(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-07
(45)【発行日】2025-07-15
(54)【発明の名称】システム、システムの動作方法、及びゲーム機
(51)【国際特許分類】
A63F 9/24 20060101AFI20250708BHJP
A63F 3/00 20060101ALI20250708BHJP
【FI】
A63F9/24 L
A63F9/24 B
A63F3/00 512A
A63F3/00 E
(21)【出願番号】P 2022137245
(22)【出願日】2022-08-30
【審査請求日】2024-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139491
【氏名又は名称】河合 隆慶
(72)【発明者】
【氏名】加来 航
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-011674(JP,A)
【文献】特開2017-077387(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111617462(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114917572(CN,A)
【文献】実公昭53-024381(JP,Y1)
【文献】ASCII.jp,リアルに駒が動くBluetooth遠隔プレイ、スマートチェス「Square Off」で遊ぶ!,LINE NEWS [online],2020年05月14日,URL: <https://news.line.me/detail/oa-ascii/b554587fa86f>,[令和6年12月12日検索日]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24
A63F 3/00
A63F 13/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム盤を備え互いに通信するゲーム機対を有するシステムであって、
前記ゲーム盤は、それぞれ回転することで異なる面を盤面に表出させるマス目を有し、
送信側ゲーム機が、遊戯者により自機の第1のマス目が一の面から他の面に回転されるときの所定周期での回転角の情報と当該遊戯者の撮像画像とを受信側ゲーム機へ送り、
前記受信側ゲーム機は、前記遊戯者の撮像画像を表示するとともに前記第1のマス目に対応する自機のマス目を前記回転角に応じて回転させる、
システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記送信側ゲーム機は、前記第1のマス目の回転角速度が増加するときに前記所定周期を短くし、当該第1のマス目の回転角速度が減少するときに当該所定周期を長くする、システム。
【請求項3】
請求項1において、
前記受信側ゲーム機は、前記第1のマス目の回転角速度の変化量に自機のマス目の回転速度を追従させるときの遅延量を導出し、当該遅延量に応じて前記撮像画像の表示を遅延させる、
システム。
【請求項4】
請求項1において、
前記受信側ゲーム機は、前記第1のマス目の前記回転角の情報とともに、前記送信側ゲーム機にて前記第1のマス目とともに一の面から他の面に回転される第2のマス目の前記回転角の情報を前記送信側ゲーム機から受けると、自機のマス目の回転を停止する、
システム。
【請求項5】
ゲーム盤を備え互いに通信するゲーム機対を有するシステムの動作方法であって、
前記ゲーム盤は、それぞれ回転することで異なる面を盤面に表出させるマス目を有し、
送信側ゲーム機が、遊戯者により自機の第1のマス目が一の面から他の面に回転されるときの所定周期での回転角の情報と当該遊戯者の撮像画像とを受信側ゲーム機へ送る工程と、
前記受信側ゲーム機が、前記遊戯者の撮像画像を表示するとともに前記第1のマス目に対応する自機のマス目を前記回転角に応じて回転させる工程と、
を含む動作方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記送信側ゲーム機は、前記第1のマス目の回転角速度が増加するときに前記所定周期を短くし、当該第1のマス目の回転角速度が減少するときに当該所定周期を長くする、動作方法。
【請求項7】
請求項5において、
前記受信側ゲーム機は、前記第1のマス目の回転角速度の変化量に自機のマス目の回転速度を追従させるときの遅延量を導出し、当該遅延量に応じて前記撮像画像の表示を遅延させる、
動作方法。
【請求項8】
請求項5において、
前記受信側ゲーム機は、前記第1のマス目
の前記回転角の情報とともに、前記送信側ゲーム機にて前記第1のマス目とともに一の面から他の面に回転される第2のマス目の前記回転角の情報を前記送信側ゲーム機から受けると、自機のマス目の回転を停止する、
