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特許7707295ウェブ材料加工機、多層ウェブ材料の製造方法及び包装材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-04
(45)【発行日】2025-07-14
(54)【発明の名称】ウェブ材料加工機、多層ウェブ材料の製造方法及び包装材料
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/15 20190101AFI20250707BHJP
   B32B 27/06 20060101ALI20250707BHJP
   B29C 48/08 20190101ALI20250707BHJP
   C23C 14/56 20060101ALI20250707BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20250707BHJP
【FI】
B29C48/15
B32B27/06
B29C48/08
C23C14/56 A
B65D65/40 D ZBP
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023526169
(86)(22)【出願日】2021-10-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 EP2021079872
(87)【国際公開番号】W WO2022090337
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-04-26
(31)【優先権主張番号】20204253.7
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521208583
【氏名又は名称】ボブスト マンチェスター リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】コープランド ニコラス
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-049276(JP,A)
【文献】特開2019-171860(JP,A)
【文献】特開2020-157730(JP,A)
【文献】国際公開第2015/111572(WO,A1)
【文献】特開平10-278167(JP,A)
【文献】特開2020-040254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/08
B29C 48/15
B32B 27/06
B65D 65/40
C23C 14/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層材料(12)を製造するインラインウェブ材料加工機(10)であって、
加工されるウェブ材料(16)を供給する巻出機(14)と、
前記ウェブ材料(16)上に第1のコーティング材料(40)の薄膜を堆積させる第1の真空コーティングユニット(28)と、
加工される前記ウェブ材料(16)上に押出材料(44)の薄膜を押し出す押出コーティングユニット(32)と、
加工された前記ウェブ材料を巻き取る巻取機(18)と、
を備え、
前記ウェブ材料(16)及び前記押出材料(44)は、同じ材料でできており、
前記押出コーティングユニット(32)は、加工方向(20)に対して前記第1の真空コーティングユニット(28)の後方に配置され、
前記巻出機(14)、前記第1の真空コーティングユニット(28)、前記押出コーティングユニット(32)及び前記巻取機(18)は、真空室(36)の内部に配置され、
前記真空室(36)は、2つの真空領域(29,31)を有し、前記第1の真空コーティングユニット(28)は、前記真空領域の一方(29)内に配置され、前記押出コーティングユニット(32)は、前記真空領域の他方(31)内に配置され、
前記第1の真空コーティングユニット(28)は、前記ウェブ材料(16)を支持する加工ドラム(22、24)を備え、前記加工ドラム(22、24)は、前記押出コーティングユニット(32)に追加的に関連付けられ、前記押出材料(44)が塗布される前記ウェブ材料(16)の支持体としての機能を果たす、
インラインウェブ材料加工機(10)。
【請求項2】
