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特許7706131血液試料中のリポ蛋白質の分析方法および分析装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-03
(45)【発行日】2025-07-11
(54)【発明の名称】血液試料中のリポ蛋白質の分析方法および分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/12 20240101AFI20250704BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20250704BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20250704BHJP
【FI】
G01N15/12 H
G01N33/483 E
G01N33/68
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024102677
(22)【出願日】2024-06-26
【審査請求日】2024-09-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(73)【特許権者】
【識別番号】504013775
【氏名又は名称】学校法人 埼玉医科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】鷲津 信栄
(72)【発明者】
【氏名】井上 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】竹中 康浩
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0202008(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0260631(US,A1)
【文献】特開2021-113703(JP,A)
【文献】特開2017-198686(JP,A)
【文献】特開2010-048703(JP,A)
【文献】特表2021-508036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/12
G01N 33/68
G01N 33/483
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液試料中のリポ蛋白質の分析方法であって、
ポア径dが80nm~120nmであるポアを有するポアデバイスを用い電気的検知帯法によって、前記血液試料に含まれるLDL(Low Density Lipoprotein)の粒径分布を測定し、
前記ポアデバイスのメンブレンの膜厚tを用いて前記ポアのアスペクト比をt/dとするとき、
1≦t/d<2
を満たすことを特徴とする分析方法。
【請求項2】
血液試料中のリポ蛋白質の分析方法であって、
ポア径dが2μm~3μmであるポアを有するポアデバイスを用いた電気的検知帯法によって、前記血液試料に含まれるカイロミクロンの粒径分布を測定し、
前記ポアデバイスのメンブレンの膜厚tを用いて前記ポアのアスペクト比をt/dとするとき、
1≦t/d<2
を満たすことを特徴とする分析方法。
【請求項3】
前記血液試料は、血清を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の分析方法。
【請求項4】
血清をリン酸緩衝生理食塩水中に懸濁させ、前記血液試料を作製することを特徴とする請求項1または2に記載の分析方法。
【請求項5】
前記血液試料は、遠心分離処理後の血液を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の分析方法。
【請求項6】
血液試料の分析装置であって、
ポア径dが80nm~120nmであるポアを介して区画される第1室と第2室と、前記第1室に設けられた第1電極および前記第2室に設けられた第2電極と、を有し、前記血液試料を収容するポアデバイスと、
前記第1電極と前記第2電極の間に流れる電流を測定する計測装置と、
前記計測装置が測定した電流にもとづいて、前記血液試料中に含まれるLDL(Low Density Lipoprotein)の粒径分布を生成する処理装置と、
を備え、
前記ポアデバイスのメンブレンの膜厚tを用いて、前記ポアのアスペクト比をt/dとするとき、
1≦t/d<2
を満たすことを特徴とする分析装置。
【請求項7】
血液試料の分析装置であって、
