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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-07
(45)【発行日】2025-07-15
(54)【発明の名称】仮眠装置
(51)【国際特許分類】
   A47C 21/00 20060101AFI20250708BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20250708BHJP
   A47C 7/72 20060101ALI20250708BHJP
【FI】
A47C21/00
A61B5/16 130
A47C7/72
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022142506
(22)【出願日】2022-09-07
(65)【公開番号】P2024037579
(43)【公開日】2024-03-19
【審査請求日】2024-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】園田 義晴
(72)【発明者】
【氏名】福山 弦
【審査官】丸山 裕樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/159519(WO,A1)
【文献】特開平04-246336(JP,A)
【文献】国際公開第2009/078147(WO,A1)
【文献】特開2021-043480(JP,A)
【文献】特開2013-031542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/62 - 7/74
A47C 21/00
A61B 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の身体を支持可能なベッド本体と、
前記ベッド本体に設けられて利用者の頭部又は首部を拘束する拘束部と、
前記拘束部によって利用者の頭部又は首部が拘束された状態における利用者の頭部と対応する位置に設けられ、脳波を取得する脳波取得部と、
を有し、
前記拘束部は、前記ベッド本体とは別体で左右一対設けられて前記ベッド本体からそれぞれ突設されると共に移動可能に構成されており、
前記脳波取得部は、左右一対の前記拘束部の間に設けられており、左右一対の前記拘束部を連結する連結部に取付けられている、
仮眠装置。
【請求項2】
前記脳波取得部は、前記拘束部によって利用者の頭部又は首部が拘束された状態において、利用者の後頭部に対応する位置に設けられた第1センサと、利用者の前頭葉に対応する位置に設けられた第2センサとを含んで構成されている請求項1に記載の仮眠装置。
【請求項3】
前記ベッド本体における利用者の頭部を支持する部分の側部及び上部を覆う頭部側フレームと、
頭部側フレームの外面に設けられて前記ベッド本体の周囲の音を集音する集音部と、
頭部側フレームの内面に設けられて利用者へ向けて音を出力可能な音出力部と、
をさらに備え、
前記集音部で集音された音の逆位相音を生成し、前記音出力部から逆位相音を出力する請求項1又は2に記載の仮眠装置。
【請求項4】
前記集音部は、前記頭部側フレームの外面に複数設けられており、
前記音出力部は、前記頭部側フレームの上端部における内面に設けられている請求項3に記載の仮眠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮眠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用シートのシートバックに生体情報を検出可能な生体情報センサを設けた構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-136989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、睡眠中における脳波のデータを取得することは、利用者の睡眠状態を把握することができるため有用である。特に、仮眠中における脳波のデータを取得できれば、短時間で質の高い仮眠を実現し得る。しかしながら、特許文献1に記載された技術を適用する場合、利用者の頭部の位置とセンサの位置を合わせることができない。また、利用者が装着することで脳波を取得する装置では、睡眠を妨げる可能性がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、睡眠を妨げることなく仮眠中に脳波を測定できる仮眠装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る仮眠装置は、利用者の身体を支持可能なベッド本体と、前記ベッド本体に設けられて利用者の頭部又は首部を拘束する拘束部と、前記拘束部によって利用者の頭部又は首部が拘束された状態における利用者の頭部と対応する位置に設けられ、脳波を取得する脳波取得部と、を有し、前記拘束部は、前記ベッド本体とは別体で左右一対設けられて前記ベッド本体からそれぞれ突設されると共に移動可能に構成されており、前記脳波取得部は、左右一対の前記拘束部の間に設けられており、左右一対の前記拘束部を連結する連結部に取付けられている