接着に関する工程は含まれない、請求項1に記載のインラインウェブ材料加工機(10)。
【請求項3】
前記ウェブ材料(16)及び前記押出材料(44)に使用される前記材料は、PE、PP、バイオポリマー、又は、生分解性プラスチックを含む、請求項1又は2に記載のウェブ材料加工機(10)。
【請求項4】
加工される前記ウェブ材料(16)上に第2のコーティング材料(42)の薄膜を堆積させる第2の真空コーティングユニット(30)を備え、前記第2の真空コーティングユニット(30)は、前記真空室(36)内で前記加工方向(20)に対して前記第1の真空コーティングユニット(28)と前記押出コーティングユニット(32)との間に位置決めされる、請求項1から3のいずれか1項に記載のインラインウェブ材料加工機(10)。
【請求項5】
前記第1の真空コーティングユニット(28)及び前記第2の真空コーティングユニット(30)のうちの少なくとも一方は、蒸着ユニットである、請求項4に記載のインラインウェブ材料加工機(10)。
【請求項6】
加工される前記ウェブ材料(16)上に印刷する印刷ユニット(34)を備える、請求項1から5のいずれか1項に記載のインラインウェブ材料加工機(10)。
【請求項7】
前記印刷ユニット(34)は、前記真空室(36)における加工方向(20)に対して前記押出コーティングユニット(32)の後方に位置決めされ、前記押出材料(44)の薄膜上に印刷するように適合される、請求項6に記載のインラインウェブ材料加工機(10)。
【請求項8】
多層ウェブ材料(12)をインラインで製造する方法であって、
a)連続ウェブ又は別個のウェブの形で基材(38)を供給するステップと、
b)前記基材(38)上に、第1のコーティング材料(40)の薄膜を堆積させるステップと、
c)その後、前記第1のコーティング材料(40)の薄膜上に押出材料(44)の薄膜を押し出すステップと、
d)加工された前記多層ウェブ材料(12)を巻取るステップと、
を含み、
前記基材(38)及び前記押出材料(44)は、同じ材料でできており、前記ステップa)からc)は、真空室(36)内で実行され、
前記ステップb)及びc)は、前記真空室(36)内で互いに分離されたそれぞれの真空領域(29,31)内且つ同一の加工ドラム(22,24)上で行なわれる、方法。
【請求項9】
接着工程に関するステップを含まない、請求項8に記載の多層ウェブ材料(12)を製造する方法。
【請求項10】
前記第1のコーティング材料(40)の薄膜上に、第2のコーティング材料(42)の薄膜を堆積させ、前記第2のコーティング材料(42)の薄膜上に前記押出材料(44)の薄膜を押し出すステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
インク(46)は、前記押出材料(44)の薄膜上に印刷される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、真空下で実行される、請求項9から11のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層材料、特に多層包装材料、詳細にはモノマテリアルを製造するインラインウェブ材料加工機に関する。
【0002】
さらに、本発明は、多層ウェブ材料、特に多層包装材料、詳細にはモノマテリアルを製造する方法に関する。
【0003】
さらに、本発明は、包装材料に関する。
【背景技術】
【0004】
多層材料は、例えば、詳細には、食品、医薬品、医療構成要素、光学構成要素、電子構成要素を包装する包装材料に使用される。この分野の用途において、層のうちの1つは、通常、包装された商品を周囲の水分及び/又は周囲の空気及び/又は他の気体から保護する、いわゆるバリアである。さらに、層のうちの1つはまた、香りバリア及び/又は光バリアとしての役割を果たす。
【0005】
既知の多層材料は、多層材料を形成するために互いに取り付けられる必要がある複数のウェブから製造される。従って、これらの材料の製造には、単一のウェブ又は構成要素の製造専用の製作工程及び機械、及び、ウェブ又は構成要素の組み合わせ専用の製作工程及び機械を伴う。通常、多層材料の層が異なれば、異なる機能を有する。例えば、3つの層が存在することができ、1つは、シーラント機能、1つは、バリア機能、1つは、印刷用である。
【0006】
天然資源の枯渇に対する懸念が企業及び消費者で高まるにつれて、リサイクルが現状である循環経済への動きが高まる。特に包装業界については、リサイクル可能性が、ますます重要となる。
