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特許7706859プロジェクション・ライナおよびエッチ・ストップ層が統合された相変化メモリ・セル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-04
(45)【発行日】2025-07-14
(54)【発明の名称】プロジェクション・ライナおよびエッチ・ストップ層が統合された相変化メモリ・セル
(51)【国際特許分類】
   H10B 63/10 20230101AFI20250707BHJP
   H10N 70/20 20230101ALI20250707BHJP
   H10N 70/00 20230101ALI20250707BHJP
   H10N 99/00 20230101ALI20250707BHJP
【FI】
H10B63/10
H10N70/20
H10N70/00 A
H10N99/00
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023527651
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 CN2021129015
(87)【国際公開番号】W WO2022111254
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2024-04-11
(31)【優先権主張番号】17/104,360
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ブリュー、ケヴィン ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】オク、インジョ
(72)【発明者】
【氏名】サラフ、イクバル ラシド
(72)【発明者】
【氏名】ソルニエ、ニコール
(72)【発明者】
【氏名】ブライトスキー、マシュー ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ブルース、ロバート エル
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-283179(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0098986(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106206938(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0028078(US,A1)
【文献】特開2009-123847(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0037726(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 63/10
H10N 70/20
H10N 70/00
H10N 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相変化メモリ・セルであって、
底部電極と、
前記底部電極の上面に接続された、導電性材料のプロジェクション・ライナと、
前記プロジェクション・ライナの上面に接続された、相変化材料の相変化体積と、
前記相変化体積の上面に接続された頂部電極と、
前記プロジェクション・ライナの前記上面に接続され、前記相変化体積の側面に接続され、前記頂部電極の側面に接続された誘電体と
を備え
前記プロジェクション・ライナが、前記相変化材料のアモルファス相の抵抗と前記相変化材料の結晶相の抵抗との間のシート抵抗値を有する、
相変化メモリ・セル。
【請求項2】
前記プロジェクション・ライナを通って前記相変化体積から前記底部電極に電流が流れる、請求項1に記載の相変化メモリ・セル。
【請求項3】
前記プロジェクション・ライナが、前記相変化体積の下方の第1の領域および前記誘電体の下方の第2の領域を含む、請求項1または2に記載の相変化メモリ・セル。
【請求項4】
前記誘電体がカプセル化スペーサである、請求項1に記載の相変化メモリ・セル。
【請求項5】
前記カプセル化スペーサの第1の側面が前記相変化体積の側面と共面であり、前記頂部電極の側面と共面であり、前記カプセル化スペーサの第2の側面が前記プロジェクション・ライナの側面と共面である、請求項4に記載の相変化メモリ・セル。
【請求項6】
前記プロジェクション・ライナは、窒化タンタル、窒化チタンアルミニウム、アモルファス炭素からなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載の相変化メモリ・セル。
【請求項7】
相変化メモリ・セルを有する集積回路(IC)デバイス製造方法であって、
基板上に底部電極を形成すること、
前記底部電極上に接して、導電性材料のプロジェクション・ライナを形成すること、
前記プロジェクション・ライナの上面に接して、相変化材料の相変化体積を形成することであり、前記プロジェクション・ライナが、前記相変化体積の下方の第1の領域および前記相変化体積の外周の周囲の第2の領域を含む、前記形成すること、ならびに
前記相変化体積の上面に接して、頂部電極を形成すること
を含み、
前記プロジェクション・ライナが、前記相変化材料のアモルファス相の抵抗と前記相変化材料の結晶相の抵抗との間のシート抵抗値を有する、
集積回路(IC)デバイス製造方法。
【請求項8】
前記プロジェクション・ライナの前記第2の領域上に接して誘電体を形成することをさらに含み、前記誘電体はさらに、前記相変化体積の側面に接し、前記頂部電極の側面に接する、請求項に記載のICデバイス製造方法。
【請求項9】
前記誘電体がカプセル化スペーサである、請求項に記載のICデバイス製造方法。
【請求項10】
前記カプセル化スペーサの側面が前記プロジェクション・ライナの側面と共面である、請求項に記載のICデバイス製造方法。
【請求項11】
前記プロジェクション・ライナが、窒化タンタル、窒化チタンアルミニウム、アモルファス炭素からなる群から選択される材料を含む、請求項7に記載のICデバイス製造方法。
【請求項12】
集積回路(IC)デバイス製造方法であって、
部電極上にプロジェクション・ライナ層を形成すること、
前記プロジェクション・ライナ層上に相変化材料(PCM)層を形成すること、
前記PCM層上に頂部電極層を形成すること、
前記プロジェクション・ライナ層を第1のエッチ・ストップとして利用して所望でないPCM層部分および所望でない頂部電極層部分を第1のエッチングにより除去することによって、前記底部電極の上方の前記プロジェクション・ライナ層上に相変化材料(PCM)スタックを形成することであり、前記第1のエッチングが、前記PCMスタックの外側の前記プロジェクション・ライナ層を露出させ、前記PCMスタックが、相変化材料の相変化体積および頂部電極を含む、前記形成すること、
前記露出させたプロジェクション・ライナ層上および前記PCMスタック上にカプセル
化層を形成すること
前記プロジェクション・ライナ層を第2のエッチ・ストップとして利用して所望でないカプセル化スペーサ部分を第2のエッチングにより除去することによって、前記PCMスタックの側壁に接触したカプセル化スペーサを形成することであり、前記第2のエッチングが、前記カプセル化スペーサの外側の前記プロジェクション・ライナ層を再び露出させる、前記形成すること
前記カプセル化層の外側の前記再び露出させたプロジェクション・ライナ層を除去すること、ならびに
前記PCMスタックの下および前記カプセル化スペーサの下の前記プロジェクション・ライナ層を維持してプロジェクション・ライナを形成することであり、前記プロジェクション・ライナが、前記相変化材料のアモルファス相の抵抗と前記相変化材料の結晶相の抵抗との間のシート抵抗値を有する、前記プロジェクション・ライナを形成すること
を含む集積回路(IC)デバイス製造方法。
【請求項13】
前記第1のエッチングが物理的なドライ・エッチングである、請求項12に記載のICデバイス製造方法。
【請求項14】
前記第2のエッチングが化学的なウェット・エッチングである、請求項13に記載のICデバイス製造方法。
【請求項15】
前記カプセル化スペーサの側面が前記プロジェクション・ライナの側面と共面である、請求項12に記載のICデバイス製造方法。
【請求項16】
前記頂部電極上に、前記頂部電極と接触した頂部ワイヤを形成すること
をさらに含む、請求項12に記載のICデバイス製造方法。
【請求項17】