動作方法。
【請求項9】
ゲーム盤と制御部とを備えるゲーム機であって、
前記ゲーム盤は、それぞれ回転することで異なる面を盤面に表出させるマス目を有し、
前記制御部は、遊戯者により自機の第1のマス目が一の面から他の面に回転されるときの所定周期での回転角の情報と当該遊戯者の撮像画像とを他のゲーム機へ送り、当該他のゲーム機に、前記遊戯者の撮像画像
を表示させるとともに前記第1のマス目に対応する自機のマス目を前記回転角に応じて回転させる、
ゲーム機。
【請求項10】
請求項9において、
前記制御部は、前記第1のマス目の回転角速度が増加するときに前記所定周期を短くし、当該第1のマス目の回転角速度が減少するときに当該所定周期を長くする、
ゲーム機。
【請求項11】
ゲーム盤と制御部とを備えるゲーム機であって、
前記ゲーム盤は、それぞれ回転することで異なる面を盤面に表出させるマス目を有し、
前記制御部は、他のゲーム機から、遊戯者により第1のマス目が一の面から他の面に回転されるときの所定周期での回転角の情報と当該遊戯者の撮像画像とが送られると、前記遊戯者の撮像画像を表示するとともに前記第1のマス目に対応する自機のマス目を前記回転角に応じて回転させる、
ゲーム機。
【請求項12】
請求項11において、
前記制御部は、前記第1のマス目の回転角速度の変化量に自機のマス目の回転速度を追従させるときの遅延量を導出し、当該遅延量に応じて前記撮像画像の表示を遅延させる、ゲーム機。
【請求項13】
請求項11において、
前記制御部は、前記第1のマス目
の前記回転角の情報とともに、前記他のゲーム機にて前記第1のマス目とともに一の面から他の面に回転される第2のマス目の前記回転角の情報を前記他のゲーム機から受けると、自機のマス目の回転を停止する、
ゲーム機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、システム、システムの動作方法、及びゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介して接続されるゲーム機対を用いて、遊戯者がオセロゲーム等の対局を行う技術が知られている。例えば、特許文献1には、ゲームを表示する表示手段を備えネットワークを介して通信を行うゲーム機対を備えたシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゲーム盤を備え互いに通信するゲーム機対により遊戯者が対局する際、臨場感を増大させる余地がある。
【0005】
以下では、ゲーム盤を備え互いに通信するゲーム機対による対局の臨場感を増大させることが可能なシステム等を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示におけるシステムは、ゲーム盤を備え互いに通信するゲーム機対を有するシステムであって、前記ゲーム盤は、それぞれ回転することで異なる面を盤面に表出させるマス目を有し、送信側ゲーム機が、遊戯者により自機の第1のマス目が一の面から他の面に回転されるときの所定周期での回転角の情報と当該遊戯者の撮像画像とを受信側ゲーム機へ送り、前記受信側ゲーム機は、前記遊戯者の撮像画像を表示するとともに前記第1のマス目に対応する自機のマス目を前記回転角に応じて回転させる。
【0007】
本開示におけるシステムの動作方法は、ゲーム盤を備え互いに通信するゲーム機対を有するシステムの動作方法であって、前記ゲーム盤は、それぞれ回転することで異なる面を盤面に表出させるマス目を有し、送信側ゲーム機が、遊戯者により自機の第1のマス目が一の面から他の面に回転されるときの所定周期での回転角の情報と当該遊戯者の撮像画像とを受信側ゲーム機へ送る工程と、前記受信側ゲーム機が、前記遊戯者の撮像画像を表示するとともに前記第1のマス目に対応する自機のマス目を前記回転角に応じて回転させる工程と、を含む。
【0008】
本開示におけるゲーム機は、ゲーム盤と制御部とを備えるゲーム機であって、前記ゲーム盤は、それぞれ回転することで異なる面を盤面に表出させるマス目を有し、前記制御部は、遊戯者により自機の第1のマス目が一の面から他の面に回転されるときの所定周期での回転角の情報と当該遊戯者の撮像画像とを他のゲーム機へ送り、当該他のゲーム機に、前記遊戯者の撮像画像が表示させるとともに前記第1のマス目に対応する自機のマス目を前記回転角に応じて回転させる。
【0009】
