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特許7705750データ抽出装置、データ抽出システム、データ抽出方法、およびデータ抽出プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-02
(45)【発行日】2025-07-10
(54)【発明の名称】データ抽出装置、データ抽出システム、データ抽出方法、およびデータ抽出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20250703BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20250703BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20250703BHJP
   G16Y 10/25 20200101ALI20250703BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20250703BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20250703BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G05B23/02 Z
G06Q50/04
G16Y10/25
G16Y20/20
G16Y40/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021116175
(22)【出願日】2021-07-14
(65)【公開番号】P2023012636
(43)【公開日】2023-01-26
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 大介
(72)【発明者】
【氏名】植田 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大輔
【審査官】煤孫 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-077246(JP,A)
【文献】特開2021-068365(JP,A)
【文献】特開2010-015261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G05B 23/02
G06Q 50/04
G16Y 10/25
G16Y 20/20
G16Y 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリと協働してプログラムを実行するプロセッサ及び記憶デバイスを有するデータ抽出装置であって、
作業環境に設置されたセンサから収集された時系列のセンサデータに作業環境の条件に基づいて付加するメタデータの世代を該メタデータに付与するバージョン番号に基づいて管理する、該作業環境の構成を示す構成データ条件と該作業環境での作業内容を示すイベント条件とを含む世代管理データを前記記憶デバイスに保持し、
前記プロセッサは、
現在時刻、前記構成データ条件、および前記イベント条件を含む前記作業環境の新たな条件の入力を受け付け、
前記世代管理データを参照し、前記新たな条件に含まれる前記構成データ条件または前記イベント条件と一致する前記構成データ条件または前記イベント条件を含む前記世代管理データの既存の世代のエントリが存在するかを判定し、
前記既存の世代のエントリが存在する場合に、該既存の世代のエントリに、前記作業環境の新たな条件を追加して、前記センサデータに付加するメタデータにる前記世代管理データのエントリを新たに作成する
ことを特徴とするデータ抽出装置。
【請求項2】
請求項に記載のデータ抽出装置であって、
前記作業環境の構成を示す構成データを前記記憶デバイスに保持し、
前記世代管理データは、メタデータの抽出方法を示す識別子を含み、
前記プロセッサは、
現在時刻および前記センサデータの生成元の前記作業環境の条件に基づいて前記世代管理データから前記識別子を取得し、
取得した前記識別子に該当する前記メタデータの抽出方法に基づいて前記構成データから前記センサデータに付加するメタデータを抽出する
ことを特徴とするデータ抽出装置。
【請求項3】
請求項に記載のデータ抽出装置であって、
記プロセッサは、
指定された前記イベント条件を含む前記世代管理データのエントリから前記識別子を取得する
ことを特徴とするデータ抽出装置。
【請求項4】
請求項に記載のデータ抽出装置であって、
記プロセッサは、
指定された時刻および前記構成データ条件を含む前記世代管理データのエントリから前記識別子を取得する
ことを特徴とするデータ抽出装置。
【請求項5】
請求項に記載のデータ抽出装置であって、
記プロセッサは、
既存の世代のエントリを基に、前記構成データ条件または前記イベント条件の更新に応じて前記センサデータに付加するメタデータに関する前記世代管理データの新たな世代のエントリを作成する
ことを特徴とするデータ抽出装置。
【請求項6】
請求項に記載のデータ抽出装置であって、
前記プロセッサは、
前記構成データ条件、前記イベント条件、および前記バージョン番号の指定を受け付ける画面を表示装置に表示し、
受け付けた前記指定に該当する前記世代管理データのエントリから前記識別子を取得し、取得した該識別子に該当する前記メタデータの抽出方法に基づいて前記構成データからメタデータを抽出し、所定形式で画面表示する
ことを特徴とするデータ抽出装置。
【請求項7】
請求項1~の何れか1項に記載のデータ抽出装置と、
前記データ抽出装置によって作成された前記世代管理データを基に、前記センサデータに前記メタデータを付加するデータ処理装置と、を有し、
前記プロセッサは、
前記作業環境の構成の更新に応じて前記センサデータに付加するメタデータの更新の有無を判定し、メタデータの更新があった場合に、該メタデータの更新時刻および更新されたメタデータを前記データ処理装置に通知する
ことを特徴とするデータ抽出システム。
【請求項8】
請求項に記載のデータ抽出システムであって、
前記データ処理装置は、
前記センサデータと、該センサデータに付加されるメタデータとの対応関係を管理し、
前記対応関係に基づいて、前記データ抽出装置から通知された前記更新されたメタデータに対応する前記センサデータを特定する
ことを特徴とするデータ抽出システム。
【請求項9】
請求項に記載のデータ抽出システムであって、
前記データ処理装置は、
前記作業環境の構成が更新された時刻から該更新された前記作業環境の構成に基づいて前記センサデータにメタデータが付加された時刻までの間に、前記センサから収集された前記センサデータを特定し、
特定された前記センサデータに、前記更新された作業環境の構成に基づいてメタデータを再付与する
ことを特徴とするデータ抽出システム。
【請求項10】
データ抽出装置が実行するデータ抽出方法であって、
前記データ抽出装置は、
作業環境に設置されたセンサから収集された時系列のセンサデータに作業環境の条件に基づいて付加するメタデータの世代を該メタデータに付与するバージョン番号に基づいて管理する、該作業環境の構成を示す構成データ条件と該作業環境での作業内容を示すイベント条件とを含む世代管理データを保持する記憶デバイスを有し、
現在時刻、前記構成データ条件、および前記イベント条件を含む前記作業環境の新たな条件の入力を受け付け、
前記世代管理データを参照し、前記新たな条件に含まれる前記構成データ条件または前記イベント条件と一致する前記構成データ条件または前記イベント条件を含む前記世代管理データの既存の世代のエントリが存在するかを判定し、
前記既存の世代のエントリが存在する場合に、該既存の世代のエントリ、前記作業環境の新たな条件を追加して、前記センサデータに付加するメタデータにる前記世代管理データのエントリを新たに作成する
ことを特徴とするデータ抽出方法。
【請求項11】
コンピュータに、
作業環境に設置されたセンサから収集された時系列のセンサデータに作業環境の条件に基づいて付加するメタデータの世代を該メタデータに付与するバージョン番号に基づいて管理する、該作業環境の構成を示す構成データ条件と該作業環境での作業内容を示すイベント条件とを含む世代管理データを記憶デバイスに保持し、
現在時刻、前記構成データ条件、および前記イベント条件を含む前記作業環境の新たな条件の入力を受け付け、
前記世代管理データを参照し、前記新たな条件に含まれる前記構成データ条件または前記イベント条件と一致する前記構成データ条件または前記イベント条件を含む前記世代管理データの既存の世代のエントリが存在するかを判定し、
前記既存の世代のエントリが存在する場合に、該既存の世代のエントリ、前記作業環境の新たな条件を追加して、前記センサデータに付加するメタデータにる前記世代管理データのエントリを新たに作成する
各処理を実行させることを特徴とするデータ抽出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ抽出装置、データ抽出システム、データ抽出方法、およびデータ抽出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
IoT(Internet of Things)の発展に伴い、センサ等のデバイスから収集したデータを分析することによって付加価値のあるソリューションを提供するサービスが登場している。
