(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-04
(45)【発行日】2025-07-14
(54)【発明の名称】キュービット間の量子ゲートを容易にする調整可能な量子カプラ
(51)【国際特許分類】
H10N 60/10 20230101AFI20250707BHJP
G06N 10/40 20220101ALI20250707BHJP
G06F 7/38 20060101ALI20250707BHJP
【FI】
H10N60/10 K
G06N10/40
G06F7/38 510
G06F7/38 610
(21)【出願番号】P 2022567904
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(86)【国際出願番号】 EP2021066155
(87)【国際公開番号】W WO2021259711
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2023-11-14
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】シュテーリク、ジリ
(72)【発明者】
【氏名】アンダーウッド、デビン
(72)【発明者】
【氏名】ザジャック、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ステファン、マティアス
【審査官】脇水 佳弘
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110738320(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0111754(US,A1)
【文献】米国特許第07613764(US,B1)
【文献】LOFT, Niels, et al.,Quantum interference device for controlled two-qubit operations,arXiv:1809.09049v3,CORNELL UNIVERSITY LIBRARY,2019年08月17日,p. 1-20,https://arxiv.org/pdf/1809.09049.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 60/00
G06N 10/40
G06F 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子カプラ・デバイスであって、
第1のキュービットおよび第2のキュービットの同じ極性の端子間に結合され、前記第1のキュービットと前記第2のキュービットとの間の第1の結合を制御するように構成された、調整可能なカプラと、
前記第1のキュービットおよび前記第2のキュービットの反対の極性の端子に結合され
、前記調整可能なカプラの共振周波数が前記第1のキュービットと前記第2のキュービットとの両方の共振周波数よりも小さいことに基づいて、前記第1の結合に対して符号が反対である第2の結合を提供するように構成された、コンデンサ・デバイスとを備える、量子カプラ・デバイス。
【請求項2】
前記調整可能なカプラが前記第1の結合を制御するように構成され、前記コンデンサ・デバイスが前記第2の結合を提供して前記第1のキュービットと前記第2のキュービットとの間のコヒーレントな回転を排除し、それによって、前記第1のキュービットもしくは前記第2のキュービットのうちの少なくとも1つに関連する量子ゲート誤りの低減、前記第1のキュービットおよび前記第2のキュービットを含む量子ゲートの高速化、前記量子カプラ・デバイスを備える量子プロセッサの性能の向上、または前記量子カプラ・デバイスを備える前記量子プロセッサの忠実度の向上のうちの少なくとも1つを容易にするように構成される、請求項
1に記載の量子カプラ・デバイス。
【請求項3】
前記調整可能なカプラが、流束調整可能なカプラ、調整可能なカプラ・キュービット、流束調整可能なカプラ・キュービット、調整可能なキュービット、調整可能なバス、または流束調整可能なキュービット・バスのうちの少なくとも1つを含む、請求項
1または2に記載の量子カプラ・デバイス。
【請求項4】
前記第1のキュービットまたは前記第2のキュービットのうちの少なくとも1つが、固定周波数キュービット、調整可能なキュービット、トランズモン・キュービット、固定周波数トランズモン・キュービット、または調整可能なトランズモン・キュービットのうちの少なくとも1つを含む、請求項1ないし
3のいずれかに記載の量子カプラ・デバイス。
【請求項5】
前記コンデンサ・デバイスが、差動コンデンサまたはバイパス・コンデンサのうちの少なくとも1つを含む、請求項1ないし
4のいずれかに記載の量子カプラ・デバイス。
【請求項6】
プロセッサに動作可能に結合されたシステム
が、第1のキュービットおよび第2のキュービットの同じ極性の端子間に調整可能な結合を提供することと、
前記システム
が、前記第1のキュービットおよび前記第2のキュービットの反対の極性の端子間に容量結合を提供することと、
前記システム
が、前記調整可能な結合に関連する共振周波数を調整することとを含み、前記調整可能な結合に関連する前記共振周波数が前記第1のキュービットと前記第2のキュービットとの両方の共振周波数よりも小さい場合、前記容量結合が、前記調整可能な結合をキャンセルする結合を生成する、
方法。
【請求項7】
前記調整可能な結合に関連する前記共振周波数が前記第1のキュービットと前記第2のキュービットとの両方の前記共振周波数よりも小さい場合、前記システム
が、前記調整可能な結合をキャンセルする前記結合に基づいて、前記第2のキュービットから前記第1のキュービットを分離することをさらに含む、請求項
6に記載の
方法。
【請求項8】
前記調整可能な結合に関連する前記共振周波数が前記第1のキュービットと前記第2のキュービットとの両方の前記共振周波数よりも小さい場合、前記システム
が、前記調整可能な結合をキャンセルする前記結合に基づいて、前記第1のキュービットまたは前記第2のキュービットのうちの少なくとも1つにおけるコヒーレントな回転を排除し、それによって、前記第1のキュービットもしくは前記第2のキュービットのうちの少なくとも1つに関連する量子ゲート誤りの低減、前記第1のキュービットおよび前記第2のキュービットを含む量子ゲートの高速化、量子プロセッサの性能の向上、または前記量子プロセッサの忠実度の向上のうちの少なくとも1つを容易にすることをさらに含む、請求項
6または
7に記載の
方法。
【請求項9】
前記第1のキュービットまたは前記第2のキュービットのうちの少なくとも1つが、固定周波数キュービット、調整可能なキュービット、トランズモン・キュービット、固定周波数トランズモン・キュービット、または調整可能なトランズモン・キュービットのうちの少なくとも1つを含む、請求項
6ないし
8のいずれかに記載の
方法。
【請求項10】
量子カプラ・デバイスであって、
第1のキュービットと第2のキュービットとの間に結合された調整可能なカプラと、
前記第1のキュービットと前記第2のキュービットとの間に結合されたコンデンサ・デバイスとを備え、前記コンデンサ・デバイスが、前記調整可能なカプラの共振周波数が前記第1のキュービットと前記第2のキュービットとの両方の共振周波数よりも小さいことに基づいて、前記調整可能なカプラからの結合と符号が反対である結合を生成する、量子カプラ・デバイス。
【請求項11】
前記コンデンサ・デバイスが第1の端子および第2の端子を備え、前記第1の端子および前記第2の端子が前記第1のキュービットと前記第2のキュービットとの間で交差結合され、前記調整可能なカプラが前記第1のキュービットと前記第2のキュービットとの間で直接結合される、請求項
10に記載の量子カプラ・デバイス。
【請求項12】
前記調整可能なカプラが、前記第1のキュービットおよび前記第2のキュービットの同じ極性の端子間に結合され、前記調整可能なカプラが、前記第1のキュービットと前記第2のキュービットとの間の結合を制御するように構成される、請求項
10または
11に記載の量子カプラ・デバイス。
【請求項13】
前記調整可能なカプラが、前記第1のキュービットおよび前記第2のキュービットの同じ極性の端子間に結合され、
前記調整可能なカプラが、前記第1のキュービットと前記第2のキュービットとの間の第1の結合を制御するように構成され、
前記コンデンサ・デバイスが、前記第1のキュービットおよび前記第2のキュービットの反対の極性の端子に結合され、
前記コンデンサ・デバイスが、前記第1の結合に対して符号が反対である第2の結合を提供するように構成される、請求項
10ないし
12のいずれかに記載の量子カプラ・デバイス。
【請求項14】
前記調整可能なカプラが、前記第1の結合を制御するように構成され、前記コンデンサ・デバイスが、前記第2の結合を提供して前記第1のキュービットと前記第2のキュービットとの間のコヒーレントな回転を排除し、それによって、前記第1のキュービットもしくは前記第2のキュービットのうちの少なくとも1つに関連する量子ゲート誤りの低減、前記第1のキュービットおよび前記第2のキュービットを含む量子ゲートの高速化、前記量子カプラ・デバイスを備える量子プロセッサの性能の向上、または前記量子カプラ・デバイスを備える前記量子プロセッサの忠実度の向上のうちの少なくとも1つを容易にするように構成される、請求項
13に記載の量子カプラ・デバイス。
【請求項15】
前記調整可能なカプラが、流束調整可能なカプラ、調整可能なカプラ・キュービット、流束調整可能なカプラ・キュービット、調整可能なキュービット、調整可能なバス、または流束調整可能なキュービット・バスのうちの少なくとも1つを含む、請求項
10ないし
14のいずれかに記載の量子カプラ・デバイス。
【請求項16】
前記第1のキュービットまたは前記第2のキュービットのうちの少なくとも1つが、固定周波数キュービット、調整可能なキュービット、トランズモン・キュービット、固定周波数トランズモン・キュービット、または調整可能なトランズモン・キュービットのうちの少なくとも1つを含む、請求項
10ないし
15のいずれかに記載の量子カプラ・デバイス。
【請求項17】
前記コンデンサ・デバイスが、差動コンデンサまたはバイパス・コンデンサのうちの少なくとも1つを含む、請求項
10ないし
16のいずれかに記載の量子カプラ・デバイス。
【請求項18】
デバイスであって、
第1のキュービットおよび第2のキュービットの同じ極性の端子間に結合され、前記第1のキュービットと前記第2のキュービットとの間の第1の結合を制御するように構成された、第1の調整可能なカプラと、
前記第1のキュービットおよび前記第2のキュービットの反対の極性の端子に結合され、
前記第1の調整可能なカプラの共振周波数が前記第1のキュービットと前記第2のキュービットとの両方の共振周波数よりも小さいこと基づいて、前記第1の結合に対して符号が反対である第2の結合を提供するように構成された、第1のコンデンサ・デバイスと、
前記第2のキュービットおよび第3のキュービットの同じ極性の端子間に結合され、前記第2のキュービットと前記第3のキュービットとの間の第3の結合を制御するように構成された、第2の調整可能なカプラと、
前記第2のキュービットおよび前記第3のキュービットの反対の極性の端子に結合され、前記第3の結合に対して符号が反対である第4の結合を提供するように構成された、第2のコンデンサ・デバイスと
を備える、デバイス。
【請求項19】
前記第2のコンデンサ・デバイスが、前記第2の調整可能なカプラの共振周波数が前記第2のキュービットと前記第3のキュービットとの両方の共振周波数よりも小さいことに基づいて前記第4の結合を提供する、請求項
18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記第1の調整可能なカプラまたは前記第2の調整可能なカプラが、前記第1の結合または前記第3の結合をそれぞれ制御するように構成され、前記第1のコンデンサ・デバイスまたは前記第2のコンデンサ・デバイスが、前記第2の結合または前記第4の結合をそれぞれ提供して前記第1のキュービットと前記第2のキュービットとの間または前記第2のキュービットと前記第3のキュービットとの間のコヒーレントな回転をそれぞれ排除し、それによって、前記第1のキュービット、前記第2のキュービット、もしくは前記第3のキュービットのうちの少なくとも1つに関連する量子ゲート誤りの低減、前記第1のキュービットおよび前記第2のキュービットもしくは前記第2のキュービットおよび前記第3のキュービットを含む量子ゲートの高速化、前記デバイスを備える量子プロセッサの性能の向上、または前記デバイスを備える前記量子プロセッサの忠実度の向上のうちの少なくとも1つを容易にするように構成される、請求項
18または
19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記第1の調整可能なカプラまたは前記第2の調整可能なカプラのうちの少なくとも1つが、流束調整可能なカプラ、調整可能なカプラ・キュービット、流束調整可能なカプラ・キュービット、調整可能なキュービット、調整可能なバス、または流束調整可能なキュービット・バスのうちの少なくとも1つを含み、
前記第1のキュービット、前記第2のキュービット、または前記第3のキュービットのうちの少なくとも1つが、固定周波数キュービット、調整可能なキュービット、トランズモン・キュービット、固定周波数トランズモン・キュービット、または調整可能なトランズモン・キュービットのうちの少なくとも1つを含み、
前記第1のコンデンサ・デバイスまたは前記第2のコンデンサ・デバイスのうちの少なくとも1つが、差動コンデンサまたはバイパス・コンデンサのうちの少なくとも1つを含む、請求項
18ないし
20のいずれかに記載のデバイス。
【請求項22】
プロセッサに動作可能に結合されたシステム
が、第1のキュービットおよび第2のキュービットの同じ極性の端子間の第1の調整可能な結合ならびに前記第2のキュービットおよび第3のキュービットの同じ極性の端子間の第2の調整可能な結合を提供することと、
前記システム
が、前記第1のキュービットおよび前記第2のキュービットの反対の極性の端子間の第1の容量結合ならびに前記第2のキュービットおよび前記第3のキュービットの反対の極性の端子間の第2の容量結合を提供することと、
前記システム
が、前記第1の調整可能な結合に関連する第1の共振周波数および前記第2の調整可能な結合に関連する第2の共振周波数を調整することとを含み、前記第1の容量結合が、前記第1の共振周波数が前記第1のキュービットと前記第2のキュービットとの両方の第3の共振周波数よりも小さい場合に前記第1の調整可能な結合をキャンセルする第1の結合を含み、前記第2の容量結合が、前記第2の共振周波数が前記第2のキュービットと前記第3のキュービットとの両方の第4の共振周波数よりも小さい場合に前記第2の調整可能な結合をキャンセルする第2の結合を含む、
方法。
【請求項23】
前記システム
が、前記第1の調整可能な結合または前記第2の調整可能な結合のうちの少なくとも1つにそれぞれ基づいて、前記第2のキュービットから前記第1のキュービットを分離すること、または前記第3のキュービットから前記第2のキュービットを分離することのうちの少なくとも1つを行うことをさらに含み、前記第1のキュービット、前記第2のキュービット、または前記第3のキュービットのうちの少なくとも1つが、固定周波数キュービット、調整可能なキュービット、トランズモン・キュービット、固定周波数トランズモン・キュービット、または調整可能なトランズモン・キュービットのうちの少なくとも1つを含む、請求項
22に記載の
方法。
【請求項24】
前記システム
が、前記第1の調整可能な結合または前記第2の調整可能な結合のうちの少なくとも1つに基づいて、前記第1のキュービット、前記第2のキュービット、または前記第3のキュービットのうちの少なくとも1つにおけるコヒーレントな回転を排除し、それによって、前記第1のキュービット、前記第2のキュービット、もしくは前記第3のキュービットに関連する量子ゲート誤りの低減、前記第1のキュービットおよび前記第2のキュービットもしくは前記第2のキュービットおよび前記第3のキュービットを含む量子ゲートの高速化、量子プロセッサの性能の向上、または前記量子プロセッサの忠実度の向上のうちの少なくとも1つを容易にすることをさらに含む、請求項
22または
23に記載の
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、量子カプラに関し、より詳細には、量子ビット(キュービット)間の量子ゲートを容易にする量子カプラに関する。
【背景技術】
【0002】
大規模な量子コンピューティング・プロセッサでは、量子ゲートの実行に関与するキュービット間相互作用を生成するために、最近傍のキュービットがともに結合される。相互作用が常にオンである場合、スペクテータ・キュービット(例えば、隣接キュービット)上で意図しないコヒーレントな回転またはコヒーレントなキュービット誤りあるいはその両方が発生し、結果として、量子計算中にゲート誤りが生じる。このようなコヒーレントな回転またはコヒーレントなキュービット誤りあるいはその両方は、キュービットの性能を制限しており、現在において量子コンピューティング・プロセッサの進歩を妨げている。隣接キュービット間の結合は、コヒーレントなキュービット誤り、具体的にはZZ誤りの主な原因である。
【0003】
いくつかの先行技術では、量子ゲートを実行するために使用されるキュービットに調整可能なカプラを結合することによって、そのようなコヒーレントな回転またはコヒーレントなキュービット誤り(例えば、ZZ誤り)あるいはその両方を排除することを試みている。このような先行技術に関する問題は、調整可能なカプラがキュービットの共振周波数を上回る共振周波数で動作するように設計されていることである。キュービットの共振周波数を上回る共振周波数の場合、ZZターン・オンが小さくなり、広範囲にわたる離調のために高速ゲートを実現することがより困難になる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の1つまたは複数の実施形態の基本的な理解を提供するために、以下に概要を提示する。この概要は、重要な要素または必須の要素を識別することも、特定の実施形態のいかなる範囲または特許請求の範囲のいかなる範囲を線引きすることも意図していない。その唯一の目的は、後述するさらに詳細な説明の前置きとして、簡略化した形式で概念を提示することである。本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態では、調整可能なカプラおよびコンデンサ・デバイスを使用してキュービット間の量子ゲートを容易にする、システム、デバイス、コンピュータ実施方法、またはコンピュータ・プログラム製品あるいはその組合せについて説明する。
【0005】
