(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-04
(45)【発行日】2025-07-14
(54)【発明の名称】経中隔システム、デバイス、及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20250707BHJP
A61M 25/09 20060101ALI20250707BHJP
【FI】
A61B17/34
A61M25/09 530
(21)【出願番号】P 2021564634
(86)(22)【出願日】2020-04-28
(86)【国際出願番号】 US2020030264
(87)【国際公開番号】W WO2020223230
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-04-27
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522368684
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック メディカル デバイス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ソラジャ、ポール
(72)【発明者】
【氏名】ドラスラー、ウィリアム ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ペダーセン、ウェスレー ロバート
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-530928(JP,A)
【文献】特表2007-510458(JP,A)
【文献】国際公開第2018/047901(WO,A1)
【文献】特開2008-173313(JP,A)
【文献】特開2012-085816(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0188108(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0105654(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0371676(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0015644(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/34
A61M 25/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
解剖学的壁横断システムであって、
ガイドワイヤ近位端からガイドワイヤ遠位端まで延在し、遠位ガイドワイヤ放射線不透過性マーカを含むガイドワイヤと、
第1の外径を有する近位端部分から遠位端部分まで延在し、内部を通る管腔を含む拡張器
であって、
前記管腔が、前記ガイドワイヤを受け入れるように構成されており、前記遠位端部分が、拡張器遠位先端部、拡張器突出部、拡張器傾斜セグメント、拡張器肩部、拡張器位置合わせゾーン、及び拡張器腰部を含み、
前記拡張器突出部が、第2の外径を有し、かつ前記拡張器傾斜セグメントから前記拡張器遠位先端部まで延在し、
前記拡張器傾斜セグメントが、前記拡張器突出部の近位に延在し、かつ前記拡張器肩部から前記拡張器突出部の前記第2の外径まで先細になり、前記拡張器位置合わせゾーンが、実質的に均一な外径を有し、かつ前記拡張器肩部から近位に延在し、前記拡張器傾斜セグメントが、前記拡張器傾斜セグメントの近位端に、前記第1の外径と等しく、前記第2の外径よりも大きい第3の外径を有し、
前記拡張器腰部が、前記拡張器位置合わせゾーンの近位に延在し、前記拡張器腰部が、前記拡張器位置合わせゾーンよりも大きい長手方向の可撓性を有し、かつ前記拡張器位置合わせゾーンの前記第3の外径の、両端値を含む30~95%である外径を有し、
遠位放射線不透過性マーカが、前記拡張器遠位先端部の近くに配置され、肩部放射線不透過性マーカが、前記拡張器肩部上に配置される、
拡張器と、
シース近位端からシース遠位端まで延在し、遠位シース放射線不透過性マーカを含むシースと、を備える、解剖学的壁横断システム。
【請求項2】
前記拡張器突出部が、両端値を含む、約0.0015~0.005インチの壁厚を有する、円筒形断面形状を含む、請求項1に記載の壁横断システム。
【請求項3】
前記拡張器突出部が、薄肉ハイポチューブから形成されている、請求項2に記載の壁横断システム。
【請求項4】
前記拡張器位置合わせゾーンの近位に延在する前記拡張器腰部が、
前記シースのシース屈曲領域の軸方向長さ全体にわたって延在するように構成されている、請求項1に記載の壁横断システム。
【請求項5】
前記拡張器腰部が、両端値を含む、約5~50mmの長さを有する、請求項4に記載の壁横断システム。
【請求項6】
前記拡張器腰部が、前記拡張器位置合わせゾーンの前記第3の外径の50%である外径を有する、請求項4に記載の壁横断システム。
【請求項7】
前記拡張器腰部が、前記拡張器位置合わせゾーンのポリマーよりも低いデュロメータポリマーから形成されている、請求項4に記載の壁横断システム。
【請求項8】
前記ガイドワイヤが、前記拡張器の前記管腔内で送達可能であり
、前記
ガイドワイヤ遠位端が、前記拡張器突出部を通って延在し、かつ前記拡張器突出部から出るように構成された針本体及び針先端部を有する穿刺針に取り付けられ、
前記拡張器突出部が、患者の卵円窩を通って、前記卵円窩を超えて、突出部貫通距離分、患者の左心房内へ延在するように構成された長さを有し、
前記突出部貫通距離が、前記穿刺針の針長さ以上である、請求項1に記載の壁横断システム。
【請求項9】
前記ガイドワイヤの中間部分が、少なくとも1つのループ状セグメントを含む、請求項8に記載の壁横断システム。
【請求項10】
前記穿刺針が、両端値を含む、3~20mmの長さを有する、請求項8に記載の壁横断システム。
【請求項11】
前記針本体が、針本体軸及び拡張器軸の同軸位置合わせを容易にするために、前記拡張器の前記管腔未満の、両端値を含む、0.001~0.004インチの針本体直径を有する、請求項8に記載の壁横断システム。
【請求項12】
前記ガイドワイヤの前記
ガイドワイヤ遠位端が、ヒンジにおいて前記穿刺針の近位端に取り付けられている、請求項8に記載の壁横断システム。
【請求項13】
前記ヒンジが、形状記憶材料を含み、非拘束状態のとき、前記ガイドワイヤの前記
ガイドワイヤ遠位端と前記穿刺針の前記近位端との間に、両端値を含む、45~140度の角度を形成する、請求項12に記載の壁横断システム。
【請求項14】
前記ヒンジが、前記ガイドワイヤ及び前記針本体の直径未満の直径を有する円筒形断面形状を含む、請求項12に記載の壁横断システム。
【請求項15】
前記ガイドワイヤが、ガイドワイヤループセグメントを含み、前記ガイドワイヤループセグメントは、前記ガイドワイヤループセグメントが前記患者の左心房内に延在させられたときに少なくとも1つのループセグメントを形成するように構成され、前記ヒンジが、矩形断面形状を含み、かつ前記少なくとも1つのループセグメントの平面によって画定される方向に屈曲するように構成されている、請求項12に記載の壁横断システム。
【請求項16】
針本体軸及び拡張器軸の同軸位置合わせを容易にするために、前記穿刺針の周囲に配置された先端部シースを更に備える、請求項8に記載の壁横断システム。
【請求項17】
前記拡張器が、前記拡張器の前記管腔内の位置から前記拡張器の前記管腔の外部の位置への前記先端部シースの遠位移動を阻止するように構成された、拡張器停止部を含む、請求項16に記載の壁横断システム。
【請求項18】
前記先端部シースが、圧縮下に置かれた際、直径を拡大するように構成されており、それによって、前記拡張器停止部との接触時に、前記穿刺針からの前記先端部シースの解放を可能にする、請求項17に記載の壁横断システム。
【請求項19】
前記拡張器の前記近位端部分が、前
記シースのハンドルに組み込まれたアクチュエータと係合するように構成されており、前記アクチュエータが、前
記シースに対する前記拡張器の遠位及び近位前進を制御するように構成されている、請求項
1に記載の壁横断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
2019年4月29日出願の米国仮特許出願第62/840,062号、表題「TRANSSEPTAL GUIDEWIRE NEEDLE TIP」の優先権の利益を、本明細書において主張し、その全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本主題は、とりわけ、心臓の隔膜を横断することによって、左心臓構造にアクセスするための医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
経中隔穿刺は、右心房(right atrium、RA)を経由して、心臓の左心房(left atrium、LA)にアクセスするために使用することができる。LAへのアクセスは、心房細動アブレーション治療、より最近では、例えば、弁及び他の構造的心臓疾患の治療に一般的に必要とされる。
略語
【0004】
別様に注釈がない限り、以下の略語は、本開示全体を通して適用される。
・FO:卵円窩202
・Fr:フレンチ(カテーテルサイズ径の増分)
・GW:ガイドワイヤ10
・LA:左心房208
・LAA:左心耳210
・MRI:磁気共鳴像
・MV:僧帽弁212
・RA右心房206
・TEE:経食道心エコー検査
・TTE:経胸壁心エコー検査
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、経中隔穿刺システム及びデバイスが、所与の処置のために隔壁を安全かつ正確に穿刺することを確実にするために、卵円窩(FO)-心臓のRAとLAとの間の心房中隔の右側の凹部上の特定の場所を見つけることができるべきであるということを認識している。大動脈、左若しくは右心房自由壁、又は肺静脈などの構造体の偶発的な穿刺は、心臓穿孔及びタンポナーデをもたらす可能性がある。加えて、いくつかの左心臓処置は、診断又は治療用デバイスの位置決めのために、FOと関連する極めて特定の隔壁部位を、特定の標的を正確に狙うために横断させることを必要とする。
【0006】
本発明者らは、既存の経中隔穿刺システム及びデバイスが、限定されるものではないが、(1)FOの特定の場所での正確さ及び安定性に関与する困難、(2)隔壁を超える針の前進に伴う困難、(3)LA自由壁に隣接した、FO上でテンティングされた針の頂点を残した、余剰又は動脈瘤の中隔に対処する困難、それゆえ穿孔及び心膜タンポナーデのリスク、(4)生来の中隔における代替的な穿刺場所を必要とする、前の隔壁閉塞器の配置又は直接閉塞器の穿刺に対処する困難、を含む、欠点があることを更に認識している。
【0007】
本主題は、とりわけ、遠位針セグメント、中央ループ状又はコイル状左心房セグメント、及び1つ以上の線形の細長い近位セグメントを含む、ガイドワイヤ(GW)を経由してLAへのアクセスを得るため、及び心臓のLAへの構造的又は他のデバイス送達に関するプラットフォームとして機能するための両方で、非常に効率的かつ安全な方法で経中隔穿刺を実現することを対象とする。具体的には、本主題は、経中隔穿刺針12とともに組み込まれた経中隔GW10を部分的に対象とする。GW10は、比較的剛性の近位セグメント端16及び中央ループセグメント14を備えることができ、遠位端22は、経中隔針12との接合部を備える。1つ以上の中央セグメントGWループ24、26は、LA208内に静止することができる。中央ループセグメント14は、形状記憶材料から形成されて、少なくとも2つのループ状セグメント、例えば、第2のより遠位の、通常外側の、広幅コイル24、及び第1のより近位の内側コイル26を形成することができ、中間セグメント14は、最終的に交換のために外部に静止する近位端25において細長い線形剛性GWセグメント16と連続することができる。
