(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-02
(45)【発行日】2025-07-10
(54)【発明の名称】加工品の製造方法、半導体装置の製造方法、および加工品の製造装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/50 20060101AFI20250703BHJP
【FI】
H01L23/50 D
(21)【出願番号】P 2022051327
(22)【出願日】2022-03-28
【審査請求日】2024-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花坂 周邦
(72)【発明者】
【氏名】藤原 直己
(72)【発明者】
【氏名】高森 雄大
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭一
(72)【発明者】
【氏名】石橋 幹司
【審査官】小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0299791(US,A1)
【文献】特開2021-125611(JP,A)
【文献】国際公開第2015/145651(WO,A1)
【文献】特開2021-061266(JP,A)
【文献】特開2008-186891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工品の製造方法であって、
切断されるべき位置に沿って予め溝部が形成されたリードフレームを少なくとも含む加工対象物を準備する準備工程と、
前記加工対象物を切断する前に、前記加工対象物のうちの前記溝部を形成している表層部分を部分的に除去する表層除去工程と、
前記加工対象物を切断する前に、前記表層部分が部分的に除去された前記加工対象物にメッキ処理を施すメッキ工程と、を含み、
前記表層除去工程が実施される前の状態において、前記表層部分は、前記加工対象物が切断されることにより除去されることとなる切断領域と、前記切断領域と前記溝部の開口端との間に位置する非切断領域と、を含んでおり、
前記表層除去工程においては、前記非切断領域の少なくとも一部を除去し、
前記表層除去工程が実施された後であって且つ前記加工対象物が切断される前の状態において、前記表層部分は、前記切断領域と前記非切断領域との間に境界部分を含んでおり、
前記溝部の深さ方向における前記表層部分の表面の位置を高さと定義した場合、
前記表層除去工程が実施された後であって且つ前記加工対象物が切断される前の状態において、前記非切断領域のうちの少なくとも一部の表面の高さは、前記境界部分の表面の高さよりも低
く、
前記表層除去工程が実施された後であって且つ前記加工対象物が切断される前の状態において、前記切断領域のうちの少なくとも一部の表面の高さは、前記境界部分の表面の高さよりも高い、
加工品の製造方法。
【請求項2】
前記表層除去工程においては、前記非切断領域の前記少なくとも一部に加え、前記切断領域のうちの前記非切断領域寄りの部分も除去する、
請求項1に記載の加工品の製造方法。
【請求項3】
前記表層除去工程が実施される前の状態において、前記非切断領域の表面形状は、前記溝部の底部に近づくほど前記溝部の前記開口端よりも溝幅方向の中央寄りに位置するように湾曲している、
請求項1または2に記載の加工品の製造方法。
【請求項4】
前記表層除去工程は、レーザを用いて行われる、
請求項1から
3のいずれか1項に記載の加工品の製造方法。
【請求項5】
前記準備工程において準備された前記加工対象物は、ウェットエッチングによって形成された前記溝部を有している、
請求項1から
4のいずれか1項に記載の加工品の製造方法。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか1項に記載の加工品の製造方法を使用する、半導体装置の製造方法であって、
前記リードフレームに半導体チップがボンディングされた状態で、前記リードフレームおよび前記半導体チップを樹脂材により封止する樹脂封止工程と、
前記溝部内の前記樹脂材を除去する樹脂除去工程と、
前記リードフレームを、前記溝部に沿って切断する切断工程と、を含み、
前記加工品の製造方法としては、
前記表層除去工程および前記メッキ工程が、前記樹脂除去工程と前記切断工程との間に行われるか、
前記表層除去工程および前記メッキ工程が、前記樹脂封止工程よりも前の段階で行われるか、または、
前記表層除去工程が前記樹脂封止工程よりも前の段階で行われ、前記メッキ工程が前記樹脂除去工程と前記切断工程との間に行われる、
半導体装置の製造方法。
【請求項7】
切断されるべき位置に沿って予め溝部が形成されたリードフレームを少なくとも含む加工対象物に対して加工を実施する、加工品の製造装置であって、
前記加工対象物が切断されていない状態で、前記加工対象物のうちの前記溝部を形成している表層部分を部分的に除去する表層除去部と、
前記加工対象物が切断されていない状態で、前記表層部分が部分的に除去された前記加工対象物にメッキ処理を施すメッキ処理部と、を備え、
