(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-04
(45)【発行日】2025-07-14
(54)【発明の名称】非対称なダイ接合
(51)【国際特許分類】
H01L 25/04 20230101AFI20250707BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20250707BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20250707BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20250707BHJP
【FI】
H01L25/04 Z
H01L21/60 311Q
H01L23/12 F
(21)【出願番号】P 2023515726
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2021074585
(87)【国際公開番号】W WO2022063567
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2024-02-15
(32)【優先日】2020-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 克幸
(72)【発明者】
【氏名】タンガ、クリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】リー、シドン
(72)【発明者】
【氏名】ボニーラ、グリゼルダ
【審査官】木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105895603(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0270693(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0319269(US,A1)
【文献】特開2015-165566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/04
H01L 23/12-23/15
H01L 21/60-21/607
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタの第1のアレイを含む第1のダイと、
ハンダ融点より高い接合温度でコネクタの前記第1のアレイに熱圧着されるように構成されたコネクタの第2のアレイを含む基板と
を備え、
前記第1のダイは、前記第1のダイが基板中心に対して非対称となるように前記基板に接合され、
コネクタの前記第2のアレイは、前記ハンダ融点より低い位置合わせ温度
と前記接合温度
との間の前記基板の熱膨張
が考慮された、第1のダイ中心ではない基準点と前記第1のダイ中心との距離及び前記第2のアレイのコネクタと前記第1のダイ中心との距離に基づいて調節され
た位置に、配置された、
集積回路パッケージ基板(ICPS)システム。
【請求項2】
前記基準点は前記基板中心である、請求項1に記載のICPSシステム。
【請求項3】
前記第1のダイは、前記第1のダイ中心
が前記
基準点から離間され
た位置で、前記基板に接合される、請求項1に記載のICPSシステム。
【請求項4】
コネクタの前記第1のアレイ及びコネクタの前記第2のアレイは、前記接合温度で位置合わせされる
ように前記基板上に配置された、請求項1に記載のICPSシステム。
【請求項5】
前記第1のダイは、第1の熱膨張率を有し、前記基板は、前記第1の熱膨張率より少なくとも2ppm/℃大きい第2の熱膨張率を有する、請求項1に記載のICPSシステム。
【請求項6】
コネクタの第3のアレイを含む第2のダイをさらに備え、
前記基板は、前記位置合わせ温度
と前記接合温度
との間の熱膨張が
考慮された調節された位置に配置されたコネクタの第4のアレイをさらに備える、
請求項1に記載のICPSシステム。
【請求項7】
コネクタの前記第4のアレイは、前記基板中心に対して調節され
た位置に配置された、請求項6に記載のICPSシステム。
【請求項8】
コネクタの前記第4のアレイは、第2のダイ中心に対して調節され
た位置に配置された、請求項6に記載のICPSシステム。
【請求項9】
前記ダイは800nm
2より大きくない、請求項1に記載のICPSシステム。
【請求項10】
コネクタの前記第1のアレイは、複数の導体を備え、前記複数の導体の第1の部分は、100μmより大きくない第1のピッチを有する、請求項1に記載のICPSシステム。
