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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-07
(45)【発行日】2025-07-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20250708BHJP
【FI】
G01C21/34
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021185659
(22)【出願日】2021-11-15
(65)【公開番号】P2023072928
(43)【公開日】2023-05-25
【審査請求日】2024-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】都築 和寛
(72)【発明者】
【氏名】谷▲崎▼ 大介
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-29341(JP,A)
【文献】特開2019-100763(JP,A)
【文献】特開2004-245610(JP,A)
【文献】特開2010-2363(JP,A)
【文献】特開2019-78687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G08G 1/00 - 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地へ至る複数のルート候補の各々のコストに基づいて、ルート探索を行うカーナビゲーションシステムに適用される情報処理装置であって、
複数の前記ルート候補のうち、対向車とのすれ違いが困難な道路幅の第1の区間を含む第1のルート候補について、前記第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができるか否か、及び前記第1の区間の対向車の通行量に基づいて、前記コストを演算する、
制御部を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができる場合において、
前記制御部は、
前記第1の区間の対向車の通行量が少ないほど、前記第1のルート候補の前記コストを小さく演算する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができない場合において、
前記制御部は、
前記第1のルート候補に対し、前記第1の区間の対向車の通行量に基づく前記コストの演算を行わない、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができるか否か、及び前記第1の区間の対向車の通行量に加え、前記第1の区間における待避エリアの有無に基づいて、前記第1のルート候補の前記コストを演算する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1の区間に待避エリアがある場合において、
前記制御部は、
前記第1の区間の対向車の通行量が少ないほど、前記第1のルート候補の前記コストを小さく演算する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の区間に待避エリアがない場合であって、且つ前記第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができる場合において、
前記制御部は、
前記第1の区間の対向車の通行量が少ないほど、前記第1のルート候補の前記コストを小さく演算する、
請求項4又は5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1の区間に待避エリアがない場合であって、且つ前記第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができない場合において、
前記制御部は、
前記第1のルート候補に対し、前記第1の区間の対向車の通行量に基づく前記コストの演算を行わない、
請求項4から6の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができるか否か、及び前記第1の区間の対向車の通行量に加え、前記第1の区間における待避エリアの有無、及び前記第1の区間の距離長に基づいて、前記第1のルート候補の前記コストを演算する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1の区間に待避エリアがある場合において、
前記制御部は、
前記第1の区間の対向車の通行量が少ないほど、且つ前記第1の区間の距離長が短いほど、前記第1のルート候補の前記コストを小さく演算する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1の区間に待避エリアがない場合であって、且つ前記第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができる場合において、
前記制御部は、
前記第1の区間の対向車の通行量が少ないほど、且つ前記第1の区間の距離長が短いほど、前記第1のルート候補の前記コストを小さく演算する、
請求項8又は9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記第1の区間に待避エリアがない場合であって、且つ前記第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができない場合において、
前記制御部は、
前記第1のルート候補に対し、前記第1の区間の対向車の通行量及び前記第1の区間の距離長に基づく前記コストの演算を行わない、
請求項8から10の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記第1の区間の対向車の通行量が第1の閾値より多い場合、およびまたは、前記第1の区間の距離長が第2の閾値より長い場合において、
前記制御部は、
前記第1のルート候補に対し、前記第1の区間の対向車の通行量及び前記第1の区間の距離長に基づく前記コストの演算を行わない、
請求項8から11の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
出発地から目的地へ至る複数のルート候補の各々のコストに基づいて、ルート探索を行うカーナビゲーションシステムに適用される情報処理方法であって、
コンピュータが、
複数の前記ルート候補のうち、対向車とのすれ違いが困難な道路幅の第1の区間を含む第1のルート候補について、前記第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができるか否か、及び前記第1の区間の対向車の通行量に基づいて、前記コストを演算する、
情報処理方法。
【請求項14】
前記第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができる場合において、
前記コンピュータが、
前記第1の区間の対向車の通行量が少ないほど、前記第1のルート候補の前記コストを小さく演算する、
請求項13に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができない場合において、
前記コンピュータが、
前記第1のルート候補に対し、前記第1の区間の対向車の通行量に基づく前記コストの
演算を行わない、
請求項13又は14に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記コンピュータが、
前記第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができるか否か、及び前記第1の区間の対向車の通行量に加え、前記第1の区間における待避エリアの有無に基づいて、前記第1のルート候補の前記コストを演算する、
請求項13に記載の情報処理方法。
【請求項17】
前記第1の区間に待避エリアがある場合において、
前記コンピュータが、
前記第1の区間の対向車の通行量が少ないほど、前記第1のルート候補の前記コストを小さく演算する、
請求項16に記載の情報処理方法。
【請求項18】
前記第1の区間に待避エリアがない場合であって、且つ前記第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができる場合において、
前記コンピュータが、
前記第1の区間の対向車の通行量が少ないほど、前記第1のルート候補の前記コストを小さく演算する、
請求項16又は17に記載の情報処理方法。
【請求項19】
前記第1の区間に待避エリアがない場合であって、且つ前記第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができない場合において、
前記コンピュータが、
前記第1のルート候補に対し、前記第1の区間の対向車の通行量に基づく前記コストの演算を行わない、
請求項16から18の何れか1項に記載の情報処理方法。
【請求項20】
前記コンピュータが、
前記第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができるか否か、及び前記第1の区間の対向車の通行量に加え、前記第1の区間における待避エリアの有無、及び前記第1の区間の距離長に基づいて、前記第1のルート候補の前記コストを演算する、
請求項13に記載の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ルート候補のコストを演算する際に、通行量、及び規制情報等を考慮してコストを演算する技術が開示されている。
【0003】
特許文献2には、ルート候補が細街路を含む場合に、見通しの良さを考慮してコストを演算する技術が開示されている。
【0004】
特許文献3には、ルート候補の優先度を決定する際に、プローブ車両で走行安全システムの作動回数が多いルートは、優先度を小さくする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6320739号公報
