(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-03
(45)【発行日】2025-07-11
(54)【発明の名称】乗用田植機
(51)【国際特許分類】
A01C 11/02 20060101AFI20250704BHJP
【FI】
A01C11/02 350G
(21)【出願番号】P 2021207468
(22)【出願日】2021-12-21
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】田部 智也
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-107612(JP,U)
【文献】特開2008-079553(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0390019(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の前部に設けられた支持フレームと、
前記支持フレームに支持され、苗が載置される苗載置部を有する予備苗のせ台とが備えられ、
苗を前方から前記苗載置部に案内可能な前案内部材が、前記苗載置部よりも高い位置に配置されるように、前記予備苗のせ台の前端部に設けら
れ、
前記苗載置部は、左右方向に沿った軸芯周りに回転可能に支持され、前後方向に沿って並べて配置された複数の支持ローラーであり、
前記複数の支持ローラーのうち、前記前案内部材に最も近い第1の支持ローラーと、前記第1の支持ローラーに対して後側に隣接する第2の支持ローラーとにおいて、
前記第1の支持ローラーと前記第2の支持ローラーとの前後方向の間隔が、前記前案内部材と前記第1の支持ローラーとの前後方向の間隔よりも小さいものに設定されている乗用田植機。
【請求項2】
前記前案内部材が、左右方向に沿った前軸芯周りに回転可能な前案内ローラーである請求項1に記載の乗用田植機。
【請求項3】
側面視で、前記前案内部材の上端部と前記第1の支持ローラーの上端部とを結ぶ仮想線が、前記第2の支持ローラーと重複している
請求項1又は2に記載の乗用田植機。
【請求項4】
側面視で、前記仮想線が、前記第2の支持ローラーの前記軸芯よりも上側に位置している
請求項3に記載の乗用田植機。
【請求項5】
前記複数の支持ローラーのうち、前記第1の支持ローラー及び前記第2の支持ローラー以外の支持ローラーの前後方向の間隔が、前記第1の支持ローラーと前記第2の支持ローラーとの前後方向の間隔よりも大きなものに設定されている
請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の乗用田植機。
【請求項6】
後案内部材が、前記苗載置部よりも高い位置に配置されるように、前記予備苗のせ台の後端部に設けられている
請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の乗用田植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体の前部に予備苗のせ台が設けられた乗用田植機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された乗用田植機では、機体の前部に設けられた支持フレームに、予備苗のせ台が前後方向に沿って支持されている。苗を畦から予備苗のせ台に補給する場合に、機体の前部が畦に接するように機体を位置させた状態で、畦に立つ作業者は、苗を予備苗のせ台の前部から予備苗のせ台に送り込むように補給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
畦は田面によりも高い位置に位置しているので、畦に立つ作業者が乗用田植機の予備苗のせ台に苗を補給する場合、畦に立つ作業者は、予備苗のせ台の前部に対して斜め上方前方から、苗を斜め下方に向けて送り込むような状態となる。
本発明は、乗用田植機において、畦に立つ作業者が予備苗のせ台に苗を補給する作業が行い易くなるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の乗用田植機は、機体の前部に設けられた支持フレームと、前記支持フレームに支持され、苗が載置される苗載置部を有する予備苗のせ台とが備えられ、苗を前方から前記苗載置部に案内可能な前案内部材が、前記苗載置部よりも高い位置に配置されるように、前記予備苗のせ台の前端部に設けられ、前記苗載置部は、左右方向に沿った軸芯周りに回転可能に支持され、前後方向に沿って並べて配置された複数の支持ローラーであり、前記複数の支持ローラーのうち、前記前案内部材に最も近い第1の支持ローラーと、前記第1の支持ローラーに対して後側に隣接する第2の支持ローラーとにおいて、前記第1の支持ローラーと前記第2の支持ローラーとの前後方向の間隔が、前記前案内部材と前記第1の支持ローラーとの前後方向の間隔よりも小さいものに設定されている。
【0006】
本発明によると、畦に立つ作業者が乗用田植機の予備苗のせ台に苗を補給する場合、畦に立つ作業者は、苗を前案内部材に載せながら斜め下方に向けて送り込めばよい。予備苗のせ台において、前案内部材は、予備苗のせ台の前部に設けられ、予備苗のせ台の苗載置部よりも高い位置に配置されている。
【0007】
これにより、前述のように苗が斜め下方に向けて送り込まれる際、苗が斜め下方に向く姿勢に前案内部材により安定して支持されることにより、苗が前案内部材から苗載置部に案内されるので、畦に立つ作業者が乗用田植機の予備苗のせ台に苗を補給する作業が行い易くなり、苗の補給の作業性を向上させることができる。
苗が予備苗のせ台に載置された後において、前案内部材は予備苗のせ台の前部から苗が前方に落ちるのを止めるストッパーとしても機能する。
本発明によると、前述のように苗が前案内部材から苗載置部に案内される際、苗載置部が複数の支持ローラーであり、苗の送り込みに伴って支持ローラーが回転することにより、苗が前案内部材から支持ローラーに無理なく送り込まれるようになるので、苗の補給の作業性の向上の面で有利である。
前案内部材に最も近い第1の支持ローラーと、第1の支持ローラーに対して後側に隣接する第2の支持ローラーとにおいて、前述のように苗が斜め下方に向けて送り込まれ、苗が前案内部材から第1の支持ローラーに案内された際、苗の前端部が第1及び第2の支持ローラーの間に入り込む可能性がある。
本発明によると、第1の支持ローラーと第2の支持ローラーとの前後方向の間隔が比較的小さいものに設定されているので、苗が前案内部材から第1の支持ローラーに案内された際に、苗の前端部が第1及び第2の支持ローラーの間に入り込む可能性は小さくなるのであり、苗の前端部が第1の支持ローラーから第2の支持ローラーに案内され易くなる。
【0008】
本発明において、前記前案内部材が、左右方向に沿った前軸芯周りに回転可能な前案内ローラーであると好適である。
【0009】
