(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-03
(45)【発行日】2025-07-11
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F25B 13/00 20060101AFI20250704BHJP
F25B 6/02 20060101ALI20250704BHJP
F25B 43/00 20060101ALI20250704BHJP
【FI】
F25B13/00 Q
F25B13/00 104
F25B6/02 J
F25B43/00 L
(21)【出願番号】P 2024521511
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 JP2022020941
(87)【国際公開番号】W WO2023223539
(87)【国際公開日】2023-11-23
【審査請求日】2024-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】緒方 啓人
(72)【発明者】
【氏名】竹中 直史
(72)【発明者】
【氏名】鳩村 傑
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 皓亮
(72)【発明者】
【氏名】西尾 淳
(72)【発明者】
【氏名】岡野 博幸
(72)【発明者】
【氏名】小池 孝典
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-129976(JP,A)
【文献】国際公開第2015/177896(WO,A1)
【文献】特開2011-033289(JP,A)
【文献】国際公開第2013/111176(WO,A1)
【文献】特開昭56-102658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00-49/04
F24F 1/00-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、流路切替弁及び熱源側熱交換器を有する熱源機と、
負荷側流量調整弁及び負荷側熱交換器を有し、冷房運転又は暖房運転を実施する
複数の室内機と、
前記冷房運転及び前記暖房運転が実施される場合にガス冷媒が流れるガス主管及び前記冷房運転及び前記暖房運転が実施される場合に液冷媒又は気液二相冷媒が流れる液主管によって前記熱源機に接続され、ガス枝管及び液枝管によって前記
複数の室内機に接続され、前記熱源機から供給される冷媒を前記
複数の室内機に供給する中継機と、を備え、
前記中継機は、
冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離させる気液分離器と、
前記熱源機から前記
複数の室内機に向かう冷媒の流路及び前記
複数の室内機から前記熱源機に向かう冷媒の流路をそれぞれ開閉する
、前記複数の室内機と同数の複数の流路開閉装置とを備え、
前記中継機には、前記暖房運転が実施される場合に、前記熱源機から前記ガス主管を通って前記中継機に流入した冷媒が、前記気液分離器を通過することなく前記
複数の流路開閉装置に流入する冷媒の経路を有
し、
前記複数の室内機のうちいずれか1以上の室内機による前記冷房運転と、前記複数の室内機のうち他のいずれか1以上の室内機による前記暖房運転とが同時に実施されるように、前記複数の流路開閉装置が制御され、
前記中継機は、
前記ガス主管に接続された配管に設けられ、前記室内機から前記熱源機への冷媒の流通を許容し、前記熱源機から前記室内機への冷媒の流通を遮断する第1逆流防止弁と、
前記ガス主管に接続された配管に前記第1逆流防止弁と並列に設けられ、前記熱源機から前記室内機への冷媒の流通を許容し、前記室内機から前記熱源機への冷媒の流通を遮断する第2逆流防止弁とを備え、
前記複数の流路開閉装置のそれぞれと、前記気液分離器の前記ガス冷媒を流出させるガス流出口とを接続する配管に、前記第2逆流防止弁の冷媒の流出口と連通する配管が接続されている
空気調和装置。
【請求項2】
前記ガス主管と前記ガス流出口とを連通させる配管に設けられた圧力逃がし弁を備え、
前記圧力逃がし弁は、前記複数の室内機のいずれか1以上で前記冷房運転が実施されているときに、前記複数の流路開閉装置のそれぞれと、前記気液分離器の前記ガス流出口とを接続する配管内の冷媒の圧力が当該冷媒の飽和圧力以上になると開放状態になる
請求項
1記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記ガス主管と前記ガス流出口とを連通させる配管に設けられた圧力逃がし弁を備え、
前記圧力逃がし弁は、前記複数の流路開閉装置のそれぞれと、前記気液分離器の前記ガス流出口とを接続する配管内の冷媒の圧力が当該冷媒の飽和圧力未満のときに、定期的に開放状態になる
請求項
1記載の空気調和装置。
【請求項4】
圧縮機、流路切替弁及び熱源側熱交換器を有する熱源機と、
負荷側流量調整弁及び負荷側熱交換器を有し、冷房運転又は暖房運転を実施する複数の室内機と、
前記冷房運転及び前記暖房運転が実施される場合にガス冷媒が流れるガス主管及び前記冷房運転及び前記暖房運転が実施される場合に液冷媒又は気液二相冷媒が流れる液主管によって前記熱源機に接続され、ガス枝管及び液枝管によって前記複数の室内機に接続され、前記熱源機から供給される冷媒を前記複数の室内機に供給する中継機と、を備え、
前記中継機は、
冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離させる気液分離器と、
前記熱源機から前記複数の室内機に向かう冷媒の流路及び前記複数の室内機から前記熱源機に向かう冷媒の流路をそれぞれ開閉する、前記複数の室内機と同数の複数の流路開閉装置とを備え、
前記中継機には、前記暖房運転が実施される場合に、前記熱源機から前記ガス主管を通って前記中継機に流入した冷媒が、前記気液分離器を通過することなく前記複数の流路開閉装置に流入する冷媒の経路を有し、
前記複数の室内機のうちいずれか1以上の室内機による前記冷房運転と、前記複数の室内機のうち他のいずれか1以上の室内機による前記暖房運転とが同時に実施されるように、前記複数の流路開閉装置が制御され、
前記複数の流路開閉装置は、それぞれ、第1弁と第2弁とを備え、
前記ガス主管と前記第1弁とを接続し、低圧の前記冷媒が流れる配管である低圧管と、
前記ガス主管と前記第2弁とを接続し、高圧の前記冷媒が流れる配管である高圧管と、
前記複数の室内機のうちいずれか1以上の室内機による前記冷房運転と、前記複数の室内機のうち他のいずれか1以上の室内機による前記暖房運転とが同時に実施されるときに、前記暖房運転を実施する前記1以上の室内機から流出した冷媒を、前記冷房運転を実施する前記1以上の室内機に流入させる折り返し管と、
前記折り返し管と前記液主管とを接続する配管に設けられた第1開閉弁と、
前記低圧管に接続され、前記室内機から前記熱源機への冷媒の流通を許容し、前記熱源機から前記室内機への冷媒の流通を遮断する第1逆流防止弁と、
前記高圧管に接続され、前記熱源機から前記室内機への冷媒の流通を許容し、前記室内機から前記熱源機への冷媒の流通を遮断する第2逆流防止弁と、を備えた
空気調和装置。
【請求項5】
前記気液分離器の前記ガス冷媒を流出させるガス流出口と、前記低圧管と、を接続する配管に設けられた第2開閉弁と、
前記気液分離器の前記液冷媒を流出させる液流出口と前記折り返し管との間に設けられた冷媒間熱交換器と、
前記冷媒間熱交換器と前記折り返し管との間の分岐部から分岐して前記冷媒間熱交換器を介して前記高圧管に接続する分岐配管と、
前記分岐部と前記冷媒間熱交換器との間の前記分岐配管に設けられた第3開閉弁と、
前記冷媒間熱交換器と前記高圧管との間の前記分岐配管に設けられ、前記冷媒間熱交換器から前記高圧管への冷媒の流通を許容し、前記高圧管から前記冷媒間熱交換器への冷媒の流通を遮断する第3逆流防止弁とを備え、
前記複数の室内機のうちいずれか1以上の室内機による前記冷房運転と、前記複数の室内機のうち他のいずれか1以上の室内機による前記暖房運転とが同時に実施されていて、前記冷房運転の負荷が前記暖房運転の負荷よりも大きいときに、前記分岐部から分岐した冷媒が、前記第3開閉弁、前記冷媒間熱交換器、前記第3逆流防止弁を通過して前記高圧管に流入する
請求項
4記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記第2開閉弁は、前記複数の室内機のうちいずれか1以上の室内機による前記冷房運転と、前記複数の室内機のうち他のいずれか1以上の室内機による前記暖房運転とが同時に実施されていて、前記暖房運転の負荷が前記冷房運転の負荷よりも大きいときに、開状態となり、前記低圧管から前記ガス流出口への冷媒の流れを許容する
請求項
5記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記第2開閉弁と前記低圧管とを接続する配管と、前記冷媒間熱交換器と前記第3逆流防止弁とを接続する配管と、を接続する配管に設けられた、弁圧制御用開閉弁を備えた
請求項
5又は請求項
6記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱源機から供給される冷媒を室内機に供給する中継機を有する空気調和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ビル用マルチエアコンなどの空気調和装置においては、例えば建物外に配置した熱源機である室外機と、建物内に配置した室内機とを配管接続して冷媒回路を構成し、冷媒回路に冷媒を循環させている。そして、冷媒の放熱及び吸熱を利用して、空気を加熱又は冷却することで、空調対象空間の暖房又は冷房を行っている。
【0003】
このような空気調和装置において、室外機と中継機または室内機を繋ぐ配管内の冷媒量を削減するため、室外機と中継機または室内機を繋ぐ2本の配管に液ガス管方式を採用したものがある。液ガス管方式とは、冷房又は暖房の運転状況に関わらず、室外機と中継機または室内機を繋ぐ2本の配管の一方に流れる冷媒をガス状態とし、他方に流れる冷媒を液状態又は気液二相状態とするものである。
【0004】
このような液ガス管方式の空気調和装置として、特許文献1では、気液分離器と、液冷媒とガス冷媒の流れを切り換える冷媒流路切り換え回路と、を備えた気液分離ユニットを有する空気調和装置が提案されている。この気液分離ユニットは、室外機と2本の冷媒配管で接続されている。特許文献1の空気調和装置は、冷房運転と暖房運転とを行うことが可能であり、暖房運転が実施される際には、圧縮機から吐出された高圧のガス冷媒が、冷媒流路切り換え回路及び気液分離器を通過した後に、室内機に流れるような回路構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の回路構成では、暖房運転が実施される際に、冷媒が、冷媒流路切り換え回路に加えて気液分離器を通過するため、気液分離器で冷媒に圧力損失が生じる。冷媒に圧力損失が生じると、空気調和装置の能力が低下する。このため、能力を上昇させるために、圧縮機を大型化したり、圧縮機を高速運転させたりすることが必要になってしまうが、これらは空気調和装置の製造コスト及び運転コストの増加につながってしまう。
【0007】