【0007】
請求項1に係る仮眠装置では、利用者の身体を支持可能なベッド本体における利用者の頭部と対応する位置に脳波取得部が設けられている。これにより、仮眠中に利用者の脳波を取得することができる。
【0008】
また、ベッド本体には利用者の頭部又は首部を拘束する拘束部が設けられている。これにより、仮眠中に利用者の頭部の位置が大きく動くのを抑制できる。なお、ここでいう「拘束」とは、利用者の頭部又は首部が動かないように固定するものに限定されない。例えば、頭部又は首部と対応する形状の凹部のように頭部又は首部をガイドする構造を広く含む概念である。
【0010】
さらに、拘束部が移動可能に構成されているため、利用者の身長や体格にかかわらずに利用者の頭部又は首部を拘束できる。また、拘束部と連動して脳波取得部が移動するため、利用者が拘束部を移動させた場合であっても、利用者の頭部の位置に脳波取得部を合わせることができ、利用者の脳波を取得することができる。
【0011】
請求項に係る仮眠装置は、請求項1において、前記脳波取得部は、前記拘束部によって利用者の頭部又は首部が拘束された状態において、利用者の後頭部に対応する位置に設けられた第1センサと、利用者の前頭葉に対応する位置に設けられた第2センサとを含んで構成されている。
【0012】
請求項に係る仮眠装置では、第1センサ及び第2センサの2つのセンサによって脳波を取得するため、脳波の取得データの精度が向上する。
【0013】
請求項に係る仮眠装置は、請求項1又は2において、前記ベッド本体における利用者の頭部を支持する部分の側部及び上部を覆う頭部側フレームと、頭部側フレームの外面に設けられて前記ベッド本体の周囲の音を集音する集音部と、頭部側フレームの内面に設けられて利用者へ向けて音を出力可能な音出力部と、をさらに備え、前記集音部で集音された音の逆位相音を生成し、前記音出力部から逆位相音を出力する。
【0014】
請求項に係る仮眠装置では、頭部側フレームの外面に設けられた集音部によってベッド本体の周囲の音が集音される。また、頭部側フレームの内面に設けられた音出力部から利用者へ向けて、集音部で集音された音の逆位相音が出力される。これにより、利用者の周囲の音をキャンセルすることができ、利用者は周囲の音を気にせずに仮眠することができる。
【0015】
請求項に係る仮眠装置は、請求項において、前記集音部は、前記頭部側フレームの外面に複数設けられており、前記音出力部は、前記頭部側フレームの上端部における内面に設けられている。
【0016】
請求項に係る仮眠装置では、複数の集音部によってベッド本体に対する複数の方向の音を集音することができる。これにより、複数の方向で発生した音の逆位騒音を音出力部
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明に係る仮眠装置によれば、睡眠を妨げることなく仮眠中に脳波を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る仮眠装置を示す斜視図であり、カーテンが閉じた状態を示す図である。
図2】実施形態に係る仮眠装置を示す斜視図であり、カーテンが開いた状態を示す図である。
図3】実施形態におけるベッド本体を側面から概略側面図であり、ベッド本体が椅子形状となっている状態が示されている。
図4】実施形態におけるベッド本体を側面から概略側面図であり、ベッド本体がベッド形状となっている状態が示されている。
図5】変形例に係る仮眠装置を示す斜視図であり、カーテンが開いた状態を示す図である。
図6】変形例におけるベッド本体を側面から概略側面図であり、ベッド本体がベッド形状となっている状態が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施形態に係る仮眠装置10について、図面を参照して説明する。なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP及び矢印RHは、仮眠装置10を構成するベッド本体12のシート前方向、シート上方向及びシート幅方向の右側をそれぞれ示している。ベッド本体12のシート前方向とは、ベッド本体12の利用者が座った姿勢で前方を向いた方向である。シート幅方向の右側とは、ベッド本体に座った状態から見た右方向である。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、シート前後方向の前後、シート上下方向の上下、シート幅方向の左右を示すものとする。
【0020】
図1及び図2に示されるように、本実施形態に係る仮眠装置10は、主として、ベッド本体12と、ベッド本体12に設けられた拘束部52と、回動機構22と、頭部側フレーム14と、足部側フレーム16と、カーテン18と、脳波取得部としての脳波センサ54とを含んで構成されている。