【0003】
IoTの適用先の例として、工場がある。工場にIoTを適用する場合、工場内の製造機器や作業者に取り付けられたセンサからセンサデータを収集し、工場の製造工程の状態や効率を可視化し、分析することにより、製造現場における異常検出、生産計画や製造工程の改善、作業者の生産技術向上等を図る。
【0004】
工場へIoTを適用したソリューションの具体例として、工場の機器から収集したセンサデータと、生産ラインの構成データとを関連付けて、工場の生産ラインの状態および効率を分析するソリューションがある。ここで、生産ラインの構成データは、生産ラインに設置された機器の接続順序、使用する機器の種類、生産する製品等を指す。従来、センサデータと、生産ラインの構成データを関連付ける作業は属人的であり、人が全データを閲覧して取捨選択するため、データの関連付けの工数増大が問題となる。
【0005】
たとえば、センサデータから工場の機器や作業者の異常を検出した場合、異常の分析や対処のため、該当の機器・工程だけではなく、前後の工程との関係や、該当機器の作業者の情報が必要となる。生産ラインの構成は、生産する製品に応じて変更され、作業者も、作業予定により変化する。これらの変更および変化に追従してデータの関連付けを行う工数を削減することが技術課題となる。
【0006】
この技術課題に対して、特許文献1は、随時更新されうるデータ定義に従ってデータベースに記録された装置データを利用する情報処理システムを開示する。装置のデータ定義のバージョン番号を時刻と関連付けて管理し、指定した期間に該当するデータ定義を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-212301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されているデータ定義は、装置本体の位置や状態の情報であり、周辺の機器や作業者など時系列で関連の有無が変化する情報を管理する仕組みについては開示されていない。
【0009】
また、特許文献1では、時刻のみでバージョン番号と位置付けを行っているが、上述した工場の生産ラインの状態および効率を分析するソリューションでは、作業環境の構成の変化だけではなく、作業内容の変化によって、分析の観点が変化するため、装置のデータ定義の時系列変化を管理するだけでは、必要なデータ分析ができない。
【0010】
本発明は、上述の問題を鑑みてなされたものであり、時系列で変化する作業内容に関連するデータを抽出する工数を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、メモリと協働してプログラムを実行するプロセッサ及び記憶デバイスを有するデータ抽出装置であって、作業環境に設置されたセンサから収集された時系列のセンサデータに前記作業環境の条件に基づいて付加するメタデータに関する管理データを前記記憶デバイスに保持し、前記プロセッサは、前記管理データの既存のエントリを基に、前記作業環境の新たな条件に基づいて前記センサデータに付加するメタデータに関する前記管理データのエントリを新たに作成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、時刻と作業内容によってメタデータの世代管理を行うことにより、データ分析者が、時刻と作業内容をトリガーにして、多種大量の稼働データから関連するデータ選定が容易になり、時系列で変化する作業内容に関連するデータを抽出する工数を削減することができる。また、過去のメタデータが対応する作業内容との類似性を基に、過去のメタデータを利用して、新しい世代のメタデータを自動作成し、さらなる工数削減を実現できる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、作業環境の一例を示す説明図である。
図2図2は、メタデータ抽出装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3図3は、メタデータ抽出システムの構成例を示すブロック図である。
図4図4は、作業環境構成情報の一例を示す説明図である。
図5図5は、構成データ入力部の入力画面の一例を示す説明図である。
図6図6は、構成データの一例を示す説明図である。
図7図7は、構成データのグラフ形式データベースの一例を示す説明図である。
図8図8は、データ処理装置におけるデータ収集・加工の一例を示す説明図である。
図9図9は、メタデータ抽出ルールの一例を示す説明図である。
図10図10は、世代管理データの一例を示す説明図である。
図11図11は、メタデータの管理方法の一例を示す説明図である。
図12図12は、メタデータ抽出処理の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、メタデータの自動登録の一例を示す説明図である。
図14図14は、メタデータ作成画面の一例を示す説明図である。
図15図15は、メタデータ抽出方法を手動登録する画面の一例を示す説明図である。
図16図16は、メタデータ抽出部の確認画面の一例を示す説明図である。
図17図17は、確認画面の結果表示の一例を示す説明図である。
図18図18は、メタデータの一例を示す説明図である。
図19図19は、メタデータ追加処理の一例を示すフローチャートである。
図20図20は、データ収集加工のロジック設定画面の一例を示す説明図である。
図21図21は、変換ロジックの一例を示す説明図である。
図22図22は、メタデータ取得テーブルの一例を示す説明図である。
図23図23は、メタデータ抽出装置からメタデータを取得する処理の一例を示す説明図である。
図24図24は、メタデータの検索処理および追加処理の一例を示す説明図である。
図25図25は、構成データを更新する一例を示す説明図である。
図26図26は、メタデータ更新処理の一例を示すフローチャートである。
図27図27は、世代管理データの更新例の一例を示す説明図である。
図28図28は、パケットIDテーブルの一例を示す説明図である。
図29図29は、メタデータ切り替え漏れのデータを検出する処理の一例を示すフローチャートである。
図30図30は、メタデータ切り替え漏れのデータを検出する処理におけるパケットID取得の考え方を示す説明図である。
図31図31は、収集データテーブルの一例を示す説明図である。
図32図32は、メタデータの切り替えから漏れた収集データを更新する処理の一例を示すフローチャートである。
図33図33は、メタデータの切り替えから漏れた収集データの更新の一例を示す説明図である。
図34図34は、収集データテーブルの更新の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
【0015】
以下の説明では、同一又は類似する構成又は機能には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、同一符号に異なる枝番が付されている場合であっても、これらを区別しない場合には、枝番がない符号が用いられる。
【0016】
<実施形態の作業環境例>
図1は、作業環境の一例を示す説明図である。作業環境100は、2つの生産ライン181-1、181-2を有する。各生産ライン181には、製造装置として機器131が配置される。生産ライン181-1には、機器131-1、機器131-2、機器131-3、機器131-4の4台が配置され、製品191-1を製造する。生産ライン181-2には、機器131-5、機器131-6、機器131-7、機器131-8の4台が配置され、製品191-2を製造する。
【0017】
機器131は、温度や電流などを測定するためのセンサを内蔵しており、機器の識別情報や時刻情報と共にセンサの値をセンサデータとして出力する機能を有するものとする。
【0018】
作業環境100には、8名の作業者141-1~141-8が配置につき、各機器131の操作、点検等を実施するものとする。
【0019】
機器131は、工場内ネットワーク171を介してPLC151(Programmable Logic Controller)に接続される。
【0020】
PLC151は、機器131の制御や管理を実施する装置であり、本実施例では、機器131に内蔵されたセンサのセンサデータを収集する役割を持つ。PLC151は、別の工場内ネットワーク172を介してIoTゲートウェイ161に接続される。
【0021】
IoTゲートウェイ161は、接続先のPLC151から取得したセンサデータなどの情報をインターネット等の工場外部のネットワーク173上に構築されたサーバに送信する。IoTゲートウェイ161は、工場外部のネットワーク173上に構築されたサーバから受信したデータをPLC151に転送する。本実施例では、IoTゲートウェイ161は、PLC151のデータを収集、集約し、メタデータ抽出装置101に送信する役割を持つ。
【0022】
<メタデータ抽出装置101のハードウェア構成>
