(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-07
(45)【発行日】2025-07-15
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20250708BHJP
B60T 7/12 20060101ALI20250708BHJP
B60T 8/92 20060101ALI20250708BHJP
B60W 50/023 20120101ALI20250708BHJP
B60W 50/04 20060101ALI20250708BHJP
【FI】
B60W30/06
B60T7/12 B
B60T8/92
B60W50/023
B60W50/04
(21)【出願番号】P 2022152407
(22)【出願日】2022-09-26
【審査請求日】2024-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 健介
【審査官】戸田 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-14173(JP,A)
【文献】特開2017-127112(JP,A)
【文献】特開2020-96395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/06
B60T 7/12
B60T 8/92
B60W 50/023
B60W 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された電動ブレーキ装置に電力を供給する第1電源系統と、前記第1電源系統の失陥時に前記電動ブレーキ装置に電力を供給する第2電源系統とを、備えるシステムを制御する、制御装置であって、
前記車両が自動駐車機能を実行していないときは、前記第2電源系統の出力電圧を第1電圧に設定し、
前記車両が自動駐車機能を実行中は、前記第2電源系統の出力電圧を前記第1電圧より高い第2電圧に設定し、
前記車両が自動駐車機能を実行中に前記第1電源系統に異常が発生したときは、前記第2電源系統の出力電圧を前記第2電圧より高い第3電圧に設定し、
前記第2電圧は、前記第1電源系統の出力電圧より低く、かつ、前記電動ブレーキ装置が作動可能な電圧である、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に搭載されるバックアップ電源システムの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、車両において自動駐車機能の実行中にメイン電源系統が失陥した場合、補助電源系統によって電動ブレーキ装置に電力を供給して車両をすみやかに制動して停止させる制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
補助電源系統の電力を電動ブレーキ装置へ安定して供給するためには、補助電源系統の蓄電池の容量を増やすことが考えられるが、コストや重量が増加する。また、蓄電池の充電電圧を高くすることが考えられるが、蓄電池の寿命が悪化する。また、補助電源系統の目標出力電圧を予め高くしておくことが考えられるが、自動駐車機能を実行していない間は常に補助電源系統の出力電圧がメイン電源系統の出力電圧より高くなり、補助電源系統からの電力持ち出しが発生してしまう。よって、自動駐車機能の実行中にメイン電源系統が失陥した場合における、補助電源系統の制御にはさらなる検討の余地がある。
【0005】
本開示は、上記課題を鑑みてなされたものであり、補助電源系統からの電力持ち出しを抑制しつつ、メイン電源系統の失陥時には補助電源系統から電力を電動ブレーキ装置に供給することができる、制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための、本開示技術の一態様は、車両に搭載された電動ブレーキ装置に電力を供給する第1電源系統と、第1電源系統の失陥時に電動ブレーキ装置に電力を供給する第2電源系統とを、備えるシステムを制御する、制御装置であって、車両が自動駐車機能を実行していないときは、第2電源系統の出力電圧を第1電圧に設定し、車両が自動駐車機能を実行中は、第2電源系統の出力電圧を第1電圧より高い第2電圧に設定し、車両が自動駐車機能を実行中に第1電源系統に異常が発生したときは、第2電源系統の出力電圧を第2電圧より高い第3電圧に設定し、第2電圧は、第1電源系統の出力電圧より低く、かつ、電動ブレーキ装置が作動可能な電圧である。