本開示における別のゲーム機は、ゲーム盤と制御部とを備えるゲーム機であって、前記ゲーム盤は、それぞれ回転することで異なる面を盤面に表出させるマス目を有し、前記制御部は、他のゲーム機から、遊戯者により第1のマス目が一の面から他の面に回転されるときの所定周期での回転角の情報と当該遊戯者の撮像画像とが送られると、前記遊戯者の撮像画像を表示するとともに前記第1のマス目に対応する自機のマス目を前記回転角に応じて回転させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示におけるシステム等によれば、ゲーム盤を備え互いに通信するゲーム機対による対局の臨場感を増大させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図4】ゲーム機の動作例を示すフローチャート図である。
【
図5】ゲーム機の動作例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について説明する。
【0013】
[対局システム100の概要]
図1は、一実施形態における対局システム100の構成例を示す図である。対局システム100は、ネットワーク19を介して互いに情報通信可能に接続される、少なくとも一対のゲーム機1を有する。ゲーム機1は、対局のためのゲーム盤10を備える。遊戯者は、ゲーム機1のゲーム盤10を用いて、ネットワーク19経由で対局を行う。ゲーム機1対は、対局に関する情報を交互に送受する(以下、情報を送信する側と受信する側とを区別する際は、便宜上それぞれ送信側ゲーム機1A、受信側ゲーム機1Bという)。ネットワーク19は、例えばインターネットであるが、アドホックネットワーク、LAN(Local Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、もしくは他のネットワーク又はこれらいずれかの組合せが含まれる。ゲーム機1は、例えば、ネットワーク19に接続されるサーバを介して情報通信を行う。かかるサーバは、例えば、クラウドコンピューティングシステム又はその他のコンピューティングシステムに属し、各種機能を実装する。
【0014】
ゲーム機1が備えるゲーム盤10は、それぞれ回転することで異なる面を盤面に表出させるマス目を有する。送信側ゲーム機1Aが、遊戯者(以下、送信側遊戯者という)により自機のマス目(以下、送信側マス目という)が一の面から他の面に回転されるときの所定周期での回転角の情報と送信側遊戯者の撮像画像とを受信側ゲーム機1Bへ送る。そして、受信側ゲーム機1Bが、送信側遊戯者の撮像画像を表示するとともに送信側マス目に対応する自機のマス目(以下、受信側マス目という)を、送信側マス目の回転角に応じて回転させる。かかる動作が、ゲーム機1対において送信側と受信側が交互に入れ替わりながら実行される。かかる動作により、受信側ゲーム機1Bの遊戯者(以下、受信側遊戯者という)は、送信側遊戯者が送信側マス目を回転させるときの撮像画像を視認しながら、略リアルタイムで、自機のゲーム盤で受信側マス目が回転するのを視認する。よって、例えば、送信側遊戯者による送信側マス目の回転が終了してから受信側マス目が回転を開始する場合と比べて、送信側遊戯者の撮像画像の動きと同期した受信側マス目の回転を受信側遊戯者は体験することになるので、対局における臨場感を増大させることが可能となる。
【0015】
[ゲーム機1の構成]
図1に示すように、ゲーム機1は、ゲーム盤10のほか、通信部11、記憶部12、制御部13、入力部15、出力部16及び検知部17を有する。ゲーム機1は、一体の装置として構成されてもよいし、複数の装置により構成されてもよい。例えば、ゲーム機1は、ゲーム盤10と、他の構成を備えゲーム盤10と接続されるPC(パーソナルコンピュータ)等の情報処理装置とで構成されてもよい。
【0016】
通信部11は、一以上の通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、有線又は無線LAN規格に対応するインタフェース、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、若しくは5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応するインタフェース等を有する。通信部11は、ゲーム機1の動作に用いられる情報を受信し、またゲーム機1の動作によって得られる情報を送信する。ゲーム機1は、通信部11により、近傍のルータ装置又は移動体通信の基地局を介してネットワーク19に接続され、ネットワーク19経由で他のゲーム機1等と情報通信を行う。
【0017】
記憶部12は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する一以上の半導体メモリ、一以上の磁気メモリ、一以上の光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせを含む。半導体メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)である。RAMは、例えば、SRAM(Static RAM)又はDRAM(Dynamic RAM)である。ROMは、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)である。記憶部12は、ゲーム機1の動作に用いられる情報と、ゲーム機1の動作によって得られた情報とを格納する。