【0021】
(ベッド本体12)
ベッド本体12は、利用者Pの身体を着座状態及び仰向けの状態で支持可能に構成されており、座部12Aと、上体支持部12Bと、下腿支持部12Cとを含んで構成されている。
【0022】
図3及び図4に示されるように、ベッド本体12の座部12Aは、利用者Pの臀部及び大腿部を下方から支持可能に構成されており、側面視で座部12Aの前部よりも後部の方が下方に位置するように若干傾斜している。
【0023】
また、座部12Aは、座部12Aの骨格を構成する座部フレーム26と、座部フレーム26を覆って利用者を支持するクッション材とを含んで構成されている。さらに、座部12Aには、利用者Pの臀部及び大腿部を温めるための図示しないヒータが設けられている。
【0024】
座部12Aの後端部(一端部)には、上体支持部12Bが回動可能に連結されている。上体支持部12Bは、座部12Aと連結された前端部よりも後端部側が上方に位置するように傾斜されており、上体支持部12Bによって利用者Pの上体が下方から支持される。
【0025】
上体支持部12Bは、上体支持部12Bの骨格を構成する上側フレーム28と、上側フレーム28を覆って利用者を支持する図示しないクッション材とを含んで構成されている。また、上体支持部12Bには、利用者Pの上体を温めるための図示しないヒータが設けられている。
【0026】
一方、座部12Aの前端部(他端部)には、下腿支持部12Cが回動可能に連結されている。下腿支持部12Cは、座部12Aと連結された後端部よりも前端部が下方に位置するように傾斜されており、下腿支持部12Cによって利用者の下腿が下方から支持される。
【0027】
下腿支持部12Cは、下腿支持部12Cの骨格を構成する下側フレーム30と、下側フレーム30を覆って利用者を支持する図示しないクッション材とを含んで構成されている。また、下腿支持部12Cには、利用者Pの下腿を温めるための図示しないヒータが設けられている。そして、座部12A、上体支持部12B及び下腿支持部12Cは、表皮によって一体的に覆われている。このため、ベッド本体12は、座部12A、上体支持部12B及び下腿支持部12Cが連続する一体のシートとして見えるようになっているが、外観的及び構造的に一体のシートでなくてもよい。例えば、座部12A、上体支持部12B及び下腿支持部12Cがそれぞれ独立して表皮に覆われた構造でもよい。
【0028】
ここで、ベッド本体12は、回動機構22によって椅子形状とベッド形状との間で相互に変形可能に構成されている。図3には、ベッド本体12が椅子形状になっている状態が図示されており、図4には、ベッド本体12がベッド形状になっている状態が図示されている。
【0029】
(回動機構22)
図3に示されるように、本実施形態における回動機構22は一例として、座部12Aに対して上体支持部12Bを回動させるための上側モータ32と、上側シリンダ34と、上側リンク36とを含んで構成されている。また、回動機構22は、座部12Aに対して下腿支持部12Cを回動させるための下側モータ38と、下側シリンダ40とを含んで構成されている。
【0030】
上側モータ32は、座部12Aの下面側に取り付けられたステッピングモータ及びサーボモータなどのモータで構成されており、図示しない電源から電力が供給されることで駆動して回転力を発生させる。上側シリンダ34は、ケース34Aとロッド34Bとを含んで構成されており、上側モータ32の回転運動が直線運動へ変換されることで、ケース34Aに対してロッド34Bが伸長又は収縮するように構成されている。
【0031】
ロッド34Bの先端には、上側リンク36が接続されている。上側リンク36は、長尺状に形成され、上側リンク36の一端部がロッド34Bの先端に回動可能に接続されており、上側リンク36の他端部が上側ブラケット44を介して上側フレーム28に回動可能に接続されている。また、上側リンク36における一端部と他端部との間にはシート幅方向に貫通する長孔36Aが形成されており、この長孔36Aにはシート幅方向に延在された軸部37が挿通されている。
【0032】
ここで、図3の椅子形状から上側モータ32を駆動させて上側シリンダ34のロッド34Bをケース34A側へ移動させると、図4に示されるようにロッド34Bが収縮した状態に移行する。このロッド34Bの収縮に伴い、上側リンク36が軸部37に沿ってシート前方へ移動しながら軸部37を中心に時計回りに回動することで、上側リンク36が倒れたベッド形状となる。なお、本実施形態では、ベッド本体12がベッド形状に移行した状態であっても、座部12Aと上体支持部12Bとがフラットにならず、座部12Aに対して上体支持部12Bが若干上方へ傾斜されている。これにより、利用者Pが深い眠りにつきにくくなり、短時間の仮眠で覚醒できるようになっている。
【0033】
