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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-07
(45)【発行日】2025-07-15
(54)【発明の名称】情報処理装置および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20250708BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20250708BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20250708BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G1/09 F
G06Q50/40
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022129842
(22)【出願日】2022-08-17
(65)【公開番号】P2024027227
(43)【公開日】2024-03-01
【審査請求日】2024-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 賢治
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-168827(JP,A)
【文献】特開2019-219845(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0198352(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G06Q 10/00 - 99/00
B60W 10/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の所定のサービスのうちの少なくとも一つのサービスを提供する複数の車両を監視することと、
前記監視の結果に基づいて、複数の車両拠点のそれぞれにおける前記複数の車両の待機状況を特定することと、
前記特定された待機状況に基づいて、前記サービスに基づく所定の属性を有する車両が所定の車両拠点に配置されるように、前記複数の車両拠点のいずれかにおいて待機中である一台以上の車両の再配置計画を決定することと、
配置先の車両拠点が第一の車両拠点に変更された車両に対して、前記第一の車両拠点への移動を指示することと、
を実行する制御部を有する、情報処理装置。
【請求項2】
前記待機状況を特定することは、前記監視の結果に基づいて、前記複数の車両のいずれかが、複数の車両拠点のいずれかから出庫したこと、または、前記複数の車両拠点のいずれかに入庫したことを検知することを含み、
前記制御部は、前記出庫または入庫が検知された場合に、前記再配置計画を決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の車両拠点のそれぞれについて、前記所定の属性を決定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の車両拠点のそれぞれに対応する前記所定の属性を、消費者の需要に少なくとも基づいて決定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記消費者の需要を表す需要データを取得する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記需要データは、前記車両が有する属性ごとの需要を、複数のエリアのそれぞれについて表したデータである、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記複数の車両拠点のそれぞれを、前記複数のエリアのうちのいずれかと対応付けるデータを記憶する記憶部をさらに有し、
前記制御部は、第一のエリアにおける前記需要データに基づいて、前記第一のエリアに対応する車両拠点に対応する前記所定の属性を決定する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記需要データは、前記消費者による前記サービスの利用実績に基づいて生成される、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記所定の車両拠点に対応する前記所定の属性が二つ以上である場合に、前記制御部は、属性ごとの優先度に基づいて、前記移動を指示する車両を決定する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記属性ごとの優先度は、消費者による前記サービスの利用実績に基づいて生成される、
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
複数の所定のサービスのうちの少なくとも一つのサービスを提供する複数の車両を監視するステップと、
前記監視の結果に基づいて、複数の車両拠点のそれぞれにおける前記複数の車両の待機状況を特定するステップと、
前記特定された待機状況に基づいて、前記サービスに基づく所定の属性を有する車両が所定の車両拠点に配置されるように、前記複数の車両拠点のいずれかにおいて待機中である一台以上の車両の再配置計画を決定するステップと、
配置先の車両拠点が第一の車両拠点に変更された車両に対して、前記第一の車両拠点への移動を指示するステップと、
を含む、情報処理方法。
【請求項12】
前記待機状況を特定するステップは、前記監視の結果に基づいて、前記複数の車両のいずれかが、複数の車両拠点のいずれかから出庫したこと、または、前記複数の車両拠点のいずれかに入庫したことを検知するステップを含み、
前記出庫または入庫が検知された場合に、前記再配置計画を決定する、
請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記複数の車両拠点のそれぞれについて、前記所定の属性を決定するステップをさらに含む、
請求項12に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記複数の車両拠点のそれぞれに対応する前記所定の属性を、消費者の需要に少なくとも基づいて決定する、
請求項12に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記消費者の需要を表す需要データを取得するステップをさらに含む、
請求項14に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記需要データは、前記車両が有する属性ごとの需要を、複数のエリアのそれぞれについて表したデータである、