【0018】
制御部13は、一以上のプロセッサ、一以上の専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化したGPU(Graphics Processing Unit)等の専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。制御部13は、ゲーム機1の各部を制御しながら、ゲーム機1の動作に係る情報処理を実行する。
【0019】
入力部15は、撮像用のカメラその他の一以上の入力用インタフェースを含む。カメラは、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。入力部15は、本実施形態における「撮像部」に対応する。また、入力用インタフェースは、カメラの他、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイクロフォンである。入力部15は、遊戯者を撮像するとともに、ゲーム機1の動作に用いられる情報を入力する操作を受け付け、撮像画像及び入力される情報を制御部13に送る。
【0020】
出力部16は、一以上の出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカである。ディスプレイは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイである。出力部16は、本実施形態における「表示部」に対応する。出力部16は、ゲーム機1の動作によって得られる情報を出力する。
【0021】
検知部17は、ゲーム機1の各部の状態又は動作を検知する一以上のセンサ類、又はセンサ類とのインタフェースを有し、センサ類による検知結果を示す情報を制御部13へ送る。センサ類は、ゲーム盤10が有するマス目の状態を検知する各種センサを含む。
【0022】
ゲーム機1の機能は、制御プログラムを、制御部13に含まれるプロセッサが実行することにより実現される。制御プログラムは、コンピュータをゲーム機1として機能させるためのプログラムである。また、ゲーム機1の一部又は全ての機能が、制御部13に含まれる専用回路により実現されてもよい。また、制御プログラムは、ゲーム機1に読取り可能な非一過性の記録・記憶媒体に格納され、ゲーム機1が媒体から読み取ってもよい。
【0023】
図2A~2Eは、ゲーム盤10の構成例を示す図である。
図2Aに示すように、ゲーム盤10は、オセロゲーム等のリバーシゲームの対局を行うためのゲーム盤である。ゲーム盤10は、XY平面上に配列された複数のマス目20を有する。
図2Bは、X軸方向におけるゲーム盤10の断面を示す。各マス目20は、例えば、Y軸方向に高さを有する三角柱形状をなし、Y軸方向の回転軸を中心に三角柱が回転することで、三角柱の側面20a、20b、及び20cのいずれかが盤面21に表出する。
図2C、2D及び2Eは、ゲーム盤10のXY平面視において盤面21に表出するマス目20の側面20a、20b、及び20cをそれぞれ示す。図示されるように、例えば、側面20aは石が白色面を表出するように配置された状態を、側面20bは石が黒色面を表出するように配置された状態を、側面20aは石が配置されていない状態を示す。
【0024】
図2Bに示すように、ゲーム盤10は、各マス目20の回転軸を回転させるアクチュエータ22を有する。アクチュエータ22は、例えば、制御部13からの指示に応じて回転するステッピングモータである。各マス目20は、送信側ゲーム機1Aでは送信側遊戯者の手動操作により、受信側ゲーム機1Bではアクチュエータ22の動作により、回転する。また、ゲーム盤10は、マス目20の回転角を検出する回転角センサ23を有する。回転角センサ23は、検知部17に含まれる。回転角は、例えば、マス目20の任意の面が盤面21に表出した状態を基準とし、基準の状態から0~2πの範囲で回転した角度である。回転角センサ23が検出する回転角の情報は、制御部13へ送られる。
【0025】
図3は、対局システム100の使用例を示す図である。
