(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-07
(45)【発行日】2025-07-15
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
F02D 9/02 20060101AFI20250708BHJP
F02D 9/00 20060101ALI20250708BHJP
【FI】
F02D9/02 305B
F02D9/00
(21)【出願番号】P 2022070543
(22)【出願日】2022-04-22
【審査請求日】2024-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥田 成俊
【審査官】村山 美保
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-193866(JP,A)
【文献】特開2006-258075(JP,A)
【文献】特開2007-218089(JP,A)
【文献】特開2014-156845(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0098986(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 9/02
F02D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気通路に設けられたスロットルボディと前記スロットルボディに回動可能に支持されたスロットルバルブとを有するスロットル部を備えるエンジンと、
前記エンジンを制御する制御装置と、
を備える車両であって、
前記制御装置は、トリップを終了する際に前記スロットル部の凍結条件が成立しているときには、前記トリップを終了する際およびその後の所定時間ごとに、前記スロットルバルブの開度を増減させる開度増減制御を実行
し、
前記制御装置は、
前記トリップの終了後の前記所定時間ごとに、
前記開度増減制御を実行する前に、前記スロットルバルブの開度を減少させるための判定用制御を実行し、
前記判定用制御の際の、前記スロットルバルブの開度と目標開度との乖離量、前記スロットルバルブの開度を調節するスロットルモータの駆動電流、前記スロットルバルブの開度の単位時間当たりの変化量である開度変化率、のうちの少なくとも1つに基づいて前記スロットル部に凍結が生じているか否かを判定し、
前記スロットル部に凍結が生じていると判定したときには、前記開度増減制御として第1開度増減制御を実行し、
前記スロットル部に凍結が生じていないと判定したときには、前記開度増減制御として前記第1開度増減制御とは異なる第2開度増減制御を実行する、
車両。
【請求項2】
請求項
1記載の車両であって、
前記制御装置は、
前記乖離量が所定乖離量以上である状態が第1所定時間以上に亘って継続した第1条件、前記駆動電流の絶対値が第1所定電流以上であり且つ前記開度変化率の絶対値が所定変化率以下である状態が第2所定時間以上に亘って継続した第2条件、前記駆動電流の絶対値が前記第1所定電流よりも大きい第2所定電流以上である状態が第3所定時間以上に亘って継続した第3条件、のうちの少なくとも1つが成立するときには、前記スロットル部に凍結が生じていると判定し、
前記第1条件、前記第2条件、前記第3条件のうちの何れも成立しないときには、前記スロットル部に凍結が生じていないと判定する、
車両。
【請求項3】
請求項
1記載の車両であって、
前記制御装置は、
前記第1開度増減制御では、前記スロットルバルブの開度を増加させてから減少させる増減セットを、前記スロットル部の凍結が解除したと判定するまで実行し、
前記第2開度増減制御では、前記増減セットを所定回数だけ実行する、
車両。
【請求項4】
請求項
3記載の車両であって、
前記制御装置は、前記乖離量が所定乖離量以上である状態が第1所定時間以上に亘って継続した第1条件、前記駆動電流の絶対値が第1所定電流以上であり且つ前記開度変化率の絶対値が所定変化率以下である状態が第2所定時間以上に亘って継続した第2条件、前記駆動電流の絶対値が前記第1所定電流よりも大きい第2所定電流以上である状態が第3
所定時間以上に亘って継続した第3条件、の全てが不成立となるときに、前記スロットル部の凍結が解除したと判定する、
車両。
【請求項5】
請求項
3記載の車両であって、
前記スロットルバルブは、バッテリからの電力を用いて動作し、
前記制御装置は、前記第1開度増減制御において、
前記スロットル部の凍結が解除したと判定したときに、前記増減セットの回数が第1所定回数未満のときには、前記増減セットの回数が前記第1所定回数に至ったときに、前記第1開度増減制御を終了し、
前記スロットル部の凍結が解除したと判定しなくても、前記増減セットの回数が前記第1所定回数よりも多い第2所定回数に至ったときには、前記第1開度増減制御を終了する、
車両。
【請求項6】
請求項
1記載の車両であって、
前記制御装置は、前記第1開度増減制御において前記スロットルバルブの開度の増加および減少のうちの一方を行なっている際に、前記スロットルバルブが異物を噛み込んだと判定したときには、前記スロットルバルブの開度の増加および減少のうちの前記一方とは異なる他方を行なってから前記一方を再開する、
車両。
【請求項7】
請求項
6記載の車両であって、
前記制御装置は、前記駆動電流の絶対値が第3所定電流以上であり且つ前記開度変化率の絶対値が第2所定変化率以下である状態が第4所定時間以上に亘って継続した第4条件、前記駆動電流の絶対値が前記第3所定電流よりも大きい第4所定電流以上である状態が第5所定時間以上に亘って継続した第5条件、のうちの少なくとも1つが成立したときに、前記スロットルバルブが異物を噛み込んだと判定する、
車両。
【請求項8】
請求項1記載の車両であって、
前記制御装置は、前記開度増減制御において、前記スロットルバルブの開度の増加または減少の開始区間および終了区間で、前記開始区間および前記終了区間の間の中間区間よりも前記スロットルバルブの開度の増加または減少を緩やかに行なう、
車両。
【請求項9】
請求項1記載の車両であって、
前記凍結条件は、前記トリップを終了する際に、前記エンジンの冷却水温が、外気温に基づく水温範囲内である条件である、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関し、詳しくは、吸気経路に設けられたスロットルバルブを有するエンジンを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの停止時に、エンジンの吸気温度および冷却水温に基づいてスロットルバルブの凍結条件の成否を判定し、凍結条件が不成立のときには、スロットルバルブを全閉状態に制御してエンジンを停止し、凍結条件が成立するときにはスロットルバルブを開状態で維持しつつエンジンを停止する車両が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車両では、こうした制御により、エンジン停止時にスロットルバルブが全閉状態で凍結するのを抑制している。
【0003】
また、エンジン停止時に、スロットルバルブを第1基準開度だけ開弁した状態にすると共に、エンジン始動時に、スロットルバルブを第1基準開度からさらに開弁側の第2基準開度まで開弁させた後に全閉させる車両も記載されている(例えば、特許文献2参照)。この車両では、こうした制御により、エンジン始動時にスロットルバルブ周囲の氷を除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-156301号公報
【文献】特開2016-125383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1,2では、車両のトリップとトリップとの間に、スロットルボディとスロットルボディに回動可能に支持されたスロットルバルブとを有するスロットル部、特に、スロットルボディとスロットルバルブとの間に凍結が生じたり、凍結が生じている場合にその程度が比較的進行したりする場合がある。スロットルボディとスロットルバルブとの間の凍結が比較的進行すると、スロットルバルブの開度を減少させにくくなることがある。
【0006】