【0008】
本主題は、GW10、経中隔拡張器108、及びシース100を備える、FO202を横断することができる経中隔GW穿刺システムを更に対象とする。GW10の遠位端は、その遠位端22においてループ状GWセグメント14に取り付けられた経中隔針12を備えることができ、順に、直線状の剛性GWセグメント16の遠位端17と連続して位置決めされ得る。経中隔針12は、ループ状GWセグメント14への取り付け点において形状記憶を有することができ、形状記憶は、ループ24、26内及びループ24、26の中心の非外傷性安定性を維持するために、ループ状GWセグメント14に関して予め指定された角度を保持する、経中隔針12を有するのに十分である。ループ24、26のうちの1つ以上は、LA208内に位置決め、かつ安定化することができ、LA208の内側表面に隣接して静止している。中央のループ状セグメント14は、形状記憶材料で形成されて、2つのループ24、26を形成することができ、より近位コイル24の近位端25は、GW16の近位細長剛性セグメントと連続性にあり、二次屈曲部29は、GW10の細長い直線状の近位セグメントに移行するRA206内に位置決めされ得る。
【0009】
経中隔拡張器108は、細長いカテーテル109を備えることができ、これは、シース100内に静止し、狭小拡張器遠位セグメント110まで先細りになり、カテーテル管腔111は、全体にわたってGW10と互換性があるままであり、両端値を含む、0.021~0.035インチ、又はそれ以上の全範囲の直径を有し得る。遠位セグメント106に沿ったいくつかの点では、シース100上の放射線不透過性先端部マーカ123と重なるように位置決めされた放射線不透過性マーカ122であり得、その点で、経中隔拡張器108及びシース100は等価の外径である。拡張器108は、ハンドル104の遠位端に隣接するアクチュエータ112の一連の前方移動によって、FO202を「テンティング」するためにFO202上の正確な位置に前進させることができる。近位シースハンドル104上の操縦可能な操作は、順行及び逆行屈曲作用を可能にすることができ、シース100全体の前方又は後方トルク付与付けは、シースの遠位端124及び特定の処置のために特定のFO部位に隣接する保持された拡張器先端部110を位置決めするために実施され得る。近位シース100上でのアクチュエータ112の使用を伴う、拡張器遠位セグメント110の安定したシース100に対する前進及び後退移動は、拡張器108の近位端119と相互作用することができる。
【0010】
一度FO202が、経中隔針12を収容する拡張器108とともにテンティングされると、針12は、前進し、FO隔壁202を穿刺し、LA208に横断することができる。経中隔針12は、FO202を超えて前進した後に接続されるコイル状GWセグメント14上のヒンジ点20において、別個の角度で形状記憶部から折り畳み又は屈曲することができる。これは、両端値を含む、約45~140度の範囲であり得る、角度を形成することができる。経中隔GW10の更なる前進は、LAチャンバ208内のGW10のループ状区分14コイルを位置決めすることができ、また、ループの中心に残ることにより、中心LA208において針の位置を外傷なく保つことを支援する。好ましくは、GWコイル24、26は、小さい内径コイル26、及びより大きい外径コイル24を有し、針12をLA208の中心に保つことを支援する。直径のより小さい内側コイルは、針12がLA壁内の組織に損傷することを防止することができる。別の実施形態では、コイル24、26は、等しい直径であってもよい。
【0011】
別の実施形態では、コイル24、26は、
図3及び
図4に例解されるようにオフセットされて、針12の中心場所を保つことを更に支援することができ、これはまた、第3の寸法で折り畳まれ得、追加的な特徴は、折り畳まれた遠位経中隔針12が前進し、内側に偏向されるとき、LA208構造体を穿刺する余地を小さくし、中心針12の位置をオフセットされているが等間隔のループ14内に維持することを更に支援する。コイル24、26は、両端値を含む、おおよそ0.75~2cmだけオフセットされ得る。コイル24、26は、剛性の中間体であってもよく、LA自由壁とのより少ない外傷性相互作用を可能にする。右心房GWセグメント内の二次屈曲部29は、FO202を超える垂直軌道、及びIVC215における同軸を保つことを支援することができる。細長い近位剛性GWセグメント16は、例えば、260cmの長さを有することができるが、カテーテル又はデバイス交換の目的のために著しく長くなり得る。
【0012】
本主題のシステムの前方位置決めは、正確なデバイス位置決めのための、遠位シースの正確な位置決めを可能にし、それによって、所与のデバイスのための特定の左心臓標的、すなわち、LAA210、MV212によって最終的に決定される理想的なLA208の位置決めを確立する。システムは、直感的かつ単純であり、エコー又は他の画像化誘導下での反復的な拡張器の前進を使用することによって、特定のFO202標的上に正確に位置決めする。コイルが、FO202を超えて前進し、LA208内に固定された後、拡張器108は、次いで、コイル状GW10の上をLA208へと前進され得、シース100がLA208に横断するまで、重なり合う放射線不透過性セグメントを定位置に保つ。遠位拡張器端106及びシース先端部124上の重なり合う放射線不透過性マーカ122、123は、それらが、FO202を超える拡張器108及びシース100の滑らかな同時前進のために等価直径であることを確認するために使用することができる。
【0013】
シース100の偏向可能かつ操縦可能な性質により、シース100は、様々な患者固有の解剖学的構造において、様々なRA206サイズ及びFO202角度のための単一サイズの前方向きカテーテルシステムを使用して、方向性、角度付け、及び到達する範囲を取得することを可能に得る。
【0014】
集合システムは、好ましくは、後退した針12を収納する拡張器108をFO202上の正確なテンティング位置へ反復的に前進させるための「汎用的な」カテーテルシステムによって送達される針付きGW10を含む。ハンドル104に隣接するシース100上のアクチュエータ112は、針穿刺の前にFO膜を「テンティング」するために、遠位セグメント110の高度に制御された前進を可能にすることができる。アクチュエータ112は、回転可能なハンドル104から操作者の手を取り外すことなく、操作者の親指で前進又は後退させることができる。拡張器108は、より可撓性の遠位セグメントを有して、LA208内のコイル状GWセグメント上の滑らかな追跡を可能にする。偏向可能なシース先端部124は、単極又は双極性の方向性を有してもよい。偏向可能なシース100は、例えば、FO202に対する垂直度をより容易に確立するために、両端値を含む、2~20度の範囲であり得る、RA 206内に遠位固定された2度屈曲部を有し得る。標準的な市販のシース拡張器カテーテルはまた、前述の新規針GWと組み合わせて使用されてもよい。
【0015】
有利には、本主題は、以下:(1)改善された使いやすさ、(2)正確な遠位制御に関する直感的操作、(3)改善されたデバイス及び処置の有効性、(4)広範囲の操作者のスキルにわたる増加したデバイス安全性、(5)増強されたワークフロー及び減少した処置時間、並びに(6)複合針GWに対する減少した処置コスト、を満たすシステム及びデバイスを提供する。
【0016】
本主題のこれら及び他の実施例並びに特徴は、少なくとも部分的に、以下の「発明を実施するための形態」に記載される。この概要は、本主題の非限定的な実施例を提供することを意図しており、排他的又は網羅的な説明を提供することを意図するものではない。以下の「発明を実施するための形態」は、本主題に関する更なる情報を提供するために含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図面では、いくつかの図を通して、類似の特徴及び構成要素を説明するために、同様の数字が使用され得る。図面は、概して、本特許文献に記載されている様々な実施形態を、制限するものではないが、例として例解する。
【
図1】
図1は、組み合わされた経中隔針及びGWの本主題の第1の実施形態の側面図である。
【
図2】
図2は、本主題の組み合わされた経中隔針及びGWの第2の実施形態の側面図である。
【
図3】
図3は、組み合わされた経中隔針及びオフセットループを有するGWの本主題の第3の実施形態の側面図である。
【
図4】
図4は、90度回転された、
図3の経中隔針の正面平面図である。
【
図5】
図5は、本主題の針-GWとともに使用するための代表的な偏向可能なシースを例解する側面図である。
【
図6】
図6は、
図5の偏向可能なシースとともに使用するための拡張器を例解する側面図である。
【
図7】
図7は、本主題の偏向可能なシースを有する心臓及び静脈系を含む、ヒト中心静脈循環系の正面模式図である。
【
図8】
図8は、心房中隔を超えて位置決めされ、FA内の遠位針GWループとともにFA内に位置決めされた、偏向可能なシースを有するヒト心臓の断面の正面模式図である。
【
図9A】
図9Aは、拡張器遠位領域の断面図であり、拡張器管腔内に収容されたガイドワイヤ遠位端及び針を有する。
【
図9B】
図9Bは、針本体及び拡張器管腔に収容された針先端部を有する、曲率半径の周囲に延在する拡張器遠位領域の断面図である。
【
図10A】
図10Aは、間にヒンジ点が位置付けられた状態のガイドワイヤ遠位端及び針の側面図である。
【
図10B】
図10Bは、針本体と針-ガイドワイヤ角度を形成する、ガイドワイヤ遠位端の側面図である。
【
図10C】
図10Cは、より大きい直径のガイドワイヤ遠位端と針本体との間に位置付けられた、より小さい直径の円筒形ヒンジ点の側面図である。
【
図10D】
図10Dは、円筒形ガイドワイヤ遠位端と針本体との間に位置付けられた長方形のヒンジ点の側面図である。
【
図10E】
図10Eは、ヒンジ屈曲軸に沿って、針-ガイドワイヤ角度に屈曲された長方形のヒンジ点の側面図である。
【
図11A】
図11Aは、拡張器管腔内に収容された先端部シースによって取り囲まれたガイドワイヤ針を有する拡張器遠位領域の断面図である。
【
図11C】
図11Cは、拡張器管腔内に収容された解放可能な先端部シースの断面図である。
【
図12】
図12は、近位ガイドワイヤセグメント、ガイドワイヤループセグメント、及び針を有する、経中隔ガイドワイヤの側面図である。
【
図13】
図13は、拡張器の突出部と、拡張器位置合わせゾーンと、拡張器腰部と、拡張器マニホールド上に位置付けられた拡張器近位ポートまで延在する拡張器管腔と、を有する拡張器の断面図である。
【
図14A】
図14Aは、可撓性シース内に位置付けられた拡張器内に位置付けられた経中隔ガイドワイヤの断面図であり、拡張器突出部は、FOのテンティングを形成する。
【
図14B】
図14Bは、拡張器突出部内に部分的に収容され、かつFO壁を超えて延在する針の断面図である。
【
図14C】
図14Cは、ガイドワイヤ及び針が偏向可能なシース内の定位置に固定されながら、FO壁を超えて前進している拡張器突出部の断面図である。
