IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-導光板デバイス 図1
  • 特許-導光板デバイス 図2
  • 特許-導光板デバイス 図3
  • 特許-導光板デバイス 図4
  • 特許-導光板デバイス 図5
  • 特許-導光板デバイス 図6
  • 特許-導光板デバイス 図7
  • 特許-導光板デバイス 図8
  • 特許-導光板デバイス 図9
  • 特許-導光板デバイス 図10
  • 特許-導光板デバイス 図11
  • 特許-導光板デバイス 図12
  • 特許-導光板デバイス 図13
  • 特許-導光板デバイス 図14
  • 特許-導光板デバイス 図15
  • 特許-導光板デバイス 図16
  • 特許-導光板デバイス 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-07
(45)【発行日】2025-07-15
(54)【発明の名称】導光板デバイス
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/60 20200101AFI20250708BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20250708BHJP
   G09F 13/18 20060101ALI20250708BHJP
   G09F 19/12 20060101ALI20250708BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20250708BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20250708BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20250708BHJP
【FI】
G02B30/60
F21S2/00 435
G09F13/18 Z
G09F19/12 Z
G02B6/00 301
G02B5/00 Z
F21Y115:10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021040942
(22)【出願日】2021-03-15
(65)【公開番号】P2022140895
(43)【公開日】2022-09-29
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】篠原 正幸
(72)【発明者】
【氏名】田上 靖宏
(72)【発明者】
【氏名】團野 幹史
【審査官】中村 百合子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/179870(WO,A1)
【文献】特開2018-010223(JP,A)
【文献】特開2017-049099(JP,A)
【文献】特開2016-018194(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0268327(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104460115(CN,A)
【文献】特開2016-114929(JP,A)
【文献】特開2021-085891(JP,A)
【文献】特開2016-130832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 30/00-30/60
G03B 35/18
G02B 6/00
G02B 5/00
G09F 13/18
H04N 13/302
F21S 2/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光が入射する入射面と、
前記入射面に垂直な背面の所定の位置に形成され、前記入射面から入射し導光された光を反射させることによって前記背面に平行な出射面から出射させる光路変更部とを備え、
前記出射面から出射された光によって結像される結像画像のうち、面を表現する面画像は、結像位置が前記背面から所定距離以内である近傍結像部分と、結像位置が前記所定距離より遠い遠方結像部分とを含む連続した面としての画像であるとともに、
前記背面に垂直かつ、前記出射面に垂直な方向から見たときの前記光源の光軸方向に垂直な断面における前記面画像の両端は、前記近傍結像部分に含まれ
前記面画像は、前記面画像の前記入射面に平行な断面が環状形状であり、
前記出射面に垂直な方向において、前記環状形状の中心から最も遠い結像位置までの距離を第1距離とすると、前記出射面に垂直な方向において、前記環状形状の中心から前記第1距離の20%以内の位置に、前記背面が存在する導光板デバイス。
