(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-07
(45)【発行日】2025-07-15
(54)【発明の名称】情報処理プログラム、情報処理方法、および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06T 7/20 20170101AFI20250708BHJP
【FI】
G06T7/20 300Z
(21)【出願番号】P 2021161126
(22)【出願日】2021-09-30
【審査請求日】2024-06-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牛嶋 悟
(72)【発明者】
【氏名】石田 諒
(72)【発明者】
【氏名】青木 康洋
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/175707(WO,A1)
【文献】特開2021-012584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗において購入対象の物体を選択したユーザが自ら会計を行うレジ端末を含むエリアに入場した場合に、前記エリアを撮像する撮像装置により撮像された撮像画像から、
前記エリアで行われる前記ユーザの物体に対する行動を追跡し、
前記行動に基づいて、前記ユーザが前記物体を把持する第1の行動と、前記ユーザが把持した前記物体を離す第2の行動とを識別し、
前記第1の行動
が識別された場合に、前記第1の行動に対する第1の識別情報と
、前記エリアで前記第1の識別情報により識別される行動が行われた第1の位置情報とを第1の記憶部に記憶し、
前記第2の行動
が識別された場合に、前記第2の行動に対する第2の識別情報と
、前記エリアで前記第1の識別情報により識別される行動が行われた第2の位置情報とを第2の記憶部に記憶し、
前記第2の識別情報と前記第2の位置情報とが前記第2の記憶部に記憶されたのち、前記第2の位置情報によって示される位置で、前記第1の行動を検出した場合、前記第2の識別情報と前記第2の位置情報とを、前記第1の記憶部に記憶する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項2】
前記物体が前記撮像画像における第1の領域から出たことを検出し、第1のカウンタをカウントし、
前記物体が前記撮像画像における第2の領域に入ったことを検出し、第2のカウンタをカウントし、
前記第1のカウンタおよび前記第2のカウンタを出力する
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記行動を追跡する処理は、HOID(Human Object Interaction Detection)を用いて、前記ユーザの前記物体に対する行動を追跡する処理を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
店舗において購入対象の物体を選択したユーザが自ら会計を行うレジ端末を含むエリアに入場した場合に、前記エリアを撮像する撮像装置により撮像された撮像画像から、
前記エリアで行われる前記ユーザの物体に対する行動を追跡し、
前記行動に基づいて、前記ユーザが前記物体を把持する第1の行動と、前記ユーザが把持した前記物体を離す第2の行動とを識別し、
前記第1の行動
が識別された場合に、前記第1の行動に対する第1の識別情報と
、前記エリアで前記第1の識別情報により識別される行動が行われた第1の位置情報とを第1の記憶部に記憶し、
前記第2の行動
が識別された場合に、前記第2の行動に対する第2の識別情報と
、前記エリアで前記第1の識別情報により識別される行動が行われた第2の位置情報とを第2の記憶部に記憶し、
前記第2の識別情報と前記第2の位置情報とが前記第2の記憶部に記憶されたのち、前記第2の位置情報によって示される位置で、前記第1の行動を検出した場合、前記第2の識別情報と前記第2の位置情報とを、前記第1の記憶部に記憶する
処理をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項5】
店舗において購入対象の物体を選択したユーザが自ら会計を行うレジ端末を含むエリアに入場した場合に、前記エリアを撮像する撮像装置により撮像された撮像画像から、
前記エリアで行われる前記ユーザの物体に対する行動を追跡し、
前記行動に基づいて、前記ユーザが前記物体を把持する第1の行動と、前記ユーザが把持した前記物体を離す第2の行動とを識別し、
前記第1の行動
が識別された場合に、前記第1の行動に対する第1の識別情報と
、前記エリアで前記第1の識別情報により識別される行動が行われた第1の位置情報とを第1の記憶部に記憶し、
前記第2の行動
が識別された場合に、前記第2の行動に対する第2の識別情報と
、前記エリアで前記第1の識別情報により識別される行動が行われた第2の位置情報とを第2の記憶部に記憶し、
前記第2の識別情報と前記第2の位置情報とが前記第2の記憶部に記憶されたのち、前記第2の位置情報によって示される位置で、前記第1の行動を検出した場合、前記第2の識別情報と前記第2の位置情報とを、前記第1の記憶部に記憶する
処理を実行する制御部を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
撮像画像から、HOID(Human Object Interaction Detection)を用いて、ユーザの物体に対する行動を追跡し、
前記行動に基づいて、前記ユーザが前記物体を把持する第1の行動と、前記ユーザが把持した前記物体を離す第2の行動とを識別し、
前記第1の行動に対する第1の識別情報と第1の位置情報とを第1の記憶部に記憶し、
前記第2の行動に対する第2の識別情報と第2の位置情報とを第2の記憶部に記憶し、
前記第2の位置情報によって示される位置で、前記第1の行動を検出した場合、前記第2の識別情報と前記第2の位置情報とを、前記第1の記憶部に記憶し、
前記HOIDの検出結果を取得し、
前記第2の記憶部に記憶された前記第2の位置情報によって示される第2のバウンディングボックスが、前記検出結果における前記物体の第3のバウンディングボックスと類似度が所定の閾値以上である場合、前記第2のバウンディングボックスの前記物体に対して前記第1の行動を検出する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項7】
撮像画像から、HOID(Human Object Interaction Detection)を用いて、ユーザの物体に対する行動を追跡し、
前記行動に基づいて、前記ユーザが前記物体を把持する第1の行動と、前記ユーザが把持した前記物体を離す第2の行動とを識別し、
前記第1の行動に対する第1の識別情報と第1の位置情報とを第1の記憶部に記憶し、
前記第2の行動に対する第2の識別情報と第2の位置情報とを第2の記憶部に記憶し、
前記第2の位置情報によって示される位置で、前記第1の行動を検出した場合、前記第2の識別情報と前記第2の位置情報とを、前記第1の記憶部に記憶し、
前記HOIDの検出結果を取得し、
前記第1の記憶部に記憶された前記第1の位置情報によって示される第1のバウンディングボックスが、前記検出結果における前記物体の第3のバウンディングボックスと類似度が所定の閾値以上である場合、前記第1のバウンディングボックスの前記物体は動いていないと判定する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項8】
前記物体は動いていないと判定する処理は、
連続して撮像された複数の前記撮像画像において、所定の回数以上、前記第1のバウンディングボックスの前記物体は動いていないと判定された場合、前記第1のバウンディングボックスの前記物体に対して前記第2の行動を検出する
処理を含むことを特徴とする請求項7に記載の情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理プログラム、情報処理方法、および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアなどの店舗において、レジ業務の軽減による人件費の削減やレジの混雑回避などを目的として、顧客自らが商品をスキャンして登録し、会計を行うセルフレジの導入が進んでいる。このような顧客自らが商品スキャンを行うシステムでは、購入対象の商品をスキャンしない、いわゆる商品のスキャン漏れなどの不正行動を検知することが重要になってくる。
【0003】
店舗において顧客の不正行動を検知するシステムとして、例えば、店舗内の監視カメラを使って、顧客の不審行動や、万引きなどの不正行動を検知するシステムが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、監視カメラによる撮像画像から商品のスキャン漏れを検知する場合、システム側では、どの商品に対してスキャンが行われたかなど、個々の商品を識別する必要がある。商品を識別する方法として、例えば、撮像画像から商品を識別するための機械学習モデルなどが考えられるが、店舗で販売されている商品の1つ1つを学習するのは、商品の種類が多いことや新商品への切り替わりが早いことなどから非現実的である。