一実施形態によれば、量子カプラ・デバイスは、第1のキュービットおよび第2のキュービットの同じ極性の端子間に結合され、第1のキュービットと第2のキュービットとの間の第1の結合を制御するように構成された、調整可能なカプラを備えることができる。量子カプラ・デバイスは、第1のキュービットおよび第2のキュービットの反対の極性の端子に結合され、第1の結合に対して符号が反対である第2の結合を提供するように構成された、コンデンサ・デバイスをさらに備えることができる。このような量子カプラ・デバイスの利点は、このような量子カプラ・デバイスが量子ゲートの速度を向上させる(例えば、キュービットでの動作を完了するのにかかる時間を短縮する)ことができることである。
【0006】
いくつかの実施形態では、調整可能なカプラは、第1の結合を制御するように構成され、コンデンサ・デバイスは、第2の結合を提供して第1のキュービットと第2のキュービットとの間のコヒーレントな回転を排除し、それによって、第1のキュービットもしくは第2のキュービットのうちの少なくとも1つに関連する量子ゲート誤りの低減、第1のキュービットおよび第2のキュービットを含む量子ゲートの高速化、量子カプラ・デバイスを備える量子プロセッサの性能の向上、または量子カプラ・デバイスを備える量子プロセッサの忠実度の向上のうちの少なくとも1つを容易にするように構成される。このような量子カプラ・デバイスの利点は、このような量子カプラ・デバイスが第1のキュービットと第2のキュービットとの間の結合をオフにし、それによって、量子計算中にゲート誤りを引き起こす第1のキュービットまたは第2のキュービットあるいはその両方におけるコヒーレントな回転またはコヒーレントなキュービット誤りあるいはその両方を排除できることである。
【0007】
別の実施形態によれば、量子結合のコンピュータ実施方法は、プロセッサに動作可能に結合されたシステムによって、第1のキュービットおよび第2のキュービットの同じ極性の端子間に調整可能な結合を提供することを含むことができる。量子結合のコンピュータ実施方法は、システムによって、第1のキュービットおよび第2のキュービットの反対の極性の端子間に容量結合を提供することをさらに含むことができる。量子結合のコンピュータ実施方法は、システムによって、調整可能な結合に関連する共振周波数を調整することをさらに含むことができる。調整可能な結合に関連する共振周波数が第1のキュービットと第2のキュービットとの両方の共振周波数よりも小さい場合、容量結合は、調整可能な結合をキャンセルする結合を生成する。このような量子結合のコンピュータ実施方法の利点は、このような量子結合のコンピュータ実施方法を実施して、量子ゲートの速度を向上させる(例えば、キュービットでの動作を完了するのにかかる時間を短縮する)ことができることである。
【0008】
いくつかの実施形態では、上記の量子結合のコンピュータ実施方法は、調整可能な結合に関連する共振周波数が第1のキュービットと第2のキュービットとの両方の共振周波数よりも小さい場合、システムによって、調整可能な結合をキャンセルする結合に基づいて、第1のキュービットまたは第2のキュービットのうちの少なくとも1つにおけるコヒーレントな回転を排除し、それによって、第1のキュービットもしくは第2のキュービットのうちの少なくとも1つに関連する量子ゲート誤りの低減、第1のキュービットおよび第2のキュービットを含む量子ゲートの高速化、量子プロセッサの性能の向上、または量子プロセッサの忠実度の向上のうちの少なくとも1つを容易にすることをさらに含むことができる。このような量子結合のコンピュータ実施方法の利点は、このような量子結合のコンピュータ実施方法を実施して、第1のキュービットと第2のキュービットとの間の結合をオフにし、それによって、量子計算中にゲート誤りを引き起こす第1のキュービットまたは第2のキュービットあるいはその両方におけるコヒーレントな回転またはコヒーレントなキュービット誤りあるいはその両方を排除できることである。
【0009】
別の実施形態によれば、量子カプラ・デバイスは、第1のキュービットと第2のキュービットとの間に結合された調整可能なカプラを備えることができる。量子カプラ・デバイスは、第1のキュービットと第2のキュービットとの間に結合されたコンデンサ・デバイスをさらに備えることができる。コンデンサ・デバイスは、調整可能なカプラの共振周波数が第1のキュービットと第2のキュービットとの両方の共振周波数よりも小さいことに基づいて、調整可能なカプラからの結合と符号が反対である結合を生成する。このような量子カプラ・デバイスの利点は、このような量子カプラ・デバイスが量子ゲートの速度を向上させる(例えば、キュービットでの動作を完了するのにかかる時間を短縮する)ことができることである。
【0010】
いくつかの実施形態では、調整可能なカプラは、第1の結合を制御するように構成され、コンデンサ・デバイスは、第2の結合を提供して第1のキュービットと第2のキュービットとの間のコヒーレントな回転を排除し、それによって、第1のキュービットもしくは第2のキュービットのうちの少なくとも1つに関連する量子ゲート誤りの低減、第1のキュービットおよび第2のキュービットを含む量子ゲートの高速化、量子カプラ・デバイスを備える量子プロセッサの性能の向上、または量子カプラ・デバイスを備える量子プロセッサの忠実度の向上のうちの少なくとも1つを容易にするように構成される。このような量子カプラ・デバイスの利点は、このような量子カプラ・デバイスが第1のキュービットと第2のキュービットとの間の結合をオフにし、それによって、量子計算中にゲート誤りを引き起こす第1のキュービットまたは第2のキュービットあるいはその両方におけるコヒーレントな回転またはコヒーレントなキュービット誤りあるいはその両方を排除できることである。
【0011】
別の実施形態によれば、デバイスは、第1のキュービットおよび第2のキュービットの同じ極性の端子間に結合され、第1のキュービットと第2のキュービットとの間の第1の結合を制御するように構成された、第1の調整可能なカプラを備えることができる。デバイスは、第1のキュービットおよび第2のキュービットの反対の極性の端子に結合され、第1の結合に対して符号が反対である第2の結合を提供するように構成された、第1のコンデンサ・デバイスをさらに備えることができる。デバイスは、第2のキュービットおよび第3のキュービットの同じ極性の端子間に結合され、第2のキュービットと第3のキュービットとの間の第3の結合を制御するように構成された、第2の調整可能なカプラをさらに備えることができる。デバイスは、第2のキュービットおよび第3のキュービットの反対の極性の端子に結合され、第3の結合に対して符号が反対である第4の結合を提供するように構成された、第2のコンデンサ・デバイスをさらに備えることができる。このようなデバイスの利点は、このようなデバイスが量子ゲートの速度を向上させる(例えば、キュービットでの動作を完了するのにかかる時間を短縮する)ことができることである。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1の調整可能なカプラまたは第2の調整可能なカプラは、第1の結合または第3の結合をそれぞれ制御するように構成され、第1のコンデンサ・デバイスまたは第2のコンデンサ・デバイスは、第2の結合または第4の結合をそれぞれ提供して第1のキュービットと第2のキュービットとの間または第2のキュービットと第3のキュービットとの間のコヒーレントな回転をそれぞれ排除し、それによって、第1のキュービット、第2のキュービット、もしくは第3のキュービットのうちの少なくとも1つに関連する量子ゲート誤りの低減、第1のキュービットおよび第2のキュービットもしくは第2のキュービットおよび第3のキュービットを含む量子ゲートの高速化、デバイスを備える量子プロセッサの性能の向上、またはデバイスを備える量子プロセッサの忠実度の向上のうちの少なくとも1つを容易にするように構成される。このようなデバイスの利点は、このようなデバイスが、第1のキュービットと第2のキュービットとの間の結合または第2のキュービットと第3のキュービットとの間の結合をオフにし、それによって、量子計算中にゲート誤りを引き起こす第1のキュービット、第2のキュービット、または第3のキュービットあるいはその組合せにおけるコヒーレントな回転またはコヒーレントなキュービット誤りあるいはその両方を排除できることである。
【0013】
別の実施形態によれば、コンピュータ実施方法は、プロセッサに動作可能に結合されたシステムによって、第1のキュービットおよび第2のキュービットの同じ極性の端子間の第1の調整可能な結合ならびに第2のキュービットおよび第3のキュービットの同じ極性の端子間の第2の調整可能な結合を提供することを含むことができる。コンピュータ実施方法は、システムによって、第1のキュービットおよび第2のキュービットの反対の極性の端子間の第1の容量結合ならびに第2のキュービットおよび第3のキュービットの反対の極性の端子間の第2の容量結合を提供することをさらに含むことができる。コンピュータ実施方法は、システムによって、第1の調整可能な結合に関連する第1の共振周波数および第2の調整可能な結合に関連する第2の共振周波数を調整することをさらに含むことができる。第1の容量結合は、第1の共振周波数が第1のキュービットと第2のキュービットとの両方の第3の共振周波数よりも小さい場合に第1の調整可能な結合をキャンセルする第1の結合を含み、第2の容量結合は、第2の共振周波数が第2のキュービットと第3のキュービットとの両方の第4の共振周波数よりも小さい場合に第2の調整可能な結合をキャンセルする第2の結合を含む。このようなコンピュータ実施方法の利点は、このようなコンピュータ実施方法を実施して、量子ゲートの速度を向上させる(例えば、キュービットでの動作を完了するのにかかる時間を短縮する)ことができることである。
【0014】
いくつかの実施形態では、上記のコンピュータ実施方法は、システムによって、第1の調整可能な結合または第2の調整可能な結合のうちの少なくとも1つに基づいて、第1のキュービット、第2のキュービット、または第3のキュービットのうちの少なくとも1つにおけるコヒーレントな回転を排除し、それによって、第1のキュービット、第2のキュービット、もしくは第3のキュービットに関連する量子ゲート誤りの低減、第1のキュービットおよび第2のキュービットもしくは第2のキュービットおよび第3のキュービットを含む量子ゲートの高速化、量子プロセッサの性能の向上、または量子プロセッサの忠実度の向上のうちの少なくとも1つを容易にすることをさらに含むことができる。このようなコンピュータ実施方法の利点は、このようなコンピュータ実施方法を実施して、第1のキュービットと第2のキュービットとの間の結合または第2のキュービットと第3のキュービットとの間の結合をオフにし、それによって、量子計算中にゲート誤りを引き起こす第1のキュービット、第2のキュービット、または第3のキュービットあるいはその組合せにおけるコヒーレントな回転またはコヒーレントなキュービット誤りあるいはその両方を排除できることである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、調整可能なカプラおよびコンデンサ・デバイスを使用してキュービット間の量子ゲートを容易にすることができる例示的で非限定的なデバイスの回路図である。
【
図2】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、調整可能なカプラおよびコンデンサ・デバイスを使用してキュービット間の量子ゲートを容易にすることができる例示的で非限定的なデバイスの回路図である。
【
図3】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、調整可能なカプラおよびコンデンサ・デバイスを使用してキュービット間の量子ゲートを容易にすることができる例示的で非限定的なグラフである。
【
図4】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、調整可能なカプラおよびコンデンサ・デバイスを使用してキュービット間の量子ゲートを容易にすることができる例示的で非限定的なグラフである。
【
図5】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、調整可能なカプラおよびコンデンサ・デバイスを使用してキュービット間の量子ゲートを容易にすることができる例示的で非限定的なコンピュータ実施方法の流れ図である。
【
図6】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、調整可能なカプラおよびコンデンサ・デバイスを使用してキュービット間の量子ゲートを容易にすることができる例示的で非限定的なコンピュータ実施方法の流れ図である。
【
図7】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、調整可能なカプラおよびコンデンサ・デバイスを使用してキュービット間の量子ゲートを容易にすることができる例示的で非限定的なコンピュータ実施方法の流れ図である。
【
図8】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、調整可能なカプラおよびコンデンサ・デバイスを使用してキュービット間の量子ゲートを容易にすることができる例示的で非限定的なコンピュータ実施方法の流れ図である。
【
図9】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、調整可能なカプラおよびコンデンサ・デバイスを使用してキュービット間の量子ゲートを容易にすることができる例示的で非限定的なコンピュータ実施方法の流れ図である。
【
図10】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態を容易にすることができる例示的で非限定的な動作環境のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明は単なる例示であり、実施形態、または実施形態の適用もしくは用途、あるいはその両方を限定することを意図するものではない。さらに、前述の技術分野もしくは発明の概要のセクションまたは発明を実施するための形態のセクションに提示されている明示的または暗示的な情報によって拘束される意図はない。
【0017】
次に、図面を参照して1つまたは複数の実施形態を説明するが、全体を通して、同様の参照番号は同様の要素を指すために使用されている。以下の説明では、1つまたは複数の実施形態のより完全な理解を提供するために、説明を目的として多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、様々な場合において、1つまたは複数の実施形態がこれらの具体的な詳細なしで実施され得ることは明らかである。
【0018】
量子コンピューティングは、一般に、コンピューティングおよび情報処理機能を実行する目的で量子力学的現象を使用することである。量子コンピューティングは、一般にトランジスタを用いて2進値に対して演算を実行する古典コンピューティングと対照をなすものと見ることができる。すなわち、古典コンピュータは、0または1のいずれかであるビット値で演算を実行することができるが、量子コンピュータは、0と1との両方の重ね合せを含む量子ビット(キュービット)に対して演算を実行し、複数の量子ビットをもつれさせることができ、干渉を使用する。
【0019】
従来技術に関する上記の問題を考慮すると、本開示を実施して、第1のキュービットと第2のキュービットとの間に結合された調整可能なカプラと、第1のキュービットと第2のキュービットとの間に結合されたコンデンサ・デバイスとを備える量子カプラ・デバイスを使用して第1のキュービットと第2のキュービットとの間の量子ゲート(例えば、制御された位相(C位相)ゲート)を容易にすることができるデバイスまたはコンピュータ実施方法あるいはその両方の形式で、これらの問題に対する解決策を生み出すことができ、コンデンサ・デバイスは、調整可能なカプラの共振周波数が第1のキュービットと第2のキュービットと両方の共振周波数よりも小さいことに基づいて、調整可能なカプラからの結合と符号が反対である結合を生成する。このようなデバイスまたはコンピュータ実施方法あるいはその両方の利点は、これらを実施して、量子ゲートの速度を向上させる(例えば、キュービットでの動作を完了するのにかかる時間を短縮する)ことができることである。
【0020】
いくつかの実施形態では、本開示を実施して、上記の量子カプラ・デバイスを使用して第1のキュービットと第2のキュービットとの間の量子ゲート(例えば、C位相ゲート)を容易にすることができるデバイスまたはコンピュータ実施方法あるいはその両方の形式で、これらの問題に対する解決策を生み出すことができ、調整可能なカプラは、第1の結合を制御するように構成され、コンデンサ・デバイスは、第2の結合を提供して第1のキュービットと第2のキュービットとの間のコヒーレントな回転を排除するように構成される。このようなデバイスまたはコンピュータ実施方法あるいはその両方の利点は、これらを実施して、第1のキュービットと第2のキュービットとの間の結合をオフにし、それによって、量子計算中にゲート誤りを引き起こす第1のキュービットまたは第2のキュービットあるいはその両方におけるコヒーレントな回転またはコヒーレントなキュービット誤りあるいはその両方を排除できることである。
【0021】
要素が別の要素に「結合されている」と言及される場合、それは、通信結合、電気結合、電磁結合、動作結合、光結合、物理結合、熱結合、または別のタイプの結合あるいはその組合せを含むがこれらに限定されない1つまたは複数の様々なタイプの結合を表し得ることが理解されよう。本明細書で言及される以下の用語は、以下のように定義されることも理解されよう。
【0022】
量子ゲート - キュービットに対して実行される操作を表すことができる。
【0023】
C位相 - 制御された位相ゲートを示すことができる。1つのキュービットのZ回転は、別のキュービットの状態によって定義される。
【0024】
ZZ - C位相ゲートを形成するために使用できる状態依存キュービット相互作用を示すことができる。
【0025】
流束調整可能 - 周波数が磁束に依存しているデバイスを示すことができる。
【0026】
トランズモン - 帯電エネルギーEcがジョセフソン・エネルギーEjよりはるかに小さいタイプの超伝導キュービット。
【0027】
図1は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、調整可能なカプラおよびコンデンサ・デバイスを使用してキュービット間の量子ゲートを容易にすることができる例示的で非限定的なデバイス100の回路図を示す。デバイス100は、量子デバイス内に実装され得る半導体デバイスまたは超伝導デバイスあるいはその両方を備えることができる。例えば、デバイス100は、例えば、量子ハードウェア、量子プロセッサ、量子コンピュータ、または別の量子デバイスあるいはその組合せなどの量子デバイス内に実装され得る集積半導体回路または超伝導回路(例えば、量子回路)あるいはその両方を備えることができる。デバイス100は、例えば、上記で定義されたこのような量子デバイス内に実装され得る量子カプラ・デバイスまたは調整可能な量子カプラ・デバイスあるいはその両方などの半導体デバイスまたは超伝導デバイスあるいはその両方を備えることができる。