【請求項11】
前記複数の導体の第2の部分は、前記第1のピッチとは異なる第2のピッチを有する、請求項10に記載のICPSシステム。
【請求項12】
コネクタの前記第1のアレイは、50μmを超えない高さと50μmを超えない幅とを有する複数の導体を備える、請求項1に記載のICPSシステム。
【請求項13】
前記複数の導体の各々は、少なくとも3μmの高さのハンダ・バンプを含む、請求項12に記載のICPSシステム。
【請求項14】
前記基板に対向する前記ダイに取り付けられた接合ヘッドをさらに備え、
前記接合することは、前記ダイを前記基板へ接合する間、前記ダイを前記基板に押し付けるように構成され、
前記接合ヘッドは、前記ダイが前記基板に接合された後に、前記ダイから離されるように構成される、
請求項1に記載のICPSシステム。
【請求項15】
集積回路パッケージ基板(ICPS)システムを作成する方法であって、
コネクタの第1のアレイにおける各々のコネクタを、ハンダ融点より高い接合温度でダイの上に配置することと、
コネクタの前記第1のアレイ及びコネクタの第2のアレイが前記接合温度にあるときに、コネクタの前記第2のアレイがコネクタの前記第1のアレイに位置合わせされるように、基板上のコネクタの前記第2のアレイにおける各々のコネクタの位置を、位置合わせ温度でダイ中心ではない基準点
と前記ダイ中心との距離及び前記各々のコネクタと前記ダイ中心との距離に基づいて調節することと、
前記ダイが基板中心に対して非対称となるように、前記ハンダ融点より低い位置合わせ温度で前記ダイ及び前記基板を位置合わせすることと、
コネクタの前記第1のアレイを前記接合温度まで加熱することと、
コネクタの前記第2のアレイを前記接合温度まで加熱することと、
前記ダイを前記基板に熱圧着することと
を含む方法。
【請求項16】
前記基準点は前記基板中心である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ダイ及び前記基板を位置合わせする前に、前記ダイを接合ヘッドに取り付けることと、
前記ダイを前記基板に接合した後で、前記ダイを前記接合ヘッドから離すことと
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ダイは、第1の熱膨張率を有し、前記基板は、前記第1の熱膨張率より少なくとも2ppm/℃大きい第2の熱膨張率を有する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路パッケージ基板(ICPS)に関し、より具体的には、熱圧着されるICPSシステムにおける熱的に補正されたコネクタのアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のICPSは、コンピューティング機能を実行するコンピューティング・システムで使用することができる。これらの機能は、プロセッサ及びメモリのような様々な半導体ダイ(別名、コンピュータ・チップ)を用いて実行することができる。これらのダイの1つ又は複数は、機械的かつ電気的に積層基板に接合することができ、基板は、コンピューティング・システムの入力/出力接続だけでなく、基板上の他のコンポーネントへの他の接続を含むことができる。より具体的には、ダイは、基板に向かって延びる導体のアレイを有することができ、基板は、ダイに向かって延びる導体のアレイを有することができる。次いで、ハンダが、各々のダイの導体をその対応する基板の導体に機械的かつ電気的に接続することができる。それにより、ダイを全体のコンピューティング・システムに組み込むことができる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の幾つかの実施形態により、集積回路パッケージ基板(ICPS)システムは、コネクタの第1のアレイを含むダイと、ハンダの融点より高い接合温度でコネクタの第1のアレイに熱圧着されるように構成されたコネクタの第2のアレイを含む基板とを備える。第1のダイは、第1のダイが基板中心に対して非対称となるように基板に接合され、コネクタの第2のアレイは、ハンダの融点より低い位置合わせ温度で、第1のダイ中心ではない基準点に対して、接合温度までの熱膨張のために調節される。
【0004】
本発明の幾つかの実施形態により、ICPSシステムを作成する方法は、コネクタの第1のアレイにおける各々のコネクタを、ハンダ融点より高い接合温度でダイの上に配置することと、コネクタの第1のアレイ及びコネクタの第2のアレイが接合温度にあるときに、コネクタの第2のアレイがコネクタイの第1のアレイに位置合わせされるように、基板上のコネクタの第2のアレイにおける各々のコネクタの位置を、位置合わせ温度でダイの中心ではない基準点に対して調節することとを含む。本方法はさらに、ダイが基板中心に対して非対称となるように、ハンダの融点より低い位置合わせ温度でダイ及び基板を位置合わせすることと、コネクタの第1のアレイを接合温度まで加熱することと、コネクタの第2のアレイを接合温度まで加熱することと、ダイを基板に熱圧着することとを含む。
