記憶されているユーザの過去の診断結果(履歴情報)に基づいて表示処理される、今回の診断の結果と前回までの過去の診断の結果における評価の推移を示す画面表示である。本実施形態では、評価項目ごとに生成されるグラフ(
図5に示す例では髪の細さに関する経過のグラフ)であるが、複数の評価項目に関する評価の推移を一つにまとめたようなグラフであってもよい。また、本実施形態において、経過表示
図W22は、折れ線グラフ及び棒グラフにより示されるが、評価の推移を表示可能なグラフであればどのような形式のグラフであってもよい。
図5に示す経過表示
図W22は、縦軸が評価、横軸が診断回数であって、実施した診断における評価の推移を示すグラフであるが、横軸が時間であって、時間の経過における評価の推移を示す図であってもよい。
【0063】
また、診断結果表示画面W2において、カレンダー等の日付表示を押下することで日付の入力が行われ、表示処理部17が、履歴情報に基づいて、指定された日付における診断の結果を示す画面を表示処理してもよい。このとき、表示処理部17は、履歴情報に基づいて、
図5に示すような診断結果表示画面と同様の画面構成を有するような、過去の診断における評価を示す履歴表示画面を表示処理してもよい。
【0064】
<処理の流れ>
以下、本実施形態における美容健康情報提供装置1の処理の流れを説明する。
【0065】
<学習処理>
以下、診断モデルの学習に関する処理の流れの説明を行う。データ処理部13は、記憶部102に記憶されている処理前の生データである問診情報、撮像画像及び診断情報を取得し、診断モデルで扱いやすい形に変換する前処理を行う。学習部11は、データ処理部13により前処理が行われた処理データである問診情報、撮像画像及び診断情報を取得すると、それらのデータを教師データとして診断モデルの学習を行う。
【0066】
<診断処理>
図6を用いて、頭皮及び/又は頭髪についての診断を行う際の処理について説明を行う。ユーザにより診断の開始が選択され、ユーザ端末2より情報入力画面の表示要求を受付部16が受け付けると、表示処理部17は、情報入力画面の表示処理を行う(S101)。ユーザ端末2は、ユーザによる問診情報及び撮像画像の入力を受け付け、美容健康情報提供装置1に送信する(S201)。受付部16は、ユーザ端末2より問診情報及び撮像画像を受け付ける(S102)。このとき、美容健康情報提供装置1は、受け付けた撮像画像が適した角度の画像であるかなど、診断部12における診断等の処理に適した画像であるかを判定し、判定の結果、適した画像でない場合には、表示処理部17が、警告文や再度撮像画像を送信させるような指示を表示処理し、受付部16が再度の入力を受け付けてもよい。データ処理部13は、受付部16が受け付けた問診情報及び撮像画像等の生データに関して、当該システムで扱いやすい形に変換する前処理を行う(S103)。診断部12は、データ処理部13により処理済みの問診情報及び撮像画像を受け付けると、診断モデルを用いて、問診情報及び撮像画像に基づく診断結果の決定を行う(S104)。診断部12は、診断を行うユーザのユーザ情報と紐づいた診断結果が記憶部102に記憶されているかどうかを判定し、ユーザが過去に診断を行ったことがあり、ユーザ情報と紐づいた過去の診断結果(履歴情報)がある場合、問診情報及び撮像画像に加えて、更に、そのユーザの過去の診断結果の履歴である履歴情報に基づいて、診断結果を決定する。表示処理部17は、診断部12による診断結果に基づいて、複数の評価項目に係る段階的な評価を表示する診断閣下表示画面を表示処理する(S105)。
【0067】
また、
図6に示すような診断部12による処理の後に、ケア情報提供部15による商品情報を提供する処理や、アドバイス提供部14によるアドバイスを提供する処理の何れか又は両方の処理が行われてもよい。
【0068】
