(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-04
(45)【発行日】2025-07-14
(54)【発明の名称】無停電電源装置
(51)【国際特許分類】
H02J 9/06 20060101AFI20250707BHJP
【FI】
H02J9/06 120
(21)【出願番号】P 2024553436
(86)(22)【出願日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 JP2024020500
【審査請求日】2024-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 涼
(72)【発明者】
【氏名】真田 和法
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特許第7406005(JP,B1)
【文献】国際公開第2016/092613(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0162137(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/00-11/00
H02M 3/00-3/44,7/00-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に対する複数の給電モードを備えた無停電電源装置であって、
第1の交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換して直流母線に供給するコンバータと、
電力貯蔵装置と前記直流母線との間に接続され、前記第1の交流電源の停電時に、前記電力貯蔵装置からの直流電力を前記直流母線に供給する双方向チョッパと、
前記直流母線から受ける直流電力を交流電力に変換して前記負荷に供給するインバータと、
前記直流母線の直流電圧が参照電圧になるように、前記無停電電源装置の給電モードに応じて前記コンバータ、前記双方向チョッパ、および前記インバータのいずれかを制御する制御装置と、
前記コンバータ、前記双方向チョッパ、および前記インバータの各々が必要とする前記直流電圧を満足するように前記参照電圧を生成する参照電圧生成回路とを備える、無停電電源装置。
【請求項2】
前記参照電圧生成回路は、
前記コンバータにおける電力変換に必要な前記直流電圧の第1の最低許容電圧を算出し、
前記双方向チョッパにおける直流電圧変換に必要な前記直流電圧の第2の最低許容電圧を算出し、
前記インバータにおける電力変換に必要な前記直流電圧の第3の最低許容電圧を算出し、
算出された前記第1から第3の最低許容電圧のうちの最大値に基づいて前記参照電圧を生成する、請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項3】
前記参照電圧生成回路は、前記第1の交流電源からの第1の交流入力電圧に基づいて、前記第1の最低許容電圧を算出する、請求項2に記載の無停電電源装置。
【請求項4】
前記参照電圧生成回路は、前記第1の交流入力電圧が前記第1の交流電源の定格電圧よりも上昇したことに応じて前記第1の最低許容電圧を高くする、請求項3に記載の無停電電源装置。
【請求項5】
前記参照電圧生成回路は、前記電力貯蔵装置に流れる電流に基づいて、前記第2の最低許容電圧を算出する、請求項2に記載の無停電電源装置。
【請求項6】
前記参照電圧生成回路は、前記電力貯蔵装置に流れる電流に基づいて前記双方向チョッパにおける電圧低下量を算出し、算出された前記電圧低下量を補償するように前記第2の最低許容電圧を算出する、請求項5に記載の無停電電源装置。
【請求項7】
前記参照電圧生成回路は、前記インバータと前記負荷との間に流れる負荷電流に基づいて、前記第3の最低許容電圧を算出する、請求項2に記載の無停電電源装置。
【請求項8】
前記参照電圧生成回路は、前記負荷電流から前記負荷が半波整流負荷または不平衡負荷であると判断された場合には、前記第3の最低許容電圧を高くする、請求項7に記載の無停電電源装置。
【請求項9】
前記複数の給電モードは、前記インバータによって生成される交流電力を前記負荷に供給する常時インバータ給電モードを含み、
前記常時インバータ給電モードが選択されている場合において、前記第1の交流電源の健全時には、前記制御装置は、前記直流電圧が前記参照電圧になるように前記コンバータを制御する、請求項1から8のいずれか1項に記載の無停電電源装置。
【請求項10】
前記常時インバータ給電モードが選択されている場合において、前記第1の交流電源の停電時には、前記制御装置は、前記直流電圧が前記参照電圧になるように前記双方向チョッパを制御する、請求項9に記載の無停電電源装置。
【請求項11】
前記複数の給電モードは、第2の交流電源からの交流電力を前記負荷に供給する常時バイパス給電モードを含み、
前記常時バイパス給電モードが選択されている場合には、前記制御装置は、前記コンバータの運転を停止させるとともに、前記第2の交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換して前記直流母線に供給するように前記インバータを制御するように構成され、
前記制御装置は、前記直流電圧が前記参照電圧になるように前記インバータを制御する、請求項1から8のいずれか1項に記載の無停電電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無停電電源装置に関し、特に、交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する無停電電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば国際公開第2016/092613号(特許文献1)には、交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換して直流母線に供給するコンバータと、直流母線と電力貯蔵装置との間で直流電力を授受する双方向チョッパと、直流母線から受ける直流電力を交流電力に変換して負荷に供給するインバータと、コンバータ、双方向チョッパおよびインバータを制御する制御装置とを備える無停電電源装置が開示されている。
【0003】
交流電源の健全時には、制御装置は、直流母線の直流電圧が参照電圧になるようにコンバータを制御するとともに、直流母線の直流電力を電力貯蔵装置に蓄えるように双方向チョッパを制御する。また、制御装置は、正弦波状の交流電圧を出力するようにインバータを制御する。
【0004】
交流電源の停電時には、制御装置は、コンバータの運転を停止させて、直流母線の直流電圧が参照電圧になるように双方向チョッパを制御するとともに、正弦波状の交流電圧を出力するようにインバータを制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した無停電電源装置では、直流母線の直流電圧(すなわち参照電圧)を電力貯蔵装置の浮動充電電圧よりも高くする必要がある。また、正弦波状の交流電圧を負荷に供給するためには、直流母線の直流電圧(すなわち参照電圧)を交流電圧の振幅の2倍の電圧よりも高くする必要がある。