図3には、遊戯者30、31がそれぞれゲーム機1を用いて対局を行う場合において、遊戯者31の側の状況が示される。遊戯者31は、ゲーム盤10のマス目20を回転させて石を打つときに、入力部15のカメラで撮像される。その撮像画像は遊戯者30のゲーム機1へ送られ、遊戯者30へ向け表示される。また、出力部16のディスプレイには、遊戯者30のゲーム機1から送られる遊戯者30の撮像画像が表示される。ここでは、遊戯者30が回転する送信側マス目20に対応する受信側マス目20が、ゲーム盤10上で回転する態様201が示される。このように、遊戯者31は、遊戯者30が送信側マス目20を回転する様子を撮像画像により視認しつつ、手元のゲーム盤10で受信側マス目20が回転する態様201を視認することができる。
【0026】
図4、
図5は、ゲーム機1が送信側ゲーム機1Aとして動作するときの動作手順と、受信側ゲーム機1Bとして動作するときの動作手順をそれぞれ示すフローチャート図である。
図4、
図5に示す手順は、ゲーム機1の制御部13の動作手順である。
【0027】
図4の手順は、任意に設定される処理サイクルの周期(例えば、数十マイクロ秒)で実行される。
【0028】
ステップS40において、制御部13は、入力部15のカメラにより送信側遊戯者の撮像を行う。カメラは、処理サイクル毎に一以上のフレームの画像を撮像する。撮像により得られる撮像画像は、例えば、複数フレームの画像からなる動画像である。制御部13は、送信側遊戯者が発する音声を撮像画像とともに、入力部15のマイクロフォンにより集音してもよい。
【0029】
ステップS41において、制御部13は、すべてのマス目20の回転角の情報を検知部17から取得する。
【0030】
ステップS42において、制御部13は、回転するマス目20の有無を判断する。例えば、制御部13は、各マス目20の前回の処理サイクルで検出した回転角と、今回の処理サイクルで検出した回転角との差を導出し、任意に定められる基準量以上の差が生じているマス目20があれば、回転するマス目20有りと判断して(Yes)、ステップS43に進む。かかるマス目20が、送信側マス目20である。一方、制御部13は、回転角の差が生じているマス目20がなければ(No)、回転するマス目20無しと判断して、ステップS49に進む。
【0031】
ステップS43において、制御部13は、送信側マス目20の位置と、回転角速度を導出する。送信側マス目20の位置は、例えば、マス目20の配列における行番号と列番号とで特定される。あるいは、各マス目20に一意の識別情報を対応付けてもよい。回転角速度は、前回の処理サイクルで検出された回転角と今回の処理サイクルで検出された回転角の差と、前回の処理サイクルと今回の処理サイクルの時間間隔から求められる。
【0032】
ステップS44において、制御部13は、回転角速度の変化の有無を判断する。例えば、制御部13は、送信側マス目20の前回の処理サイクルで導出した回転角速度と、今回の処理サイクルで導出した回転角速度との差が任意に定める基準量以上であれば変化ありと判断し(Yes)、ステップS45に進む。一方、制御部13は、差が基準量より小さければ変化なしと判断し(No)、ステップS48に進む。
【0033】
ステップS45において、制御部13は、回転角速度が減少している場合はステップS46に進んで、検出周期を伸長する。検出周期は、
図4の処理サイクルが実行される周期である。一方、制御部13は、回転角速度が増大している場合はステップS47に進んで、検出周期を短縮する。なお、ステップS44で回転角速度の変化無しと判断された場合(ステップS44のNo)、現在の検出周期が維持される。
【0034】
ステップS48において、制御部13は、回転情報を送出する。回転情報は、送信側マス目20の位置と回転角の情報を含む。また、回転情報は、検出周期の情報を含む。回転情報は、通信部11により、受信側ゲーム機1Bへ送られる。
【0035】
ステップS49において、制御部13は、撮像画像を送出する。撮像画像は、送信側遊戯者の撮像画像であり、通信部11により受信側ゲーム機1Bへ送られる。なお、ステップS42において回転するマス目がないと判断された場合(ステップS42のNo)、ステップS48での回転情報の送出は省略され、ステップS49で撮像画像が受信側ゲーム機1Bへ送られる。撮像画像には、音声の情報が付されてもよい。撮像画像、音声等の情報は、例えば符号化されて送出される。
【0036】
制御部13は、ステップS44~S47で、維持、または伸長もしくは短縮された検出周期で、次サイクルのステップS40~S49を実行する。
【0037】
図5の手順は、任意に設定される処理サイクルの周期(例えば、数十マイクロ秒)で実行される。
【0038】
ステップS50において、制御部13は、送信側ゲーム機1Aから送られる撮像画像と回転情報を取得する。撮像画像は、送信側遊戯者を撮像して得られる撮像画像である。撮像画像と回転情報は、通信部11により受信されて制御部13へ送られる。回転情報は、送信側マス目20の位置、回転角、検出周期の情報を含む。撮像画像には、音声が付されていてもよい。制御部13は、例えば、符号化された撮像画像、音声等の情報を、復号して取得する。