図2は、メタデータ抽出装置101のハードウェア構成例を示すブロック図である。メタデータ抽出装置101は、例えばデータ処理装置102のエンハンス機能として提供される。メタデータ抽出装置101は、プロセッサ201と、記憶デバイス202と、入力デバイス203と、出力デバイス204と、通信インターフェース(通信IF)205と、を有する。プロセッサ201、記憶デバイス202、入力デバイス203、出力デバイス204、および通信IF205は、バス206により接続される。プロセッサ201は、メタデータ抽出装置101を制御する。記憶デバイス202は、プロセッサ201の作業エリアとなる。また、記憶デバイス202は、各種プログラムやデータを記憶する非一時的なまたは一時的な記録媒体である。記憶デバイス202としては、たとえば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリがある。入力デバイス203は、データを入力する。入力デバイス203としては、たとえば、キーボード、マウス、タッチパネル、テンキー、スキャナがある。出力デバイス204は、データを出力する。出力デバイス204としては、たとえば、ディスプレイ、プリンタがある。通信IF205は、ネットワークと接続し、データを送受信する。
【0023】
<メタデータ抽出システムの構成例>
図3は、メタデータ抽出システム200の構成例を示すブロック図である。メタデータ抽出システム200は、メタデータ抽出装置101と、データ処理装置102と、機器131と、PLC151と、IoTゲートウェイ161と、を有する。データ処理装置は、データ処理基盤ともいう。
【0024】
IoTゲートウェイ161は、データ処理装置102に接続され、1台以上のPLC151から受信したセンサデータをデータ処理装置102に送信する。PLC151は、1台以上の機器131から受信したセンサデータをIoTゲートウェイ161に送信する。機器131は、機器の状態を測定し、センサデータとして、PLC151に送信する。機器131が送信するセンサデータには、温度、湿度、振動、電流、位置等の複数の種類がある。また、機器131が出力するセンサデータには、機器131の機器識別子や、センサデータの測定時刻を示す時刻情報等の付属情報が含まれる。
【0025】
メタデータ抽出装置101は、構成データ入力部311、構成データ蓄積部312、メタデータ抽出部313、データ表示部314を有する。構成データ入力部311、データ表示部314は、具体的には、たとえば、図2に示した記憶デバイス202に記憶されたプログラムをプロセッサ201に実行させることにより実現される機能である。構成データ蓄積部312、メタデータ抽出部313は、具体的には、たとえば、図2に示した記憶デバイス202に格納されるデータを使用し、記憶デバイス202に記憶されたプログラムをプロセッサ201に実行させることにより実現される機能である。
【0026】
構成データ入力部311は、作業環境100の機器131の種類や機器131間の接続関係、機器131と作業者141の対応関係等を示す作業環境構成情報301を取り込み、構成データ蓄積部312に構成データ411として入力する機能を有する。
【0027】
また、構成データ入力部311は、作業環境管理者331が作業環境の構成を入力する画面である構成入力画面401を有し、作業環境管理者331が入力した作業環境の構成を取り込み、構成データ蓄積部312に構成データ411として入力する機能を有する。
【0028】
<作業環境構成情報301>
図4は、作業環境構成情報301の一例を示す説明図である。図4は、生産ライン181-1の作業環境構成情報301を示すものである。図4に示す例は、JSON(JavaScript(登録商標) Object Notation)のデータ形式で記載した作業環境構成情報301である。作業環境構成情報301には、作業環境100で製造する製造モデル(“production_model”)を頂点とし、製造モデルの配下に生産ライン181-1の情報(“line”)、生産ライン181-1の配下にIoTゲートウェイ161-1の情報(“iot_gateway”)、IoTゲートウェイ161-1の配下にPLC151-1、PLC151-2の情報(“plc”)を有する階層構造が記述されている。
【0029】
作業環境構成情報301には、PLC151-1の配下に機器131-1、31-2の情報(“equipment”)、PLC151-2の配下に機器131-3(“equipment”)の情報を有する階層構造が記述されている。
【0030】
作業環境構成情報301の各要素の情報として、識別子(“id”)が必須である。その他の情報は、任意に付加してよい。
【0031】
図4では、JSONデータ形式で表記したが、他のデータ形式で表現してもよい。たとえば、XML(eXtensible Markup Language)形式で同様の表現が可能であるし、独自のデータ形式を規定してもよい。
【0032】
<構成データ入力部311の構成入力画面401>
図5は、構成データ入力部311の構成入力画面401の一例を示す説明図である。構成入力画面401は、作業環境管理者331が、作業環境の構成を入力する際に使用する。構成入力画面401は、第1入力欄501~第14入力欄514と、登録ボタン515と、を有する。登録ボタン515が押下されることで、第1入力欄501~第14入力欄514に入力された情報が作業環境構成情報301に登録される。
【0033】
第1入力欄501には、生産ライン181の識別情報が入力できる。第2入力欄502には、製品191の識別情報が入力できる。第3入力欄503には、IoTゲートウェイ161の識別情報が入力できる。第4入力欄504には、生産ライン181の識別情報が入力できる。
【0034】
第5入力欄505には、PLC151の識別情報が入力できる。第6入力欄506には、IoTゲートウェイ161の識別情報が入力できる。第7入力欄507には、機器131の識別情報が入力できる。第8入力欄508には、PLC151の識別情報が入力できる。第9入力欄509には、工程の種類が入力できる。第10入力欄510には、機器131の識別情報が入力できる。第11入力欄511には、作業者141の識別情報が入力できる。第12入力欄512には、工程の種類が入力できる。第13入力欄513には、工程の種類が入力できる。第14入力欄514には、工程の種類が入力できる。
【0035】
構成入力画面401において、右側の第2入力欄502、第4入力欄504、第6入力欄506、第12入力欄512に入力される識別情報の要素が、作業環境構成情報301において上位に位置する。第1入力欄501および第2入力欄502により、製造モデルと生産ライン181の関連性が作業環境構成情報301に登録される。第3入力欄503および第4入力欄504により、製造モデルと生産ライン181の関連性が作業環境構成情報301に登録される。
【0036】
第5入力欄505および第6入力欄506により、IoTゲートウェイ161とPLC151の関連性が作業環境構成情報301に登録される。第7入力欄507および第8入力欄508により、PLC151と機器131の関連性が作業環境構成情報301に登録される。第9入力欄509および第10入力欄510により、機器131と工程の種類の関連性が作業環境構成情報301に登録される。第11入力欄511および第12入力欄512により、工程と作業者141の関連性が作業環境構成情報301に登録される。第13入力欄513および第14入力欄514により、工程間の隣接関係が作業環境構成情報301に登録される。
【0037】
図5の画面構成はあくまで一例であり、別の画面構成でもよい。たとえば、入力欄の代わりに、プルダウンボックスで選択する画面構成でもよいし、図4に示すようなJSON形式のファイルを読み込む画面構成でもよい。
【0038】
<構成データ411>
図6は、構成データ411の一例を示す説明図である。構成データ411は、たとえば、フィールドとして、構成データ作成時刻601とグラフ形式データベースID602とを有するテーブルで表現される。構成データ作成時刻601は、グラフ形式データベースID602が保存された所定の時刻である。構成データ作成時刻601は、一定間隔でもよく、また、構成変更時でもよい。このように、グラフ形式データベースID602、すなわち、作業環境構成情報301は、定期的または不定期に登録される。
【0039】
グラフ形式データベースID602は、作業環境構成情報301を示すグラフ形式のデータベースの識別子である。メタデータ抽出装置101が、作業環境構成情報301および作業者構成情報302の入力を契機として、構成データ411を作成、更新する毎に、構成データ411のテーブルにエントリが追加される。構成データ411のグラフ形式データベースID602を参照することで、後述する図7に示すように、作業環境構成情報301の内容を確認することができる。
【0040】
<構成データ411のグラフ形式データベース>
図7は、構成データ411のグラフ形式データベースの一例を示す説明図である。構成データ411は、作業環境構成情報301の内容をグラフ形式データで表現する。グラフ形式データ701では、作業環境構成情報301は、製品191、生産ライン181、IoTゲートウェイ161、PLC151、機器131、作業者141、および工程の関連性が矢印で結び付けることで表現される。
【0041】
<データ収集方法とメタデータの例>
図8は、データ処理装置102におけるデータ収集・加工の一例を示す説明図である。最初に、IoTゲートウェイ161は、パケットID、入力データID、バイナリデータから構成される第1データ801を送信する。
【0042】
