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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-03
(45)【発行日】2025-07-11
(54)【発明の名称】自動搬送車の回収機構
(51)【国際特許分類】
   B65G 19/02 20060101AFI20250704BHJP
   B65G 35/00 20060101ALI20250704BHJP
【FI】
B65G19/02 B
B65G35/00 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021214180
(22)【出願日】2021-12-28
(65)【公開番号】P2023097841
(43)【公開日】2023-07-10
【審査請求日】2024-08-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】清水 駿
(72)【発明者】
【氏名】吉田 浩崇
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-124884(JP,A)
【文献】特開平07-027782(JP,A)
【文献】特開2013-035657(JP,A)
【文献】特開2016-141323(JP,A)
【文献】実開昭51-111690(JP,U)
【文献】特開昭49-056376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 19/02
B65G 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行路の上方に設置され、走行路を有する頭上搬送路と、
車体の前部および後部のうちの一方側である第1部分に駆動輪を有し、前記車体の前記前部および前記後部のうちの他方側である第2部分に従動輪を有し、ワークを搭載して前記頭上搬送路の前記走行路を走行する自動搬送車と、
を備え、前記走行路上で異常停止した前記自動搬送車を回収する前記自動搬送車の回収機構であって、
前記頭上搬送路は、
突起部を有する無端ベルトを備えるベルト機構
を備え、
前記自動搬送車は、
前記第1部分に前記突起部と係合する第1係合部を備え、前記第2部分に前記突起部と係合する第2係合部を備え、
前記ベルト機構の前記突起部は、通常時は、前記自動搬送車が前記走行路を走行可能な位置に退避され、前記自動搬送車の異常停止時は、前記第1係合部または前記第2係合部と係合して前記自動搬送車が搬送可能となるように前記走行路に進入される
ことを特徴とする自動搬送車の回収機構。
【請求項2】
前記第1係合部の下面は、基端部から先端部に行くにしたがって前記走行路からの高さが高くなる傾斜面を有し、前記突起部が係合されることによって、前記第1部分が持ち上げられて、前記駆動輪が前記走行路から離間し、
前記第2係合部の上面は、基端部から先端部に行くにしたがって前記走行路からの高さが低くなる傾斜面を有し、前記突起部が係合されることによって、前記第2部分が押し下げられて、前記駆動輪が前記走行路から離間する
ことを特徴とする請求項1に記載の自動搬送車の回収機構。
【請求項3】
前記突起部は、前記車体との接触によって折り畳まれる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の自動搬送車の回収機構。
【請求項4】
前記突起部は、磁石を備え、
前記第1係合部および前記第2係合部は、強磁性体の材料である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の自動搬送車の回収機構。
【請求項5】
前記無端ベルトは、対向する2箇所に前記突起部を有する
ことを特徴とする請求項1から4の何れか一つに記載の自動搬送車の回収機構。
【請求項6】
前記無端ベルトは、対向する2箇所に前記突起部を有し、
前記2箇所の突起部のうちの一方は、前記車体との接触によって第1方向に折り畳まれ、
前記2箇所の突起部のうちの他方は、前記車体との接触によって第1方向と逆方向である第2方向に折り畳まれる
ことを特徴とする請求項3に記載の自動搬送車の回収機構。
【請求項7】
歩行路の上方に設置され、走行路を有する頭上搬送路と、
駆動輪および従動輪が設けられた車体を有し、ワークを搭載して前記頭上搬送路の前記走行路を走行する自動搬送車と、
を備え、前記走行路上で異常停止した自動搬送車を回収する自動搬送車の回収機構であって、
前記頭上搬送路は、
複数の突起部を有する無端ベルトを備えるベルト機構
を備え、
前記無端ベルトは、前記自動搬送車の下方の前記走行路中に設けられ、
前記自動搬送車は、
通常時は前記車体に収容され、異常停止時に前記自動搬送車が搬送可能となるように前記車体の下方に突出して前記突起部と係合する係合部
を備えることを特徴とする自動搬送車の回収機構。
【請求項8】
前記係合部は、前記車体の下方に突出したとき、前記駆動輪を前記走行路から離間させる
ことを特徴とする請求項7に記載の自動搬送車の回収機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、異常停止した自動搬送車の回収機構に関する。
【背景技術】
【0002】