【0007】
これを達成することは、特に、多層構造などの、可撓性バリア包装材となると、包装材製造業者にとっては容易でない可能性がある。多くの場合、この包装材をリサイクルするには、様々なポリマー及び金属箔を分離することが必要であり、これは、費用がかかるか又は実用的ではない可能性がある。製造業者は、可撓性バリア包装材の簡素化という課題に直面する。これには、類似又は同一のポリマー等級で構成された、単一物質としてリサイクルすることができるモノマテリアルへの移行を伴う場合が多い。
【0008】
モノマテリアルとは、PE(LDPE、LLDPE、HDPE)、PP、PET、紙、生分解性プラスチックなど、主に1つの材料タイプを含むと定義される。プラスチックの場合、これは、90%以上の1つのタイプのポリマーを意味する。モノマテリアルを製造するには、積層手法及び接着手法を用いることが今日知られている。これらの手法は、モノマテリアルとは別の材料を必然的に必要とし、特に、材料がその後に印刷工程を経験する場合、モノマテリアルを定義する閾値を満たさない可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、多層材料の製造を単純化してより経済的にすることである。これは、特に、多層包装材料、詳細には、モノマテリアルの製造に適用される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、上記のタイプのインラインウェブ材料加工機によって解決され、インラインウェブ材料加工機は、加工されるウェブ材料上に第1のコーティング材料の基材、例えば、薄膜、紙などを堆積させる第1の真空コーティングユニットと、加工されるウェブ材料上に押出材料の薄膜を押し出す押出コーティングユニットとを備える。インラインのウェブ材料及び押出材料は、本質的に同じ材料でできている。押出コーティングユニットは、加工方向に対して第1の真空コーティングユニットの後方に位置決めされる。さらに、第1の真空コーティングユニット及び押出コーティングユニットは、1つの真空室の内部に配置される。従って、インラインウェブ材料加工機は、少なくとも3つの層を含む材料を製造するように適合される。真空コーティングユニット及び押出コーティングユニットは、両方とも、1つの真空室内に配置され、先行技術から知られているように、真空塗工機の前処理及び後処理だけではない。多層材料が包装材料である場合、ウェブ材料加工機は、包装構造体製造機と呼ぶこともできる。先行技術のウェブ材料加工機と比較すると、本発明によるウェブ材料加工機は、工程ステップの組み合わせを、詳細には、これまで別々の機械が使用されていた金属コーティング及び押し出しをインラインで実行することができる。結果的に、中間ウェブ材料の取り扱い及び輸送に関する工程ステップの数が低減される。詳細には、中間ウェブ材料、すなわち全ての工程ではなく一部の工程によって処理されてきたウェブ材料は、その後の工程ステップが行われる前にロールで巻き取る必要がない。同じことが、その後の工程ステップを行うために中間ウェブ材料を巻き出すステップにも当てはまる。また、接着又は積層に関する工程はもはや必要ない。これによって、生産時間及び生産コストが節減される。
【0011】
さらに、インラインウェブ材料加工機によって製造される多層材料は、品質が強化されたものとすることができ、なぜならば、取り扱いステップ及び輸送ステップがないので、例えば、いくつかの巻き出しステップ及び巻き返しステップによって、多層材料の構成要素に対する汚染及び/又は機械的損傷のリスクが大幅に低減されるからである。加えて、第1のコーティング材料の薄膜は、取り扱いに注意を要する及び/又は非常に薄い場合があるので、多層材料の品質は、その保護に役立つ押出材料で第1のコーティング材料の薄膜を直接覆うことによって強化される。これは、材料が機械を出る前に行われる。
【0012】
さらに、インラインウェブ材料加工機は、単純な構造の多層材料を製造するように適合され、従って、多層材料は、簡単にリサイクルすることができる。この文脈において、強化されたリサイクル可能性をもたらすモノマテリアルを得るために、例えば、質量又は体積の95%が同じ材料からできている1つの単一材料から大部分が作られている多層材料を製造することができる。
【0013】