次に、データ処理装置102のデータ収集部321は、IoTゲートウェイ161からバイナリデータである第1データ801を受信する。データ収集部321は、受信した第1データ801をデータ加工部322に送信する。データ加工部322は、変換ロジック451に蓄積されている変換ロジックに従って、第1データ801を第2データ802に変換する。具体的には、たとえば、バイナリデータ(第1データ801)は、タイムスタンプ、装置ID、温度、電流を含む文字列データ(第2データ802)に変換される。データ加工部322は、第2データ802をメタデータ追加部323に送信する。データ加工部322が第1データ801をデータ変換する方法は、データ加工部322の変換ロジック451に蓄積されている。変換ロジック451に関しては後述する。
【0043】
つぎに、メタデータ追加部323は、受信した第2データ802に、データ分析用に必要となる補足データを追加して、第3データ803を生成する。本実施形態において、この補足データをメタデータと定義する。たとえば、第3データ803は、タイムスタンプ、装置ID、温度、湿度、電流を含む文字列データ(第2データ802)に、メタデータとして、データ項目名1(ラインID)、データ項目名2(担当工程ID)、データ項目名3(前工程ID)、データ項目名4(後工程ID)、データ項目名5(作業者ID)が追加されたデータである。第3データ803は、加工データ804として、メタデータ追加部323から送信されて収集データ蓄積部324に記憶される。メタデータ追加部323が追加するメタデータは、メタデータ管理部326のメタデータ481に蓄積される。メタデータに関する説明は後述する。
【0044】
本実施形態は、メタデータ抽出装置101の構成データ蓄積部312が保持する構成データ411から、データ処理装置102で使用するメタデータを作成するための、メタデータ抽出について開示するものである。
【0045】
図3に戻り、メタデータ抽出のための機能および方法について説明する。メタデータ抽出部313は、構成データ蓄積部312が保持する構成データ411から、データ処理装置102で使用するメタデータを作成するための機能を有し、メタデータ作成部421、メタデータ抽出ルール422、世代管理データ423、およびメタデータ出力部424を有する。
【0046】
メタデータ作成部421は、構成データ蓄積部312の構成データ411を使用して、データ処理装置102が収集したデータの分析に必要な情報を示すメタデータを作成する。メタデータ抽出ルール422は、メタデータ作成部421がメタデータを作成するために使用する、構成データ411の検索条件であるメタデータ抽出ルールを蓄積する。
【0047】
また、メタデータ作成部421は、メタデータの世代を管理するため、メタデータのバージョン番号の付与を実施する。メタデータのバージョン番号の情報を世代管理データ423に格納する。
【0048】
メタデータ出力部424は、データ処理装置102に対して、データ処理装置102が収集したデータに追加するメタデータを出力する機能を有する。メタデータ出力部424が出力するメタデータは、メタデータ作成部421が作成する。
【0049】
<メタデータ抽出ルール422>
図9は、メタデータ抽出ルール422の一例を示す説明図である。メタデータ抽出ルール422は、フィールドとして、抽出ルールID901と、検索条件902と、を持つテーブルで表現される。抽出ルールID901は、抽出ルールを示す識別子である。検索条件902は、メタデータを作成するために、構成データ蓄積部312の構成データ411から必要なデータを取得するための検索条件を示す。
【0050】
検索条件902は、検索キー9021と検索値9022の組み合わせで表現される。検索キー9021は、構成データ411から必要なデータを検索するために使用するデータ種別を示す。検索値9022は、構成データ411から取得するデータのデータ種別を示す。検索値9022は、1つの検索キー9021に対して複数指定してもよい。
【0051】
検索条件902は、1つの抽出ルールID901に対して複数指定してもよい。たとえば、抽出ルールID901がR02のエントリでは、装置IDを検索キーに、ラインID、担当工程ID、前工程ID、および後工程IDを取得する。そして、取得した担当工程IDを次の検索キーとして、作業者IDを検索することを検索条件として登録する。
【0052】
図9の例では、3種類のメタデータが定義されている。1つ目は、特定の装置IDを指定し、指定した装置IDと接続関係のあるラインのID、担当工程のIDを取得するメタデータ定義である。ここで、接続関係とは、たとえば、構成データ411のグラフ形式のデータベースにおいて、1ホップでつながる関係を示す。たとえば、工場等の作業環境の通常稼働時は、このメタデータを使用する。2つ目は、特定の装置IDを指定し、指定した装置IDと接続関係のあるラインID、担当工程ID、さらに、担当工程の前工程の工程ID、次工程の工程IDを取得する共に、取得した担当工程IDを検索キーとして、担当工程IDを担当する作業者IDを取得するメタデータ定義である。たとえば、工場等の作業環境に異常が発生した場合、作業環境の詳細状況を理解するために、このメタデータを使用する。3つ目は、特定の装置IDを指定し、指定した装置IDと接続関係のあるラインIDを取得するメタデータ定義である。たとえば、装置を生産ラインに導入する前の試運転時に、このメタデータを使用する。
【0053】
作業環境の状況やデータ分析目的に応じて、必要となるデータが異なる点、データ分析時間や、データ蓄積資源使用量の効率化を図るために必要なデータのみを収集する点から、図9に示すように、複数のメタデータを定義し、使い分ける。
【0054】
<メタデータの世代管理方法の例>
図10は、世代管理データ423の一例を示す説明図である。世代管理データ423は、たとえば、フィールドとして、世代管理データID1001と、登録方法1002と、構成データ作成時刻601と、構成データ条件1003と、イベント条件1004と、バージョン番号1005と、抽出ルールID901とを有するテーブルで表現される。
世代管理データID1001は、世代管理データを示す識別子である。登録方法1002は、世代管理データの対象となるメタデータが、ユーザによる手動入力で作成されたのか、自動作成されたのかを示す。構成データ作成時刻601は、世代管理データが使用する構成データの作成時刻を示す。構成データ条件1003は、世代管理データID1001が対象とするメタデータの抽出範囲を限定するための条件を示す。イベント条件1004は、世代管理データを使用するイベントの情報を示し、メタデータ抽出装置101のユーザが任意に定義できる。イベント条件1004の定義方法の一例は、「タグ=値」であり、以降、「タグ=値」で説明する。バージョン番号1005は、世代管理データのバージョン番号を示す。抽出ルールID901は、世代管理データに対応する抽出ルールIDを示す。
【0055】
図10の例では、1つの世代管理データID1001に構成データ条件1003を1つ定義しているが、1つの世代管理データID1001に構成データ条件1003を複数定義してもよい。同様に、図10の例では、1つの世代管理データID1001にイベント条件1004を1つ定義しているが、1つの世代管理データID1001にイベント条件1004を複数定義してもよい。
【0056】
<メタデータの管理方法>
本実施形態におけるメタデータの考え方について説明する。図11は、本実施形態におけるメタデータの管理方法の説明図である。本実施形態では、時間と、作業内容の2つの要素に基づき、メタデータを管理する。本実施形態では、作業内容をイベントと定義する。イベントの例として、たとえば、生産ラインでどの製品を製造しているかを示す情報がある。また別の例として、生産ラインの稼働状況があり、通常稼働している状況、異常が発生している状況、試運転時の状況がある。
【0057】
図11では、時刻t1に製品P01を製造する生産ラインの通常稼働時のメタデータを作成し、バージョン番号Ver.1.0を付与する。時刻t2に、バージョン番号Ver1.0と同じ構成データを使用し、通常時のメタデータにデータを追加する形で、異常時のメタデータを、バージョン番号Ver.1.1を付与して作成する。さらに、バージョン番号Ver1.0と同じ構成データを使用し、通常時のメタデータのデータを一部削除する形で、バージョン番号Ver1.2を付与し、試運転時のメタデータをバージョン番号Ver.1.2を付与して作成する。
【0058】
次に、時刻t3、t4に、製品P02を製造する生産ラインのメタデータを作成することを考える。製品の番号を変更するだけで、メタデータの作成方法は、製造P01の場合と同じであるため、製品P01を製造する生産ラインのメタデータを基に作成することができる。本実施形態では、製品P01のメタデータのVer.1.0、1.1、1.2の作成方法を参照し、製品P02のメタデータVer.1.0、1.1、1.2を自動作成する。
【0059】
続いて、時刻t5、t6に、製品P01を製造する生産ラインの環境が変化し、メタデータを作成することを考える。メタデータの作成方法は、Ver.1.0、1.1、1.2と同じであり、構成データを再検索するだけであるため、本実施形態では、製品P01のメタデータのVer.1.0、1.1、1.2の作成方法を参照し、製品P01のメタデータVer.2.0、2.1、2.2を自動作成する。
【0060】
このように、本実施形態では、時間と、イベントの2つの要素に基づき、メタデータを管理し、新規にメタデータを作成する際、過去のメタデータを利用できる場合は、過去のメタデータを利用し、メタデータを自動作成する方法を示す。
【0061】
<メタデータ抽出処理>