工場において、歩行路を跨いでワークを自動搬送車によって搬送させる場合、自動搬送車が歩行者の頭上経路を走行することで、効率的にワークを搬送することができる。頭上経路を走行中に自動搬送車が異常停止した場合、高所で直接手が届かないため、自動搬送車を回収する機構が必要となる。
【0003】
特許文献1には、チェーンに等間隔に設けた送り突起を台車の係止部に引っ掛けて台車を搬送する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-069939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示される台車駆動機構にあっては、台車が自律走行できる自律走行車の場合、自律走行車が自走中に送り突起が干渉してしまい、走行の妨げとなるという問題がある。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、走行の妨げとなることなく、異常停止した自動搬送車を効率的に回収可能な自動搬送車の回収機構を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示における自動搬送車の回収機構は、歩行路の上方に設置され、走行路を有する頭上搬送路と、車体の前部および後部のうちの一方側である第1部分に駆動輪を有し、車体の前部および後部のうちの他方側である第2部分に従動輪を有し、ワークを搭載して頭上搬送路の走行路を走行する自動搬送車と、を備え、走行路上で異常停止した自動搬送車を回収する。頭上搬送路は、突起部を有する無端ベルトを備えるベルト機構を備える。自動搬送車は、第1部分に突起部と係合する第1係合部を備え、第2部分に突起部と係合する第2係合部を備える。ベルト機構の突起部は、通常時は、自動搬送車が走行路を走行可能な位置に退避され、自動搬送車の異常停止時は、第1係合部または第2係合部と係合して自動搬送車が搬送可能となるように走行路に進入される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の自動搬送車の回収機構によれば、走行の妨げとなることなく、異常停止した自動搬送車を効率的に回収可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1にかかる自動搬送車の回収機構を適用する製造ラインシステムの全体構成例を示す概念図
図2】実施の形態1にかかる自動搬送車の概念的構成を示す断面図
図3】実施の形態1にかかる自動搬送車の回収機構の通常状態における概念的構成を示す正面図
図4】実施の形態1にかかる自動搬送車の回収機構の通常状態における概念的構成を示す平面図
図5】実施の形態1にかかる自動搬送車の回収機構の通常状態における概念的構成を示す側面図
図6】実施の形態1にかかる自動搬送車の回収機構の回収動作状態における概念的構成を示す正面図
図7】実施の形態1にかかる自動搬送車の回収機構の回収動作状態における概念的構成を示す平面図
図8】実施の形態1にかかる自動搬送車の回収機構の回収動作状態における概念的構成を示す側面図
図9】実施の形態1にかかる自動搬送車の回収機構において、駆動輪側係合部を用いて回収される様子を示す概念的断面図
図10】実施の形態1にかかる自動搬送車の回収機構において、従動輪側係合部を用いて回収される様子を示す概念的断面図
図11】実施の形態2にかかる自動搬送車の回収機構における回収動作中の第1段階の様子を示す概念的平面図
図12】実施の形態2にかかる自動搬送車の回収機構における回収動作中の第2段階の様子を示す概念的平面図
図13】実施の形態2にかかる自動搬送車の回収機構における回収動作中の第3段階の様子を示す概念的平面図
図14】実施の形態2にかかる自動搬送車の回収機構における回収動作中の第4段階の様子を示す概念的平面図
図15】実施の形態2にかかる自動搬送車の回収機構における回収動作中の第5段階の様子を示す概念的平面図
図16】実施の形態3にかかる自動搬送車の回収機構において、駆動輪側から回収される様子を示す概念的断面図
図17】実施の形態3にかかる自動搬送車の回収機構において、従動輪側から回収される様子を示す概念的断面図
図18】実施の形態3にかかる自動搬送車の回収機構における回収動作中の第1段階の様子を示す概念的平面図
図19】実施の形態3にかかる自動搬送車の回収機構における回収動作中の第2段階の様子を示す概念的平面図
図20】実施の形態3にかかる自動搬送車の回収機構における回収動作中の第3段階の様子を示す概念的平面図
図21】実施の形態3にかかる自動搬送車の回収機構における回収動作中の第4段階の様子を示す概念的平面図
図22】実施の形態4にかかる自動搬送車の回収機構の通常状態における概念的構成を示す断面図
図23】実施の形態4にかかる自動搬送車の回収機構の回収動作状態における概念的構成を示す断面図
図24】実施の形態4にかかる自動搬送車の回収機構の概念的構成を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施の形態にかかる自動搬送車の回収機構を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる自動搬送車の回収機構を適用する製造ラインシステムの全体構成例を示す概念図である。製造ラインシステム90は、複数の製造装置グループ91a,91b,…を備えている。製造装置グループ91aは、並設される複数の製造装置92aと、各製造装置92a間をつなぐ装置間搬送路81aとを有する。装置間搬送路81aは、各製造装置92aの前部に設けられている。製造装置グループ91bは、並設される複数の製造装置92bと、各製造装置92b間をつなぐ装置間搬送路81bとを有する。装置間搬送路81bは、各製造装置92bの前部に設けられている。