本開示は、上記のような課題を背景としたものであり、暖房運転が実施される際に、気液分離器で冷媒に圧力損失を生じさせない空気調和装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る空気調和装置は、圧縮機、流路切替弁及び熱源側熱交換器を有する熱源機と、負荷側流量調整弁及び負荷側熱交換器を有し、冷房運転又は暖房運転を実施する複数の室内機と、前記冷房運転及び前記暖房運転が実施される場合にガス冷媒が流れるガス主管及び前記冷房運転及び前記暖房運転が実施される場合に液冷媒又は気液二相冷媒が流れる液主管によって前記熱源機に接続され、ガス枝管及び液枝管によって前記複数の室内機に接続され、前記熱源機から供給される冷媒を前記複数の室内機に供給する中継機と、を備え、前記中継機は、冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離させる気液分離器と、前記熱源機から前記複数の室内機に向かう冷媒の流路及び前記複数の室内機から前記熱源機に向かう冷媒の流路をそれぞれ開閉する、前記複数の室内機と同数の複数の流路開閉装置とを備え、前記中継機には、前記暖房運転が実施される場合に、前記熱源機から前記ガス主管を通って前記中継機に流入した冷媒が、前記気液分離器を通過することなく前記複数の流路開閉装置に流入する冷媒の経路を有し、前記複数の室内機のうちいずれか1以上の室内機による前記冷房運転と、前記複数の室内機のうち他のいずれか1以上の室内機による前記暖房運転とが同時に実施されるように、前記複数の流路開閉装置が制御され、前記中継機は、前記ガス主管に接続された配管に設けられ、前記室内機から前記熱源機への冷媒の流通を許容し、前記熱源機から前記室内機への冷媒の流通を遮断する第1逆流防止弁と、前記ガス主管に接続された配管に前記第1逆流防止弁と並列に設けられ、前記熱源機から前記室内機への冷媒の流通を許容し、前記室内機から前記熱源機への冷媒の流通を遮断する第2逆流防止弁とを備え、前記複数の流路開閉装置のそれぞれと、前記気液分離器の前記ガス冷媒を流出させるガス流出口とを接続する配管に、前記第2逆流防止弁の冷媒の流出口と連通する配管が接続されているものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示の空気調和装置の中継機内には、暖房運転が実施される場合に、熱源機からガス主管を通って中継機に流入した冷媒が、気液分離器を通過することなく流路開閉装置に流入する冷媒の経路を有する。このため、気液分離器で冷媒に圧力損失を生じさせることがないので、気液分離器での冷媒の圧力損失による空気調和装置の能力低下を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る空気調和装置の全冷房運転時の状態を示す冷媒回路図である。
【
図2】実施の形態1に係る空気調和装置の冷房主体運転時の状態を示す冷媒回路図である。
【
図3】実施の形態1に係る空気調和装置の全暖房運転時の状態を示す冷媒回路図である。
【
図4】実施の形態1に係る空気調和装置の暖房主体運転時の状態を示す冷媒回路図である。
【
図5】実施の形態2に係る空気調和装置の全冷房運転時の状態を示す冷媒回路図である。
【
図6】実施の形態2に係る空気調和装置の冷房主体運転時の状態を示す冷媒回路図である。
【
図7】実施の形態2に係る空気調和装置の全暖房運転時の状態を示す冷媒回路図である。
【
図8】実施の形態2に係る空気調和装置の暖房主体運転時の状態を示す冷媒回路図である。
【
図9】実施の形態3に係る空気調和装置の全冷房運転時の状態を示す冷媒回路図である。
【
図10】実施の形態3に係る空気調和装置の冷房主体運転時の状態を示す冷媒回路図である。
【
図11】実施の形態3に係る空気調和装置の全暖房運転時の状態を示す冷媒回路図である。
【
図12】実施の形態3に係る空気調和装置の暖房主体運転時の状態を示す冷媒回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して説明する。本開示は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本開示は、以下の各実施の形態に示す構成のうち、組合せ可能な構成のあらゆる組合せを含むものである。また、温度および圧力等の高低については、特に絶対的な値との関係で高低等が定まっているものではなく、システムおよび装置等における状態および動作等において相対的に定まるものとする。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一のまたはこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。さらに、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る空気調和装置1000の全冷房運転時の状態を示す冷媒回路図である。空気調和装置1000は、冷媒回路内に冷媒を循環させ、冷凍サイクルを利用して、空調対象空間の空気調和を行うものである。空気調和装置1000は、熱源機100と、複数の室内機300a、300b及び300cと、中継機200とを備えている。本実施の形態の空気調和装置1000は、複数の室内機300a、300b及び300cごとに、冷房運転又は暖房運転を実施することができる。空気調和装置1000は、複数の室内機300a、300b及び300cすべてで冷房運転が実施される全冷房運転と、複数の室内機300a、300b及び300cすべてで暖房運転が実施される全暖房運転と、を実行可能である。さらに本実施の形態の空気調和装置1000は、複数の室内機300a、300b及び300cのいずれかで冷房運転が実施され、残りのいずれかで暖房運転が実施される、冷暖同時運転を実行可能である。冷暖同時運転のうち、冷房運転の負荷が暖房運転の負荷よりも大きいものを、冷房主体運転といい、暖房運転の負荷が冷房運転の負荷よりも大きいものを、暖房主体運転という。なお、実施の形態1では、1台の熱源機100に3台の室内機300a、300b及び300cが接続された構成について説明するが、熱源機100及び中継機200の台数は2台以上でもよい。また、室内機の台数は1台、2台又は4台以上でもよい。
【0013】
(空気調和装置の構成)
空気調和装置1000は、熱源機100と、室内機300a~300cと、中継機200とが接続されて構成されている。熱源機100は、室内機300a~300cのそれぞれに熱を供給する機能を有している。室内機300a~300cは、熱源機100及び中継機200に対して、互いに並列に接続されている。室内機300a~300cは、熱源機100から供給される熱によって、室内等の空調対象空間を冷房又は暖房する機能を有している。中継機200は、熱源機100と室内機300a~300cとの間に介在し、室内機300a~300cからの要求に応じて熱源機100から供給される冷媒の流れを切替えて室内機300a~300cに供給する機能を有している。
【0014】
熱源機100と中継機200とは、ガス主管41と液主管42という合計2本の冷媒配管で接続されており、いわゆる液ガス管方式の接続態様で接続されている。ガス主管41は、冷房運転及び暖房運転の両方においてガス冷媒が流れる配管である。液主管42は、冷房運転及び暖房運転の両方において液冷媒又は気液二相冷媒が流れる配管である。中継機200と室内機300a~300cとは、それぞれ、合計2本の冷媒配管で接続されている。具体的に、中継機200と室内機300aとは、ガス枝管43aと液枝管44aとで接続されている。中継機200と室内機300bとは、ガス枝管43bと液枝管44bとで接続されている。中継機200と室内機300cとは、ガス枝管43cと液枝管44cとで接続されている。ガス枝管43a~43cには、主にガス状態の冷媒が流れる。液枝管44a~44cには、主に液状態又は気液二相状態の冷媒が流れる。
【0015】
(熱源機100)
熱源機100は、圧縮機1と、流路切替弁2と、熱源側熱交換器3と、熱源側流量制御弁4と、熱源機制御装置5とを備えている。圧縮機1と、流路切替弁2と、熱源側熱交換器3と、熱源側流量制御弁4とは、
図1に実線で示す冷媒配管によって接続されている。
【0016】
圧縮機1は、低圧のガス冷媒を吸入して圧縮し、高圧のガス冷媒として吐出する流体機械である。圧縮機1は、例えば運転周波数を調整可能なインバータ駆動の圧縮機である。圧縮機1の運転周波数又は能力は、熱源機制御装置5によって制御される。
【0017】
流路切替弁2は、冷媒の流れる方向を切替える弁である。全冷房運転、冷房主体運転、全暖房運転及び暖房主体運転のいずれが実施されるかによって、流路切替弁2は、圧縮機1から吐出された冷媒が流れる方向を切り替える。流路切替弁2は、四方弁、若しくは二方弁又は三方弁等の組み合わせによって構成される。流路切替弁2の動作は、熱源機制御装置5によって制御される。
【0018】
熱源側熱交換器3は、内部を流通する冷媒と、他の流体とで熱交換させる。熱源側熱交換器3は、蒸発器又は凝縮器として機能する。熱源側熱交換器3は、例えば空冷式の熱交換器であり、熱源側熱交換器3の周囲に配置された送風機からの空気と冷媒とで熱交換させる。熱源側熱交換器3は、例えば水又はブラインと冷媒との間で熱交換を行う水冷式の熱交換器であってもよい。
【0019】
熱源側流量制御弁4は、熱源側熱交換器3に直列に接続されており、冷媒配管を流れる冷媒の流量を調整する。熱源側流量制御弁4は、冷媒を減圧する減圧弁及び冷媒を膨張させる膨張弁としての機能を有するものである。熱源側流量制御弁4は、例えば開度を調整可能な電気式膨張弁等で構成されている。熱源側流量制御弁4の動作は、熱源機制御装置5によって制御される。
【0020】
熱源機制御装置5は、熱源機100の全体の動作を制御する。また、熱源機制御装置5は、後述する中継機制御装置201及び室内機制御装置33と連携して、空気調和装置1000全体の動作を制御する。熱源機制御装置5、中継機制御装置201及び室内機制御装置33は、図示しない制御線によって互いに接続されている。熱源機制御装置5は、制御に必要なデータ及びプログラムを記憶するメモリと、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、を備えるコンピュータ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)などの専用のハードウェア、もしくはその両方で構成される。
【0021】
(室内機300a~300c)
室内機300aは、負荷側熱交換器31a、負荷側流量調整弁32a及び室内機制御装置33aを備え、室内機300bは、負荷側熱交換器31b、負荷側流量調整弁32b及び室内機制御装置33bを備え、室内機300cは、負荷側熱交換器31c、負荷側流量調整弁32c及び室内機制御装置33cを備えている。なお、これ以降の説明において、室内機300a~300cに共通する事項を説明するときには、室内機300a~300cを室内機300と称する。室内機300というときには、単数と複数の両方を含むものとする。また、負荷側熱交換器31c~31cに共通する事項を説明するときには、負荷側熱交換器31c~31cを負荷側熱交換器31と称する。負荷側熱交換器31というときには、単数と複数の両方を含むものとする。また、負荷側流量調整弁32a~32cに共通する事項を説明するときには、負荷側流量調整弁32a~32cを負荷側流量調整弁32と称する。負荷側流量調整弁32というときには、単数と複数の両方を含むものとする。また、室内機制御装置33a~33cに共通する事項を説明するときには、室内機制御装置33a~33cを室内機制御装置33と称する。室内機制御装置33というときには、単数と複数の両方を含むものとする。