図12は、メタデータ抽出部313が実行するメタデータ抽出処理の一例を示すフローチャートである。最初に、現在時刻、構成データ条件、およびイベント条件を入力する(ステップS1201)。
【0062】
次に、メタデータ抽出部313は、世代管理データ423を参照し、ステップS1201で入力された条件に該当するエントリを検索する(ステップS1202)。
【0063】
メタデータ抽出部313は、ステップS1201で入力された条件と一致する構成データ条件の検索キーまたはイベント条件のタグ名を含む類似のエントリが世代管理データ423に1つ以上存在する場合(ステップS1203:YES)、ステップS1204へ処理を移す。メタデータ抽出部313は、ステップS1201で入力された構成データ条件の値およびイベント条件の値を最も多く含むエントリを選択し、抽出ルールIDを取得し(ステップS1204)、世代管理データ423に類似のエントリにステップS1201で入力された条件を追加した新規エントリを登録する(ステップS1205)。登録する際、登録方法を「自動登録」とする。
【0064】
検索条件と一致する構成データ条件の検索キーおよびイベント条件のタグ名を含む類似のエントリが存在しない場合(ステップS1203:NO)、メタデータ抽出部313は、ユーザによって入力されたメタデータ作成のための検索条件およびバージョン番号を受け付ける(ステップS1206)。そしてメタデータ抽出部313は、ステップS1201で入力された条件の新規エントリをメタデータ抽出ルール422に登録し、新規に抽出ルールIDを取得する(ステップS1207)。そしてメタデータ抽出部313は、メタデータを自動作成し、世代管理データ423に新規エントリを登録する(ステップS1208)。登録する際、登録方法を「手動登録」とする。
【0065】
<メタデータの自動登録>
図13は、図12のステップS1202、ステップS1203、ステップS1204、ステップS1205で実施されるメタデータの自動登録の一例を示す説明図である。図13は、図12のステップS1201の入力として、構成データ条件に「製品ID=P02」を、イベント条件に「稼働状態=通常時」を入力した場合の例を示す。ステップS1202で、世代管理データ423を参照すると、構成データ条件の検索キー「製品ID」およびイベント条件のタグ名「稼働状態」を含むエントリが、世代管理データID=V0001、V0002、V0003の3個存在するため、ステップS1203はYESとなる。次に、ステップS1204において、構成データ条件の検索値「P02」、イベント条件の値「通常時」を含むか否かを確認し、世代管理データID=V0001のエントリのみが、「通常時」を含むため、V0001のエントリのメタデータIDである抽出ルールID901がR01のレコードを取得する。
【0066】
そして、ステップS1205において、新規のエントリとして、世代管理データID1001を「V0004」、登録方法1002の値を「自動登録」、構成データ作成時刻601の値を、構成データ411の最新のエントリの構成データ作成時刻601の値にして、構成データ条件1003は、図12のステップS1201で入力された「製品ID=P02」、イベント条件1004は、図12のステップS1201で入力された「稼働状態=通常時」、バージョン番号1005は新規登録なので「Ver.1.0」、抽出ルールID901は、V0001のエントリの抽出ルールIDである「R01」として登録する。
【0067】
図13の例では、ステップS1204において、ステップS1201で入力された構成データ条件の値およびイベント条件の値を最も多く含むエントリが1個のみであったが、複数存在する場合は、構成データ条件及びイベント条件の数が最多、構成データ作成時刻が最新、バージョン番号が最新、等の条件で、1個のエントリを選択するものとする。
【0068】
<メタデータ作成画面の例>
図14は、メタデータの作成画面431の一例を示す説明図である。メタデータの作成画面431は、メタデータ開発者341が使用する画面であり、たとえば、構成データ条件入力欄1401、イベント条件入力欄1402、および作成ボタン1403を有する。構成データ条件入力欄1401は、検索キー14011と検索値14012を入力する。イベント条件入力欄はタグ14021とタグ値14022を入力する。
【0069】
作成ボタン1403を押下すると、図12のフローチャートに示したメタデータ抽出処理を実施する。図12のフローチャートのステップS1206~ステップS1208に示す手動登録を実施する場合、メタデータ開発者341がメタデータ抽出方法を入力するための画面を表示する。
【0070】
<メタデータ抽出方法を手動登録する画面>
図15は、メタデータ開発者341がメタデータ抽出方法を手動登録する画面の一例を示す説明図である。手動登録画面432は、たとえば、メタデータ抽出条件の主条件の入力欄1501、メタデータ抽出条件の従属条件の入力欄1502、バージョン番号の入力欄1503、および登録ボタン1504を有する。
【0071】
主条件の入力欄1501は、検索キー15011と検索値15012を入力する。検索値15012は、追加ボタン15013を押下することで複数の項目を記入することができる。図15では検索値15012-1~15012-4の4つが入力されている。
【0072】
従属条件の入力欄1502は、主条件の入力欄1501の検索値15012のいずれかを検索キー15021として取得すると共に、取得したし検索キー15021とその検索値15022を検索条件として入力する。検索値15022は、追加ボタン15023を押下することで、複数の項目を記入することができる。また、従属条件の入力欄1502は、追加ボタン15024を押下することで、複数入力することができる。
【0073】
バージョン番号の入力欄1503は、世代管理データ423に登録する際のバージョン番号15031を入力する。登録ボタン1504を押下すると、図12のフローチャートのステップS1206~ステップS1208に示す手動登録を実施する。図15の画面構成はあくまで一例であり、別の画面構成でもよい、たとえば、入力欄の代わりに、プルダウンボックスで選択する画面構成でもよいし、JSON形式のファイルやCSV形式のファイルを読み込む画面構成でもよい。
【0074】
<確認画面433>
図16は、メタデータ抽出部313の確認画面433の一例を示す説明図である。メタデータ抽出部313の確認画面433は、たとえば、構成条件入力欄1601、イベント条件入力欄1602、バージョン条件入力欄1603、および表示ボタン1604を有する。構成条件入力欄1601は、検索キー16011と検索値16012を入力する。イベント条件入力欄1602はタグ16021とタグ値16022を入力する。バージョン条件入力欄1603は、最新バージョンを検索する場合のラジオボタン16031と、バージョン番号を指定する場合のラジオボタン16032のいずれかを押下する。バージョン番号を指定する場合は、バージョン番号入力欄16033にバージョン番号を入力する。
【0075】
表示ボタン1604を押下すると、入力された構成条件、イベント条件、バージョン条件を基に世代管理データ423を参照し、該当するエントリを取得する。バージョン条件については、最新バージョンを検索する場合は、構成条件、イベント条件が一致するエントリの中から、バージョン番号が最新のエントリのメタデータIDを取得する。バージョン番号を指定する場合は、バージョン番号入力欄16033に入力したバージョン番号に合致するエントリを取得する。図16の画面構成はあくまで一例であり、別の画面構成でもよい、たとえば、入力欄の代わりに、プルダウンボックスで選択する画面構成でもよいし、ラジオボタンの代わりに、入力欄やプルダウンボックスを使用する画面構成でもよい。
【0076】
<確認画面433の表示ボタン1604を押下した場合の結果表示>
図17は、図16の確認画面433の表示ボタン1604を押下した場合の結果表示の一例を示す説明図である。メタデータ481から、取得した世代管理データ423のエントリの抽出ルールID901に該当する検索方法(検索条件902)に基づき、構成データ411からメタデータを抽出し、JSON形式といった文字列データで画面1701に表示する。表示例はあくまで一例であり、他の表示方法でもよい、たとえば、CSVファイル形式で表示してもよいし、表形式で表示してもよい。図17の結果表示によって、指定された構成データ条件、イベント条件、およびバージョン条件に対して、どのメタデータが抽出されるかを確認できる。
【0077】
本実施形態によれば、時系列で関係が変化する作業環境の構成データを管理すると共に、作業環境の変化だけでなく分析の観点の変化(観点軸の値のバリエーション追加等)に追従し、付加するメタデータに関する世代管理データ423を自動作成することができる。
【実施例1】
【0078】
以下、本実施形態の実施例1として、データ収集および加工におけるメタデータの追加処理について、図18から図24にて説明する。
【0079】
<実施例1のメタデータ481>
図18は、メタデータ481の一例を示す説明図である。メタデータは、たとえば、メタデータID1800、構成データ作成時刻1801、登録時刻1802、バージョン1803、およびメタデータ本体1804を有するテーブルで表現される。メタデータID1800は、メタデータの識別子である。構成データ作成時刻1801は、メタデータの基となる構成データの作成時刻を示す。登録時刻1802は、メタデータ481にメタデータの情報が登録された時刻を示す。バージョン1803は、メタデータのバージョン情報を示す。