【0012】
製造ラインシステム90は、頭上搬送路82と、昇降路83a,83bと、シグナルタワー84と、歩行路94と、制御コントローラ96と、複数の自動搬送車10と、を備える。自動搬送車10がワーク100を載せて装置間搬送路81a,81bを走行し、製造装置92a,92bに対しワーク100の供給および搬出を行うことで、製品を組立てていく。自動搬送車10は、製造タクト、または製造装置92a,92bの台数に合わせて複数台設置される。自動搬送車10は、制御コントローラ96と無線通信を行い、制御コントローラ96から搬送先指令等の指令を受信する。
【0013】
装置間搬送路81a,81bは、作業者95の手が届きやすいように、地面から、例えば、900mmの高さに設置されている。製造装置グループ91aと製造装置グループ91bとの間には、歩行路94が配置されている。作業者95は、歩行路94上で製造装置92a,92b、または自動搬送車10などのメンテナンスを行う。
【0014】
製造装置グループ91aと製造装置グループ91bとの間を自動搬送車10が移動できるように、昇降路83a,83bと頭上搬送路82が配置されている。頭上搬送路82は、例えば、地面から2500mmの高さに設置されており、その下を作業者95が歩行できるようになっている。昇降路83aは、装置間搬送路81aと頭上搬送路82とを繋いでおり、自動搬送車10を昇降させる。昇降路83bは、装置間搬送路81bと頭上搬送路82とを繋いでおり、自動搬送車10を昇降させる。頭上搬送路82および各製造装置92a,92bの上には、シグナルタワー84が設置されており、昇降路83a,83b、頭上搬送路82、および自動搬送車10などの状態がシグナルタワー84に表示される。
【0015】
製造装置グループ91aと製造装置グループ91bとを、装置間搬送路81a,81bと同じ高さで繋いでしまうと、歩行路94が遮られてしまい、作業者95の歩行時間が増え、作業効率の低下を招いてしまう。実施の形態1では、作業者95の頭上に頭上搬送路82を配置することで、作業効率の低下を防いでいる。
【0016】
制御コントローラ96は、製造ラインシステム90の各構成要素である、各製造装置92a,92b、昇降路83a,83b、および複数の自動搬送車10を統括的に制御する。制御コントローラ96は、頭上搬送路82での自動搬送車10の異常停止を検出すると、頭上搬送路82上に設置されているシグナルタワー84を、自動搬送車10の異常停止状態を示す異常表示状態にする。自動搬送車10の異常停止を検出するための手法としては、(a)自動搬送車10が制御コントローラ96に異常停止を無線で通知する、(b)頭上搬送路82上に自動搬送車10の異常停止を検出するための専用のセンサを設ける、(c)後述する昇降ステージ26a,26b上の車検出センサ28a,28bを用いて自動搬送車10の異常停止を検出する、などの各種の手法が考えられるが、任意の1から複数の手法を採用すればよい。
【0017】
図2は、実施の形態1にかかる自動搬送車10の概念的構成を示す断面図である。自動搬送車10は、車体11と、制御回路12と、駆動輪13と、従動輪14と、第1係合部としての駆動輪側係合部15と、第2係合部としての従動輪側係合部16と、バッテリー17とで構成されている。自動搬送車10は、自立走行が可能である。自動搬送車10は、車体11の前部および後部のうちの一方側である第1部分に駆動輪13を有し、車体11の前部および後部のうちの他方側である第2部分に従動輪14を有する。自動搬送車10の頭上搬送路82での走行方向をX軸方向とし、地面に対して垂直方向をZ軸方向とし、X軸とZ軸に対して垂直方向をY軸方向とする。
【0018】
車体11の上部には、搬送するためのワーク100が搭載される。制御回路12は、バッテリー17から電力を供給されて制御コントローラ96と通信を行い、取得した搬送先指令に基づいて駆動輪13を駆動制御する。駆動輪13は、車体11の前輪側または後輪側に設けられている。駆動輪13は、同じY軸上に一対設けられており、正転または反転がそれぞれ独立に制御可能になっている。したがって、自動搬送車10は、前進、後進、およびスピンターンが可能である。スピンターンとは、車体11の平面内の1点を軸として回転することである。従動輪14は、加減速時の慣性力によって車体11が転倒しないように、駆動輪13と反対側に設けられている。従動輪14は、同じY軸上に一対設けられている。従動輪14に動力は無く、駆動輪13に従動する。
【0019】
駆動輪側係合部15は、車体11における駆動輪13が配置される前面および後面のうちの一方に取り付けられている。従動輪側係合部16は、車体11における従動輪14が配置される前面および後面のうちの他方に取り付けられている。駆動輪側係合部15および従動輪側係合部16は楔形になっている。駆動輪側係合部15および従動輪側係合部16の形状については、後で詳述する。
【0020】
図3は、実施の形態1にかかる自動搬送車10の回収機構の通常状態における概念的構成を示す正面図である。図4は、実施の形態1にかかる自動搬送車10の回収機構の通常状態における概念的構成を示す平面図である。図5は、実施の形態1にかかる自動搬送車10の回収機構の通常状態における概念的構成を示す側面図である。地震等があっても自動搬送車10が落下しないように、頭上搬送路82と昇降路83a,83bはカバー29で覆われている。