【文献】特許第5705055号公報
【文献】特開2000-186941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、ユーザが車両の走行ルートを決定する際の選択肢を広げることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、出発地から目的地へ至る複数のルート候補の各々のコストに基づいて、ルート探索を行うカーナビゲーションシステムに適用される情報処理装置として捉えることもできる。その場合の情報処理装置は、例えば、
複数の前記ルート候補のうち、対向車とのすれ違いが困難な道路幅の第1の区間を含む第1のルート候補について、前記第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができるか否か、及び前記第1の区間の対向車の通行量に基づいて、前記コストを演算する、
制御部を備えるようにしてもよい。
【0008】
本開示は、出発地から目的地へ至る複数のルート候補の各々のコストに基づいて、ルート探索を行うカーナビゲーションシステムに適用される情報処理方法として捉えることもできる。その場合の情報処理方法は、例えば、
前記コンピュータが、
複数の前記ルート候補のうち、対向車とのすれ違いが困難な道路幅の第1の区間を含む第1のルート候補について、前記第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができるか否か、及び前記第1の区間の対向車の通行量に基づいて、コストを演算するようにしてもよい。
【0009】
本開示は、上記した情報処理方法をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム、又は該情報処理プログラムを非一時的に記憶したコンピュータ可読記憶媒体として捉えることもできる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ユーザが車両の走行ルートを決定する際の選択肢を広げることができる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】カーナビゲーションシステムの概要を示す図である。
図2】カーナビゲーションシステムに含まれるユーザ端末及びサーバ装置の各々のハードウェア構成を示す図である。
図3】サーバ装置の機能構成例を示すブロック図である。
図4】実施形態における道路リンクデータベースに格納されるデータの一例を示す図である。
図5】OD情報を受信した際にサーバ装置で行われる処理ルーチンを示すフローチャートである。
図6図6中のステップS105で行われるサブルーチンを示すフローチャートである。
図7】変形例1における道路リンクデータベースに格納されるデータの一例を示す図である。
図8】変形例1において第1のルート候補に選別されたルート候補の適性を判定する際にサーバ装置で行われる処理ルーチンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の情報処理装置は、車両のルート探索を行うカーナビゲーションシステムに適用される。カーナビゲーションシステムは、ユーザによる出発地と目的地との入力を受け付け、出発地から目的地に至るルートを探索する。
【0013】
ルートの探索では、情報処理装置は、例えば、出発地から目的地へ至る複数のルート候補を抽出することと、抽出された複数のルート候補の各々のコストを演算することと、演算されたコストに応じて複数のルート候補の推奨度を決定することと、推奨度が上位のルート候補をユーザに提示することと、を実行する。
【0014】
従来のカーナビゲーションシステムでは、各ルート候補のコストは、各ルート候補の距離長、所要時間、及び、通行料金等をパラメータとして演算される。例えば、距離長が短いルート候補ほど、コストが小さく演算される。また、所要時間が短いルート候補ほど、コストが小さく演算される。また、通行料金が安いルート候補ほど、コストが小さく演算される。斯様にして演算されるコストが小さいルート候補ほど、推奨度が高く設定される。
【0015】
ところで、従来のカーナビゲーションシステムでは、対向車とのすれ違いが困難な程度に狭い道路幅の区間(第1の区間)を含むルート候補(第1のルート候補)のコストが大きく演算されたり、又は、第1のルート候補がコスト演算の対象となるルート候補から除外されたりする可能性があった。これにより、第1の区間を含む第1のルート候補がユーザに提案されない可能性が高かった。
【0016】
一方、近年では、カーナビゲーション用のアプリケーション・プログラムの普及に伴い、ユーザのニーズも多様化してきている。例えば、第1の区間を含む第1のルート候補の提案を望むユーザも増えてきている。
【0017】
上記したニーズに対し、第1のルート候補については、第1の区間の見通しの良さを考慮してコストを演算する方法が考えられる。すなわち、第1の区間に進入してくる対向車の有無を事前に確認可能な程度に見通しが良ければ、第1のルート候補のコストを、従来
よりも小さく演算したり、又は、第1のルート候補をルート候補から除外しないようにしたりする方法が考えられる。斯様な方法によれば、第1の区間の見通しが良ければ、当該第1の区間を含む第1のルート候補が、ユーザに提示される可能性が高くなる。
【0018】
ここで、見通しの良い第1の区間を含む第1のルート候補に従って、ユーザが車両を走行させる場合には、ユーザは、車両を第1の区間へ進入させる前に、当該第1の区間に進入する対向車の有無を確認することができる。車両を第1の区間へ進入させる前に、第1の区間に進入する対向車が無いことをユーザが確認することができれば、ユーザは、対向車とのすれ違いを懸念することなく、第1の区間に車両を進入させることができる。
【0019】
しかしながら、第1の区間の見通しが良くても、当該第1の区間を通行する対向車の数が多ければ、車両を第1の区間に進入させることができる機会が少なくなる。これにより、第1の区間の手前で車両を待機させる時間が長くなり、ユーザがストレスを感じてしまう可能性がある。
【0020】
そこで、本開示に係る情報処理装置では、制御部が、複数のルート候補のうちの第1のルート候補について、第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができるか否か、及び第1の区間の対向車の通行量に基づいて、コストを演算する。これにより、第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができるか否か(すなわち、第1の区間の見通しが良いか否か)のみならず、第1の区間の対向車の通行量も加味して、第1のルート候補のコストを演算することができる。
【0021】
ここで、第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができる場合には、本開示に係る情報処理装置の制御部は、第1の区間の対向車の通行量が少ないほど、第1のルート候補のコストを小さく演算するようにしてもよい。これにより、第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができる場合であって、且つ、第1の区間の対向車の通行量が多い場合には、第1のルート候補のコストが大きく演算される。その結果、第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができる場合であっても、第1の区間の対向車の通行量が多ければ、第1のルート候補の推奨度を低くすることができる。一方、第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができる場合であって、且つ、第1の区間の対向車の通行量が少ない場合には、第1のルート候補のコストが小さく演算される。これにより、第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができる場合であって、且つ、第1の区間の対向車の通行量が少ない場合には、第1のルート候補の推奨度を高くすることができる。
【0022】
なお、第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができない場合(すなわち、第1の区間の見通しが良くない場合)には、本開示に係る情報処理装置の制御部は、第1のルート候補に対し、第1の区間の対向車の通行量に基づくコストの演算を行わないようにしてもよい。第1の区間の対向車の通行量が少ない場合であっても、第1の区間の見通しが良くなければ、当該第1の区間を車両で走行する際に、ユーザが、対向車とのすれ違いを懸念してストレスを感じ易い。そのため、斯様な第1のルート候補のコストを、小さく演算しなくてもよい。
【0023】
また、本開示に係る情報処理装置では、制御部は、第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができるか否か、及び第1の区間の対向車の通行量に加え、第1の区間における待避エリアの有無に基づいて、第1のルート候補のコストを演算するようにしてもよい。これにより、第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができるか否かのみならず、第1の区間の対向車の通行量、及び第1の区間における待避エリアの有無を加味して、第1のルート候補のコストを演算することができる。
【0024】
