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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-03
(45)【発行日】2025-07-11
(54)【発明の名称】画像取得装置、及び、画像取得方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/89 20200101AFI20250704BHJP
   G01B 11/25 20060101ALI20250704BHJP
   G01S 7/481 20060101ALI20250704BHJP
【FI】
G01S17/89
G01B11/25 H
G01S7/481 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2025526616
(86)(22)【出願日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 JP2023040319
【審査請求日】2025-05-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岐 航
(72)【発明者】
【氏名】今城 勝治
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/136801(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/218282(WO,A1)
【文献】特開2019-120643(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0068268(US,A1)
【文献】大田 和樹 ほか,シフトパターン変調によるシングルピクセルイメージング,2019年 第80回応用物理学会秋季学術講演会[講演予稿集],日本,公益社団法人応用物理学会[DVD-ROM],2019年04月04日,Page: 03-263,ISBN: 978-4-86348-715-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - 7/51
17/00 - 17/95
G01B 11/00 - 11/30
G01C 3/00 - 3/32
G01N 21/00 - 21/01
21/17 - 21/61
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の区画を用いて形成されている2次元パターンが付与された照明パターン、及び、当該照明パターンを照射面に沿ってシフトさせたシフト照明パターン、を計測対象に照射する、照明システム部と、
前記照明システム部により前記照明パターン及び前記シフト照明パターンが前記計測対象に照射された場合における前記計測対象からの光を、単画素光検出器を介して受光する、受信部と、
前記受信部により受光された光に基づく受信信号を取得し、前記計測対象が前記照明パターン上を通った場合における受信信号の変化及び前記計測対象が前記シフト照明パターン上を通った場合における受信信号の変化に基づいて、前記計測対象の2次元画像を生成する、信号処理部と、
を備えた画像取得装置。
【請求項2】
前記照明システム部は、
光源部と、
前記光源部から射出された光に2次元パターンを付与するパターン生成部と、
前記パターン生成部により2次元パターンを付与された光を計測対象上に投影する照明光学系と、
前記照明光学系によって生成される照明パターンをシフトさせる照明パターンシフト部と、
を備え、
前記パターン生成部は、前記光源部から射出された光に単一の前記2次元パターンを付与する静的な構造により構成されており、
前記照明システム部は、前記照明パターンと、前記照明パターンシフト部により前記照明パターンをシフトさせた一つ以上のシフト照明パターンとを、時間経過に応じて切り替えながら照射する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像取得装置。
【請求項3】
移動する前記計測対象を計測するように前記画像取得装置が設置された状態において、前記照明パターンのシフト方向は、前記計測対象の移動方向に対する垂直方向であり、
前記照明システム部が照射する前記照明パターン及び前記シフト照明パターンは、
前記計測対象の移動速度がv、
前記照明パターンにおける前記計測対象の移動方向に対する垂直方向の区画間隔がd
前記照明パターンにおける前記計測対象の移動方向に対する水平方向の区画間隔がd
前記信号処理部から出力される2次元画像の垂直方向の画素間隔に相当する計測対象上での長さがd’
前記信号処理部から出力される2次元画像の水平方向の画素間隔に相当する計測対象上での長さがd’
係数ρyがρ=d/d’
係数ρがρ=d/d’
と定義される場合に、
前記シフト照明パターンの数Nは、N>=2*ρ-1という条件を満たし、
前記シフト照明パターンの垂直方向のシフト間隔Δdは、Δd<=d/ρという関係を満たし、
前記シフト照明パターンの垂直方向の最大シフト距離dy,maxは、dy,max>=Δd*Nという関係を満たし、
前記計測対象が前記照明パターンの1区画を通過する間の信号取得回数Nは、N>=ρ*(N+1)回という関係を満たす、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像取得装置。
【請求項4】
前記照明システム部が照射する前記照明パターンは、
前記照明パターンの垂直方向の区画数がM
前記照明パターンの水平方向の区画数がM
前記信号処理部から出力される2次元画像の垂直方向の画素数がM’
前記信号処理部から出力される2次元画像の水平方向の画素数がM’
と定義される場合に、
前記照明パターンの垂直方向の区画数Mは、M>=M’/ρ+dy,max/dという関係を満たし、
前記照明パターンの水平方向の区画数Mは、M>>M’/ρという関係を満たす、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像取得装置。
【請求項5】
前記係数ρと前記係数ρのいずれかが2以上であり、
前記信号処理部は、前記受信信号に対して、当該受信信号に基づく画像の解像度を向上させる解像度向上処理を施す、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像取得装置。
【請求項6】
前記計測対象と前記照明パターンの水平方向の相対位置と、前記計測対象と前記シフト照明パターンの水平方向の相対位置とは、
前記照明パターンと前記シフト照明パターンとの切り替えに伴って変化しない、
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の画像取得装置。
【請求項7】
前記シフト照明パターンのシフト方向を変化させるパターン移動部を備えた、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像取得装置。
【請求項8】
前記照明システム部は、
光源部と、
前記光源部から射出された光に2次元パターンを付与するパターン生成部と、
前記パターン生成部により2次元パターンを付与された光を計測対象上に投影する照明光学系と、
前記照明光学系によって生成される照明パターンをシフトさせる照明パターンシフト部と、
を備え、
前記受信部は、前記照明システム部により前記照明パターン及び前記シフト照明パターンが前記計測対象に照射された場合における前記計測対象からの光を受光する、複数の前記単画素光検出器を備え、
前記パターン生成部は、前記光源部から射出された光に単一の前記2次元パターンを付与する静的な構造により構成されており、
前記照明システム部は、前記照明パターンと、前記照明パターンシフト部により前記照明パターンをシフトさせた一つ以上のシフト照明パターンとを、同時に照射し、
複数の前記単画素光検出器は、前記照明パターンと前記シフト照明パターンとをそれぞれ別に検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像取得装置。
【請求項9】
移動する前記計測対象を計測するように前記画像取得装置が設置された状態において、前記照明パターンのシフト方向は、前記計測対象の移動方向に対する垂直方向であり、
前記照明システム部が照射する前記照明パターン及び前記シフト照明パターンは、
前記計測対象の移動速度がv、
前記照明パターンにおける前記計測対象の移動方向に対する垂直方向の区画間隔がd
前記照明パターンにおける前記計測対象の移動方向に対する水平方向の区画間隔がd
前記信号処理部から出力される2次元画像の垂直方向の画素間隔に相当する計測対象上での長さがd’
前記信号処理部から出力される2次元画像の水平方向の画素間隔に相当する計測対象上での長さがd’
係数ρがρ=d/d’
係数ρがρ=d/d’x、
と定義された場合に、
前記シフト照明パターンの数Nは、N>=2*ρ-1という条件を満たし、
前記シフト照明パターンの垂直方向のシフト間隔Δdは、Δd<=d/ρという関係を満たし、
前記シフト照明パターンの垂直方向の最大シフト距離dy,maxは、dy,max>=Δd*Nという関係を満たす
ことを特徴とする請求項8に記載の画像取得装置。
【請求項10】
前記照明システム部が照射する前記照明パターンは、
前記照明パターンの垂直方向の区画数をM
前記照明パターンの水平方向の区画数をM
前記信号処理部から出力される2次元画像の垂直方向の画素数をM’
前記信号処理部から出力される2次元画像の水平方向の画素数をM’
と定義された場合に、
前記照明パターンの垂直方向の区画数Mは、M>=M’/ρ+dy,max/dという関係を満たし、
前記照明パターンの垂直方向の区画数Mは、M>>M’/ρという関係を満たす、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像取得装置。
【請求項11】
前記係数ρと前記係数ρのいずれかが2以上であり、
前記信号処理部は、前記受信信号に対して、当該受信信号に基づく画像の解像度を向上させる解像度向上処理を施す、
ことを特徴とする請求項10に記載の画像取得装置。
【請求項12】
画像取得装置による画像取得方法であって、
前記画像取得装置が、複数の区画を用いて形成されている2次元パターンが付与された照明パターン、及び、当該照明パターンをパターン面に沿ってシフトさせたシフト照明パターン、を計測対象に照射し、
前記画像取得装置が、前記照明パターン及び前記シフト照明パターンが照射された前記計測対象からの光を、単画素光検出器を介して受光し、
前記画像取得装置が、前記単画素光検出器を介して受光された光に基づく受信信号を取得し、前記計測対象が前記照明パターン上を通った場合における受信信号の変化及び前記計測対象が前記シフト照明パターン上を通った場合における受信信号の変化に基づいて、前記計測対象の2次元画像を生成する、
画像取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示技術は、2次元パターンを用いて形成した照明パターンを照射して計測対象の画像を取得する画像取得技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像取得技術の中には、シングルピクセルイメージング(Single pixel imaging: SPI)と呼ばれる技術がある。SPIでは多数の2次元の照明パターンを計測対象へ照射し、計測対象からの反射光・散乱光を単画素検出器で記録する。照明した2次元パターンと受信信号強度とを対応付け、その情報に信号処理を掛けることで、単画素検出器のみを用いているにも関わらず、計測対象の2次元画像を取得できる。SPIは、2次元アレイ検出器が高価もしくは実現困難な波長帯において特に有用な技術である一方、多数の2次元パターンを生成するために、DMD(Digital Micromirror device)といった、表示パターンを動的に制御可能な空間光変調器を要する。
【0003】
これに対し、非特許文献1には、等速移動する計測対象に対して、単一の照明パターンを照射するだけで、計測対象の2次元画像を取得する技術が記載されている。計測対象の等速移動に伴って、計測対象と照明パターンとの位置関係が変化する。これにより、計測対象に照射される見かけの照明パターン(以下、照明フレームとも記載する)が変化するため、一般的なSPIと同様の原理で2次元画像を取得できる。この構成では、単一の照明パターンで十分となるため、照明パターンを動的に変化させる必要がなくなり、DMDなどの空間光変調器が不要になる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Ota et al., Science 360, 1246-1251 (2018)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、非特許文献1に示されるような構成でSPIを行う場合、見かけの照明パターン(照明フレーム)の数は、照明パターンの計測対象移動方向の長さに比例するため、画像取得精度を確保するために照明フレーム数を増やすほど、照明パターンのサイズが増大してしまうといった課題があった。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するもので、単一の照明パターンを用いて計測対象の2次元画像を取得する場合において、照明パターンのサイズが増大してしまうことを抑制しつつ、見かけの照明パターン(照明フレーム)の数を増加させる技術を提供する、ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の画像取得装置は、
複数の区画を用いて形成されている2次元パターンが付与された照明パターン、及び、当該照明パターンを照射面に沿ってシフトさせたシフト照明パターン、を計測対象に照射する、照明システム部と、
前記照明システム部により前記照明パターン及び前記シフト照明パターンが前記計測対象に照射された場合における前記計測対象からの光を、単画素光検出器を介して受光する、受信部と、
前記受信部により受光された光に基づく受信信号を取得し、前記計測対象が前記照明パターン上を通った場合における受信信号の変化及び前記計測対象が前記シフト照明パターン上を通った場合における受信信号の変化に基づいて、前記計測対象の2次元画像を生成する、信号処理部と、
を備えた。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、単一の照明パターンを用いて計測対象の2次元画像を取得する場合において、照明パターンのサイズが増大してしまうことを抑制しつつ、見かけの照明パターン(照明フレーム)の数を増加させることが可能になる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の実施の形態1に係る画像取得装置100の基本的な構成例を示す図である。
図2図2は、本開示の実施の形態1に係る画像取得装置100の基本的な動作の一例を示す図である。
図3図3は、本開示の実施の形態2に係る画像取得装置100Aの構成例、及び、画像取得装置100Aを計測システムに適用した場合の構成例を示す図である。
図4図4は、本開示の実施の形態2に係る画像取得装置100Aにおける照明システム部110Aの構成例を示す図である。
図5図5は、本開示の実施の形態2に係る画像取得装置100Aにおける信号処理部150Aの構成例を示す図である。
図6図6は、本開示の実施の形態2に係る画像取得装置100Aにおける信号処理部150Aの処理例を示すフローチャートである。
図7図7は、本開示の実施の形態2に係る画像取得装置100Aにおける受信信号の取得に係る動作を説明するための図である。
図8図8は、本開示の実施の形態2に係る画像取得装置100Aにおける信号処理部150Aに係る処理を説明するための図である。
図9図9は、本開示の実施の形態3に係る画像取得装置100Bの構成例、及び、画像取得装置100Bを計測システムに適用した場合の構成例を示す図である。
図10図10は、本開示の実施の形態3に係る画像取得装置100Bにおける照明システム部110Bの構成例を示す図である。
図11図11は、本開示の実施の形態3に係る画像取得装置100Bにおける信号処理部150Bの構成例を示す図である。
図12図12は、本開示の実施の形態3に係る画像取得装置100Bにおける受信信号の取得に係る動作を説明するための図である。
図13図13は、本開示の実施の形態3に係る画像取得装置100Bにおける信号処理部150Bに係る処理を説明するための図である。
図14図14は、本開示の実施の形態4に係る画像取得装置100Cの構成例、及び、画像取得装置100Cを計測システムに適用した場合の構成例を示す図である。
図15図15は、本開示の実施の形態4に係る画像取得装置100Cにおける照明システム部110Cの第1の構成例を示す図である。
図16図16は、本開示の実施の形態4に係る画像取得装置100Cにおける照明システム部110Cの第2の構成例を示す図である。
図17図17は、本開示の実施の形態4に係る画像取得装置100Cにおける信号処理部150Cの構成例を示す図である。
図18図18は、本開示の実施の形態4に係る画像取得装置100Cにおける受信信号の取得に係る動作を説明するための図である。
図19図19は、本開示の実施の形態5に係る画像取得装置100Dの構成例、及び、画像取得装置100Dを計測システムに適用した場合の構成例を示す図である。
図20図20は、本開示の実施の形態5に係る画像取得装置100Dにおける信号処理部150Dの構成例を示す図である。
図21図21は、本開示の実施の形態5に係る画像取得装置100Dにおける受信信号の取得に係る動作を説明するための図である。
図22図22は、本開示の実施の形態5に係る画像取得装置100Dにおける信号処理部150Dに係る処理を説明するための図である。
図23図23は、本開示の構成による機能を実現するためのハードウェア構成の第1の例を示す図である。
図24図24は、本開示の構成による機能を実現するためのハードウェア構成の第2の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の画像取得装置は、2次元パターンで計測対象を照明し、計測対象からの照明光の反射及び散乱を単画素検出器で捉えることで、計測対象の2次元画像を得る、SPI技術を活用したものである。
一般的なSPIでは、多数の照明パターンを計測対象に対して照射し、それに対応する受信信号強度を記録する。古典的には、計測対象の画像を完全に取得するためには、照明パターンの数が、取得する画像の総画素数(解像度が640x480ならば総画素数は640x480)よりも多い必要がある。圧縮センシングの原理を利用した信号処理手法の適用により、必要な照明パターンの数を減らすことは可能だが、画像取得精度を高めるためには、依然としてある一定の数以上の照明パターンが必要となる。
また、既に説明したように、非特許文献1に示されるような構成でSPIを行う場合、見かけの照明パターン(照明フレーム)の数は、照明パターンの計測対象移動方向の長さに比例するため、画像取得精度を確保するために照明フレーム数を増やすほど、照明パターンのサイズが増大してしまう。
本開示の画像取得装置は、単一の照明パターンを用いて計測対象の2次元画像を取得する場合において、照明パターンのサイズが増大してしまうことを抑制しつつ、見かけの照明パターン(照明フレーム)の数を増加させることを可能にする。
以下、本開示をより詳細に説明するために、本開示の実施の形態について、添付の図面に従って説明する。
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1においては、本開示の基本的な形態を説明する。
【0012】
[構成]
本開示の実施の形態1に係る画像取得装置の構成例を説明する。
図1は、本開示の実施の形態1に係る画像取得装置の基本的な構成例を示す図である。
【0013】
画像取得装置100は、複数の区画を用いて形成されている2次元パターンが付与された照明パターン、及び、当該照明パターンを照射面に沿ってシフトさせたシフト照明パターン、を計測対象に照射し、前記照明パターン及び前記シフト照明パターンが前記計測対象に照射された場合における前記計測対象からの光を、単画素光検出器を介して受光し、受光された光に基づく受信信号を取得し、前記計測対象が前記照明パターン上を通った場合における受信信号の変化及び前記計測対象が前記シフト照明パターン上を通った場合における受信信号の変化に基づいて、前記計測対象の2次元画像を生成する。
図1に示す画像取得装置100は、照明システム部110、受信部130、及び、信号処理部150、を含み構成されている。
【0014】
照明システム部110は、複数の区画を用いて形成されている2次元パターンが付与された照明パターン、及び、当該照明パターンを照射面に沿ってシフトさせたシフト照明パターン、を計測対象に照射する。
照射面は、例えば、画像取得装置100により画像を取得しようとする対象である計測対象が存在する面または通過する面と同一または略同一の面である。また、例えば、計測対象を移動させるための移動面と同一または略同一の面である。
照射面は、画像取得装置100により画像を取得しようとする計測対象の画像を取得できるような領域に対し照明パターン及びシフト照明パターンを照射できるように設定されていればよい。
【0015】
照明パターンは、例えば、矩形の照射領域において、当該領域が周期的に区切られた複数の区画を用いて付与された2次元パターンの構造を有する。照明パターンは、複数の区画ごとに光を通すまたは通さないといった形態で形成される。
シフト照明パターンは、照明パターンを照射面に沿ってシフトされて照射されたものである。シフト照明パターンは、例えば、画像取得装置100により画像を取得しようとする対象である計測対象が移動しているものである場合、計測対象の移動面の移動方向(後述する図3等に示す移動方向250)に対して垂直方向(後述する図3等に示す方向α)にシフトされて照射されたパターンである。
すなわち、前記計測対象と前記照明パターンの水平方向の相対位置と、前記計測対象と前記シフト照明パターンの水平方向の相対位置とは、変化しない。
照明パターンとシフト照明パターンとは、光に単一の2次元パターンを付与して形成されている。
【0016】
照明システム部110は、例えば、光源、光にパターンを付与する構成、照明光学系、を含み構成されている。
【0017】
受信部130は、前記照明システム部により前記照明パターン及び前記シフト照明パターンが前記計測対象に照射された場合における前記計測対象からの光を、単画素光検出器を介して受光する。
受信部130は、例えば、単画素光検出器を含み構成されている。
【0018】
信号処理部150は、前記受信部により受光された光に基づく受信信号を取得し、前記計測対象が前記照明パターン上を通った場合における受信信号の変化及び前記計測対象が前記シフト照明パターン上を通った場合における受信信号の変化に基づいて、前記計測対象の2次元画像を生成する。
【0019】
画像取得装置100は、上記構成以外に、図示しない制御部、図示しない記憶部、および、図示しない通信部、を含み構成されている。
図示しない制御部は、画像取得装置100全体および各構成部に対する制御を行う。図示しない制御部は、例えば外部からの指令に従って画像取得装置100を起動させる。また、図示しない制御部は、画像取得装置100の状態(動作状態=起動、シャットダウン、スリープなどの状態)を制御する。
図示しない記憶部は、画像取得装置100に用いられる各データを記憶する。図示しない記憶部は、例えば、画像取得装置100における各構成部による出力(出力されたデータ)を記憶し、構成部ごとに要求されたデータを要求元の構成部へ宛てて出力する。
図示しない通信部は、外部の装置との間で通信を行う。例えば画像取得装置100(100A)と周辺装置(例えば表示装置)との間で通信を行う。例えば画像取得装置100と表示装置とが有線接続されていない場合、図示しない通信部は、画像取得装置100と表示装置との間の通信を行う機能を有する。また、図示しない通信部は、外部装置であるサーバ装置との間の通信を行う機能を有する。
図示しない制御部、図示しない記憶部、および、図示しない通信部はそれぞれ、後述する実施の形態においても同様である。
【0020】
[動作]
画像取得装置の処理例を説明する。
【0021】
図2は、本開示の実施の形態1に係る画像取得装置100の基本的な動作の一例を示す図である。
図2に示す処理は、画像取得装置100による画像取得方法である。
例えば、図1に示す画像取得装置は、装置外部から動作開始を指令されることにより、図2に示す処理を開始する。または、計測対象が存在することを検知した場合に、図2に示す処理を開始する。
【0022】
画像取得装置100は、まず、2次元パターンを付与した光を照射する。
照射処理において、画像取得装置100の照明システム部110は、照明パターン及びシフト照明パターンを照射する(ステップST1100)。
具体的には、照明システム部110は、複数の区画を用いて形成されている2次元パターンが付与された照明パターン、及び、当該照明パターンを照射面に沿ってシフトさせたシフト照明パターン、を計測対象に照射する。
【0023】
画像取得装置100は、次いで、光を受信(ステップST1200)する。
ステップST1200において、画像取得装置100の受信部130は、前記照明システム部110により前記照明パターン及び前記シフト照明パターンが前記計測対象に照射された場合における前記計測対象からの光を、単画素光検出器を介して受光する。
受信部130は、受光した光を受信信号として信号処理部150へ出力する。
【0024】
画像取得装置100は、次いで、受信信号処理(ステップST1300)を実行する。
受信信号処理において、画像取得装置100の信号処理部150は、前記受信部130により受光された光に基づく受信信号を取得し、照明パターンに係る受信信号に対する信号処理を行うとともに、シフト照明パターンに係る受信信号に対する信号処理を行う。
信号処理部150は、照明パターン全体のうちの撮像対象が存在するであろう見かけの照明パターン(照明フレーム)と照明パターン受信信号に示される画素とを対応付ける。
また、信号処理部150は、シフト照明パターン全体のうちの撮像対象が存在するであろう見かけの照明パターン(照明フレーム)とシフト照明パターンに係る受信信号に示される画素とを対応付ける。
【0025】
画像取得装置100は、次いで、信号統合処理(ステップST1400)を実行する。
信号統合処理において、画像取得装置100の信号処理部150は、受信信号処理後の照明パターンに係る受信信号と、受信信号処理後のシフト照明パターンに係る受信信号と、を統合する。信号処理部150は、例えば、単に受信信号処理後の照明パターンに係る受信信号と、受信信号処理後のシフト照明パターンに係る受信信号と、を前後に連結するようにして統合する。
【0026】
画像取得装置100は、次いで、画像生成処理(ステップST1500)を実行する。
画像生成処理において、画像取得装置100の信号処理部150は、信号統合処理後の受信信号を用いて、画像を生成する。
【0027】
画像取得装置100は、次いで、画像出力処理(ステップST1600)を実行する。
画像出力処理において、画像取得装置100の信号処理部150は、生成した画像を出力する。画像取得装置100は、例えば、装置外部へ出力する。または、図示しない表示装置へ出力する。
【0028】
画像取得装置は、次いで、終了判定処理(ステップST1700)へ移行する。
終了判定処理において、画像取得装置の図示しない制御部は、画像取得装置の処理を終了するかを判定する。図示しない制御部は、例えば、外部からの終了指令または実行プログラムにしたがって画像取得装置の処理を終了するかを判定する。
図示しない制御部が画像取得装置の処理を終了しないと判定した場合(ステップST1700“NO”)、ステップST1200の処理へ移行し、ステップST1200の処理から繰り返し処理を行う。
図示しない制御部が画像取得装置の処理を終了すると判定した場合(ステップST1700“YES”)、画像取得装置は処理を終了する。
【0029】
本実施の形態に係る本開示の画像取得装置は、例えば、以下のように構成されたものである。