【0007】
そのため、従来は、参照電圧を、コンバータが安定的に出力することができる直流電圧の最大値に設定していた。しかしながら、直流母線の直流電圧(すなわち参照電圧)を上昇させると、コンバータ、双方向チョッパおよびインバータの各々に含まれるトランジスタのスイッチング損失が増大するため、無停電電源装置の効率が低下することが懸念される。
【0008】
その一方で、参照電圧を低下させた場合には、交流電源から供給される交流電圧の大きさ、または負荷の種類によっては、直流母線の直流電圧に発生する振動を抑制することが困難となり、無停電電源装置の給電信頼性が低下することが懸念される。
【0009】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、高い給電信頼性を維持しながら、効率の向上を図ることが可能な無停電電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に従う無停電電源装置は、負荷に対する複数の給電モードを備える。無停電電源装置は、コンバータと、双方向チョッパと、インバータと、制御装置と、参照電圧生成回路とを備える。コンバータは、第1の交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換して直流母線に供給する。双方向チョッパは、電力貯蔵装置と直流母線との間に接続され、第1の交流電源の停電時に、電力貯蔵装置からの直流電力を直流母線に供給する。インバータは、直流母線から受ける直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する。制御装置は、直流母線の直流電圧が参照電圧になるように、無停電電源装置の給電モードに応じてコンバータ、双方向チョッパ、およびインバータのいずれかを制御する。参照電圧生成回路は、コンバータ、双方向チョッパ、およびインバータの各々が必要とする直流電圧を満足するように参照電圧を生成する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、高い給電信頼性を維持しながら、効率の向上を図ることが可能な無停電電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施の形態に従う無停電電源装置の構成を示す回路ブロック図である。
【
図2】制御装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図3】無停電電源装置の給電モードを示す回路ブロック図である。
【
図4】商用交流電源またはバイパス交流電源の停電が発生した場合における給電モードを示す回路ブロック図である。
【
図6】第1演算部の構成例を示すブロック図である。
【
図7】第2演算部の構成例を示すブロック図である。
【
図8】第3演算部の第1構成例を示すブロック図である。
【
図9】第3演算部の第2構成例を示すブロック図である。
【
図10】コンバータ制御部の構成例を示すブロック図である。
【
図11】双方向チョッパ制御部の構成例を示すブロック図である。
【
図12】インバータ制御部の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰り返さないものとする。
【0014】
<無停電電源装置の構成>
図1は、本開示の実施の形態に従う無停電電源装置の構成を示す回路ブロック図である。
図1に示すように、無停電電源装置は、コンデンサC1~C6,Cd、リアクトルL1~L6、電流検出器CT1~CT7、コンバータ1、直流正母線Lp、直流負母線Ln、双方向チョッパ2、インバータ3、スイッチS1~S6、操作部4、および制御装置5を備える。
【0015】
無停電電源装置は、商用交流電源6およびバイパス交流電源7から商用周波数の三相交流電力を受け、負荷8に商用周波数の三相交流電力を供給する。商用交流電源6は、交流出力端子6a~6cにそれぞれ三相交流電圧Vu1,Vv1,Vw1を出力する。商用交流電源6は「第1の交流電源」の一実施例に対応し、三相交流電圧Vu1,Vv1,Vw1は「第1の交流入力電圧」の一実施例に対応する。
【0016】
三相交流電圧Vu1,Vv1,Vw1の瞬時値は、制御装置5によって検出される。制御装置5は、商用交流電源6からの交流入力電圧Vu1,Vv1,Vw1に基づいて、商用交流電源6の停電が発生したか否かを判定する。
【0017】
バイパス交流電源7は、交流出力端子7a~7cにそれぞれ三相交流電圧Vu2,Vv2,Vw2を出力する。バイパス交流電源7は「第2の交流電源」の一実施例に対応し、三相交流電圧Vu2,Vv2,Vw2は「第2の交流入力電圧」の一実施例に対応する。バイパス交流電源7は、商用交流電源であってもよいし、発電機であってもよい。三相交流電圧Vu2,Vv2,Vw2の瞬時値は、制御装置5によって検出される。
【0018】
負荷8の交流入力端子8a~8cは、無停電電源装置から三相交流電圧を受ける。負荷8は、無停電電源装置から供給される三相交流電力によって駆動される。
【0019】
コンデンサC1~C3の第1電極はそれぞれ商用交流電源6の交流出力端子6a~6cに接続され、それらの第2電極は互いに接続される。リアクトルL1~L3の第1端子はそれぞれ商用交流電源6の交流出力端子6a~6cに接続され、それらの第2端子はコンバータ1の3つの交流ノードにそれぞれ接続される。
【0020】
コンデンサC1~C3およびリアクトルL1~L3は交流フィルタF1を構成する。交流フィルタF1は、低域通過フィルタであり、商用交流電源6からコンバータ1に商用周波数の交流電流を流し、コンバータ1から商用交流電源6にスイッチング周波数の信号が流れることを防止する。電流検出器CT1~CT3は、それぞれリアクトルL1~L3に流れる交流電流I1~I3(以下、「交流入力電流I1~I3」とも称する)を検出し、検出値を示す信号を制御装置5に与える。
【0021】
コンバータ1の正側直流ノードは、直流正母線Lpを介してインバータ3の正側直流ノードに接続される。コンバータ1の負側直流ノードは、直流負母線Lnを介してインバータ3の負側直流ノードに接続される。コンデンサCdは、直流母線Lp,Ln間に接続され、直流母線Lp,Ln間の直流電圧VDCを平滑化させる。直流電圧VDCの瞬時値は、制御装置5によって検出される。
【0022】
コンバータ1は、複数のトランジスタおよび複数のダイオードを含む周知のものであり、制御装置5によって制御される。コンバータ1は、2レベル回路、または3レベル回路などのマルチレベル回路を用いて構成することができる。商用交流電源6から正常に三相交流電力が供給されている場合(商用交流電源6の健全時)には、コンバータ1は、商用交流電源6からの三相交流電力を直流電力に変換する。コンバータ1によって生成された直流電力は、直流母線Lp,Lnに供給される。商用交流電源6からの三相交流電力の供給が停止された場合(商用交流電源6の停電時)には、コンバータ1の運転は停止される。
【0023】