ここで、第1の区間に待避エリアがある場合には、本開示に係る情報処理装置の制御部は、第1の区間の対向車の通行量が少ないほど、第1のルート候補のコストを小さく演算するようにしてもよい。これにより、第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができない場合(第1の区間の見通しが良くない場合)であっても、第1の区間に待避エリアが存在し、且つ第1の区間の対向車の通行量が少なければ、第1のルート候補の推奨度を高くすることができる。第1の区間に待避エリアが存在する場合は、第1の区間の見通しが良くなくても、待避エリアを利用して対向車とすれ違うことができるため、第1の区間を車両で走行する際のユーザのストレスを小さく抑えることができる。さらに、第1の区間の対向車の通行量が少なければ、待避エリアを利用して対向車とすれ違う頻度も少なく済むため、第1の区間を車両で走行する際のユーザのストレスをより確実に小さく抑えることができる。
【0025】
なお、第1の区間に待避エリアがない場合であって、且つ第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができる場合においては、本開示に係る情報処理装置の制御部は、第1の区間の対向車の通行量が少ないほど、第1のルート候補のコストを小さく演算するようにしてもよい。これは、第1の区間に待避エリアがない場合であっても、第1の区間の見通しが良く、且つ第1の区間の対向車の通行量が少なければ、第1の区間を車両で走行する際のユーザのストレスを小さく抑えることができるためである。
【0026】
また、第1の区間に待避エリアがない場合であって、且つ第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができない場合には、本開示に係る情報処理装置の制御部は、第1のルート候補に対し、第1の区間の対向車の通行量に基づくコストの演算を行わないようにしてもよい。第1の区間の対向車の通行量が少ない場合であっても、第1の区間の見通しが悪く、且つ第1の区間に待避エリアがなければ、当該第1の区間を車両で走行する際に、ユーザが、対向車とのすれ違いを懸念してストレスを感じ易い。そのため、斯様な第1のルート候補のコストを小さく演算しなくてもよい。
【0027】
また、本開示に係る情報処理装置では、制御部が、第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができるか否か、及び第1の区間の対向車の通行量に加え、第1の区間における待避エリアの有無、及び第1の区間の距離長に基づいて、第1のルート候補のコストを演算するようにしてもよい。これにより、第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができるか否かのみならず、第1の区間の対向車の通行量、第1の区間における待避エリアの有無、及び第1の区間の距離長を加味して、第1のルート候補のコストを演算することができる。
【0028】
ここで、第1の区間に待避エリアがある場合において、本開示に係る情報処理装置の制御部が、第1の区間の対向車の通行量が少ないほど、且つ第1の区間の距離長が短いほど、第1のルート候補のコストを小さく演算するようにしてもよい。これにより、第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができない場合(第1の区間の見通しが良くない場合)であっても、第1の区間に待避エリアが存在し、且つ第1の区間の対向車の通行量が少なく、且つ第1の区間の距離長が短ければ、第1のルート候補の推奨度を高くすることができる。第1の区間に待避エリアが存在する場合は、前述したように、第1の区間の見通しが良くなくても、待避エリアを利用して対向車とすれ違うことができる。しかしながら、第1の区間の距離長が長い場合は、待避エリアから離れた地点でユーザの車両と対向車とが遭遇する可能性がある。斯様な場合には、ユーザが車両を待避エリアまで移動させる際の移動距離が長くなる可能性があり、ユーザがストレスを感じ易い。これに対し、本開示によれば、第1の区間に待避エリアが存在し、且つ第1の区間の対向車の通行量が少ない場合であっても、第1の区間の距離長が長ければ、第1のルート候補の推奨度を低くすることができる。
【0029】
なお、第1の区間に待避エリアがない場合であって、且つ前記第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができる場合においては、本開示に係る情報処理装置の制御部が、第1の区間の対向車の通行量が少ないほど、且つ第1の区間の距離長が短いほど、第1のルート候補のコストを小さく演算するようにしてもよい。これは、第1の区間に待避エリアがない場合であっても、第1の区間の見通しが良く、且つ第1の区間の対向車の通行量が少なく、且つ第1の区間の距離長が短ければ、第1の区間を車両で走行する際のユーザのストレスを小さく抑えることができるためである。
【0030】
ただし、第1の区間の対向車の通行量が第1の閾値より多い場合、およびまたは、第1の区間の距離長が第2の閾値より長い場合には、本開示に係る情報処理装置の制御部が、第1のルート候補に対し、第1の区間の対向車の通行量及び第1の区間の距離長に基づくコストの演算を行わないようにしてもよい。第1の区間に待避エリアがある場合であって、且つ第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができる場合であっても、第1の区間の対向車の通行量が過剰に多ければ、およびまたは、第1の区間の距離長が過剰に長ければ、第1の区間を車両で走行する際のユーザのストレスが大きくなり易い。そのため、斯様な第1のルート候補のコストを小さく演算しなくてもよい。
【0031】
また、第1の区間に待避エリアがない場合であって、且つ第1の区間に進入する前に対向車の有無を確認することができない場合には、本開示に係る情報処理装置の制御部が、第1のルート候補に対し、第1の区間の対向車の通行量及び第1の区間の距離長に基づくコストの演算を行わないようにしてもよい。第1の区間の対向車の通行量が少ない場合であって、且つ第1の区間の距離長が短い場合であっても、第1の区間の見通しが悪く、且つ第1の区間に待避エリアがなければ、当該第1の区間を車両で走行する際に、ユーザがストレスを感じ易い。そのため、斯様な第1のルート候補のコストを小さく演算しなくてもよい。
【0032】
<実施形態>
本実施形態では、車両による移動を希望するユーザ(ユーザ)が出発地と目的地とを指定した場合に、出発地から目的地へ至るルートを探索するシステム(カーナビゲーションシステム)に、本開示の情報処理装置を適用する例について述べる。
【0033】
(カーナビゲーションシステムの概要)
図1は、カーナビゲーションシステムの概要を示す図である。図1に示す例では、カーナビゲーションシステムは、車両100と、ユーザ端末200と、サーバ装置300と、を含んで構成される。図1に示す例では、車両100及びユーザ端末200が各々1つのみ図示されているが、サーバ装置300の管理下には、複数の車両100及びユーザ端末200が存在するものとする。
【0034】
ユーザ端末200とサーバ装置300とは、ネットワークN1を介して接続される。ネットワークN1は、例えば、インターネット等の世界規模の公衆通信網であるWAN(Wide Area Network)、又はその他の通信網である。なお、ユーザ端末200は、無線通信
を利用してネットワークN1に接続される。無線通信は、例えば、5G(5th-Generation)又はLTE(Long Term Evolution)等の移動体通信、DSRC(Dedicated Short Range Communications)等の狭帯域通信、又はWi-Fi(登録商標)等である。
【0035】
車両100は、ユーザが出発地から目的地までの移動に使用する車両であり、自動車又は自動二輪車等である。ユーザ端末200は、ユーザが使用する端末装置である。ユーザ端末200には、カーナビゲーションサービスを利用するためのアプリケーション・プログラムがインストールされている。ユーザは、ユーザ端末200に上記所定のアプリケーションを実行させることで、カーナビゲーションサービスの提供を受けることができる。
【0036】
カーナビゲーションサービスでは、ユーザは、該ユーザが希望する出発地及び目的地を示す情報(以下、「OD(Origin-Destination)情報」と記す場合もある。)を、ユーザ端末200を通じて、サーバ装置300へ送信する。また、ユーザは、サーバ装置300によるルート候補の検索結果を示す情報(以下、「推奨ルート情報」と記す場合もある。)をユーザ端末200で受信する。推奨ルート情報は、出発地から目的地へ至る複数のルート候補のうち、推奨度が上位の候補(以下、「推奨ルート」と記す場合もある。)に関する情報を含む。推奨ルートに関する情報は、推奨ルートを道路リンクの集合で表す情報である。
【0037】
なお、推奨ルートは、推奨度が最上位のルート候補のみでもよく、又は、推奨度が上位からN番目(Nは、自然数)までのN個のルート候補でもよい。N個の推奨ルートに関する情報が推奨ルートに含まれる場合には、N個の推奨ルートにおける推奨順位に関する情報が、推奨ルート情報に含まれるようにしてもよい。
【0038】
サーバ装置300は、ユーザ端末200から受信したOD情報に基づいて、ユーザの希望する出発地と目的地とを結ぶ複数のルート候補を抽出する。サーバ装置300は、抽出された複数のルート候補の各々のコストを演算する。本実施形態では、サーバ装置300は、各ルート候補の距離長、所要時間、通行料金、道路幅、見通しの良否、及び対向車の通行量をパラメータとして、各ルート候補のコストを演算する。その際、サーバ装置300は、各ルート候補について、道路リンク別にコストを演算し、道路リンク別のコストの総計を各ルート候補のコストとして算出してもよい。例えば、第1の道路リンクと第2の道路リンクとを含むルート候補について、サーバ装置300は、第1の道路リンクのコストと、第2の道路リンクのコストと、を各々演算する。サーバ装置300は、第1の道路リンクのコストと第2の道路リンクのコストとの総計を、当該ルート候補のコストとして算出する。道路リンク別のコストの演算方法については、後述する。
【0039】