【0021】
頭上搬送路82は、自動搬送車10が走行する走行路としての一対のレール21と、無端ベルト22と、一対のプーリー24aと、プーリー24bと、中間プーリー31と、チェーン25と、を備えている。無端ベルト22は、異常停止した自動搬送車10を回収するための突起部23を有する。一対のプーリー24aは、無端ベルト22を駆動する。プーリー24aおよび中間プーリー31は、作業者95がチェーン25を引っ張ることで、回転される。
【0022】
一対のプーリー24aは、レール21の両端の横であって、自動搬送車10と同じ高さ位置に設けられている。一対のプーリー24aは、Z軸を中心に回転するように配置されている。中間プーリー31は、X軸を中心に回転するように配置され、プーリー24bは、Y軸を中心に回転するように配置されている。チェーン25は、一方のプーリー24aと、中間プーリー31と、プーリー24bとを、架け渡すように設けられている。チェーン25は、作業者95の手の届く高さまで垂れている。作業者95がチェーン25を引っ張ると、プーリー24a、中間プーリー31、および一方のプーリー24aが回転し、これにより一対のプーリー24a間に架け渡された無端ベルト22が移動する。なお、図3に示すように、チェーン25は2本垂れ下がっており、2本のうちの一方が引っ張られることで、一対のプーリー24aが正転し、2本のうちの他方が引っ張られることで、一対のプーリー24aが反転する。
【0023】
無端ベルト22の対向する2箇所には、突起部23が取り付けられている。突起部23は、無端ベルト22のベルト面に対し垂直に突出する棒状体である。突起部23は、自動搬送車10の駆動輪側係合部15および従動輪側係合部16とほぼ同じ高さ位置に設けられている。通常時は、図3および図4に示されるように、レール21の延在方向と、突起部23の延在方向が平行になる位置で、無端ベルト22が停止している。したがって、自動搬送車10は、通常時、突起部23と接触することなく走行することが可能である。
【0024】
レール21の両側に昇降路83a,83bが配置されている。製造装置グループ91a側に配置される昇降路83aは、昇降ステージ26aと、昇降機27aと、車検出センサ28aとを備える。製造装置グループ91b側に配置される昇降路83bは、昇降ステージ26bと、昇降機27bと、車検出センサ28bとを備える。昇降路83a,83bは、自動搬送車10を搭載して昇降する。昇降機27a,27bは、昇降ステージ26a,26bを駆動する。車検出センサ28a,28bは、自動搬送車10を検出する。
【0025】
昇降路83a,83bは、頭上搬送路82の両端に設置されている。装置間搬送路81aと頭上搬送路82は、昇降路83aを介して直角に接続されている。装置間搬送路81bと頭上搬送路82は、昇降路83bを介して直角に接続されている。昇降ステージ26a,26bは平面状となっており、自動搬送車10がスピンターンをすることができる。昇降ステージ26a,26bには、自動搬送車10が昇降ステージ26a,26bに搭載されたことを検出する車検出センサ28a,28bが設けられている。車検出センサ28a,28bは、例えば、光送信部および光受信部を有するレーザセンサなどの光センサである。車検出センサ28a,28bの検出信号は、制御コントローラ96に送信されている。制御コントローラ96は、車検出センサ28a,28bの検出信号に基づいて、昇降路83a,83bの昇降制御を行う。
【0026】
また、車検出センサ28a,28bは、昇降ステージ26a,26b上の自動搬送車10の有無の検出のみならず、前述したように、頭上搬送路82上での自動搬送車10の異常停止の検出にも用いることができる。例えば、制御コントローラ96は、一方の車検出センサ28aで昇降ステージ26a上の自動搬送車10を検出後、自動搬送車10の出発で自動搬送車10を検出しなくなった後に、予め設定した時間が経過しても、他方の車検出センサ28bで昇降ステージ26b上の自動搬送車10を検出できなかった場合に、頭上搬送路82上での自動搬送車10の異常停止であると判定することができる。
【0027】
製造装置グループ91aから製造装置グループ91bまで自動搬送車10がワーク100を搬送する際、まず、制御コントローラ96は、昇降路83aの昇降ステージ26aまで装置間搬送路81a上を自動搬送車10を走行させる。制御コントローラ96は、車検出センサ28aの検出信号によって、昇降路83aの昇降ステージ26aに自動搬送車10が乗ったことを検出する。この検出によって、制御コントローラ96は、自動搬送車10を昇降ステージ26a上でスピンターンさせ、かつ昇降ステージ26aを上昇させる。つぎに、制御コントローラ96は、昇降ステージ26aから、頭上搬送路82のレール21を経由して、反対側の昇降路83bの昇降ステージ26bまで自動搬送車10を走行させる。制御コントローラ96は、車検出センサ28bの検出信号によって、昇降路83bの昇降ステージ26bに自動搬送車10が乗ったことを検出する。この検出によって、制御コントローラ96は、自動搬送車10を昇降ステージ26b上でスピンターンさせ、かつ昇降ステージ26bを下降させる。つぎに、制御コントローラ96は、昇降ステージ26bから目的地の製造装置92bまで、装置間搬送路81b上を自動搬送車10を走行させる。