本発明によると、苗が前案内ローラーに載せられて苗載置部に案内される際、苗の送り込みに伴って前案内ローラーが回転することにより、苗が前案内ローラーから苗載置部に円滑に案内されるので、苗の補給の作業性の向上の面で有利である。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
本発明において、側面視で、前記前案内部材の上端部と前記第1の支持ローラーの上端部とを結ぶ仮想線が、前記第2の支持ローラーと重複していると好適である。
【0016】
本発明によると、苗が前案内部材から第1の支持ローラーに案内され、第1の支持ローラーから第2の支持ローラーに案内される際、苗の前端部が第2の支持ローラーに当たり易いのであり、第2の支持ローラーの回転により、苗の前端部が第2の支持ローラーに載り易くなる。これにより、苗の前端部が第1及び第2の支持ローラーの間に入り込む可能性は小さくなる。
【0017】
本発明において、側面視で、前記仮想線が、前記第2の支持ローラーの前記軸芯よりも上側に位置していると好適である。
【0018】
本発明によると、苗が前案内部材から第1の支持ローラーに案内され、第1の支持ローラーから第2の支持ローラーに案内されて、苗の前端部が第2の支持ローラーに当たる際に、苗の前端部は第2の支持ローラーの軸芯よりも上側に当たり易くなるのであり、第2の支持ローラーの回転により、苗の前端部が第2の支持ローラーにさらに載り易くなる。これにより、苗の前端部が第1及び第2の支持ローラーの間に入り込む可能性は小さくなる。
【0019】
本発明において、前記複数の支持ローラーのうち、前記第1の支持ローラー及び前記第2の支持ローラー以外の支持ローラーの前後方向の間隔が、前記第1の支持ローラーと前記第2の支持ローラーとの前後方向の間隔よりも大きなものに設定されていると好適である。
【0020】
前案内部材から第1及び第2の支持ローラーに案内された苗は、この後に無理なく後側の支持ローラーに案内されるので、苗の前端部が後側の支持ローラーの間に入り込む可能性は小さく、後側の支持ローラーの前後方向の間隔を小さくする必要はない。
本発明によると、第1及び第2の支持ローラー以外の支持ローラーの前後方向の間隔が比較的大きなものに設定されており、必要以上に多数の支持ローラーを設けることがないので、構造の簡素化の面で有利である。
【0021】
本発明によると、第1及び第2の支持ローラー以外の支持ローラーの前後方向の間隔が比較的大きなものに設定されているので、例えばマット状の苗をロール状に丸めて予備苗のせ台に載置する場合、ロール状の苗を、例えば隣接する支持ローラーの間に落とし込むように載置することができるのであり、ロール状の苗を安定して予備苗のせ台に載置することができる。
【0022】
本発明において、後案内部材が、前記苗載置部よりも高い位置に配置されるように、前記予備苗のせ台の後端部に設けられていると好適である。
【0023】
本発明によると、苗が予備苗のせ台に載置された後において、機体に搭乗した作業者が苗を予備苗のせ台の後部から斜め上方後方に向けて取り出す際、後案内部材により苗が斜め上方後方に案内されるので、予備苗のせ台からの苗の取り出しが行い易くなる。
苗が予備苗のせ台に載置された後において、後案内部材は予備苗のせ台の後部から苗が後方に落ちるのを止めるストッパーとしても機能する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図3】支持フレーム及び第1,2,3の予備苗のせ台の付近の左側面図である。
【
図4】第1,2,3の予備苗のせ台の左側面図である。
【
図8】支持フレーム及び第1の予備苗のせ台のフレームの付近の左側面図である。
【
図9】予備苗のせ台の支持ローラー、一方の軸受け部及びフレームの分解斜視図である。
【
図10】予備苗のせ台の支持ローラー、一方の軸受け部及びフレームの付近の縦断正面図である。
【
図11】予備苗のせ台の支持ローラー、一方の軸受け部及びフレームの付近の横断平面図である。
【
図12】予備苗のせ台の支持ローラー、他方の軸受け部及びフレームの付近の縦断正面図である。
【
図17】左の第3の予備苗のせ台(作業姿勢)の後部及びステップの左前部の付近の斜視図である。
【
図18】右の第3の予備苗のせ台(作業姿勢)の後部及びステップの右前部の付近の縦断側面図である。
【
図19】発明の実施の第1別形態において、第1,2,3の予備苗のせ台の左側面図である。
【
図20】発明の実施の第6別形態において、第1,2,3の予備苗のせ台の左側面図である。
【
図21】発明の実施の第6別形態において、第1,2,3の予備苗のせ台の左側面図である。
【
図22】発明の実施の第6別形態において、第1,2,3の予備苗のせ台の左側面図である。
【
図23】発明の実施の第7別形態において、第3の予備苗のせ台の左側面図である。
【
図24】発明の実施の第10別形態において、第1,2,3の予備苗のせ台の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1~
図24に、予備苗のせ台を備える乗用田植機が示されており、
図1~
図24において、Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示し、Rは右方向を示し、Lは左方向を示している。
【0026】
(乗用田植機の全体構成)
図1及び
図2に示すように、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2により、機体3が支持されており、田面に苗を植え付ける苗植付装置4が昇降操作可能に、機体3の後部に支持されている。
【0027】
フロア5が機体3に設けられ、ステップ6が、フロア5よりも高い位置に配置されるように機体3の後部に設けられており、運転座席7がステップ6の前部に設けられている。田面に肥料を供給する施肥装置8が、ステップ6よりも高い位置に配置されるように、ステップ6の後部に設けられている。
【0028】
エンジン(図示せず)を収容するボンネット9が、運転座席7の前方の位置で、フロア5の前部の左右中央の位置に設けられ、前輪1を操向操作する操縦ハンドル10が、ボンネット9の後部に設けられている。手摺り用の右及び左のフレーム14が、機体3に連結されて、ステップ6の右の横外方及び左の横外方を通って上方に向けて延出されている。フレーム15が、右及び左のフレーム14に亘って左右方向に沿って連結されている。
【0029】
(予備苗のせ台を支持する支持フレームの構成)
図1及び
図2に示すように、右及び左の支持フレーム17が、機体3の前下部の右部及び左部に連結され、フロア5の右前部の横外方及び左前部の横外方を、上方に向けて延出されている。右及び左の支持フレーム17の上部に亘って、支持フレーム20が左右方向に沿って連結されている。
【0030】
右及び左の支持フレーム16が、機体3の前下部の右部及び左部に連結され、フロア5の右前部の横外方及び左前部の横外方を、上方に向けて延出されており、支持フレーム16の上部が支持フレーム17の上部に連結されている。右及び左の支持フレーム18,19が、機体3の前下部の右部及び左部に連結され、フロア5の右前部の横外方及び左前部の横外方を、上方に向けて延出されている。