【0006】
1つの側面では、セルフレジを利用する顧客の行動をより正確に検知できる情報処理プログラム、情報処理方法、および情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様において、情報処理プログラムは、撮像画像から、ユーザの物体に対する行動を追跡し、行動に基づいて、ユーザが物体を把持する第1の行動と、ユーザが把持した物体を離す第2の行動とを識別し、第1の行動に対する第1の識別情報と第1の位置情報とを第1の記憶部に記憶し第2の行動に対する第2の識別情報と第2の位置情報とを第2の記憶部に記憶し、第2の位置情報によって示される位置で、第1の行動を検出した場合、第2の識別情報と第2の位置情報とを、第1の記憶部に記憶する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
1つの側面では、セルフレジを利用する顧客の行動をより正確に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施例1にかかる不正検知システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施例1にかかるセルフレジ端末100の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施例1にかかるセルフレジによる商品購入の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施例1にかかる管理装置10の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、HOIDを説明するための図である。
【
図6】
図6は、HOIDによる商品追跡の問題点とその解決方法の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施例1にかかるHOIDによる商品追跡方法の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施例1にかかるHOIDによる商品追跡の判定方法の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施例1にかかる仮置台ROIから出た商品のカウント方法の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施例1にかかるレジ前ROIに入った商品のカウント方法の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施例1にかかる仮置台ROIリスト33に記憶されるデータの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施例1にかかるレジ前ROIリスト34に記憶されるデータの一例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施例1にかかる追跡中物体リスト35に記憶されるデータの一例を示す図である。
【
図14】
図14は、実施例1にかかる追跡休止物体リスト36に記憶されるデータの一例を示す図である。
【
図15】
図15は、実施例1にかかる各追跡リストのデータ遷移(1)の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、実施例1にかかる各追跡リストのデータ遷移(2)の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、実施例1にかかる商品追跡処理(1)の流れを示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、実施例1にかかる商品追跡処理(2)の流れを示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、管理装置10のハードウェア構成例を説明する図である。
【
図20】
図20は、セルフレジ端末100のハードウェア構成例を説明する図である。
【
図21】
図21は、店員端末300のハードウェア構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本実施形態に係る情報処理プログラム、情報処理方法、および情報処理装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本実施形態が限定されるものではない。また、各実施例は、矛盾のない範囲内で適宜組み合わせることができる。
【実施例1】
【0011】
まず、本実施形態を実施するための不正検知システムについて説明する。
図1は、実施例1にかかる不正検知システムの構成例を示す図である。
図1に示すように、不正検知システム1は、管理装置10と、セルフレジ端末100とが、ネットワーク50を介して相互に通信可能に接続されるシステムである。
【0012】
また、管理装置10は、カメラ装置200や店員端末300ともネットワーク50を介して相互に通信可能に接続される。
【0013】
ネットワーク50には、有線や無線を問わず、例えば、コンビニエンスストアなどの店舗内で利用されるイントラネットなどの各種通信網を採用できる。また、ネットワーク50は、単一のネットワークではなく、例えば、イントラネットとインターネットとがゲートウェイなどネットワーク装置やその他の装置(図示せず)を介して構成されてよい。
【0014】
管理装置10は、例えば、コンビニエンスストアなどの店舗内に設置され、店舗スタッフや管理者などによって使用されるデスクトップPC(Personal Computer)やノートPC、またはサーバコンピュータなどの情報処理装置である。
【0015】
管理装置10は、セルフレジ端末100によって会計を行う顧客(以下、単に「人物」や「ユーザ」という場合がある)をカメラ装置200によって撮像した複数の画像を、カメラ装置200から受信する。なお、複数の画像とは、厳密には、カメラ装置200によって撮影される映像、すなわち、動画の一連のフレームである。
【0016】
また、管理装置10は、物体検知技術などを用いて、撮像画像から人物や商品を特定する。そして、管理装置10は、人物が商品を把持し、商品バーコードをスキャンしてセルフレジ端末100に登録する行動などを検知する。
【0017】
なお、
図1では、管理装置10を1台のコンピュータとして示しているが、複数台のコンピュータで構成される分散型コンピューティングシステムであってもよい。また、管理装置10は、クラウドコンピューティングサービスを提供するサービス提供者によって管理されるクラウドコンピュータ装置であってもよい。
【0018】
セルフレジ端末100は、コンビニエンスストアなどの店舗内のレジエリアに設置され、顧客自らが商品をスキャンして登録し、会計を行うための情報処理端末である。セルフレジ端末100は、商品バーコードをスキャンするためのコードリーダや精算画面を表示するためのタッチパネルディスプレイ部を備えるか、または、外付けのコードリーダやディスプレイと通信可能に接続される。
【0019】
図2は、実施例1にかかるセルフレジ端末100の一例を示す図である。
図2に示すように、セルフレジ端末100は、仮置台領域150によって示される、会計時の商品を置くための仮置台と併設される。顧客は、会計時、仮置台に商品を置き、仮置台から商品を取って商品バーコードを、レジ前領域160によって示されるコードリーダによってスキャンし、セルフレジ端末100に購入商品の登録を行う。そして、顧客は、セルフレジ端末100のディスプレイに評された精算画面を操作し、現金や電子マネー、またはクレジットカードなどによって、セルフレジ端末100に登録された商品の支払いを行う。
【0020】
図1の説明に戻り、カメラ装置200は、例えば、セルフレジ端末100の上部などに設置され、セルフレジ端末100によって会計を行う顧客を撮影する監視カメラである。カメラ装置200によって撮影された映像は、管理装置10に送信される。
【0021】
店員端末300は、コンビニエンスストアなどの店員が所持するスマートフォンやタブレットPCなどのモバイル端末であってもよいし、店舗内の所定位置に設置されるデスクトップPCやノートPCなどの情報処理装置であってもよい。店員端末300は、商品のスキャン漏れなど、顧客の不正行動が管理装置10によって検知された場合に、管理装置10からアラートを受信する。なお、店員端末300は、例えば、店舗の店員ごとに複数存在してよいが、当該アラートが通知される端末は、例えば、特定の店員が所持する端末などに限定されてもよい。
【0022】
次に、
図3を用いて、顧客自らが商品をスキャンしてセルフレジ端末100に登録し(以下、「セルフスキャン」という場合がある)、商品の購入を行う方法について流れに沿って説明する。
図3は、実施例1にかかるセルフレジによる商品購入の一例を示す図である。
【0023】
図3に示すように、まず、顧客は、購入する商品を把持して、セルフレジ端末100の設置されたレジエリアに入場する(ステップS1)。次に、顧客は、仮置台領域150によって示される仮置台に商品を置く(ステップS2)。