【請求項2】
前記所定距離は、前記遠方結像部分のうち、前記背面から最も離れた結像位置における前記出射面からの距離の25%以内である請求項1に記載の導光板デバイス。
【請求項3】
前記所定距離は、前記結像画像の各結像領域の結像位置における前記背面からの距離の平均の50%以下である請求項1に記載の導光板デバイス。
【請求項4】
前記所定距離は、前記背面から光の出射方向側では12mm、前記背面から前記光の出射方向と逆方向側では24mmである請求項1に記載の導光板デバイス。
【請求項5】
前記所定距離は、前記入射面と前記光路変更部との距離の最小値の20%以下である請求項1に記載の導光板デバイス。
【請求項6】
前記所定距離は、前記結像画像の前記背面への投影画像領域における、前記入射面に垂直な方向の最大長さ、および、前記入射面に平行な方向の最大長さのうち、長い方の長さの20%以下である請求項1に記載の導光板デバイス。
【請求項7】
前記面画像を前記出射面に垂直な方向から見たときの投影画像は、前記入射面に平行な方向の長さが、前記入射面に垂直な方向の長さよりも長い形状を有し、
前記入射面に平行な方向における前記投影画像の両端部の結像位置の前記出射面からの距離は、前記所定距離以内である請求項1に記載の導光板デバイス。
【請求項8】
前記面画像を前記出射面に平行な方向から見たときの投影画像において、前記遠方結像部分のうち、前記背面から最も離れた結像位置における前記背面からの距離を第2距離とすると、前記入射面に平行な方向における両端部の結像位置の前記背面からの距離は、前記第2距離の30%以内である請求項1に記載の導光板デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間に立体画像を表示させる導光板デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
光源から入射した光を内部で導光し、導光した光を反射部材により反射させて立体画像を結像させる立体画像表示装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された技術では、出射面に平行な面内で光を導く導光板と、導光板によって導かれている光が入射し、空間上の1つの収束点又は収束線に実質的に収束する又は空間上の1つの収束点又は収束線から実質的に発散する方向の出射光を出射面から出射させる光学面をそれぞれ有する複数の光収束部とを備えている。そして、複数の光収束部は、出射面に平行な面内でそれぞれ予め定められた線に沿って形成され、収束点又は収束線は複数の光収束部の間で互いに異なり、複数の収束点又は収束線の集まりによって空間上に立体画像が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-114929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術では、立体画像として面画像を表示する場合、線画像と比較してコントラストの悪化が目立つという問題があった。
【0006】
本発明の一態様は、結像画像のコントラストの悪化およびボケが目立たない導光板デバイスを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る導光板デバイスは、光源からの光が入射する入射面と、前記入射面に垂直な背面の所定の位置に形成され、前記入射面から入射し導光された光を反射させることによって前記背面に平行な出射面から出射させる光路変更部とを備え、前記出射面から出射された光によって結像される結像画像のうち、面を表現する面画像は、結像位置が前記背面から所定距離以内である近傍結像部分と、結像位置が前記所定距離より遠い遠方結像部分とを含む連続した面としての画像であるとともに、前記背面に垂直かつ、前記光源の光軸方向に垂直な断面における前記面画像の両端は、前記近傍結像部分に含まれる。
【0008】
上記構成では、導光板デバイスは、入射面から入射し、背面に形成された光路変更部により反射され、出射面から出射する光により、結像画像を結像する。結像画像のうち、面を表現する面画像は、結像位置と背面との距離によって区分される近傍結像部分と遠方結像部分とを含む連続した面としての画像である。
【0009】
一般に、結像画像においては、背面からの距離が大きくなるとコントラストの悪化およびボケが目立ちやすくなる。換言すれば、近傍結像部分は、遠方結像部分と比較して、コントラストの悪化およびボケが目立ちにくい。また、結像画像のうち、入射面に平行な断面における端部においてはコントラストの悪化およびボケが特に目立ちやすい。上記構成では、導光板の背面に垂直かつ、光源の光軸方向に垂直な断面における面画像の両端は、近傍結像部分に含まれる。したがって、結像画像のコントラストの悪化およびボケが目立たない。