加工されるウェブ材料、すなわち、異なるコーティング材料用のキャリア材料つまり基材は、ポリマー材料、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン、特に箔又はバイオポリマー系の構造体とすることができる。
【0014】
ウェブ材料は、エンドレスウェブ又は不連続ウェブの形で供給することができる。ウェブ材料がエンドレスウェブの形で供給される場合、ウェブ材料加工機は、「ロール単位で」作動することができる、すなわち、加工されるウェブ材料は、ロールで供給され、加工された多層ウェブ材料は、ロールに巻き取られる。
【0015】
インラインウェブ材料加工機は、一般に連続的に作動することができる。これは、ウェブ材料加工機のユニットの一部が不連続的に又はバッチ式に作動することを排除するものではない。ウェブ材料は、リールで供給され、リールの交換は、工程の途切れにつながる場合がある。加工されるウェブ材料は、リールの全体にわたって連続的に供給され、完成した多層材料は、ウェブ材料加工機を連続的に出ることができる。先行技術で知られている連続性を保証するために、リールを変更する別の可能性がある。別の可能性は、リールを変更する、従って、工程ステップにおける不連続性をもたらすことである。ウェブ材料加工機は、不連続的に作動するユニットを連続的に作動するユニットと互換性を持たせるために、1又は2以上のバッファユニットを含むことができる。
【0016】
本明細書において、材料のバリア薄膜は、この薄膜が塗布される基材つまりキャリア材料と比較すると薄い材料の層として理解されたい。好ましくは、バリア薄膜/層の厚さは、基材の厚さの90%未満、より好ましくは99%未満である。
【0017】
好ましくは、第1のコーティング材料の薄膜は、水分及び/又は気体が多層材料を通過するのを阻止するバリアとして機能する。
【0018】
本発明によるウェブ材料加工機を出る多層材料は、好ましくは、商品、例えば、食品の包装に使用できる状態になっている。従って、積層などのような追加的な大規模な処置は不要である。
【0019】
インラインウェブ材料加工機は、加工されるウェブ材料上に第2のコーティング材料の薄膜を堆積させる第2の真空コーティングユニットをさらに備えることができる。第2の真空コーティングユニットは、加工方向に対して、第1の真空コーティングユニットと押出コーティングユニットとの間に位置決めされる。第1のコーティング材料の薄膜及び第2のコーティング材料の薄膜は、両方とも、水分及び/又は気体が多層材料を通過するのを阻止するバリアとして機能することができる。また、第2のコーティング材料の薄膜は、ウェブ材料加工機を出る前に、押出材料の薄膜によって保護される。結果的に、第2のコーティング材料に関して、汚染及び/又は機械的な損傷のリスクは非常に低い。結果的に、インラインウェブ材料加工機は、高品質な多層材料を製造することができる。
【0020】
好ましくは、第1の真空コーティングユニット及び第2の真空コーティングユニットのうちの少なくとも一方は、蒸着ユニットである。蒸着ユニットは、液体又は固体状態でコーティング材料を使用する物理的な蒸着ユニット、又は、化学的蒸気を使用する化学的な蒸着ユニットとすることができる。場合によっては、これらの蒸着ユニットは、コーティング材料が必ずしも厳密な意味での金属ではないが、部分的に酸化された金属とすることもできるとしても、メタライザーと呼ばれる。このような蒸着ユニットは、コーティング材料の薄膜を精密かつ効率的にもたらすのに適する。結果として得られるコーティングは、信頼性が高い。
【0021】
蒸着ユニットは、コーティング材料、例えば、アルミニウムのワイヤが、溶融して蒸発するように個々の抵抗加熱された金属間蒸発器上に供給されるチャンバを備えることができる。
【0022】
実施形態によれば、第1の真空コーティングユニット及び第2の真空コーティングユニットのうちの少なくとも一方は、ウェブ材料を案内する領域を含む。これは、例えば、加工されるウェブ材料を支持する加工ドラムとすることができ、加工ドラムのうちの少なくとも1つは、押出コーティングユニットとさらに関連付けられ、押出材料が塗布されるウェブ材料の支持体としての機能を果たす。従って、加工ドラムは、第1の真空コーティングユニット及び第2の真空コーティングユニットのうちの少なくとも一方と押出コーティングユニットとの間で共用される。第2の真空コーティングユニットが使用される場合、加工ドラムは、好ましくは、第2の真空コーティングユニットと押出コーティングユニットとの間で共用される。従って、押出コーティングは、常に最終ステップである。加工ドラムは、冷却することができる。共用ドラムは、ウェブ材料加工装置のコンパクト設計を可能にする。