請求項15に記載の情報処理方法。
【請求項17】
前記複数の車両拠点のそれぞれを、前記複数のエリアのうちのいずれかと対応付けるデータを取得するステップをさらに含み、
第一のエリアにおける前記需要データに基づいて、前記第一のエリアに対応する車両拠点に対応する前記所定の属性を決定する、
請求項16に記載の情報処理方法。
【請求項18】
前記需要データは、前記消費者による前記サービスの利用実績に基づいて生成される、
請求項16に記載の情報処理方法。
【請求項19】
前記所定の車両拠点に対応する前記所定の属性が二つ以上である場合に、属性ごとの優先度に基づいて、前記移動を指示する車両を決定する、
請求項11から18のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項20】
前記属性ごとの優先度は、消費者による前記サービスの利用実績に基づいて生成される、
請求項19に記載の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両によるサービスの提供に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者の需要に応じて車両(例えば、旅客輸送を行う車両)の配車を行うシステムが知られている。これに関し、例えば、特許文献1には、輸送サービスが提供されるエリア内において車両の不足が発生した場合に、他のエリアから車両を回送させ、補充するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-086945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、適切な車両を供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態の一態様は、
所定のサービスを提供する複数の車両を監視することと、前記監視の結果に基づいて、複数の車両拠点のそれぞれにおける前記複数の車両の待機状況を特定することと、前記特定された待機状況に基づいて、所定の属性を有する車両が所定の車両拠点に配置されるように、前記複数の車両拠点のいずれかにおいて待機中である一台以上の車両の再配置計画を決定することと、配置先の車両拠点が第一の車両拠点に変更された車両に対して、前記第一の車両拠点への移動を指示することと、を実行する制御部を有する、情報処理装置である。
【0006】
本開示の実施形態の一態様は、
所定のサービスを提供する複数の車両を監視するステップと、前記監視の結果に基づいて、複数の車両拠点のそれぞれにおける前記複数の車両の待機状況を特定するステップと、前記特定された待機状況に基づいて、所定の属性を有する車両が所定の車両拠点に配置されるように、前記複数の車両拠点のいずれかにおいて待機中である一台以上の車両の再配置計画を決定するステップと、配置先の車両拠点が第一の車両拠点に変更された車両に対して、前記第一の車両拠点への移動を指示するステップと、を含む、情報処理方法である。
【0007】
また、他の態様として、上記の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、または、該プログラムを非一時的に記憶したコンピュータ可読記憶媒体が挙げられる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、適切な車両を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一の実施形態に係る車両システムの概要図。
図2】ユーザ装置の構成要素を示した図。
図3】ユーザ装置から送信されるサービスリクエストの一例。
図4】管制サーバの構成要素を示した図。
図5】車両の運行スケジュールを説明するための図。
図6】需要データおよび拠点データを説明するための図。
図7】管制サーバが収集する車両データの一例。
図8】車両10に運行を指令する処理の流れを示した図。
図9】管制サーバが生成する運行指令の一例。
図10】車両の再配置を説明するための図。
図11】再配置の対象車両に対して運行を指示する処理の流れを示した図。
図12】車載装置の構成要素を示した図。
図13】車両データを送受信する処理のシーケンス図。
図14】サービスリクエストに基づいて車両の運行を指示する処理のシーケンス図。
図15】管制サーバが行う再配置処理のフローチャート。
図16】第二の実施形態における管制サーバの構成要素を示した図。
図17】再配置部が実行する処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
利用者からのリクエストに基づいて車両を運行するオンデマンド車両システムが知られている。斯様なシステムでは、複数の車両の運行スケジュールを管理するサーバ装置が、利用者からのリクエストに基づいて、車両の割り当てや運行の指令を行う。
【0011】
通常、サービスに供される車両は、所定の車両拠点において待機しており、リクエストに応じて運行される。しかし、エリアや時間帯などによっては、車両に対する需要が一時的に高まる場合があり、かかる場合、サービスを提供できる車両が車両拠点に存在しなくなる場合がある。
これに対応するため、拠点間における車両の偏りを解消するための試みが行われている。例えば、あるエリアにおいて、ある時間帯に需要が高まることが予測される場合、予め、当該エリア内の車両拠点に車両を多く集めておくといった対応を取ることができる。
【0012】
しかし、車両によって提供されるサービスが複数ある場合、単に車両を集めるだけでは、利用者が所望するサービスを提供できないケースが発生しうる。
例えば、自動運転車両によって、移動店舗サービス、旅客輸送サービス、または荷物輸送サービスといった複数のサービスを選択的に提供する形態が考えられる。かかる形態において、ある時期に旅客輸送に対する需要が高まることが推定される場合、移動店舗車両が利用可能であっても、「旅客輸送」というサービスを提供することはできない。
この問題を解決するためには、車両が持っている属性を考慮して、拠点間における車両の配置を調整する必要がある。
【0013】
本開示の第一の態様に係る情報処理装置は、所定のサービスを提供する複数の車両を監視することと、前記監視の結果に基づいて、複数の車両拠点のそれぞれにおける前記複数の車両の待機状況を特定することと、前記特定された待機状況に基づいて、所定の属性を有する車両が所定の車両拠点に配置されるように、前記複数の車両拠点のいずれかにおいて待機中である一台以上の車両の再配置計画を決定することと、配置先の車両拠点が第一の車両拠点に変更された車両に対して、前記第一の車両拠点への移動を指示することと、を実行する制御部を有する。