ポア径dが2μm~3μmであるポアを介して区画される第1室と第2室と、前記第1室に設けられた第1電極および前記第2室に設けられた第2電極と、を有し、前記血液試料を収容するポアデバイスと、
前記第1電極と前記第2電極の間に流れる電流を測定する計測装置と、
前記計測装置が測定した電流にもとづいて、前記血液試料中に含まれるカイロミクロンの粒径分布を生成する処理装置と、
を備え、
前記ポアデバイスのメンブレンの膜厚tを用いて、前記ポアのアスペクト比をt/dとするとき、
1≦t/d<2
を満たすことを特徴とする分析装置。
【請求項8】
前記血液試料は、血清を含むことを特徴とする請求項6または7に記載の分析装置。
【請求項9】
前記血液試料は、血清をリン酸緩衝生理食塩水中に懸濁させたものであることを特徴とする請求項6または7に記載の分析装置。
【請求項10】
前記血液試料は、遠心分離処理後の血液を含むことを特徴とする請求項6または7に記載の分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、血液試料中のリポ蛋白質の分析に関する。
【背景技術】
【0002】
血中のLDL(Low Density Lipoprotein)コレステロールは、動脈硬化や心筋梗塞の促進因子とされており、悪玉コレステロールと称される。これに対してHDL(High Density Lipoprotein)は、動脈硬化を阻止する因子とされており、善玉コレステロールと称される。冠動脈性心疾患などの早期診断のために、血液中のLDLコレステロールが測定されている。
【0003】
ヒトや動物は、食物中の中性脂肪やコレステロール等の脂質を小腸で吸収消化するが、そのままでは血液中に存在することは出来ず、アポ蛋白質を結合したリポ蛋白質として安定的に血液中に存在することができる。そのリポ蛋白質は色々な粒子径が混じり合った微細な脂質運搬体の総称であり、粒子径の大きいものよりカイロミクロン、超低比重リポ蛋白質(VLDL:Very-Low-density Lipoprotein)、中間比重リポ蛋白質(IDL:Intermediate-density Lipoprotein)またはミッドバンド、低比重リポ蛋白質(LDL:Low-density Lipoprotein)、小粒子比重リポ蛋白質(small, dense LDL)、高比重リポ蛋白質(HDL:High-density Lipoprotein)と呼ばれている。リポ蛋白質の粒子の直径は赤血球のおよそ1/70で10nmから100nm程の微小な粒子である。
【0004】
一般的に知られている総コレステロール(TC)やLDLコレステロール(LDL-C)、HDLコレステロール(HDL-C)さらに中性脂肪(TG)の測定法は、粒子状のリポ蛋白質を壊して中身のコレステロールや中性脂肪を化学的に定量しているものであり、リポ蛋白質粒子そのものを直接測定する測定法ではない。
【0005】
しかし生体内で、血液中の脂質の代謝はリポ蛋白質の分解・異化を中心に行われているから、VLDL、IDL、LDL、small,dense LDL、HDLというリポ蛋白質そのものを見ないと代謝や治療法の選択につながらない。リポ蛋白質そのものは極微小で非常に壊れやすいため、現在も直接測定する方法がなく、コレステロール等の定量に頼るしかなかった。しかしTCやTGの量だけを観て治療すれば心筋梗塞などを予防できるというものでもなく、リポ蛋白質の性質所謂リポ蛋白の質的検査が必要である事は今も不変である。
【0006】
最近メタボリックシンドロームという言葉に合わせ、超悪玉のリポ蛋白質が動脈硬化等の原因として良く取り上げられている。この超悪玉のリポ蛋白質とはIDLやsmall,dense LDLのことであり、専門の医師の間でも心筋梗塞のリスクファクターと認識されている。そして注目すべきことはこのIDLやsmall,dense LDLは、適切な高脂血症治療薬を使えば消失させることが出来るので、IDLやsmall,dense LDLの検出が重要といわれている。
【0007】
リポ蛋白質の測定法について、粒子状のリポ蛋白質を壊さないで測定する方法として、ポリアクリルアミドゲルディスク電気泳動法(PAGE法)(特許文献1)が提案されている。PAGE法は、リポ蛋白質の粒子径を測定する測定法ではないが、粒子径の順番にリポ蛋白質を分離・分析する方法である。PAGE法は、リポ蛋白質の染色剤と言われているズダンブラックBで血清または血漿中のリポ蛋白質を電気泳動前に染色し、その後濃縮ゲル、均一な分離ゲルの分子ふるい効果により粒子径の順番に分離分析され、VLDL、IDL、LDL、small,dense LDL、HDLに分離される。PAGE法の他にリポ蛋白質の荷電の違いを利用して分析するアガロースゲルまたはセルローズアセテート膜電気泳動法がある。
【0008】