複数のルート候補の各々のコストが演算されると、サーバ装置300は、複数のルート候補間でコストを比較することで、複数のルート候補間の推奨度(推奨順位(優先順位))を決定する。本実施形態では、サーバ装置300は、コストが小さいルート候補ほど、推奨度を高く決定する。サーバ装置300は、推奨度が最上位のルート候補を、推奨ルートとして選択する。サーバ装置300は、推奨ルートに関する情報を含む推奨ルート情報を生成し、生成された推奨ルート情報をユーザ端末200へ送信する。
【0040】
なお、本実施形態では、サーバ装置300が、本開示に係る「情報処理装置」に相当する。
【0041】
(ハードウェア構成)
図2は、カーナビゲーションシステムに含まれるユーザ端末200及びサーバ装置300の各々のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0042】
サーバ装置300は、カーナビゲーションサービスの提供者によって管理されるコンピュータである。本実施形態のサーバ装置300は、図2に示すように、プロセッサ301、主記憶部302、補助記憶部303、及び通信部304等を含んで構成される。これらのプロセッサ301、主記憶部302、補助記憶部303、及び通信部304は、互いにバスによって接続されている。コンピュータのハードウェア構成は、図2に示す例に限らず、適宜構成要素の省略、置換、追加が行われてもよい。
【0043】
サーバ装置300は、プロセッサ301が記録媒体に記憶されたプログラムを主記憶部302の作業領域にロードして実行することにより、所定の目的に合致した機能を実現す
る。なお、サーバ装置300で実行される一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。
【0044】
プロセッサ301は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)である。プロセッサ301は、サーバ装置300を制御し、様々
な情報処理の演算を行うことで、サーバ装置300を制御する。
【0045】
主記憶部302は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体である。主記憶部302は、補助記憶部303に格納されているプログラムをロードするための記録領域として用いられたり、又はプロセッサ301の演算結果等を一時的に記憶するためのバッファとして用いられたりする記憶装置である。主記憶部302は、例えば、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を含んで構成される。
【0046】
補助記憶部303は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体である。補助記憶部303は、各種のプログラム、及び各種のプログラムをプロセッサ301が実行する際に使用される各種のデータ及び各種のテーブル等を格納する。補助記憶部303は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、又はHDD(Hard Disk Drive)等を含む。補助記憶部303は、リムーバブルメディア、即ち可搬記録媒体を含むことができる。リムーバブルメディアは、例えば、CD(Compact Disc)若しくはDVD(Digital Versatile Disc)等のようなディスク記録媒体でもよく、又はUSB(Universal Serial Bus)メモリでもよい。補助記憶部303に格納されるプログラムには、OS(Operating System)に加え、カーナビゲーションサービスの提供に関わる機能を実現するためのプログラムが含まれる。なお、補助記憶部303に格納されている情報の一部又は全部は、主記憶部302に格納されてもよい。
【0047】
通信部304は、外部の装置(例えば、ユーザ端末200)とサーバ装置300との間における情報の送受信を行う。通信部304は、例えば、LAN(Local Area Network)インターフェースボード、又は無線通信のための無線通信回路である。LANインターフェースボード、又は無線通信回路は、ネットワークN1に接続される。
【0048】
次に、ユーザ端末200は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又はウェアラブルコンピュータ(スマートウォッチ等)等のように、ユーザが携帯可能な小型のコンピュータである。なお、ユーザ端末200は、車両100に搭載されるディスプレイオーディオ等のような車載端末でもよい。その場合、車載端末は、無線通信を利用してネットワークN1に接続可能に構成される。
【0049】
ユーザ端末200は、プロセッサ201、主記憶部202、補助記憶部203、表示部204、入力部205、位置取得部206、及び通信部207を備える。これらのプロセッサ201、主記憶部202、補助記憶部203、表示部204、入力部205、位置取得部206、及び通信部207は、互いにバスによって接続される。プロセッサ201、主記憶部202、及び補助記憶部203については、サーバ装置300のプロセッサ301、主記憶部302、及び補助記憶部303と同様であるため、説明は省略される。
【0050】
表示部204は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、又はEL(Electroluminescence)パネル等である。入力部205は、例えば、文字等の記号を入力可能なタッ
チパネル、音声を入力可能なマイクロフォン、又はカメラ等を含む。位置取得部206は、ユーザ端末200の現在位置を取得する機器であり、典型的にはGPS受信器等を含んで構成される。通信部207は、例えば、移動体通信サービス(携帯電話等の電話通信網、又はWiFi等の無線通信)を利用してネットワークN1にアクセスし、サーバ装置300等とデータ通信をするための通信回路である。なお、ユーザ端末200のハードウェ
ア構成は、図2に示す例に限らず、適宜構成要素の省略、置換、追加が行われてもよい。
【0051】
上記したように構成されるユーザ端末200で実行される一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。
【0052】
(サーバ装置の機能構成)
ここで、本実施形態におけるサーバ装置300の機能構成について、図3に基づいて説明する。図3は、本実施形態におけるサーバ装置300の機能構成の一例を示すブロック図である。本実施形態におけるサーバ装置300は、図3に示すように、その機能構成要素として、取得部F310、抽出部F320、演算部F330、決定部F340、地図情報データベースD310、及び道路リンクデータベースD320を有する。
【0053】
取得部F310と抽出部F320と演算部F330と決定部F340は、サーバ装置300のプロセッサ301が補助記憶部303のプログラムを主記憶部302上にロードして実行することにより実現される。なお、取得部F310と抽出部F320と演算部F330と決定部F340は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又は
FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路により実現されても
よい。
【0054】
本実施形態では、取得部F310と抽出部F320と演算部F330と決定部F340の機能構成要素を実現するプロセッサ301が、本開示に係る「制御部」に相当する。
【0055】
地図情報データベースD310と道路リンクデータベースD320は、データベース管理システム(Database Management System :DBMS)が、補助記憶部303に格納されているデータを管理することで構築される。データベース管理システムは、サーバ装置300のプロセッサ301によって実行されるプログラムである。地図情報データベースD310と道路リンクデータベースD320は、例えば、リレーショナルデータベースである。
【0056】
なお、サーバ装置300の各機能構成要素の何れか、又はその処理の一部は、ネットワークN1に接続される他のコンピュータにより実行されてもよい。また、サーバ装置300の機能構成は、図3に示す例に限定されず、適宜機能構成要素の省略、変更、又は追加が可能である。
【0057】
地図情報データベースD310には、車両100が通行可能な道路の地図データが登録される。地図データとして、周知の形態のデータを用いることができる。例えば、地図データは、緯度経度により分割された複数のエリアに対応した複数の地図メッシュを含むようにしてもよい。各地図メッシュは、自動車が通行可能な道路を示す道路リンクと、地図上の位置を特定するための情報(例えば、緯度経度、又は住所等)と、を含むようにしてもよい。各道路リンクには、個々の道路リンクを識別するためのリンクIDが付与されるようにしてもよい。
【0058】
道路リンクデータベースD320には、地図情報データベースD310に登録されている道路リンクに関する情報が格納される。図4は、道路リンクデータベースD320に格納される情報の一例を示す図である。
【0059】
本実施形態の道路リンクデータベースD320は、図4に示すように、道路リンク毎のテーブル(以下、「道路リンク情報テーブル」と記す場合もある。)を有する。各道路リンク情報テーブルは、リンクID、距離長、所要時間、通行料金、道路幅、見通し、及び通行量等のフィールドを有する。なお、道路リンク情報テーブルの構成は、図4に示す例に限定されず、適宜フィールドの追加、変更、削除が可能である。
【0060】
リンクIDフィールドには、個々の道路リンクを識別する情報(リンクID)が登録される。距離長フィールドには、各道路リンクの距離長が登録される。所要時間フィールドには、各道路リンクを車両100が所定の速度で走行するのに要する時間(所要時間)が登録される。所定の速度は、例えば、各道路リンクの法定速度である。なお、所要時間フィールドに登録される情報は、各道路リンクの渋滞及び交通規制等から推定される所要時間でもよく、又は、プローブ車両が各道路リンクを走行した際に要した時間でもよい。通行料金フィールドには、各道路リンクを自動車が走行する際に必要となる料金が登録される。道路リンクが有料道路の少なくとも一部の区間を含む場合には、当該区間を車両100で通行する際に必要になる料金を示す金額が通行料金フィールドに登録される。道路リンクが有料道路の区間を含まない場合には、無料を示す金額(例えば、“0”)が料金フィールドに登録される。道路幅フィールドには、各道路リンクの道路幅を示す数値が登録される。