【0023】
別の可能性は、例えば、加工ドラムを使用せずに、フリースパン方式でウェブを案内することとすることができる。
【0024】
フリースパン構成は、真空コーティングされる基材が、蒸発源を伴って、支持ローラの間で非支持/フリースパン構成で保持され、蒸発材料が、蒸発によって塗布され、蒸発物が、非支持かつ非冷却でポリマーウェブ上に凝縮される真空のロール間施工機として定義することができる。この方法の利点は、冷却ドラム上での基板の熱変形により、加工ドラム上のしわの側への蒸着が減少し、金属化薄膜に「トラムライン(tramline)」欠陥が生じることを防ぐことである。また、フリースパン蒸着は、核生成及び膜成長の向上に基づくバリア性能の向上という何らかの利点を有する。フリースパンの欠点は、冷却された加工ドラムの省略に基づく冷却効果の低減である。
【0025】
変形例において、ウェブ材料加工機は、加工されるウェブ材料上に印刷する印刷ユニットを備える。結果的に、多層材料には印刷が施すことができる。従って、包装目的又は他の用途に直接使用することができる。
【0026】
印刷ユニットは、加工方向に対して押出コーティングユニットの後方に位置決めされ、押出材料の薄膜上に印刷するように適合させることができる。従って、印刷は、多層材料の外面/表面上の印刷である。従って、印刷は、例えば、リサイクル中に簡単に除去することができる。
【0027】
インラインウェブ材料加工機は、真空室を備えることができ、第1の真空コーティングユニット、第2の真空コーティングユニット、押出コーティングユニット、及び印刷ユニットのうちの少なくとも1つは、真空室の内部に配置される。好ましくは、上述した全てのユニットは、真空室の内部に配置される。この関連において、真空室は、特に、技術的な真空、すなわち、大気と比較すると低減された圧力を有する容積を生成するように適合される。結果的に、多層材料は、その製造中に大気の影響から保護される。結果的に、埃などによる汚染のリスクは、非常に低い。結果的に、ウェブ材料加工機は、高品質の多層材料を製造することができる。
【0028】
さらに、インラインウェブ材料加工機は、モジュール式で設計することができ、第2の真空コーティングユニット及び印刷ユニットは、必要に応じてウェブ材料加工機に容易に配置すること及びもはや必要ない場合には加工機から取り除くことができる。結果的に、ウェブ材料加工機は、複数の用途において使用される多種多様な多層材料を製造するように適合される。
【0029】
上記の課題は、上述したタイプの方法によっても解決され、この方法は、
a)連続ウェブ又は別個のウェブの形で基材を供給するステップと、
b)基材上に、特に金属又は金属酸化物である第1のコーティング材料の薄膜を堆積させるステップと、
c)その後、第1のコーティング材料の薄膜上に、押出材料の薄膜、特に、ポリマー薄膜を押し出すステップと、
を含み、
基材及び押出材料は、本質的に同じ材料でできており、ステップa)からc)は、真空室内で実行される。
【0030】
この方法は、1つの基材のみを備えるが、例えば、食品用の包装用途で使える状態である多層材料を製造することを可能にする。このような方法は、製造時間及び製造コストの点で効率的である。第1のコーティング材料の薄膜は、水分及び/又は気体が多層材料を通過するのを防止するバリアとして使用することができる。第1のコーティング材料の薄膜は、押出材料の薄膜によって保護される。結果的に、第1のコーティング材料の薄膜は、高品質とすることができる。この薄膜は、汚染及び/又は機械的損傷を受けるリスクが非常に低い。
【0031】
実施形態において、特に金属又は金属酸化物である第2のコーティング材料の薄膜は、第1のコーティング材料の薄膜上に堆積され、押出材料の薄膜は、第2のコーティング材料の薄膜上に押し出される。また、第2のコーティング材料の薄膜は、第1のコーティング材料の薄膜の機能を補完するバリアとして使用することができる。結果的に、多層材料は、所望の用途に応じて、異なるバリアの組み合わせを備えることができる。両方のバリアは、押出材料の薄膜によって保護される。
【0032】