【0031】
前方を照らす右及び左のライト27が、支持フレーム16に取り付けられている。1枚のマット状の苗が載置可能な右及び左の予備苗のせ台24が、支持フレーム16,17の上部に取り付けられている。以上のように、支持フレーム16~20が、機体3の前部に設けられている。
【0032】
図1~
図4に示すように、右及び左の第1の予備苗のせ台である予備苗のせ台11、右及び左の第2の予備苗のせ台である予備苗のせ台12、右及び左の第3の予備苗のせ台である予備苗のせ台13が設けられている。
【0033】
後述の(第1の予備苗のせ台の全体構成)に記載のように、予備苗のせ台11が、支持フレーム16~20に支持されている。
後述の(第2の予備苗のせ台の支持に関する構成)(第3の予備苗のせ台の支持に関する構成)に記載のように、予備苗のせ台12が、予備苗のせ台11を介して支持フレーム16~20に支持されており、予備苗のせ台13が、予備苗のせ台11を介して支持フレーム16~20に支持されている。
【0034】
(第1の予備苗のせ台の全体構成)
図5及び
図6に示すように、予備苗のせ台11は、一方のフレームである右のフレーム21と、他方のフレームである左のフレーム21と、苗載置部である複数の支持ローラー31と、右及び左の第1支点部41と、右及び左の支点部43と、右及び左の第1当たり部51と、第1横フレーム61及び横フレーム63とを有している。
【0035】
右及び左の第1支点部41が、フレーム21の前後方向での端部である前端部に連結され、右及び左の第1当たり部51が第1支点部41に連結されており、第1当たり部51が第1支点部41を介してフレーム21の前端部に連結されている。第1横フレーム61が右及び左の第1支点部41に亘って連結されており、第1横フレーム61が右及び左のフレーム21の前端部に第1支点部41を介して左右方向に沿って連結されている。
【0036】
右及び左の支点部43が、フレーム21の前後方向での端部である後端部に連結され、横フレーム63が右及び左の支点部43に亘って連結されており、横フレーム63が右及び左のフレーム21の後端部に支点部43を介して左右方向に沿って連結されている。右及び左のフレーム21、第1横フレーム61、横フレーム63により、予備苗のせ台11の全体の剛性が確保されている。
【0037】
複数の支持ローラー31が、フレーム21の長手方向と直交する方向である左右方向に沿った軸芯P1周りに回転可能に、右のフレーム21と左のフレーム21とに亘って支持されている。
【0038】
支持ローラー31は、前後方向に沿って並べて配置されており、隣接する支持ローラー31の間に空隙C1が形成されるように前後方向で互いに間隔を空けて、右のフレーム21及び左のフレーム21に支持されている。隣接する支持ローラー31の間隔である空隙C1の前後方向の長さ(間隔)L1は、支持ローラー31の外径D1よりも大きなものに設定されている。
【0039】
以上のように構成された右及び左の予備苗のせ台11において、右の予備苗のせ台11では、右のフレーム21が支持フレーム18,19の上部に支持され、左のフレーム21が支持フレーム16,17に支持されている。左の予備苗のせ台11では、右のフレーム21が支持フレーム16,17に支持され、左のフレーム21が支持フレーム18,19の上部に支持されている。これにより、予備苗のせ台11が、支持フレーム16~20に支持されている。
【0040】
図4に示すように、マット状の苗Eがロール状に丸められ紐やバンド等により留められたロール状の苗Eを、隣接する支持ローラー31,32,33の間の空隙C1,C2,C3に落とし込むように載置することができる。支持ローラー31,32,33に載置されたロール状の苗Eの間に、ロール状の苗Eを積み重ねるように載置することができる。これにより、ロール状の苗Eは、右及び左のフレーム21,22,23、前後に隣接する支持ローラー31,32,33により位置決めされて、転がるようなことなく安定して予備苗のせ台11,12,13に載置される。
【0041】
(第1の予備苗のせ台におけるフレームの構成)
図7~
図10に示すように、フレーム21は、アルミ材により成型されており、平板部28及び中空部29が設けられている。
【0042】
平板部28は、断面視で上下方向に沿った平板状であり、側面視でフレーム21(苗載置部)の長手方向である前後方向に沿って延出されている。平板部28に、支持ローラー31を取り付ける為の開口部28aと、位置調節部である前後方向に沿った長孔28bとが開口されている。
【0043】
前述の(第1の予備苗のせ台の全体構成)に記載のように、フレーム21が支持フレーム16~19に取り付けられる場合、ボルト30(
図3及び
図8参照)が平板部28の長孔28bに通されて、平板部28が支持フレーム16~19に取り付けられる。これにより、支持フレーム16~19における予備苗のせ台11の取付位置が、平板部28の長孔28bにより前後方向に調節可能である。
【0044】
中空部29は、断面視で平板部28よりも大きな横幅を有した中空状で、平板部28の上部及び下部に接続されており、側面視でフレーム21(苗載置部)の長手方向である前後方向に沿って延出されている。
【0045】
中空部29における支持ローラー31(苗載置部)の中央部に向く部分29aが、断面視で上下方向に沿った直線状に形成されている。中空部29における支持ローラー31(苗載置部)の中央部とは反対側の部分29bが、断面視で支持ローラー31(苗載置部)の中央部とは反対側に向けて張り出す円弧状に形成されており、中空部29は断面視において1/4円の形状に形成されている。
【0046】
以上の構成により、フレーム21は上下対称形状となっており、右及び左のフレーム21は同じものである。右及び左のフレーム21の中空部29の部分29aが互いに対向するように(支持ローラー31の中央部に向くように)、右及び左のフレーム21が配置されている。
【0047】
(第1の予備苗のせ台における支持ローラーの構成)
図9~
図12に示すように、支持ローラー31は、アルミ材により円筒状に形成されており、一方及び他方の端部が開放されている。支持ローラー31を支持する為の支持軸34、右及び左のベアリング35、右及び左のベアリングホルダ36が設けられている。
【0048】
支持軸34は、丸パイプにより構成されている。支持軸34の一方の端部に平板状の部分34aが形成されており、支持軸34の他方の端部34bは円筒状である。ベアリング35が、支持軸34の端部34bから支持軸34の外面に取り付けられる。
【0049】
ベアリングホルダ36は、合成樹脂により半リング状に2分割に構成されており、半円筒状のホルダ部36aと、ホルダ部36aの外面に設けられた複数の凸部36bと、ホルダ部36aの端部に設けられたフランジ部36cとを有している。
【0050】
ベアリングホルダ36において、ベアリングホルダ36における支持ローラー31への挿入側とは反対側の端部であるフランジ部36cから、支持ローラー31への挿入側であるフランジ部36cの反対側に向けて所定長さだけ離れた部分に、凸部36bの端部が位置している。
