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特許7706206BNCT用の迅速着脱可能なターゲット接続構造及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-03
(45)【発行日】2025-07-11
(54)【発明の名称】BNCT用の迅速着脱可能なターゲット接続構造及び方法
(51)【国際特許分類】
   G21K 5/08 20060101AFI20250704BHJP
   A61N 5/10 20060101ALI20250704BHJP
   H05H 6/00 20060101ALI20250704BHJP
【FI】
G21K5/08 N
A61N5/10 H
H05H6/00
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2025076721
(22)【出願日】2025-05-02
【審査請求日】2025-05-02
(31)【優先権主張番号】202410734192.2
(32)【優先日】2024-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】525155120
【氏名又は名称】華硼中子科技(杭州)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】王 盛
(72)【発明者】
【氏名】李 競倫
(72)【発明者】
【氏名】趙 斌
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特表2023-533714(JP,A)
【文献】特開2001-350000(JP,A)
【文献】特開2020-130573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21K 5/08
A61N 5/10
H05H 6/00
F16L 37/00-39/06
B67B 1/00-6/00
B65D 35/44-35/54
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットセグメントと、配管セグメントと、前記ターゲットセグメントと配管セグメントとを接続するためのロック装置とを含むBNCT用の迅速着脱可能なターゲット接続構造であって、前記ロック装置は、
径方向に沿って弾性伸縮可能なロックピンが設置されるロック本体と、
前記ロックピンが径方向に沿って突入することを収容するロック溝が設置され、前記ロック溝内に軸方向に沿ってスライダがスライドして接続され、前記スライダの両端には、前記スライダの最大外径で交差する第1のガイド面と第2のガイド面がそれぞれ設置されるロックレバーと、
前記ロックレバーを前記ロック本体に対して軸方向に沿って伸縮移動させるとともに、ロック状態で継続的な引張力を提供するための駆動機構と、を含み、
前記駆動機構と前記ロック本体とは、ターゲットセグメントと配管セグメント上にそれぞれ固定して設置され、前記ロックレバーの一端が前記駆動機構に固定して接続され、ロックレバーの他端が自由端であり、前記ロック溝のロックレバーの自由端に近い一側には前記第1のガイド面に適合する収容溝が設置され、前記ロックレバーの自由端には第2のガイド部が設置される、
ことを特徴とするBNCT用の迅速着脱可能なターゲット接続構造。
【請求項2】
前記ロック本体には、前記ロックレバーが軸方向に沿って突入することを収容するロック穴が設置され、前記ロック穴の内壁上に周方向に沿って少なくとも1つの前記ロックピンが設置される、
ことを特徴とする請求項1に記載のターゲット接続構造。
【請求項3】
前記ロック本体は、互いに入れ子状となる内スリーブと外スリーブを含み、前記ロック穴が前記内スリーブ上に設置され、前記内スリーブ上にロックピンを取り付けるための取り付け部が設置される、
ことを特徴とする請求項2に記載のターゲット接続構造。
【請求項4】
前記取り付け部は、内スリーブの外壁に設置されるザグリ溝と、ザグリ溝からロック穴に径方向に貫通するピン穴とを含み、前記ロックピンの後端には前記ザグリ溝に適合するボスが設置される、