【0014】
所定のサービスとは、例えば、旅客輸送サービス、荷物輸送サービス、荷物保管サービス、および移動店舗サービスなど、複数のサービスを含むことができる。
制御部は、複数の車両を監視し、その待機状況に基づいて、車両の再配置を行うための計画を生成する。所定の属性とは、ある車両拠点に配置されることが好ましい車両の属性である。
【0015】
車両の監視は、例えば、車両から送信されたデータに基づいて行ってもよいし、当該車両に対して発行された指令に基づいて行ってもよい。また、車両拠点に設けられたセンサ等によって行ってもよい。
制御部は、例えば、「複数の車両拠点における車両の台数が増減したこと」等を判定することで車両の待機状況の変化を検知し、これをトリガとして、再配置計画を生成する処理を実行する。
なお、上記のトリガは一例であり、これ以外のイベントをトリガとすることもできる。これにより、所定の属性を有する車両が、所定の車両拠点に配置されるように車両を回送させることができる。
【0016】
車両拠点と所定の属性との関係は、利用者(消費者)による需要に基づいて決定されてもよい。例えば、あるエリアにおいて、旅客輸送の需要が増大すると見込まれる場合、当該エリアの近傍にある車両拠点に、旅客輸送に関する属性を持つ車両を多く配置することを決定してもよい。制御部は、複数の車両拠点のそれぞれについて、一つ以上の所定の属性を決定してもよい。
【0017】
車両拠点ごとの所定の属性は、消費者の需要に少なくとも基づいて決定されてもよい。例えば、制御部は、車両が有する属性ごとの需要を、複数のエリアのそれぞれについて表した需要データを取得してもよい。需要データは、外部装置から取得されてもよいし、車両によるサービスの利用実績に基づいて生成されてもよい。
【0018】
また、制御部は、複数の車両拠点のそれぞれを、複数のエリアのいずれかと対応付けてもよい。これにより、あるエリアで発生する需要に対応するために、どの車両拠点に車両を配置すべきかを決定することができる。
【0019】
また、所定の車両拠点に対応する所定の属性は二つ以上であってもよい。この場合、制御部は、属性ごとの優先度に基づいて、移動を指示する車両を決定してもよい。
【0020】
以下、本開示の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。各実施形態に記載されているハードウェア構成、モジュール構成、機能構成等は、特に記載がない限りは開示の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0021】
(第一の実施形態)
第一の実施形態に係る車両システムの概要について、図1を参照しながら説明する。本実施形態に係る車両システムは、車載装置300が搭載された車両10と、ユーザ装置100と、管制サーバ200とを含んで構成される。システムに含まれる車両10(車載装置300)は複数であってもよい。
【0022】
車両10は、消費者に対して所定のサービスを提供可能な自律走行車両である。所定のサービスとして、例えば、旅客輸送、荷物輸送、荷物保管、移動店舗の提供、ワーキングスペースの提供、および就寝スペースの提供などが例示できる。車両10は、車載装置300を介して、管制サーバ200と無線通信可能に構成され、管制サーバ200からの指示に基づいて自律的に運行される。
【0023】
車両10によるサービスの利用を希望する利用者は、ユーザ装置100を介して、サービスリクエストを管制サーバ200に送信する。サービスリクエストは、例えば、希望するサービスのタイプ(例えば「タクシー」)、車両10の派遣を希望する地点および時刻、目的地(輸送サービスを希望する場合)、商品名(店舗サービスを希望する場合)などを含む。
【0024】
これらの情報は、例えば、ユーザ装置100にインストールされた、車両システムを利用するためのアプリケーションソフトウェアによって生成および送信されることができる。これらの情報は、携帯端末を利用して生成されてもよいし、ネットワークに接続可能な任意の端末(スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、個人情報端末、またはウェアラブルコンピュータ等)やパーソナルコンピュータを利用して生成されてもよい。
【0025】
管制サーバ200は、ユーザ装置100から送信されたサービスリクエストに基づいて、車両10の運行スケジュールを生成する。管制サーバ200は、複数の車両10の運行スケジュールを管理するためのデータベースを有しており、車両10の運行スケジュールが更新された場合に、管制サーバ200は、当該データベースを更新する。
【0026】
さらに、管制サーバ200は、更新後の運行スケジュールに基づいて、各車両に運行を指令するためのデータ(以下、運行指令)を、対象の車両10(車載装置300)に送信する。運行指令は、例えば、「所定の地点Aまで走行し」、「利用者を乗車させ」、「所定の地点Bまで走行し」、「利用者を降車させ」、「車両拠点に帰還する」といったように、複数のタスクを車両10に指示するデータである。
【0027】
車載装置300は、管制サーバ200から運行指令を受信する。車両10が自律走行車両である場合、当該運行指令は、車両10に搭載された、自律走行を制御する装置に送信される。なお、車両10は有人車両であってもよい。この場合、運行指令は、車載装置300を介して乗務員に提供される。
【0028】
本実施形態に係る車両システムにおいては、複数のユーザ装置100、管制サーバ200、および、車載装置300が、ネットワークによって相互に接続される。ネットワークには、例えば、インターネット等の世界規模の公衆通信網であるWAN(WideAreaNetwork)やその他の通信網が採用されてもよい。また、ネットワークは、携帯電話等の電話通信網、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信網を含んでもよい。
【0029】
システムを構成する各要素について説明する。
図2は、ユーザ装置100のシステム構成を示した図である。
ユーザ装置100は、例えばスマートフォン、携帯電話、タブレットコンピュータ、個人情報端末、ノートブックコンピュータ、またはウェアラブルコンピュータ(スマートウォッチ等)といった小型のコンピュータである。ユーザ装置100は、制御部101、記憶部102、通信部103、入出力部104、および位置情報取得部105を含んで構成される。
【0030】
制御部101は、ユーザ装置100が行う制御を司る演算装置である。制御部101は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置によって実現することができ