この方法はリポ蛋白質を先ず荷電で分離して、リポ蛋白質を固定してから、その後に脂質染色をして、血中蛋白質の分画位置に合わせ陰極側からベータ(β)、プレベータ(pre-β)、アルファ(α)リポ蛋白質と呼ぶ分析法がある。この染色をする色素をコレステロール染色に変えればコレステロール分画測定法に、中性脂肪の染色をすれば中性脂肪分画測定法になる(特許文献3、特許文献4)。ただ、アガロースゲルまたはセルローズアセテート膜電気泳動法は、リポ蛋白質を荷電の順番で分析するので、粒子径の分析とは言えず、粒子の大きいプレβがより小さいβより早く泳動される点や大きな粒子がアガロースゲルの網目構造に留まったりするため分離能が悪いと言う欠点もある。さらに、泳動後に染色するため、染色条件の濃淡のムラにより定量ができない。
【0009】
また密度勾配型のグラジュエントゲル電気泳動(GGE)法は、支持体のゲル濃度が徐々に濃くなる形に作られており均一なゲルより正確にリポ蛋白質を粒子径の順に分離できると言われている。しかしながら、使用するゲルの作成が難しく特定の研究室でしか実施されていなかった(非特許文献1)。非特許文献1に示されたゲルの詳細は公開されておらず極めて再現は困難な状態にある。
【0010】
また非特許文献2に示した方法は、血中蛋白質のサイログロブリンやフェリチンをマーカとしてGGEでリポ蛋白質の粒子径を特定しているが、フェリチンを安定的に確保したり、使用するゲル板自体も特定のメーカの製品でその作成法などは公開されておらず再現できなかった。さらに、泳動後蛋白染色をしなければならないなど、誰でも簡単に確認試験できる状態ではなかった。
【0011】
リポ蛋白質を粒子径の順に分析する方法として、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)法も知られている(特許文献2)。この方法は、一旦リポ蛋白質を粒子径の順に分離したあと、コレステロールや中性脂肪を測定するものであり、リポ蛋白質の粒子径を測定するわけではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2005-121619号公報
【文献】特開平8-320313号公報
【文献】特開平11-230937号公報
【文献】特開2000-356641号公報
【文献】特開2003-28779号公報
【文献】特開2004-258014号公報
【文献】特開2013-205411号公報
【非特許文献】
【0013】
【文献】CLIN. CHEM. 34/8 (B), B78-B83(1988)
【文献】生物物理化学、Vol.44, pp303-307, 2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
リポ蛋白質の代謝は、リポ蛋白粒子の分解・異化が主体となっていること考えると、どのリポ蛋白質粒子がどれ程ありそれがどのように代謝されるかを知ることが重要であり、どのくらいの粒子径をもつリポ蛋白質がどのくらいあるかを知ることで、どのリポ蛋白質が動脈硬化や心筋梗塞の発症に関与しているかも解明することが期待される。
【0015】
本願は係る状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的は、従来と異なるアプローチによる血液中のリポ蛋白質の分析方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本開示のある態様は、血液試料中のリポ蛋白質の分析方法に関する。この分析方法では、ポアデバイスを用いる電気的検知帯法によって、血液試料に含まれるリポ蛋白質の粒径分布を測定する。
【0017】
本開示の別の態様は、血液試料中のリポ蛋白質の分析装置である。この分析装置は、ポアデバイスと、計測装置と、処理装置と、を備える。ポアデバイスは、ポアを介して区画される第1室と第2室と、第1室に設けられた第1電極および第2室に設けられた第2電極と、を有し、血液を含む溶液を収容する。計測装置は、第1電極と第2電極の間に流れる電流を測定する。処理装置は、計測装置が測定した電流にもとづいて、血液試料中に含まれるリポ蛋白質の粒径分布を生成する。
【0018】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明あるいは本開示の態様として有効である。さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0019】
本開示のある態様によれば、測定精度を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係る血液分析装置のブロック図である。
図2】計測装置により測定される例示的な微小電流Isの波形図である。