前記表層除去部が前記表層部分を部分的に除去する前の状態において、前記表層部分は、前記加工対象物が切断されることにより除去されることとなる切断領域と、前記切断領域と前記溝部の開口端との間に位置する非切断領域と、を含んでおり、
前記表層除去部は、前記非切断領域の少なくとも一部を除去し、
前記表層除去部が前記表層部分を部分的に除去する前の状態において、前記表層部分は、前記切断領域と前記非切断領域との間に境界部分を含んでおり、
前記溝部の深さ方向における前記表層部分の表面の位置を高さと定義した場合、
前記表層除去部が前記表層部分を部分的に除去する前の状態において、前記非切断領域のうちの少なくとも一部の表面の高さは、前記境界部分の表面の高さよりも低
く、
前記表層除去部が前記表層部分を部分的に除去する前の状態において、前記切断領域のうちの少なくとも一部の表面の高さは、前記境界部分の表面の高さよりも高い、
加工品の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、加工品の製造方法、半導体装置の製造方法、および加工品の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2011-77278号公報(特許文献1)に開示されているように、リードフレームといった加工対象物においては、加工対象物のそれ単独に対して、または、加工対象物と樹脂などの他の部材とが互いに一体化されたものに対して、様々な加工処理が施され、これにより加工品(たとえば完成品)が得られる。特許文献1に開示された加工対象物(リードフレーム)は、所定の工程を経た後に加工対象物の表面にメッキ処理が施され、個片化され、基板などに実装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているように、加工対象物を準備する際に、最終的に切断されるべき位置に沿って予め溝部(凹状部)が形成された加工対象物を準備する場合がある。溝部の存在によって、たとえば、溝部の内表面上に設けられたメッキ膜は、リードフレームの切断後(特許文献1においては個片化の後)に、内側に窪む凹状空間を呈する。はんだ等の接合材は、この凹状空間内に誘導され入り込む。たとえば、半導体装置を基板等に実装する際に、リードの下面および側面の両方に良好にはんだを接合させることが可能となり、接続信頼性が向上する。
【0005】
ここで、加工対象物が準備段階で準備された状態においては、溝部の内表面がたとえば凹面状に湾曲した表面形状を呈している場合がある。加工対象物が準備段階で準備されたそのままの状態においては、溝部の内表面が、はんだ等の誘導や接合等の後工程における処理に適した表面形状を有していない場合がある。はんだ等を利用する際の接続信頼性の向上のためには、たとえば上記凹状空間は広く設けられ、溝部の内表面はより広い接合面積を有していることが好ましい。
【0006】
本明細書は、上記の実情に鑑みて開示されるものであって、切断されるべき位置に沿って予め溝部が形成された加工対象物を用いて加工品を製造する場合に、従来手法に比べてより高い接続信頼性を得ることが可能な加工品の製造方法、半導体装置の製造方法、および加工品の製造装置を開示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に基づく加工品の製造方法は、切断されるべき位置に沿って予め溝部が形成されたリードフレームを少なくとも含む加工対象物を準備する準備工程と、前記加工対象物を切断する前に、前記加工対象物のうちの前記溝部を形成している表層部分を部分的に除去する表層除去工程と、前記加工対象物を切断する前に、前記表層部分が部分的に除去された前記加工対象物にメッキ処理を施すメッキ工程と、を含み、前記表層除去工程が実施される前の状態において、前記表層部分は、前記加工対象物が切断されることにより除去されることとなる切断領域と、前記切断領域と前記溝部の開口端との間に位置する非切断領域と、を含んでおり、前記表層除去工程においては、前記非切断領域の少なくとも一部を除去する。
【0008】
本開示に基づく半導体装置の製造方法は、上記の加工品の製造方法を使用するものであって、前記リードフレームに半導体チップがボンディングされた状態で、前記リードフレームおよび前記半導体チップを樹脂材により封止する樹脂封止工程と、前記溝部内の前記樹脂材を除去する樹脂除去工程と、前記リードフレームを、前記溝部に沿って切断する切断工程と、を含み、前記加工品の製造方法としては、前記表層除去工程および前記メッキ工程が、前記樹脂除去工程と前記切断工程との間に行われるか、前記表層除去工程および前記メッキ工程が、前記樹脂封止工程よりも前の段階で行われるか、または、前記表層除去工程が前記樹脂封止工程よりも前の段階で行われ、前記メッキ工程が前記樹脂除去工程と前記切断工程との間に行われる。
【0009】