【0028】
次に、自動搬送車10が異常停止した場合について説明する。図6は、実施の形態1にかかる自動搬送車10の回収機構の回収動作状態における概念的構成を示す正面図である。図7は、実施の形態1にかかる自動搬送車10の回収機構の回収動作状態における概念的構成を示す平面図である。図8は、実施の形態1にかかる自動搬送車10の回収機構の回収動作状態における概念的構成を示す側面図である。バッテリー17の放電、破損、または故障等により自動搬送車10が異常停止した場合には、人手で自動搬送車10を回収しなければならない。装置間搬送路81a,81bを走行中に自動搬送車10が異常停止した場合には、作業者95の手が届くので問題ない。しかし、頭上搬送路82を走行中に自動搬送車10が異常停止した場合は、作業者95の手が届かないので回収機構が必要になる。
【0029】
頭上搬送路82上で自動搬送車10が異常停止すると、制御コントローラ96がこれを検出する。制御コントローラ96は、シグナルタワー84を、頭上搬送路82上で自動搬送車10が異常停止したことを示す異常表示状態とし、作業者95にその旨を通知する。この通知に気付いた作業者95は、チェーン25を引っ張ることで、プーリー24a、中間プーリー31、およびプーリー24aを駆動し、一対のプーリー24a間に架け渡された無端ベルト22を移動する。すなわち、図6に示すように、作業者95は、垂れ下がった2本のチェーン25の何れかを引っ張ることで、無端ベルト22に固定された突起部23を、異常停止した自動搬送車10を回収したい方向に(昇降ステージ26a,26bの何れかに向かうように)動かし、2つの突起部23のうちの何れかを、図7図8に示すように、駆動輪側係合部15または従動輪側係合部16に係合させる。さらに、作業者95はチェーン25をさらに引っ張ることで、突起部23が係合された自動搬送車10を突起部23で押圧して、自動搬送車10を異常停止位置から昇降ステージ26a,26bの何れかまで移動させる。図7の場合は、突起部23が駆動輪側係合部15に係合しており、自動搬送車10は突起部23に押圧されて、昇降ステージ26aのほうへ移動されることになる。昇降ステージ26aの車検出センサ28aが自動搬送車10を検出すると、制御コントローラ96は、昇降ステージ26aを下降させる。昇降ステージ26aが下降して、装置間搬送路81aの位置まで自動搬送車10が降ろされると、自動搬送車10は作業者95によって回収される。回収後、他の自動搬送車10が頭上搬送路82を走行可能なように、作業者95は、チェーン25を引っ張ることで、突起部23がレール21と平行になるように戻しておく。
【0030】
図9および図10を用いて、自動搬送車10の回収動作について詳しく説明する。図9は、実施の形態1にかかる自動搬送車10の回収機構において、駆動輪側係合部15を用いて回収される様子を示す概念的断面図である。図10は、実施の形態1にかかる自動搬送車10の回収機構において、従動輪側係合部16を用いて回収される様子を示す概念的断面図である。自動搬送車10が異常停止すると、駆動輪13がロックされることがあり、強制的に押し進めようとすると転倒したり、破損したりする可能性がある。
【0031】
図9に示すように、駆動輪側係合部15は、楔形状となっており、かつ基端部から先端部に行くに従って下面の高さ位置が高くなる傾斜面15aを有している。また、突起部23における傾斜面15aとの当接面23aは、駆動輪側係合部15の下面側に入り込みやすいように、傾斜面15aに対応する傾斜をもつ傾斜面となっている。このため、突起部23が無端ベルト22の移動によって矢印F1方向に移動すると、突起部23が駆動輪側係合部15の下側に入り込み、突起部23の当接面23aが駆動輪側係合部15の傾斜面15aを摺動し、駆動輪側係合部15を上に押し上げる力が働く。また、突起部23が自動搬送車10の車体11に当接すると、自動搬送車10を矢印F1方向に押圧する。したがって、図9に示されるように、自動搬送車10は、駆動輪13がレール21から離間された状態で、従動輪14の回転によって矢印F1方向に移動する。なお、突起部23および駆動輪側係合部15の係合構造は、駆動輪13をレール21から離間させて自動搬送車10を押圧移動できる構造であれば、他の任意の構造を採用してもよい。また、突起部23は傾斜面を持たない、丸状、または任意の多角形の棒状体でもよい。
【0032】
図10に示すように、従動輪側係合部16は、楔形状となっており、かつ基端部から先端部に行くに従って上面の高さ位置が低くなる傾斜面16aを有している。また、突起部23における傾斜面16aとの当接面23bは、従動輪側係合部16の上側に入り込みやすいように、傾斜面16aに対応する傾斜をもつ傾斜面となっている。このため、突起部23が無端ベルト22の移動によって矢印F2方向に移動すると、突起部23が従動輪側係合部16の上側に入り込み、突起部23の当接面23bが従動輪側係合部16の傾斜面16aを摺動し、従動輪側係合部16を下に押し下げる力が働く。この押し下げる力によって、自動搬送車10は、従動輪14を支点として回転し、駆動輪13がレール21から離間された状態となる。その後、突起部23が自動搬送車10の車体11に当接すると、自動搬送車10を矢印F2方向に押圧する。したがって、図10に示されるように、自動搬送車10は、駆動輪13がレール21から離間された状態で、従動輪14の回転によって矢印F2方向に移動する。なお、突起部23および従動輪側係合部16の係合構造は、従動輪側係合部16を下に押し下げ、かつ自動搬送車10を押圧移動できる構造であれば、他の任意の構造を採用してもよい。