前記プロジェクション・ライナ層の下に加熱層を形成することをさらに含み、前記加熱層は、その上に形成された前記相変化材料を加熱して、前記相変化材料の状態を変化させる、請求項12に記載のICデバイス製造方法。
【請求項18】
前記プロジェクション・ライナが、窒化タンタル、窒化チタンアルミニウム、アモルファス炭素からなる群から選択される材料を含む、請求項12に記載のICデバイス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は一般に半導体デバイスの分野に関し、より詳細には抵抗メモリ・デバイス、例えば相変化メモリ・デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
相変化メモリ(PCM)は、相変化材料、特にゲルマニウム-アンチモン-テルル(GST)などのカルコゲニド化合物の、異なる電気抵抗を有する状態間の、可逆的な熱アシスト・スイッチングを利用する、不揮発性固体メモリ技術である。この基本記憶単位(「セル」)を、異なる抵抗特性を示すいくつかの異なる状態またはレベルにプログラムすることができる。これらのプログラム可能なセル状態を使用して異なるデータ値を表現することができ、これにより情報の記憶を可能にすることができる。
【0003】
シングルレベルPCMデバイスでは、それぞれのセルを、s=2個の状態、すなわち「SET」状態および「RESET」状態のうちの1つにセットすることができ、これにより1セルにつき1ビットの記憶を可能にすることができる。相変化材料の完全にアモルファスの状態に対応するRESET状態では、セルの電気抵抗が非常に高い。その結晶点よりも高い温度まで加熱し、次いで冷却することによって、相変化材料を、低抵抗の完全な結晶状態に変化させることができる。この低抵抗状態がセルのSET状態を提供する。次いで、このセルを、相変化材料の融点よりも高い高温に加熱すると、材料は、急速冷却後に、完全にアモルファスのRESET状態に戻る。マルチレベルPCMデバイスでは、セルを、s>2個のプログラム可能な状態にセットすることができ、これにより1セルにつき2ビット以上の記憶を可能にすることができる。異なるプログラム可能な状態は、相変化材料の体積中のアモルファス相および結晶相の異なる相対割合に対応する。具体的には、シングルレベル動作のために使用される2つの状態に加えて、マルチレベル・セルは、セルが、結晶性のPCM材料中に、様々な体積のアモルファス相を含む、中間状態を利用する。これらの2つの材料相は大きな抵抗対照性を示すため、全セル体積中のアモルファス相のサイズの変化は、セル抵抗に対応する変化を生み出す。
【0004】
PCMセルにおけるデータの読取りおよび書込みは、それぞれのセルに関連した一対の電極を介して相変化材料に適切な電圧を印加することによって達成される。書込み動作では、その結果生じるプログラミング信号によって、相変化材料が、適切な温度にジュール加熱され、冷却後に所望のセル状態が誘起される。PCMセルの読取りは、セル抵抗をセル状態のメトリック(metric)として使用して実行される。読取り電圧を印加するとセルに電流が流れ、この読取り電流はセルの抵抗に依存する。したがって、セルの読取り電流を測定することによってプログラムされたセル状態の指標が得られる。この抵抗メトリックに対しては、読取り電圧の印加がプログラムされたセル状態を乱さないことを保証するために、十分に低い読取り電圧が使用される。次いで、この抵抗メトリックを、s個のプログラム可能なセル状態に対する予め定められた参照レベルと比較することによって、セル状態の検出を実行することができる。
【0005】
PCMのさらなる開発はいくつかの鍵となる課題に直面する。それらの課題の1つは、PCMのアモルファス相が、低周波ノイズおよびドリフトなどの望ましくない特性を示すことである。このドリフトによって、アモルファス相の抵抗値は時間の経過とともに増大する。その結果、プログラムされたセル状態の読取り測定値は時間とともに変化する傾向を示す。このことは記憶された情報の読出しを複雑にし、潜在的には、異なるセル状態が示すドリフトの変動が大きく、その結果、隣り合うセル状態の読取り測定値分布が互いに干渉する場合に情報を破壊することさえありうる。セル状態の数が多いほど、したがって読出し抵抗レベル間の初期間隔が小さいほど、セルはこの問題の影響を受けやすくなる。
【0006】
抵抗ドリフトに関連する問題を軽減するためのさまざまな技術が提案されている。1つの手法が添付図面の図1に示されている。この図は、頂部電極3と底部電極(または「ヒータ」)4との間に置かれたある体積の相変化材料2を有するマッシュルーム型PCMセル1の概略図を示している。示されたセル状態は、材料2が結晶相とアモルファス相の両方を含む中間状態を表している。アモルファス相は、底部電極4の上方の陰影が付けられた半球形の体積5によって示されている。結晶相6は、セル体積の残りの部分を占めている。動作時には、薄い抵抗領域7が、底部電極4と相変化材料の結晶相6との間の並列電流経路を提供する。プログラムされたセル状態を読み取るために読取り電圧を印加すると、その結果生じる読取り電流は、高抵抗のアモルファス相5を流れるよりもむしろ、主として、結晶相6から底部電極4に至るこの電流経路を通って流れる。したがって、測定セル抵抗は、主として、アモルファス相5の抵抗ではなくこの並列電流経路の抵抗に依存する。並列電流経路の抵抗は図の長さ「x」に依存する。この長さは、アモルファス相5のサイズに依存し、したがってプログラムされたセル状態によって変化する。要素7の抵抗はドリフトの影響を受けないため、アモルファス相5の抵抗ドリフトの読取り測定値に対する影響は軽減される。
【0007】
マッシュルームPCMセルの製造中、通常、材料はその下の構造体上に堆積される。続いて、所望でない材料をサブトラクティブ除去し(subtractive remove)、所望の材料を維持する。維持された最終的な材料の信頼性および歩留まりを増大させるために、以前の所望でない材料を十分かつ完全に除去することがしばしば望まれる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一実施形態では、相変化メモリ・セルが提示される。この相変化メモリ・セルは、底部電極、および底部電極の上面に接続された、導電性材料のプロジェクション・ライナ(projection liner)を含む。この相変化メモリ・セルはさらに、プロジェクション・ライナの上面に接続された、相変化材料の相変化体積(volume)を含む。この相変化メモリ・セルはさらに、相変化体積の上面に接続された頂部電極を含む。この相変化メモリ・セルはさらに、プロジェクション・ライナの上面に接続され、相変化体積の側面に接続され、頂部電極の側面に接続された誘電体を含む。
【0009】
本発明の別の実施形態では、集積回路(IC)デバイス製造方法が提示される。この方法は、基板上に底部電極を形成すること、および底部電極上に、導電性材料のプロジェクション・ライナを直接に形成することを含む。この方法はさらに、プロジェクション・ライナの上面に、相変化材料の相変化体積を直接に形成することを含む。このプロジェクション・ライナは、相変化体積の下方の第1の領域および相変化体積の外周の周囲の第2の領域を含む。この方法はさらに、相変化体積の上面に頂部電極を直接に形成することを含む。
【0010】
本発明の別の実施形態では、集積回路(IC)デバイス製造方法が提示される。この方法は、加熱層上および底部電極上にプロジェクション・ライナ層を形成すること、プロジェクション・ライナ層上に相変化材料(PCM)層を形成すること、ならびにPCM層上に頂部電極層を形成することを含む。この方法はさらに、プロジェクション・ライナ層を第1のエッチ・ストップとして利用して所望でないPCM層部分および所望でない頂部電極層部分をエッチングにより除去することによって、底部電極の上方のプロジェクション・ライナ層上に相変化材料(PCM)スタックを形成することを含み、この第1のエッチングは、PCMスタックの外側のプロジェクション・ライナ層を露出させ、PCMスタックは、相変化材料の相変化体積および頂部電極を含む。この方法はさらに、露出させたプロジェクション・ライナ層上およびPCMスタック上にカプセル化層(encapsulation layer)を形成することを含む。この方法はさらに、プロジェクション・ライナ層を第2のエッチ・ストップとして利用して所望でないカプセル化層部分をエッチングにより除去することによって、PCMスタックの側壁に接触したカプセル化スペーサを形成することを含む。この第2のエッチングは、カプセル化スペーサの外側のプロジェクション・ライナ層を再び露出させる。
【0011】