【0010】
本発明の一態様に係る導光板デバイスにおいて、前記所定距離は、前記遠方結像部分のうち、前記背面から最も離れた結像位置における前記出射面からの距離の25%以内であってもよい。
【0011】
本発明の一態様に係る導光板デバイスにおいて、前記所定距離は、前記結像画像の各結像領域の結像位置における前記背面からの距離の平均の50%以下であってもよい。
【0012】
本発明の一態様に係る導光板デバイスにおいて、前記所定距離は、前記背面から光の出射方向側では12mm、前記背面から前記光の出射方向と逆方向側では24mmであってもよい。
【0013】
本発明の一態様に係る導光板デバイスにおいて、前記所定距離は、前記入射面と前記光路変更部との距離の最小値の20%以下であってもよい。
【0014】
本発明の一態様に係る導光板デバイスにおいて、前記所定距離は、前記結像画像の前記背面への投影画像領域における、前記入射面に垂直な方向の最大長さ、および、前記入射面に平行な方向の最大長さのうち、長い方の長さの20%以下であってもよい。
【0015】
これらの構成では、近傍結像部分となる画像の範囲を規定する所定距離が適切に規定される。したがって、導光板の背面に垂直かつ、光源の光軸方向に垂直な断面における両端が、このような所定距離についての近傍結像部分に含まれることで、結像画像のコントラストの悪化およびボケが目立たなくなる。
【0016】
本発明の一態様に係る導光板デバイスにおいて、前記面画像は、前記面画像の前記入射面に平行な断面が環状形状であり、前記出射面に垂直な方向において、前記環状形状の中心から最も遠い結像位置までの距離を第1距離とすると、前記出射面に垂直な方向において、前記環状形状の中心から前記第1距離の20%以内の位置に、前記背面が存在してもよい。
【0017】
上記構成では、入射面に平行な断面が環状形状である面画像の、当該断面における両端を含む多くの部分が、近傍結像部分に含まれることとなる。したがって、結像画像のコントラストの悪化をさらに目立たなくすることができる。
【0018】
本発明の一態様に係る導光板デバイスにおいて、前記面画像を前記出射面に垂直な方向から見たときの投影画像は、前記入射面に平行な方向の長さが、前記入射面に垂直な方向の長さよりも長い形状を有し、前記入射面に平行な方向における前記投影画像の両端部の結像位置の前記出射面からの距離は、前記所定距離以内であってもよい。
【0019】
上記構成では、結像画像に含まれる面画像を出射面に垂直な方向から見たときの投影画像において、入射面に平行な方向の長さが入射面に垂直な方向の長さよりも長い。このような面画像を結像画像が含む場合、コントラストの悪化およびボケが目立ちやすい。このような面画像において、入射面に平行な方向における投影画像の両端部の結像位置の出射面からの距離を所定距離以内とすることで、コントラストの悪化およびボケを目立たなくすることができる。
【0020】
本発明の一態様に係る導光板デバイスにおいて、前記面画像を前記出射面に垂直な方向から見たときの投影画像において、前記遠方結像部分のうち、前記背面から最も離れた結像位置における前記背面からの距離を第2距離とすると、前記入射面に平行な方向における両端部の結像位置の前記背面からの距離は、前記第2距離の30%以内であってもよい。
【0021】
上記構成では、導光板の背面に垂直かつ、光源の光軸方向に垂直な断面における両端を含む多くの部分が、近傍結像部分に含まれることとなる。したがって、結像画像のコントラストの悪化およびボケをさらに目立たなくすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様によれば、結像画像のコントラストの悪化が目立たない導光板デバイスを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態に係る導光板の適用例を示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る導光板の構成例を示す斜視図である。
図3図2に示した導光板の、入射面に平行な断面における断面図である。
図4】本実施形態に係る導光板の第1の変形例を示す斜視図である。
図5図4に示した導光板の、入射面に平行な断面における断面図である。
図6】本実施形態に係る導光板の第2の変形例を示す斜視図である。
図7】本実施形態に係る導光板の第3の変形例について説明するための図である。
図8】本実施形態に係る導光板の第4の変形例について説明するための図である。
図9図8に示した立体画像の、入射面に平行な断面における断面図である。
図10】本実施形態の変形例に係る表示装置の斜視図である。