【
図14D】
図14Dは、FO壁を超えて前進している針、及びヒンジ点で発生するガイドワイヤ-針屈曲角度の断面図である。
【
図14E】
図14Eは、FO壁を更に超えて前進し、LA内にガイドワイヤループセグメントを形成しているガイドワイヤの断面図である。
【
図14F】
図14Fは、シースの一部分をLA内に配置するために、経中隔ガイドワイヤの上を前進している、偏向可能なシース及び拡張器の断面図である。
【
図15】
図15は、厚くなったFOを横断するために、ガイドワイヤを小前進させ、拡張器の小前進が続く前進方法の断面図である。
【0018】
図面は、必ずしも縮尺通りではない。特定の特徴及び構成要素は、目盛り又は概略的な形態で誇張されて示されてもよく、いくつかの詳細は、明瞭性及び簡潔性の目的で示されない可能性がある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面中のガイド番号を参照すると、本主題の経中隔穿刺システムは、好ましくは、限定されるものではないが、「汎用的な」システムであり、これにより、単一サイズのシステムが、様々な解剖学的構成及び心房サイズにおいて使用され得る。システムは、遠位経隔壁針と、LA206内のGW固定のための隣接するコイル又はループと、を有する交換GWを含む、特殊な構成要素を含む。加えて、システムは、偏向可能なシースによって支援されるFO上の制御された位置決めのために、近位シースハンドル上のアクチュエータと相互作用する拡張器を含んでもよい。
【0020】
ガイドワイヤ10
ここで、経中隔針-GW10を例解する、
図1~
図4を参照する。経中隔針-GW10は、別個の経中隔針並びに複数のGW交換、様々な解剖学的構造を治療するための長さ、及び湾曲の必要性を回避することができる一体型構成要素であり得る。経中隔針-GW10は、少なくとも3つの画定されたセグメント:(1)遠位の経中隔針12、(2)中央又はループ状のLAセグメント14、及び(3)近位の細長い直線状の剛性セグメント16を有することができる。
【0021】
針12
経中隔針12は、GWループセグメント14の遠位端22と連続して位置決めされ得る。経中隔針12は、好ましくは、比較的短く、両端値を含む、約0.75~2.0cmの長さである。針12は、超低輪郭先端部18を有することができる。針12の近位端20は、隣接する遠位ループセグメント14と連続することができ、前進前、拡張器先端部の中心管腔111内に保持されるときに線形であるように構成され得る。
【0022】
経中隔針12は、抵抗を最小限に抑えるための潤滑性コーティング、及び、密集した傷痕又は動脈瘤であり得るものを含む、FO202(
図8に例解される)を超えて穿刺し、容易に移行するための、鋭い先細り先端部18を有することができる。FO膜を超える偶発的な針の揺れ、及び好ましい穿刺部位の損失は、針先端部18上の極微な点、前方向きの先細り経中隔拡張器108の、拡張器先端部18による膜の安定した位置決め及び「テンティング」のためのFO202への低速な反復送達によって回避され得、これは、順に、偏向可能な経中隔シース100によって支持される。この前方向きシステムで、FO202を超える摺動をもたらす意図されていない前方又は後方トルク付与力は、かなり最小限に抑えることができる。
【0023】
経中隔針12は、好ましくは、形状記憶を有するニチノールを含む、ステンレス鋼又は合金などの金属材料で構成することができ、例えば、溶接又は場合によっては相互嵌合スロットで、GWループセグメント14に取り付けることができ、これは、相互作用して、針が針自体を折り畳むことを可能にする、より安定した、なおも可撓性の結合体を形成し、それによってLA自由壁、肺静脈などの穿刺を回避する。針12とループセグメント14との間に予め成形された角度を形成する他の手段もまた考えられ、かつ利用され得る。
【0024】
経中隔針12は、ループ状GWセグメント14の遠位端22に接続する近位端/ヒンジ点20で鋭角を成すことができ、LAループセグメント14の中心に予め指定された角度を保持し、それゆえ中心LAループセグメント14内の非外傷性安定性を維持し、肺静脈、LAフリー壁、及びLAA210を含む、LA208構造の接触及び可能な穿孔を防止する。
【0025】
GW前進及び経中隔穿刺に続いて、針12は、
図1~
図4に例解されるように、隣接するループ状GWセグメント14とともに、中心で、好ましくは鋭角で急激に屈曲することができる。針12は、LA208に進入した後に直線状のままであるが、遠位ループ状GWセグメント14に対して、好ましくは、両端値を含む、約45~140度の角度で内側に屈曲することができる。経中隔針先端部18の直径は、超低輪郭につぶされ、遠位ループセグメント14を結合するために後に先細りになることができ、両端値を含む、0.021~0.035インチ、又はそれ以上の範囲の輪郭に移行する可能性が最も高い。
【0026】
ガイドワイヤループセグメント14
ループ状GWセグメント14は、LA208内で非外傷的にGW10の位置を安定化させるように設計することができ、加えて、左心房自由壁を不必要な針穿刺から保護することを支援する。2つ以上のループ状セグメント24、26は、典型的には、直径が約2.5~4.0cmの範囲であってもよく、ループ状セグメントが経中隔拡張器108からLA208に出る際に形状記憶によって形成されてもよい。一実施形態における遠位GWループ状セグメント14は、
図3~
図4に例解されるように、LAチャンバにおける配備時に再び形成される複数の形状の、2つのほぼ等しいサイズの円形又は非円形ループによって形成され得る。
【0027】
コイルは、少なくとも4つの有用な機能を提供する。
1.コイルは、LA208内の拘束されていない既知の形状をとることによって、正しいLAチャンバの位置決めを確認することができる。
2.コイル14は、LA208内の安定した位置決めを維持して、RA206へのGW10の偶発的な引き抜き又はLA自由壁若しくは肺静脈への強力な針先端部12の前進を回避することができる。
3.外側広幅コイル24は、より長いGW支持ランプを提供することができ、その上で、拡張器108及びシース100は、カテーテル支持を容易にするために、曲線の周囲のLA208への抵抗をより小さくして前進させることができる。
4.コイルは、中心に位置決めされた針12が、LA208構造を貫通することを避けて安全な距離に維持される外側保護シールドを形成することができる。
【0028】
別の実施形態では、
図1~
図4に例解されるように、内側コイル26の直径が外側コイル24の直径よりも小さい、少なくとも2つの円形コイルが存在し、内側コイルは、それゆえ外側コイル24の中心にある。この実施形態では、より大きい、外側コイル24は、内側コイル26の任意の立体構造変化のない状態で、LA208構造によって圧縮され、それゆえ、遠位針12の変形を更に保護し、その中心場所を保つことができる。一例として、GW10の内側コイル26は、約2.5cmなど、両端値を含む、約1.5~3.0cmの直径を有し得る。外側コイル24は、約3.5cmなど、両端値を含む、約3.0~4.0cmの直径を有することができる。
【0029】
第3の実施形態では、2つのコイル24、26は、平行部分24a及び26aを有し、直径が同等ではなく、両端値を含む、約0.75~2.0cmだけオフセットされ得る。更に、
図5に例解されるように、2つのオフセットワイヤコイル24、26の中心の第3の寸法における遠位経中隔針12及びGWループセグメント14の接合部での第2の事前形成された屈曲部が、組み込まれ得る。その目的は、針12が、この実施形態の屈曲時に二次元で円周方向に中心を合わせられるだけでなく、針12が、2つのオフセットループ24、26の幅の間の第3の寸法で中心に方向付けられ得ることを可能にすることによって、LA208の針穿孔を防止することを更に支援することである。点線25によって例解されるように、コイル24、26の平行部分24aと26aとの間の距離は、例えば、約1cmであり得、約0.75~2.0cmの範囲であってもよい。
【0030】
近位ガイドワイヤセグメント16
近位GWセグメント16は、セグメント16の遠位端17において隣接するコイルセグメント14と連続することができる。近位GWセグメント16は、近位自由端28を含むことができ、LA内に位置決めされた遠位GWループセグメント14を保ちながら、カテーテル又はデバイス交換を可能にするための適切な長さを外面化する。近位GWセグメントの遠位端17は、心房中隔を超えてLA208へと直線的に移行することができる。次いで、ほぼ中間RA206において、浅い固定された第2度の屈曲部29が存在し得、両端値を含む、2°~20°の好ましい角度を保持する。細長い近位剛性GWセグメント16は、長い近位セグメント17の最も遠位端から、最も近位端28まで延在し、両端値を含む、0.021~0.035インチの好ましい直径を有する。長い近位剛性GWセグメント16は、長さにおいて、両端値を含む、240~300cm、好ましくは260cmで延在し得る。この長い剛性GWセグメント16は、左心臓標的に送達するためのカテーテル及びデバイスのアレイを交換するための支持レールとして機能することができる。
【0031】
シース100
図5を参照すると、経中隔送達シース100は、単極又は双極、例えば、上方/下方屈曲のために回転可能な近位人間工学的ハンドル104で作動される偏向可能なシース、並びに最適な前方/後方位置決めのための1対1のシーストルク制御であり得る。経中隔シース100の前進又は後退は、全ての平面における制御された非外傷性誘導のための上方及び下方の位置決めを可能にすることができる。シース100は、アクチュエータ112及び遠位セグメント107に隣接して位置付けられた近位端102を有することができる。商業的利用のために設計された現在の経中隔システムは、概して、過度に積極的であり得る(長さが過剰である)大腿静脈アクセス照準からのシース/拡張器システムの時計回りのトルクを使用して、FO202に至り、これは、オーバーリーチの拡張器108が、心房中隔の高くなった隆起部上で遠位に一瞬「引っ掛かる」場合、偶発的に「蓄積された」トルクをもたらす可能性がある。拡張器遠位セグメント110をFO202内に位置決めするための更なる取り組みは、RA206自由壁又は付属物の穿孔をもたらし得る。逆に、不十分な長さ又は「リーチ」の拡張器108、及びFO202を超える膜の係合不能は、FO202の穿刺不能をもたらす。
【0032】
シース100は、矢印125によって例解される、上方及び下方遠位シース屈曲のための人間工学的な双方向回転可能ハンドル104、及びシース100の先端部124におけるリーチを有することができる。加えて、前方から後方への位置で遠位に伝達される1:1トルクは、シース100のワイヤ編組補強(図示せず)を通して達成することができ、これはまた、デバイスの送達を増強させるためのバックアップ支持も改善することができる。シース100は、最初に、蛍光透視及びTEE誘導を使用して、及び利用可能な場合、場合によってはリアルタイムMRI及びコンピュータ断層撮影を使用して、心房中隔に隣接するが、心房中隔に係合せず位置決めされ得る。
【0033】