ことを特徴とする請求項3に記載のターゲット接続構造。
【請求項5】
前記ボスと前記外スリーブの内壁との間に弾性部材が設置される、
ことを特徴とする請求項4に記載のターゲット接続構造。
【請求項6】
前記ロックレバーの自由端には、エンドヘッド部と、ロック溝セグメントと、ロックアップセグメントとを順次含むロックヘッドが設置され、前記ロック溝は、前記ロック溝セグメント上に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載のターゲット接続構造。
【請求項7】
前記ロックアップセグメントのロック溝セグメントに近い一端に傾斜遷移部が設置される、
ことを特徴とする請求項6に記載のターゲット接続構造。
【請求項8】
前記スライダが前記ロック溝セグメント上に嵌設される、
ことを特徴とする請求項6に記載のターゲット接続構造。
【請求項9】
前記駆動機構は、直線モータ、油圧シリンダ又は空気圧シリンダを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のターゲット接続構造。
【請求項10】
前記第1のガイド面と第2のガイド面は、テーパ面又は円弧面である、
ことを特徴とする請求項1に記載のターゲット接続構造。
【請求項11】
前記ロックピンの自由端に第1のガイド部が設置される、
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載のターゲット接続構造。
【請求項12】
前記第1のガイド部及び/又は前記第2のガイド部にテーパ面又は円弧面が設置される、
ことを特徴とする請求項11に記載のターゲット接続構造。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか1項に記載のBNCT用の迅速着脱可能なターゲット接続構造の着脱方法であって、前記方法は、少なくとも以下のステップを含み、
ステップ10:ロックステップであり、前記ロックステップは、以下を含み、
ステップ11:前記ロックレバーをロック本体に位置合わせし、
ステップ12:前記駆動機構は、前記ロックピンがロック溝に入るまで前記ロックレバーを前方に移動させ、駆動機構は、ロックレバーを継続的に後方に引っ張ってロックし、ターゲットセグメントと配管セグメントとをロックし、
ステップ20:アンロックステップであり、前記アンロックステップは、以下を含み、
ステップ21:前記駆動機構は、前記ロックピンが第1のガイド面を介してスライダを越えてスライダの後方のロック溝に入るまで前記ロックレバーを前方に移動させ、
ステップ22:前記駆動機構は、前記ロックレバーを後方に移動させ、ロックピンがスライダの第2ガイド面に作用して、第1ガイド面が収容溝に入るまでスライダを前方にスライドさせた後、ロックピンが第2ガイド面を介してロック溝から外れ、ロックレバーがロック本体から離脱し、ターゲットセグメントと配管セグメントとの間の接続状態が解除される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核医学放射線治療の技術分野に関し、具体的には、BNCTの迅速着脱可能なターゲット接続構造及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
長期的な発展を経て、医療分野における核技術の応用は、長足の進歩を得て、核医学のイメージング検査及び各種の放射線治療手段は、すでに現代医学の不可欠な一部になった。小型加速器に基づくホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy(BNCT))は、近年がんの進行に対する新しい治療手段である。
【0003】
加速器中性子源は、治療に必要な中性子を生成する重要な機器であり、それは、主にイオン源と真空加速システムと誘導焦点システムという3つの主要な部分を含む。真空システムは、加速器の重要な構成部分であり、真空配管と真空ポンプから構成されている。配管内の真空度は、ビームの質量を直接決定するため、真空配管の接続は、重要な問題である。
【0004】