【0028】
図1に示す例示的な実施形態によって例示されるように、デバイス100は、(
図1ではQ1と表示された)第1のキュービット106aおよび(
図1ではQ2と表示された)第2のキュービット106bの同じ極性(例えば、正(+)または負(-))の端子104aと端子104bとの間に結合され得る、(
図1ではカプラ・キュービットと表示され、
図2ではカプラ・キュービット1と表示された)調整可能なカプラ102を備えることができる。
図1に示す例示的な実施形態において例示された調整可能なカプラ102は、超伝導量子干渉デバイス(SQUID)118(本明細書ではSQUID118と呼ぶ)を備えることができる。
図1に示す例示的な実施形態では、SQUID118は、(
図1ではそれぞれXと表示された)2つのジョセフソン接合120a、120bと、コンデンサ122aとを備えることができる。様々な実施形態では、SQUID118を使用して、(例えば、SQUID118を通過する磁束を印加することによって)本明細書に記載のように調整可能なカプラ102の調整可能性を制御することができる。
図1に示す例示的な実施形態において例示された第1のキュービット106aおよび第2のキュービット106bはそれぞれ、(
図1ではそれぞれXと表示された)ジョセフソン接合120cおよび120dと、コンデンサ122bおよび122cとを備えることができる。
【0029】
図1に示す例示的な実施形態によって例示されるように、調整可能なカプラ102は、
図1においてそれぞれコンデンサ108aおよびコンデンサ108bとして視覚的に表された容量結合を介して、第1のキュービット106aおよび第2のキュービット106bの同じ極性(例えば、正(+)または負(-))の端子104aと端子104bとの間で結合され得る。調整可能なカプラ102は、流束調整可能なカプラ、調整可能なカプラ・キュービット、流束調整可能なカプラ・キュービット、調整可能なキュービット、調整可能なバス、流束調整可能なキュービット・バス、または別の調整可能なカプラあるいはその組合せを含むがこれらに限定されない調整可能なカプラを備えることができる。第1のキュービット106aまたは第2のキュービット106bあるいはその両方は、固定周波数キュービット、調整可能なキュービット、トランズモン・キュービット、固定周波数トランズモン・キュービット、調整可能なトランズモン・キュービット、または別のキュービットあるいはその組合せを含むがこれらに限定されないキュービットを含むことができる。
【0030】
図1に示す例示的な実施形態によって例示されるように、デバイス100は、第1のキュービット106aおよび第2のキュービット106bの反対の極性(例えば、正(+)および負(-))の端子104aおよび端子104cに結合することができる、(
図1ではバイパス・コンデンサと表示され、
図2ではバイパス・コンデンサ1と表示された)コンデンサ・デバイス110をさらに備えることができる。
図1に示す例示的な実施形態によって例示されるように、コンデンサ・デバイス110は、第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの間で交差結合することができる第1の端子112aおよび第2の端子112bを備えることができ、調整可能なカプラ102は、第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの間で直接結合することができる。例えば、
図1において例示されるように、コンデンサ・デバイス110の第1の端子112aは第1のキュービット106aの端子104aに結合することができ、コンデンサ・デバイス110の第2の端子112bは第2のキュービット106bの端子104cに結合することができる。コンデンサ・デバイス110は、差動コンデンサ(例えば、トランズモン・キュービットの反対の電圧パドルを接続するコンデンサ)、バイパス・コンデンサ、または別のコンデンサ・デバイスあるいはその組合せを含むがこれらに限定されないコンデンサ・デバイスを備えることができる。
【0031】
以下では、本明細書に記載された本開示の1つまたは複数の実施形態に従って実装され得る、コンデンサ・デバイス110または
図2を参照して後述するデバイス200の第2のコンデンサ・デバイス210あるいはその両方に関する設計規則について説明する。様々な実施形態では、調整可能なカプラ102または
図2を参照して後述するデバイス200の第2の調整可能なカプラ202あるいはその両方が、以下の式(1)によって近似され得る、第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの間または第2のキュービット106bと
図2を参照して後述するデバイス200の第3のキュービット206との間あるいはその両方の交換相互作用(J)をもたらすことができることが理解されるべきである。これらの実施形態では、以下に定義される式(1)を採用して、デバイス100のコンデンサ・デバイス110またはデバイス200の第2のコンデンサ・デバイス210あるいはその両方の1つまたは複数の設計仕様を推定できることがさらに理解されるべきである。
【0032】
式(1)
【数1】
式中、
g
1およびg
2は、第1のキュービット106aおよび第2のキュービット106bそれぞれと調整可能なカプラ102との間の結合、または第2のキュービット106bおよび第3のキュービット206それぞれと
図2を参照して後述するデバイス200の第2の調整可能なカプラ202との間の結合、あるいはその両方を示し、
ω
1およびω
2は、第1のキュービット106aおよび第2のキュービット106bそれぞれの周波数(例えば、共振周波数)を示し、
ω
cは、調整可能なカプラ102の周波数を示し、
δ
1およびδ
2は、第1のキュービット106aおよび第2のキュービット106bそれぞれの非調和性、または第2のキュービット106bおよび
図2を参照して後述するデバイス200の第3のキュービット206の非調和性、あるいはその両方を示す。
【0033】
いくつかの実施形態では、コンデンサ・デバイス110または
図2を参照して後述するデバイス200の第2のコンデンサ・デバイス210あるいはその両方に関連するバイパス容量は、(例えば、コンピュータ1012、システム・メモリ1016、処理ユニット1014、AWG、VNAなどを介して)符号がJ
1,1の反対であり大きさがJ
1,1の大きさ以上であるキュービット対キュービット結合を作り出すように設定され得る。例えば、これらの実施形態では、コンデンサ・デバイス110または
図2を参照して後述するデバイス200の第2のコンデンサ・デバイス210あるいはその両方に関連するバイパス容量は、(例えば、コンピュータ1012、システム・メモリ1016、処理ユニット1014、AWG、VNAなどを介して)以下のデバイス・パラメータに基づいて設定され得る。
【0034】
1)キュービットδ
1およびδ
2の非調和性(例えば、第1のキュービット106aおよび第2のキュービット106bのそれぞれ、または第2のキュービット106bおよび
図2を参照して後述するデバイス200の第3のキュービット206、あるいはその両方の非調和性δ
1およびδ
2)
【0035】
2)キュービットと調整可能なカプラg
1およびg
2との間の結合(例えば、それぞれ第1のキュービット106aおよび第2のキュービット106bそれぞれと調整可能なカプラ102との間、または第2のキュービット106bおよび第3のキュービット206それぞれと
図2を参照して後述するデバイス200の第2の調整可能なカプラ202との間、あるいはその両方の結合g
1およびg
2)
【0036】
様々な実施形態では、調整可能なカプラ102は、第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの間の第1の結合114(例えば、
図1には示されていない調整可能な結合)を生成または制御することあるいはその両方を行うように構成され得る。様々な実施形態では、コンデンサ・デバイス110は、第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの間の第1の結合114に対して符号が反対である第2の結合116(例えば、
図1には示されていない容量結合)を生成または提供することあるいはその両方を行うように構成され得、第1の結合114は、上記のように調整可能なカプラ102によって生成または制御されるかあるいはその両方であり得る。これらの実施形態では、コンデンサ・デバイス110は、以下で説明するように、調整可能なカプラ102の共振周波数が第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの両方の共振周波数よりも小さいことに基づいて、第2の結合116を生成または提供することあるいはその両方が可能である。例えば、これらの実施形態では、コンデンサ・デバイス110は、以下で説明するように、調整可能なカプラ102の共振周波数が第1のキュービット106aの共振周波数よりも小さく第2のキュービット106bの共振周波数よりも小さいことに基づいて、第2の結合116を生成または提供することあるいはその両方が可能であり、第1のキュービット106aおよび第2のキュービット106bのそのような共振周波数は、同じであるかまたは異なり得る。
【0037】
例示的な実施形態では、
図1には示されていないが、デバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せは、デバイス100の外部にあり得るパルス発生器デバイスに結合することができる。例えば、例示的な一実施形態では、デバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せは、デバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せとの間でパルス(例えば、マイクロ波パルス)を送信または受信することあるいはその両方が可能である、任意波形発生器(AWG:arbitrary waveform generator)、ベクトル・ネットワーク・アナライザ(VNA)、または別のパルス発生器デバイスあるいはその組合せを含むがこれらに限定されないパルス発生器デバイスに結合することができ、このようなパルス発生器デバイスは、デバイス100の外部にあり得る。この例示的な実施形態では、このようなパルス発生器デバイス(例えば、AWG、VNAなど)はまた、命令(例えば、ソフトウェア、ルーチン、処理スレッドなど)を記憶できるメモリ(例えば、
図10を参照して後述するシステム・メモリ1016)と、メモリ上に記憶され得るそのような命令を実行することができるプロセッサ(例えば、
図10を参照して後述する処理ユニット1014)とを備えるコンピュータ(例えば、
図10を参照して後述するコンピュータ1012)に結合することができる。この例示的な実施形態では、そのようなコンピュータを採用して、(例えば、システム・メモリ1016に記憶された命令を実行する処理ユニット1014を介して)そのようなパルス発生器デバイス(例えば、AWG、VNAなど)を動作させることまたは制御することあるいはその両方が可能であり、それによって、パルス発生器デバイスは、デバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せとの間でパルス(例えば、マイクロ波パルス)を送信または受信することあるいはその両方が可能になる。
【0038】
引き続き上記の例示的な実施形態を続けると、このようなパルス発生器デバイスから(例えば、コンピュータ1012、システム・メモリ1016、処理ユニット1014などを介して)パルスを受信したことに基づいて、調整可能なカプラ102は、第1のキュービット106aおよび第2のキュービット106bの同じ極性(例えば、正(+)または負(-))の端子104aと端子104bとの間の調整可能な結合(例えば、第1の結合114)を提供することができる。この例示的な実施形態では、このようなパルス発生器デバイスから(例えば、コンピュータ1012、システム・メモリ1016、処理ユニット1014などを介して)パルスを受信したことに基づいて、コンデンサ・デバイス110は、第1のキュービット106aおよび第2のキュービット106bの反対の極性(例えば、正(+)および負(-))の端子104aと端子104cとの間の容量結合(例えば、第2の結合116)を提供することができる。この例示的な実施形態では、このようなパルス発生器デバイスから(例えば、コンピュータ1012、システム・メモリ1016、処理ユニット1014などを介して)パルスを受信したことに基づいて、調整可能なカプラ102はさらに、調整可能な結合(例えば、第1の結合114)に関連する共振周波数を調整することができ、調整可能な結合に関連する共振周波数が第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの両方の共振周波数よりも小さい(例えば、第1のキュービット106aの共振周波数よりも小さく、第2のキュービット106bの共振周波数よりも小さい)場合、容量結合(例えば、第2の結合116)は、調整可能な結合をキャンセルする結合を生成する。
【0039】
引き続き上記の例示的な実施形態を続けると、このようなパルス発生器デバイスから(例えば、コンピュータ1012、システム・メモリ1016、処理ユニット1014などを介して)パルスを受信したことに基づいて、デバイス100は、第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの間で量子ゲートを実行することを容易にすることができる。例えば、
図3を参照して後述するように、このようなパルス発生器デバイスから(例えば、コンピュータ1012、システム・メモリ1016、処理ユニット1014などを介して)パルスを受信したことに基づいて、調整可能なカプラ102は、調整可能な結合(例えば、第1の結合114)に関連する共振周波数を、その共振周波数が第1のキュービット106aおよび第2のキュービット106bの共振周波数に近づくように調整し、ZZを増加させることができる。
【0040】
様々な実施形態では、調整可能なカプラ102は、(例えば、コンピュータ1012、システム・メモリ1016、処理ユニット1014、AWG、VNAなどを介して)第1の結合114を制御するように構成され得、コンデンサ・デバイス110は、(例えば、コンピュータ1012、システム・メモリ1016、処理ユニット1014、AWG、VNAなどを介して)第2の結合116を提供して第1のキュービット106a、第2のキュービット106b、または(
図1には示されていない)隣接キュービット106cあるいはその組合せにおけるコヒーレントな回転またはコヒーレントなキュービット誤り(例えば、ZZ誤り)あるいはその両方を排除するように構成され得る。これらの実施形態では、そのような隣接キュービット106cは、第1のキュービット106aまたは第2のキュービット106bあるいはその両方に隣接する位置でデバイス100上に形成され得るキュービットを含むことができる。これらの実施形態では、上記のように、パルス発生器デバイス(例えば、AWG、VNAなど)から(例えば、コンピュータ1012、システム・メモリ1016、処理ユニット1014などを介して)パルス(例えば、マイクロ波パルス)を受信したことに基づいて、調整可能なカプラ102およびコンデンサ・デバイス110は、第2のキュービット106bから第1のキュービット106aを分離すること、ならびに/または第1のキュービット106aおよび/もしくは第2のキュービット106bから隣接キュービット106cを分離することができる。これらの実施形態では、調整可能な結合に関連する共振周波数(例えば、調整可能なカプラ102に関連する共振周波数)が、第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの両方の共振周波数よりも小さい(例えば、第1のキュービット106aの共振周波数よりも小さく、第2のキュービット106bの共振周波数よりも小さい)場合、調整可能なカプラ102およびコンデンサ・デバイス110は、調整可能な結合(例えば、第1の結合114)をキャンセルすることができる上記の容量結合(例えば、第2の結合116)に基づいて(例えば、それを使用して)、第2のキュービット106bから第1のキュービット106aを分離すること、ならびに/または第1のキュービット106aおよび/もしくは第2のキュービット106bから隣接キュービット106cを分離することができる。これらの実施形態では、このような第2のキュービット106bからの第1のキュービット106aの分離ならびに/または第1のキュービット106aおよび/もしくは第2のキュービット106bからの隣接キュービット106cの分離に基づいて、調整可能なカプラ102およびコンデンサ・デバイス110は、それによって、第1のキュービット106a、第2のキュービット106b、または隣接キュービット106cあるいはその組合せにおけるコヒーレントな回転またはコヒーレントなキュービット誤り(例えば、ZZ誤り)あるいはその両方を排除することができる。これらの実施形態では、コヒーレントな回転またはコヒーレントなキュービット誤りあるいはその両方のこのような排除に基づいて、デバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せは、それによって、第1のキュービット106a、第2のキュービット106b、または隣接キュービット106cあるいはその組合せに関連する量子ゲート誤りの低減、第1のキュービット106aおよび第2のキュービット106bを含む量子ゲートの高速化、(例えば、量子カプラ・デバイスを備えることができる)デバイス100を備える量子プロセッサの性能の向上、または、デバイス100を備えるそのような量子プロセッサの忠実度の向上、あるいはその組合せを容易にすることができる。
【0041】
図2は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、調整可能なカプラおよびコンデンサ・デバイスを使用してキュービット間の量子ゲートを容易にすることができる例示的で非限定的なデバイス200の回路図を示す。デバイス200は、デバイス100の例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができ、デバイス200は、第2のキュービット106bに結合され、かつ追加のキュービットにさらに結合された、追加の調整可能なカプラおよび追加のコンデンサ・デバイスを含むことができる。簡潔にするために、それぞれの実施形態で使用されている同様の要素またはプロセスあるいはその両方についての繰り返しの説明は省略されている。
【0042】
図2に示す例示的な実施形態によって例示されるように、デバイス200は、第2のキュービット106bおよび(
図2ではQ3と表示された)第3のキュービット206の同じ極性(例えば、正(+)または負(-))の端子204aと端子204bとの間に結合され得る、(
図2ではカプラ・キュービット2と表示された)第2の調整可能なカプラ202を備えることができる。
