(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-04
(45)【発行日】2025-07-14
(54)【発明の名称】架橋性オルガノシロキサン変性反応樹脂
(51)【国際特許分類】
C08G 73/06 20060101AFI20250707BHJP
C08L 79/04 20060101ALI20250707BHJP
C08G 73/00 20060101ALI20250707BHJP
C08K 5/5419 20060101ALI20250707BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20250707BHJP
C08K 7/02 20060101ALI20250707BHJP
C08G 59/40 20060101ALI20250707BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20250707BHJP
【FI】
C08G73/06
C08L79/04 Z
C08G73/00
C08K5/5419
C08K3/013
C08K7/02
C08G59/40
C08L63/00 Z
(21)【出願番号】P 2023574261
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(86)【国際出願番号】 EP2021064670
(87)【国際公開番号】W WO2022253413
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(72)【発明者】
【氏名】デトレフ、オステンドルフ
【審査官】仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112111059(CN,A)
【文献】特開平02-269159(JP,A)
【文献】特開昭56-125429(JP,A)
【文献】特開平02-092962(JP,A)
【文献】米国特許第05260398(US,A)
【文献】特開平09-178725(JP,A)
【文献】特開2023-151516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 73/06
C08L 79/04
C08G 73/00
C08K 5/5419
C08K 3/013
C08K 7/02
C08G 59/40
C08L 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)シロキサン単位(=「≡Si-O-Si≡」)を含まず、少なくとも2つの反応性シアン酸エステル基(=「N≡CO-」)を有する少なくとも1種の有機化合物と、
(B)
1,3,5-トリメチル-1,1,3,5,5-ペンタフェニルトリシロキサン(CAS 3390-61-2)、1,1,3,5,5-ペンタメチル-1,3,5-トリフェニルトリシロキサン、1,5-ジメチル-1,1,3,3,5,5-ヘキサフェニルトリシロキサン、1,1,5,5-テトラメチル-1,3,3,5-テトラフェニルトリシロキサン、1,3,3,5-テトラメチル-1,1,5,5-テトラフェニルトリシロキサン(CAS 3982-82-9)、1,1,1-トリフェニル-3,3,5,5,5-ペンタメチルトリシロキサン、1,1,1,5,5,5-ヘキサフェニル-3,3-ジメチルトリシロキサン、3-メチル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタフェニルトリシロキサン、1,3,5,5,5-ペンタメチル-1,1,3-トリフェニルトリシロキサン、1,1,3,5-テトラメチル-1,3,5,5-テトラフェニルトリシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,1,3,5,7,7-ヘキサフェニルテトラシロキサン(CAS 38421-40-8)、1,1,3,5,7,7-ヘキサメチル-1,3,5,7-テトラフェニルテトラシロキサン、1,1,1,7,7,7-ヘキサメチル-3,3,5,5-テトラフェニルテトラシロキサン、1,3,3,5,5,7-ヘキサメチル-1,1,7,7-テトラフェニルテトラシロキサン(CAS 6904-66-1)、デカフェニルテトラシロキサン、1,7-ジメチル-1,1,3,3,5,5,7,7-オクタフェニルテトラシロキサン、1,1,7,7-テトラメチル-1,3,3,5,5,7-ヘキサフェニルテトラシロキサン、1,3,5,5,7-ペンタメチル-1,1,3,7,7-ペンタフェニルテトラシロキサン、1,1,1,5,7,7,7-ヘプタメチル-3,3,5-トリフェニルテトラシロキサン、1,1,3,7,7-ペンタメチル-1,3,5,5,7-ペンタフェニルテトラシロキサン、1,3,5,7,7,7-ヘキサメチル-1,1,3,5-テトラフェニルテトラシロキサン、1,3,5,7,9-ペンタメチル-1,1,3,5,7,9,9-ヘプタフェニルペンタシロキサン、1,1,9,9-テトラメチル-1,3,3,5,5,7,7,9-オクタフェニルペンタシロキサン、ドデカフェニルペンタシロキサン、1,3,3,5,5,7,7,9-オクタメチル-1,1,9,9-テトラフェニルペンタシロキサン(CAS 18758-39-9)、1,1,1,3,5,7,9,9,9-ノナメチル-3,5,7-トリフェニルペンタシロキサン(CAS 6689-19-6)、1,1,1,9,9,9-ヘキサメチル-3,3,5,5,7,7-ヘキサフェニルペンタシロキサン、1,1,3,5,7,9,9-ヘプタメチル-1,3,5,7,9-ペンタフェニルペンタシロキサンおよび1,1,3,5,7,9,9,9-オクタメチル-1,3,5,7-テトラフェニルペンタシロキサンからなる群から選択される少なくとも1種の直鎖状オルガノシロキサンとを含む
、架橋性組成物。
【請求項2】
(E)少なくとも1種の充填剤をさらに含む、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項3】
(C)少なくとも1種の改質剤、および
(E1)少なくとも1種の繊維強化充填剤
をさらに含む、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項4】
(D1)少なくとも1種のエポキシ樹脂、および
(E1)少なくとも1種の繊維強化充填剤
さらに含む、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項5】
(C)少なくとも1種の改質剤、
(D1)少なくとも1種のエポキシ樹脂、および
(E1)少なくとも1種の繊維強化充填剤
をさらに含む、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項6】
(C4)少なくとも1種の改質剤、
(D2)少なくとも1種のマレイミド樹脂、
(E1)少なくとも1種の繊維強化充填剤
をさらに含む、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項7】
個々の成分を任意の所望の順序で混合することによる、請求項1~
6のいずれか一項に記載の架橋性組成物を製造する方法。
【請求項8】
請求項1~
6のいずれか一項に記載の架橋性組成物を成形し、その後硬化させることによる、成形品を製造する方法。
【請求項9】
請求項1~
6のいずれか一項に記載の架橋性組成物の、成形品の製造のための使用。
【請求項10】
請求項
8に記載の方法により得られる成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シアン酸エステル官能基を有する架橋可能なオルガノシロキサン変性反応樹脂、その製造方法、およびそれから得られる加硫物および複合物に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ(EP)樹脂およびエポキシ樹脂系は多くの用途で用いられており、現在では、例えばガラス繊維、炭素繊維またはアラミド繊維と組み合わせて、最も一般的に用いられる熱硬化性樹脂の種類の1つとして複合材料で確立されている。さらに、シアン酸エステル樹脂(CE)、ビスマレイミド樹脂(BMI)、ポリイミド樹脂(PI)、ベンゾオキサジン樹脂またはフタロニトリル樹脂等の他の有機樹脂系、およびビス(ベンゾシクロブテンイミド)ビスマレイミド、シアン酸エステル/エポキシドまたはビスマレイミド/トリアジン(BT樹脂)等の混合樹脂系の使用であって、産業、自動車建造、航空宇宙において用いられる炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等の繊維複合材料におけるマトリックス樹脂としての使用は、近年ますます重要になっている。エポキシ樹脂と比較して、例えばCE、BMIまたはPI等をベースとしたポリマーマトリックス樹脂は、非常に優れた機械的特性と、高いガラス転移温度、高い熱弾性および高い長期安定性とを兼ね備えており、これによりこれらの熱硬化性樹脂の用途が、特に高温域において大幅に広がる。しかしながら、CE樹脂をベースとした高温熱硬化性系にも欠点が存在する。熱硬化中に、反応性シアン酸エステル(=「N≡CO-」)基が三量体化して環状トリアジン環になり、その結果、機械的安定性が高い架橋密度の高いネットワークが形成されるが、脆性も増大する。CE樹脂系のもう1つの重大な欠点は、トリアジン熱硬化性樹脂ネットワークが比較的高い吸水性を示し、湿気によって急速に劣化(加水分解)し、機械的特性が失われる点にある。したがって、すでに市販されているこれらの樹脂系の吸水率を低減するための適切な改質剤を提供し、それによってそこから得られる高温熱硬化性樹脂を、要求の厳しい複合材料用途、好ましくは航空宇宙産業で商業的に用いることができるようにすることが望ましい。
【0003】
耐衝撃性を改善し、シアン酸エステル熱硬化性ネットワークの熱特性および誘電特性を改善するためのシロキサン含有成分の使用は、すでに文献に何度も記載されているものの、吸水に対するシロキサンの影響についてはほとんど知られていない。
【0004】
Polym. Adv. Technol. 2020, 31, 1245-1255において、著者らは、メチル基およびフェニル基を含み、シアン酸エステル基と共重合可能な反応性の≡Si-OHまたは≡Si-H基を有する直鎖状シロキサンにより、加硫シアン酸エステル樹脂である2,2’-ビス(4-シアナトフェニル)プロパンによる水の吸収が低減することを示している。
【0005】
この研究では、メチル基およびフェニル基を含み、反応性≡Si-H基(「Si-H」と呼ばれる)を有する短鎖トリシロキサンと、反応性≡Si-OH基(「Si-B」と呼ばれる)を有する高分子量ポリ(メチルフェニルシロキサン)とが用いられている。未変性のシアン酸エステル樹脂と比較して、「Si-H」による吸水率の低下はごくわずかであり、「Si-B」による吸水率の低下は顕著であった。
【0006】
特許明細書CN112111059において、著者らは、シアン酸エステル樹脂のための改質剤として、反応性基を有しないメチル基および/またはフェニル基で置換された直鎖状シロキサンも請求しているが、この目的に対応する例示的な実施形態は記載されておらず;その代わりに、上記で引用した刊行物と同様に、末端に反応性のシリコン結合したOH、Hまたはグリシジルオキシプロピル基を有する直鎖状シロキサンの影響が示されているのみであり;CN112111059の式2および式5に示されているような、例示的な実施形態1~4で用いられるシロキサンの重合度は開示されておらず、ここでのさらなる研究を妨げている。
【0007】
しかしながら、反応性の≡Si-OH基または≡Si-H基を有する直鎖状シリコーンをシアン酸エステル樹脂の改質剤として用いることには、多くの欠点が存在する。第1に、シラノール(≡Si-OH)基は水の脱離を受け、例えば、上述した文献の1251ページ、
図8(D)に記載される反応方程式に従って、加水分解に感受性のシアン酸エステル基との望ましくない反応を受け、アミンおよびガス状二酸化炭素が遊離し、それによって架橋反応中に膨れが発生し、その結果、架橋された材料中に多孔性が生じる。第2に、反応性のSi-OHまたはSi-H基は、上述した文献の1251ページ、
