(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-04
(45)【発行日】2025-07-14
(54)【発明の名称】触媒シート、空気極および空気電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/96 20060101AFI20250707BHJP
H01M 12/06 20060101ALI20250707BHJP
【FI】
H01M4/96 M
H01M4/96 B
H01M4/96 H
H01M12/06 F
(21)【出願番号】P 2021101498
(22)【出願日】2021-06-18
【審査請求日】2024-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000153591
【氏名又は名称】株式会社巴川コーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】000005382
【氏名又は名称】古河電池株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】松本 大和
(72)【発明者】
【氏名】森永 栄徳
(72)【発明者】
【氏名】古江 友樹
(72)【発明者】
【氏名】小出 彩乃
(72)【発明者】
【氏名】平子 雅充
(72)【発明者】
【氏名】大渕 智道
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-037814(JP,A)
【文献】特開2017-059448(JP,A)
【文献】国際公開第2020/184664(WO,A1)
【文献】特開2015-071508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/86- 4/98
H01M 8/00- 8/0297
H01M 8/08- 8/2495
H01M 12/06-12/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボン材、フッ素系樹脂及びカーボンファイバからなる触媒シートであり、
乾燥時の単位面積当たり質量が304g/m
2~475g/m
2であ
り、
前記フッ素系樹脂が、前記触媒シートの乾燥時質量を100とした時、20質量%~50質量%であり、
前記カーボンファイバの平均繊維長が1mm~6mm、平均繊維径が5μm~13μmであり、
前記カーボンファイバが、前記触媒シートの乾燥時質量を100とした時、3質量%~10質量%であることを特徴とする触媒シート。
【請求項2】
請求項
1に記載の触媒シートと集電体とを一体化してなる空気極。
【請求項3】
請求項
1に記載の触媒シートを用いたことを特徴とする空気電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極活物質として空気中の酸素を、負極活物質として金属を用いる空気電池に使用される触媒シート、空気極および空気電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、正極活物質として空気中の酸素が、負極活物質としてマグネシウム、亜鉛、アルミニウム、リチウム、鉄等の金属を用いる空気電池が知られている。
【0003】
特許文献1には、携帯型マグネシウム空気電池が開示されている。この携帯型マグネシウム空気電池は、表面に凹凸を有する三次元集電体に形成された陽極(正極)を構成するMnO2空気電極、および多孔質空気誘導路を包含したセパレータなどで構成され、空気の取り込みを効果的にすることで、上記空気電極における正極反応を活性化させている。
【0004】
一方、特許文献2には、触媒粉、活性炭及びフッ素樹脂から形成した多孔質膜(撥水膜)を積層してなるカソード体を使用した燃料電池が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、導電性のカーボン材とフッ素樹脂とを混合して形成された第1層と、その一方の面に接合された活性炭とフッ素樹脂とを混合して形成された第2層とからなるカソード体を使用した空気マグネシウム電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-256547号公報
【文献】特開平6-338355号公報
