(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-07
(45)【発行日】2025-07-15
(54)【発明の名称】圧力センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 19/00 20060101AFI20250708BHJP
H10N 30/30 20230101ALI20250708BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20250708BHJP
B01D 39/20 20060101ALI20250708BHJP
【FI】
G01L19/00 Z
G01L19/00 A
H10N30/30
B81B3/00
B01D39/20 Z
(21)【出願番号】P 2022031295
(22)【出願日】2022-03-01
【審査請求日】2024-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 哲也
(72)【発明者】
【氏名】武藤 哲
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-165652(JP,A)
【文献】特開2007-296966(JP,A)
【文献】特開2001-004473(JP,A)
【文献】特開2020-201253(JP,A)
【文献】特開平05-288624(JP,A)
【文献】特開2020-056711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00-23/32
G01L 27/00-27/02
H10N 30/30
B81B 3/00
B01D 39/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタと、半導体圧力センサチップと、を有し、
前記フィルタは、積層される2つの層部材を有し、
各々の前記層部材が、前記2つの層部材の界面と前記界面の反対側の面とに開口する貫通穴を有し、
2つの前記貫通穴が、前記界面において重ならず、
少なくとも一方の前記層部材が、前記2つの貫通穴を連通させる凹状通路を前記界面に有し、
一方の前記層部材が、他方の前記層部材の前記貫通穴に対応して複数組の前記貫通穴と前記凹状通路を有
し、
前記半導体圧力センサチップは、前記複数組の貫通穴と凹状通路を有する前記層部材に積層され、
前記半導体圧力センサチップは、前記複数組の貫通穴と凹状通路を有する前記層部材との界面に、ダイアフラム及び凹空間を形成する凹部を有し、
積層方向に沿って前記複数組の貫通穴と凹状通路を有する前記層部材から前記半導体圧力センサチップに向かう方向を上方としたとき、前記層部材の各々の前記貫通穴の上端は、前記凹空間の下端に連通する、圧力センサ。
【請求項2】
一方の前記層部材が半導体シリコンによって形成され、他方の前記層部材がガラスによって形成される、請求項1に記載の
圧力センサ。
【請求項3】
前記凹状通路を有する前記層部材が半導体シリコンによって形成される、請求項1又は2に記載の
圧力センサ。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の
圧力センサの製造方法であって、
前記凹状通路を有する前記層部材を半導体プロセスによって形成する層部材形成工程を有する、
圧力センサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体圧力センサチップを有する圧力センサの導圧路(例えば特許文献1参照)や、ガスクロマトグラフ、インクジェットヘッドなどの流路など、微細な通路を有するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などの構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
異物が、導圧路や流路を移動してセンサチップなどに到達する場合があるので、微細な通路で、異物の移動を抑制できるフィルタ機能を容易に実現できれば望ましい。
【0005】
そこで本開示の目的は、微細な通路でのフィルタ機能を実現し易いフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態において、フィルタは、積層される2つの層部材を有し、各々の前記層部材が、前記2つの層部材の界面と前記界面の反対側の面とに開口する貫通穴を有し、2つの前記貫通穴が、前記界面において重ならず、少なくとも一方の前記層部材が、前記2つの貫通穴を連通させる凹状通路を前記界面に有する、フィルタである。このような構成によれば、凹状通路を設けることで簡単にフィルタ機能を実現できるので、微細な通路でのフィルタ機能を実現し易いフィルタを実現できる。