本発明の車両は、車両のトリップとトリップとの間に、スロットル部に凍結が生じたり凍結が生じている場合にその程度が進行したりするのをより抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0008】
本発明の車両は、
吸気通路に設けられたスロットルボディと前記スロットルボディに回動可能に支持されたスロットルバルブとを有するスロットル部を備えるエンジンと、
前記エンジンを制御する制御装置と、
を備える車両であって、
前記制御装置は、トリップを終了する際に前記スロットル部の凍結条件が成立しているときには、前記トリップを終了する際およびその後の所定時間ごとに、前記スロットルバルブの開度を増減させる開度増減制御を実行する、
ことを要旨とする。
【0009】
本発明の車両では、トリップを終了する際にスロットル部の凍結条件が成立しているときには、トリップを終了する際およびその後の所定時間ごとに、スロットルバルブの開度を増減させる開度増減制御を実行する。ここで、「トリップを終了する際」は、車両のイグニッションスイッチ(スタートスイッチ)がオフされてシステム停止する(走行禁止にする)際を意味する。また、「トリップを終了する際」に、エンジンを運転しているときにはその運転を停止し、エンジンの運転を停止しているときにはそれを保持する。「スロットル部の凍結条件」は、スロットル部(例えば、スロットルバルブとスロットルボディとの間など)に凍結が生じている(氷が存在している)またはその後に凍結が生じ得ると推定される条件、または、スロットル部に凍結が生じているまたはその後に凍結が生じ得て且つ開度増減制御の実行によりスロットル部の凍結の解除や水の除去が可能であると推定される条件である。トリップを終了する際およびその後の所定時間ごとに開度増減制御を実行することにより、トリップを終了する際にだけ開度増減制御を実行したりトリップ中のエンジンを始動する際にだけ開度増減制御を実行したりするものに比して、車両のトリップとトリップとの間に、スロットル部の凍結の解除や水の除去をより十分に行なうことができる。即ち、車両のトリップとトリップとの間に、スロットル部に凍結が生じたり凍結が生じている場合にその程度が進行したりするのをより抑制することができる。なお、車両のトリップとトリップとの間に、スロットル部の凍結の解除や水の除去をより十分に行なっておくことにより、次回のトリップでエンジンを始動する際に開度増減制御を実行する必要性が低くなる。エンジンを始動する際に開度増減制御を実行すると、燃焼室内に吸入される空気量が変動し、エンジンの始動性に影響を与える可能性があるものの、エンジンを始動する際に開度増減制御を実行する必要性を低くすることにより、こうした不都合が生じるのを抑制することができる。
【0010】
本発明の車両において、前記制御装置は、前記トリップの終了後の前記所定時間ごとに、前記開度増減制御を実行する前に、前記スロットルバルブの開度を減少させるための判定用制御を実行し、前記判定用制御の際の、前記スロットルバルブの開度と目標開度との乖離量、前記スロットルバルブの開度を調節するスロットルモータの駆動電流、前記スロットルバルブの開度の単位時間当たりの変化量である開度変化率、のうちの少なくとも1つに基づいて、前記スロットル部に凍結が生じているか否かを判定し、前記スロットル部に凍結が生じていると判定したときには、前記開度増減制御として第1開度増減制御を実行し、前記スロットル部に凍結が生じていないと判定したときには、前記開度増減制御として前記第1開度増減制御とは異なる第2開度増減制御を実行するものとしてもよい。ここで、「第1開度増減制御」は、スロットル部の凍結を解除するための制御である。「第2開度増減制御」は、スロットル部(スロットルバルブの周囲)の水を除去するための制御である。こうした制御により、スロットル部に凍結が生じているか否かに応じて第1開度増減制御または第2開度増減制御を実行することができる。
【0011】
第1開度増減制御または第2開度増減制御を実行する態様の本発明の車両において、前記制御装置は、前記乖離量が所定乖離量以上である状態が第1所定時間以上に亘って継続した第1条件、前記駆動電流の絶対値が第1所定電流以上であり且つ前記開度変化率の絶対値が所定変化率以下である状態が第2所定時間以上に亘って継続した第2条件、前記駆動電流の絶対値が前記第1所定電流よりも大きい第2所定電流以上である状態が第3所定時間以上に亘って継続した第3条件、のうちの少なくとも1つが成立するときには、前記スロットル部に凍結が生じていると判定し、前記第1条件、前記第2条件、前記第3条件のうちの何れも成立しないときには、前記スロットル部に凍結が生じていないと判定するものとしてもよい。こうすれば、スロットル部に凍結が生じているか否かをより適切に判定することができる。
【0012】
第1開度増減制御または第2開度増減制御を実行する態様の本発明の車両において、前記制御装置は、前記第1開度増減制御では、前記スロットルバルブの開度を増加させてから減少させる増減セットを、前記スロットル部の凍結が解除したと判定するまで実行し、前記第2開度増減制御では、前記増減セットを所定回数だけ実行するものとしてもよい。こうすれば、前者の場合、スロットル部の凍結を解除することができる。また、後者の場合、スロットル部の水を除去することができる。
【0013】
第1開度増減制御で増減セットをスロットル部の凍結が解除したと判定するまで実行する態様の本発明の車両において、前記制御装置は、前記乖離量が所定乖離量以上である状態が第1所定時間以上に亘って継続した第1条件、前記駆動電流の絶対値が第1所定電流以上であり且つ前記開度変化率の絶対値が所定変化率以下である状態が第2所定時間以上に亘って継続した第2条件、前記駆動電流の絶対値が前記第1所定電流よりも大きい第2所定電流以上である状態が第3所定時間以上に亘って継続した第3条件、の全てが不成立となるときに、前記スロットル部の凍結が解除したと判定するものとしてもよい。こうすれば、スロットル部の凍結の解除をより適切に判定することができる。
【0014】
第1開度増減制御で増減セットをスロットル部の凍結が解除したと判定するまで実行する態様の本発明の車両において、前記スロットルバルブは、バッテリからの電力を用いて動作し、前記制御装置は、前記第1開度増減制御において、前記スロットル部の凍結が解除したと判定したときに、前記増減セットの回数が第1所定回数未満のときには、前記増減セットの回数が前記第1所定回数に至ったときに、前記第1開度増減制御を終了し、前記スロットル部の凍結が解除したと判定しなくても、前記増減セットの回数が前記第1所定回数よりも多い第2所定回数に至ったときには、前記第1開度増減制御を終了するものとしてもよい。こうすれば、前者の場合、スロットルバルブの周囲から氷を離間させるのをより十分に行なうことができる。また、後者の場合、バッテリの電力消費が過度に大きくなるのを抑制することができる。
【0015】
第1開度増減制御または第2開度増減制御を実行する態様の本発明の車両において、前記制御装置は、前記第1開度増減制御において前記スロットルバルブの開度の増加および減少のうちの一方を行なっている際に、前記スロットルバルブが異物を噛み込んだと判定したときには、前記スロットルバルブの開度の増加および減少のうちの前記一方とは異なる他方を行なってから前記一方を再開するものとしてもよい。こうすれば、スロットルバルブが異物を噛み込んだときに、その噛み込みを解除することができる。
【0016】
この場合、前記制御装置は、前記駆動電流の絶対値が第3所定電流以上であり且つ前記開度変化率の絶対値が第2所定変化率以下である状態が第4所定時間以上に亘って継続した第4条件、前記駆動電流の絶対値が前記第3所定電流よりも大きい第4所定電流以上である状態が第5所定時間以上に亘って継続した第5条件、のうちの少なくとも1つが成立したときに、前記スロットルバルブが異物を噛み込んだと判定するものとしてもよい。こうすれば、スロットルバルブが異物を噛み込んだか否かをより適切に判定することができる。
【0017】
本発明の車両において、前記制御装置は、前記開度増減制御において、前記スロットルバルブの開度の増加または減少の開始区間および終了区間で、前記開始区間および前記終了区間の間の中間区間よりも前記スロットルバルブの開度の増加または減少を緩やかに行なうものとしてもよい。こうすれば、スロットルバルブとスロットルモータとを連結するギヤ機構でのガタ打ち音を抑制することができる。
【0018】