【発明の効果】
【0007】
上記本開示の制御装置によれば、第2電源系統からの電力持ち出しを抑制しつつ、第1電源系統の失陥時には第2電源系統から電力を電動ブレーキ装置に供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る制御装置とその周辺部を含むシステムの概略構成図
【
図2】第1の実施形態に係る制御装置が実行する出力電圧設定制御の処理フローチャート
【
図3】第2の実施形態に係る制御装置とその周辺部を含むシステムの概略構成図
【
図4】第2の実施形態に係る制御装置が実行する出力電圧設定制御の処理フローチャート
【
図5】第3の実施形態に係る制御装置とその周辺部を含むシステムの概略構成図
【
図6】第3の実施形態に係る制御装置が実行する出力電圧設定制御の処理フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施形態]
<構成>
図1は、本開示の第1の実施形態に係る制御装置10とその周辺部を含むシステムの概略構成図である。
図1に例示する第1の実施形態のシステムは、制御装置10と、第1電源系統20と、第2電源系統30と、電動ブレーキ装置41と、自動駐車制御装置100とを、備えている。このシステムは、例えば、内燃機関自動車、ハイブリッド自動車(HEV)、及び電気自動車(BEV)などの車両に搭載される。
図1では、電力線を実線で示し、制御信号線を破線で示す。
【0010】
(電動ブレーキ装置)
電動ブレーキ装置41は、自動駐車制御装置100からの指令に基づいて車両を制動する装置である。この電動ブレーキ装置41は、ブレーキアクチュエーターと、自動駐車制御装置100からの指令に応じた電気的な制御信号によってブレーキアクチュエーターを制御する制御部と、を含む。電動ブレーキ装置41は、第1電源系統20及び第2電源系統30から電力の供給を受けることができる。
【0011】
(第1電源系統)
第1電源系統20は、電動ブレーキ装置41へ電力を供給するメイン電源系統(補機電源など)である。第1電源系統20は、一例として、第1バッテリ21、第2バッテリ23、及びこれらの間に設けられた第1DCDCコンバータ(第1DDC)22を備える。
【0012】
第1バッテリ21は、例えば、車両外部からの供給電力又は車両が備える発電機(図示せず)による発電電力によって充電されるリチウムイオン電池である。第2バッテリ23は、例えば、第1バッテリ21よりも出力電圧が低い鉛蓄電池である。第1DCDCコンバータ22は、第1バッテリ21の出力を所定の電圧へ変圧する。第1DCDCコンバータ22からの出力と、第2バッテリ23の出力とが、第1電源系統20の出力となる。また、第1DCDCコンバータ22の出力は、第2バッテリ23の充電にも用いられる。第1電源系統20は、制御装置10や自動駐車制御装置100などにも電力を供給してもよい。
【0013】
(第2電源系統)
第2電源系統30は、電動ブレーキ装置41へ補助的に電力を供給する補助電源系統(バックアップ電源など)である。第2電源系統30は、第2DCDCコンバータ(第2DDC)31と、第2DCDCコンバータ31に接続されたキャパシタ32と、第1リレー33とを含む。第1リレー33は、閉状態においてキャパシタ32の端子間を短絡してキャパシタ32の放電経路を形成することが可能なように設けられる。キャパシタ32は、第2電源系統30の電力源である。
【0014】
第2DCDCコンバータ31は、双方向に電圧変換出力が可能なDCDCコンバータである。具体的には、第2DCDCコンバータ31は、キャパシタ32の出力を、後述する目標出力電圧に変圧して第2電源系統30の出力とする。また、第2DCDCコンバータ31は、第1電源系統20と第2電源系統30との間に設けられる第2リレー80を介して供給される第1電源系統20の出力を所定の電圧に変圧してキャパシタ32に供給して、キャパシタ32を充電できる。
【0015】
第1電源系統20と電動ブレーキ装置41との間には、第1整流素子(ダイオード)50が設けられる。第1整流素子50は、第1電源系統20側に接続される一端が流入側であり、電動ブレーキ装置41側に接続される他端が流出側である。