【0039】
ステップS51において、制御部13は、回転角速度を導出する。回転角速度は、前回の処理サイクルで取得された回転角と今回の処理サイクルで取得された回転角の差と、前回の処理サイクルと今回の処理サイクルの時間間隔とから求められる。
【0040】
ステップS52において、制御部13は、送信側マス目20の回転角速度の変化の有無を判断する。例えば、制御部13は、前回の処理サイクルで検出した回転角速度と、今回の処理サイクルで検出した回転角速度との差が任意の基準より大きければ変化ありと判断し、ステップS53に進む。一方、制御部13は、差が基準以下であれば変化なしと判断し、ステップS53を省略してしてステップS55に進む。
【0041】
ステップS53において、制御部13は、処理サイクルの周期を調整するとともに、送信側遊戯者の撮像画像を出力するための遅延量を調整する。送信側マス目20の回転角速度が変化しているので、送信側ゲーム機1Aから送られる検出周期は、伸長又は短縮されている。これに合わせて、制御部13は、伸長又は短縮された検出周期合わせて次の処理サイクル以降の処理サイクルの周期を伸長又は短縮するように調整する。
また、これに伴い、受信側マス目20を回転させるときのアクチュエータ22に回転角を指示する周期が伸長又は短縮される。その場合、アクチュエータ22が指示に応答して駆動する際の遅延量に加え、指示の周期の伸長又は短縮に追従する際の遅延量が発生する。
記憶部22には、指示の周期の変化量に対応して増減するアクチュエータ22の遅延量の情報が予め格納される。制御部13は、記憶部22から、指示の周期の変化量、すなわち検出周期の調整量に対応して増減するアクチュエータ22の遅延量を読み出して、読み出した結果に基づいて撮像画像を出力する遅延量を調整する。撮像画像の出力が、アクチュエータ22の応答の遅延に応じて遅延されることで、撮像画像と受信側マス目20の回転のずれを抑えることが可能となる。
【0042】
ステップS55において、制御部13は、受信側マス目20を回転させる。制御部13は、回転情報により特定される受信側マス目20を特定し、ゲーム盤10のアクチュエータ22に回転角を指示して、その回転角に対応するように受信側マス目20を回転させる。
【0043】
ステップS56において、制御部13は、出力部16のディスプレイに、撮像画像を表示させる。その際、制御部13は、ステップS53で設定した遅延量に応じて撮像画像の表示を遅延させる。なお、制御部13は、撮像画像に付された音声を、撮像画像と同じ遅延量により遅延させてスピーカから出力させてもよい。
【0044】
図5の手順は、調整された周期で繰り返し実行される。
【0045】
一対のゲーム機1が、送信側ゲーム機1Aとして
図4の手順、受信側ゲーム機1Bとして
図5の手順を交互に実行することで、遊戯者間で対局が行われる。その際、送信側マス目20の回転角速度に応じて検出周期が短縮又は伸長されるので、回転速度が大きいときにはより短いピッチで回転角の送受、受信側マス目20の回転が行われ、回転速度が小さいときにはより長いピッチで回転角の送受、受信側マス目20の回転が行われる。よって、処理サイクルごとの回転角の変化量を略一定に抑えることができ、受信側マス目20の回転をスムーズに再現することが可能となる。
【0046】
図5のステップS50において、複数のマス目20についての回転情報が送信側ゲーム機1Aから送られた場合、受信側ゲーム機1Bは、以降のステップの実行を中止することが可能である。そうすることで、誤った操作を対局に反映させることを回避することが可能となる。
【0047】
図6は、送信側ゲーム機1Aと受信側ゲーム機1Bの動作例を模式的に示す図である。図の横軸は時間軸を示す。送信側ゲーム機1Aは、検出周期の処理サイクルごとに、撮像画像Pn(n=1~5)を撮像するとともに、送信側マス目20の回転角Φnを検出し、撮像画像Pnと回転角Φnを含む回転情報とを受信側ゲーム機1Bへ送る。受信側ゲーム機1Bは、受信側マス目20を回転角Φnで回転するときにそれぞれ遅延量Dnを設定し、各遅延量に合わせて撮像画像Pnを表示する。
【0048】
上述において、ゲーム機1対がネットワーク19経由で通信を行う場合を示したが、ゲーム機1対がピアツーピアで通信を行う場合も、本実施形態に含まれる。
【0049】
本実施形態によれば、受信側ゲーム機1Bの受信側遊戯者は、送信側遊戯者が送信側マス目を回転させるときの撮像画像を視認しながら、略リアルタイムで、自機のゲーム盤で受信側マス目が回転するのを視認する。よって、送信側遊戯者の撮像画像の動きと同期した受信側マス目の回転を受信側遊戯者は体験することになるので、対局における臨場感を増大させることが可能となる。
【0050】