本発明の車両において、前記凍結条件は、前記トリップを終了する際に、前記エンジンの冷却水温が、外気温に基づく水温範囲内である条件であるものとしてもよい。この場合、水温範囲は、外気温が低いほど高くなるように設定されるものとしてもよい。これらのようにすれば、凍結条件が成立しているか否かをより適切に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施例としての自動車10の構成の概略を示す構成図である。
【
図2】電子制御ユニット70により実行される第1制御ルーチンである。
【
図3】電子制御ユニット70により実行される第2制御ルーチンである。
【
図4】上下限値設定用マップの一例を示す説明図である。
【
図5】第1開度増減制御の一例を示すフローチャートである。
【
図6】第2開度増減制御の一例を示すフローチャートである。
【
図7】スロットルバルブ24vの目標開度TH*および開度THの様子の一例を示すタイムチャートである。
【
図8】スロットルバルブ24vの目標開度TH*および開度THの様子の一例を示すタイムチャートである。
【
図9】トリップを終了する際以降の様子の一例を示すタイムチャートである。
【
図10】スロットルバルブ24vの目標開度TH*および開度THの様子の一例を示すタイムチャートである。
【
図11】スロットルバルブ24vの目標開度TH*および開度THの様子の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0021】
図1は、本発明の一実施例としての自動車10の構成の概略を示す構成図である。実施例の自動車10は、図示するように、エンジン12と、スタータ(図示省略)と、発電機(オルタネータ)50と、バッテリ52と、変速機54と、電子制御ユニット70とを備える。
【0022】
エンジン12は、例えばガソリンや軽油などを燃料として吸気、圧縮、膨張(爆発燃焼)、排気の4行程により動力を出力する複数気筒(例えば、4気筒や6気筒など)の内燃機関として構成されている。このエンジン12は、気筒ごとの筒内に燃料を噴射する筒内噴射弁26と、点火プラグ30とを有する。エンジン12は、エアクリーナ22により清浄された空気を吸気通路23に吸入し、吸気通路23に設けられたスロットル部24、具体的には、吸気通路23に設けられたスロットルボディ24bに回動可能に支持されたスロットルバルブ24vを通過させ、更に吸気バルブ28を介して燃焼室29に吸入する。また、吸気行程や圧縮行程において筒内噴射弁26から燃料を噴射し、点火プラグ30による電気火花により爆発燃焼させる。そして、爆発燃焼によるエネルギにより押し下げられるピストン32の往復運動をクランクシャフト14の回転運動に変換する。燃焼室29から排気バルブ33を介して排気管34に排出される排気は、浄化装置35を介して外気に排出される。浄化装置35は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化触媒(三元触媒)35aを有する。なお、スロットルバルブ24vの開度を調節するスロットルモータ24mや筒内噴射弁26、点火プラグ30などには、バッテリ52が接続された電力ライン51から電力が供給される。また、スロットルバルブ24vとスロットルモータ24mとは、ギヤ機構(図示省略)を介して連結されている。
【0023】
スタータは、エンジン12のクランクシャフト14に接続されており、エンジン12をクランキングするのに用いられる。発電機50は、クランクシャフト14に接続されており、エンジン12からの動力を用いて発電してその電力をバッテリ52が接続された電力ライン51に供給する。変速機54は、エンジン12のクランクシャフト14と駆動輪DWにデファレンシャルギヤDFを介して連結された駆動軸DSとに接続されており、クランクシャフト14からの動力を変速して駆動軸DSに伝達する。
【0024】
電子制御ユニット70は、CPU71やROM72、RAM73、フラッシュメモリ74、入出力ポートを有するマイクロコンピュータを備える。電子制御ユニット70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。電子制御ユニット70に入力される信号としては、例えば、エンジン12のクランクシャフト14の回転位置を検出するクランクポジションセンサ14aからのクランク角θcrや、エンジン12の冷却水の温度を検出する水温センサ15からの冷却水温Twを挙げることができる。吸気バルブ28を開閉するインテークカムシャフトの回転位置や排気バルブ33を開閉するエキゾーストカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ16からのカム角θci,θcoも挙げることができる。スロットルバルブ24vのポジション(開度)を検出するスロットルポジションセンサ24oからのスロットルバルブ24vの開度THや、電力ライン51のスロットルモータ24m付近に取り付けられた電流センサ24iからのスロットルモータ24mの駆動電流Im、吸気通路23のスロットルバルブ24vよりも上流側に取り付けられたエアフローメータ23aからの吸入空気量Qa、吸気通路23のスロットルバルブ24vよりも上流側に取り付けられた温度センサ23tからの吸気温Taも挙げることができる。排気管34の浄化装置35よりも上流側に取り付けられたフロント空燃比センサ37からのフロント空燃比AF1や、排気管34の浄化装置35よりも下流側に取り付けられたリヤ空燃比センサ38からのリヤ空燃比AF2も挙げることができる。変速機54の入力軸に取り付けられた回転数センサからの変速機54の入力軸の回転数や、変速機54の出力軸に取り付けられた回転数センサからの変速機54の出力軸の回転数も挙げることができる。イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号IGや、シフトレバーの操作位置を検出するシフトポジションセンサからのシフトポジションSPも挙げることができる。アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサからのアクセル開度Accや、ブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサからのブレーキペダルポジションBP、車速センサからの車速Vも挙げることができる。外気温センサ82からの外気温Toも挙げることができる。
【0025】
電子制御ユニット70からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。電子制御ユニット70から出力される信号としては、例えば、エンジン12のスロットルバルブ24vの開度を調節するスロットルモータ24mへの制御信号や、筒内噴射弁26への制御信号、点火プラグ30への制御信号を挙げることができる。また、スタータ(図示省略)への制御信号や、発電機50への制御信号、変速機54への制御信号も挙げることができる。
【0026】
電子制御ユニット70は、クランクポジションセンサ14aからのクランク角θcrに基づいて、エンジン12の回転数Neを演算している。また、電子制御ユニット70は、エアフローメータ23aからの吸入空気量Qaとエンジン12の回転数Neとに基づいて、エンジン12の負荷率(エンジン12の1サイクルあたりの行程容積に対する1サイクルで実際に吸入される空気の容積の比)KLを演算している。さらに、電子制御ユニット70は、水温センサ15からの冷却水温Twやエンジン12の回転数Neおよび負荷率KLに基づいて、浄化装置35の浄化触媒35aの温度Tcを推定している。
【0027】
こうして構成された実施例の自動車10では、電子制御ユニット70は、アクセル開度Accや車速Vに基づいて変速機54の目標変速段Gs*を設定し、変速機54の変速段Gsが目標変速段Gs*となるように変速機54を制御する。また、アクセル開度Accや車速V、変速機54の変速段Gsに基づいてエンジン12の目標トルクTe*を設定し、エンジン12が目標トルクTe*に基づいて運転されるように、エンジン12の吸入空気量制御や燃料噴射制御、点火制御などを行なう。
【0028】
また、実施例の自動車10では、電子制御ユニット70は、停車中において、エンジン12の運転中に自動停止条件が成立するとエンジン12の運転を停止し、自動停止条件の成立によるエンジン12の運転停止中に自動始動条件が成立するとエンジン12を始動する、自動停止制御(いわゆるアイドルストップ制御)を実行する。自動停止条件としては、例えば、アクセルオフ且つブレーキオンである条件が用いられる。自動始動条件としては、例えば、アクセルオンまたはブレーキオフされた条件が用いられる。
