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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-07
(45)【発行日】2025-07-15
(54)【発明の名称】手乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/48 20060101AFI20250708BHJP
【FI】
A47K10/48 B
A47K10/48 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021015523
(22)【出願日】2021-02-03
(65)【公開番号】P2022118795
(43)【公開日】2022-08-16
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】田中 涼太
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-018485(JP,A)
【文献】特開2015-050276(JP,A)
【文献】特開2001-286159(JP,A)
【文献】特開平11-290240(JP,A)
【文献】特開平09-066005(JP,A)
【文献】米国特許第05459944(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入された手を乾燥する乾燥室と、
前記乾燥室に挿入された手を検知する手検知センサと、
前記手検知センサの検知により作動する第1AC負荷部と、
前記第1AC負荷部への通電を制御する第1制御部および第2制御部と、
前記第1制御部および前記第2制御部の作動を制御する中央処理部と、
前記第1制御部に接触することにより前記第1制御部を放熱させる第1放熱部と、
前記第2制御部に接触することにより前記第2制御部を放熱させる第2放熱部と、
を備え、
前記中央処理部は、前記手検知センサの作動情報に基づき、前記第1制御部の作動または前記第2制御部の作動を選択するものであり、前記作動情報が切り替えに基づく閾値を満たした場合に、作動させる制御部を切り替えることを特徴とする手乾燥装置。
【請求項2】
前記第1AC負荷部は、前記乾燥室に向けて送風する電動送風機であることを特徴とする請求項1に記載の手乾燥装置。
【請求項3】
前記作動情報は、前記手検知センサが手を検知した検知回数となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の手乾燥装置。
【請求項4】
前記第1放熱部と前記第2放熱部とは、連続して形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の手乾燥装置。
【請求項5】
前記手検知センサの検知により作動する第2AC負荷部と、前記中央処理部に接続され前記第2AC負荷部を制御する他の制御部と、前記他の制御部に接触することにより前記他の制御部を放熱する第3放熱部と、をさらに備え、
前記第3放熱部は、前記第1放熱部および前記第2放熱部に連続して形成されていることを特徴とする請求項4に記載の手乾燥装置。
【請求項6】
前記第1制御部、前記第2制御部、および前記他の制御部は、前記第1制御部または前記第2制御部のいずれか一方の制御部が中央に位置するように並列しており、
前記他の制御部と前記一方の制御部との間隔は、前記第1制御部と前記第2制御部との間隔よりも大きくなっていることを特徴とする請求項5に記載の手乾燥装置。
【請求項7】
室温を検知する室温センサをさらに備え、
前記第2AC負荷部は、前記乾燥室に向けて送風される風を昇温させるヒータであり、
前記中央処理部は、前記室温センサで検知された室温が室温閾値以下の場合に前記他の制御部を作動させることを特徴とする請求項5または6に記載の手乾燥装置。
【請求項8】
挿入された手を乾燥する乾燥室と、
前記乾燥室に挿入された手を検知する手検知センサと、
前記手検知センサの検知により作動する第1AC負荷部と、
前記第1AC負荷部への通電を制御する第1制御部および第2制御部と、
前記第1制御部および前記第2制御部の作動を制御する中央処理部と、
前記第1制御部に接触することにより前記第1制御部を放熱させる第1放熱部と、
前記第2制御部に接触することにより前記第2制御部を放熱させる第2放熱部と、
を備え、
前記中央処理部は、前記手検知センサの作動情報に基づき、前記第1制御部の作動または前記第2制御部の作動を選択し、
前記第1放熱部と前記第2放熱部とは、連続して形成されており、
前記手検知センサの検知により作動する第2AC負荷部と、前記中央処理部に接続され前記第2AC負荷部を制御する他の制御部と、前記他の制御部に接触することにより前記他の制御部を放熱する第3放熱部と、をさらに備え、
前記第3放熱部は、前記第1放熱部および前記第2放熱部に連続して形成されており、
室温を検知する室温センサをさらに備え、
前記第1制御部、前記第2制御部、および前記他の制御部のそれぞれの作動履歴情報を記憶する記憶部を有し、
前記中央処理部は、
前記室温と各制御部の前記作動履歴情報とに基づき、前記各制御部の温度をそれぞれ算出し、
少なくとも前記温度が温度閾値以上となった制御部の作動を禁止することを特徴とする手乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に手乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ室や洗面所の壁面などに取り付けられ、手洗い後の使用者の手の乾燥に用いられる手乾燥装置がある。このような手乾燥装置は、使用者の手の検知に応じて電動送風機を作動させることにより、使用者の手に風を吹き付けて手を乾燥させている。