図3の例では、商品2点を仮置台に置いている。
【0024】
次に、顧客は、商品スキャンを行うため、仮置台に置かれた商品を把持する(ステップS3)。そして、顧客は、把持した商品の商品バーコードを、レジ前領域160によって示されるコードリーダによってスキャンし、セルフレジ端末100に購入商品の登録を行う(ステップS4)。
【0025】
次に、顧客は、商品スキャンが終わった商品を、再び、仮置台に置く(ステップS5)。そして、顧客は、購入する全ての商品に対して商品スキャンが完了するため、ステップ3および4を繰り返す。
【0026】
そして、全ての商品に対して商品スキャンと、セルフレジ端末100に登録された商品の支払いが完了すると、顧客は、購入した商品を把持し(ステップS6)、レジエリアから退場する(ステップS7)。
【0027】
以上、
図3を用いて、セルフスキャンによる商品購入について説明した。しかしながら、セルフスキャンでは、例えば、顧客が購入商品の一部のみをスキャンし、スキャンした商品のみをセルフレジ端末100で会計することで、一部の商品の支払いを免れることができてしまう。特に、商品の点数が少数の場合の不正行動は店員などによって発見し易いが、例えば、商品の点数が多数で一部の商品のスキャンを行わない場合などは店員などによる発見は困難になってくる。そのため、本実施形態にかかる管理装置10は、カメラ装置200による映像から顧客の行動を認識し、不正行動を検知する。
【0028】
[管理装置10の機能構成]
次に、本実施形態の実行主体となる管理装置10の機能構成について説明する。
図4は、実施例1にかかる管理装置10の構成例を示す図である。
図4に示すように、管理装置10は、通信部20、記憶部30、および制御部40を有する。
【0029】
通信部20は、セルフレジ端末1000やカメラ装置200など、他の装置との間の通信を制御する処理部であり、例えば、ネットワークインタフェースカードなどの通信インタフェースである。
【0030】
記憶部30は、各種データや、制御部40が実行するプログラムを記憶する機能を有し、例えば、メモリやハードディスクなどの記憶装置により実現される。記憶部30は、画像DB31、検出モデルDB32、仮置台ROIリスト33、レジ前ROIリスト34、追跡中物体リスト35、追跡休止物体リスト36などを記憶する。ここで、ROIとは、対象領域や関心領域などを意味する「Region Of Interest」の略である。
【0031】
画像DB31は、カメラ装置200によって撮像された一連のフレームである複数の撮像画像を記憶する。
【0032】
検出モデルDB32は、カメラ装置200に撮像画像から、人物や物体を検出するための機械学習モデルを記憶する。本実施形態では、店舗で販売されている商品の種類が多いことや新商品への切り替わりが早いことなどから商品の1つ1つを学習することは非現実的であると考える。そこで、本実施形態では、例えば、少ない訓練データでモノを検出可能である既存技術のHOID(Human Object Interaction Detection)を用いて人物や物体の検出が行われる。
【0033】
ここで、HOIDについて説明する。
図5は、HOIDを説明するための図である。HOIDは、人物と物体との相互作用を検出するもので、例えば、
図5に示すように、撮像画像250を入力データとして、人物が物体を手に持っているなど相互作用関係にあると判断された人物と物体とを検出する技術である。人物や物体の検出は、例えば、
図5に示すように、検出された人物や物体を囲む矩形領域であるバウンディングボックス(Bounding Box:BB)として示される。
図5の場合では、人物および物体のBBは、それぞれ、人物BB170および物体BB180である。また、HOIDでは、人物と物体との相互作用の確率値およびClass名(例えば、“持つ”)も出力される。本実施形態では、HOIDを用いて、人物が把持した物体が商品として検出される。
【0034】
図4の説明に戻り、仮置台ROIリスト33は、
図2や3を用いて説明した仮置台領域150を出入りする商品に関するデータを記憶する。
【0035】
レジ前ROIリスト34は、
図2や3を用いて説明したレジ前領域160を出入りする商品に関するデータを記憶する。
【0036】
追跡中物体リスト35は、人物が商品を把持することにより、管理装置10によって検出され、追跡が行われている商品やその位置情報に関するデータを記憶する。ここで、商品の位置情報とは、例えば、撮像画像における商品を囲む矩形領域であるバウンディングボックスの左上および右下のxおよびy座標である。
【0037】
追跡休止物体リスト36は、人物が把持していた商品を離したことにより、管理装置10によって検出され、追跡が休止された商品やその位置情報に関するデータを記憶する。
【0038】
なお、記憶部30に記憶される上記情報はあくまでも一例であり、記憶部30は、上記情報以外にも様々な情報を記憶できる。
【0039】
制御部40は、管理装置10全体を司る処理部であり、例えば、プロセッサなどである。制御部40は、取得部41、検出部42、追跡部43、計測部44、出力部45などを備える。なお、各処理部は、プロセッサが有する電子回路の一例やプロセッサが実行するプロセスの一例である。
【0040】
取得部41は、カメラ装置200によって撮像された一連のフレームである複数の撮像画像をカメラ装置200から取得する。取得された撮像画像は画像DB31に記憶される。
【0041】
検出部42は、HOIDなどの既存技術を用いて、カメラ装置200による撮像画像から相互作用関係のある人物および物体などを検出する。なお、検出された人物や物体はバウンディングボックスによって示されてよい。
【0042】
また、検出部42は、追跡休止物体リスト36に記憶された商品の位置情報によって示されるバウンディングボックスとHOID検出結果における商品のバウンディングボックスとの類似度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。また、バウンディングボックスの類似度の詳細については後述するが、例えば、両バウンディングボックスの距離であり、距離が近いほど両バウンディングボックスは類似すると判定される。そして、検出部42は、両バウンディングボックスの類似度が所定の閾値以上である場合、追跡休止物体リスト36に記憶された追跡休止中の商品を人物が再び把持したとする行動を検出する。
【0043】
また、検出部42は、追跡中物体リスト35に記憶された商品の位置情報によって示されるバウンディングボックスが、HOID検出結果における商品のバウンディングボックスと類似度が所定の閾値以上である否かを判定する。そして、検出部42は、両バウンディングボックスの類似度が所定の閾値以上である場合、追跡中物体リスト35に記憶された追跡中の商品は動いていないと判定する。
【0044】
なお、カメラ装置200によって連続して撮像された複数の撮像画像において、所定の回数以上、追跡中物体リスト35に記憶された追跡中の商品は動いていないと判定された場合、人物が把持していた当該商品を離したとする行動を検出する。
【0045】
追跡部43は、カメラ装置200による撮像画像から、HOIDを用いて、人物の物体に対する行動を追跡する。また、追跡部43は、追跡している行動に基づいて、人物が物体を把持する行動と、人物が把持した物体を離す行動とを識別する。そして、追跡部43は、人物が物体を把持する行動に対する物体の識別情報と位置情報とを追跡中物体リスト35に記憶する。また、追跡部43は、人物が把持した物体を離す行動に対する物体の識別情報と位置情報とを追跡休止物体リスト36に記憶する。さらに、追跡部43は、追跡休止物体リスト36に記憶された物体の位置情報によって示される位置で、人物が物体を把持する行動を検出した場合、追跡休止物体リスト36に記憶された物体の識別情報と前記第2の位置情報とを、追跡中物体リスト35に記憶する。
【0046】
計測部44は、追跡している物体が撮像画像における仮置台領域150から出たことを検出し、その回数をカウントする。また、計測部44は、物体が撮像画像におけるレジ前領域160に入ったことを検出し、その回数をカウントする。
【0047】
出力部45は、計測部44によってカウントされた、例えば、物体が仮置台領域150から出た回数およびレジ前領域160に入った回数を出力する。なお、出力部45による各回数の出力は、店員端末300などに対するメッセージなどによる通知などであってよい。また、店員端末300などに通知される内容は各回数そのものでなくてよい。これは、例えば、仮置台領域150から出た回数とレジ前領域160に入った回数とが一致せず、商品のスキャン漏れが発生している可能性があるなど、各回数に基づいて生成されるデータであってよい。
【0048】
このように、管理装置10は、カメラ装置200による撮像画像から、HOIDを用いて、人物の物体に対する行動を追跡するが、HOIDには次のような問題点があるため、本実施形態では、当該問題点も解決する。
【0049】