図8(C)および(E)に記載される反応方程式に従って、シアン酸エステル基と共重合することができ、それによってネットワークトポロジーが変化し、硬化した熱硬化性ネットワークの破壊靱性等の特性に悪影響を与える可能性がある。さらに、より高分子量のポリシロキサンは、硬化したシアン酸エステル-熱硬化性ネットワークとの相溶性が低く、これは、シアン酸エステル樹脂の硬化により、巨視的に、すなわち視覚的に不均一で曇った~不透明な加硫物が生成され、望ましくない形でシリコーンが滲み出し、吸水性に悪影響を及ぼすことを意味する。
【0008】
本発明の目的は、成形プロセスおよび硬化プロセス後に、吸水性が低下し、したがって耐加水分解性が改善され、場合によっては破壊靱性が改善され、場合によっては誘電特性が改善された熱硬化性樹脂が得られる一方で、熱寸法安定性、機械的強度、熱酸化安定性および耐薬品性等の熱硬化性樹脂に固有の有利な特性は、この方法で改質された熱硬化性樹脂でも大部分が保持されるように、反応性シアン酸エステル基を有する有機樹脂を改変することにある。
【0009】
この目的は、本発明に従って、メチル基およびフェニル基で置換され、≡Si-OHまたは≡Si-H等の反応性基を有しない直鎖状のトリ-、テトラ-またはペンタシロキサンを用いることによって達成され;これらは好ましくは有機シアン酸エステル樹脂との非常に良好な混和性を有し、架橋シアン酸エステルマトリックス(すなわち、トリアジンネットワーク)による加硫後に、分離を示さず、すなわち加硫物からのシロキサン成分の浸出や滲出を示さない均質/単相の透明な熱硬化性樹脂をもたらすトリシロキサンまたはテトラシロキサンであることが好ましい。未変性のシアン酸エステル樹脂と比較して、本発明のトリ-、テトラ-またはペンタシロキサンで変性されたシアン酸エステル樹脂は、硬化して熱硬化性樹脂を形成した後、吸水性が著しく低下し、それにより加水分解に対する耐性がより大きいという特徴を有する。驚くべきことに、本発明のシロキサン改質剤は、≡Si-H、≡Si-OH等の反応性基を有する従来技術のシロキサンまたはより高分子量のポリシロキサンよりも、加硫シアン酸エステルネットワークによる吸収性を著しく強力に低下させることが見出された。
【0010】
本発明によれば、
(A)シロキサン単位(=「≡Si-O-Si≡」)を含まず、少なくとも2つの反応性シアン酸エステル基(=「N≡CO-」)を有する少なくとも1つの有機化合物と、
(B)一般式
【数1】
の少なくとも1種の直鎖状オルガノシロキサンとを含む架橋性組成物であって、
Rは同一であってもよく、または異なっていてもよい、一価のSiC結合した飽和脂肪族炭化水素基を表し、
R
1は同一であってもよく、または異なっていてもよい、一価のSiC結合した、任意にハロゲンまたはリンで置換された芳香族炭化水素基を表し、
aは0、1、2または3であり、好ましくは0、1または2、より好ましくは0または1、特に1であり、
bは0、1、2または3であり、好ましくは0、1または2、より好ましくは1または2であり、
ただし、
上記オルガノシロキサン(B)は、3~5個の式(I)の単位、好ましくは3または4個の式(I)の単位、より好ましくは3個の式(I)の単位からなり;
式(I)においてa+bの和は2または3に等しく、
オルガノシロキサン(B)の各分子において、2個の式(I)の単位におけるa+bの和は3に等しく、かつ
オルガノシロキサン(B)の各分子中において、少なくとも3個の基R
1が存在する
前記架橋性組成物が提供される。
【0011】
本開示において、「1-プロペニル」という表記は「-CH=CH-CH3」基を意味し、「2-プロペニル」(=アリル)は「-CH2-CH=CH2」基を意味し、「プロペニル」という表記は1-または2-プロペニル基を意味する。
【0012】
本明細書のページ数が過大にならないようにするために、個々の特徴についての好ましい実施形態のみを明記する。
【0013】
しかしながら、専門家の読者は、この種の開示が、異なる優先レベルのあらゆる組み合わせも明示的に開示され、明示的に望まれること、すなわち、単一の化合物/特徴内および異なる化合物/特徴間の両方のあらゆる組み合わせも明示的に開示され、明示的に望まれることを意味するものとして明確に理解すべきである。
【0014】
シアン酸エステル樹脂(A)
これはシロキサン単位(=「≡Si-O-Si」)を含まず、1分子あたり反応性シアン酸エステル基(=「N≡CO-」)を少なくとも2個有する有機化合物である。化合物(A)は置換されていてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい。化合物(A)は、好ましくは、任意に置換され、任意にヘテロ原子を含む芳香族炭化水素化合物であり、芳香族炭素原子に結合したシアン酸エステル基が1分子あたり少なくとも2個存在する。化合物(A)は、特に好ましくは、任意に置換され、任意にヘテロ原子を含む芳香族炭化水素基を1分子あたり少なくとも2個含み、それぞれが芳香族炭素原子に結合したシアン酸エステル基を含み、より具体的には化合物(A)においては、任意に置換され、任意にヘテロ原子を含む芳香族炭素基であって、それぞれが芳香族炭素原子に結合したシアン酸エステル基を含む芳香族炭素基が、共有結合、またはCR2
2-、-CR2=CR2-、=C=CR2
2、-O-、-S-、-N=N-、-CH=N-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)O-、-SO-、-SO2-、O=P(O-)3、フェニレン、トリレン、ビフェニレンおよびナフチレン等の二価の芳香族炭化水素基;またはトリシクロ[5.2.1.02.6]デカンジイルおよびビシクロ[2.2.1]ヘプタンジイル等の二価のシクロアルカンジイル基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を含む少なくとも1つの架橋単位を介して互いに独立して結合している。
【0015】
ラジカルR2は、それぞれの場合に独立して、水素原子、ハロゲン原子、または1~30個の炭素原子を有する任意に置換された炭化水素ラジカルであり、これらは任意に置換基または他のラジカルR2に結合して環状単位を形成していてもよい。
【0016】
任意に置換された炭化水素ラジカルR2の例は、メチル、エチル、トリフルオロメチル、フルオレニル、1,1-シクロヘキサンジイル、9H-フルオレン-9,9-ジイル、N-フェニルフタルイミド-3,3-ジイル、1(3H)-イソベンゾフラノン-3,3-ジイル、アントラセン-9(10H)-オン-10,10-ジイル、フェニルおよび3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1,1-ジイル基である。
【0017】
本発明において用いられる成分(A)の例は、フェニレン1,2-ジシアネート、フェニレン1,3-ジシアネート(CAS 1129-88-0)、フェニレン1,4-ジシアネート(CAS 1129-80-2)、2,4,5-トリフルオロフェニレン1,3-ジシアネート、1,3,5-トリシアナトベンゼン、メチル(2,4-ジシアナトフェニル)ケトンおよび2,7-ジシアナトナフタレン等の単芳香族炭化水素のジ-およびポリシアン酸エステル;2,2-ビス(4-シアナトフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン(CAS 1156-51-0、ビスフェノールAシアン酸エステル;商品名:AroCy(登録商標)B10、PRIMASET(登録商標)BADCyおよびCYTESTER(登録商標)TA)、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(CAS 32728-27-1、ビスフェノールAFシアン酸エステル)、2,2-ビス(3-メチル-4-シアナトフェニル)プロパン(ビスフェノールCシアン酸エステル)、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン(CAS 47073-92-7、ビスフェノールEシアン酸エステル;商品名:AroCy(登録商標)L-10、PRIMASET(登録商標)LECy、CYTESTER(登録商標)P201)、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)-1-フェニルエタン(ビスフェノールAPシアン酸エステル)、ビス(4-シアナトフェニル)メタン(ビスフェノールFシアン酸エステル)、ビス(4-シアナト-3、5-ジメチルフェニル)メタン(CAS 101657-77-6、テトラメチルビスフェノールFシアン酸エステル)、1,3-ビス(2-(4-シアナトフェニル)プロパン-2-イル)ベンゼン(CAS 127667-44-1、ビスフェノールMシアン酸エステル)、ビス(4-シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4-シアナトフェニル)エーテル、9,9-ビス(4-シアナトフェニル)フルオレン(ビスフェノールFLシアン酸エステル)、ビス(4-シアナトフェニル)スルホン(ビスフェノールSシアン酸エステル)、ビス(4-シアナトフェニル)ケトン、ビス(4-(4-シアナトフェノキシ)フェニル)ケトン、ビス(4-(4-シアナトフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(4-シアナトフェノキシ)フェニル)(フェニル)ホスフィンオキシド、ビス(4-シアナトフェニル)(メチル)ホスフィンオキシド、1,1-ジブロモ-2,2-ビス(4-シアナトフェニル)エチレン、1,1-ジクロロ-2,2-ビス(4-シアナトフェニル)エチレン(CAS 14868-03-2)、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)-N-フェニルフタルイミド、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、3,3-ビス(4-シアナトフェニル)-2-ベンゾフラン-1-オン、10,10-ビス(4-シアナトフェニル)アントラセン-9(10H)-オン、1-エチル-2-メチル-3-(4-シアナトフェニル)-5-シアナトインダン、1,1-ジメチル-3-メチル-3-(4-シアナトフェニル)シアナトインダン、ビス(2-シアナト-3-メトキシ-5-メチルフェニル)メタンおよび1,1-ビス(3-メチル-4-シアナトフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZシアン酸エステル)等のビスフェノールのシアン酸エステル;ビス(4-(4-(2-(3-(2-プロペニル)-4-シアナトフェニル)プロパン-2-イル)フェノキシ)フェニル)スルホン、2,2-ビス(3-(2-プロペニル)-4-シアナトフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-(1-プロペニル)-4-シアナトフェニル)プロパンおよびビス(4-(4-シアナト-3-(2-プロペニル)フェノキシ)フェニル)スルホン等のプロペニル置換ビスフェノールのシアン酸エステル;4,4’-ジシアナトビフェニル(CAS 1219-14-3)、2,4’-ジシアナトビフェニルおよび2,2’-ジシアナトビフェニル等のビフェニルのシアン酸エステル;ジシクロペンタジエニルビスフェノールシアン酸エステル(CAS 135507-71-0;商品名:AroCy(登録商標)XU-71787)等のフェノール-ジシクロペンタジエンシアン酸エステル樹脂;フェノール、ナフトール、ナフタレンジオール、キシレノールまたはクレゾールとホルムアルデヒドとの酸またはアルカリ触媒縮合によって生成されるフェノール-ホルムアルデヒド樹脂のシアン酸エステル、例えば、レゾールシアン酸エステルまたはノボラックシアン酸エステル(例えば、CAS 87397-54-4、CAS 153191-90-3、CAS 268734-03-8、CAS 30944-92-4およびCAS 173452-35-2;商品名の例:Primaset(登録商標)PT-15、PT-30、PT-60、PT-90およびCT-90、ならびにAroCy(登録商標)XU-371);1,8-ジシアナトパーフルオロオクタン等のフルオロアルカンジオールのシアン酸エステル;トランス-3,5,4’-トリシアナトスチルベン等の天然ポリフェノールのシアン酸エステル;ジメチルビス(4-シアナトフェニル)シラン等のフェノール基を有するシランのシアン酸エステル;1,1,1-トリス(4-シアナトフェニル)エタン(CAS 113151-22-7)、1,2,3-トリス(4-シアナトフェニル)プロパン;ならびに少なくとも2個の同一または異なる繰り返し単位から構成される末端シアン酸エステルポリマー樹脂であって、各繰り返し単位の主鎖が、少なくとも1個のフェニレン、ビフェニレンおよびナフチレン等の二価の芳香族炭化水素基、または9H-フルオレン-9,9-ジイル、および-CR3