【0003】
手乾燥装置は、風量、風温を増大させることで、手の乾燥時間を短くすることができる。このような場合、電動送風機や風温を上げるヒータの出力を上昇させる必要があるが、それにより、電動送風機やヒータの制御部(スイッチング素子)の発熱量が増大することになる。このような制御部の発熱量は、手乾燥装置が短い時間で複数回使用された場合にはより顕著なものとなる。
【0004】
特許文献1に記載された手乾燥装置は、電動送風機を制御する制御部に放熱材を接触させ、この放熱材の他端を電動送風機と噴出孔とを連絡する循環風路中に配置して、制御部を放熱している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-290240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された手乾燥装置は、例えば短い時間で複数回使用された場合には制御部の放熱がなされる前に発熱することになり、制御部の放熱が効率よくなされないおそれがある。
【0007】
本発明の態様は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、制御部の放熱を効率よく行うことができる手乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、挿入された手を乾燥する乾燥室と、前記乾燥室に挿入された手を検知する手検知センサと、前記手検知センサの検知により作動する第1AC負荷部と、前記第1AC負荷部への通電を制御する第1制御部および第2制御部と、前記第1制御部および前記第2制御部の作動を制御する中央処理部と、前記第1制御部に接触することにより前記第1制御部を放熱させる第1放熱部と、前記第2制御部に接触することにより前記第2制御部を放熱させる第2放熱部と、を備え、前記中央処理部は、前記手検知センサの作動情報に基づき、前記第1制御部の作動または前記第2制御部の作動を選択することを特徴とする手乾燥装置である。
【0009】
この手乾燥装置によれば、第1AC負荷部に通電する第1制御部の作動と第2制御部の作動とが選択されるので、一方の制御部を作動させているときに、他方の制御部を効率よく放熱させることができる。従って、例えば手乾燥装置が連続して使用された場合でも、第1制御部と第2制御部とが高温になるのを抑制することができ、第1制御部と第2制御部との寿命を向上できる。また、第1放熱部と第2放熱部とにより、ファンなどの空冷装置や水冷装置などを用いることなく、第1制御部と第2制御部とを効率よく放熱させることができるので、手乾燥装置が大型化するのを抑制できるとともに、省電力化を図ることができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記第1AC負荷部は、前記乾燥室に向けて送風する電動送風機であることを特徴とする手乾燥装置である。
【0011】
この手乾燥装置によれば、手を乾燥させるときに常に作動される電動送風機の出力が上がった場合でも、第1制御部と第2制御部とが高温になるのを抑制できる。
【0012】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記作動情報は、前記手検知センサが手を検知した検知回数となっていることを特徴とする手乾燥装置である。
【0013】
この手乾燥装置によれば、第1制御部の作動と第2制御部の作動との切り替えが、検知回数により行われるので、簡単な制御処理で第1制御部と第2制御部とを交互に作動させることができる。
【0014】
第4の発明は、第1~第3の発明のいずれか1つにおいて、前記第1放熱部と前記第2放熱部とは、連続して形成されていることを特徴とする手乾燥装置である。
【0015】
この手乾燥装置によれば、放熱材を共通化させることにより、例えば放熱材を固定する固定部などを少なくすることができるので、手乾燥装置を小型化を図ることやコストを削減することができる。
【0016】
第5の発明は、第4の発明において、前記手検知センサの検知により作動する第2AC負荷部と、前記中央処理部に接続され前記第2AC負荷部を制御する他の制御部と、前記他の制御部に接触することにより前記他の制御部を放熱する第3放熱部と、をさらに備え、前記第3放熱部は、前記第1放熱部および前記第2放熱部に連続して形成されていることを特徴とする手乾燥装置である。
【0017】
この手乾燥装置によれば、放熱部を共通化させることにより、例えば放熱部を固定する固定部などを少なくすることができるので、手乾燥装置を小型化を図ることやコストを削減することができる。
【0018】
第6の発明は、第5の発明において、前記第1制御部、前記第2制御部、および前記他の制御部は、前記第1制御部または前記第2制御部のいずれか一方の制御部が中央に位置するように並列しており、前記他の制御部と前記一方の制御部との間隔は、前記第1制御部と前記第2制御部との間隔よりも大きくなっていることを特徴とする手乾燥装置である。
【0019】
この手乾燥装置によれば、放熱部を共通化しても、他の制御部から放熱された熱が第1、第2制御部に伝達されるのを抑制することができる。すなわち、第1制御部および第2制御部は、他の制御部の煽り熱による影響を小さくすることができる。
【0020】
第7の発明は、第5または第6の発明において、室温を検知する室温センサをさらに備え、前記第2AC負荷部は、前記乾燥室に向けて送風される風を昇温させるヒータであり、前記中央処理部は、前記室温センサで検知された室温が室温閾値以下の場合に前記他の制御部を作動させることを特徴とする手乾燥装置である。