【0007】
一実施形態において、フィルタは、一方の前記層部材が半導体シリコンによって形成され、他方の前記層部材がガラスによって形成される、フィルタである。このような構成によれば、例えば陽極接合によって2つの層部材を精度良く容易に接合できる。
【0008】
一実施形態において、フィルタは、前記凹状通路を有する前記層部材が半導体シリコンによって形成される、フィルタである。このような構成によれば、凹状通路を半導体プロセスによって容易に設けることができる。
【0009】
一実施形態において、フィルタは、一方の前記層部材が、他方の前記層部材の前記貫通穴に対応して複数組の前記貫通穴と前記凹状通路を有する、フィルタである。このような構成によれば、フィルタの目詰まりを抑制できる。
【0010】
一実施形態において、フィルタは、前記少なくとも一方の層部材が前記貫通穴と、前記貫通穴に対応する複数の前記凹状通路と、を有する、フィルタである。このような構成によれば、フィルタの目詰まりを抑制できる。
【0011】
一実施形態において、フィルタの製造方法は、前記凹状通路を有する前記層部材を半導体プロセスによって形成する層部材形成工程を有する、前記フィルタの製造方法である。このような構成によれば、凹状通路を容易に設けることができる。
【0012】
一実施形態において、フィルタの製造方法は、前記層部材形成工程において前記凹状通路がエッチングによって形成される、前記フィルタの製造方法である。このような構成によれば、凹状通路を容易に、特に複数の凹状通路を容易に設けることができる。
【0013】
一実施形態において、フィルタの製造方法は、前記層部材形成工程において前記凹状通路を有する前記層部材の前記貫通穴がエッチングによって形成される、前記フィルタの製造方法である。このような構成によれば、貫通穴を容易に、特に複数の貫通穴を容易に設けることができる。
【0014】
一実施形態において、フィルタの製造方法は、前記2つの層部材を陽極接合する接合工程を有する、前記フィルタの製造方法である。このような構成によれば、例えば一方の層部材を半導体シリコンで形成し他方の層部材をガラスで形成することにより、2つの層部材を精度良く容易に接合できる。
【0015】
一実施形態において、フィルタの製造方法は、半導体シリコンウエハに複数の一方の前記層部材のための前記貫通穴と前記凹状通路を形成する層部材形成工程と、前記半導体シリコンウエハを複数の他方の前記層部材を形成するための部材に接合して接合体を形成する接合工程と、前記接合体を切断することで複数のフィルタを形成する切断工程と、を有する、前記フィルタの製造方法である。このような構成によれば、複数のフィルタを効率的に製造できる。
【0016】
一実施形態において、圧力センサは、前記フィルタと、一方の前記層部材に積層される半導体圧力センサチップと、を有する、圧力センサである。このような構成によれば、微細な通路でのフィルタ機能を実現し易い圧力センサを実現できる。
【0017】
一実施形態において、圧力センサの製造方法は、前記フィルタの製造方法による、前記圧力センサの製造方法である。このような構成によれば、圧力センサを有利に製造できる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、微細な通路でのフィルタ機能を実現し易いフィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】比較例に係る圧力測定器を示す端面図である。
【
図2】一実施形態に係るフィルタを有する圧力センサを有する圧力測定器を示す端面図である。
【
図4A】半導体シリコンウエハを示す端面図である。
【
図4B】
図4Aに示す半導体シリコンウエハを熱酸化した時の状態を示す。
【
図4C】
図4Bに示す熱酸化膜をエッチングした時の状態を示す。
【
図4D】
図4Cに示す半導体シリコンウエハをエッチングした時の状態を示す。
【
図4E】
図4Dに示す熱酸化膜をエッチングした時の状態を示す。
【
図4F】
図4Eに示す半導体シリコンウエハを熱酸化した時の状態を示す。
【
図4G】
図4Fに示す熱酸化膜をエッチングした時の状態を示す。
【
図4H】
図4Gに示す半導体シリコンウエハをエッチングした時の状態を示す。
【
図4I】
図4Hに示す熱酸化膜をエッチングした時の状態を示す。
【
図4J】
図4Iに示す半導体シリコンウエハを、ダイアフラムを形成した半導体シリコンウエハに接合した時の状態を示す。