本実施形態では、診断部12は、問診情報及び撮像画像に基づいて、診断結果として頭皮及び/又は頭髪に関する段階的な評価を決定し、診断結果として提供するが、例えば、問診結果に基づく幸福度やメンタル等に関する診断の結果を診断結果として更に提供してもよい。また、診断部12は、更に、ユーザの頭皮や頭髪等のサンプルの解析結果等のデータを受け付け、診断結果の決定に利用してもよい。診断結果は、ホルモンのバランスやストレス値等の項目に関する評価を含んでいてもよい。
【0069】
<実施形態2>
実施形態2において、美容健康情報提供システム0が、美容や健康を維持するための商品を購入可能なマーケットプレイスを提供するためのシステムとして機能する際の例について説明を行う。また、以下の例において、ユーザに提供されるケア情報は、美容健康のケアのために利用される商品についての商品情報である。
【0070】
本実施形態において、受付部16は、商品情報の登録を受け付け、記憶部102に記憶する。商品情報は、ユーザに提供される商品に関する情報であって、商品名、商品価格、商品カテゴリ、商品画像、商品の説明文を含み、商品ID等の識別情報によって一意に識別され、管理される。本実施形態において、商品情報は、美容健康情報提供システム0の管理者によって登録されるが、商品を製造したメーカー等によって登録されていてもよい。表示処理部17は、商品情報に基づいて、商品について説明し、商品の購入を受け付けるための商品購入画面の表示処理を行う。このとき、美容健康情報提供装置1は、ユーザからの商品の購入を受け付け、決済処理等、購入のための処理を行う。また、マーケットプレイスにおけるユーザの商品の購入履歴やユーザがお気に入りとして登録した商品についての情報(お気に入り登録情報)は、マーケットプレイスにおけるユーザの行動履歴としてユーザID等の識別情報を利用してユーザ情報と関連付けて記憶部102に記憶される。このユーザの行動履歴は、例えば、協調性フィルタリングに利用されるなど、後述するケア情報提供部15による適した商品についての情報の提供に関する処理に利用されてもよい。
【0071】
また、受付部16は、更に、その商品についての商品情報を提供されるユーザの属性についての情報である提供属性情報の登録を受け付け、記憶部102に記憶する。提供属性情報は、どのようなユーザに対して提供されるべきかなどの、その商品についての商品情報の提供を受けるユーザの属性に関する情報であって、美容健康情報提供システム0の管理者やその商品のメーカー等によって登録される。本実施形態では、提供属性情報は、問診における質問に対する回答(例えば、悩みが白髪であること)や、診断結果に含まれる評価の値(例えば、髪の水分量の評価が4以上)、ユーザの環境(例えば、ユーザの生活圏の紫外線量や、天候、季節等)、ユーザに必要な成分等についての情報を含む。本実施形態では、提供属性情報は、本実施形態では、ユーザ情報、診断結果、問診情報を含むユーザに関する何れかの情報に対応する項目に関する情報であるが、1か月以上同じカテゴリの商品(例えば、シャンプー等)を購入していないなど、ユーザの行動履歴に関する情報が含まれていてもよい。商品情報及び提供属性情報は、商品ID等の一意な識別情報により関連付けて記憶される。また、記憶部102は、受付部16が受け付けた問診における質問に対する回答や、診断結果に含まれる評価の値、ユーザの環境等の、その商品を提供されるべきユーザの属性に関する情報に基づいて生成された特徴空間における座標やベクトル、特徴量等を提供属性情報として記憶してもよい。
【0072】