本開示に基づく加工品の製造装置は、切断されるべき位置に沿って予め溝部が形成されたリードフレームを少なくとも含む加工対象物に対して加工を実施する、加工品の製造装置であって、前記加工対象物が切断されていない状態で、前記加工対象物のうちの前記溝部を形成している表層部分を部分的に除去する表層除去部と、前記加工対象物が切断されていない状態で、前記表層部分が部分的に除去された前記加工対象物にメッキ処理を施すメッキ処理部と、を備え、前記表層除去部が前記表層部分を部分的に除去する前の状態において、前記表層部分は、前記加工対象物が切断されることにより除去されることとなる切断領域と、前記切断領域と前記溝部の開口端との間に位置する非切断領域と、を含んでおり、前記表層除去部は、前記非切断領域の少なくとも一部を除去する。
【発明の効果】
【0010】
上記開示によれば、切断されるべき位置に沿って予め溝部が形成された加工対象物を用いて加工品を製造する場合に、従来手法に比べてより高い接続信頼性を得ることが可能な加工品の製造方法、半導体装置の製造方法、および加工品の製造装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】加工品の製造方法、およびそれを使用する半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図3】準備工程において準備されたリードフレーム1の裏面1b側から見た構成を示す平面図である。
【
図4】
図3中のIV-IV線に沿った矢視断面図である。
【
図5】準備工程において準備されたリードフレーム1の一部(リード部3、タイバー4および溝部5)の裏面1b側から見た構成を示す斜視図である。
【
図6】準備工程において準備されたリードフレーム1(ダイパッド2)上に、半導体チップ6がボンディングされた状態を示す断面図である。
【
図7】樹脂封止工程が行なわれた状態を示す断面図である。
【
図8】樹脂除去工程を行なう前に保護フィルムが除去された状態を示す断面図である。
【
図9】樹脂除去工程を行なっている様子を示す断面図である。
【
図10】表層除去工程を行なっている様子を示す断面図である。
【
図11】表層除去工程を行なう範囲を説明するための平面図である。
【
図12】
図10の一部を拡大して示す断面図であり、表層除去工程が行なわれた後の様子を示している。
【
図13】メッキ工程が行なわれた後の様子を示す断面図である。
【
図14】切断工程を行なっている様子を示す断面図である。
【
図15】実施の形態の製造方法によって得られた半導体装置を示す斜視図である。
【
図16】実施の形態の製造方法によって得られた半導体装置が実装されている様子を示す断面図である。
【
図17】比較例の製造方法によって得られた半導体装置が実装されている様子を示す断面図である。
【
図18】
図12に対応し、実施の形態に関する作用及び効果を説明するための断面図である。
【
図19】
図12に対応し、実施の形態の第1変形例に関する表層除去工程を説明するための断面図である。
【
図20】
図12に対応し、実施の形態の第2変形例に関する表層除去工程を説明するための断面図である。
【
図21】
図12に対応し、実施の形態の第3変形例に関する表層除去工程を説明するための断面図である。
【
図22】実施の形態の第4変形例に関する、加工品の製造方法、およびそれを使用する半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図23】実施の形態の第5変形例に関する、加工品の製造方法、およびそれを使用する半導体装置の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。以下の説明において同一の部品および相当部品には同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。以下、加工品の製造方法(または半導体装置の製造方法)で使用される加工品の製造装置20およびリードフレーム1の構成についてまず説明し、その後、加工品の製造方法(または半導体装置の製造方法)について説明する。
【0013】
[加工品の製造装置20]
図1は、加工品の製造装置20を示す図である。加工品の製造装置20はステージ21上に保持された加工対象物22に対して加工を実施する。加工対象物22には、切断されるべき位置に沿って予め溝部が形成されている。ここで、溝部は、底がある溝部分であり、有底溝ということがある。加工対象物22が後述するリードフレーム1である場合、リードフレーム1には溝部5(
図5等参照)が形成され、加工品の製造装置20は、半導体装置の製造装置として機能することができる。以下の説明では、加工品の製造装置20が半導体装置の製造装置である場合の例に基づいて説明を行なう。
【0014】
加工品の製造装置20は、出射部23、走査部24、制御部25、およびメッキ処理部26を備える。制御部25は、所定の加工条件に従って、出射部23および走査部24を制御する。出射部23はレーザ光を生成して出射する。出射部23から出射されたレーザ光は走査部24へ伝送され、走査部24は、たとえばレンズおよびスキャナミラーなどを利用してレーザ光Lを加工対象物22に向けて照射する。走査部24は、加工対象物22とレーザ光Lのビームスポットとの相対位置を変化させることにより、加工対象物22上でレーザ光Lを所定の走査方向に沿って走査する。これにより、加工対象物22の一部が除去される。