【0021】
この手乾燥装置によれば、各制御部の温度が高くなりやすい室温閾値以上の環境化では、ヒータを作動させないので放熱部を共通化させても、他の制御部から放熱された熱が第1、第2制御部に伝達されるのを抑制することができる。また、室温閾値以上では、ヒータを作動させなくても、手を乾燥させるのに十分な温度の風が吐出されるので、省電力化を図ることができる。
【0022】
第8の発明は、第5~第7の発明のいずれか1つにおいて、室温を検知する室温センサをさらに備え、前記第1制御部、前記第2制御部、および前記他の制御部のそれぞれの作動履歴情報を記憶する記憶部を有し、前記中央処理部は、前記室温と各制御部の前記作動履歴情報とに基づき、前記各制御部の温度をそれぞれ算出し、少なくとも前記温度が温度閾値以上となった制御部の作動を禁止することを特徴とする手乾燥装置である。
【0023】
この手乾燥装置によれば、第1、第2、他の制御部が良好に作動するのが抑制されるような高温となるのを抑制できる。従って、第1、第2、他の制御部の寿命を向上させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の態様によれば、制御部の放熱を効率よく行うことができる手乾燥装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係る手乾燥装置を示す斜視図である。
図2】手乾燥装置の電気系および風の流路系を示すブロック図である。
図3】第1制御部、第2制御部および他の制御部の位置関係を示す正面図である。
図4】第1制御部と第2制御部との温度推移を簡易的に示すグラフである。
図5】手乾燥装置の中央処理部が行う制御処理の一例を示すフローチャートである。
図6】制御部の温度の推移を簡易的に示すグラフである。
図7】本発明の第1変形例に係る手乾燥装置の電気系を示すブロック図である。
図8】本発明の第2変形例に係る手乾燥装置の電気系を示すブロック図である。
図9】本発明の第3変形例に係る手乾燥装置の電気系を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態にかかる手乾燥装置を示す斜視図である。
図1に示すように、手乾燥装置10は、本体部12を備える。本体部12は、使用者の手を挿入可能にした凹状の乾燥室14を有する。手乾燥装置10は、例えばトイレ室の壁面などに取り付けて使用される。手乾燥装置10は、乾燥室14に挿入された手を検知し、乾燥室14内の手に風を吹き付ける。これにより、手乾燥装置10は、例えばトイレ使用後の手洗いなどで濡れた手を乾燥させる。
【0028】
乾燥室14は、例えば上方に開口しており、挿入された手を乾燥する。本体部12は、例えば上方に開口した開口箱状である。従って、使用者は、上方から下方に向かって乾燥室14に手を挿入することで手を乾燥させることができる。乾燥室14の開口する向きは、上方に限ることなく、例えば前方や前方側斜め上方などでもよい。乾燥室14の開口する向きは、使用者が手を挿入し易い任意の方向でよい。
【0029】
また、乾燥室14の開口形状は、横長である。乾燥室14の開口部の横方向の長さは、乾燥室14の開口部の前後方向の長さよりも長い。これにより、手乾燥装置10では、左右の手を横方向に並べた状態で、上方から乾燥室14に挿入することができる。すなわち、使用者は、両手を下方に垂らして乾燥室14に挿入すればよく、自然な姿勢で手の乾燥を行うことができる。
【0030】
本体部12は、前面部12aと、背面部12bと、一対の側面部12c、12dと、を有する。この例において、本体部12は、略矩形の箱状である。乾燥室14は、例えば前面部12a、背面部12b、および各側面部12c、12dによって、前方、後方、および両側方を囲まれた略矩形の凹部である。
【0031】
乾燥室14は、前面部12aによって形成される前面側の内側面と、背面部12bによって形成される背面側の内側面と、各内側面の下端に連続する底面と、を有する。また、各内側面および底面のそれぞれの両側端は、各側面部12c、12dによって塞がれる。乾燥室14は、濡れた手から吹き飛ばされた水滴を各面で受ける。
【0032】
本体部12および乾燥室14の形状は、これに限ることなく、手を挿入可能な任意の形状でよい。例えば、各側面部12c、12dは、省略してもよい。すなわち、乾燥室14は、上方および側方が開放された溝状の形状でもよい。このように、乾燥室14の形状は、手を挿入する開口部以外の一部が開放された形状でもよい。
【0033】
本体部12は、乾燥室14内に風を吹き出すための複数の吹出口15を有する。各吹出口15は、例えば略円形の開口である。各吹出口15は、前面部12aの前面側の内側面と、背面部12bの背面側の内側面と、に設けられる。各吹出口15は、例えば各内側面において横方向(水平方向)に略一直線状に並べて設けられる。
【0034】
各吹出口15は、例えば各内側面の上端(開口端)付近に設けられ、斜め下方に向けて風を吹き出す。すなわち、各吹出口15は、乾燥室14の底面側に向けて水滴を吹き飛ばす。これにより、吹き飛ばされた水滴が、使用者にかかってしまうことを抑制することができる。
【0035】
吹出口15の形状は、任意の形状でよい。吹出口15の数は、任意の数でよい。例えば、横方向に延びるスリット状の1つの吹出口を本体部12に設けてもよい。吹出口は、乾燥室14に挿入された手に対して適切に風を吹き付けることができる任意の形状および数でよい。
【0036】