る。
制御部101は、機能モジュールとして、リクエスト部1011を有して構成される。当該機能モジュールは、後述する記憶部102に記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0031】
リクエスト部1011は、装置の利用者から、車両によるサービスの提供をリクエストするために必要な情報を取得し、当該情報を含むサービスリクエストを管制サーバ200に送信する。
サービスリクエストは、希望するサービスのタイプ、および、サービス内容等を含む。例えば、希望するサービスが旅客輸送サービスである場合、サービス内容として、乗車希望地点、乗車希望時刻、降車希望地点などが例示できる。また、希望するサービスが移動
販売サービスである場合、サービス内容として、購入を希望する商品の種別、識別子、および数量などが例示できる。サービス内容は、サービスのタイプによって異なりうる。
リクエスト部1011は、後述する入出力部104を介して、これらの情報を取得する。取得された情報は、サービスリクエストとして管制サーバ200へ送信される。図3は、リクエスト部1011によって生成されたサービスリクエストの一例である。また、リクエスト部1011は、管制サーバ200と対話することで、車両10の予約を確定させる処理を行う。
【0032】
記憶部102は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部101によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部101において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。補助記憶装置には、制御部101で実行されるプログラムをアプリケーションとしてパッケージ化したものを記憶してもよい。また、これらのアプリケーションを実行するためのオペレーティングシステムを記憶してもよい。補助記憶装置に記憶されたプログラムが主記憶装置にロードされ、制御部101によって実行されることで、以降に説明する処理が行われる。
【0033】
主記憶装置は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含んでもよい。また、補助記憶装置は、EPROM(Erasable Programmable ROM)やハード
ディスクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)を含んでもよい。さらに、補助記憶装置
は、リムーバブルメディア、すなわち可搬記録媒体を含んでもよい。リムーバブルメディアは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、あるいは、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)のようなディスク記録媒体である。
【0034】
通信部103は、ユーザ装置100をネットワークに接続するための無線通信インタフェースである。通信部103は、例えば、無線LANや3G、LTE等の移動体通信サービスを介して、ネットワークへのアクセスを提供する。
入出力部104は、装置の利用者が行った入力操作を受け付け、情報を提示する手段である。本実施形態では一つのタッチパネルディスプレイからなる。すなわち、液晶ディスプレイとその制御手段、タッチパネルとその制御手段から構成される。
【0035】
次に、管制サーバ200の構成について説明する。
管制サーバ200は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納され、そこに格納されたプログラムを実行することによって、後述するような、所定の目的に合致した各機能を実現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。なお、管制サーバ200は、単一のコンピュータで構成されてもよいし、互いに連携する複数台のコンピュータによって構成されてもよい。
【0036】
図4は、管制サーバ200のシステム構成を示した図である。管制サーバ200は、制御部201、記憶部202、および通信部203を含んで構成される。
【0037】
制御部201は、管制サーバ200が行う制御を司る演算装置である。制御部201は、CPUなどの演算処理装置によって実現することができる。
制御部201は、車両管理部2011、計画生成部2012、および、再配置部2013の三種類の機能モジュールを有して構成される。各機能モジュールは、補助記憶手段に記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0038】
車両管理部2011は、車両10(車載装置300)から受信したデータに基づいて、複数の車両10を管理するためのデータを更新する。本実施形態では、複数の車両10を管理するためのデータとして、車両データを例示する。車両データとは、車両10から受信した、車両10の現在の状況を表すデータである(記憶部202の説明において後述)。
【0039】
計画生成部2012は、ユーザ装置100から受信したサービスリクエストに基づいて、車両10の運行スケジュールを管理するためのデータを更新する。本実施形態では、車両10の運行スケジュールを管理するためのデータとして、運行データを例示する。運行データとは、複数の車両10の運行スケジュールの集合である(記憶部202の説明において後述)。
具体的には、計画生成部2012は、サービスリクエストが送信された場合に、車両ごとの運行スケジュールを参照して、サービスを提供する車両10を決定し、当該車両の運行スケジュールを更新する。運行スケジュールが決定すると、計画生成部2012は、運行スケジュールに沿って車両10を運行させるための運行指令を生成し、対象の車両10に送信する。
なお、計画生成部2012は、既定の運行スケジュールと、車両10から受信したデータに基づいて、特定の車両10の運行に遅延等が生じていることを判定し、運行スケジュールの再生成等を行うこともできる。
【0040】
一方、サービスリクエストに応答して複数の車両10を運行させ続けると、複数の車両10の配置が偏ってしまう場合がある。例えば、帰宅時間帯においては、鉄道駅の周辺において、旅客輸送を行う車両の需要が高まることが考えられるが、駅を出発地とする輸送が多く行われた結果、駅の周辺から、旅客輸送が可能な車両10が無くなってしまう場合がある。かかる場合、駅の周辺に、その他の機能を有する車両10(例えば、移動店舗車両)が存在する場合であっても、所望のサービスを提供することができなくなってしまう。