上述において、実施形態を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段、ステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0051】
以下に本開示の実施形態の一部について例示する。しかしながら、本開示の実施形態はこれらに限定されない点に留意されたい。
[付記1]
ゲーム盤を備え互いに通信するゲーム機対を有するシステムであって、
前記ゲーム盤は、それぞれ回転することで異なる面を盤面に表出させるマス目を有し、
送信側ゲーム機が、遊戯者により自機の第1のマス目が一の面から他の面に回転されるときの所定周期での回転角の情報と当該遊戯者の撮像画像とを受信側ゲーム機へ送り、
前記受信側ゲーム機は、前記遊戯者の撮像画像を表示するとともに前記第1のマス目に対応する自機のマス目を前記回転角に応じて回転させる、
システム。
[付記2]
付記1において、
前記送信側ゲーム機は、前記第1のマス目の回転角速度が増加するときに前記所定周期を短くし、当該第1のマス目の回転角速度が減少するときに当該所定周期を長くする、
システム。
[付記3]
付記1又は2において、
前記受信側ゲーム機は、前記第1のマス目の回転角速度の変化量に自機のマス目の回転速度を追従させるときの遅延量を導出し、当該遅延量に応じて前記撮像画像の表示を遅延させる、
システム。
[付記4]
付記1~3のいずれかにおいて、
前記受信側ゲーム機は、前記第1のマス目とともに第2のマス目の回転を示す情報を前記送信側ゲーム機から受けると、自機のマス目の回転を停止する、
システム。
[付記5]
ゲーム盤を備え互いに通信するゲーム機対を有するシステムの動作方法であって、
前記ゲーム盤は、それぞれ回転することで異なる面を盤面に表出させるマス目を有し、
送信側ゲーム機が、遊戯者により自機の第1のマス目が一の面から他の面に回転されるときの所定周期での回転角の情報と当該遊戯者の撮像画像とを受信側ゲーム機へ送る工程と、
前記受信側ゲーム機が、前記遊戯者の撮像画像を表示するとともに前記第1のマス目に対応する自機のマス目を前記回転角に応じて回転させる工程と、
を含む動作方法。
[付記6]
付記5において、
前記送信側ゲーム機は、前記第1のマス目の回転角速度が増加するときに前記所定周期を短くし、当該第1のマス目の回転角速度が減少するときに当該所定周期を長くする、
動作方法。
[付記7]
付記5又は6において、
前記受信側ゲーム機は、前記第1のマス目の回転角速度の変化量に自機のマス目の回転速度を追従させるときの遅延量を導出し、当該遅延量に応じて前記撮像画像の表示を遅延させる、
動作方法。
[付記8]
付記5~7のいずれかにおいて、
前記受信側ゲーム機は、前記第1のマス目とともに第2のマス目の回転を示す情報を前記送信側ゲーム機から受けると、自機のマス目の回転を停止する、
動作方法。
[付記9]
ゲーム盤と制御部とを備えるゲーム機であって、
前記ゲーム盤は、それぞれ回転することで異なる面を盤面に表出させるマス目を有し、
前記制御部は、遊戯者により自機の第1のマス目が一の面から他の面に回転されるときの所定周期での回転角の情報と当該遊戯者の撮像画像とを他のゲーム機へ送り、当該他のゲーム機に、前記遊戯者の撮像画像が表示させるとともに前記第1のマス目に対応する自機のマス目を前記回転角に応じて回転させる、
ゲーム機。
[付記10]
付記9において、
前記制御部は、前記第1のマス目の回転角速度が増加するときに前記所定周期を短くし、当該第1のマス目の回転角速度が減少するときに当該所定周期を長くする、
ゲーム機。
[付記11]
ゲーム盤と制御部とを備えるゲーム機であって、
前記ゲーム盤は、それぞれ回転することで異なる面を盤面に表出させるマス目を有し、
前記制御部は、他のゲーム機から、遊戯者により第1のマス目が一の面から他の面に回転されるときの所定周期での回転角の情報と当該遊戯者の撮像画像とが送られると、前記遊戯者の撮像画像を表示するとともに前記第1のマス目に対応する自機のマス目を前記回転角に応じて回転させる、
ゲーム機。
[付記12]
付記11において、
前記制御部は、前記第1のマス目の回転角速度の変化量に自機のマス目の回転速度を追従させるときの遅延量を導出し、当該遅延量に応じて前記撮像画像の表示を遅延させる、
ゲーム機。
[付記13]
付記11又は12において、
前記制御部は、前記第1のマス目とともに第2のマス目の回転を示す情報を前記他のゲーム機から受けると、自機のマス目の回転を停止する、
ゲーム機。
【符号の説明】
【0052】
1 ゲーム機
10 ゲーム盤
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
15 入力部
16 出力部
17 検出部
19 ネットワーク
20 マス目