【0022】
負荷側熱交換器31は、内部を流通する冷媒と、他の流体とで熱交換させる。負荷側熱交換器31は、凝縮器又は蒸発器として機能する。負荷側熱交換器31は、例えば空冷式の熱交換器であり、負荷側熱交換器31の周囲に配置された送風機からの空気と冷媒とで熱交換させる。負荷側熱交換器31は、例えば水又はブラインと冷媒との間で熱交換を行う水冷式の熱交換器であってもよい。
【0023】
負荷側流量調整弁32は、負荷側熱交換器31に流入する又は負荷側熱交換器31から流出する冷媒の流量を調整する。負荷側流量調整弁32は、冷媒を減圧する減圧弁及び冷媒を膨張させる膨張弁としての機能を有するものである。負荷側流量調整弁32は、例えば、連続的又は多段階で開度を調整可能な電気式膨張弁等で構成されている。負荷側流量調整弁32の開度は、室内機制御装置33によって制御される。負荷側流量調整弁32は、全冷房運転のときの冷媒の流れ方向において、負荷側熱交換器31の上流側に、配置されている。
【0024】
室内機制御装置33は、熱源機制御装置5からの制御信号に基づいて、負荷側流量調整弁32の開度を制御する。室内機制御装置33は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、を備えるコンピュータ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)などの専用のハードウェア、もしくはその両方で構成される。
【0025】
(中継機200)
中継機200は、中継機制御装置201と、気液分離器202と、流路開閉装置206a~206cとを備えている。流路開閉装置206a~206cは、室内機300a~300cと一対一に対応して設けられており、本実施の形態では合計3つの流路開閉装置206a~206cが設けられている。さらに本実施の形態の中継機200は、第1逆流防止弁209と、第2逆流防止弁210と、逆流防止弁211と、逆流防止弁212と、開閉弁213と、開閉弁214とを備えている。
【0026】
中継機制御装置201は、熱源機制御装置5からの制御信号に基づいて、流路開閉装置206a~206c、第1逆流防止弁209、第2逆流防止弁210、逆流防止弁211、逆流防止弁212、開閉弁213、及び開閉弁214の動作を制御する。中継機制御装置201は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、を備えるコンピュータ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)などの専用のハードウェア、もしくはその両方で構成される。
【0027】
気液分離器202は、冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離させる。本実施の形態の気液分離器202は、冷房主体運転が実施される際に、熱源機100で生成された高圧の気液二相状態の冷媒を、液冷媒とガス冷媒とに分離させる。気液分離器202は、冷媒を貯留可能な容器であり、流入口203と、ガス流出口204と、液流出口205とを有する。流入口203は、液主管42に接続された配管と接続されていて、液主管42を通って中継機200に流入した冷媒を気液分離器202に流入させる。ガス流出口204は、気液分離器202の重力方向上側に設けられていて、気液分離器202内で分離されたガス冷媒を、気液分離器202から配管へ流出させる。液流出口205は、気液分離器202の重力方向下側に設けられていて、気液分離器202内で分離された液冷媒を、気液分離器202から配管へ流出させる。なお、ここでは、気液分離器202が冷媒を貯留可能な容器である例を説明するが、容器に代えて、配管を気液分離器202として用いることもできる。この場合、気液分離器202である配管を分岐させて、流入口203と、ガス流出口204と、液流出口205とを設けるとよい。
【0028】
流路開閉装置206a~206cは、それぞれ、熱源機100から室内機300a~300cに向かう冷媒の流路及び室内機300a~300cから熱源機100に向かう冷媒の流路を開閉する装置である。流路開閉装置206aは、第1弁207a及び第2弁208aを備え、流路開閉装置206bは、第1弁207b及び第2弁208bを備え、流路開閉装置206cは、第1弁207c及び第2弁208cを備えている。なお、これ以降の説明において、流路開閉装置206a~206cに共通する事項を説明するときには、流路開閉装置206a~206cを流路開閉装置206と称する。流路開閉装置206a~206cというときには、単数と複数の両方を含むものとする。また、第1弁207a~207cに共通する事項を説明するときには、第1弁207a~207cを第1弁207と称する。第1弁207というときには、単数と複数の両方を含むものとする。また、第2弁208a~208cに共通する事項を説明するときには、第2弁208a~208cを第2弁208と称する。第2弁208というときには、単数と複数の両方を含むものとする。
【0029】
流路開閉装置206は、室内機300に対し、並列に接続された第1弁207と第2弁208とを有する。第1弁207は、第1逆流防止弁209とガス枝管43との間の流路を開閉する。具体的に、第1弁207は、ガス主管41に接続された配管であって第1逆流防止弁209が設けられた配管と、ガス枝管43に接続された配管と、を接続する配管に設けられている。第1弁207は、室内機300から熱源機100に向かって流れる冷媒の流路を開閉する開閉弁である。第2弁208は、第2逆流防止弁210とガス枝管43との間の流路を開閉する。第2弁208は、ガス主管41に接続された配管であって第2逆流防止弁210が設けられた配管と、ガス枝管43に接続された配管と、を接続する配管に設けられている。第2弁208は、熱源機100から室内機300に向かって流れる冷媒の流路を開閉する開閉弁である。第1弁207及び第2弁208は、例えば電磁弁、又は全閉機能を有する開度調整可能な絞り弁であるが、流路の開閉が可能であれば具体的な弁の構造は限定されない。第1弁207と第2弁208とは、一方が開状態のときには他方が閉状態となり、両方が開状態となることはない。
【0030】
第1逆流防止弁209は、ガス主管41に接続された配管に設けられ、室内機300から熱源機100への冷媒の流通を許容し、熱源機100から室内機300への冷媒の流通を遮断する。第1逆流防止弁209は、全暖房運転及び暖房主体運転が実施される際に、圧縮機1の吐出側の流路から流路開閉装置206へと、高温かつ高圧のガス冷媒が逆流することを防止するものである。
【0031】
第2逆流防止弁210は、ガス主管41に接続された配管に、第1逆流防止弁209と並列に設けられ、熱源機100から室内機300への冷媒の流通を許容し、室内機300から熱源機100への冷媒の流通を遮断する。第2逆流防止弁210は、全冷房運転及び冷房主体運転が実施される際に、気液分離器202を通過した高圧の液状態又は気液二相状態の冷媒が、第1逆流防止弁209の出口側の冷媒配管、すなわちガス主管41へと、逆流することを防止するものである。
【0032】
逆流防止弁211は、第1逆流防止弁209の入口側と、液主管42と、を接続する配管に設けられ、室内機300から熱源機100への冷媒の流通を許容し、熱源機100から室内機300への冷媒の流通を遮断する。逆流防止弁211は、全冷房運転及び冷房主体運転が実施される際に、液主管42から室外機101に、高圧の液状態又は気液二相状態の冷媒が流れ込むことを防止するものである。
【0033】
逆流防止弁212は、気液分離器202の流入口203と、液主管42と、を接続する配管に設けられ、熱源機100から室内機300への冷媒の流通を許容し、室内機300から熱源機100への冷媒の流通を遮断する。逆流防止弁212は、全暖房運転及び暖房主体運転が実施される際に、高温高圧のガス冷媒が熱源側熱交換器3に流れ込むことを防止するものである。
【0034】
開閉弁213は、気液分離器202の液流出口205に接続された配管241に設けられ、冷媒の流路を開閉する。開閉弁213は、例えば電磁弁である。
【0035】
開閉弁214は、全暖房運転又は暖房主体運転が実施される際に、液枝管44から流出した液冷媒が流れる配管に設けられ、冷媒の流路を開閉する。具体的に、本実施の形態では、第1逆流防止弁209の入口側と、液枝管44と、を接続する配管240に、開閉弁214が設けられている。配管240は、配管243及び配管244を介して複数の液枝管44に連なる1本の配管である。
【0036】
配管240と配管241とは、交差点242において交差している。配管240内の冷媒及び配管241内の冷媒は、開閉弁213及び開閉弁214の開閉状態に応じて、交差点242において合流又は分岐して流れる。
【0037】
流路開閉装置206の第2弁208及び第1弁207、第1逆流防止弁209、第2逆流防止弁210、逆流防止弁211、逆流防止弁212、開閉弁213並びに開閉弁214の動作は、中継機制御装置201によって制御される。
【0038】
中継機200内の配管構成を説明する。ガス主管41に接続された配管は、2つに分岐され、一方の配管に第1逆流防止弁209が設けられ、他方の配管に第2逆流防止弁210が設けられている。第1逆流防止弁209が接続された配管の第1逆流防止弁209の入口側の配管240には、逆流防止弁211に連なる配管と、第1弁207に連なる配管と、が接続されている。第2逆流防止弁210が接続された配管の第2逆流防止弁210の流出口側には、気液分離器202のガス流出口204に連なる配管245と、第2弁208に連なる配管と、が接続されている。
【0039】
配管240と配管241とは、交差点242で交差し、さらに配管243と配管244とに分岐している。配管243には、すべての液枝管44が接続され、配管244にもまた、すべての液枝管44が接続されている。
【0040】
(冷媒)
空気調和装置1000は、配管の内部に冷媒が充填されている。冷媒は、特に限定されないが、例えば二酸化炭素、炭化水素、ヘリウム等の自然冷媒、HFC410A、HFC407C、HFC404A等の塩素を含有しないフロン代替冷媒、又は既存の製品に使用されるR22、R134a等のフロン系冷媒等である。
【0041】
(空気調和装置の動作)
空気調和装置1000の動作を、
図1~
図4を参照して説明する。
図1~
図4では、冷媒の流れが矢印で示されている。また、
図1~
図4に示された開閉弁のうち、冷媒が流れない開閉弁は、黒塗りで示されている。
【0042】
(全冷房運転)
全冷房運転では、室内機300a~300cのすべてが冷房運転を行う。流路切替弁2は、圧縮機1の吐出側が熱源側熱交換器3に接続されるように、冷媒流路が設定されている。
【0043】
図1に示すように、低温低圧の冷媒が圧縮機1に吸入されて圧縮され、高温高圧のガス冷媒として圧縮機1から吐出される。圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒は、流路切替弁2を通り、凝縮器又は放熱器として機能する熱源側熱交換器3において空気等の流体と熱交換して凝縮液化する。高圧の液冷媒は、その後、熱源側流量制御弁4を通って、液主管42を流れ、中継機200に流入する。中継機200に流入した冷媒は、逆流防止弁212を通過して、流入口203から気液分離器202内に至る。