ケア情報提供部15は、診断結果、問診情報及びユーザ情報等のユーザに関する情報と、条件情報と、に基づいて、商品情報を提供する商品を決定する。ケア情報提供部15は、記憶部102に記憶されている、情報を提供すると決定された商品に関する商品情報を参照し、ユーザに適した商品情報の提供を行う。条件情報は、いずれの商品の情報を提供するかの条件に関する情報であって、本実施形態では、商品情報と、商品情報の提供を受けるユーザの属性に関する提供属性情報と、に基づいて生成される。ケア情報提供部15は、商品情報及び提供属性情報に基づいて生成される条件情報に基づいて、例えば、診断結果として水分量が少ないと評価されたユーザに対して、提供属性情報において水分量が少ないユーザに対して提供されるべきとして設定された商品(例えば、シャンプーとトリートメント)を、情報を提供すべき商品として決定する。このとき、ケア情報提供部15は、条件情報に含まれる複数の条件に基づいて、すべての条件を満たす商品を決定してもよいし、一部の条件のうち一定以上の条件を満たす商品を情報を提供する商品として決定してもよい。また、ある商品に対しては、年齢に関する条件が設定され、ある商品に対しては、性別に関する条件が設定されるなど、商品毎に、異なる項目に関する条件が設定されていてもよい。
【0073】
本実施形態において、ケア情報提供部15は、診断結果、問診情報及びユーザ情報を含むユーザに関する情報と、条件情報と、に基づいて、ユーザに一定以上の関連性を有する商品を、情報を提供する商品として決定する。このとき、ケア情報提供部15は、最も近い関連性を有する商品を、情報を提供する商品として決定してもよいし、一定以上の関連性を有する複数の商品を、情報を提供する商品として決定してもよい。また、ケア情報提供部15は、問診情報及び診断結果に基づいて、ユーザの悩みや診断における評価からユーザに必要な成分を決定し、決定した成分を有する商品を含む商品を、情報を提供する商品として決定してもよい。
【0074】
また、ケア情報提供部15は、商品情報及び提供属性情報に基づいて商品の関係性に関するグラフを生成し、条件情報として商品情報の提供に利用してもよい。ここで言うグラフとは、円グラフや棒グラフ等の図ではなくノードとノード間の関係性からなるデータ構造であって、ノード(人やものなど)間の関係性を表現可能なデータ構造である。本実施形態において、ケア情報提供部15は、商品情報及び提供属性情報に基づいて特徴空間上で商品の関係性をグラフ(例えば、(X,Y,Z)等の特徴空間上の座標)として表現し、最もユーザと関係性が近い商品を、情報を提供する商品として決定する。このとき、ケア情報提供部15は、商品間の距離をベクトルで参照して関連性を求めてもよい。また、記憶部102が、商品情報及び提供属性情報に基づいて生成されたグラフ情報(例えば(X,Y,Z)等の特徴空間上の座標)を条件情報として商品情報と関連付けて記憶し、ケア情報提供部15は、その条件情報を利用して情報を提供する商品を決定してもよい。このとき、ケア情報提供部15は、ユーザ情報、診断結果、問診情報等のユーザに関する情報に基づいて、商品間の関係性を示す特徴空間の探索を行い、ユーザの特徴を示す座標から最も近い又は一定以内の範囲の座標の商品を、商品情報を提供する商品として決定する。また、ケア情報提供部15は、グラフニューラルネットワークのようなグラフデータを扱うモデルを利用して情報を提供する商品を決定してもよい。
【0075】
表示処理部17は、
図5に示すような診断結果表示画面W2において、ケア情報提供部15により提供すると決定された商品の情報を表示してもよいし、商品を購入するためのマーケット画面において、おすすめ商品として提供する商品の情報を表示してもよい。また、受付部16は、商品情報の提供のため、住所や地域(例えば、都道府県名や関東)等のユーザの生活圏に関する情報を受け付けて、ユーザ情報として記憶部102に記憶してもよい。このとき、ケア情報提供部15は、外部の天気予報システム等にアクセスし、ユーザの住所等ユーザの生活圏に関する情報に基づいて、ユーザの生活圏の天候や気温等ユーザの生活圏の環境に関する情報を取得し、情報を提供する商品を決定する処理に利用する。