【文献】特開2014-120401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、正極材料の表面が電解液に覆われると、空気の正極表面への導入が阻害され、急激に正極反応が減退し、出力電流が低下しやすかった。
【0008】
また、特許文献2に開示された技術は、撥水膜を触媒シートに圧着することによって、撥水性及び密着性を有するカソード体を得ることができる。しかし、撥水膜は比較的薄く破れ易く、破断した部位から反応液が漏れ出て充放電を十分に行うことができなくなる場合や、電気容量が十分でない場合があった。
【0009】
更に、特許文献3に開示されたカソード体の技術は、思想として特許文献2に近く、触媒層(電極層)と撥水層(通気不透液層)の組み合わせであり、両層は導電性接着剤を介して固定されているため、電気容量が十分でない場合があった。
【0010】
本発明の目的は、耐漏液性が優れると共に、高い電池性能を有する触媒シート、空気極および空気電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下の態様を有する。
[1] カーボン材、フッ素系樹脂及びカーボンファイバからなる触媒シートであり、乾燥時の単位面積当たり質量が304g/m2~475g/m2であることを特徴とする触媒シート。
[2] 前記フッ素系樹脂が、前記触媒シートの乾燥時質量を100とした時、20質量%~50質量%であることを特徴とする[1]に記載の触媒シート。
[3] 前記カーボンファイバの平均繊維長が1mm~6mm、平均繊維径が5μm~13μmであることを特徴とする[1]または[2]に記載の触媒シート。
[4] 前記カーボンファイバが、前記触媒シートの乾燥時質量を100とした時、3質量%~10質量%であることを特徴とする[1]、[2]または[3]に記載の触媒シート。
[5] [1]、[2]、[3]または[4]に記載の触媒シートと集電体とを一体化してなる空気極。
[6] [1]、[2]、[3]または[4]に記載の触媒シートを用いたことを特徴とする空気電池。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、単層での耐漏液性と電池性能の両立した触媒シートが得られる。また、カーボンファイバの利点(導電性向上)と、欠点(毛細管現象による漏液助長)を平均繊維長、平均繊維径、触媒シートの乾燥時質量に対する配合比率でバランスすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】複数の空気電池を収容したパッケージの一例を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
「触媒シート」
本発明の触媒シートは、カーボン材、フッ素系樹脂及びカーボンファイバからなる触媒シートであり、乾燥時の単位面積当たり質量が304g/m2~475g/m2である。
乾燥時とは、触媒シートを構成する物質が分解等を起こさない条件により充分に乾燥させ、それ以上乾燥を継続しても重量変化を生じなくなった状態(絶乾状態)を指す。以下、各構成成分の乾燥時質量も同様である。
以下、本発明の触媒シートについて、具体的に説明する。
【0015】
本発明の触媒シートは、カーボン材と、フッ素系樹脂とカーボンファイバとからなり、乾燥時の単位面積当たり質量が304g/m2~475g/m2である。以下、上記必須構成要素と、任意の構成要素について詳細に説明する。
【0016】
<カーボン材>
カーボン材は、カーボンファイバ以外のカーボン材であればよい。具体的には、ケッチェンブラック(登録商標)などのカーボンブラックの他に、カーボンウィスカー、グラファイト、グラファイトウィスカー、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤー、カーボンナノホーンなどの炭素材料が挙げられる。カーボン材の割合は、触媒シートの乾燥時質量を100とした時、40質量%~77質量%であることが好ましい。
【0017】
<フッ素系樹脂>
フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン等が挙げられる。フッ素系樹脂の割合は、触媒シートの乾燥時質量を100とした時、20質量%~50質量%であることが好ましい。フッ素系樹脂が20質量%未満であると耐漏液性が低下するおそれがある。フッ素系樹脂が50質量%を超過すると電池性能の分極が大きくなるおそれがある。
【0018】
<カーボンファイバ>