【0051】
ベアリングホルダ36において、凸部36bは、前述の部分からベアリングホルダ36における支持ローラー31への挿入側の端部に向けて形成されている。これにより、ベアリングホルダ36のホルダ部36aの外面において、凸部36bとフランジ部36cとの間に、凸部36bが設けられていない部分36dが存在する。
【0052】
以上の構成により、2分割のベアリングホルダ36のホルダ部36aをベアリング35の外面に取り付け、ベアリングホルダ36を支持ローラー31の端部に圧入する。ベアリングホルダ36が支持ローラー31の端部に圧入されるのに伴って、ベアリングホルダの凸部36bが、支持ローラー31の端部により削られながら、支持ローラー31の内面に強く押圧される。
【0053】
ベアリングホルダ36のフランジ部36cが支持ローラー31の端部に達する前(ベアリングホルダ36の支持ローラー31の端部への圧入を完了する少し前)に、ベアリングホルダ36の凸部36bが設けられていない部分36dが、支持ローラー31の端部に達するので、削りカスが発生し難くなる。
【0054】
ベアリングホルダ36のフランジ部36cが支持ローラー31の端部に達すると、ベアリングホルダ36の支持ローラー31の端部への圧入を完了する。これにより、支持ローラー31が、ベアリング35及びベアリングホルダ36を介して支持軸34に回転可能に支持される。
【0055】
(第1の予備苗のせ台における支持ローラーの支持の構成)
前述の(第1の予備苗のせ台における支持ローラーの構成)に記載のように構成された支持ローラー31及び支持軸34において、
図9~
図12に示すように、支持軸34の一方部分及び他方部分を支持する軸受け部37が設けられている。
【0056】
軸受け部37は、合成樹脂により一体的に形成されており、本体部37a、取付部37b、係合部37c、軸挿入部37d、回り止め部である溝部37e、位置決め部37f等を有している。
【0057】
軸受け部37において、本体部37aは、側面視で正方形状(四角形状)に形成されている。取付部37bは、側面視で8角形状(多角形状)に形成されて、本体部37aに取り付けられている。爪状の一対の係合部37cが、取付部37bの両側に位置するように本体部37aに取り付けられている。穴状の軸挿入部37dが、本体部37aから取付部37bに亘って形成されており、軸挿入部37dの内奥部に、溝部37e及び位置決め部37fが設けられている。
【0058】
フレーム21(平板部28及び中空部29)と軸受け部37とにおいて、軸受け部37の取付部37b及び係合部37cを、平板部28の開口部28aに挿入する。軸受け部37の本体部37aが平板部28に接触するまで、軸受け部37の取付部37b及び係合部37cが平板部28の開口部28aに挿入されると、軸受け部37の係合部37cが平板部28の開口部28aの縁部に係合して、軸受け部37の取付部37bにおいて平板部28の開口部28aからの脱落が防止される。
【0059】
これと同時に、軸受け部37の本体部37aが、上及び下の中空部29の間に入り込んで、軸受け部37の本体部37aの上辺部が上の中空部29の下辺部に接触し、軸受け部37の本体部37aの下辺部が下の中空部29の上辺部に接触して、軸受け部37の軸芯P1周りの回転を止める回り止めが行われる。これにより、軸受け部37がフレーム21の平板部28に取り付けられる。
【0060】
支持軸34の平板状の部分34aを、右及び左のフレーム21の一方に取り付けられた軸受け部37の軸挿入部37dに挿入し、軸受け部37の溝部37eに挿入して、軸受け部37の溝部37eの内奥部に当てる。支持軸34の端部34bを、右及び左のフレーム21の他方に取り付けられた軸受け部37の軸挿入部37dに挿入し、軸受け部37の位置決め部37fに当てる。
【0061】
これにより、支持軸34の一方部分及び他方部分が軸受け部37により支持されるのであり、支持ローラー31が、フレーム21の長手方向と直交する軸芯P1周りに回転可能に、右及び左のフレーム21の平板部28に亘って取り付けられる。支持ローラー31の上端部は、右のフレーム21の上端部及び左のフレーム21の上端部よりも下側に位置している。
【0062】
軸受け部37の溝部37eにより、支持軸34の軸芯P1周りの回転を止める回り止めが行われる。一方の軸受け部37の溝部37e及び他方の軸受け部37の位置決め部37fにより、支持軸34における軸芯P1の方向の位置が決められる。
【0063】
(第2の予備苗のせ台の全体構成)
図13及び
図14に示すように、予備苗のせ台12は、一方のフレームである右のフレーム22と、他方のフレームである左のフレーム22と、苗載置部である複数の支持ローラー32と、右及び左の第2支点部42と、右及び左の第2当たり部52と、前案内部材である前案内ローラー38と、係止部39と、第2横フレーム62及び横フレーム64とを有している。
【0064】
右及び左の第2支点部42が、フレーム22の前後方向での端部である後端部に連結され、右及び左の第2当たり部52が第2支点部42に連結されており、第2当たり部52が第2支点部42を介してフレーム22の後端部に連結されている。第2横フレーム62が右及び左の第2支点部42に亘って連結されており、第2横フレーム62が右及び左のフレーム22の後端部に第2支点部42を介して左右方向に沿って連結されている。
【0065】
右及び左の支持部44が、フレーム22の前後方向での端部である前端部に連結され、横フレーム64が右及び左の支持部44に亘って連結されており、横フレーム64が右及び左のフレーム22の前端部に支持部44を介して左右方向に沿って連結されている。平面視でチャンネル状に形成された係止部39が、一方のフレーム22の前部に連結されている。右及び左のフレーム22、第2横フレーム62、横フレーム64により、予備苗のせ台12の全体の剛性が確保されている。
【0066】
予備苗のせ台12において、フレーム22は、予備苗のせ台11のフレーム21(前述の(第1の予備苗のせ台におけるフレームの構成)及び
図7~
図12を参照)と同様に、平板部28、上及び下の中空部29を備えている。この場合、フレーム22において、平板部28の長孔28bは備えていない。
【0067】
予備苗のせ台12は、予備苗のせ台11の支持ローラー31と同じ支持ローラー32を備えており、前述の(第1の予備苗のせ台における支持ローラーの構成)(第1の予備苗のせ台における支持ローラーの支持の構成)に記載の支持軸34、ベアリング35、ベアリングホルダ36及び軸受け部37を備えている。予備苗のせ台11と同様に、支持ローラー32が、フレーム22の長手方向と直交する方向である左右方向に沿った軸芯P2周りに回転可能に、右及び左のフレーム22の平板部28に亘って取り付けられる。
【0068】
(第2の予備苗のせ台における前案内ローラーの構成)
図13及び
図14に示すように、右及び左のフレーム22に亘る長さを有する前案内ローラー38が、フレーム22の長手方向と直交する方向である左右方向に沿った軸芯であり、前軸芯である軸芯P4周りに回転可能に、右及び左の支持部44の上部に亘って支持されている。