本体部12は、例えば各側面部12c、12dに設けられた一対の通気口18を有する。各通気口18は、各吹出口15から吹き出された風を乾燥室14の外部に抜けさせる。これにより、例えば水滴を含んだ風が乾燥室14内で折り返され、使用者側に向かってしまうことを抑制することができる。換言すれば、吹き飛ばされた水滴が、使用者側に向かってしまうことを抑制することができる。
【0037】
手乾燥装置10は、水受けトレー20をさらに備える。水受けトレー20は、例えば本体部12の底部に着脱自在に取り付けられる。本体部12は、図示を省略した排水溝を有し、乾燥室14の各面で受けた水滴を排水溝を介して水受けトレー20に送る。これにより、水受けトレー20は、乾燥室14内で吹き飛ばされた水滴を回収する。
【0038】
図2は、手乾燥装置の電気系および風の流路系を示すブロック図である。
図2に示すように、手乾燥装置10は、手検知センサ22、室温センサ24、電動送風機26、ヒータ30、制御ユニット32、他の制御部34、放熱材36、および中央処理部38を備えている。
【0039】
手検知センサ22は、乾燥室14に挿入された手を検知する。手検知センサ22は、中央処理部38に接続されている。手検知センサ22は、手の検知結果を中央処理部38に送信する。手検知センサ22には、例えば透過型の光センサ(フォトインタラプタ)が用いられる。手検知センサ22は、これに限ることなく、使用者の手を検知可能な任意のセンサでよい。手検知センサ22は、例えば反射型の光センサ、測距センサ、焦電センサ、静電容量センサ、超音波センサ、およびマイクロ波センサなどでもよい。
【0040】
室温センサ24は、手乾燥装置10が設置されている室内の温度を検知する。室温センサ24は、例えばトイレ室の室温を検知する。室温センサ24は、例えば本体部12の内部に設けられ、電動送風機26の作動により吸い込まれる外気が流通する管路(図示せず)内の温度を計測する。
【0041】
室温センサ24は、中央処理部38に接続され、検知した室温を中央処理部38に送信する。室温センサ24は、中央処理部38がヒータ30を作動させるか否かを判断するために設けられている。また、室温センサ24は、中央処理部38が第1、第2制御部32a、32bおよび他の制御部34の温度Tjを算出するために設けられている。なお、室温センサ24は、必要応じて設けられ、省略可能である。
【0042】
電動送風機26は、手検知センサ22の検知により作動する。電動送風機26(ファンモータ)は、風路28に接続されている。風路28は、風の流れ方向下流端に各吹出口15が設けられている。電動送風機26は、例えば手乾燥装置10が設置されている室内の空気を吸気して風路28にその空気を供給することにより、各吹出口15から乾燥室14に向けて風を吹き出させる。本実施形態では、電動送風機26が本発明の第1AC負荷部を構成している。電動送風機26は、制御ユニット32を介して中央処理部38に接続されている。
【0043】
ヒータ30は、手検知センサ22の検知により作動する。ヒータ30は、風路28の経路上において、電動送風機26と各吹出口15との間に設けられている。ヒータ30は、電動送風機26から各吹出口15に向かう気体(風)を加熱することにより、各吹出口15から吹き出される気体を温める。これにより、手乾燥装置10では、ヒータ30によって温められた温風を各吹出口15から吹き出させることができる。これにより、例えば使用者の手の乾燥性能を向上させることができる。例えば、非加熱の風を吹き出す場合に比べて、より短時間で使用者の手を乾燥させることができる。
【0044】
ヒータ30は、他の制御部34を介して中央処理部38に接続されている。本実施形態では、ヒータ30が本発明の第2AC負荷部を構成している。ヒータ30は、必要に応じて設けられ、省略可能である。手乾燥装置10は、電動送風機26から供給される非加熱の風を各吹出口15から吹き出してもよい。ヒータ30には、例えばフィンヒータが用いられる。ヒータ30は、電動送風機26から各吹出口15に向かう気体を加熱可能な任意のヒータなどでよい。
【0045】
制御ユニット32は、中央処理部38と電動送風機26とに接続されている。制御ユニット32は、中央処理部38からの指令信号により電動送風機26(第1AC負荷部)への通電を制御する。制御ユニット32は、複数の制御部を有している。本実施形態では、制御ユニット32は、第1制御部32aと、第2制御部32bと、の2つの制御部を有している。第1制御部32aと第2制御部32bとは、例えば電源(図示せず)から電動送風機26への電力を通電または遮断するスイッチング素子となっている。第1制御部32aおよび第2制御部32bは、作動状態で(ON状態)で通電となり、非作動状態(OFF状態)で遮断(非通電)となる。なお、このスイッチング素子は、有接点式でも無接点式のものでもよい。
【0046】
第1制御部32aと第2制御部32bとは、並列状態で中央処理部38と電動送風機26とに接続されている。これにより、電動送風機26は、中央処理部38から第1制御部32aまたは第2制御部32bのいずれか一方の制御部を介して電力が供給される。すなわち、第1制御部32aが作動状態(ON)の場合には、第2制御部32bが非作動状態(OFF)となっている。一方、第2制御部32bが作動状態(ON)の場合には、第1制御部32aが非作動状態(OFF)となっている。第1制御部32aおよび第2制御部32bのどちらの作動が選択されるかは、中央処理部38により決定される。中央処理部38が実行する第1制御部32aおよび第2制御部32bの作動の選択制御は、後で説明する。
【0047】