複数の区画を用いて形成されている2次元パターンが付与された照明パターン、及び、当該照明パターンを照射面に沿ってシフトさせたシフト照明パターン、を計測対象に照射する、照明システム部と、
前記照明システム部により前記照明パターン及び前記シフト照明パターンが前記計測対象に照射された場合における前記計測対象からの光を、単画素光検出器を介して受光する、受信部と、
前記受信部により受光された光に基づく受信信号を取得し、前記計測対象が前記照明パターン上を通った場合における受信信号の変化及び前記計測対象が前記シフト照明パターン上を通った場合における受信信号の変化に基づいて、前記計測対象の2次元画像を生成する、信号処理部と、
を備えた画像取得装置。

これにより、本開示は、単一の照明パターンを用いて計測対象の2次元画像を取得する場合において、照明パターンのサイズが増大してしまうことを抑制しつつ、見かけの照明パターン(照明フレーム)の数を増加させることを可能にする、画像取得装置を提供することができる、という効果を奏する。
【0030】
本実施の形態に係る本開示の画像取得方法は、例えば、以下のように構成されたものである。

画像取得装置による画像取得方法であって、
前記画像取得装置が、複数の区画を用いて形成されている2次元パターンが付与された照明パターン、及び、当該照明パターンをパターン面に沿ってシフトさせたシフト照明パターン、を計測対象に照射し、
前記画像取得装置が、前記照明パターン及び前記シフト照明パターンが照射された前記計測対象からの光を、単画素光検出器を介して受光し、
前記画像取得装置が、前記単画素光検出器を介して受光された光に基づく受信信号を取得し、前記計測対象が前記照明パターン上を通った場合における受信信号の変化及び前記計測対象が前記シフト照明パターン上を通った場合における受信信号の変化に基づいて、前記計測対象の2次元画像を生成する、
画像取得方法。

これにより、本開示は、単一の照明パターンを用いて計測対象の2次元画像を取得する場合において、照明パターンのサイズが増大してしまうことを抑制しつつ、見かけの照明パターン(照明フレーム)の数を増加させることを可能にする、画像取得方法を提供することができる、という効果を奏する。
【0031】
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1のさらに詳細な形態例を説明する。
実施の形態2においては、実施の形態2に係る構成部のうち、既に説明した実施の形態1に係る構成部と同一または同様の構成部については、同一の名称、及び、同一または同様の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0032】
[構成]
図3は、本開示の実施の形態2に係る画像取得装置100Aの構成例、及び、画像取得装置100Aを計測システムに適用した場合の構成例を示す図である。
計測システムは、計測対象を移動させる構成を有し、画像取得装置を用いて計測対象の画像を取得し、取得した画像を用いて計測対象の計測を行うとともに検査を行い、検査結果を出力するようなシステムである。
図3に示す画像取得装置100Aは、照明システム部110A、受信部130A、及び、信号処理部150A、を含み構成されている。
【0033】
照明システム部110Aは、前記照明パターンと、前記照明パターンシフト部により前記照明パターンをシフトさせた一つ以上のシフト照明パターンとを、時間経過に応じて切り替えながら照射する。
前記計測対象と前記照明パターンの水平方向の相対位置と、前記計測対象と前記シフト照明パターンの水平方向の相対位置とは、前記照明パターンと前記シフト照明パターンとの切り替えに伴って変化しない。
水平方向は、画像取得装置100Aが移動する計測対象の画像を取得するように設置されている状態において、計測対象を移動させる移動面の移動方向250と同じ方向である。
図3に示す照明システム部110Aは、照明制御部111A、時間多重光源部112A、固定パターン生成部113、パターン多重部114、および、照明光学系115、を含み構成されている。
【0034】
照明制御部111Aは、時間多重光源部112からの出力光の波長の切り替えを制御する機能と、波長の切り替えのタイミングを信号処理部150Aに送信する機能とを有する。
【0035】
時間多重光源部112Aは、波長の異なる2つの光を、照明制御部111Aからの制御に基づいて、切り替えながら固定パターン生成部113に照射する機能を有する。
時間多重光源部112Aは、本開示における光源部を構成する。
【0036】
固定パターン生成部113は、時間多重光源部112から照射された光に、空間的な変調パターンを付与する機能を有する。
固定パターン生成部113にて生成される空間的なパターンは常に同一であり、DMDに代表される空間光変調器のように動的にパターンが変更されるような機能を有しない。すなわち、固定パターン生成部113は、静的な構造により構成されている。
これにより、固定パターン生成部113及びその周辺の光学系や制御系が、小型化、低コスト化及び高信頼化される。
固定パターン生成部113は、本開示のパターン生成部を構成する。
パターン生成部(固定パターン生成部113)は、前記光源部(時間多重光源部112A)から射出された光に2次元パターンを付与する。
前記パターン生成部(固定パターン生成部113)は、前記光源部(時間多重光源部112A)から射出された光に単一の前記2次元パターンを付与する静的な構造により構成されている。
【0037】
照明光学系115は、固定パターン生成部113を通過した光に付与された空間的な変調パターンを、計測対象200へ転写する機能を有する。
転写される変調パターンは、照明パターン410もしくはシフト照明パターン420である。照明光学系115はレンズやミラーで構成される結像光学系であり、レンズやミラーの形状や枚数は問わない。
本開示の照明光学系115は、前記パターン生成部(固定パターン生成部113)により2次元パターンを付与された光を計測対象上に投影する。
【0038】
パターン多重部114は、固定パターン生成部113を通過した光に対して波長に依存した屈折を付与することで、光の波長に応じて、計測対象200へ転写される変調パターンを照明パターン410もしくはシフト照明パターン420のいずれかに切り替える機能を有する。パターン多重部114は、プリズムや回折格子を始めとする波長分散素子である。
パターン多重部114は、本開示の照明パターンシフト部を構成する。
照明パターンシフト部(パターン多重部114)は、前記照明光学系115によって生成される照明パターンをシフトさせる。
【0039】
図3に示す照明パターン410は、照明光学系115によって計測対象200上に転写される2次元の空間的な変調パターンである。照明パターン410は、多数の区画によって2次元的に周期的に区切られた構造を有する。各区画の輝度はウェーブレットやフーリエのような物理的な意味を要するものでも良いし、ランダムでも良い。また区画内に輝度分布を有していて良い。
【0040】
シフト照明パターン420は、照明パターン410がパターン多重部114によってシフトしたものである。シフト量は計測対象200の移動と垂直な方向α(以下、単に垂直方向α)に、照明パターン410の1区画分である。このようにシフト量を設定することで、シフト照明パターン420の垂直方向αの各区画と照明パターン410の垂直方向αの各区画とが一致する。なお、シフト照明パターン420の照明パターン410の区画が一致することが条件のため、シフト量は1区画分には限定されずその整数倍であればよい。また、切り替えの間の計測対象200の移動による、計測対象200の移動と水平な方向(以下、単に水平方向)のずれを補償するため、シフト照明パターン420は計測対象200の移動距離に一致するような水平方向のシフト量を有していてもよい。
【0041】
照明パターン410の垂直方向αの区画数は、本装置からの出力画像の垂直方向の解像度に、前記シフト量(本形態では1区画)以上を加えたものである。これにより、シフト照明パターン420においても計測対象200が照明パターン内に収まることが保証される。また、照明パターン410の水平方向の区画数は、最終的に出力される画像の水平方向の解像度よりも十分に大きい。これは、照明パターン410の水平方向の区画数が照明フレーム数に対応するためである。
本装置で解像度32x32の画像を出力する場合、照明パターン410の解像度は例えば33x231となる。この場合、照明フレーム数は200である。
【0042】
計測対象200は本開示による画像取得装置によって画像取得される目標である。計測対象200の大きさは、装置からの出力画像に相当する照明パターンの領域よりも小さい。例えば、解像度32x32の画像を出力する場合、照明パターン上の32x32区画の範囲よりも小さい。
【0043】
物体駆動部300は、計測対象200を等速移動させる機能を有する。移動方向250は、図3において紙面と垂直である。物体駆動部300は、例えば、工場のラインで使用されるベルトコンベアである。
【0044】
受信部130Aは、前記照明システム部により前記照明パターン及び前記シフト照明パターンが前記計測対象に照射された場合における前記計測対象からの光を、単画素光検出器を介して受光する。
受信部130Aは、受信光学系131、および、単画素光検出部132、を含み構成されている。
【0045】
受信光学系131は、計測対象200によって反射・散乱された照明パターン410もしくはシフト照明パターン420を、単画素光検出部132に集光する機能を有する。「反射・散乱」は、反射、散乱、または、反射および散乱、を表す。受信光学系131はレンズやミラーで構成される結像光学系であり、レンズやミラーの形状や枚数は問わない。
【0046】
単画素光検出部132は、受信光学系131によって集光された光を電気信号に変換する機能を有する。計測対象200が照明パターン410の1区画を通過する時間の半分以下の周期で信号を取得する。単画素光検出部132は所謂フォトディテクタであり、例えば可視波長帯ではSi製、短赤外波長帯ではInGaAs製やGe製のものが一般的に用いられている。
【0047】
信号処理部150Aは、前記受信部130Aにより受光された光に基づく受信信号を取得し、前記計測対象が前記照明パターン上を通った場合における受信信号の変化及び前記計測対象が前記シフト照明パターン上を通った場合における受信信号の変化に基づいて、前記計測対象の2次元画像を生成する。
信号処理部150Aは、単画素光検出部132からの電気信号及び照明制御部111Aからのタイミング信号を受信し、計測対象200の画像を再構成する機能を有する。
【0048】
図4は、本開示の実施の形態2に係る画像取得装置100Aにおける照明システム部110Aの構成例を示す図である。
図4は照明システム部110Aの具体的な構成を示す図であり、照明システム部110Aは、照明制御部111A、単色レーザ112A-1、単色レーザ112A-2、ビームコンバイナ112A-3、照明パターンマスク113-1、プリズム114-1、照明レンズ115-1で構成されている。
【0049】
単色レーザ112A-1及び単色レーザ112A-2は、それぞれ異なる出力波長を有するレーザ光源であり、照明制御部111Aによって指定されたタイミングで発光する機能を有する。単色レーザ112A-1及び単色レーザ112A-2の波長は、プリズム114-1の波長分散特性および設置角度が考慮された上で、両レーザが生成する照明パターンが所望のシフト量を得るように設定される。
【0050】
ビームコンバイナ112A-3は、単色レーザ112A-1及び単色レーザ112A-2から出力された光を合成する機能を有する。
【0051】
照明パターンマスク113-1は、ビームコンバイナ112A-3からの光に、空間的な変調パターンを付与する機能を有する。照明パターンマスク113-1は2次元に周期的に並んだ多数の区画から構成され、例えば、一部の区画では中央に小孔が開いている。これにより、小孔がある区画では1,ない区画では0といったバイナリパターンを付与する。このような照明パターンマスク113-1はレーザ加工によって量産可能なため、製造コストに優れる。
【0052】
プリズム114-1は、単色レーザ112A-1及び単色レーザ112A-2の光の伝搬方向を分離する機能を有する。このように構成することで、機械的な駆動部を含まない構成で、照明パターン410とシフト照明パターン420とを切り替えられる。
【0053】
照明レンズ115-1は、照明パターンマスク113-1を計測対象200上に転写する機能を有する。
【0054】
図5は、本開示の実施の形態2に係る画像取得装置100Aにおける信号処理部150Aの構成例を示す図である。
図5は、信号処理部150Aの構成図であり、AD変換部151、時間同期部152、信号分離部153、照明フレーム群保持部154、照明フレーム群同期部155、シフト照明フレーム群同期部156、校正処理部157、信号統合部158、画像再構成部159、画像出力部160を含む。
【0055】
AD変換部151は、単画素光検出部132からの電気信号をデジタル信号に変換する機能を有する。
【0056】
時間同期部152は、AD変換部151からの受信信号を、計測対象200の位置(照明パターン上の照明画素番号)と対応付ける機能を有する。例えば、照明パターン410の水平方向の左端と右端に特徴的なパターンを付与しておき、前記特徴的なパターンを通過したタイミングを受信信号内で同定することで、受信信号の時間軸と計測対象200の位置とを対応付けられる。