HOIDの問題点について説明する。HOIDは単一の撮像画像から物品を検出するため、連続して撮像された複数の撮像画像に渡ってある物品が所定の領域に出入りしたことなどを認識するためには物品に識別子(ID)を割り当てて追跡する必要がある。また、HOIDは人物が物体を把持すれば検出し、離せば検出しないため、人物が物体を把持すれば追跡を開始し、手を離すと追跡が終了する。そのため、人物が物体から手を離して再度把持すると新しいIDが割り当てられたり、他の物体のIDが飛び移ったりするといった問題点がある。
【0050】
そのため、HOIDを用いて商品を追跡する場合、商品を仮置台に置いて手を離して再び把持すると商品に割り当てられたIDが切り替わるため、1つの商品に対するカウントを誤って複数回行ってしまう。より具体的には、例えば、商品をレジエリアに持ち込んでレジ台の前を通過した時と、商品を仮置台から取ってスキャンする時との各々で、レジ前領域160に入った回数をカウントしてしまい、正しくは1回であるべき回数が2回になってしまう。
【0051】
図6は、HOIDによる商品追跡の問題点とその解決方法の一例を示す図である。
図6のID未管理の上ルートがHOIDによる商品追跡の問題点を示すものである。上ルートでは、物体BB181によって示される商品を人物が把持した際に“00”のIDが割り当てられるため、商品から手を離す前のIDは“00”である。そして、人物が商品から手を離すと物体BB181が検出されなくなり、再度、同一の商品が把持されると物体BB181が検出される。しかしながら、再度把持された場合には新しいIDが割り当てられるため、IDは“02”となってしまい、管理装置10は、手を離す前のID“00”の商品とは別の商品として認識してしまうことになる。
【0052】
そのため、本実施形態では、
図6の下ルートに示されるようにIDを管理し、人物が商品から手を離した場合であっても同一のIDを引き継いで、同一の商品は同一の商品として追跡できるようにする。そのため、管理装置10は、人物が商品から手を離したことにより商品の追跡が終了する際、商品をどこかに置いたのか、見失ったのかを判定する。次に、管理装置10は、商品を置いたと判定した場合、追跡終了時の状態、例えば、割り当てられたIDと、撮像画像における商品のバウンディングボックスの座標位置とを追跡休止物体リスト36に記憶する。そして、管理装置10は、追跡休止物体リスト36に記憶した座標位置と同一の位置でHOID検出結果が出た場合、HOIDによって検出された商品は、追跡休止物体リスト36に記憶したIDによって示される商品と同一であるとして、記憶していたIDを引き継いで追跡を再開する。
【0053】
なお、追跡休止物体リスト36に記憶した座標位置と同一の位置でHOID検出結果が出た場合とは、完全同一でなくてよい。例えば、当該座標位置によって示されるバウンディングボックスとHOID検出結果における商品のバウンディングボックスとの類似度が所定の閾値以上である場合も含んでよい。
【0054】
図7は、実施例1にかかるHOIDによる商品追跡方法の一例を示す図である。
図7において、HOIDによって検出された商品のバウンディングボックスは物体BB182、追跡中物体リスト35に記憶した座標位置によって示される追跡中の商品のバウンディングボックスは物体BB183として示される。
【0055】
図7の左側に示すように、例えば、物体BB182と物体BB183との中心座標の距離が物体BB183の中心座標から2バウンディングボックス内の領域である判定領域190の範囲内の距離である場合、両BBの類似度は所定の閾値以上であると判定される。この場合、管理装置10は、物体BB182によって示されるHOID検出結果の商品と、物体BB183によって示される追跡中の商品とが同一の商品であると判断し、当該商品の追跡に成功する。
【0056】
一方、
図7の右側に示すように、例えば、物体BB182と物体BB183との中心座標の距離が、判定領域190の範囲外の距離である場合、両BBの類似度は所定の閾値未満であり、両BBによって示される商品は異なる商品であると判定される。この場合は、物体BB182によって示される、HOIDによって検出された商品は、追跡中の商品とは別の商品として追跡されることになる。
【0057】
図7を用いて商品が把持され追跡を行う場合の判定方法について説明したが、次に、
図8を用いて人物が把持した商品から手を離し置いた場合の判定方法について説明する。
図8は、実施例1にかかるHOIDによる商品追跡の判定方法の一例を示す図である。
図8において、HOIDによって検出された商品のバウンディングボックスは物体BB182、追跡中物体リスト35に記憶した座標位置によって示される追跡中の商品のバウンディングボックスは物体BB183として示される。
【0058】
図8の左側に示すように、例えば、物体BB182と物体BB183との中心座標の距離が判定領域190の範囲内の距離である場合、両BBの類似度は所定の閾値以上であると判定される。この場合、物体BB182によって示されるHOID検出結果の商品は“動いていない”、すなわち、“置いた”と判定される。なお、“動いていない”と判定された場合に即座に“置いた”と判定されなくてよく、例えば、“動いていない”と判定されたことを連続するフレームでカウントし、5カウント以上に達した場合に“置いた”と判定されてよい。また、
図8における判定領域190の大きさは、
図7における判定領域190の大きさと異なってよく、例えば、0.5バウンディングボックス内の領域であってよい。そして、“動いていない”と判定された場合、物体BB183によって示される追跡中の商品の追跡が休止される。
【0059】
一方、
図8の右側に示すように、例えば、物体BB182と物体BB183との中心座標の距離が、判定領域190の範囲外の距離である場合、両BBの類似度は所定の閾値未満であると判定される。この場合、物体BB182によって示されるHOID検出結果の商品は“動いている”と判定される。なお、“動いている”と判定された場合、“動いていない”と判定された場合にカウントされるカウンタはリセットされてよい。
【0060】
このように、管理装置10は、HOIDによって検出された商品のバウンディングボックスと、追跡中物体リスト35や追跡休止物体リスト36に記憶した座標位置によって示される商品のバウンディングボックスとによって商品を追跡する。追跡中物体リスト35および追跡休止物体リスト36について説明する。
【0061】
図13は、実施例1にかかる追跡中物体リスト35に記憶されるデータの一例を示す図である。追跡中物体リスト35のデータは、例えば、HOIDによって商品が検出され、商品IDが割り当てられた際に新規作成される。
【0062】
追跡中物体リスト35は、例えば、商品IDを示す「ID」、追跡中の商品のバウンディングボックスの位置を示す「Bbox」が対応付けて記憶される。また、追跡中物体リスト35はさらに、例えば、追跡中の商品を見失った回数を示す「lost_count」、追跡中の商品が“動いていない”と判定された回数を示す「stay_count」が対応付けて記憶される。
【0063】
追跡中物体リスト35の「Bbox」は、追跡中の商品のバウンディングボックスの位置を示すため、例えば、フレームごとに検出された商品のバウンディングボックスの位置によって更新される。また、フレームごとに追跡中の商品を見失った場合、「lost_count」をカウントアップしていき、例えば、4回など所定回数を超えた場合に追跡が休止される。また、フレームごとに商品が“動いていない”と判定された場合、「stay_count」をカウントアップしていき、例えば、5回など所定回数を超えた場合に商品を“置いた”と判定される。
【0064】
図14は、実施例1にかかる追跡休止物体リスト36に記憶されるデータの一例を示す図である。追跡休止物体リスト36のデータは、例えば、商品を“置いた”と判定された際に新規作成される。
【0065】
追跡休止物体リスト36は、例えば、商品IDを示す「ID」、追跡が休止された際の商品のバウンディングボックスの位置を示す「Bbox」、追跡が再開されたか否かを示す「restart」が対応付けて記憶される。「restart」は初期値に“false”が設定され、商品の追跡が再開された場合に“true”に更新される。なお、商品の追跡が再開された後、再び、追跡が休止された場合は、「Bbox」が休止された際の商品のバウンディングボックスの位置で、「restart」は“false”に更新される。
【0066】
このように、追跡中物体リスト35および追跡休止物体リスト36は、商品の追跡状況に合わせてデータが更新される。次に、
図15および16を用いて、追跡中物体リスト35および追跡休止物体リスト36のデータ遷移について説明する。
【0067】
図15は、実施例1にかかる各追跡リストのデータ遷移(1)の一例を示す図である。
図15に示すように、まず、顧客が、購入する商品を把持して、セルフレジ端末100の設置されたレジエリアに入場すると、HOIDによって商品が検出され、追跡中物体リスト35にデータが作成され、商品の追跡が開始される(ステップS11)。
図15の例では、人物が2つの商品を把持しているため、追跡中物体リスト35には商品1および商品2の2つのデータが作成される。なお、この時点では、追跡休止物体リスト36には、商品1および商品2のデータは作成されることなく、空である。