【0016】
第2電源系統30と電動ブレーキ装置41との間には、第3リレー71及び第2整流素子(ダイオード)61が直列に設けられる。第2整流素子61は、第2電源系統30側に接続される一端が流入側であり、電動ブレーキ装置41側に接続される他端が流出側である。
【0017】
(制御装置)
制御装置10は、第2電源系統30から電動ブレーキ装置41への電力供給を制御する。制御装置10は、失陥検出部11及び電源系統制御部12を含む。制御装置10は、典型的にはプロセッサ、メモリ、及び入出力インタフェースなどを含んだ電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)である。
【0018】
失陥検出部11は、第1電源系統20における異常状態の1つである失陥の有無を検出する。失陥検出部11による失陥の検出方法は特に限定されないが、本実施形態では、一例として、図示しない電圧センサにより測定した第1電源系統20の出力電圧に基づいて失陥を検出する。
【0019】
電源系統制御部12は、自動駐車制御装置100から自動駐車機能の実行状態を表す情報を取得できる。また、電源系統制御部12は、失陥検出部11から第1電源系統20における失陥の検出結果を取得できる。電源系統制御部12は、自動駐車機能の実行状態及び第1電源系統20における失陥の検出結果に基づいて、第1リレー33、第2リレー80、第3リレー71、及び第2電源系統30の第2DCDCコンバータ31を制御することによって、第2電源系統30の出力電圧(目標出力電圧)の設定と、電動ブレーキ装置41へのバックアップ電力の供給と、を実施する。
【0020】
(自動駐車制御装置)
自動駐車制御装置100は、自動駐車機能を実現するために車両に設けられる。自動駐車制御装置100は、ユーザーによる駐車指示を受け付けると、車両が備える各種のセンサにより測定された車両及び車両周辺の情報などに基づいて、車両の駆動力、制動力、操舵角などを制御する指令を生成し、車両が備えるエンジン又はモーターの制御装置、電動ブレーキ装置41、及びステアリング制御装置などに出力して、自動で駐車スペースに駐車することができるように車両を制御する。
【0021】
なお、自動駐車制御装置100が実現する自動駐車機能の態様は限定されない。自動駐車機能の態様は、例えば、駐車スペースの近傍で、運転席に座ったユーザーから指示を受けて駐車スペースに駐車する態様、駐車スペースの近傍で降車したユーザーから指示を受けて駐車スペースに駐車するリモート駐車の態様、駐車場の入口で降車したユーザーから指示を受けて駐車場の入口から駐車スペースまでの移動及び当該駐車スペースへの駐車を行う自動バレー駐車の態様など、を含む。
【0022】
<制御>
次に、
図2をさらに参照して、自動駐車機能の実行中に制御装置10が行う電源系統の制御について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る制御装置10が実行する第2電源系統30の出力電圧設定制御の処理手順を示すフローチャートである。
図2に例示する出力電圧設定制御は、統合型バックアップ電源の充電が完了することによって開始される。
【0023】
(ステップS201)
電源系統制御部12は、第2電源系統30の出力電圧(目標出力電圧)を第1電圧V1に設定する。第1電圧V1は、規定値であり、例えば10Vとすることができる。この出力電圧の設定は、第2DCDCコンバータ31に対して出力電圧に対応する指令(電圧指示値)を発行することで行うことができる。第2電源系統30の出力電圧が第1電圧V1に設定されると、ステップS202に処理が進む。
【0024】
(ステップS202)
電源系統制御部12は、自動駐車制御装置100がユーザーによる駐車指示を受け付けて自動駐車機能を実行しているか否かを判断する。自動駐車機能が実行中である場合は(ステップS202、はい)、ステップS203に処理が進む。一方、自動駐車機能が実行中ではない場合は(ステップS202、いいえ)、本出力電圧設定制御が終了する。
【0025】
(ステップS203)
電源系統制御部12は、第2電源系統30の出力電圧(目標出力電圧)を第2電圧V2に設定する。第2電圧V2は、第1電圧V1よりも高い規定値であり(V2>V1)、例えば11Vとすることができる。この第2電圧V2は、第1電源系統20の出力電圧より低く、かつ、電動ブレーキ装置41が作動可能な電圧である。第2電源系統30の出力電圧が第2電圧V2に設定されると、ステップS204に処理が進む。