【0057】
信号分離部153は、照明制御部111からのタイミング情報を用いて、時間同期部152からの受信信号から、照明パターン410とシフト照明パターン420に対応する信号を判定及び分離する機能を有する。さらに、照明パターン410に対応する部分を照明フレーム群同期部155に、シフト照明パターン420に対応する部分をシフト照明フレーム群同期部156に、それぞれ送信する機能も有する。
【0058】
照明フレーム群保持部154は、照明パターン410及びシフト照明パターン420に相当する照明フレーム群を保持する機能を有する。照明フレームとは、計測対象200に照射される見かけの照明パターンであり、照明パターンから計測対象200に相当する範囲を切り出したものに相当する。照明フレーム群とは、計測対象200を1区画ずつ仮想的に移動させ、計測対象200の各位置における照明フレームを取り出し、それをまとめたものである。例えば照明パターン410の区画数が33x301かつ計測対象200の大きさが区画数32x32に相当する場合、照明フレーム群は解像度32x32の照明フレームを270枚有することになり、したがって、照明フレーム群は32x32x270の配列となる。
【0059】
照明フレーム群同期部155は、照明パターン410に対応する受信信号の各点と、照明フレーム群保持部154から出力された照明フレーム群の各照明フレームとを対応づける機能を有する。
【0060】
シフト照明フレーム群同期部156は、シフト照明パターン420に対応する受信信号の各点と、照明フレーム群保持部154から出力された照明フレーム群の各照明フレームとを対応づける機能を有する。
【0061】
校正処理部157は、照明フレーム群同期部155とシフト照明フレーム群同期部156から出力された受信信号を校正する機能を有する。具体的には、オフセットの除去や、照明パターン410及びシフト照明パターン420で照明パワーが異なればその補正、等である。
【0062】
信号統合部158は、照明フレーム群同期部155とシフト照明フレーム群同期部156の両方から出力された照明フレーム群と受信信号をそれぞれ連結し、統合受信信号及び統合照明フレーム群を作成する機能を有する。
【0063】
画像再構成部159は、信号統合部158から出力された統合受信信号及び統合照明フレーム群に対して、画像再構成処理を付与し、計測対象200の2次元画像を生成する機能を有する。
【0064】
画像出力部160は、画像再構成部159が生成した画像を出力する機能を有する。出力先としてはディスプレイ、画像検査装置等である。
【0065】
[動作]
本開示の実施の形態2に係る画像処理装置における信号処理部の処理例を説明する。
図6は、本開示の実施の形態2に係る画像取得装置100Aにおける信号処理部150Aの処理例を示すフローチャートである。
信号処理部150Aは、例えば、受信部130Aから信号を受信すると処理を開始する。
【0066】
信号処理部150Aは、AD変換処理(ステップST2110)を実行する。
AD変換処理において、信号処理部150AのAD変換部151は、単画素光検出部132からの電気信号をデジタル信号に変換する。AD変換部151は、デジタル化した受信信号を時間同期部152へ出力する。
【0067】
信号処理部150Aは、次いで、時間同期処理(ステップST2120)を実行する。
時間同期処理において、信号処理部150Aの時間同期部152は、AD変換部151からの受信信号を、計測対象200の位置(照明パターン上の照明画素番号)と対応付ける。
【0068】
信号処理部150Aは、次いで、信号分離処理(ステップST2130)を実行する。
信号分離処理において、信号処理部150Aの信号分離部153は、照明制御部111からのタイミング情報を用いて、時間同期部152からの受信信号から、照明パターン410とシフト照明パターン420に対応する信号を判定し分離する。
【0069】
信号処理部150Aは、次いで、照明フレーム群同期処理(ステップST2140)を実行する。
照明フレーム群同期処理において、信号処理部150Aの照明フレーム群同期部155は、照明パターン410に対応する受信信号の各点と、照明フレーム群保持部154から出力された照明フレーム群の各照明フレームとを対応づける。
【0070】
信号処理部150Aは、次いで、校正処理(ステップST2150)を実行する。
校正処理において、信号処理部150Aの校正処理部157aは、照明フレーム群同期部155から出力された受信信号を校正する。具体的には、校正処理部157aは、オフセットの除去や、照明パターン410及びシフト照明パターン420で照明パワーが異なればその補正、等を行う。
【0071】
また、信号処理部150Aは、照明フレーム群同期処理と並行して、シフト照明フレーム群同期処理(ステップST2160)を実行する。
シフト照明フレーム群同期処理において、信号処理部150Aのシフト照明フレーム群同期部156は、シフト照明パターン420に対応する受信信号の各点と、照明フレーム群保持部154から出力された照明フレーム群の各照明フレームとを対応づける。
【0072】
信号処理部150Aは、次いで、校正処理(ステップST2170)を実行する。
校正処理において、信号処理部150Aの校正処理部157bは、シフト照明フレーム群同期部156から出力された受信信号を校正する機能を有する。具体的には、校正処理部157bは、オフセットの除去や、照明パターン410及びシフト照明パターン420で照明パワーが異なればその補正、等である。
【0073】
信号処理部150Aは、次いで、信号統合処理(ステップST2180)を実行する。
信号統合処理において、信号処理部150Aの信号統合部158は、照明フレーム群同期部155とシフト照明フレーム群同期部156の両方から出力された照明フレーム群と受信信号をそれぞれ連結し、統合受信信号及び統合照明フレーム群を作成する。
【0074】
信号処理部150Aは、次いで、画像再構成処理(ステップST2190)を実行する。
画像再構成処理において、信号処理部150Aの画像再構成部159は、信号統合部158から出力された統合受信信号及び統合照明フレーム群に対して、画像再構成処理を付与し、計測対象200の2次元画像を生成する。
【0075】
信号処理部150Aは、次いで、画像出力処理(ステップST2200)を実行する。
画像出力処理において、信号処理部150Aの画像出力部160は、画像再構成部159が生成した画像を出力する。
【0076】
画像取得装置100Aは、次いで、終了判定処理(ステップST2210)へ移行する。
終了判定処理において、画像取得装置100Aの図示しない制御部は、画像取得装置100Aの処理を終了するかを判定する。図示しない制御部は、例えば、外部からの終了指令または実行プログラムにしたがって画像取得装置100Aの処理を終了するかを判定する。
図示しない制御部が画像取得装置100Aの処理を終了しないと判定した場合(ステップST2210“NO”)、ステップST2110の処理へ移行し、ステップST2110の処理から繰り返し処理を行う。
図示しない制御部が画像取得装置の処理を終了すると判定した場合(ステップST2210“YES”)、画像取得装置は処理を終了する。
【0077】
本開示の実施の形態2に係る画像取得装置の処理例をさらに詳細に説明する。
図7及び図8は実施の形態1の動作説明図である。
【0078】
図7は、本開示の実施の形態2に係る画像取得装置Aにおける受信信号の取得に係る動作を説明するための図である。
照明制御部111からの制御に応じて、照明システム部110からは照明パターン410もしくはシフト照明パターン420が照射される。切り替えは周期的であり、一定時間ごとに照明パターン410とシフト照明パターン420が切り替わる。ここで、シフト照明パターン420は、照明パターン410を垂直方向αに1区画分シフトしたものであるが、パターン自体は同一である。1区画分シフトしているため、照明パターン410とシフト照明パターン420の垂直方向αの区画は一致する。すなわち、前記計測対象と前記照明パターンの水平方向の相対位置と、前記計測対象と前記シフト照明パターンの水平方向の相対位置とは、変化しない。
【0079】
計測対象200は照明パターン410もしくはシフト照明パターン420上を水平方向に移動していく。すると、計測対象200の移動に伴って計測対象200に照射される見かけの照明パターン(=照明フレーム)が変化していく。照明パターンは単一であるにも関わらず、照明フレームは変化するため、一般的なSPIと同等の処理を行える。
【0080】
計測対象200の位置が同一でも、照明パターン410とシフト照明パターン420では計測対象200に照射される見かけの照明パターン(=照明フレーム)が異なるため、照明パターン410のみを用いる場合に対して、2倍の照明フレーム数を実現できる。前述の通り、シフト照明パターン420は照明パターン410をシフトしただけのものであり、あくまでも使用されている照明パターンは単一である。それ故に、固定パターン生成部113は一つのみで十分であり、また、空間光変調器のような動的な制御や駆動が不要となる。
【0081】
計測対象200の各位置における散乱光・反射光は、受信光学系131及び単画素光検出部132によって連続的な電気信号に変換され、信号処理部150Aへと送信される。「反射光・散乱光」は、反射光、散乱光、または、反射光および散乱光、を表す。
【0082】
図8は、本開示の実施の形態2に係る画像取得装置100Aにおける信号処理部150Aに係る処理を説明するための図である。
【0083】
まず、AD変換部151が、単画素光検出部132からの電気信号をデジタル信号へ変換する(ステップST2110)。
【0084】
次に、時間同期部152が、AD変換部151が出力するデジタル信号と計測対象200の位置(=照明パターン410区画番号)とを対応付ける(ステップST2120)。AD変換部151に出力された時点では信号の時間軸と計測対象200の位置との対応は不明だが、例えば、照明パターン410の水平方向の左端と右端に特徴的なパターンを付与し、この特徴的なパターンを計測対象200が通過したタイミングを受信信号内で同定することで、時間軸をと計測対象200の位置とを対応付けられる。
【0085】
次に、信号分離部153が、時間同期部152の出力信号を照明パターン410に対応する部分とシフト照明パターン420に対応する部分の2つに分離する(ステップST2130)。照明制御部111から送信されるパターン切り替えタイミング情報を用いることで、同出力信号内の各領域が照明パターン410とシフト照明パターン420のどちらに相当するか、判定できる。
【0086】
信号分離部153から出力された2つの分離信号は、照明フレーム群同期部155とシフト照明フレーム群同期部156によって、それぞれ対応する照明フレーム群と対応付けされる(ステップST2140、ステップST2160)。通常、分離信号は連続的な信号だが、照明フレーム群との同期によって照明フレーム群に含まれる各照明フレームに対応するデータ点(=以下、単にデータ点)のみが取りだされ、離散的な信号となる。この際、例えば、対応するデータ点の周囲の点を平均することで、雑音を低減できる。
【0087】
照明フレーム群同期部155及びシフト照明フレーム群同期部156から出力されたデータ点は、校正処理部157によって校正される(ステップST2150、ステップST2170)。オフセットが除去される他、照明パターン410とシフト照明パターン420で波長が異なる故に、光源の出力パワーや光学系の効率に差異があれば、それを補正する。
【0088】
校正処理部157から出力された、照明パターン410とシフト照明パターン420に対応する照明フレーム群(500A,500B)とそれに対応するデータ点は、信号統合部158によって統合される(ステップST2180)。具体的には、照明フレーム群同士、データ点同士が連結され、新たな照明フレーム群とデータ点が生成される。この処理を行うことで、照明パターン410のみを用いる場合に対して2倍の照明フレーム群とデータ点を得られる。この処理は、照明パターン410とシフト照明パターン420の区画が一致するゆえに可能となる。なお、区画が一致してない(=シフト量が区画サイズの整数倍でない)場合、照明パターン410に対応する照明フレームとシフト照明パターン420に対応する照明フレーム間で、計測対象200の実質的に位置が1区画以下でずれることになる。その結果、画像再構成処理に失敗したり、出力画像において計測対象200がボケたりといった問題が発生する。
【0089】
SPIによって高精度に画像取得するためには、十分な数の照明フレームを確保する必要がある。非特許文献2に記載の単一の照明パターンを用いるSPIでは、照明フレーム数と、照明パターンの水平方向サイズが対応関係にあるため、高精度に画像を取得する際には照明パターンの水平方向サイズが増大してしまうという課題があった。一方、本開示では、上記の通り、単一の照明パターンを用いつつも、垂直方向に照明パターンをシフトすることで、実質的な照明フレーム数を増大できる。これによって、照明パターンの水平方向サイズを小型化した場合でも、高精度な画像取得が可能となる。
【0090】
信号統合部158にて新たに生成された照明フレーム群とそれに対応するデータ点を用いて、画像再構成部159は計測対象200の画像600を再構成する(ステップST2190、ステップST2200)。SPIによる画像取得のプロセスは次の通り記載できる。