これらの実施形態、特徴、態様および利点、ならびにその他の実施形態、特徴、態様および利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲および添付図面を参照することによってより完全に理解されるであろう。
【0012】
上に挙げた本発明の特徴が達成され、それらを詳細に理解することができるように、添付図面に示されている本発明の実施形態を参照することによって、上に概要を簡単に示した本発明のより具体的な説明を得ることができる。
【0013】
しかしながら、添付図面は、本発明の典型的な実施形態だけを示しており、したがって、添付図面を、本開示の範囲を限定するものとみなすべきではないことに留意すべきである。これは、本発明が、等しく有効な他の実施形態を受け入れる可能性があるためである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】先行技術のPCMメモリ・セルを示す図である。
図2A】本発明のさまざまな実施形態による、PCMと底部電極との間に置かれた、エッチ・ストップ層から残存維持されたプロジェクション・ライナを含むPCMメモリ・セルの断面を示す図である。
図2B-C】本発明のさまざまな実施形態による、PCMメモリ・セルのプロジェクション・ライナおよびPCM体積の上面図である。
図3】本発明のさまざまな実施形態による、図2のPCMメモリ・セルを実装したPCMメモリ・デバイスのブロック図である。
図4】本発明のさまざまな実施形態による、1つまたは複数のPCMメモリ・セルを含むICデバイスを形成する製造方法の製造段階の断面図である。
図5】本発明のさまざまな実施形態による、1つまたは複数のPCMメモリ・セルを含むICデバイスを形成する製造方法の製造段階の断面図である。
図6】本発明のさまざまな実施形態による、1つまたは複数のPCMメモリ・セルを含むICデバイスを形成する製造方法の製造段階の断面図である。
図7】本発明のさまざまな実施形態による、1つまたは複数のPCMメモリ・セルを含むICデバイスを形成する製造方法の製造段階の断面図である。
図8】本発明のさまざまな実施形態による、1つまたは複数のPCMメモリ・セルを含むICデバイスを形成する製造方法の製造段階の断面図である。
図9】本発明のさまざまな実施形態による、1つまたは複数のPCMメモリ・セルを含むICデバイスを形成する製造方法の製造段階の断面図である。
図10】本発明のさまざまな実施形態による、1つまたは複数のPCMメモリ・セルを含むICデバイスを形成する製造方法の製造段階の断面図である。
図11】本発明のさまざまな実施形態による、1つまたは複数のPCMメモリ・セルを含むICデバイスを形成する製造方法の製造段階の断面図である。
図12】本発明のさまざまな実施形態による、1つまたは複数のPCMメモリ・セルを含むICデバイスを形成する製造方法の製造段階の断面図である。
図13】本発明のさまざまな実施形態による、1つまたは複数のPCMメモリ・セルを含むICデバイスを形成する製造方法の製造段階の断面図である。
図14】本発明のさまざまな実施形態による、集積回路(IC)デバイス製造方法を示す図である。
図15】(A)および(B)は、本発明のさまざまな実施形態による、PCMメモリ・セルの底部電極の各種図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面は必ずしも一定の倍率では描かれていない。図面は単なる概略図であり、図面が本発明の特定のパラメータを表現することは意図されていない。図面は、本発明の例示的な実施形態だけを示すことが意図されている。図面では同じ符号が同じ要素を表している。
【0016】
本明細書では、特許請求の範囲に記載された構造体および方法の詳細な実施形態を開示する。しかしながら、開示された実施形態は単に、さまざまな形態で実施することができる請求の範囲に記載された構造体および方法の例を示しているだけであることが理解される。これらの例示的な実施形態は、本開示が網羅的で完全なものとなるように、また、本開示が本発明の範囲を当業者に十分に知らせるものとなるように提供したものである。この説明および図面では、提示された実施形態を不必要に不明瞭にすることを防ぐため、よく知られた特徴および技術の詳細が省かれていることがある。
【0017】
以下では、同じ構成要素には同じ符号が付けられている図面を参照して、1つまたは複数のPCMメモリ・セル100を含むICデバイスを形成する例示的な製造ステップを図示し、より詳細に説明する。この説明では、ICデバイスのいくつかの構成要素が単数形で記載されることがあるが、ICデバイス内に2つ以上の構成要素が含まれることがあることに留意すべきである。図面に示された特定の構成要素および断面の向きは、本明細書に記載されたさまざまな実施形態を最もよく示すように選択した。
【0018】
本発明を実装したPCMセルでは、PCMと底部電極との間にプロジェクション・ライナが置かれている。このプロジェクション・ライナは、PCMセルの製造中もしくはより高次のICデバイスの製造中またはその両方においてエッチ・ストップ層として以前に利用した層から残存維持されたものである。プロジェクション・ライナは、PCM側壁または側方境界を越えて延びることができる。このような実施態様では、プロジェクション・ライナのこの部分を、誘電体もしくはカプセル化スペーサの下に位置する部分または埋まった部分とすることができる。PCMセルもしくはICデバイスまたはその両方を製造するのに、所望でないPCMもしくは所望でないカプセル化スペーサ材料またはその両方を取り除くことは、後続の製造段階にとって有利である。実施形態によれば、この統合されたプロジェクション・ライナ/エッチ・ストップ層構造体は、所望でない材料の完全な除去に役立ち、それによってICデバイスもしくはPCMメモリ・セルまたはその両方の信頼性および歩留まりを増大させる。
【0019】
図2Aは、本発明のさまざまな実施形態による、マッシュルーム型PCMメモリ・セル100を示している。PCMメモリ・セル100は、頂部電極106と底部電極112との間に置かれたある体積のPCM102を含む。示されたセル状態は、PCM102が結晶相およびアモルファス相の両方を含む中間状態を表している。アモルファス相は、底部電極112の上方の陰影が付けられた半球形の体積104によって示されている。結晶相105は、PCM102の体積の残りの部分を占めている。動作時には、抵抗プロジェクション・ライナ110が、底部電極112とPCM102の結晶相105との間の並列電流経路を提供する。プログラムされたセル状態を読み取るために読取り電圧を印加すると、その結果生じる読取り電流は、高抵抗のアモルファス相104を流れるよりもむしろ、主として、結晶相105から底部電極112に至るこの電流経路を通って流れる。したがって、測定セル抵抗は、主として、アモルファス相104の抵抗ではなく並列電流経路の抵抗に依存する。
【0020】
プロジェクション・ライナ110はPCM102と底部電極112との間に置かれており、PCM102および底部電極112に電気的に接続されている。実施形態によれば、プロジェクション・ライナ110は、PCMセル100の製造中もしくはPCMセル100を含むより高次のICデバイスの製造中またはその両方においてエッチ・ストップ層として以前に利用した層から残存維持されたものである。プロジェクション・ライナ110は、PCM102体積の側壁または側方境界を越えて延びることができる。言い換えれば、プロジェクション・ライナ110の幅はPCM102体積の幅よりも大きい。このような実施態様では、プロジェクション・ライナ102のこの部分を、カプセル化スペーサ108と例えば図4に示されているヒータ層310との間に置くことができる。プロジェクション・ライナ110が、その上方のPCM102体積の側壁または側方境界を越えて延びることが有利なことがある。なぜなら、このような延長は、プロジェクション・ライナ110がPCM102体積の下において均一な厚さを有する(例えば、PCM102の下方のプロジェクション・ライナ110に損傷したコーナがない、またはPCM102の下方のプロジェクション・ライナ110の厚さが変動しないなどの)可能性を増大させるためである。
【0021】
カプセル化スペーサ108は、PCM102体積の側壁もしくは側方境界および頂部電極106の側壁もしくは側方境界に置かれており、または他のやり方でPCM102体積の側壁もしくは側方境界および頂部電極106の側壁もしくは側方境界に接続されている。カプセル化スペーサ108の上面は頂部電極106の上面と共面とすることができ、カプセル化スペーサ108の下面は、PCM体積102の下面と共面とすることができる。あるいは、カプセル化スペーサ108の上面が、頂部電極106の上面と頂部電極の底面との間にあってもよい。
【0022】