【0080】
メタデータ本体1804は、メタデータの内容を示し、たとえば、検索キー18041および出力メタデータ値18042を有する。検索キー18041は、メタデータの検索条件として使用されるフィールド名と、その値を示す。出力メタデータ値18042は、出力するメタデータの内容を示す。
【0081】
図18の例では、メタデータIDがM0001、M0002の2種類のメタデータの例を示す。メタデータID=M0001のメタデータは、検索キー18041を装置IDとし、装置IDの値に対応する出力メタデータ値として、ラインID、担当工程ID、前工程ID、後工程ID,作業者IDの5項目の値を出力する。メタデータID=M0002のメタデータは、検索キー18041をPLC IDとし、出力メタデータ値として、装置ID、ラインID、製品IDの3項目の値を出力する。
【0082】
<実施例1のメタデータ追加処理>
図19は、メタデータ追加処理の一例を示すフローチャートである。最初に、図3に示すデータ処理開発者351が、データ処理装置102のデータ変換ロジック設定部325に、データ変換ロジックを入力する(ステップS1901)。
【0083】
次にデータ変換ロジック設定部325が、メタデータ抽出装置101のメタデータ出力部424に、構成データ条件およびイベント条件を送信し、メタデータ出力を要求する(ステップS1902)。
【0084】
次に、メタデータ抽出装置101のメタデータ出力部424が、受信した構成データ条件およびイベント条件と、現在時刻を検索条件として、世代管理データ423を参照し、該当する抽出ルールID901およびバージョン番号1005を取得する(ステップS1903)。ステップS1903では、メタデータ出力部424は、世代管理データ423を参照し、構成データ作成時刻601が検索条件の現在時刻以前で最も近く、構成データ条件1003およびイベント条件1004が検索条件の構成データ条件およびイベント条件と一致するエントリの抽出ルールID901およびバージョン番号1005を取得する。
【0085】
次に、メタデータ出力部424が、ステップS1903で取得した抽出ルールID901を検索条件として、メタデータ抽出ルール422を参照し、検索キー9021と検索値9022を取得する(ステップS1904)。
【0086】
続いて、メタデータ出力部424が、現在時刻、構成データ条件、メタデータ抽出ルール422から取得した検索キー9021および検索値9022を入力として、該当する作成時刻の構成データ411から、メタデータを取得し、データ処理装置102のメタデータ管理部326に送信する(ステップS1905)。現在時刻に該当する構成データ411の作成時刻とは、現在時刻以前の最も近い構成データ411の作成時刻である。
【0087】
データ処理装置102のメタデータ管理部326は、メタデータ出力部424から受信したメタデータをメタデータ481に登録し、登録したメタデータのメタデータIDをデータ変換ロジック設定部325に通知する(ステップS1906)。
【0088】
データ変換ロジック設定部325は、前述のステップS1901でデータ処理開発者351が入力した入力データIDと検索キー、前述のステップS1906でメタデータ管理部326から受信したメタデータIDを組にして、メタデータ追加部323のメタデータ取得テーブル461に登録する(ステップS1907)。
【0089】
データ変換ロジック設定部325は、前述のステップS1901でデータ処理開発者351が入力したデータ加工ロジックを、データ加工部322の変換ロジック451に登録し、データの収集および加工を開始する(ステップS1908)。
【0090】
<ロジック設定画面471>
図20は、図19のステップS1901で使用する、データ収集加工のロジック設定画面471の一例を示す説明図である。
【0091】
図20の例では、入力データID設定2001、データ加工設定2002、メタデータ設定2003、データ出力設定2004の4つの入力画面で構成される。
【0092】
1番目の入力画面である入力データID設定2001では、データ処理装置102が受信するデータの識別子であるデータIDを入力する。
【0093】
2番目の設定画面であるデータ加工設定2002では、データの加工方式と、具体的な加工内容を記載する。図20では、加工方式の一例としてバイナリデータを文字列(JSON)に変換する方法を示す。入力項目として、バイナリデータのどのバイト群が一つのデータとなるかを示すためのバイト列の情報、そのバイト列のデータの内容を示すフィールド名、およびデータのフォーマット形式を入力する。
【0094】
図20では、バイナリデータを文字列(JSON)に変換する方法を記載したが、別の加工方式でもよい。たとえば、バイナリデータをカンマ区切りのデータに変換する加工方式としてもよい、その場合、入力項目としては、データの区切りを示すためのバイト例の情報、および各データの形式が例となる。
【0095】
3番目の設定画面であるメタデータ設定2003では、メタデータの取得条件として構成データ条件の検索キーおよび検索値を入力する。また、イベント条件として、イベントを示すタグとタグ値を入力する。このタグとタグ値は、図10の世代管理データ423のイベント条件に対応する。
【0096】
4番目の設定画面であるデータ出力設定2004では、図8の第3データ803の出力先となる収集データ蓄積部324の収集データの種類を設定する。図20では、データ出力設定の一例として、RDB(Relational DataBase)を示す。RDBでは、データを格納するテーブル名を入力する。
【0097】
図20では、RDBの例を示したが、別のデータ出力先を指定してもよい。たとえば、ファイルとして保存する方法を指定してもよい、その場合、設定項目としては、ファイル保存先のディレクトリ、保存ファイル名等が入力項目の例となる。
【0098】
<変換ロジック451>
図21は、変換ロジック451の一例を示す説明図である。変換ロジック451は、たとえば、フィールドとして、入力データID2101と、ロジック2102とを有するテーブルで表現される。入力データID2101は、入力データの識別子である。入力データID2101は、図20のロジック設定画面471の入力データID設定2001で入力される情報である。
【0099】
ロジック2102は入力データを変換する方法を示す情報であり、たとえば、バイナリデータを文字列(JSON)に変換する方法を示す情報である。ロジック2102は、たとえば、バイト列21021、フィールド名21022、およびフォーマット形式21023で表現される。
【0100】
バイト列21021は、バイナリデータのどのバイト群が一つのデータとなるかを示すためのバイト列の情報を示す。フィールド名21022は、バイト列のデータの内容を示す。フォーマット形式21023は、データのフォーマット形式を示す。ロジック2102の情報は、図20のロジック設定画面471のデータ加工設定2002で入力される情報である。
【0101】
<メタデータ取得テーブル461>
図22は、メタデータ取得テーブル461の一例を示す説明図である。メタデータ取得テーブル461は、たとえば、入力データID2101、検索キー2201、メタデータID2203を有するテーブルで表現される。入力データID2101は、入力データの識別子である。入力データID2101は、図20のロジック設定画面471の入力データID設定2001で入力される情報である。
【0102】
検索キー2201は、メタデータを検索する際の検索条件として使用する情報である。検索キー2201は、図20のロジック設定画面471のメタデータ設定2003で入力される情報である。メタデータID2202は、メタデータの識別子である。
【0103】
入力データID2101とメタデータID2202とは、m:n(m、nは正整数)の対応関係を有する。メタデータ取得テーブル461によって、メタデータの更新の影響が波及する入力データを特定することができる。
【0104】
<データ処理装置102のメタデータ取得処理>
図23は、データ処理装置102が実行するメタデータ抽出装置101からメタデータを取得する処理の一例を示す説明図である。データ変換ロジック設定部325が、メタデータ抽出装置101のメタデータ出力部424に、構成データ条件「製品ID=P01」およびイベント条件「稼働条件=通常時」を送信し、メタデータ出力を要求する(ステップS2301)。
【0105】
次に、メタデータ抽出装置101のメタデータ出力部424が、受信した構成データ条件「製品ID=P01」およびイベント条件「稼働条件=通常時」と、現在時刻を検索条件として、世代管理データ423を参照し(ステップS2302)、該当する抽出ルールID「R01」およびバージョン番号「Ver.2.0」を取得する(ステップS2303)。
【0106】
次に、メタデータ出力部424が、取得したメタデータID「R01」を検索条件として、メタデータ抽出ルール422を参照し(ステップS2304)、検索キー「装置ID」と検索値「ラインID、担当工程ID」を取得する(ステップS2305)。
【0107】
続いて、メタデータ出力部424が、現在時刻と、構成データ条件「製品ID=P01」、メタデータ抽出ルール422から取得した検索キー「装置ID」、および検索値「ラインID、担当工程ID」を入力として(ステップS2306)、該当する時刻の構成データ411から、メタデータ本体を取得する(ステップS2307)。