【0029】
次に、こうして構成された実施例の自動車10の動作、特に、トリップを終了する際(イグニッションスイッチ80がオフされてシステム停止する際)やその後の動作について説明する。
図2は、電子制御ユニット70により実行される第1制御ルーチンであり、
図3は、電子制御ユニット70により実行される第2制御ルーチンである。以下、順に説明する。
【0030】
図2の第1制御ルーチンについて説明する。このルーチンは、イグニッションスイッチ80がオフされると実行される。なお、イグニッションスイッチ80がオフされると、エンジン12を運転しているときには、本ルーチンの実行を開始する前にその運転を停止し、エンジン12の運転を停止しているときにはそれを保持する。また、本ルーチンの実行を開始するときに、スロットルバルブ24vの開度THは、オープナ開度THop(スロットルバルブ24vの駆動電流Imが値0のときの開度)となっている。
【0031】
図2の第1制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット70は、最初に、外気温Toとエンジン12の冷却水温Twとに基づいてスロットル部24の凍結条件が成立しているか否かを判定する(ステップS100,S102)。ここで、外気温Toは、イグニッションスイッチ80がオフされたときに外気温センサ82により検出された値が用いられる。エンジン12の冷却水温Twは、イグニッションスイッチ80がオフされたときに水温センサ15により検出された値が用いられる。
【0032】
スロットル部24の凍結条件は、スロットル部24(例えば、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間など)に凍結が生じている(氷が存在している)またはその後に凍結が生じ得て且つ後述の開度増減制御(初回開度増減制御や第1開度増減制御、第2開度増減制御)の実行によりスロットル部24の凍結の解除や水の除去が可能であると推定される条件である。ステップS100,S102の判定処理について、実施例では、外気温Toが閾値To1以下であり且つ冷却水温Twが外気温Toに基づく上下限値Twmax,Twminの範囲内であるときには、スロットル部24の凍結条件が成立していると判定し、外気温Toが閾値To1よりも高いときや、外気温Toが閾値To1以下で且つ冷却水温Twが上下限値Twmax,Twminの範囲外であるときには、スロットル部24の凍結条件が成立していないと判定するものとした。閾値To1や上下限値Twmax,Twminは、実験や解析、機械学習などにより予め定められる。閾値To1としては、例えば、-10℃~0℃程度が用いられる。上限値Twmaxとしては、例えば、100℃~120℃程度が用いられる。下限値Twminとしては、0℃~20℃程度が用いられる。上下限値Twmax,Twminは、外気温Toと上下限値Twmax,Twminとの関係を実験や解析、機械学習などにより予め定めて上下限値設定用マップとして記憶しておき、外気温Toが閾値To1以下のときに、外気温Toが与えられるとこのマップから対応する上下限値Twmax,Twminを導出することにより設定するものとした。
図4は、上下限値設定用マップの一例を示す説明図である。図示するように、上下限値Twmax,Twminは、外気温Toが低いほど高くなるように設定される。
【0033】
ここで、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間に凍結が発生するメカニズムなどについて説明する。エンジン12の運転中に、燃焼室29側からスロットル部24側に吹き返した水分が低温環境で吸入空気により冷却されてスロットルバルブ24vに付着、結露し、凍結する場合がある。そして、エンジン12の停止後にスロットルボディ24bを流通する冷却水によりスロットルバルブ24vの温度が上昇して氷が融解し、融解により生じた水がスロットルバルブ24vの下側に流れ落ち、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間に溜まり、外気により冷却されて再凍結する場合がある。実施例では、これを踏まえて、上述のように、スロットル部24の凍結条件が成立しているか否かを、外気温Toとエンジン12の冷却水温Twとに基づいて判定するものとした。これにより、夏期など外気温Toが比較的高いときには、スロットル部24の凍結条件が成立していないと判定することになる。また、冬期において、エンジン12の冷却水温Twが十分に低く後述の開度増減制御を実行してもスロットル部24の凍結の解除(融解や叩き割り)が困難であるときや、エンジン12の冷却水温Twが十分に高くそもそもスロットル部24に凍結が生じないときなどには、スロットル部24の凍結条件が成立していないと判定することになる。
【0034】
ステップS100,S102でスロットル部24の凍結条件が成立していると判定したときには、スロットルバルブ24vの開度を増減させる開度増減制御のうち、スロットルバルブ24vの開度の増加および減少の増減セットを1回だけ行なう初回開度増減制御を実行して(ステップS110)、本ルーチンを終了する。ここで、初回開度増減制御では、スロットルバルブ24vの目標開度TH*をオープナ開度THopから増加させてからオープナ開度THopに減少させると共に、この目標開度TH*に基づく駆動電流Imをスロットルモータ24mに供給することにより、スロットルバルブ24vを制御する。これにより、スロットル部24の凍結を解除したり水を除去したりすることができる。例えば、自動停止条件の成立によるエンジン12の運転停止中にイグニッションスイッチ80がオフされた場合などには、イグニッションスイッチ80がオフされたときに、スロットルボディ24bを流通する冷却水によりスロットルバルブ24vの温度が上昇しており、スロットルバルブ24vに付着した氷が融解している可能性がある。このため、このときに初回開度増減制御を実行することにより、スロットル部24(スロットルバルブ24vの周囲)の水を除去することができる。
【0035】
ステップS100,S102でスロットル部24の凍結条件が成立していないと判定したときには、開度増減制御を実行することなく、本ルーチンを終了する。これにより、開度増減制御を実行する機会を限定し、バッテリ52の無駄な電力消費を抑制することができる。
【0036】
次に、
図3の第2制御ルーチンについて説明する。このルーチンは、
図2の第1制御ルーチンにより、スロットル部24の凍結条件が成立していると判定して初回開度増減制御を実行したとき(履歴があるとき)に、ソーク時間(トリップ終了からの時間)Tsが所定時間ΔTの倍数と一致するごとに、即ち、トリップ終了後の所定時間ΔT(例えば、数十分程度)ごとに、繰り返し実行される。なお、本ルーチンの実行を開始するときに、スロットルバルブ24vの開度THは、オープナ開度THopとなっている。
【0037】
図3の第2制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット70は、最初に、スロットルバルブ24vの開度THをオープナ開度THopから減少させる判定用制御を実行する(ステップS200)。ここで、判定用制御では、スロットルバルブ24vの目標開度TH*にオープナ開度THopよりも小さい開度を所定時間T10(例えば、数百msec程度)に亘って設定すると共に、この目標開度TH*に基づく駆動電流Imをスロットルモータ24mに供給することにより、スロットルバルブ24vを制御する。
【0038】
続いて、判定用制御の際の、スロットルバルブ24vの開度THと目標開度TH*との乖離量(差分)Dthと、スロットルモータ24mの駆動電流Imと、スロットルバルブ24vの開度THの単位時間当たりの変化量である開度変化率dTHとに基づいて、スロットル部24、特に、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間に凍結が生じている(氷が存在しており、スロットルバルブ24vの開度THをオープナ開度THopよりも小さくすることが困難である)か否かを判定する(ステップS210,S212)。ここで、スロットルバルブ24vの開度THは、スロットルポジションセンサ24oにより検出された値が用いられる。スロットルモータ24mの駆動電流Imは、電流センサ24iにより検出された値が用いられる。