カプセル化スペーサ108は概してPCM材料102体積を覆っており、例えば図11に示されているILD330の形成からPCM材料102体積を保護する。例えば、カプセル化スペーサ108層は、ILD330の形成中に酸化物または窒化物がPCM材料102に侵入することを防ぐ。
【0023】
カプセル化スペーサ108の側壁はプロジェクション・ライナ110の側壁と共面とすることができる。例えば、プロジェクション・ライナ110の左側の側壁は、PCM102体積の左側に置かれたスペーサ108の左側の側壁と共面とすることができ、プロジェクション・ライナ110の右側の側壁は、PCM102体積の右側に置かれたスペーサ108の右側の側壁と共面とすることができる。
【0024】
いくつかの実施態様ではカプセル化スペーサ108を省くことができ、その代わりに、例えば図11に示されているILD330を形成することができる(すなわち、ILD330は、PCMスタックの側壁に接触することができ、PCMスタックの外側に延びるプロジェクション・ライナ110の領域に接触することができる)。
【0025】
実施形態では、プロセッサ、メモリ、FPGA、EEPROMまたは他の同種のものなどのより高次のICデバイスにPCMセル100を含めることができる。ICデバイスはさらに、底部電極112に電気的に接続された底部ワイヤを含むことができ、頂部電極106に電気的に接続された上部ワイヤを含むことができる。
【0026】
いくつかの実施態様では、PCMメモリ・セル100が、単一の底部ワイヤまたは単一の配線経路に接触した単一の底部電極112を含む。他の実施態様では、PCMメモリ・セル100が、独立した底部ワイヤまたは独立した底部ワイヤ経路にそれぞれ接続された多数の底部電極112を含む。これらの実施態様では、頂部電極106が共用電極として機能することができる。
【0027】
図2B-Cにおける(B)および(C)は、本発明のさまざまな実施形態による、PCMメモリ・セルのプロジェクション・ライナおよびPCM体積の上面図を示している。プロジェクション・ライナ110は、本明細書では延長領域と呼ぶことがある、PCM102体積の外周を越えて延びるまたはPCM102体積の外周の外側に延びる部分を含む。そのため、この延長領域は、スペーサ108の下に埋まっていること、またはILD330の下に埋まっていることがある。プロジェクション・ライナ110はさらに、本明細書では電流経路領域と呼ぶことがある、PCM102体積の下の部分を含む。
【0028】
図2B-C(B)に示されているように、メモリ・セル100は、正方形、長方形または多角形の柱として構成することができる。PCM102の直径d102はプロジェクション・ライナ110の直径d110よりも小さく、それにより、概して多角形のPCM102体積の外周の周囲に延長領域を形成している。図2B-C(C)に示されているように、メモリ・セル100は、丸いまたは円形の柱または円柱として構成することができる。PCM102の直径d102はプロジェクション・ライナ110の直径d110よりも小さく、それにより、概して丸いPCM102体積の外周の周囲に延長領域を形成している。
【0029】
PCM102体積とプロジェクション・ライナ110の上から見た形状は同様の形状または同じ形状として示されているが、PCM102体積とプロジェクション・ライナ110の形状は異なっていてもよい。
【0030】
図3は、本発明のさまざまな実施形態による、PCMメモリ・セル100を実装したPCMメモリ・デバイス200のブロック図である。デバイス200は、少なくとも1つのPCMセルおよび/もしくはPCMセル100の少なくとも1つの集積アレイにデータを記憶するため、ならびに/または少なくとも1つのPCMセルおよび/もしくはPCMセル100の少なくとも1つの集積アレイからデータを読み取るためのPCMメモリ240を含む。メモリ240に対するデータの読取りおよび書込みは、読取り/書込みコントローラまたはコントローラ210によって実行することができる。コントローラ210は、データ書込み動作中にPCMセルをプログラムするため、およびデータ読取り動作中にセル状態を検出するための読取り測定を実行するための一般に知られている形態の回路を含む。これらの動作中に、読取り/書込みコントローラは、メモリ・アンサンブル240中のワード線とビット線のアレイに適切な制御信号を印加することによって、個々のPCMセルのアドレスを指定することができる。デバイス200に入力されたユーザ・データは通常、書込みデータとしてコントローラ210に供給される前に、書込み処理モジュール220によって、誤り訂正目的の符号化などのある形態の書込み処理がなされる。同様に、コントローラ210による読取りデータは一般に、元の入力ユーザ・データを回復するために、読取り処理モジュール230によって、例えば符号語検出もしくは誤り訂正またはその両方のための処理がなされる。
【0031】
メモリ240のPCMセルは、少なくとも3つのプログラム可能なセル状態で情報を記憶することができる。前に論じたとおり、プログラム可能なセル状態は、セルのPCM材料中のアモルファス相および結晶相の異なる相対割合に対応する。これらの状態は少なくとも、高抵抗の完全にアモルファスのRESET状態、低抵抗の完全に結晶性のSET状態、およびさもなければ結晶性のPCM材料中のアモルファス相のサイズの増大に対応する少なくとも1つの中間状態を含む。プログラム可能なセル状態は通常、コントローラ210内において、読取り検出のために使用される抵抗メトリックの所定の基準値または値の範囲に関して定義されている。書込み動作でPCMセルをプログラムするため、コントローラ210は、その結果生じるプログラミング信号がセルを必要な状態にセットするように、ワード線およびビット線を介してセルに電圧を印加する。読取り動作では、セルに(低い)読取り電圧を印加し、その結果生じるセル電流を測定して抵抗メトリックを得る。次いで、コントローラ210は、この読取りメトリックを上述の基準値と比較することにより、プログラムされたセル状態を検出することができる。
【0032】
図4は、本発明のさまざまな実施形態による、少なくとも1つのPCMメモリ・セル100を含むICデバイスを形成する製造方法のICデバイス製造段階402の断面図を示している。段階402で、基板302の上に加熱層310を形成する。加熱層310は、例えば、シリコン層または窒化シリコン層などのシリコン・ベースの層とすることができる。底部電極112は、当技術分野で知られている任意の方法によって加熱層310内に形成する。例えば、加熱層310内にトレンチを形成し、次いでそのトレンチに底部電極112材料を充填することができる。化学機械平坦化または他の知られている方法を使用して、加熱層310の上面から過剰な底部電極112材料を除去することができる。底部電極112材料は、例えばタングステン、白金、窒化チタン、窒化タンタル、窒化チタンアルミニウムまたは他の同種のものなど、電極として使用されている任意の概して導電性の材料とすることができる。
【0033】
ある種の実施態様では、このトレンチは加熱層310を貫いて形成され、それによって、基板302内に以前に形成した底部ワイヤ304の上面の部分を露出させる。そのため、底部電極112は底部ワイヤ304と接触することができる。当技術分野で知られているとおり、1つまたは複数の電気経路によって、底部ワイヤ304をICデバイスの他の構成要素に電気的に接続することができる。例えば、1つまたは複数の電気経路によって、底部ワイヤ304をコントローラ210に接続することができる。このように、底部電極112にICデバイスの構成要素を電気的に接続することができる。
【0034】
図5は、本発明のさまざまな実施形態による、少なくとも1つのPCMメモリ・セル100を含むICデバイスを形成する製造方法のICデバイス製造段階404の断面図を示している。段階404で、加熱層310上および底部電極112上にプロジェクション・ライナ層110’を形成する。プロジェクション・ライナ層110’は、PCM102体積のアモルファス相の抵抗とPCM102体積の結晶相の抵抗との間のシート抵抗を有する導電層である。例えば、ライナ110’のシート抵抗は、10キロオーム/sqと10000キロオーム/sqの間とすることができる。さらに、プロジェクション・ライナ層110’は、カプセル化スペーサ108を形成する材料に対して高度に選択的なエッチング能力を有することができる。プロジェクション・ライナ層110’は、1から10nmの間の厚さに形成することができる。好ましい実施形態では、プロジェクション・ライナ層110’を、1から6nmの間の厚さに形成することができる。プロジェクション・ライナ層110’は例えば窒化タンタル層、窒化チタンアルミニウム層、アモルファス炭素層とすることができる。