図2に示す例示的な実施形態において例示された第2の調整可能なカプラ202は、超伝導量子干渉デバイス(SQUID)220(本明細書ではSQUID220と呼ぶ)を備えることができる。
図2に示す例示的な実施形態では、SQUID220は、(
図2ではそれぞれXと表示された)2つのジョセフソン接合222a、222bと、コンデンサ224aとを備えることができる。様々な実施形態では、SQUID220を使用して、(例えば、SQUID220を通過する磁束を印加することによって)本明細書に記載のように第2の調整可能なカプラ202の調整可能性を制御することができる。
図2に示す例示的な実施形態において例示された第3のキュービット206は、(
図2ではXと表示された)ジョセフソン接合222cと、コンデンサ224bとを備えることができる。
【0043】
図2に示す例示的な実施形態によって例示されるように、調整可能なカプラ202は、
図2においてそれぞれコンデンサ208aおよびコンデンサ208bとして視覚的に表された容量結合を介して、第2のキュービット106bおよび第3のキュービット206の同じ極性(例えば、正(+)または負(-))の端子204aと端子204bとの間で結合され得る。第2の調整可能なカプラ202は、流束調整可能なカプラ、調整可能なカプラ・キュービット、流束調整可能なカプラ・キュービット、調整可能なキュービット、調整可能なバス、流束調整可能なキュービット・バス、または別の調整可能なカプラあるいはその組合せを含むがこれらに限定されない調整可能なカプラを備えることができる。第3のキュービット206は、固定周波数キュービット、調整可能なキュービット、トランズモン・キュービット、固定周波数トランズモン・キュービット、調整可能なトランズモン・キュービット、または別のキュービットあるいはその組合せを含むがこれらに限定されないキュービットを含むことができる。
【0044】
図2に示す例示的な実施形態によって例示されるように、デバイス200は、第2のキュービット106bおよび第3のキュービット206の反対の極性(例えば、正(+)および負(-))の端子204aおよび端子204cに結合することができる、(
図2ではバイパス・コンデンサ2と表示された)第2のコンデンサ・デバイス210をさらに備えることができる。
図2に示す例示的な実施形態によって例示されるように、第2のコンデンサ・デバイス210は、第2のキュービット106bと第3のキュービット206との間で交差結合することができる、第1の端子212aおよび第2の端子212bを備えることができ、第2の調整可能なカプラ202は、第2のキュービット106bと第3のキュービット206との間で直接結合することができる。例えば、
図2において例示されるように、第2のコンデンサ・デバイス210の第1の端子212aは第2のキュービット106bの端子204aに結合することができ、第2のコンデンサ・デバイス210の第2の端子212bは第3のキュービット206の端子204cに結合することができる。第2のコンデンサ・デバイス210は、差動コンデンサ(例えば、トランズモン・キュービットの反対の電圧パドルを接続するコンデンサ)、バイパス・コンデンサ、または別のコンデンサ・デバイスあるいはその組合せを含むがこれらに限定されないコンデンサ・デバイスを備えることができる。
【0045】
様々な実施形態では、第2の調整可能なカプラ202は、第2のキュービット106bと第3のキュービット206との間の第3の結合214(例えば、
図2には示されていない第2の調整可能な結合)を生成または制御することあるいはその両方を行うように構成され得る。様々な実施形態において、第2のコンデンサ・デバイス210は、第2のキュービット106bと第3のキュービット206との間の第3の結合214に対して符号が反対である第4の結合216(例えば、
図2には示されていない第2の容量結合)を生成または提供することあるいはその両方を行うように構成され、第3の結合214は、上述のように第2の調整可能なカプラ202によって生成または制御されるかあるいはその両方であり得る。これらの実施形態では、第2のコンデンサ・デバイス210は、以下で説明するように第1の調整可能なカプラ202の共振周波数が第2のキュービット106bまたは第3のキュービット206あるいはその両方の共振周波数よりも小さい(例えば、第2のキュービット106bの共振周波数よりも小さく、第3キュービット206の共振周波数よりも小さい)ことに基づいて、第4の結合216を生成または提供することあるいはその両方が可能である。
【0046】
例示的な実施形態では、
図2には示されていないが、デバイス200、調整可能なカプラ102、コンデンサ・デバイス110、第2の調整可能なカプラ202、または第2のコンデンサ・デバイス210あるいはその組合せは、デバイス200の外部にあり得るとともに、デバイス200、調整可能なカプラ102、コンデンサ・デバイス110、第2の調整可能なカプラ202、または第2のコンデンサ・デバイス210あるいはその組合せとの間でパルス(例えば、マイクロ波パルス)を送信または受信することあるいはその両方が可能である、パルス発生器デバイス(例えば、AWG、VNAなど)に結合することができる。この例示的な実施形態では、このようなパルス発生器デバイス(例えば、AWG、VNAなど)はまた、命令(例えば、ソフトウェア、ルーチン、処理スレッドなど)を記憶できるメモリ(例えば、
図10を参照して後述するシステム・メモリ1016)と、メモリ上に記憶され得るそのような命令を実行することができるプロセッサ(例えば、
図10を参照して後述する処理ユニット1014)とを備えるコンピュータ(例えば、
図10を参照して後述するコンピュータ1012)に結合することができる。この例示的な実施形態では、そのようなコンピュータを採用して、(例えば、システム・メモリ1016に記憶された命令を実行する処理ユニット1014を介して)そのようなパルス発生器デバイス(例えば、AWG、VNAなど)を動作させることまたは制御することあるいはその両方が可能であり、それによって、パルス発生器デバイスは、デバイス200、調整可能なカプラ102、コンデンサ・デバイス110、第2の調整可能なカプラ202、または第2のコンデンサ・デバイス210あるいはその組合せとの間でパルス(例えば、マイクロ波パルス)を送信または受信することあるいはその両方が可能になる。
【0047】
引き続き上記の例示的な実施形態を続けると、このようなパルス発生器デバイスから(例えば、コンピュータ1012、システム・メモリ1016、処理ユニット1014などを介して)パルスを受信したことに基づいて、調整可能なカプラ102は、第1のキュービット106aおよび第2のキュービット106bの同じ極性(例えば、正(+)または負(-))の端子104aと端子104bとの間の調整可能な結合(例えば、第1の結合114)を提供することができ、または、第2の調整可能なカプラ202は、第2のキュービット106bおよび第3のキュービット206の同じ極性(例えば、正(+)または負(-))の端子204aと端子204bとの間に第2の調整可能な結合(例えば、第3の結合214)を提供することができ、あるいはその両方である。この例示的な実施形態では、このようなパルス発生器デバイスから(例えば、コンピュータ1012、システム・メモリ1016、処理ユニット1014などを介して)パルスを受信したことに基づいて、コンデンサ・デバイス110は、第1のキュービット106aおよび第2のキュービット106bの反対の極性(例えば、正(+)および負(-))の端子104aと端子104cとの間の容量結合(例えば、第2の結合116)を提供することができ、または、第2のコンデンサ・デバイス210は、第2のキュービット106bおよび第3のキュービット206の反対の極性(例えば、正(+)および負(-))の端子204aと端子204cとの間に第2の容量結合(例えば、第4の結合216)を提供することができ、あるいはその両方である。この例示的な実施形態では、このようなパルス発生器デバイスから(例えば、コンピュータ1012、システム・メモリ1016、処理ユニット1014などを介して)パルスを受信したことに基づいて、調整可能なカプラ102はさらに、調整可能な結合(例えば、第1の結合114)に関連する共振周波数を調整することができ、調整可能な結合に関連する共振周波数が第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの両方の共振周波数よりも小さい(例えば、第1のキュービット106aの共振周波数よりも小さく、第2のキュービット106bの共振周波数よりも小さい)場合、容量結合(例えば、第2の結合116)は、調整可能な結合をキャンセルする結合を生成し、または、第2の調整可能なカプラ202はさらに、第2の調整可能な結合(例えば、第3の結合214)に関連する共振周波数を調整することができ、第2の調整可能な結合に関連する共振周波数が、第2のキュービット106bと第3のキュービット206との両方の共振周波数よりも小さい(例えば、第2のキュービット106bの共振周波数よりも小さく、第3のキュービット206の共振周波数よりも小さい)場合、第2の容量結合(例えば、第4の結合216)は、第2の調整可能な結合をキャンセルする結合を生成し、あるいはその両方である。
【0048】
様々な実施形態において、調整可能なカプラ102または第2の調整可能なカプラ202は、(例えば、コンピュータ1012、システム・メモリ1016、処理ユニット1014、AWG、VNAなどを介して)第1の結合114または第3の結合214をそれぞれ制御するように構成され得、コンデンサ・デバイス110または第2のコンデンサ・デバイス210は、(例えば、コンピュータ1012、システム・メモリ1016、処理ユニット1014、AWG、VNAなどを介して)第2の結合116または第4の結合216をそれぞれ提供して第1のキュービット106a、第2のキュービット106b、第3のキュービット206、または隣接キュービット218(
図2には図示せず)あるいはその組合せにおけるコヒーレントな回転またはコヒーレントなキュービット誤り(例えば、ZZ誤り)あるいはその両方を排除するように構成され得る。これらの実施形態では、このような隣接キュービット218は、第1のキュービット106a、第2のキュービット106b、または第3のキュービット206あるいはその組合せに隣接する位置でデバイス200上に形成され得るキュービットを含むことができる。
【0049】
これらの実施形態では、上記のように、パルス発生器デバイス(例えば、AWG、VNAなど)から(例えば、コンピュータ1012、システム・メモリ1016、処理ユニット1014などを介して)パルス(例えば、マイクロ波パルス)を受信したことに基づいて、調整可能なカプラ102およびコンデンサ・デバイス110は、第2のキュービット106bから第1のキュービット106aを分離すること、ならびに/または第1のキュービット106aおよび/もしくは第2のキュービット106bから隣接キュービット218を分離することができる。これらの実施形態では、上記のように、そのようなパルス発生器デバイスからそのようなパルスを受信したことに基づいて、第2の調整可能なカプラ202および第2のコンデンサ・デバイス210は、第3のキュービット206から第2のキュービット106bを分離すること、ならびに/または第2のキュービット106bおよび/もしくは第3のキュービット206から隣接キュービット218分離することができる。
【0050】
これらの実施形態では、上記のように、そのようなパルス発生器デバイスからそのようなパルスを受信したことに基づいて、調整可能な結合に関連する共振周波数(例えば、調整可能なカプラ102に関連する共振周波数)が、第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの両方の共振周波数よりも小さい(例えば、第1のキュービット106aの共振周波数よりも小さく、第2のキュービット106bの共振周波数よりも小さい)場合、調整可能なカプラ102およびコンデンサ・デバイス110は、調整可能な結合(例えば、第1の結合114)をキャンセルすることができる上記の容量結合(例えば、第2の結合116)に基づいて(例えば、それを使用して)、第2のキュービット106bから第1のキュービット106aを分離すること、ならびに/または第1のキュービット106aおよび/もしくは第2のキュービット106bから隣接キュービット106cを分離することができる。これらの実施形態では、上記のように、そのようなパルス発生器デバイスからそのようなパルスを受信したことに基づいて、第2の調整可能な結合に関連する共振周波数(例えば、第2の調整可能なカプラ202に関連する共振周波数)が、第2のキュービット106bと第3のキュービット206との両方の共振周波数よりも小さい(例えば、第2のキュービット106bの共振周波数よりも小さく、第3のキュービット206の共振周波数よりも小さい)場合、第2の調整可能なカプラ202および第2のコンデンサ・デバイス210は、第2の調整可能な結合(例えば、第3の結合214)をキャンセルすることができる上記の第2の容量結合(例えば、第4の結合216)に基づいて(例えば、それを使用して)、第3のキュービット206から第2のキュービット106bを分離すること、ならびに/または第2のキュービット106bおよび/もしくは第3のキュービット206から隣接キュービット218を分離することができる。
【0051】
これらの実施形態では、このような第2のキュービット106bからの第1のキュービット106aの分離、第3のキュービット206からの第2のキュービット106bの分離、ならびに/または第2のキュービット106bおよび/もしくは第3のキュービット206からの隣接キュービット218の分離に基づいて、調整可能なカプラ102およびコンデンサ・デバイス110、または第2の調整可能なカプラ202および第2のコンデンサ・デバイス210、あるいはその両方は、それによって、第1のキュービット106a、第2のキュービット106b、第3のキュービット206、または隣接キュービット218あるいはその組合せにおけるコヒーレントな回転またはコヒーレントなキュービット誤り(例えば、ZZ誤り)あるいはその両方を排除することができる。これらの実施形態では、これらの実施形態では、コヒーレントな回転またはコヒーレントなキュービット誤りあるいはその両方のこのような排除に基づいて、デバイス200、調整可能なカプラ102、コンデンサ・デバイス110、第2の調整可能なカプラ202、または第2のコンデンサ・デバイス210あるいはその組合せは、それによって、第1のキュービット106a、第2のキュービット106b、第3のキュービット206、または隣接キュービット218あるいはその組合せに関連する量子ゲート誤りの低減、第1のキュービット106aおよび第2のキュービット106bもしくは第2のキュービット106bおよび第3のキュービット206を含む量子ゲートの高速化、(例えば、量子カプラ・デバイスを備えることができる)デバイス200を備える量子プロセッサの性能の向上、または、デバイス200を備えるそのような量子プロセッサの忠実度の向上、あるいはその組合せを容易にすることができる。
【0052】
例示的な実施形態では、デバイス200の動作中、第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの間で量子ゲートを実行するために、調整可能なカプラ102はオンにパルス(pulse on)され得るが、第2の調整可能なカプラ202はオフ状態のままである。逆に、この例示的な実施形態では、デバイス200の動作中、第2のキュービット106bと第3のキュービット206との間で量子ゲートを実行するために、第2の調整可能なカプラ202はオンにパルスされ得るが、調整可能なカプラ102はオフ状態のままである。一例では、より多くのキュービット(例えば、4つ以上のキュービット、図示せず)を含むことができるデバイス200の非限定的な代替実施形態では、2キュービット量子ゲートがそれらの間で実行され得るキュービットの各対は、それら自体のカプラ・キュービット(例えば、調整可能なカプラ102または第2の調整可能なカプラ202)と、バイパス・コンデンサ(例えば、コンデンサ・デバイス110または第2のコンデンサ・デバイス210)とを有することができる。デバイス200のこの例示的で非限定的な代替実施形態では、本明細書に記載された本開示の実施形態(例えば、デバイス100、デバイス200など)のうちの1つまたは複数は、ある一定数(例えば、4つ以上)のキュービットに対応するように、または様々なトポロジ(例えば、様々な超伝導回路トポロジ)に対応するように、あるいはその両方であるように一般化(例えば、スケーリング)され得る。
【0053】
本明細書に記載された、または図に例示された、あるいはその両方である本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、200など)の製造は、半導体デバイスまたは超伝導デバイス(例えば、集積回路)あるいはその両方における電子ベースのシステム、デバイス、構成要素、または回路あるいはその組合せの段階的な作成を容易にする、フォトリソグラフィ処理ステップまたは化学処理ステップあるいはその両方のマルチステップ・シーケンスを含むことができる。例えば本明細書に記載された、または図に例示された、あるいはその両方である本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、200など)は、フォトリソグラフィ、マイクロリソグラフィ、ナノリソグラフィ、ナノインプリント・リソグラフィ、フォトマスキング技術、パターニング技術、フォトレジスト技術(例えば、ポジティブトーン・フォトレジスト、ネガティブトーン・フォトレジスト、ハイブリッドトーン・フォトレジストなど)、エッチング技術(例えば、反応性イオン・エッチング(RIE)、ドライ・エッチング、ウェット・エッチング、イオン・ビーム・エッチング、プラズマ・エッチング、レーザ・アブレーションなど)、蒸着技術、スパッタリング技術、プラズマ灰化技術、熱処理(例えば、急速熱アニール、炉アニール、熱酸化など)、化学蒸着(CVD:chemical vapor deposition)、原子層蒸着(ALD:atomic layer deposition)、物理蒸着(PVD:physical vapor deposition)、分子線エピタキシ(MBE:molecular beam epitaxy)、電気化学蒸着(ECD:electrochemical deposition)、化学機械平坦化(CMP:chemical-mechanical planarization)、バックグラインド技術、または集積回路を製造するための別の技術あるいはその組合せを含むがこれらに限定されない技術を採用することによって、基板(例えば、シリコン(Si)基板など)上に製造され得る。
【0054】