図3】実施形態に係るポアチップの斜視図である。
図4図3のポアチップの断面図である。
図5】実施形態に係るポアチップの電位分布のシミュレーション結果を示す図である。
図6】ある血液試料内のリポ蛋白質の粒径分布の測定結果を示す図である。
図7】LDL標準サンプルの粒子径分布の測定結果を示す図である。
図8】LDL標準サンプルを透過電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)により水中観察した液中TEM画像を示す図である。
図9】液中TEM画像から得られたLDL標準サンプルの粒子径分布の測定結果を示す図である。
図10】低アスペクト比を有するポアチップの断面図である。
図11】低アスペクトのポアチップを利用して標準粒子を測定したときに生成されたヒストグラムを示す図である。
図12】低アスペクトのポアチップにおけるヒストグラムのスプリットの原因を説明する模式図である。
図13】カイロミクロンの粒径分布の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0022】
一実施形態に係る血液試料中のリポ蛋白質の分析方法は、ポアデバイスを用いる電気的検知帯法によって、血液試料に含まれるリポ蛋白質の粒径分布を測定する。
【0023】
この態様によると、リポ蛋白質を染色せずに測定することができる。これにより、リポ蛋白質を変質させずに、元の径を維持したままで正確に測定することができる。これは、生体の流血中のリポ蛋白質を忠実に反映した分析法である。また、アポB濃度、TCを同時に測定することにより、ある血液体積中のLDL粒子の個数(モル数)やLDL中のコレステロールも測定できる。
【0024】
一実施形態において、血液試料は、血清を含んでもよい。上記手法によれば、数時間を要する遠心分離処理を行わなくても、数秒で、染色することなく血中のリポ蛋白質の径を測定することができ、従来に比べて検査時間を大幅に短縮できる。
【0025】
一実施形態において、血液試料を、遠心分離処理後の血液を含んでもよい。特定のリポ蛋白質のみに着目して粒径の分布を測定したい場合には、遠心分離処理と組み合わせて測定することが有効である。
【0026】
一実施形態において、ポアデバイスのポア径は80nm~120nmであり、LDL(Low Density Lipoprotein)の粒径分布を測定してもよい。
【0027】
一実施形態において、ポアデバイスのポア径は2μm~3μmであり、カイロミクロンの粒径分布を測定してもよい。
【0028】
一実施形態に係る血液の分析装置は、ポアを介して区画される第1室と第2室と、第1室に設けられた第1電極および第2室に設けられた第2電極と、を有し、血液試料を収容するポアデバイスと、第1電極と第2電極の間に流れる電流を測定する計測装置と、計測装置が測定した電流にもとづいて、血液試料中に含まれるリポ蛋白質の粒径分布を生成する処理装置と、を備える。
【0029】
一実施形態において、分析装置は、血液を、血清の状態で測定してもよい。
【0030】
一実施形態において、分析装置は、血液を、遠心分離後の状態で測定してもよい。
【0031】
一実施形態において、ポアの径は80nm~120nmであり、LDL(Low Density Lipoprotein)の粒径分布を測定してもよい。
【0032】
(実施形態)
以下、好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施形態は、開示および発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも開示および発明の本質的なものであるとは限らない。
【0033】
また図面に記載される各部材の寸法(厚み、長さ、幅など)は、理解の容易化のために適宜、拡大縮小されている場合がある。さらには複数の部材の寸法は、必ずしもそれらの大小関係を表しているとは限らず、図面上で、ある部材Aが、別の部材Bよりも厚く描かれていても、部材Aが部材Bよりも薄いこともあり得る。
【0034】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0035】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に接続された(設けられた)状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0036】
また本明細書において、電圧信号、電流信号などの電気信号、あるいは抵抗、キャパシタ、インダクタなどの回路素子に付された符号は、必要に応じてそれぞれの電圧値、電流値、あるいは回路定数(抵抗値、容量値、インダクタンス)を表すものとする。
【0037】