【0033】
このように、無端ベルト22の突起部23は、通常時は、自動搬送車10が走行路であるレール21を走行可能な位置に退避し、自動搬送車10の異常停止時は、駆動輪側係合部15または従動輪側係合部16と係合して自動搬送車10が搬送可能となるようにレール21内に進入している。なお、上記の説明では、無端ベルト22を人力で駆動する構成としたが、モータおよび操作スイッチなどを設け、無端ベルト22をモータで駆動するようにしてもよい。
【0034】
このように実施の形態1によれば、通常時は突起部23を自動搬送車10の走行を妨げない位置に退避させ、異常停止時は突起部23を自動搬送車10に係合させて自動搬送車10を押圧移動できるようにしている。このため、異常停止した自動搬送車10を効率的に速やかに回収することができる。また、回収の際は、駆動輪13を持ち上げて自動搬送車10を移動しているので、自動搬送車10の転倒、破損を防止することができる。
【0035】
実施の形態2.
図11は、実施の形態2にかかる自動搬送車10の回収機構における回収動作中の第1段階の様子を示す概念的平面図である。図12は、実施の形態2にかかる自動搬送車10の回収機構における回収動作中の第2段階の様子を示す概念的平面図である。図13は、実施の形態2にかかる自動搬送車10の回収機構における回収動作中の第3段階の様子を示す概念的平面図である。図14は、実施の形態2にかかる自動搬送車10の回収機構における回収動作中の第4段階の様子を示す概念的平面図である。図15は、実施の形態2にかかる自動搬送車10の回収機構における回収動作中の第5段階の様子を示す概念的平面図である。
【0036】
実施の形態1では、頭上搬送路82に自動搬送車10が1台のみ走行している例を示した。実施の形態1では、自動搬送車10が頭上搬送路82で異常停止したときに、頭上搬送路82に後続車が存在する場合、後続車が邪魔になって回収対象車を回収することができない。実施の形態2では、頭上搬送路82上を複数の自動搬送車10が走行している場合でも、回収対象車のみを回収することができる構成としている。
【0037】
実施の形態2の自動搬送車10の回収機構について説明する。実施の形態2では、実施の形態1の突起部23を折り畳み式突起部50a,50bに置換している。その他の構成は、実施の形態1と同様であり、重複する説明は省略する。折り畳み式突起部50a,50bは、無端ベルト22の対向する2箇所に取り付けられている。折り畳み式突起部50a,50bの折り畳み方向は、逆である。
【0038】
折り畳み式突起部50aは、突起部51aと、突起部51aの一端部を回転可能に支持する支持体52aと、突起部51aを図示で半時計方向に付勢する弾性体としての不図示のバネと、を有する。折り畳み式突起部50bは、突起部51bと、突起部51bの一端部を回転可能に支持する支持体52bと、突起部51bを図示で時計方向に付勢する弾性体としての不図示のバネと、を有する。突起部51a,51bの形状は、図9図10に示した、実施の形態1の突起部23と同じである。折り畳み式突起部50aにおいては、突起部51aを第1方向である時計方向のみに折り畳むことができる。折り畳み式突起部50bにおいては、突起部51bを第2方向である半時計方向のみに折り畳むことができる。折り畳み式突起部50aにおいては、バネによって半時計方向に付勢されている突起部51aの回転をL字形状の支持体52aの壁面によって規制しており、これによって、通常時は、図11に示すように、無端ベルト22のベルト面から垂直に突出する状態を維持している。折り畳み式突起部50bにおいては、バネによって時計方向に付勢されている突起部51bの回転をL字形状の支持体52bの壁面によって規制しており、これによって、通常時は、図11に示すように、無端ベルト22のベルト面から垂直に突出する状態を維持している。
【0039】
図11から図15において、右側の自動搬送車10が異常停止した回収対象車10aであり、左側の自動搬送車10が後続車10bであるとする。図11から図15を用いて、回収動作を順に説明する。図11に示す状態は、回収対象車10aが異常停止した直後の状態を示しており、折り畳み式突起部50a,50bが自動搬送車10の走行の邪魔にならない位置に無端ベルト22が停止している。異常停止を認識した作業者95は、回収対象車10aを昇降ステージ26bまで移動させるために、チェーン25を引っ張ることで、図12の矢印S1で示すように、無端ベルト22を移動し、折り畳み式突起部50aを回収対象車10aのほうへ移動する。折り畳み式突起部50aが回収対象車10aに接触すると、突起部51aが矢印S2で示すように、折り畳まれて、突起部51aが回収対象車10aに接触しながら、回収対象車10aを動かすことなく、昇降ステージ26aのほうへ移動する。
【0040】
突起部51aと回収対象車10aとの接触が終了すると、突起部51aは、図13に示すように、バネによって無端ベルト22に対し垂直な状態に回転復帰する。この状態になると、作業者95は、チェーン25を逆方向に引っ張り、図14の矢印S3で示すように、無端ベルト22を逆方向に移動して、突起部51aを、図10に示したように、回収対象車10aの従動輪側係合部16に係合して、回収対象車10aを昇降ステージ26bに向けて押圧移動させる。この移動の際、回収対象車10aの駆動輪13は、レール21から離間している。その後、図15に示すように、昇降ステージ26bへの回収対象車10aの移動が終了すると、作業者95は、チェーン25を引っ張って、折り畳み式突起部50a,50bが自動搬送車10の走行の邪魔にならない位置まで無端ベルト22を移動する。