図11図10に示す導光板デバイスが備える光路変更部の構成を示す断面図である。
図12図10に示す導光板デバイスの構成を示す平面図である。
図13図10に示す導光板デバイスが備える光路変更部の構成を示す斜視図である。
図14図13に示す光路変更部の配列を示す斜視図である。
図15図10に示す導光板デバイスによる立体画像の結像方法を示す斜視図である。
図16】立体画像の、導光板よりも後側に結像される点までの奥行きを導出する方法について説明するための図である。
図17図16に示した奥行きを画像解析により算出する方法について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一側面に係る実施形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。なお、以降では、説明の便宜上、図1における+X方向を右方向、-X方向を左方向、+Y方向を上方向、-Y方向を下方向、+Z方向を前方向、-Z方向を後方向として説明する場合がある。また、以降では、+Y方向を光の入射方向、+Z方向を光の出射方向として説明する場合がある。
【0025】
§1 適用例
図1は、本実施形態に係る導光板11を適用した様子を示す斜視図である。まず、図1を用いて、本発明が適用される場面の一例について説明する。図1では、導光板11を備えた表示装置10が、立体画像I、より具体的には、「ON」の文字が表示されたボタン形状(+Z軸方向に突出した形状)の立体画像Iを表示している様子を示している。図1に示すように、表示装置10は、導光板11(導光板デバイス)と、光源12とを備えている。
【0026】
導光板11は、直方体形状をしており、透明性および比較的高い屈折率を有する樹脂材料で成形されている。導光板11を形成する材料は、例えばポリカーボネイト樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ガラスなどであってよい。導光板11は、光を出射する出射面11aと、出射面11aとは平行で、かつ出射面11aとは反対側の背面11bと、四方の端面である、端面11c、端面11d、端面11eおよび端面11fとを備えている。端面11cは、光源12からの光が導光板11に入射する入射面である。以下では端面11cを入射面11cとも称する。端面11dは、端面11cとは反対側の面である。端面11eは、端面11fとは反対側の面である。導光板11は、光源12からの光を出射面11aに平行な面内で面上に広げて導く。光源12は、例えばLED(Light Emitting
diode)光源である。
【0027】
導光板11の背面11bには、光路変更部13a、光路変更部13b、および光路変更部13cを含む複数の光路変更部が形成されている。以下では、光路変更部13a、光路変更部13b、および光路変更部13cを含む複数の光路変更部を総称して光路変更部13と称する場合がある。光路変更部13は、入射面11cに垂直な背面11bの所定の位置に形成され、入射面11cから入射し導光された光を反射することによって背面11bに平行な出射面11aから出射させる。光路変更部13は、所定の位置として、X軸方向に実質的に連続して形成されている。具体的には、図1に示すように、光路変更部13a、光路変更部13b、および光路変更部13cは、線La、線Lbおよび線Lcに沿ってそれぞれ形成されている。ここで、線La、線Lbおよび線Lcは、X軸方向に略平行な直線である。任意の光路変更部13は、X軸方向に平行な直線に沿って実質的に連続的に形成される。換言すれば、光路変更部13は、背面11bに平行な面内でそれぞれ予め定められた線に沿って形成されている。光路変更部13のX軸方向の各位置には、光源12から投射され導光板11によって導光されている光が入射する。光路変更部13は、光路変更部13の各位置に入射した光を、各光路変更部13にそれぞれ対応する定点に実質的に収束させる。図1には、光路変更部13の一部として、光路変更部13a、光路変更部13b、および光路変更部13cのそれぞれにより反射された複数の光が収束する様子が示されている。
【0028】
具体的には、光路変更部13aの各位置からの光は、立体画像Iの一部を形成する定点PAに収束する。このため、光路変更部13aからの光の波面は、定点PAから発するような光の波面となる。光路変更部13bの各位置からの光は、立体画像Iの一部を形成する定点PBに収束する。このため、光路変更部13bからの光の波面は、定点PBから発するような光の波面となる。光路変更部13cの各位置からの光についても、光路変更部13a、13bの各位置からの光と同様である。このように、任意の光路変更部13の各位置からの光は、各光路変更部13に対応する定点に実質的に収束する。これにより、任意の光路変更部13によって、対応する定点から光が発するような光の波面を提供できる。各光路変更部13が対応する定点は互いに異なり、光路変更部13にそれぞれ対応する複数の定点の集まりによって、空間上(より詳細には、導光板11から出射面11a側の空間上)にユーザにより認識される立体画像Iが結像される。