【0039】
ステップS210,S212の判定処理について、実施例では、以下の第1条件、第2条件、第3条件のうちの少なくとも1つが成立しているときには、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間に凍結が生じていると判定し、第1条件、第2条件、第3条件の全てが不成立であるときには、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間に凍結が生じていないと判定するものとした。第1条件、第2条件、第3条件は、判定用制御において目標開度TH*に基づく駆動電流Imをスロットルモータ24mに供給したときにスロットルバルブ24vの開度THが目標開度TH*に追従するか否かを判定することにより、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間に凍結が生じている(スロットルバルブ24vの開度THをオープナ開度THopよりも小さくすることが困難である)か否かを判定するための条件である。第1条件は、スロットルバルブ24vの開度THと目標開度TH*との乖離量Dthが閾値Dthref以上である状態が所定時間T1以上に亘って継続した条件である。第2条件は、スロットルモータ24mの駆動電流Imの絶対値が閾値Imref1以上であり且つスロットルバルブ24vの開度変化率dTHの絶対値が閾値dTHref1以下である状態が所定時間T2以上に亘って継続した条件である。第3条件は、スロットルモータ24mの駆動電流Imの絶対値が閾値Imref1よりも大きい閾値Imref2以上である状態が所定時間T3以上に亘って継続した条件である。閾値Dthrefや閾値Imref1、閾値dTHref1、所定時間T1,T2,T3は、実験や解析、機械学習などにより予め定められる。所定時間T1,T2,T3としては、上述の所定時間T10よりも若干短い時間が用いられる。所定時間T1,T2,T3は、同一の時間でもよいし、異なる時間でもよい。閾値Imref2は、過電流判定用の閾値である。
【0040】
ステップS210,S212でスロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間に凍結が生じていると判定したときには、開度増減制御のうち、
図5の第1開度増減制御を実行して(ステップS220)、本ルーチンを終了する。一方、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間に凍結が生じていないと判定したときには、開度増減制御のうち
図6の第2開度増減制御を実行して(ステップS230)、本ルーチンを終了する。ここで、第1開度増減制御は、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結を解除するための制御である。第2開度増減制御は、スロットル部24(スロットルバルブ24vの周囲)に水が存在する場合にその水を除去するための制御である。以下、
図5の第1開度増減制御、
図6の第2開度増減制御について順に説明する。
【0041】
図5の第1開度増減制御について説明する。第1開度増減制御では、電子制御ユニット70は、スロットルバルブ24vの開度を増加させる開度増加制御とスロットルバルブ24vの開度を減少させる開度減少制御とをこの順に実行し(ステップS300,S310)、このスロットルバルブ24vの開度THの増減セット(開度増加制御および開度減少制御のセット)の回数Nsをカウントアップする(ステップS320)。ここで、増減セットの回数Nsは、
図5の第1開度増減制御を開始するときに、初期値としての値0が設定される。
【0042】
開度増加制御では、スロットルバルブ24vの目標開度TH*をオープナ開度THopよりも大きい所定開度THu(THop<TH1<TH2<THu)まで増加させると共に、この目標開度TH*に基づく駆動電流Imをスロットルモータ24mに供給することにより、スロットルバルブ24vを制御する。実施例では、開度増加制御を開始するときの開度THを目標開度TH*の初期値に設定し、目標開度TH*が閾値TH1以下である開始区間では、目標開度TH*の単位時間当たりの増加量である開度増加率Ruを所定値Ru1として目標開度TH*を増加させる。また、目標開度TH*が閾値TH1よりも大きく且つ閾値TH2未満である中間区間では、開度増加率Ruを所定値Ru1よりも大きい所定値Ru2として目標開度TH*を増加させる。さらに、目標開度TH*が閾値TH2以上である終了区間では、開度増加率Ruを所定値Ru1として目標開度TH*を増加させる。
【0043】
開度減少制御では、スロットルバルブ24vの目標開度TH*をオープナ開度THopよりも小さい所定開度THd(THd<THop<TH1<TH2<THu)まで減少させると共に、この目標開度TH*に基づく駆動電流Imをスロットルモータ24mに供給することにより、スロットルバルブ24vを制御する。目標開度TH*をオープナ開度THopよりも減少させるのは、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結を解除する(氷を叩き割る)ためである。実施例では、開度減少制御を開始するときの開度THを目標開度TH*の初期値に設定し、目標開度TH*が閾値TH2以上である開始区間では、目標開度TH*の単位時間当たりの減少量である開度減少率Rdを所定値Rd1として目標開度TH*を減少させる。また、目標開度TH*が閾値TH2未満で且つ閾値TH1よりも大きい中間区間では、開度減少率Rdを所定値Rd1よりも大きい所定値Rd2として目標開度TH*を減少させる。さらに、目標開度TH*が閾値TH1以下である終了区間では、開度減少率Rdを所定値Rd1として目標開度TH*を減少させる。
【0044】
このようにして開度増加制御や開度減少制御を実行することにより、具体的には、開始区間および終了区間で中間区間よりもスロットルバルブ24vの目標開度TH*ひいては開度THを緩やかに変化させることにより、スロットルモータ24mとスロットルバルブ24vとを連結するギヤ機構でのガタ打ち音を抑制することができる。
【0045】
こうして開度増加制御および開度減少制御を終了すると、開度増加制御および開度減少制御の際の、スロットルバルブ24vの開度THと目標開度TH*との乖離量Dthと、スロットルモータ24mの駆動電流Imと、スロットルバルブ24vの開度変化率dTHとに基づいて、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結が解除した(氷の叩き割りが完了した)か否かを判定する(ステップS330,S332)。
【0046】
ここで、ステップS330,S332の判定処理について、実施例では、開度減少制御においてスロットルバルブ24vの目標開度TH*がオープナ開度THopよりも小さい開度であるときに、上述の第1条件、第2条件、第3条件のうちの少なくとも1つが成立しているときには、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結が解除していない(氷の叩き割りが完了していない)と判定し、第1条件、第2条件、第3条件の全てが不成立であるときには、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結が解除した(氷の叩き割りが完了した)と判定するものとした。第1条件、第2条件、第3条件は、開度減少制御でスロットルバルブ24vの目標開度TH*がオープナ開度THopよりも小さい開度であるときにおいて目標開度TH*に基づく駆動電流Imをスロットルモータ24mに供給したときにスロットルバルブ24vの開度THが目標開度TH*に追従するか否かを判定することにより、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結が解除したか否かを判定するための条件である。こうした開度増加制御および開度減少制御により、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結を解除する(氷を叩き割る)ことができる。
【0047】