【0035】
図6は、本発明のさまざまな実施形態による、少なくとも1つのPCMメモリ・セル100を含むICデバイスを形成する製造方法のICデバイス製造段階406の断面図を示している。段階406で、プロジェクション・ライナ層110’上にPCM層102’を形成し、PCM層102’上に頂部電極層106’を形成し、頂部電極層106’上にマスク層320を形成し、もしくはマスク層320上に現像剤層322を形成し、またはこれらの組合せを実行する。
【0036】
PCM層102’は、プロジェクション・ライナ層110’上に相変化材料を堆積させることによってプロジェクション・ライナ層110’上に形成することができる。相変化材料は、例えばひとまとめにしてGST材料と呼ばれることがあるGe、SbおよびTeのさまざまな組合せなど、その温度依存性材料相によって抵抗が変化する、知られているまたは将来開発される任意の可変抵抗材料とすることができる。具体的には、GSTは、アモルファス相と2つの結晶相との間で構造相を変化させることができる。アモルファス相(「a-GST」)の抵抗と立方晶および六方晶相(それぞれ「c-GST」および「h-GST」)の抵抗は大幅に異なりうる。アモルファスGSTの抵抗は、本明細書では結晶相の抵抗と呼ぶことがある立方晶GSTまたは六方晶GSTのいずれの抵抗よりも大きい。これらの結晶相の抵抗は互いに同程度である。したがって、GSTのさまざまな相の抵抗の比較において、GSTは2状態材料(アモルファスGSTと結晶性GST)と考えることができ、それぞれの状態は、2つの状態のうちの対応する1つの状態と同一視しうる異なる抵抗を有する。
【0037】
GST材料の温度変化に反応して、1つのGST相から別のGST相への遷移が起こる。GST材料は、融解温度Tmおよび結晶化温度Txを有する。結晶化温度Txは融解温度Tmよりも低い。結晶化温度Txおよび融解温度Tmはともに室温よりも高い。GST材料を融解温度Tmよりも高い温度に加熱すると、GST材料はその結晶構造を失う。続いてGST材料を室温まで急冷した場合、GST材料はアモルファス状態になる。この冷却はあまりに急速に起こるため、結晶構造は成長しえない。一方、結晶化温度Txよりも高く融解温度Tmよりも低い温度にGST材料を加熱した場合、結晶構造は成長しうる。一旦、結晶構造に転移すると、融解温度Tmよりも高い温度に再び加熱されるまで、GST材料は結晶構造をとり続ける。言い換えると、室温において、GST材料は、アモルファス相でもまたは結晶相でも安定である。
【0038】
PCM層102’は、3から150nmの間の厚さに形成することができる。好ましい実施形態では、PCM層102’を、10から100nmの間の厚さに形成することができる。
【0039】
頂部電極層106’は、PCM層102’上に導電性材料を堆積させることによってPCM層102’上に形成することができる。必須ではないが、頂部電極層106’は一般に底部電極112の材料と同じ材料で形成される。頂部電極層106’は、10から150nmの間の厚さに形成することができる。好ましい実施形態では、頂部電極層106’を、25から100nmの間の厚さに形成することができる。
【0040】
マスク層320は、頂部電極層106’上に窒化シリコンなどの1種または数種の知られているマスク材料を堆積させることによって頂部電極層106’上に形成することができる。現像剤層322は、マスク層320上に、その下のマスク層320をパターニングする目的に使用することができる1種または複種の知られている現像剤材料を堆積させることによって、マスク層320上に形成することができる。PCM102体積とその上方の頂部電極106とからなるそれぞれのPCMスタックを画定および保護するために、知られているフォトリソグラフィ技術を利用して、それぞれの底部電極112の概して上方に、それぞれの底部電極112とインラインのマスク層320の残留部分だけが位置するように、マスク層320の部分を選択的に除去または現像することができる。
【0041】
図7は、本発明のさまざまな実施形態による、少なくとも1つのPCMメモリ・セル100を含むICデバイスを形成する製造方法のICデバイス製造段階408の断面図を示している。段階408で、エッチング技術によって、所望でないまたは露光したPCM層102’材料および所望でないまたは露光した頂部電極層106’材料を除去する。
【0042】
現像またはパターニングされたマスク320’部分は、化学的エッチングのエッチング剤またはドライ・エッチングの高エネルギー運動エネルギー(イオン、電子もしくは光子)ビームから、その下の所望のPCM層102’材料および頂部電極層106’材料を保護することができる。それによって、保護されたその下の所望のPCM層102’材料および頂部電極層106’材料は維持され、これらの材料がそれぞれPCM102体積および頂部電極106を事実上形成する。いくつかの実施態様では、PCM102体積上の1つまたは複数のパターニングされたそれぞれのマスク320’部分を維持し、段階408のエッチングによって完全には除去しないことができる。PCM102体積はPCM層102’材料から形成され、頂部電極106は頂部電極層106’材料から形成されるため、PCM102体積は、PCM層102’材料と材料属性を共有し、頂部電極106は、頂部電極層106’材料と材料属性を共有する。
【0043】
本発明の実施形態によれば、プロジェクション・ライナ層110’は、PCM102体積と頂部電極106とからなる形成されたPCMスタックの外側にあるプロジェクション・ライナ層110’のフィールド部分(field portion)上でエッチング剤またはイオン・ビームが止まり、フィールド部分を露出させるストップ層として利用される。プロジェクション・ライナ層110’をエッチ・ストップとして利用することによって、プロジェクション・ライナ層110’のフィールド部分から、所望でないPCM層102’材料を完全に除去することができる。
【0044】
段階408で利用するエッチング技術は、物理的なエッチング技術もしくはドライ・エッチング技術、または化学的なウェット・エッチングとすることができる。好ましい実施態様では、段階408のエッチング技術が物理的なドライ・エッチングであり、そのため、所望の維持されたPCM102体積に対する損傷のリスクがより小さい(例えば、化学的エッチング剤を使用しないため、PCM材料が経験する側方エッチングが限定され得る)。
【0045】
好ましい実施態様では、段階408において、当技術分野で知られているとおり、柱として構成された多数のPCMスタックが製造される。さらに、ある実施態様では、当技術分野で知られているとおり、PCMスタック内の少なくともPCM102体積の側壁または側面を不動態化することができる。段階408のエッチングは一般に、PCMスタックのPCM102体積および頂部電極106の共面の側壁または側面を形成することができる。
【0046】
図8は、本発明のさまざまな実施形態による、少なくとも1つのPCMメモリ・セル100を含むICデバイスを形成する製造方法のICデバイス製造段階410の断面図を示している。段階410で、プロジェクション・ライナ層110’の露出したフィールド部分上、ならびに形成されたPCMスタック上および形成されたPCMスタックの周囲に、カプセル化層108’を形成する。
【0047】
カプセル化層108’は、カプセル化層108’からカプセル化スペーサ108が形成されたときに、後続の製造段階の間、PCM体積102材料を保護する誘電体材料層である。例えば、カプセル化スペーサ108は、ILD330形成中に酸化物もしくは窒化物またその両方がPCM体積102材料に侵入することを防ぐ。
【0048】
カプセル化層108’は、プロジェクション・ライナ層110’の露出したフィールド部分上、ならびにPCMスタックの側壁および上面に、窒化シリコン、酸窒化シリコン、炭素がドープされた窒化シリコン、酸化アルミニウム、二酸化ハフニウムまたは他の同種のものなどの誘電体材料を堆積させることによって形成することができる。例えば、カプセル化層108’は、プロジェクション・ライナ層110’の以前に露出させたフィールド部分上、PCM102体積の側壁または側面、頂部電極106の側壁または側面、および頂部電極106(パターニングされたマスク320’部分が存在しない場合)の上面に、ブランケット誘電体材料層を堆積させることによって形成することができる。図7に示されているようにPCM102スタック内にパターニングされたマスク320’部分が存在するときは、ブランケット誘電体材料層を、プロジェクション・ライナ層110’の以前に露出させたフィールド部分上、PCM102体積の側壁または側面、頂部電極106の側壁または側面、パターニングされたマスク320’部分の側壁または側面、およびパターニングされたマスク320’部分の上面に堆積させることができる。