既存のターゲットセグメントと真空配管との接続には、しばしば真空フランジ方式が採用されており、ボルトナットによって固定され、フランジ端面間のライナーを押し出して密封の役割を果たす。この方式は、真空配管のドッキングプロセスで、手動で比較的に多くの数のボルトを1つずつ締め付ける必要があり、プロセス全体に手間がかかり、しかもある一定の環境、例えば放射を持つ空間及び狭い空間に遭遇する時、人手で直接操作するのに不便であり、これは、ターゲットセグメントの交換、真空システムのメンテナンスに大きな困難をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術において、ターゲットセグメントと真空配管とをボルトナットで固定して接続するため、操作が不便であり、ターゲットセグメントの交換、真空システムのメンテナンスが困難であるという技術的欠陥を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術課題を解決するために、本発明による技術的解決手段は、以下の通りである。
BNCT用の迅速着脱可能なターゲット接続構造であって、ターゲットセグメント、配管セグメント及び前記ターゲットセグメントと配管セグメントとを接続するためのロック装置を含み、前記ロック装置は、
径方向に沿って弾性伸縮可能なロックピンが設置されるロック本体と、
前記ロックピンが径方向に沿って突入することを収容するロック溝が設置され、前記ロック溝内に軸方向に沿ってスライダがスライドして接続され、前記スライダの両端には、前記スライダの最大外径で交差する第1のガイド面と第2のガイド面がそれぞれ設置され、前記ロック溝のロックレバーの自由端に近い一側には前記第1のガイド面に適合する収容溝が設置され、自由端には第2のガイド部が設置されるロックレバーと、
前記ロックレバーを前記ロック本体に対して軸方向に沿って伸縮移動させるとともに、ロック状態で継続的な引張力を提供するための駆動機構と、を含み、
前記駆動機構と前記ロック本体とは、ターゲットセグメントと配管セグメント上にそれぞれ固定して設置され、前記ロックレバーの一端が前記駆動機構に固定して接続され、ロックレバーの他端が自由端であり、前記ロック溝のロックレバーの自由端に近い一側には前記第1のガイド面に適合する収容溝が設置され、前記ロックレバーの自由端には第2のガイド部が設置される。
【0007】
好ましい実施形態において、前記ロック本体には、前記ロックレバーが軸方向に沿って突入することを収容するロック穴が設置され、前記ロック穴の内壁上に周方向に沿って少なくとも1つの前記ロックピンが設置される。
【0008】
好ましい実施形態において、前記ロック本体は、互いに入れ子状となる内スリーブと外スリーブを含み、前記ロック穴が前記内スリーブ上に設置され、前記内スリーブ上にロックピンを取り付けるための取り付け部が設置される。
【0009】
好ましい実施形態において、前記取り付け部は、内スリーブの外壁に設置されるザグリ溝と、ザグリ溝からロック穴に径方向に貫通するピン穴とを含み、前記ロックピンの後端には前記ザグリ溝に適合するボスが設置される。
【0010】
好ましい実施形態において、前記ボスと前記外スリーブの内壁との間に弾性部材が設置される。
【0011】
好ましい実施形態において、前記ロックレバーの自由端には、エンドヘッド部と、ロック溝セグメントと、ロックアップセグメントとを順次含むロックヘッドが設置され、前記ロック溝は、前記ロック溝セグメント上に位置する。
【0012】
好ましい実施形態において、前記ロックアップセグメントのロック溝セグメントに近い一端に傾斜遷移部が設置される。
【0013】
好ましい実施形態において、前記スライダが前記ロック溝セグメント上に嵌設される。
【0014】
好ましい実施形態において、前記駆動機構は、直線モータ、油圧シリンダ、空気圧シリンダを含むが、それらに限らない。
【0015】
好ましい実施形態において、前記第1のガイド面と第2のガイド面は、テーパ面又は円弧面である。
【0016】
好ましい実施形態において、前記ロックピンの自由端に第1のガイド部が設置される。
【0017】
好ましい実施形態において、前記第1のガイド部及び/又は前記第2のガイド部にテーパ面又は円弧面が設置される。
【0018】
本発明は、前記BNCT用の迅速着脱可能なターゲット接続構造の着脱方法をさらに提供し、前記方法は、少なくとも以下のステップを含み、