【0069】
前案内ローラー38は、支持ローラー32(苗載置部)よりも高い位置に配置され、フレーム22(上の中空部29)よりも高い位置に配置されるように、予備苗のせ台12の前端部に設けられている。
【0070】
(第2の予備苗のせ台における前案内ローラー及び支持ローラーの位置関係)
図13及び
図14に示すように、支持ローラー32は、前後方向に沿って並べて配置されており、前案内ローラー38と支持ローラー32との間、隣接する支持ローラー32の間に空隙C2が形成されるように、前後方向で互いに間隔を空けて、右のフレーム22及び左のフレーム22に支持されている。
【0071】
複数の支持ローラー32のうち、前案内ローラー38に最も近い第1の支持ローラー32(1)と、第1の支持ローラー32(1)に対して後側に隣接する第2の支持ローラー32(2)とにおいて、前案内ローラー38と第1の支持ローラー32(1)との前後方向の間隔である空隙C2の長さ(間隔)L21が、十分に大きなものに設定されている。
【0072】
第1の支持ローラー32(1)と第2の支持ローラー32(2)との前後方向の間隔である空隙の長さ(間隔)L22が、十分に小さいものに設定されている。これにより、長さ(間隔)L22が、長さ(間隔)L21よりも小さいものに設定されている。
【0073】
側面視で、前案内ローラー38の上端部と第1の支持ローラー32(1)の上端部とを結ぶ仮想線K1を想定した場合、仮想線K1は、側面視で第2の支持ローラー32(2)と重複しており、側面視で第2の支持ローラー32(2)の軸芯P2よりも上側に位置している。
【0074】
第2の支持ローラー32(2)に対して、後側に隣接する第3の支持ローラー32(3)、第4の支持ローラー32(4)、第5の支持ローラー32(5)において、第2の支持ローラー32(2)と第3の支持ローラー32(3)との前後方向の間隔である空隙C2に、長さ(間隔)L23がある。第3の支持ローラー32(3)と第4の支持ローラー32(4)との前後方向の間隔である空隙C2に、長さ(間隔)L24がある。第4の支持ローラー32(4)と第5の支持ローラー32(5)との前後方向の間隔である空隙C2に、長さ(間隔)L25がある。
【0075】
長さ(間隔)L22よりも長さ(間隔)L23が大きなものに設定され、長さ(間隔)L23よりも長さ(間隔)L24が大きなものに設定され、長さ(間隔)L24よりも長さ(間隔)L25が大きなものに設定されており、長さ(間隔)L22,L23,L24,L25が順番に大きくなっている。
【0076】
長さ(間隔)L21は、長さ(間隔)L22,L23,L24,L25よりも大きなものに設定されており、長さ(間隔)L21,L23,L24,L25は、支持ローラー32の外径D2よりも大きなものに設定されている。長さ(間隔)L22は、支持ローラー32の外径D2と略同じもの、又は、支持ローラー32の外径D2よりも少し小さなものに設定されている。
【0077】
これにより、複数の支持ローラー32のうち、第1の支持ローラー32(1)及び第2の支持ローラー32(2)以外の支持ローラー32(3)(4)(5)の空隙C2の長さ(間隔)L23,L24,L25が、第1の支持ローラー32(1)及び第2の支持ローラー32(2)の空隙C2の長さ(間隔)L22よりも大きなものに設定されている。
【0078】
前述の(第1の予備苗のせ台の全体構成)及び
図4に示すように、予備苗のせ台11と同様にロール状の苗Eを、前案内ローラー38と支持ローラー32との間(空隙C2)、隣接する支持ローラー32の間(空隙C2)に落とし込むように載置することができる。
【0079】
(第2の予備苗のせ台の支持に関する構成)
図3及び
図4に示すように、予備苗のせ台11の第1支点部41と予備苗のせ台12の第2支点部42とが揺動可能に接続されて、予備苗のせ台12が、予備苗のせ台11の前部の左右方向に沿った支持軸芯である第1支持軸芯P11周りに、揺動可能に支持されている。
【0080】
これにより、第1の予備苗のせ台11における右のフレーム21及び左のフレーム21の前後方向での端部と、第2の予備苗のせ台12における右のフレーム22及び左のフレーム22の前後方向での端部とが、左右方向に沿った支持軸芯である第1支持軸芯P11周りに、揺動可能に支持されている。
【0081】
予備苗のせ台12が予備苗のせ台11の前部の第1支持軸芯P11周りに揺動可能に支持されることにより、予備苗のせ台12は、予備苗のせ台11に連なるように予備苗のせ台11の前部から前方に延出された第1の作業姿勢である作業姿勢A11と、予備苗のせ台11の前部から上方に向けて折り畳まれた第1の格納姿勢である格納姿勢A21とに姿勢変更可能である。
【0082】
予備苗のせ台12が作業姿勢A11に操作された状態において、予備苗のせ台11の第1当たり部51と予備苗のせ台12の第2当たり部52とが当接することにより、予備苗のせ台12が作業姿勢A11に設定(維持)される。
【0083】
作業姿勢A11に操作された予備苗のせ台12に苗Eが載置されていないと、第1当たり部51と第2当たり部52との当接により、予備苗のせ台12が作業姿勢A11に設定(維持)される。予備苗のせ台11の第1横フレーム61(
図5参照)と、予備苗のせ台12の第2横フレーム62(
図13参照)とは互いに近接しているが、第1横フレーム61と第2横フレーム62との間に僅かに隙間が生じている。
【0084】
作業姿勢A11に操作された予備苗のせ台12に苗Eが載置されて、予備苗のせ台12が下方に変位しようとすると、第1横フレーム61と第2横フレーム62とが左右方向に沿って略全長に亘り当接する。これにより、第1当たり部51と第2当たり部52との当接、並びに、第1横フレーム61と第2横フレーム62との当接により、予備苗のせ台12の下方への変位が止められて、予備苗のせ台12が作業姿勢A11に設定(維持)される。
【0085】
図1及び
図3に示すように、前保持部25が、支持フレーム16における予備苗のせ台11から上方に出た部分で、予備苗のせ台24から下側の部分に設けられている。
予備苗のせ台12を格納姿勢A21に操作し、予備苗のせ台12の係止部39を前保持部25に保持することにより、予備苗のせ台12を格納姿勢A21に保持することができる。前保持部25の保持を解除することにより、予備苗のせ台12を作業姿勢A11に操作することができる。
【0086】
(第3の予備苗のせ台の全体構成)
図15及び
図16に示すように、予備苗のせ台13は、一方のフレームである右のフレーム23と、他方のフレームである左のフレーム23と、苗載置部である複数の支持ローラー33と、右及び左の支点部45と、右及び左の係合部46と、係止部40と、横フレーム65,66とを有している。
【0087】
右及び左の支点部45が、フレーム23の前後方向での端部である前端部に連結され、横フレーム65が右及び左の支点部45に亘って連結されており、横フレーム65が右及び左のフレーム23の前端部に支点部45を介して左右方向に沿って連結されている。
【0088】
