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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-07
(45)【発行日】2025-07-15
(54)【発明の名称】車両骨格構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/06 20060101AFI20250708BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20250708BHJP
【FI】
B62D25/06 A
B60R11/02 A
B60R11/02 W
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022008132
(22)【出願日】2022-01-21
(65)【公開番号】P2023107042
(43)【公開日】2023-08-02
【審査請求日】2024-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒川 博幸
【審査官】小林 瑛佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-131338(JP,A)
【文献】特開2003-133826(JP,A)
【文献】特開2016-199257(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0037267(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/06
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両幅方向に延在しかつ車両幅方向から見た形状が閉断面形状とされると共に通信機器の車両前方側に配置された第1閉断面構造部と、
前記第1閉断面構造部から前記通信機器側に延出されると共に当該通信機器を支持可能とされた第1支持片部と、
車両幅方向に延在しかつ車両幅方向から見た形状が閉断面形状とされると共に前記通信機器の車両後方側に配置された第2閉断面構造部と、
前記第2閉断面構造部から前記通信機器側に延出されると共に当該通信機器を支持可能とされた第2支持片部と、
を備えると共に、
車体のルーフ部の一部を構成するルーフリインフォースメントを有し、
前記通信機器は、外殻を構成する樹脂製のケースを備えており、当該ケースには、前記第1支持片部又は前記第2支持片部に係止可能な係止部が設けられ、
前記係止部は、前記第1支持片部及び前記第2支持片部の何れか一方に係止され、
前記ケースは、前記第1支持片部及び前記第2支持片部の何れか他方に取付部材を介して取り付けられ、
前記ルーフリインフォースメントに車両上方側から取り付けられると共に前記通信機器を車両上方側から覆う樹脂ルーフパネルをさらに備え、
前記第1支持片部は、前記第1閉断面構造部の車両上方側の部分に設けられ、
前記第2支持片部は、前記第2閉断面構造部の車両上方側の部分に設けられ、
前記係止部は、前記第1支持片部及び前記第2支持片部の何れか一方に車両下方側から係止可能とされ、
前記ケースは、前記第1支持片部及び前記第2支持片部の何れか他方に前記取付部材を介して車両下方側から取り付け可能とされている、
車両骨格構造。
【請求項2】
前記ルーフリインフォースメントは、前記ルーフ部の車両後方側の一部を構成すると共に、
前記第1閉断面構造部における車両前後方向から見て前記通信機器と重なる部分の車両幅方向から見た断面の第1図心が、前記第2閉断面構造部における車両前後方向から見て当該通信機器と重なる部分の車両幅方向から見た断面の第2図心に対して車両上方側に位置している、
請求項1に記載の車両骨格構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両骨格構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両用埋め込みアンテナの搭載構造に関する発明が開示されている。この車両用埋め込みアンテナの搭載構造では、車体のルーフ部等に凹部を形成し、この凹部にアンテナ(通信機器)が収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-309409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車体のルーフ部に単純に凹部を形成すると車両のロールオーバや走行時において車体の剛性が不足することが考えられる。つまり、上記先行技術では、車体に通信機器を配置するスペースを確保しつつ、ロールオーバ等に対する車体の剛性を確保するという点において改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、車体に通信機器を配置するスペースを確保しつつ、ロールオーバ等に対する車体の剛性を確保することができる車両骨格構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明に係る車両骨格構造は、車両幅方向に延在しかつ車両幅方向から見た形状が閉断面形状とされると共に通信機器の車両前方側に配置された第1閉断面構造部と、前記第1閉断面構造部から前記通信機器側に延出されると共に当該通信機器を支持可能とされた第1支持片部と、車両幅方向に延在しかつ車両幅方向から見た形状が閉断面形状とされると共に前記通信機器の車両後方側に配置された第2閉断面構造部と、前記第2閉断面構造部から前記通信機器側に延出されると共に当該通信機器を支持可能とされた第2支持片部と、を備えると共に、車体のルーフ部の一部を構成するルーフリインフォースメントを有し、前記通信機器は、外殻を構成する樹脂製のケースを備えており、当該ケースには、前記第1支持片部又は前記第2支持片部に係止可能な係止部が設けられ、前記係止部は、前記第1支持片部及び前記第2支持片部の何れか一方に係止され、前記ケースは、前記第1支持片部及び前記第2支持片部の何れか他方に取付部材を介して取り付けられ、前記ルーフリインフォースメントに車両上方側から取り付けられると共に前記通信機器を車両上方側から覆う樹脂ルーフパネルをさらに備え、前記第1支持片部は、前記第1閉断面構造部の車両上方側の部分に設けられ、前記第2支持片部は、前記第2閉断面構造部の車両上方側の部分に設けられ、前記係止部は、前記第1支持片部及び前記第2支持片部の何れか一方に車両下方側から係止可能とされ、前記ケースは、前記第1支持片部及び前記第2支持片部の何れか他方に前記取付部材を介して車両下方側から取り付け可能とされている