【0044】
気液分離器202に流入した高圧の液冷媒は、液流出口205から流出して、配管241に設けられた開状態の開閉弁213を通過する。配管241を流れた冷媒は、配管243及び配管244を通り、液枝管44a~44cのそれぞれに分岐して流れる。液枝管44a~44cのそれぞれを流れる冷媒は、室内機300a~300cのそれぞれに流入する。
【0045】
室内機300a~300cに流入した冷媒は、それぞれ、負荷側流量調整弁32a~32cによって、減圧される。減圧されて低温低圧の気液二相状態になった冷媒は、蒸発器として機能する負荷側熱交換器31a~31cに流入し、負荷側熱交換器31a~31cで室内空気と熱交換して蒸発ガス化する。その際、室内機300a~300cが設置された室内空間等の空調対象空間が、冷房される。そして、低温低圧のガス状態となった冷媒は、それぞれ、ガス枝管43a~43cを通って中継機200の流路開閉装置206a~206cに流入する。
【0046】
第1弁207a~207cは開状態、第2弁208a~208cは閉状態になっている。流路開閉装置206a~206cのそれぞれに流入した冷媒は、第1弁207a~207cのそれぞれを通過し、さらに第1逆流防止弁209を通過して、中継機200から流出する。中継機200から流出したガス冷媒は、ガス主管41を通って熱源機100に流入する。熱源機100に流入した冷媒は、流路切替弁2を通って圧縮機1に吸入される。
【0047】
(冷房主体運転)
図2は、実施の形態1に係る空気調和装置1000の冷房主体運転時の状態を示す冷媒回路図である。ここでは、室内機300aで暖房運転が実施され、室内機300b及び300cで冷房運転が実施される場合を例に説明する。冷房運転の負荷が、室内機300b、300cの2台分であるのに対し、暖房運転の負荷は、室内機300aの1台分であるので、冷房運転の負荷の方が暖房運転の負荷よりも大きい。流路切替弁2は、圧縮機1の吐出側が熱源側熱交換器3に接続されるように、冷媒流路が設定されている。
【0048】
図2に示すように、低温低圧の冷媒が圧縮機1に吸入されて圧縮され、高温高圧のガス冷媒として圧縮機1から吐出される。圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒は、流路切替弁2を通り、凝縮器又は放熱器として機能する熱源側熱交換器3において空気等の流体と熱交換して気液二相状態になる。高圧の気液二相状態の冷媒は、その後、熱源側流量制御弁4を通って、液主管42を流れ、中継機200に流入する。中継機200に流入した冷媒は、逆流防止弁212を通過して、流入口203から気液分離器202内に至る。気液分離器202において気液二相状態の冷媒は、ガス状態の冷媒と液状態の冷媒とに分離される。
【0049】
気液分離器202のガス流出口204から流出したガス状態の冷媒は、第2弁208aを通過して、ガス枝管43aを通って室内機300aに流入する。室内機300aに流入した冷媒は、凝縮器又は放熱器として機能する負荷側熱交換器31aで室内空気と熱交換して、凝縮液化する。その際、室内機300aが設置された室内空間等の空調対象空間が、暖房される。高圧の液冷媒は、負荷側熱交換器31aから流出して、負荷側流量調整弁32aを通過する。負荷側流量調整弁32aは全開状態であるが、負荷側流量調整弁32aを通過するときに冷媒が若干減圧される。負荷側流量調整弁32aを通過した冷媒は、液枝管44aを通って、中継機200に流入し、配管243及び配管244を流れる。
【0050】
気液分離器202の液流出口205から流出した液状態の冷媒は、配管241に設けられた開状態の開閉弁213を通過し、交差点242を通って配管243と配管244とに流れる。配管243及び配管244において、液枝管44aからの液冷媒と、配管241からの液冷媒とが合流し、この液冷媒は、液枝管44b又は44cを通って室内機300b又は300cに流入する。
【0051】
室内機300b又は300cに流入した冷媒は、それぞれ、負荷側流量調整弁32b又は32cによって、減圧されて気液二相状態となる。減圧された気液二相状態の冷媒は、蒸発器として機能する負荷側熱交換器31b又は31cに流入し、負荷側熱交換器31b又は31cで室内空気と熱交換して蒸発ガス化する。その際、室内機300b及び300cが設置された室内空間等の空調対象空間が、冷房される。そして、低温低圧のガス状態となった冷媒は、それぞれ、ガス枝管43b又は43cを通って中継機200の流路開閉装置206b又は206cに流入する。
【0052】
流路開閉装置206b又は206cに流入したガス冷媒は、それぞれ、第1弁207b又は207cを通過した後に合流し、第1逆流防止弁209を通過して、中継機200から流出する。中継機200から流出したガス冷媒は、ガス主管41を通って熱源機100に流入する。熱源機100に流入した冷媒は、流路切替弁2を通って圧縮機1に吸入される。
【0053】
冷房主体運転において、冷房運転を行う室内機300へ流入する冷媒量と、暖房運転を行う室内機300へ流入する冷媒量と、の調整は、熱源側熱交換器3における熱交換量の調整によって実現される。要求される暖房負荷が大きくなった場合には、圧縮機1の能力が上昇されて熱源側熱交換器3から流出するガス冷媒の量が多くなり、気液分離器202から暖房運転を行う室内機300へ流入するガス冷媒の量も多くなる。他方、要求される暖房負荷が小さくなった場合には、圧縮機1の能力が低減されて熱源側熱交換器3から流出するガス冷媒の量が少なくなり、気液分離器202から暖房運転を行う室内機300へ流入するガス冷媒の量が減少する。
【0054】
(全暖房運転)
図3は、実施の形態1に係る空気調和装置1000の全暖房運転時の状態を示す冷媒回路図である。全暖房運転では、室内機300a~300cのすべてが暖房運転を行う。流路切替弁2は、圧縮機1の吐出側がガス主管41に接続されるように、冷媒流路が設定されている。
【0055】
図3に示すように、低温低圧の冷媒が圧縮機1に吸入されて圧縮され、高温高圧のガス冷媒として圧縮機1から吐出される。圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒は、流路切替弁2を通過し、ガス主管41を流れて、中継機200に流入する。
【0056】
中継機200に流入した高温高圧のガス冷媒は、第2逆流防止弁210を通過し、流路開閉装置206a~206cのそれぞれに流入する。ここで、第2弁208a~208cは開状態、第1弁207a~207cは閉状態になっている。流路開閉装置206a~206cのそれぞれに流入した冷媒は、第2弁208a~208cのそれぞれを通過し、さらにガス枝管43a~43cのそれぞれを通過して、室内機300a~300cのそれぞれに流入する。
【0057】
室内機300a~300cのそれぞれに流入したガス冷媒は、凝縮器又は放熱器として機能する負荷側熱交換器31a~31cで室内空気と熱交換して、凝縮液化する。その際、室内機300a~300cが設置された室内空間等の空調対象空間が、暖房される。室内機300a~300cのそれぞれから流出した液冷媒は、負荷側流量調整弁32a~32cのそれぞれによって、減圧される。そして、低圧の液冷媒は、液枝管44a~44cのそれぞれを通って中継機200に流入する。
【0058】
液枝管44a~44cを通って中継機200に流入した低圧の液冷媒は、配管243又は244を流れ、交差点242で合流して、配管240を流れる。ここで、全暖房運転時の冷媒の流れ方向において、開閉弁214の下流側と、第1逆流防止弁209の下流側とは連通しているが、圧縮機1の吐出側と連通する第1逆流防止弁209の下流側が高圧であるのに対し、開閉弁214を流れる冷媒は低圧である。このため、開閉弁214を流れ他冷媒が第1逆流防止弁209を通過することはない。そして、低圧の液冷媒は、開状態の開閉弁214と、逆流防止弁211とを通過して、中継機200から流出する。
【0059】
中継機200から流出した液冷媒は、液主管42を通って熱源機100に流入する。熱源機100に流入した冷媒は、熱源側流量制御弁4を通過し、蒸発器として機能する熱源側熱交換器3に流入する。低圧の液冷媒は、熱源側熱交換器3において空気等の流体と熱交換して吸熱し、蒸発ガス化する。熱源側熱交換器3を流出した低圧のガス冷媒は、流路切替弁2を通って圧縮機1に吸入される。
【0060】
ここで説明したように、全暖房運転が実施される際には、中継機200には、高温高圧のガス冷媒が、気液分離器202を通過することなく、各室内機300a~300cに流入する冷媒の経路が形成されている。ガス冷媒が気液分離器202を通過しないので、気液分離器202におけるガス冷媒の圧力損失も生じない。したがって、気液分離器202での冷媒の圧力損失による空気調和装置1000の能力低下を回避することができる。
【0061】
(暖房主体運転)
図4は、実施の形態1に係る空気調和装置1000の暖房主体運転時の状態を示す冷媒回路図である。ここでは、室内機300aで冷房運転が実施され、室内機300b及び300cで暖房運転が実施される場合を例に説明する。暖房運転の負荷が、室内機300b、300cの2台分であるのに対し、冷房運転の負荷は、室内機300aの1台分であるので、暖房運転の負荷の方が冷房運転の負荷よりも大きい。流路切替弁2は、圧縮機1の吐出側がガス主管41に接続されるように、冷媒流路が設定されている。
【0062】
図4に示すように、低温低圧の冷媒が圧縮機1に吸入されて圧縮され、高温高圧のガス冷媒として圧縮機1から吐出される。圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒は、流路切替弁2を通過し、ガス主管41を流れて、中継機200に流入する。
【0063】
中継機200に流入した高温高圧のガス冷媒は、第2逆流防止弁210を通過し、流路開閉装置206a~206cのそれぞれに流入する。ここで、第2弁208b及び208cは開状態、第2弁208aは閉状態である。また、第1弁207aは開状態、第1弁207b及び207cは閉状態である。流路開閉装置206b又は206cに流入したガス冷媒は、それぞれ、第2弁208b又は208cを通過し、ガス枝管43b又は43cを通って室内機300b又は300cに流入する。
【0064】
室内機300b又は300cに流入した高圧のガス冷媒は、それぞれ、凝縮器又は放熱器として機能する負荷側熱交換器31b又は31cで室内空気と熱交換して、凝縮液化する。その際、室内機300b又は300cが設置された室内空間等の空調対象空間が、暖房される。高圧の液冷媒は、負荷側熱交換器31b又は31cから流出して、それぞれ負荷側流量調整弁32b又は32cで低圧に減圧されて、低温低圧の気液二相状態の冷媒になる。負荷側流量調整弁32b又は32cを通過した気液二相状態の冷媒は、液枝管44b又は44cを通って、中継機200に流入し、配管243又は配管244を流れる。
【0065】
配管243又は配管244に流入した気液二相状態の冷媒の大部分は、液枝管44aを通って室内機300aに流入し、残りの冷媒は、交差点242から配管240を流れ、さらに開状態の開閉弁214を通過する。室内機300aに流入した気液二相状態の冷媒は、負荷側流量調整弁32aにおいて減圧されて、蒸発器として機能する負荷側熱交換器31aで室内空気と熱交換して、蒸発ガス化する。その際、室内機300aが設置された室内空間等の空調対象空間が、冷房される。負荷側熱交換器31aから流出したガス冷媒は、ガス枝管43aを通って流路開閉装置206aに流入する。流路開閉装置206aに流入したガス冷媒は、第1弁207aを通過し、開閉弁214を通過した気液二相状態の冷媒と合流して、気液二相状の冷媒として逆流防止弁211を通過する。逆流防止弁211を通過した気液二相状態の冷媒は、中継機200から流出する。