双方向チョッパ2は、バッテリB1と直流母線Lp,Lnとの間に接続され、バッテリB1と直流母線Lp,Lnとの間で双方向の直流電圧変換を実行する。双方向チョッパ2は、複数のトランジスタおよび複数のダイオードを含む周知のものであり、制御装置5によって制御される。商用交流電源6の健全時には、双方向チョッパ2は、コンバータ1によって生成された直流電力をバッテリB1に蓄え、商用交流電源6の停電が発生したことに応じて、バッテリB1の直流電力を直流母線Lp,Lnに供給する。
【0024】
バッテリB1は、直流電力を蓄える「電力貯蔵装置」の一実施例に対応する。バッテリB1の端子間電圧VB(以下、「バッテリ電圧VB」とも称する)の瞬時値は、制御装置5によって検出される。バッテリB1の代わりに電気二重層コンデンサや、フライホイールが無停電電源装置に接続されていても構わない。電流検出器CT7は、バッテリB1に流れる電流IB(以下、「バッテリ電流IB」とも称する)を検出し、検出値を示す信号を制御装置5に与える。
【0025】
インバータ3は、複数のトランジスタおよび複数のダイオードを含む周知のものであり、制御装置5によって制御される。インバータ3は、2レベル回路、または3レベル回路などのマルチレベル回路を用いて構成することができる。インバータ3は、直流母線Lp,Lnから受ける直流電力を商用周波数の三相交流電力に変換する。
【0026】
インバータ3の3つの交流ノードは、それぞれリアクトルL4~L6の第1端子に接続される。リアクトルL4~L6の第2端子はそれぞれスイッチS1~S3の第1端子に接続され、スイッチS1~S3の第2端子はそれぞれ負荷8の交流入力端子8a~8cに接続される。コンデンサC4~C6の第1電極はそれぞれリアクトルL4~L6の第2端子に接続され、コンデンサC4~C6の第2電極はともにコンデンサC1~C3の第2電極に接続される。
【0027】
コンデンサC4~C6およびリアクトルL4~L6は交流フィルタF2を構成する。交流フィルタF2は、低域通過フィルタであり、インバータ3から負荷8に商用周波数の交流電流を流し、インバータ3から負荷8にスイッチング周波数の信号が流れることを防止する。換言すると、交流フィルタF2は、インバータ3から出力される三相矩形波電圧を正弦波状の三相交流電圧Vu,Vv,Vwに変換する。三相交流電圧Vu,Vv,Vw(以下、「交流出力電圧Vu,Vv,Vw」とも称する)の瞬時値は、制御装置5によって検出される。
【0028】
スイッチS4~S6の第1端子はそれぞれバイパス交流電源7の交流出力端子7a~7cに接続され、それらの第2端子は負荷8の交流入力端子8a~8cに接続される。スイッチS1~S6は、制御装置5によって制御される。
【0029】
電流検出器CT4~CT6は、インバータ3と負荷8との間に流れる三相交流電流Iu,Iv,Iw(以下、「負荷電流Iu,Iv,Iw」とも称する)を検出し、検出値を示す信号を制御装置5に与える。具体的には、電流検出器CT4は、インバータ3の第1の交流ノードと負荷8の交流入力端子8aとの間に流れる交流電流Iuを検出する。電流検出器CT5は、インバータ3の第2の交流ノードと負荷8の交流入力端子8bとの間に流れる交流電流Ivを検出する。電流検出器CT6は、インバータ3の第3の交流ノードと負荷8の交流入力端子8cとの間に流れる交流電流Iwを検出する。
【0030】
インバータ3によって生成される三相交流電力を負荷8に供給する常時インバータ給電モード時には、制御装置5は、スイッチS1~S3をオンさせるとともにスイッチS4~S6をオフさせる。
【0031】
バイパス交流電源7からの三相交流電力を負荷8に供給する常時バイパス給電モード時には、制御装置5は、スイッチS1~S3をオンさせるとともにスイッチS4~S6をオンさせる。無停電電源装置の給電モードについては後ほど詳しく説明する。
【0032】
操作部4は、無停電電源装置の使用者によって操作される複数のボタン、種々の情報を表示するディスプレイなどを含む。使用者が操作部4を操作することにより、無停電電源装置の電源をオンおよびオフしたり、常時インバータ給電モードおよび常時バイパス給電モードのいずれか一方を選択することが可能となっている。
【0033】
制御装置5は、操作部4からの信号、商用交流電源6からの交流入力電圧Vu1,Vv1,Vw1、交流入力電流I1~I3、直流母線Lp,Ln間の直流電圧VDC、バッテリ電圧VB、負荷電流Iu,Iv,Iw、交流出力電圧Vu,Vv,Vw、バイパス交流電源7からの交流入力電圧Vu2,Vv2,Vw3などに基づいて無停電電源装置全体を制御する。
【0034】
図2は、制御装置5のハードウェア構成例を示すブロック図である。代表的には、制御装置5は、所定のプログラムが予め記憶されたマイクロコンピュータによって構成することができる。
【0035】
図2の例では、制御装置5は、CPU(Central Processing Unit)10と、メモリ12と、入出力(I/O)回路14とを含む。CPU10、メモリ12およびI/O回路14は、バス16を経由して、相互にデータの授受が可能である。メモリ12の一部領域にはプログラムが格納されており、CPU10が当該プログラムを実行することで、後述する各種機能を実現することができる。I/O回路14は、制御装置5の外部との間で信号およびデータを入出力する。
【0036】
あるいは、
図2の例とは異なり、制御装置5の少なくとも一部については、FPGA(Field Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの回路を用いて構成することができる。また、制御装置5の少なくとも一部について、アナログ回路によって構成することもできる。
【0037】
<無停電電源装置の給電モード>
図3は、無停電電源装置の給電モードを示す回路ブロック図である。
図3では、図面および説明の簡単化のため、三相のうちの一相に関連する部分のみが示され、スイッチS1~S6のうちのスイッチS1,S4のみが示されている。また、交流フィルタF1,F2、電流検出器CT1~CT6などの図示は省略されている。
【0038】
図3(A)は、常時インバータ給電モードを示す回路ブロック図である。商用交流電源6の健全時において、常時インバータ給電モードが選択されている場合には、スイッチS1がオンされるとともにスイッチS4がオフされ、インバータ3からスイッチS1を介して負荷8に負荷電流Iuが供給される。
【0039】
制御装置5は、商用交流電源6から供給される交流電力を直流電力に変換して直流母線Lp,Lnに供給するようにコンバータ1を制御する。具体的には、制御装置5は、コンデンサCdの端子間電圧VDC(すなわち、直流母線Lp,Ln間の直流電圧VDC)が参照電圧VDCrになるようにコンバータ1を制御する。
【0040】
また、制御装置5は、直流母線Lp,Lnの直流電力をバッテリB1に蓄えるように双方向チョッパ2を制御する。具体的には、制御装置5は、バッテリ電圧VBが参照電圧VBrになるように双方向チョッパ2を制御する。
【0041】
さらに、制御装置5は、コンバータ1から直流母線Lp,Lnを介して供給される直流電力を交流電力に変換して負荷8に供給するようにインバータ3を制御する。具体的には、制御装置5は、正弦波状の交流出力電圧Vu,Vv,Vwを生成するようにインバータ3を制御する。