ステップ10:ロックステップであり、前記ロックステップは、以下を含み、
ステップ11:前記ロックレバーをロック本体に位置合わせし、
ステップ12:前記駆動機構は、前記ロックピンがロック溝に入るまで前記ロックレバーを前方に移動させ、駆動機構は、ロックレバーを継続的に後方に引っ張ってロックし、ターゲットセグメントと配管セグメントとをロックし、
ステップ20:アンロックステップであり、前記アンロックステップは、以下を含み、
ステップ21:前記駆動機構は、前記ロックピンが第1のガイド面を介してスライダを越えてスライダの後方のロック溝に入るまで前記ロックレバーを前方に移動させ、
ステップ22:前記駆動機構は、前記ロックレバーを後方に移動させ、ロックピンがスライダの第2ガイド面に作用して、第1ガイド面が収容溝に入るまでスライダを前方にスライドさせた後、ロックピンが第2ガイド面を介してロック溝から外れ、ロックレバーがロック本体から離脱し、ターゲットセグメントと配管セグメントとの間の接続状態が解除される。
【発明の効果】
【0019】
本発明のBNCT用の迅速着脱可能なターゲット接続構造及び方法は、従来の技術と比べて、以下の有益な効果を有する。
【0020】
(1)駆動機構によってロックレバーを軸方向に沿って伸縮移動させることにより、ターゲットセグメントと配管セグメントとの間の迅速な接続と迅速な取り外しを実現することができ、操作が簡単で、着脱効率が高く、BNCTシステムにおけるターゲットセグメントの交換、真空システムのメンテナンスの利便性を向上させる。
【0021】
(2)スライダの位置変化に基づき、ロックレバーの軸方向に沿った伸縮移動によってロックとアンロックを実現し、構造が簡単で、構想が巧みで、従来のロックとアンロック方式を変化させた。
【0022】
(3)ターゲットセグメントと配管セグメントとの間の接続をより緊密に確実にするように、ロックした後に駆動機構によって引っ張り力を印加する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態のBNCT用の迅速着脱可能なターゲット接続構造の構造模式図である。
図2図1に示される構造の断面状態の構造模式図である。
図3】本実施形態におけるロック本体の分解状態の構造模式図である。
図4】本実施形態におけるロックレバーの局所構造模式図である。
図5図4に示されるロックレバーの断面状態の構造模式図である。
図6】本実施形態におけるロックレバーとスライダの組み立てる状態の局所構造模式図である。
図7】本実施形態におけるスライダの構造模式図である。
図8】本実施形態におけるロック装置がロック状態にある構造模式図である。
図9】本実施形態におけるロック装置がアンロックプロセスにおいて、ロックピンが、スライダを越えた後の構造模式図である。
図10】本実施形態におけるロック装置がアンロックプロセスにおいて、ロックピンが、第1ガイド面が収容溝に入るまでスライダを軸方向に移動させた後の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、図面と実施形態を参照しながら、本発明についてさらに詳細に説明する。理解すべきことは、本明細書に記述される具体的な実施形態は、本発明を説明するためにのみ用いられ、本発明を限定するために用いられるものではない。
【0025】
本発明の説明では、理解すべきこととして、用語「上」、「下」、「前」、「後」、「内」、「外」などに示される方位又は位置関係は、図面に基づいて示される方位又は位置関係であり、本発明を容易に説明及び簡略化するためのものだけであり、言及された装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構築及び操作することを示し又は暗示するためのものではなく、したがって、本発明を制限するためのものと理解されるべきではない。
【0026】
本発明の説明において、説明すべきこととして、別途明確な規定や限定がない限り、「取付」、「連結」、「接続」という用語は、広く理解する必要がある。例えば、固定するように接続されてもよく、一体的に接続されてもよく、着脱可能に接続されてもよく、2つの素子内部の連通であってもよく、直接連結されてもよく、中間仲介部材によって間接的に連結されてもよい。当業者にとっては、上記用語の本発明における具体的な意味を具体的に理解することができる。