【0066】
中継機200から流出した気液二相状の冷媒は、液主管42を通って熱源機100に流入する。熱源機100に流入した冷媒は、熱源側流量制御弁4を通過し、蒸発器として機能する熱源側熱交換器3に流入する。熱源側熱交換器3に流入した冷媒は、熱源側熱交換器3において空気等の流体と熱交換して吸熱し、低温低圧のガス冷媒となる。熱源側熱交換器3を流出した低温低圧のガス冷媒は、流路切替弁2を通って圧縮機1に吸入される。
【0067】
ここで説明したように、暖房主体運転が実施される際には、中継機200には、高温高圧のガス冷媒が、気液分離器202を通過することなく、室内機300a~300cのいずれかに流入する冷媒の経路が形成されている。ガス冷媒が気液分離器202を通過しないので、気液分離器202におけるガス冷媒の圧力損失も生じない。したがって、気液分離器202での冷媒の圧力損失による空気調和装置1000の能力低下を回避することができる。
【0068】
以上のように、本実施の形態の空気調和装置1000は、圧縮機1、流路切替弁2及び熱源側熱交換器3を有する熱源機100と、1以上の室内機300と、中継機200とを備える。1以上の室内機300は、負荷側流量調整弁32及び負荷側熱交換器31を有し、冷房運転又は暖房運転を実施する。中継機200は、冷房運転及び暖房運転においてガス冷媒が流れるガス主管41及び冷房運転及び暖房運転において液冷媒又は気液二相冷媒が流れる液主管42によって熱源機100に接続されている。また中継機200は、ガス枝管43及び液枝管44によって室内機300に接続され、熱源機100から供給される冷媒を室内機300に供給する。さらに中継機200は、冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離させる気液分離器202と、熱源機100から室内機300に向かう冷媒の流路及び室内機300から熱源機100に向かう冷媒の流路をそれぞれ開閉する1以上の流路開閉装置206とを備える。中継機200内には、室内機300にて暖房運転が実施される場合に、熱源機100からガス主管41を通って中継機200に流入した冷媒が、気液分離器202を通過することなく流路開閉装置206に流入する冷媒の経路を有する。
【0069】
このように、本実施の空気調和装置1000は、暖房運転が実施される際には、高温高圧のガス冷媒は、気液分離器202を通過することなく、室内機300に流入する。ガス冷媒が気液分離器202を通過しないので、気液分離器202におけるガス冷媒の圧力損失も生じない。したがって、気液分離器202での冷媒の圧力損失による空気調和装置1000の能力低下を回避することができる。
【0070】
また、本実施の形態の空気調和装置1000は、1以上の室内機300は、複数の室内機300a~300cであり、流路開閉装置206は、複数の室内機300と同数の複数の流路開閉装置206a~206cである。そして、複数の室内機300a~300cのうちいずれか1以上による冷房運転と、複数の室内機300a~300cのうち他のいずれか1以上による暖房運転とが同時に実施されるように、複数の流路開閉装置206a~206cが制御される。
【0071】
本実施の形態の空気調和装置1000のこのような構成によれば、冷房運転と暖房運転とが同時に実施される冷暖同時運転が可能となるので、空気調和装置1000が設置された建物における使用者の利便性を向上させることができる。
【0072】
また、本実施の形態の空気調和装置1000の中継機200は、ガス主管41に接続された配管に設けられ、室内機300から熱源機100への冷媒の流通を許容し、熱源機100から室内機300への冷媒の流通を遮断する第1逆流防止弁209を備える。また、中継機200は、ガス主管41に接続された配管に第1逆流防止弁209と並列に設けられ、熱源機100から室内機300への冷媒の流通を許容し、室内機300から熱源機100への冷媒の流通を遮断する第2逆流防止弁210とを備える。そして、複数の流路開閉装置206a~206cのそれぞれと、気液分離器202のガス冷媒を流出させるガス流出口204とを接続する配管に、第2逆流防止弁210の冷媒の流出口と連通する配管245が接続されている。
【0073】
本実施の形態の空気調和装置1000は、上記のような第1逆流防止弁209を備えた。このため、全暖房運転又は暖房主体運転が実施される際に、圧縮機1の吐出側の流路から流路開閉装置206へと、高温かつ高圧のガス冷媒が逆流することを防止することができる。
【0074】
また、実施の形態の空気調和装置1000は、上記のような第2逆流防止弁210を備えた。このため、全冷房運転及び冷房主体運転が実施される際に、気液分離器202を通過した高圧の液状態又は気液二相状態の冷媒は、配管245に流入しても第2逆流防止弁210に流通を阻まれる。このため、気液分離器202を通過した高圧の液状態又は気液二相状態の冷媒が、第1逆流防止弁209の出口側の冷媒配管、すなわちガス主管41へと、逆流することを防止することができる。
【0075】
実施の形態2.
本実施の形態では、実施の形態1で示した回路構成に加え、圧力逃がし弁215を備えた構成を説明する。本実施の形態では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と共通する事項については適宜説明を省略する。
【0076】
図5は、実施の形態2に係る空気調和装置1000Aの全冷房運転時の状態を示す冷媒回路図である。空気調和装置1000Aは、中継機200内に、気液分離器202のガス流出口204に接続された配管と、ガス主管41に接続された配管と、を接続する配管に設けられた圧力逃がし弁215を備えている。圧力逃がし弁215は、中継機制御装置201によって開閉状態が制御される開閉弁である。圧力逃がし弁215は、第2弁208a~208cに接続された高圧ラインである配管250に接続されている。圧力逃がし弁215は、気液分離器202と第2弁208a~208cとを接続する配管250内の冷媒の圧力が、冷媒の飽和圧力以上になると開放状態になる。圧力逃がし弁215は、配管250内の冷媒の圧力が冷媒の飽和圧力未満であれば、閉止状態になる。圧力逃がし弁215は、中継機制御装置201によって開閉状態が制御される。
【0077】
(空気調和装置の動作)
空気調和装置1000Aの動作を、
図5~
図8を参照して説明する。
図5~
図8では、冷媒の流れが矢印で示されている。また、
図5~
図8に示された各開閉弁のうち、冷媒が流れない開閉弁は、黒塗りで示されている。
【0078】
(全冷房運転)
図5は、実施の形態2に係る空気調和装置1000Aの全冷房運転の状態を示す冷媒回路図である。全冷房運転では、室内機300a~300cのすべてが冷房運転を行う。
図5に示す空気調和装置1000Aは、全冷房運転において、実施の形態1で示した動作に加え、圧力逃がし弁215が次のように動作する。すなわち、圧力逃がし弁215は、気液分離器202と第2弁208a~208cとを接続する配管250内の冷媒の圧力が、冷媒の飽和圧力以上になると開放状態になる。圧力逃がし弁215は、配管250内の冷媒の圧力が冷媒の飽和圧力未満であれば、閉止状態になる。
【0079】
このように、空気調和装置1000Aの中継機200において、全冷房運転が実施される場合に、高圧ラインである配管250の圧力が、冷媒の飽和圧力以上になると開放状態になる圧力逃がし弁215を設けた。このため、空気調和装置1000Aの冷媒回路が冷媒の飽和圧力を超えることがない。したがって、空気調和装置1000Aの安全性を高めることができる。
【0080】
なお、配管250の冷媒の圧力が飽和圧力に満たない場合でも、圧力逃がし弁215は定期的に開放状態になってもよい。このようにすることで、空気調和装置1000Aの冷媒回路が冷媒の飽和圧力を超えることがない。したがって、空気調和装置1000Aの安全性を高めることができる。
【0081】
(冷房主体運転)
図6は、実施の形態2に係る空気調和装置1000Aの冷房主体運転時の状態を示す冷媒回路図である。ここでは、
図2と同様に、室内機300aで暖房運転が実施され、室内機300b及び300cで冷房運転が実施される場合を例に説明する。冷房運転の負荷が、室内機300b、300cの2台分であるのに対し、暖房運転の負荷は、室内機300aの1台分であるので、冷房運転の負荷の方が暖房運転の負荷よりも大きい。
【0082】
本実施の形態の
図6に示す冷房主体運転では、実施の形態1で示した動作に加え、圧力逃がし弁215が次のように動作する。すなわち、圧力逃がし弁215は、気液分離器202と第2弁208a~208cとを接続する配管250内の冷媒の圧力が、冷媒の飽和圧力以上になると開放状態になる。圧力逃がし弁215は、配管250内の冷媒の圧力が冷媒の飽和圧力未満であれば、閉止状態になる。
【0083】
このように、空気調和装置1000Aの中継機200において、冷房主体運転が実施される場合に、高圧ラインである配管250の圧力が、冷媒の飽和圧力以上になると開放状態になる圧力逃がし弁215を設けた。このため、空気調和装置1000Aの冷媒回路が冷媒の飽和圧力を超えることがない。したがって、空気調和装置1000Aの安全性を高めることができる。
【0084】
(全暖房運転)
図7は、実施の形態2に係る空気調和装置1000Aの全暖房運転の状態を示す冷媒回路図である。全冷暖房運転では、室内機300a~300cのすべてが暖房運転を行う。
図7に示す空気調和装置1000Aは、全暖房運転において、実施の形態1で示した動作を行う。中継機200の圧力逃がし弁215は、常に全閉状態となっている。
【0085】
(暖房主体運転)
図8は、実施の形態2に係る空気調和装置1000Aの暖房主体運転時の状態を示す冷媒回路図である。暖房主体運転では、室内機300aで冷房運転が実施され、室内機300b及び300cで暖房運転が実施される。
図8に示す空気調和装置1000Aは、暖房主体運転において、実施の形態1で示した動作を行う。中継機200の圧力逃がし弁215は、常に全閉状態となっている。
【0086】
以上のように本実施の形態の空気調和装置1000Aは、ガス主管41と気液分離器202のガス流出口204とを連通させる配管に設けられた圧力逃がし弁215を備えた。圧力逃がし弁215は、複数の室内機300の1以上で冷房運転が実施されているとき、流路開閉装置206a~206cのそれぞれと、気液分離器202のガス冷媒を流出させるガス流出口204とを接続する配管250内の冷媒圧力が当該冷媒の飽和圧力以上になると開放状態になる。このため、空気調和装置1000Aの冷媒回路が冷媒の飽和圧力を超えることがない。したがって、空気調和装置1000Aの安全性を高めることができる。
【0087】
なお、空気調和装置1000Aの圧力逃がし弁215は、全冷房運転又は冷房主体運転が実施される際、複数の流路開閉装置206a~206cのそれぞれと、気液分離器202のガス冷媒を流出させるガス流出口204とを接続する配管内の冷媒の圧力が当該冷媒の飽和圧力未満のときに、定期的に開放状態になってもよい。このようにすることで、空気調和装置1000Aの冷媒回路が冷媒の飽和圧力を超えることがない。したがって、空気調和装置1000Aの安全性を高めることができる。
【0088】
実施の形態3.