【0042】
この場合は、商用交流電源6から供給される交流入力電流I1の大部分はコンバータ1およびインバータ3によって負荷電流Iuに変換されて負荷8に供給され、交流入力電流I1の一部は双方向チョッパ2によって充電電流IBに変換されてバッテリB1に供給される。
【0043】
なお、常時インバータ給電モード時に、インバータ3またはコンバータ1が故障した場合には、スイッチS4がオンされるともにスイッチS1がオフされ、バイパス交流電源7からスイッチS4を介して負荷8に交流電流が供給される。
【0044】
図3(B)は、常時バイパス給電モードを示す回路ブロック図である。バイパス交流電源7の健全時において、常時バイパス給電モードが選択されている場合には、スイッチS1がオンされるとともにスイッチS4がオンされる。バイパス交流電源7からスイッチS4を介して負荷8に交流電力が供給される。
【0045】
制御装置5は、コンバータ1の運転を停止させるとともに、バイパス交流電源7からスイッチS4を介して供給される交流電力を直流電力に変換して直流母線Lp,Lnに供給するようにインバータ3を制御する。具体的には、制御装置5は、コンデンサCdの端子間電圧VDC(すなわち、直流母線Lp,Ln間の直流電圧VDC)が参照電圧VDCrになるようにインバータ3を制御する。これは、バイパス交流電源7の停電が発生した場合に、スイッチS4をオフさせて、直ちにインバータ3によって生成される正弦波状の交流出力電圧Vuを負荷8に供給するためである。
【0046】
インバータ3が正弦波状の交流出力電圧Vuを生成するためには、直流母線Lp,Ln間の直流電圧VDCを交流出力電圧Vuの振幅の2倍の電圧よりも高くする必要がある。その一方で、直流母線Lp,Ln間には、コンデンサCdと並列に、無停電電源装置の停止後にコンデンサCdの残留電荷を消費するための放電抵抗(図示せず)が接続されている。そのため、常用バイパス給電モードでは、コンバータ1の運転を停止させたことで、コンデンサCdに蓄積された電荷が放電抵抗によって放電されて直流電圧VDCが低下し、結果的に正弦波状の交流出力電圧Vuを生成することができなくなる可能性がある。このような直流電圧VDCの低下を抑制するために、制御装置5は、常用バイバス給電モード時に、直流母線Lp,Ln間の直流電圧VDCが参照電圧VDCrになるようにインバータ3を制御する。
【0047】
また、制御装置5は、直流母線Lp,Lnの直流電力をバッテリB1に蓄えるように双方向チョッパ2を制御する。具体的には、バッテリ電圧VBが参照電圧VBrになるように双方向チョッパ2を制御する。
【0048】
この場合は、バイパス交流電源7から供給される交流電流の大部分はスイッチS4を介して負荷8に供給され、当該交流電流の一部はインバータ3によって充電電流IBに変換されてバッテリB1に供給される。
【0049】
このように常用インバータ給電モードでは、商用交流電源6から供給される三相交流電圧Vu1,Vv1,Vw1をコンバータ1によって直流電圧VDCに変換し、その直流電圧VDCをインバータ3によって三相交流電圧Vu,Vv,Vwに変換して負荷8に供給するので、高品質の三相交流電圧Vu,Vv,Vwを負荷8に供給することができる。しかし、常時インバータ給電モードでは、コンバータ1およびインバータ3において常に電力損失が発生するため、電力損失が大きくなることが懸念される。
【0050】
これに対して、常時バイパス給電モードでは、バイパス交流電源7からの三相交流電圧Vu2,Vv2,Vv3をそのまま負荷8に供給するので、負荷8に供給される三相交流電圧の品質が低下する。しかし、常用バイパス給電モードでは、コンバータ1およびインバータ3における電力損失が常用インバータ給電モードに比べて小さくなる。このため、常用バイパス給電モードは「エコモード」とも称される。
【0051】
図4は、商用交流電源6またはバイパス交流電源7の停電が発生した場合における給電モードを示す回路ブロック図である。常用インバータ給電モード時において、商用交流電源6の停電が発生した場合には、制御装置5は、コンバータ1の運転を停止させるとともに、バッテリB1の直流電力を直流母線Lp,Lnに供給するように双方向チョッパ2を制御する。また、常用バイパス給電モード時において、バイパス交流電源7の停電が発生した場合には、制御装置5は、バッテリB1の直流電力を直流母線Lp,Lnに供給するように双方向チョッパ2を制御する。具体的には、制御装置5は、直流母線Lp,Ln間の直流電圧VDCが参照電圧VDCrになるように双方向チョッパ2を制御する。
【0052】
また、制御装置5は、双方向チョッパ2から直流母線Lp,Lnを介して供給される直流電力を交流電力に変換して負荷8に供給するようにインバータ3を制御する。具体的には、制御装置5は、正弦波状の交流出力電圧Vu,Vv,Vwを生成するようにインバータ3を制御する。
【0053】
この場合は、バッテリB1の放電電流IBの全てはインバータ3によって負荷電流Iuに変換されて負荷8に供給される。
【0054】
以上説明したように、制御装置5は、直流電圧VDCが参照電圧VDCrになるように、給電モードおよび停電の有無に応じて、コンバータ1、双方向チョッパ2およびインバータ3のいずれかを制御する。
【0055】
この直流電圧VDCの制御における参照電圧VDCrは、従来、交流入力電圧Vu1,Vv1,Vw1の定格値、交流出力電圧Vu,Vv,Vwの定格値、およびバッテリB1の浮動充電電圧などに基づいて、コンバータ1が安定的に出力することができる直流電圧VDCの最大値に設定していた。しかしながら、直流母線Lp,Ln間の直流電圧VDC(すなわち、参照電圧VDCr)を上昇させると、コンバータ1、双方向チョッパ2およびインバータ3の各々に含まれるトランジスタのスイッチング損失が増大するため、無停電電源装置の効率が低下することが懸念される。
【0056】
そのため、本実施の形態では、コンバータ1、双方向チョッパ2およびインバータ3の各々が必要とする直流電圧VDCを満足するように、参照電圧VDCrを設定する。これによると、直流電圧VDC(すなわち参照電圧VDCr)を、コンバータ1が安定に出力することが可能な直流電圧VDCの最大値よりも低い値にすることができる。したがって、コンバータ1、双方向チョッパ2、およびインバータ3に含まれるトランジスタのスイッチング損失を低減して無停電電源装置の効率を向上させることが可能となる。
【0057】
<無停電源装置の制御構成>
図5は、制御装置5の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、制御装置5は、電圧検出器21~24と、参照電圧生成回路50と、コンバータ制御部55と、双方向チョッパ制御部56と、インバータ制御部57、停電検出器58と、モード設定部59とを含む。
【0058】
電圧検出器21は、商用交流電源6からの交流入力電圧Vu1,Vv1,Vw1の瞬時値を検出し、検出値を示す信号を出力する。電圧検出器22は、直流母線Lp,Ln間の直流電圧VDCを検出し、検出値を示す信号を出力する。電圧検出器23は、バッテリ電圧VBを検出し、検出値を示す信号を出力する。電圧検出器24は、インバータ3からの交流出力電圧Vu,Vv,Vwの瞬時値を検出し、検出値を示す信号を出力する。