【0061】
見通しフィールドには、各道路リンクの見通しの良否を示す情報が登録される。具体的には、各道路リンクの一端の位置において、各道路リンクを通行している対向車の有無、及び、各道路リンクの他端から各道路リンクへ進入しようとしている対向車の有無を視認することができるか否かを示す情報が、見通しフィールドに登録される。図4に示す例では、各道路リンクの一端の位置において、各道路リンクを通行している対向車の有無、及び、各道路リンクの他端から各道路リンクへ進入しようとしている対向車の有無を視認することができる場合には、見通しフィールドに“良”と登録される。また、各道路リンクの一端の位置において、各道路リンクを通行している対向車の有無、およびまたは、各道路リンクの他端から各道路リンクへ進入しようとしている対向車の有無を視認することができない場合には、見通しフィールドに“不良”と登録される。
【0062】
通行量フィールドには、各道路リンクの対向車の通行量を示す情報が登録される。各道路リンクの対向車の通行量は、車両100の進行方向に応じて変わるため、進行方向別の対向車の通行量が通行量フィールドに登録される。すなわち、車両100の進行方向が各道路リンクの一端から他端へ向かう方向である場合の通行量と、車両100の進行方向が各道路リンクの他端から一端へ向かう方向である場合の通行量とが通行量フィールドに登録される。
【0063】
なお、各道路リンクの所要時間と各道路リンクの対向車の通行量とは、曜日及び時間帯等に応じて変わる可能性がある。よって、所要時間フィールドと通行量フィールドとには、各曜日の時間帯別の所要時間と各曜日の時間帯別の対向車の通行量とが各々登録されるようにしてもよい。
【0064】
また、見通しフィールドと通行量フィールドとについては、道路幅が所定の幅以下である道路リンクに対応する道路リンク情報テーブルにおいてのみ、該当する情報が登録されるようにしてもよい。ここでいう「所定の幅」は、対向車とのすれ違いが困難な道路幅の上限値である。対向車とのすれ違いが困難な道路幅とは、対向車とのすれ違いが物理的に不可能な道路幅でもよいが、車両100を運転するユーザが対向車とのすれ違いができないと感じ得る道路幅でもよい。なお、見通しフィールドと通行量フィールドに登録される情報は、システムの管理者等の実地調査等によって取得されてもよい。
【0065】
ここで、図3の説明に戻り、取得部F310は、ユーザ端末200からのOD情報を取得する。具体的には、ユーザ端末200からサーバ装置300へOD情報が送信されたときに、取得部F310は、通信部304を通じて、当該OD情報を取得する。OD情報は、前述したように、ユーザが指定する出発地と目的地とに関する情報である。通信部304により取得されたOD情報は、抽出部F320へ渡される。
【0066】
抽出部F320は、取得部F310により取得されたOD情報に基づいて、ルート候補に関する情報(以下、「第1の情報」と記す場合もある。)を抽出する。ルート候補は、推奨ルートの候補となるルートであり、OD情報が示す出発地と目的地とを結ぶルートである。第1の情報は、ルート候補を構成する道路リンクの組合せを表すデータであり、出発地から目的地までの道路リンクの並び順に従って、それらの道路リンクのリンクIDを並べたデータである。
【0067】
抽出部F320は、地図情報データベースD310に登録されている地図データに基づいて、OD情報が示す出発地と目的地とを結ぶ複数のルートを、ルート候補として特定する。抽出部F320は、特定された複数のルート候補の各々を構成する道路リンクのリンクIDを、地図情報データベースD310から読み出す。抽出部F320は、地図情報データベースD310から読み出したリンクIDに基づいて、各ルート候補の第1の情報を生成する。その際、複数の道路リンクを組み合わせて構成されるルート候補については、抽出部F320は、それら複数の道路リンクに対応する複数のリンクIDを、出発地から目的地までの道路リンクの並び順に従って並べることで、第1の情報を生成する。
【0068】
複数のルート候補の第1の情報は、抽出部F320から演算部F330へ渡される。
【0069】
演算部F330は、抽出部F320により抽出された複数のルート候補の各々のコストを演算する。本実施形態では、コストの演算は、道路幅が所定の幅以下の道路リンクを含むルート候補(以下、「第1のルート候補」と記す場合もある。)と、道路幅が所定の幅以下の道路リンクを含まないルート候補(以下、「第2のルート候補」と記す場合もある。)とで異なる方法により行われる。そのため、演算部F330は、先ず、抽出部F320により抽出された複数のルート候補を、第1のルート候補と第2のルート候補とに選別する。
【0070】
第1のルート候補と第2のルート候補との選別は、道路リンクデータベースD320に格納されている情報に基づいて行われる。すなわち、演算部F330は、各ルート候補に含まれる道路リンクの道路リンク情報テーブルにアクセスして、道路幅フィールドに登録されている道路幅が所定の幅以下であるかを判定する。道路幅フィールドに登録されている道路幅が所定の幅以下であると判定された道路リンク(第1の区間)を含むルート候補は、第1のルート候補に選別される。道路幅フィールドに登録されている道路幅が所定の幅より大きいと判定された道路リンクのみを含むルート候補(第1の区間を含まないルート候補)は、第2のルート候補に選別される。
【0071】
第1のルート候補については、コストの演算が行われる前に、コスト調整の適性が判定される。ここでいう「コスト調整」とは、後述する第2のルート候補と同じ方法で演算されるコストを、第1の区間における対向車の通行量に応じて減算補正することをいう。コスト調整の適性判定は、第1の区間の見通しの良否に基づいて行われる。具体的には、演算部F330は、第1の区間に該当する道路リンクの道路リンク情報テーブルにアクセスして、見通しフィールドに“良”を示す情報が登録されているかを判定する。見通しフィールドに“不良”を示す情報が登録されている場合、当該道路リンクを含む第1のルート候補は、コスト調整の適性なしと判定される。その場合、当該第1のルート候補は、コスト調整の対象から除外され、第2のルート候補と同じ方法でコストの演算が行われる。すなわち、コスト調整の適性なしと判定されたルート候補は、第2のルート候補に再選別される。見通しフィールドに“良”を示す情報が登録されている場合、当該道路リンクを含む第1のルート候補は、コスト調整の適性ありと判定される。その場合、当該第1のルート候補は、コスト調整の対象となる。
【0072】
コスト調整の適性ありと判定された第1のルート候補については、演算部F330は、当該第1のルート候補の総距離長、総所要時間、総通行料金、最小道路幅、及び第1の区間における対向車の通行量に基づいて、コストを演算する。総距離長は、当該第1のルート候補に含まれる道路リンクの距離長を合計した距離長である。総所要時間は、当該第1のルート候補に含まれる所要時間を合計した時間である。総通行料金は、当該第1のルート候補に含まれる道路リンクの通行料金を合計した料金である。最小道路幅は、第1のルート候補に含まれる道路リンクのうち、最も道路幅が狭いリンクの道路幅である。
【0073】
総距離長に基づくコスト(以下、「第1のコスト」と記す場合もある。)と、総所要時間に基づくコスト(以下、「第2のコスト」と記す場合もある。)と、総通行料金に基づくコスト(以下、「第3のコスト」と記す場合もある。)と、最小道路幅に基づくコスト(以下、「第4のコスト」と記す場合もある。)と、第1の区間に相当する道路リンクにおける対向車の通行量に基づくコスト(以下、「第5のコスト」と記す場合もある。)とは、演算部F330によって演算される。本実施形態では、演算部F330は、総距離長が短いほど、第1のコストを小さく演算する。また、演算部F330は、総所要時間が短いほど、第2のコストを小さく演算する。また、演算部F330は、総通行料金が安いほど、第3のコストを小さく演算する。また、演算部F330は、最小道路幅が広いほど、第4のコストを小さく演算する。また、演算部F330は、第1の区間における対向車の通行量が少ないほど、第5のコストを大きく演算する。
【0074】
第1のコストは、総距離長を引数として第1のコストを導出するマップ若しくは演算モデルを用いて演算されるようにしてもよい。その場合のマップ若しくは演算モデルは、総距離長が短いほど、導出される第1のコストが小さくなるように設計される。このようなマップ若しくは演算モデルは、予め補助記憶部303に格納されるようにしてもよい。
【0075】
第2のコストは、総所要時間を引数として第2のコストを導出するマップ若しくは演算モデルを用いて演算されるようにしてもよい。その場合のマップ若しくは演算モデルは、総所要時間が短いほど、導出される第2のコストが小さくなるように設計される。このようなマップ若しくは演算モデルは、予め補助記憶部303に格納されるようにしてもよい。
【0076】
第3のコストは、総通行料金を引数として第3のコストを導出するマップ若しくは演算モデルを用いて演算されるようにしてもよい。その場合のマップ若しくは演算モデルは、総通行料金が安いほど、導出される第3のコストが小さくなるように設計される。このようなマップ若しくは演算モデルは、予め補助記憶部303に格納されるようにしてもよい。
【0077】
第4のコストは、最小道路幅を引数として第4のコストを導出するマップ又は演算モデルを用いて演算されるようにしてもよい。その場合のマップ若しくは演算モデルは、最小道路幅が広いほど、導出される第4のコストが小さくなるように設計される。このようなマップ若しくは演算モデルは、予め補助記憶部303に格納されるようにしてもよい。