カーボンファイバは、繊維状の炭素材料であり、例えばJIS L0204-2に規定される、有機繊維を加熱炭素化して得られる質量比で90%以上が炭素で構成される炭素繊維、または炭素繊維を所望の長さに切断して得られる繊維断片が挙げられる。本明細書において繊維状とは繊維長と繊維径のアスペクト比が5.7以上のものをいう。特に、カーボンファイバの平均繊維長が1mm~6mm、平均繊維径が5μm~13μmであることが好ましい。カーボンファイバの割合は、触媒シートの乾燥時質量を100とした時、3質量%~10質量%であることが好ましい。カーボンファイバが3質量%未満であるか平均繊維長が1mm未満であると電池性能の分極が悪化するおそれがある。カーボンファイバが10質量%を超過するか平均繊維長が6mmを超過すると耐漏液性が低下するおそれがある。
本明細書におけるカーボンファイバの平均繊維長とは、顕微鏡で任意の20本を測定し、測定値を平均した値である。
本明細書における「平均繊維径」とは、顕微鏡で撮像されたカーボンファイバの長手方向に対する任意の垂直断面における、カーボンファイバの断面積を算出し(例えば、公知ソフトにて算出する。)、当該断面積と同一面積を有する円の直径を算出することにより導かれた面積径の平均値(例えば、20個の繊維の平均値)である。
【0019】
<カーボン材、フッ素系樹脂、カーボンファイバの定量>
触媒シートを構成するカーボン材、フッ素系樹脂、カーボンファイバは以下の方法により定量することができる。
1)フッ素系樹脂の定量
・質量を測定した触媒シートを、ボンベ中で高圧酸素とともに燃焼させる。
・触媒シート中のフッ素を吸収液に吸収させる。
・この吸収液中のフッ化物イオンをイオンクロマトグラフにて定量する。
・定量結果から触媒シート中のフッ素系樹脂の質量を算出する。
2)カーボンファイバの定量
・単位質量の触媒シートから、顕微鏡等を用いながらカーボンファイバを取り除き、カーボンファイバの質量を求めることができる。
3)カーボン材の定量
・触媒シートの質量から、上記1)で算出したフッ素系樹脂の質量と、上記2)で得られたカーボンファイバの質量を差し引くことでカーボン材の質量を算出することができる。
【0020】
<任意の成分>
本実施形態の触媒シートは、カーボン材が空気極の酸化還元触媒として機能する場合は、カーボン材とフッ素系樹脂とカーボンファイバとのみから構成されてもよい。本実施形態の触媒シートは、カーボン材とフッ素系樹脂とカーボンファイバと以外に、任意の成分を含んでもよい。例えば、酸化還元触媒として、銅、アルミニウム、白金、コバルトなどの金属材料、ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料、二酸化マンガンなどの金属酸化物などを使用または併用することができる。
【0021】
本実施形態の触媒シートは、フッ素系樹脂以外の樹脂をバインダの一部として含んでもよい。フッ素系樹脂以外の樹脂として、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム等のゴム類、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類等が挙げられる。
【0022】
本実施形態の触媒シートの乾燥時の単位面積当たり質量(坪量)は、304g/m2~475g/m2である。坪量が304g/m2未満であると、耐漏液性が向上せず、容量が低下する。坪量が475g/m2を超過すると、特性の向上が見込めず、コストが増大する。
【0023】
<製造方法>
以下、本実施形態の触媒シートの製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態の触媒シートの製造方法は、下記工程(I-1)~(I-3)を含む。
工程(I-1):カーボン材と、フッ素系樹脂と、カーボンファイバと(以下「原材料」と総称する。)を水中に分散して抄造スラリー(I)を調製する工程。
工程(I-2):抄造スラリー(I)を抄造ワイヤー上に供給することで湿体シートを湿式抄紙する工程。
工程(I-3):湿体シートを脱水・乾燥することで触媒シートを得る工程。
【0024】
(工程(I-1))
原材料を水中に分散するため、原材料はあらかじめ適度な粒度の粉粒体とされていることが好ましい。抄造スラリーの濃度は、例えば0.005~5.0質量%とすることが好ましい。
【0025】
(工程(I-2))
抄造ワイヤーとしては、円網式、長網式、短網式、傾斜網式などの抄紙機が挙げられる。
【0026】
(工程(I-3))