【0041】
なお、回収対象車10aを昇降ステージ26aのほうへ移動させる場合は、折り畳み式突起部50bを使って、同様の回収動作を実行する。また、折り畳み式突起部50a,50bの折り畳み構造は、前述と同様の折り畳み機能を達成できる構造であれば、他の任意の構造を採用してもよい。
【0042】
このように実施の形態2によれば、頭上搬送路82で異常停止した自動搬送車10に後続車が続いている場合でも、対象の自動搬送車10のみを回収することができる。また、通常時は折り畳み式突起部50a,50bが自動搬送車10の走行を妨げることがない。
【0043】
実施の形態3.
図16は、実施の形態3にかかる自動搬送車10の回収機構において、駆動輪側から回収される様子を示す概念的断面図である。図17は、実施の形態3にかかる自動搬送車10の回収機構において、従動輪側から回収される様子を示す概念的断面図である。図18は、実施の形態3にかかる自動搬送車10の回収機構における回収動作中の第1段階の様子を示す概念的平面図である。図19は、実施の形態3にかかる自動搬送車10の回収機構における回収動作中の第2段階の様子を示す概念的平面図である。図20は、実施の形態3にかかる自動搬送車10の回収機構における回収動作中の第3段階の様子を示す概念的平面図である。図21は、実施の形態3にかかる自動搬送車10の回収機構における回収動作中の第4段階の様子を示す概念的平面図である。
【0044】
実施の形態3では、実施の形態1の突起部23を磁石付き突起部70に置換している。また、実施の形態1の駆動輪側係合部15を駆動輪側係合部60に置換し、従動輪側係合部16を従動輪側係合部65に置換している。その他の構成は、実施の形態1と同様であり、重複する説明は省略する。磁石付き突起部70、駆動輪側係合部60、および従動輪側係合部65によれば、異常停止した自動搬送車10を押圧移動のみならず牽引移動することができる。
【0045】
実施の形態3の自動搬送車10の回収機構について説明する。磁石付き突起部70は、図18などに示すように、無端ベルト22の対向する2箇所に取り付けられている。磁石付き突起部70は、図16図17に示すように、突起先端部71に挟まれたX軸方向の中央部分は磁気を帯びた帯磁部72となっている。帯磁部72は例えば、磁石である。なお、磁石付き突起部70の全体を磁石で構成してもよい。磁石付き突起部70の形状は、図9図10に示した、実施の形態1の突起部23と同じである。
【0046】
駆動輪側係合部60は、基端部61と係合先端部62で構成されている。従動輪側係合部65は、基端部66と係合先端部67で構成されている。係合先端部62,67は、強磁性体である例えば鉄で構成されており、磁石付き突起部70の帯磁部72に吸着される。なお、駆動輪側係合部60および従動輪側係合部65の全体を強磁性体で構成してもよい。駆動輪側係合部60および従動輪側係合部65の形状は、実施の形態1の駆動輪側係合部15および従動輪側係合部16と同様である。実施の形態3においても、図16図17に示すように、実施の形態1と同様にして、駆動輪13を持ち上げながら自動搬送車10を牽引移動または押圧移動することができる。
【0047】
図18から図21を用いて、自動搬送車10の回収動作を順に説明する。図18に示す状態は、回収対象車10aが異常停止した直後の状態を示しており、磁石付き突起部70が自動搬送車10の走行の邪魔にならない位置に無端ベルト22が停止している。異常停止を認識した作業者95は、回収対象車10aを昇降ステージ26bまで移動させるために、チェーン25を引っ張ることで、無端ベルト22を移動し、図19に示すように、磁石付き突起部70を回収対象車10aの駆動輪側係合部60に磁力で係合させ、駆動輪13を持ち上げる。この状態になると、作業者95は、チェーン25を逆方向に引っ張り、図20に示すように、無端ベルト22を逆方向に移動して、回収対象車10aを昇降ステージ26bに向けて牽引移動させる。その後、図21に示すように、昇降ステージ26bへの回収対象車10aの移動が終了すると、作業者95は、チェーン25を引っ張って、磁石付き突起部70が自動搬送車10の走行の邪魔にならない位置まで無端ベルト22を移動する。
【0048】
なお、回収対象車10aを昇降ステージ26bのほうへ移動させる場合は、もう一方の磁石付き突起部70を使って、同様の回収動作を実行してもよい。また、後続車10bが存在しない場合は、磁石付き突起部70を使って、回収対象車10aを押圧移動させることもできる。
【0049】
このように実施の形態3によれば、頭上搬送路82で異常停止した自動搬送車10に後続車が続いている場合でも、対象の自動搬送車10のみを、牽引移動を使って回収することができる。また、通常時は磁石付き突起部70が自動搬送車10の走行を妨げることがない。
【0050】
なお、実施の形態1から3において、突起部23,51a,51bと、磁石付き突起部70を無端ベルト22の対向する2箇所に設けたほうが望ましいが、突起部23,51a,51bと、磁石付き突起部70を無端ベルト22の1箇所に設けてもよい。
【0051】
実施の形態4.