再配置部2013は、これに対応するため、エリアごとの需要、および、車両10の属性に基づいて、車両10の再配置を行う。再配置とは、所定の属性を有する車両を、所定の車両拠点に回送させることを指す。再配置部2013は、いずれかの車両拠点に車両10が出入りするタイミングで、車両10の回送計画を生成し、対象の車両10に対して、車両拠点間の移動を指示する。
【0041】
記憶部202は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部201によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部201において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。
記憶部202には、運行データ202A、需要データ202B、拠点データ202C、および、車両データ202Dが記憶される。
【0042】
運行データ202Aは、複数の車両10の運行スケジュールを記録するデータである。図5は、運行データ202Aによって表される、ある車両10の運行スケジュールを表した図である。
図5(A)は、車両10について、運行スケジュールが入っていない状態を示した図である。この場合、車両10は、所定の車両拠点において待機状態となる。
図5(B)は、輸送サービスをリクエストするサービスリクエストに基づいて更新された運行スケジュールの一例である。本例において、車両10は、時刻T1に車両拠点から出庫し、指定された地点へ向かう。また、時刻T2において利用者をピックアップし、輸送サービスを提供する。サービスの提供が終了すると、車両10は、車両拠点へ戻り、時刻T3から充電を開始する。時刻T4において充電が終了すると、再び待機状態となり、
別のリクエストに応答可能な状態になる。
【0043】
なお、車両10が出発する車両拠点と、当該車両10が帰還する車両拠点は異なってもよい。車両10が帰還する車両拠点は、例えば、サービスの提供を終了した地点からの距離や、当該車両拠点における満空情報に基づいて動的に決定されてもよい。
【0044】
なお、運行データ202Aは、将来における、予定された運行スケジュールを表すものであってもよいし、過去の運行の実績を表すものであってもよい。例えば、図5(C)におけるハッチングは、既に完了したタスクを表している。
どのタスクが完了したかは、車両10(車載装置300)から受信した車両データに基づいて判別することができる。
【0045】
需要データ202Bは、サービスを提供しているエリア内において、どのような需要が発生するかを定義したデータである。
拠点データ202Cは、エリアと車両拠点との関係を定義したデータである。拠点データ202Cには、エリアがどのように分割されており、その中のどこに車両拠点が存在するかを示すデータが含まれる。拠点データ202Cは、エリアと車両拠点との位置関係を定義したデータと言い換えることもできる。
【0046】
図6は、需要データ202Bおよび拠点データ202Cを説明するための図である。本例では、エリアを9つに分割している。図示したように、拠点データ202Cには、複数のエリアおよび複数の車両拠点の位置が定義されている。なお、拠点データ202Cに定義された複数の車両拠点は、エリアごとにグルーピングされていてもよい。
【0047】
また、需要データ202Bには、エリアごとの需要が定義されている。
例えば、エリアA3が、自動運転車両による旅客輸送が法的に許可されたエリアである場合、エリアA3内に位置する車両拠点DおよびEには、自動運転車両を配置することが好ましい。また、エリアA3において、高齢者が多く居住している場合、エリアA3内に位置する車両拠点DおよびEには、バリアフリー車両を多く配置することが好ましい。
このように、需要データ202Bは、「複数のエリアのそれぞれにおいて、どのような特徴(属性)を持つ車両10に対して需要があるか」を表したデータである。
なお、需要データ202Bは、時間帯、曜日、日付ごとに定義されていてもよい。また、同じエリアにおいて、複数タイプの車両に需要がある場合、属性ごとに優先度を付与してもよい。
【0048】
車両データ202Dは、車両10(車載装置300)から受信した、車両データの集合である。前述したように、車両データは、車両10の現在の状況を表すデータである。
図7は、車両データの一例である。車両データは、車両10の識別子、日時情報、車両10の位置情報、および、タスクの処理状態を表すデータ(例えば、与えられた複数のタスクのうち、どれが完了したか、または、現在どれを実行中であるか)を含む。タスクの処理状態を表すデータは、予定されたスケジュールからの遅延時間を含んでいてもよい。
【0049】
通信部203は、管制サーバ200をネットワークに接続するための通信インタフェースである。通信部203は、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。
【0050】
ここで、前述した、車両管理部2011、計画生成部2012、および、再配置部2013が実行する処理の流れについて、より詳しく説明する。
【0051】
図8は、サービスリクエストに基づいて、車両10の運行スケジュールを決定し、当該
車両10に運行を指令する処理の流れを示した図である。
計画生成部2012は、ユーザ装置100から受信したサービスリクエストに基づいて、サービスを提供する車両10を決定する。サービスを提供する車両10は、運行データ202Aに基づいて決定することができる。例えば、リクエストされたサービスが輸送サービスである場合、計画生成部2012は、「車両拠点から指定された地点へ向かい、輸送サービスを提供し、再び車両拠点に戻り、充電を行う」といった一連のタスクを割り当てることが可能な車両10を決定する。
一連のタスクを割り当てることができる場合、図5(A)に示したスケジュールが、図5(B)のように更新される。スケジュールが決定すると、計画生成部2012は、対応する運行指令を生成し、当該運行指令を、対象である車両10に搭載された車載装置300へ送信する。
【0052】
図9は、運行指令の一例である。運行指令は、図示したように、車両10が実行すべき複数のタスクを含む。各タスクには、予定時刻や、デッドライン時刻が関連付いていてもよい。
【0053】
図8に戻り、説明を続ける。
計画生成部2012は、車両10(車載装置300)から車両データを周期的に受信し、これに基づいて、運行データ202Aを更新する。
具体的には、計画生成部2012は、既に完了したタスクを運行データ202Aに反映する処理を実行する。これにより、図5(B)に示したスケジュールが、図5(C)のように更新される。
【0054】
また、計画生成部2012は、車両10のスケジュールが遅延していることを検出し、当該車両10の運行をリスケジュールする処理を実行する。