【0015】
詳細は後述するが、出射部23、走査部24および制御部25は、「表層除去部」として機能することができる。表層除去部は、加工対象物22が切断されていない状態で、加工対象物22のうちの溝部(リードフレーム1における溝部5(
図4参照))を形成している表層部分(リードフレーム1における表層部分3c)を部分的に除去する。
【0016】
図4を参照して後述するが、リードフレーム1における表層部分3cが、表層除去部からのレーザ照射によって部分的に除去される。メッキ処理部26は、加工対象物22(リードフレーム1)が切断されていない状態で、表層部分3cが部分的に除去された加工対象物22(リードフレーム1)にメッキ処理を施す。
【0017】
[半導体装置の製造方法]
図2は、加工品の製造方法、およびそれを使用する半導体装置の製造方法を示す図である。
図1に示す加工品の製造装置20を使用して、半導体装置の製造方法を実施することができる。半導体装置の製造方法は、準備工程ST10、樹脂封止工程ST12、樹脂除去工程ST13、表層除去工程ST14、メッキ工程ST15、および切断工程ST16を備える。準備工程ST10は溝部形成工程ST11を有する。
【0018】
(加工品の製造方法)
準備工程ST10、表層除去工程ST14、およびメッキ工程ST15は、加工品の製造方法を構成することができる。すなわち、半導体装置の製造方法は加工品の製造方法を含み得る。以下、各工程について順に説明する。
【0019】
[リードフレーム1(準備工程ST10)]
図3は、準備工程において準備されたリードフレーム1の裏面1b側から見た構成を示す平面図である。
図4は、
図3中のIV-IV線に沿った矢視断面図である。
図5は、準備工程において準備されたリードフレーム1の一部(リード部3、タイバー4および溝部5)の裏面1b側から見た構成を示す斜視図である。
【0020】
図3は、リードフレーム1の断面構成を表しているものではないが、図示上の便宜のため、リードフレーム1を構成している部分に、斜め方向に延びるハッチング線を付与している。ここでは2種類のハッチング線を使用しており、その違いについては後述する。
図3~
図5には、説明上の便宜のため、長さ方向S、幅方向W、および高さ方向Hを図示しており、以下の説明では、これらの方向を適宜参照する。これらの方向は、
図6以降の図面にも同様に適宜図示している。
【0021】
図3に示すように、リードフレーム1は、長さ方向Sおよび幅方向Wの双方に沿って延びる、略板状の形状を有する。リードフレーム1は、半導体チップ6(
図6)が搭載される側に位置する表面1aと、表面1aの反対側に位置する裏面1bとを有し、銅などの金属から構成される。リードフレーム1は、複数のダイパッド2、複数のリード部3、および、複数のタイバー4を含む。
【0022】
(ダイパッド2、リード部3、タイバー4)
複数のダイパッド2は、長さ方向Sおよび幅方向Wの双方に間隔を空けて配列されている。
リードフレーム1の表面1a上に、半導体チップ6が搭載される(
図6参照)。複数のダイパッド2の各々の周囲(四方)に、複数のリード部3が矩形状に並んで配置されている。複数のダイパッド2の各々を取り囲むように、複数のタイバー4が格子状に配置されている。1つのタイバー4の両側に、複数のリード部3が設けられており、複数のリード部3は、タイバー4の延在方向に沿って間隔をあけて並んでいる。複数のリード部3の各々は、厚肉部3aと薄肉部3bとを有する(
図3,
図5)。リード部3においては、厚肉部3aが薄肉部3bを介してタイバー4に連結している。高さ方向Hにおいて、ダイパッド2および厚肉部3aは、薄肉部3bよりも大きな高さ寸法(すなわち厚み)を有する。
【0023】
ダイパッド2および厚肉部3aには、
図3の紙面右上側から左下側に向かって延びるハッチング線を付与している。リード部3の薄肉部3bおよびタイバー4に、
図3の紙面左上側から右下側に向かって延びるハッチング線を付与している。
【0024】
(溝部5)
図5を参照して、ここで、タイバー4、リード部3の厚肉部3aおよび薄肉部3bについて、
図5に示す「高さ方向Hの負側」に位置する表面に着目すると、これらの表面の高さ位置は同じである。一方で、
図5に示す「高さ方向Hの正側」に位置する表面に着目すると、タイバー4の表面の高さ位置およびリード部3の薄肉部3bの表面の高さ位置よりも、リード部3の厚肉部3aの表面の高さ位置は、高い。
【0025】
つまり、タイバー4の上記正側の表面およびリード部3の薄肉部3bの上記正側の表面は、リード部3の厚肉部3aの上記正側の表面に対して凹んだ形状を呈しており、この構造により、リードフレーム1においては、タイバー4の裏面1b(
図3)側に、高さ方向Hおよび幅方向Wに沿って延在する、および、高さ方向Hおよび長さ方向Sに沿って延在する、格子状の溝部5が形成されている。
【0026】