【0026】
(ステップS204)
失陥検出部11は、第1電源系統20に失陥などの異常が発生したか否かを判断する。第1電源系統20に異常が発生している場合は(ステップS204、はい)、ステップS205に処理が進む。一方、第1電源系統20に異常が発生していない場合は(ステップS204、いいえ)、ステップS207に処理が進む。
【0027】
(ステップS205)
制御装置10の電源系統制御部12は、第2電源系統30の出力電圧(目標出力電圧)を第3電圧V3に設定する。第3電圧V3は、第2電圧V2よりも高い規定値であり(V3>V2)、例えば12Vとすることができる。第2電源系統30の出力電圧が第3電圧V3に設定されると、ステップS206に処理が進む。
【0028】
(ステップS206)
電源系統制御部12は、第2リレー80及び第3リレー71を制御して、第2電源系統30から電動ブレーキ装置41に対して電力を供給するバックアップ給電を実施する。電動ブレーキ装置41に対してバックアップ給電がされると、本出力電圧設定制御が終了する。
【0029】
(ステップS207)
制御装置10の電源系統制御部12は、自動駐車制御装置100による自動駐車機能が完了したか否かを判断する。自動駐車機能が完了している場合は(ステップS207、はい)、本出力電圧設定制御が終了する。一方、自動駐車機能が完了していない場合は(ステップS207、いいえ)、ステップS204に処理が進む。
【0030】
この第1の実施形態の出力電圧設定制御によって、失陥検出部11による第1電源系統20の失陥検知が遅れた場合でも、第2電源系統30から電動ブレーキ装置41へ作動可能な電力を供給できる。よって、セル容量の消費を抑制し、容量増加や制御複雑化によるコストアップも防ぎつつ、小型化が可能となる。
【0031】
[第2の実施形態]
<構成>
図3は、本開示の第2の実施形態に係る制御装置10とその周辺部を含むシステムの概略構成図である。
図3に例示する第2の実施形態のシステムは、
図1に例示する第1の実施形態のシステムと比べて、シフトバイワイヤ(SBW)42、第3整流素子62、第4リレー72の構成が追加されている。
【0032】
(シフトバイワイヤ)
シフトバイワイヤ(SBW)42は、変速機(図示せず)のギア段変更を電気信号で行うことができる装置である。このシフトバイワイヤ(SBW)42は、ドライバーのシフト操作を電気的な制御信号に変換する制御部と、制御部から指示される制御信号に基づいてギア段を変更するアクチュエーターと、を含む。シフトバイワイヤ(SBW)42は、第1電源系統20及び第2電源系統30から電力の供給を受けることができる。
【0033】
第2電源系統30は、電動ブレーキ装置41及びシフトバイワイヤ(SBW)42へ補助的に電力を供給する補助電源系統(バックアップ電源など)である。第2電源系統30とシフトバイワイヤ(SBW)42との間には、第4リレー72及び第3整流素子(ダイオード)62が直列に設けられる。第3整流素子62は、第2電源系統30側に接続される一端が流入側であり、シフトバイワイヤ(SBW)42側に接続される他端が流出側である。
【0034】
制御装置10は、第2電源系統30から電動ブレーキ装置41への電力供給に加え、第2電源系統30からシフトバイワイヤ(SBW)42への電力供給を制御する。電源系統制御部12は、自動駐車機能の実行状態及び第1電源系統20における失陥の検出結果に基づいて、第1リレー33、第2リレー80、第3リレー71、第4リレー72、及び第2電源系統30の第2DCDCコンバータ31を制御することによって、第2電源系統30の出力電圧(目標出力電圧)の設定と、電動ブレーキ装置41及びシフトバイワイヤ(SBW)42へのバックアップ電力の供給と、を実施する。
【0035】
自動駐車制御装置100は、ユーザーによる駐車指示を受け付けると、車両が備える各種のセンサにより測定された車両及び車両周辺の情報などに基づいて、車両の駆動力、制動力、操舵角などを制御する指令を生成し、車両が備えるエンジン又はモーターの制御装置、電動ブレーキ装置41、シフトバイワイヤ(SBW)42、及びステアリング制御装置などに出力して、自動で駐車スペースに駐車することができるように車両を制御する。