【0068】
次に、顧客が、仮置台に各商品を置き、数フレーム後に各商品を“置いた”と判定されると、追跡中物体リスト35のデータが削除され、追跡休止物体リスト36に商品1および商品2の2つのデータが作成され、商品の追跡が休止される(ステップS12)。そして、顧客が商品1または商品2を把持しない状態ではHOIDによる検出が行われないため、追跡中物体リスト35および追跡休止物体リスト36のデータに変化はない(ステップS13)。
【0069】
次に、顧客が、商品スキャンを行うため、仮置台に置かれた商品1を把持すると、HOIDによって商品1が検出され、追跡中物体リスト35に商品1のデータが作成され、商品1の追跡が再開される(ステップS14)。そして、顧客が商品1を把持したまま、仮置台から取り出し(ステップS15)、商品スキャンを行うと(ステップS16)、継続して商品1の追跡が行われる。この間、追跡中物体リスト35の商品1のデータは、フレームごとに検出された商品1のバウンディングボックスの座標などに基づいて更新される。
【0070】
図16は、実施例1にかかる各追跡リストのデータ遷移(2)の一例を示す図である。
図15に示したように商品1の商品スキャンが行われると(ステップS16)、次に、顧客は、商品1を仮置台に戻して置く(ステップS17)。この間も、追跡中物体リスト35の商品1のデータは、フレームごとに検出された商品1のバウンディングボックスの座標などに基づいて更新される。
【0071】
次に、数フレーム後に商品1を“置いた”と判定されると、追跡中物体リスト35の商品1のデータが削除され、追跡休止物体リスト36に商品1のデータが作成され、商品1の追跡が休止される(ステップS18)。
【0072】
次に、顧客が、商品スキャンを行うため、仮置台に置かれた商品2を把持すると、HOIDによって商品2が検出され、追跡中物体リスト35に商品2のデータが作成され、商品2の追跡が再開される(ステップS19)。そして、商品1同様、顧客が商品2を把持したまま、仮置台から取り出し、商品スキャンを行なって仮置台に戻して“置いた”と判定されるまで継続して商品2の追跡が行われる(ステップS20)。商品2も“置いた”と判定されると、追跡中物体リスト35の商品2のデータが削除され、追跡休止物体リスト36に商品2のデータが作成され、商品2の追跡が休止される。
【0073】
次に、顧客が、レジエリアから退場するため、仮置台に置かれた商品1および商品2を把持すると、HOIDによって両商品が検出され、追跡中物体リスト35に両商品のデータが作成され、両商品の追跡が再開される(ステップS21)。そして、顧客が商品1および2を把持したまま、仮置台から取り出すと、継続して両商品の追跡が行われ、追跡中物体リスト35の両商品のデータは、フレームごとに検出された両商品のバウンディングボックスの座標などに基づいて更新される(ステップS22)。
【0074】
次に、商品のスキャン漏れなどを検知するために実行される、仮置台領域150から出た商品やレジ前領域160に入った商品のカウント方法について説明する。
図9は、実施例1にかかる仮置台ROIから出た商品のカウント方法の一例を示す図である。
図9において、仮置台ROI151が撮像画像251および252における仮置台領域150を示す。管理装置10は、フレームごとに検出される商品の位置関係に基づいて、仮置台ROI151から出る商品をカウントする。
【0075】
まず、撮像画像251では、人物が商品を把持したためHOIDによって商品が検出され物体BB184が示される。この時、物体BB184は仮置台ROI151の中にあるので、商品は仮置台領域150内にあると判定される。
【0076】
次に、撮像画像251の後のフレームである撮像画像252では、人物が把持した商品を移動し、物体BB184が仮置台ROI151の外にあるため、商品は仮置台領域150外にあると判定される。このように、前後のフレームで仮置台ROI151の中にあった物体BB184が外に出た場合に、管理装置10は、商品が仮置台領域150から出た回数を示すカウンタをカウントする。
【0077】
しかしながら、商品が仮置台領域150から出た回数をカウントするのは、例えば、商品がスキャンされた回数などと比較し、商品のスキャン漏れなどを検知するためである。そのため、例えば、人物がレジエリアから退場する際に仮置台領域150から商品を持ち出す回数はカウントに含めないことが望ましい。そこで、本実施形態では、商品ごとにカウント済みか否かを管理し、カウント済みである場合は重複してカウントされないように制御される。
【0078】
図11は、実施例1にかかる仮置台ROIリスト33に記憶されるデータの一例を示す図である。仮置台ROIリスト33のデータは、例えば、HOIDによって商品が検出され、商品IDが割り当てられた際に新規作成される。
【0079】
仮置台ROIリスト33は、例えば、商品IDを示す「ID」、前フレームにおける商品の仮置台ROI151に対する位置を示す「前フレーム位置」が対応付けて記憶される。また、仮置台ROIリスト33はさらに、例えば、商品が仮置台領域150から出た回数がカウント済みであるか否かを示す「カウント済み」が対応付けて記憶される。
【0080】
仮置台ROIリスト33の「前フレーム位置」には、例えば、商品が仮置台ROI151の内外のどちらにあるか判定される際のフレームの前フレームにおいて商品が仮置台ROI151の外にあった場合は“OUT”、内にあった場合は“IN”が設定される。また、仮置台ROIリスト33の「カウント済み」には、商品が仮置台領域150から出た回数がカウント済みである場合は“true”、未カウントの場合は“false”が設定される。
【0081】
HOIDによって商品が検出され商品IDが割り当てられると、例えば、仮置台ROIリスト33の「前フレーム位置」には仮置台ROI151に対する現在の商品の位置によって“OUT”または“IN”、「カウント済み」には“false”が設定される。
【0082】
そして、仮置台ROIリスト33の「カウント済み」が“false”で、「前フレーム位置」が“IN”で、仮置台ROI151に対する現フレームでの商品の位置が“OUT”の場合、商品が仮置台領域150から出た回数がカウントされる。また、この際、商品が仮置台領域150から出た回数がカウントされたので、仮置台ROIリスト33の「カウント済み」は“true”に更新される。
【0083】
次に、レジ前領域160に入った商品のカウント方法について説明する。
図10は、実施例1にかかるレジ前ROIに入った商品のカウント方法の一例を示す図である。
図10において、レジ前ROI161が撮像画像253および254におけるレジ前領域160を示す。また、セルフレジBB101は、例えば、セルフレジ端末100に人物が手を近づけるとHOIDによって検出されるセルフレジ端末100のバウンディングボックスである。セルフレジBB101の前部の所定領域内をレジ前ROI161としてもよい。管理装置10は、フレームごとに検出される商品の位置関係に基づいて、レジ前ROI161に入る商品をカウントする。
【0084】
まず、撮像画像253では、人物が把持した商品を示す物体BB184はレジ前ROI161の外にあるので、商品はレジ前領域160外にあると判定される。
【0085】
次に、撮像画像253の後のフレームである撮像画像254では、人物が把持した商品を移動し、物体BB184がレジ前ROI161の内にあるため、商品はレジ前ROI161内にあると判定される。このように、前後のフレームでレジ前ROI161の外にあった物体BB184が内に入った場合に、管理装置10は、商品がレジ前領域160に入った回数を示すカウンタをカウントする。
【0086】
しかしながら、商品がレジ前領域160に入った回数をカウントするのは、例えば、商品がスキャンされた回数などと比較し、商品のスキャン漏れなどを検知するためである。そのため、例えば、人物が商品をレジエリアに持ち込んでレジ台の前を通過した際にレジ前領域160に商品が入った回数はカウントに含めないことが望ましい。そこで、本実施形態では、商品ごとにカウント済みか否かを管理し、カウント済みである場合は重複してカウントされないように制御される。
【0087】
図12は、実施例1にかかるレジ前ROIリスト34に記憶されるデータの一例を示す図である。レジ前ROIリスト34のデータは、例えば、HOIDによって商品が検出され、商品IDが割り当てられた際に新規作成される。
【0088】
レジ前ROIリスト34は、例えば、商品IDを示す「ID」、前フレームにおける商品のレジ前ROI161に対する位置を示す「前フレーム位置」が対応付けて記憶される。また、レジ前ROIリスト34はさらに、例えば、商品がレジ前領域160に入った回数がカウント済みであるか否かを示す「カウント済み」が対応付けて記憶される。
【0089】
レジ前ROIリスト34の「前フレーム位置」には、例えば、商品がレジ前ROI161の内外のどちらにあるか判定される際のフレームの前フレームにおいて商品がレジ前ROI161の外にあった場合は“OUT”、内にあった場合は“IN”が設定される。また、レジ前ROIリスト34の「カウント済み」には、商品がレジ前領域160に入った回数がカウント済みである場合は“true”、未カウントの場合は“false”が設定される。