【0027】
本実施形態のBNCT用の迅速着脱可能なターゲット接続構造は、図1図2に示すように、ターゲットセグメント20、配管セグメント30及び前記ターゲットセグメント20と配管セグメント30とを接続するための複数のロック装置10を含む。ここで、ターゲットセグメント20は、スリーブ21と、スリーブの一端に位置するターゲット本体22とを含み、スリーブ21上の配管セグメント30に突き合わせる一端には第1のフランジ23が設置され、それに応じて、配管セグメント30のターゲットセグメント20に突き合わせる一端には第1のフランジ23に突き合わせる第2のフランジ31が設置される。ここで、第1のフランジ23と第2のフランジ31との間に密封部材(図示しない)が設置される。
【0028】
本実施形態の特別な点として、ここで、図1図3図6に示すように、前記ロック装置は、ロック本体11と、ロックレバー12と、駆動機構13とを含む。
【0029】
ここで、ロック本体11の構造は、図3に示すように、互いに入れ子状となる内スリーブ112と外スリーブ111を含む。ここで、外スリーブ111には内スリーブ112を収容するための取り付け孔111が設置され、好ましくは、内スリーブが該取り付け孔111に締まり嵌めされる。
【0030】
本実施形態では、前記内スリーブ112には軸方向に貫通するロック穴1121が設置され、前記内スリーブ112には周方向に沿ってロックピン113を取り付けるための4つの取り付け部がさらに設置される。好ましくは、本実施形態では、前記取り付け部は、内スリーブの外壁に設置されるザグリ溝1122と、ザグリ溝からロック穴1121に径方向に貫通するピン穴1123とを含む。
【0031】
それに応じて、本実施形態では、ロックピン113の後端には、前記ザグリ溝1122に適合するボス1132が設置され、ロックピン31は、ザグリ溝1122からピン穴1123に挿入され、且つロック穴1121の内壁から径方向に突出している。ここで、ロックピンは、ピン穴内で径方向に移動可能である。
【0032】
本実施形態では、ボス1132と取り付け孔111の内壁との間には、ロックピンに弾性伸縮する弾性力を提供する弾性部材114が設置される。好ましくは、弾性部材114は、圧縮ばねである。
【0033】
好ましくは、本実施形態では、ボス1132のロックピン113から離れる一端には、圧縮ばねを収容するためのばね収納溝1133がさらに設置される。
【0034】
本実施形態では、ロックピン113の自由端には、テーパ面又は円弧面が設置される第1のガイド部1131が設置される。
【0035】
図4図5に示すように、本実施形態のロックレバー12は、レバー本体121と、レバー本体の端部に位置して前記ロック穴1121に適合するためのロックヘッドとを含む。ここで、レバー本体121のロックヘッドから離れる一端が駆動機構13に接続され、駆動機構13が前記ロックレバー12をロック本体11に対して軸方向に移動させる。説明すべきこととして、駆動機構13は、直線モータ、油圧シリンダ、空気圧シリンダを含むが、それらに限らない既存の直線駆動機構を選択すればよい。
【0036】
本実施形態では、前記ロックヘッドは、ロック溝セグメント122と、ロック溝セグメントの一端に位置するエンドヘッド部123と、ロック溝セグメントの他端に位置するロックアップセグメント124とを含む。ここで、前記ロック溝セグメント124には、前記ロックピン113が径方向に沿って突入することを収容するロック溝127が設置される。
【0037】
本実施形態では、前記エンドヘッド部123と前記ロックアップセグメント124の外径は、前記ロック溝セグメント122の外径よりも大きく、それによりロック溝セグメント上にロック溝が形成される。説明すべきこととして、本実施形態では、レバー本体121とロックアップセグメント124とは、異径構造であり、もちろん、両者は、等径の一体型構造であってもよい。
【0038】
本実施形態では、前記エンドヘッド部123の自由端には、前記ロックピン113の第1のガイド部1131とガイドして嵌合するための、テーパ面又は円弧面が設置される第2のガイド部が設置される。