2-、-CR3=CR3-、=C=CR3
2、-O-、-S-、-N=N-、-CH=N-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)O-、-SO-、-SO2-、O=P(O-)3からなる群から選択される少なくとも1個の架橋単位、またはトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジイルおよびビシクロ[2.2.1]ヘプタンジイル等の二価のシクロアルカンジイル基を含む。シアン酸エステルポリマー樹脂における繰り返し単位の例は、アリーレンエーテル、アリーレンエーテルスルホンまたはアリーレンエーテルケトンである。
【0018】
ラジカルR3は、それぞれの場合に独立して、R2について列挙された基である。
【0019】
成分(A)は、好ましくは、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン、ビス(4-シアナトフェニル)メタン、1,3-ビス(2-(4-シアナトフェニル)プロパン-2-イル)ベンゼン、2,2-ビス(3-(2-プロペニル)-4-シアナトフェニル)プロパン、ビス(4-シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4-シアナトフェニル)スルホン、フェノール-ジシクロペンタジエンシアン酸エステル樹脂またはフェノール-ホルムアルデヒド樹脂のシアン酸エステルである。成分(A)は、より好ましくは、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、ビス(4-シアナトフェニル)メタン、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン、1,3-ビス(2-(4-シアナトフェニル)プロパン-2-イル)ベンゼン、ビス(4-シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4-シアナトフェニル)スルホン、フェノール-ジシクロペンタジエンシアン酸エステル樹脂およびフェノール-ホルムアルデヒド樹脂のシアン酸エステルである。特に、成分(A)は、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン、1,3-ビス(2-(4-シアナトフェニル)プロパン-2-イル)ベンゼン、またはクレゾールもしくはフェノールのノボラックシアン酸エステルである。
【0020】
1種のシアン酸エステル樹脂(A)のみを用いることも、異なる複数種のシアン酸エステル樹脂(A)の混合物を用いることも可能であり;1種のシアン酸エステル樹脂(A)のプレポリマーを用いることも、または異なる複数種シアン酸エステル樹脂(A)のプレポリマーもしくはシアン酸エステル樹脂プレポリマーの混合物を用いることも、またはシアン酸エステル樹脂プレポリマーと1種以上のシアン酸エステル樹脂(A)との混合物を用いることも可能である。
【0021】
シアン酸エステル樹脂(A)のプレポリマーの例は、ビスフェノールAジシアネートホモポリマー(CAS 25722-66-1)である。
【0022】
成分(A)は、好ましくは、フェノール樹脂のシアン酸エステルとさらなる成分(A)との混合物であり;成分(A)は、より好ましくは、フェノールノボラックシアン酸エステルまたはクレゾールノボラックシアン酸エステルと1,1ビス(4-シアナトフェニル)エタンとの混合物である。
【0023】
硬化後、成分(A)および(B)は、好ましくは、いかなる分離も示さず、すなわち加硫物からのシロキサン成分(B)の浸出または滲出を示さず、より好ましくは透明である、巨視的に均質/単相の熱硬化性樹脂を形成する。
【0024】
化合物(B)
(B)は、上述した一般式(I)で表される直鎖状オルガノシロキサンである。オルガノシロキサン(B)は、23℃および1013hPaで固体であってもよく、または液体であってもよいが、液体形態であることが好ましい。
【0025】
オルガノシロキサン(B)は、それぞれ1013hPaで、好ましくは300℃より高い、好ましくは400℃より高い、より好ましくは500℃より高い、特に550℃より高い沸点を有する。
【0026】
一価のSiC結合した飽和脂肪族炭化水素基Rの例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、1-n-ブチル、2-n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびtert-ペンチル基、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2,4,4-トリメチルペンチル、2,2,4-トリメチルペンチル、2-エチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル、n-ドデシル、n-ヘキサデシルおよびn-オクタデシル基等のアルキル基;ならびにシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびメチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基である。
【0027】
ラジカルRは、好ましくは、1~8個の炭素原子を有する一価のSiC結合炭化水素基であり、より好ましくはメチルである。
【0028】
一価のSiC結合芳香族炭化水素基R1の例は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントリルおよびフェナントリル基等のアリール基;o-、m-、p-トリル基等のアルカリール基;キシリル基およびエチルフェニル基;ベンジル基、(9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド-10-イル)エチル基等のアラルキル基、α-およびβ-フェニルエチル基;ならびにフルオロフェニル、クロロフェニルおよびブロモフェニル基等のハロアリール基である。
【0029】
ラジカルR1は、好ましくはハロゲンおよびリンのいずれも含まない芳香族炭化水素基であり、より好ましくはフェニルである。
【0030】
本発明において用いられるオルガノシロキサン(B)は、好ましくは、3~5個の式(I)の単位からなり、(B)1分子あたり少なくとも4個の基R1が存在する。
【0031】
オルガノシロキサン(B)は、好ましくは、3~4個の式(I)の単位からなり、1分子あたり少なくとも4個のラジカルR1が存在し、各単位においてb≠0であり、a+b=2である。
【0032】
オルガノシロキサン(B)は、より好ましくは、3または4個の式(I)の単位からなり、分子あたり少なくとも4個のラジカルR1が存在し、式(I)の各単位においてb≠0である。
【0033】
オルガノシロキサン(B)は、特に、3個の式(I)の単位からなり、分子あたり少なくとも5個のラジカルR1が存在し、式(I)の各単位においてb≠0である。
【0034】
本発明において用いられる成分(B)の例は、1,3,5-トリメチル-1,1,3,5,5-ペンタフェニルトリシロキサン(CAS 3390-61-2)、1,1,3,5,5-ペンタメチル-1,3,5-トリフェニルトリシロキサン、1,5-ジメチル-1,1,3,3,5,5-ヘキサフェニルトリシロキサン、1,1,5,5-テトラメチル-1,3,3,5-テトラフェニルトリシロキサン、1,3,3,5-テトラメチル-1,1,5,5-テトラフェニルトリシロキサン(CAS 3982-82-9)、1,1,1-トリフェニル-3,3,5,5,5-ペンタメチルトリシロキサン、1,1,1,5,5,5-ヘキサフェニル-3,3-ジメチルトリシロキサン、3-メチル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタフェニルトリシロキサン、1,3,5,5,5-ペンタメチル-1,1,3-トリフェニルトリシロキサン、1,1,3,5-テトラメチル-1,3,5,5-テトラフェニルトリシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,1,3,5,7,7-ヘキサフェニルテトラシロキサン(CAS 38421-40-8)、1,1,3,5,7,7-ヘキサメチル-1,3,5,7-テトラフェニルテトラシロキサン、1,1,1,7,7,7-ヘキサメチル-3、3,5,5-テトラフェニルテトラシロキサン、1,3,3,5,5,7-ヘキサメチル-1,1,7,7-テトラフェニルテトラシロキサン(CAS 6904-66-1)、デカフェニルテトラシロキサン、1,7-ジメチル-1,1,3,3,5,5,7,7-オクタフェニルテトラシロキサン、1,1,7,7-テトラメチル-1,3,3,5,5,7-ヘキサフェニルテトラシロキサン、1,3,5,5,7-ペンタメチル-1,1,3,7,7-ペンタフェニルテトラシロキサン、1,1,1,5,7,7,7-ヘプタメチル-3,3,5-トリフェニルテトラシロキサン、1,1,3,7,7-ペンタメチル-1,3,5,5,7-ペンタフェニルテトラシロキサン、1,3,5,7,7,7-ヘキサメチル-1,1,3,5-テトラフェニルテトラシロキサン、1,3,5,7,9-ペンタメチル-1,1,3,5,7,9,9-ヘプタフェニルペンタシロキサン、1,1,9,9-テトラメチル-1,3,3,5,5,7,7,9-オクタフェニルペンタシロキサン、ドデカフェニルペンタシロキサン、1,3,3,5,5,7,7,9-オクタメチル-1,1,9,9-テトラフェニルペンタシロキサン(CAS 18758-39-9)、1,1,1,3,5,7,9,9,9-ノナメチル-3,5,7-トリフェニルペンタシロキサン(CAS 6689-19-6)、1,1,1,9,9,9-ヘキサメチル-3,3,5,5,7,7-ヘキサフェニルペンタシロキサン、1,1,3、5,7,9,9-ヘプタメチル-1,3,5,7,9-ペンタフェニルペンタシロキサンおよび1,1,3,5,7,9,9,9-オクタメチル-1,3,5,7-テトラフェニルペンタシロキサン、好ましくは3-メチル-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタフェニルトリシロキサン、1,3,5-トリメチル-1,1,3,5,5-ペンタフェニルトリシロキサン、1,1,3,5-テトラメチル-1,3,5,5-テトラフェニルトリシロキサン、1,1,3,5,7,7-ヘキサメチル-1,3,5,7-テトラフェニルテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,1,3,5,7,7-ヘキサフェニルテトラシロキサンおよび1,1,1,7,7,7-ヘキサメチル-3,3,5,5-テトラフェニルテトラシロキサン、さらに好ましくは1,3,5-トリメチル-1,1,3,5,5-ペンタフェニルトリシロキサン、1,1,3,5,7,7-ヘキサメチル-1,3,5,7-テトラフェニルテトラシロキサンおよび1,3,5,7-テトラメチル-1,1、3,5,7,7-ヘキサフェニルテトラシロキサン、特に好ましくは1,1,3,5,5-ペンタフェニル-1,3,5-トリメチルトリシロキサンである。
【0035】
1種のオルガノシロキサン(B)のみを用いることも、異なる複数種のオルガノシロキサン(B)の混合物を用いることも可能である。
【0036】
オルガノシロキサン(B)が異なる複数種のオルガノシロキサン(B)の混合物である場合、その重量平均モル質量Mwは、好ましくは400g/mol~1000g/mol、好ましくは420g/mol~900g/mol、より好ましくは480g/mol~750g/mol、特に510g/mol~650g/molである。
【0037】
オルガノシロキサン(B)が異なる複数種のオルガノシロキサン(B)の混合物である場合、その数平均モル質量Mnは、好ましくは300g/mol~990g/mol、好ましくは350g/mol~890g/mol、より好ましくは400g/mol~740g/mol、特に450g/mol~640g/molである。
【0038】
本発明の組成物は、オルガノシロキサン(B)を、それぞれ成分(A)100重量部に対して、好ましくは1~100重量部、より好ましくは5~50重量部、特に5~35重量部の量で含む。