シース100が、撮像誘導下で、RA206内のFO202からの適切な短い距離(例えば、約0.5~2.0cm)で、正確に位置決めされると、拡張器108は、シース100を静止状態に維持しながら前進させることができる。拡張器のためのシースハンドル104及び隣接するアクチュエータ112は、操作者の対側手の使用を必要とせずに、一方の手が適所に維持された状態で、システム(シース及び拡張器)の操作を可能にすることができる。拡張器108のためのアクチュエータ112は、拡張器108上の摩擦要素121と相互作用することによって、反復前方前進又は後退のために、操作者の親指又は他の指によって操作され得る。ワイヤ編組強化シース100は、拡張器108の遠位セグメント110を前進させ、続いて拡張器108を、膜の「テンティング」のために、FO202の正確に制御された特定の場所に前進させるための、強力なバックアップ、ねじれ耐性支持を提供することができる。
【0034】
シース100は、好ましくは、高度に可変のデバイス輪郭を収容するための、拡張可能なシャフトを含むが、必要とはせず、一方で、一連の固定直径のシースが、様々なデバイス輪郭を収容するために使用されてもよい。約8.5Fr~潜在的に最大30Frの範囲の、理想的に拡大可能な、又は拡張可能なシースは、異なる処置のために利用可能な複数のシース直径を維持する必要性を排除することができる。それゆえ、一実施形態は、直径の範囲を超えて拡張可能であるように適合される単一のシースサイズである。近位ハンドルからの2つ以上の距離での剥離性を必要とし得る経中隔シースは、複雑な曲線又は複数の曲線の周囲のデバイスの送達に好ましい場合がある。
【0035】
複数の他の支持構造体は、シース本体内で直線的に延びて、より角度をつけた解剖学的構造を超える後続のデバイス送達のための適切なレベルの支持を保つことができる。2~20度の二次屈曲部は、例えば、より遠位の偏向可能な屈曲部の近位に位置決めされてもよく、これは、強い同軸バックアップ支持のためにFOにおいてより垂直な角度を実現することを支援し得る。加えて、これは、180度を超える遠位屈曲を可能にすることができ、これは、左心臓の内側面内で適切なシース位置決めを実現するために適時必要とされ得る。シースハブ114上の緊密な止血弁は、例えば、0.021インチまでの直径を有するものを含む、GW10の周囲の後方出血を最小限に抑えることができる。好ましくは、シース100は、長さ90cm(使用可能長さ70cm)以上である。拡張器をシースに係止するためのハブが、組み込まれてもよい。
【0036】
拡張器108
経中隔拡張器108は、内部シース直径と互換性があり、拡張器108の遠位端における固定外径118に、106で例解される後方へ逆先細りを有する超低輪郭遠位セグメント110を有することができる。拡張器108は、FO膜の「テンティング」が、実施されている処置に特有のTEE又は他のリアルタイム撮像検出器によって可視化された位置に特有の正確な位置において実証されるまで、前方運動で前進させることができる。
【0037】
好ましい実施形態では、拡張器108は、摩擦接触要素121によって、又は拡張器運動の正確な穏やかな制御のためのインターロックギアの使用によって、シースハンドル104に隣接するアクチュエータ112と相互作用することができる。拡張器の前進又は後退を可能にするアクチュエータ112は、好ましくは、同側の親指で制御され、拡張器108及びシースハンドル104の両方を片手で操作する能力を保つ。拡張器108は、その長さに沿った可変の可撓性を有することができ、より可撓性の遠位セグメント118が、GWループ状セグメント14の上を前進する際にカテーテルシステムの過度な整流、又は移動を防止する状態である。
【0038】
拡張器遠位セグメント106は、静止遠位シース100を越えて、好ましくは最大約5cmまで前進することができるはずであるが、例えば、シース先端部を越えて、両端値を含む、約3.0~8.0cmまで延在するように変更されてもよい。これにより、遠位GW10の上で、FO202を超え、かつLA208への拡張器108の制御された前進を可能にする。RA206内に固定されたシース104を維持しながら、LA208への拡張器108の中隔穿刺及び前進の後、放射線不透過性マーカ122、123が隔膜のRA206側に重なるまで十分な空間が存在するべきであり、その後、面一の外径を有する、経中隔拡張器108及びシース100を有する複合システムは、ここで、単一ユニットとしてLA208内に前進させることができる。拡張器遠位セグメント106は、低輪郭先端部110で終わり、拡張器遠位セグメント106の近位に放射線不透過性マーカ122を有してもよく、シース先端部124上の放射線不透過性マーカ123の輪郭に一致し、FO202を超える同時前進のための2つ間の滑らかな移行の点となり、心房中隔横断点上のシース先端部縁部の「ハングアップ」を防止する。
【0039】
使用方法
図7及び
図8を参照すると、例示的な操作方法が、ヒト患者201上で以下の通り成され得る。以下に記載されるように、この技術は、概して、標準的な蛍光透視法が追加されたTEE又はTTEによって案内される。処置はまた、心臓内エコー、リアルタイムMRI、又は前処置体積レンダリングコンピュータ断層撮影画像との画像統合によって案内され得ることを理解されたい。この後者の撮像方法は、予め取得されたコンピュータトモグラフィー画像が案内のために配向及び重ね合わせられ得る、標準的な蛍光透視画像を使用する。心臓200及び経中隔シース100の心房領域への挿入を含む、ヒトの解剖学的構造の一般的な説明のために本明細書に組み込まれる、Nanceらの米国特許第8,900,214号を参照する。
【0040】
0.032インチの先端部J字のGWは、蛍光透視法を使用して、右大腿静脈216から上大静脈218に前進される。偏向可能なシース100及び拡張器108は、先端部J字のGW10の上のユニットとして前進し、RA206の中央において位置決めされる。先端部J字のGW10が取り外され、拡張器108がフラッシュされる。GW10の遠位先端部18は、次いで、蛍光透視下で0.032インチの互換性拡張器108に前進され、GW10の遠位先端部18は、拡張器遠位セグメント110のすぐ近位に位置決めされる。
【0041】
シース100上の人間工学的ハンドル104は、軸方向に配向されて、偏向可能な先端部124がFO202に向かって前屈曲されることを可能にする。シース100をFO202に向かって操作する前に、拡張器108の1~3cmを、固定シース100の遠位に、蛍光透視及び心エコーで前進させる。この前方又は後方の配向を達成するために、シース100は、前方に、又は後方にトルクをかけられる。シース100は、より上方位置又は下方位置を得るために前進又は引き抜かれる。再び、近位シースハンドル104は、遠位先端部124を上方、すなわち逆行、又は下方、すなわち、順行、軌道に屈曲させるために曲げられる。TEEプローブは、直交図:上方-下方配向のバイカバル図及び前方-後方位置決めを実証するための大動脈レベルでの短軸図を使用する、FO202及び隣接する拡張器遠位先端部110の最適な撮像のために最も一般的に使用される。これらのTEE図を使用して、処置特有の穿刺のためのFO202上の正確な位置が、取得され得る。シースハンドル104に隣接するアクチュエータ112は、拡張器先端部110をゆっくりと反復的に前進させて、FO202内に「テンティング」及びTEEによって確認された正しい位置を作成するために使用される。拡張器遠位先端部110が誤って位置決めされる場合、拡張器108は、アクチュエータ112で引き抜かれ、シース100を操作した後に再方向付けされ得る。
【0042】
テンティング位置を使用して確認された正確な位置決めにより、GW10の近位端は、前進し、針先端部18が、穿刺し、FO202膜を横断する。GW10が更に前進する際、針12は、GW10のループセグメント14に取り付けられるヒンジ点20において急激に屈曲する。GW10が更に前進する際、その遠位コイル14は、LA208内に自己位置決めされ、針12は、コイル24、26の中心に屈曲した状態に保たれる。カテーテルは、常に吸引され、交換でフラッシュされる。患者は、GWループセグメント14がLAに前進するとすぐに、治療的にヘパリン化される。GW10の正確な位置決めは、その事前形成された形状を検証することによって確認される。コイル状又はループ状セグメント14は、本明細書に記載されるように、いくつかの異なる実施形態をとることができる。拡張器108は、シース100をRA206内の固定位置に維持するコイル状ワイヤの上を前進させる。
【0043】
適切な長さの拡張器108が蛍光透視下で前進した状態で、拡張器108及びシース先端部124上の放射線不透過性マーカ122、123は、RA206内で重ね合わさり、両方のカテーテルの外径が等価であり、単一ユニットとしてLA208に前進する準備ができていることを確認する。ここで、シース先端部124は、FO202を超えて、かつLA208内に静止する。再び、全ての拡張器108及びシース100の操作は、片手処置として実施される。拡張器108は、取り外され、GWワイヤループ24、26及びシース100をLA208内に静止状態に維持する。
【0044】
GW10の細長い近位セグメントは、ここでシース先端部124に前進された一次デバイスが装填され、GW10は、取り外される。次いで、シース100は、より微細に操作されて、デバイスを標的に送達し、続いて配備され得る。配備後、偏向可能なシース100は、RA206に引き戻され、続いて患者から取り出される。ヘパリンは、プロタミンと入れ替えられ、経皮血管入口は閉鎖される。
【0045】
この経中隔処置は、穿刺される前に、FO202の正確な位置に反復的に前進される、前向きカテーテルシステムを用いて実施される。カテーテルシステムの性質は、1つのデバイス形状のみがLA208にアクセスするために必要となるようなものである。これは、カテーテルが、多数のカテーテルサイズを使用して、FO202にトルクをかけ、初期に小さすぎて、FO202に到達できない、又は長すぎて、FO膜から滑り落ちるリスク、及び潜在的にRA自由壁を穿孔するリスクを患者に負わせる場合がある、現在の技術とは異なる。
【0046】
ガイドワイヤ、針。拡張器及びシース
図9A及び
図9Bは、先に
図1~
図4に前述されたように、本主題の経中隔ガイドワイヤ10のガイドワイヤループ14の遠位端であり得る、ガイドワイヤ遠位端22に関する実施形態を示す。経中隔ガイドワイヤ10は、本主題の拡張器シャフト109の拡張器遠位セグメント106内に位置決めされ得る。拡張器シャフト109及び拡張器遠位セグメント106は、ガイドワイヤ針先端部18、ガイドワイヤループセグメント14、及び経中隔針12が著しい摩擦力なく内部を容易に通過することを可能にする、拡張器管腔直径250を伴う、拡張器管腔111を有する。
図9A及び
図9Bに示されるように、ガイドワイヤ直径258と同じ直径であることが示される、針本体直径255を有する針本体252は、拡張器管腔直径250よりも約0.002インチ、例えば、(両端値を含む、0.001~0.004インチの範囲)小さくなり得る。針本体直径255は、拡張器管腔直径250よりも著しく小さいということはなく、その結果、拡張器内側湾曲壁260及び拡張器外側湾曲壁265は、針本体252と接触し、針本体中心軸270と拡張器中心軸275との位置合わせを提供することができる。針12は、拡張器中心軸275と同軸である針本体252の軸方向の位置合わせを提供するために、約5mm(両端値を含む、3~20mmの範囲)の針の長さを有することができる。
【0047】
針先端部18は、
図14Aに示されるように、針本体252から円錐状又は先細りの形状で延在して、心房中隔204のFO202内に見出される組織を貫通することができるか、又は、FO周辺の他の場所を貫通するか、他の血管壁若しくは臓器隔膜を貫通するために使用することができる、鋭い針点285を形成することができる。針点285の拡張器外側湾曲壁265との貫入接触を行うことなく、針-ガイドワイヤ10が、拡張器管腔111内で遠位方向に横断することを可能にするために、針先端部18は、特定の針先端部長295及び針先端部角度300で形成され得る。