【0007】
請求項1に記載の本発明によれば、車体のルーフ部の一部がルーフリインフォースメントで構成されている。そして、このルーフリインフォースメントは、車両幅方向に延在しかつ車両幅方向から見た形状が閉断面形状とされた第1閉断面構造部及び第2閉断面構造部を備えている。このため、本発明では、第1閉断面構造部及び第2閉断面構造部によって、車体のルーフ部をロールオーバ等に起因する荷重に対して補強することができる。
【0008】
また、本発明では、第1閉断面構造部の車両後方側かつ第2閉断面構造部の車両前方側に通信機器が配置されている。そして、第1閉断面構造部から通信機器側に第1支持片部が延出されており、第2閉断面構造部から通信機器側に第2支持片部が延出されている。このため、第1支持片部及び第2支持片部で通信機器を支持し、車両前後方向において、第1閉断面構造部と第2閉断面構造部との間に当該通信機器を設置することができる。
【0010】
また、本発明によれば、通信機器の外殻が樹脂製のケースで構成されており、当該ケースに電波を透過させて当該通信機器による電波の送受信を行うことが可能となっている。また、ケースには、第1支持片部又は第2支持片部に係止可能な係止部が設けられており、本発明では、通信機器の設置時において、係止部を第1支持片部又は第2支持片部に係止させて、当該通信機器の位置決めを行うことができる。
【0012】
また、本発明によれば、ケースの係止部が、第1支持片部及び第2支持片部の何れか一方に係止されている。また、ケースは、第1支持片部及び第2支持片部の何れか他方に取付部材を介して取り付けられている。このため、本発明では、通信機器の設置時において、ケースと、当該ケースが取り付けられる取付箇所との位置決めを容易に行うことができる。
【0014】
また、本発明によれば、樹脂ルーフパネルが、ルーフリインフォースメントに車両上方側から取り付けられており、当該樹脂ルーフパネルによって、通信機器が車両上方側から覆われている。このため、本発明では、通信機器の車両上方側において当該通信機器による電波の送受信を可能としつつ、樹脂ルーフパネルで通信機器を隠すことができる。
【0015】
また、本発明では、第1支持片部が第1閉断面構造部の車両上方側の部分に設けられると共に、第2支持片部が第2閉断面構造部の車両上方側の部分に設けられており、通信機器を車体のルーフ部における車両上方側の部分に取り付けることができる。
【0016】
そして、ケースに設けられた係止部は、第1支持片部及び第2支持片部の何れか一方に車両下方側から係止されると共に、当該ケースは、第1支持片部及び第2支持片部の何れか他方に取付部材を介して車両下方側から取り付けられる。このため、本発明では、通信機器を車体のルーフ部の車両下方側から取り外しすることができる。
【0017】
請求項に記載の本発明に係る車両骨格構造は、請求項に記載の発明において、前記ルーフリインフォースメントは、前記ルーフ部の車両後方側の一部を構成すると共に、前記第1閉断面構造部における車両前後方向から見て前記通信機器と重なる部分の車両幅方向から見た断面の第1図心が、前記第2閉断面構造部における車両前後方向から見て当該通信機器と重なる部分の車両幅方向から見た断面の第2図心に対して車両上方側に位置している。
【0018】
請求項に記載の本発明によれば、ルーフリインフォースメントが、車体のルーフ部の車両後方側の一部を構成している。そして、第1閉断面構造部における車両前後方向から見て通信機器と重なる部分の車両幅方向から見た断面の第1図心が、第2閉断面構造部における車両前後方向から見て当該通信機器と重なる部分の車両幅方向から見た断面の第2図心に対して車両上方側に位置している。
【0019】
このため、本発明では、ルーフリインフォースメントにおける車両前後方向から見て通信機器と重なる部分において、車両幅方向から見た断面の車両上下方向の大きさが、車両後方側よりも車両前方側の方が小さくなる。
【0020】
また、第1図心と第2図心との位置が車両上下方向において同じ位置に設定されているような構成に比し、車両上下方向の曲げに対するルーフリインフォースメントの断面二次モーメントを大きくすることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明に係る車両骨格構造は、車体に通信機器を配置するスペースを確保しつつ、ロールオーバ等に対する車体の剛性を確保することができるという優れた効果を有する。
【0024】
また、本発明に係る車両骨格構造は、通信機器による通信を円滑に行うことができると共に、通信機器の組付け作業の効率化を図ることができるという優れた効果を有する。
【0025】
また、本発明に係る車両骨格構造は、通信機器の組付けを容易に行うことができるという優れた効果を有する。
【0026】
また、本発明に係る車両骨格構造は、車両の内側からの通信機器のメンテナンス作業の効率化を図ることができるという優れた効果を有する。
【0027】
請求項に記載の本発明に係る車両骨格構造は、後部座席の車両上方側にスペースを確保しつつ、車体のルーフ部の車両上下方向の曲げに対する剛性を確保することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1実施形態に係る車両骨格構造が適用された車体の要部の構成を模式的に示す断面図(図4の1-1線に沿って切断した状態を示す断面図)である。