y=Ax ・・・(1)

ここで、式(1)における“y”は測定値ベクトル(Nx1,照明フレーム群に対応するデータ点)、“x”は計測対象ベクトル(Mx1,計測対象200(解像度MxM)の要素を並び替えてベクトル化したもの)、“A”は測定行列(NxM)である。なお、“N”は照明フレーム群に含まれる照明フレーム数、“M”は計測対象200の一辺の解像度である。照明フレームをI,I,・・・,Iと置くと、測定行列Aは以下の式(2)のように表すことができる。

A=[vec[I] vec[I] ・・・ vec[I]] ・・・(2)

ここで、式(2)における、“vec[ ]”は行列の要素並び替えてベクトル化する演算子、“[ ]”は転置を表す。SPIでは、既知である“y”及び“A”を用いて計測対象である“x”を推定する逆問題を解く必要がある。
【0091】
上記を解く手法としてはデータ点とフレーム群の相関を求めるゴーストイメージングに類する手法や、上式を最適化問題に落とし込む圧縮センシングに類する手法などが知られている。圧縮センシングの手法には、N<Mというデータ点が限られる条件においても計測対象の画像を再現できる特徴があり、データ点数(=照明フレーム数)が照明パターンサイズによって制限される、本開示のような構成において特に有効である。
【0092】
[実施の形態2に係る効果]
【0093】
本実施の形態のように構成することにより、照明フレーム数が2倍に増えるため、照明パターンの水平方向サイズを低減でき、装置サイズの小型化が可能となる。
【0094】
前記を単一の照明パターンのみで行えるため、照明パターンを生成するパターン生成部を、空間光変調器のような動的な駆動や制御を含まずに構成することができる。また、機械的駆動部が不要な構成で照明フレームを2倍に増加させており、これらは装置の小型化、低コスト化、高信頼化に寄与する。
【0095】
照明フレーム数の増加は、例えば異なる照明パターンを生成する2種類のパターン生成器を用いることでも実現可能だが、本実施の形態によれば、パターン生成器を1つとできるため、上記構成と比較して装置構成を単純化できる。
【0096】
本実施の形態に係る本開示の画像取得装置は、さらに、例えば、以下のように構成されたものである。