ステップS330,S332でスロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結が解除した(氷の叩き割りが完了した)と判定したときには、増減セットの回数Nsを閾値Ns1と比較する(ステップS340)。ここで、閾値Ns1は、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結を解除して(氷を叩き割って)更にその氷をスロットルバルブ24vの周囲から離間させるために少なくとも必要な回数として、実験や解析、機械学習などにより予め定められる。閾値Ns1としては、例えば、3回~5回程度が用いられる。増減セットの回数Nsが閾値Ns1未満のときには、ステップS300に戻る。増減セットの回数Nsが閾値Ns1以上のときには、本ルーチンを終了する。即ち、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結が解除したときに増減セットの回数Nsが閾値Ns1未満のときには、増減セットの回数Nsが閾値Ns1以上に至ったときに第1開度増減制御を終了するのである。これにより、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の氷を叩き割って更にスロットルバルブ24vの周囲から離間させるのをより十分に行なうことができる。
【0048】
ステップS330,S332でスロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結が解除していない(氷の叩き割りが完了していない)と判定したときには、増減セットの回数Nsを閾値Ns1よりも多い閾値Ns2と比較する(ステップS350)。ここで、閾値Ns2は、バッテリ52の電力消費が過度に大きくなるのを抑制可能な回数として、実験や解析、機械学習などにより予め定められる。閾値Ns2としては、例えば、閾値Ns1よりも1回~3回程度多い回数が用いられる。増減セットの回数Nsが閾値Ns2未満のときには、ステップS300に戻る。増減セットの回数Nsが閾値Ns2以上のときには、本ルーチンを終了する。即ち、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結が解除していなくても、増減セットの回数Nsが閾値Ns2以上に至ると、第1開度増減制御を終了するのである。これにより、バッテリ52の電力消費が過度に大きくなるのを抑制することができる。
【0049】
図7は、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間に凍結が生じていると判定し(
図3のステップS210,S212)、第1開度増減制御(
図3のステップS220、
図5)を実行するときのスロットルバルブ24vの目標開度TH*および開度THの様子の一例を示すタイムチャートである。
図7の例では、閾値Ns1を4回とした。図示するように、判定用制御を実行してその際の乖離量Dthや駆動電流Im、開度変化率dTHに基づいてスロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間に凍結が生じていると判定すると(時刻t11~t12)、第1開度増減制御を開始する。そして、増減セットの回数Nsが4回未満であるまたはスロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結が解除していない(氷の叩き割りが完了していない)と判定したときには、第1開度増減制御を継続する。そして、増減セットの回数Nsが4回以上であり且つスロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結が解除した(氷の叩き割りが完了した)と判定すると(時刻t13)、第1開度増減制御を終了する。このようにして、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結を解除する(氷を叩き割る)ことができる。
【0050】
次に、
図6の第2開度増減制御について説明する。第2開度増減制御では、電子制御ユニット70は、
図5の第1開度増減制御のステップS300~S320の処理と同様に、開度増加制御および開度減少制御をこの順に実行すると共に(ステップS400,S410)、増減セットの回数Nsをカウントアップする(ステップS420)。ここで、増減セットの回数Nsは、
図6の第2開度増減制御を開始するときに、初期値としての値0が設定される。
【0051】
続いて、増減セットの回数Nsを閾値Ns3と比較する(ステップS430)。ここで、閾値Ns3は、スロットル部24(スロットルバルブ24vの周囲)に水が存在する場合にその水を除去するために必要な回数として、実験や解析、機械学習などにより予め定められる。閾値Nref3としては、例えば、2回~4回程度が用いられる。増減セットの回数Nsが閾値Ns3未満のときには、ステップS400に戻る。増減セットの回数Nsが閾値Ns3以上のときには、本ルーチンを終了する。即ち、増減セットの回数Nsが閾値Ns3以上に至ったときに第2開度増減制御を終了するのである。このようにして、スロットルバルブ24vの周囲に水が存在するときに、その水を除去することができる。
【0052】
図8は、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間に凍結が生じていないと判定し(
図3のステップS210,S212)、第2開度増減制御(
図3のステップS230、
図6)を実行するときのスロットルバルブ24vの目標開度TH*および開度THの様子の一例を示すタイムチャートである。
図8の例では、閾値Ns3を3回とした。図示するように、判定用制御を実行してその際の乖離量Dthや駆動電流Im、開度変化率dTHに基づいてスロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間に凍結が生じていないと判定すると(時刻t21~t22)、第2開度増減制御を開始する。そして、増減セットの回数Nsが3回以上に至ると(時刻t23)、第2開度増減制御を終了する。このようにして、スロットルバルブ24vの周囲に水が存在するときに、その水を除去することができる。
【0053】
図9は、トリップを終了する際以降の様子の一例を示すタイムチャートである。
図9では、イグニッションスイッチ80の状態、エンジン12の回転数Ne、ソーク時間Ts、スロットルバルブ24vの目標開度TH*について図示した。図示するように、エンジン12の運転中にイグニッションスイッチ80がオフされると(時刻t31)、エンジン12の運転を停止し、そのときの外気温Toおよび冷却水温Twに基づいてスロットル部24の凍結条件が成立していると判定すると、初回開度増減制御を実行する。続いて、ソーク時間Tsが時間ΔT,2×ΔT,3×ΔTのときに(時刻t32,t33,t34)、それぞれスロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間に凍結が生じていないと判定すると、第2開度増減制御を実行する。これにより、スロットルバルブ24vの周囲に水が存在するときに、その水を除去することができる。そして、ソーク時間Tsが時間4×ΔTのときに(時刻t35)、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間に凍結が生じていると判定すると、第1開度増減制御を実行する。これにより、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結を解除する(氷を叩き割る)ことができる。このようにして、トリップを終了する際およびその後の所定時間ΔTごとに開度増減制御(初回開度増減制御、第2開度増減制御、第1開度増減制御のうちの何れか)を実行することにより、トリップを終了する際にだけ開度増減制御を実行したりトリップ中のエンジン12を始動する際にだけ開度増減制御を実行したりするものに比して、車両のトリップとトリップとの間に、スロットルバルブ24vの周囲の水の除去や、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結の解除(氷の叩き割り)をより十分に行なうことができる。即ち、車両のトリップとトリップとの間に、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間に凍結が生じたり凍結が生じている場合にその程度が進行したりするのをより抑制することができる。
