IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-画像の比較方法 図1
  • 特許-画像の比較方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-07
(45)【発行日】2025-07-15
(54)【発明の名称】画像の比較方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/60 20170101AFI20250708BHJP
   G06V 10/22 20220101ALI20250708BHJP
【FI】
G06T7/60 300Z
G06V10/22
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022162251
(22)【出願日】2022-10-07
(65)【公開番号】P2024055380
(43)【公開日】2024-04-18
【審査請求日】2024-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】三宅 慧
(72)【発明者】
【氏名】山下 寛泰
(72)【発明者】
【氏名】武藤 晴文
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-328068(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0230560(US,A1)
【文献】特開2009-272834(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2023-0080784(KR,A)
【文献】嶋▲崎▼靖志,DVD付き! 本格エレキアプリ全集 本気で使えるフリーウェア急増中! 回路/基板だけじゃない! スピーカ設計から熱/ノイズ解析まで 第1部 実験や電子工作に! 第5章 ディスプレイに表示されたx-y特性が大好物! JPEG/GIF/BMPなどのファイルも食べちゃう 数値化のご用命は!グラフ・スキャナRODEM-G 曲線/棒線/折れ線…なんでも来い,トランジスタ技術,CQ出版株式会社,2015年03月01日,第52巻 第3号,pp.84~89
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
CSDB(日本国特許庁)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像にそれぞれ描かれており色づけされているグラフの線を比較する方法であって、
各画像に対して彩度抽出を行う工程と、
前記画像において前記グラフの線が描かれているグラフ領域を抽出する工程と
抽出した各グラフ領域の大きさが一致するようにグラフ領域の縮尺を変更する工程と、
大きさを一致させた各グラフ領域を重ねて各グラフ領域に描かれている前記グラフの線を比較する工程と、を含む
画像の比較方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の比較方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、2つの画像が類似しているか否かを比較する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-117842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
法規などの技術情報に含まれる画像には、グラフの線が描かれていることがある。ここで、そうしたグラフの線は、国毎に異なっていたり、法規の改定により変更されたりすることがある。
【0005】
そこで、複数の画像にそれぞれ描かれたグラフの線を比較して一致しているのか否かを判断する場合がある。しかし、そうした画像にはグラフの線だけではなく、目盛りや文字なども描かれている。そのため、複数の画像を比較してそれら画像に描かれたグラフの線が同じであるか否かを判断する場合、仮にグラフの線が同じであっても、目盛りや文字などが異なっていれば、互いに違う画像であると判定されるおそれがある。従って、複数の画像にそれぞれ描かれたグラフの線を精度よく比較することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する画像の比較方法は、複数の画像にそれぞれ描かれており色づけされているグラフの線を比較する方法である。この比較方法は、各画像に対して彩度抽出を行う工程と、前記画像において前記グラフの線が描かれているグラフ領域を抽出する工程と抽出した各グラフ領域の大きさが一致するようにグラフ領域の縮尺を変更する工程と、大きさを一致させた各グラフ領域を重ねて各グラフ領域に描かれている前記グラフの線を比較する工程とを含んでいる。
【0007】
法規などの技術情報に含まれる画像に描かれているグラフの線は、色づけされていることが多い。一方、グラフの線以外の情報、例えば目盛りや文字などは白色や黒色で描かれており無彩色であることが多い。そこで、同方法では、画像に対して彩度抽出を行うことにより、色づけされているグラフの線を画像から抽出するようにしている。従って、画像に描かれた目盛りや文字の影響を受けることなく、各画像に描かれたグラフの線のみを比較することができる。そのため、複数の画像にそれぞれ描かれたグラフの線を精度よく比較することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態における画像の比較方法を実施するための構成を示す模式図である。
