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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-07
(45)【発行日】2025-07-15
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/02 20060101AFI20250708BHJP
   B60K 6/387 20071001ALI20250708BHJP
   B60K 6/442 20071001ALI20250708BHJP
   B60K 6/52 20071001ALI20250708BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20250708BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20250708BHJP
   B60W 20/13 20160101ALI20250708BHJP
   B60W 10/26 20060101ALI20250708BHJP
   B60K 17/04 20060101ALI20250708BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20250708BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20250708BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20250708BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20250708BHJP
【FI】
B60W10/02 900
B60K6/387 ZHV
B60K6/442
B60K6/52
B60W10/06 900
B60W10/08 900
B60W20/13
B60W10/26 900
B60K17/04 G
B60L15/20 K
B60L50/16
B60L50/60
B60L58/12
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022070527
(22)【出願日】2022-04-22
(65)【公開番号】P2023160284
(43)【公開日】2023-11-02
【審査請求日】2024-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】北畠 弘達
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-144534(JP,A)
【文献】特開2008-007094(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0166051(US,A1)
【文献】特開2012-086769(JP,A)
【文献】特開2017-030502(JP,A)
【文献】特開2006-001338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 - 6/547
B60W 10/00 - 20/50
B60K 17/04
B60L 15/20
B60L 50/16
B60L 50/60
B60L 58/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンとモータを断接可能とする第一のクラッチと、
変速機と前記モータを断接可能とする第二のクラッチと、
前記モータに接続されるバッテリと、を備えた車両の制御装置であって、
走行中に前記バッテリの充電率が所定値以下となった場合に、前記第二のクラッチをスリップ状態とし、前記エンジンの回転数およびトルクを上昇させ
前記第二のクラッチの温度が所定温度以上である場合には、
前記第二のクラッチをスリップ状態から係合状態へと変化させ、スリップ状態前の前記エンジンの回転数およびトルクを維持する、
制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車における制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素の排出量を削減するために、環境に優しい自動車が製造されている。
例えば、特許文献1では、前後輪をモータにより駆動可能とする4輪駆動車が開示されている。また、エンジンも備え、エンジンとモータでの駆動が可能なことも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-030484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者は、エンジンとモータを用いた自動車に関し、以下の問題点を見出した。
必要な駆動力をエンジンのみでは確保できないような走行においてバッテリパワーを使用してモータを駆動する。しかし、このような状況が続くと、バッテリパワーが不足し、必要なモータの駆動力を実現できない状態に陥ることになる。かかる状態に対する対応策として、従来、NV(Noise & Vibration)などで規制している領域のエンジントルクを使用したり、減速シフトを行っていた。しかし、このような方法では、運転者の乗り心地を害することになる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、乗り心地を担保したうえで、必要な駆動力を確保することが可能な制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる制御装置は、