他の制御部34は、中央処理部38とヒータ30とに接続されている。他の制御部34は、中央処理部38からの指令信号によりヒータ30(第2AC負荷部)への通電を制御する。他の制御部34は、例えば電源(図示せず)からヒータ30への電力を通電または遮断するスイッチング素子となっている。他の制御部34は、作動状態で(ON状態)で通電となり、非作動状態(OFF状態)で遮断(非通電)となる。なお、このスイッチング素子は、有接点式でも無接点式のものでもよい。
【0048】
放熱材36は、伝熱特性の高い金属材料(例えば、アルミニウム)からなるヒートシンクとなっている。放熱材36は、第1制御部32a、第2制御部32b、および他の制御部34にそれぞれ接触している。これにより、放熱材36は、作動により発熱した第1制御部32a、第2制御部32b、および他の制御部34を放熱させる。放熱材36は、第1制御部32aに接触する第1放熱部36aと、第2制御部32bに接触する第2放熱部36bと、他の制御部34に接触する第3放熱部36cと、を有している。
【0049】
本実施形態では、放熱材36は、第1放熱部36a、第2放熱部36b、および第3放熱部36cが連続して形成されている。換言すると、第1制御部32a、第2制御部32b、および他の制御部34は、1つの放熱材36に接触して配置されている。これにより、手乾燥装置10を小型化することができるとともに、コストを低減させることができる。また、放熱材36の表面積を大きくすることができるので、各制御部32a、32b、34を効率よく放熱させることができる。
【0050】
図3は、第1制御部、第2制御部および他の制御部の位置関係を示す正面図である。
図3に示すように、第1制御部32a、第2制御部32bおよび他の制御部34は、例えば左右方向に並列して配置されている。なお、第1制御部32a、第2制御部32bおよび他の制御部34は、上下方向に並列していてもよいし、斜め方向に並列していてもよい。
【0051】
第1制御部32a、第2制御部32bおよび他の制御部34は、第1制御部32aまたは第2制御部32bのいずれか一方の制御部が中央に位置している。本実施形態では、第2制御部32bが中央に位置している。換言すると、第2制御部32bは、第1制御部32aと他の制御部34との間に挟まれている。なお、第1制御部32aが中央に位置していてもよい。また、図3では、右側に第1制御部32aと第2制御部32bとが配置された場合を示しているが、左側に第1制御部32aと第2制御部32bとが配置されていてもよい。すなわち、第1制御部32aまたは第2制御部32bのいずれか一方の制御部が中央に配置されており、一方の制御部の周囲にその他の制御部が配置されていればよい。
【0052】
ここで、第1制御部32aおよび第2制御部32bは、手検知センサ22による手の検知により、いずれか一方の制御部が選択されて作動する。一方、他の制御部34は、手検知センサ22による手の検知により作動するので、第1制御部32aや第2制御部32bの発熱よりも大きい発熱となるおそれがある。
【0053】
そこで、図3に示すように、他の制御部34と制御ユニット32のうち中央に位置する一方の制御部(例えば、第2制御部32b)との間隔L1は、第1制御部32aと第2制御部32bとの間隔L2よりも大きくなっている。これにより、放熱材36を共通化しても、他の制御部34から放熱された熱が第2制御部32bに伝達されるのを抑制することができる。すなわち、第1制御部32aおよび第2制御部32bは、他の制御部34の煽り熱による影響を小さくすることができる。
【0054】
中央処理部38は、手検知センサ22、室温センサ24、制御ユニット32および他の制御部34に接続されている。中央処理部38は、手検知センサ22の検知に基づき、制御ユニット32の第1制御部32aおよび第2制御部32bの作動を制御する。また、中央処理部38は、手検知センサ22の検知に基づき、他の制御部34の作動を制御する。すなわち、中央処理部38は、手検知センサ22の検知に基づき、電動送風機26の作動とヒータ30の作動とを制御する。
【0055】
中央処理部38は、手検知センサ22の作動情報に基づき、第1制御部32aの作動および第2制御部32bの作動を選択する。例えば、作動情報は、手検知センサ22が手を検知した検知回数となっている。この検知回数は、1回でもよいし、複数回(2回以上)でもよい。中央処理部38の記憶部39には、この切替えに基づく検知回数(閾値)があらかじめ記憶されている。記憶部39は、中央処理部38とは別個に設けられていてもよい。中央処理部38は、例えば検知回数が1回に設定されている場合には第1制御部32aの作動と第2制御部32bの作動とを交互に選択する。
【0056】
図4は、第1制御部と第2制御部との温度推移を簡易的に示すグラフである。
図4に示す実線321は、第1制御部32aの温度推移であり、図4に示す破線322は、第2制御部32bの温度推移となっている。
【0057】
時刻t1で手検知センサ22により手が検知されると、第1制御部32aが作動(ON)する。これにより、電動送風機26に第1制御部32aを介して電力が供給され、電動送風機26が作動する。第1制御部32aは、電動送風機26が作動している間は温度がT0からT1に向けて徐々に上昇する。
【0058】
時刻t2で手検知センサ22により手が非検知となると、第1制御部32aが非作動(OFF)となり、電動送風機26の作動が停止する。その後、第1制御部32aは、放熱材36(放熱部36a)により、温度T1からT0に向けて徐々に低下する。
【0059】
時刻t3では、次に手乾燥装置10を使用する人の手が手検知センサ22により検知される。この場合、中央処理部38は、第2制御部32bを選択して作動(ON)させる。これにより、電動送風機26に第2制御部32bを介して電力が供給され、電動送風機26が作動する。第2制御部32bは、電動送風機26が作動している間は温度がT0からT2に向けて徐々に上昇する。