【0039】
本発明の組成物は、成分(A)および(B)に加えて、成分(A)および(B)のいずれとも異なるさらなる物質、例えば改質剤(C)、反応性樹脂(D)、充填剤(E)、硬化促進剤(F)、溶媒(G)およびその他の成分(H)を含んでいてもよい。
【0040】
化合物(C)
任意に用いられる改質剤(C)は、成分(B)とは異なり、式
【数2】
の単位を含む有機ケイ素化合物(C1)であって、
R
4は同一であってもよく、または異なっていてもよく、水素原子、または一価もしくは二価のSiC結合した、任意に置換され、任意にヘテロ原子を含む炭化水素基を表し、
R
5は同一であってもよく、または異なっていてもよく、水素原子、または一価の、任意に置換され、任意にヘテロ原子を含む1~18個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、
mは0、1、2または3であり、好ましくは1、2または3であり、
nは0、1、2または3であり、好ましくは0、1または2、より好ましくは0または1、特に0であり、
ただし、
m+nの合計が≦3であり、
それらは同時に直鎖状オルガノポリシロキサン(B)の定義には入らない。
【0041】
一価のSiC結合した、任意に置換され、任意にヘテロ原子を含む炭化水素基R4の例は、RおよびR1について列挙した基であり;ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、ビニルシクロヘキシル、ノルボルネニル、ノルボルネニルエチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-イル、ジシクロペンテニル、シクロヘキセニル、4-ビニルフェニル、スチリル、アリールエチニル、エチニルフェニル、1-プロペニルフェニルおよび2-プロペニルフェニル基等の脂肪族炭素-炭素多重結合を有する炭化水素基;N-(5-エチニルフタルイミド)フェニル、N-(5-(フェニルエチニル)フタルイミド)フェニル、ナジミドフェニル、マレイミドフェニルおよび3-マレイミドプロピル基等のイミド基;3-グリシドキシプロピル、4-(オキシラン-2-イル)フェニル、オキシラン-2-イルおよび2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基等のエポキシ基;3-メタクリロイルオキシプロピル、アクリロイルオキシメチルおよびメタクリロイルオキシメチル基等のアクリレートおよびメタクリレート基;アミノフェニル、3-アミノプロピル、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルおよびN-フェニルアミノメチル基等のアミン基;ヒドロキシプロピル、ヒドロキシフェニルおよび(4-ヒドロキシ-3-プロペニル)フェニル基等のヒドロキシアルキル基およびヒドロキシアリール基;ならびにビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル(=ベンゾシクロブテニル)、シアナトフェニル、イソシアナトフェニル、ポリカプロラクトニルアミドプロピル、ポリカプロラクタミルアミドプロピルおよび3-イソシアナトプロピルラジカルである。
【0042】
二価のSiC結合した、任意に置換され、任意にヘテロ原子を含む炭化水素基R4の例は、好ましくは2個の式(II)の単位と結合したフェニレン基およびビフェニレン基である。
【0043】
ラジカルR4は、好ましくは水素原子、またはフェニレン、フェニル、メチル、ヒドロキシフェニル、マレイミドフェニル、シアナトフェニルおよびアミノフェニル基であり、より好ましくはメチル、フェニルおよびヒドロキシフェニル基である。
【0044】
ラジカルR5は、好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチルまたはイソブチル基であり、より好ましくはメチルまたはエチル基である。
【0045】
有機ケイ素化合物(C1)の例は、1,3,5,7-テトラキス(2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル)-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン(CAS 121225-98-7)、ビス[2-(3,4-エポキシシクロヘキサ-1-イル)エチル]-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(CAS 18724-32-8)、1,3-ビス(ノルボルネニルエチル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラキス[3-(グリシドキシ)プロピル]シクロテトラシロキサン(CAS 257284-60-9)、平均組成(PhSiO3/2)20(PhSi(OMe)O2/2)66(PhSi(OMe)2O1/2)14であり、平均分子量Mw=2190g/molであるオルガノポリシロキサン、および平均組成(PhSiO3/2)75(Me3SiO1/2)25であり、平均分子量Mw=1380g/molであるオルガノポリシロキサン、オクタ(エポキシシクロヘキシル)-POSS(CAS 187333-74-0)、オクタフェニル-POSS(CAS 5256-79-1)、オクタフェニルシクロテトラシロキサン(CAS 546-56-5)、2,4,6,8-テトラメチル-2,4、6,8-テトラフェニルシクロテトラシロキサン(CAS 77-63-4)、1,1,3,3-テトラメチル-5,5,7,7-テトラフェニルシクロテトラシロキサン(CAS 1693-47-6)および1,9-ジメトキシ-1,3,5,7,9-ペンタメチル-1,3,5,7,9-ペンタフェニルペンタシロキサンである。
【0046】
任意に用いられる改質剤(C)としては、シアン酸エステル基および≡Si-O-Si≡シロキサン単位のいずれも含まず、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトンケトン、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリアミド、ポリ(アミドイミド)、ポリアリレート、ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド、ポリアラミド、ポリアクリレート、ポリヒダントイン、液晶ポリマー、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネートおよびポリエチレンテレフタレート;およびそれらの混合物またはコポリマー化合物からなる群から選択される少なくとも2個の繰り返し単位を有する熱可塑性有機ポリマー(「熱可塑性プラスチック」)(C2)が挙げられる。熱可塑性プラスチック(C2)は、反応性末端基または化学的に不活性な末端基を有している。重合反応では、生成の結果として、モノマーの対応する反応性基に由来する反応性末端基が残存する。これらの基は、好ましくはヒドロキシ、アミノ、カルボキシまたはイソシアナト基である。化学的に不活性な末端基の例は、メチルまたはフェニル基である。熱可塑性プラスチック(C2)は、100℃超、好ましくは130℃~450℃、より好ましくは150℃~400℃、特に180℃~350℃のガラス転移温度を有し;(C2)の数平均モル質量Mnは、好ましくは1100~100000g/mol、好ましくは2000~50000g/mol、より好ましくは2000~30000g/mol、特に3000~20000g/molである。
【0047】
任意に用いられる改質剤(C)としては、シロキサン単位(≡Si-O-Si≡)を含まず、一般式
【数3】
を有する有機単官能性シアン酸エステル(C3)が挙げられ、
式中、R
6は、一価の、任意に置換され、任意にヘテロ原子を含む芳香族炭化水素基を表し、ただし、シアン酸エステル基は芳香族炭素原子に直接結合している。適切な成分(C3)の例は、シアナトベンゼン(CAS 1122-85-6)、1-シアナト-4-クミルベンゼン(CAS 110215-65-1)、1-シアナト-4-tert-ブチルベンゼン、1-シアナト-2-tert-ブチルベンゼン、4-シナトビフェニル、1-シアナトナフタレン、2-シナトナフタレン、4-シアナトノニルベンゼン、4-クロロシアナトベンゼン、4-シアナトジフェニルスルホン、4-シアナトトルエン、4-シアナトジフェニルエーテル、4-シアナトジフェニルケトン、4-(シアナト)メトキシベンゼン;および2-(2-プロペニル)シアナトベンゼンまたは2-(1-プロペニル)シアナトベンゼン等のプロペニル置換単官能性シアン酸エステルが挙げられる。
【0048】
改質剤(C)は、1013hPaで、好ましくは少なくとも150℃、より好ましくは少なくとも180℃、特に少なくとも220℃の沸点を有する。
【0049】
任意に用いられる改質剤(C)としては、シロキサン(≡Si-O-Si≡)単位を含まず、OH基以外に、さらなる反応性単位として、重合反応を受けることができる脂肪族炭素-炭素多重結合のみを含むモノマー芳香族ヒドロキシ化合物(C4)が挙げられる。
【0050】
改質剤(C4)中に存在する反応性の脂肪族炭素-炭素多重結合はいずれも、好ましくはプロペニル基であり;より好ましくは、改質剤(C4)中に存在するヒドロキシ基および任意のプロペニル基は、芳香族炭素原子に直接結合している。
【0051】
反応性の脂肪族炭素-炭素多重結合を有しない改質剤(C4)の例は、フェノール、クレゾール、ナフトール、ビフェニロール、チモール、グアヤコール(2-メトキシフェノール)、4-クミルフェノール、4-ベンジルフェノール、4-イソプロピルフェノール、4-tert-ブチルフェノール、2-tert-ブチルフェノール、2,4-ジ-tert-ブチルフェノール、2,4-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェノール、ノニルフェノール、キシレノールまたは2,6-ジノニルフェノール等の任意に置換された一価フェノール;カテコール(ベンゼン-1,2-ジオール)、レゾルシノール(ベンゼン-1,3-ジオール)、ヒドロキノン(ベンゼン-1,4-ジオール)、ピロガロール(ベンゼン-1,2,3-トリオール)、フロログルシノール(ベンゼン-1,3,5-トリオール)、ジヒドロキシナフタレン等の多価フェノール;ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールE)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノールB)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(ビスフェノールFL)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)、1,3-ビス(2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン(ビスフェノールM)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)チオエーテルおよび1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン等の2個(=「ビスフェノール」)以上のヒドロキシフェニル基を含む芳香族化合物である。
【0052】