【0108】
最後に、メタデータ出力部424は、データ処理装置102のメタデータ管理部326に、取得したメタデータ本体、構成データ作成時刻、およびバージョン番号「Ver.2.0」を送信する(ステップS2308)。
【0109】
<メタデータの検索処理および追加処理>
図24は、メタデータの検索処理および追加処理の一例を示す説明図である。メタデータの検索処理および追加処理は、メタデータ追加部323が実施する。
【0110】
最初に、メタデータ追加部323は、第2データ802を受信し、第2データ802に含まれる入力データIDを参照する。図24では、入力データIDの値として、「D0001」を取得する。
【0111】
次に、メタデータ追加部323は、入力データID=D0001を検索条件として、メタデータ追加部323が管理するメタデータ取得テーブル461を参照する。図24では、入力データID=D0001に対応するメタデータIDとして「M0001」、入力データID=D0001に対応する検索キーとして「装置ID」を取得する。そして、メタデータ追加部323は、受信した第2データ802から、入力データID=D0001に対応する検索キーとして取得した検索キー「装置ID」の値を取得する。図24では、第2データ802に含まれる装置IDの値として、「E02」を取得する。
【0112】
メタデータ追加部323は、取得したメタデータID=M0001、装置ID=E02を検索条件として、メタデータ管理部326のメタデータを参照する(ステップS2301)。図24での各表は省略がある。図24では、メタデータID=M0001、装置ID=E02に対応するメタデータとして、(ラインID=L01、担当工程ID=O12、前工程ID=O01、後工程ID=O04、作業者ID=H02)の5項目を取得する(ステップS2402)。
【0113】
メタデータ管理部326は、ステップS2402で取得したメタデータを第2データ802に追加し、第3データ803として、出力する。
【0114】
<実施例1における効果>
本実施例における発明の効果について説明する。従来は、人手作業で逐次メタデータを記述、設定する必要があり、属人的な作業によるメタデータの品質のバラツキの発生、人手作業による工数増大があった。一方、本実施例では、時系列とイベントでメタデータの世代管理を行うことにより、人手作業として簡易な検索条件の画面入力だけで、必要なメタデータを自動出力し、人手作業の時間を削減できる。さらに、過去のメタデータと、イベントが類似する場合、過去のメタデータを基に新しい世代のメタデータを自動作成することができ、さらなる工数削減を実現することができる。
【0115】
本実施例では、現在時刻でメタデータを取得したが、過去の時間帯を指定して、メタデータを取得してもよい。たとえば、過去の一定期間のデータをデータ処理装置102に入力する際に、一定期間に該当するメタデータを取得して、入力データIDとタイムスタンプとメタデータIDの組から、メタデータ追加部323で追加するメタデータを決定する。過去の一定期間のデータをバッチ処理として加工する場合に、本方法は有効である。
【実施例2】
【0116】
以下、実施例2として、リアルタイムに構成データ411を更新する場合のメタデータ更新処理について説明する。
【0117】
<実施例2の構成データ411の更新>
図25は、構成データ411を更新する一例を示す説明図である。構成データ入力部311は、作業環境100の構成変更時刻と構成変更内容を構成データ蓄積部312に送信する(ステップS2501)。
【0118】
構成データ蓄積部312は、構成データ411を更新する。図25の例では、装置E04を装置E09へ置き換え、工程O14を工程O31に置き換える。
【0119】
<メタデータ更新処理>
図26は、メタデータ更新処理の一例を示すフローチャートである。最初に、構成データ入力部311が、作業環境100の管理システム等から、作業環境100の構成変更時刻と、構成変更内容を含む構成変更通知を取得する(ステップS2601)。
【0120】
次に、構成データ入力部311が、構成変更通知を構成データ蓄積部312に転送する(ステップS2602)。次に構成データ蓄積部312が、構成データ入力部311から受信した構成変更通知に基づいて構成データ411を更新し、更新項目を抽出する(ステップS2603)。そして、構成データ蓄積部312が、メタデータ抽出部313に、構成変更時刻と、抽出した更新項目を送信する(ステップS2604)。
【0121】
続いて、メタデータ抽出部313が、世代管理データ423を参照し(ステップS2605)、全エントリについて検索条件をチェックし、検索条件に更新項目が関係するエントリが存在するか確認する(ステップS2606~S2608)。検索条件に更新項目が関係するエントリが存在する場合(ステップS2608:Yes)、更新項目を複製し、世代管理データ423に新規登録する(ステップS2609)。
【0122】
次に、メタデータ抽出部313は、構成データ411から新規登録したメタデータを取得し、メタデータ管理部326に送信する(ステップS2610)。最後に、データ処理装置102のメタデータ管理部326は、メタデータ抽出部313から受信したメタデータをメタデータ481に登録する(ステップS2611)。
【0123】
<構成データ411の更新に伴う世代管理データ423の更新例>
図27は、図25の構成データ411の更新に伴う世代管理データ423の更新例の一例を示す説明図である。図27は、図26のフローチャートのステップS2606~S2608の処理に相当する。図27では、製品P01に関連する装置および工程に変更があったため、構成データ条件が「装置ID=製品P01」である世代管理データIDのV0001~V0003の3個のエントリが、更新対象となる。
【0124】
メタデータ抽出部313は、世代管理データIDがV0001~V0003の3個のエントリを複製し、世代管理データID1001をそれぞれV0005、V0006、V0007とし、バージョン番号1005に1加算してそれぞれVer.2.0、Ver.2.1、Ver.2.2とし、構成データ作成時刻601を、図25のステップS2501の構成変更時刻とし、登録方法1002を「自動登録」として、世代管理データ423に新規に登録する。
【0125】
<パケットIDテーブル441>
図28は、パケットIDテーブル441の一例を示す説明図である。パケットIDテーブル441は、たとえば、パケットID2801、タイムスタンプ2802、入力データID2101を有する。
【0126】
パケットID2801は、入力データのパケットの識別子を示す。パケットID2801は、IoTゲートウェイ161が、送信するデータのそれぞれに付与する識別子である。タイムスタンプ2802は、データ収集部321が、パケットを受信した時刻を記録する。
【0127】
<メタデータ切り替え漏れ検出処理>
図29は、データ処理装置102が実行するメタデータ切り替え漏れのデータを検出する処理の一例を示すフローチャートである。
【0128】
最初に、メタデータ管理部326が、データ変換ロジック設定部325にメタデータ更新により新規登録したメタデータの構成データ作成時刻1801および登録時刻1802を送信する(ステップS2901)。
【0129】
次に、データ変換ロジック設定部325が、パケットIDテーブル441を参照し、「切替期間=登録時刻-構成データ作成時刻」に含まれるパケットID2801を取得する(ステップS2902)。
【0130】
最後に、データ変換ロジック設定部325は、ステップS2902で取得したパケットID2801を記載した切替漏れパケットIDリストを生成する(ステップS2903)。
【0131】
<切替漏れパケットリストの生成方法>
図30は、図29のステップS2902におけるパケットID2801取得の考え方を示す説明図である。図30において、図26のメタデータ更新処理により、メタデータ481に新規登録したメタデータの構成データ作成時刻1801を「2021/4/1 13:00:00.600」、登録時刻1802を「2021/4/1 13:00:01.300」とする。
【0132】
図30の例では、「2021/4/1 13:00:00.600」以降、かつ「2021/4/1 13:00:01.300」以前のタイムスタンプの第1データ801-3、801-4、801―5の3個のパケットが切り替えから漏れることとなるため、第1データ801-3、801-4、801―5のパケットIDであるP0003、P0004、P0005を含む切替漏れパケットIDリストを生成する。
【0133】
切替漏れパケットIDリストの利用方法の一例として、データ処理装置102が、切替漏れパケットIDリストを利用して、古いメタデータの情報で格納された収集データを更新する処理を説明する。
【0134】
<収集データテーブル491>
図31は、収集データ蓄積部324が収集データを格納するために使用する収集データテーブル491の一例を示す説明図である。
【0135】
収集データテーブル491は、たとえば、パケットID2801、タイムスタンプ2802、入力データID2101、装置ID3101、温度3102、電流3103、ラインID3104、担当工程ID3105、前工程ID3106、後工程ID3107、および作業者ID3108を有する。
【0136】