溝部5は、リードフレーム1を高さ方向H方向に貫通するものではなく、例えば、リードフレーム1(厚肉部3a)の半分の溝深さを有し、リードフレーム1をエッチング(ウェットエッチング)することにより形成可能である。溝幅は例えば0.30mm~0.50mmである。溝幅及び溝深さは、後工程で変形等の不具合が生じない程度の強度を確保すること、後工程で良好な外観検査が行えること、完成品である半導体装置の良好な実装強度などを考慮して、設定すればよい。
【0027】
図4に示すように、溝部5は、空間であり、溝部5の底部5aと、溝部5の側部5bと、溝部5の開口端5cとによって規定される。溝部5の開口端5cとは、リードフレーム1の裏面1bのうち、溝部5を形成している内縁部分であり、直線状に延びている(
図5)。溝部5の底部5aは、おおむね平坦面の形状を有している。溝部5の側部5bは、溝部5の底部5aに近づくほど溝部5の開口端5cよりも幅方向の中央寄りに位置するように湾曲している。
【0028】
図4~
図5(特に
図4)に示すように、リードフレーム1は、溝部5を形成している表層部分3cを有する。
図4では、表層部分3cは破線を用いて表現されている。リードフレーム1の表層部分3cとは、リードフレーム1のうち、リードフレーム1の外表面から所定深さまでの範囲に規定される部分であって、溝部5を形成する部分である。表層部分3cの表面形状が、空間としての溝部5を形成(区画)している。
図4の断面形状に示すように、表層部分3cは所定厚みを有し、ここではU字状またはC字状の形状を呈して延在している。なおここで言う「所定深さまでの範囲」および「所定厚み」とは、表層部分3cが、幅方向Wにおいて一定の(均一な)厚みを有しているという構成に限定しているものではない。溝部5を形成するものでさえあれば、表層部分3cは、幅方向Wにおいて任意の厚さを有し得るものであり、幅方向Wにおいて異なる厚みを有していてもよい。
【0029】
詳細は後述するが、リードフレーム1は切断工程ST16を実施することによって個片化される(
図14参照)。表層部分3cは、リードフレーム1が切断されることにより除去されることとなる切断領域3mと、切断領域3mと溝部5の開口端5cとの間に位置する非切断領域3nと、を含んでいる。
図4には、切断工程ST16によって用いられるブレード12が二点鎖線を用いて仮想的に図示されている。
【0030】
切断領域3mは、ブレード12を示す二点鎖線の枠の内側に位置し、非切断領域3nは、ブレード12を示す二点鎖線の枠の外側に位置する。表層部分3cは、切断領域3mと非切断領域3nとの間に境界部分3tを含んでいる。境界部分3tの表面3qは、ブレード12を示す二点鎖線上に位置している。なお、二点鎖線の枠の幅および位置は、いずれも模式的に記載しており、切断によって実際に除去される範囲はブレード12の幅よりも幅広となる。
【0031】
切断領域3mの表面形状3pが、溝部5の底部5aに対応している。非切断領域3nの表面形状3rは、溝部5の側部5bに対応している。非切断領域3nの表面形状3rの上端部分3sが、溝部5の開口端5cに対応している。
図4に示す例では、溝部5の側部5bのすべてが非切断領域3nの表面形状3rに含まれている。非切断領域3nの表面形状3rの下端部分に、溝部5の底部5a(平坦面)が含まれていてもよい(換言すると、溝部5の底部5aの一部が、非切断領域3nに含まれていてもよい)。
【0032】
(樹脂封止工程)
図6は、準備工程において準備されたリードフレーム1(ダイパッド2)上に、半導体チップ6がボンディングされた状態を示す断面図である。
図6に示すように、各半導体チップ6に設けられた複数の電極が、ボンディングワイヤ7を介してリード部3(厚肉部3a)に電気的に接続される。
【0033】
図7は、樹脂封止工程が行なわれた状態を示す断面図である。樹脂封止工程においては、半導体チップ6がボンディングされた状態で、リードフレーム1及び半導体チップ6を樹脂材9により封止する。樹脂封止工程の前に、リードフレーム1の溝部5の側に、保護フィルム8(例えばポリイミド樹脂テープ)を貼り付けて、保護フィルム8を貼り付けた上で樹脂封止を行なうとよい。
【0034】
半導体装置の製造方法は、樹脂封止工程から、後述する切断工程までの間のどこかに、リードフレーム1の溝部5とは反対側の表面9a(
図7)に、レーザ光L1を照射することによるレーザマーキングを行なう工程をさらに含んでいてもよい。パルスレーザを用いて走査光学系により走査することにより、型番やシリアルNoなどの任意の情報を印字可能である。
【0035】
図8に示すように、次述する樹脂除去工程を行なう前に、保護フィルム8がリードフレーム1から剥がされる。保護フィルム8の除去により、リードフレーム1の溝部5内に形成されている樹脂材9(9b)が露出する。なお、保護フィルム8は、
図7を参照しながら説明したレーザマーキングを行なう工程の前にリードフレーム1から剥がしてもよい。
【0036】
(樹脂除去工程)