エンジンとモータを断接可能とする第一のクラッチと、
変速機と前記モータを断続可能とする第二のクラッチと、
前記モータに接続されるバッテリと、を備えた車両の制御装置であって、
走行中に前記バッテリの充電率が所定値以下となった場合に、前記第二のクラッチをスリップ状態とし、前記エンジンの回転数およびトルクを上昇させる、
ことを特徴とするものである。
【0007】
この診断装置により、乗り心地を担保したうえで、必要な駆動力を確保することが可能となる。
【0008】
前記第2のクラッチの温度が所定温度以上である場合には、
前記第2のクラッチをスリップ状態から係合状態へと変化させ、スリップ状態前の前記エンジンの回転数およびトルクを維持する。これにより、破損して走行不能な状況になることを回避できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、乗り心地を担保したうえで、必要な駆動力を確保することが可能な制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態にかかる車両のシステム構成図である。
図2】第1の実施形態にかかる車両のシステム構成図である。
図3】第1の実施形態にかかる車両のシステム構成図である。
図4】第1の実施形態にかかる車両のシステム構成図である。
図5】第1の実施形態にかかる車両のシステム構成図である。
図6】第1の実施形態にかかる制御方法を示した模式図である。
図7】第1の実施形態にかかる制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0012】
(第1の実施形態)
<システム構成>
まず、第1の実施形態にかかる車両のシステム構成に関して説明をする。図1は、第1の実施形態にかかるシステム構成図である。車両10は、エンジン11、バッテリ12、モータ121および122、自動変速機13、第一のクラッチ21および第二のクラッチ22、第二のクラッチの制御装置220、車輪41、42、43、44を備えている。また自動変速機13は、変速機の一例であり、手動変速機でも構わない。
【0013】
エンジン11とモータ121は、第一のクラッチ21を介して断接可能である。第一のクラッチ21は、外歯歯車と内歯歯車で構成される。第一のクラッチ21が係合しているとは、第一のクラッチ21における外歯歯車と内歯歯車がかみ合っていることを示唆する。ただし、第一のクラッチ21は歯車同士のかみ合いクラッチに限定されず、フランジ同士の摩擦クラッチなどでも構わない。第一のクラッチ21が係合していると、エンジン11とモータ121は接続されているため、エンジン11の駆動力がモータ121へと伝達される。一方で、第一のクラッチ21が係合していないと、エンジン11とモータ121は切り離されているため、エンジン11の駆動力がモータ121へと伝達しない。
自動変速機13とモータ121は、第二のクラッチ22を介して断接可能となっている。第二のクラッチ22は、例えば摩擦クラッチである。第二のクラッチ22が係合していると、自動変速機13とモータ121は接続されているため、モータ121の駆動力が自動変速機13へと伝達される。一方で、第二のクラッチ22が係合していないと、自動変速機13とモータ121は切り離されているため、モータ121の駆動力が自動変速機13へと伝達しない。
【0014】
第二のクラッチの制御装置220は、走行中にバッテリ12の充電率が所定値以下となった場合に、第二のクラッチ22をスリップ状態とし、エンジン11の回転数およびトルクを上昇させる。また、第二のクラッチ22の温度が所定温度以上である場合には、第二のクラッチ22をスリップ状態から係合状態へと変化させ、スリップ状態前のエンジン11の回転数およびトルクを維持させる。
【0015】
バッテリ12は、モータ121とインバーター123を介して接続されている。インバーター123は、バッテリ12からモータ121へ伝わる電力の出力制御をおこなっている。バッテリ12は、インバーター124を介して、モータ122と接続されている。インバーター124は、バッテリ12からモータ122へ伝わる電力の出力制御をおこなっている。
ここで、図1における車両10は、モータ121とモータ122の2つを備えているが、いずれか1つのモータだけでも構わない。
【0016】
車輪41と車輪44は、車軸51により一体接続されている。一方で、車輪42と車輪43は、車軸61により一体接続されている。図1では、車軸51側が前進方向、車軸61側が後進方向であることを想定している。すなわち、車輪41と車輪44が前輪、車輪42と車輪43が後輪である。
【0017】
自動変速機13は、前輪側である車軸51と接続されている。モータ121の駆動力は、自動変速機13を介して、車軸51に伝達される。一方で、モータ122の駆動力は、後輪側である車軸61へと伝達される。
【0018】
次に、図2乃至図5を参照して、車両10の走行時におけるエンジン11とモータ121の駆動力を説明する。図2乃至図5では、エンジン11、モータ121、第一のクラッチ21、第二のクラッチ22、インバーター123のどれが機能しているかを明確にするために、適宜、該当部分を塗りつぶしている。
【0019】
図2は、モータ121により車両10が走行している際の、車両10のシステム構成図である。モータ121だけで走るEV走行時には、第一のクラッチ21を切り離すことでエンジン11とモータ121は切り離され、エンジン11は完全に停止する。一方で、一方で、第二のクラッチ22を係合状態にするため、モータ121の駆動力は自動変速機13へ伝達される。このときバッテリ12の電気は、インバーター123で出力制御されて、モータ121に伝えられる。すなわち、この状態において、バッテリ12は放電されている。
【0020】