右及び左の係合部46が、フレーム23の前後方向での端部である後端部に連結され、横フレーム66が右及び左の係合部46に亘って連結されており、横フレーム66が右及び左のフレーム23の後端部に係合部46を介して左右方向に沿って連結されている。平面視でチャンネル状に形成された係止部40が、一方のフレーム23の後部に連結されている。右及び左のフレーム23、横フレーム65、横フレーム66により、予備苗のせ台13の全体の剛性が確保されている。
【0089】
予備苗のせ台13において、フレーム23は、予備苗のせ台11のフレーム21(前述の(第1の予備苗のせ台におけるフレームの構成)及び
図7~
図12を参照)と同様に、平板部28、上及び下の中空部29を備えている。この場合、フレーム23において、平板部28の長孔28bは備えていない。
【0090】
予備苗のせ台13は、予備苗のせ台11の支持ローラー31と同じ支持ローラー33を備えており、前述の(第1の予備苗のせ台における支持ローラーの構成)(第1の予備苗のせ台における支持ローラーの支持の構成)に記載の支持軸34、ベアリング35、ベアリングホルダ36及び軸受け部37を備えている。予備苗のせ台11と同様に、支持ローラー33が、フレーム23の長手方向と直交する方向である左右方向に沿った軸芯P3周りに回転可能に、右及び左のフレーム23の平板部28に亘って取り付けられる。
【0091】
支持ローラー33は、前後方向に沿って並べて配置されており、隣接する支持ローラー33の間に空隙C3が形成されるように前後方向で互いに間隔を空けて、右のフレーム23及び左のフレーム23に支持されている。隣接する支持ローラー33の間隔である空隙C3の前後方向の長さ(間隔)L3は、支持ローラー33の外径D3よりも大きなものに設定されている。
【0092】
前述の(第1の予備苗のせ台の全体構成)及び
図4に示すように、予備苗のせ台11と同様にロール状の苗Eを、隣接する支持ローラー33の間(空隙C3)に落とし込むように載置することができる。
【0093】
(第3の予備苗のせ台の支持に関する構成)
図3及び
図4に示すように、予備苗のせ台11の支点部43と予備苗のせ台13の支点部45とが揺動可能に接続されて、予備苗のせ台13が、予備苗のせ台11の後部の左右方向に沿った第2支持軸芯P21周りに、揺動可能に支持されている。
【0094】
これにより、第1の予備苗のせ台11における右のフレーム21及び左のフレーム21の前後方向での端部と、第3の予備苗のせ台13における右のフレーム23及び左のフレーム23の前後方向での端部とが、左右方向に沿った第2支持軸芯P21周りに、揺動可能に支持されている。
【0095】
予備苗のせ台13が予備苗のせ台11の後部の第2支持軸芯P21周りに揺動可能に支持されることにより、予備苗のせ台13は、予備苗のせ台11に連なるように予備苗のせ台11の後部から後方に延出された第2の作業姿勢である作業姿勢A12と、予備苗のせ台11の後部から上方に向けて折り畳まれた第2の格納姿勢である格納姿勢A22とに姿勢変更可能である。
【0096】
図17及び
図18に示すように、支持部である丸棒状の支持フレーム47が、ステップ6の右前部及び左前部に、左右方向に沿って設けられている。予備苗のせ台13が作業姿勢A12に操作されると、予備苗のせ台13の横フレーム66が支持フレーム47に載って、予備苗のせ台13の後部が支持フレーム47に支持される。これにより、予備苗のせ台13の前部が予備苗のせ台11の後部に支持され、予備苗のせ台13の後部がステップ6(支持フレーム47)に支持される。
【0097】
予備苗のせ台13が作業姿勢A12に操作されると、支持フレーム47がフレーム23の後端部と係合部46との間に入り込み、係合部46が支持フレーム47に係合する状態となる。これにより、フレーム23の後端部と係合部46とによって、予備苗のせ台13の前後方向の位置が決められる。
【0098】
前述の(第1の予備苗のせ台におけるフレームの構成)及び
図8に示すように、支持フレーム16~19における予備苗のせ台11の取付位置が前後方向に調節可能である。予備苗のせ台11の取付位置を前後方向に調節することにより、作業姿勢A12の予備苗のせ台13の位置を前後方向に調節することができる。
【0099】
これにより、
図17及び
図18に示すように、予備苗のせ台13が作業姿勢A12に操作された際に、支持フレーム47がフレーム23の後端部と係合部46との間に外れることなく入り込み、係合部46が支持フレーム47に外れることなく係合するように設定することができる。
【0100】
図1及び
図3に示すように、後保持部26が、支持フレーム17における予備苗のせ台11から上方に出た部分で、予備苗のせ台24から下側の部分に設けられている。
予備苗のせ台13を格納姿勢A22に操作し、予備苗のせ台13の係止部40を後保持部26に保持することにより、予備苗のせ台13を格納姿勢A22に保持することができる。後保持部26の保持を解除することにより、予備苗のせ台13を作業姿勢A12に操作することができる。
【0101】
(右の第3の予備苗のせ台と燃料タンクとに関する構成)
図2及び
図18に示すように、燃料タンク48が、ステップ6の右前部に内部に配置されて機体3に設けられており、燃料タンク48の給油口48aがステップ6の開口部6aを通って上方に出ている。右の予備苗のせ台13が作業姿勢A12に操作されると、右の予備苗のせ台13の下方に燃料タンク48(給油口48a)が位置する。
【0102】
右の予備苗のせ台13において、保護部である平板状のカバー49が、横フレーム66に連結され、支持ローラー33の下方を前方に向けて延出されている。右の予備苗のせ台13が作業姿勢A12に操作されると、カバー49により、燃料タンク48(給油口48a)の上方及びステップ6の開口部6aの上方が覆われる。
【0103】
(第1,2,3の予備苗のせ台の姿勢の状態)
図1及び
図3に示すように、予備苗のせ台11は、機体3に対して、予備苗のせ台11の前部が予備苗のせ台11の後部よりも高くなる前上がり姿勢に設定されている。
予備苗のせ台12,13が作業姿勢A11,A12に操作された状態において、予備苗のせ台12,13は、機体3に対して、予備苗のせ台12,13の前部が予備苗のせ台12,13の後部よりも高くなる前上がり姿勢に設定されている。
【0104】
予備苗のせ台12が格納姿勢A21に操作された場合、格納姿勢A21の予備苗のせ台12と予備苗のせ台11との間の側面視での角度B1が、直角よりも小さい角度となるように、格納姿勢A21が設定されている。
予備苗のせ台13が格納姿勢A22に操作された場合、格納姿勢A22の予備苗のせ台13と予備苗のせ台11との間の側面視での角度B2が、直角よりも小さい角度となるように、格納姿勢A22が設定されている。
【0105】
角度B2が角度B1よりも少し小さい角度となるように、格納姿勢A21,A22が設定されている。これにより、格納姿勢A21が、格納姿勢A22よりも予備苗のせ台11から起立した姿勢に設定され、格納姿勢A22が、格納姿勢A21よりも予備苗のせ台11に近い姿勢に設定されている。
【0106】