本実施の形態では、実施の形態1及び2とは異なる流路開閉装置223を備えた空気調和装置1000Bを説明する。本実施の形態の空気調和装置1000Bは、さらに、冷媒間熱交換器226を備えている。本実施の形態では、実施の形態1及び2との相違点を中心に説明し、実施の形態1及び2と共通する事項については適宜説明を省略する。
【0089】
(空気調和装置の構成)
図9は、実施の形態3に係る空気調和装置1000Bの全冷房運転時の状態を示す冷媒回路図である。空気調和装置1000Bは、熱源機100と、室内機300a~300cと、中継機200とが接続されて構成されている。熱源機100は、室内機300a~300cのそれぞれに熱を供給する機能を有している。室内機300a~300cは、互いに並列に接続されている。室内機300a~300cは、熱源機100から供給される熱によって、室内等の空調対象空間を冷房又は暖房する機能を有している。中継機200は、熱源機100と室内機300a~300cとの間に介在し、室内機300a~300cからの要求に応じて熱源機100から供給される冷媒の流れを切替えて室内機300a~300cに供給する機能を有している。
【0090】
熱源機100と中継機200とは、ガス主管41と液主管42という合計2本の冷媒配管で接続されており、いわゆる液ガス管方式の接続態様で接続されている。ガス主管41は、冷房運転及び暖房運転の両方においてガス冷媒が流れる配管である。液主管42は、冷房運転及び暖房運転の両方において液冷媒又は気液二相冷媒が流れる配管である。中継機200と室内機300a~300cとは、それぞれ、合計2本の冷媒配管で接続されている。具体的に、中継機200と室内機300aとは、ガス枝管43aと液枝管44aとで接続されている。中継機200と室内機300bとは、ガス枝管43bと液枝管44bとで接続されている。中継機200と室内機300cとは、ガス枝管43cと液枝管44cとで接続されている。ガス枝管43a~43cには、主にガス状態の冷媒が流れる。液枝管44a~44cには、主に液状態又は気液二相状態の冷媒が流れる。
【0091】
熱源機100及び室内機300の構成は、実施の形態1及び2と同じである。
【0092】
(中継機200)
中継機200は、中継機制御装置201と、気液分離器202と、流路開閉装置223a~223cとを備えている。流路開閉装置223a~223cは、室内機300a~300cと一対一に対応して設けられており、本実施の形態では合計3つの流路開閉装置223a~223cが設けられている。さらに本実施の形態の中継機200は、低圧管220と、高圧管221と、折り返し管222a及び222bと、冷媒間熱交換器226と、第1逆流防止弁229と、第2逆流防止弁230と、第3逆流防止弁231とを備える。
【0093】
低圧管220は、ガス主管41に接続された配管に、第1逆流防止弁229を介して接続された配管である。低圧管220は、流路開閉装置223a~223cのそれぞれに設けられた第1弁224a~224bを介して、室内機300a~300cのそれぞれと接続されている。
【0094】
高圧管221は、ガス主管41に接続された配管に、第2逆流防止弁230を介して接続された配管である。高圧管221は、流路開閉装置223a~223cのそれぞれに設けられた第2弁225a~225bを介して、室内機300a~300cのそれぞれと接続されている。
【0095】
折り返し管222a及び222bは、室内機300a~300cのそれぞれと接続された配管である。折り返し管222aは、室内機用第1逆流防止弁236a~236cのそれぞれを介して、液枝管44a~44cのそれぞれと接続されている。室内機用第1逆流防止弁236a~236cは、折り返し管222aから室内機300a~300cのそれぞれへの冷媒の流通を許容し、その逆方向への冷媒の流通を遮断する。折り返し管222aは、配管を介して折り返し管222b及び冷媒間熱交換器226に接続されている。折り返し管222bは、室内機用第2逆流防止弁237a~237cのそれぞれを介して、液枝管44a~44cのそれぞれと接続されている。室内機用第2逆流防止弁237a~237cは、室内機300a~300cのそれぞれから折り返し管222bへの冷媒の流通を許容し、その逆方向への冷媒の流通を遮断する。
【0096】
第1逆流防止弁229は、ガス主管41に接続された配管に設けられ、室内機300から熱源機100への冷媒の流通を許容し、熱源機100から室内機300への冷媒の流通を遮断する。第1逆流防止弁229は、全暖房運転及び暖房主体運転が実施される際に、圧縮機1の吐出側の流路から流路開閉装置206へと、高温かつ高圧のガス冷媒が逆流することを防止するものである。
【0097】
第2逆流防止弁230は、ガス主管41に接続された配管に、第1逆流防止弁229と並列に設けられ、熱源機100から室内機300への冷媒の流通を許容し、室内機300から熱源機100への冷媒の流通を遮断する。第2逆流防止弁230は、全冷房運転及び冷房主体運転が実施される際に、気液分離器202を通過した高圧の液状態又は気液二相状態の冷媒が、第1逆流防止弁229の出口側の冷媒配管、すなわちガス主管41へと、逆流することを防止するものである。
【0098】
流路開閉装置223a~223cは、それぞれ、熱源機100から室内機300a~300cに向かう冷媒の流路及び室内機300a~300cから熱源機100に向かう冷媒の流路をそれぞれ開閉する装置である。流路開閉装置223aは、第1弁224a及び第2弁225aを備え、流路開閉装置223bは、第1弁224b及び第2弁225bを備え、流路開閉装置223cは、第1弁224c及び第2弁225cを備えている。なお、これ以降の説明において、流路開閉装置223a~223cに共通する事項を説明するときには、流路開閉装置223a~223cを流路開閉装置223と称する。流路開閉装置223a~223cというときには、単数と複数の両方を含むものとする。また、第1弁224a~224cに共通する事項を説明するときには、第1弁224a~224cを第1弁224と称する。第1弁224というときには、単数と複数の両方を含むものとする。また、第2弁225a~225cに共通する事項を説明するときには、第2弁225a~225cを第2弁225と称する。第2弁225というときには、単数と複数の両方を含むものとする。
【0099】
流路開閉装置223は、室内機300に対し、並列に接続された第1弁224と第2弁225とを有する。第1弁224は、低圧管220に接続されている。第1弁224は、第1逆流防止弁229とガス枝管43との間の流路を開閉する。第1弁224は、室内機300から熱源機100に向かって流れる冷媒の流路を開閉する開閉弁である。第2弁225は、高圧管221に接続されている。第2弁225は、第2逆流防止弁230とガス枝管43との間の流路を開閉する。第2弁225は、熱源機100から室内機300に向かって流れる冷媒の流路を開閉する開閉弁である。第1弁224及び第2弁225は、例えば電磁弁、又は全閉機能を有する開度調整可能な絞り弁であるが、流路の開閉が可能であれば具体的な弁の構造は限定されない。第1弁224と第2弁225は、一方が開状態のときには他方が閉状態となり、両方が開状態となることはない。
【0100】
冷媒間熱交換器226は、中継機200内を流れる冷媒と冷媒とを熱交換させる。具体的に、冷媒間熱交換器226は、気液分離器202の液流出口205と折り返し管222a及び222bとの間を接続する配管に設けられている。冷媒間熱交換器226と折り返し管222a及び222bとの間にある分岐部228から、分岐配管227が分岐して、冷媒間熱交換器226の冷媒の流路となっている。分岐配管227には、分岐部228と冷媒間熱交換器226との間に、第3開閉弁234が設けられている。冷媒間熱交換器226を出た分岐配管227は、高圧管221に接続している。具体的に、分岐配管227の端部は、第2逆流防止弁230の出口側の高圧管221に接続している。分岐配管227において、冷媒間熱交換器226と高圧管221との接続部との間から、配管262が分岐している。配管262は、低圧管220と第1逆流防止弁229とを接続する配管に接続されている。冷媒間熱交換器226では、配管260を流れる冷媒と、分岐配管227を流れる冷媒とで熱交換が行われる。
【0101】
第3開閉弁234は、例えば開度を調整可能な電気式膨張弁で構成されている。第3開閉弁234の動作は、中継機制御装置201によって制御される。
【0102】
折り返し管222a及び222bと液主管42とを、気液分離器202及び冷媒間熱交換器226を介して接続する配管260には、第1開閉弁232が設けられている。第1開閉弁232は、配管260における冷媒の流路を開閉する。第1開閉弁232は、例えば開度を調整可能な電気式膨張弁等で構成されている。第1開閉弁232の動作は、中継機制御装置201によって制御される。
【0103】
分岐配管227のうち、分岐配管227から配管262が分岐した位置と、高圧管221に接続された端部との間の部分を、配管261と称する。配管261には、第3逆流防止弁231が設けられている。第3逆流防止弁231は、冷媒間熱交換器226の分岐配管227から高圧管221への冷媒の流通を許容し、その逆方向への冷媒の流通を遮断する。
【0104】