プロペニル基を有する改質剤(C4)の例は、2,2-ビス(3-(2-プロペニル)-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(CAS 1745-89-7)、2-メトキシ-4-(2-プロペニル)フェノール(CAS 97-53-0)、4-(2-プロペニル)-2,6-ジメトキシフェノール(CAS 6627-88-9)、2-(2-プロペニル)-6-メチルフェノール(CAS 3354-58-3)、2-(2-プロペニル)フェノール(CAS 1745-81-9)、5,5’-ビス(2-プロペニル)-2,2’-ビフェニルジオール(CAS 528-43-8)、3’,5-ビス(2-プロペニル)-2,4’-ビフェニルジオール(CAS 35354-74-6)、α,α’-ビス(3-(2-プロペニル)-4-ヒドロキシフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼン、2,2’-ビス(3-(2-プロペニル)-4-ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン、9,9’-ビス(3-(2-プロペニル)-4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、α,α’-ビス(3-(1-プロペニル)-4-ヒドロキシフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼン、2,2’-ビス(3-(1-プロペニル)-4-ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン、9,9’-ビス(3-(1-プロペニル)-4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、4-{1-[4-ヒドロキシ-3-(2-プロペニル)フェニル]プロピル}-2-(プロプ-2-エン-1-イル)フェノール、1,1’-(1,3-フェニレンジオキシ)ビス(3-(2-(2-プロペニル)フェノキシ)プロパン-2-オール)(CAS 110866-35-8)およびビス(3-(2-プロペニル)-4-ヒドロキシフェニル)スルホン(CAS 41481-66-7)である。
【0053】
好ましい改質剤(C4)は、ビフェニロール、2-メトキシ-4-(2-プロペニル)フェノール、4-クミルフェノール、4-イソプロピルフェノール、4-tert-ブチルフェノール、2-tert-ブチルフェノール、ビスフェノール、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(3-(2-プロペニル)-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、4-{1-[4-ヒドロキシ-3-(プロパ-2-エン-1-イル)]フェニル]プロピル}-2-(プロプ-2-エン-1-イル)フェノール、1,1’-(1,3-フェニレンジオキシ)ビス(3-(2-(プロプ-2-エニル)フェノキシ)プロパン-2-オール)および2-(2-プロペニル)フェノールであり、特に好ましくは2-メトキシ-4-(2-プロペニル)フェノール、4-クミルフェノール、4-tert-ブチルフェノール、2,2-ビス(3-(2-プロペニル)-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、4-{1-[4-ヒドロキシ-3-(プロプ-2-エン-1-イル)フェニル]プロピル}-2-(プロプ-2-エン-1-イル)フェノール、1,1’-(1,3-フェニレンジオキシ)ビス(3-(2-(プロパ-2-エニル)フェノキシ)プロパン-2-オール)、ビス(3-(2-プロペニル)-4-ヒドロキシフェニル)スルホンならびにビスフェノールB、E、F、MおよびSである。
【0054】
本発明の組成物が改質剤(C)を含む場合、1種の改質剤(C1)~(C4)のみを用いることも、異なる複数種の改質剤(C1)~(C4)を用いることも可能である。
【0055】
本発明の組成物が改質剤(C1)、(C2)または(C3)を含む場合、それらの使用量は、それぞれの場合において、成分(A)および(B)の混合物の100重量部に対して、好ましくは1~40重量部、より好ましくは1~30重量部、特に1~20重量部である。
【0056】
本発明の組成物が改質剤(C4)を含む場合、本発明の組成物中に存在するシアン酸エステル基の合計と成分(C4)中の反応性ヒドロキシ官能基の合計とのモル比は、好ましくは60:40~99:1、より好ましくは70:30~95:5の範囲である。
【0057】
化合物(D)
任意に用いられる反応性樹脂(D)としては、シアン酸エステル基およびシロキサン(≡Si-O-Si≡)単位のいずれも含まず、エポキシド(D1)およびイミド(D2)からなる群から選択される重合性有機化合物が挙げられ、ただし、エポキシド(D1)は、1分子あたり少なくとも2個の任意に置換されたグリシジルオキシ、グリシジルオキシカルボニル、グリシジルアミノ、ジグリシジルアミノまたはオキシラニル基を含み、好ましくは芳香族炭素原子に結合した少なくとも2個のそのような基を含み;イミド(D2)は、1分子あたり少なくとも2個の任意に置換された5-エチニルフタルイミド、5-(フェニルエチニル)フタルイミド、ナドイミド(nadimido)、ベンゾシクロブテンフタルイミドまたはマレイミド基を含み、好ましくは芳香族炭素原子に結合した少なくとも2個のそのような基を含み;特に好ましくは、マレイミド、グリシジルオキシ、グリシジルアミノおよびジグリシジルアミノ基である。
【0058】
任意に用いられる反応性樹脂(D)は、好ましくは、1分子あたり少なくとも2個の任意に置換され、任意にヘテロ原子を含む芳香族炭化水素基を含み、それぞれが芳香族炭素原子に結合したマレイミド、グリシジルオキシ、グリシジルオキシカルボニル、グリシジルアミノまたはジグリシジルアミノ基を含む。より好ましくは、(D)は、少なくとも2個の任意に置換され、任意にヘテロ原子を含む芳香族炭化水素基を含む化合物であり、それぞれが芳香族炭素原子に結合したマレイミド、グリシジルオキシ、グリシジルアミノまたはジグリシジルアミノ基を含み、任意に置換され、任意にヘテロ原子を含む芳香族炭化水素基は、共有結合、または-CR7
2-、-CR7=CR7-、=C=CR7
2、-O-、-S-、-N=N-、-CH=N-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)O-、-S(O)2-、O=P(O-)3、フェニレン、アリーレン、ビフェニレン、ビアリーレン、ナフチレン、またはトリシクロ[5.2.1.02.6]デカンジイルもしくはビシクロ[2.2.1]ヘプタンジイル等のシクロアルカンジイル基からなる群から選択される少なくとも1個の官能基を含む架橋単位を介して互いに結合している。
【0059】
ラジカルR7は、それぞれの場合に独立して、R2について列挙された基である。
【0060】
化合物(D)は、好ましくはヘテロ原子含有芳香族炭化水素基を含まない。
【0061】
エポキシ樹脂(D1)は、好ましくはシアン酸エステル樹脂(A)と共重合することができる。
【0062】
イミド樹脂(D2)は、好ましくはシアン酸エステル樹脂(A)と共重合することができない。
【0063】
エポキシ樹脂(D1)の例は、2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパン(CAS 1675-54-3)、ビス(4-グリシジルオキシフェニル)メタン(CAS 2095-03-6)、1,2-ビス(グリシジルオキシ)ベンゼン(CAS 2851-82-3)、1,3-ビス(グリシジルオキシ)ベンゼン(CAS 101-90-6)、1,4-ビス(グリシジルオキシ)ベンゼン(CAS 129375-41-3)、3,5,3’,5’-テトラメチル-4,4’-ジグリシジルオキシビフェニル(CAS 85954-11-6)、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-グリシジルオキシフェニル)プロパン(CAS 3072-84-2)、トリス(4-グリシジルオキシフェニル)メタン(CAS 66072-38-6)、1,1,2,2-テトラキス(4-グリシジルオキシフェニル)エタン(CAS 7328-97-4)、4,4’-ビス(グリシジルオキシフェニル)スルホン(CAS 878-43-1)、9,9-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)フルオレン(CAS 47758-37-2)、1,6-(ジグリシジルオキシ)ナフタレン(CAS 27610-48-6)等のフェノール化合物のグリシジルエーテル;クレゾールノボラックグリシジルエーテル(CAS 29690-82-2)、フェノールノボラックグリシジルエーテル(CAS 9003-36-5、CAS 28064-14-4、CAS 158163-01-0)およびビスフェノールA-エピクロロヒドリン-ホルムアルデヒドコポリマー(CAS 28906-96-9)等のフェノール-、ナフトール-、ナフタレンジオール-、ビスフェノール-またはクレゾール-ホルムアルデヒド縮合生成物のグリシジルエーテル;CAS68610-51-5およびCAS119345-05-0等のフェノール-またはクレゾール-ジシクロペンタジエン縮合生成物のグリシジルエーテル;フタル酸ジグリシジル(CAS 7195-45-1)、テレフタル酸ジグリシジル(CAS 7195-44-0)、ジグリシジルイソフタル酸(CAS 7195-43-9)、ベンゼン-1,2,3-トリカルボン酸トリグリシジル、ベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸トリグリシジル(CAS7237-83-4)およびベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸トリグリシジル(CAS7176-19-4)等の芳香族カルボン酸のグリシジルエステル;N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリン(CAS 5026-74-4)、4,4’-メチレンビス(N,N-ジグリシジルアニリン)(CAS 28768-32-3)、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチルジフェニルメタン(CAS 130728-76-6)およびm-(グリシジルオキシ)-N,N-ジグリシジルアニリン(CAS71604-74-5)等の芳香族アミンおよびアミノフェノールのグリシジル誘導体;グリシジルオキシ-またはジグリシジルアミノ-末端ポリスルホン等の、例えばアミノ-またはヒドロキシ-末端熱可塑性プラスチック(C2)とエピクロロヒドリンとの反応によって生成可能なグリシジル末端熱可塑性プラスチック;ビスフェノールA-エピクロロヒドリンコポリマー(CAS 25036-25-3)、2,2’,6,6’-テトラブロモビスフェノールA-エピクロロヒドリンコポリマー(CAS 40039-93-8)、およびジグリシジルビスフェノールAとm-フェニレンビス(メチルアミン)との反応生成物(CAS 110839-13-9)等のホモポリマーまたはコポリマーのエポキシ樹脂;ならびに異なるエポキシ樹脂(D1)の混合物である。
【0064】
重合性マレイミド樹脂(D2)の例は、4,4’-ビス(マレイミドフェニル)メタン(CAS 13676-54-5)、m-キシリレンビスマレイミド(CAS 13676-53-4)、1,1’-(2,2,4-トリメチルヘキサン-1,6-ジイル)ビス-1H-ピロール-2,5-ジオン(CAS 39979-46-9)、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(CAS 105391-33-1)、ビス(4-マレイミド-3-メチルフェニル)メタン、ビス(4-マレイミド-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,1-ビス(4-マレイミドフェニル)シクロヘキサン、2,4-ビスマレイミドトルエン(CAS 6422-83-9)、N,N’-1,2-フェニレンビスマレイミド(CAS 13118-04-2)、N,N’-1,3-フェニレンビスマレイミド(CAS 3006-93-7)、N,N’-1,3-フェニレンビスマレイミド(CAS 3278-31-7)、4,4’-ビス(マレイミドフェニル)メタン/4,4’-ビス(アミノフェニル)メタンコポリマー(CAS 26140-67-0)等のビスマレイミドと芳香族アミンとのコポリマー;ホルムアルデヒドとアニリンとの縮合生成物の無水マレイン酸との反応生成物(CAS 28630-26-4、CAS 67784-74-1);ビス(4-マレイミドフェニル)エーテル、2,2-ビス[4-(マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(CAS 79922-55-7)、ビス(4-マレイミドフェニル)スルホン(CAS 13102-25-5)、ビス(4-マレイミドフェニル)ケトン、1,1’-(ベンゼン-1,3-ジイルジメタンジイル)ビス(1H-ピロール-2,5-ジオン)(CAS 13676-53-4)、4,4’-ビス(マレイミド)-1,1’-ビフェニル(CAS 3278-30-6)、4,4’-ビス(3-マレイミドフェノキシ)ジフェニルスルホン、または例えばアミノ末端熱可塑性プラスチック(C2)と無水マレイン酸、例えばマレイミド末端ポリスルホンエーテルとの反応により生成するマレイミド末端熱可塑性プラスチックポリマー(D2);および異なるマレイミド樹脂の混合物(D2)である。