【0005】
本発明の幾つかの実施形態により、ICPSシステムは、第1の熱膨張率を有する、コネクタの第1のアレイを含む基板と、第1の熱膨張率とは異なる第2の熱膨張率を有する、コネクタの第2のアレイを含む第1のダイとを備える。第1のダイは、コネクタの第1のアレイとコネクタの第2のアレイとを接続することによって基板に熱圧着され、第1のダイは、基板中心に対して非対称に配置され、コネクタの第1のアレイは、第1のダイ中心に対して非対称に熱的に調節される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施形態による、組み立てられているICPSシステムの斜視図である。
【
図2A】本発明の実施形態による、組み立てられているICPSシステムの側面図である。
【
図2B】本発明の実施形態による、組み立てられているICPSシステムの側面図である。
【
図3】本発明の実施形態による、2つのダイで組み立てられた基板の上面図である。
【
図4】本発明の実施形態による、1つのダイで組み立てられた例示的な基板の上面図である。
【
図5】本発明の実施形態による、ICPSシステムを作成する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、組み立てられている集積回路パッケージ基板(ICPS)システム100の斜視図である。ICPSシステム100は、積層基板102、ダイ104、接合ヘッド106を備える。基板102は、基板102をダイ104などのダイに接合するためのサイト108及び110を含む。より具体的には、サイト108は、バンプ112A~112I(まとめて「バンプ112」)を含み、サイト110は、バンプ114A~114F(まとめて「バンプ114」)を含む。バンプ112、114は、ハンダ結合を用いてダイ上の電気的コネクタと相互作用するように構成された電気的コネクタである(
図2A及び2Bに示される)。他の実施形態において、基板102は、より多くの又はより少ないサイト若しくはバンプ又はその両方を含むことができる。
【0008】
バンプ112、114は、
図1において、基板102及びダイ104に対して比較的大きく、まばらであるように描かれているが、幾つかの実施形態において、バンプ112、114は、比較的小さく密に充填させることができる。例えば、サイト108及びダイ104は、最大で800mm
2とすることができるが、各々のバンプ112、114は、少なくとも5μmから50μmまでの幅(サイト108、110に沿って)、少なくとも10μmから50μmまでの高さ(サイト108、110から延びる)、及び、最大100μmのピッチ(すなわち、互いに100μmを超えない間隔を空けて配置され、微細なピッチとみなされる)とすることができる。幾つかの実施形態において、バンプ112、114は、40μmのピッチを有することができる。さらに、サイト108、110は、異なるピッチ(100μmより大きいピッチを含む)を有することができ、若しくは、サイト108、110の一部がそのサイト108、110の他の部分とは異なるピッチを有することができ、又はその両方とすることができる。
【0009】
図示された実施形態において、基板102は、例えば基板102の底面に対して真空引きすることにより、一時的に接合ステージ103に取り付けられる。接合ステージ103はまた、例えば、接合プロセスの際にハンダの融点より低い一定の高温の接合温度を維持するように基板102を加熱するために、加熱することができる(例えば、80℃まで)。さらに、ダイ104は、例えば、ダイ104の上面に対して真空引きする(ポンプ(図示せず)によって矢印Aで示される)ことによって、一時的に接合ヘッド106に取り付けることができる。接合ヘッド106は、ダイ104より小さく描かれているが、幾つかの実施形態においては、より大きくすることができる。接合ヘッド106は、ダイ104をサイト108に対して適切に位置合わせするように、ダイ104を基板102に向かって(矢印116によって示されるように)動かすために、使用される。接合ヘッド106は、ダイ104の電気的コンタクトを基板102の電気的コンタクトに接触させるように動かす。接合ヘッド106はまた、ダイ104をその接合温度まで加熱するために接合ヘッド106が加熱(例えば、350℃まで)されている間、ダイ104を基板102に対して押し付けて、所定の位置に正確に保持することができる。それにより、ハンダは、熱圧着プロセスの接合の際に、その融点(例えば、240℃)以上に加熱される。