本明細書に記載された、または図に例示された、あるいはその両方である本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、200など)は、様々な材料を使用して製造され得る。例えば、本明細書に記載された、または図に例示された、あるいはその両方である本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、200など)は、導電性材料、半導体材料、超伝導材料、誘電体材料、ポリマー材料、有機材料、無機材料、非導電性材料、または集積回路を製造するための上記の技術のうちの1つまたは複数を用いて利用され得る別の材料、あるいはその組合せを含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の異なる材料クラスの材料を使用して製造され得る。
【0055】
図3は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、調整可能なカプラおよびコンデンサ・デバイスを使用してキュービット間の量子ゲートを容易にすることができる例示的で非限定的なグラフ300を示す。簡潔にするために、それぞれの実施形態で使用されている同様の要素またはプロセスあるいはその両方についての繰り返しの説明は省略されている。
【0056】
グラフ300は、本明細書に記載された本開示の1つまたは複数の実施形態を実施することから得られた結果データを含むことができる。例えば、グラフ300は、本明細書に記載された本開示の1つまたは複数の実施形態(例えば、それぞれ
図5および
図6を参照して後述するコンピュータ実施方法500またはコンピュータ実施方法600あるいはその両方)に従ってデバイス100を実施すること(例えば、シミュレートすること、量子化することなど)から得られた結果データを含むことができる。この例では、
図3において例示されるように、グラフ300は、デバイス100を実施することから得られた結果データの3次元(3D)グラフを含むことができ、この3次元(3D)グラフは、次のようにプロットされ得る。Y軸(例えば、グラフ300の縦軸)は、メガヘルツ(MHz)で表されたキュービット離調であり、x軸(例えば、グラフ300の横軸)は、デバイス100のSQUID118を通過する磁束によって制御され、ギガヘルツ(GHz)で表され得る(
図3ではバス周波数と表示された)調整可能なカプラ102の周波数であり、Z軸(例えば、ページの内外に延在するグラフ300の軸)は、
図3に示すZZ凡例によって示されるように1kHzから1MHzまでの範囲の周波数に対応する、様々なグレーの網掛けによって表されたZZ相互作用周波数である。
【0057】
例示的な実施形態では、グラフ300を作成するために、以下のパラメータ、すなわち
第1のキュービット106aの周波数=5GHz、
第2のキュービット106bの周波数=5GHz+離調、
第1のキュービット106aと第2のキュービット106bと調整可能なカプラ102との間の結合=60メガヘルツMHz、および
第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの間の直接結合=-2MHz
を使用して、デバイス100を量子化することができる。
【0058】
例示的な実施形態では、グラフ300を生成するために、上記で定義されたパラメータを使用してデバイス100を量子化することができ、周波数および調整可能なカプラ102の離調は変動し得る。この例示的な実施形態では、周波数および調整可能なカプラ102の離調のこのような変動に基づいて、第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの間のZZ相互作用を算出することができる。この例示的な実施形態では、
図3に示すグラフ300によって例示されるように、調整可能なカプラ102の周波数=3.5GHzに近い領域302は、ZZ相互作用が比較的小さい場所であり、調整可能なカプラ102がオフである動作点を表すことができる。この例示的な実施形態では、第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの間に2キュービット・ゲートを形成するために、調整可能なカプラ102の周波数を比較的大きい値(例えば、5GHz)まで増加させることができる。例えば、この例示的な実施形態では、SQUID118を通過する磁束を印加することによって(例えば、
図1を参照して上述したように、コンピュータ1012、システム・メモリ1016、処理ユニット1014、AWG、VNAなどを介してパルスを提供することによって)、調整可能なカプラ102の周波数を制御すること(例えば、増加させること、減少させることなど)ができる。
【0059】
グラフ300の例示的で非限定的な代替実施形態は、グラフ300全体に延在する平面の2次元表現を含むことができ、このような平面は、
図3に示す線304に沿って画定され得る。例えば、
図4に例示された後述するグラフ400は、グラフ300のそのような例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができ、グラフ400は、
図3に示す線304に沿って画定され得るグラフ300全体に延在するそのような平面の2次元側面図を含むことができる。
【0060】
図4は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、調整可能なカプラおよびコンデンサ・デバイスを使用してキュービット間の量子ゲートを容易にすることができる例示的で非限定的な情報400を示す。簡潔にするために、それぞれの実施形態で使用されている同様の要素またはプロセスあるいはその両方についての繰り返しの説明は省略されている。
【0061】
上記のように、グラフ400は、グラフ300の例示的な非限定的な代替実施形態を含むことができ、グラフ400は、
図3に示す線304に沿って画定され得るグラフ300全体に延在する平面の2次元側面図を含むことができる。
図4に示す例示的な実施形態において例示されるように、グラフ400は、デバイス・パラメータの所与のセット(例えば、
図3を参照して上記で定義されたデバイス・パラメータ)についての第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの間のZZ相互作用強度を示す。この例示的な実施形態では、そのようなZZ相互作用強度値は、グラフ400のY軸(例えば、縦軸)にプロットされ、グラフ400のX軸(例えば、横軸)に沿ってプロットされた調整可能なカプラ102の(Fバス(GHz)と表示された)様々な流束パルス値に対応する。
図4に示す例示的な実施形態では、グラフ400は、後述する量子ゲート・シーケンスを実施する際にデバイス100(例えば、調整可能なカプラ102、コンデンサ・デバイス110など)に印加され得る各流束パルスの持続時間を示す対応する時間グラフ402を有することができる。
【0062】
量子ゲート・シーケンス
【0063】
図3を参照して上述したように、ZZ相互作用をオンおよびオフにすることができる調整可能なカプラ102にパルスを提供することによって、デバイス100を実施すること(例えば、量子化すること、シミュレートすることなど)ができ、そのような実施から得られた結果データは、
図3および
図4に示すグラフ300、グラフ400、または時間グラフ402あるいはその組合せとしてプロットされ得る。
図4に例示されたグラフ400および時間グラフ402の例示的な実施形態では、(例えば、第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの間の)量子ゲート・シーケンスの第1のステップは、グラフ400および時間グラフ402において数字1によって示されている。この例示的な実施形態では、そのような量子ゲート・シーケンスのステップ1において、(例えば、調整可能なバスを備えることができる)調整可能なカプラ102の周波数(例えば、共振周波数)は、ZZ相互作用が無視できる程度である(例えば、流束パルスが3.75GHzの場合、対応するZZ相互作用強度が約10
-5MHzである)ように設定され得る。この例示的な実施形態では、そのような量子ゲート・シーケンスの第2のステップは、グラフ400および時間グラフ402において数字2によって示されている。この例示的な実施形態では、そのような量子ゲート・シーケンスのステップ2において、第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの間のZZ相互作用をオンにするために、調整可能なカプラ102の周波数(例えば、共振周波数)を流束パルス(例えば、4.50GHz)によって調整することができる。この例示的な実施形態では、そのような量子ゲート・シーケンスの第3のステップは、グラフ400および時間グラフ402において数字3によって示されている。この例示的な実施形態では、そのような量子ゲート・シーケンスのステップ3において、流束パルスが終了した後、調整可能なカプラ102の周波数(例えば、共振周波数)はオフ位置に戻され、第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの間のZZ相互作用は、再び無視できる程度となる。
【0064】
本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、デバイス200など)は、様々な技術に関連付けられることが可能である。例えば、本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、デバイス200など)は、量子コンピューティング技術、量子ゲート技術、量子カプラ技術、量子ハードウェア技術またはソフトウェア技術あるいはその両方、量子回路技術、超伝導回路技術、機械学習技術、人工知能技術、クラウド・コンピューティング技術、または他の技術あるいはその組合せに関連付けられることが可能である。
【0065】
本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、デバイス200など)は、上記で特定された様々な技術に関連するシステム、デバイス、構成要素、動作ステップ、または処理ステップあるいはその組合せに対する技術的改善を提供することができる。例えば、本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、デバイス200など)は、第1のキュービット(例えば、第1のキュービット106a)および第2のキュービット(例えば、第2のキュービット106b)の同じ極性の端子間に調整可能な結合を提供することができ、第1のキュービットおよび第2のキュービットの反対の極性の端子間に容量結合を提供することができ、または調整可能な結合に関連する共振周波数を調整することができ、あるいはその組合せを行うことができ、調整可能な結合に関連する共振周波数が第1のキュービットと第2のキュービットとの両方の共振周波数よりも小さい場合、容量結合は、調整可能な結合をキャンセルする結合を生成する。この例では、調整可能な結合のそのようなキャンセル(例えば、ゼロ設定、オフセット、ネゲートなど)に基づいて、本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、デバイス200など)は、それによって、量子計算中にゲート誤りを引き起こす第1のキュービット、第2のキュービット、または隣接キュービット(例えば、隣接キュービット106c)あるいはその組合せにおけるコヒーレントな回転またはコヒーレントなキュービット誤りあるいはその両方を排除することができる。この例では、第1のキュービット、第2のキュービット、または隣接キュービットあるいはその組合せにおけるコヒーレントな回転またはコヒーレントなキュービット誤りあるいはその両方のそのような排除に基づいて、本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、デバイス200など)は、それによって、第1のキュービット、第2のキュービット、または隣接キュービットあるいはその組合せに関連する量子ゲート誤りの低減、第1のキュービットおよび第2のキュービットを含む量子ゲートの高速化、量子プロセッサ(例えば、デバイス100もしくはデバイス200を含む量子プロセッサ)の性能の向上、または量子プロセッサの忠実度の向上、あるいはその組合せを容易にすることができる。
【0066】
本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、デバイス200など)は、本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、デバイス200など)のうちの1つまたは複数に関連付けられ得る古典コンピューティング・デバイスまたは量子コンピューティング・デバイス(例えば、量子プロセッサ、量子ハードウェア、超伝導回路など)あるいはその両方に関連付けられた処理ユニット(例えば、デバイス100またはデバイス200を備える量子プロセッサ、処理ユニット1014など)に対する技術的改善を提供することができる。例えば、上記のように、調整可能な結合をキャンセル(例えば、ゼロ設定、オフセット、ネゲートなど)し、第1のキュービット、第2のキュービット、または隣接キュービットあるいはその組合せにおけるコヒーレントな回転またはコヒーレントなキュービット誤りあるいはその両方を排除することによって、本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、デバイス200など)のうちの1つまたは複数は、それによって、第1のキュービット、第2のキュービット、または隣接キュービットあるいはその組合せに関連する量子ゲート誤りの低減、または第1のキュービットおよび第2のキュービットを含む量子ゲートの高速化、あるいはその両方を容易にすることができる。この例では、そのような量子ゲート誤りの低減またはそのような量子ゲートの高速化あるいはその両方によって、本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、デバイス200など)のうちの1つまたは複数は、量子プロセッサ(例えば、デバイス100またはデバイス200を含み、量子ゲートを実行する量子プロセッサ)の性能の向上、またはそのような量子プロセッサの忠実度の向上、あるいはその両方を容易にすることができる。
【0067】
上記のような、調整可能な結合のキャンセル、および第1のキュービット、第2のキュービット、または隣接キュービットあるいはその組合せにおけるコヒーレントな回転またはコヒーレントなキュービット誤りあるいはその両方の排除に基づけば、本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、デバイス200など)の実際の適用は、それらを量子デバイス(例えば、量子プロセッサ、量子コンピュータなど)に実装して、様々な分野(例えば、金融、化学、医学など)における複雑なもの(例えば、推定問題、最適化問題など)に及ぶ様々な問題に対する1つまたは複数の解決法(例えば、発見的問題解決法など)を、忠実度を向上させてより迅速にかつより効率的に計算できることである。上記のような、調整可能な結合のキャンセル、および第1のキュービット、第2のキュービット、または隣接キュービットあるいはその組合せにおけるコヒーレントな回転またはコヒーレントなキュービット誤りあるいはその両方の排除に基づけば、本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、デバイス200など)のうちの1つまたは複数の実際の適用は、例えば、それらを量子プロセッサ(例えば、デバイス100またはデバイス200を備える量子プロセッサ)に実装して、化学、医学、または金融あるいはその組合せの分野における最適化問題に対する1つまたは複数の解決法(例えば、発見的問題解決法など)を計算できることであり、このような解決法を使用して、例えば、新しい化合物、新しい薬剤、ならびに/または新しいオプション価格設定用のシステムおよび/もしくは方法を設計することができる。
【0068】
本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、デバイス200など)は、比較的新しい量子コンピューティング技術によってもたらされる新しい手法を提供することが理解されるべきである。例えば、本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、デバイス200など)は、量子計算中にゲート誤りが生じる結果となる、スペクテータ・キュービット(例えば、第1のキュービット106a、第2のキュービット106b、または隣接キュービット106cあるいはその組合せ)で発生する意図しないコヒーレントな回転またはコヒーレントなキュービット誤りあるいはその両方を排除するための新しい手法を提供する。この例では、意図しないコヒーレントな回転またはコヒーレントなキュービット誤りあるいはその両方を排除するためのそのような新しい手法は、本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、デバイス200など)のうちの1つまたは複数を含む量子プロセッサを使用して、忠実度が向上したより高速でかつより効率的な量子計算を可能にすることができる。
【0069】
本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、デバイス200など)は、ハードウェアまたはソフトウェアを採用して、本質的に高度に技術的である問題、抽象的ではない問題、人間による一連の知的な行為として実行することができない問題を解決することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスのうちの1つまたは複数は、1つまたは複数の専用コンピュータ(例えば、専用処理ユニット、専用古典コンピュータ、専用量子コンピュータなど)が上記で特定された様々な技術に関連する定義されたタスクを実行することによって、実行され得る。本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、デバイス200など)を採用して、上述の技術の進歩、量子コンピューティング・システム、クラウド・コンピューティング・システム、コンピュータ・アーキテクチャ、または別の技術あるいはその組合せの採用を通じて、新たに生じる問題を解決することができる。
【0070】
本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、デバイス200など)によって実行され得る様々な動作は、人間の頭脳の能力を上回る動作であるため、本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、デバイス200など)は、電気部品、機械部品、および人間の頭脳の中で複製するも人間が実行することもできない回路の様々な組合せを利用できることを理解されたい。例えば、本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、デバイス200など)によってある一定の期間にわたって処理されるデータの量、そのようなデータを処理する速度、または処理されるデータのタイプは、同じ期間にわたって人間の頭脳が処理できる量、速度、またはデータ・タイプと比較して、より多い、より高速である、または異なる可能性がある。