【0059】
参照電圧生成回路50は、交流入力電圧Vu1,Vv1,Vw1、バッテリ電圧VB、バッテリ電流IB、および負荷電流Iu,Iv,Iwに基づいて、参照電圧VDCrを生成する。具体的には、参照電圧生成回路50は、第1演算部51と、第2演算部52と、第3演算部53と、最大値演算部54とを含んで構成される。
【0060】
第1演算部51は、交流入力電圧Vu1,Vv1,Vw1に基づいて、コンバータ1における電力変換に必要な最低許容電圧VDC_cnvを算出する。第2演算部52は、バッテリ電圧VBおよびバッテリ電流IBに基づいて、双方向チョッパ2における直流電圧変換に必要な最低許容電圧VDC_chpを算出する。第3演算部53は、負荷電流Iu,Iv,Iwに基づいて、インバータ3における電力変換に必要な最低許容電圧VDC_invを算出する。最低許容電圧VDC_cnvは「第1の最低許容電圧」の一実施例に対応し、最低許容電圧VDC_chpは「第2の最低許容電圧」の一実施例に対応し、最低許容電圧VDC_invは「第3の最低許容電圧」の一実施例に対応する。
【0061】
最大値演算部54は、算出された最低許容電圧VDC_cnv,VDC_chp,VDC_invのうちの最大値を算出する。最大値演算部54は、算出された最大値を参照電圧VDCrとしてコンバータ制御部55、双方向チョッパ制御部56およびインバータ制御部57に与える。
【0062】
停電検出器58は、交流入力電圧Vu1,Vv1,Vw1に基づいて、商用交流電源6の停電が発生したか否かを検出し、検出結果を示す停電検出信号PFを出力する。具体的には、交流入力電圧Vu1,Vv1,Vw1が所定の閾値電圧よりも高い場合には、商用交流電源6が健全であると判定し、非活性化レベルの「L」レベルの停電検出信号PFを出力する。交流入力電圧Vu1,Vv1,Vw1が所定の閾値電圧よりも低い場合には、商用交流電源6の停電が発生したと判定し、活性化レベルの「H」レベルの停電検出信号PFを出力する。
【0063】
モード設定部59は、操作部4からの信号に基づいて、無停電電源装置の給電モードを設定し、設定した給電モードを示すモード信号MDを出力する。
【0064】
コンバータ制御部55は、参照電圧生成回路50からの参照電圧VDCr、停電検出器からの停電検出信号PF、モード設定部59からのモード信号MD、電流検出器CT1~CT3の出力信号によって示される交流入力電流I1~I3、電圧検出器21により検出される交流入力電圧Vu1,Vv1,Vw1、電圧検出器22により検出される直流母線Lp,Ln間の直流電圧VDCなどに基づいて、コンバータ1を制御する。
【0065】
双方向チョッパ制御部56は、参照電圧生成回路50からの参照電圧VDCr、停電検出器からの停電検出信号PF、電圧検出器22により検出される直流母線Lp,Ln間の直流電圧VDC、電圧検出器23により検出されるバッテリ電圧VBなどに基づいて、双方向チョッパ2を制御する。
【0066】
インバータ制御部57は、モード設定部59からのモード信号MD、電流検出器CT4~CT6の出力信号によって示される負荷電流Iu,Iv,Iw、電圧検出器24により検出される交流出力電圧Vu,Vv,Vw、電圧検出器22により検出される直流母線Lp,Ln間の直流電圧VDCなどに基づいて、インバータ3を制御する。
【0067】
(参照電圧生成回路50)
次に、
図6から
図9を用いて、
図5に示した参照電圧生成回路50の詳細な構成について説明する。ここでは、第1演算部51、第2演算部52、および第3演算部53の詳細な構成について説明する。
【0068】
(1)第1演算部51
図6は、
図5に示した第1演算部51の構成例を示すブロック図である。
図6に示すように、第1演算部51は、実効値演算部510と、最大値演算部512と、最低許容電圧生成部514とを含んで構成される。
【0069】
実効値演算部510は、交流入力電圧Vu1,Vv1,Vw1の実効値Vu1rms,Vv1rms,Vw1rmsを求め、その実効値を最大値演算部512に出力する。
【0070】
最大値演算部512は、実効値Vu1rms,Vv1rms,Vw1rmsの最大値V1rmsを求め、その最大値V1rmsを最低許容電圧生成部514に出力する。
【0071】
最低許容電圧生成部514は、交流入力電圧の実効値の最大値V1rmsに基づいて、最低許容電圧VDC_cnvを生成する。ある局面では、最低許容電圧生成部514は、交流入力電圧Vu1,Vv1,Vw1の定格値V1rから求められる、参照電圧VDCrの基準値を有している。最低許容電圧生成部514は、この基準値に対して、最大値V1rmsと定格値V1rとの比(V1rms/V1r)を乗算することにより、最低許容電圧VDC_cnvを生成する。
【0072】
上述したように、コンバータ1は、交流入力電圧Vu1,Vv1,Vw1を直流電圧VDCに変換する。負荷8の状態などに応じて直流電圧VDCには電圧リプルが生じる。この電圧リプルをコンバータ1による直流電圧VDCの制御によって抑制するために、参照電圧VDCrの基準値は、交流入力電圧の定格値V1rから求められる直流電圧VDCの値よりも高くなるように設定されている。
【0073】
しかし、商用交流電源6が不安定であって交流入力電圧Vu1,Vv1,Vw1の実効値が高くなった場合には、コンバータ1の整流作用によって直流電圧VDCの値も高くなる。この場合、コンバータ1は、電圧リプルを抑制して直流電圧VDCを基準値に制御することが困難となる可能性がある。
【0074】
そこで、第1演算部51は、交流入力電圧Vu1,Vv1,Vw1の実効値が大きくなった場合には、コンバータ1における直流電圧VDCの制御の裕度を確保するために、最低許容電圧VDC_cnvを基準値よりも高い値とする。
【0075】
(2)第2演算部52
図7は、
図5に示した第2演算部52の構成例を示すブロック図である。
図7に示すように、第2演算部52は、乗算器520と、加算器522と、最低許容電圧生成部524とを含んで構成される。
【0076】
乗算器520は、電流検出器CT7により検出されるバッテリ電流IBに変換係数kiを乗算することにより、双方向チョッパ2で発生し得る電圧低下量を算出する。この電圧低下量は、双方向チョッパ2に含まれるトランジスタおよびリアクトルなどで生じる電圧低下量に相当する。バッテリ電流IBから電圧低下量を算出するための変換係数kiは、双方向チョッパ2の回路構成に応じて、実験または計算によって予め設定しておくことができる。
【0077】
加算器522は、乗算器520からの電圧低下量と、電圧検出器23により検出されるバッテリ電圧VBとを加算する。最低許容電圧生成部524は、加算器522の出力信号に基づいて最低許容電圧VDC_chpを生成する。最低許容電圧VDC_chpは、双方向チョッパ2で発生する電圧低下量を補償できるための電圧値をバッテリ電圧VBに加算した値となる。
【0078】