配管262には、弁圧制御用開閉弁235が設けられている。全冷房運転時には、室内機300へと流入しようとする高圧の冷媒が、閉状態の第3開閉弁234を押してこれを通過し、配管261を通って高圧管221に流入しうる。ところが、高圧管221に流入した冷媒は、第2逆流防止弁230によって流れ方向を失い、昇圧し、凝縮圧力を超えることで、液冷媒となる場合がある。そこで、第3開閉弁234の下流側において配管261に並行に設けられた配管262に、弁圧制御用開閉弁235を設けている。そして、弁圧制御用開閉弁235を、配管261を流れる冷媒の圧力が凝縮圧力を超えないように開閉する。これにより、高圧管221への液冷媒の溜まり込みを抑制することができる。弁圧制御用開閉弁235の開度は、中継機制御装置201によって制御される。
【0105】
気液分離器202のガス流出口204に接続された配管263は、配管262の、第1逆流防止弁229と弁圧制御用開閉弁235との間に接続されている。配管263には、第2開閉弁233が設けられている。第2開閉弁233は、配管263における冷媒の流路を開閉する。第2開閉弁233は、例えば開度を調整可能な電気式膨張弁等で構成されている。第2開閉弁233の動作は、中継機制御装置201によって制御される。
【0106】
第3逆流防止弁231は、配管261に設けられ、冷媒間熱交換器226の分岐配管227から高圧管221に向かう冷媒の流通を許容し、その逆方向への冷媒の流通を遮断する。
【0107】
(空気調和装置の動作)
空気調和装置1000Bの動作を、
図9~
図12を参照して説明する。
図9~
図12では、冷媒の流れが矢印で示されている。また、
図9~
図12に示された各開閉弁のうち、冷媒が流れない開閉弁は、黒塗りで示されている。
【0108】
(全冷房運転)
全冷房運転では、室内機300a~300cのすべてが冷房運転を行う。流路切替弁2は、圧縮機1の吐出側が熱源側熱交換器3に接続されるように、冷媒流路が設定されている。
図9に示すように、低温低圧の冷媒が圧縮機1に吸入されて圧縮され、高温高圧のガス冷媒として圧縮機1から吐出される。圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒は、流路切替弁2を通り、凝縮器又は放熱器として機能する熱源側熱交換器3において空気等の流体と熱交換して凝縮液化する。高圧の液冷媒は、その後、熱源側流量制御弁4を通って、液主管42を流れ、中継機200に流入する。中継機200に流入した冷媒は、流入口203から気液分離器202内に至る。
【0109】
気液分離器202に流入した高圧の液冷媒は、液流出口205から流出して、冷媒間熱交換器226を流れる。第3開閉弁234は閉状態であり、冷媒は分岐配管227には流れない。弁圧制御用開閉弁235は、上述のように、配管261の冷媒が凝縮圧力を超えないように開度が制御されている。冷媒間熱交換器226から流出した冷媒は、配管260に設けられた開状態の第1開閉弁232を通過し、折り返し管222aに流入する。折り返し管222aに流入した冷媒は、室内機用第1逆流防止弁236a~236cのいずれかを通り、液枝管44a~44cのいずれかを流れる。液枝管44a~44cのそれぞれを流れる冷媒は、室内機300a~300cのそれぞれに流入する。
【0110】
室内機300a~300cに流入した冷媒は、それぞれ、負荷側流量調整弁32a~32cによって、減圧される。減圧された冷媒は、蒸発器として機能する負荷側熱交換器31a~31cに流入し、負荷側熱交換器31a~31cで室内空気と熱交換して蒸発ガス化する。その際、室内機300a~300cが設置された室内空間等の空調対象空間が、冷房される。そして、ガス状態となった冷媒は、それぞれ、ガス枝管43a~43cを通って中継機200の流路開閉装置223a~223cに流入する。
【0111】
第1弁224a~224bは開状態、第2弁225a~225bは閉状態になっている。流路開閉装置223a~223cのそれぞれに流入した冷媒は、第1弁224a~224bのそれぞれを通過し、さらに第1逆流防止弁229を通過して、中継機200から流出する。中継機200から流出したガス冷媒は、ガス主管41を通って熱源機100に流入する。熱源機100に流入した冷媒は、流路切替弁2を通って圧縮機1に吸入される。
【0112】
(冷房主体運転)
図10は、実施の形態3に係る空気調和装置1000Bの冷房主体運転時の状態を示す冷媒回路図である。ここでは、室内機300aで暖房運転が実施され、室内機300b及び300cで冷房運転が実施される場合を例に説明する。冷房運転の負荷が、室内機300b、300cの2台分であるのに対し、暖房運転の負荷は、室内機300aの1台分であるので、冷房運転の負荷の方が暖房運転の負荷よりも大きい。流路切替弁2は、圧縮機1の吐出側が熱源側熱交換器3に接続されるように、冷媒流路が設定されている。
【0113】
図10に示すように、低温低圧の冷媒が圧縮機1に吸入されて圧縮され、高温高圧のガス冷媒として圧縮機1から吐出される。圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒は、流路切替弁2を通り、凝縮器又は放熱器として機能する熱源側熱交換器3において空気等の流体と熱交換して気液二相状態になる。高圧の気液二相状態の冷媒は、その後、熱源側流量制御弁4を通って、液主管42を流れ、中継機200に流入する。中継機200に流入した液冷媒は、流入口203から気液分離器202内に至る。気液分離器202において冷媒は、ガス状態の冷媒と液状態の冷媒とに分離される。
【0114】
気液分離器202の液流出口205から流出した液状態の冷媒は、冷媒間熱交換器226を通過する。冷媒間熱交換器226を通過した冷媒の一部は、分岐部228から分岐配管227に流れ、残りの冷媒は配管260に設けられた第1開閉弁232に向かって流れる。冷媒間熱交換器226の下流側から分岐配管227に流れる冷媒の量は、第3開閉弁234の開度によって調整される。弁圧制御用開閉弁235は、閉状態である。
【0115】
分岐配管227及び配管261を流れた冷媒は、第3逆流防止弁231を通過し、高圧管221に流入する。高圧管221に流入した冷媒は、開状態の第1弁224aを通過し、さらにガス枝管43aを通過して、室内機103aに流入する。室内機103aに流入した冷媒は、凝縮器又は放熱器として機能する負荷側熱交換器31aで室内空気と熱交換して、凝縮液化する。その際、室内機300aが設置された室内空間等の空調対象空間が、暖房される。高圧の液冷媒は、負荷側熱交換器31aから流出して、負荷側流量調整弁32aを通過する。負荷側流量調整弁32aは全開状態であるが、負荷側流量調整弁32aを通過するときに冷媒が若干減圧される。負荷側流量調整弁32aを通過した冷媒は、液枝管44aを通って、中継機200に流入する。
【0116】
中継機200に流入した冷媒は、室内機用第2逆流防止弁237aを通って折り返し管222bに流入し、配管260の第1開閉弁232を通過した冷媒と合流する。合流した冷媒は、折り返し管222aに流れる。
【0117】
折り返し管222aに流入した冷媒は、室内機用第1逆流防止弁236b又は236cを通り、液枝管44b又は44cを流れる。液枝管44b又は44cのそれぞれを流れる冷媒は、室内機300b又は300cに流入する。
【0118】
室内機300b又は300cに流入した冷媒は、それぞれ、負荷側流量調整弁32b又は32cによって、減圧される。減圧された冷媒は、蒸発器として機能する負荷側熱交換器31b及び31cに流入し、負荷側熱交換器31b及び31cで室内空気と熱交換して蒸発ガス化する。その際、室内機300b及び300cが設置された室内空間等の空調対象空間が、冷房される。そして、ガス状態となった冷媒は、それぞれ、ガス枝管43b又は43cを通って中継機200の流路開閉装置223b又は223cに流入する。
【0119】
流路開閉装置223b又は223cに流入したガス冷媒は、それぞれ、第1弁224b又は224cを通過した後に低圧管220で合流し、第1逆流防止弁229を通過して、中継機200から流出する。中継機200から流出したガス冷媒は、ガス主管41を通って熱源機100に流入する。熱源機100に流入した冷媒は、流路切替弁2を通って圧縮機1に吸入される。
【0120】
冷房主体運転において、冷房運転を行う室内機300へ流入する冷媒量と、暖房運転を行う室内機300へ流入する冷媒量と、の調整は、熱源側熱交換器3における熱交換量によって調整される。要求される暖房負荷が大きくなった場合には、圧縮機1の能力が上昇されて、気液分離器202から暖房運転を行う室内機300へ流入するガス冷媒の量が多くなる。他方、要求される暖房負荷が小さくなった場合には、圧縮機1の能力が低減されて、気液分離器202から暖房運転を行う室内機300へ流入するガス冷媒の量が減少する。
【0121】
(全暖房運転)
図11は、実施の形態3に係る空気調和装置1000Bの全暖房運転時の状態を示す冷媒回路図である。全暖房運転では、室内機300a~300cのすべてが暖房運転を行う。流路切替弁2は、圧縮機1の吐出側がガス主管41に接続されるように、冷媒流路が設定されている。
【0122】
図11に示すように、低温低圧の冷媒が圧縮機1に吸入されて圧縮され、高温高圧のガス冷媒として圧縮機1から吐出される。圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒は、流路切替弁2を通過し、ガス主管41を流れて、中継機200に流入する。
【0123】