図2】第1実施形態に係る車両骨格構造が適用された車体の要部の構成を模式的に示す平面図(図4の2方向矢視図)である。
図3】第1実施形態に係る車両骨格構造が適用された車体の要部の構成を模式的に示す断面図(図4の3-3線に沿って切断した状態を示す断面図)である。
図4】第1実施形態に係る車両骨格構造が適用された車体の構成を模式的に示す車両後方左側から見た斜視図である。
図5】第2実施形態に係る車両骨格構造が適用された車体の構成を模式的に示す車両前方左側から見た斜視図である。
図6】第2実施形態に係る車両骨格構造が適用された車体の要部の構成を模式的に示す断面図(図5の6-6線に沿って切断した状態を示す断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<第1実施形態>
以下、図1図4を用いて、本発明に係る車両骨格構造の第1実施形態について説明する。なお、各図において適宜示される矢印FRは、本実施形態に係る車両骨格構造が適用された「車両10」の車両前方側を示しており、矢印UPは車両10の車両上方側を示しており、矢印LHは車両10の車両幅方向左側を示している。
【0031】
まず、図4を用いて、車両10の車室の主な部分を構成する「車体12」の概略構成について説明する。車体12は、その車両幅方向外側に、左右一対のフロントピラー14(図5参照)、左右一対のセンタピラー16(図5参照)、左右一対のリヤピラー18を備えている。そして、フロントピラー14、センタピラー16及びリヤピラー18のそれぞれの上端部は、車体12の「ルーフ部20」の一部を構成する一対のルーフサイドレール22で連結されている。なお、車体12は、車両前後方向に延びる中心線CL(図2参照)対して対称な構成とされている。
【0032】
ルーフサイドレール22は、互いに対して車両幅方向に間隔をあけて配置されると共に、車両前後方向に延在しており、図3にも示されるように、その車両幅方向外側の部分を構成するアウタパネル24と、その車両幅方向内側の部分を構成するインナパネル26とを含んで構成されている。このルーフサイドレール22は、アウタパネル24とインナパネル26とがスポット溶接等による図示しない接合部で接合されることで、車両前後方向から見た断面が閉断面とされた閉断面構造とされている。
【0033】
一方、ルーフサイドレール22間には、ルーフパネル28が架け渡されており、このルーフパネル28は、鋼板がプレス加工されることで形成されると共に、板厚方向を車両上下方向とされて車両前後方向及び車両幅方向に延在する板状とされている。また、ルーフパネル28の上面は、ルーフ部20の車両上方側の意匠面20Aの一部を構成している。
【0034】
そして、本実施形態では、ルーフ部20が、ルーフパネル28の車両後方側に設けられたルーフリインフォースメントとしての「リアヘッダリインフォースメント30」で補強されている点に第1の特徴がある。また、後述する通信機器としての一対の「アンテナユニット32」及び「アンテナユニット34」が、リアヘッダリインフォースメント30で支持されている点に第2の特徴がある。以下、リアヘッダリインフォースメント30及びその周辺部の構成について詳細に説明することとする。
【0035】
リアヘッダリインフォースメント30は、図1に示されるように、その車両上方側の部分を構成するリアヘッダアッパパネル36と、その車両下方側の部分を構成するリアヘッダロアパネル38とを含んで構成されている。
【0036】
詳しくは、リアヘッダアッパパネル36は、鋼板がプレス加工されることで形成されると共に、第1上壁部36A、第1縦壁部36B、第2上壁部36C、第2縦壁部36D及び後側延出壁部36Eを含んで構成されている。第1上壁部36Aは、リアヘッダアッパパネル36の主な部分を構成しており、板厚方向を車両上下方向とされて車両幅方向及び車両前後方向に延在している。また、第1上壁部36Aの車両前方側の周縁部には、ルーフパネル28の車両後方側の周縁部が、車両上方側から当接された状態で溶接等による図示しない接合部で接合されている。
【0037】
一方、第1上壁部36Aの車両幅方向外側の周縁部には、ルーフサイドレール22が、溶接等による図示しない接合部で接合されている。そして、第1上壁部36Aには、図2にも示されるように、一対の貫通部40と、貫通部42とが設けられている。
【0038】
貫通部40は、第1上壁部36Aにおける車両幅方向一方側の部分と車両幅方向他方側の部分とのそれぞれに形成されており、車両上下方向から見て車両幅方向を長手方向とされた矩形状とされている。また、車両上下方向から見て貫通部40の内側には、後述するアンテナユニット32の大部分が収まった状態となっている。
【0039】
一方、貫通部42は、第1上壁部36Aの車両幅方向中央部に形成されており、車両上下方向から見て車両前後方向を長手方向とされた矩形状とされている。なお、貫通部42は、車両前後方向の長さが貫通部40の車両前後方向の長さと同程度に設定され、車両幅方向の長さが貫通部40の車両幅方向の長さよりも短い長さに設定されている。そして、車両上下方向から見て貫通部42の内側には、後述するアンテナユニット34の大部分が収まった状態となっている。
【0040】
第1縦壁部36Bは、第1上壁部36Aの車両後方側の周縁部から車両下方側に板厚方向を車両前後方向とされて延出されており、第1縦壁部36Bの車両下方側の周縁部からは、第2上壁部36Cが、車両後方側に板厚方向を車両上下方向とされて延出されている。
【0041】
そして、第2上壁部36Cの車両後方側の周縁部からは、第2縦壁部36Dが車両下方側に板厚方向を車両前後方向とされて延出されており、第2縦壁部36Dの車両下方側の周縁部からは、車両後方下側に後側延出壁部36Eが延出されている。なお、後側延出壁部36Eの車両後方側の部分は、車両上方側に延びており、この部分には図示しないウェザーストリップが取り付けられている。