【0060】
時刻t4で手検知センサ22により手が非検知となると、第2制御部32bが非作動(OFF)となり、電動送風機26の作動が停止する。その後、第2制御部32bは、放熱材36(放熱部36b)により、温度T2からT0に向けて徐々に低下する。
【0061】
時刻t3~時刻t4においては、電動送風機26が作動していても、第1制御部32aが非作動となっている。これにより、手乾燥装置10が連続して使用された場合でも、第1制御部32aを効率よく放熱させることができる。
【0062】
そして、時刻t5では、その次に手乾燥装置10を使用する人の手が手検知センサ22により検知される。この場合、中央処理部38は、第1制御部32aを選択して作動(ON)させることにより、電動送風機26を作動させる。このように、電動送風機26を作動させる場合に、第1制御部32aと第2制御部32bとを交互に作動させることで、第1制御部32aと第2制御部32bとを効率よく放熱させることができる。
【0063】
また、中央処理部38は、室温センサ24から手乾燥装置10が設置されている場所の室温Taを取得する。そして、中央処理部38は、室温センサ24で検知された室温Taが室温閾値Tb以下(Ta≦Tb)の場合に、他の制御部34を作動させる。室温閾値Tbは、記憶部39にあらかじめ記憶されており、例えば30℃に設定されている。室温閾値Tbは、例えば手を乾燥させるのに適した温度となっており、実験、シミュレーションにより設定される。
【0064】
すなわち、室温Taが高い場合(例えば、30℃より高い場合)には、吹出口15から噴出される風の温度も30℃以上となるので、ヒータ30を作動させなくてもよい。これにより、省電力化を図ることができる。一方、室温Taが低い場合(例えば、30℃以下の場合)には、ヒータ30を作動させて吹出口15から吹き出される風の温度を上げることにより、効率よく手を乾燥させることができる。
【0065】
また、中央処理部38は、第1制御部32a、第2制御部32b、および他の制御部34の作動履歴情報と室温Taとから、各制御部32a、32b、34のそれぞれの温度Tjを算出する。これにより、中央処理部38は、第1制御部32a、第2制御部32b、および他の制御部34のそれぞれの温度Tjを監視している。
【0066】
中央処理部38は、各制御部32a、32b、34の温度Tjが温度閾値Tjmax以上となった場合に、少なくともその制御部の作動を禁止する。これにより、第1制御部32a、第2制御部32b、および他の制御部34が必要以上に高温になるのを抑制することができ、各制御部32a、32b、34の寿命を向上させることができる。温度Tjの演算式および温度閾値Tjmaxは、記憶部39にあらかじめ記憶されている。中央処理部38が行う温度Tjの算出は、後で説明する。
【0067】
本実施形態に係る手乾燥装置10は、上述の如き構成を有するもので、次に中央処理部38が行う制御処理について説明する。
【0068】
図5は、手乾燥装置の中央処理部が行う制御処理の一例を示すフローチャートである。
図5に示す制御処理は、記憶部39にあらかじめ記憶(格納)されている。図5に示す制御処理は、手乾燥装置10の電源が投入されてから所定の周期で繰り返し実行される。なお、図5では、各ステップを「S」と示し、例えば「ステップ1」を「S1」と示している。
【0069】
S1では、手を検知か否かを判定する。すなわち、中央処理部38は、手検知センサ22が手を検知したか否かを判定する。S1で「YES」、すなわち手を検知した場合には、S2に進む。一方、S1で「NO」、すなわち、手を検知していない場合には、エンドとなり、手の検知を監視する。
【0070】
S2では、室温Taおよび各制御部32a、32b、34の作動履歴情報を取得する。作動履歴情報は、例えば電源投入後における各制御部32a、32b、34のON状態やOFF状態の回数および作動時間などとなっている。なお、S2は、S1の前に実行されていてもよい。そして、中央処理部38は、室温Taと、各制御部32a、32b、34の作動履歴情報とから各制御部32a、32b、34の温度Tjを算出する。温度Tjの算出については、後で説明する。
【0071】
S3では、第1制御部32aまたは第2制御部32bの作動禁止か否かを判定する。すなわち、中央処理部38は、S2で算出された第1制御部32aの温度Tjまたは第2制御部32bの温度Tjが温度閾値Tjmax以上となっているか否かを判定する。
【0072】
そして、S3で「YES」、すなわち第1制御部32aまたは第2制御部32bの作動禁止となっている場合には、エンドとなる。これにより、第1制御部32aまたは第2制御部32bが必要以上に高温となり、寿命が低下するのを抑制できる。一方、S3で「NO」、すなわち第1制御部32aまたは第2制御部32bの作動禁止となっていない場合には、S4に進む。
【0073】
S4では、他の制御部34の作動禁止か否かを判定する。すなわち、中央処理部38は、S2で算出された他の制御部34の温度Tjが温度閾値Tjmax以上となっているか否かを判定する。なお、各制御部32a、32b、34の温度閾値Tjmaxは、同じ値でもよいし、それぞれ別個の値でもよい。各制御部32a、32b、34のそれぞれの温度閾値Tjmaxは、各制御部32a、32b、34が良好に作動できるような値として適宜設定されるものである。
【0074】