【0090】
HOIDによって商品が検出され商品IDが割り当てられると、例えば、レジ前ROIリスト34の「前フレーム位置」にはレジ前ROI161に対する現在の商品の位置によって“OUT”または“IN”、「カウント済み」には“false”が設定される。
【0091】
そして、レジ前ROIリスト34の「カウント済み」が“false”で、「前フレーム位置」が“OUT”で、レジ前ROI161に対する現フレームでの商品の位置が“IN”の場合、商品がレジ前領域160に入った回数がカウントされる。また、この際、商品がレジ前領域160に入った回数がカウントされたので、レジ前ROIリスト34の「カウント済み」は“true”に更新される。
【0092】
[処理の流れ]
次に、
図17および18を用いて、管理装置10によって実行される商品追跡処理の流れを説明する。
図17は、実施例1にかかる商品追跡処理(1)の流れを示すフローチャートである。
図17に示す商品追跡処理は、例えば、顧客がセルフレジ端末100の設置されたレジエリアに入場した際などに開始されてよい。
【0093】
まず、
図17に示すように、管理装置10は、追跡中物体リスト35および追跡休止物体リスト36を初期化する(ステップS101)。
【0094】
次に、管理装置10は、カメラ装置200によってセルフレジ端末100の前など所定の撮像範囲が撮像された撮像画像に対するHOIDの検出結果を取得する(ステップS102)。以降、ステップS102~S109はフレームごとに繰り返し実行される。
【0095】
次に、管理装置10は、ステップS102で取得したHOID検出結果と追跡休止物体リスト36の「Bbox」によって示されるバウンディングボックスとを照合し、商品のバウンディングボックスの類似度を判定する(ステップS103)。ステップS103で類似度が1など所定の閾値以上であり、商品を“置いた”と判定された場合、追跡休止物体リスト36の該当エントリの「restart」を“true”に設定し、HOID検出結果から当該エントリを削除する。
【0096】
次に、管理装置10は、ステップS102で取得したHOID検出結果と追跡中物体リスト35の「Bbox」によって示されるバウンディングボックスとを照合し、商品のバウンディングボックスの類似度を判定する(ステップS104)。ステップS104で類似度が2など所定の閾値以上である場合、HOIDによって検出された商品は追跡中の商品であると判定し、HOID検出結果に基づいて追跡中物体リスト35が更新される。そして、追跡中物体リスト35の更新時、類似度が3など所定の閾値以上であり、追跡中の商品が“動いていない”と判定された場合、追跡中物体リスト35の「stay_count」をカウントアップし、類似度が所定の閾値未満の場合はリセットする。ステップS105以降は、
図18を用いて説明する。
【0097】
図18は、実施例1にかかる商品追跡処理(2)の流れを示すフローチャートである。次に、管理装置10は、ステップS104で照合できなかったHOID検出結果の商品は新規検出として、当該商品にIDを割り当て、追跡中物体リスト35にデータを追加する(ステップS105)。この際、追跡中物体リスト35の「stay_count」は初期値の0が設定される。
【0098】
次に、管理装置10は、ステップS104で照合できなかった追跡中物体リスト35の商品の「lost_count」をカウントアップする(ステップS106)。そして、「lost_count」が4など所定の閾値を超え、かつ「stay_count」が5など所定の閾値以上である場合、管理装置10は、ステップS104で照合できなかった追跡中物体リスト35の商品を“置いた”と判定する。“置いた”と判定された商品は、追跡中物体リスト35から追跡休止物体リスト36に移動される。この際、追跡休止物体リスト36の「restart」は“false”が設定される。一方、「lost_count」が4など所定の閾値を超え、かつ「stay_count」が所定の閾値未満である場合、管理装置10は、ステップS104で照合できなかった追跡中物体リスト35の商品のデータを削除する。当該商品は、例えば、レジエリアから既に退場した商品である。
【0099】
次に、管理装置10は、追跡休止物体リスト36の「restart」が“true”の商品を追跡中物体リスト35に移動し、追跡を再開する(ステップS107)。この際、追跡中物体リスト35の「stay_count」は初期値の0が設定される。
【0100】
次に、管理装置10は、追跡中の商品が仮置台ROI151の中から外に出たことを認識し、商品が仮置台領域150から出た回数をカウントアップする(ステップS108)。
【0101】
次に、管理装置10は、追跡中の商品がレジ前ROI161の外から中に入りセルフレジ端末100に近づいたことを認識し、商品がスキャンされた回数、すなわち、レジ前領域160に入った回数をカウントアップする(ステップS109)。
【0102】
次に、管理装置10は、ステップS108およびS109でカウントした商品が仮置台領域150から出た回数および商品がスキャンされた回数を出力する(ステップS110)。ステップS110の実行後、
図17および18に示す商品追跡処理は終了するが、例えば、商品が仮置台領域150から出た回数と、商品がスキャンされた回数との差が所定数以上ある場合などは、商品のスキャン漏れが発生している可能性があると判定される。この場合、管理装置10は、店員端末300などにアラートを通知できる。
【0103】
[効果]
上述したように、管理装置10は、撮像画像から、ユーザの物体に対する行動を追跡し、当該行動に基づいて、ユーザが物体を把持する第1の行動と、ユーザが把持した物体を離す第2の行動とを識別し、第1の行動に対する第1の識別情報と第1の位置情報とを第1の記憶部に記憶し、第2の行動に対する第2の識別情報と第2の位置情報とを第2の記憶部に記憶し、第2の位置情報によって示される位置で、第1の行動を検出した場合、第2の識別情報と第2の位置情報とを、第1の記憶部に記憶する。
【0104】
このように、管理装置10は、商品を把持する行動と離す行動を識別して商品を離した位置と識別子を記憶し、商品を離した位置で把持行動を検出した場合に、記憶した識別子を引き継ぐことで、セルフレジを利用する顧客行動をより正確に検知できる。
【0105】
また、管理装置10は、物体が撮像画像における第1の領域から出たことを検出し、第1のカウンタをカウントし、物体が撮像画像における第2の領域に入ったことを検出し、第2のカウンタをカウントし、第1のカウンタおよび第2のカウンタを出力する。
【0106】
これにより、管理装置10は、セルフレジを利用する顧客行動をより正確に検知するための情報を提供できる。
【0107】
また、管理装置10によって実行される、行動を追跡する処理は、HOIDを用いて、ユーザの前記物体に対する行動を追跡する。
【0108】
これにより、管理装置10は、セルフレジを利用する顧客行動をより正確に検知できる。
【0109】
また、管理装置10は、HOIDの検出結果を取得し、第2の記憶部に記憶された第2の位置情報によって示される第2のバウンディングボックスが、HOIDの検出結果における物体の第3のバウンディングボックスと類似度が所定の閾値以上である場合、第2のバウンディングボックスの物体に対して第1の行動を検出する。
【0110】
これにより、管理装置10は、セルフレジを利用する顧客行動をより正確に検知できる。
【0111】
また、管理装置10は、HOIDの検出結果を取得し、第1の記憶部に記憶された第1の位置情報によって示される第1のバウンディングボックスが、HOIDの検出結果における物体の第3のバウンディングボックスと類似度が所定の閾値以上である場合、第1のバウンディングボックスの物体は動いていないと判定する。
【0112】
これにより、管理装置10は、セルフレジを利用する顧客行動をより正確に検知できる。
【0113】
また、管理装置10は、物体は動いていないと判定する処理は、連続して撮像された複数の撮像画像において、所定の回数以上、第1のバウンディングボックスの物体は動いていないと判定された場合、第1のバウンディングボックスの物体に対して第2の行動を検出する。
【0114】
これにより、管理装置10は、セルフレジを利用する顧客行動をより正確に検知できる。
【0115】
[システム]
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報は、特記する場合を除いて任意に変更されてもよい。また、実施例で説明した具体例、分布、数値などは、あくまで一例であり、任意に変更されてもよい。
【0116】
また、各装置の構成要素の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その構成要素の全部または一部は、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合されてもよい。さらに、各装置の各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0117】
[ハードウェア]
図19は、管理装置10のハードウェア構成例を説明する図である。