【0049】
カプセル化層108’の厚さは、所望でないカプセル化層108’がフィールド部分からは除去されるが、PCMスタックの側壁または側面では維持されるような態様で、カプセル化層108’の方向性エッチングの間、PCMスタック、より具体的にはPCM102体積を保護するのに十分な厚さとすることができる。例えば、カプセル化層108’は、6から100nmの間の厚さに形成することができる。好ましい実施形態では、カプセル化層108’を、12から50nmの間の厚さに形成することができる。
【0050】
図9は、本発明のさまざまな実施形態による、少なくとも1つのPCMメモリ・セル100を含むICデバイスを形成する製造方法のICデバイス製造段階412の断面図を示している。段階412で、所望でないカプセル化層108’部分をエッチングにより除去し、PCM102体積と頂部電極106とからなるPCMスタックの側壁の所望のカプセル化層108’部分を維持して、カプセル化スペーサ108を形成する。
【0051】
知られている方向性エッチング技術を利用して、所望でないカプセル化層108’部分をエッチングまたは他の手法で除去することができる。図9の断面図に示されているように、これらの所望でないカプセル化層108’部分は概して水平である(すなわち層部分は高さより大きな幅を有する)ことがある。この方向性エッチング・プロセスは、PCM102体積と頂部電極106とからなるPCMスタックの側壁上にある所望のカプセル化層108’部分を維持することができる。図9の断面図に示されているように、これらの所望のカプセル化層108’部分は概して垂直である(すなわち層部分は幅よりも大きな高さを有する)ことがある。
【0052】
PCM102体積と頂部電極106とからなるPCMスタックの側壁または側面にある所望のカプセル化層108’部分が、カプセル化スペーサ108を効果的に形成する。カプセル化スペーサ108はカプセル化層108’材料から形成されるため、カプセル化スペーサ108は、カプセル化層108’材料と材料属性を共有する。
【0053】
カプセル化スペーサ108は、カプセル化スペーサ108が、PCM102体積の側壁もしくは側面および頂部電極106の側壁もしくは側面(すなわちPCMスタックの側壁)に置かれ、または他のやり方でPCM102体積の側壁もしくは側面および頂部電極106の側壁もしくは側面(すなわちPCMスタックの側壁)に接続されるような態様で、カプセル化層108’から形成される。さらに、カプセル化スペーサ108は、カプセル化スペーサ108の上面を頂部電極106の上面と共面とすることができ、カプセル化スペーサ108の下面をPCM体積102の下面と共面とすることができるような態様で、カプセル化層108’から形成することができる。
【0054】
本発明の実施形態によれば、プロジェクション・ライナ層110’を、PCMスタックの側壁上にあるカプセル化スペーサ108の外側にあるプロジェクション・ライナ層110’のフィールド部分上でエッチングが止まり、フィールド部分を露出させるストップ層として再び利用することができる。プロジェクション・ライナ層110’をエッチ・ストップとして利用することによって、プロジェクション・ライナ層110’のこれらのフィールド部分から、所望でないカプセル化層108’材料を完全に除去することができる。
【0055】
段階412で利用するエッチング技術は、物理的なエッチング技術もしくはドライ・エッチング技術、または化学的なウェット・エッチングとすることができる。好ましい実施態様では、段階412のエッチング技術が化学的なウェット・エッチングである。そのため、異なるタイプのエッチングに対するエッチ・ストップ層であるように、プロジェクション・ライナ層110’を構成することができる。
【0056】
パターニングされたマスク320’部分がそれぞれPCMスタック上に維持される実施態様では、カプセル化スペーサ108の外側にあるカプセル化層108’のフィールド部分を完全に除去し、同時に、パターニングされたマスク320’部分もしくはカプセル化層108’またはその両方を除去し、PCMスタックの頂部電極106の上面で止まる正確なエッチング相互作用を設計することを可能にするために、プロジェクション・ライナ層110’をエッチ・ストップとして利用することが有益である。その結果としてカプセル化スペーサ108が正確に形成されると、プロジェクション・ライナ層110’の所望でない部分を除去するためのプロジェクション・ライナ層110’自体の後続の制御されたエッチングはさらに、PCMスタックの外側の加熱層310のフィールド部分のより均一な表面を提供する。
【0057】
図10は、本発明のさまざまな実施形態による、少なくとも1つのPCMメモリ・セル100を含むICデバイスを形成する製造方法のICデバイス製造段階414の断面図を示している。段階414で、カプセル化スペーサ108の外側にあるフィールド部分に位置する所望でないプロジェクション・ライナ層110’材料を除去する。さらに、段階414では、カプセル化スペーサ108の下に位置する所望のプロジェクション・ライナ層110’材料(すなわち延長領域内のプロジェクション・ライナ層110’)、およびPCM102体積の下の所望のプロジェクション・ライナ層110’材料(すなわち電流経路領域内のプロジェクション・ライナ層110’)をそれぞれ維持して、プロジェクション・ライナ100を形成する。
【0058】
知られているエッチング技術を利用して、所望でないプロジェクション・ライナ層110’材料をエッチングまたは他の手法で除去することができる。カプセル化スペーサ108はカプセル化層108’から形成される。プロジェクション・ライナ110の側壁はそれぞれカプセル化スペーサ108の側壁と共面とすることができる。例えば、プロジェクション・ライナ110の左側の側壁は、PCMスタックの左側に置かれたスペーサ108の左側の側壁と共面とすることができ、プロジェクション・ライナ110の右側の側壁は、PCMスタックの右側に置かれたスペーサ108の右側の側壁と共面とすることができる。ある種の実施態様では、段階414でのプロジェクション・ライナ110の形成後にPCMメモリ・セル100を形成し、または他のやり方で製造することができる。
【0059】
図11は、本発明のさまざまな実施形態による、少なくとも1つのPCMメモリ・セル100を含むICデバイスを形成する製造方法のICデバイス製造段階416の断面図を示している。段階416で、ヒータ層310上、ならびにPCMセル100上およびPCMセル100の周囲に、層間誘電体(ILD)330を形成する。
【0060】
ILD330は、ヒータ層310上、ならびにPCMセル100上およびPCMセル100の周囲に、X、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、シラケテニリデン(Silaketenylidene)(SiCO)または他の同種のものなどの誘電体材料のブランケット層を堆積させることによって形成することができる。ILD330は、頂部電極106の上面の高さよりも概して大きな厚さ、または頂部電極106の上面よりも概して高い厚さに形成することができる。例えば、ILD330は、150から1500nmの間の厚さに形成することができる。好ましい実施形態では、IDL330を、200から1000nmの間の厚さに形成することができる。
【0061】
代替実施態様では、ILD330を、頂部電極106の上面と概して共面の厚さに形成することができる。これらの実施態様では、図13に例示的に示されているVIA(垂直相互接続アクセス(Vertical Interconnect Access))356を、底部ワイヤ304に接触するようにILD330を貫いて形成することができ、ILD330上およびVIA356上に別のまたは第2のILD層を形成することができる。続いて、図13に例示的に示されているように、VIA356に接触するように第2のILD層を貫いて頂部ワイヤ354を形成することができ、頂部電極106に接触するように第2のILD層を貫いて頂部ワイヤ350を形成することができる。
【0062】
明確にするために付言すると、いくつかの実施態様では、カプセル化スペーサ108を省くことができ、その代わりに、ILD330をさらに形成することができる(すなわち、PCMスタックの側壁上およびPCMスタックの外側に延びるプロジェクション・ライナ110の領域上にILD330をさらに形成することができる)。
【0063】