図9Bに示されるように、拡張器108は、拡張器の曲率半径305で湾曲形状に屈曲させることができる。下大静脈215(
図8を参照)からFO202にアクセスするのに必要な拡張器曲率半径305の下限は、約1cm(両端値を含む、0.75~2cmの範囲)であり得る。拡張器管腔直径250は、約0.035インチ、例えば(両端値を含む、0.026~0.038インチの範囲)であり得、針本体直径255は、約0.030インチ、例えば(両端値を含む、0.025~0.031インチの範囲)であり得る。例えば、1cmの屈曲の拡張器曲率半径305の周囲に延在する拡張器108に関する標準的な幾何学的考慮事項を使用すると、針先端部長295がおおよそ2mmであり、針先端部角度が26度、例えば、(両端値を含む、8~30度の範囲)を有する針先端部18は、針点285が拡張器外側湾曲壁265に突き刺さるか、又は貫通することを可能にすることなく、拡張器曲率半径305の周囲で針先端部18の移動を提供することが示され得る。様々な針先端部18の形状(非線形の表面屈曲など)及び角度が、針先端部長295及び針先端部角度300を変更するために、使用することができる。例えば、拡張器管腔直径250よりも小さい、約0.002インチの針本体直径255間の精密許容度は、針本体252と針先端部18との軸方向位置合わせを提供し、その結果、ヒンジ点20における針12の座屈は、著しくなく、経中隔拡張器108は、針12を拡張器中心軸275との同軸位置合わせに方向付ける。
【0048】
図10A~
図10Dは、ガイドワイヤ遠位端22と針本体252との間に位置付けられたヒンジ点20の実施形態を示す。ヒンジ点20又はヒンジ20は、例えば、ステンレス鋼、ニチノール、又は他の弾性金属などの弾性材料から形成され得、この弾性材料は、例えば、90度の屈曲部、又は好ましくはより鋭角の屈曲部などの特定の平衡形状を有する。ヒンジ点20が、例えば、拡張器108によって提供されるような拘束力に起因して、一時的に直線形状に真っ直ぐに伸ばされる場合、ヒンジ20は、拘束力を除去するとその屈曲形状に戻る。ヒンジ点20又はヒンジ20は、針本体252に接合されるガイドワイヤ遠位端22の連続部分として形成され得、ヒンジ20は、ガイドワイヤ遠位端22に接合された、針本体252の連続部分であってもよく、又はヒンジ20は、針本体252の両方に接合され、ガイドワイヤ遠位端22に接合される別個の領域であってもよい。ヒンジ20は、例えば、ニチノール針と隣接するニチノールから形成され得、針12は、ガイドワイヤ遠位端22に接合されるか、又は取り付けられ得る。接合プロセスは、様々な溶接、ろう付け、若しくははんだ付け方法を含むことができるか、又は接着剤若しくは機械的接合方法を使用することができる。代替的に、熱加工方法を使用して、ヒンジ点20を、例えば、鋭角などの特定の急角度を有する平衡形状に形成することができる。
【0049】
ヒンジ点20は、断面が円筒形であり、
図10Aに示されるような、ガイドワイヤ直径258又は針本体直径255の直径と等しいヒンジ直径310を有する、ヒンジ20から形成され得る。ヒンジ20は、例えば、ニチノール又はエルギロイなどの弾性材料から形成され得、その結果、拡張器管腔111内に収容されている間、略線形状を維持するが、拡張器遠位先端部110又は拡張器遠位端110からヒンジ20を送達すると屈曲し、例えば、
図10Bに示されるように、ガイドワイヤ遠位端22と針本体252との間の鋭角針-GW角度315又は屈曲(両端値を含む、45~140度の範囲)を有する、平衡形状を形成する。
【0050】
代替的な実施形態では、ヒンジ点20は、
図10Cに示されるように、ガイドワイヤ直径258又は針本体直径255よりも小さいヒンジ直径310を有する円形ヒンジ断面320で形成され得る。より小さいヒンジ直径310は、ヒンジ20が、例えば、略線形の構成で拡張器管腔111内を移動する際、ニチノール材料の弾性変形を介して屈曲することを可能にする。拡張器遠位先端部110からヒンジ20を解放すると、針本体252は、ガイドワイヤ遠位端22で特定の針-GW角度315(両端値を含む、45~140度の範囲)を形成する。
【0051】
更に別の実施形態では、ヒンジ点20は、
図10D及び
図10Eに示されるように、ヒンジ断面320を矩形ヒンジ322の状態で形成され得る。ヒンジ20は、弾性材料から再び形成することができるが、機械加工されるか、又は別の方法で矩形形状に形成され、円形の形状にわたる利益を提供することができる。針本体252は、(例えば、概して紙の平面におけるループセグメント14として示されるように)ガイドワイヤループセグメント14の平面によって画定される特定の方向において屈曲されることを意図されるため、ヒンジ20は、ヒンジ屈曲軸323がループセグメント14と同一平面上にあるように形成され得る。ヒンジ高さ325は、ヒンジ幅330よりもはるかに小さくなり得、それにより、ヒンジ20をヒンジの弾性限界よりもはるかに下回って維持しながら、ヒンジ20の屈曲を容易にすることを可能とし、その結果、屈曲は、拡張器管腔111内に制限されながら、完全に弾性のままである。ヒンジ幅330は、ガイドワイヤ遠位端22においてガイドワイヤ直径258と等しくなり得、ガイドワイヤ遠位端22の曲率と類似の曲率である、丸みを帯びた縁部を有することができ、ヒンジ高さ325よりも大きいヒンジ幅330は、針本体252に伝達されるガイドワイヤ10の最適な押込みを提供することができ、その結果、針先端部18は、
図14Aに示されるように、FO202を超えて押され得る。ヒンジ長さ335は、ヒンジ20が、拡張器108内で略線形の構成の間に、弾性状態のままであることを確実にするように調節することができ、その結果、拡張器遠位先端部110からのヒンジ20の解放時に、ヒンジ20は、例えば、(45~140度の範囲の)鋭角針ガイドワイヤ角度315に屈曲し、
図10Eに示されるように、針本体252をガイドワイヤ遠位端22に対して鋭角に屈曲する。
【0052】
より長いヒンジ長335は、より長い長さにわたって屈曲変形を拡げ、したがって、ヒンジ点20は、拡張器108内で真っ直ぐな形状で送達された後に、平衡屈曲形状に戻るために、より大きな弾性を保持する。ガイドワイヤ直径258よりも小さくなり得るヒンジ高さ325は、ヒンジ点20の屈曲中に、ヒンジ点20を弾性状態に更に維持する。ヒンジ幅330とともにヒンジ高さ325は、経中隔拡張器108を出る時に、ガイドワイヤ遠位端22に関して鋭角に針を折り畳むために提供される力の量を判定する。ヒンジ20は、それによって、例えば、ガイドワイヤ直径258に対してより小さいヒンジ高さ325で設計されて、ガイドワイヤ直径258と同じ直径を有するヒンジ20を伴う円筒ワイヤからヒンジ20を形成するよりも、針本体252を折り畳むためのより小さい屈曲力を提供することができる。
【0053】
更に別の実施形態では、
図11A~
図11Cに示されるように、先端部シース340が、針先端部18の周囲に配置されて、針本体中心軸270と拡張器中心軸275との同一直線上の位置合わせを提供する。
図11Aに示されるように、先端部シース340は、針先端部18の周囲に配置され、針点285までわずかに遠位に延在する。先端部シース340は、針本体252の周囲に摩擦嵌合を介して嵌合して、経中隔ガイドワイヤ10及び針が、座屈なく、かつ針点285が拡張器管腔壁342に穿刺することなく、拡張器管腔111内で遠位方向に横断することを可能にし得る。先端部シース340は、例えば、拡張器管腔直径250から、(先端部シース直径は、拡張器管腔直径250よりも0.002~0.005インチ小さい).003インチの適切なクリアランスを提供して、先端部シース340及び針本体252がともに、拡張器管腔111内を遠位に前進する際に容易な移動を可能にする、先端部外径345を有するように形成される。拡張器遠位先端部110に位置付けられるのは、拡張器管腔111の内側から拡張器108の外側の領域への先端部シース340の移動を防止する、拡張器停止部350であり得る。拡張器停止部直径355は、例えば、先端部シース外径345未満の0.004インチ(両端値を含む、0.002~0.008インチの範囲)であり、先端部シース340が、拡張器停止部350を超えて拡張器管腔111から出ることを防止することができる。針本体252及び先端部シース340が拡張器管腔111を通って遠位方向に前進する際、先端部シース340は、拡張器停止部350と接触し、拡張器停止部350と接触したままであり、一方、例えば、拡張器停止部直径355よりも0.002インチ小さくなり得る、(両端値を含む、0.001~0.005インチ小さい範囲)針本体252は、拡張器停止部350を自由に通過することができる。先端部シース340は、針先端部18が拡張器管腔壁342内に穿刺することを防止する、保護被覆を針先端部18に提供することができ、また拡張器中心軸275と同一直線上位置合わせの状態の針本体中心軸270を提供することもできる。
【0054】
先端部シース340は、例えば、テフロンなどの潤滑性プラスチック材料から形成することができ、その結果、拡張器108を通って横断する間、拡張器管腔壁342に対して十分に摺動することができる。また、テフロン表面は、先端部シース340が拡張器停止部350と接触した後に、針本体252及び経中隔ガイドワイヤ10が、先端部シース340の内側表面を通過することを可能にする。先端部シース内径360は、例えば、ガイドワイヤ直径258よりも0.002インチ小さくなり得、拡張器停止部350を通るガイドワイヤ10の無制限の移動を提供することができる。
【0055】
更に別の実施形態では、
図11Aに記載されるような先端部シース340は、
図11B及び
図11Cに示されるように、解放可能な先端部シース365が、拡張器停止部350と接触した後、針本体252からの解放を提供するように形成された解放可能な先端部シース365となり得る。解放可能な先端部シース365は、針本体直径255よりも、例えば、約0.002インチ小さい、(0.001~0.010インチ小さい範囲)先端部シース平衡内径370を有するように形成され得る。より小さい先端部シース平衡内径370は、拡張器管腔111を通る針本体252の遠位側横断中に、解放可能な先端部シース365の針本体252への解放可能な保持取り付けを提供することができる。解放可能な先端部シース365は、例えば、編組管状構造体を用いて、又は、より短い先端部シース長さ375に押し込まれる際に直径が大きくなる傾向があるエラストマーポリマー管状構造体を用いて、形成され得る。
図11Cに示されるように、解放可能な先端部シース365が拡張器停止部350と接触すると、解放可能な先端部シース365は、拡張器停止部350との接触時に圧縮され、針本体直径255よりも大きい解放可能な先端部シース拡大直径を有する、解放可能な先端部シース拡大直径380まで、直径が大きくなる傾向があり、解放可能な先端部シース365の拡張により、針本体252及びガイドワイヤ10が解放可能な先端部シース管腔385を自由に通過し、拡張器先端部から出ることを可能にする。
【0056】
本主題の経中隔ガイドワイヤ10(針-ガイドワイヤ又はガイドワイヤ)、拡張器108、及び偏向可能なシース100は、
図12、
図13、及び
図14A~
図14Fに示される構造及び構成を備えることができ、本主題は、例えば、診断又は治療処置を実施するために、RAから左心房室にFOを横断させるために使用され得る。本主題はまた、血管導管の壁を横断し、心臓の別の隔膜を横断するか、又は身体の別の臓器の壁/隔膜を横断するために使用され得ることが理解される。ガイドワイヤ近位セグメント16、ガイドワイヤループセグメント14、及びガイドワイヤ遠位端22は、