【0029】
§2 構成例
図2は、本実施形態の構成例に係る導光板11の構成例を示す斜視図である。図3は、図2に示した導光板11の、入射面11cに平行な断面における断面図である。図2および図3に示す例では、導光板11から出射された光によって、ユーザにより認識される立体画像IA(結像画像)が空間上に結像されている。以下では簡単のため、立体画像IAの、背面11bの前側に位置する領域(すなわち実像)だけでなく、背面11bの後側に位置する領域(すなわち虚像)についても、「結像される」と表現する。すなわち、図2および図3における導光板11では、立体画像IAを表示するように、複数の光路変更部13が導光板11の背面11bに形成されている。
【0030】
図2および図3に示すように、立体画像IAは、帯状の形状を有する面画像である。ここでいう面画像とは、面を表現するものであり、画像が結像されている面上において、単位面積あたりの結像点の密度が30%以上である画像をいう。また、面画像とは、最も明るい点に対する半値全幅が2mmよりも大きい画像をいう。したがって、面画像には、全面が塗り潰されているような画像の他、例えばハッチングが施された画像も含まれる場合がある。
【0031】
ただし、立体画像IAは、面画像と、面画像とは別の画像、例えば線画像とを含む画像であってもよい。ここでいう線画像とは、最も明るい点に対する半値全幅が2mm以下の画像をいう。以下の説明における立体画像IAについての記載は、立体画像IAが面画像および面画像とは別の画像を含む場合における面画像にも適用される。
【0032】
図3に示すように、立体画像IAは、結像位置が導光板11の背面11bから所定距離d以内である近傍結像部分IA1と、結像位置が所定距離dよりも遠い遠方結像部分IA2とを含む、連続した面としての画像である。所定距離dについては後述する。
【0033】
図3に示すように、背面11bに垂直かつ、光源12の光軸方向に垂直な断面における立体画像IAの両端は、近傍結像部分IA1に含まれる。導光板11により結像される画像においては、背面11bから結像位置までの距離が大きくなると、コントラストの悪化およびボケが目立ちやすくなる。換言すれば、近傍結像部分IA1では、遠方結像部分IA2と比較して、コントラストの悪化およびボケが目立ちにくい。また、コントラストの悪化およびボケは、導光板11により結像される画像のうち、入射面11cに平行な断面における端部において特に目立つ。立体画像IAにおいて、背面11bに垂直かつ、光源12の光軸方向に垂直な断面における両端は、近傍結像部分IA1に含まれる。したがって、導光板11によれば、立体画像IAのコントラストの悪化およびボケが目立ちにくくなる。
【0034】
また、本構成例において、立体画像IAを出射面11aに垂直な方向から見たときの投影画像は、入射面11cに平行な方向の長さが、入射面11cに垂直な方向の長さよりも長い形状を有する。このような立体画像IAにおいては、コントラストの悪化およびボケが目立ちやすい。このような立体画像IAにおいて、入射面11cに平行な方向における投影画像の両端部の結像位置の、出射面11aからの距離を所定距離d以内とすることで、立体画像IAのコントラストの悪化およびボケが目立ちにくくなる。
【0035】
§3 動作例
次に、本願の構成例に係る導光板11の動作例として、所定距離dの具体例を以下に説明する。
【0036】
所定距離dは、立体画像IAのうち、背面11bから最も離れた結像位置における背面11bからの距離の25%以内であってよい。また、所定距離dは、立体画像IAの各結像領域の結像位置における背面11bからの距離の平均の50%以下であってよい。また、所定距離dは、背面11bから光の出射方向側では12mm、背面11bから光の出射方向と逆方向側では24mmであってもよい。
【0037】
また、所定距離dは、入射面11cと光路変更部13との距離の最小値の20%以下であってよい。入射面11cと光路変更部13との距離が短い程、当該光路変更部13に入射する光の広がりが大きくなるため、例えば視点の変化に起因するコントラストの悪化およびボケが生じやすい。入射面11cと光路変更部13との距離の最小値に応じて、所定距離dを上記のとおり決定することで、当該光路変更部13を有する導光板11により結像される立体画像IAの、コントラストの悪化およびボケが目立たなくすることができる。
【0038】