以上の構成により、格納姿勢A21及び格納姿勢A22のうちの少なくとも一方が、予備苗のせ台12及び予備苗のせ台13が予備苗のせ台11に積み重ねられた姿勢よりも、作業姿勢A11及び作業姿勢A12に近い姿勢に設定されている。
【0107】
(発明の実施の第1別形態)
図19に示すように、側面視で予備苗のせ台11に沿って前後方向に延出された仮想線K2を想定した場合、予備苗のせ台12が作業姿勢A11に操作され、予備苗のせ台12に苗Eが載置されていない状態において、予備苗のせ台12の作業姿勢A11が仮想線K2よりも上向きの姿勢に設定されるように、第1支点部41及び第2支点部42、第1当たり部51及び第2当たり部52を構成してもよい。
【0108】
予備苗のせ台13の前後長さを、予備苗のせ台12の前後長さよりも短いものに設定してもよい。この構成によると、予備苗のせ台13が作業姿勢A12に操作された際に、予備苗のせ台13の後部が支持フレーム47(
図17及び
図18参照)に支持されないようになることがある。
【0109】
この場合、予備苗のせ台11の支点部43と予備苗のせ台13の支点部45との当接により、予備苗のせ台13が作業姿勢A12に設定(維持)されるように構成すればよい。
前述の(第2の予備苗のせ台の支持に関する構成)に記載の第1横フレーム61及び第2横フレーム62に関する構成を、予備苗のせ台11の横フレーム63(
図5参照)と、予備苗のせ台13の横フレーム65(
図15参照)とにも採用すればよい。
【0110】
前述の構成では、
図19に示すように、予備苗のせ台13が作業姿勢A12に操作されて、予備苗のせ台13に苗Eが載置されていない状態において、予備苗のせ台13の作業姿勢A12が仮想線K2よりも上向きの姿勢に設定されるように、支点部43,45を構成してもよい。
【0111】
(発明の実施の第2別形態)
予備苗のせ台12の前後長さを、予備苗のせ台13の前後長さよりも短いものに設定してもよい。この構成では、
図1及び
図2に示すように、機体3の前後方向において、予備苗のせ台11の前端部が、ボンネット9の前端部及びフロア5の前端部と略同じ位置に配置されるように構成すればよい。
【0112】
(発明の実施の第3別形態)
図3に示すように、格納姿勢A21の予備苗のせ台12と予備苗のせ台11との間の側面視での角度B1、及び、格納姿勢A22の予備苗のせ台13と予備苗のせ台11との間の側面視での角度B2において、角度B1,B2が直角よりも小さい角度となり、角度B1が角度B2よりも少し小さい角度となるように、格納姿勢A21,A22が設定されるように構成してもよい。
【0113】
予備苗のせ台12が格納姿勢A21に操作されると、予備苗のせ台12が鉛直姿勢(支持フレーム16と平行な姿勢)となるように構成してもよい。この構成では、角度B1は直角よりも少し大きな角度となる。
【0114】
予備苗のせ台13が格納姿勢A22に操作されると、予備苗のせ台13が鉛直姿勢(支持フレーム17と平行な姿勢)となるように構成してもよい。この構成では、角度B2は直角よりも少し小さい角度となる。
【0115】
(発明の実施の第4別形態)
図3において予備苗のせ台12が格納姿勢A21に操作されると、予備苗のせ台12が予備苗のせ台12の全体に亘って予備苗のせ台11の上方に積み重ねられた姿勢となり、予備苗のせ台13が格納姿勢A22に操作されると、
図3に示す姿勢となるように構成してもよい。
この構成では、前保持部25を廃止し、予備苗のせ台12の前後長さを、予備苗のせ台11の前後長さと同じもの、又は、予備苗のせ台11の前後長さよりも少し短いものに設定すればよい。
【0116】
前保持部25を廃止せずに残しておいた場合、予備苗のせ台12を、前保持部25に保持される格納姿勢A21、及び、予備苗のせ台12が予備苗のせ台12の全体に亘って予備苗のせ台11の上方に積み重ねられた格納姿勢A21に操作される姿勢となるように構成してもよい。この構成では、予備苗のせ台12に、姿勢の異なる2種類の格納姿勢A21が設定される。
【0117】
(発明の実施の第5別形態)
図3において予備苗のせ台12が格納姿勢A21に操作されると、予備苗のせ台12が
図3に示す姿勢となり、予備苗のせ台13が格納姿勢A22に操作されると、予備苗のせ台13が予備苗のせ台13の全体に亘って予備苗のせ台11の上方に積み重ねられた姿勢となるように構成してもよい。
【0118】
この構成では、後保持部26を廃止し、予備苗のせ台13の前後長さを、予備苗のせ台11の前後長さと同じもの、又は、予備苗のせ台11の前後長さよりも少し短いものに設定すればよい。地面からフロア5及びフロア5から地面への作業者の乗降の際、作業者はフレーム14(
図1参照)及び支持フレーム17の両方を、手摺りとして持つことができる。
【0119】
後保持部26を廃止せずに残しておいた場合、予備苗のせ台13を、後保持部26に保持される格納姿勢A22、及び、予備苗のせ台13が予備苗のせ台13の全体に亘って予備苗のせ台11の上方に積み重ねられた格納姿勢A22に操作される姿勢となるように構成してもよい。この構成では、予備苗のせ台13に、姿勢の異なる2種類の格納姿勢A22が設定される。
【0120】
(発明の実施の第6別形態)
図3において、予備苗のせ台13が格納姿勢A22に操作されると、予備苗のせ台13が予備苗のせ台13の全体に亘って予備苗のせ台11の上方に積み重ねられた姿勢となるように構成した場合、予備苗のせ台12を以下の説明のように構成してもよい。
【0121】
図20,21,22に示すように、前後支持部である第1支持部53が、前後方向に移動可能に予備苗のせ台11の前部に設けられて、前後支持部である第2支持部54が、左右方向に沿った軸芯P5周りに揺動可能に第1支持部53の前部に支持されている。予備苗のせ台12が、第1支持軸芯P11周りに揺動可能に第2支持部54の前部に支持されている。
【0122】
図20に示す状態は、予備苗のせ台12が作業姿勢A11に操作された状態であり、予備苗のせ台12の後部が予備苗のせ台11の前部に接する位置まで、第1支持部53及び第2支持部54が後方(予備苗のせ台11の内方)に操作された状態である。
【0123】
図20に示すように、予備苗のせ台13を格納姿勢A22に操作した場合、
図21に示すように、予備苗のせ台12、第1支持部53及び第2支持部54を前方に移動操作し、軸芯P5の位置を予備苗のせ台11の前部よりも前側の位置に出す。次に
図22に示すように、予備苗のせ台11及び第2支持部54を、軸芯P5周りに上方に揺動操作して、予備苗のせ台11に対して上向きに姿勢変更する。
【0124】
前述の操作により、第1支持軸芯P11の位置が、格納姿勢A22の予備苗のせ台13の上面と略同じ位置、又は、格納姿勢A22の予備苗のせ台13の上面よりも少し高い位置となるので、予備苗のせ台12を、第1支持軸芯P11周りに後方に揺動操作して、予備苗のせ台12の全体に亘って予備苗のせ台13の上方に積み重ねられた格納姿勢A21に操作する。
【0125】
(発明の実施の第7別形態)