中継機200に流入した高温高圧のガス冷媒は、第2逆流防止弁230を通過し、高圧管221に流入する。高圧管221に流入した冷媒は、流路開閉装置223a~223cのそれぞれに流入する。ここで、第2弁225a~225cは開状態、第1弁224a~224cは閉状態になっている。流路開閉装置223a~223cのそれぞれに流入した冷媒は、第1弁224a~224cのそれぞれを通過し、さらにガス枝管43a~43cのそれぞれを通過して、室内機300a~300cのそれぞれに流入する。
【0124】
室内機300a~300cのそれぞれに流入したガス冷媒は、それぞれ、凝縮器又は放熱器として機能する負荷側熱交換器31a~31cで室内空気と熱交換して、凝縮液化する。その際、室内機300a~300cが設置された室内空間等の空調対象空間が、暖房される。室内機300a~300cのそれぞれから流出した液冷媒は、負荷側流量調整弁32a~32cのそれぞれによって、減圧される。そして、低圧の液冷媒は、それぞれ、液枝管44a~44cを通って中継機200に流入する。
【0125】
液枝管44a~44cを通って中継機200に流入した低圧の液冷媒は、室内機用第2逆流防止弁237a~237cを通り、折り返し管222bに流入する。折り返し管222bに流入した冷媒は、第1開閉弁232を通り、冷媒間熱交換器226を通過し、液流出口205から気液分離器202内に至る。第3開閉弁234及び弁圧制御用開閉弁235は閉状態である。気液分離器202内に流入した低圧の液冷媒は、中継機200から流出する。
【0126】
中継機200から流出した液冷媒は、液主管42を通って熱源機100に流入する。熱源機100に流入した冷媒は、熱源側流量制御弁4を通過し、蒸発器として機能する熱源側熱交換器3に流入する。低圧の液冷媒は、熱源側熱交換器3において空気等の流体と熱交換して吸熱し、蒸発ガス化する。熱源側熱交換器3を流出した低圧のガス冷媒は、流路切替弁2を通って圧縮機1に吸入される。
【0127】
ここで説明したように、全暖房運転が実施される際には、高温高圧のガス冷媒は、気液分離器202を通過することなく、各室内機300a~300cに流入する。ガス冷媒が気液分離器202を通過しないので、気液分離器202におけるガス冷媒の圧力損失も生じない。したがって、気液分離器202での冷媒の圧力損失による空気調和装置1000Bの能力低下を回避することができる。
【0128】
(暖房主体運転)
図12は、実施の形態3に係る空気調和装置1000Bの暖房主体運転時の状態を示す冷媒回路図である。ここでは、室内機300aで冷房運転が実施され、室内機300b及び300cで暖房運転が実施される場合を例に説明する。暖房運転の負荷が、室内機300b、300cの2台分であるのに対し、冷房運転の負荷は、室内機300aの1台分であるので、暖房運転の負荷の方が冷房運転の負荷よりも大きい。流路切替弁2は、圧縮機1の吐出側がガス主管41に接続されるように、冷媒流路が設定されている。
【0129】
図12に示すように、低温低圧の冷媒が圧縮機1に吸入されて圧縮され、高温高圧のガス冷媒として圧縮機1から吐出される。圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒は、流路切替弁2を通過し、ガス主管41を流れて、中継機200に流入する。
【0130】
中継機200に流入した高温高圧のガス冷媒は、第2逆流防止弁230を通過し、流路開閉装置223a~223cのそれぞれに流入する。ここで、第1弁224b及び224cは閉状態、第1弁224aは開状態である。また、第2弁225aは閉状態、第2弁225b及び225cは開状態である。流路開閉装置223b又は223cに流入したガス冷媒は、それぞれ、第2弁225b又は225cを通過し、ガス枝管43b又は43cを通って室内機300b又は300cに流入する。
【0131】
室内機300b又は300cに流入した高圧のガス冷媒は、それぞれ、凝縮器又は放熱器として機能する負荷側熱交換器31b又は31cで室内空気と熱交換して、凝縮液化する。その際、室内機300b又は300cが設置された室内空間等の空調対象空間が、暖房される。高圧の液冷媒は、負荷側熱交換器31b又は31cから流出して、それぞれ負荷側流量調整弁32b又は32cで低圧に減圧されて、低温低圧の気液二相状態の冷媒になる。負荷側流量調整弁32b又は32cを通過した二相状態の冷媒は、液枝管44b又は44cを通って、中継機200に流入する。
【0132】
液枝管44b又は44cを通って中継機200に流入した低圧の液冷媒は、室内機用第2逆流防止弁237b又は237cを通り、折り返し管222bに流入する。折り返し管222bに流入した冷媒の一部は、第1開閉弁232を通り、冷媒間熱交換器226を通過し、液流出口205から気液分離器202内に至る。第3開閉弁234及び弁圧制御用開閉弁235は閉状態である。折り返し管222bに流入した冷媒の残りは、折り返し管222a及び室内機用第1逆流防止弁236aを通過する。
【0133】
室内機用第1逆流防止弁236aを通過した気液二相状態の冷媒は、液枝管44aを通って室内機300aに流入する。室内機300aに流入した気液二相状態の冷媒は、負荷側流量調整弁32aにおいて減圧されて、蒸発器として機能する負荷側熱交換器31aで室内空気と熱交換して、蒸発ガス化する。その際、室内機300aが設置された室内空間等の空調対象空間が、冷房される。負荷側熱交換器31aから流出したガス冷媒は、ガス枝管43aを通って流路開閉装置223aに流入する。流路開閉装置223aに流入したガス冷媒は、第1弁224aを通過し、低圧管220を流れる。低圧管220を流れた冷媒は、配管262の第2開閉弁233を通過し、ガス流出口204を通って気液分離器202内に流入する。気液分離器202内の冷媒は、中継機200から流出する。
【0134】
中継機200から流出した二相冷媒は、液主管42を通って熱源機100に流入する。熱源機100に流入した冷媒は、熱源側流量制御弁4を通過し、蒸発器として機能する熱源側熱交換器3に流入する。低圧のガス冷媒は、熱源側熱交換器3において空気等の流体と熱交換して吸熱し、低温低圧のガス冷媒となる。熱源側熱交換器3を流出した低温低圧のガス冷媒は、流路切替弁2を通って圧縮機1に吸入される。
【0135】
ここで説明したように、暖房主体運転が実施される際には、高温高圧のガス冷媒は、気液分離器202を通過することなく、室内機300a~300cのいずれかに流入する。ガス冷媒が気液分離器202を通過しないので、気液分離器202におけるガス冷媒の圧力損失も生じない。したがって、気液分離器202での冷媒の圧力損失による空気調和装置1000の能力低下を回避することができる。
【0136】
実施の形態1~3では、熱源機制御装置5、中継機制御装置201及び室内機制御装置33のそれぞれによって空気調和装置1000~1000Bの構成部材が制御される例を示した。空気調和装置1000~1000Bの構成部材を制御する制御装置の物理的な配置は、実施の形態1~3で図示した例に限定されない。例えば、熱源機100に設けられた制御装置によって、熱源機100、中継機200及び室内機300の構成部材が制御されてもよい。
【符号の説明】
【0137】
1 圧縮機、2 流路切替弁、3 熱源側熱交換器、4 熱源側流量制御弁、5 熱源機制御装置、31 負荷側熱交換器、31a 負荷側熱交換器、31b 負荷側熱交換器、31c 負荷側熱交換器、32 負荷側流量調整弁、32a 負荷側流量調整弁、32b 負荷側流量調整弁、32c 負荷側流量調整弁、33 室内機制御装置、33a 室内機制御装置、33b 室内機制御装置、33c 室内機制御装置、41 ガス主管、42 液主管、43 ガス枝管、43a ガス枝管、43b ガス枝管、43c ガス枝管、44 液枝管、44a 液枝管、44b 液枝管、44c 液枝管、100 熱源機、101 室外機、103a 室内機、107 第1弁、107a 第1弁、107b 第1弁、107c 第1弁、200 中継機、201 中継機制御装置、202 気液分離器、203 流入口、204 ガス流出口、205 液流出口、206 流路開閉装置、206a 流路開閉装置、206b 流路開閉装置、206c 流路開閉装置、208 第2弁、208a 第2弁、208b 第2弁、208c 第2弁、209 第1逆流防止弁、210 第2逆流防止弁、211 逆流防止弁、212 逆流防止弁、213 開閉弁、214 開閉弁、215 圧力逃がし弁、220 低圧管、221 高圧管、222a 折り返し管、222b 折り返し管、223 流路開閉装置、223a 流路開閉装置、223b 流路開閉装置、223c 流路開閉装置、224 第1弁、224a 第1弁、224b 第1弁、224c 第1弁、225 第2弁、225a 第2弁、225b 第2弁、225c 第2弁、226 冷媒間熱交換器、227 分岐配管、228 分岐部、229 第1逆流防止弁、230 第2逆流防止弁、231 第3逆流防止弁、232 第1開閉弁、233 第2開閉弁、234 第3開閉弁、235 弁圧制御用開閉弁、236a 室内機用第1逆流防止弁、236b 室内機用第1逆流防止弁、236c 室内機用第1逆流防止弁、237a 室内機用第2逆流防止弁、237b 室内機用第2逆流防止弁、237c 室内機用第2逆流防止弁、240 配管、241 配管、242 交差点、243 配管、244 配管、250 配管、260 配管、261 配管、262 配管、263 配管、300 室内機、300a 室内機、300b 室内機、300c 室内機、1000 空気調和装置、1000A 空気調和装置、1000B 空気調和装置。