双方向チョッパ2は、直流電圧をバッテリB1に蓄える場合には、直流母線Lp,Ln間の直流電圧VDCを降圧してバッテリB1に与える。また、双方向チョッパ2は、バッテリB1の直流電圧をインバータ3に供給する場合には、バッテリ電圧VBを昇圧して直流母線Lp,Ln間に出力する。そのため、直流電圧VDCをバッテリ電圧VBよりも高くする必要がある。従来は、バッテリB1の浮動充電電圧に基づいて参照電圧VBrが設定され、この参照電圧VBrに所定の余裕電圧を加算した値以上となるように参照電圧VDCrを設定していた。
【0079】
一方、本実施の形態では、バッテリ電流IBに比例して双方向チョッパ2で発生する電圧低下量を補償できるように最低許容電圧VDC_chpが生成される。最低許容電圧VDC_chpを従来の参照電圧VDCrよりも低くすることができる。
【0080】
(3)第3演算部53
図8は、
図5に示した第3演算部53の第1構成例を示すブロック図である。
図8に示すように、第3演算部53は、移動平均回路530,532と、減算器534と、比較器536と、最低許容電圧生成部538とを含んで構成される。
【0081】
移動平均回路530は、電流検出器CT4~CT6により検出される負荷電流Iu,Iv,Iwの1周期の移動平均値を算出する。
【0082】
移動平均回路532は、電流検出器CT4~CT6により検出される負荷電流Iu,Iv,Iwの半周期の移動平均値を算出する。
【0083】
減算器534は、負荷電流の1周期の移動平均値から負荷電流の1/2周期の移動平均値を減算することにより、負荷電流Iu,Iv,Iwに含まれる高調波成分を算出する。
【0084】
比較器536は、算出された負荷電流Iu,Iv,Iwの高調波成分と予め定められた閾値X1とを比較し、比較結果に基づいてフラグφFを設定する。負荷電流Iu,Iv,Iwの高調波成分が閾値X1よりも小さい場合には、比較器536は、フラグφFを非活性化レベルの「L」レベルに設定する。負荷電流の高調波成分が閾値X1よりも大きい場合には、比較器536は、フラグφFを活性化レベルの「H」レベルに設定する。
【0085】
最低許容電圧生成部538は、比較器536から与えられるフラグφFに基づいて、最低許容電圧VDC_invを生成する。具体的には、最低許容電圧生成部538は、フラグφFが「L」レベルである場合には、最低許容電圧VDC_invを予め定められた基準値に設定する。この基準値は、交流出力電圧Vu,Vv,Vwの振幅の2倍の電圧よりも高い値に設定されている。直流電圧VDCが交流出力電圧Vu,Vv,Vwの振幅の2倍の電圧よりも低くなると、インバータ3によって正弦波状の交流出力電圧Vu,Vv,Vwを生成することができなくなるためである。
【0086】
フラグφFが「H」レベルである場合には、最低許容電圧生成部538は、最低許容電圧VDC_invを基準値よりも高い値に設定する。ある局面では、最低許容電圧生成部538は、基準値に一定値を加算することにより、最低許容電圧VDC_invを生成する。別の局面では、最低許容電圧生成部538は、負荷電流の高調波成分の大きさに応じた値を基準値に加算することにより、最低許容電圧VDC_invを生成する。この場合、負荷電流Iu,Iv,Iwの高調波成分が増えるに従って、最低許容電圧VDC_invが高くなる。
【0087】
負荷8が半波整流負荷である場合には、負荷電流Iu,Iv,Iwが正弦波でなく、正負で非対称な波形となるため、直流電圧VDCが振動する。直流電圧VDCが振動して基準値を下回ると、インバータ3が正弦波状の交流出力電圧Vu,Vv,Vwを生成することができなくなる可能性がある。また、直流電圧VDCが振動して基準値を下回ったことに応じて、直流電圧VDCの低下を補償するように、双方向チョッパ2がバッテリB1の直流電圧を直流母線Lp,Ln間に出力する場合がある。この場合、直流電圧VDCの振動に伴ってバッテリB1の充放電が繰り返されることになり、バッテリB1の劣化を招く可能性がある。
【0088】
そのため、第1構成例では、負荷電流Iu,Iv,Iwから負荷8が半波整流負荷であると判断された場合には、最低許容電圧VDC_invを高くすることにより、直流電圧VDCが基準値よりも低下することを抑制する。
【0089】
図9は、
図5に示した第3演算部53の第2構成例を示すブロック図である。
図9に示すように、第3演算部53は、実効値演算部540と、最大値演算部542と、最小値演算部544と、減算器546と、比較器548と、最低許容電圧生成部550とを含んで構成される。
【0090】
実効値演算部540は、電流検出器CT4に検出される負荷電流Iuの実効値Iurmsを算出する。実効値演算部540は、電流検出器CT5により検出される負荷電流Ivの実効値Ivrmsを算出する。実効値演算部540は、電流検出器CT6により検出される負荷電流Iwの実効値Iwrmsを算出する。
【0091】
最大値演算部542は、負荷電流の実効値Iurms,Ivrms,Iwrmsのうちの最大値Irmsmaxを算出する。最小値演算部544は、負荷電流の実効値Iurms,Ivrms,Iwrmsのうちの最小値Irmsminを算出する。
【0092】
減算器546は、最大値Irmsmaxから最小値Irmsminを減算して、最大値Irmsmaxと最小値Irmsminとの差ΔIrmsを求める。
【0093】
比較器548は、差ΔIrmsと予め定められた閾値X2とを比較し、比較結果に基づいてフラグφFを設定する。差ΔIrmsが閾値X2よりも小さい場合には、比較器548は、フラグφFを非活性化レベルの「L」レベルに設定する。差ΔIrmsが閾値X2よりも大きい場合には、比較器548は、フラグφFを活性化レベルの「H」レベルに設定する。
【0094】
最低許容電圧生成部550は、比較器548から与えられるフラグφFに基づいて、最低許容電圧VDC_invを生成する。具体的には、最低許容電圧生成部550は、フラグφFが「L」レベルである場合には(ΔIrms<X2)、最低許容電圧VDC_invを予め定められた基準値に設定する。この基準値は、交流出力電圧Vu,Vv,Vwの振幅の2倍の電圧よりも高い値に設定されている。
【0095】
フラグφFが「H」レベルである場合には(ΔIrms>X2)、最低許容電圧生成部550は、最低許容電圧VDC_invを基準値よりも高い値に設定する。ある局面では、最低許容電圧生成部550は、基準値に一定値を加算することにより、最低許容電圧VDC_invを生成する。別の局面では、最低許容電圧生成部550は、差ΔIrmsの大きさに比例する値を基準値に加算することにより、最低許容電圧VDC_invを設定する。この場合、差ΔIrmsが大きくなるに従って、最低許容電圧VDC_invが高くなる。
【0096】
負荷8が不平衡負荷である場合には、負荷電流Iu,Iv,Iwが不平衡となるため、直流電圧VDCが振動する。直流電圧VDCが振動すると、
図8で説明したように、インバータ3が正弦波状の交流出力電圧Vu,Vv,Vwを生成できなくなるともに、バッテリB1の劣化を招く可能性がある。そのため、第2構成例では、負荷電流Iu,Iv,Iwから負荷8が不平衡負荷であると判断された場合には、最低許容電圧VDC_invを高くすることにより、直流電圧VDCが基準値よりも低下することを抑制する。
【0097】
以上に説明したように、第3演算部53は、負荷電流Iu,Iv,Iwから負荷8の種類を判断し、負荷8の種類に応じて最低許容電圧VDC_invを生成するように構成される。