インクは、押出材料の薄膜上に印刷することができる。結果的に、インクは、多層材料の外面に塗布される。こういう理由で、インクの塗布、すなわち、印刷は、比較的迅速かつ容易である。さらに、インクは、機械的除去又は化学的エッチングのいずれかによって、リサイクル手順中に除去することができる。これによって、多層材料は、リサイクルが容易である。
【0033】
インクは、好ましくは、紫外線及び/又は電子ビームで乾燥する。このような乾燥工程は、実行するのが簡単であり、高速な乾燥を可能にする。さらに、インクは、真空下で塗布することができる。
【0034】
好ましい代替案において、この方法は、真空下で実行される。この場合も、真空は、大気圧よりも低い圧力によって定義される技術的な真空と理解されたい。真空によって、多層材料の全ての成分について汚染のリスクが低減される。
【0035】
ウェブ材料加工機に関連して述べたほぼ全ての効果及び利点は、層材料を製造する方法にも適用されること、その逆も同様であることに留意されたい。
【0036】
上記の課題は、さらに、特に食品を包装する包装材料、詳細にはモノマテリアルによって解決され、この包装材料は、連続ウェブ又は別個のウェブの形の単一の可撓性基材と、基材上に配置される、特に金属又は金属酸化物の第1のコーティング材料の薄膜と、第1のコーティング材料の薄膜上に設けられる押出材料の薄膜とを備える。基材及び押出材料は、本質的に同じ材料でできており、リサイクル性特性の強化を示すモノマテリアルが得られる。このような包装材料は、比較的簡単な構造を有する。同時に、このような包装材料は、2以上の基材を備える既知の包装材料に匹敵する機能性をもたらすことができる。これは特に、第1のコーティング材料の薄膜が、水分及び/又は気体が包装材料を通過するのを防止するバリアとして機能する場合に当てはまる。押出材料の薄膜は、特に第1のコーティング材料の薄膜に対して保護機能を有することができる。結果的に、包装材料は、堅牢である。単純な構造は、製造時間、必要な製造設備、及び製造コストの面で、包装材料の効率的な生産を可能にする。さらに、単純な構造は、包装材料の迅速かつ容易なリサイクルを可能にする。
【0037】
好ましい実施形態において、特に金属又は金属酸化物(例えば、アルミニウム又は酸化アルミニウム)の第2のコーティング材料の薄膜は、第1のコーティング材料の薄膜と押し出し材の薄膜との間に配置される。また、第2のコーティング材料の薄膜は、第1のコーティング材料の薄膜の機能を補完するバリアの機能を有することができる。複合型バリアは、水分及び気体に対する高いレベルの不透過性をもたらすことができる。
【0038】
基材及び押出材料は、同じ材料、特にポリプロピレン又はポリエチレン、バイオポリマー又は生分解性プラスチックで作ることができる。これによって、包装材料の構造及びその製造工程がさらに簡素化される。さらに、リサイクル可能性が高められる。これは特に、基材及び押出材料の薄膜が包装材料の最も大きな部分、例えば、重量又は体積の点で90%以上、好ましくは重量又は体積の点で95%以上を占める場合に当てはまる。この場合、包装材料は、リサイクル手法において、いわゆるモノマテリアルとして処理することができる。
【0039】
また、インクの層は、押出材料の薄膜上に設けることができる。従って、包装材料には、魅力的な外見を与えることができる。インクは、包装材料の外面に設けられるので、印刷工程によるインクの塗布が容易である。加えて、外表面上のインクの除去は機械的又は化学的エッチングによって行うことができるので、リサイクルが容易である。
【0040】
好ましくは、本発明による包装材料は、接着剤又は積層を使用することなく、及び/又は、本発明による方法を用いることによって本発明によるインラインウェブ材料加工機で製造される。
【0041】
さらに、インラインウェブ材料加工機及び/又は多層ウェブ材料を製造する方法に関連して言及したほぼ全ての効果及び利点は、包装材料にも適用されること、又はその逆も同様であることに留意されたい。
【0042】
ここで、本発明は添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1a】本発明による方法を実行し、加工ドラムを使用して本発明による包装材料を製造するように適合される、本発明によるウェブ材料加工機を概略的に示す。
図1b】本発明による方法を実行し、フリースパン配置を使用して本発明による包装材料を製造するように適合される、本発明によるウェブ材料加工機を概略的に示す。