前記照明システム部は、
光源部と、
前記光源部から射出された光に2次元パターンを付与するパターン生成部と、
前記パターン生成部により2次元パターンを付与された光を計測対象上に投影する照明光学系と、
前記照明光学系によって生成される照明パターンをシフトさせる照明パターンシフト部と、
を備え、
前記パターン生成部は、前記光源部から射出された光に単一の前記2次元パターンを付与する静的な構造により構成されており、
前記照明システム部は、前記照明パターンと、前記照明パターンシフト部により前記照明パターンをシフトさせた一つ以上のシフト照明パターンとを、時間経過に応じて切り替えながら照射する、
ことを特徴とする画像取得装置。
【0097】
[その他 変形例]
【0098】
パターン多重部114は、受信光学系131と単画素光検出部132の間に設置されていても良い。この場合でも、本実施の形態と同等の機能と効果を得る。また、パターン多重部114と単画素光検出部132の間にはリレー光学系が挿入されていても良い。
【0099】
照明パターン410とシフト照明パターン420の切り替えには、光の波長でなく光の偏光も利用できる。例えば、時間多重光源部112をレーザ光源と偏光スイッチで、パターン多重部114を偏光に応じて異なる屈折角を与える素子(複屈折結晶)で構成し、照明制御部111は時間多重光源部112からの出力光の偏光を切り替えるように制御することで、本実施の形態と同等の機能と効果を得る。
【0100】
シフト照明パターン420のシフト方向は垂直方向ではなくてもよい。シフトの大きさと方向を表現するシフトベクトルを定義した場合、同ベクトルの垂直方向成分を区画の整数倍、同ベクトルの水平方向成分を計測対象200の移動量に相当する大きさに設定することによって、照明パターンをシフトする間の計測対象200の水平方向の移動によるずれを補償できる。
【0101】
シフト照明パターン420のシフト方向を容易に調整可能な機構を備えていても良い。これは例えば、照明システム部110の筐体の外側に、パターン多重部114内部の波長分散素子の傾斜角と光軸周りの回転角を調整可能な機構を取りつけることで実現できる。計測対象200の移動速度は設置環境において異なる可能性があるため、上記機構を有することで、計測対象200の任意の移動速度に対応可能となる。
【0102】
実施の形態3.
実施の形態3を説明する。
実施の形態3においては、実施の形態3に係る構成部のうち、既に説明した実施の形態1、または、実施の形態2、に係る構成部と同様の構成部については、同様の名称及び同様の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0103】
[構成]
本開示の実施の形態3に係る画像取得装置の構成例を説明する。
図9は、本開示の実施の形態3に係る画像取得装置100Bの構成例、及び、画像取得装置100Bを計測システムに適用した場合の構成例を示す図である。
以下では、実施の形態1,2と同一の構成要素については、同一の名称、及び、同一又は同様の記号を付し、実施の形態1,2との相違点に絞って構成を記載する。
図9に示す画像取得装置100Bは、照明システム部110B、受信部130B、及び、信号処理部150B、を含み構成されている。
【0104】
画像取得装置100Bにおける照明システム部110Bは、照明制御部111B、時間多重光源部112B、固定パターン生成部113、パターン多重部114、および、照明光学系115、を含み構成されている。
前記照明システム部110Bは、前記照明パターンと、前記照明パターンシフト部(固定パターン生成部113)により前記照明パターンをシフトさせた一つ以上のシフト照明パターンとを、同時に照射する。
【0105】
時間多重光源部112Bは波長の異なる2つの光を固定パターン生成部113に常に照射する機能を有する。
時間多重光源部112Bは、本開示の光源部を構成する。
【0106】
固定パターン生成部113は、時間多重光源部112Bから照射された光に、空間的な変調パターンを付与する機能を有する。
固定パターン生成部113は、本開示のパターン生成部を構成する。
パターン生成部(固定パターン生成部113)は、前記光源部(時間多重光源部112B)から射出された光に2次元パターンを付与する。
前記パターン生成部(固定パターン生成部113)は、前記光源部(時間多重光源部112B)から射出された光に単一の前記2次元パターンを付与する静的な構造により構成されている。
【0107】
パターン多重部114は、固定パターン生成部113を通過した光に対して波長に依存した屈折を付与することで、光の波長に応じて、照明パターン410と、照明パターン410がシフトしたシフト照明パターン420を同時に生成する機能を有する。
パターン多重部114は、本開示の照明パターンシフト部を構成する。
照明パターンシフト部(パターン多重部114)は、前記照明光学系によって生成される照明パターンをシフトさせる。照明パターンシフト部(パターン多重部114)は、照明パターン410と、シフト照明パターン420とを同時に生成して出力する。
前記パターン生成部(パターン多重部114)は、前記光源部(時間多重光源部112B)から射出された光に単一の前記2次元パターンを付与する静的な構造により構成されている。
【0108】
照明光学系115は、前記パターン生成部(パターン多重部114)により2次元パターンを付与された光を計測対象上に投影する。
【0109】
受信部130Bは、受信光学系131、単画素光検出部132B-1、単画素光検出部132B-2、および、パターン分離部133、を含み構成されている。
【0110】
受信光学系131は、計測対象200によって反射・散乱された照明パターン410及びシフト照明パターン420をパターン分離部133に送信する機能を有する。
【0111】
パターン分離部133は入射光の波長に応じて、照明パターン410を単画素光検出部132B-1に、シフト照明パターン420を単画素光検出部132B-2に分離して送信する機能を有する。具体的には波長に依存した透過特性/反射特性を有するビームスプリッタなどで構成される。
【0112】
単画素光検出部132B-1及び単画素光検出部132B-2は、パターン分離部133から送信された光を電気信号に変換する機能を有する。単画素光検出部132B-1及び単画素光検出部132B-2は所謂フォトディテクタであり、可視波長帯ではSi製、短赤外波長帯ではInGaAs製やGe製のものが一般的に用いられている。
【0113】
すなわち、本開示の受信部130Bは、前記照明システム部110Bにより前記照明パターン及び前記シフト照明パターンが前記計測対象に照射された場合における前記計測対象からの光を受光する、複数の前記単画素光検出器(単画素光検出部132B-1及び単画素光検出部132B-2)を備える。
複数の前記単画素光検出器は、前記照明パターンと前記シフト照明パターンとをそれぞれ別に検出する。
【0114】
信号処理部150Bは、単画素光検出部132B-1及び単画素光検出部132B-2からの電気信号を受信し、計測対象200の画像を再現(「再現」は「生成」または「再構成」とも記載する。)及び出力する機能を有する。
【0115】
図10は、本開示の実施の形態3に係る画像取得装置100Bにおける照明システム部110Bの構成例を示す図である。
以下では、実施の形態1,2と同一の構成要素については、同一の名称、及び、同一又は同様の記号を付し、実施の形態1,2との相違点に絞って構成を記載する。
【0116】
単色レーザ112-1B及び単色レーザ112B-2は、それぞれ異なる出力波長を有するレーザ光源であり、連続的に光を出力する。
【0117】
ビームコンバイナ112B-3は、単色レーザ112B-1及び単色レーザ112B-2から出力された光を合成する機能を有する。
【0118】
プリズム114-1は、単色レーザ112B-1及び単色レーザ112B-2の光の伝搬方向を分離する機能を有する。このように構成することで、照明パターン410とシフト照明パターン420とを同時に生成できる。
【0119】
図11は、本開示の実施の形態3に係る画像取得装置100Bにおける信号処理部150Bの構成例を示す図である。
以下では、実施の形態1,2と同様の構成要素については、同一の名称、及び、同一又は同様の記号を付し、実施の形態1,2との相違点に絞って構成を記載する。
【0120】
AD変換部151は、単画素光検出部132B-1及び単画素光検出部132B-2からの電気信号をデジタル信号に変換する機能を有する。
【0121】
照明フレーム群同期部155は、時間同期部152から出力された照明パターン410に対応する受信信号の各点と、照明フレーム群保持部154から出力された照明フレーム群の各照明フレームとの対応づけを行う機能を有する。
【0122】
シフト照明フレーム群同期部156は、時間同期部152から出力されたシフト照明パターン420に対応する受信信号の各点と、照明フレーム群保持部154から出力された照明フレーム群の各照明フレームとの対応づけを行う機能を有する。
【0123】
[動作]
本開示の実施の形態3に係る画像取得装置の処理例を説明する。
図12及び図13は実施の形態2の動作説明図である。以下では、実施の形態1,2と同一の構成要素については、同一の名称、及び、同一又は同様の記号を付し、実施の形態1,2との相違点に絞って構成を記載する。
【0124】
図12は、本開示の実施の形態3に係る画像取得装置100Bにおける受信信号の取得に係る動作を説明するための図である。
実施の形態2との差異は、照明システム部110Bから照明パターン410とシフト照明パターン420が同時に照射される点のみである。計測対象200の各位置における、照明パターン410からの散乱光・反射光は単画素光検出部132B-1によって、シフト照明パターン420からの散乱光・反射光は単画素光検出部132B-2によってそれぞれ連続的な電気信号に変換され、信号処理部150Bへと送信される。
【0125】
また、照明パターン410とシフト照明パターン420とが同時に照射されるため、計測対象200の移動を補償するための、シフト照明パターン420の水平方向へのシフトを考慮する必要がない。
【0126】
図13は、本開示の実施の形態3に係る画像取得装置100Bにおける信号処理部150Bに係る処理を説明するための図である。
実施の形態2との差異は、信号処理部150Bに入力される時点で照明パターン410とシフト照明パターン420に相当する受信信号に分離されているため、信号分離部153に相当する処理や照明制御部111によるタイミング同期処理が無く、各受信信号に対してAD変換部151及び時間同期部152に相当する処理が行われる点のみである。
したがって、図13に示すステップST3310からステップST3400の処理の詳細な説明を省略する。
【0127】
[実施の形態3に係る効果]
【0128】
本実施の形態のように構成することにより、実施の形態1と比較して、パターンの切り替えタイミングを同期することが不要となるため、信号処理が容易になる利点がある。
【0129】
さらに、両パターンを同時に照射し続けるため、露光時間を増加させやすく、信号対雑音比が向上する利点もある。
【0130】
また、照明パターン410とシフト照明パターン420とが同時に照射されるため、計測対象200の移動を補償するための、シフト照明パターン420の水平方向へのシフトを考慮する必要がない。
【0131】
本実施の形態に係る本開示の画像取得装置は、さらに、例えば、以下のように構成されたものである。

前記照明システム部は、
光源部と、
前記光源部から射出された光に2次元パターンを付与するパターン生成部と、
前記パターン生成部により2次元パターンを付与された光を計測対象上に投影する照明光学系と、
前記照明光学系によって生成される照明パターンをシフトさせる照明パターンシフト部と、
を備え、
前記受信部は、前記照明システム部により前記照明パターン及び前記シフト照明パターンが前記計測対象に照射された場合における前記計測対象からの光を受光する、複数の前記単画素光検出器を備え、
前記パターン生成部は、前記光源部から射出された光に単一の前記2次元パターンを付与する静的な構造により構成されており、
前記照明システム部は、前記照明パターンと、前記照明パターンシフト部により前記照明パターンをシフトさせた一つ以上のシフト照明パターンとを、同時に照射し、
複数の前記単画素光検出器は、前記照明パターンと前記シフト照明パターンとをそれぞれ別に検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像取得装置。