湿体シートの乾燥は、例えばヤンキードライヤー、ロータリードライヤー、バンドドライヤー等で行うことができる。
【0027】
<作用効果>
以上説明した本実施形態の触媒シートは、単層での耐漏液性と電池性能の両立した触媒シートが得られる。また、カーボンファイバの利点(導電性向上)と、欠点(毛細管現象による漏液助長)を平均繊維長、平均繊維径、触媒シートの乾燥時質量に対する配合比率でバランスすることもできる。
【0028】
「空気極」
本発明の空気極は、上述した本発明の触媒シートを備える。空気極が、触媒シートと集電体とを一体化してなることが好ましい。集電体としては、銅メッシュ等の金属メッシュが挙げられる。集電体と触媒シートとを略同等の大きさのシートに裁断した後、集電体の両面に触媒シートを圧迫(プレス)して一体化することができる。一体化プレスの際に触媒シートを加熱してもよい。
【0029】
<作用効果>
以上説明した本実施形態の空気極は、本発明の触媒シートを備えるため、耐漏液性と電池性能の両立が可能になる。また、カーボンファイバの利点(導電性向上)と、欠点(毛細管現象による漏液助長)を平均繊維長、平均繊維径、触媒シートの乾燥時質量に対する配合比率でバランスすることもできる。
【0030】
「空気電池」
本発明の空気電池は、上述した本発明の触媒シートを備える。触媒シートが、上記空気極を構成してもよい。
図1に、空気電池の一例を示す。図示する空気電池10は、開口部12を有する電池容器11と、開口部12に設置された空気極13を有する。空気極13は、集電体14と触媒シート15を備える。集電体14には端子16を介して導線17を接続してもよい。
【0031】
図2に、複数の空気電池10を収容したパッケージ20の一例を示す。電池容器11の内部には、金属極18を収容した空間19が設けられている。この空気電池10は、電池容器11内の空間19に水系の電解液が充填されることによって、空気極13が正極として作用し、金属極18が負極として作用する一次電池である。あらかじめ調製された電解液を電池容器11内に注入してもよく、電池容器11内で水に電解質(塩類)を溶解して電解液を得てもよい。
【0032】
金属極18には、マグネシウム合金が使用され、電解液には、塩化ナトリウム水溶液が使用される。なお、金属極18に、亜鉛、鉄、アルミニウムなどの金属またはその合金を用いることが可能である。金属極18に亜鉛を用いた場合は、電解液に水酸化カリウム水溶液を用いるようにすれば良く、金属極18に鉄を用いた場合は、電解液にアルカリ系水溶液を用いるようにすれば良い。また、金属極18にアルミニウムを用いた場合は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを含む電解液を用いるようにすれば良い。
【0033】
パッケージ20内の各空気電池10は、2個ずつ内箱21に収容されている。内箱21内では、空気極13に空気を取り入れる間隙22を確保するように空気電池10が配置されている。さらに複数の内箱21を外箱23に収容して、パッケージ20を構成することができる。空気電池10を単セルとして複数直列又は並列に接続することにより、パッケージ20から構成されるバッテリーの容量又は電圧を高めることができる。
【0034】
<作用効果>
以上説明した本実施形態の空気電池は、本発明の触媒シートを備えるため、耐漏液性と電池性能の両立が可能になる。また、カーボンファイバの利点(導電性向上)と、欠点(毛細管現象による漏液助長)を平均繊維長、平均繊維径、触媒シートの乾燥時質量に対する配合比率でバランスすることもできる。
【実施例】
【0035】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
「触媒シートの成分」
各例で用いた成分は以下の通りである。
・カーボン材:カーボンブラック
・フッ素系樹脂:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
・カーボンファイバ:表1に示す平均繊維長(mm)及び平均繊維径(μm)を有するカーボンファイバ
【0037】
「空気電池の測定・評価」
<空気電池の耐漏液性>
定電流2.0Aの放電で、カットオフ電圧0Vまで放電し、放電終了後の電極を観察した。具体的には、(1)電極表面に食塩析出の有無、(2)電極を解体し、集電体の変色の有無、を観察した。耐漏液性の判断基準は、次のとおりである。
○:(1)電極表面に食塩の析出がなく、(2)集電体の変色も見られなかった場合
△:(1)電極表面に食塩の析出はないものの、(2)集電体の変色は発生していた場合