【0065】
本発明の組成物が重合性反応樹脂(D)を含む場合、本発明の組成物中に存在するシアン酸エステル基の合計と成分(D)中の反応性のエポキシドまたはイミド官能基の合計とのモル比は、好ましくは10:90~99:1、より好ましくは30:70~95:5、特に50:50~90:10の範囲である。
【0066】
本発明の組成物が重合性イミド(D2)を含む場合、好ましくは、シアン酸エステル基およびイミド基、好ましくはマレイミド基の両方と共重合することができるさらなる「カプラー」成分が添加される。これらは、シアン酸エステル(A)、改質剤(C3)、または芳香族炭素原子に結合したプロペニル基を有する改質剤(C4)であってもよく;または、1分子あたり、芳香族炭素原子に結合したヒドロキシ基を1個以上含み、芳香族炭素原子に結合したイミド基、好ましくはマレイミド基を含む芳香族炭化水素化合物、例えばN-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド(CAS 7300-91-6)であってもよい。
【0067】
本発明の組成物が重合性イミド樹脂(D2)を含む場合、イミド基の合計と成分(A)、(C3)および(C4)のプロペニル基の合計とのモル比は、好ましくは45:55~95:5、より好ましくは60:40~90:10、特に65:35~80:20である。
【0068】
化合物(E)
本発明の組成物に用いられる充填剤(E)は、任意の既知の充填剤であり得る。
【0069】
本発明において用いられる充填剤(E)は、好ましくは、23℃および1000hPaでトルエン中に1重量%未満の程度まで溶解するものである。
【0070】
充填剤(E)の例は、非強化粒子状充填剤、すなわち好ましくは50m2/gまでのBET表面積を有する充填剤、例えば石英、ガラス、クリストバライト、珪藻土;ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、タルク、マイカ、長石、カオリン、ゼオライト等の非水溶性ケイ酸塩;アルミニウム、チタン、鉄、ホウ素または亜鉛の酸化物、またはそれらの混合酸化物等の金属酸化物;硫酸バリウム、炭酸カルシウム、大理石粉、石膏、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ポリアクリロニトリルまたはポリエーテルイミド粉末等のプラスチック粉末;強化充填剤、すなわち50m2/g超のBET表面積を有する充填剤、例えばヒュームドシリカ、沈降シリカ、沈降チョーク、ファーネスブラックおよびアセチレンブラック等のカーボンブラック、および大きなBET表面積を有するシリコン-アルミニウム混合酸化物;アルミニウム三水酸化物、水酸化マグネシウム、中空球状充填剤、例えばガラスマイクロバルーン、ガラス球、フェノール熱球またはセラミックミクロスフェア、例えば3M Deutschland GmbH(ドイツ国ノイス)の商品名Zeeospheres(商標)として入手可能なもの;繊維状充填剤、例えばワラストナイト、モンモリロナイト、玄武岩、ベントナイト、ならびに細断および/または粉砕されたガラス繊維(短ガラス繊維)またはミネラルウール;金属繊維、金属酸化物、ガラス、セラミック、カーボンまたはプラスチックで構成される繊維;ならびにセルロース、亜麻、麻、木材またはサイザル麻からなる天然繊維である。
【0071】
高性能複合材料の製造のために、本発明による樹脂組成物は、好ましくは、任意の既知の繊維形成材料、好ましくはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル;スチール製の金属繊維;炭化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化ホウ素等の酸化物および非酸化物セラミックス;ガラス、石英、カーボン、アラミド、アスベスト、グラファイト、アクリロニトリル、ポリ(ベンゾチアゾール)、ポリ(ベンゾイミダゾール)、ポリ(ベンゾオキサゾール)、二酸化チタン、ホウ素、およびポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)等の芳香族ポリアミド繊維からなる繊維強化材(E1)を含む。繊維(E1)は、異なる形態で用いられ得、例えばそれぞれが1000~400000本の個別のフィラメントを有する連続ロープ、織布、ノンクリンプ布、ニット布、組紐、マット、不織布、ウィスカー、細断または粉砕された短繊維、またはランダムファイバーフェルトとして用いられ得る。好ましい繊維は、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、セラミック繊維およびガラス繊維である。
【0072】
列挙された充填剤(E)は、任意に、例えばオルガノシランもしくはオルガノシロキサン、ステアリン酸、または1つ以上の改質剤(C)による処理によって表面処理、例えば疎水化されてもよい。また、例えば酸化、または酸もしくは塩基による処理によって、硬化樹脂マトリックスとの化学結合を可能にするために充填剤の表面を改質することも可能である。充填剤(E)は、好ましくは表面処理されている。
【0073】
本発明において用いられる充填剤(E)は、別々に用いてもよく、または相互に任意の混合物として用いてもよい。異なる充填剤(E)の混合物が用いられる場合、それは好ましくは充填剤(E1)の混合物である。
【0074】
本発明の組成物が充填剤(E)を含む場合、未硬化複合材料に対する成分(E)の割合は、好ましくは5~80重量%、より好ましくは10~70重量%、特に15~60重量%である。前記充填剤は、好ましくは繊維状充填剤(E1)である。
【0075】
本発明の組成物が繊維強化材(E1)および非繊維充填材(E)の両方を含む場合、成分(E):(E1)の重量比は好ましくは50%以下である。
【0076】
化合物(F)
本発明の組成物は、従来技術から既知のもの等の硬化促進剤(F1)の存在下で架橋されていてもよい。適切な硬化促進剤(F1)は、例えば、塩酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、リン酸等の酸および塩基、トリエチルアミン、N,N-ジメチルアニリンおよびピリジン等の脂肪族アミンおよび芳香族アミン;アミジン、グアニジンおよび水酸化ナトリウム;塩化アルミニウム、塩化リチウム、フッ化ホウ素、塩化鉄、塩化亜鉛、フッ化亜鉛、塩化スズ、塩化コバルトおよび塩化チタン等のハロゲン化物;およびアルミニウム、銅、亜鉛、チタン、鉄、マンガン、コバルト、クロムまたはニッケルの金属アルコキシド、金属カルボン酸塩または金属キレート錯体等の有機金属化合物である。有機金属化合物の例は、ナフテン酸コバルト(II)、ナフテン酸ニッケル(II)、ナフテン酸鉄(III)、ナフテン酸銅(II)、ナフテン酸マンガン(II)、ナフテン酸アルミニウム(III)、ナフテン酸亜鉛(II)、オクタン酸亜鉛(II)、亜鉛(II)アセチルアセトナート、鉄(III)アセチルアセトナート、コバルト(II)アセチルアセトナート、クロム(III)アセチルアセトナート、アルミニウム(III)アセチルアセトナートおよび銅(II)アセチルアセトナートである。
【0077】
本発明の組成物を架橋するために促進剤(F1)が用いられる場合、促進剤(F1)は、好ましくは有機金属化合物と少なくとも1個の活性プロトンを有する共促進剤との組み合わせであり、より好ましくは有機金属化合物とフェノール(C4)、例えばノニルフェノールとの組み合わせである。
【0078】
本発明の組成物が促進剤(F1)を含む場合、その含有量は、成分(A)100重量部に対して、好ましくは0.00001~5重量部であり、有機金属化合物(F1)は、成分(A)100重量部に対して、より好ましくは0.0001~0.02重量部の量で用いられる。
【0079】
本発明の組成物がイミド含有有機ケイ素化合物(C1)またはイミド樹脂(D2)を含む場合、有機過酸化物、例えばジクミルパーオキシド、ジ-tert-ブチルパーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、ジラウロイルパーオキシド、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)シクロヘキサンおよびtert-ブチルパーベンゾエート;またはアゾビス(イソブチロニトリル)等のアゾ化合物を単独でまたは(F1)に添加して用いることができる。本発明の組成物がフリーラジカル形成硬化促進剤(F2)を含む場合、その含有量は、イミド含有改質剤(C1)とイミド樹脂(D2)との合計100重量部に対して、好ましくは0.1~2重量部である。フリーラジカル形成硬化促進剤(F2)は、好ましくは用いない。
【0080】
化合物(G)
任意に用いられる溶媒(G)の例は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ポリブチレングリコールおよびグリセリン等の脂肪族の一価および多価アルコールである。;メチルtert-ブチルエーテル、ジ-tert-ブチルエーテル、およびジ-、トリ-またはテトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル;飽和炭化水素、例えばn-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、異性体オクタン、例えば2-エチルヘキサン、2,4,4-トリメチルペンタン、2,2,4-トリメチルペンタン、2-メチルヘプタンおよびトリクロロエチレン、ならびに商品名Exxsol(商標)、Hydroseal(登録商標)またはShellsol(登録商標)として入手可能な、60~300℃の沸点範囲を有する飽和炭化水素の混合物;ベンゼン、トルエン、スチレン、o-、m-またはp-キシレン、ソルベントナフサ、フタル酸ジメチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジシクロヘキシル、メシチレンおよびクロロベンゼン等の芳香族溶媒;メチラール、エチルヘキシラール、ブチルラール、1,3-ジオキソランおよびグリセロールホルマール等のアルデヒドアセタール;1,3-ジオキソラン-2-オン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、プロピレングリコールカーボネートおよびエチレンカーボネート等のカーボネート;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソブチルケトン、アセトンおよびシクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、酢酸n-ブチル、エチレングリコールジアセテート、γ-ブチロラクトン、酢酸2-メトキシプロピル(MPA)、ジプロピレングリコールジベンゾエートおよびエトキシプロピオン酸エチル等のエステル;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンおよびN-エチル-2-ピロリドン等のアミド;アセトニトリル;ならびにジメチルスルホキシドである。
【0081】
好ましい溶媒(G)は、芳香族炭化水素およびケトンである。
【0082】
本発明の組成物が溶媒(G)を含む場合、その含有量は、それぞれの場合において、成分(A)および(B)の合計100重量部に対して、好ましくは10~500重量部、より好ましくは50~300重量部である。本発明の組成物は、好ましくは溶媒(G)を含まない。
【0083】
化合物(H)
本発明において任意に用いられるさらなる成分(H)は、好ましくは、顔料、染料、香料、粘着に影響を与えるための薬剤、潤滑剤、離型剤、ブロッキング防止剤または分散剤等の加工助剤;加水分解、光、酸化、熱、変色に対する安定剤;難燃剤または可塑剤である。
【0084】
本発明の組成物がさらなる成分(H)を含む場合、その含有量は、それぞれの場合において、成分(A)および(B)の合計100重量部に対して、好ましくは0.01~20重量部、より好ましくは0.1~10重量部である。本発明の組成物は、好ましくはさらなる成分(H)を含まない。
【0085】