上側モータ32の前側には、下側モータ38が配設されている。下側モータ38は、座部12Aの下面側に取り付けられたステッピングモータ及びサーボモータなどのモータで構成されており、図示しない電源から電力が供給されることで駆動して回転力を発生させる。下側シリンダ40は、ケース40Aとロッド40Bとを含んで構成されており、下側モータ38の回転運動が直線運動へ変換されることで、ケース40Aに対してロッド40Bが伸長又は収縮するように構成されている。
【0034】
ロッド40Bの先端は、下側フレーム30の下面に取り付けられた下側ブラケット42に回動可能に接続されている。下側ブラケット42には、長孔42Aが形成されており、この長孔42Aに沿ってロッド40Bの先端が移動できるように構成されている。
【0035】
ここで、図3の椅子形状から下側モータ38を駆動させて下側シリンダ40のロッド40Bを伸長させると、長孔42Aに沿ってロッド34Bの先端が移動し、下側フレーム30が座部フレーム26から離間する方向へ移動する。この状態は、座部12Aと下腿支持部12Cとの角度が開いたベッド形状の状態である。このように、図3に示された椅子形状と図4に示されたベッド形状との間の任意の形状にベッド本体12を変形させることができるように構成されている。
【0036】
(足部側フレーム16)
図1及び図2に示されるように、足部側フレーム16は、ベッド本体12の下腿支持部12C側の端部に配設されており、シート前方側及びシート後方側の両側が開放された略円筒状に形成されている。また、足部側フレーム16は、前後方向から見て上下方向に長い略長円とされており、足部側フレーム16の下端部は、連結プレート17に固定されている。連結プレート17は、シート前後方向を長手方向とする略矩形板状に形成されており、連結プレート17の後端部に頭部側フレーム14が固定され、連結プレート17の前端部に足部側フレーム16が固定されている。
【0037】
足部側フレーム16における前方側の開口は、伸縮性を備えた前側布材25によって塞がれている。また、足部側フレーム16における後方側の開口には、前側レール16Aが設けられており、この前側レール16Aには後述するカーテン18の前端部が取り付けられている。
【0038】
(頭部側フレーム14)
頭部側フレーム14は、ベッド本体12の上体支持部12B側の端部に配設されており、シート前方側及びシート後方側の両側が開放された略円筒状に形成されている。また、頭部側フレーム14は、前後方向から見て上下方向に長い略長円とされており、頭部側フレーム14の下端部は、連結プレート17に固定されている。
【0039】
また、頭部側フレーム14の内側には回動機構22の一部が収容された支持ベース20が設けられており、この支持ベース20上にベッド本体12が支持されている。
【0040】
図2に示されるように、頭部側フレーム14における後方側の開口は、後側布材24によって塞がれている。後側布材24は、伸縮性を備えた布材によって形成されており、頭部側フレーム14の周縁部に取り付けられている。また、本実施形態の後側布材24は一例として、光の一部を反射する布材によって形成されているため、仮眠装置10の外側から内側が見え難くなっており、内側の利用者からは仮眠装置10の外側の状況が視認できるようになっている。
【0041】
また、頭部側フレーム14における前方側の開口には、後側レール14Aが設けられている。後側レール14Aは、頭部側フレーム14における上部の開口縁にそって設けられており、この後側レール14Aには後述するカーテン18の後端部が取り付けられている。
【0042】
図4に示されるように、頭部側フレーム14は、下部よりも上部が後側(足部側フレーム16とは反対側)に位置するように傾斜されている。また、頭部側フレーム14は、ベッド形状のベッド本体12に支持された利用者Pの頭部Hを支持する部分の側部及び上部を覆うように設計されている。
【0043】
図2に示されるように、頭部側フレーム14の外面には、ベッド本体12の周囲の音を集音するための複数の集音部51が設けられている。具体的には、頭部側フレーム14の右側側面と、左側側面にそれぞれ集音部51が設けられており、これらの集音部51はマイクロフォンを含んで構成されている。
【0044】
図3及び図4に示されるように、頭部側フレーム14の内面には、利用者Pへ向けて音を出力可能な音出力部56が設けられている。音出力部56は、頭部側フレーム14の上端部における内面に設けられており、スピーカを含んで構成されている。また、音出力部56は、集音部51で集音された音の逆位相音を出力できるように構成されている。
【0045】
(カーテン18)
図1に示されるように、カーテン18は、頭部側フレーム14と足部側フレーム16との間に架け渡された布状の部材である。カーテン18の前端部が前側レール16Aに取り付けられており、カーテン18の後端部が後側レール14Aに取付けられている。そして、前側レール16A及び後側レール14Aに沿ってカーテン18を移動させることで、ベッド本体12の上方を覆う閉位置からベッド本体12の上方を開放する開位置へ移行される。図1には、カーテン18が閉位置に移動した状態が図示されており、図2には、カーテン18が開位置に移動した状態が図示されている。