図12に示され、
図1~
図4及び
図7~
図8に前述される。主題は、本主題の針-ガイドワイヤ10が、心房中隔204に偶発的に衝突又は侵入することからの経中隔針の急激な屈曲を可能にすることなく、かつLAにおけるガイドワイヤループセグメント14の適切な形成を防止することなく、FO壁390を超えて、安全かつ効率的な通路を提供することを意図する。
図12、
図13、及び
図14A~
図14Fに示されるように、経中隔ガイドワイヤ10は、針本体252が、急激に屈曲することを可能にし、例えば、ガイドワイヤ遠位端22との鋭角(両端値を含む、45~140度の範囲)などの、針-ガイドワイヤ角度315を形成するヒンジ点20を有することができる。針本体252が拡張器108から出て、LA208へと延在する際(
図14A~
図14Fを参照)、針先端部18が、心房中隔204に衝突又は貫通せず、それによって、前述されたように、ループセグメント14がLA208に適切に送達されることを防止することが重要である。針先端部18を、心房中隔204を超えて送達するとき、針先端部18の場所を識別することを助けるために、遠位ガイドワイヤ放射線不透過性マーカ395は、針先端部18に隣接した場所で針本体252上に位置付けられ得る。ガイドワイヤヒンジ放射線不透過性マーカ398は、ヒンジ20に隣接するガイドワイヤ遠位端22上に位置付けられて、拡張器遠位放射線不透過性マーカ505の蛍光透視可視化を介して識別される際、拡張器遠位先端部に対する針本体位置の蛍光透視可視化を提供し得る。外部マーカは、患者の身体の外側の場所において、ガイドワイヤ近位セグメント16及び拡張器シャフト109上に代替的に、又は追加的に配置され得、かかる外部マーカは、FOのテンティング中、並びに針-ガイドワイヤ10及び拡張器108がFOを超えて前進する間に、拡張器遠位端110に対するガイドワイヤ針先端部18の軸方向位置決めを判定するために使用され得ることに留意されたい。
【0057】
図12に示されるように、経中隔ガイドワイヤ10は、ステンレス鋼、ニチノール、又は医療デバイス業界において使用される標準的なガイドワイヤを形成するために、一般的に使用される他の材料などの金属から形成することができる。針の長さ280は、例えば、約5mm(両端値を含む、3~15mmの範囲)であり得、
図14B及び後で本明細書において更に記載されるように、適切な針の長さ280を有して、FO202の2~3mmの厚さの壁390を通って横断し、依然として拡張器突出部400内に延在する経中隔針の少なくとも1~2mmの軸方向長さを有して、(
図13及び
図14Aを参照)ヒンジ点20において屈曲することなく、拡張器突出部400との軸方向位置合わせで針を保持することが意図される。より短い針の長さ280(依然として針の長さ範囲内にある)は、FO壁390を横断するために針の複数の短い前進(例えば、1~3mmの軸方向移動の2~3の前進)を必要とし、続いて針の軸方向位置合わせ支持を提供する拡張器突出部400の複数の同様の前進が続く。より長い針の長さ280(依然として針の長さ範囲内にある)は、針が心房中隔204に貫通しなかったことを確実にするために、より長い拡張器突出部の長さ415を必要とし(
図13及び
図14A~
図14Dを参照)、拡張器遠位端110から針が出て、ヒンジ点20において針-ガイドワイヤ10の屈曲が続き、かかるより長い針の長さ280はまた、拡張器遠位先端部110又は拡張器遠位端110からの針先端部18の配備中に、針先端部18がLA横方向壁405(
図14Cを参照)への衝突をもたらし得る。本主題で使用される針の長さ280及び拡張器突出部の長さ415は、全ての針-ガイドワイヤ10をLAに送達する前に、針12をLAの中心領域に送達することを意図している。
【0058】
本主題の実施形態の拡張器遠位領域245は、
図13及び
図14Aに示されるように、拡張器傾斜セグメント410及び拡張器突出部400を備える、拡張器遠位セグメント106を有することができる。拡張器突出部400の外側円筒表面は、拡張器変曲点412において傾斜セグメント410の外側表面に接触する。拡張器突出部400は、傾斜セグメント410から拡張器遠位先端部110まで延在し、低輪郭の薄肉拡張器突出部400に起因して、FO202FOを著しく拡張することなく、FO壁390を通って容易に延在される薄肉円筒形状を有する。拡張器突出部400は、それによって、針が急激に屈曲する、及び潜在的に心房中隔204に衝突するか、又は貫通することを可能にすることなく、経中隔ガイドワイヤ10の針を、FOを通じて、LA208のチャンバに方向付けることができる。拡張器突出部の長さ415は、例えば、9mm(5~18mmの範囲)であり得、より短い拡張器突出部の長さ415は、FO壁390を超えて、LA208に針を方向付けなくてもよく、それにより、針のヒンジ点20が鋭角に屈曲され、潜在的に心房中隔204に衝突するか、又は貫入することを可能にする。より長い拡張器突出部の長さ415は、針をFOの平面に対して垂直に方向付けるための支持を提供しなくてもよく、加えて、かかるより長い突出部の長さ415は、所望よりもLA208に更に延在し得、それによってLA208に送達されるように針先端部18を潜在的に方向付け、LA208の側壁405に衝突させる(
図4Cを参照)。
【0059】
拡張器突出部400は、ステンレス鋼、ニチノール、若しくは他の金属で作製された薄肉ハイポチューブから形成されるか、又は、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、若しくは引張強度が高い他のポリマーなどのポリマー材料から形成され得、拡張器管腔直径250が、0.035インチ(両端値を含む、0.025~0.038インチの範囲)の経中隔ガイドワイヤ10又は標準的なガイドワイヤのための精密許容度(例えば、両端値を含む、0.002~0.004インチのクリアランス)を有する通路を提供することができる状態で、薄肉(例えば、0.003インチの壁厚、両端値を含む、0.0015~0.005インチの範囲)チューブに形成され得る。それゆえ、拡張器突出部400は、ガイドワイヤ固定直径258と同様の外径を有して、FO202を超える容易な移行アクセスを拡張器突出部400に提供する。拡張器突出部400は、拡張器傾斜セグメント410内に延在することができ、かつ接着剤、拡張器108のポリマー材料にインサート成形、熱結合、溶媒結合、又は他の接着方法を介して、拡張器傾斜セグメント410に恒久的に取り付けられ得る。拡張器傾斜セグメント410は、
図13に示されるように、拡張器突出部400を形成する薄肉チューブの突出部支持領域420に対する支持及び安定した土台を提供する。拡張器傾斜セグメント410は、拡張器突出部400の直径に等しい小径から、拡張器固定直径118に等しいより大きい直径を有する拡張器肩部425まで、先細りの様式で、拡張器突出部400から近位に延在し、これが前述されたように、偏向可能なシース100(シース直径は、約8.5Fr、例えば、6Fr~20Fr超の範囲)内の最小の摩擦、かつ偏向可能なシース100からの完全な側部支持の状態で通過することができる。拡張器傾斜セグメント410は、潤滑性拡張器傾斜セグメント410の機能的態様、及び圧潰なくガイドワイヤ上で前進させることができる薄肉高圧縮強度の拡張器突出部400に好適な材料で拡張器のこれらの部分を形成することによって、拡張器突出部400と同じ材料で、かつ拡張器突出部400と連続的に形成され得る。
【0060】
拡張器108は、拡張器肩部425から5mmの軸方向距離で(拡張器肩部の近位の全拡張器シャフト109まで3mmの範囲)、近位方向に延在する拡張器固定直径118を有する、円筒形状の拡張器位置合わせゾーン430を有することができる。拡張器位置合わせゾーン430は、
図14Aに示されるように、拡張器中心軸275のシース直線領域440内のシース中心軸435との軸方向位置合わせを提供する。拡張器軸方向位置合わせゾーン430の目的は、拡張器位置合わせゾーン430及び拡張器突出部400に制御された方向性を提供することであり、その結果、拡張器位置合わせゾーン430及び拡張器突出部400は、テンティング525の間、及びFO202を針-ガイドワイヤ10で貫通する前に、偏向可能なシース100を介して、FOに対して垂直であるように方向付けられる。軸方向位置合わせゾーン430は、FOの表面に沿って摺動することなく、FO202内の所望の標的部位を保持するための針の能力を増強させ、角度の付いた隔壁穿刺をもたらす。
【0061】
本主題の経中隔拡張器108は、拡張器位置合わせゾーン430の近位に位置付けられ、シース屈曲領域530の軸方向長さ全体にわたって延在するために、約20mm(両端値を含む、5~50mmの範囲)延在する、拡張器腰部445を有することができる(
図14Aを参照)。拡張器腰部445は、拡張器肩部425に近接する拡張器シャフト109の残部よりも可撓性であるが、依然として適切な押し込み性又は拡張器シャフト109の圧縮特性を有する、拡張器シャフト109の領域を提供する。拡張器腰部445は、例えば、拡張器固定直径118の直径の50パーセント(両端値を含む、30~95パーセントの範囲)である、拡張器腰部直径500を有することができる。腰部445はまた、例えば、拡張器シャフト109の残部よりも低いデュロメータポリマーを有するポリマーから形成され得、その結果、拡張器腰部直径500は、拡張器固定直径118と均一かつ等しくなり得るが、より高い可撓性を有し、適切な押し込み性を保持する。
【0062】
拡張器遠位放射線不透過性マーカ505などの放射線不透過性マーカは、拡張器遠位先端部110の近くに配置される。遠位拡張器放射線不透過性ROマーカ505は、遠位ガイドワイヤROマーカ395に対する拡張器遠位先端部110の場所を医師が可視化することを可能にして、前述されたように拡張器遠位先端部110がFOに対して位置決めされて、FOのテンティング525を形成する際、針先端部18が、拡張器遠位先端部110から突出しないことを確実とする。
【0063】
拡張器肩部放射線不透過性マーカ122は、拡張器傾斜セグメント410に隣接して拡張器肩部425上に位置付けられる。拡張器肩部放射線不透過性マーカ122は、遠位シース放射線不透過性マーカ123と(蛍光透視下で)位置合わせされるか、又は重なり合うことができ、その結果、シース100及び拡張器108の軸方向に互いに重なり合う。かかる位置合わせは、標準的なガイドワイヤ上で、身体の血管構造を通って、RAに拡張器108及びシース100を送達する間、医師によって使用される。この位置合わせはまた、シース100及び拡張器108が、FO壁390超えてともに前進する際、本主題の経中隔ガイドワイヤ10上で嵌合する、面一の直径でともにシース100及び拡張器108の滑らかな移行を確実にするために医師によって使用される。
【0064】
拡張器マニホールド520上に位置付けられた拡張器近位ポート515は、標準的なガイドワイヤのためのアクセスを提供し、また、本主題の経中隔ガイドワイヤ10のための通路を提供するために使用することができる。遠位拡張器セグメント106上の拡張器突出部400の存在は、拡張器近位ポート515の使用のための本経中隔拡張器108の主題に対する追加的な利益を提供することに更に留意されたい。拡張器突出部400がFOを超えて位置決めされた状態で、経中隔ガイドワイヤ10は、拡張器108から取り外すことができ、拡張器管腔111は、LA208内に圧力測定値を提供するために使用され得る。拡張器近位ポート515は、治療処置の前又は後のいずれかで、LA208内の圧力読み取り値を取得するために、適切な圧力変換管を介して患者の身体の外側に位置付けられた圧力変換器に取り付けることができる。本主題の経中隔ガイドワイヤ10は、ガイドワイヤ交換の必要なく、治療処置を完了又は再開することが必要とされる際、本主題の拡張器管腔111内に効果的に再導入され得、針-ガイドワイヤ10を導入器に後退させることが、針-ガイドワイヤ10の容易な再導入を可能にする。