図1は、実施形態に係る血液分析装置1のブロック図である。血液分析装置1は、電気的検知帯法(コールター原理)と呼ばれる粒径・粒度分布測定法にもとづいて、血液試料中のリポ蛋白質の粒径分布を測定する。
【0038】
この測定法では、粒子を含む電解液を、ナノポアと称される細孔を通過させる。粒子が細孔を通過するとき、細孔中の電解液は粒子の体積に相当する量だけ減少し、細孔の電気抵抗を増加させる。したがって細孔の電気抵抗を測定することで、粒子の体積(すなわち粒径)を測定することができる。
【0039】
血液分析装置1は、ポアデバイス100、計測装置200、データ処理装置300を備える。ポアデバイス100は、
【0040】
ポアデバイス100の内部は、測定対象の粒子であるリポ蛋白質4を含む血液試料2で満たされる。ポアデバイス100の内部は、ポアチップ102によって第1室106と第2室108に隔てられており、第1室106と第2室108には電極E1と電極E2が設けられる。ポアチップ102には、細孔(ポア)104が設けられる。電極E1と電極E2の間に電位差を発生させると、電極間にイオン電流が流れる。リポ蛋白質4は、電気泳動によって、あるいは図示しないポンプが発生する圧力に応じて、細孔104を経由して、第1室106と第2室108の間を移動する。
【0041】
計測装置200は、電極対E1,E2の間に電位差を発生させるとともに、電極対の間の抵抗値Rpと相関を有する情報を取得する。計測装置200は、トランスインピーダンスアンプ210、電圧源220、デジタイザ230を含む。電圧源220は電極対E1,E2の間に電位差Vbを発生させる。この電位差Vbは、電気泳動の駆動源であるとともに、抵抗値Rpを測定するためのバイアス信号となる。
【0042】
電極対E1,E2の間には、細孔104の抵抗に反比例する微小電流Isが流れる。
Is=Vb/Rp …(1)
【0043】
トランスインピーダンスアンプ210は、微小電流Isを電圧信号Vsに変換する。変換ゲインをrとするとき、以下の式が成り立つ。
Vs=-r×Is …(2)
式(1)を式(2)に代入すると、式(3)が得られる。
Vs=-Vb×r/Rp …(3)
デジタイザ230は、電圧信号VsをデジタルデータDsに変換する。このように計測装置200により、細孔104の抵抗値Rpに反比例する電圧信号Vsを得ることができる。
【0044】
図2は、計測装置200により測定される例示的な微小電流Isの波形図である。なお本明細書において参照する波形図やタイムチャートの縦軸および横軸は、理解を容易とするために適宜拡大、縮小したものであり、また示される各波形も、理解の容易のために簡略化され、あるいは誇張もしくは強調されている。
【0045】
粒子であるリポ蛋白質4が細孔104を通過する短い期間、細孔104の抵抗値Rpが増大する。したがって、リポ蛋白質4が通過するごとに電流Isはパルス状に減少する。個々のパルス電流の振幅は、粒径と相関を有する。データ処理装置300は、デジタルデータDsを処理し、血液試料2に含まれるリポ蛋白質4の個数や粒径分布などを解析する。データ処理装置300の一部は、サーバやクラウドであってもよい。
【0046】
図3は、実施形態に係るポアチップ400の斜視図である。ポアチップ400は、図1のポアデバイス100に組み込まれる。ポアチップ400は、メンブレン410を備える。ポアチップ400は、メンブレン410を支持する支持部材(不図示)をさらに含んでもよい。メンブレン410には、貫通するポア(開口)412が設けられている。dはポア412の直径を、tはメンブレンの厚さを示す。支持部材は、石英(SiO)ガラスなどの絶縁基板であり、メンブレン410は、SiNなどの窒化膜あるいはSiOなどの酸化膜である。ポアデバイスにおいては、支持部材に形成される寄生容量が大きいと、ノイズが大きくなる。寄生容量は、誘電率に比例するが、たとえばSiの誘電率は11.9であるのに対して、SiOの誘電率は3.9であり、これにより寄生容量を大きく減らすことができる。本実施形態では、ポアチップ400が半導体を含まない構成となっており、Siを支持部材とする技術に比べて、寄生容量が小さくなり、ノイズの影響を抑えることができ、ひいてはSN比を改善できる。
【0047】
図4は、図3のポアチップ400の断面図である。本実施形態では、ポア412のアスペクト比t/dが、
1≦t/d<2
の関係を満たしている。
【0048】
図5は、実施形態に係るポアチップ400の電位分布のシミュレーション結果を示す図である。濃淡階調は電位を、矢印は電界ベクトルを表す。d=300nm、t=300nmとしており、アスペクト比はt/d=1である。メンブレン410の材料としては、SiNを用いている。
【0049】