【0010】
それにより、サイト108が微細なピッチのバンプ112を有する場合にも、ダイ104をサイト108で基板102に接合することができる。さらに、他のダイ(図示せず)もまた、例えば、サイト110で基板102に接合することができる。このことにより、単一の基板102における複数のダイの異種集積が可能になり、高性能コンピューティング及び人工知能ハードウェアを支援することができる。
【0011】
図2A及び
図2Bは、組み立てられているICPSシステム100の側面図である。より具体的には、
図2Aは、それぞれの接合温度における基板102及びダイ104の図であり、接合温度は、ハンダの融点より高くすることができる。幾つかの実施形態において、基板102及びダイ104の接合温度は同じであり、他の実施形態においては、それらは異なる。例えば、接合ステージ103の接合温度は100℃とすることができ、接合ヘッド106の接合温度は350℃とすることができ、その結果、ハンダ・バンプ122を少なくとも240℃まで加熱することができる。他の実施形態において、例えば、ハンダ・バンプ122の接合温度がそれらの材料の融点より高く、例えば、Sn-Cuハンダでは227℃、Sn-Agハンダでは221℃、Sn-Ag-Cuハンダでは217℃、又はSn-Biハンダでは138℃であれば、他の接合温度を用いることができる。
【0012】
図示された実施形態において、接合ヘッド106は、ダイ104を基板102と位置合わせするように保持する。このことは、基板102の上のバンプ112C、112F、及び112Iが、ダイ104の上のポスト(又はピラー)118C、118F、及び118Iと位置合わせされていることによって明示され、これは、一致する中心線120C、120F、120Iによって示される。
図2Aには、対応するバンプ/ポストの対112C/118C、112F/118F、及び112I/118Iのみが示されているが、対応するバンプ/ポストの他の対112/118(ダイ104は9つのポスト118A~118I(まとめて「ポスト118」)を含むことができるので)もまた、基板102及びダイ104がそれらの対応する接合温度にあるときに位置合わせされることになる。
【0013】
図2Aには、さらにハンダ・バンプ122C、122F、及び122Iが示されているが、各々のポスト118は、それぞれハンダ・バンプ122A~122I(まとめて「ハンダ・バンプ122」)のうちの1つを含むことができる。ハンダ・バンプ122は、最初にポスト118の上に形成することができるが、ハンダ・バンプ122は、最初にバンプ112に取り付けられるようにすることもできる。図示された実施形態において、ハンダ・バンプ122は、高さ3μm以上、例えば7μmにすることができる。バンプ112、ポスト118、及びハンダ・バンプ122は、銅などの金属のような電導材料で構成される。例えば、バンプ112は、銅、ニッケル、パラジウム、又は金で構成することができ、ポスト118は、銅又はニッケルで構成することができ、ハンダ・バンプ122は、錫、銅、銀、インジウム、又はビスマスなどの比較的低い融点の金属で構成することができる(前述のように)。それにより、接合ヘッド106がポスト118をバンプ112に対して保持すると、ハンダ・バンプ122が流れて、バンプ/ポスト 112/118の各々のペア(この構成は
図2A又は2Bには示されていないが)を電気的かつ機械的に接続することができる。
【0014】
対照的に、
図2Bは、基板102及びダイ104が、それぞれ、典型的には100℃及び150℃などの高温であるそれらの位置合わせ温度で、適切に位置合わせされている図である。図示された実施形態において、基板102は、主に電気的絶縁体のガラスで補強されたポリマ材料で構成することができ、ダイ104は、主にシリコンなどの半導体材料で構成することができる。従って、基板102及びダイ104は、異なる熱膨張率(CTE)を有することがある。例えば、基板102のCTEは、少なくとも、1℃当たり100万分の2(ppm/℃)だけ、ダイ104のCTEとは異なるものとするができる。幾つかの実施形態において、基板102のCTEは、ダイ104より大きく、このことは、
図2Bにおいて、基板102がダイ104より低い接合温度を有するにも関わらず、ダイ104がその接合温度から収縮したよりも基板102がその接合温度からより大きく収縮したことによって示される。
【0015】