【0076】
また、ケア情報提供部15は、ユーザの購入履歴等のマーケットプレイスにおけるユーザの行動履歴に基づいてユーザ同士の関連性を求め、ユーザ同士の関連性に基づいて、関連性の近いユーザが購入又は気に入った商品を、情報を提供する商品として決定し、商品情報の提供を行ってもよい。
【0077】
本実施形態において、美容健康情報提供システム0は、毎月ユーザに対して適した商品の情報の提供を行う。表示処理部17は、ユーザが今月の診断を行っていない場合など、商品情報を提供するために利用するデータの不足がある場合には、診断を行うことを促すメッセージを表示する画面を表示処理してもよいし、不足する情報の入力を受け付けるための画面を表示処理してもよい。
【0078】
受付部16は、更に、商品を購入したユーザや、試供品の提供を受けたユーザより、その商品を使用した感想等のアンケートへの回答(アンケート結果)の入力を受け付ける。受付部16が受け付けたアンケート結果は、商品ID等の識別情報によって商品と紐づけて記憶部102に記憶される。問診の際にアンケートが表示され、受付部16は、問診情報と同時にアンケートへの回答を受け付けてもよい。このとき、表示処理部17は、
図4に示す情報入力画面W1のような、問診の質問とアンケートの質問を表示及び質問に対する回答を受け付けるための画面を表示処理し、質問に対する回答(問診情報、アンケート結果)の入力を受け付けてもよい。
【0079】
本実施形態において、商品情報の提供の条件に関する提供属性情報は、取得したアンケート結果に基づいて最適化される。ケア情報提供部15は、商品ごとに取得したアンケート結果の集計を行う集計部を備えていてもよい。このとき、集計部は、アンケートの内容やアンケートを回答したユーザの属性(診断結果、ユーザ情報、問診結果に基づくユーザの属性)を集計する。表示処理部17は、集計部によるアンケート結果の集計結果を表示処理することで、ユーザによる提供属性情報の最適な設定を支援してもよい。
【0080】
また、美容健康情報提供装置1は、提供属性情報を最適化するための最適処理部を備えていてもよい。このとき、最適処理部は、提供属性情報の最適化に関して、その商品を実際に購入したユーザや、その商品を気に入ったユーザについての情報(ユーザ情報、診断結果、問診情報等)に基づいて、その商品の購入を行ったユーザやアンケートにおいて商品を気に入ったと回答したユーザの平均を取るなどして、その商品の情報の提供を受けるユーザのモデル化(例えば、(X,Y,Z)等で表現されるグラフにおける座標としてユーザをモデル化する等)を行い、そのモデルを商品の提供属性情報とする処理を提供属性情報の最適化に関する処理として行ってもよい。
【符号の説明】
【0081】
0 美容健康情報提供システム
1 美容健康情報提供装置
2 ユーザ端末
NW 通信ネットワーク
11 学習部
12 診断部
13 データ処理部
14 アドバイス提供部
15 ケア情報提供部
16 受付部
17 表示処理部
【要約】
【課題】
頭皮及び/又は頭髪に関する美容健康情報を容易に提供する技術を提供することを課題とする。
【解決手段】
ユーザに対して、頭皮及び/又は頭髪に関する美容健康情報を提供する美容健康情報提供システムであって、
ユーザの問診への回答に関する問診情報と、頭皮及び/又は頭髪の撮像画像と、を入力データ、頭皮及び/又は頭髪についての段階的な評価を出力データとして学習を行った診断モデルを記憶する記憶部と、
ユーザの問診への回答に関する問診情報と、頭皮及び/又は頭髪についての撮像画像と、を受け付ける受付部と、
前記診断モデルを利用して、前記問診情報と、前記撮像画像と、に基づいて、頭皮及び/又は頭髪についての段階的な評価である診断結果を決定する診断部と、
を備える。
【選択図】
図1