【0046】
カーテン18は、外部の光の一部が透過される材質で形成されているため、カーテン18が閉位置で利用者Pの上方を覆っている状態であっても、外部の光の一部がカーテン18を透過して仮眠装置10の内部へ入ること等で、利用者Pの視界を確保できる。
【0047】
図3及び図4に示されるように、頭部側フレーム14は、足部側フレーム16よりも上下方向の長さが長く形成されているため、カーテン18は、閉位置で頭部側フレーム14から足部側フレーム16へ向かって斜め下方へ延在されている。
【0048】
(拘束部52)
図2に示されるように、ベッド本体12における上体支持部12Bには、利用者Pの頭部H又は首部Nを拘束する拘束部52が設けられている。本実施形態の拘束部52は、左右に一対設けられており、それぞれ上体支持部12Bに突設されている。また、左右の拘束部52の間には、利用者Pの頭部Hの幅以上の隙間が設けられている。
【0049】
ここで、本実施形態の拘束部52は、上体支持部12Bに沿って上下方向に移動可能に構成されている。例えば、上体支持部12Bの内部に左右一対のレール部材を配設し、レール部材に沿って拘束部52を移動可能に構成してもよい。また、左右の拘束部52は、上体支持部12Bの内部において図示しない連結部によって連結されており、左右の拘束部52が一体となって移動する。
【0050】
なお、拘束部52は、手動で移動できるように構成してもよく、電動の移動機構を備えていてもよい。例えば、ステッピングモータなどの動力を利用して電動で任意の位置に拘束部52を移動できる構成としてもよい。
【0051】
(脳波センサ54)
利用者Pの頭部Hと対応する位置には、脳波を取得する脳波センサ54が設けられている。本実施形態の脳波センサ54は、左右の拘束部52の間に設けられている。また、脳波センサ54は、左右の拘束部52を連結する図示しない連結部に取付けられている。このため、拘束部52を移動させると、脳波センサ54が連動して移動するように構成されている。すなわち、拘束部52の位置にかかわらず、拘束部52と脳波センサ54との位置関係が変化しない。
【0052】
なお、本実施形態では、1つの脳波センサ54で脳波取得部を構成したが、これに限定されない。例えば、脳波センサ54を第1センサとし、この脳波センサ54とは別の第2センサを備えた構成を採用してもよい。この場合、第1センサである脳波センサ54によって利用者Pの後頭部から脳波を取得しつつ、第2センサによって利用者Pの前頭葉から脳波を取得してもよい。すなわち、第2センサは、利用者Pの前頭葉に対応する位置に設けてもよい。例えば、頭部側フレーム14に第2センサを取付け可能なブラケットを設け、ブラケットを利用者Pの頭部へ向けて延在させることで、利用者Pの前頭葉に近い位置に第2センサを搭載できる。また、第2センサを移動させる移動機構を設けて、椅子形状からベッド形状へ移行した後に移動機構によって第2センサを利用者の前頭葉の付近まで近づけてもよい。第1センサ及び第2センサの2つのセンサを用いた構成では、脳波の取得データの精度が向上する。
【0053】
図1及び図2に示されるように、仮眠装置10には、制御部としてのコントローラ50が設けられている。コントローラ50は、例えば、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ストレージ及び通信インタフェースなどを含んで構成されている。また、コントローラ50は、上側モータ32、下側モータ38、集音部51、音出力部56及び脳波センサ54と電気的に接続されている。
【0054】
上側モータ32及び下側モータ38は、回動機構22を構成するステッピングモータ又はサーボモータであり、コントローラ50からの信号に基づいて駆動する。集音部51は、コントローラ50からの信号に基づいてベッド本体12の周囲の音を集音し、集音された音のデータが図示しないノイズキャンセリングユニット等に送信される。
【0055】
コントローラ50は、図示しないノイズキャンセリングユニットによって逆位相音を生成し、音出力部56から逆位相音を出力する。また、コントローラ50は、脳波センサ54によって取得された脳波のデータをストレージ又は外部のサーバなどに記憶させる。
【0056】
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0057】
本実施形態の仮眠装置10では、利用者Pの身体を支持可能なベッド本体12における利用者Pの頭部Hと対応する位置に脳波センサ54が設けられている。これにより、仮眠中に利用者Pの脳波を取得することができる。
【0058】
また、ベッド本体12には利用者Pの頭部H又は首部Nを拘束する拘束部52が設けられている。これにより、仮眠中に利用者Pの頭部Hの位置が大きく動くのを抑制できる。特に、本実施形態では、拘束部52が移動可能に構成されているため、利用者Pの身長や体格にかかわらずに利用者Pの頭部Hを拘束できる。