図3は、エンジン11により車両10が走行している際の、車両10のシステム構成図である。第一のクラッチ21と第二のクラッチ22をつなぐことで、エンジン11からの駆動力は、自動変速機13に伝えられる。このとき、モータ121の発電作用により生じた電気は、バッテリ12へ流れる。これにより、バッテリ12が充電される。すなわち、バッテリ12は、エネルギーを回生している。
【0021】
図4は、エンジン11とモータ121により車両10が走行している際の、車両10のシステム構成図である。第一のクラッチ21と第二のクラッチ22をつなぐことで、エンジン11およびモータ121における両方の駆動力は、自動変速機13に伝えられる。
このとき、バッテリ12の電気エネルギーは、インバーター123で出力制御されて、モータ121に伝えられる。すなわち、バッテリ12は放電されている。
【0022】
図5は、車両10が減速している際の、車両10のシステム構成図である。車両10の走行中に、減速する際は、第一のクラッチ21を切り離すことでエンジン11とモータ121は切り離され、エンジン11は完全に停止する。この時、エンジン11が完全に切り離されているので、エンジン11の回転数はゼロとなり、エンジン11は回転抵抗もない状態である。このとき、モータ121の発電作用により生じた電気は、バッテリ12へ流れる。これにより、バッテリ12が充電される。すなわち、バッテリ12は、エネルギーを回生している。
【0023】
<システム動作>
次に、車両10が低回転高負荷領域などを走行している際の、システム動作に関して説明する。ここで、低回転高負荷領域は、例えば坂道などを想定している。
バッテリ12を使用する走行領域に滞留した際は、電気エネルギーの収支が取れず充電率(State Of Charge)が低下してしまう。そのため、必要なアシスト量が確保できなくなるおそれがある。そこで、本実施形態における車両10では、第二のクラッチの制御装置220により、第二のクラッチ22を滑らせる。クラッチを滑らせるとは、摩擦クラッチ同士が滑って差回転を持ちながらトルクを伝達している、スリップ状態である。これにより、エンジンを通常の均衡状態よりも高い出力で作動させることで、エンジンのNV(Noise & Vibration)を犠牲にすることなく、バッテリ12の電気エネルギー収支を改善することができる。NVを犠牲にするとは、乗り心地が不快な方向に騒音・振動が発生していることを示唆している。
【0024】
図6は、低回転高負荷領域である登坂を車両10が走行している際の、バッテリ12のパワー、バッテリ12の充電率(SOC)およびエンジン11の回転数(Ne)、自動変速機13に入力される回転数(Natin)、トルク(Te)、第二のクラッチ22における温度(T22)の変化を示した図である。以下では、図6の説明を行うにあたって、括弧に記載している略称を用いる。なお、Natinとは、第二のクラッチ22の自動変速機13側の回転数のことであり、初速とギア段数により決定している。図6では、A-B区間が勾配のついた坂道となっており、車両10が坂道を上る走行をしている。地点Cは、第二のクラッチの制御装置220により、第二のクラッチ22を滑らせ始めた地点である。また、地点Dは、第二のクラッチの制御装置220により、第二のクラッチ22を滑らせることを取りやめた地点である。
【0025】
図6における、バッテリ12のパワーの変化について説明する。坂道におけるA-C区間では、車両10は、モータ121を利用して走行しているため、バッテリ12のパワーは、一定値P0となっている。すなわち、坂道におけるA-C区間ではバッテリ12は放電状態である。ここで、地点Cにおいて、第二のクラッチの制御装置220により、第二のクラッチ22を滑らせると、エンジン側のトルクをあげ、駆動力を出しているため、バッテリ12のパワーは減少して、P0よりも小さい一定値P1を有するパワーとなる。このとき、C-D区間においても、バッテリ12は放電状態である。
【0026】
図6における、バッテリ12のSOCの変化について説明する。坂道におけるA-C区間では、車両10は、モータ121を利用して走行しているため、バッテリ12のSOCは、減少する。ここで、地点Cにおいて、第二のクラッチの制御装置220により、第二のクラッチ22を滑らせると、エンジン側のトルクが上がり、バッテリ12は使用されながらも、回生をおこなう。そのため、C-D区間においては、バッテリ12の収支が改善して、バッテリ12のSOCは、一定値SOC0となる。
【0027】
図6における、NeとNatinの変化について説明する。坂道におけるA-C区間では、車両10における第一のクラッチ21および第二のクラッチ22はつながっている状態である。そのため、NeとNatinは、同じ一定の回転数R0である。ここで、地点Cにおいて、第二のクラッチの制御装置220により、第二のクラッチ22を滑らせると、Neは回転数R1まで上昇する。C-D区間では、Neは、回転数R1の一定値を有する。地点Dにおいて、第二のクラッチの制御装置220により、第二のクラッチ22を滑らせることをとりやめると、Neは再び回転数R0まで減少して、一定となる。一方で、Natinは、初速とギア段数に支配されるため、区間A-Dでは、一定の回転数R0のままである。
【0028】
図6における、Teの変化について説明する。図6におけるTeはエンジントルクとモータによるトルクを合わせたシステムトルクに相当する。坂道におけるA-C区間では、Teは、一定値Te0を示す。ここで、地点Cにおいて、第二のクラッチの制御装置220により、第二のクラッチ22を滑らせると、Ne回転数が上昇して、エンジントルクが上がる。一方で、モータによるトルクは、バッテリ12によるパワーが減少するため、下がる。このとき、エンジントルクの上昇分は、モータによるトルクの減少分よりも大きいため、システムトルクはTe1まで上昇する。C-D区間では、Teは、Te1の一定値を有する。地点Dにおいて、第二のクラッチの制御装置220により、第二のクラッチ22を滑らせることをとりやめると、Neは再び回転数R0まで減少するため、エンジントルクが減少する。すなわち、連動してTeもT0まで減少して、一定となる。