リポ蛋白の測定に適した、ポアデバイスのポア径について説明する。血中のリポ蛋白粒子の大きさは以下の通りである。
HDL 8nm
LDL 25nm
IDL 30nm
VLDL 50nm~80nm
カイロミクロン 200nm以上
したがって、80nm以上のポアを計測に用いると、カイロミクロン(200nm以上)以外のリポ蛋白、具体的には、VLDL(80nm以下)~IDL(30nm)~LDL(25nm)~HDL(8nm)を、測定することができる。
【0050】
また、実施形態に係る血液分析装置1のSN比限界は、ポア径の約20%である。したがって、25nmのLDLまでを測定対象と考えて、SN比限界を24nmとした場合、ポア径の上限を24nm/20%=120nmとすればよい。
【0051】
ポア径の上限を120nmとすることで、カイロミクロンがポアを通過することがなく、またポアに詰まる心配もない。
【0052】
このことから、LDLの測定に適したポア径は、80~120nmであると言える。このようなポア径を有するポアデバイスを用いることを特徴とするで、1xPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で希釈後、懸濁するだけで、フィルトレーション無し、試薬不要でダイレクトに簡便、迅速に、粒径分布を計測できる。
【0053】
d=100nm、t=100nmのポアデバイスを作製し、実際に血中のLDLの粒径分布を測定した。
【0054】
血液試料の作成手順は以下の通りである。血清1μLと999μLの1×PBSを混ぜ、1000倍に希釈する。その後、懸濁を行い、血液試料とする。血液試料から所定量(たとえば20μL)を抜き取り、ポアデバイスに注入し、測定する。リポ蛋白質は、純水中では変質する可能性があるところ、1×PBS(0.15M)の等張溶液で希釈することにより、リポ蛋白質を変質させずに測定することができる。
【0055】
図6は、血液試料内のリポ蛋白質の粒径分布の測定結果を示す図である。電極間に印加したバイアス電圧Vbは0.1Vである。
【0056】
分布全体にわたる粒径の平均値(Mean)は28.323nmであり、LDLコレステロールの典型的な粒径と一致する。最頻値(Mode)は24.096nmであった。
【0057】
また全体の中央値(D50)は26.228nm、全体の10%の値(D10)は23.116nm、全体の90%の値(D90)は、35.802nmであった。D10とD90の値がどれだけ離れているかを中央値で正規化した値(D90-D10)/D50は、0.484であった。
【0058】
図6には、ガウシアンフィッティングラインが示され、そのピークにおける粒径(平均値Mean)は25.161nm、フィッティングラインの標準偏差(S.D.)は2.394nm、標準偏差÷平均値である変動係数(C.V)は9.52%であった。
【0059】
図7は、LDL標準サンプルの粒径分布の測定結果を示す図である。LDL標準サンプルは、Athens Research and Technology社製のものを用いた。この標準サンプルは、超遠心分離処理によって、LDLを抽出したサンプルである。
【0060】
分布全体にわたる粒径の平均値(Mean)は30.384nmであり、最頻値(Mode)は26.343nmであった。
【0061】
また全体の中央値(D50)は28.806nm、全体の10%の値(D10)は25.561nm、全体の90%の値(D90)は、37.718nmであった。D10とD90の値がどれだけ離れているかを中央値で正規化した値(D90-D10)/D50は、0.422であった。
【0062】
図8は、1xPBS溶液中のLDL標準サンプルを透過電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)により水中観察した液中TEM画像を示す図である。
【0063】
図9は、液中TEM画像から得られたLDL標準サンプルの粒子径分布の測定結果を示す図である。通常のTEM画像は乾燥試料を観察したものであるが、本発明者らは、LDL標準サンプルを1×PBS(0.15M)の等張溶液に懸濁することでリポ蛋白質を変質させていない試料をTEM観察しており、血液中に存在する状態と等価な測定結果である。
【0064】
超遠心分離処理を行わない血液試料にもとづく測定結果(図6)と、超遠心分離処理により抽出されたLDL標準サンプルの測定結果(図7図9)はよく一致している。この実験から、実施形態に係る血液分析装置1によって、超遠心分離を行わない血清から簡便に作製した血液試料によって、粒径を正確に測定できることが裏付けられた。
【0065】