前述の(発明の実施の第6形態)において、第1支持部53が前後方向に移動可能に予備苗のせ台11の後部に設けられ、第2支持部54が左右方向に沿った軸芯P5周りに揺動可能に第1支持部53の後部に支持されて、予備苗のせ台13が、第2支持軸芯P21周りに揺動可能に第2支持部54の後部に支持されるように構成してもよい。
【0126】
この構成によると、予備苗のせ台12が予備苗のせ台12の全体に亘って予備苗のせ台11の上方に積み重ねられた格納姿勢A21に操作され、予備苗のせ台13が予備苗のせ台13の全体に亘って格納姿勢A21の予備苗のせ台12の上方に積み重ねられた格納姿勢A22に操作される。
【0127】
(発明の実施の第8別形態)
図23に示すように、予備苗のせ台13において、右及び左のブラケット55が、右及び左の係合部46に設けられ、右及び左のフレーム23に亘る長さを有する後案内部材である後案内ローラー50が、フレーム23の長手方向と直交する方向である左右方向に沿った軸芯であり、後軸芯である軸芯P6周りに回転可能に、右及び左のブラケット55に亘って支持されるように構成してもよい。
【0128】
これにより、左右方向に沿った軸芯P6周りに回転可能な後案内ローラー50が、支持ローラー33(苗載置部)よりも高い位置に配置されるように、予備苗のせ台13の後端部に設けられる。
【0129】
(発明の実施の第9別形態)
前案内部材及び後案内部材として、前案内ローラー38及び後案内ローラー50に代えて、回転しない固定の円柱状の部材(図示せず)や、斜め後方下方に向く傾斜姿勢に設定された平板状の前案内板(図示せず)、斜め前方下方に向く傾斜姿勢に設定された平板状の後案内板(図示せず)を、予備苗のせ台12,13に設けてもよい。
【0130】
(発明の実施の第10別形態)
図24に示すように、ロール状の苗Eを予備苗のせ台11,12,13に載置する場合に、ロール状の苗Eを苗箱56に積み重ねて載置して、この苗箱56を予備苗のせ台11,12,13に載置するようにしてもよい。
図24では、一つの予備苗のせ台11,12,13に、苗箱56を一つずつ載置しているが、ロール状の苗Eを積んだ苗箱56を縦積みするようにしてもよい。
【0131】
(発明の実施の第11別形態)
予備苗のせ台11の苗載置部にとして、苗Eの支持を主な機能とする支持ローラー31又は支持部材(図示せず)と、苗Eの前後方向に沿った搬送を主な機能とする支持ローラー31とが、予備苗のせ台11に混在するように構成してもよい。
この場合、苗Eの支持を主な機能とする支持ローラー31は、回転しない固定されたものに構成すればよい。支持部材は、回転しない固定の棒状の部材や細長い平板状の部材に構成すればよい。
前述の構成を、予備苗のせ台12及び予備苗のせ台13に採用してもよい。
【0132】
予備苗のせ台11において、回転しない固定の支持ローラー31と回転可能な支持ローラー31とが、前後方向に沿って交互に配置されるように構成してもよい。
この場合、回転しない固定の支持ローラー31は、苗Eの支持機能を有するが、苗Eの前後方向に沿った搬送機能は小さいもの又は有しないものとなる。回転可能な支持ローラー31は、苗Eの支持機能及び前後方向に沿った搬送機能の両方を有する。
前述の構成を、予備苗のせ台12及び予備苗のせ台13に採用してもよい。
【0133】
(発明の実施の第12別形態)
超音波方式や赤外線方式の乗降検出部(図示せず)を設けて、地面からフロア5及びフロア5から地面への作業者の乗降動作を、乗降検出部により検出するように構成し、予備苗のせ台13を第2支持軸芯P21周りに揺動駆動する格納機構である電動モータ(図示せず)を設けてもよい。
【0134】
これにより、予備苗のせ台13が作業姿勢A12に操作された状態において、乗降検出部により地面からフロア5及びフロア5から地面への作業者の乗降動作が検出されると、電動モータにより予備苗のせ台13が自動的に格納姿勢A22又は予備苗のせ台11に積み重ねられた姿勢(格納姿勢A22)に、操作されるように構成すればよい。
【0135】
(発明の実施の第13別形態)
予備苗のせ台11,12,13において、支持ローラー31,32,33を廃止し、平板状の部材を、苗載置部として右及び左のフレーム21,22,23に亘って取り付けてもよい。
【0136】
予備苗のせ台12において、苗載置部として支持ローラー32を使用し、予備苗のせ台11,13において、支持ローラー31,33を廃止して、平板状の部材を、苗載置部として右及び左のフレーム21,23に亘って取り付けてもよい。
【0137】
予備苗のせ台13において、苗載置部として支持ローラー33を使用し、予備苗のせ台11,12において、支持ローラー31,32を廃止して、平板状の部材を、苗載置部として右及び左のフレーム21,22に亘って取り付けてもよい。
【0138】
予備苗のせ台12,13において、苗載置部として支持ローラー32,33を使用し、予備苗のせ台11において、支持ローラー31を廃止して、平板状の部材を、苗載置部として右及び左のフレーム21に亘って取り付けてもよい。
【0139】
(発明の実施の第14別形態)
予備苗のせ台11,12,13において、予備苗のせ台11,12を備えて、予備苗のせ台13を廃止してもよい。この構成では、後案内ローラー50を予備苗のせ台11の後端部に設ければよい。
【0140】
予備苗のせ台11,12,13において、予備苗のせ台11,13を備えて、予備苗のせ台12を廃止してもよい。この構成では、前案内ローラー38を予備苗のせ台11の前端部に設ければよい。
【0141】
予備苗のせ台11,12,13において、予備苗のせ台12,13を作業姿勢A11,A12で予備苗のせ台11に連結して、予備苗のせ台12,13を格納姿勢A21,A22に折り畳み不可に構成してもよい。この構成では、複数の予備苗のせ台11,12,13を、互いに上下間隔を設けながら、上下方向に沿って並べて支持フレーム16,17に支持するように構成してもよい。
【0142】
(発明の実施の第15別形態)
予備苗のせ台11,12,13を互いに分離して、各々独立した予備苗のせ台11,12,13としてもよい。この構成では、予備苗のせ台11,12,13を、互いに上下間隔を設けながら、上下方向に沿って並べて支持フレーム16,17に支持するように構成すればよい。予備苗のせ台11,12,13の各々の前端部に前案内ローラー38を設け、予備苗のせ台11,12,13の各々の後端部に後案内ローラー50を設ければよい。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、乗用田植機に適用できる。
【符号の説明】
【0144】
3 機体
11 予備苗のせ台
12 予備苗のせ台
13 予備苗のせ台
16 支持フレーム
17 支持フレーム
18 支持フレーム
19 支持フレーム
20 支持フレーム
32 支持ローラー(苗載置部)
33 支持ローラー(苗載置部)
38 前案内ローラー(前案内部材)
50 後案内ローラー(後案内部材)
E 苗
K1 仮想線
L21 長さ(間隔)
L22 長さ(間隔)
L23 長さ(間隔)
L24 長さ(間隔)
L25 長さ(間隔)
P2 軸芯
P4 軸芯(前軸芯)
P6 軸芯(後軸芯)