例えば、図5(C)のケースにおいて、サービス提供(すなわち、旅客輸送)が予定より10分遅延しているものとする。スケジュールが遅延していることは、例えば、車両データに含まれる、タスクの処理状態に基づいて判定することができる。この場合、車両拠点に帰還し、待機状態となるタイミングが10分遅くなる。よって、計画生成部2012は、図5(D)に示したように、運行スケジュールを再生成することができる。
なお、後続するスケジュールが存在しており、リスケジュールが不可能な場合、計画生成部2012は、その旨の通知をシステムの管理者に送信してもよい。
【0055】
次に、再配置部2013が、車両10の属性に基づいて、複数の車両10の再配置を行う処理について、より詳しく説明する。図10は、複数の車両拠点間における車両10の再配置を説明する図である。
本実施形態では、ある車両拠点に対して車両10が入庫したタイミング、および、当該車両拠点から車両10が出庫したタイミングで、車両10の再配置を実行する。ここでは、車両拠点Dから、車両10が、サービス提供のために1台出発したものとする。
【0056】
再配置部2013は、車両拠点Dから、車両10が出庫したことを検出すると、当該車両拠点の空いた駐車スペースに、どのような属性の車両を(他の車両拠点から)移動させるかを決定し、対象の車両10に対して移動を指令する。
なお、車両10が出庫または入庫したことは、車両10から送信される車両データに基づいて判定してもよいし、車両10に対して発行された運行指令に基づいて推定してもよい。また、車両10が出庫または入庫したことは、各車両拠点に設けられたセンサから送信されたセンサデータに基づいて判定することもできる。
【0057】
本例では、車両拠点Dがあるエリアにおいて、「バリアフリー車両」「旅客輸送車両」「自動運転車両」の順で需要が高いものとする。
この場合、再配置部2013は、「バリアフリー車両」「旅客輸送車両」「自動運転車両」の優先度で、他の車両拠点から移動可能な車両10が無いか判定し、移動可能な車両10がある場合に、当該車両に対して、車両拠点Dへの移動を指示する。これにより、周辺エリアにおいて需要が高い属性を持つ車両10を車両拠点Dに配置することが可能になる。
【0058】
図11は、再配置部2013が、再配置の対象車両に対して運行を指示する処理の流れを示した図である。
再配置部2013は、需要データ202Bと、拠点データ202Cに基づいて、どの車両拠点に、どの属性を持つ車両10を配置すべきかを判定する。例えば、あるエリアにおいて需要が高い車両属性があった場合、当該エリア内にある車両拠点(または、当該エリアから所定の距離以内にある車両拠点)に、当該属性を持つ車両10を配置すべきであると判定する。
そして、再配置部2013は、運行データ202Aを参照し、移動対象である車両10を決定し、当該車両10に対して運行指令を送信する。
【0059】
次に、車載装置300の構成について説明する。
車載装置300は、車両10に搭載されたコンピュータである。車載装置300は、管制サーバ200と通信することで、運行に関する情報のやり取りを行う。
車載装置300は、車両10の乗員または乗客に情報を提供する装置を兼ねていてもよい。また、車載装置300は、車両プラットフォームが有する電子制御ユニット(ECU)であってもよい。また、車載装置300は、通信機能を有するデータコミュニケーションモジュール(DCM)であってもよい。
車載装置300は、外部ネットワークと無線通信を行う機能を有する。車載装置300は、外部ネットワークと通信することで、交通情報や道路地図データなどをダウンロードする機能を有していてもよい。
【0060】
車載装置300は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納され、そこに格納されたプログラムを実行することによって、後述するような、所定の目的に合致した各機能を実現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0061】
図12は、車載装置300の構成要素を詳細に示した図である。
車載装置300は、制御部301、記憶部302、通信部303、および、入出力部304を有して構成される。
【0062】
制御部301は、所定のプログラムを実行することで、車載装置300の各種機能を実現する演算ユニットである。制御部301は、例えば、CPU等によって実現されてもよい。制御部301は、記憶されたプログラムをCPUによって実行することでその機能を実現してもよい。
【0063】
制御部301は、所定のタイミングで、車両10の運行に関するデータ(車両データ)を取得ないし生成し、管制サーバ200に送信する。車両データは、例えば、位置情報や、タスクの処理状態などを含む。また、制御部301は、GPSモジュール等を介して位置情報を取得する機能を有している。
【0064】
記憶部302は、情報を記憶する手段であり、RAM、磁気ディスクやフラッシュメモ
リなどの記憶媒体により構成される。記憶部302には、制御部301にて実行される各種プログラム、当該プログラムが利用するデータ等が記憶される。
【0065】
通信部303は、無線通信を行うためのアンテナと通信モジュールを含む。アンテナは、無線信号の入出力を行うアンテナ素子である。本実施形態では、アンテナは、移動体通信(例えば、3G、LTE、5G等の移動体通信)に適合したものである。なお、アンテナは、複数の物理的なアンテナを含んで構成されてもよい。例えば、マイクロ波やミリ波などの高周波帯の電波を利用した移動体通信を行う場合、通信の安定化を図るため、複数のアンテナを分散して配置してもよい。通信モジュールは、移動体通信を行うためのモジュールである。
【0066】
入出力部304は、入力された操作を受け付け、情報を提示する手段である。本実施形態では一つのタッチパネルディスプレイからなる。すなわち、液晶ディスプレイとその制御手段、タッチパネルとその制御手段から構成される。
【0067】
なお、図2図4、および図12に示した構成は一例であり、図示した機能の全部または一部は、専用に設計された回路を用いて実行されてもよい。また、図示した以外の、主記憶装置および補助記憶装置の組み合わせによってプログラムの記憶ないし実行を行ってもよい。
【0068】
次に、各装置が実行する処理について説明する。
図13は、車載装置300および管制サーバ200が車両データを送受信する処理のシーケンス図である。図示した処理は、車両10の走行中において、制御部301によって、所定の周期で繰り返し実行される。
【0069】
まず、ステップS11で、車載装置300が、所定の送信周期が到来したか否かを判定する。所定の周期(例えば、1分ごと)が到来した場合、処理はステップS12へ遷移する。所定の周期が到来していない場合、所定の時間だけ待機し、処理を繰り返す。