そして、S4で「YES」、すなわち他の制御部34の作動禁止となっている場合には、S7に進む。一方、S4で「NO」、すなわち他の制御部34の作動禁止となっていない場合には、S5に進む。
【0075】
S5では、室温Taが室温閾値Tb以下(Ta≦Tb)か否かを判定する。すなわち、中央処理部38は、S2で取得した室温センサ24の室温Taが室温閾値Tb(例えば、30℃)以下か否かを判定する。
【0076】
そして、S5で「YES」、すなわち室温Taが室温閾値Tb以下となっている場合には、S6に進む。一方、S5で「NO」、すなわち室温Taが室温閾値Tbよりも高い場合には、S7に進む。
【0077】
S6では、他の制御部34を作動(ON)にする。これにより、他の制御部34からヒータ30に電力が供給されて、ヒータ30の作動が開始される。このように、他の制御部34の作動に不具合が発生する可能性のあるような高温になっている場合(S4で「YES」)には、ヒータ30が作動しないようになっている。これにより、他の制御部34の寿命を向上させることができる。また、室温Taが高い場合(S5で「NO」)にも、ヒータ30が作動しないようになっている。これにより、省電力化を図ることができる。
【0078】
次のS7では、手の検知回数が奇数回か否かを判定する。すなわち、中央処理部38は、電源投入後に手検知センサ22によりなされた手の検知回数が奇数回目か偶数回目かを判定する。なお、手の検知回数は、電源投入後にリセットされていなくてもよく、電源投入前の回数を継続してカウントしていてもよい。また、過去にS3で「YES」と判定された場合には、第1制御部32aおよび第2制御部32bが作動しないので、そのときの手の検知はカウントしていなくてもよい。
【0079】
そして、S7で「YES」、すなわち手の検知回数が奇数回である場合には、S8に進む。一方、S7で「NO」、すなわち手の検知回数が偶数回である場合には、S9に進む。なお、S4~S6の制御処理は、S7~S9の制御処理の後に実行されていてもよいし、あるいはS7~S9の制御処理と並行して実行されてもよい。
【0080】
S8では、第1制御部32aを作動(ON)にする。これにより、第1制御部32aから電動送風機26に電力が供給されて、電動送風機26の作動が開始される。一方、S9では、第2制御部32bを作動(ON)にする。これにより、第2制御部32bから電動送風機26に電力が供給されて、電動送風機26の作動が開始される。
【0081】
このように、中央処理部38は、手の検知回数が奇数回の場合には、第1制御部32aを選択して作動させ、手の検知回数が偶数回の場合には、第2制御部32bを選択して作動させる。これにより、電動送風機26が作動する場合には、第1制御部32aと第2制御部32bとが交互に作動することになる。なお、手の検知回数が奇数回の場合に、第2制御部32bが選択され、手の検知回数が偶数回の場合に、第1制御部32aが選択されてもよい。
【0082】
次のS10では、手を検知か否かを判定する。すなわち、中央処理部38は、手検知センサ22が手を検知しているか否かを判定する。S10で「YES」、すなわち手を検知している場合には、手の検知を監視する。一方、S10で「NO」、すなわち、手を検知していない場合には、S11に進む。
【0083】
S11では、第1、第2、他の制御部32a、32b、34を非作動(OFF)にする。これにより、電動送風機26およびヒータ30の作動が停止される。そして、次のS12では、各制御部32a、32b、34の作動履歴情報を更新する。すなわち、中央処理部38は、手の検知回数を1回カウントアップするとともに、各制御部32a、32b、34の作動時間などを記憶部39に記憶させて、エンドとなる。
【0084】
次に、各制御部32a、32b、34の作動が禁止される場合を図6を参照して説明する。
図6は、制御部の温度の推移を簡易的に示すグラフである。本実施形態では、第1制御部32aの温度の推移を代表して説明する。
【0085】
上述したように、第1制御部32aと第2制御部32bとは、交互に作動する。しかしながら、手乾燥装置10が長時間連続して使用された場合には、図6に示すように、第1制御部32aの温度Tjが徐々に増加することになる。第1制御部32aの温度Tjが高温になると、第1制御部32aの作動が良好に行われなくなるおそれがある。
【0086】
そこで、中央処理部38は、室温Taと、第1制御部32aの作動履歴情報とにより第1制御部32aの温度Tjを推定している。中央処理部38は、例えば室温Ta、第1制御部32aの作動(ON)時間(すなわち、手検知時間)ton、第1制御部32aの作動(OFF)時間(すなわち、手非検知時間)toff、発熱係数Ku、放熱係数Kdとしたときに、以下に示す数1の式により第1制御部32aの温度を演算する。
【0087】
【数1】
【0088】
上述の数1の式により、例えば図6のようなグラフが示される。図6に示すように、例えばton4で第1制御部32aの温度Tjが温度閾値Tjmaxに達した場合には、少なくとも第1制御部32aの作動が禁止される。そして、第1制御部32aは、toff4で放熱材36(放熱部36a)により放熱されて、温度Tjが解除閾値Tjsに達したとき(解除閾値Tjsまで下がったとき)に作動禁止が解除される。
【0089】
本実施形態では、図5のS3で第1制御部32aまたは第2制御部32bの作動が禁止されている場合に、電動送風機26の作動がなされないようになっている。なお、第1制御部32aの作動禁止解除は、温度Tjが解除閾値Tjsに達したときに限らず、例えば作動が禁止されてからあらかじめ定められた所定時間経過後としてもよい。この所定時間は、例えば放熱材36の放熱効率や手乾燥装置10が設置される場所の環境などを考慮して、実験、シミュレーションにより適宜設定することができる。