これにより、本開示は、パターンの切り替えタイミングを同期しなくてもよい、画像取得装置を提供することができる、といった効果を奏する。
さらに、本開示は、上記構成を、上記画像取得方法に適用することにより、上記効果と同様の効果を奏する。
【0132】
[その他 変形例]
【0133】
実施の形態2と同様に、パターン多重部114は受信光学系131の後に設置されていても良い。
【0134】
実施の形態2と同様に、シフト照明パターン420の生成には光の波長でなく光の偏光も利用できる。例えば、時間多重光源部112Bを直交する偏光を有する2つのレーザ光源で、パターン多重部114を偏光に応じて異なる屈折角を与える素子(複屈折結晶)で、パターン分離部133には偏光ビームスプリッタ等で構成することで、本実施の形態と同等の機能と効果を得る。
【0135】
実施の形態4.
実施の形態4を説明する。
実施の形態4においては、実施の形態4に係る構成部のうち、既に説明した実施の形態1、実施の形態2、または、実施の形態3、に係る構成部と同様の構成部については、同様の名称及び同様の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0136】
[構成]
本開示の実施の形態4に係る画像取得装置の構成例を説明する。
図14は、本開示の実施の形態4に係る画像取得装置100Cの構成例、及び、画像取得装置100Cを計測システムに適用した場合の構成例を示す図である。
以下では、実施の形態1,2,3と同一の構成要素については、同一の名称、及び、同一又は同様の記号を付し、実施の形態1,2,3との相違点に絞って構成を記載する。
【0137】
時間多重光源部112Cは波長の異なる3つの光を、照明制御部111Cからの制御に基づいて、時間的に切り替えながら固定パターン生成部113に照射する機能を有する。
【0138】
パターン多重部114は、固定パターン生成部113を通過した光に対して波長に依存した屈折を付与することで、光の波長に応じて、計測対象200へ転写される変調パターンを照明パターン410、シフト照明パターン420(第2の照明パターン、第1のシフト照明パターン)、シフト照明パターン430(第3の照明パターン、第2のシフト照明パターン)のいずれかに切り替える機能を有する。なお、ここでは照明パターン数を便宜的に3種類としているが、照明システム部110Cの具体的な構成にて示す通り、4種類以上とすることも可能である。
【0139】
シフト照明パターン430は、照明パターン410がパターン多重部114によって、計測対象200の移動と垂直な方向(以下、単に垂直方向)にシフトしたものである。ここではシフト量として照明パターン410の2区画分を想定する。このようにシフト量を設定することで、シフト照明パターン430、シフト照明パターン420及び照明パターン410の垂直方向の区画が一致する。なお、これら3つの照明パターンの垂直方向の区画が一致することが重要なため、シフト照明パターン430及びシフト照明パターン420のシフト量は区画サイズの整数倍であればよく、2区画分に限らない。
【0140】
照明パターン410の垂直方向の区画数は、本装置から出力画像の垂直方向の画素数に、前記シフト量(本形態では2区画)以上を加えたものである。これにより、シフト照明パターン430においても計測対象200が照明パターン内に収まることが保証される。本装置で解像度32x32の画像を出力する場合、照明パターン410の解像度は例えば34x231となる。この場合、照明フレーム数は200である。
【0141】
図15は、本開示の実施の形態4に係る画像取得装置100Cにおける照明システム部110Cの第1の構成例を示す図である。
以下では、実施の形態1,2,3と同一の構成要素については、同一の名称、及び、同一又は同様の記号を付し、実施の形態1,2,3との相違点に絞って構成を記載する。
【0142】
多波長レーザ112C-1は3つ以上の異なる波長の光を出力可能なレーザ光源であり、照明制御部111Cによって指定されたタイミングで指定された波長で発光する機能を有する。
【0143】
プリズム114-1は、多波長レーザ112C-1の出力光の波長に応じて光の伝搬方向を分離する機能を有する。このように構成することで、機械的な駆動部を含まない構成で、照明パターン410、シフト照明パターン420、及びシフト照明パターン430を切り替えられる。
【0144】
照明制御部111Cから出力される、多波長レーザ112C-1への制御信号を変更することで、4種類以上の照明パターンを実現することも可能である。
【0145】
図16は、本開示の実施の形態4に係る画像取得装置100Cにおける照明システム部110Cの第2の構成例を示す図である。
以下では、実施の形態1,2,3と同一の構成要素については、同一の名称、及び、同一又は同様の記号を付し、実施の形態1,2,3との相違点に絞って構成を記載する。
【0146】
単色レーザ112C-2は単一の出力波長を有するレーザ光源であり連続的に光を出力する。
【0147】
照明パターンマスク113-1は、単色レーザ112C-2からの光に、空間的な変調パターンを付与する機能を有する。
【0148】
照明パターンマスク移動部116は、照明制御部111C-2からの制御信号に従って、照明パターンマスク113-1を1軸もしくは2軸で移動させる機能を有する。このように構成することで、照明パターン410、シフト照明パターン420及びシフト照明パターン430を切り替えられる。照明パターンマスク移動部116は、例えば、画像取得装置100Cの外部から制御可能に構成されていてもよい。
照明パターンマスク移動部116は、本開示のパターン移動部を構成する。
パターン移動部(照明パターンマスク移動部116)は、前記シフト照明パターンのシフト方向を変化させる。
【0149】
照明制御部111C-2から出力される、照明パターンマスク移動部116への制御信号を変更することで、4種類以上の照明パターンを実現することも可能である。
【0150】
図17は、本開示の実施の形態4に係る画像取得装置100Cにおける信号処理部150Cの構成例を示す図である。
以下では、実施の形態1,2,3と同一の構成要素については、同一の名称、及び、同一又は同様の記号を付し、実施の形態1,2,3との相違点に絞って構成を記載する。
【0151】
信号分離部153は、照明制御部111からのタイミング情報を用いて、時間同期部152からの受信信号から、照明パターン410、シフト照明パターン420及びシフト照明パターン430に対応する信号を判定及び分離する機能を有する。さらに、照明パターン410に対応する部分を照明フレーム群保持部154に、シフト照明パターン420に対応する部分をシフト照明フレーム群同期部156C-1に、シフト照明パターン430に相当する部分をシフト照明フレーム群同期部156C-2にそれぞれ送信する機能も有する。
【0152】
照明フレーム群保持部154は、照明パターン410、シフト照明パターン420及びに相当するシフト照明パターン430照明フレーム群を保持する機能を有する。
【0153】
シフト照明フレーム群同期部156C-1は、シフト照明フレーム群同期部156と同様に、時間同期部152から出力されたシフト照明パターン420に対応する受信信号の各点と、照明フレーム群保持部154から出力された照明フレーム群の各照明フレームとの対応づけを行う機能を有する。
シフト照明フレーム群同期部156C-2は、シフト照明パターン430に対応する受信信号の各点と、照明フレーム群保持部154から出力された照明フレーム群の各照明フレームとの対応づけを行う機能を有する。
【0154】
校正処理部157は、照明フレーム群保持部154、シフト照明フレーム群同期部156C-1及びシフト照明フレーム群同期部156C-2から出力された受信信号を校正する機能を有する。具体的には、オフセットの除去や、各パターンで照明パワーが異なればその補正、等である。
【0155】
信号統合部158は、照明フレーム群保持部154、シフト照明フレーム群同期部156C-1及びシフト照明フレーム群同期部156C-2から出力された照明フレーム群と受信信号をそれぞれ連結し、統合受信信号及び統合照明フレーム群を作成する。
【0156】
[動作]
本開示の実施の形態4に係る画像取得装置の処理例を説明する。
図18は、本開示の実施の形態4に係る画像取得装置100Cにおける受信信号の取得に係る動作を説明するための図である。
以下では、実施の形態1,2,3と相違点に絞って構成を記載する。
【0157】
他の実施の形態との差異は、照明システム部110Cから出力されるパターン数が増加したことである。照明パターン410、とシフト照明パターン420、及びシフト照明パターン430に相当する散乱光・反射光が照射される。照明パターン410からの散乱光・反射光は単画素光検出部132によって、シフト照明パターン420からの散乱光・反射光は単画素光検出部132B-2によってそれぞれ連続的な電気信号に変換され、信号処理部150Cへと送信される。信号処理部150Cでは、各照明パターンが分離された後に、実施の形態2と同様の処理が行われる。
【0158】
[実施の形態4に係る効果]
【0159】
本実施の形態のように構成することにより、実質的な照明フレーム数が3倍となるため、照明パターンの水平方向の大きさをさらに低減できる。
【0160】
また、照明制御部111から信号を変更するだけで、装置構成を変えずに、照明パターン数を4つ以上に増加できる。
【0161】
図15のように照明システム部110を構成する場合、機械的な駆動部を含まない形で、照明パターンをシフトできる。これは、装置の低コスト化、小型化、高信頼化に寄与する。
【0162】
図16のように照明システム部110を構成する場合、プリズム114-1を取り除けるため、光学系を簡素化できる。さらに、照明パターンマスク移動部116を2軸で駆動する場合、照明パターンのシフト方向の傾斜角度を照明パターンマスク移動部116への制御信号を変えるのみで調整できる利点がある。
【0163】
本実施の形態に係る本開示の画像取得装置は、さらに、例えば、以下のように構成されたものである。

前記シフト照明パターンのシフト方向を変化させるパターン移動部を備えた、
ことを特徴とする画像取得装置。
【0164】
[その他 変形例]
図15のように照明システム部110を構成する場合、多波長レーザ112C-1は連続的に出力波長を変更できる機能を有していても良い。その場合、出力波長を微調整することで、シフト照明パターン420やシフト照明パターン430の位置を変更できるため、パターン多重部114の設置精度への要求を低くできる利点がある。
【0165】
実施の形態5.
実施の形態5を説明する。
実施の形態5においては、実施の形態5に係る構成部のうち、既に説明した実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3、または、実施の形態4、に係る構成部と同様の構成部については、同様の名称及び同様の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0166】
[構成]
本開示の実施の形態5に係る画像取得装置の構成例を説明する。
図19は、本開示の実施の形態5に係る画像取得装置100Dの構成例、及び、画像取得装置100Dを計測システムに適用した場合の構成例を示す図である。
以下では、実施の形態1,2,3,4と同一の構成要素については、同一の名称、及び、同一又は同様の記号を付し、実施の形態1,2,3,4との相違点に絞って構成を記載する。
【0167】
画像取得装置100Dは、計測対象200に、照明パターン410、シフト照明パターン420(第2の照明パターン、第1のシフト照明パターン)、シフト照明パターン430(第3の照明パターン、第2のシフト照明パターン)、シフト照明パターン440(第4の照明パターン、第3のシフト照明パターン)の4つを照射する。シフト照明パターン420、シフト照明パターン430、及びシフト照明パターン440は、照明パターン410から等間隔にシフトしたものであり、ここでシフト間隔は照明パターン410の区画の半分である。したがって、シフト照明パターン420、シフト照明パターン430及びシフト照明パターン440は、照明パターン410を垂直方向に1/2、1、3/2区画シフトしたものである。
【0168】
単画素光検出部132は、受信光学系131によって集光された光を電気信号に変換する機能を有し、計測対象200が照明パターン410の1画素を通過する時間の1/8の間隔で信号を取得する。これにより、計測対象200が照明パターン410、シフト照明パターン420、シフト照明パターン430、シフト照明パターン440上にある場合(以下、ケース1~4と呼称)に加えて、計測対象200が照明パターン410、シフト照明パターン420、シフト照明パターン430、シフト照明パターン440から水平方向に1/2区画ずれている場合(以下、ケース5~8と呼称)にも信号が取得される。このように構成することで、信号処理部150での処理により解像度を垂直方向及び水平方向に2倍向上する効果を得る。
【0169】
図20は、本開示の実施の形態5に係る画像取得装置100Dにおける信号処理部150Dの構成例を示す図である。
以下では、実施の形態1,2,3,4と同一の構成要素については、同一の名称、及び、同一又は同様の記号を付し、実施の形態1,2,3,4との相違点に絞って構成を記載する。
【0170】
信号分離部153は、照明制御部111Dからのタイミング情報を用いて、時間同期部152からの受信信号から、前記ケース1からケース8に対応する信号を判定・分離する機能を有する。さらに、各ケースに対応する信号を照明フレーム群同期部155もしくはシフト照明フレーム群同期部156D(156Dn:n=1,2,3,4,5,6,7)に送信する機能も有する。
【0171】
信号統合部158D(158Dn:n=1,2,3,4)は、入力された複数の照明フレーム群と複数の受信信号をそれぞれ連結し、統合受信信号及び統合照明フレーム群を作成する。実施の形態5は信号統合部158を4つ備え、ケース1とケース3、ケース2とケース4、ケース5とケース7、ケース6とケース8を統合する。統合されるケース同士は対応する照明パターンが垂直方向に1区画シフトしている。また、ケース1を基準にすると、ケース2は垂直方向に1/2区画、ケース5は水平方向に1/2区画、ケース7は垂直及び水平方向に1/2区画シフトしている。
【0172】
画像再構成部159D(159Dn:n=1,2,3,4)は各信号統合部158D(158Dn:n=1,2,3,4)の後段に接続され、信号統合部158(158Dn:n=1,2,3,4)から出力された統合受信信号及び統合照明フレーム群に対して、画像再構成処理を付与し、計測対象200の2次元画像を生成する(計4枚)。画像再構成部159(159Dn:n=1,2,3,4)によって出力される各2次元画像は、前記の通り、1/2画素ずつシフトしている。
【0173】
前記信号処理部150Dは、さらに、前記受信信号に対して、当該受信信号に基づく画像の解像度を向上させる解像度向上処理を施す、解像度改善部161を備える。
【0174】
解像度改善部161は、画像再構成部159(159Dn:n=1,2,3,4)から出力された4枚の2次元画像を受信し、これらの画像よりも水平方向と垂直方向に2倍の解像度を有する解像度向上済み画像を出力する機能を有する。入力される4枚の画像は、水平及び垂直方向に1/2画素ずつシフトしているため、これらの画像を所謂サブピクセルシフトの手法を用いて統合することで、解像度を向上する。
【0175】
[動作]
本開示の実施の形態5に係る画像取得装置の処理例を説明する。
以下では、実施の形態1,2,3,4との相違点に絞って構成を記載する。
図21は、本開示の実施の形態5に係る画像取得装置100Dにおける受信信号の取得に係る動作を説明するための図である。
図22は、本開示の実施の形態5に係る画像取得装置100Dにおける信号処理部150Dに係る処理を説明するための図である。
【0176】
実施の形態4との差異は、照明システム部110Dから出力されるパターン数が増加したこと、照明パターンの垂直方向のシフト量が1/2区画となったこと、計測対象200が1区画する間に8回受信信号が取得されることである。図22に示すステップST4110からステップST4420の処理内容の詳細のそれぞれは、既に説明した処理内容と同様であるため、以下、異なる処理内容について説明する。
照明パターン410を基準にした水平方向の区画シフト量をΔX、垂直方向の区画シフト量をΔYとおくと、以下の8ケースで信号が取得される。