【0042】
一方、リアヘッダロアパネル38は、鋼板がプレス加工されることで形成されると共に、第1下壁部38A、第1内側周壁部38B、第1内側延出壁部38C、第2内側周壁部38D、第2内側延出壁部38E、外側周壁部38F、外側延出壁部38G、後側縦壁部38H、第2下壁部38I及び下側延出壁部38Jを含んで構成されている。
【0043】
第1下壁部38Aは、リアヘッダロアパネル38の主な部分を構成しており、板厚方向を車両上下方向とされて車両幅方向及び車両前後方向に延在している。この第1下壁部38Aの車両後方側の部分は、第2上壁部36Cの車両前方側の部分と溶接等による図示しない接合部で接合されている。そして、第1下壁部38Aには、図2にも示されるように、一対の貫通部44と、貫通部46とが設けられている。
【0044】
貫通部44は、第1下壁部38Aにおける車両幅方向一方側の部分と車両幅方向他方側の部分とのそれぞれに形成されており、車両上下方向から見て車両幅方向を長手方向とされた矩形状とされている。また、車両上下方向から見て貫通部44の内側には、後述するアンテナユニット32が全て収まった状態となっている。
【0045】
一方、貫通部46は、第1下壁部38Aの車両幅方向中央部に形成されており、車両上下方向から見て車両前後方向を長手方向とされた矩形状とされている。なお、貫通部46は、車両前後方向の長さが貫通部44の車両前後方向の長さと同程度に設定され、車両幅方向の長さが貫通部40の車両幅方向の長さよりも短い長さに設定されている。そして、車両上下方向から見て貫通部46の内側には、後述するアンテナユニット34が全て収まった状態となっている。
【0046】
第1内側周壁部38Bは、貫通部44の周縁部から車両上方側に延出されており、車両上下方向から見て角筒状に形成されている。そして、第1内側周壁部38Bの車両上方側の周縁部からは、車両上方側から見て貫通部44の中央部側に板厚方向を車両上下方向とされて第1内側延出壁部38Cが延出されている。この第1内側延出壁部38Cは、リアヘッダアッパパネル36の第1上壁部36Aにおける貫通部40の周縁部と車両上下方向から見て重なるように配置されると共に、当該周縁部と溶接等による図示しない接合部で接合されている。
【0047】
一方、第2内側周壁部38Dは、貫通部46の周縁部から車両上方側に延出されており、車両上下方向から見て角筒状に形成されている。そして、第2内側周壁部38Dの車両上方側の周縁部からは、車両上方側から見て貫通部46の中央部側に板厚方向を車両上下方向とされて第2内側延出壁部38Eが延出されている。この第2内側延出壁部38Eは、リアヘッダアッパパネル36の第1上壁部36Aにおける貫通部42の周縁部と車両上下方向から見て重なるように配置されると共に、当該周縁部と溶接等による図示しない接合部で接合されている。
【0048】
外側周壁部38Fは、図3にも示されるように、第1下壁部38Aの外周縁部から車両上方側に延出されており、外側周壁部38Fの車両上方側の周縁部からは、外側延出壁部38Gが、車両上下方向から見て貫通部44及び貫通部46の反対側に板厚方向を車両上下方向とされて延出されている。この外側延出壁部38Gは、リアヘッダアッパパネル36の第1上壁部36Aにおける外周縁部と重なるように配置されると共に、当該外周縁部と溶接等による図示しない接合部で接合されている。
【0049】
一方、後側縦壁部38Hは、第1下壁部38Aの車両後方側の周縁部から車両下方側に板厚方向を車両前後方向とされて延出されており、後側縦壁部38Hの車両下方側の周縁部からは、第2下壁部38Iが、車両後方側に板厚方向を車両上下方向とされて延出されている。
【0050】
そして、第2下壁部38Iの車両後方側の周縁部からは、下側延出壁部38Jが車両後方下側に延出されており、下側延出壁部38Jは、リアヘッダアッパパネル36の後側延出壁部36Eにおける車両前方側の部分と溶接等による図示しない接合部で接合されている。
【0051】
本実施形態では、上記のようにリアヘッダリインフォースメント30が構成されることで、リアヘッダリインフォースメント30の車両前方側の部分に、第1閉断面構造部としての「前側閉断面構造部48」が構成されている。また、リアヘッダリインフォースメント30の車両前後方向中央部には、第2閉断面構造部としての「中央閉断面構造部50」が構成されている。さらに、リアヘッダリインフォースメント30の車両後方側の部分に、後側閉断面構造部52が構成されている。
【0052】
また、図3に示されるように、リアヘッダリインフォースメント30の車両幅方向外側の部分には、それぞれ外側閉断面構造部54が構成されており、リアヘッダリインフォースメント30の車両幅方向中央部には、一対の内側閉断面構造部56が構成されている。
【0053】
図1に戻り、前側閉断面構造部48は、第1上壁部36Aの車両前方側の部分、第1下壁部38Aの車両前方側の部分、第1内側周壁部38Bの車両前方側の部分及び外側周壁部38Fの車両前方側の部分を含んで構成されている。この前側閉断面構造部48は、車両幅方向に延在すると共に、車両幅方向から見た形状が矩形の閉断面形状とされている。
【0054】
また、中央閉断面構造部50は、第1上壁部36Aの車両後方側の部分、第1縦壁部36B、第1下壁部38Aの車両後方側の部分及び第1内側周壁部38Bの車両後方側の部分を含んで構成されている。この中央閉断面構造部50は、車両幅方向に延在すると共に、車両幅方向から見た形状が、前側閉断面構造部48の車両幅方向から見た形状よりも車両上下方向に大きい矩形の閉断面形状とされている。
【0055】
そして、前側閉断面構造部48における車両上下方向から見て貫通部40及び貫通部42の車両前方側に位置する部分の断面の「第1図心G1」は、中央閉断面構造部50における車両上下方向から見て貫通部40及び貫通部42の車両後方側に位置する部分の断面の「第2図心G2」に対して車両上方側に位置している。
【0056】