図12は、本発明のさまざまな実施形態による、少なくとも1つのPCMメモリ・セル100を含むICデバイスを形成する製造方法のICデバイス製造段階418の断面図を示している。段階418で、ILD330内に配線トレンチ334、336を形成する。配線トレンチ334、336はそれぞれ、底部ワイヤ304の概して上方のILD330の所望でない部分もしくは頂部電極106の概して上方のILD330の所望でない部分またはその両方を除去する、知られている選択的除去技術によって形成することができる。配線トレンチ334、336はそれぞれ、その下の導電性構造体の少なくとも一部分を概して露出させる。例えば、ワイヤ・トレンチ334は、底部ワイヤ304の一部分または底部ワイヤ304の上面の全体を露出させ、ワイヤ・トレンチ336は、頂部電極106の一部分または頂部電極106の上面全体を露出させる。好ましい実施態様では、示されているように、ワイヤ・トレンチ336がそれぞれ、頂部電極106の上面全体を露出させ、さらに隣り合うカプセル化スペーサ108の上面の一部分を露出させる。知られているエッチング技術を利用して、直角型の側壁(すなわちカプセル化スペーサ108の側壁と平行な側壁)を有する配線トレンチを形成すること、または、示されているように、傾斜型の側壁を有する配線トレンチを形成することができる。
【0064】
図13は、本発明のさまざまな実施形態による、少なくとも1つのPCMメモリ・セル100を含むICデバイスを形成する製造方法のICデバイス製造段階420の断面図を示している。段階420で、配線トレンチ334、336内にそれぞれ頂部ワイヤ350およびワイヤ352を形成する。頂部ワイヤ350およびワイヤ352は、それぞれ配線トレンチ334、336内に導電性材料を堆積させることによって形成することができる。配線トレンチ334、336がその下の導電性構造体の少なくとも一部分を露出させるため、頂部ワイヤ350およびワイヤ352はそれぞれその下の導電性構造体と接触する。例えば、ワイヤ352は、底部ワイヤ304の一部分または上面全体と接触し、頂部ワイヤ350は、頂部電極106の一部分または上面全体と接触する。好ましい実施態様では、示されているように、頂部ワイヤ350がそれぞれ、頂部電極106の上面全体と接触し、さらに隣り合うカプセル化スペーサ108の上面の少なくとも一部分と接触する。いくつかの実施態様では、ワイヤ352が、下方のVIA356上に形成され、VIA356と接触した頂部ワイヤ354の形態をとることができる。
【0065】
当技術分野で知られているとおり、1つまたは複数の電気経路によって、頂部ワイヤ350をICデバイスの他の構成要素に電気的に接続することができる。例えば、1つまたは複数の電気経路によって、頂部ワイヤ350をコントローラ210に接続することができる。このように、頂部電極106にICデバイスの構成要素を電気的に接続することができる。
【0066】
図14は、本発明のさまざまな実施形態による、集積回路(IC)デバイス製造方法500を示している。方法500を利用して、少なくとも1つのPCMメモリ・セル100を含む、プロセッサ、マイクロプロセッサ、メモリ、FPGAまたは他の同種のものなどのICデバイスを形成することができる。
【0067】
方法500は、ブロック502から始まり、続いて底部ワイヤ上にヒータ層および底部電極を形成する(ブロック504)。例えば、基板302の上および底部ワイヤ304上に加熱層310を形成する。加熱層310内にトレンチを形成し、それによって底部ワイヤ304の上面の少なくとも一部分を露出させることができる。このトレンチに導電性材料を充填して、ヒータ層310内に底部電極112を形成すること、またはヒータ層310と一体の底部電極112を形成することができる。
【0068】
方法500は続いて、ヒータ層上および底部電極上にプロジェクション・ライナ層を形成することができる(ブロック506)。例えば、加熱層310の上面および底部電極112の上面にブランケット・プロジェクション・ライナ層110’を堆積させる。
【0069】
方法500は続いて、プロジェクション・ライナ層上にPCMスタックを形成することができる(ブロック508)。例えば、プロジェクション・ライナ層上に、PCMと頂部電極とを含むPCMスタックを形成することができる。このPCMスタックは、プロジェクション・ライナ層上にPCM層を形成することによって(ブロック510)形成することができる。例えば、プロジェクション・ライナ層110’上に相変化材料を堆積させることによって、プロジェクション・ライナ層110’上にPCM層102’を形成することができる。頂部電極は、PCM層上に頂部電極層を形成することによって(ブロック512)形成することができる。例えば、PCM層102’上に導電性材料を堆積させることによって、PCM層102’上に頂部電極層106’を形成することができる。
【0070】
PCMスタックは、プロジェクション・ライナ層をエッチ・ストップとして利用してPCM層および頂部電極層をエッチングすることによって形成することができる(ブロック514)。例えば、窒化シリコンなどの1種または数種の知られているマスク材料を頂部電極層106’上に堆積させることによって、頂部電極層106’上にマスク層320を形成することができる。その下のマスク層320をパターニングする目的に使用することができる1種または数種の知られている現像剤材料をマスク層320上に堆積させることによって、マスク層320上に現像剤層322を形成することができる。PCM102体積とその上方の頂部電極106とからなるそれぞれのPCMスタックを画定および保護するために、知られているフォトリソグラフィ技術を利用して、それぞれの底部電極112の概して上方に、それぞれの底部電極112とインラインのマスク層320の残留部分だけが位置するように、マスク層320の部分を選択的に除去すること、パターニングすること、現像することなどができる。
【0071】
エッチングによって、所望でないまたは露光したPCM層102’材料、および所望でないまたは露光した頂部電極層106’材料を除去することができる。現像またはパターニングされたマスク320’部分は、その下の所望のPCM層102’材料および頂部電極層106’材料をエッチングから保護することができる。それによって、保護されたその下の所望のPCM層102’材料および頂部電極層106’材料が維持され、これらの材料が、PCM102体積と頂部電極106とからなるPCMスタックを事実上形成する。プロジェクション・ライナ層は、PCMスタックの外側にあるプロジェクション・ライナ層のフィールド部分上で化学的なウェット・エッチングのエッチング剤または物理的なドライ・エッチングのイオンが止まり、フィールド部分を露出させる(ブロック516)ストップ層として利用される。
【0072】
方法500は続いて、PCMスタック側壁上およびプロジェクション・ライナ層上にカプセル化スペーサを形成することができる(ブロック518)。例えば、PCM102体積と頂部電極106とを含む、プロジェクション・ライナ層110’上に形成されたPCMスタックの側壁上にカプセル化スペーサ108を形成する。カプセル化スペーサは、プロジェクション・ライナ層上、ならびにPCMスタック上およびPCMスタックの周囲にカプセル化層を形成することによって(ブロック520)形成することができる。例えば、PCMスタックの外側のプロジェクション・ライナ層110’の露出したフィールド部分上、ならびにPCM102体積と頂部電極106とからなる形成されたPCMスタック上およびPCMスタックの周囲に誘電体材料を堆積させることによって、カプセル化層108’を形成することができる。
【0073】
カプセル化スペーサはさらに、プロジェクション・ライナ層をエッチ・ストップとして利用してカプセル化層をエッチングすることによって(ブロック522)形成することができる。例えば、所望でないカプセル化層108’部分をエッチングにより除去し、PCM102体積と頂部電極106とからなるPCMスタックの側壁上の所望のカプセル化層108’部分を維持して、カプセル化スペーサ108を形成する。カプセル化層の所望でない部分を除去するエッチング・プロセスの間、プロジェクション・ライナ層を、PCMスタックの側壁に形成されたカプセル化層108’部分の外側にあるプロジェクション・ライナ層のフィールド部分上でエッチングが止まり、フィールド部分を露出させるストップ層として再び利用することができる。所望でないカプセル化層108’部分を除去するこのエッチングはさらに、頂部電極の上面を露出させることができる。
【0074】
所望のカプセル化層108’部分は、カプセル化スペーサ108を効果的に形成し、PCMスタックの側壁または側面および頂部電極の側壁または側面に位置し、PCMスタックに最も近いPCMスタックに隣接するプロジェクション・ライナ層の頂面または上面に位置する(ブロック524)。
【0075】