【0078】
第5のコストは、対向車の通行量を引数として第5のコストを導出するマップ若しくは演算モデルを用いて演算されるようにしてもよい。その場合のマップ若しくは演算モデルは、対向車の通行量が少ないほど、導出される第5のコストが大きくなるように設計される。このようなマップ若しくは演算モデルは、予め補助記憶部303に格納されるようにしてもよい。
【0079】
演算部F330は、下記の式(1)に従って、第1のルート候補のコストを演算する。
(第1のルート候補のコスト)=(第1のコスト)+(第2のコスト)+(第3のコス
ト)+(第4のコスト)-(第5のコスト)・・・(1)
すなわち、演算部F330は、第1から第4のコストの総和を求め、当該総和を第5のコストにより減算補正することで、第1のルート候補のコストを演算する。
【0080】
次に、第2のルート候補については、演算部F330は、コスト調整の適性を判定せずに、コストを演算する。すなわち、演算部F330は、第2のルート候補に選別された全てのルート候補について、各々のコストを演算する。第2のルート候補のコストは、第1のコストと第2のコストと第3のコストと第4のコストとを合計することで、演算される。この場合の第1のコストは、第2のルート候補の総距離長に基づくコストである。また、第2のコストは、第2のルート候補の総所要時間に基づくコストである。また、第3のコストは、第2のルート候補の総通行料金に基づくコストである。第4のコストは、第2のルート候補の最小道路幅である。これら第1のコスト、第2のコスト、第3のコスト、及び第4のコストは、第1のルート候補と同じマップ又は演算モデルを利用して演算される。
【0081】
抽出部F320により抽出された複数のルート候補の全てについて、コストの演算が完了すると、それら複数のルート候補の第1の情報及びコストが、演算部F330から決定部F340へ渡される。
【0082】
決定部F340は、複数のルート候補の中から、推奨ルートを決定する。具体的には、決定部F340は、先ず、複数のルート候補の推奨度を決定する。本実施形態では、決定部F340は、コストが小さいルート候補ほど、推奨度を高く決定する。決定部F340は、複数のルート候補のうち、推奨度が最上位のルート候補を、推奨ルートに決定する。決定部F340は、複数のルート候補のうち、推奨度が上位からN番目までのN個のルート候補を、推奨ルートに決定してもよい。
【0083】
なお、演算部F330により演算されたコストが同じになるルート候補が複数ある場合には、決定部F340は、総距離長、総所要時間、又は総通行料金の何れかに基づいて、それら複数のルート候補の推奨度を決定してもよい。例えば、決定部F340は、総距離長が短いルート候補ほど、推奨度を高く決定してもよい。また、決定部F340は、総所要時間が短いルート候補ほど、推奨度を高く決定してもよい。また、決定部F340は、総通行料金が安いルート候補ほど、推奨度を高く決定してもよい。コストが同じルート候補が複数ある場合に、総距離長と総所要時間と総通行料金との何れを利用して推奨度を決定するかについては、車両100のユーザが指定することができるようにしてもよい。その場合、総距離長と総所要時間と総通行料金とのうちの何れをユーザが重視しているかを示す情報が、OD情報に含められるようにしてもよい。
【0084】
決定部F340は、推奨ルートに決定されたルート候補の第1の情報に基づいて、推奨ルート情報を生成する。推奨ルート情報は、例えば、推奨ルートを道路リンクの集合で表す情報、推奨ルートの総距離長、推奨ルートの総所要時間、及び、推奨ルートの総通行料金等を含む。推奨度が上位からN番目までのN個のルート候補が推奨ルートに決定される場合は、上記した情報に加え、N個の推奨ルートの推奨順位を示す情報が、推奨ルート情報に含まれるようにしてもよい。
【0085】
決定部F340により生成された推奨ルート情報は、サーバ装置300の通信部304を通じて、ユーザ端末200へ送信される。
【0086】
(処理の流れ)
ここで、サーバ装置300により実行される処理の流れについて、図5及び図6に基づいて説明する。図5は、ユーザ端末200から送信されるOD情報を受信したことをトリ
ガにして、サーバ装置300で行われる処理ルーチンを示すフローチャートである。図6は、図5中のステップS105の処理において実行されるサブルーチンを示すフローチャートである。なお、図5及び図6に示す処理ルーチンの実行主体は、サーバ装置300のプロセッサ301であるが、ここではサーバ装置300の機能構成要素を主体として説明する。
【0087】
図5において、ユーザ端末200から送信されたOD情報がサーバ装置300の通信部304によって受信されると、サーバ装置300の取得部F310が、通信部304からOD情報を取得する(ステップS101)。取得部F310は、通信部304を通じて取得したOD情報を、抽出部F320へ渡す。抽出部F320は、OD情報の受取をトリガにして、ステップS102の処理を実行する。
【0088】
ステップS102では、抽出部F320は、上記OD情報に基づいて、ルート候補を特定する。すなわち、抽出部F320は、地図情報データベースD310にアクセスして、OD情報が示す出発地と目的地とを結ぶ複数のルートを、ルート候補として特定する。抽出部F320は、ステップS102の処理を実行し終えると、ステップS103の処理を実行する。
【0089】
ステップS103では、抽出部F320は、ステップS102で特定された複数のルート候補の各々の第1の情報を生成する。第1の情報は、前述したように、各ルート候補を構成する道路リンクのリンクIDを、出発地から目的地までの道路リンクの並び順に従って並べた情報である。各ルート候補を構成する道路リンクのリンクIDは、地図情報データベースD310に格納されている地図情報データから抽出される。抽出部F320は、複数のルート候補の第1の情報を、演算部F330へ渡す。演算部F330は、第1の情報の受取をトリガにして、ステップS104の処理を実行する。
【0090】
ステップS104では、演算部F330は、上記第1の情報と道路リンクデータベースD320に格納されている情報とに基づいて、ルート候補の選別を行う。すなわち、演算部F330は、各ルート候補に含まれる道路リンクの道路リンク情報テーブルにアクセスして、道路幅フィールドに登録されている道路幅が所定の幅以下であるかを判定する。道路幅フィールドに登録されている道路幅が所定の幅以下であると判定された道路リンク(第1の区間)を含むルート候補については、演算部F330は、第1のルート候補として選別する。道路幅フィールドに登録されている道路幅が所定の幅より大きいと判定された道路リンクのみを含むルート候補(第1の区間を含まないルート候補)については、演算部F330は、第2のルート候補として選別する。演算部F330は、ステップS104の処理を実行し終えると、ステップS105の処理を実行する。
【0091】
ステップS105では、演算部F330は、ステップS104における選別結果に応じて、複数のルート候補のコストを演算する。具体的には、演算部F330は、図6のサブルーチンに基づいて、ルート候補のコストを演算する。図6のサブルーチンは、抽出部F320により抽出された複数のルート候補の各々を対象にして実行される。
【0092】
図6において、演算部F330は、対象となるルート候補が第1のルート候補として選別されたかを判定する(ステップS1051)。対象となるルート候補が第1のルート候補として選別されている場合(ステップS1051で肯定判定)、演算部F330は、ステップS1052の処理を実行する。
【0093】
ステップS1052では、演算部F330は、対象となるルート候補がコスト調整の適性を有するかをを判定する。本実施形態では、対象となるルート候補を構成する道路リンクのうち、第1の区間に該当する道路リンクの見通しの良否に基づいて、当該ルート候補
の適性が判定される。すなわち、演算部F330は、道路リンクデータベースD320に格納されている道路リンク情報テーブルのうち、当該道路リンクに対応する道路リンク情報テーブルにアクセスして、見通しフィールドに“良”を示す情報が登録されているかを判定する。
【0094】
見通しフィールドに“不良”を示す情報が登録されている場合、対象となるルート候補がコスト調整の適性なしと判定される(ステップS1052で否定判定)。この場合、対象となるルート候補が第2のルート候補に再選別され、後述するステップ1055及びステップS1056においてコストの演算が行われる。一方、見通しフィールドに“良”を示す情報が登録されている場合、対象となるルート候補がコスト調整の適性ありと判定される(ステップS1052で肯定判定)。この場合、演算部F330は、ステップS1053の処理を実行する。
【0095】
ステップS1053では、演算部F330は、対象となる第1のルート候補の第1から第5のコストを演算する。具体的には、演算部F330は、先ず、道路リンクデータベースD320に登録されている情報に基づいて、対象となる第1のルート候補の総距離長、総所要時間、及び、総通行料金を演算する。また、演算部F330は、道路リンクデータベースD320に登録されている情報に基づいて、対象となる第1のルート候補の最小道路幅を抽出する。次に、演算部F330は、総距離長と総所要時間と総通行料金と最小道路幅とを引数として、第1のコストと第2のコストと第3のコストと第4のコストとを各々演算する。その際、前述したように、第1のコストは、総距離長が短いほど小さく演算される。第2のコストは、総所要時間が短いほど小さく演算される。第3のコストは、総通行料金が安いほど小さく演算される。第4のコストは、最小道路幅が広いほど小さく演算される。また、演算部F330は、第1の区間に該当する道路リンクにおける対向車の通行量に基づいて、第5のコストを演算する。その際、第5のコストは、当該道路リンクにおける対向車の通行量が少ないほど、大きく演算される。演算部F330は、ステップS1053の処理を実行し終えると、ステップS1054の処理を実行する。