一方、後側閉断面構造部52は、第2上壁部36Cの車両後方側の部分、第2縦壁部36D、後側縦壁部38H及び第2下壁部38Iを含んで構成されている。この後側閉断面構造部52は、車両幅方向に延在しかつ車両幅方向から見た形状が前側閉断面構造部48の車両幅方向から見た形状よりも小さい閉断面形状とされており、後側閉断面構造部52によってバックドア開口部58の上縁部58Aが補強されている(図4参照)。
【0057】
外側閉断面構造部54は、図3に示されるように、第1上壁部36Aの車両幅方向外側の部分、第1下壁部38Aの車両幅方向外側の部分、第1内側周壁部38Bの車両幅方向外側の部分及び外側周壁部38Fの車両幅方向外側の部分を含んで構成されている。この外側閉断面構造部54は、車両前後方向に延在しかつ車両前後方向から見た形状が閉断面形状とされており、車両上下方向から見て貫通部40の車両幅方向外側の周縁部に沿うように配置されている。
【0058】
一方、内側閉断面構造部56は、第1上壁部36Aにおける貫通部40と貫通部42との間に位置する部分、第1下壁部38Aにおける貫通部44と貫通部46との間に位置する部分、第1内側周壁部38Bの車両幅方向内側の部分及び第2内側周壁部38Dの車両幅方向外側の部分を含んで構成されている。この内側閉断面構造部56は、車両前後方向に延在しかつ車両前後方向から見た形状が閉断面形状とされており、車両上下方向から見て貫通部40の車両幅方向内側の周縁部と貫通部42の車両幅方向外側の周縁部とに沿うように配置されている。
【0059】
図1に戻り、ルーフパネル28の車両下方側には、天井材60が配置されており、この天井材60は、車両幅方向から見て車両上方側に凸となるように湾曲している湾曲部60Aと、湾曲部60Aから車両後方側に延出された一般部60Bとを備えている。また、一般部60Bの後端部には、後側延出壁部36Eの後端部に取り付けられたウェザーストリップに係止されている。
【0060】
また、本実施形態において、後部座席62は、車両上下方向から見て湾曲部60Aと重なる位置に配置されると共に、後部座席62と湾曲部60Aとの間には、所定のクリアランスが確保されている。
【0061】
一方、アンテナユニット32は、図2にも示されるように、その外殻を構成すると共に電波を透過可能な樹脂等の材質で構成された「ケース64」と、ケース64に格納された電波の送信及び受信の少なくとも一方が可能な複数のアンテナ66とを備えている。
【0062】
詳しくは、ケース64は、アンテナ66を格納する車両上下方向から見て矩形の箱状とされたケース本体部64Aと、一対の「係止部64B」と、一対の取付板部64Cとを備えている。
【0063】
係止部64Bは、ケース本体部64Aの上面における車両前方側の部分に車両幅方向に間隔をあけて配置されている。この係止部64Bは、ケース本体部64Aから車両上方側に突出した立上り部64B1と、立上り部64B1から車両前方側に延出した延出部64B2とを含んで車両幅方向から見てL字状に構成されている。
【0064】
そして、ケース本体部64Aの上面と係止部64Bとの間には、第1上壁部36Aにおける前側閉断面構造部48から車両後方側に延出されている部分及び第1内側延出壁部38Cにおける前側閉断面構造部48から車両後方側に延出されている部分が係止されている。なお、以下では、係止部64Bが係止可能とされた第1上壁部36Aの上記部分と第1内側延出壁部38Cの上記部分との集合体を「第1支持片部68」と称することとする。また、係止部64Bは、第1支持片部68に車両下方側から係止可能とされている。
【0065】
一方、取付板部64Cは、ケース本体部64Aの車両幅方向外側かつ車両後方側の隅部と、ケース本体部64Aの車両幅方向内側かつ車両後方側の隅部とに設けられており、板厚方向を車両上下方向とされた板状とされている。そして、この取付板部64Cには、貫通部70が設けられている。
【0066】
一方、第1上壁部36Aにおける中央閉断面構造部50から車両前方側に延出されている部分及び第1内側延出壁部38Cにおける中央閉断面構造部50から車両後方側に延出されている部分には、取付部材としての「ウエルドボルト72」が車両幅方向に所定の間隔をあけて複数配置されている。このウエルドボルト72は、その軸部72Aが第1内側延出壁部38Cの車両下方側に突出された状態で取り付けられている。
【0067】
そして、取付板部64Cの貫通部70にウエルドボルト72の軸部72Aが挿通された状態で、軸部72Aに車両下方側から取付部材としての「ナット74」が締結されることで、アンテナユニット32がルーフ部20に対して固定されている。なお、以下では、取付板部64Cを取り付け可能とされた第1上壁部36Aの上記部分と第1内側延出壁部38Cの上記部分との集合体を「第2支持片部76」と称することとする。
【0068】
また、アンテナユニット32は、前側閉断面構造部48における車両上下方向から見て貫通部40の車両前方側に位置する部分及び中央閉断面構造部50における車両上下方向から見て貫通部40の車両後方側に位置する部分と、車両前後方向から見て重なった状態となっている。
【0069】
一方、アンテナユニット34は、図2に示されるように、その外殻を構成すると共に電波を透過可能な樹脂等の材質で構成された「ケース78」と、ケース78に格納された電波の送信及び受信の少なくとも一方が可能な複数のアンテナ80とを備えている。
【0070】
ケース78は、ケース64と同様に、ケース本体部78Aと、1つの「係止部78B」と、1つの取付板部78Cを含んで構成されている。そして、係止部78Bが第1支持片部68に係止された状態で、取付板部78Cがウエルドボルト72及びナット74を介して第2支持片部76に取り付けられることで、アンテナユニット34がルーフ部20に対して固定されている。
【0071】
また、アンテナユニット34は、前側閉断面構造部48における車両上下方向から見て貫通部42の車両前方側に位置する部分及び中央閉断面構造部50における車両上下方向から見て貫通部42の車両後方側に位置する部分と、車両前後方向から見て重なった状態となっている。