なお、電気的検知帯法によって、LDLコレステロールの粒径分布を測定することを、技術常識と捉えてはならない。上市されている装置で計測可能としている下限粒径は、スペック上は40nmとなっており、40nm以下の領域において粒径分布を正確に測定できたという報告はこれまでにない。また、実勢値として100nm以下の粒径は精度よく計測できていない。したがって、直径が30nm程度のLDLコレステロールを、電気的検知帯法によって測定できたことは画期的である。
【0066】
本実施形態によれば、LDL~small dense LDLの粒径分布を測定できる。血液試料は、1xPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で希釈後、懸濁するだけで作成でき、フィルトレーションや、染色、試薬は不要である。そのため、従来技術に比べて、簡便、迅速に、粒径分布を計測できる。
【0067】
そして、血液試料の作製の工程、あるいは血液分析装置1よる測定中に、リポ蛋白質を変質させるような処理がないため、血液中と同じ条件で、リポ蛋白質の粒径分布を正確に測定することができる。
【0068】
等アスペクト比のポアデバイスが、リポ蛋白質の粒径測定に適している理由を説明する。
【0069】
図10は、低アスペクト比を有するポアチップ800の断面図である。ポアチップ800はメンブレン810を備え、メンブレン810には、ポア(開口)812が形成される。従来のポアチップ800では、メンブレン810の材料はSiNもしくはSiOであり、メンブレン810の膜厚tは数十nmのものが利用されていた。これは、(i)膜厚tを小さくすることで、結晶性の高い膜が形成でき、また成膜時間が短くて済むこと、(ii)調達性が良いこと、すなわち、薄膜の方が低コストであり、納期が短いこと、(iii)膜加工性が良いこと、すなわちドライエッチングなどにより後から加工する際に都合がよいことが理由として挙げられる。
【0070】
一方で、メンブレンの支持部材が半導体(Si)であることからノイズに弱いという問題があった。
【0071】
数十nmの膜厚tのメンブレン810を利用すると、ポア812の直径(ポア径という)dと、メンブレン810の膜厚tの間には、
d>t
の関係が成り立つこととなる。ポアのアスペクト比をt/dとして定義すると、従来のポアチップ800は、低アスペクトであったと言える。
【0072】
図11は、低アスペクトのポアチップ800を利用して標準粒子を測定したときに生成されたヒストグラムを示す図である。実験に使用したポアチップ800は、d=3μm、アスペクト比0.017(t=0.050μm)である。標準粒子の直径は0.9μmである。ヒストグラムの横軸は、粒子がポアを通過するときに測定された電流から推定される粒径であり、縦軸は粒子の個数を表す。
【0073】
同一径を有する標準粒子を測定しているため、理想的にはヒストグラムは単峰であるべきであるが、測定結果ではヒストグラムは2つにスプリットし、強い二峰性を示している。ヒストグラムが二峰性を有すると、粒子の径を推定することが難しくなり、測定精度が低下する。
【0074】
本発明者らは、従来のポアチップ800を利用した際に二峰性が発生した理由として、ポア812内の電界強度に着目した。
【0075】
図12は、低アスペクトのポアチップにおけるヒストグラムのスプリットの原因を説明する模式図である。ポアチップ800は、ケース900に収容される。ケース900は、ポアチップ800によって、2つのチャンバー902,904に区画される。チャンバー902,904内は、粒子を含む試料2で満たされている。粒子4は、ポア812を通過する際に、異なる経路を取ることができる。図12には、2つの経路(i)(ii)が代表的に示される。ポア812内の電界強度が均一であれば、通過経路によらずに、同じ強度の信号が測定されることとなる。しかしながら、ポア812内の電界強度が不均一であると、通過する経路によって、同じ粒径を持つ粒子4が通過したときに、異なる強度の信号が測定されることとなる。これにより、ヒストグラムがスプリットする。
【0076】
血液中のLDLの粒径は、酸化的修飾の有無などによって粒径が変化しうる。そのため、粒径分布自体が複数のピークを有していることも考えられる。このような分布を有するLDLを、低アスペクト比のポアを有するポアデバイスを用いて測定すると、酸化的修飾の有無によって複数のピークが現れているのかどうかが分からない。
【0077】
実施形態に係る等アスペクト比のポアを有するポアデバイスを利用することで、LDLの粒径の分布を、2nmの分解能で正確に測定することができる。これにより、LDL~small dense LDLの区別だけでなく、各粒子の酸化的修飾の有無など、わずかな状態の違いを区別することができる可能性があり、冠動脈性心疾患などの早期診断に有効である。
【0078】