また、所定距離dは、立体画像IAの背面11bへの投影画像領域における、入射面11cに垂直な方向の最大長さ、および、入射面11cに平行な方向の最大長さのうち、長い方の長さの20%以下であってよい。
【0039】
これらの構成では、近傍結像部分IA1となる画像の範囲を規定する所定距離dが適切に規定される。したがって、背面11bに垂直かつ、光源12の光軸方向に垂直な断面における面画像の両端が、このような所定距離dについての近傍結像部分IA1に含まれることで、立体画像IAのコントラストの悪化およびボケが目立たなくなる。
【0040】
なお、結像位置が背面11bの前側である光路変更部13においては、結像位置が背面11bの後側である光路変更部13と比較して、反射光の左右方向への広がりが大きくなる。このため、立体画像IAの、背面11bの前側の領域では、背面11bの後側の領域と比較して、複数の光路変更部13により反射された光が重畳して見えやすくなる。その結果、立体画像IAのボケ、および当該ボケに起因する立体画像IAの意匠性の低下が生じやすくなる。
【0041】
このため、例えば上述した例で「背面11bから光の出射方向側では12mm、背面11bから光の出射方向と逆方向側では24mmであってよい」としたように、光の出射方向側における所定距離dを、光の出射方向と逆方向側における所定距離dよりも短くしてもよい。所定距離dをこのように設定することで、特に背面11bの前側における立体画像IAのボケ、および当該ボケに起因する立体画像IAの意匠性の低下を抑制できる。
【0042】
図16は、立体画像IEの、導光板11よりも後側に結像される点P0までの奥行きDを導出する方法について説明するための図である。立体画像IEは、略立方体形状を有する。図16を参照して、点P0までの奥行きDを導出する方法について説明する。
【0043】
点P0までの奥行きDを導出するためには、立体画像IEを、2つの視点E1およびE2から視認する。視点E1およびE2はそれぞれ、立体画像IEを視認するユーザの左目および右目に対応する。視点E1から視認される、導光板11の出射面11aに投影される点P0を点P1とする。また、視点E2から視認される、導光板11の出射面11aに投影される点P0を点P2とする。点P1および点P2の間隔をL1とし、点P0に対する視点E1とE2との間の角度をΔθとした場合、奥行きD=L1/Δθとなる。
【0044】
図17は、画像解析により奥行きDを算出する方法について説明するための図である。図17においては、視点E1から視認される導光板11および立体画像IEが符号171で示され、視点E2から視認される導光板11および立体画像IEが符号172で示されている。また、符号171および172の画像を重畳させた画像が符号173で示されている。図17を参照して、画像解析により奥行きDを算出する方法について説明する。
【0045】
画像解析により奥行きDを算出する場合、出射面11a上の任意の点を点P3として特定する。点P3は、出射面11a上に結像された、立体画像IEに含まれる任意の点であってもよい。また、点P3は、立体画像IEに含まれない、出射面11a上にマーキングされた点であってもよい。出射面11a上における、このような点P3の位置は、視点の位置によらず一定である。
【0046】
画像解析では、符号173に示すように、符号171および172に示す画像を、点P3が互いに一致するように重畳させる。出射面11a上における点P3の位置は視点の位置によらず一定であるため、符号173に示す画像における点P1と点P2との間隔は、図16に示した間隔L1と等しくなる。したがって、上述したとおり、奥行きD=L1/Δθとして奥行きDを算出できる。
【0047】
§4 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0048】
<4.1>
図4は、導光板11の第1の変形例を示す斜視図である。図5は、図4に示した導光板11の、入射面11cに平行な断面における断面図である。
【0049】
図4および図5に示すように、本変形例に係る導光板11は、立体画像IB(結像画像)を結像させる。立体画像IBは、入射面11cに平行な断面が環状形状である面画像である。ただし、立体画像IBは、面画像と、当該面画像とは別の画像、例えば線画像と、を含む画像であってもよい。以下の説明における立体画像IBについての記載は、立体画像IBが面画像および面画像とは別の画像を含む場合における面画像にも適用される。
【0050】
本変形例では、図5に示すように、出射面11aに垂直な方向において(Y軸方向において)、立体画像IBが有する環状形状の中心Cから、立体画像IBの最も遠い結像位置までの距離を第1距離R1とする。このとき、出射面11aに垂直な方向において、環状形状の中心Cから第1距離R1の20%以内の位置までの距離d1に、背面11bが存在してもよい。すなわち、d1<0.2×R1であってよい。