【0072】
なお、アンテナ66及びアンテナ80の種類としては、例えば、DCM(Data Communication Module)用アンテナ、GPS(Global Positioning System)用アンテナ、無線LAN(Local Area Network)用アンテナ及びETC(Electronic Toll Collection)用アンテナ等が挙げられる。
【0073】
図1に戻り、アンテナユニット32及びアンテナユニット34の車両上方側には、「樹脂ルーフパネル82」が配置されている。この樹脂ルーフパネル82は、電波を透過可能なポリカーボネート等の樹脂で構成されると共に、板厚方向を車両上下方向とされて車両幅方向及び車両前後方向に延在する板状とされている。
【0074】
この樹脂ルーフパネル82は、リアヘッダアッパパネル36の第1上壁部36Aに貫通部40及び貫通部42を囲むように設けられた接着剤による接合部84で接合されている。なお、樹脂ルーフパネル82の上面は、塗料で塗装されており、ルーフ部20の意匠面20Aの一部を構成している。また、樹脂ルーフパネル82の外周と車体12との隙間には、図示しないシール部材が取り付けられている。
【0075】
(本実施形態の作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果を説明する。
【0076】
本実施形態では、図1に示されるように、車体12のルーフ部20の一部がリアヘッダリインフォースメント30で構成されている。そして、このリアヘッダリインフォースメント30は、車両幅方向に延在しかつ車両幅方向から見た形状が閉断面形状とされた前側閉断面構造部48及び中央閉断面構造部50を備えている。このため、本実施形態では、前側閉断面構造部48及び中央閉断面構造部50によって、車体12のルーフ部20をロールオーバ等に起因する荷重に対して補強することができる。
【0077】
また、本実施形態では、前側閉断面構造部48の車両後方側かつ中央閉断面構造部50の車両前方側にアンテナユニット32及びアンテナユニット34が配置されている。そして、前側閉断面構造部48からアンテナユニット32及びアンテナユニット34側に第1支持片部68が延出されており、中央閉断面構造部50からアンテナユニット32及びアンテナユニット34側に第2支持片部76が延出されている。このため、第1支持片部68及び第2支持片部76でアンテナユニット32及びアンテナユニット34を支持し、車両前後方向において、前側閉断面構造部48と中央閉断面構造部50との間にアンテナユニット32及びアンテナユニット34を設置することができる。
【0078】
したがって、本実施形態では、車体12にアンテナユニット32及びアンテナユニット34を配置するスペースを確保しつつ、ロールオーバ等に対する車体12の剛性を確保することができる。
【0079】
また、本実施形態では、アンテナユニット32の外殻が樹脂製のケース64で構成されると共に、アンテナユニット34の外殻が樹脂製のケース78で構成されている。このため、ケース64及びケース78に電波を透過させてアンテナユニット32及びアンテナユニット34による電波の送受信を行うことが可能となっている。また、ケース64には、第1支持片部68に係止可能な係止部64Bが設けられており、ケース78には、第1支持片部68に係止可能な係止部78Bが設けられている。
【0080】
このため、本実施形態では、アンテナユニット32及びアンテナユニット34の設置時において、係止部64B及び係止部78Bを第1支持片部68に係止させて、アンテナユニット32及びアンテナユニット34の位置決めを行うことができる。したがって、本実施形態では、アンテナユニット32及びアンテナユニット34による通信を円滑に行うことができると共に、アンテナユニット32及びアンテナユニット34の組付け作業の効率化を図ることができる。
【0081】
また、本実施形態では、ケース64の係止部64B及びケース78の係止部78Bが、第1支持片部68に係止されている。また、ケース64及びケース78は、第2支持片部76にウエルドボルト72及びナット74を介して取り付けられている。このため、本実施形態では、アンテナユニット32及びアンテナユニット34の設置時において、ケース64及びケース78と、これらが取り付けられる取付箇所との位置決めを容易に行うことができ、その結果、アンテナユニット32及びアンテナユニット34の組付けを容易に行うことができる。
【0082】
また、本実施形態では、樹脂ルーフパネル82が、リアヘッダリインフォースメント30に車両上方側から取り付けられており、樹脂ルーフパネル82によって、アンテナユニット32及びアンテナユニット34が車両上方側から覆われている。このため、本実施形態では、アンテナユニット32及びアンテナユニット3の車両上方側において、これらによる電波の送受信を可能としつつ、樹脂ルーフパネル82でこれらを隠すことができる。
【0083】
また、本実施形態では、第1支持片部68が前側閉断面構造部48の車両上方側の部分に設けられると共に、第2支持片部76が中央閉断面構造部50の車両上方側の部分に設けられており、アンテナユニット32及びアンテナユニット34を車体12のルーフ部20における車両上方側の部分に取り付けることができる。
【0084】
そして、ケース64に設けられた係止部64B及びケース78に設けられた係止部78Bは、第1支持片部68に車両下方側から係止されると共に、ケース64及びケース78は、第2支持片部76にウエルドボルト72及びナット74を介して取車両下方側から取り付けられる。
【0085】
このため、本実施形態では、アンテナユニット32及びアンテナユニット34を車体12のルーフ部20の車両下方側から取り外しすることができる。したがって、本実施形態では、車両10の内側からのアンテナユニット32及びアンテナユニット34のメンテナンス作業の効率化を図ることができる。
【0086】