ダイ104が基板102に適切に接合されることを確実にするために、ダイ104は、位置合わせ温度で基板と位置合わせされる。これは、例えば、基板102とダイ104との間にカメラ(図示せず)を挿入し、基板102及びダイ104の可視マーク(図示せず)が位置合わせされていることを確認することによって、行うことができる。ダイ104及び基板102のそれぞれの接合温度における熱膨張の違いのために、ダイ104が位置合わせ温度で基板102と適切に位置合わせされるとき、ポスト118は、対応するバンプ112と位置合わせされないことになる。このことは、バンプ112の中心線124C、124F、及び124I(まとめて「中心線124」)が、それぞれ、ポスト118の中心線126C、126F、及び126I(まとめて「中心線126」)からオフセットされていることによって明示される。従って、基板102を設計するときに、基板102とダイ104との間の異なる熱膨張量を考慮して、各々のバンプ112の位置を補正する(すなわち、基板102の表面を横切って移動させる)ことができる。
【0016】
図示された実施形態において、ダイ104は、基板102の中心に対して非対称に配置される。このことは、基板中心線128Zがダイ中心線130Zから離間されていることによって示される。このことは、例えば、基板102にさらに接合されるべき他のダイが存在するので、ダイ中心線130Zが基板中心線128Zに一致するように配置することができないために、起こり得る。熱膨張の際、オブジェクトは、それらの熱中心に対して膨張することがある。対称的な形状のオブジェクトにおいては、これは、そのオブジェクトの中心となり得る。このことは、一般に、基板102が基板中心線128Zから横方向に(X方向に)膨張することになり、一方で、ダイ104は、ダイ中心線130Zから横方向に(X方向に)膨張することになることを意味する。従って、基板102を設計するとき、基板中心線128Zとダイ中心線130Zとの位置の差を考慮して、各々のバンプ112の位置を、以前に補正された位置からオフセットする(すなわち、基板102の表面を横切って動かす)ことができる。より具体的には、各々のバンプ112の位置は、基板中心線128Zに対してオフセットすることができる。そのようなオフセットは、
図2Bにおいて、中心線124Cと中心線126Cとの間の距離の差が、中心線124Iと中心線126Iとの間の距離における差より大きく、中心線124Fと中心線126Fとが一致しないことによって明示される。それにより、バンプ112のオフセットは、中心線130Zに対して非対称にすることができ、結果として得られるバンプ112のアレイは、位置合わせ温度において、中心線130Zに対して非対称とすることができる。さらに、ポスト118のアレイは、非対称的であり、位置合わせ温度でダイ104が基板102と適切に位置合わせされるときにバンプのアレイ112と位置合わせされない場合がある。
【0017】
対照的に、バンプ112が、基板102及びダイ104の熱膨張のために補正されるだけであれば、バンプ112は、中心線130Zに対して位置決めされることになる。そのようなシナリオにおいては、中心線124Cと中心線126Cとの間の距離の差は、中心線124Iと中心線126Iとの間の距離の差に等しくなり、中心線124Fと中心線126Fは一致することになる。位置合わせ温度でバンプ112を単に補正することは、バンプがさらに離間されることになり、それ自体がより大きくなり得るので、粗いピッチ・アレイを使用するときには容認される場合がある。しかし、位置合わせ温度でバンプ112を補正しオフセットすること(別名では、調節すること)によって、接合温度でのポスト118のアレイに対するバンプ112のアレイの位置決めの精度が高まるため、適切に接続することができるより小さいバンプを有する微細ピッチ・アレイを使用することができるようになる。さらに、組み立てられた基板102及びダイ104が室温まで冷却された後の(それらの接合後の)各々のハンダ・バンプ122の歪み量を最小にすることができる。
【0018】
図3は、ダイ104及びダイ132で組み立てられた基板102の上面図である。図示された実施形態において、ダイ104は、サイト108(
図1に示される)で基板102に接合され、ダイ132は、サイト110(
図1に示される)で基板102に接合される。バンプ112及び114は、それらの位置の調節を議論する目的でファントムとして示されており(ただし、それらの全てが参照数字を含むわけではない)、基板中心線128X、128Y、ダイ中心線130X、130Y、及び、ダイ中心線134X、134Yも描かれている。基板中心線128X、128Yは、基板中心136で合流し、ダイ中心線130X、130Yは、ダイ中心138で合流し、ダイ中心線134X、134Yは、ダイ中心140で合流する。