図9は、樹脂除去工程を行なっている様子を示す断面図である。樹脂除去工程においては、溝部5内の樹脂材9(9b)にレーザ光L2を照射し、レーザ光L2が長さ方向Sに沿って走査される。これにより、溝部5内の樹脂材が除去される。レーザ光L2としては、パルスレーザとして、たとえば、赤外レーザグリーンレーザ、もしくは、紫外レーザなどを利用可能である。
【0037】
パルス幅に関しては、ナノ秒やピコ秒などのパルス幅を発生するレーザを利用可能である。また、制御部25(
図1)によって出射部23および走査部24を制御することにより、レーザ光L2による加工条件を変化させることができる。樹脂材9(9b)の材質や樹脂材9(9b)のサイズ(溝部5の溝幅等)に応じて、樹脂材9(9b)を効率よく除去できるように、レーザ光L2の波長、出力、レーザ集光径、照射時間などが最適化される。
【0038】
(表層除去工程)
図10は、表層除去工程を行なっている様子を示す断面図である。
図11は、表層除去工程を行なう範囲を説明するための平面図である。表層除去工程においては、リードフレーム1を切断する前に(換言すると、切断工程が行われる前に)、リードフレーム1のうちの溝部5を形成している表層部分3cを部分的に除去する。表層除去工程は、たとえばレーザを用いて行われる。リードフレーム1の材料(銅など)への高効率加工および熱影響抑制のため、短パルス(ピコ秒未満)の発振器を用いるとよい。表層除去工程は、他の研削手段または他の研磨手段などによって行われてもよい。
【0039】
図10を参照して、表層除去工程が実施される前の状態において、リードフレーム1の表層部分3cは、リードフレーム1が切断されることにより除去されることとなる切断領域3mと、切断領域3mと溝部5の開口端5cとの間に位置する非切断領域3nと、を含んでいる。表層除去工程が実施される前の状態において、非切断領域3nの表面形状3rは、溝部5の底部5aに近づくほど溝部5の開口端5cよりも溝幅方向の中央寄りに位置するように湾曲している。なお、
図10には、切断工程ST16によって用いられるブレード12の側壁部分のみが二点鎖線を用いて仮想的に図示されている。
【0040】
表層除去工程においては、少なくとも非切断領域3nに向けてレーザ光L3を照射し、レーザ光L3が長さ方向Sに沿って走査される(
図11参照)。これにより、非切断領域3nの少なくとも一部が除去される。たとえば、表層部分3cから30μm~40μmの深さ分を除去するとよい。レーザ光L3として、たとえばピコ秒パルスのレーザなどの短パルスレーザを用いるとよい。
【0041】
図12は、
図10の一部を拡大して示す断面図であり、表層除去工程が行なわれた後の様子を示している。
図10、
図12に示す例では、非切断領域3nにおける高さ方向の中央部分よりもやや下方側(溝部5の底部5a寄り)の部分が除去されている。さらに、切断領域3mの幅方向における両側部分も、わずかに除去されている。すなわち、ここでの表層除去工程においては、非切断領域3nの少なくとも一部に加え、切断領域3mのうちの非切断領域3n寄りの部分も除去している。
【0042】
表層除去工程が実施された後であって、且つ、リードフレーム1が切断される前の状態においては、リードフレーム1の表層部分3cは、切断領域3mと非切断領域3nとの間に境界部分3tを含んでいる。溝部5の深さ方向における表層部分3cの表面の位置を「高さ」と定義した場合、表層除去工程が実施された後であって、且つ、リードフレーム1が切断される前の状態において、切断領域3mの表面の高さH1は、境界部分3tの表面3qの高さH2と等しい、又は、切断領域3mのうちの少なくとも一部の表面の高さH1は、境界部分3tの表面3qの高さH2よりも高い(境界部分3tの表面3qの高さ位置は、切断領域3mのうちの少なくとも一部の表面よりも低い高さ位置にある)。
【0043】
(メッキ工程)
図13は、メッキ工程が行なわれた後の様子を示す断面図である。表層除去工程の実施後、リードフレーム1を切断する前に、表層部分3cが部分的に除去されたリードフレーム1にメッキ処理を行なう。リードフレーム1のダイパッド2の表面、リードフレーム1のタイバー4の表面、リード部3の薄肉部3bの表面、および表層部分3cのうちの表層除去工程が実施された表面に、メッキ層10が形成される。メッキ層10の形成によって、加工品の製造方法としては完了し、この時点のメッキ層10が形成されたリードフレーム1が「加工品」を構成することになる。
【0044】
メッキ層10の材料としては、実装に用いられるはんだ材料に応じて、はんだ濡れ性が良好な材料を選定することができる。例えば、Sn(錫)系のはんだを用いる場合には、錫(Sn)、錫-銅合金(Sn-Cu)、錫-銀合金(Sn-Ag)、錫-ビスマス(Sn-Bi)などを用いることができる。
【0045】
メッキ工程においては、リードフレーム1に所定の洗浄処理を行なってからメッキ処理を行なうとよい。メッキ工程の前処理のリードフレーム1の表面処理として、洗浄処理に加え、酸化膜の除去、表面活性化などのための処理を行なってもよい。溝部5内の樹脂材9はレーザ光の照射を受けて改質(例えば炭化)していることがあり、多少の樹脂材9が残存した場合であっても、改質した樹脂材9はメッキ処理を行なう前の洗浄処理等の表面処理によって溝部5内から除去できる。