加えて、本実施形態では、リアヘッダリインフォースメント30が、車体12のルーフ部20の車両後方側の一部を構成している。そして、前側閉断面構造部48における車両前後方向から見てアンテナユニット32及びアンテナユニット34と重なる部分の車両幅方向から見た断面の第1図心G1が、中央閉断面構造部50における車両前後方向から見てアンテナユニット32及びアンテナユニット34と重なる部分の車両幅方向から見た断面の第2図心G2に対して車両上方側に位置している。
【0087】
このため、本実施形態では、リアヘッダリインフォースメント30における車両前後方向から見てアンテナユニット32及びアンテナユニット34と重なる部分において、車両幅方向から見た断面の車両上下方向の大きさが、車両後方側よりも車両前方側の方が小さくなる。
【0088】
また、第1図心G1と第2図心G2との位置が車両上下方向において同じ位置に設定されているような構成に比し、車両上下方向の曲げに対するリアヘッダリインフォースメント30の断面二次モーメントを大きくすることができる。したがって、本実施形態では、後部座席62の車両上方側にスペースを確保しつつ、車体12のルーフ部20の車両上下方向の曲げに対する剛性を確保することができる。
【0089】
<第2実施形態>
次に、図5及び図6を用いて、本発明の第2実施形態に係る車両骨格構造について説明する。本実施形態では、ルーフパネル28の車両前後方向中央部に車両幅方向に延在する貫通部90が形成されており、この貫通部90の周縁部に沿うように配置されたルーフリインフォースメントとしての「センタヘッダリインフォースメント92」にアンテナユニット32及びアンテナユニット34が取り付けられている。
【0090】
詳しくは、センタヘッダリインフォースメント92は、その車両上方側の部分を構成するセンタヘッダアッパパネル94と、その車両下方側の部分を構成するセンタヘッダロアパネル96とを含んで構成されている。
【0091】
センタヘッダアッパパネル94は、鋼板がプレス加工されることで形成されると共に、板厚方向を車両上下方向とされて車両幅方向及び車両前後方向に延在している。また、センタヘッダアッパパネル94の車両前方側及び車両後方側の周縁部は、ルーフパネル28における貫通部90の周縁部に溶接等による図示しない接合部で接合されている。そして、センタヘッダアッパパネル94には、車両幅方向に延在する貫通部98が形成されており、車両上下方向から見て貫通部98の内側には、アンテナユニット32及びアンテナユニット34の大部分が収まった状態となっている。
【0092】
一方、センタヘッダロアパネル96は、鋼板がプレス加工されることで形成されると共に、第1底壁部としての「前側下壁部96A」、前側外周壁部96B、第1外周延出部96C、前側内周壁部96D、第1内周延出部96E、第2底壁部としての「後側下壁部96F」、後側外周壁部96G、第2外周延出部96H、後側内周壁部I及び第2内周延出部96Jを含んで構成されている。
【0093】
前側下壁部96Aは、センタヘッダロアパネル96の車両前方側の部分を構成すると共に、車両上下方向から見て車両幅方向に延在する板状とされており、車両幅方向から見て車両前方側から車両後方側に向かって下り勾配となるように配置されている。
【0094】
前側外周壁部96Bは、前側下壁部96Aの車両前方側の周縁部から車両前方上側に延出されており、前側外周壁部96Bの車両上方側の周縁部からは、車両前方側に第1外周延出部96Cが延出されている。そして、第1外周延出部96Cは、センタヘッダアッパパネル94の車両前方側の周縁部と溶接等による図示しない接合部で接合されている。
【0095】
一方、前側内周壁部96Dは、前側下壁部96Aの車両後方側の周縁部から車両上方側に延出されており、前側内周壁部96Dの車両上方側の周縁部からは、第1内周延出部96Eが車両後方側に延出されている。そして、第1内周延出部96Eは、センタヘッダアッパパネル94における貫通部98の車両前方側の周縁部と溶接等による図示しない接合部で接合されている。
【0096】
後側下壁部96Fは、センタヘッダロアパネル96の車両後方側の部分を構成すると共に、車両上下方向から見て車両幅方向に延在する板状とされており、車両幅方向から見て車両後方側から車両前方側に向かって下り勾配となるように配置されている。
【0097】
前側外周壁部96Gは、後側下壁部96Fの車両後方側の周縁部から車両後方上側に延出されており、後側外周壁部96Gの車両上方側の周縁部からは、車両後方側に第2外周延出部96Hが延出されている。そして、第2外周延出部96Hは、センタヘッダアッパパネル94の車両後方側の周縁部と溶接等による図示しない接合部で接合されている。
【0098】
一方、後側内周壁部96Iは、後側下壁部96Fの車両後方側の周縁部から車両上方側に延出されており、後側内周壁部96Iの車両上方側の周縁部からは、第2内周延出部96Jが車両前方側に延出されている。そして、第2内周延出部96Jは、センタヘッダアッパパネル94における貫通部98の車両後方側の周縁部と溶接等による図示しない接合部で接合されている。
【0099】
そして、本実施形態では、上記のようにセンタヘッダリインフォースメント92が構成されることで、センタヘッダリインフォースメント92の車両前方側の部分に、第1閉断面構造部としての「前側閉断面構造部100」が構成されている。また、センタヘッダリインフォースメント92車両後方側の部分には、第2閉断面構造部としての「後側閉断面構造部102」が構成されている。
【0100】
詳しくは、前側閉断面構造部100は、センタヘッダアッパパネル94の車両前方側の部分、前側下壁部96A、前側外周壁部96B及び前側内周壁部96Dを含んで構成されている。この前側閉断面構造部100は、車両幅方向に延在すると共に、車両幅方向から見た形状が矩形の閉断面形状とされている。
【0101】