【0051】
図5に示す導光板11によれば、入射面11cに平行な断面が環状形状である面画像の、当該断面における両端を含む多くの部分が、近傍結像部分IA1(図3参照)に含まれることとなる。したがって、立体画像IAのコントラストの悪化をさらに目立たなくすることができる。
【0052】
<4.2>
図6は、導光板11の第2の変形例を示す斜視図である。図6に示すように、本変形例に係る導光板11は、立体画像IC(結像画像)を結像させる。立体画像ICは、端部に開口が形成された円筒形状を有する。このような立体画像ICにおいて、立体画像ICの後側は、前側と同様の面画像であってもよく、前側よりも階調値が低い面画像であってもよい。また、立体画像ICの後側は、輪郭のみの線画像であってもよい。立体画像ICの後側を、上記のいずれの画像で表現する場合であっても、立体画像ICの、背面11bに垂直かつ、光源12の光軸方向に垂直な断面における両端が近傍結像部分IA1に含まれるように、立体画像ICを結像させることで、立体画像ICのコントラストの悪化が目立ちにくくなる。
【0053】
<4.3>
図7は、導光板11の第3の変形例について説明するための図である。図7に示すように、本変形例に係る導光板11は、立体画像IBを結像させる。立体画像IBの形状については、図4および図5を参照して説明したとおりである。
【0054】
本変形例では、図7に示すように、立体画像IBを出射面11aに平行な方向から見たときの投影画像において、背面11bから最も離れた結像位置における背面11bからの距離を第2距離R2とする。このとき、X方向(入射面11cに平行な方向)における両端部の、結像位置の背面11bからの距離d2は、第2距離R2の30%以内であってもよい。すなわち、d2<0.3×R2であってよい。
【0055】
図7に示す導光板11によれば、背面11bに垂直かつ、光源12の光軸方向に垂直な断面における面画像の両端を含む多くの部分が、近傍結像部分IA1(図3参照)に含まれることとなる。したがって、立体画像IBのコントラストの悪化をさらに目立たなくすることができる。
【0056】
<4.4>
図8は、導光板11の第4の変形例について説明するための図である。図9は、図8に示した立体画像ID(結像画像)の、入射面11cに平行な断面における断面図である。ただし、立体画像IDは、面画像と、面画像とは別の画像、例えば線画像とを含む画像であってもよい。
【0057】
図8および図9に示すように、本変形例に係る導光板11は、立体画像IDを結像させる。立体画像IDは、入射面11cに平行な断面がX軸方向の両端から後側に向けて折れ曲がった形状を有する面画像である。換言すれば、図8および図9に示す立体画像IDの、入射面11cに平行な断面の形状は、図7に示す立体画像IBと異なり、環状形状ではない。
【0058】
図9に示すように、立体画像IDを出射面11aに垂直な方向から見たときの投影画像において、距離d2は、第2距離R2の30%以内であってもよい。これにより、図9に示す導光板11においても、立体画像IDのコントラストの悪化をさらに目立たなくすることができる。
【0059】
<4.5>
表示装置10の変形例である表示装置10Aについて以下に説明する。
【0060】
図10は、表示装置10Aの斜視図である。図10に示すように、表示装置10Aは、光源12と、導光板15とを備えている。導光板15は、上述した導光板11の変形例である。
【0061】
図11は、導光板15が備える光路変更部16の構成を示す断面図である。図12は、導光板15の構成を示す平面図である。図13は、導光板15が備える光路変更部16の構成を示す斜視図である。
【0062】
導光板15は、光源12から入射された光(入射光)を導光する部材である。導光板15は、透明で屈折率が比較的高い樹脂材料で成形される。導光板15を形成する材料としては、例えばポリカーボネイト樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂などを使用することができる。本変形例では、導光板15は、ポリメチルメタクリレート樹脂によって成形されている。導光板15は、図11に示すように、出射面15aと、背面15bと、入射面15cとを備えている。
【0063】
出射面15aは、導光板15の内部を導光され、後述する光路変更部16により光路変更された光を出射する面である。出射面15aは、導光板15の前面を構成している。背面15bは、出射面15aと互いに平行な面であり、後述する光路変更部16が配置される面である。入射面15cは、光源12から出射された光が導光板15の内部に入射される面である。
【0064】
光源12から出射され入射面15cから導光板15に入射した光は、出射面15aまたは背面15bで全反射され、導光板15内を導光される。