図19に示すように、管理装置10は、通信インタフェース10a、HDD(Hard Disk Drive)10b、メモリ10c、プロセッサ10dを有する。また、
図19に示した各部は、バスなどで相互に接続される。
【0118】
通信インタフェース10aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他の情報処理装置との通信を行う。HDD10bは、
図4に示した機能を動作させるプログラムやデータを記憶する。
【0119】
プロセッサ10dは、
図4に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD10bなどから読み出してメモリ10cに展開することで、
図4などで説明した各機能を実行するプロセスを動作させるハードウェア回路である。すなわち、このプロセスは、管理装置10が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ10dは、取得部41や検出部42などと同様の機能を有するプログラムをHDD10bなどから読み出す。そして、プロセッサ10dは、取得部41や検出部42などと同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0120】
このように、管理装置10は、
図4に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムを読み出して実行することで動作制御処理を実行する情報処理装置として動作する。また、管理装置10は、媒体読取装置によって記録媒体からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することで上述した実施例と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施例でいうプログラムは、管理装置10によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本実施形態が同様に適用されてよい。
【0121】
また、
図4に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布できる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行できる。
【0122】
図20は、セルフレジ端末100のハードウェア構成例を説明する図である。
図20に示すように、セルフレジ端末100は、通信インタフェース100a、HDD100b、メモリ100c、プロセッサ100d、入力部100e、出力部100fを有する。また、
図20に示した各部は、バスなどで相互に接続される。
【0123】
通信インタフェース100aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他の情報処理装置との通信を行う。HDD100bは、セルフレジ端末100の各機能を動作させるプログラムやデータを記憶する。
【0124】
プロセッサ100dは、セルフレジ端末100の各機能の処理を実行するプログラムをHDD100bなどから読み出してメモリ100cに展開することで、セルフレジ端末100の各機能を実行するプロセスを動作させるハードウェア回路である。すなわち、このプロセスは、セルフレジ端末100が有する各処理部と同様の機能を実行する。
【0125】
このように、セルフレジ端末100は、セルフレジ端末100の各機能の処理を実行するプログラムを読み出して実行することで動作制御処理を実行する情報処理装置として動作する。また、セルフレジ端末100は、媒体読取装置によって記録媒体からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することでセルフレジ端末100の各機能を実現することもできる。なお、この他の実施例でいうプログラムは、セルフレジ端末100によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本実施形態が同様に適用されてよい。
【0126】
また、セルフレジ端末100の各機能の処理を実行するプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布できる。また、このプログラムは、ハードディスク、FD、CD-ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行できる。
【0127】
入力部100eは、プロセッサ100dによって実行されるプログラムに対する入力操作など、ユーザによる各種入力操作を検知する。当該入力操作には、例えば、タッチ操作などが含まれる。タッチ操作の場合、セルフレジ端末100はさらに表示部を備え、入力部100eによって検知される入力操作は、当該表示部に対するタッチ操作であってよい。入力部100eは、例えば、ボタン、タッチパネル、近接センサなどであってよい。
【0128】
出力部100fは、プロセッサ100dによって実行されるプログラムから出力されるデータをセルフレジ端末100に接続された外部装置、例えば、外部ディスプレイ装置などを介して出力する。なお、セルフレジ端末100が表示部を備える場合、セルフレジ端末100は出力部100fを備えなくてもよい。
【0129】
図21は、店員端末300のハードウェア構成例を説明する図である。
図21に示すように、店員端末300は、通信インタフェース300a、HDD300b、メモリ300c、プロセッサ300d、入力部300e、表示部300fを有する。また、
図21に示した各部は、バスなどで相互に接続される。
【0130】
通信インタフェース300aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他の情報処理装置との通信を行う。HDD300bは、店員端末300の各機能を動作させるプログラムやデータを記憶する。
【0131】
プロセッサ300dは、店員端末300の各機能の処理を実行するプログラムをHDD300bなどから読み出してメモリ300cに展開することで、店員端末300の各機能を実行するプロセスを動作させるハードウェア回路である。すなわち、このプロセスは、店員端末300が有する各処理部と同様の機能を実行する。
【0132】
このように、店員端末300は店員端末300の各機能の処理を実行するプログラムを読み出して実行することで動作制御処理を実行する情報処理装置として動作する。また、店員端末300は、媒体読取装置によって記録媒体からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することで店員端末300の各機能を実現することもできる。なお、この他の実施例でいうプログラムは、店員端末300によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本実施形態が同様に適用されてよい。
【0133】
また、店員端末300の各機能の処理を実行するプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布できる。また、このプログラムは、ハードディスク、FD、CD-ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行できる。
【0134】
入力部300eは、プロセッサ300dによって実行されるプログラムに対する入力操作など、ユーザによる各種入力操作を検知する。当該入力操作には、例えば、タッチ操作や店員端末300に対するイヤホン端子の挿入などが含まれる。ここでタッチ操作とは、表示部300fに対する種々の接触動作、例えば、タップ、ダブルタップ、スワイプ、ピンチなどをいう。また、タッチ操作には、表示部300fに対し、例えば、指などの物体を近づける動作を含む。入力部300eは、例えば、ボタン、タッチパネル、近接センサなどであってよい。
【0135】
表示部300fは、プロセッサ300dによる制御に基づいて各種視覚情報を表示する。表示部300fは、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や、OLED(Organic Light Emitting Diode)、いわゆる有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどであってよい。
【0136】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0137】
(付記1)撮像画像から、ユーザの物体に対する行動を追跡し、
前記行動に基づいて、前記ユーザが前記物体を把持する第1の行動と、前記ユーザが把持した前記物体を離す第2の行動とを識別し、
前記第1の行動に対する第1の識別情報と第1の位置情報とを第1の記憶部に記憶し、
前記第2の行動に対する第2の識別情報と第2の位置情報とを第2の記憶部に記憶し、
前記第2の位置情報によって示される位置で、前記第1の行動を検出した場合、前記第2の識別情報と前記第2の位置情報とを、前記第1の記憶部に記憶する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【0138】