また、本実施形態では、係止部64B及び係止部78Bが、センタヘッダアッパパネル94の一部と当該一部に接合された第1内周延出部96Eとの集合体に車両下方側から係止可能とされている。なお、以下では、係止部64B及び係止部78Bを取り付け可能とされたセンタヘッダアッパパネル94の一部と第1内周延出部96Eとの上記集合体を「第1支持片部104」と称することとする。
【0102】
一方、後側閉断面構造部102は、センタヘッダアッパパネル94の車両後方側の部分、後側下壁部96F、後側外周壁部96G及び後側内周壁部96Iを含んで構成されている。この後側閉断面構造部102は、車両幅方向に延在すると共に、車両幅方向から見た形状が矩形の閉断面形状とされている。
【0103】
また、本実施形態では、ケース64及びケース78が、センタヘッダアッパパネル94の一部と当該一部に接合された第2内周延出部96Jとの集合体にウエルドボルト72及びナット74で取り付け可能とされている。なお、以下では、ケース64及びケース78を取り付け可能とされたセンタヘッダアッパパネル94の一部と第2内周延出部96Jとの上記集合体を「第2支持片部106」と称することとする。
【0104】
なお、後部座席62は、センタヘッダリインフォースメント92の車両後方側に配置されており、運転席等の前部座席108は、センタヘッダリインフォースメント92の車両前方側に配置されている。
【0105】
一方、センタヘッダリインフォースメント92の車両上方側には、車両上下方向から見て長手方向を車両幅方向とされた矩形の板状とされた「樹脂ルーフパネル110」が配置されており、樹脂ルーフパネル110によってアンテナユニット32及びアンテナユニット34が車両上方側から覆われている。
【0106】
そして、樹脂ルーフパネル110は、貫通部98を囲むように設けられた接着剤等による接合部112でセンタヘッダアッパパネル94に接合されている。なお、樹脂ルーフパネル110の上面は、塗料で塗装されており、ルーフ部20の意匠面20Aの一部を構成している。また、樹脂ルーフパネル110の外周と車体12との隙間には、図示しないシール部材が取り付けられている。
【0107】
このような構成によれば、車両10の仕様等によって、ルーフパネル28の車両後方側の部分にアンテナユニット32及びアンテナユニット34を配置することができない場合であっても、基本的に上述した第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0108】
また、ルーフパネル28の車両後方側の部分にアンテナユニット32及びアンテナユニット34を配置することができる場合には、車体12に通信機器を配置可能なスペースをより多く確保し、より多くの通信機器を搭載することができる。
【0109】
さらに、本実施形態では、センタヘッダリインフォースメント92が、車体12のルーフ部20の車両前後方向中央部の一部を構成している。そして、前側閉断面構造部100の前側下壁部96Aが、車両幅方向から見て車両前方側から車両後方側に向かって下り勾配とされており、センタヘッダリインフォースメント92の後側下壁部96Fが、車両幅方向から見て車両後方側から車両前方側に向かって下り勾配とされている。
【0110】
このため、本実施形態では、車室内における車両上方側において、センタヘッダリインフォースメント92の車両前方側と車両後方側とにスペースを確保することができ、その結果、前部座席108の車両後方上側及び後部座席62の車両前方上側にスペースを確保しつつ、車体12のルーフ部20の車両上下方向の曲げに対する剛性を確保することができる。
【0111】
<上記実施形態の補足説明>
(1) 上述した実施形態では、リアヘッダリインフォースメント30及びセンタヘッダリインフォースメント92が、鋼板で構成されていたが、車両10の仕様等に応じて、これらを炭素繊維強化樹脂で構成してもよい。
【0112】
(2) また、上述した実施形態では、ルーフリインフォースメントが、車両上方側と車両下方側とに分割されていたが、ルーフリインフォースメントの構成は、これに限らない。例えば、車両10の仕様等に応じて、ルーフリインフォースメントの閉断面構造部を車両幅方向に延在する角筒状の部材で構成してもよい。
【0113】
(3) また、上述した実施形態では、第1支持片部及び第2支持片部が車両幅方向に延在する閉断面構造部と一体に設けられていたが、第1支持片部及び第2支持片部の構成は、これに限らない。例えば、例えば、車両10の仕様等に応じて、第1支持片部及び第2支持片部は、閉断面構造部を構成する部材と別部材で構成されていてもよい。また、第1支持片部及び第2支持片部の位置も閉断面構造部の車両下方側の部分に設定されていてもよい。さらに、通信機器の第1支持片部及び第2支持片部への取り付けに、クリップや接着剤等を用いることも可能である。
【0114】
(4) 加えて、上述した実施形態では、電子機器のケースに設けられた係止部が第1支持片部に係止されていたが、車両10の仕様等に応じて、当該ケースに第2支持片部に係止可能な係止部を設けてもよい。また、クリップ等の取付部材によって、係止部を第1支持片部や第2支持片部に固定可能な構成としてもよい。
【符号の説明】
【0115】
10 車両
12 車体
20 ルーフ部
20A 意匠面
30 リアヘッダリインフォースメント(ルーフリインフォースメント)
32 アンテナユニット(通信機器)
34 アンテナユニット(通信機器)
48 前側閉断面構造部(第1閉断面構造部)
50 中央閉断面構造部(第2閉断面構造部)
64 ケース
64B 係止部
68 第1支持片部
72 ウエルドボルト(取付部材)
74 ナット(取付部材)
76 第2支持片部
78 ケース
78B 係止部
82 樹脂ルーフパネル
92 センタヘッダリインフォースメント(ルーフリインフォースメント)
96A 前側下壁部(第1底壁部)
96F 後側下壁部(第2底壁部)
100 前側閉断面構造部(第1閉断面構造部)
102 後側閉断面構造部(第2閉断面構造部)
104 第1支持片部
106 第2支持片部
110 樹脂ルーフパネル
G1 第1図心
G2 第2図心
図1
図2
図3
図4
図5
図6