【0098】
図5に示したように、最大値演算部54は、上記3つの演算部51~53によりそれぞれ算出された最低許容電圧VDC_cnv,VDC_chp,VDC_invのうちの最大値を算出する。最大値演算部54は、算出された最大値を参照電圧VDCrとしてコンバータ制御部55、双方向チョッパ制御部56およびインバータ制御部57に与える。
【0099】
参照電圧VDCrは、コンバータ1、双方向チョッパ2およびインバータ3の各々が必要とする直流電圧VDCの最低値に対応している。参照電圧VDCrは、交流入力電圧Vu1,Vv1,Vw1、負荷電流Iu,Iv,Iw、およびバッテリB1の状態に応じて、コンバータ1、双方向チョッパ2およびインバータ3の各々が必要とする直流電圧VDCを満足するように設定される。したがって、コンバータ1、双方向チョッパ2およびインバータ3の安定した動作を確保しながら、直流電圧VDCを低い値にすることができ、無停電電源装置の効率を向上させることができる。
【0100】
次に、
図10から
図12を用いて、
図5に示したコンバータ制御部55、双方向チョッパ制御部56、およびインバータ制御部57の詳細な構成について説明する。
【0101】
(コンバータ制御部55)
図10は、コンバータ制御部55の構成例を示すブロック図である。
図10に示すように、コンバータ制御部55は、電圧指令生成回路30と、正弦波発生回路37と、PWM(Pulse Width Modulation)回路38と、ゲート回路39とを含んで構成される。
【0102】
電圧指令生成回路30は、減算器31,34A~34Cと、直流電圧制御回路32と、乗算器33A~33Cと、電流制御回路35と、加算器36A~36Cとを含む。減算器31は、参照電圧生成回路50からの参照電圧VDCrと電圧検出器22によって検出される直流電圧VDCとの偏差ΔVDC=VDCr-VDCを算出する。
【0103】
直流電圧制御回路32は、偏差ΔVDCが0となるようにコンバータ1の入力側に流れる電流を制御するための電流指令値I*を算出する。直流電圧制御回路32は、例えば偏差ΔVDCを比例演算または比例積分演算することより、電流指令値I*を算出する。
【0104】
正弦波発生回路37は、商用交流電源6からの交流入力電圧Vu1と同相の正弦波信号と、交流入力電圧Vv1と同相の正弦波信号と、交流入力電圧Vw1と同相の正弦波信号とを出力する。3つの正弦波信号は、乗算器33A~33Cにそれぞれ入力されて電流指令値I*に乗算される。これにより、交流入力電圧Vu1,Vv1,Vw1とそれぞれ同相の電流指令値I1*,I2*,I3*が生成される。
【0105】
減算器34Aは、電流指令値I1*と電流検出器CT1によって検出される交流入力電流I1との偏差ΔI1=I1*-I1を算出する。減算器34Bは、電流指令値I2*と電流検出器CT2によって検出される交流入力電流I2との偏差ΔI2=I2*-I2を算出する。減算器34Cは、電流指令値I3*と電流検出器CT3によって検出される交流入力電流I3との偏差ΔI3=I3*-I3を算出する。
【0106】
電流制御回路35は、偏差ΔI1,ΔI2,ΔI3がいずれも0となるように、電圧指令値Vu1a*,Vv1a*,Vw1a*を生成する。電流制御回路35は、例えば偏差ΔI1,ΔI2,ΔI3を比例制御または比例積分制御に従って増幅することにより電圧指令値Vu1a*,Vv1a*,Vw1a*を生成する。
【0107】
加算器36Aは、電圧指令値Vu1a*と電圧検出器21により検出される交流入力電圧Vu1とを加算して電圧指令値Vu1c*を生成する。加算器36Bは、電圧指令値Vv1a*と電圧検出器21により検出される交流入力電圧Vv1とを加算して電圧指令値Vv1c*を生成する。加算器36Cは、電圧指令値Vw1a*と電圧検出器21により検出される交流入力電圧Vw1とを加算して電圧指令値Vw1c*を生成する。
【0108】
PWM回路38は、停電検出器58からの停電検出信号PF、モード設定部59からのモード信号MD、および電圧指令値Vu1c*,Vv1c*,Vw1c*に基づいて、各相のためのPWM制御信号を生成する。
【0109】
具体的には、常時インバータ給電モードが選択されている場合であって、停電検出信号PFが非活性化レベルの「L」レベルであるとき(商用交流電源6の健全時)には、PWM回路38は、電圧指令値Vu1c*,Vv1c*,Vw1c*に基づいて、各相のためのPWM制御信号を生成する。ゲート回路39は、各相のためのPWM制御信号に基づいて、コンバータ1の各相アームに含まれるトランジスタを制御するための制御信号を生成する。
【0110】
一方、常時インバータ給電モードが選択されている場合であって、停電検出信号PFが活性化レベルの「H」レベルであるとき(商用交流電源6の停電時)には、PWM回路38は、コンバータ1の運転を停止する。また、常時バイパス給電モードが選択されている場合には、PWM回路38は、コンバータ1の運転を停止する。
【0111】
(双方向チョッパ制御部56)
図11は、双方向チョッパ制御部56の構成例を示すブロック図である。
図11に示すように、双方向チョッパ制御部56は、制御回路560,562を含んで構成される。
【0112】
制御回路560は、停電検出信号PFが非活性化レベルの「L」レベルである場合(商用交流電源6の健全時)に活性化され、直流電圧VDC、バッテリ電圧VB、バッテリ電流IBに基づいて、バッテリ電圧VBが参照電圧VBrとなるように双方向チョッパ2を制御する。
【0113】
制御回路562は、停電検出信号PFが活性化レベルの「H」レベルである場合(商用交流電源6の停電時)に活性化され、直流電圧VDC、バッテリ電圧VB、バッテリ電流IBに基づいて、直流電圧VDCが参照電圧生成回路50から与えられる参照電圧VDCrとなるように双方向チョッパ2を制御する。
【0114】
具体的には、制御回路562は、減算器40,42、電圧制御回路41、電流制御回路43、PWM回路44、およびゲート回路45を含む。減算器40は、参照電圧生成回路50から与えられる参照電圧VDCrと電圧検出器22によって検出される直流電圧VDCとの偏差ΔVDC=VDCr-VDCを求める。
【0115】
電圧制御回路41は、電圧検出器23によって検出されるバッテリ電圧VBに基づいて、偏差ΔVDCに応じたレベルの電流指令値IB*を求める。電圧制御回路41は、例えば偏差ΔVDCを比例演算または比例積分演算することにより電流指令値IB*を求める。
【0116】
減算器42は、電圧制御回路41により生成された電流指令値IB*と電流検出器CT7の出力信号によって示されるバッテリ電流IBとの偏差ΔIB=IB*-IBを求める。電流制御回路43は、偏差ΔIBに基づいて電圧指令値V*を生成する。電流制御回路43は、例えば偏差ΔIBを比例演算または比例積分演算することにより電圧指令値V*を求める。
【0117】
PWM回路44は、停電検出信号PFが「H」レベルである場合(商用交流電源6の健全時)に活性化され、電圧指令値V*に基づいてPWM制御信号を生成する。ゲート回路45は、PWM制御信号に基づいて、双方向チョッパ2に含まれるトランジスタを制御するための制御信号を生成する。双方向チョッパ2は、バッテリB1の直流電力を直流母線Lp,Lnを介してインバータ3に供給する。