ステップS12では、車載装置300が、車両データを生成する。生成された車両データは、ステップS13において管制サーバ200に送信される。
ステップS14では、管制サーバ200(車両管理部2011)が、車載装置300から送信された車両データを受信し、当該車両データに基づいて、車両10の運行スケジュール(運行データ202A)を更新する。
【0070】
なお、本例では、所定の周期で車載装置300が車両データを送信するものとしたが、車両データの送信は、所定のイベントが発生したタイミングでのみ行われてもよい。斯様なタイミングとして、例えば、車両10が新たなタスクを開始するタイミング、車両10によって実行中のタスクが完了したタイミング、車両10が所定のスポットに到着したタイミングなどが例示できる。
【0071】
図14は、管制サーバ200がサービスリクエストを受け付ける処理のシーケンス図である。図示した処理は、利用者の操作に基づいて開始される。
【0072】
まず、ステップS21で、ユーザ装置100(リクエスト部1011)が、サービスリクエストを生成する。本ステップでは、所定のインタフェースを介して、リクエストするサービスと、その内容に関するデータを利用者に入力させる。
サービスリクエストは、希望するサービスのタイプ、および、サービスの内容等を含む。例えば、希望するサービスが旅客輸送サービスである場合、サービスの内容として、乗車希望地点、乗車希望時刻、降車希望地点などが例示できる。また、希望するサービスが移動販売サービスである場合、サービスの内容として、購入を希望する商品の種別、識別
子、および数量などが例示できる。
リクエスト部1011は、生成したサービスリクエストを、管制サーバ200(計画生成部2012)に送信する。
【0073】
ステップS22では、管制サーバ200(計画生成部2012)が、運行データ202Aに基づいて、サービスを提供する車両10を決定し、その運行スケジュールを生成する。サービスを提供する車両10は、リクエストされたサービスを提供するのにかかる時間、および、車両10の属性に基づいて決定することができる。運行スケジュールが決定すると、計画生成部2012は、対応する運行指令を生成し、当該運行指令を、対象である車両10に搭載された車載装置300に送信する。また、計画生成部2012は、予約結果をユーザ装置100に送信し、リクエスト部1011がこれを出力する(ステップS23)。これにより利用者は、車両10の予約が成立したことを確認することができる。
また、車載装置300は、運行指令を、自律走行を制御する装置に送信、または、乗務員に提供する。これにより、車両10の運行が開始される。
【0074】
次に、管制サーバ200(再配置部2013)が、複数の車両拠点における複数の車両10の配置を調整する方法について説明する。
前述したように、本実施形態に係る車両システムでは、サービスリクエストに基づいて車両10が運行される。なお、サービスを終了した車両10は、出発した車両拠点に帰還するとは限らない。すなわち、時間が経過すると、車両の配置に偏りが生じる可能性がある。再配置部2013は、これを解消するための処理を周期的に実行する。
【0075】
図15は、再配置部2013が実行する処理のフローチャートである。図示した処理は、複数の車両拠点のうちのいずれかに車両10が入庫、または、複数の車両拠点のうちのいずれかから車両10が出庫した場合に実行される。車両10が車両拠点に入庫、または、車両拠点から出庫したことは、例えば、車載装置300から受信した車両データに基づいて判定することができる。
【0076】
まず、ステップS31において、出庫または入庫のどちらが発生したかを判定する。発生したイベントが出庫であった場合、処理はステップS32へ遷移し、発生したイベントが入庫であった場合、処理はステップS35へ遷移する。
【0077】
ステップS32では、出庫した車両10の代わりに補充する車両の属性を決定する。どのような属性を持つ車両を補充するかは、以下の処理によって決定することができる。
(1)対象の車両拠点に対応するエリアを特定する
例えば、予め規定された複数のエリアの中から、対象の車両拠点から最も近いエリア(以下、第一のエリア)を特定する。この処理は、エリアと車両拠点との位置関係を定義したデータ(拠点データ202C)に基づいて行うことができる。なお、エリアの特定は、必ずしも直線距離に基づいて行わなくてもよい。
(2)第一のエリアにおける需要に基づいて、車両属性を決定する
例えば、需要データ202Bを参照し、第一のエリアにおいて、どのような属性を持つ車両の需要が高いかを決定する。なお、ここで決定する需要は一種類でなくてもよい。例えば、バリアフリー車両に対する需要が最も高く、次いで、旅客輸送車両に対する需要が高く、次に、自動運転車両に対する需要が高い、といったことを判定してもよい。
【0078】
次に、ステップS33で、決定した属性を持つ車両10を選択する。
本ステップでは、例えば、決定した属性を持つ車両10が、他の車両拠点から回送できるか否かを判定する。他の車両拠点とは、第一のエリアに対して、処理対象である車両拠点よりも遠い場所にある車両拠点である。処理対象である車両拠点よりも第一のエリアに近い場所に対象車両がある場合、当該車両を回送する利益が無いためである。
ある属性を持つ車両10を、車両拠点間で回送させることができるか否かは、運行データ202Aに基づいて判定することができる。例えば、ある車両拠点間において移動に15分かかる場合、決定した属性を持ち、かつ、15分以上の空きスケジュールがある車両10を選択する。
なお、ステップS32で決定した属性が二種類以上ある場合、その優先度に基づいて、車両10の選択を行ってもよい。例えば、最初に、バリアフリー車両の回送を試み、スケジュールが組めない場合、次に、旅客輸送車両の回送を試みてもよい。
【0079】
ステップS34では、選択した車両10の運行スケジュールを更新したうえで、車両拠点間を回送させるための運行指令を生成し、当該車両10に送信する。これにより、対象の車両拠点(すなわち、車両数が1台減った車両拠点)に、所定の属性(近傍のエリアにおいて需要の高い属性)を持つ車両10を呼び寄せることができる。
【0080】
ステップS31で発生したイベントが入庫であった場合、処理はステップS35へ遷移する。
ステップS35では、他の車両拠点へ移動可能な車両が存在するか否かを判定する。すなわち、他の車両拠点において需要が高い属性を持つ車両10を提供可能であるか否かを判定する。
【0081】