【
図4K】
図4Jに示す凹状通路と貫通穴を形成した半導体シリコンウエハを、貫通穴を形成したガラス部材に接合した時の状態を示す。
【
図4L】
図4Kに示す接合体を切断して複数の圧力センサを形成した時の状態を示す。
【
図5】
図2に示す圧力センサの変形例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を詳細に例示説明する。
【0021】
図1に示す比較例に係る圧力測定器1は、圧力センサ2と通路部材3を有し、圧力センサ2は半導体圧力センサチップ4(以下、センサチップ4ともいう)とガラス台座5を有する。センサチップ4、ガラス台座5及び通路部材3はこの順に並べて積層され一体化される。
【0022】
センサチップ4は半導体シリコンなどによって形成される。またセンサチップ4は、ガラス台座5との界面に凹部6を有し、凹部6によってセンサチップ4のダイアフラム7と凹空間8が形成される。ガラス台座5は、通路部材3との界面と当該界面の反対側の面とに開口する貫通路9を有する。通路部材3は金属などによって形成される。また通路部材3は、ガラス台座5との界面に開口する通路10を有する。
【0023】
通路10、貫通路9及び凹空間8は、圧力測定器1によって測定される被測定部の圧力をダイアフラム7に伝える圧力伝達路として機能する。凹空間8の圧力とダイアフラム7の外側空間11の圧力との差圧がダイアフラム7に印加され、ダイアフラム7の歪みに応じて生じる電気的信号などを検出することで、被測定部の圧力を測定することができる。圧力伝達路には適宜、シリコーンオイルなどの圧力伝達媒体が封入される場合もある。
【0024】
圧力伝達路には、例えば通路10や貫通路9を切削加工して形成する時に生じた切粉などの異物12が存在する場合がある。圧力伝達媒体の封入時などに異物12が凹空間8に移動してダイアフラム7に付着すると、センサの特性不良を生じてしまう虞がある。
【0025】
このようなセンサの特性不良を抑制するために、
図2~
図3に示す一実施形態において、圧力センサ2はフィルタ13を有する。
【0026】
本実施形態において、圧力測定器1は圧力センサ2と通路部材3を有し、圧力センサ2はセンサチップ4とフィルタ13を有し、フィルタ13は2つの層部材14として、第1層部材14aと第2層部材14bを有する。センサチップ4、第1層部材14a、第2層部材14b及び通路部材3はこの順に並べて積層され一体化される。センサチップ4と通路部材3は比較例の場合と同様に構成される。第1層部材14aは半導体シリコンなどによって形成され、第2層部材14bはガラスなどによって形成される。本実施形態の圧力センサ2はMEMSを構成する。
【0027】
各々の層部材14は、2つの層部材14の界面(以下、中間界面15ともいう)と中間界面15の反対側の面とに開口する貫通穴16を有する。より具体的には、第1層部材14aは、中間界面15と当該界面の反対側の面とにそれぞれ開口する4つの第1貫通穴16aを有し、第2層部材14bは、中間界面15と当該界面の反対側の面とに開口する1つの第2貫通穴16bを有する。4つの第1貫通穴16aは、積層方向(
図3における紙面に垂直な方向)に垂直な第1方向(
図3における横方向)に並べて設けられる2つの第1貫通穴16aと、積層方向と第1方向に垂直な第2方向(
図3における縦方向)に並べて設けられる2つの第1貫通穴16aとからなる。
【0028】
なお本実施形態において、説明の便宜上、積層方向を上下方向ともいい、上下方向に沿って第2層部材14bから第1層部材14aに向かう方向を上方ともいい、その反対方向を下方ともいう。
【0029】
図3に示すように、各々の第1貫通穴16aと第2貫通穴16bとは中間界面15において重ならない。上面視において、第1方向に並ぶ2つの第1貫通穴16aの間に第2貫通穴16bが位置し、第2方向に並ぶ2つの第1貫通穴16aの間に第2貫通穴16bが位置する。各々の第1貫通穴16aの横断面形状は、第1方向に延びる2辺と第2方向に延びる2辺とからなる矩形であり、第2貫通穴16bの横断面形状は円形である。なお、これらの横断面形状は適宜変更が可能である。
【0030】
図2~
図3に示すように、第1層部材14aは、4つの第1貫通穴16aを第2貫通穴16bに連通させる4つの溝状の凹状通路17を中間界面15に有する。各々の凹状通路17は、対応する第1貫通穴16aを第2貫通穴16bに連通させるように、対応する第1貫通穴16aと第2貫通穴16bの間で延びる。このように本実施形態では、1つの第2貫通穴16bに対応して4組の第1貫通穴16aと凹状通路17が設けられる。また本実施形態では、1つの第1貫通穴16aに対応して1つの凹状通路17が設けられる。