ケース1:区画シフト(ΔX,ΔY)=(0,0) (=照明パターン410)
ケース2:区画シフト(ΔX,ΔY)=(0,1/2) (=シフト照明パターン420)
ケース3:区画シフト(ΔX,ΔY)=(0,1) (=シフト照明パターン430)
ケース4:区画シフト(ΔX,ΔY)=(0,3/2) (=シフト照明パターン440)
ケース5:区画シフト(ΔX,ΔY)=(1/2,0) (=照明パターン410に区画シフト(ΔX,ΔY)=(1/2,0))
ケース6:区画シフト(ΔX,ΔY)=(1/2,1/2) (=シフト照明パターン420に区画シフト(ΔX,ΔY)=(1/2,0))
ケース7:区画シフト(ΔX,ΔY)=(1/2,1) (=シフト照明パターン430に区画シフト(ΔX,ΔY)=(1/2,0))
ケース8:区画シフト(ΔX,ΔY)=(1/2,3/2) (=シフト照明パターン440に区画シフト(ΔX,ΔY)=(1/2,0))

計測対象200が1区画移動するたびに上記8ケースで信号取得されるため、実施の形態1と同様の信号分離処理を行うことで、各ケースに相当する受信信号に分離する(ステップSTST4130)。
【0177】
ケース1とケース3は照明パターン410を垂直方向に1区画シフトして取得したものであり、実施の形態2と同様に、信号統合処理(ステップST4360)によって、実質的な照明フレーム数を増加するのに使用することができる。ケース2とケース4、ケース5とケース7、ケース6とケース8についても同様である。一方、ケース2とケース4は、ケース1とケース3に対して(ΔX,ΔY)=(0,1/2)分シフトしている。ケース5とケース7、及びケース6とケース8についても(ΔX,ΔY)=(1/2,0)、及び(1/2,1/2)シフトしている。したがって、これらのケースを用いて画像再構成を行うと、ケース1とケース3における出力画像に対して、前記の分だけシフトされた出力画像が得られる。したがって、半区画シフトして撮影した画像が計4枚得られることになる(ステップST4390)。
【0178】
前記4枚の出力画像は所謂サブピクセルシフトされた画像となるため、解像度向上処理(解像度改善処理:ステップST4410)によって画像を統合することで、解像度を水平方向と垂直方向のそれぞれに計2倍した画像を新たに作成できる。必要に応じてデコンボリューション処理等を行って画質を改善しても良い。
【0179】
通常のサブピクセルシフト処理は1/2画素シフトで十分なため、ケース3、ケース4、ケース7、ケース8といった1画素を超えるシフト量を設定する合理的な理由はない。一方、本実施の形態ではサブピクセルシフトによる解像度向上に加えて、照明フレーム数を増大するための処理を行うため、1画素を超えるシフト量でも信号を取得することが特徴である。
【0180】
以下では、上記動作が成立するための条件を整理する。
【0181】
前提条件として、移動する前記計測対象200を計測するように前記画像取得装置100Dが設置された状態において、前記照明パターンのシフト方向は、前記計測対象の移動方向250に対する垂直方向αであり、計測対象200の移動速度をv、照明パターン410の垂直方向の区画間隔をd、照明パターン410の水平方向の区画間隔をd、信号処理部150から出力される2次元画像の垂直方向の画素間隔に相当する計測対象上での長さをd’、 信号処理部150から出力される2次元画像の水平方向の画素間隔に相当する計測対象上での長さをd’と定義する。
【0182】
この時、垂直方向の解像度の向上度ρはρ=d/d’、水平方向の解像度の向上度を表す係数ρをρ=d/d’となる。仮に解像度の向上が無ければd=d’、dx=d’となるため、ρ=ρ=1である。
【0183】
シフトさせる照明パターンの数をNと置く。照明パターン410を含めたパターンの総数はN+1である。照明パターンの総数は垂直方向の解像度を向上するための条件と、照明フレーム数増大の効果を得るための条件から制約される。まず、解像度をρだけ向上するためにはN+1>=ρである必要がある。例えば、垂直方向の解像度を2倍に改善するためには、シフト量としては(ΔX,ΔY)=(0,0)及び(0,1/2)の2種類が最低でも必要である。さらに、照明フレーム増大を得るためには、各シフト量に対して、それらを垂直方向に1区画シフトする必要がある。最小の照明フレーム増大数は2のため、N+1>=2*ρとなる。したがって、本実施の形態が成立するためのシフトさせる照明パターンの数に対する条件はN>=2*ρ -1となる。
【0184】
照明パターンの垂直方向のシフト間隔をΔd、最大のシフト距離をdy,maxと置く。垂直方向のシフト間隔は、垂直方向の解像度向上度に関わる。例えば、解像度を2倍に改善する場合(ρ=2)は、Δd<=d/2である必要があり、これを一般化するとΔd<=d/ρという制約が導かれる。一方、dy,maxとしては、パターン間隔dにパターン数Nを乗じたものが最低でも要求されるため、パターン数Nを用いて、dy,max>=Δd*Nが制約となる。
【0185】
本実施の構成5では、ρ=ρ=2、N=3、Δd=1/2*d、dy,max=3/2*dであり、上記の制約が満たされている。一方、解像度の解像度の増大のみを目的とする場合には、N=1、dy,max=1/2*dで十分であり、上記の制約条件を満たすように構成・動作する合理的な理由はない。
【0186】
なお、本実施の形態5の構成では、ρ=ρ=2とおいたが、ρ=ρ>2の場合でも上記が満たされるように構成すれば、解像度改善効果及び照明フレーム増大効果を得ることができる。ρ=ρ=1の場合には、N=1、Δd=dy,max=1とおけば実施の形態1の条件と一致し、さらに前記の制約条件が満たされる。
【0187】
なお、解像度向上と照明フレーム数増大に最低限必要なサンプル数は、計測対象200が1区画分動く間にρ*(N+1)回となる。等間隔に照明パターン切り替えと信号取得を行う場合、照明パターンの切り替え周期ΔtはΔt<=(d/v)/(ρ*(N+1))、信号取得周期ΔtはΔt<=(d/v)/(ρ*(N+1))という制約を満たす必要がある。
【0188】
さらに、照明パターン区画数についての制約条件も指定する。照明パターン410の垂直方向の区画数をM、水平方向の区画数をM、前記信号処理部から出力される2次元画像の垂直方向の画素数をM’と水平方向の画素数をM’と置く。照明パターン410は、照明パターン410をdy,maxシフトした際にも、計測対象200が照明パターン410に収まるような区画数を有する必要がある。dy,maxに相当する区画数はdy,max/dであり、計測対象200に相当する区画数はM’の解像度向上分を割り戻したM’/ρである。したがって、MはM>=M’/ρ+dy,max/dyという関係を満たす必要がある。また、Mについては十分な照明フレーム数を確保するという観点から、M>>M’/ρという関係を満たす必要がある。
【0189】
通常のSPIにおいては、出力画像の解像度の最大化を図る観点で、MとM’/ρとを一致させない合理的な理由は無い。本開示においては、照明パターンのシフトを行う故に、上記のような制約条件を満たすことが必要となる。
【0190】
[実施の形態5に係る効果]
【0191】
本実施の形態のように構成することにより、実質的な照明フレーム数を増大する効果を保ちつつ、出力画像の解像度向上効果をも得られる。
【0192】
本実施の形態に係る本開示の画像取得装置は、さらに、例えば、以下のように構成されたものである。

複数の区画を用いて形成されている2次元パターンが付与された照明パターン、及び、当該照明パターンを照射面に沿ってシフトさせたシフト照明パターン、を計測対象に照射する、照明システム部と、
前記照明システム部により前記照明パターン及び前記シフト照明パターンが前記計測対象に照射された場合における前記計測対象からの光を、単画素光検出器を介して受光する、受信部と、
前記受信部により受光された光に基づく受信信号を取得し、前記計測対象が前記照明パターン上を通った場合における受信信号の変化及び前記計測対象が前記シフト照明パターン上を通った場合における受信信号の変化に基づいて、前記計測対象の2次元画像を生成する、信号処理部と、
を備え、
前記照明システム部は、
光源部と、
前記光源部から射出された光に2次元パターンを付与するパターン生成部と、
前記パターン生成部により2次元パターンを付与された光を計測対象上に投影する照明光学系と、
前記照明光学系によって生成される照明パターンをシフトさせる照明パターンシフト部と、
を備え、
前記パターン生成部は、前記光源部から射出された光に単一の前記2次元パターンを付与する静的な構造により構成されており、
前記照明システム部は、前記照明パターンと、前記照明パターンシフト部により前記照明パターンをシフトさせた一つ以上のシフト照明パターンとを、時間経過に応じて切り替えながら照射する、
画像取得装置であって、
移動する前記計測対象を計測するように前記画像取得装置が設置された状態において、 前記照明パターンのシフト方向は、前記計測対象の移動方向に対する垂直方向であり、
前記照明システム部が照射する前記照明パターン及び前記シフト照明パターンは、
前記計測対象の移動速度がv、
前記照明パターンにおける前記計測対象の移動方向に対する垂直方向の区画間隔がd
前記照明パターンにおける前記計測対象の移動方向に対する水平方向の区画間隔がd
前記信号処理部から出力される2次元画像の垂直方向の画素間隔に相当する計測対象上での長さがd’
前記信号処理部から出力される2次元画像の水平方向の画素間隔に相当する計測対象上での長さがd’
係数ρyがρ=d/d’
係数ρがρ=d/d’
と定義される場合に、
前記シフト照明パターンの数Nは、N>=2*ρ-1という条件を満たし、
前記シフト照明パターンの垂直方向のシフト間隔Δdは、Δd<=d/ρという関係を満たし、
前記シフト照明パターンの垂直方向の最大シフト距離dy,maxは、dy,max>=Δd*Nという関係を満たし、
前記計測対象が前記照明パターンの1区画を通過する間の信号取得回数Nは、N>=ρ*(N+1)回という関係を満たす、
ことを特徴とする画像取得装置。
【0193】
本実施の形態に係る本開示の画像取得装置は、さらに、例えば、以下のように構成されたものである。

前記照明システム部が照射する前記照明パターンは、
前記照明パターンの垂直方向の区画数がM
前記照明パターンの水平方向の区画数がM
前記信号処理部から出力される2次元画像の垂直方向の画素数がM’
前記信号処理部から出力される2次元画像の水平方向の画素数がM’
と定義される場合に、
前記照明パターンの垂直方向の区画数Mは、M>=M’/ρ+dy,max/dという関係を満たし、
前記照明パターンの水平方向の区画数Mは、M>>M’/ρという関係を満たす、
ことを特徴とする画像取得装置。
【0194】
本実施の形態に係る本開示の画像取得装置は、さらに、例えば、以下のように構成されたものである。