本発明の組成物は、好ましくは、
(A)少なくとも1種のシアン酸エステル樹脂、
(B)少なくとも1種のオルガノシロキサン、
(C)任意に少なくとも1種の改質剤、
(D)任意に少なくとも1種の反応性樹脂、
(E)少なくとも1種の充填剤、
(F)任意に少なくとも1種の硬化促進剤、
(G)任意に少なくとも1種の溶媒、および
(H)任意にさらなる成分
を含むものである。
【0086】
本発明の組成物は、好ましくは、
(A)少なくとも1種のシアン酸エステル樹脂、
(B)少なくとも1種のオルガノシロキサン、
(C)少なくとも1種の改質剤、
(D)任意に少なくとも1種の反応性樹脂、
(E1)少なくとも1種の繊維強化充填剤、
(F)任意に少なくとも1種の硬化促進剤、
(G)任意に少なくとも1種の溶媒、および
(H)任意にさらなる成分
を含むものである。
【0087】
特に好ましい実施形態において、本発明の組成物は、
(A)少なくとも1種のシアン酸エステル樹脂、
(B)少なくとも1種のオルガノシロキサン、
(C)任意に少なくとも1種の改質剤、
(D1)少なくとも1種のエポキシ樹脂、
(E1)少なくとも1種の繊維強化充填剤、
(F)任意に少なくとも1種の硬化促進剤、
(G)任意に少なくとも1種の溶媒、および
(H)任意にさらなる成分
を含むものである。
【0088】
本発明の組成物は、特に
(A)少なくとも1種のシアン酸エステル樹脂、
(B)少なくとも1種のオルガノシロキサン、
(C)少なくとも1種の改質剤、
(D1)少なくとも1種のエポキシ樹脂、
(E1)少なくとも1種の繊維強化充填剤、
(F)任意に少なくとも1種の硬化促進剤、
(G)任意に少なくとも1種の溶媒、および
(H)任意にさらなる成分
を含むものである。
【0089】
さらに特に好ましい実施形態において、本発明の組成物は、
(A)少なくとも1種のシアン酸エステル樹脂、
(B)少なくとも1種のオルガノシロキサン、
(C)グループ(C1)~(C4)から選択される少なくとも1種の改質剤、
(D2)少なくとも1種のマレイミド樹脂、
(E1)少なくとも1種の繊維強化充填剤、
(F)任意に少なくとも1種の硬化促進剤、
(G)任意に少なくとも1種の溶媒、および
(H)任意にさらなる成分
を含む組成物であり、
ただし、芳香族炭素原子に直接結合した1-プロペニル基または2-プロペニル基を有する少なくとも1種の成分(A)、(C3)または(C4)が存在する。
【0090】
さらに特に好ましい実施形態において、本発明の組成物は、
(A)少なくとも1種のシアン酸エステル樹脂、
(B)少なくとも1種のオルガノシロキサン、
(C4)少なくとも1種の改質剤(C4)、
(C)任意にグループ(C1)~(C3)から選択される少なくとも1種のさらなる改質剤、
(D2)少なくとも1種のマレイミド樹脂、
(E1)少なくとも1種の繊維強化充填剤、
(F)任意に少なくとも1種の硬化促進剤、
(G)任意に少なくとも1種の溶媒、および
(H)任意にさらなる成分
を含むものである。
【0091】
本発明の組成物は、成分(A)および(B)、任意に用いられる成分(C)~(H)、ならびに原料に典型的な不純物、例えば塩化ナトリウムまたは塩化カリウム等の触媒残留物、工業グレードのシアン酸エステル樹脂モノマー中の不純物、および混合中または保存中に形成される使用成分の反応生成物以外にさらなる成分を含まない。
【0092】
本発明の組成物において、上述した成分はそれぞれ別々に用いてもよく、またはそれぞれの成分の少なくとも2つの混合物の形態で用いてもよい。
【0093】
本発明の組成物は、公知の方法に従って、例えば個々の成分を任意の所望の順序で公知の方法で混合することによって製造することができる。
【0094】
本発明によれば、個々の成分を任意の所望の順序で混合することによって本発明の組成物を製造する方法も提供される。
【0095】
本発明の方法において、混合は、好ましくは20~150℃の範囲、より好ましくは50~130℃の範囲、特に60~120℃の温度で行うことができる。非常に特に好ましくは、混合は、周囲温度で混合する場合に、原材料の温度に混合中のエネルギー入力による温度上昇を加えた温度で行われ、必要に応じて混合物を加熱または冷却することが可能である。
【0096】
混合は、周囲大気の圧力、すなわち約900~1100hPaで行うことができる。混合は、揮発性物質および/または空気を除去するために、断続的または連続的な減圧下、例えば30~500hPaの絶対圧下で、または1100~3000hPaの絶対圧力等の正圧下で行うことも可能であり、これらの圧力が、例えばポンピング中の圧力の結果として、および高温で用いられる材料の蒸気圧の結果として密閉系内で確立される場合、特に連続プロセスモードで行うことが可能である。
【0097】
本発明の方法は、連続的に、不連続的に、または半連続的に行うことができ、好ましくは不連続的に行うことができる。
【0098】
組成物を製造するための本発明の方法の好ましい実施形態において、個々の成分は任意の所望の順序で混合され、用いられる充填剤(F)は成分(F1)である。
【0099】
本発明の組成物は、有機反応性樹脂系またはそのプレポリマーが熱硬化性樹脂におけるその後の架橋にすでに用いられてきたあらゆる目的に用いることができる。
【0100】
本発明の組成物は、既知の加工技術、例えば、プリプレグ(溶融物、溶液または懸濁液から)、トランスファー成形、フィラメントワインディング、圧縮成形、粉体塗装、樹脂のトランスファー成形等の引抜成形法または射出成形法によって成形品に製造することができる。
【0101】
本発明の方法の一つの変形例において、成分(A)および(B)、ならびに任意成分(C)、(D)、(G)および(H)を、好ましくは最初に任意の所望の順序で混合して、プレミックスを形成し、その後、成分(E1)、好ましくはロープ、織布、ノンクリンプ布、ニット布または組紐に、任意に加圧下で、任意に脱気下でプレミックスを含浸させる。多層織布またはノンクリンプ布(E1)の場合、含浸および脱気は各層に個別に行ってもよく、またはすべての層を一緒に行ってもよい。
【0102】
本発明の方法のさらに好ましい変形例において、成分(A)および(B)、ならびに任意成分(C)、(D)、(G)および(H)を最初に任意の所望の順序で混合してプレミックスを形成し、次いで、成分(E1)、好ましくはロープ、織布、ノンクリンプ布、ニット布または組紐を含む金型キャビティに射出し、好ましくは脱気を射出プロセスと同時に行う。
【0103】
本発明の方法のさらに好ましい変形例において、成分(A)および(B)、ならびに任意成分(C)、(D)、(G)および(H)を最初に任意の所望の順序で混合してプレミックスを形成し、次いで剥離紙に塗布し、その後、成分(E1)、好ましくは配向されたロープ、織布、ノンクリンプ布、ニット布または組紐を2枚のコート紙の間に押し付け、一連の加熱ローラーに通して成分(E1)を完全に湿らせる。
【0104】
本発明の組成物は、周囲温度または任意に高温での機械的圧力によって、任意の所望の形状にすることができる。
【0105】
本発明の組成物は、好ましくは成形可能であり、より好ましくは、金型キャビティ内または成形鋳型の周囲で成形および硬化される。
【0106】
したがって、本発明によれば、成形品を製造するための本発明の組成物の使用も提供される。
【0107】
したがって、本発明によれば、組成物を成形し、硬化させることによって成形品を製造する方法も提供される。
【0108】
したがって、本発明によれば、本発明の組成物から成形および硬化によって得られる成形品も提供される。
【0109】
本発明の組成物/本発明により製造される組成物は、任意に促進剤(F1)の存在下で、(A)、任意に(C1)、および任意に(C3)からのシアン酸エステル基の環状三量化によって;任意に、さらなる炭素-炭素三重結合の環状三量化および環状四量化、付加反応、アルダーエン反応、ディールス・アルダー環化付加、および重合によって架橋されて1,3,5-トリアジン単位を生成し、分子内再配列、異性化および再芳香化ステップも起こり得る。本発明における硬化が付加反応および任意に転位によっても進行する場合、存在する場合には(C1)および(D1)からのエポキシ基、およびトリアジン単位に環化された(A)からのシアン酸エステル基は、好ましくは互いに反応し、かつ/または、(C1)、(C2)、(C4)、および存在する場合には「カプラー」成分からのヒドロキシ基と反応し、「カプラー」成分は、1分子あたり、芳香族炭素原子に結合したヒドロキシ基を1個以上含み、芳香族炭素原子に結合したイミド基を含み、例えばN-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミドであり、好ましくは(A)からのシアン酸エステル基と反応する。本発明における硬化が炭素-炭素三重結合の環状三量化および環状四量化によってもさらに進行する場合、存在する場合、イミド(D2)および/または改質剤(C1)の反応性炭素-炭素三重結合は、好ましくは互いに反応する。本発明における硬化がさらに重合によっても進行する場合、存在する場合、反応性ナドイミド基もしくはマレイミド基、またはイミド樹脂(D2)および/または改質剤(C1)の炭素-炭素三重結合は、好ましくは互いに反応し、重合の後に任意に転位が続き、任意に付加環化反応が続く。本発明における硬化がさらにアルダーエンまたはディールス・アルダー反応によっても進行する場合、存在する場合、イミド樹脂(D2)、特に好ましくはマレイミド樹脂(D2)の反応性基、および存在する場合、(A)、(C1)、(C3)および/または(C4)からの1-プロペニルおよび2-プロペニル基は、好ましくは互いに反応し、特に好ましくはさらなるディールス・アルダー反応および再芳香族化工程が続く。
【0110】
本発明の混合物/本発明により製造される混合物は、好ましくは硬化前に、より好ましくは成形後かつ硬化前に脱気される。
【0111】
本発明における架橋は、好ましくは50~350℃、より好ましくは100~300℃、特に120~270℃の範囲の温度で行われる。非常に特に好ましくは、本発明における架橋は、120~270℃の温度で段階的に行われる。
【0112】
温度を上げることで架橋を促進することができるため、成形と架橋とを一つの工程で行うことも可能である。
【0113】
本発明による成形品は、繊維複合材料(または繊維強化プラスチック「FRP」)であることが好ましい。
【0114】
本発明によれば、本発明の組成物を成形および架橋することを特徴とする、繊維複合材料の製造方法がさらに提供される。
【0115】
本発明における成分(A)および(B)の組成物は、好ましくは硬化して、巨視的に均質/単相の透明な熱硬化性樹脂を形成する。
【0116】
本発明の組成物は、温度100℃および気圧1013hPaにおいて固体または液体であってもよく、好ましくは100℃および1013hPaにおいて液体である。
【0117】
本発明の組成物が100℃および1013hPaで液体である場合、本発明の組成物は、それぞれの場合において、100℃および1013hPaで、好ましくは1mPa・s超5000mPa・s未満、好ましくは1mPa・s超2000mPa・s未満、より好ましくは1mPa・s超1000mPa・s未満、特に1mPa・s超500mPa・s未満の動粘度を有する。
【0118】
本発明に関して、動粘度は、特に明記しない限り、温度23℃および気圧1013hPaでDIN 53019に従って測定される。測定は、Anton Paar社の「Physica MCR 300」回転レオメーターで行われる。1.13mmの環状測定ギャップを備えた同軸シリンダー測定システム(CC27)を1~200mPa・sの粘度に用い、コーンプレート測定システム(CP 50-1測定コーンを備えるSearleシステム)を200mPa・s超に用いた。せん断速度はポリマーの粘度に合わせて調整した(1~99mPa・sの場合100s-1;100~999mPa・sの場合200s-1;1000~2999mPa・sの場合120s-1;3000~4999mPa・sの場合80s-1;5000~9999mPa・sの場合62s-1;10000~12499mPa・sの場合50s-1;12500~15999mPa・sの場合38.5s-1;16000~19999mPa・sの場合33s-1;20000~24999mPa・sの場合25s-1;25000~29999mPa・sの場合20s-1;30000~39999mPa・s-1の場合17s-1;40000~59999mPa・sの場合10s-1;60000~149999の場合5s-1;150000~199999mPa・sの場合3.3s-1;200000~299999mPa・sの場合2.5s-1;300000~1000000mPa・sの場合1.5s-1)。