図22は、実施の形態4にかかる自動搬送車10の回収機構の通常状態における概念的構成を示す断面図である。図23は、実施の形態4にかかる自動搬送車10の回収機構の回収動作状態における概念的構成を示す断面図である。図24は、実施の形態4にかかる自動搬送車10の回収機構の概念的構成を示す平面図である。
【0052】
実施の形態4では、図24に示すように、無端ベルト22は走行路としてのレール21の間であって、自動搬送車10の下方に配置されている。また、突起部44は、図22図23に示すように、車体11と接触しない高さに形成され、かつ一定間隔で複数個、無端ベルト22に取り付けられている。また、自動搬送車10には、突起部44と係合する収納式係合部86が設けられている。収納式係合部86は、図22に示すように、通常時は、車体11に収容されているが、図23に示すように、自動搬送車10が異常停止したときは、車体11の下方に突出して、突起部44と係合する。収納式係合部86は、板バネ85によって保持されている。板バネ85は、係合部制御回路40によって駆動制御される。係合部制御回路40は、バッテリー41、スイッチ42、電磁石43を有する。その他の構成は、実施の形態1と同様であり、重複する説明は省略する。スイッチ42は、制御コントローラ96によって、無線で遠隔操作されるようになっている。
【0053】
図22に示すように、スイッチ42がオンであり、かつバッテリー41が充電されて、電磁石43が通電されているときは、板バネ85が電磁石43に吸引されて、収納式係合部86は車体11に収納される。バッテリー41が放電するか、図23に示すように、スイッチ42がオフにされたときは、電磁石43の磁力が無くなり、収納式係合部86は板バネ85のばね力によって車体11の下方に突出する。突出された収納式係合部86が突起部44と係合する。収納式係合部86の車体11からの突出高さは、駆動輪13が持ち上げられるように設定されている。したがって、駆動輪13が持ち上げられる。駆動輪13が持ち上げられた状態になると、作業者95は、チェーン25を引っ張って、無端ベルト22を駆動することで自動搬送車10を昇降ステージ26aまたは昇降ステージ26bまで搬送する。
【0054】
制御コントローラ96は、自動搬送車10の異常停止を検出した場合、スイッチ42をオフにする。これにより、電磁石43への通電がなくなり、収納式係合部86が車体11の下方に突出される。また、バッテリー41の放電によって電磁石43への通電がなくなった場合も、同様にして、収納式係合部86が車体11の下方に突出される。
【0055】
このように実施の形態4によれば、頭上搬送路82で異常停止した自動搬送車10に後続車が続いている場合でも、対象の自動搬送車10のみを、回収することができる。また、通常時は収納式係合部86が自動搬送車10の走行を妨げることがない。
【0056】
以上の実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0057】
10 自動搬送車、10a 回収対象車、10b 後続車、11 車体、12 制御回路、13 駆動輪、14 従動輪、15,60 駆動輪側係合部、15a,16a 傾斜面、16,65 従動輪側係合部、17 バッテリー、21 レール、22 無端ベルト、23,44,51a,51b 突起部、23a,23b 当接面、24a,24b プーリー、25 チェーン、26a,26b 昇降ステージ、27a,27b 昇降機、28a,28b 車検出センサ、29 カバー、31 中間プーリー、40 係合部制御回路、41 バッテリー、42 スイッチ、43 電磁石、50a,50b 折り畳み式突起部、52a,52b 支持体、61,66 基端部、62,67 係合先端部、70 磁石付き突起部、71 突起先端部、72 帯磁部、81a,81b 装置間搬送路、82 頭上搬送路、83a,83b 昇降路、84 シグナルタワー、85 板バネ、86 収納式係合部、90 製造ラインシステム、91a,91b 製造装置グループ、92a,92b 製造装置、94 歩行路、95 作業者、96 制御コントローラ、100 ワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図18
図19
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図24