【0031】
第2貫通穴16bの下端は、通路10の上端に連通する。また各々の第1貫通穴16aの上端は、凹空間8の下端に連通する。センサチップ4の下面は第1層部材14aの上面に接合され、第1層部材14aの下面は第2層部材14bの上面に接合され、第2層部材14bの下面は通路部材3の上面に接合される。
【0032】
第2層部材14bの第2貫通穴16bから放射方向に延びる各々の凹状通路17の内径(横断面における最小幅)は、第2貫通穴16bの内径よりも小さい。したがって、各々の凹状通路17は、凹状通路17よりも下方から第2貫通穴16bを通って移動してくる凹状通路17よりも大きい異物12を凹状通路17によって堰き止めることができる。したがって、凹状通路17の横断面での形状と大きさなどを適宜設定することにより、異物12が凹空間8に侵入することを抑制し、その結果、センサの特性不良の発生を抑制することができる。また、本実施形態では、複数組の第1貫通穴16aと凹状通路17を有することにより、異物12による目詰まりを抑制し、もって、圧力伝達路としての良好な圧力伝達機能を維持できる。なお、凹状通路17は、
図3に示すような上面視で第2貫通穴16bから放射方向に細長く延びる形状に限らず、放射方向の長さよりも周方向の長さの方が大きい形状を有する構成としてもよい。
【0033】
また本実施形態によれば、圧力伝達路を伝わりダイアフラム7を破壊する原因となり得る衝撃圧を減衰させる絞りとして凹状通路17を利用することも可能である。つまり、凹状通路17の横断面での形状と大きさなどを適宜設定することにより、圧力センサとして検出すべき圧力変化の時定数よりも著しく短いパルス幅を有するパルス状の圧力波の波高値を抑制できる。
【0034】
圧力センサ2は例えば、
図4A~
図4Lに示す一実施形態に係る製造方法(以下、本製造方法ともいう)によって製造できる。
【0035】
本製造方法は、層部材形成工程(
図4A~
図4I)、接合工程(
図4J~
図4K)及び切断工程(
図4L)を有する。層部材形成工程は、第1層構造体18を形成する工程である。接合工程は、センサチップ構造体20、第1層構造体18及び第2層構造体19を接合してセンサ構造体21を形成する工程である。切断工程は、センサ構造体21を切断することで複数の圧力センサ2を形成する工程である。本製造方法によれば、半導体プロセスを用いて複数の圧力センサ2を同時に製造できるため、低コストを実現できる。
【0036】
層部材形成工程では、複数の第1層部材14aを形成するための第1半導体シリコンウエハ22から第1層構造体18を形成する。第1層構造体18は、
図4A~
図4Iに示す工程によって形成される。まず、
図4Aに示す第1半導体シリコンウエハ22を熱酸化することにより、
図4Bに示すように第1熱酸化膜23を形成する。次に、
図4Cに示すように、第1熱酸化膜23における凹状通路17に対応する部分をエッチングにより除去する。次に、
図4Dに示すように、第1熱酸化膜23の開口部を通して第1半導体シリコンウエハ22の表面をエッチングにより除去し、凹状通路17を形成する。次に、
図4Eに示すように、第1熱酸化膜23を全てエッチングにより除去する。次に、
図4Fに示すように、第1半導体シリコンウエハ22を再び熱酸化することにより、第2熱酸化膜24を形成する。次に、
図4Gに示すように、第2熱酸化膜24における貫通穴16に対応する部分をエッチングにより除去する。次に、
図4Hに示すように、KOH水溶液などを用いて第1半導体シリコンウエハ22を異方性エッチングすることで第1貫通穴16aを形成する。そして、
図4Iに示すように、第2熱酸化膜24を全てエッチングにより除去することで、第1層構造体18を形成する。
【0037】
接合工程では、
図4J~
図4Kに示す工程によってセンサ構造体21を形成する。まず、
図4Jに示すように、第1層構造体18と、ダイアフラム7を形成した第2半導体シリコンウエハからなるセンサチップ構造体20とを直接接合により接合する。次に、
図4Kに示すように、第1層構造体18と、複数の第2層部材14bを形成するためにガラス部材に第2貫通穴16bを形成することで形成される第2層構造体19とを陽極接合により接合することにより、センサ構造体21を形成する。
【0038】
切断工程では、
図4Lに示すように、ダイシングによりセンサ構造体21を切断することで、複数の圧力センサ2を形成する。
【0039】
前述した実施形態では1つの第1貫通穴16aに対応して1つの凹状通路17が設けられるが、