前記係数ρと前記係数ρのいずれかが2以上であり、
前記信号処理部は、前記受信信号に対して、当該受信信号に基づく画像の解像度を向上させる解像度向上処理を施す、
ことを特徴とする画像取得装置。
【0195】
本実施の形態に係る本開示の画像取得装置は、さらに、例えば、以下のように構成されたものである。

前記計測対象と前記照明パターンの水平方向の相対位置と、前記計測対象と前記シフト照明パターンの水平方向の相対位置とは、
前記照明パターンと前記シフト照明パターンとの切り替えに伴って変化しない、
ことを特徴とする画像取得装置。
【0196】
本実施の形態に係る本開示の画像取得装置は、さらに、例えば、以下のように構成されたものである。

複数の区画を用いて形成されている2次元パターンが付与された照明パターン、及び、当該照明パターンを照射面に沿ってシフトさせたシフト照明パターン、を計測対象に照射する、照明システム部と、
前記照明システム部により前記照明パターン及び前記シフト照明パターンが前記計測対象に照射された場合における前記計測対象からの光を、単画素光検出器を介して受光する、受信部と、
前記受信部により受光された光に基づく受信信号を取得し、前記計測対象が前記照明パターン上を通った場合における受信信号の変化及び前記計測対象が前記シフト照明パターン上を通った場合における受信信号の変化に基づいて、前記計測対象の2次元画像を生成する、信号処理部と、
を備え、
前記照明システム部は、
光源部と、
前記光源部から射出された光に2次元パターンを付与するパターン生成部と、
前記パターン生成部により2次元パターンを付与された光を計測対象上に投影する照明光学系と、
前記照明光学系によって生成される照明パターンをシフトさせる照明パターンシフト部と、
を備え、
前記受信部は、前記照明システム部により前記照明パターン及び前記シフト照明パターンが前記計測対象に照射された場合における前記計測対象からの光を受光する、複数の前記単画素光検出器を備え、
前記パターン生成部は、前記光源部から射出された光に単一の前記2次元パターンを付与する静的な構造により構成されており、
前記照明システム部は、前記照明パターンと、前記照明パターンシフト部により前記照明パターンをシフトさせた一つ以上のシフト照明パターンとを、同時に照射し、
複数の前記単画素光検出器は、前記照明パターンと前記シフト照明パターンとをそれぞれ別に検出する、
画像取得装置であって、
移動する前記計測対象を計測するように前記画像取得装置が設置された状態において、前記照明パターンのシフト方向は、前記計測対象の移動方向に対する垂直方向であり、
前記照明システム部が照射する前記照明パターン及び前記シフト照明パターンは、
前記計測対象の移動速度がv、
前記照明パターンにおける前記計測対象の移動方向に対する垂直方向の区画間隔がd
前記照明パターンにおける前記計測対象の移動方向に対する水平方向の区画間隔がd
前記信号処理部から出力される2次元画像の垂直方向の画素間隔に相当する計測対象上での長さがd’
前記信号処理部から出力される2次元画像の水平方向の画素間隔に相当する計測対象上での長さがd’
係数ρがρ=d/d’
係数ρがρ=d/d’x、
と定義された場合に、
前記シフト照明パターンの数Nは、N>=2*ρ-1という条件を満たし、
前記シフト照明パターンの垂直方向のシフト間隔Δdは、Δd<=d/ρという関係を満たし、
前記シフト照明パターンの垂直方向の最大シフト距離dy,maxは、dy,max>=Δd*Nという関係を満たす
ことを特徴とする画像取得装置。
【0197】
本実施の形態に係る本開示の画像取得装置は、さらに、例えば、以下のように構成されたものである。

前記照明システム部が照射する前記照明パターンは、
前記照明パターンの垂直方向の区画数をM
前記照明パターンの水平方向の区画数をM
前記信号処理部から出力される2次元画像の垂直方向の画素数をM’
前記信号処理部から出力される2次元画像の水平方向の画素数をM’
と定義された場合に、
前記照明パターンの垂直方向の区画数Mは、M>=M’/ρ+dy,max/dという関係を満たし、
前記照明パターンの垂直方向の区画数Mは、M>>M’/ρという関係を満たす、
ことを特徴とする画像取得装置。
【0198】
本実施の形態に係る本開示の画像取得装置は、さらに、例えば、以下のように構成されたものである。

前記係数ρと前記係数ρのいずれかが2以上であり、
前記信号処理部は、前記受信信号に対して、当該受信信号に基づく画像の解像度を向上させる解像度向上処理を施す、
ことを特徴とする画像取得装置。
【0199】
ここで、本開示の機能を実現するためのハードウェア構成を説明する。
図23は、本開示の構成による機能を実現するためのハードウェア構成の第1の例を示す図である。
図24は、本開示の構成による機能を実現するためのハードウェア構成の第2の例を示す図である。
本開示の画像取得装置100,100A,100B,100C,100Dにおける特に照明制御部111,111A,111B,111C,111C-1,111C-2,111D、及び、信号処理部150,150A,150B,150C,150D、はそれぞれ、図23または図24に示されるようなハードウェアにより実現される。
【0200】
画像取得装置100,100A,100B,100C,100Dにおける特に照明制御部111,111A,111B,111C,111C-1,111C-2,111D、及び、信号処理部150,150A,150B,150C,150D、はそれぞれ、図23に示すように、例えばプロセッサ10001、メモリ10002、入出力インタフェース10003、および、通信回路10004により構成される。
プロセッサ10001、メモリ10002は、例えば、コンピュータに搭載されているものである。
メモリ10002には、当該コンピュータを、照明制御部111,111A,111B,111C,111C-1,111C-2,111D、信号処理部150,150A,150B,150C,150D、および、図示しない制御部として機能させるためのプログラムが記憶されている。メモリ10002に記憶されたプログラムをプロセッサ10001が読み出して実行することにより、照明制御部111,111A,111B,111C,111C-1,111C-2,111D、信号処理部150,150A,150B,150C,150D、および、図示しない制御部の機能が実現される。
また、メモリ10002または図示しない他のメモリにより、図示しない記憶部が実現される。
また、通信回路10004により、図示しない通信部が実現される。
【0201】
プロセッサ10001は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ又はDSP(Digital Signal Processor)などを用いたものである。
メモリ10002は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)又はフラッシュメモリ等の不揮発性もしくは揮発性の半導体メモリであってもよいし、ハードディスク又はフレキシブルディスク等の磁気ディスクであってもよいし、CD(Compact Disc)又はDVD(Digital VersatileDisc)等の光ディスクであってもよいし、光磁気ディスクであってもよい。
プロセッサ10001とメモリ10002または通信回路10004は、相互にデータを伝送することが可能な状態に接続されている。また、プロセッサ10001とメモリ10002と通信回路10004とは、入出力インタフェース10003を介して他のハードウェアと相互にデータを伝送することが可能な状態に接続されている。
【0202】
または、画像取得装置100,100A,100B,100C,100Dにおける、特に照明制御部111,111A,111B,111C,111C-1,111C-2,111D、信号処理部150,150A,150B,150C,150D、および、図示しない制御部の機能は、図24に示すように、専用の処理回路20001により実現されるものであっても良い。
【0203】
処理回路20001は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、SoC(System-on-a-Chip)またはシステムLSI(Large-Scale Integration)等を用いたものである。
また、メモリ20002または図示しない他のメモリにより、図示しない記憶部が実現される。
メモリ20002は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)又はフラッシュメモリ等の不揮発性もしくは揮発性の半導体メモリであってもよいし、ハードディスク又はフレキシブルディスク等の磁気ディスクであってもよいし、CD(Compact Disc)又はDVD(Digital VersatileDisc)等の光ディスクであってもよいし、光磁気ディスクであってもよい。
また、通信回路20004により、図示しない通信部が実現される。
処理回路20001とメモリ20002または通信回路20004とは、相互にデータを伝送することが可能な状態に接続されている。また、処理回路20001とメモリ20002と通信回路20004とは、入出力インタフェース20003を介して他のハードウェアと相互にデータを伝送することが可能な状態に接続されている。
なお、画像取得装置100,100A,100B,100C,100Dにおける、特に照明制御部111,111A,111B,111C,111C-1,111C-2,111D、信号処理部150,150A,150B,150C,150D、および、図示しない制御部の機能をそれぞれ別の処理回路で実現しても良いし、まとめて処理回路で実現しても良い。
同様に、乗員監視装置300Aにおける、映像取得部301A、動作判定部302A、および、図示しない制御部の機能をそれぞれ別の処理回路で実現しても良いし、まとめて処理回路で実現しても良い。
同様に、サーバ装置600Eにおける、動作情報収集部601E、および、図示しない制御部の機能をそれぞれ別の処理回路で実現しても良いし、まとめて処理回路で実現しても良い。
【0204】
または、画像取得装置100,100A,100B,100C,100Dにおける、特に照明制御部111,111A,111B,111C,111C-1,111C-2,111D、信号処理部150,150A,150B,150C,150D、および、図示しない制御部のうちの一部の機能がプロセッサ10001およびメモリ10002により実現され、かつ、残りの機能が処理回路20001により実現されるものであっても良い。
【0205】
なお、本開示は、この開示の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、または各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0206】
本開示は、単一の照明パターンを用いて計測対象の2次元画像を取得する場合において、照明パターンのサイズが増大してしまうことを抑制しつつ、見かけの照明パターン(照明フレーム)の数を増加させることができるので、例えば、単一の照明パターンを用いて計測対象の2次元画像を取得して計測を行う計測装置等に用いるのに適している。
【符号の説明】
【0207】
100,100A,100B,100C,100D 画像取得装置、110,110A,110B,110C,110C-1,110C-2,110D 照明システム部、111,111A,111B,111C,111C-1,111C-2,111D 照明制御部、112A,112C 時間多重光源部(光源部)、112A-1,112B-1 単色レーザ(光源部)、112A-2,112B-2 単色レーザ(光源部)、112A-3,112B-3 ビームコンバイナ、112B 多重光源部、112C-1 多波長レーザ,113 固定パターン生成部(パターン生成部)、113-1 照明パターンマスク(パターン生成部)、114 パターン多重部(照明パターンシフト部)、114-1 プリズム(照明パターンシフト部)、115 照明光学系、115-1 照明レンズ、116 照明パターンマスク移動部(パターン移動部)、130,130A,130B,130C,130D 受信部、131 受信光学系、132,132A, 単画素光検出部(単画素光検出装置)、132B-1,132B-2 単画素光検出部(複数の単画素光検出装置)
133 パターン分離部、150,150A,150B,150C,150D 信号処理部、151 AD変換部、152 時間同期部、153 信号分離部、154 照明フレーム群保持部、155 照明フレーム群同期部、156,156C-1,156C-2,156D(156D:n=1,2,3,4,5,6,7) シフト照明フレーム群同期部、157,157a,157b,157c,157D(157D:n=1,2,3,4,5,6,7) 校正処理部、158,158D(158D:n=1,2,3,4) 信号統合部、159,159D(159D:n=1,2,3,4) 画像再構成部、160 画像出力部、161 解像度改善部、200 計測対象、250 計測対象の移動方向、300 物体駆動部(物体駆動装置)、400 パターン光、410 照明パターン(第1の照明パターン)、420 シフト照明パターン(第1のシフト照明パターン)(第2の照明パターン)、430 シフト照明パターン(第2のシフト照明パターン)(第3の照明パターン)、440 シフト照明パターン(第3のシフト照明パターン)(第4の照明パターン)、500,500,500,500,500,500,500,500,500A,500B 照明フレーム、600 画像、10001 プロセッサ、10002 メモリ、10003 入出力インタフェース、10004 通信回路、20001 処理回路、20002 メモリ、20003 入出力インタフェース、20004 通信回路。
【要約】
画像取得装置(100)は、複数の区画を用いて形成されている2次元パターンが付与された照明パターン、及び、当該照明パターンを照射面に沿ってシフトさせたシフト照明パターン、を計測対象に照射する、照明システム部(110)と、照明システム部により照明パターン及びシフト照明パターンが計測対象に照射された場合における計測対象からの光を、単画素光検出器を介して受光する、受信部(130)と、受信部により受光された光に基づく受信信号を取得し、計測対象が照明パターン上を通った場合における受信信号の変化及び計測対象がシフト照明パターン上を通った場合における受信信号の変化に基づいて、計測対象の2次元画像を生成する、信号処理部(150)と、を備えた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24