【0036】
<制御>
図4は、第2の実施形態に係る制御装置10が実行する第2電源系統30の電圧設定制御の処理手順を示すフローチャートである。
図4においてステップS201~S204及びS207の処理は、
図2の処理と同様である。
【0037】
(ステップS401)
上記ステップS204において第1電源系統20に異常が発生していると判断された場合、電源系統制御部12は、第2リレー80及び第3リレー71を制御して、第2電源系統30から電動ブレーキ装置41に対して電力を供給するバックアップ給電を実施する。電動ブレーキ装置41に対してバックアップ給電がされると、ステップS402に処理が進む。
【0038】
(ステップS402)
電源系統制御部12は、第2電源系統30の出力電圧(目標出力電圧)を第3電圧V3に設定する。第3電圧V3は、第2電圧V2よりも高い規定値であり(V3>V2)、例えば12Vとすることができる。第2電源系統30の出力電圧が第3電圧V3に設定されると、ステップS403に処理が進む。
【0039】
(ステップS403)
電源系統制御部12は、第2リレー80及び第4リレー72を制御して、第2電源系統30からシフトバイワイヤ(SBW)42に対して電力を供給するバックアップ給電を実施する。シフトバイワイヤ(SBW)42に対してバックアップ給電がされると、本出力電圧設定制御が終了する。
【0040】
この第2の実施形態の出力電圧設定制御によって、失陥検出部11による第1電源系統20の失陥を検知した場合、電動ブレーキ装置41を制御した後にシフトバイワイヤ(SBW)42による車両固定を実施できる。よって、セル容量の消費を抑制し、容量増加や制御複雑化によるコストアップも防ぎつつ、小型化が可能となる。
【0041】
[第3の実施形態]
<構成>
図5は、本開示の第3の実施形態に係る制御装置10とその周辺部を含むシステムの概略構成図である。
図5に例示する第3の実施形態のシステムは、
図1に例示する第1の実施形態のシステムと比べて、第5リレー34の構成が追加されている。
【0042】
(第2電源系統)
第2電源系統30は、電動ブレーキ装置41へ補助的に電力を供給する補助電源系統(バックアップ電源など)である。第2電源系統30は、第2DCDCコンバータ(第2DDC)31と、第2DCDCコンバータ31に接続されたキャパシタ32と、第1リレー33と、第5リレー34と、を含む。第1リレー33は、閉状態においてキャパシタ32の端子間を短絡してキャパシタ32の放電経路を形成することが可能なように設けられる。第5リレー34は、第2DCDCコンバータ31と第2リレー80及び第3リレー71の接続点との間に設けられる。キャパシタ32は、第2電源系統30の電力源である。
【0043】
第2DCDCコンバータ31は、双方向に電圧変換出力が可能なDCDCコンバータである。具体的には、第2DCDCコンバータ31は、キャパシタ32の出力を、後述する目標出力電圧に変圧して第2電源系統30の出力とする。また、第2DCDCコンバータ31は、第1電源系統20と第2電源系統30との間に設けられる第2リレー80及び第5リレー34を介して供給される第1電源系統20の出力を、所定の電圧に変圧してキャパシタ32に供給して、キャパシタ32を充電できる。
【0044】
(制御装置)
電源系統制御部12は、自動駐車制御装置100から自動駐車機能の実行状態を表す情報を取得できる。また、電源系統制御部12は、失陥検出部11から第1電源系統20における失陥の検出結果を取得できる。電源系統制御部12は、自動駐車機能の実行状態及び第1電源系統20における失陥の検出結果に基づいて、第1リレー33、第2リレー80、第3リレー71、第5リレー34、及び第2電源系統30の第2DCDCコンバータ31を制御することによって、第2電源系統30の出力電圧(目標出力電圧)の設定と、電動ブレーキ装置41へのバックアップ電力の供給と、を実施する。
【0045】
<制御>
図6は、第3の実施形態に係る制御装置10が実行する第2電源系統30の電圧設定制御の処理手順を示すフローチャートである。
図6においてステップS202、S204、S206~S207の処理は、
図2の処理と同様である。
【0046】
(ステップS601)