【0019】
以前に論じたように、バンプ112の位置は、位置合わせ温度と接合温度との間の熱膨張を考慮して、基板102上のダイ104の非対称な位置決めを含む基板102の設計時に調節することができる。このことは、
図2Bにおいては1次元で描かれたが、
図3に示されるように、同じ理論を2次元でも適用することができる。位置合わせ温度での各々のバンプ112の位置を得るために、各々のバンプ112は、最初に位置合わせ温度でポスト118(
図2Aに示される)の位置に一致するように配置される。これらの最初の位置からの各々のバンプ112の調節は、以下の式1~6に従って行うことができる。
式1: comp_x = PX *[CTE_sub*(T_sub_bo-T_sub_al) -CTE_die*(T_die_bo-T_die_al)];
式2: off_x=DX*[CTE_ sub*(T_ sub_bo-T_sub_al)];
式3: adjust_x=comp_x+off_x;
式4: comp_y = PY *[CTE_sub*(T_sub_bo-T_sub_al) -CTE_die*(T_die_bo-T_die_al)];
式5:off_y=DY*[CTE_sub*(T_sub_bo-T_sub_al)];
式6:adjust_y=comp_y+off_y;
ここで、これらの式中の要素は以下の意味を有する(アルファベット順):
adjust_xは、X方向における熱膨張によるバンプの位置の全調節量である;
adjust_yは、Y方向における熱膨張によるバンプの位置の全調節量である;
comp_xは、X方向におけるバンプの位置の補正量である;
comp_yは、Y方向におけるバンプの位置の補正量である;
CTE_subは、基板102の熱膨張率である;
CTE_dieは、ダイ104の熱膨張率である;
DXは、X方向におけるダイ中心138から基板中心136までの距離である;
DYは、Y方向におけるダイ中心138から基板中心136までの距離である;
off_xは、X方向におけるバンプ位置のオフセットの量である;
off_yは、Y方向におけるバンプ位置のオフセットの量である;
PXは、X方向における調節されたバンプ112からダイ中心128までの距離である;
PYは、Y方向における調節されたバンプ112からダイ中心128までの距離である;
T_sub_boは、基板102の接合温度である;
T_sub_alは、基板102の位置合わせ温度である;
T_die_boは、ダイ104の接合温度である;
T_die_alは、ダイ104の位置合わせ温度である。
【0020】
式1~6に示されるように、各々のバンプ112の補正は、ダイ中心138に対するその位置に依存する。しかし、各々のバンプ112のオフセットは、基板102に対するダイ104の位置に依存する。より具体的には、オフセットは、基板中心136に対するダイ中心138の位置に依存し、サイト108(
図1に示される)にある各々のバンプ112に関しても同様である。各々のバンプ112についてX及びY方向の両方の全体の調節量がそれぞれ計算されると、結果として得られる調節ベクトルを最初の位置に加えて、各々のバンプ112の調節された位置を得ることができる。
図3には、いずれも基板中心136に向かう2つの例示的な調節ベクトル142B、142Hが、それぞれバンプ112B、112Hについて示される。それにより、バンプ112の位置は、基板中心136に対して熱的に補正され、ダイ104に対して非対称となる。
【0021】
対照的に、基板102は、バンプ114のオフセットがないサイト110(
図1に示される)を含むことができる。各々のバンプ114の位置をその最初の位置から計算するためには、式1及び式4のみを使用することができる。結果として得られる調節ベクトルは、それぞれバンプ114A、114Cについての2つの例示的な調節ベクトル144A、144Cによって示されるように、ダイ中心140に向かう。それにより、バンプ114の位置は、ダイ中心140に対して熱的に補正され、ダイ132に対して対称的となる。前述のように、そのようなオフセットなしの補正は、例えば、ダイ・バンプ(図示されず)及びバンプ114が粗いピッチを有する場合に有用な場合がある。
【0022】
図4は、ダイ148で組み立てられた例示的な基板146の上面図である。基板146は、バンプ150A~150D(まとめて「バンプ150」)(ファントムとして示される)を含む。基板146は、さらに、基板中心154で合流する基板中心線152、152Yを含み、ダイ148は、ダイ中心158で合流する中心線156X、156Yを含む。
【0023】