パケットID2801は、入力データのパケットの識別子を示す。パケットID2801は、IoTゲートウェイ161が、送信するデータのそれぞれに付与される識別子である。タイムスタンプ2802は、データ収集部321が、パケットを受信した時刻を記録する。
【0137】
装置ID3101、温度3102、電流3103、ラインID3104、担当工程ID3105、前工程ID3106、後工程ID3107、および作業者ID3108は、第3データ803に格納されるデータ群である。
【0138】
データ処理装置102は、収集データテーブル491から、切替漏れパケットIDリストに記載されたパケットIDのデータを抽出し、新しいメタデータへの書き換えを実施する。
【0139】
<切替漏れデータ更新処理>
図32は、データ処理装置102が実行するメタデータの切り替えから漏れた収集データを更新する処理の一例を示すフローチャートである。
【0140】
最初に、データ収集部321は、図30に示した手順で生成した切替漏れパケットIDリストを収集データ蓄積部324に送信する(ステップS3201)。
【0141】
次に、収集データ蓄積部324は、データ収集部321から受信した切替漏れパケットIDリストが示す対象パケットIDのデータを取得し、メタデータ追加部323に送信する(ステップS3202)。
【0142】
メタデータ追加部323は、収集データ蓄積部324から受信したデータから入力データIDを取得し、入力データIDを検索条件として、メタデータ取得テーブル461を参照し、該当するメタデータ検索条件を取得し、メタデータ管理部326に送信する(ステップS3203)。
【0143】
メタデータ管理部326は、メタデータ追加部323から受信したメタデータ検索条件に該当するメタデータを、メタデータ481から取得し、メタデータ追加部323に送信する(ステップS3204)。
【0144】
そして、メタデータ追加部323は、メタデータ管理部326から受信した対象パケットIDのデータのメタデータを、メタデータ管理部326から取得したメタデータに変更し、収集データ蓄積部324に送信する(ステップS3205)。
【0145】
収集データ蓄積部324は、メタデータ追加部323から受信したデータで、収集データテーブル491のデータを更新する(ステップS3206)。
【0146】
以上の処理により、データ処理装置102は、メタデータの切り替えから漏れたデータを自動で更新することが可能となる。
【0147】
<メタデータの切り替えから漏れた収集データの更新>
図33は、データ処理装置102におけるメタデータの切り替えから漏れた収集データの更新の一例を示す説明図である。
【0148】
最初に、データ収集部321は、収集データ蓄積部324に、切替漏れパケットIDリスト3301を送信する(ステップS3201)。図33の例では、切替漏れパケットIDリスト3301として、図30に示した例において、メタデータ切り替え漏れの対象であるパケットのパケットID「P0003、P0004、P0005」を含むこととする。
【0149】
次に、収集データ蓄積部324は、切替漏れパケットIDリスト3301に記載されているパケットID「P0003、P0004、P0005」に該当するデータを、収集データテーブル491から取得し、更新対象パケット3302としてメタデータ追加部323に送信する(ステップS3202)。更新対象パケット3302のデータ形式は、たとえば、第3データ803のデータ形式と同一のデータ形式である。
【0150】
続いて、メタデータ追加部323は、受信した更新対象パケット3302のデータの内容を参照し、メタデータ管理部326に更新対象パケット3302のメタデータ検索条件1901を送信し(ステップS3203)、メタデータ管理部326から更新対象パケット3302のメタデータ1902を取得する(ステップS3204)。この処理は、図24のメタデータの検索処理および追加処理と同様の処理である。
【0151】
次に、メタデータ追加部323は、受信した更新対象パケット3302の内容を、メタデータ管理部326から取得したメタデータで更新し、更新後パケット3303を作成する。そして、メタデータ追加部323は、作成した更新後パケット3303を収集データ蓄積部324に送信する(ステップS3205)。更新後パケット3303のデータ形式は、たとえば、第3データ803のデータ形式と同一のデータ形式である。
【0152】
図33の例では、図25に示した構成データの更新例に基づき、パケットIDがP0003のパケットのメタデータを更新する例を示しており、後工程ID3107の値が「O14」から「O31」に更新される。
【0153】
収集データ蓄積部324は、受信した更新後パケット3303のデータで、収集データテーブル491のデータを更新する(ステップS3206)。
【0154】
<収集データテーブル491の更新の例>
図34は、図33の例における収集データテーブル491の更新の一例を示す説明図である。図34は、図25に示した構成データの更新例に基づき、図30で示したパケットIDがP0003、P0004、P0005のデータを更新する例を示す。この例では、P0003のデータの後工程ID3107、P0004のデータの前工程ID3106が、「O14」から「O31」に更新される。P0005のデータには変更はない。
【0155】
以上のように、メタデータの更新を反映させるまでに時間を要し、切替漏れのデータが発生する場合でも、データ収集部321のパケットIDテーブル441の情報を使用することで、自動で切替漏れデータのメタデータ更新を後から遡及的に実行することが可能である。
【0156】
<実施例2における効果>
今後、シームレスに作業環境やレイアウトが変更され、リアルタイムに作業環境の構成や作業内容が変更することが予想される。その際に、リアルタイムにデータ収集・加工も変更する必要があるが、変更に追従できないデータが発生することが考えれる。本処理は、このような場合に有効である。
【0157】
本実施例における発明の効果として、従来、作業環境の構成や作業内容の変更の前後で、新旧のメタデータどちらに紐づくか判断できないデータが存在し、現場知識を有する作業者によるメタデータ確認作業が必要であったが、本発明により当該作業を排除できる点が挙げられる。
【0158】
また、作業環境の構成や作業内容の変更の度に、全メタデータを毎回更新する必要がなく、データ処理装置102の計算負荷を削減できる点も挙げられる。
【0159】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。たとえば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、または置換をしてもよい。また各種の処理機能は、処理効率や実装効率のために適宜統合および分散してもよい。同様に、各種のデータを記憶する記憶領域は、処理効率や実装効率のために適宜統合および分散してもよい。
【0160】
以上、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、たとえば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0161】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、IC(Integrated Circuit)カード、SDカード、DVD(Digital Versatile Disc)の記録媒体に格納することができる。あるいは、各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、通信IF205を介した通信により非一時的な記憶装置を備えた外部のコンピュータから取得されてもよい。あるいは各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、非一時的記録媒体に記録され、媒体読み取り装置によって読み出されることで取得されてもよい。
【0162】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0163】
100:作業環境、101:メタデータ抽出装置、102:データ処理装置、131:機器、141:作業者、161:IoTゲートウェイ、181:生産ライン、200:メタデータ抽出システム、301:作業環境構成情報、311:構成データ入力部、312:構成データ蓄積部、313:メタデータ抽出部、314:データ表示部、321:データ収集部、322:データ加工部、323:メタデータ追加部、324:収集データ蓄積部、325:データ変換ロジック設定部、326:メタデータ管理部、401:構成入力画面、411:構成データ、421:メタデータ作成部、422:メタデータ抽出ルール、423:世代管理データ、424:メタデータ出力部、431:作成画面、432:手動登録画面、433:確認画面、441:パケットIDテーブル、451:変換ロジック、461:メタデータ取得テーブル、471:ロジック設定画面、481:メタデータ、491:収集データテーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
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図20
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