【0046】
(切断工程)
図14に示すように、メッキ処理が行なわれたリードフレーム1を溝部5に沿って切断する。この切断工程では、ブレード12を用いてリードフレーム1および樹脂材9の全厚さ部分を切断する。切断工程の実施により、複数の単位樹脂成形品としての半導体装置11が得られる。
図15に示すように、半導体装置11は、平面視した場合に製品の外方に向けて電気的接続用のリードが突出していないQFN(Quad Flat Non-leaded Package)タイプのノンリード型の製品である。
【0047】
図16は、半導体装置11が実施されている様子を示す断面図である。
図16に示すように、半導体装置11においては、各リード部3の側部(片部)に段差が形成されており、リード部3の側面3dにおいては、メッキ層10が形成されておらず元の金属が露出している。半導体装置11は例えば、樹脂材9の側を上にしてリード部3の側を下にして、プリント基板に実装される。プリント基板には、リード部3に対応する位置にランド13が形成されており、はんだ14を介してリード部3とランド13とが接続される。
【0048】
この際、リードフレーム1の表層部分3c(
図12)のうちの表層除去工程が実施された部分の内側(凹所)に、はんだ14が溜まることで、はんだ14の濡れ性が向上し、より良好なはんだ接合構造を得ることが可能になる。表層除去工程の実施によって、上記の凹所部分の接合面積(表面積)が大きくなっており、さらに、はんだ14を誘導可能な凹所部分の体積も大きくなっている。
【0049】
図17は、比較例の製造方法によって得られた半導体装置が実装されている様子を示す断面図である。比較例の場合には、表層除去工程が実施されていないため、上記凹所に対応する部分の接合面積(表面積)および体積がともに小さい。これに対して上記の実施の形態(
図16)によれば、切断されるべき位置に沿って予め溝部が形成された加工対象物を用いて加工品を製造する場合に、従来手法に比べてより高い接続信頼性を得ることが可能となっている。また、表層除去工程の実施によって、上記の凹所部分の高さHSもより高くすることができ、はんだ14を検査するための自動検査機を用いた検査もより容易となり、より高い精度の結果を得ることも可能となる。
【0050】
リードフレーム1の溝部5がウェットエッチングによって形成されている場合には、非切断領域3nの表面形状3rは、溝部5の底部5aに近づくほど溝部5の開口端5cよりも溝幅方向の中央寄りに位置するように湾曲しやすくなる。ウェットエッチングを行った場合に、上記のような非切断領域3nの表面形状3rに表層除去工程を実施することにより、上記効果を得ることが可能である。
【0051】
図18に示すように、上述の実施の形態においては、溝部5の深さ方向における表層部分3cの表面の位置を「高さ」と定義した場合、表層除去工程が実施された後であって、且つ、リードフレーム1が切断される前の状態において、切断領域3mの表面の高さH1は、境界部分3tの表面3qの高さH2と等しい、又は、切断領域3mのうちの少なくとも一部の表面の高さH1は、境界部分3tの表面3qの高さH2よりも高い。後者の場合、境界部分3tの表面3qの高さ位置は、切断領域3mのうちの少なくとも一部の表面よりも低い高さ位置にある。当該構成によれば、ブレード12を用いて切断を行う際に、切断領域3mにおける高さH1の部分に先にブレード12が接触する。この時点で、ブレード12の幅方向における両側の下方には隙間3w(
図18)が形成されている。その後、境界部分3tにおける高さH2の部分(境界部分3tの表面3q)にブレード12が接触することとなる。このように、ブレード12の両端部でリードフレーム1の厚みが薄くなるため、境界部分3tにおいてバリが発生することを小さくすることができる。
【0052】
[第1変形例]
図19は、
図12に対応し、実施の形態の第1変形例に関する表層除去工程を説明するための断面図である。上述の例(
図18等)では、非切断領域3nの少なくとも一部に加えて、切断領域3mの端部(
図18に示す隙間3wに相当する部分)も除去される。このような構成は必須ではなく、
図19に示すように、切断領域3mが平らになっていて溝部5の側部5bが切断領域3mに含まれない場合には、切断領域3mについては表層除去工程で除去しないようにしてもよい。はんだの誘導や接合に寄与する上記の凹所を形成するという目的は、非切断領域3nのみに表層除去工程を実施し、切断領域3mに表層除去工程を実施しないことによっても達成し得るものであり、切断領域3mに表層除去工程を実施しない分、製造時間の短縮化が図れる。
【0053】
[第2変形例]
図20は、
図12に対応し、実施の形態の第2変形例に関する表層除去工程を説明するための断面図である。表層除去工程が実施された後であって且つリードフレーム1が切断される前の状態において、切断領域3mの表面と非切断領域3nの表面とが相互に接続している部分(すなわち、境界部分3tの表面)は、平坦面の形状を呈しており、かつ、平坦面は、溝部5の深さ方向(裏面1bに対して直交する方向)に対して、略直交していてもよい。当該構成によっても、境界部分3tにおいてバリが発生することを小さくすることができる。