電源系統制御部12は、第2DCDCコンバータ31の出力電圧(目標出力電圧)を第1電圧V1に設定すると共に、第5リレー34をOFF状態(開状態)に設定する。第1電圧V1は、規定値であり、例えば10Vとすることができる。この出力電圧の設定は、第2DCDCコンバータ31に対して出力電圧に対応する指令(電圧指示値)を発行することで行うことができる。第2DCDCコンバータ31の出力電圧が第1電圧V1に設定され、かつ、第5リレー34がOFF状態に設定されると、ステップS202に処理が進む。
【0047】
(ステップS202)
電源系統制御部12は、自動駐車制御装置100がユーザーによる駐車指示を受け付けて自動駐車機能を実行しているか否かを判断する。自動駐車機能が実行中である場合は(ステップS202、はい)、ステップS602に処理が進む。一方、自動駐車機能が実行中ではない場合は(ステップS202、いいえ)、本出力電圧設定制御が終了する。
【0048】
(ステップS602)
電源系統制御部12は、第2DCDCコンバータ31の出力電圧(目標出力電圧)を第2電圧V2に設定すると共に、第5リレー34をON状態(閉状態)に設定する。第2電圧V2は、第1電圧V1よりも高い規定値であり(V2>V1)、例えば11Vとすることができる。この第2電圧V2は、第1電源系統20の出力電圧より低く、かつ、電動ブレーキ装置41が作動可能な電圧である。第2DCDCコンバータ31の出力電圧が第2電圧V2に設定され、かつ、第5リレー34がON状態に設定されると、ステップS204に処理が進む。
【0049】
(ステップS204)
失陥検出部11は、第1電源系統20に失陥などの異常が発生したか否かを判断する。第1電源系統20に異常が発生している場合は(ステップS204、はい)、ステップS603に処理が進む。一方、第1電源系統20に異常が発生していない場合は(ステップS204、いいえ)、ステップS207に処理が進む。
【0050】
(ステップS603)
制御装置10の電源系統制御部12は、第2電源系統30の出力電圧(目標出力電圧)を第3電圧V3に設定すると共に、第5リレー34をON状態(閉状態)に設定する。第3電圧V3は、第2電圧V2よりも高い規定値であり(V3>V2)、例えば12Vとすることができる。第2電源系統30の出力電圧が第3電圧V3に設定され、かつ、第5リレー34がON状態に設定されると、ステップS206に処理が進む。
【0051】
この第3の実施形態の出力電圧設定制御によって、自動駐車を実行していない場合には第5リレー34をONさえすれば直ちに第2電源系統30から電動ブレーキ装置41へ作動可能な電力を供給できる。よって、キャパシタ32からの電力の持ち出しを抑制することができる。
【0052】
<作用・効果>
以上のように、本開示の一実施形態に係る制御装置10によれば、自動駐車(リモート駐車)機能の実行中に第1電源系統20が失陥しても、第2電源系統30により電動ブレーキ装置41及びシフトバイワイヤ(SBW)42の稼働を維持することができるため、車両をすみやかに制動して安全に停止させることができる。
【0053】
また、自動駐車機能の実行中は、第2電源系統30の出力電圧を第1電源系統20の出力電圧より低く、かつ電動ブレーキ装置41が作動可能な電圧値に設定することで、第2電源系統30からの電力持ち出しを抑制しつつ、第1電源系統20の失陥時には第2電源系統30から電動ブレーキ装置41などに電力を供給できる。
【0054】
なお、自動駐車機能を実行中に第1電源系統20の電圧落ち込みが発生したときの、第2電源系統30からの電圧持ち出しを回避するために、自動駐車機能を実行中は、ライト、ワイパー、デフォッガなどの不必要な機能への第1電源系統20による給電を遮断してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示の制御装置は、車両用のバックアップ電源システムの制御などに利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
10 制御装置
11 失陥検出部
12 電源系統制御部
20 第1電源系統
21、23 バッテリ
22、31 DCDCコンバータ(DDC)
30 第2電源系統
32 キャパシタ
33、34、71、72、80 リレー
41 電動ブレーキ装置
42 シフトバイワイヤ(SBW)
50、61、62 整流素子
100 自動駐車制御装置