【0065】
本主題の経中隔ガイドワイヤ10及び拡張器108は、RA206内に位置付けられている偏向可能なシース100のシース遠位セグメント107内、及び拡張器突出部400によってFO202上にテンティング525を提供するための位置に収容されて、
図14Aに示される。前述されたように、拡張器108及び偏向可能なシース100は、標準的なガイドワイヤ上をRA206の部位に送達され、標準的なガイドワイヤは、本主題の経中隔ガイドワイヤ10によって置き換えられた。偏向可能なシース100は、最初、超音波又は他の撮像モダリティを使用して、FOに隣接して操縦される。
図14A~
図14Fは、経中隔ガイドワイヤ10を、FOを超えて、かつLAに配置するための連続的な使用方法に関する実施形態を説明する。
【0066】
図14Aに示されるように、シース近位端102に隣接する、シースハンドル104は、シース屈曲領域530内に屈曲部を形成して、シース直線領域440をFO202の平面に対して垂直に位置合わせさせるために作動する。シースハンドル104上に位置付けられたアクチュエータ212は、偏向可能なシース100に対して制御された様式で、拡張器を遠位に前進させるか、又は拡張器を近位に引き抜くために使用され得る。シース遠位端124は、シース遠位端124が、FO202から約5mmであるように、遠位シース放射線不透過性マーカ123の超音波観測を介して位置決めされる。針先端部18は、遠位GW放射線不透過性マーカ395が、拡張器遠位放射線不透過性マーカ505と重なっている(又は軸方向にわずかに近位にある)ことを示すことを、蛍光透視法を介して観察される際、テンティング525中に拡張器突出部400に引き込まれて、針先端部18が、拡張器遠位端又は拡張器遠位先端部110から突出しないことを確実とする。拡張器位置合わせ領域は、シース直線領域440と完全に摺動及び支持接触しており、その結果、拡張器突出部400の領域内の拡張器中心軸275は、シース直線領域440の領域内のシース中心軸435と同軸となる。
【0067】
拡張器位置合わせ領域は、
図14Aに示されるように、偏向可能なシース100が、拡張器突出部400をFOに対して垂直に方向付けることができるように、シース直線領域440によってしっかりと保持される。拡張器腰部445は、シース屈曲領域内に位置付けられ、その結果、拡張器腰部445の増強された可撓性は、シース100内の拡張器108の前進中、シース屈曲領域530を真っ直ぐにする傾向がない。可撓性拡張器腰部445は、拡張器108が拡張器の軸方向の長さ全体にわたって真っ直ぐな軸方向構成を形成する傾向を低減し、しかし、むしろ、シース屈曲領域530の屈曲部と一致する屈曲構成において容易に保持することができ、拡張器位置合わせゾーン430及び拡張器突出部400の、FO202の平面の平面に対して垂直な垂直位置合わせを提供する。
【0068】
テンティング525が、FO202内の適切な場所に生じたことを確認すると、針は、
図14Bに示されるように、FO壁390を超えて前進され得る。ヒンジ点20に対して遠位の針の一部分は、拡張器突出部400内に収容されて、突出部400の領域における、針本体中心軸270と、拡張器中心軸275との軸方向位置合わせを提供し、その結果、針本体252は、針の角度付けされた穿刺を防止し、それゆえ、FO202を超える針の前進に対する抵抗を提供するFO202の平面に対して垂直に方向付けられる。ガイドワイヤヒンジ放射線不透過性マーカ398は、拡張器遠位放射線不透過性マーカ505の近位に位置決めされる蛍光透視下で観察され得る。
【0069】
針先端部18がFO壁390を超えて前進する状態で(
図14Cを参照)、拡張器108は、経中隔ガイドワイヤ10を固定位置に維持しながら、経中隔ガイドワイヤ10上を前進することができる。拡張器遠位先端部110は、遠位ガイドワイヤROマーカ395に対して遠位であり、針の長さ280以上の突出部貫通距離535によって、FO壁390を越えて延在する、拡張器遠位放射線不透過性ROマーカの場所によって、超音波及び蛍光透視下で明らかとなるように、針先端部18の遠位に延在する。3mmのFO壁厚540の場合、例えば、9mmの拡張器突出部400は、拡張器変曲点412がFOと最初に接触するまで、経中隔ガイドワイヤ10上を前進することができ、それによって、例えば、LAへの6mmの突出部貫通又は突出距離535を提供して、例えば、5mmの針長さの針が、ヒンジ点20で偶発的に屈曲するか、又は心房中隔204に衝突若しくは貫通することができないことを確実とする。
【0070】
図14Dに示されるように、針-ガイドワイヤ10は、針をLA208のチャンバの中心領域内に配置し、針の完全な配備を可能にする拡張器突出部400を通って前進し、ヒンジが屈曲することを可能にし、好ましくは50~80度であるが、45~140度の範囲を有するガイドワイヤ遠位端22と、針-ガイドワイヤ鋭角315を形成する。針の長さと等しくなるか、又はそれより大きいLA208への突出部突出距離535は、針が心房隔壁204上に衝突するか、又は心房中隔204に貫通することを防止する。ガイドワイヤヒンジ放射線不透過性マーカ398は、蛍光透視下で明らかとなるように、拡張器遠位放射線不透過性マーカ505の遠位の位置まで前進し、針12が、拡張器遠位先端部110の遠位に延在することを示す。
【0071】
経中隔ガイドワイヤ10は、拡張器管腔111内で遠位に更に前進され得、その結果、
図14Eに示されるように、ループセグメント14が、LA208内に形成される。ループセグメント14は、前述されたように、異なるサイズ及び構成の複数のループから成り、約30mmの外径、25~40mmの範囲、を有することができる。ループセグメント14は、LA208の側壁405と接触することができ、心房中隔204は、ガイドワイヤの位置安定性に寄与する。LA内のガイドワイヤループセグメント14の存在は、針-ガイドワイヤ10上及びFO202を超えて、拡張器傾斜セグメント410及び偏向可能なシース100を前進させるための位置安定性を提供する。
【0072】
シース遠位端124は、
図14Fに示されるように、拡張器肩部ROマーカ122と遠位シースROマーカ123との重複によって明らかとなるように、拡張器肩部425と位置合わせされる。次いで、拡張器108及び偏向可能なシース100は、
図14Fに示されるように、FOを超えてともに前進し、例えば、約3mmのシース突出距離545をLAに配置する。
【0073】
次いで、偏向可能なシース100が、使用され得、FO202を超えて、かつ経中隔ガイドワイヤ10上に診断用又は治療用デバイスを送達するために、シース100からの拡張器108の取出しが続く。代替的に、偏向可能なシース100及び拡張器108は、両方とも、取り外すことができ、FOを超える診断用又は治療用デバイスの送達のために、FOを超えて経中隔ガイドワイヤ10を残すことができる。
【0074】
図15に示されるように、FO壁厚540は、時には、2~3mmより大きく、患者によっては5mm以上のFO壁厚540に達し、それによって、
図14DのFOを超えて経中隔ガイドワイヤ10を前進させるための使用方法を変更することができる。過度に厚くなったFO壁390の状況下で、医師は、拡張器変曲点412をFO壁390の一部分に前進させることを望む場合があり、それによって、LAに延在する拡張器突出部突出距離535の量が増加する。拡張器突出部の突出の長さにおける増加は、針先端部18が心房中隔204に偶発的に衝突するか、又は貫通し得ることを懸念することなく、LA208に安全に前進するために、針が、突出部の突出の長さ以下の針の長さを有することを可能にする。数ミリメートルの複数の前進工程は、経中隔ガイドワイヤ10を前進させ、続いて、FO壁390が正常に横断され、ガイドワイヤループセグメント14が、LAに正常に送達されるまで、拡張器108を前進させることによって実施することができる。使用方法の残りの工程は、前述したものと同じである。
【0075】
結びのメモ及び実施例:
上記発明を実施するための形態は、添付の図面を参照することを含み、添付図面は、発明を実施するための形態の一部を形成する。発明を実施するための形態は、図面を参照して読み取られるべきである。図面は、例解として、本主題を実践することができる特定の実施形態を示す。これらの実施形態はまた、本明細書では「実施例」とも称される。
【0076】
発明を実施するための形態は、例示的であり、限定的ではないことを意図する。例えば、上記の実施例(又はその1つ以上の特徴又は構成要素)は、互いに組み合わせて使用することができる。他の実施形態は、発明を実施するための形態を再検討する際の当業者などにより使用される場合がある。実施例の使用の範囲は、他の用途、例えば、非経中隔処置、血管及び非血管腔器官構造の両方に関して拡大することができる。また、様々な特徴又は構成要素が、本開示を効率化するためにともにグループ化されている。これは、特許請求されていない開示された特徴が任意の特許請求の範囲に必須であることを意図するものとして解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴にあり得る。それゆえ、以下の特許請求の範囲の実施例は、発明を実施するための形態に組み込まれ、各実施例は、別個の実施形態としてそれ自体を主張する。
【0077】
実施例1では、患者を治療する方法は、シースの管腔内に位置付けられた拡張器をシースに対して遠位に前進させることであって、拡張器の遠位端部分に位置付けられた拡張器突出部を使用して、心臓の卵円窩と関連する隔壁にテンティング力を適用することを含む、前進させることと、ガイドワイヤに取り付けられ、かつ拡張器の管腔内に位置付けられた針の先端部を、拡張器に対して遠位に前進させることであって、卵円窩と関連する隔壁を超えて穿刺することを含む、前進させることと、ガイドワイヤ及びシースを固定位置に維持しながら、拡張器をガイドワイヤの上で遠位に前進させることであって、拡張器突出部の遠位端を、卵円窩と関連する隔壁を越えて、針の長さ以上の距離分延在させることを含む、前進させることと、拡張器突出部を通って遠位にガイドワイヤを前進させることであって、心臓の左心房の中心領域における針の配備を可能にすることと、を含む、前進させることと、を含むことができる。
【0078】
実施例2では、実施例1の方法は、任意選択的に、拡張器をシースに対して遠位に前進させることが、シースのハンドル上に位置付けられているか、又はシースのハンドルに隣接して位置決めされたアクチュエータを操作することを含むように構成され得る。
【0079】
実施例3では、実施例1又は2のうちのいずれか一方の方法は、任意選択的に、拡張器をシースに対して遠位に前進させるとき、針の先端部が、拡張器突出部内に位置決めされるように構成され得る。
【0080】
実施例4では、実施例1~3のうちのいずれか1つ又はいずれかの組み合わせの方法は、任意選択的に、針の先端部を拡張器に対して遠位に前進させるとき、ガイドワイヤの遠位端と針の近位端とを接続するヒンジの位置が、拡張器突出部の遠位端の近位に維持されるように構成され得る。
【0081】