【0071】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、デバイス200など)は、本明細書に記載の様々な動作も実行しながら、1つまたは複数の他の機能を実行することを目的として全体的に動作すること(例えば、全体的に電源が入れられる、全体的に実行されるなど)も可能である。このような同時の複数動作の実行は人間の頭脳の能力を超えていることが理解されるべきである。本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100、デバイス200など)は、人間のユーザなどのエンティティによって手動で取得することが不可能な情報を含むことができることも理解されるべきである。例えば、デバイス100またはデバイス200あるいはその組合せに含まれる情報の型、量、または種類あるいはその組合せは、人間のユーザによって手動で取得される情報よりも複雑である可能性がある。
【0072】
図5は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、調整可能なカプラおよびコンデンサ・デバイスを使用してキュービット間の量子ゲートを容易にすることができる例示的で非限定的なコンピュータ実施方法500の流れ図を示す。簡潔にするために、それぞれの実施形態で使用されている同様の要素またはプロセスあるいはその両方についての繰り返しの説明は省略されている。
【0073】
502において、コンピュータ実施方法500は、プロセッサ(例えば、処理ユニット1014など)に動作可能に結合されたシステム(例えば、AWGまたはVNAあるいはその両方に結合され、さらにデバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せに結合され得るコンピュータ1012を含むシステム)によって、第1のキュービットおよび第2のキュービット(例えば、第1のキュービット106aおよび第2のキュービット106b)の同じ極性(例えば、正(+)または負(-))の端子(例えば、端子104aと端子104bとの)間の調整可能な結合(例えば、第1の結合114)を提供することを含むことができる。
【0074】
504において、コンピュータ実施方法500は、システム(例えば、AWGまたはVNAあるいはその両方に結合され、さらにデバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せに結合されたコンピュータ1012)によって、第1のキュービットおよび第2のキュービットの反対の極性(例えば、正(+)および負(-))の端子(例えば、端子104aと端子104cとの)間の容量結合(例えば、第2の結合116)を提供することを含むことができる。
【0075】
506において、コンピュータ実施方法500は、システム(例えば、AWGまたはVNAあるいはその両方に結合され、さらにデバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せに結合されたコンピュータ1012)によって、調整可能な結合に関連する共振周波数を調整することを含むことができ、調整可能な結合に関連する共振周波数が第1のキュービットと第2のキュービットとの両方の共振周波数よりも小さい(例えば、第1のキュービット106aの共振周波数よりも小さく、第2のキュービット106bの共振周波数よりも小さい)場合、容量結合は、調整可能な結合をキャンセルする結合を生成する。
【0076】
図6は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、調整可能なカプラおよびコンデンサ・デバイスを使用してキュービット間の量子ゲートを容易にすることができる例示的で非限定的なコンピュータ実施方法600の流れ図を示す。簡潔にするために、それぞれの実施形態で使用されている同様の要素またはプロセスあるいはその両方についての繰り返しの説明は省略されている。
【0077】
602において、コンピュータ実施方法600は、プロセッサ(例えば、処理ユニット1014など)に動作可能に結合されたシステム(例えば、AWGまたはVNAあるいはその両方に結合され、さらにデバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せに結合され得るコンピュータ1012を含むシステム)によって、第1のキュービットおよび第2のキュービット(例えば、第1のキュービット106aおよび第2のキュービット106b)の同じ極性(例えば、正(+)または負(-))の端子(例えば、端子104aと端子104bとの)間の調整可能な結合(例えば、第1の結合114)を提供することを含むことができる。
【0078】
604において、コンピュータ実施方法600は、システム(例えば、AWGまたはVNAあるいはその両方に結合され、さらにデバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せに結合されたコンピュータ1012)によって、第1のキュービットおよび第2のキュービットの反対の極性(例えば、正(+)および負(-))の端子(例えば、端子104aと端子104cとの)間の容量結合(例えば、第2の結合116)を提供することを含むことができる。
【0079】
606において、コンピュータ実施方法600は、システム(例えば、AWGまたはVNAあるいはその両方に結合され、さらにデバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せに結合されたコンピュータ1012)によって、調整可能な結合に関連する共振周波数を調整することを含むことができ、調整可能な結合に関連する共振周波数が第1のキュービットと第2のキュービットとの両方の共振周波数よりも小さい(例えば、第1のキュービット106aの共振周波数よりも小さく、第2のキュービット106bの共振周波数よりも小さい)場合、容量結合は、調整可能な結合をキャンセルする結合を生成する。
【0080】
608において、コンピュータ実施方法600は、システム(例えば、AWGまたはVNAあるいはその両方に結合され、さらにデバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せに結合されたコンピュータ1012)によって、調整可能な結合に関連する共振周波数が第1のキュービットと第2のキュービットとの両方の共振周波数よりも小さい(例えば、第1のキュービット106aの共振周波数よりも小さく、第2のキュービット106bの共振周波数よりも小さい)場合、調整可能な結合をキャンセルする結合に基づいて第2のキュービットから第1のキュービットを分離することを含むことができる。
【0081】
610において、コンピュータ実施方法600は、システム(例えば、AWGまたはVNAあるいはその両方に結合され、さらにデバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せに結合されたコンピュータ1012)によって、調整可能な結合に関連する共振周波数が第1のキュービットと第2のキュービットとの両方の共振周波数よりも小さい場合、調整可能な結合をキャンセルする結合に基づいて第1のキュービットまたは第2のキュービットのうちの少なくとも1つにおけるコヒーレントな回転を排除し、それによって、第1のキュービットもしくは第2のキュービットのうちの少なくとも1つに関連する量子ゲート誤りの低減、第1のキュービットおよび第2のキュービットを含む量子ゲートの高速化、量子プロセッサ(例えば、量子カプラ・デバイスを備えることができるデバイス100を備える量子プロセッサ)の性能の向上、または量子プロセッサの忠実度の向上のうちの少なくとも1つを容易にすることを含むことができる。
【0082】
図7は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、調整可能なカプラおよびコンデンサ・デバイスを使用してキュービット間の量子ゲートを容易にすることができる例示的で非限定的なコンピュータ実施方法700の流れ図を示す。簡潔にするために、それぞれの実施形態で使用されている同様の要素またはプロセスあるいはその両方についての繰り返しの説明は省略されている。
【0083】
702において、コンピュータ実施方法700は、プロセッサ(例えば、処理ユニット1014)に動作可能に結合されたシステム(例えば、AWGまたはVNAあるいはその両方に結合され、さらにデバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せに結合され得るコンピュータ1012を含むシステム)によって、第1のキュービットおよび第2のキュービット(例えば、第1のキュービット106aおよび第2のキュービット106b)の同じ極性(例えば、正(+)または負(-))の端子(例えば、端子104aと端子104bとの)間の第1の調整可能な結合(例えば、第1の結合114)と、第2のキュービットおよび第3のキュービット(例えば、第3のキュービット206)の同じ極性(例えば、正(+)または負(-))の端子(例えば、端子204aと端子204bとの)間の第2の調整可能な結合(例えば、第3の結合214)とを提供することを含むことができる。
【0084】
704において、コンピュータ実施方法700は、システム(例えば、AWGまたはVNAあるいはその両方に結合され、さらにデバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せに結合されたコンピュータ1012)によって、第1のキュービットおよび第2のキュービットの反対の極性(例えば、正(+)および負(-))の端子(例えば、端子104aと端子104cとの)間の第1の容量結合(例えば、第2の結合116)と、第2のキュービットおよび第3のキュービットの反対の極性(例えば、正(+)および負(-))の端子(例えば、端子204aと端子204cとの)間の第2の容量結合(例えば、第4の結合216)とを提供することを含むことができる。
【0085】
706において、コンピュータ実施方法700は、システム(例えば、AWGまたはVNAあるいはその両方に結合され、さらにデバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せに結合されたコンピュータ1012)によって、第1の調整可能な結合に関連する第1の共振周波数および第2の調整可能な結合に関連する第2の共振周波数を調整することを含むことができ、第1の容量結合は、第1の共振周波数が第1のキュービットと第2のキュービットとの両方の第3の共振周波数よりも小さい(例えば、第1のキュービット106aの共振周波数よりも小さく、第2のキュービット106bの共振周波数よりも小さい)場合に第1の調整可能な結合をキャンセルする第1の結合を含み、第2の容量結合は、第2の共振周波数が第2のキュービットと第3のキュービットとの両方の第4の共振周波数よりも小さい(例えば、第2のキュービット106bの共振周波数よりも小さく、第3のキュービット206の共振周波数よりも小さい)場合に第2の調整可能な結合をキャンセルする第2の結合を含む。
【0086】
図8は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、調整可能なカプラおよびコンデンサ・デバイスを使用してキュービット間の量子ゲートを容易にすることができる例示的で非限定的なコンピュータ実施方法800の流れ図を示す。簡潔にするために、それぞれの実施形態で使用されている同様の要素またはプロセスあるいはその両方についての繰り返しの説明は省略されている。
【0087】
802において、コンピュータ実施方法800は、プロセッサ(例えば、処理ユニット1014)に動作可能に結合されたシステム(例えば、AWGまたはVNAあるいはその両方に結合され、さらにデバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せに結合され得るコンピュータ1012を含むシステム)によって、第1のキュービットおよび第2のキュービット(例えば、第1のキュービット106aおよび第2のキュービット106b)の同じ極性(例えば、正(+)または負(-))の端子(例えば、端子104aと端子104bとの)間の第1の調整可能な結合(例えば、第1の結合114)と、第2のキュービットおよび第3のキュービット(例えば、第3のキュービット206)の同じ極性(例えば、正(+)または負(-))の端子(例えば、端子204aと端子204bとの)間の第2の調整可能な結合(例えば、第3の結合214)とを提供することを含むことができる。
【0088】
804において、コンピュータ実施方法800は、システム(例えば、AWGまたはVNAあるいはその両方に結合され、さらにデバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せに結合されたコンピュータ1012)によって、第1のキュービットおよび第2のキュービットの反対の極性(例えば、正(+)および負(-))の端子(例えば、端子104aと端子104cとの)間の第1の容量結合(例えば、第2の結合116)と、第2のキュービットおよび第3のキュービットの反対の極性(例えば、正(+)および負(-))の端子(例えば、端子204aと端子204cとの)間の第2の容量結合(例えば、第4の結合216)とを提供することを含むことができる。
【0089】
806において、コンピュータ実施方法800は、システム(例えば、AWGまたはVNAあるいはその両方に結合され、さらにデバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せに結合されたコンピュータ1012)によって、第1の調整可能な結合に関連する第1の共振周波数および第2の調整可能な結合に関連する第2の共振周波数を調整することを含むことができ、第1の容量結合は、第1の共振周波数が第1のキュービットと第2のキュービットとの両方の第3の共振周波数よりも小さい(例えば、第1のキュービット106aの共振周波数よりも小さく、第2のキュービット106bの共振周波数よりも小さい)場合に第1の調整可能な結合をキャンセルする第1の結合を含み、第2の容量結合は、第2の共振周波数が第2のキュービットと第3のキュービットとの両方の第4の共振周波数よりも小さい(例えば、第2のキュービット106bの共振周波数よりも小さく、第3のキュービット206の共振周波数よりも小さい)場合に第2の調整可能な結合をキャンセルする第2の結合を含む。
【0090】
808において、コンピュータ実施方法800は、システム(例えば、AWGまたはVNAあるいはその両方に結合され、さらにデバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せに結合されたコンピュータ1012)によって、第1の調整可能な結合または第2の調整可能な結合のうちの少なくとも1つにそれぞれ基づいて、第2のキュービットから第1のキュービットを分離すること、または第3のキュービットから第2のキュービットを分離することのうちの少なくとも1つを行うことを含むことができ、第1のキュービット、第2のキュービット、または第3のキュービットのうちの少なくとも1つは、固定周波数キュービット、調整可能なキュービット、トランズモン・キュービット、固定周波数トランズモン・キュービット、または調整可能なトランズモン・キュービットのうちの少なくとも1つを含む。
【0091】
810において、コンピュータ実施方法800は、システム(例えば、AWGまたはVNAあるいはその両方に結合され、さらにデバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せに結合されたコンピュータ1012)によって、第1の調整可能な結合または第2の調整可能な結合のうちの少なくとも1つに基づいて、第1のキュービット、第2のキュービット、または第3のキュービットのうちの少なくとも1つにおけるコヒーレントな回転を排除し、それによって、第1のキュービット、第2のキュービット、または第3のキュービットのうちの少なくとも1つに関連する量子ゲート誤りの低減、第1のキュービットおよび第2のキュービットもしくは第2のキュービットおよび第3のキュービットを含む量子ゲートの高速化、量子プロセッサ(例えば、量子カプラ・デバイスを備えることができるデバイス200を備える量子プロセッサ)の性能の向上、または量子プロセッサの忠実度の向上のうちの少なくとも1つを容易にすることを含むことができる。
【0092】
図9は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、調整可能なカプラおよびコンデンサ・デバイスを使用してキュービット間の量子ゲートを容易にすることができる例示的で非限定的なコンピュータ実施方法900の流れ図を示す。簡潔にするために、それぞれの実施形態で使用されている同様の要素またはプロセスあるいはその両方についての繰り返しの説明は省略されている。
【0093】
902において、コンピュータ実施方法900は、(例えば、AWGまたはVNAあるいはその両方に結合され、さらにデバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せに結合され得るコンピュータ1012を含むシステムを介して)第1のキュービットおよび第2のキュービット(例えば、第1のキュービット106aおよび第2のキュービット106b)の同じ極性(例えば、正(+)または負(-))の端子(例えば、端子104aと端子104bとの)間の調整可能な結合(例えば、第1の結合114)を提供することを含むことができる。
【0094】
904において、コンピュータ実施方法900は、(例えば、AWGまたはVNAあるいはその両方に結合され、さらにデバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せに結合され得るコンピュータ1012を含むシステムを介して)第1のキュービットおよび第2のキュービットの反対の極性(例えば、正(+)および負(-))の端子(例えば、端子104aと端子104cとの)間の容量結合(例えば、第2の結合116)を提供することを含むことができる。
【0095】
906において、コンピュータ実施方法900は、(例えば、AWGまたはVNAあるいはその両方に結合され、さらにデバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せに結合され得るコンピュータ1012を含むシステムを介して)調整可能な結合に関連する共振周波数(例えば、調整可能なカプラ102によって生成または制御されるかあるいはその両方であり得る第1の結合114に関連する共振周波数)を調整することを含むことができる。例えば、
図1、
図3、および