【0054】
図21は、
図12に対応し、実施の形態の第3変形例に関する表層除去工程を説明するための断面図である。
図21に示すように、表層除去工程が実施された後であって且つリードフレーム1が切断される前の状態において、非切断領域3nの表面形状3r(すなわち、溝部5の側部5b)が、溝部5の深さ方向(裏面1bに対して直交する方向)に対して、略平行になるように延びていてもよい。
図21に示す程度にまで表層除去工程を実施することによって、はんだの誘導や接合に寄与する凹所を十分に形成することが可能となる。また、凹所が深くなることによって、半導体装置の実装時に、実装側面のはんだ濡れ高さが確保され、自動検査機を用いた検査がより容易となる。
【0055】
また、
図20を参照して述べた場合と同様に、
図21に示すように、切断領域3mの表面と非切断領域3nの表面とが相互に接続している部分(すなわち、境界部分3tの表面)は、平坦面の形状を呈しており、かつ、平坦面は、溝部5の深さ方向(裏面1bに対して直交する方向)に対して、略直交していてもよい。
図21に示す構成においては、非切断領域3nの表面形状3r(すなわち、溝部5の側部5b)と、切断領域3mの表面形状3p(すなわち、溝部5の底部5a)とが、たがいに直交している。このような構成であっても、境界部分3tにおいてバリが発生することを小さくすることができる。
【0056】
[第4変形例]
上述の通り、加工品の製造方法は、準備工程ST10、表層除去工程ST14、およびメッキ工程ST15は、加工品の製造方法を構成することができる。上述の実施の形態の場合(
図2)には、表層除去工程ST14およびメッキ工程ST15が、樹脂除去工程ST13と切断工程ST16との間に行われる。
【0057】
図22は、実施の形態の第4変形例に関する、加工品の製造方法、およびそれを使用する半導体装置の製造方法を示す図である。
図22に示すように、加工品の製造方法に関するこれらの各工程(準備工程ST10、表層除去工程ST14、およびメッキ工程ST15)を実施した後に、樹脂封止工程ST12、樹脂除去工程ST13、および切断工程ST16を実施してもよい。
図22に示す例では、表層除去工程ST14、およびメッキ工程ST15が、樹脂封止工程ST12よりも前の段階で行われる。この場合のメッキ工程では、たとえば、Palladium Pre Platedメッキ(例えば、Ni/Pd/Auメッキ)や全面Pdメッキなどを用いることが可能である。
【0058】
実施主体としては、たとえばリードフレームメーカがメッキ工程ST15までを行い、半導体装置メーカーが樹脂封止工程ST12以降のすべてを行うことが可能である。あるいは、リードフレームメーカが表層除去工程ST14までを行い、メッキ工程ST15以降を半導体装置メーカーが行ってもよい。
【0059】
[第5変形例]
図23は、実施の形態の第5変形例に関する、加工品の製造方法、およびそれを使用する半導体装置の製造方法を示す図である。
図23に示すように、加工品の製造方法に関するこれらの各工程は、連続して行われなくてもよい。準備工程ST10を実施した後に、表層除去工程ST14、樹脂封止工程ST12、樹脂除去工程ST13、メッキ工程ST15および切断工程ST16を順に実施してもよい。
図23に示す例では、表層除去工程ST14が樹脂封止工程ST12よりも前の段階で行われ、メッキ工程ST15が樹脂除去工程ST13と切断工程ST16との間に行われる。
【0060】
実施主体としては、たとえばリードフレームメーカが準備工程ST10までを行い、半導体装置メーカーが表層除去工程ST14以降のすべてを行うことが可能である。あるいは、リードフレームメーカが表層除去工程ST14までを行い、それ以降を半導体装置メーカーが行ってもよい。
【0061】
以上、実施の形態について説明したが、上記の開示内容はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0062】
1 リードフレーム(加工対象物)、1a,3q,9a 表面、1b 裏面、2 ダイパッド、3 リード部、3a 厚肉部、3b 薄肉部、3c 表層部分、3d 側面、3m 切断領域、3n 非切断領域、3p,3r 表面形状、3s 上端部分、3t 境界部分、3w 隙間、4 タイバー、5 溝部、5a 底部、5b 側部、5c 開口端、6 半導体チップ、7 ボンディングワイヤ、8 保護フィルム、9 樹脂材、10 メッキ層、11 半導体装置、12 ブレード、13 ランド、14 はんだ、20 加工品の製造装置、21 ステージ、22 加工対象物、23 出射部、24 走査部、25 制御部、26 メッキ処理部、H1,H2,HS 高さ、L,L1,L2,L3 レーザ光、ST10 準備工程、ST11 溝部形成工程、ST12 樹脂封止工程、ST13 樹脂除去工程、ST14 表層除去工程、ST15 メッキ工程、ST16 切断工程。