【0118】
PWM回路44は、停電検出信号PFが「L」レベルである場合(商用交流電源6の健全時)に非活性化され、双方向チョッパ2のPWM制御を行わない。なお、商用交流電源6の健全時には、双方向チョッパ2は制御回路560によって制御され、バッテリB1に直流電力を蓄える。
【0119】
(インバータ制御部57)
図12は、インバータ制御部57の構成例を示すブロック図である。
図12に示すように、インバータ制御部57は、電圧指令生成回路60と、制御回路61と、PWM回路62と、ゲート回路63とを含んで構成される。
【0120】
電圧指令生成回路60は、U相、V相、W相の各々のための電圧指令値を生成する。電圧指令値は正弦波信号である。正弦波の周波数は交流出力電圧Vu,Vv,V2の周波数に対応する。
【0121】
制御回路61は、電圧制御回路71,73と、減算器72,75U,75V,75Wと、切換回路74と、電流制御回路76と、加算器77U,77V,77Wとを含む。電圧制御回路71は、電圧指令生成回路60からの電圧指令値に基づいて、電流指令値Iu*,Iv*,Iw*を生成する。電流指令値Iu*,Iv*,Iw*はそれぞれ、U相、V相、W相に対応付けられる。
【0122】
減算器72は、参照電圧生成回路50から与えられる参照電圧VDCrと電圧検出器22によって検出される直流電圧VDCとの偏差ΔVDC=VDCr-VDCを求める。電圧制御回路73は、偏差ΔVDCに基づいて電流指令値Iu*,Iv*,Iw*を生成する。電圧制御回路73は、例えば偏差ΔVDCを比例演算または比例積分演算することにより電流指令値Iu*,Iv*,Iw*を求める。
【0123】
切換回路74は、モード設定部59からのモード信号MDに基づいて、電圧制御回路71により生成される電流指令値Iu*,Iv*,Iw*、および電圧制御回路73により生成される電流指令値Iu*,Iv*,Iw*のいずれか一方を選択して出力する。具体的には、常時インバータ給電モードが選択されている場合には、切換回路74は、電圧制御回路71により生成される電流指令値Iu*,Iv*,Iw*を選択して出力する。常用バイパス給電モードが選択されている場合には、切換回路74は、電圧制御回路73により生成される電流指令値Iu*,Iv*,Iw*を選択して出力する。
【0124】
減算器75Uは、電流指令値Iu*と電流検出器CT4によって検出される負荷電流Iuとの偏差ΔIu=Iu*-Iuを算出する。減算器75Vは、電流指令値Iv*と電流検出器CT5によって検出される負荷電流Ivとの偏差ΔIv=Iv*-Ivを算出する。減算器75Wは、電流指令値Iw*と電流検出器CT6によって検出される負荷電流Iwとの偏差ΔIw=Iw*-Iwを算出する。
【0125】
電流制御回路76は、偏差ΔIu,ΔIv,ΔIwがいずれも0となるように、電圧指令値Vua*,Vva*,Vwa*を生成する。電流制御回路76は、例えば偏差ΔIu,ΔIv,ΔIwを比例制御または比例積分制御に従って増幅することにより電圧指令値Vua*,Vva*,Vwa*を生成する。
【0126】
加算器77Uは、電圧指令値Vua*と電圧検出器24により検出される交流出力電圧Vuとを加算して電圧指令値Vu*を生成する。加算器77Vは、電圧指令値Vv*と電圧検出器24により検出される交流出力電圧Vvとを加算して電圧指令値Vv*を生成する。加算器77Wは、電圧指令値Vwa*と電圧検出器24により検出される交流出力電圧Vwとを加算して電圧指令値Vw*を生成する。
【0127】
PWM回路62は、電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に基づいて、各相のためのPWM制御信号を生成する。ゲート回路63は、各相のためのPWM制御信号に基づいて、インバータ3の各相アームに含まれるトランジスタを制御するための制御信号を生成する。
【0128】
<効果>
以上説明したように、本実施の形態に従う無停電電源装置において、直流母線Lp,Ln間の直流電圧VDCの目標値である参照電圧VDCrは、コンバータ1、双方向チョッパ2およびインバータ3の各々が必要とする直流電圧VDCを満足するように設定される。これによると、コンバータ1、双方向チョッパ2およびインバータ3の安定した動作を確保しながら、直流電圧VDC(すなわち参照電圧VDCr)を、コンバータ1が安定に出力することが可能な直流電圧VDCの最大値よりも低い値にすることができる。したがって、無停電電源装置の高い給電信頼性を維持しながら、コンバータ1、双方向チョッパ2、およびインバータ3に含まれるトランジスタのスイッチング損失を低減して無停電電源装置の効率を向上させることが可能となる。
【0129】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0130】
1 コンバータ、2 双方向チョッパ、3 インバータ、4 操作部、5 制御装置、6 商用交流電源、7 バイパス交流電源、8 負荷、10 CPU、12 メモリ、14 I/O回路、16 バス、21~24 電圧検出器、30,60 電圧指令生成回路、31,34A~34C,40,42,72,75U~75W,534,546 減算器、32 直流電圧制御回路、33A~33C,520 乗算器、35,43,76 電流制御回路、36A~36C,77U~77W,522 加算器、37 正弦波発生回路、38,44,62 PWM回路、39,45,63 ゲート回路、41,71,73 電圧制御回路、50 参照電圧生成回路、51 第1演算部、52 第2演算部、53 第3演算部、54,512,542 最大値演算部、55 コンバータ制御部、56 双方向チョッパ制御部、57 インバータ制御部、58 停電検出器、59 モード設定部、61,560,562 制御回路、74 切換回路、510,540 実効値演算部、514,524,538,550 最低許容電圧生成部、536,548 比較器、544 最小値演算部、C1~C6,Cd コンデンサ、CT1~CT7 電流検出器、F1,F2 交流フィルタ、L1~L6 リアクトル、Lp 直流正母線、Ln 直流負母線。
【要約】
無停電電源装置は、コンバータ(1)と、双方向チョッパ(2)と、インバータ(3)と、制御装置(5)と、参照電圧生成回路(50)とを備える。コンバータ(1)は、第1の交流電源(6)から供給される交流電力を直流電力に変換して直流母線(Lp,Ln)に供給する。双方向チョッパ(2)は、電力貯蔵装置(B1)と直流母線(Lp,Ln)との間に接続され、第1の交流電源(6)の停電時に、電力貯蔵装置(B1)からの直流電力を直流母線(Lp,Ln)に供給する。インバータ(3)は、直流母線(Lp,Ln)から受ける直流電力を交流電力に変換して負荷(8)に供給する。制御装置(5)は、直流母線(Lp,Ln)の直流電圧が参照電圧になるように、無停電電源装置の給電モードに応じてコンバータ(1)、双方向チョッパ(2)、およびインバータ(3)のいずれかを制御する。参照電圧生成回路(50)は、コンバータ(1)、双方向チョッパ(2)、およびインバータ(3)の各々が必要とする直流電圧を満足するように参照電圧を生成する。