続いて、カイロミクロンを測定した結果を説明する。上述のように、カイロミクロンの粒径は200nm以上である。そこで、ポア径3μm(3000nm)のポアデバイスを測定し、血清中のカイロミクロンの粒径分布を測定した。
【0079】
図13は、カイロミクロンの粒径分布の測定結果を示す図である。電極間に印加したバイアス電圧Vbは0.1Vである。
【0080】
分布全体にわたる粒径の平均値(Mean)は750.650nmであり、最頻値(Mode)は740.536nmであった。
【0081】
また全体の中央値(D50)は736.895nm、全体の10%の値(D10)は689.753nm、全体の90%の値(D90)は、810.906nmであった。D10とD90の値がどれだけ離れているかを中央値で正規化した値(D90-D10)/D50は、0.164であった。
【0082】
図13には、ガウシアンフィッティングラインが示され、そのピークにおける粒径(平均値Mean)は732.467nm、フィッティングラインの標準偏差(S.D.)は44.497nm、標準偏差÷平均値である変動係数(C.V)は6.07%であった。
【0083】
このように、ポア径を大きくすることで、カイロミクロンの粒径分布も正確に測定可能である。
【0084】
続いて変形例を説明する。
【0085】
(変形例1)
実施形態では、メンブレンにポアが形成されるタイプのポアデバイスについて説明したが、ポアデバイスの形式はそれに限定されない。たとえば、流路型のポアデバイスを用いても、同様の測定が可能である。
【0086】
(変形例2)
実施形態では、80~120nmのポア径を有するポアデバイスを前提として、フィルトーションを行わずに、粒径分布の測定を行ったが本開示はそれに限定されない。また、SN比限界を改善した場合、カイロミクロンの影響を受けない範囲で120nmより大きなポアを使用しても良い。フィルトーションを行うことを想定した場合、80nmより小さいポア径のポアデバイスを用いることもできる。
【0087】
たとえば、LDLのみを対象として粒径分布の測定を行う場合、フィルタによってLDLよりも大きな粒子を除去した血液試料を作製し、50nm~70nm程度のポア径を有するポアデバイスを利用して測定を行うことで、目詰まりを抑制しつつ、LDLの粒径分布をより正確に測定できる。
【0088】
あるいは、HDLを対象として粒径分布の測定を行う場合、40nm程度のフィルタによって大きなリポ蛋白を除去した血液試料を作製し、10nm~30nmのポア径を有するポアデバイスによって測定してもよい。
【0089】
(変形例3)
同様に、カイロミクロンを対象とした場合、2000~3000nmのポア径を有するポアデバイスを前提として、フィルトーションを行わずに、粒径分布の測定を行ったが本開示はそれに限定されない。また、SN比限界を改善した場合、3000nmより大きなポアを使用しても良い。フィルトーションを行うことを想定した場合、カイロミクロンが通過できる、より小さいポア径のポアデバイスを用いることができる。
【0090】
(変形例4)
血液試料の作製プロトコルは、実施形態で説明したものに限定されない。バッファ溶液としては、1×PBSに替えて、血液と等張のそれ以外の溶液を用いてもよい。また希釈度も、実施形態で説明したものに限定されない。
【0091】
(変形例5)
データ処理装置300は、粒度分布(ヒストグラム)において、正規分布によるフィッティング以外の統計処理によって、粒径値を求めてもよいし、機械学習を利用したモデルにもとづいて粒径値を求めてもよい。
【0092】
実施の形態にもとづき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0093】
1 血液分析装置
2 試料
4 リポ蛋白質
100 ポアデバイス
102 ポアチップ
104 細孔
106 第1室
108 第2室
200 計測装置
210 トランスインピーダンスアンプ
220 電圧源
230 デジタイザ
300 データ処理装置
【要約】
【課題】従来と異なるアプローチによる血液中のリポ蛋白質の分析方法を提供する。
【解決手段】血液分析装置1は、ポアデバイス100、計測装置200、データ処理装置300を備える。ポアデバイス100は、ポアを介して区画される第1室106と第2室108と、第1室106に設けられた第1電極E1および第2室108に設けられた第2電極E2と、を有し、血液試料2を収容する。計測装置200は、第1電極E1と第2電極E2の間に流れる電流を測定する。データ処理装置300は、計測装置200が測定した電流にもとづいて、血液試料2中に含まれるリポ蛋白質4の粒径分布を生成する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13