図5に示す変形例のように、1つの第1貫通穴16aに対応して、例えば互いに平行に延びる、複数の凹状通路17を設けてもよい。本実施形態によれば、小さな異物12に対するフィルタ機能を実現し易くすることができる。また、本実施形態によれば、目詰まり抑制効果と衝撃圧減衰効果を実現し易くすることもできる。
【0040】
本開示は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0041】
したがって、前述した実施形態に係るフィルタ13は、積層される2つの層部材14を有し、各々の層部材14が、2つの層部材14の界面と界面の反対側の面とに開口する貫通穴16を有し、2つの貫通穴16が、界面において重ならず、少なくとも一方の層部材14が、2つの貫通穴16を連通させる凹状通路17を界面に有する、フィルタ13である限り、種々変更可能である。
【0042】
また、前述した実施形態に係る圧力センサ2は、フィルタ13と、一方の層部材14に積層される半導体圧力センサチップ4と、を有する、圧力センサ2である限り、種々変更可能である。
【0043】
例えば、2つの層部材14の材質は適宜設定できる。第1貫通穴16aの数は4つに限らず、第1貫通穴16aの数、形状、配置等は適宜設定できる。例えば、フィルタ13は、第1貫通穴16a、凹状通路17及び第2貫通穴16bを1つずつ有する構成としてもよい。凹状通路17は、第1層部材14aのみに設ける構成に限らず、例えば、第2層部材14bのみに設けてもよいし、第1層部材14aと第2層部材14bの両方に設けてもよい。第1層部材14aに設ける凹状通路17と第2層部材14bに設ける凹状通路17を合わせて、第2貫通穴16bの内径よりも小さい内径の通路を形成する構成としてもよい。フィルタ13及び圧力センサ2の製造方法は特に限定されない。フィルタ13は圧力センサ2に限らず、ガスクロマトグラフ、インクジェットヘッドなどの流路など、様々な通路でのフィルタ機能を実現するために利用できる。
【0044】
なお、前述した実施形態に係るフィルタ13は、一方の層部材14が半導体シリコンによって形成され、他方の層部材14がガラスによって形成される、フィルタ13であることが好ましい。
【0045】
前述した実施形態に係るフィルタ13は、凹状通路17を有する層部材14が半導体シリコンによって形成される、フィルタ13であることが好ましい。
【0046】
前述した実施形態に係るフィルタ13は、一方の層部材14が、他方の層部材14の貫通穴16に対応して複数組の貫通穴16と凹状通路17を有する、フィルタ13であることが好ましい。
【0047】
前述した実施形態に係るフィルタ13は、少なくとも一方の層部材14が貫通穴16と、貫通穴16に対応する複数の凹状通路17と、を有する、フィルタ13であることが好ましい。
【0048】
前述した実施形態に係るフィルタ13は、凹状通路17を有する層部材14を半導体プロセスによって形成する層部材形成工程を有する、方法によって製造することが好ましい。
【0049】
前述した実施形態に係るフィルタ13は、層部材形成工程において凹状通路17がエッチングによって形成される、方法によって製造することが好ましい。
【0050】
前述した実施形態に係るフィルタ13は、層部材形成工程において凹状通路17を有する層部材14の貫通穴16がエッチングによって形成される、方法によって製造することが好ましい。
【0051】
前述した実施形態に係るフィルタ13は、2つの層部材14を陽極接合する接合工程を有する、方法によって製造することが好ましい。
【0052】
前述した実施形態に係るフィルタ13は、半導体シリコンウエハに複数の一方の層部材14のための貫通穴16と凹状通路17を形成する層部材形成工程と、半導体シリコンウエハを複数の他方の層部材14を形成するための部材に接合して接合体を形成する接合工程と、接合体を切断することで複数のフィルタ13を形成する切断工程と、を有する、方法によって製造することが好ましい。
【0053】
前述した実施形態に係る圧力センサ2は、前述したフィルタ13の製造方法によって製造することが好ましい。
【符号の説明】
【0054】
1 圧力測定器
2 圧力センサ
3 通路部材
4 センサチップ
5 ガラス台座
6 凹部
7 ダイアフラム
8 凹空間
9 貫通路
10 通路
11 外側空間
12 異物
13 フィルタ
14 層部材
14a 第1層部材
14b 第2層部材
15 中間界面
16 貫通穴
16a 第1貫通穴
16b 第2貫通穴
17 凹状通路
18 第1層構造体
19 第2層構造体
20 センサチップ構造体
21 センサ構造体
22 第1半導体シリコンウエハ
23 第1熱酸化膜
24 第2熱酸化膜