本ステップでは、例えば、対象の車両拠点にて待機中である複数の車両10のそれぞれについて、「他の車両拠点の近傍エリアで需要が高い属性を持つ車両であるか」、「当該他の車両拠点への回送が可能であるか」判定を行う。当該判定は、運行データ202A、需要データ202B、および、拠点データ202Cに基づいて行うことができる。なお、他の車両拠点に駐車キャパシティがあるか否かは、当該他の車両拠点における満空情報に基づいて決定されてもよい。
【0082】
ここで、移動可能な車両10が複数ある場合、回送させる車両10を優先度に基づいて決定してもよい。優先度は、需要の大きさや、車両拠点間の距離などに基づいて決定してもよい。例えば、より需要が大きい属性を有しており、より回送距離が短い車両10を選択してもよい。
移動可能な車両10がある場合、処理はステップS36へ遷移する。移動可能な車両10が無い場合、処理は終了する。
【0083】
ステップS36では、移動対象である車両10の運行スケジュールを更新したうえで、車両拠点間を回送させるための運行指令を生成し、当該車両10に送信する。これにより、対象の車両拠点に、所定の属性(近傍のエリアにおいて需要の高い属性)を持つ車両10を送り込むことができる。
【0084】
図15に示した処理は、車両拠点に車両10が入出庫したタイミングで繰り返し実行される。これにより、近傍エリアにおいて需要の高い属性を持つ車両10を、所定の車両拠点に徐々に集めることが可能になる。
【0085】
なお、本例では、車両10の入出庫をトリガとして車両の再配置を行ったが、車両の再配置は、複数の車両拠点における車両10の待機状況に基づくものであれば、他のタイミングで実行してもよい。
また、本例では、車両10の移動を1台ずつ行ったが、車両拠点の駐車キャパシティが許せば、複数台をまとめて移動させてもよい。
また、所定のタイミング(例えば、一日に一回、一週間に一回など)において、全ての車両10について再配置を実行してもよい。
【0086】
以上説明したように、第一の実施形態に係る車両システムでは、車両10の属性を考慮して、車両拠点間における車両10の回送スケジュールを生成する。これにより、所定の車両拠点に、より需要の高い属性を持つ車両10を集めることが可能になる。
【0087】
なお、第一の実施形態では、需要データ202Bは予め定義されたデータであるものとしたが、需要データ202Bは、外部からの情報に基づいて随時更新されてもよい。この場合、需要データ202Bが更新されたタイミングで、管制サーバ200が、複数の車両拠点における車両10の配置を再決定してもよい。
【0088】
(第二の実施形態)
第一の実施形態では、予め定義された需要データ202Bに基づいて、移動させる車両10の属性を決定した。これに対し、第二の実施形態は、過去に利用者が車両10によるサービスを受けた履歴に基づいて、需要データ202Bを生成および更新する実施形態である。
【0089】
図16は、第二の実施形態における管制サーバ200のシステム構成図である。第二の実施形態では、管制サーバ200は、更新部2014をさらに有して構成される。
【0090】
更新部2014は、蓄積された運行データ202Aに基づいて、システムの利用者が過去の所定の期間に受けたサービスに関する履歴を収集し、当該履歴に基づいて、エリアごとの需要データ202Bを生成する。
【0091】
図17は、第二の実施形態において更新部2014が実行する処理のフローチャートである。図示した処理は、所定の周期で実行される。
ステップS41およびS42の処理は、システムが対象とする複数のエリアのそれぞれについて実行される。
まず、ステップS41において、過去の所定の期間(例えば1ヶ月)における運行データ202Aを参照し、当該所定の期間において利用された車両10の属性(サービスタイプ)およびその利用回数を取得する。これにより、対象のエリアにおいて利用された車両の属性についてのランキングを取得することができる。
【0092】
次に、ステップS42において、属性ごとの利用回数に基づいて、該当するエリアに対応する需要データを生成する。例えば、最も利用回数が多かった属性が「旅客輸送車両」であって、次いで、「バリアフリー車両」、「自動運転車両」であった場合、当該エリアにおいて最も需要が高い属性は旅客輸送車両であると判定することができる。需要データは、需要の高い車両属性をランキング形式で表したものであってもよいし、車両属性ごとに、需要の大きさを表すスコアを関連付けたものであってもよい。需要の大きさを表すスコアは、例えば、過去における車両10の利用回数に基づいて算出してもよい。
【0093】
なお、既に需要データ202Bが生成されている場合、更新部2014は、結果を上書きしてもよいし、過去に生成されたスコア等との相加平均等を取り、その結果を新たな需要データ202Bとしてもよい。
【0094】
(第二の実施形態の変形例)
第二の実施形態では、更新部2014が、過去における車両10の利用回数に基づいて需要の大きさを判定したが、車両属性ごとの需要の大きさを判定することができれば、他の方法を利用してもよい。例えば、車両10の属性、エリアの特徴、時間帯、利用回数、利用時間、売上金額などの関係を機械学習モデルによって学習させ、当該機械学習モデルを利用して需要データ202Bを生成してもよい。
また、当該機械学習モデルに入力されるデータは、車両10によるサービス提供実績に
関するものでなくてもよい。例えば、エリアごとの消費者に関する統計データ、ユーザ装置100から発信されたユーザ情報、位置情報または購買情報などであってもよい。
【0095】
(他の変形例)
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0096】
また、実施形態の説明では、車両が持つ属性として、バリアフリー車両、自動運転車両、旅客輸送車両を例示したが、適切にサービスを提供することができれば、これ以外の属性を持つ車両を配置してもよい。例えば、自動運転に支障が発生しうるエリアが近くにある車両拠点には、手動運転可能な車両を優先的に配置するようにしてもよい。また、ある商品やサービスに対する需要が高いエリアが近くにある車両拠点には、当該商品やサービスを提供可能な移動店舗車両を優先的に配置するようにしてもよい。
【0097】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0098】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0099】
10・・・車両
100・・ユーザ装置
200・・・管制サーバ
300・・・車載装置
101,201,301・・・制御部
102,202,302・・・記憶部
103,203,303・・・通信部
104,304・・・入出力部
105・・・位置情報取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17