図示された実施形態において、ダイ中心158は、基板中心154からX方向にのみ離間されている。この例において、上記の式1~6内の変数は以下の通りである。
CTE_sub=14.6ppm/℃;
CTE_die=3.2ppm/℃;
DX=3.55mm:
DY=0mm:
PX=±5.945mm(バンプ150に依存する);
PY=±14.525mm(バンプ150に依存する);
T_sub_bo=100℃;
T_sub_al=25℃;
T_die_bo=240℃:
T_die_al=25℃。
【0024】
式1及び4による作業は、それぞれ、バンプ150Aについて+2.42μm及び-5.91μm、バンプ150Bについて+2.42μm及び+5.91μm、バンプ150Cについて-2.42μm及び-5.91μm、バンプ150Dについて-2.42μm及び+5.91μmのX方向及びY方向の補正をもたらす。式2及び5による作業は、各々のバンプ150について、それぞれ+3.88μm及び0.00μmのX方向及びY方向のオフセットを生じる(ダイ中心158がY方向において基板中心154から間隔を空けられていないため)。式3及び式6による作業は、それぞれ、バンプ150Aについて+6.30μm及び-5.91μm、バンプ150Bについて+6.30μm及び+5.91μm、バンプ150Cについて1.46μm及び-5.91μm、バンプ150Dについて-1.46μm及び+5.91μmのX方向及びY方向の調節をもたらす。
【0025】
図5は、ICPSシステム100を作成する方法170のフローチャートである。方法170の議論の際には、
図1~
図4からの特徴及び参照数字を用いることができる。図示された実施形態では、ブロック172において、各々のポスト118が、ダイ接合温度でダイ104の上に配置される。ブロック172は、例えば、ダイ接合温度でダイ104を測定することにより、又は、ダイ104の製造者からの仕様に基づいてダイ104の熱膨張を計算することによって、行うことができる。ブロック174において、基板接合温度での各バンプ112の位置が、ダイ接合温度での各々のポスト118の位置に対応するように確立される。ブロック176において、各々のバンプ112の位置が、基板位置合わせ温度での基板中心136に対する熱膨張のために調節される。ブロック178において、基板102が、それぞれの調節された位置に配置されたバンプ112を有するように作製される。
【0026】
ブロック180において、ダイ104が接合ヘッド106に、例えば接合ヘッド106が真空圧を用いてダイ104をピック・アップすることによって、取り付けられる、ブロック182において、基板102が接合ステージ103に、例えば真空圧を用いて取り付けられる。ブロック184において、ダイ104がダイ位置合わせ温度まで加熱され、基板102が基板位置合わせ温度まで加熱される。ブロック186において、ダイ104が、位置合わせ温度で基板102に位置合わせされる。ブロック188において、接合ヘッド106をヘッド接合温度まで加熱することができ、これによって、基板102を基板接合温度まで加熱する。ブロック190において、ダイ104は、ダイ104がダイ接合温度まで加熱されている間に基板102に接触するように押し付けられ、これにより、ダイ104を基板102に熱圧着によって接合する。ブロック192において、接合ヘッド106がダイ104から離される。
【0027】
本発明の様々な実施形態の説明が、例示のために提示されたが、網羅的であること又は開示された実施形態に限定することを意図したものではない。当業者には、説明された実施形態の範囲から逸脱しない多くの修正物及び改変物が明白となるであろう。本明細書で使用された用語は、実施形態の原理、実際的応用、又は市場に見出される技術を超える技術的改善、を最もよく説明するため、又は、当技術分野における通常の技能を有する他者が本明細書において開示された実施形態を理解できるように、選ばれたものである。
【0028】
本発明の好ましい実施形態において、第1の熱膨張率を有する、コネクタの第1のアレイを含む基板と、第1の熱膨張率とは異なる第2の熱膨張率を有する、コネクタの第2のアレイを含む第1のダイとを備える集積回路パッケージ基板(ICPS)システムが提供され、ここで、第1のダイは、コネクタの第1のアレイとコネクタの第2のアレイとを接続することによって基板に熱圧着され、第1のダイは、基板中心に対して非対称に配置され、コネクタの第1のアレイは、第1のダイの中心に対して非対称に熱的に調節される。本ICPSシステムはさらに、コネクタの第3のアレイを備える第2のダイと、第2のダイの中心に対して対称的に熱的に調節された、基板上のコネクタの第4のアレイとを備えることができる。