実施例5では、実施例4の方法は、任意選択的に、左心房の中心領域における針の配備を可能にすることは、ヒンジが屈曲し、かつガイドワイヤの遠位端と針の近位端との間に鋭角を形成することを可能にすることを含むように構成され得る。
【0082】
実施例6では、実施例4又は5のうちのいずれか一方の方法は、任意選択的に、左心房の中心領域における針の配備を可能にすることが、拡張器突出部の遠位端に対するヒンジの位置を可視化することと、ヒンジが拡張器突出部の遠位端の遠位に位置決めされたことを確認することと、を含むように構成され得る。
【0083】
実施例7では、実施例1~6のうちのいずれか1つ又はいずれかの組み合わせの方法は、任意選択的に、拡張器突出部の近位に位置付けられた、拡張器の位置合わせ領域の、シースの管腔壁との係合を通じて、拡張器とシースとの間の同軸位置合わせを維持することを更に含むことができる。
【0084】
実施例8では、実施例1~7のうちのいずれか1つ又はいずれかの組み合わせの方法は、任意選択的に、拡張器突出部の遠位端を、針の長さ以上の距離分、卵円窩と関連する隔壁を越えて延在させることは、針が、心臓の心房中隔の左側に衝突することを防止することを含むように構成され得る。
【0085】
実施例9では、実施例1~8のうちのいずれか1つ又はいずれかの組み合わせの方法は、任意選択的に、ガイドワイヤを、拡張器突出部を通じて遠位に前進させることは、ガイドワイヤループセグメントが左心房内で形を成すことを可能にすることを含むように構成され得る。
【0086】
実施例10では、実施例9の方法は、任意選択的に、ガイドワイヤループセグメントが左心房内で形を成すことを可能にすることが、ガイドワイヤループセグメントの一部分を、左心房側壁又は心房中隔の左側と係合させることを含むように構成され得る。
【0087】
実施例11では、実施例9又は10のいずれか一方の方法は、任意選択的に、拡張器及びシースを、ガイドワイヤ上を遠位に、かつ卵円窩と関連する隔壁を超えて前進させることを更に含み、拡張器突出部の近位に位置付けられた拡張器傾斜セグメントを、左心房に延在させることを含み、拡張器傾斜セグメントの近位に位置付けられた拡張器肩部、及びシース遠位端が続くことができる。
【0088】
実施例12では、実施例11の方法は、任意選択的に、拡張器及びシースのうちの一方又は両方を、患者から取り出すことと、診断用又は治療用デバイスを、ガイドワイヤ上及び卵円窩と関連する隔壁を超えて送達することと、を更に含むことができる。
【0089】
実施例13では、実施例1~12のうちのいずれか1つ又はいずれかの組み合わせの方法は、任意選択的に、ガイドワイヤを、拡張器突出部を通って遠位に前進させる前に、ガイドワイヤを近位に引き抜き、拡張器の管腔を使用して、左心房内の圧力を測定することを更に含むことができる。
【0090】
実施例14では、解剖学的壁横断システムは、近位端部分から遠位端部分まで延在し、かつ内部を通る管腔を含む、拡張部を備えることができる。遠位端部分は、拡張器突出部及び拡張器傾斜セグメントを含むことができる。拡張器突出部は、第1の外径、及び両端値を含む、約5~18mmの長さを有することができる。拡張器傾斜セグメントは、拡張器突出部の近位に延在することができ、及び第1の外径よりも大きい、第2の外径から、第1の外径まで先細になることができる。
【0091】
実施例15では、実施例14の壁横断システムは、任意選択的に、拡張器突出部が、両端値を含む、約0.0015~0.005インチの壁厚を有する、円筒形断面形状を含むように構成され得る。
【0092】
実施例16では、実施例15の壁横断システムは、任意選択的に、拡張器突出部が、薄肉ハイポチューブから形成されるように構成され得る。
【0093】
実施例17では、実施例14~16のうちのいずれか1つ又はいずれかの組み合わせの壁横断システムは、任意選択的に、拡張器が、拡張器傾斜セグメントの近位に延在し、かつ実質的に均一な外径を有する拡張器位置合わせゾーンを更に含むように構成され得る。
【0094】
実施例18では、実施例17の壁横断システムは、任意選択的に、拡張器が、拡張器位置合わせゾーンの近位に延在し、かつ拡張器位置合わせゾーンよりも大きい長手方向の可撓性を有する拡張器腰部を更に含むように構成され得る。
【0095】
実施例19では、実施例18の壁横断システムは、任意選択的に、拡張器腰部が、両端値を含む、約5~50mmの長さを有するように構成され得る。
【0096】
実施例20では、実施例18又は19のうちのいずれか1つの壁横断システムは、任意選択的に、拡張器腰部が、拡張器位置合わせゾーンの外径の、両端値を含む、30~90%である、外径を有するように構成され得る。
【0097】
実施例21では、実施例18~20のうちのいずれか1つ又はいずれかの組み合わせの壁横断システムは、任意選択的に、拡張器腰部が、拡張器位置合わせゾーンのポリマーよりも低いデュロメータポリマーから形成されるように構成され得る。
【0098】
実施例22では、実施例14~21のうちのいずれか1つ又はいずれかの組み合わせの壁横断システムは、任意選択的に、拡張器の管腔内で送達可能であり、かつ近位端から遠位端まで延在するガイドワイヤを更に備えることができ、遠位端が、針本体及び針先端部を有する穿刺針に取り付けられる。
【0099】
実施例23では、実施例22の壁横断システムは、任意選択的に、ガイドワイヤの中間部分が、少なくとも1つのループ状セグメントを含むように構成され得る。
【0100】
実施例24では、実施例22又は23のうちのいずれか1つの壁横断システムは、任意選択的に、穿刺針が、両端値を含む、3~20mmの長さを有するように構成され得る。
【0101】
実施例25では、実施例22~24のうちのいずれか1つ又はいずれかの組み合わせの壁横断システムは、任意選択的に、針本体が、針本体軸及び拡張器軸の同軸位置合わせを容易にするために、拡張器の管腔未満の、両端値を含む、0.001~0.004インチの針本体直径を有するように構成され得る。
【0102】
実施例26では、実施例22~25のうちのいずれか1つ又はいずれかの組み合わせの壁横断システムは、任意選択的に、ガイドワイヤの遠位端がヒンジにおいて穿刺針の近位端に取り付けられるように構成され得る。
【0103】
実施例27では、実施例26の壁横断システムは、任意選択的に、ヒンジが、形状記憶材料を含み、非拘束状態のとき、ガイドワイヤの遠位端と穿刺針の近位端との間に、両端値を含む、45~140度の角度を形成するように構成され得る。
【0104】
実施例28では、実施例26又は27のうちのいずれか1つの壁横断システムは、任意選択的に、ガイドワイヤ及び針本体の直径未満の直径を有する、円筒形断面形状を含むように構成され得る。
【0105】
実施例29では、実施例26又は27のうちのいずれか1つの壁横断システムは、任意選択的に、ヒンジが、矩形断面形状を含み、かつ少なくとも1つのループセグメントの平面によって画定される方向に屈曲するように構成されるように構成され得る。
【0106】
実施例30では、実施例22~29のうちのいずれか1つ又はいずれかの組み合わせの壁横断システムは、任意選択的に、針本体軸と拡張器軸との同軸位置合わせを容易にするために、穿刺針の周囲に配置された先端部シースを更に備えることができる。
【0107】
実施例31では、実施例30の壁横断システムは、任意選択的に、拡張器が、拡張器の管腔内の位置から拡張器の管腔の外部の位置への先端部シースの遠位移動を阻止するように構成された、拡張器停止部を含むように構成され得る。
【0108】
実施例32では、実施例31の壁横断システムは、任意選択的に、先端部シースが、圧縮下に置かれた際、直径を拡大するように構成されており、それによって、拡張器停止部との接触時に、穿刺針からの先端部シースの解放を可能にするように構成され得る。
【0109】
実施例33では、実施例14~32のうちのいずれか1つ又はいずれかの組み合わせの壁横断システムは、任意選択的に、偏向可能なシースを更に含み得る。
【0110】
実施例34では、実施例33の壁横断システムは、任意選択的に、拡張器の近位端部分が、偏向可能なシースのハンドルに組み込まれたアクチュエータと係合するように構成されるように構成され得る。アクチュエータは、偏向可能なシースに対する拡張器の遠位及び近位前進を制御するように構成され得る。
【0111】
特定の用語は、特定の特徴又は構成要素を指すために、本特許文献全体を通して使用される。当業者が理解するか、又は理解されるはずの際、当業者ではない人々は、異なる名前によって同じ特徴又は構成要素を指し得る。本特許文献は、名前が異なるが機能において異なることはない構成要素又は特徴を区別することを意図していない。
【0112】
以下の定義された用語について、本特許文献の所与の他の箇所に異なる定義が与えられない限り、特定の定義が、適用されるものとする。「a」、「an」、及び「the」という用語は、「少なくとも1つの」又は「1つ以上」という任意の他のインスタンス又は使用とは無関係に、1つ以上のものを含むために使用される。「又は」という用語は、非包括的を指すか、「A又はB」が「Aを含むがBではない」、「Bを含むがAではない」及び「A及びB」を含むように使用される。全ての数値は、明示的に示されているか否かに関わらず、「約」という用語によって修飾されると想定される。「約」という用語は、概して、当業者が列挙された値(例えば、同じ機能又は結果を有する)と等価であると考えられる数の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有意な数字に概数で表される数字を含むことができる。端点による数値範囲の記載は、その範囲内の全ての数及び部分範囲を含み、その範囲の境界を有する(例えば、1~4は、1、1.5、1.75、2、2.3、2.6、2.9など、及び1~1.5、1~2、1~3、2~3.5、2~4、3~4などを含む)。「患者」及び「対象」という用語は、ヒト又は獣医学的用途などの哺乳動物を含むことを意図する。「遠位」及び「近位」という用語は、治療臨床医に対する位置又は方向を指すために使用される。「遠位」及び「遠位に」は、治療臨床医から離れた、又は治療臨床医から離れる方向の位置を指す。「近位」及び「近位に」は、治療臨床医の近く、又は治療臨床医に向かう方向の位置を指す。
【0113】
本主題の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、かかる特許請求の範囲が権利となる均等物の全範囲とともに判定されるべきである。添付の特許請求の範囲において、「含む(including)」及び「その中の(in which)」という用語は、それぞれ「含む(comprising)」及び「その中の(wherein)」という用語と等価のわかりやすい英語として使用される。また、以下の特許請求の範囲において、「含む(including)」及び「含む(comprising)」という用語は、開放形式であり、すなわち、特許請求の範囲におけるかかる用語の後に列挙されるものに加えて、特徴又は構成要素を含むシステム、デバイス、又は方法は、依然として、特許請求の範囲内にあると見なされる。更に、以下の特許請求の範囲では、「第1」、「第2」、及び「第3」などという用語は、単にラベルとして使用され、それらの物体に数値要件を課すことを意図するものではない。
【0114】
要約書は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認することを可能にするために提供される。要約書は、請求項の範囲又は意味を解釈又は制限するためには使用されないという理解のもと、提出される。