図4に示す上記の例示的な実施形態を参照すると、調整可能なカプラ102の共振周波数が第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの両方の共振周波数を上回るように、その両方の共振周波数にあるように、またはその両方の共振周波数を下回る(例えば、第1のキュービット106aの共振周波数を上回るように、その共振周波数にある、またはその共振周波数を下回る、および第2のキュービット106bの共振周波数を上回るように、その共振周波数にある、またはその共振周波数を下回る)ように、調整可能なカプラ102の共振周波数の調整を可能にすることができる磁束が、(例えば、AWGまたはVNAあるいはその両方に結合され、さらにデバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せに結合され得るコンピュータ1012を含むシステムを介して)調整可能なカプラ102に提供され得る。
【0096】
908において、コンピュータ実施方法900は、(例えば、AWGまたはVNAあるいはその両方に結合され、さらにデバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せに結合され得るコンピュータ1012を含むシステムを介して)第1のキュービットと第2のキュービットとの間のZZ相互作用がオンになっているかどうかを判定することを含むことができる。例えば、
図1、
図3、および
図4に示す上記の例示的な実施形態を参照すると、調整可能なカプラ102に関連する共振周波数が第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの両方の共振周波数を上回るか下回るかは、第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの間のZZ相互作用の強度に対応することができる(例えば、上回る-ZZがオンになっている場合に対応する、下回る-ZZがオフになっている場合に対応する)。したがって、これらの例示的な実施形態では、ZZ相互作用がオンになっているかどうかに関する判定は、グラフ300、グラフ400、または時間グラフ402あるいはその両方を使用して実行され得る。これらの例示的な実施形態では、調整可能なカプラ102の共振周波数が、第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの両方の共振周波数を上回る(例えば、第1のキュービット106aの共振周波数を上回り、第2のキュービット106bの共振周波数を上回る)場合、容量結合(例えば、第2の結合116)は、調整可能な結合(例えば、第1の結合114)をキャンセルせず(例えば、ゼロ設定、ネゲート、オフセットなどをせず)、第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの間で量子ゲートを実行できる点まで増加させた流束パルスを印加することによって、第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの間のZZ相互作用を増加させることができる(例えば、
図4のグラフ400によって例示されるように、4.50GHzの流束パルスでは、対応するZZ相互作用強度は約10
-0.5MHzである)。
【0097】
908において、第1のキュービットと第2のキュービットとの間のZZ相互作用がオンになっていると判定された場合、910において、コンピュータ実施方法900は、(例えば、AWGまたはVNAあるいはその両方に結合され、さらにデバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せに結合され得るコンピュータ1012を含むシステムを介して)第1のキュービットと第2のキュービットとの間の量子ゲートを実行することを含むことができる。例えば、
図1、
図3、および
図4に示す上記の例示的な実施形態を参照すると、調整可能なカプラ102の共振周波数が第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの両方の共振周波数を上回る(例えば、
図4のグラフ400によって例示されるように4.50GHzの流束パルスにおいて、第1のキュービット106aの共振周波数を上回り、第2のキュービット106bの共振周波数を上回る)点まで調整されると、第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの間のZZ相互作用の対応する強度は、第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの間の量子ゲートの実行を可能にすることができる。
【0098】
912において、コンピュータ実施方法900は、(例えば、AWGまたはVNAあるいはその両方に結合され、さらにデバイス100、調整可能なカプラ102、またはコンデンサ・デバイス110あるいはその組合せに結合され得るコンピュータ1012を含むシステムを介して)調整可能な結合に関連する共振周波数をして、第1のキュービットと第2のキュービットとの間のZZ相互作用をオフにすることを含むことができる。例えば、
図1、
図3、および
図4に示す上記の例示的な実施形態では、調整可能なカプラ102の共振周波数が、第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの両方の共振周波数を下回る(例えば、第1のキュービット106aの共振周波数を下回り、第2のキュービット106bの共振周波数を下回る)場合、容量結合(例えば、第2の結合116)は、調整可能な結合(例えば、第1の結合114)をキャンセルする(例えば、ゼロ設定、ネゲート、オフセットなどをする)ことができ、その時点で、第1のキュービット106aと第2のキュービット106bとの間のZZ相互作用は無視できる程度であり、したがって、実質上オフになる(例えば、
図4のグラフ400によって例示されるように、3.75GHzの流束パルスでは、対応するZZ相互作用強度は約10
-5MHzである)。
【0099】
908において、第1のキュービットと第2のキュービットとの間のZZ相互作用がオンになっていないと判定された場合、コンピュータ実施方法900は、動作906に戻り、調整可能な結合に関連する共振周波数を調整することを含むことができる。様々な実施形態では、コンピュータ実施方法900の動作906および動作908は、第1のキュービットと第2のキュービットとの間のZZ相互作用がオンになるまで繰り返すことができる。これらの実施形態では、第1のキュービットと第2のキュービットとの間のZZ相互作用がオンになるまで動作906および動作908を繰り返したことに基づいて、コンピュータ実施方法900は、動作910および動作912に進むことができる。
【0100】
開示された主題の様々な態様のコンテキストを提供するために、
図10および以下の説明は、開示された主題の様々な態様が実施され得る好適な環境の概略的説明を提供することを意図している。
図10は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態を容易にすることができる例示的で非限定的な動作環境のブロック図を示す。例えば、以下に説明するように、動作環境1000を使用して、本明細書に記載された本開示の1つまたは複数の実施形態に従ってデバイス100またはデバイス200あるいはその組合せを製造するために実施され得る、
図1および
図2を参照して上述した例示的で非限定的なマルチステップ製造シーケンスを実施することができる。別の例では、以下に説明するように、動作環境1000を使用して、
図5~
図9を参照して上述した例示的で非限定的なコンピュータ実施方法500、600、700、800、または900あるいはその組合せのうちの1つまたは複数を実施することができる。簡潔にするために、本明細書に記載の他の実施形態で使用されている同様の要素またはプロセスあるいはその両方についての繰り返しの説明は省略されている。
【0101】
デバイス100またはデバイス200あるいはその組合せを製造するために実施され得る、
図1および
図2を参照して上述した例示的で非限定的なマルチステップ製造シーケンスは、コンピューティング・システム(例えば、
図10に例示された、後述する動作環境1000)またはコンピューティング・デバイス(例えば、
図10に例示された、後述するコンピュータ1012)あるいはその両方によって実施され得る。非限定的で例示的な実施形態では、そのようなコンピューティング・システム(例えば、動作環境1000)またはそのようなコンピューティング・デバイス(例えば、コンピュータ1012)あるいはその両方は、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数のプロセッサによって実行されたときに、
図1および
図2を参照して上述した例示的で非限定的なマルチステップ製造シーケンスの実行を容易にすることができる実行可能命令を記憶することができる1つまたは複数のメモリ・デバイスとを備えることができる。非限定的な例として、1つまたは複数のプロセッサは、半導体デバイスまたは超伝導体デバイスあるいはその両方の製造を実行するように動作可能な1つもしくは複数のシステムまたは機器あるいはその両方を指示または制御することあるいはその両方によって、
図1および
図2を参照して上述した例示的で非限定的なマルチステップ製造シーケンスの実行を容易にすることができる。
【0102】
別の例では、
図5~
図9を参照して上述した例示的で非限定的なコンピュータ実施方法500、600、700、800、または900あるいはその組合せのうちの1つまたは複数は、動作環境1000によって実施(例えば、実行)されることも可能である。非限定的な例として、そのようなコンピューティング・デバイス(例えば、コンピュータ1012)の1つまたは複数のプロセッサは、そのようなコンピュータ実施方法の動作またはルーチンあるいはその両方を実行するように動作可能な1つまたは複数のシステムまたは機器あるいはその両方(例えば、AWG、VNAなど)を指示または制御することあるいはその両方によって、
図5~
図9を参照して上述した例示的で非限定的なコンピュータ実施方法500、600、700、800、または900あるいはその組合せのうちの1つまたは複数の実行を容易にすることができる。
【0103】
説明を簡単にするために、コンピュータ実施方法論は、一連の動作として描写および説明されている。主題の革新は、例示された動作または動作の順序あるいはその両方によって限定されず、例えば、動作は、様々な順序でまたは同時にあるいはその両方で生じる可能性があり、本明細書では提示も説明もされていない他の動作とともに生じる可能性があることが理解および認識されるべきである。さらに、開示された主題に従ってコンピュータ実施方法論を実施するために、例示された動作のすべてが必要とされるわけではない。さらに、当業者であれば、代替として、コンピュータ実施方法論が状態図またはイベントを介して一連の相互に関連する状態として表され得ることを理解および認識するであろう。さらに、以下および本明細書全体で開示されるコンピュータ実施方法論は、そのようなコンピュータ実施方法論のコンピュータへの移送および転送を容易にするために製造品に記憶され得ることがさらに理解されるべきである。本明細書で使用される製造品という用語は、任意のコンピュータ可読デバイスまたは記憶媒体からアクセス可能なコンピュータ・プログラムを包含することを意図している。
【0104】
図10を参照すると、本開示の様々な態様を実施するための好適な動作環境1000は、コンピュータ1012も含むことができる。コンピュータ1012はまた、処理ユニット1014、システム・メモリ1016、およびシステム・バス1018を含むことができる。システム・バス1018は、システム・メモリ1016を含むがこれに限定されないシステム構成要素を処理ユニット1014に結合する。処理ユニット1014は、様々な利用可能なプロセッサのいずれかとすることができる。デュアル・マイクロプロセッサおよび他のマルチプロセッサ・アーキテクチャも処理ユニット1014として採用することができる。システム・バス1018は、インダストリアル・スタンダード・アーキテクチャ(ISA)、マイクロチャネル・アーキテクチャ(MSA)、拡張ISA(EISA)、インテリジェント・ドライブ・エレクトロニクス(IDE)、VESAローカル・バス(VLB)、周辺機器相互接続(PCI)、カード・バス、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、アドバンスト・グラフィックス・ポート(AGP)、ファイアワイヤ(IEEE1394)、および小規模コンピュータ・システム・インターフェース(SCSI)を含むがこれらに限定されない任意の様々な利用可能なバス・アーキテクチャを使用する、メモリ・バスもしくはメモリ・コントローラ、周辺バスもしくは外部バス、またはローカル・バスあるいはその組合せを含む、いくつかのタイプのバス構造体のいずれかとすることができる。
【0105】
システム・メモリ1016は、揮発性メモリ1020および不揮発性メモリ1022を含むこともできる。起動中などにコンピュータ1012内の要素間で情報を転送するための基本ルーチンを含む基本入出力システム(BIOS)は、不揮発性メモリ1022に記憶される。コンピュータ1012は、取り外し可能/取り外し不可能な揮発性/不揮発性コンピュータ記憶媒体を含むこともできる。
図10は、例えば、ディスク・ストレージ1024を示す。ディスク・ストレージ1024は、磁気ディスク・ドライブ、フロッピ(R)・ディスク・ドライブ、テープ・ドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS-100ドライブ、フラッシュ・メモリ・カード、またはメモリ・スティックなどのデバイスを含むこともできるが、これらに限定されない。ディスク・ストレージ1024は、記憶媒体を別個に、または他の記憶媒体と組み合わせて含むこともできる。システム・バス1018へのディスク・ストレージ1024の接続を容易にするために、典型的には、インターフェース1026などの取り外し可能または取り外し不可能なインターフェースが使用される。
図10は、ユーザと、好適な動作環境1000に記載された基本的なコンピュータ・リソースとの間の仲介として作用するソフトウェアも示す。このようなソフトウェアは、例えば、オペレーティング・システム1028を含むこともできる。ディスク・ストレージ1024に記憶され得るオペレーティング・システム1028は、コンピュータ1012のリソースを制御および割り当てるように作用する。
【0106】
システム・アプリケーション1030は、例えばシステム・メモリ1016内またはディスク・ストレージ1024上のいずれかに記憶されたプログラム・モジュール1032およびプログラム・データ1034を介したオペレーティング・システム1028によるリソースの管理を活用する。本開示が様々なオペレーティング・システムまたはオペレーティング・システムの組合せを用いて実施され得ることを理解されたい。ユーザは、入力デバイス1036を介してコンピュータ1012にコマンドまたは情報を入力する。入力デバイス1036には、マウスなどのポインティング・デバイス、トラックボール、スタイラス、タッチ・パッド、キーボード、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲーム・パッド、衛星受信アンテナ、スキャナ、TVチューナ・カード、デジタル・カメラ、デジタル・ビデオ・カメラ、ウェブ・カメラなどが含まれるが、これらに限定されない。これらおよび他の入力デバイスは、インターフェース・ポート1038を経由してシステム・バス1018を介して処理ユニット1014に接続する。インターフェース・ポート1038には、例えば、シリアル・ポート、パラレル・ポート、ゲーム・ポート、およびユニバーサル・シリアル・バス(USB)が含まれる。出力デバイス1040は、入力デバイス1036と同じタイプのポートのうちのいくつかを使用する。したがって、例えば、USBポートを使用して、コンピュータ1012に入力を提供し、コンピュータ1012から出力デバイス1040に情報を出力することができる。出力アダプタ1042は、出力デバイス1040の中でもとりわけ、特別なアダプタを必要とするモニタ、スピーカ、およびプリンタのような一部の出力デバイス1040が存在することを示すために設けられている。出力アダプタ1042には、限定ではなく例として、出力デバイス1040とシステム・バス1018との間の接続手段を提供するビデオ・カードおよびサウンド・カードが含まれる。リモート・コンピュータ1044など、他のデバイスまたはデバイスのシステムあるいはその両方が入力と出力との両方の機能を提供することに留意されたい。
【0107】
コンピュータ1012は、リモート・コンピュータ1044などの1つまたは複数のリモート・コンピュータへの論理接続を使用するネットワーク化された環境において動作することができる。リモート・コンピュータ1044は、コンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサ・ベースの機器、ピア・デバイスまたは他の共通ネットワーク・ノードなどとすることができ、典型的には、コンピュータ1012に関して説明した要素のうちの多くの要素またはすべての要素を含むこともできる。簡潔にするために、リモート・コンピュータ1044とともに、メモリ・ストレージ・デバイス1046のみを示している。リモート・コンピュータ1044は、ネットワーク・インターフェース1048を介してコンピュータ1012に論理的に接続され、さらに通信接続1050を介して物理的に接続される。ネットワーク・インターフェース1048は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、セルラ・ネットワークなどの有線または無線あるいはその両方の通信ネットワークを包含する。LAN技術には、ファイバ分散データ・インターフェース(FDDI)、銅線分散データ・インターフェース(CDDI)、Ethernet(R)、トークン・リングなどが含まれる。WAN技術には、ポイント・ツー・ポイント・リンク、統合サービス・デジタル・ネットワーク(ISDN)およびその変形などの回路交換ネットワーク、パケット交換ネットワーク、ならびにデジタル加入者線(DSL)が含まれるが、これらに限定されない。通信接続1050は、ネットワーク・インターフェース1048をシステム・バス1018に接続するために使用されるハードウェア/ソフトウェアを指す。説明を明確にするために、通信接続1050はコンピュータ1012の内部に示されているが、コンピュータ1012の外部とすることもできる。ネットワーク・インターフェース1048に接続するためのハードウェア/ソフトウェアは、例示のみを目的として、正規電話グレード・モデム、ケーブル・モデムおよびDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタ、ならびにEthernet(R)カードなどの内部技術および外部技術を含むこともできる。
【0108】