図2】本発明による方法を用いて図1の機械で製造された本発明による包装材料の断面を示す。
図3】本発明による方法を実行して本発明による包装材料を製造するように適合される、本発明の別の実施形態によるウェブ材料加工機を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1A及び図1Bは、多層材料12を製造するウェブ材料加工機10を示す。図示する実施例において、多層材料12は、食品を包装するのに使用される包装材料13である。
【0045】
ウェブ材料加工機10は、加工されるウェブ材料16をエンドレスウェブの形で供給する巻出機14を備える。
【0046】
ウェブ材料16は、可撓性である。
【0047】
さらに、ウェブ材料加工機10は、製造された多層材料12、すなわち、包装材料13を巻き取る巻取機18を備える。
【0048】
加工方向20において、巻出機14と巻取機18との間には、第1の加工ドラム22及び第2の加工ドラム24が配置される。
【0049】
さらに、第1の、第2の、第3の補助ドラム26a、26b、26cは、ウェブ材料加工機10を通るウェブ材料16の流れを助長するために設けられる。
【0050】
ウェブ材料16は、ウェブ材料加工機10で加工される間に複数のドラムと協働するが、その全ての加工中に、ドラム、すなわち、巻出機14から1回のみ巻き出され、ドラム、すなわち、巻取機18に1回のみ巻き取られることに留意されたい。
【0051】
図1A及び図1Bに示す好ましい実施形態による材料加工機10は、2つの真空領域29、31をもたらす真空分離部27を含む。
【0052】
図1Aによれば、第1の真空コーティングユニット28は、第1の加工ドラム22に隣接して配置される。第1の真空コーティングユニット28は、ウェブ材料16上に第1のコーティング材料の薄膜を堆積させるように適合される。
【0053】
第1の真空コーティングユニット28は、第1の加工ドラム22をウェブ材料16の支持体として使用する。
【0054】
さらに、第2の真空コーティングユニット30は、第2の加工ドラム24に隣接して設けられる。第2の真空コーティングユニット30は、ウェブ材料16上に第2のコーティング材料の薄膜を堆積させるように適合される。
【0055】
第2の真空コーティングユニット30は、第2の加工ドラム24をウェブ材料16の支持体として使用する。
【0056】
第1の真空成膜装置28及び第2の真空成膜装置30の両方は、蒸着ユニットである。
【0057】
さらに、押出コーティングユニット32が設けられ、押出コーティングユニット32は、ウェブ材料16上に押出材料の薄膜を押し出すように適合される。
【0058】
押出コーティングユニット32は、第2の加工ドラム24に関連付けられる。
【0059】
このことは、押出コーティングユニット32が、第2の加工ドラム24を押出材料が塗布されるウェブ材料16の支持体として使用することを意味する。
【0060】
さらに、ウェブ材料加工機械10は、ウェブ材料16上にインクを印刷するように適合された印刷ユニット34を含む。
【0061】
上述のユニットは、加工方向20に沿って、第1の真空コーティングユニット28、第2の真空コーティングユニット30、押出コーティングユニット32、印刷ユニット34の順に配置される。
【0062】
また、ウェブ材料加工機10は、真空室36を備える。
【0063】
上述した全てのユニット、すなわち、第1の真空コーティングユニット28、第2の真空コーティングユニット30、押出コーティングユニット32、及び印刷ユニット34は、真空室36の中に配置される。
【0064】
また、加工ドラム22、24、補助ドラム26a、26b、26c、巻出機14、及び巻取機18は、真空室36の内側に配置される。
【0065】
図1Aに示す好ましい実施形態による真空室36は、2つの真空領域29、31をもたらす真空分離部27を含む。第1の真空領域は、真空コーティングユニット28、30の周りに構築され、高真空をもたらし、一方、第2の真空領域31は、ユニットの残りのために設けられ、低真空及び高圧力をもたらす。
【0066】
図1Bは、本発明の別の実施形態による加工機10を示す。真空コーティング中に真空コーティングユニットによってウェブを案内するために加工ドラム22、24を使用する代わりに、ウェブは、フリースパン配置にある
【0067】