【0090】
図7は、本発明の第1変形例に係る手乾燥装置の電気系を示すブロック図である。
上述した実施形態では、第1AC負荷部を電動送風機26とし、第2AC負荷部をヒータ30とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば図7に示す第1変形例のように、第1AC負荷部をヒータ50とし、第2AC負荷部を電動送風機52としてもよい。
【0091】
図8は、本発明の第2変形例に係る手乾燥装置の電気系を示すブロック図である。
上述した実施形態では、手乾燥装置10に1つの電動送風機26を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば図8に示す第2変形例のように、手乾燥装置に第1電動送風機54と第2電動送風機56との2つの電動送風機を備え、第1AC負荷部を第1電動送風機54とし、第2AC負荷部を第2電動送風機56としてもよい。
【0092】
図9は、本発明の第3変形例に係る手乾燥装置の電気系を示すブロック図である。
上述した実施形態では、制御ユニット32は、第1制御部32aと第2制御部32bとの2つの制御部を有している場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば図9に示す第3変形例のように、制御ユニット60は、第1制御部60a、第2制御部60c、および第3制御部60cを有していてもよい。そして、第1~第3制御部60a~60cが順番に作動してもよい。また、制御ユニットは、4つ以上の制御部を有し、これら複数の制御部が順番に作動してもよい。
【0093】
また、上述した実施形態では、第1放熱部36a、第2放熱部36b、および第3放熱部36cが連続して形成された1つの放熱材36とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば第1放熱部36a、第2放熱部36b、および第3放熱部36cがそれぞれ別個の放熱材(例えば、3つの放熱材)となっていてもよい。また、制御ユニット32を放熱する第1放熱部36aおよび第2放熱部36bが連続して形成された1つの放熱材となっており、他の制御部34を放熱する第3放熱部36cが別個の放熱材となっていてもよい。
【0094】
また、上述した実施形態では、第1制御部32aまたは第2制御部32bを選択するための作動情報を手の検知回数とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば作動情報は、手検知センサ22の連続作動時間や累積作動時間でもよい。すなわち、手検知センサ22の検知時間と検知時間閾値とにより、第1制御部32aと第2制御部32bとの選択を切り替えてもよい。
【0095】
また、最初に第1フラグがON、第2フラグがOFFとすることにより、第1制御部32aを作動させ、次回は、第2フラグがON、第1フラグがOFFとすることにより、第2制御部32bを作動させるような制御を繰り返して実行してもよい。
【0096】
また、上述した実施形態では、各制御部32a、32b、34の温度を演算式により算出した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば各制御部32a、32b、34の温度Tjは、温度センサなどで直接的に計測してもよい。
【0097】
また、上述した実施形態では、例えば図5のS3で第1制御部32aまたは第2制御部32bの作動が禁止されているときに、電動送風機26の作動がなされないようになっている場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば作動が禁止されていない制御部で電動送風機26を作動させてもよい。すなわち、温度Tjが温度閾値Tjmax以上となっている制御部の作動を少なくとも禁止していればよい。これにより、手乾燥装置10が使用禁止となる時間を減少させることができる。
【0098】
また、上述した実施形態では、第1AC負荷部を電動送風機26とし、第2AC負荷部をヒータ30とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば手乾燥装置10は、手を乾燥させるための電動送風機26に加えて、別の電動送風機が設けられていてもよい。この別の電動送風機は、例えば乾燥室14から空気を吸気して、手乾燥装置10が設置されている室内に向けて風を吐出させるものとなっている。そして、この別の電動送風機が第1AC負荷部や第2AC負荷部を構成していてもよい。
【0099】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、手乾燥装置などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0100】
10 手乾燥装置
12 本体部
12a 前面部
12b 背面部
12c 側面部
12d 側面部
14 乾燥室
15 吹出口
18 通気口
20 トレー
22 手検知センサ
24 室温センサ
26 電動送風機
28 風路
30 ヒータ
32 制御ユニット
32a 第1制御部
32b 第2制御部
34 他の制御部
36 放熱材
36a 第1放熱部
36b 第2放熱部
36c 第3放熱部
38 中央処理部
39 記憶部
50 ヒータ
52 電動送風機
54 第1電動送風機
56 第2電動送風機
60 制御ユニット
60a 第1制御部
60b 第2制御部
60c 第3制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9