【0119】
測定システムを測定温度で熱平衡化した後、慣らし運転、予備せん断および粘度測定からなる3段階の測定プログラムを行った。慣らし運転段階では、せん断速度を1分間かけて、測定が行われ、上記の予想される粘度に対応するせん断速度まで徐々に増大させた。前記せん断速度まで達したところで、一定のせん断速度で30秒間予備せん断を行い、続いて、それぞれ4.8秒間の25回の個別の測定を行うことによって粘度を測定し、その結果を平均した。平均値は動粘度に対応し、mPa・sで報告した。
【0120】
水中で240℃で200時間保管した後、85重量%の(A)および15重量%の(B)を含む硬化した本発明の熱硬化性組成物は、対応する改変されていないシアン酸エステル樹脂(A)よりも、好ましくは100%以下、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、特に70%以下の重量損失を示した。
【0121】
水中で70℃で2000時間保存した後、85重量%の(A)および15重量%の(B)を含む硬化した本発明の熱硬化性組成物は、対応する改変されていないシアン酸エステル樹脂(A)よりも、好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、特に少なくとも50%低い吸水性を示した。
【0122】
本発明の硬化組成物(A)および(B)のそれぞれの硬化した未変性シアン酸エステル樹脂(A)に対する曲げ弾性率Eの比は、23℃で測定した場合において、それぞれの場合において、好ましくは0.5~1.0、より好ましくは0.5~0.95、特に0.6~0.85である。
【0123】
本発明の硬化組成物(A)および(B)のそれぞれの硬化した未変性シアン酸エステル樹脂(A)に対する臨界応力拡大係数KIcの比は、23℃で測定した場合において、それぞれの場合において、1.0超、より好ましくは1.1超、特に1.2超である。
【0124】
本発明の硬化組成物は、吸水性が顕著に低下しており、したがってより優れた耐加水分解性を示すという利点を有する。
【0125】
本発明による成形品は、純粋な有機シアン酸エステル樹脂系から作られた複合材料と比較して、熱的に安定であり、火災負荷が低いという利点を有する。
【0126】
本発明による成形品は、高い熱安定性を示すという利点を有する。
【0127】
本発明の組成物は、高温耐性、高ガラス転移温度、高剛性、および臨界応力拡大係数(KIc)で表される高破壊靱性を有する、いわゆる複合材料の製造を可能にするという利点を有する。
【0128】
本発明の組成物は、容易に入手可能な原料から簡単な方法で製造できるという利点を有する。
【0129】
本発明の組成物は、その加工により、従来技術において用いられる有機シアン酸エステル樹脂で典型的に発生する程度の有害な放出をもたらさないという利点を有する。
【実施例】
【0130】
以下の実施例により、原理的に本発明がどのように実施されるかを説明するが、これによって本発明がそこに開示されているものに限定されるものではない。
【0131】
以下の実施例は、周囲大気の圧力、すなわち約1013hPa、および室温、すなわち約23℃、または追加の加熱または冷却を行わずに室温で反応物を混合する際に確立された温度で行った。
【0132】
モル質量
本発明に関して、それぞれの場合においてg/molの単位であり、DIN1333:1992-02のセクション4に従って10の位が四捨五入される重量平均モル質量Mwおよび数平均モル質量Mnは、テトラヒドロフラン(THF)を溶離液として用い、ポリスチレン-コ-ジビニルベンゼンを固定相とし、10000Å、500Åおよび100Åの順の異なる細孔径分布を有する3種のカラムで構成されるカラムアレイであって、最大450000Åのサイズカットオフを有するカラムアレイをポリスチレン標準に対して較正することにより、DIN55672-1/ISO160414-1およびISO160414-3に準拠したサイズ排除クロマトグラフィー(SEC/GPC)によって決定される。分析は、カラム温度40±1℃で屈折率検出器を用いて行った。
【0133】
試験片の作製
加工性を良くするために、シアン酸エステル樹脂(A)をまずよく混合しながら100℃に加熱した。次いで、オルガノシロキサン(B)を添加し、混合物を120℃で1時間均質化し、その後、圧力10mbar、120℃で1時間脱気し、窒素で真空を解除した後、熱いうちにすぐに、160℃に予熱された二分割ねじ止めアルミ金型に注いだ。金型キャビティの寸法は、曲げ試験用の試験片の製造では100mm×12.7mm×2.5mm(長さ×幅×高さ)であり、破壊靱性、吸水性および熱酸化安定性の測定用の試験片の製造では200mm×100mm×6.5mm(長さ×幅×高さ)であった。固着および漏れを防ぐために、金型キャビティの表面をポリテトラフルオロエチレンスプレーで金型内面を処理し、金型キャビティの周囲に硬度75ショアAのフッ素ゴム製の太さ2mmの丸コードを配置した。硬化のために、充填された金型を、下記の温度プログラムに従って対流式オーブンに保管した:
1)180℃で18時間硬化
2)30分かけて200℃まで温度上昇
3)200℃で3時間硬化
4)30分かけて240℃まで温度上昇
5)240℃で2時間硬化。
【0134】
次いで、試験片を金型内で周囲温度まで冷却し、その後金型から離形した。さらなる使用のために、金型内での硬化中に開いていて空気にさらされていた加硫側の最上部10mmを切り取り、廃棄した。次いで、破壊靱性、吸水性および熱酸化安定性を測定するための試験片を、ダイヤモンドソーを用いて高さ6.5mmの大きな加硫物スラブから適切な長さ×幅の寸法に切り出し、高さ6.5mmの試験片の4つの側面がすべて切断面となるようにし;吸水率を測定するための厚さ1.00mmの試験片を、ダイヤモンドホールソーを用いて、これらの試験片の6つの表面すべてが切断面となるように、予め切断された片から切り出した。
【0135】
破壊靱性K
Ic
破壊靭性/臨界応力拡大係数KIcの測定は、刊行物「Reactive and Functional Polymers 142 (2019) 159-182」に記載されているように、23℃、相対湿度50%で行い;この試験片の厚さは6.5mmであった。表1に記載されている単位MN×m-3/2の破壊靱性KIcの値は、DIN1333:1992-02のセクション4に従って小数点第2位に四捨五入されている。
【0136】
曲げ弾性率E
本発明において、曲げ弾性率は、ISO178:2011-04の方法Aに従って、試験速度2mm/分、接触距離L38mmで測定した。測定は23℃、相対湿度50%で行った。長さ×幅×厚さ=60.0mm×12.7mm×2.5mmの寸法を有する直方体試験片を用いた。測定は毎回5つの試験片に対して行った。表1に記載されている、単位GPaの曲げ弾性率Eの値は、それぞれの場合において、DIN1333:1992-02のセクション4に従って小数点第1位に四捨五入した個々の測定値の平均である。
【0137】
吸水性
本発明において、吸水率の重量測定には、長さ×幅×厚さ=30.00mm×17.00mm×1.00mmの寸法を有する直方体試験片を用い;重量測定の精度は±0.01mgであった。試験片をまず真空オーブン中70℃、30mbarで一定重量になるまで乾燥させ、24時間間隔で重量を測定した。48時間にわたってさらなる重量減少が測定されなかった場合、試験片を「乾燥」しているとみなした。次いで、それぞれの場合において1つの乾燥試験片を、適切な密閉可能な容器中の45mlの脱イオン水に浸漬し;次いで、密閉容器を、70℃に予熱した対流式オーブンに静置し、試験期間中この温度に維持した。2000時間後、試験片を取り出し、周囲温度まで冷却し、表面を布で拭いて乾燥させ;次いで、試験片の重量を再測定した。吸水率を
【数4】
に従って計算した。表1は、DIN1333:1992-02のセクション4に従って小数点第2位に四捨五入した吸水率の値を%で示す。
【0138】
熱酸化安定性
本発明において、熱酸化安定性の重量測定には、長さ×幅×厚さ=12.00mm×6.50mm×6.50mmの寸法を有する直方体試験片を用い;重量測定の精度は±0.01mgであった。試験片をまず真空オーブン中70℃、30mbarで一定重量になるまで乾燥させ、24時間間隔で重量を測定した。48時間にわたってさらなる重量減少が測定されなかった場合、試験片を「乾燥」しているとみなした。次いで、試験片を240℃の対流式オーブンに保管した。200時間後、試験片を取り出し、試験片の重量を再測定した。重量の減少を
【数5】
に従って計算した。表1は、DIN1333:1992-02のセクション4に従って小数点第2位に四捨五入した重量減少の値を%で示す。
【0139】
相溶性
硬化したシアン酸エステルマトリックスとシロキサン改質剤との相溶性を、製造された試験片を用いて硬化直後に評価した。表1において、相溶性を、「+」=良好な相溶性(試験片が均質/単相、透明であり、加硫物からのシロキサン成分の浸出または滲出がない)、「○」=平均的な相溶性(試験片が曇りから不透明であり、表面は乾燥しており、加硫物からのシロキサン成分の浸出または滲出がない)、および「-」=相溶性が低い(試験片が不透明であり、表面が油っぽいか粘着性であり、加硫物からのシロキサン成分の浸出または滲出が目に見える)で示す。
【0140】
実施例B1
成分(A)として85gの2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン(CAS 1156-51-0;TCI Deutschland GmbH、D-65760 Eschbornから市販されている)および成分(B)として15gの1,1,3,5,5-ペンタフェニル-1,3,5-トリメチルトリシロキサン(CAS 3390-61-2;abcr GmbH、D-76187 Karlsruheから市販されている)を、「Production of the test specimens」に記載されるように一緒に混合し、金型に流し込んで硬化させた。
【0141】
比較例C1
成分(B)としての1,1,3,5,5-ペンタフェニル-1,3,5-トリメチルトリシロキサンを成分(A)に添加しないという変更を加えて、実施例1に記載の手順を繰り返した。
【0142】
比較例C2
1,1,5,5-テトラメチル-3,3-ジフェニルトリシロキサン(CAS 17875-55-7;TCI Deutschland GmbH、D-65760 Eschbornから市販されている)を、1,1,3,5,5-ペンタフェニル-1,3,5-トリメチルトリシロキサンの代わりに成分(A)に添加するという変更を加えて、実施例1に記載の手順を繰り返した。
【0143】
比較例C3
平均組成(Me3SiO1/2)0.12(MePhSiO2/2)0.88、重量平均モル質量Mw2150g/mol、および数平均モル質量Mn1380g/molであるポリ(メチルフェニルシロキサン)(CAS 9005-12-3;ABCR、76187 Karlsruheから市販されている)を、1,1,3,5,5-ペンタフェニル-1,3,5-トリメチルトリシロキサンの代わりに成分(A)に添加するという変更を加えて、実施例1に記載の手順を繰り返した。
【0144】
比較例C4
平均組成(Me3SiO1/2)0.30(MePhSiO2/2)0.70、重量平均モル質量Mw800g/mol、および数平均モル質量Mn700g/molであるポリ(メチルフェニルシロキサン)を、1,1,3,5,5-ペンタフェニル-1,3,5-トリメチルトリシロキサンの代わりに成分(A)に添加するという変更を加えて、実施例1に記載の手順を繰り返した。
【0145】
比較例C5
平均組成(Me2SiO2/2)0.80(Ph2SiO2/2)0.09(Me2Si(OH)O1/2)0.03(Ph2Si(OH)O1/2)0.08、重量平均モル質量Mw1930g/mol、数平均モル質量Mn940g/molである)ヒドロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン-ジフェニルシロキサン)コポリマーを、1,1,3,5,5-ペンタフェニル-1,3,5-トリメチルトリシロキサンの代わりに成分(A)に添加するという変更を加えて、実施例1に記載の手順を繰り返した。
【0146】