方法500は続いて、カプセル化スペーサの外側に位置するプロジェクション・ライナ層をエッチングすることができる(ブロック526)。例えば、カプセル化スペーサ108の外側に位置する所望でないプロジェクション・ライナ層110’材料を除去し、カプセル化スペーサ108とヒータ層310との間に位置する所望のプロジェクション・ライナ層110’材料を維持し、PCM102体積とヒータ層310/底部電極112との間に位置する所望のプロジェクション・ライナ層110’材料を維持する。維持されたまたは所望のプロジェクション・ライナ層110’部分はプロジェクション・ライナ110を事実上形成する。
【0076】
方法500は続いて、頂部電極上およびスペーサ上に頂部ワイヤを形成することができる(ブロック528)。例えば、頂部電極106の上面の上方およびカプセル化スペーサ108の上面の上方に形成されたILD330内に頂部ワイヤ350を形成する。ILD330内に、頂部電極106の上面を露出させ、スペーサ108の上面の少なくとも一部分を露出させるワイヤ・トレンチ336を形成することができる。頂部ワイヤ350は、ワイヤ・トレンチ336内に導電性材料を、導電性材料が頂部電極106の上面と接触し、スペーサ108の一部分と接触するように堆積させることによって形成することができる。化学機械研摩を利用して、頂部ワイヤ350の頂面およびILD330の頂面を平坦化することができる。ブロック530で方法500を終了することができる。
【0077】
図15(A)および図15(B)は、本発明のさまざまな実施形態による、底部電極112のさまざまな図を示している。図15(A)は、側壁底部電極112の断面図および側壁底部電極112の上面図を示している。側壁底部電極112は、多数の側壁、上面602、中間面604および底面606を含む。上面602、中間面604および底面606は実質的に共面(すなわち共面プラス適切な製造公差、または共面マイナス適切な製造公差)である。上面602はプロジェクション・ライナ110に接続されており、底面606は底部ワイヤ304に接続されている。側壁底部電極112は、上部に比べて大きな外周もしくは直径または上部に比べて幅の広い外周もしくは直径を有する下部を有することができる。中間面604をこの下部の頂面とすることができる。上面602を上部の上面とすることができる。下部および上部の上から見た形状は、示されているとおり、長方形とすることができ、またはその代わりに正方形、多角形または円形とすることもできる。
【0078】
図15(B)は、円柱部電極112の断面図および円柱底部電極112の上面図を示している。円柱底部電極112は、円形の側壁、上面602および底面606を含む。上面602および底面606は実質的に共面である。上面602はプロジェクション・ライナ110に接続されており、底面606は底部ワイヤ304に接続されている。円柱底部電極112の上から見た形状は、示されているとおり、円とすることができ、またはその代わりに長方形、正方形、多角形または他の円形とすることもできる。
【0079】
さまざまな実施形態によれば、プロジェクション・ライナ層110’をエッチ・ストップ層として利用することは、さまざまな利点の非網羅的なリストを提供する。第1に、ヒータ層310は、エッチ・ストップ層の役割をする、酸化物層などの専用のインプレース・トップ層(in place top layer)を必要としない。このようなインプレース・トップ層は、ヒータ層310の加熱プロフィールを変化させ、その結果としてPCMメモリ100デバイスの動作を変化させうる。第2に、ヒータ層310の専用のインプレース・エッチ/トップ層がないため、その下の底部ワイヤ304を露出させるためにトレンチ334を形成するエッチング・プロセスが単純化される。
【0080】
第3に、プロジェクション・ライナ層110’は、ICデバイス製造のさまざまな段階において異質の最適なタイプのエッチング技術を利用することを可能にする。例えば、段階408では、所望でないPCM材料および所望でない電極材料を除去するために、プロジェクション・ライナ層110’をエッチ・ストップとして利用した物理的なエッチングを利用することができ、その一方で、段階412では、所望でないカプセル化層108’材料を除去するために、やはりプロジェクション・ライナ層110’をエッチ・ストップとして利用した化学的な反応性イオン・エッチングを利用することができる。
【0081】
第4に、プロジェクション・ライナ層110’は、プロジェクション・ライナ110の知られている利点(例えばより低いドリフトなど)を拡張し、その一方で、メモリ・デバイス100の製造の融通性を増大させる。例えば、さまざまな実施形態のプロジェクション・ライナ層110’エッチ・ストップは、ヒータ層310が、その加熱特性に影響を与えるであろうインプレース・トップ/エッチ層(例えば酸化物層)を有する必要なしに、ヒータ層310の最適な加熱プロフィールを達成するためのヒータ層310誘電体の個々の設計および任意選択性(optionality)を可能にする。プロジェクション・ライナ層110’エッチ・ストップはさらに、段階408でのPCMスタックのエッチング中のPCM材料102’の損傷軽減を可能にすることができる(例えば、PCM材料の側方エッチングを引き起こす可能性がある化学的なエッチングとは対照的に、物理的なエッチングを利用してPCMスタックを形成することができる)。プロジェクション・ライナ層110’エッチ・ストップはさらに、ヒータ層310の誘電体材料の損傷軽減を可能にすることができる。例えば、材料を除去するのに化学的エッチングを必要とするように、プロジェクション・ライナ層110’材料を選択することができる。この方式では、PCMスタックを形成するための物理的なエッチングにおいて化学エッチング剤が使用されないため、プロジェクション・ライナ層110’が、PCMスタックを形成するための物理的なエッチングの間にその下のヒータ層310誘電体が損傷するのを防ぐ。
【0082】
添付図およびこの説明は、本発明の実施形態ならびにそれらの特徴および構成要素を図示および説明したものである。この説明で使用した特定の名称は単に便宜上のものであり、したがって、本発明は、そのような名称によって識別もしくは暗示または識別および暗示される特定のプロセスによって限定されるべきでないことを当業者は理解しよう。したがって、本明細書に記載された実施形態は、あらゆる点で例示を意図したものであり、限定を意図したものではないこと、および本発明の範囲を決定するためには添付の特許請求の範囲を参照することが望まれる。
【0083】
そうではないと記載されている場合を除いて、または本明細書に記載されていることに加えて、用語「堆積させる(deposit)」、「堆積させている(depositing)」、「堆積させた(deposited)」などは、材料を堆積させるのに適した現在知られているまたは後に開発される任意の技術を含むことができ、それらの技術には、限定はされないが、CVD、LPCVD、PECVD、半常圧(semi-atmosphere)CVD(SACVD)、高密度プラズマCVD(HDPCVD)、急速熱CVD(RTCVD)、超高真空CVD(UHVCVD)、リミテッド・リアクション・プロセシング(limited reaction processing)CVD(LRPCVD)、金属有機CVD(MOCVD)、スパッタリング堆積、イオン・ビーム堆積、電子ビーム堆積、レーザ支援堆積、熱酸化、熱窒化、スピンオン法、物理蒸着(PVD)、原子レベル堆積(ALD)、化学酸化、分子線エピタキシ(MBE)、めっきまたは蒸着が含まれる。
【0084】
本明細書における「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」などの用語への言及は、基準系(frame ofreference)を確立するために例示のためになされたものであり、限定を意図したものではない。本明細書で使用される用語「水平」は、半導体基板302の実際の空間的向きに関わらず、基板302の従来の平面または表面に対して平行な平面と定義される。用語「垂直」は、上で定義した水平に対して垂直な方向を指す。「上(on)」、「上方(above)」、「下方(below)」、「側方(side)」(「側壁」などに関して)、「より高い(higher)」、「より低い(lower)」、「上方(over)」、「下方(beneath)」および「下(under)」などの用語は水平面に関して定義される。本発明を説明するために、本発明の範囲を逸脱しない範囲で、他のさまざまな基準系を使用することができることが理解される。
図1
図2A
図2B-C】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15