【0059】
さらに、本実施形態では、拘束部52と連動して脳波センサ54が移動するため、利用者Pが拘束部52を移動させた場合であっても、利用者Pの頭部Hの位置に脳波センサ54を合わせることができ、利用者Pの脳波を取得することができる。
【0060】
さらにまた、本実施形態では、頭部側フレーム14の外面に設けられた集音部51によってベッド本体12の周囲の音が集音され、頭部側フレーム14の内面に設けられた音出力部56から利用者Pへ向けて、集音部51で集音された音の逆位相音が出力される。これにより、利用者Pの周囲の音をキャンセルすることができ、利用者Pは周囲の音を気にせずに仮眠することができる。
【0061】
また、複数の集音部51によってベッド本体12に対する複数の方向の音を集音することができる。これにより、複数の方向で発生した音の逆位騒音を音出力部56から利用者Pへ出力することができ、ノイズキャンセリングの精度を向上できる。
【0062】
なお、本実施形態では、左右に一対設けられた拘束部52によって利用者Pの頭部Hを拘束する構成としたが、これに限定されない。例えば、図5及び図6に示される変形例の構成を採用してもよい。
【0063】
(変形例)
図5及び図6に示されるように、本変形例は、拘束部62を除いて上記実施形態と同様の構成とされている。
【0064】
ベッド本体12における上体支持部12Bには、利用者Pの首部Nを拘束する拘束部62が設けられている。本実施形態の拘束部62は、上体支持部12Bの幅方向中央部に設けられており、幅方向を長手方向とする略直方体状に形成されている。
【0065】
拘束部62における上面には、凹部62Aが形成されている。凹部62Aは、拘束部62における幅方向中央部に形成されており、ベッド本体12側へ凹んでいる。また、凹部62Aは、利用者Pの首Nの形状に対応しており、凹部62Aに首Nが支持されるように構成されている。
【0066】
拘束部62よりも上体支持部12Bの先端側には、脳波を取得する脳波センサ54が設けられている。脳波センサ54は、拘束部62に利用者Pの首が支持された状態で、利用者Pの頭部Hと対応する位置に設けられている。
【0067】
拘束部62は、上体支持部12Bに沿って上下方向に移動可能に構成されており、脳波センサ54は、拘束部62と連動して移動するように構成されている。このため、拘束部62の位置にかかわらず、拘束部62と脳波センサ54の位置関係が変化しない。
【0068】
本変形例に係る仮眠装置10によれば、利用者Pの頭部H自体が拘束されないため、拘束部によって視界を遮られることがない。また、拘束部による圧迫感を感じることがないため、利用者Pの利便性を確保しつつ、脳波のデータを取得できる。
【0069】
以上、実施形態及び変形例に係る仮眠装置10について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、拘束部の形状及び構成は、上記実施形態及び変形例の構造に限定されず、他の構造でもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、脳波センサ54を拘束部52と連動して移動する構成としたが、これに限定されない。例えば、脳波センサ54が上体支持部12Bに固定された構造でもよい。この場合であっても、利用者Pの身長が所定の範囲内であれば、脳波を取得できる。また、利用者Pの身長ごとに仮眠装置を設けてもよい。
【0071】
さらに、上記実施形態では、頭部側フレーム14に集音部51及び音出力部56を設けたが、これに限定されない。例えば、仮眠装置10と接続されたヘッドフォンなどを設け、ヘッドフォンにノイズキャンセリングの機能を搭載すれば、上記実施形態と同様の効果を有する。ただし、機器を装着することなく周囲の音をキャンセルできる観点で、頭部側フレーム14に集音部51及び音出力部56を設けることが好ましい。
【0072】
さらにまた、上記実施形態では、座部12Aに対して上体支持部12Bを回動させるための上側モータ32と、座部12Aに対して下腿支持部12Cを回動させるための下側モータ38と、を含んで回動機構22を構成したが、これに限定されない。例えば、他の機構を用いてベッド本体12を椅子形状からベッド形状へ移行させる構成でもよい。
【0073】
また、ベッド本体12、頭部側フレーム14、足部側フレーム16及びカーテン18は、上記実施形態の形状に限定されず、本発明の効果が得られる構成であれば、他の形状に形成してもよい。例えば、カーテンが自動で開閉される構成としてもよく、金属製又は樹脂製のカーテンを備えた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10 仮眠装置
12 ベッド本体
14 頭部側フレーム
51 集音部
52 拘束部
54 脳波センサ(脳波取得部)
56 音出力部
H 頭部
N 首部
P 利用者
図1
図2
図3
図4
図5
図6