【0039】
本実施形態の特別な点として、図6図7に示すように、ここで、ロック溝セグメント122にスライダ14がさらに嵌設され、該スライダ14は、軸方向の貫通孔143を有し、該軸方向の貫通孔143がロック溝セグメント122に遊嵌され、ロック溝セグメントに軸方向にスライド接続され、ロック溝セグメント122に軸方向に移動可能である。
【0040】
本実施形態では、図8に示すように、ロック状態で、前記ロックピン113は、エンドヘッド部123とスライダ14との間のロック溝127内に位置し、図9図10に示すように、アンロック状態で、前記ロックピン113は、スライダ14とロックアップセグメント124との間のロック溝127内に位置する。
【0041】
本実施形態では、前記スライダ14には、前記ロックピン113の第1のガイド部1131とガイドして嵌合するガイド面が設置され、図7に示すように、該ガイド面は、エンドヘッド部123の一側に近い第1のガイド面141と、ロックアップセグメント124の一側に近い第2のガイド面142とを含む。ここで、前記第1のガイド面141と第2のガイド面142は、テーパ面又は円弧面である。
【0042】
好ましくは、本実施形態では、前記第1のガイド面141と第2のガイド面142は、前記スライダ14の最大外径で交差し、このように設置した後、ロックピンは、スライダをより容易に超えることができる。
【0043】
本実施形態では、図4図5に示すように、前記エンドヘッド部123のロック溝セグメント122に近い一側には前記第1のガイド面141を収容するための収容溝125が設置されている。このように設置する目的は、図9図10に示すように、アンロックプロセスにおいて、スライダ14がロックピンとエンドヘッド部との間の位置にある場合に、ロックレバーが後方に移動するにつれて、第1のガイド面141が収容溝125に入り、ロックピンが再度スライダとエンドヘッド部との間に入ることを避け、アンロックプロセスの信頼性を確保することにある。
【0044】
好ましくは、本実施形態では、図4図6に示すように、前記ロックアップセグメント124のロック溝セグメント122に近い一端には傾斜遷移部126が設置され、図9に示すように、アンロックプロセスにおいて、ロックピンがスライダを超えた後、ロックピンがロック溝に入るためのより大きい空間を提供する。
【0045】
本実施形態では、前記ロック本体11がターゲットセグメント20上に固定して設置され、駆動機構13が配管セグメント30上に固定して設置される。同様に、ロック本体11が配管セグメント30上に設置されてもよく、それに応じて、駆動機構13がターゲットセグメント20上に設置されてもよい。
【0046】
本実施形態では、上記BNCT用の迅速着脱可能なターゲット接続構造の着脱方法は、以下のステップを含む。
ステップ10:ロックステップであり、前記ロックステップは、以下を含む。
ステップ11:前記ロックレバーをロック本体に位置合わせする。
ステップ12:前記駆動機構は、ロックヘッドがロック穴に入るまで前記ロックレバーを前方に移動させ、ここで、前記スライダは、ロックアップセグメントの一側に近く、前記ロックヘッドの第2のガイド部は、前記ロックピンの第1のガイド部に作用して、ロックピンを径方向に外に移動させ、ロックヘッドのエンドヘッド部がロックピンを超えた後に、弾性部材のリセット作用で、ロックピンがロック溝に入る。図8に示すように、この状態で、ロックピンは、エンドヘッド部とスライダとの間のロック溝内に位置する。
【0047】
次に、前記駆動機構は、前記ロックレバーを後方に移動させ、ロックレバーを継続的に後方に引っ張ってロックし、ターゲットセグメントと配管セグメントとをロックする。
【0048】
本実施形態では、駆動機構による引張力に基づき、ターゲットセグメントと配管セグメントとの間の接続がより緊密に確実になり、特に、第1のフランジと第2のフランジとの間に密封部材が設置され、引張力の継続的な作用に基づき、密封がより確実になる。
【0049】
ステップ20:アンロックステップであり、前記アンロックステップは、以下を含む。
【0050】