×:(1)電極表面に食塩が析出していた場合
【0038】
<空気電池の分極>
セル電圧は、0.5A→1.0A→1.5A→2.0A→2.5A→3.0A→4.0A→6.0Aの順に、5分間ずつ放電した際の、電圧を測定した。具体的には、(1)0.5A放電時の電圧が、1.25V以上であるか(2)2.0A放電時の電圧が、1.15V以上であるか、(3)6.0A放電時の電圧が、0.95V以上であるかの3点を検証した。分極性能の判断基準は、次のとおりである。
○:放電した際の電圧が(1)~(3)全てを満たした場合
△:放電した際の電圧が(1)~(3)どれか1つもしくは2つを満たした場合
×:放電した際の電圧が(1)~(3)全てを満たさなかった場合
【0039】
<空気電池の容量>
定電流2.0Aの放電で、カットオフ電圧0.3Vまで放電し、放電に要した時間〔h〕を計測した。電流値2.0A×時間〔h〕=容量〔Ah〕を算出した。容量の判断基準は、次のとおりである。
○:容量80Ah以上の場合
△:容量70Ah以上80Ah未満の場合
×:容量70Ah未満の場合
【0040】
「実施例1」
<触媒シートの製造>
表1の「実施例1」に示す配合(質料%)でカーボン材とフッ素系樹脂とカーボンファイバとを水中に分散して抄造スラリーを調製し、抄造スラリーを抄造ワイヤー上に供給することで湿体シートを湿式抄紙し、湿体シートを脱水・乾燥することで実施例1の触媒シートを得た。
【0041】
得られた触媒シートについて、乾燥時の単位面積当たり質量(坪量)(g/m2)および密度(g/cm3)を測定した。結果を表1に示す。
【0042】
<空気極の製造>
集電体の銅メッシュと触媒シートとを略同等の大きさのシートに裁断した後、銅メッシュの両面に触媒シートをプレスして一体化し、空気極を製造した。
【0043】
<空気電池の製造>
開口部を有する容器に空気極を取り付け、容器内にマグネシウムの金属極を配置し、食塩水を注入して空気電池を製造した。空気電池の耐漏液性、分極、容量を測定し、評価した。
【0044】
「実施例2~13及び比較例1~16」
表1に示す配合組成になるように原料スラリーを調製した以外は、実施例1と同様にして触媒シート、空気極及び空気電池を製造し、各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
【0045】
【0046】
(実施例1~13)
1m2あたりの乾燥時質量が304g~475gかつ、フッ素系樹脂の割合が20~42質量%かつ、平均繊維長が3~6mmのカーボンファイバを全体の3~10質量%になるよう添加した触媒シートを用いて空気極を作製した。その結果、全て漏液も見られず、容量も80Ah以上であった。さらに、分極も小さい結果を得た。
【0047】
(比較例1、2、7、8、9、10、12、13)
フッ素系樹脂の割合が10質量%では、電極表面に食塩の析出はないものの、集電体の変色は発生しており、電解液が集電体部まで浸透していたと推測される。結果として、容量はどれも80Ah未満であった。反対に、フッ素系樹脂の割合が60質量%では、カーボンファイバの条件に依らず全てにおいて電解液の漏液および集電体の変色は見られなかった。一方で、分極が大きく、セル電圧が低くなってしまった。
【0048】
(比較例3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15)
カーボンファイバの平均繊維長が0.1mmまたは、カーボンファイバの添加量が触媒シート全体の0~2質量%では、空気極の内部抵抗が高くなり分極が大きく、セル電圧が低くなってしまった。特に、カーボンファイバを全く添加しないとき、その傾向は顕著であった。反対に平均繊維長が13mmと長い場合またはカーボンファイバの添加量が触媒シート全体の15質量%の場合、集電体の変色が見られ、カーボンファイバが触媒シートより厚く、カーボンファイバを介し電解液が集電体部まで浸透していたと推測される。
【0049】
(比較例14、比較例16)
1m2あたりの乾燥時質量が304g未満では、放電途中に漏液が見られ、その結果空気極での反応が阻害され、容量低下を招いてしまう。特に、257g/m2の場合、放電終了後の空気極表面には食塩の析出が観察され、容量も小さい結果となった。
【符号の説明】
【0050】
10…空気電池、11…電池容器、12…開口部、13…空気極、14…集電体、
15…触媒シート、16…端子、17…導線、18…金属極、19…空間、
20…パッケージ、21…内箱、22…間隙、23…外箱。