【0054】
なお、車両のトリップとトリップとの間に、スロットル部24の凍結の解除や水の除去をより十分に行なっておくことにより、次回のトリップでエンジン12を始動する際に開度増減制御を実行する必要性が低くなる。エンジン12を始動する際に開度増減制御を実行すると、燃焼室29内に吸入される空気量が変動し、エンジン12の始動性に影響を与える可能性があるものの、エンジン12を始動する際に開度増減制御を実行する必要性を低くすることにより、こうした不都合が生じるのを抑制することができる。
【0055】
以上説明した実施例の自動車10では、トリップを終了する際にスロットル部24の凍結条件が成立しているときには、トリップを終了する際に、開度増減制御のうち初回開度増減制御を実行し、その後の所定時間ΔTごとに、開度増減制御のうち第1開度増減制御または第2開度増減制御を実行する。これにより、トリップを終了する際にだけ開度増減制御を実行したりトリップ中のエンジン12を始動する際にだけ開度増減制御を実行したりするものに比して、車両のトリップとトリップとの間に、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結の解除(氷の叩き割り)やスロットルバルブ24vの周囲の水の除去をより十分に行なうことができる。即ち、車両のトリップとトリップとの間に、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間に凍結が生じたり凍結が生じている場合にその程度が進行したりするのをより抑制することができる。
【0056】
実施例の自動車10では、スロットル部24の凍結条件として、スロットル部24に凍結が生じているまたはその後に凍結が生じ得て且つ開度増減制御(初回開度増減制御や第1開度増減制御、第2開度増減制御)の実行によりスロットル部24の凍結の解除や水の除去が可能であると推定される条件を用いるものとした。具体的には、外気温Toが閾値To1以下で且つ冷却水温Twが外気温Toに基づく上下限値Twmax,Twminの範囲内であるときには、スロットル部24の凍結条件が成立していると判定し、外気温Toが閾値To1よりも高いときや、外気温Toが閾値To1以下で且つ冷却水温Twが上下限値Twmax,Twminの範囲外であるときには、スロットル部24の凍結条件が成立していないと判定するものとした。しかし、スロットル部24の凍結条件として、スロットル部24に凍結が生じているまたはその後に凍結が生じ得る条件を用いるものとしてもよい。即ち、スロットル部24の凍結条件として、開度増減制御の実行によりスロットル部24の凍結の解除や水の除去が可能である条件を含まないものとしてもよい。この場合、外気温Toが閾値To1以下で且つ冷却水温Twが外気温Toに基づく上限値Twmax以下の範囲内であるときには、スロットル部24の凍結条件が成立していると判定し、外気温Toが閾値To1よりも高いときや、外気温Toが閾値To1以下で且つ冷却水温Twが上下限値Twmaxよりも高いときには、スロットル部24の凍結条件が成立していないと判定するものとしてもよい。
【0057】
実施例の自動車10では、トリップを終了する際にスロットル部24の凍結条件が成立していると判定したときには、トリップを終了する際に、開度増減制御のうち初回開度増減制御を実行するものとしたが、開度増減制御のうち第2開度増減制御を実行するものとしてもよい。
【0058】
実施例の自動車10では、電子制御ユニット70は、トリップの終了後でも作動しているものとしたが、初回開度増減制御を終了するとスリープ状態になり、その後は、所定時間ΔTごとに自動起動して
図3の第2制御ルーチンを実行し、この第2制御ルーチンを終了するとスリープ状態になるものとしてもよい。
【0059】
実施例の自動車10では、トリップを終了する際にスロットル部24の凍結条件が成立しているときのトリップ終了後の所定時間ごとに、判定用制御を実行してスロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間に凍結が生じているか否かを判定する。そして、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間に凍結が生じていると判定したときには、第1開度増減制御を実行する。一方、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間に凍結が生じていないと判定したときには、第2開度増減制御を実行する。しかし、判定用制御を行なわずに、同一の開度増減制御、例えば、第2開度増減制御を実行するものとしてもよい。
【0060】
実施例の自動車10では、判定用制御の際の、スロットルバルブ24vの開度THと目標開度TH*との乖離量Dthと、スロットルモータ24mの駆動電流Imと、スロットルバルブ24vの開度変化率dTHと、に基づく第1条件、第2条件、第3条件を用いて、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間に凍結が生じているか否かを判定するものとした。しかし、第1条件、第2条件、第3条件のうちの一部だけを用いて、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間に凍結が生じているか否かを判定するものとしてもよい。
【0061】
実施例の自動車10では、第1開度増減制御の際の乖離量Dth、駆動電流Im、開度変化率dTHに基づく第1条件、第2条件、第3条件を用いて、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結が解除したか否かを判定するものとした。しかし、第1条件、第2条件、第3条件のうちの一部だけを用いて、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結が解除したか否かを判定するものとしてもよい。
【0062】
実施例の自動車10では、第1開度増加制御において、開度増加制御としてスロットルバルブ24vの目標開度TH*ひいては開度THを増加させ、その後に、開度減少制御としてスロットルバルブ24vの目標開度TH*ひいては開度THを減少させるものとした。ここで、スロットルバルブ24vの目標開度TH*ひいては開度THを増加させている最中にスロットルバルブ24vが異物(例えば、氷など)を噛み込んだと判定したときには、スロットルバルブ24vの目標開度TH*ひいては開度THについて、所定開度ΔTH1だけ減少させてから増加を再開させるものとしてもよい。また、スロットルバルブ24vの目標開度TH*ひいては開度THを減少させている最中にスロットルバルブ24vが異物を噛み込んだと判定したときには、スロットルバルブ24vの目標開度TH*ひいては開度THについて、所定開度ΔTH2だけ増加させてから減少を再開させるものとしてもよい。こうした制御により、スロットルバルブ24vが異物を噛み込んだときに、その噛み込みを解除することができる。所定開度ΔTH1,ΔTH2は、スロットルバルブ24vが噛み込んだ異物の噛み込みを解除するのに必要な値として、実験や解析、機械学習などにより予め定められる。所定開度ΔTH1,ΔTH2は、同一の値でもよいし、異なる値でもよい。
【0063】
スロットルバルブ24vが異物を噛み込んだか否かの判定処理について、開度増加制御または開度減少制御の際の、スロットルモータ24mの駆動電流Imとスロットルバルブ24vの開度変化率dTHとに基づいて、以下の第4条件、第5条件のうちの少なくとも1つが成立しているときには、スロットルバルブ24vが異物を噛み込んだと判定し、第4条件、第5条件の全てが不成立であるときには、スロットルバルブ24vが異物を噛み込んでないと判定するものとした。第4条件、第5条件は、目標開度TH*に基づく駆動電流Imをスロットルモータ24mに供給したときにスロットルバルブ24vの開度THが目標開度TH*に追従するか否かを判定することにより、スロットルバルブ24vが異物を噛み込んだか否かを判定するための条件である。第4条件は、スロットルモータ24mの駆動電流Imの絶対値が閾値Imref3以上であり且つスロットルバルブ24vの開度変化率dTHの絶対値が閾値dTHref2以下である状態が所定時間T4以上に亘って継続した条件である。第5条件は、スロットルモータ24mの駆動電流Imの絶対値が閾値Imref3よりも大きい閾値Imref4以上である状態が所定時間T5以上に亘って継続した条件である。閾値Imref3、閾値dTHref2、所定時間T4,T5は、実験や解析、機械学習などにより予め定められる。閾値Imref3は、上述の閾値Imref1と同一の値でもよいし、異なる値でもよい。閾値dTHref2は、上述の閾値dTHref1と同一の値でもよいし、異なる値でもよい。所定時間T4は、上述の所定時間T2と同一の時間でもよいし、異なる時間でもよい。所定時間T5は、上述の所定時間T3と同一の時間でもよいし、異なる時間でもよい。閾値Imref4は、上述の閾値Imref2と同様に、過電流判定用の閾値である。