ステップ21:前記駆動機構は、前記ロックレバーを前方に移動させ、前記スライダの第1のガイド面は、前記ロックピンの第1のガイド部に作用して、前記スライダが前記ロックピンを越えるまでロックピンを径方向に外に移動させ、弾性部材のリセット作用で、図9に示すように、ロックピンがスライダの後方のロック溝に入る。この状態で、前記ロックピンがスライダとロックアップセグメントとの間のロック溝内に位置する。
【0051】
ステップ22:前記駆動機構は、前記ロックレバーを後方に移動させ、ロックピンがスライダの第2ガイド面に作用して、図10に示すように、スライダの第1のガイド面が収容溝に入るまでスライダをエンドヘッド部の一側に軸方向に移動させる。前記駆動機構は、前記ロックレバーを継続的に後方に移動させ、前記スライダの第2のガイド面は、前記ロックピンの第1のガイド部に作用し、ロックピンを径方向に外に移動させ、ロックピンがロック溝から外れ、前記スライダとエンドヘッド部がロックピンを順次越えた後に、ロックヘッドがロック穴から離れ、ロックレバーがロック本体から離脱することにより、ターゲットセグメントと配管セグメントとの間の接続状態が解除される。
【0052】
本実施形態では、ロック装置によってターゲットセグメントと配管セグメントとの間の接続を実現し、且つプログラム制御に基づいて迅速な接続と迅速な取り外しを実現することができ、従来の接続方式で手間がかかり、操作が煩雑であるという問題を解決する。BNCTシステムにおけるターゲットセグメントの交換、真空システムのメンテナンスの利便性を向上させる。
【0053】
要するに、上に記載の実施形態は、本発明のより良い実施形態にすぎず、本発明を制限するものではなく、本発明の精神及び原則の範囲内で、行われたいかなる修正、同等の置換及び改善等は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【0054】
(付記)
(付記1)
ターゲットセグメントと、配管セグメントと、前記ターゲットセグメントと配管セグメントとを接続するためのロック装置とを含むBNCT用の迅速着脱可能なターゲット接続構造であって、前記ロック装置は、
径方向に沿って弾性伸縮可能なロックピンが設置されるロック本体と、
前記ロックピンが径方向に沿って突入することを収容するロック溝が設置され、前記ロック溝内に軸方向に沿ってスライダがスライドして接続され、前記スライダの両端には、前記スライダの最大外径で交差する第1のガイド面と第2のガイド面がそれぞれ設置されるロックレバーと、
前記ロックレバーを前記ロック本体に対して軸方向に沿って伸縮移動させるとともに、ロック状態で継続的な引張力を提供するための駆動機構と、を含み、
前記駆動機構と前記ロック本体とは、ターゲットセグメントと配管セグメント上にそれぞれ固定して設置され、前記ロックレバーの一端が前記駆動機構に固定して接続され、ロックレバーの他端が自由端であり、前記ロック溝のロックレバーの自由端に近い一側には前記第1のガイド面に適合する収容溝が設置され、前記ロックレバーの自由端には第2のガイド部が設置される、
ことを特徴とするBNCT用の迅速着脱可能なターゲット接続構造。
【0055】
(付記2)
前記ロック本体には、前記ロックレバーが軸方向に沿って突入することを収容するロック穴が設置され、前記ロック穴の内壁上に周方向に沿って少なくとも1つの前記ロックピンが設置される、
ことを特徴とする付記1に記載のターゲット接続構造。
【0056】
(付記3)
前記ロック本体は、互いに入れ子状となる内スリーブと外スリーブを含み、前記ロック穴が前記内スリーブ上に設置され、前記内スリーブ上にロックピンを取り付けるための取り付け部が設置される、
ことを特徴とする付記2に記載のターゲット接続構造。
【0057】
(付記4)
前記取り付け部は、内スリーブの外壁に設置されるザグリ溝と、ザグリ溝からロック穴に径方向に貫通するピン穴とを含み、前記ロックピンの後端には前記ザグリ溝に適合するボスが設置される、
ことを特徴とする付記3に記載のターゲット接続構造。
【0058】
(付記5)
前記ボスと前記外スリーブの内壁との間に弾性部材が設置される、
ことを特徴とする付記4に記載のターゲット接続構造。
【0059】
(付記6)
前記ロックレバーの自由端には、エンドヘッド部と、ロック溝セグメントと、ロックアップセグメントとを順次含むロックヘッドが設置され、前記ロック溝は、前記ロック溝セグメント上に位置する、