【0029】
図6における、T22の変化について説明する。坂道におけるA-C区間では、T22は、一定値T0である。ここで、地点Cにおいて、第二のクラッチの制御装置220により、第二のクラッチ22を滑らせた状態に移行すると、クラッチが滑る際の摩擦によりT22が上昇する。このとき、T22の温度が上昇して、区間Dにて、温度TLに達すると、第二のクラッチの制御装置220により、第二のクラッチ22を滑らせることを取りやめる。すなわち、第二のクラッチ22をスリップ状態から係合状態へと変化させ、スリップ前のエンジン11の回転数およびトルクを維持させる。これにより、T22は、温度TLよりも温度上昇せずに、破壊に至ることを防ぐことができる。すなわち、T22が所定値以上に達したときに、第二のクラッチの制御装置220は、第二のクラッチ22を滑らせた状態を停止する。
【0030】
続いて、第二のクラッチ22の制御方法に関して、説明する。図7は、第1の実施形態に係る第二のクラッチ22の制御方法を示すフローチャートである。なお、充電率、エンジン11の回転数、自動変速機13に入力される回転数は、図6と同様の略称を用いる。
【0031】
まず、第二のクラッチの制御装置220は、車両10走行時におけるバッテリ12の電気エネルギー収支が0未満であるかを確認する(ステップST1)。すなわち、バッテリ12へ回生している電気エネルギーとモータ121へ放電している電気エネルギーの差を確認する。電気エネルギー収支が0以上である場合(ステップST1NO)、第二のクラッチの制御装置220は、ステップST1を繰り返す。電気エネルギー収支が0未満である場合(ステップST1YES)、第二のクラッチの制御装置220は、バッテリ12のSOCは減少しているため、SOCが基準値SOC0以下であるかを確認する。バッテリ12のSOCが、SOC0よりも大きい場合(ステップST2NO)、第二のクラッチの制御装置220は、再びステップST1から繰り返す。一方で、バッテリ12のSOCが、SOC0以下である場合(ステップST2YES)、第二のクラッチの制御装置220は、ステップST3を実行する。
【0032】
ステップST3では、エンジン11におけるパワーを、現在のエンジン11におけるパワーに電気エネルギー収支改善分と他の部分で消費するエネルギー損失分(α)を加えた設定値とする。ここで、電気エネルギー収支改善分とは、車両10が走行中に、モータで補えなくなった分のエネルギーを示唆している。
【0033】
ステップST3に続けて、第二のクラッチの制御装置220は、エンジン動作点であるNeを設定する。(ステップST4)このとき、クラッチを滑らせたときの損失も加味して、エンジン動作点Neを設定する。
【0034】
ここで、ステップST4において、設定したエンジン動作点NeとNatinの差分だけ、第二のクラッチの制御装置220は、第二のクラッチ22を滑らせる。(ステップST5)
【0035】
ステップST5に続き、第二のクラッチの制御装置220は、車両10の走行領域におけるエネルギー収支が0以上であるかを確認する(ステップST6)。電気エネルギー収支が0以上の場合、バッテリ12の電気エネルギーが回生しているため、第二のクラッチの制御装置220は、第二のクラッチ22をスリップ状態から係合状態へと変化させ、スリップ前の前記エンジンの回転数およびトルクを維持する(ステップST6YES)。一方で、依然と、電気エネルギー収支が0未満である場合(ステップST6NO)、第二のクラッチの制御装置220は、第二のクラッチ22をスリップ状態のままにする。このとき、第二のクラッチ22の温度は、第二のクラッチ22が滑る際の摩擦により上昇する。
そのため、ステップST6に続いて、第二のクラッチの制御装置220は、第二のクラッチ22の温度T22が設定温度TL以下であるかを判定する(ステップST7)。第二のクラッチ22の温度T22が設定温度TL未満である場合(ステップST7YES)、第二のクラッチの制御装置220は、第二のクラッチ22をスリップ状態のままにして、ステップST6から繰り返す。一方で、第二のクラッチ22の温度T22が設定温度TL以上である場合、第二のクラッチの制御装置220は、第二のクラッチ22をスリップ状態から係合状態へと変化させ、スリップ前の前記エンジンの回転数およびトルクを維持する(ステップST7NO)。これにより、T22は、温度TL以上の温度とならず、破壊に至ることを防ぐことができる。
【0036】
第1の実施形態にかかる制御装置は、電気エネルギー収支が0未満となった場合、第二のクラッチ22を滑らせる制御をしている。そのため、エンジンを通常の均衡状態よりも高い出力で作動させることで、エンジンのNVを犠牲にすることなく、バッテリ12の電気エネルギー収支を改善することができる。
【0037】
第1の実施形態にかかる制御装置は、第二のクラッチ22温度が、所定温度以上となるときに、第二のクラッチ22を滑らせるのを取りやめる制御をしているため、第二のクラッチ22温度上昇による破壊を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0038】
10 車両
11 エンジン
12 バッテリ
13 自動変速機
21 第一のクラッチ
22 第二のクラッチ
41、42、43、44 車輪
51、61 車軸
121、122 モータ
123、124 インバーター
220 第二のクラッチの制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7