本発明は、任意の可能な技術的詳細の統合レベルでのシステム、方法、装置、またはコンピュータ・プログラム製品あるいはその組合せであってもよい。コンピュータ・プログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実施させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体(または複数の媒体)を含むことができる。コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスが使用するための命令を保持および記憶することができる有形デバイスとすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光学記憶デバイス、電磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、または上記の任意の好適な組合せとすることができるが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストには以下のもの、すなわち、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュ・メモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ポータブル・コンパクト・ディスク読取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、メモリ・スティック、フロッピ(R)・ディスク、パンチカードまたは命令が記録された溝内の隆起構造体などの機械的に符号化されたデバイス、および上記の任意の好適な組合せを含むこともできる。本明細書で使用されるコンピュータ可読記憶媒体は、電波もしくは他の自由に伝播する電磁波、導波路もしくは他の伝送媒体を介して伝播する電磁波(例えば、光ファイバ・ケーブルを通る光パルス)、または電線を介して伝送される電気信号などの、一過性の信号自体であると解釈されるべきではない。
【0109】
本明細書に記載のコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスに、または、ネットワーク、例えばインターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、またはワイヤレス・ネットワークあるいはその組合せを介して外部コンピュータまたは外部記憶デバイスにダウンロードされ得る。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、ワイヤレス伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータ、またはエッジ・サーバあるいはその組合せを含むことができる。各コンピューティング/処理デバイスにおけるネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、そのコンピュータ可読プログラム命令を、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体での記憶のために転送する。本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、インストラクション・セット・アーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路用の構成データ、または、Smalltalk(R)、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語および「C」プログラミング言語もしくは同様のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれたソース・コードもしくはオブジェクト・コードとすることができる。コンピュータ可読プログラム命令は、スタンドアロン・ソフトウェア・パッケージとして全体がユーザのコンピュータ上で、一部がユーザのコンピュータ上で、一部がユーザのコンピュータ上かつ一部がリモート・コンピュータ上で、または全体がコンピュータ上もしくはサーバ上で実行され得る。後者のシナリオでは、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)もしくはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されることができ、または(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを介して)外部コンピュータに接続されることができる。いくつかの実施形態では、本発明の態様を実行するために、例えば、プログラマブル・ロジック回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、またはプログラマブル・ロジック・アレイ(PLA)を含む電子回路が、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路をパーソナライズすることによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0110】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品のフローチャート図またはブロック図あるいはその両方を参照しながら本明細書で説明されている。フローチャート図またはブロック図あるいはその両方の各ブロック、およびフローチャート図またはブロック図あるいはその両方におけるブロックの組合せは、コンピュータ可読プログラム命令によって実施され得ることが理解されよう。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックで指定された機能/動作を実施する手段を作り出すように、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサに提供されて、マシンを作り出すものとすることができる。また、これらのコンピュータ可読プログラム命令は、命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックで指定された機能/動作の態様を実施する命令を含む製造品を含むように、コンピュータ可読記憶媒体に記憶され、コンピュータ、プログラマブル・データ処理装置、または他のデバイスあるいはその組合せに対して特定の方式で機能するように指示できるものとすることもできる。また、コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイスで実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックで指定された機能/動作を実施するように、コンピュータ実施プロセスを作り出すべくコンピュータ、他のプログラマブル・データ処理装置、または他のデバイスにロードされて、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で一連の演算動作を実行させるものとすることもできる。
【0111】
図中のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能、および動作を示す。これに関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、指定された論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能命令を含む、モジュール、セグメント、または命令の一部を表すことができる。いくつかの代替の実装形態では、ブロックに記載された機能を、図に記載された順序とは異なる順序で行うことができる。例えば、連続して示されている2つのブロックを、実際には、関与する機能に応じて、実質的に同時に実行することができ、または場合によっては、それらのブロックを逆の順序で実行することができる。ブロック図またはフローチャート図あるいはその両方の各ブロック、およびブロック図またはフローチャート図あるいはその両方におけるブロックの組合せは、指定された機能または動作を実行するか、あるいは専用ハードウェアとコンピュータ命令との組合せを遂行する専用ハードウェア・ベースのシステムによって実装され得ることにも留意されたい。
【0112】
本主題について、1つまたは複数のコンピュータ上で動作するコンピュータ・プログラム製品のコンピュータ実行可能命令の一般的なコンテキストで上述したが、当業者には、本開示がまた、他のプログラム・モジュールと組み合わせて実施され得ることが理解されよう。一般に、プログラム・モジュールには、特定のタスクを実行する、または特定の抽象データ型を実装する、あるいはその両方を行うルーチン、プログラム、構成要素、データ構造などが含まれる。また、当業者には、本発明のコンピュータ実施方法が、シングル・プロセッサまたはマルチプロセッサ・コンピュータ・システム、ミニコンピューティング・デバイス、メインフレーム・コンピュータ、ならびにコンピュータ、ハンドヘルド・コンピューティング・デバイス(例えば、PDA、電話)、マイクロプロセッサ・ベースのまたはプログラム可能なコンシューマ向けのまたは産業用の電子機器などを含む他のコンピュータ・システム構成で実施され得ることが理解されよう。例示した態様は、通信ネットワークを介してリンクされたリモート処理デバイスによってタスクが実行される分散コンピューティング環境において実施され得る。しかしながら、本開示のすべての態様ではないとしてもいくつかの態様は、スタンドアロン・コンピュータ上で実施され得る。分散コンピューティング環境では、プログラム・モジュールは、ローカルとリモート両方のメモリ・ストレージ・デバイスに配置され得る。例えば、1つまたは複数の実施形態では、コンピュータ実行可能構成要素は、1つまたは複数の分散メモリ・ユニットを含むか、またはそれから構成され得るメモリから実行され得る。本明細書で使用される「メモリ」および「メモリ・ユニット」という用語は交換可能である。さらに、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態は、コンピュータ実行可能構成要素のコードを分散方式で実行することができ、例えば、複数のプロセッサが、組み合わされてまたは協働して、1つまたは複数の分散メモリ・ユニットからのコードを実行することができる。本明細書で使用する「メモリ」という用語は、1つの場所にある単一のメモリもしくはメモリ・ユニット、または1つもしくは複数の場所にある複数のメモリもしくはメモリ・ユニットを包含することができる。
【0113】
本出願で使用する「構成要素」、「システム」、「プラットフォーム」、「インターフェース」などの用語は、1つまたは複数の特定の機能性を有するコンピュータ関連のエンティティ、または演算マシンに関連するエンティティを指すか、またはそれらを含むか、あるいはその両方とすることができる。本明細書で開示されるエンティティは、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組合せ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアのいずれかとすることができる。例えば、構成要素は、プロセッサ上で動作するプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行ファイル、実行スレッド、プログラム、またはコンピュータあるいはその組合せとすることができるが、これらに限定されない。例として、サーバ上で動作するアプリケーションとそのサーバとの両方を、構成要素とすることができる。1つまたは複数の構成要素がプロセスまたは実行スレッドあるいはその両方内に存在することができ、構成要素は、1つのコンピュータ上に局在しているか、または2つ以上のコンピュータ間に分散しているか、あるいはその両方とすることができる。別の例では、それぞれの構成要素は、様々なデータ構造が記憶された様々なコンピュータ可読媒体から実行することができる。構成要素は、1つまたは複数のデータ・パケット(例えば、ローカル・システムまたは分散システム内の別の構成要素と、またはインターネットなどのネットワークを経由して他のシステムと、あるいはその両方と信号を介して対話する1つの構成要素からのデータ)を有する信号などに従って、ローカルまたはリモートあるいはその両方のプロセスを介して通信することができる。別の例として、構成要素は、プロセッサによって実行されるソフトウェアまたはファームウェア・アプリケーションによって動作する電気回路または電子回路によって動作する機械部品によって提供される特定の機能を有する装置とすることができる。このような場合、プロセッサは装置の内部にあっても外部にあってもよく、ソフトウェアまたはファームウェア・アプリケーションの少なくとも一部を実行することができる。さらに別の例として、構成要素は、機械部品なしで電子構成要素を介して特定の機能を提供する装置とすることができ、電子構成要素は、電子構成要素の機能を少なくとも部分的に与えるソフトウェアまたはファームウェアを実行するプロセッサまたは他の手段を含むことができる。一態様では、構成要素は、例えばクラウド・コンピューティング・システム内の仮想マシンを介して電子構成要素をエミュレートすることができる。
【0114】
さらに、「または」という用語は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」を意味することを意図している。すなわち、特に指定のない限り、または文脈から明らかでない限り、「Xは、AまたはBを採用する」は、自然な包括的置換のうちのいずれかを意味することを意図している。すなわち、XがAを採用する、XがBを採用する、またはXがAとBの両方を採用する場合、上記の事例のいずれにおいても「Xは、AまたはBを採用する」を満たしている。さらに、本明細書および添付の図面で使用される冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、特に指定のない限り、または文脈から単数形を対象とすることが明らかでない限り、一般に、「1つまたは複数」を意味すると解釈されるべきである。本明細書で使用する「例」または「例示的」という用語あるいはその両方は、例、事例、または例示としての役割を果たすものとして利用される。誤解を避けるために、本明細書に開示された主題は、そのような例に限定されない。さらに、「例」または「例示的」という用語あるいはその両方として本明細書に記載されているいずれの態様または設計も、他の態様または設計と比較して必ずしも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではなく、当業者に知られている同等の例示的な構造および技術を排除することを意味するものでもない。
【0115】
「プロセッサ」という用語は、本明細書で使用される場合、シングルコア・プロセッサ、ソフトウェア・マルチスレッド実行能力を有するシングル・プロセッサ、マルチコア・プロセッサ、ソフトウェア・マルチスレッド実行能力を有するマルチコア・プロセッサ、ハードウェア・マルチスレッド技術を有するマルチコア・プロセッサ、並列プラットフォーム、および分散型共有メモリを有する並列プラットフォームを含むがこれらに限定されない、実質的に任意のコンピューティング処理ユニットまたはデバイスを指すことができる。さらに、プロセッサは、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)、複合プログラマブル・ロジック・デバイス(CPLD)、ディスクリート・ゲートもしくはトランジスタ・ロジック、ディスクリート・ハードウェア構成要素、または本明細書に記載の機能を実行するように設計されたそれらの任意の組合せを指すことができる。また、プロセッサは、ユーザ機器の空間使用を最適化するまたは性能を高めるために、分子および量子ドット・ベースのトランジスタ、スイッチ、およびゲートなどであるがこれらに限定されないナノスケール・アーキテクチャを利用することができる。プロセッサは、コンピューティング処理ユニットの組合せとして実装されることも可能である。本開示では、「ストア」、「ストレージ」、「データ・ストア」、「データ・ストレージ」、「データベース」という用語、ならびに構成要素の動作および機能に関連する実質的に任意の他の情報ストレージ構成要素は、「メモリ構成要素」、「メモリ」において具現化されたエンティティ、またはメモリを含む構成要素を指すために用いられる。本明細書に記載のメモリまたはメモリ構成要素あるいはその両方が、揮発性メモリもしくは不揮発性メモリのいずれかであり得るか、または揮発性メモリと不揮発性メモリの両方を含み得ることを理解されたい。限定ではなく例として、不揮発性メモリは、読取り専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能ROM(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、または不揮発性ランダム・アクセス・メモリ(RAM)(例えば、強誘電体RAM(FeRAM))を含むことができる。揮発性メモリは、例えば、外部キャッシュ・メモリとして作用し得るRAMを含むことができる。限定ではなく例として、RAMは、シンクロナスRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブル・データ・レートSDRAM(DDR SDRAM)、拡張SDRAM(ESDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM)、ダイレクト・ラムバスRAM(DRRAM)、ダイレクト・ラムバス・ダイナミックRAM(DRDRAM)、およびラムバス・ダイナミックRAM(RDRAM)などの多くの形式で利用可能である。さらに、本明細書のシステムまたはコンピュータ実施方法の開示されたメモリ構成要素は、これらを含むことに限定されないが、これらおよび任意の他の好適なタイプのメモリを含むことを意図している。
【0116】
上記で説明したものは、システム、およびコンピュータ実施方法の例を含むにすぎない。当然ながら、本開示を説明するために、構成要素またはコンピュータ実施方法あるいはその両方の考えられるすべての組合せを説明することは不可能であるが、当業者であれば、本開示の多くのさらなる組合せおよび置換えが可能であると理解することができる。さらに、「含む」、「有する」、「所有する」などの用語が、詳細な説明、特許請求の範囲、添付書類および図面で使用される限り、そのような用語は、特許請求の範囲において「備える」という用語が移行語として用いられる際に解釈される場合と同様に、包括的であることを意図している。
【0117】
様々な実施形態の説明を例示の目的で提示してきたが、この説明は、網羅的であることも、開示された実施形態に限定されることも意図していない。当業者には、説明した実施形態の範囲および思想から逸脱することなく多くの修正形態および変形形態が明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、実際の適用例、もしくは市場で見られる技術を超える技術的な改良を最もよく説明するように、または本明細書で開示された実施形態を当業者が理解することが可能になるように選択されたものである。