ことを特徴とする付記1に記載のターゲット接続構造。
【0060】
(付記7)
前記ロックアップセグメントのロック溝セグメントに近い一端に傾斜遷移部が設置される、
ことを特徴とする付記6に記載のターゲット接続構造。
【0061】
(付記8)
前記スライダが前記ロック溝セグメント上に嵌設される、
ことを特徴とする付記6に記載のターゲット接続構造。
【0062】
(付記9)
前記駆動機構は、直線モータ、油圧シリンダ又は空気圧シリンダを含む、
ことを特徴とする付記1に記載のターゲット接続構造。
【0063】
(付記10)
前記第1のガイド面と第2のガイド面は、テーパ面又は円弧面である、
ことを特徴とする付記1に記載のターゲット接続構造。
【0064】
(付記11)
前記ロックピンの自由端に第1のガイド部が設置される、
ことを特徴とする付記1~10のいずれか1つに記載のターゲット接続構造。
【0065】
(付記12)
前記第1のガイド部及び/又は前記第2のガイド部にテーパ面又は円弧面が設置される、
ことを特徴とする付記11に記載のターゲット接続構造。
【0066】
(付記13)
付記1~12のいずれか1つに記載のBNCT用の迅速着脱可能なターゲット接続構造の着脱方法であって、前記方法は、少なくとも以下のステップを含み、
ステップ10:ロックステップであり、前記ロックステップは、以下を含み、
ステップ11:前記ロックレバーをロック本体に位置合わせし、
ステップ12:前記駆動機構は、前記ロックピンがロック溝に入るまで前記ロックレバーを前方に移動させ、駆動機構は、ロックレバーを継続的に後方に引っ張ってロックし、ターゲットセグメントと配管セグメントとをロックし、
ステップ20:アンロックステップであり、前記アンロックステップは、以下を含み、
ステップ21:前記駆動機構は、前記ロックピンが第1のガイド面を介してスライダを越えてスライダの後方のロック溝に入るまで前記ロックレバーを前方に移動させ、
ステップ22:前記駆動機構は、前記ロックレバーを後方に移動させ、ロックピンがスライダの第2ガイド面に作用して、第1ガイド面が収容溝に入るまでスライダを前方にスライドさせた後、ロックピンが第2ガイド面を介してロック溝から外れ、ロックレバーがロック本体から離脱し、ターゲットセグメントと配管セグメントとの間の接続状態が解除される、方法。
【符号の説明】
【0067】
10 ロック装置
11 ロック本体
111 外スリーブ
1111 取り付け孔
112 内スリーブ
1121 ロック穴
1122 ザグリ溝
1123 ピン穴
113 ロックピン
1131 ガイド部
1132 ボス
1133 収納溝
12 ロックレバー
121 レバー本体
122 ロック溝セグメント
123 エンドヘッド部
124 ロックアップセグメント
127 ロック溝
13 駆動機構
14 スライダ
141 第1のガイド面
142 第2のガイド面
143 貫通孔
20 ターゲットセグメント
21 スリーブ
22 ターゲット本体
23 第1のフランジ
30 配管セグメント
31 第2のフランジ
【要約】
本発明は、核医学放射線治療の技術分野に関し、具体的には、BNCTの迅速着脱可能なターゲット接続構造及び方法を開示し、ターゲットセグメント、配管セグメント及び前記ターゲットセグメントと配管セグメントとを接続するためのロック装置を少なくとも含み、前記ロック装置は、ロック本体、ロックレバー及び駆動機構を少なくとも含む。本発明のBNCT用の迅速着脱可能なターゲット接続構造及び方法は、駆動機構によってロックレバーを軸方向に沿って伸縮移動させることにより、ターゲットセグメントと配管セグメントとの間の迅速な接続と迅速な取り外しを実現することができ、操作が簡単で、着脱効率が高く、BNCTシステムにおけるターゲットセグメントの交換、真空システムのメンテナンスの利便性を向上させ、なお、スライダの位置変化に基づき、ロックレバーの軸方向に沿った伸縮移動によってロックとアンロックを実現し、構造が簡単で、構想が巧みで、従来のロックとアンロック方式を変化させた。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
図9
図10