(付記2)前記物体が前記撮像画像における第1の領域から出たことを検出し、第1のカウンタをカウントし、
前記物体が前記撮像画像における第2の領域に入ったことを検出し、第2のカウンタをカウントし、
前記第1のカウンタおよび前記第2のカウンタを出力する
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする付記1に記載の情報処理プログラム。
【0139】
(付記3)前記行動を追跡する処理は、HOIDを用いて、前記ユーザの前記物体に対する行動を追跡する処理を含むことを特徴とする付記1または2に記載の情報処理プログラム。
【0140】
(付記4)前記HOIDの検出結果を取得し、
前記第2の記憶部に記憶された前記第2の位置情報によって示される第2のバウンディングボックスが、前記検出結果における前記物体の第3のバウンディングボックスと類似度が所定の閾値以上である場合、前記第2のバウンディングボックスの前記物体に対して前記第1の行動を検出する
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする付記3に記載の情報処理プログラム。
【0141】
(付記5)前記HOIDの検出結果を取得し、
前記第1の記憶部に記憶された前記第1の位置情報によって示される第1のバウンディングボックスが、前記検出結果における前記物体の第3のバウンディングボックスと類似度が所定の閾値以上である場合、前記第1のバウンディングボックスの前記物体は動いていないと判定する
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする付記3に記載の情報処理プログラム。
【0142】
(付記6)前記物体は動いていないと判定する処理は、
連続して撮像された複数の前記撮像画像において、所定の回数以上、前記第1のバウンディングボックスの前記物体は動いていないと判定された場合、前記第1のバウンディングボックスの前記物体に対して前記第2の行動を検出する
処理を含むことを特徴とする付記5に記載の情報処理プログラム。
【0143】
(付記7)撮像画像から、ユーザの物体に対する行動を追跡し、
前記行動に基づいて、前記ユーザが前記物体を把持する第1の行動と、前記ユーザが把持した前記物体を離す第2の行動とを識別し、
前記第1の行動に対する第1の識別情報と第1の位置情報とを第1の記憶部に記憶し、
前記第2の行動に対する第2の識別情報と第2の位置情報とを第2の記憶部に記憶し、
前記第2の位置情報によって示される位置で、前記第1の行動を検出した場合、前記第2の識別情報と前記第2の位置情報とを、前記第1の記憶部に記憶する
処理をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【0144】
(付記8)前記物体が前記撮像画像における第1の領域から出たことを検出し、第1のカウンタをカウントし、
前記物体が前記撮像画像における第2の領域に入ったことを検出し、第2のカウンタをカウントし、
前記第1のカウンタおよび前記第2のカウンタを出力する
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする付記7に記載の情報処理方法。
【0145】
(付記9)前記行動を追跡する処理は、HOIDを用いて、前記ユーザの前記物体に対する行動を追跡する処理を含むことを特徴とする付記7または8に記載の情報処理方法。
【0146】
(付記10)前記HOIDの検出結果を取得し、
前記第2の記憶部に記憶された前記第2の位置情報によって示される第2のバウンディングボックスが、前記検出結果における前記物体の第3のバウンディングボックスと類似度が所定の閾値以上である場合、前記第2のバウンディングボックスの前記物体に対して前記第1の行動を検出する
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする付記9に記載の情報処理方法。
【0147】
(付記11)前記HOIDの検出結果を取得し、
前記第1の記憶部に記憶された前記第1の位置情報によって示される第1のバウンディングボックスが、前記検出結果における前記物体の第3のバウンディングボックスと類似度が所定の閾値以上である場合、前記第1のバウンディングボックスの前記物体は動いていないと判定する
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする付記9に記載の情報処理方法。
【0148】
(付記12)前記物体は動いていないと判定する処理は、
連続して撮像された複数の前記撮像画像において、所定の回数以上、前記第1のバウンディングボックスの前記物体は動いていないと判定された場合、前記第1のバウンディングボックスの前記物体に対して前記第2の行動を検出する
処理を含むことを特徴とする付記11に記載の情報処理方法。
【0149】
(付記13)撮像画像から、ユーザの物体に対する行動を追跡し、
前記行動に基づいて、前記ユーザが前記物体を把持する第1の行動と、前記ユーザが把持した前記物体を離す第2の行動とを識別し、
前記第1の行動に対する第1の識別情報と第1の位置情報とを第1の記憶部に記憶し、
前記第2の行動に対する第2の識別情報と第2の位置情報とを第2の記憶部に記憶し、
前記第2の位置情報によって示される位置で、前記第1の行動を検出した場合、前記第2の識別情報と前記第2の位置情報とを、前記第1の記憶部に記憶する
処理を実行する制御部を有することを特徴とする情報処理装置。
【0150】
(付記14)前記物体が前記撮像画像における第1の領域から出たことを検出し、第1のカウンタをカウントし、
前記物体が前記撮像画像における第2の領域に入ったことを検出し、第2のカウンタをカウントし、
前記第1のカウンタおよび前記第2のカウンタを出力する
処理を前記制御部が実行することを特徴とする付記13に記載の情報処理装置。
【0151】
(付記15)前記行動を追跡する処理は、HOIDを用いて、前記ユーザの前記物体に対する行動を追跡する処理を含むことを特徴とする付記13または14に記載の情報処理装置。
【0152】
(付記16)前記HOIDの検出結果を取得し、
前記第2の記憶部に記憶された前記第2の位置情報によって示される第2のバウンディングボックスが、前記検出結果における前記物体の第3のバウンディングボックスと類似度が所定の閾値以上である場合、前記第2のバウンディングボックスの前記物体に対して前記第1の行動を検出する
処理を前記制御部が実行することを特徴とする付記15に記載の情報処理装置。
【0153】
(付記17)前記HOIDの検出結果を取得し、
前記第1の記憶部に記憶された前記第1の位置情報によって示される第1のバウンディングボックスが、前記検出結果における前記物体の第3のバウンディングボックスと類似度が所定の閾値以上である場合、前記第1のバウンディングボックスの前記物体は動いていないと判定する
処理を前記制御部が実行することを特徴とする付記15に記載の情報処理装置。
【0154】
(付記18)前記物体は動いていないと判定する処理は、
連続して撮像された複数の前記撮像画像において、所定の回数以上、前記第1のバウンディングボックスの前記物体は動いていないと判定された場合、前記第1のバウンディングボックスの前記物体に対して前記第2の行動を検出する
処理を含むことを特徴とする付記17に記載の情報処理装置。
【0155】
(付記19)プロセッサと、
プロセッサに動作可能に接続されたメモリと
を備えた情報処理装置であって、プロセッサは、
撮像画像から、ユーザの物体に対する行動を追跡し、
前記行動に基づいて、前記ユーザが前記物体を把持する第1の行動と、前記ユーザが把持した前記物体を離す第2の行動とを識別し、
前記第1の行動に対する第1の識別情報と第1の位置情報とを第1の記憶部に記憶し、
前記第2の行動に対する第2の識別情報と第2の位置情報とを第2の記憶部に記憶し、
前記第2の位置情報によって示される位置で、前記第1の行動を検出した場合、前記第2の識別情報と前記第2の位置情報とを、前記第1の記憶部に記憶する
処理を実行することを特徴とする情報処理装置。
【符号の説明】
【0156】
1 不正検知システム
10 管理装置
10a 通信インタフェース
10b HDD
10c メモリ
10d プロセッサ
20 通信部
30 記憶部
31 画像DB
32 検出モデルDB
33 仮置台ROIリスト
34 レジ前ROIリスト
35 追跡中物体リスト
36 追跡休止物体リスト
40 制御部
41 取得部
42 検出部
43 追跡部
44 計測部
45 出力部
50 ネットワーク
100 セルフレジ端末
100a 通信インタフェース
100b HDD
100c メモリ
100d プロセッサ
100e 入力部
100f 出力部
101 セルフレジBB
150 仮置台領域
151 仮置台ROI
160 レジ前領域
161 レジ前ROI
170 人物BB
180~184 物体BB
190 判定領域
200 カメラ装置
250~252 撮像画像
300 店員端末
300a 通信インタフェース
300b HDD
300c メモリ
300d プロセッサ
300e 入力部
300f 表示部