【0065】
図11に示すように、光路変更部16は、導光板15の内部において背面15bに形成されており、導光板15内を導光された光を光路変更して出射面15aから出射させるための部材である。光路変更部16は、導光板15の背面15bに複数設けられている。
【0066】
光路変更部16は、図12に示すように、入射面15cに平行な方向に沿って設けられている。図13に示すように、光路変更部16は、三角錐形状となっており、入射した光を反射(全反射)する反射面16aを備えている。光路変更部16は、例えば、導光板15の背面15bに形成された凹部であってもよい。なお、光路変更部16は、三角錐形状に限られるものではない。導光板15の背面15bには、図12に示すように、複数の光路変更部16からなる複数の光路変更部群17a、17b、17c…が形成されている。
【0067】
図14は、光路変更部16の配列を示す斜視図である。図14に示すように、各光路変更部群17a、17b、17c…では、複数の光路変更部16の反射面16aが光の入射方向に対する角度が互いに異なるように導光板15の背面15bに配置されている。これにより、各光路変更部群17a、17b、17c…は、入射光を光路変更して、出射面15aから様々な方向へ出射させる。
【0068】
次に、導光板15による立体画像Iの結像方法について、図15を参照しながら説明する。ここでは、導光板15の出射面15aに垂直な面である立体画像結像面Pに、光路変更部16により光路変更された光によって面画像としての立体画像Iを結像する場合について説明する。
【0069】
図15は、導光板15による立体画像Iの結像方法を示す斜視図である。なお、ここでは、立体画像結像面Pに立体画像Iとして斜め線入りリングマークを結像することについて説明する。
【0070】
導光板15では、図15に示すように、例えば、光路変更部群17aの各光路変更部16によって光路変更された光は、立体画像結像面Pに線La1および線La2で交差する。これにより、立体画像結像面Pに立体画像Iの一部である線画像LIを結像させる。線画像LIは、XZ平面に平行な線画像である。このように、光路変更部群17aに属する多数の光路変更部16からの光によって、線La1および線La2の線画像LIが結像される。なお、線La1および線La2の像を結像する光は、光路変更部群17aにおける少なくとも2つの光路変更部16によって提供されていればよい。
【0071】
同様に、光路変更部群17bの各光路変更部16によって光路変更された光は、立体画像結像面Pに線Lb1、線Lb2および線Lb3で交差する。これにより、立体画像結像面Pに立体画像Iの一部である線画像LIを結像させる。
【0072】
また、光路変更部群17cの各光路変更部16によって光路変更された光は、立体画像結像面Pに線Lc1および線Lc2で交差する。これにより、立体画像結像面Pに立体画像Iの一部である線画像LIを結像させる。
【0073】
各光路変更部群17a、17b、17c…によって結像される線画像LIのX軸方向の位置は互いに異なっている。導光板15では、光路変更部群17a、17b、17c…間の距離を小さくすることによって、各光路変更部群17a、17b、17c…によって結像される線画像LIのX軸方向の距離を小さくすることができる。その結果、導光板15では、光路変更部群17a、17b、17c…の各光路変更部16によって光路変更された光によって結像された複数の線画像LIを集積することにより、実質的に、面画像である立体画像Iを立体画像結像面Pに結像する。
【0074】
なお、立体画像結像面Pは、X軸に垂直な平面であってもよく、Y軸に垂直な平面であってもよく、またZ軸に垂直な平面であってもよい。また、立体画像結像面Pは、X軸、Y軸、またはZ軸に垂直でない平面であってもよい。さらに、立体画像結像面Pは、平面ではなく曲面であってもよい。すなわち、導光板15は、光路変更部16によって空間上の任意の面(平面および曲面)上に立体画像Iを結像させることができる。また、面画像を複数組み合わせることにより、3次元の画像を結像することができる。
【0075】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
11、15 導光板(導光板デバイス)
12 光源
11a、15a 出射面
11b、15b 背面
11c、15c 入射面
13、13a、13b、13c、16 光路変更部
d 所定距離
d2 距離
I、IA、IB、IC、ID 立体画像(結像画像)
IA1 近傍結像部分
IA2 遠方結像部分
R1 第1距離
R2 第2距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17