【0096】
ステップS1054では、演算部F330は、ステップS1053で演算された第1から第5のコストに基づいて、対象となる第1のルート候補のコストを演算する。具体的には、演算部F330は、ステップS1053で演算された第1から第5のコストを、前述した式(1)に代入することで、対象となる第1のルート候補のコストを演算する。ステップS1054の処理が実行された後は、本サブルーチンの実行が終了される。その場合、図5中のステップS106の処理が実行される。
【0097】
なお、図6中のステップS1051において、対象となるルート候補が第2のルート候補として選別されている場合(ステップS1051で否定判定)、及び、対象となるルート候補が第1のルート候補から第2のルート候補へ再選別された場合(ステップS1052で否定判定)には、演算部F330は、ステップS1055の処理を実行する。
【0098】
ステップS1055では、演算部F330は、対象となる第2のルート候補の第1から第4のコストを演算する。演算部F330は、ステップS1055の処理を実行し終えると、ステップS1056の処理を実行する。
【0099】
ステップS1056では、演算部F330は、ステップS1055で演算された第1から第4のコストを合計することで、対象となる第2のルート候補のコストを演算する。ステップS1056の処理が実行された後は、本サブルーチンの実行が終了される。その場合、図5中のステップS106の処理が実行される。
【0100】
ここで図5の処理ルーチンに戻り、ステップS105の処理が実行された後は、コスト
演算の対象となったルート候補の第1の情報及びコストが、演算部F330から決定部F340へ渡される。決定部F340は、第1の情報及びコストの受取をトリガにして、ステップS106の処理を実行する。
【0101】
ステップS106では、決定部F340は、ステップS105においてコスト演算の対象となったルート候補の各々の推奨度を決定する。すなわち、決定部F340は、ステップS105で演算されたコストが小さいルート候補ほど、推奨度を高く決定する。決定部F340は、ステップS106の処理を実行し終えると、ステップS107の処理を実行する。なお、ステップS105で演算されたコストが同じルート候補が複数ある場合は、総距離長が短いルート候補ほど、推奨度が高く決定されてもよい。また、総所要時間が短いルート候補ほど、推奨度が高く決定されてもよい。また、総通行料金が安いルート候補ほど、推奨度が高く決定されてもよい。
【0102】
ステップS107では、決定部F340は、ステップS106で決定された推奨度に基づいて、推奨ルートを決定する。例えば、決定部F340は、コスト演算の対象となったルート候補のうち、推奨度が最上位のルート候補を、推奨ルートに決定する。なお、決定部F340は、コスト演算の対象となったルート候補のうち、推奨度が上位からN番目までのN個のルート候補を、推奨ルートに決定してもよい。決定部F340は、ステップS107の処理を実行し終えると、ステップS108の処理を実行する。
【0103】
ステップS108では、決定部F340は、推奨ルートに決定されたルート候補の第1の情報に基づいて、推奨ルート情報を生成する。推奨ルート情報は、推奨ルートを道路リンクの集合で表す情報、推奨ルートの総距離長、推奨ルートの総所要時間、及び、推奨ルートの総通行料金等を含む。推奨度が上位からN番目までのN個のルート候補が推奨ルートに決定される場合は、上記した情報に加え、N個の推奨ルートの推奨順位を示す情報が、推奨ルート情報に含められる。決定部F340は、ステップS108の処理を実行し終えると、ステップS109の処理を実行する。
【0104】
ステップS109では、決定部F340は、ステップS108で生成された推奨ルート情報を、サーバ装置300の通信部304を通じて、ユーザ端末200へ送信する。ステップS109の処理が実行された後は、本処理ルーチンの処理が終了される。
【0105】
サーバ装置300から送信された推奨ルート情報がユーザ端末200で受信されると、ユーザ端末200の表示部204が、推奨ルート情報を出力する。これにより、ユーザは、表示部204に出力された推奨ルート情報に基づいて、車両100の走行ルートを決定することができる。ユーザ端末200は、カーナビゲーション用のアプリケーション・プログラムを通じて、決定された走行ルートに従ったルート案内を行うことができる。
【0106】
(実施形態の作用効果)
本実施形態によれば、対向車とのすれ違いが困難な道路幅の道路リンク(第1の区間)を含むルート候補であっても、第1の区間の見通しが良ければ、コスト調整の対象となる。見通しの良い第1の区間を含むルート候補(コスト調整の対象となったルート候補)については、第1の区間における対向車の通行量が少ないほど、コストが小さく演算される。逆に、見通しの良い第1の区間を含むルート候補であっても、第1の区間における対向車の通行量が多ければ、コストが大きく演算される。よって、見通しの良い第1の区間を含むルート候補であって、且つ第1の区間における対向車の通行量が多いルート候補が、推奨ルートとしてユーザに提案されることを、抑制することができる。すなわち、対向車とすれ違いにユーザがストレスを感じ易いルート候補が、推奨ルートとして提案されることを抑制することができる。一方、見通しの良い第1の区間を含むルート候補であって、且つ第1の区間における対向車の通行量が少ないルート候補については、コストが小さく
演算される。よって、見通しの良い第1の区間を含むルート候補であって、且つ第1の区間における対向車の通行量が少ないルート候補が、推奨ルートとしてユーザに提案され得るようになる。これにより、ユーザが車両100の走行ルートを決定する際の選択肢を広げることができる。
【0107】
<変形例1>
前述した実施形態では、第1のルート候補に選別されたルート候補の適性を、第1の区間に該当する道路リンクの見通しの良否に基づいて判定する例について述べた。これに対し、本変形例では、第1の区間に該当する道路リンクの見通しの良否に加え、当該道路リンクにおける待避エリアの有無に基づいて、第1のルート候補に選別されたルート候補の適性を判定する例について述べる。
【0108】
ここで、第1の区間に該当する道路リンクの見通しが不良であっても、当該道路リンクの途中に待避エリアがあれば、待避エリアを利用して対向車とすれ違うことができる。さらに、当該道路リンクにおける対向車の通行量が少なければ、待避エリアを利用して対向車とすれ違う頻度が少なくなる。よって、当該道路リンクを車両100で走行する際のユーザのストレスを小さく抑えることができる。
【0109】
また、第1の区間に該当する道路リンクに待避エリアがない場合であっても、当該道路リンクの見通しが良ければ、ユーザの車両100を当該道路リンクに進入させる前に、当該道路リンクを通行している対向車の有無、及び、当該道路リンクに進入しようとしている対向車の視認することができる。さらに、当該道路リンクにおける対向車の通行量が少なければ、ユーザの車両100を当該道路リンクに進入させることができる機会が多くなる。よって、当該道路リンクを車両100で走行する際のユーザのストレスを小さく抑えることができる。
【0110】
そこで、本変形例では、第1の区間に該当する道路リンクに待避エリアがある場合、およびまたは、当該道路リンクの見通しが良い場合は、当該道路リンクを含むルート候補がコスト調整の適性を有する、と判定されるようにした。これにより、第1の区間に該当する道路リンクの見通しが不良であっても、当該道路リンクに待避エリアがある場合には、当該道路リンクを含むルート候補がコスト調整の対象となる。また、第1エリアに該当する道路リンクに待避エリアがなくても、当該道路リンクの見通しが良い場合には、当該道路リンクを含むルート候補がコスト調整の対象となる。
【0111】
図7は、本変形例における道路リンクデータベースD320に格納される情報の一例を示す図である。本変形例における道路リンクデータベースD320は、前述した実施形態と同様に、道路リンク毎の道路リンク情報テーブルを有する。ただし、本変形例における道路リンク情報テーブルは、図7に示すように、リンクID、距離長、所要時間、通行料金、道路幅、見通し、及び通行量の各フィールドに加え、待避エリアフィールドを有する。リンクID、距離長、所要時間、通行量、道路幅、見通し、及び通行量の各フィールドに登録される情報は、前述した実施形態の道路リンク情報テーブル(図4を参照。)と同じである。待避エリアフィールドには、各道路リンクの途中に待避エリアがあるか否かを示す情報が登録される。例えば、待避エリアがある道路リンクの道路リンク情報テーブルにおいては、待避エリアフィールドに“有”を示す情報が登録される。また、待避エリアがない道路リンクの道路リンク情報テーブルにおいては、待避エリアフィールドに“無”を示す情報が登録される。
【0112】
図8は、第1のルート候補に選別されたルート候補の適性を判定する際に、サーバ装置300で実行される処理を示すフローチャートである。すなわち、図8は、前述した図6のサブルーチンにおけるステップS1052の代わりに実行される処理の流れを示すフロ
ーチャートである。
【0113】
図8では、サーバ装置300の演算部F330が、対象となるルート候補(第1のルート候補に選別されたルート候補)を構成する道路リンクのうち、第1の区間に該当する道路リンクにおける待避エリアの有無を判定する(ステップS1052A)。具体的には、演算部F330は、道路リンクデータベースD320に格納されている道路リンク情報テーブルのうち、当該道路リンクに対応する道路リンク情報テーブルにアクセスして、待避エリアフィールドに“無”を示す情報が登録されているかを判定する。待避エリアフィールドに“無”を示す情報が登録されている場合(ステップS1052Aで肯定判定)、演算部F330は、ステップS1052Bの処理を実行する。
【0114】