この配置は、図1Aによる配置に対応し、ウェブを第1の真空コーティングユニット28及び第2の真空コーティングユニット30に通す加工ドラムを使用する代わりに、ウェブは、それぞれ、2つのローラ23a及び23b、又は、25a及び25bの間に跨るという相違点がある。2つのローラ23a及び23b、又は、25a及び25bは、それぞれ、ウェブが真空コーティングユニット28及び/又は30における真空蒸着ステップを通過する間にウェブを架け渡す。
【0068】
第1の真空成膜装置28及び第2の真空成膜装置30の両方は、蒸着ユニットである。
【0069】
加工ドラムを使用するか又はフリースパン配置のいずれかを使用すると説明したが、本発明による加工機はまた、組み合わせたもの、つまり、加工ドラムを有する少なくとも1つの蒸着コーティングユニット及びフリースパン配置を有する少なくとも1つの蒸着コーティングユニットを含むことができることは明らかである。
【0070】
ウェブ材料加工機10の作動中、多層材料12は、以下のように製造される。
【0071】
最初に、基材38は、加工されるウェブ材料16の形で供給される。図示する実施例において、基材38はポリプロピレン箔である(図2を参照されたい)。
【0072】
その後、第1のコーティング材料40の薄膜が、第1の真空コーティングユニット28によって基材38上に堆積される。
【0073】
第1のコーティング材料40の薄膜は、水分及び気体が多層材料12に侵入するのを防止するバリアとして機能する。
【0074】
図示する実施例において、第1のコーティング材料40は、酸化アルミニウムである。
【0075】
その後、第2のコーティング材料42の薄膜が、第2の真空コーティングユニット30によって第1のコーティング材料40の薄膜上に堆積される。
【0076】
また、第2のコーティング材料42の薄膜は、水分及び気体が多層材料12に侵入するのを防止するバリアとして機能する。
【0077】
本実施例において、第2のコーティング材料42は、酸化珪素である。
【0078】
第1のコーティング材料40及び第2のコーティング材料42は、互いと異なるので、水分及び/又は気体に対する不透過性に関するそれぞれの材料特性は、少なくとも部分的に互いに補完し合う。
【0079】
その後、押出材料44の薄膜が、押出コーティングユニット32によって第2のコーティング材料42上にコーティングされる。
【0080】
押出材料の薄膜44は、化学的ストレス又は機械的ストレスなどの環境影響から第1のコーティング材料40の薄膜及び第2のコーティング材料42の薄膜を保護する保護層である。
【0081】
図示する実施例において、押出材料44は、ポリプロピレンであり、従って、基材38と同じ材料でできている。
【0082】
その後、インク46が、印刷ユニット34によって押出材料44上に印刷される。
【0083】
インク46は、電子ビームによって印刷ユニット34の内側で乾燥する。
【0084】
上述したように、上記の製造ステップの全ては、真空室36の内部で、真空下で実行される。
【0085】
従って、結果として得られる包装材料13は、単一の可撓性基材38によって形成される第1の層を備える。
【0086】
基材上には、第1のコーティング材料40の層が配置される。
【0087】
第2のコーティング材料42の薄膜は、第1のコーティング材料40の層上に位置決めされる。
【0088】
これは、押出材料44の薄膜でコーティングされる。
【0089】
インク層46は、押出材料の薄膜44上に設けられる。
【0090】
結果的に、包装材料13は、合計で5つの層を含み、インク層46は、光学的目的でのみ機能する。
【0091】
製造される構造に応じて、モジュールの配置は、様々とすることができる。従って、図3は、加工機の別の可能性を示し、ウェブは、巻出機14から巻き出され、押出塗工機を通過し、その後、第1の真空コーティングユニット28を通過し、その後、第2の真空コーティングユニット30を通過し、その後、押出トップコーティングユニット32を通過した後に、巻取機18によって巻き取られる。
【0092】
様々なモジュールは、必要に応じて、真空領域のために連結すること又はその全ての適切な真空領域を有することができる。また、これは柔軟に選択できる。
【0093】
異なる層は異なる動的速度を有するので、好ましい実施形態によれば、加工機10は、異なる堆積速度を補償するために異なるドラムサイズをもたらすことでこの事実を対応することができる。これは、層の厚さを最適化するために利用することができる。
図1a
図1b
図2
図3