【0064】
図10は、第1開度増減制御においてスロットルバルブ24vの目標開度TH*ひいては開度THを増加させている最中にスロットルバルブ24vが異物を噛み込んだときの目標開度TH*および開度THの様子を示すタイムチャートである。図示するように、スロットルバルブ24vの目標開度TH*ひいては開度THを増加させている最中に、駆動電流Imや開度変化率dTHに基づいてスロットルバルブ24vが異物を噛み込んだと判定すると(時刻t41)、スロットルバルブ24vの目標開度TH*ひいては開度THについて、減少させてから(時刻t41~t42)増加を再開させる(時刻t42~)。こうした制御により、スロットルバルブ24vが異物を噛み込んだときに、その噛み込みを解除することができる。
【0065】
図11は、第1開度増減制御においてスロットルバルブ24vの目標開度TH*ひいては開度THを減少させている最中にスロットルバルブ24vが異物を噛み込んだときの目標開度TH*および開度THの様子を示すタイムチャートである。図示するように、スロットルバルブ24vの目標開度TH*ひいては開度THを減少させている最中に、駆動電流Imや開度変化率dTHに基づいてスロットルバルブ24vが異物を噛み込んだと判定すると(時刻t51)、スロットルバルブ24vの目標開度TH*ひいては開度THについて、増加させてから(時刻t51~t52)増加を再開させる(時刻t52~)。こうした制御により、スロットルバルブ24vが異物を噛み込んだときに、その噛み込みを解除することができる。
【0066】
変形例では、開度増減制御または開度減少制御の際の駆動電流Imおよび開度変化率dTHに基づく第4条件および第5条件を用いて、スロットルバルブ24vが異物を噛み込んだか否かを判定するものとした。しかし、第4条件および第5条件の何れかだけを用いて、スロットルバルブ24vが異物を噛み込んだか否かを判定するものとしてもよい。
【0067】
変形例では、スロットルバルブ24vの目標開度TH*ひいては開度THを増加させている最中にスロットルバルブ24vが異物を噛み込んだと判定したときには、スロットルバルブ24vの目標開度TH*ひいては開度THについて、所定開度ΔTH1だけ減少させてから増加を再開させるものとした。また、スロットルバルブ24vの目標開度TH*ひいては開度THを減少させている最中にスロットルバルブ24vが異物を噛み込んだと判定したときには、スロットルバルブ24vの目標開度TH*ひいては開度THについて、所定開度ΔTH2だけ増加させてから減少を再開させるものとした。しかし、スロットルバルブ24vが異物を噛み込んだとの判定回数が所定回数以上となる(判定頻度が比較的高い)ときには、第1開度増減制御を中止するものとしてもよい。これは、スロットルバルブ24vに異常が生じている可能性があるためである。
【0068】
実施例の自動車10では、第1開度増加制御において、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結が解除したときに、増減セットの回数Nsが閾値Ns1未満のときには、増減セットの回数Nsが閾値Ns1以上に至ったときに第1開度増減制御を終了するものとした。しかし、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結が解除したときには、増減セットの回数Nsが閾値Ns1未満のときでも、第1開度増減制御を終了するものとしてもよい。
【0069】
実施例の自動車10では、第1開度増減制御において、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結が解除していなくても、増減セットの回数Nsが閾値Ns2以上に至ると、第1開度増減制御を終了するものとした。しかし、スロットルバルブ24vとスロットルボディ24bとの間の凍結が解除するまで、第1開度増減制御を実行するものとしてもよい。
【0070】
実施例の自動車10では、第1開度増減制御および第2開度増減制御の開度増加制御および開度減少制御において、開始区間および終了区間で中間区間よりもスロットルバルブ24vの目標開度TH*ひいては開度THを緩やかに変化させるものとした。しかし、開始区間、中間区間、終了区間に拘わらずに、スロットルバルブ24vの目標開度TH*ひいては開度THを略一定の速度(単位時間当たりの変化量である変化率)で変化させるものとしてもよい。
【0071】
実施例の自動車10では、第1開度増減制御と第2開度増減制御とで、開度増加制御および開度減少制御を同一としたが、開度増加制御および/または開度減少制御を異ならせるものとしてもよい。例えば、第1開度増減制御と第2開度増減制御とで、開度増加制御で用いる閾値TH1,TH2および所定値Ru1,Ru2、開度減少制御で用いる閾値TH2,TH1および所定値Rd1,Rd2のうちの1つを互いに異ならせるものとしてもよい。
【0072】
実施例の自動車10では、第1開度増減制御および第2開度増減制御の開度増加制御において、開始区間の開度増加率Ruと終了区間の開度増加率Ruとを同一の所定値Ru1としたが、互いに異なる値としてもよい。また、実施例では、第1開度増減制御および第2開度増減制御の開度減少制御において、開始区間の開度減少率Rdと終了区間の開度減少率Rdとを同一の所定値Rd1としたが、互いに異なる値としてもよい。
【0073】
実施例の自動車10では、第1開度増減制御および第2開度増減制御において、開度増加制御の開始区間と中間区間との境界開度と、開度減少制御の中間区間と終了区間との境界開度と、を同一の閾値TH1としたが、互いに異なる値としてもよい。また、実施例では、第1開度増減制御および第2開度増減制御において、開度増加制御の中間区間と終了区間との境界開度と、開度減少制御の開始区間と中間区間との境界開度と、を同一の閾値TH2としたが、互いに異なる値としてもよい。
【0074】
実施例では、エンジン12からの動力を用いて走行する一般的な自動車10の形態について説明した。しかし、エンジンに加えて少なくとも1つのモータジェネレータを備えるシリーズタイプやパラレルタイプのハイブリッド自動車の形態としてもよい。
【0075】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン12が「エンジン」に相当し、電子制御ユニット70が「制御装置」に相当する。
【0076】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0077】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、車両の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0079】
10 自動車、12 エンジン、14 クランクシャフト、14a クランクポジションセンサ、15 水温センサ、16 カムポジションセンサ、22 エアクリーナ、23 吸気通路、23a エアフローメータ、23t 温度センサ、24 スロットル部、24b スロットルボディ、24i 電流センサ、24m スロットルモータ、24o スロットルポジションセンサ、24v スロットルバルブ、26 筒内噴射弁、28 吸気バルブ、29 燃焼室、30 点火プラグ、32 ピストン、33 排気バルブ、34 排気管、35 浄化装置、35a 浄化触媒、37 フロント空燃比センサ、38 リヤ空燃比センサ、50 発電機、51 電力ライン、52 バッテリ、54 変速機、70 電子制御ユニット、71 CPU、72 ROM、73 RAM、74 フラッシュメモリ、80 イグニッションスイッチ、82 外気温センサ。