ステップS1052Bでは、演算部F330は、第1の区間に該当する道路リンクの見通しの良否を判定する。具体的には、演算部F330は、当該道路リンクに対応する道路リンク情報テーブルの見通しフィールドに“不良”を示す情報が登録されているかを判定する。見通しフィールドに“不良”を示す情報が登録されている場合(S1052Bで肯定判定)、演算部F330は、ステップS1052Cの処理を実行する。
【0115】
ステップS1052Cでは、演算部F330は、対象となるルート候補がコスト調整の適性を有さない、と判定する。ステップS1052Cの処理が実行された後は、図8の処理ルーチンが終了される。その場合、対象となるルート候補は、第2のルート候補に再選別される。その結果、演算部F330は、前述した図6の処理ルーチンにおけるステップS1055及びステップS1056と同様の処理を実行することで、対象となるルート候補のコストを演算することになる。
【0116】
また、上記したステップS1052Aにおいて、待避エリアフィールドに“有”を示す情報が登録されていると判定された場合(ステップS1052Aで肯定判定)、及び、上記したステップS1052Bにおいて、見通しフィールドに“良”を示す情報が登録されていると判定された場合(ステップS1052Bで否定判定)は、演算部F330は、ステップS1052Dの処理を実行する。
【0117】
ステップS1052Dでは、演算部F330は、対象となるルート候補がコスト調整の適性を有する、と判定する。ステップS1052Dの処理が実行された後は、図8の処理ルーチンが終了される。その場合、演算部F330は、前述した図6の処理ルーチンにおけるステップS1053及びステップS1054と同様の処理を実行することで、対象となるルート候補のコストを演算する。
【0118】
本変形例によれば、対向車とのすれ違いが困難な道路幅の道路リンク(第1の区間)を含むルート候補であって、且つ第1の区間の見通しが不良のルート候補であっても、第1の区間に待避エリアがあれば、コスト調整の対象となる。また、第1の区間を含むルート候補であって、且つ第1の区間に待避エリアがないルート候補であっても、第1の区間の見通しが良ければ、コスト調整の対象となる。これにより、ユーザが車両100の走行ルートを決定する際の選択肢を、より一層広げることができる。
【0119】
さらに、本変形例によれば、待避エリアがある第1の区間を含むルート候補、およびまたは、見通しの良い第1の区間を含むルート候補については、第1の区間における対向車の通行量が少ないほど、コストが小さく演算される。逆に、待避エリアがある第1の区間を含むルート候補、およびまたは、見通しの良い第1の区間を含むルート候補であっても、第1の区間における対向車の通行量が多ければ、コストが大きく演算される。よって、見通しの良い第1の区間を含むルート候補であって且つ第1の区間における対向車の通行量が多いルート候補、及び、待避エリアがある第1の区間を含むルート候補であって且つ
第1の区間における対向車の通行量が多いルート候補が、推奨ルートとしてユーザに提案されることを、抑制することができる。その結果、対向車とすれ違う際にユーザがストレスを感じ易いルート候補が、推奨ルートとして提案されることを抑制することができる。
【0120】
<変形例2>
前述した実施形態及び変形例1では、第1の区間を含むルート候補であって、且つコスト調整の対象となるルート候補(第1のルート候補)のコストを演算する際のパラメータとして、総距離長、総所要時間、総通行料金、最小道路幅、及び第1の区間における対向車の通行量を用いる例について述べた。これに対し、本変形例では、総距離長、総所要時間、総通行料金、最小道路幅、及び第1の区間における対向車の通行量に加え、第1の区間の距離長を用いる例について述べる。
【0121】
第1の区間の見通しが良い場合、およびまたは、第1の区間に待避エリアがある場合であっても、第1の区間の距離長が長くなると、たとえ第1の区間における対向車の通行量が少なくても、当該第1の区間を車両100で走行する際のユーザのストレスが大きくなる可能性がある。例えば、第1の区間の見通しが良い場合、第1の区間を走行途中の車両100のユーザは、第1の区間への進入に待機している対向車を視認することができる。第1の区間への進入に待機している対向車を車両100のユーザが視認した場合において、第1の区間の距離が長いと、車両100のユーザは、対向車を待機させていることにストレスを感じる可能性がある。また、第1の区間に待避エリアがある場合であっても、第1の区間の距離長が長くなると、待避エリアから離れた地点でユーザの車両100が対向車とが遭遇する可能性がある。斯様な場合には、ユーザが車両を待避エリアまで移動させる際の移動距離が長くなるため、ユーザがストレスを感じ易い。
【0122】
そこで、本変形例では、演算部F330が、先ず、総距離長に基づく第1のコストと、総所要時間に基づく第2のコストと、総通行料金に基づく第3のコストと、第1の区間の最小道路幅に基づく第4のコストと、第1の区間における対向車の通行量に基づく第5のコストと、第1の区間の距離長に基づくコスト(以下、「第6のコスト」と記す場合もある。)と、を演算する。第1から第5のコストは、前述した実施形態と同様に演算される。第6のコストは、第1の区間の距離長が短いほど、大きく演算される。
【0123】
次に、演算部F330は、以下の式(2)に従って、第1のルート候補のコストを演算する。
(第1のルート候補のコスト)=(第1のコスト)+(第2のコスト)+(第3のコスト)+(第4のコスト)-(第5のコスト)-(第6のコスト)・・・(2)
すなわち、演算部F330は、第1から第4のコストの総和を求め、当該総和を第5のコストと第6のコストとにより減算補正することで、第1のルート候補のコストを演算する。
【0124】
本変形例によれば、第1の区間の見通しが良く、且つ第1の区間における対向車の通行量が少ない場合、およびまたは、第1の区間に待避エリアがあり、且つ第1の区間における対向車の通行量が少ない場合であっても、第1の区間の距離長が長ければ、当該第1の区間を含む候補の推奨度を低くすることができる。これにより、ユーザがストレスを感じ易い第1の区間を含むルート候補の推奨度を、より確実に低くすることができる。その結果、ユーザがストレスを感じ易い第1の区間を含むルート候補が、推奨ルートとしてユーザに提案されることをより確実に抑制することができる。
【0125】
なお、第1の区間における対向車の通行量が過剰に多い場合、およびまたは、第1の区間の距離長が過剰に長い場合は、当該第1の区間を含むルート候補を、コスト調整の対象から除外するようにしてもよい。すなわち、第1の区間における対向車の通行量が過剰に
多い場合、およびまたは、第1の区間の距離長が過剰に長い場合は、当該第1の区間を含むルート候補に対し、コスト調整の適性なしと判定されるようにしてもよい。その場合、サーバ装置300の演算部F330は、第1のルート候補に選別されたルート候補の適性を判定する際に、第1の区間の見通しが良いか(及び、第1の区間に待避エリアがあるか)の判定に加え、第1の区間における対向車の通行量が第1の閾値より多いか、及び第1の区間の距離長が第2の閾値より長いかの判定を行うようにしてもよい。これにより、対向車の通行量が過剰に多い第1の区間を含むルート候補、およびまたは、距離長が過剰に長い第1の区間を含むルート候補が、推奨ルートとしてユーザに提案されることを抑制することができる。一方、対向車の通行量が少ない第1の区間を含むルート候補、およびまたは、距離長が短い第1の区間を含むルート候補については、推奨ルートとしてユーザに提案され得るようになる。
【0126】
<その他>
上記した実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【0127】
また、本開示において説明した処理及び構成は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。例えば、上記実施形態では、本開示における「情報処理装置」をサーバ装置に適用する例について述べたが、ユーザ端末に適用されてもよい。つまり、サーバ装置が行うものとして説明した処理が、ユーザ端末で行われてもよい。また、サーバ装置が行うものとして説明した処理が、サーバ装置とユーザ端末との分担によって行われてもよい。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成で実現するかは柔軟に変更可能である。
【0128】
また、本開示は、上記の各実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラム(情報処理プログラム)をコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサが該プログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。その際のコンピュータは、サーバ装置であってもよく、又はユーザ端末であってもよい。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、又は化学的な作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体である。斯様な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、又は、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)等のディスクでもよい。また、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、又は、SSD(Solid State Drive)等の媒体でもよい。
【符号の説明】
【0129】
100 車両
200 ユーザ端末
300 サーバ装置
301 プロセッサ
302 主記憶部
303 補助記憶部
304 通信部
D310 地図情報データベース
D320 道路リンクデータベース
F310 取得部
F320 抽出部
F330 演算部
F340 決定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8