図2】同実施形態における画像の比較方法に関する工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、画像の比較方法を具体化した一実施形態について説明する。
<構成について>
図1に示すように、画像の比較方法を実施する実行装置100は、中央処理装置(以下、CPUという)110や、制御用のプログラムやデータが記憶されたメモリ120などを備えている。そして、実行装置100は、メモリ120に記憶されたプログラムをCPU110が実行することにより各種の処理を実行する。なお、実行装置100としては、パーソナルコンピュータやサーバ等が挙げられる。
【0010】
実行装置100には、画像表示装置200が接続されている。画像表示装置200には、実行装置100が実行した各処理の結果等が表示される。
<画像の比較方法>
図2に、実行装置100が行う画像の比較方法についてその工程を示す。
【0011】
<第1工程>
まず初めに、実行装置100は、第1工程S10として、彩度抽出処理を実行する。彩度抽出処理は、画像において色づけされた部分、つまり白色や黒色などといった無彩色を除いた色で描かれている部分を抽出する処理である。
【0012】
実行装置100は、第1工程S10を開始すると、まず、第1画像10及び第2画像20を読み込む。第1画像10及び第2画像20は、いずれも法規などの技術情報に含まれている画像であり、色づけされたグラフの線と、色づけされていない目盛り及び文字とが描かれている。なお、以下では、第1画像10に描かれたグラフの線を第1グラフ線Gaといい、第2画像20に描かれたグラフの線を第2グラフ線Gbという。
【0013】
ちなみに、第1画像10の一例としては、車両の排気性能を試験する際に改訂前の法規で規定されていた車速の時間変化などが挙げられる。また、第2画像20の一例としては、車両の排気性能を試験する際に改訂後の法規で規定されている車速の時間変化などが挙げられる。
【0014】
そして、実行装置100は、読み込んだ第1画像10に対して彩度抽出処理を実行することにより、背景が黒色であり、色づけされていた第1グラフ線Gaのみが描かれている第1画像10aを生成する。なお、この彩度抽出処理により第1グラフ線Gaの色はグレー色に変換される。同様に、実行装置100は、読み込んだ第2画像20に対して彩度抽出処理を実行することにより、背景が黒色であり、色づけされていた第2グラフ線Gbのみが描かれている第2画像20aを生成する。なお、この彩度抽出処理により第2グラフ線Gbの色はグレー色に変換される。次に、実行装置100は、第2工程S20を実行する。
【0015】
<第2工程>
実行装置100は、第2工程S20を開始すると、第1画像10aに対して2値化処理を実行することにより、第1グラフ線Gaの色がグレー色から白色に変換された第1画像10bを生成する。同様に、実行装置100は、第2画像20aに対して2値化処理を実行することにより、第2グラフ線Gbの色がグレー色から白色に変換された第2画像20bを生成する。次に、実行装置100は、第3工程S30を実行する。
【0016】
<第3工程>
実行装置100は、第3工程S30を開始すると、第1画像10bに対してグラフ領域抽出処理を実行することにより、第1グラフ線Gaが描かれている領域を第1画像10bから抽出した第1グラフ領域画像10cを生成する。
【0017】
グラフ領域抽出処理は、例えば以下のようにして実行される。まず、第1画像10bをXY座標系においたときに、X軸方向における第1グラフ線Gaの最小値をXmin、最大値をXmaxとする。また、Y軸方向における第1グラフ線Gaの最小値をYmin、最大値をYmaxとする。そして、点(Xmin、Ymin)、点(Xmin、Ymax)、点(Xmax、Ymin)、点(Xmax、Ymax)の4つの点で囲まれる四角の領域を第1画像10bから抜き出すことにより第1グラフ領域画像10cが生成される。
【0018】
同様に、実行装置100は、第2画像20bに対してグラフ領域抽出処理を実行することにより、第2グラフ線Gbが描かれている領域を第2画像20bから抽出した第2グラフ領域画像20cを生成する。次に、実行装置100は、第4工程S40を実行する。
【0019】
<第4工程>
実行装置100は、第4工程S40を開始すると、まず、縮尺調整処理を実行する。縮尺調整処理は、第1グラフ領域画像10c及び第2グラフ領域画像20cの大きさが一致するようにグラフ領域の画像の縮尺を変更する処理である。
【0020】
次に、実行装置100は、重ね合わせ処理を実行する。重ね合わせ処理は、大きさを一致させた第1グラフ領域画像10c及び第2グラフ領域画像20cを重ねて第1グラフ線Ga及び第2グラフ線Gbが一致するかどうかを比較する処理である。なお、そうした画像を比較するためのマッチング処理は、周知の方法で行えばよい。
【0021】
実行装置100は、第1グラフ線Ga及び第2グラフ線Gbが一致したか否かの比較結果を適宜の態様にて画像表示装置200に表示する。
<作用及び効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0022】
(1)法規などの技術情報に含まれる画像に描かれているグラフの線は、色づけされていることが多い。一方、グラフの線以外の情報、例えば目盛りや文字などは白色や黒色で描かれており無彩色であることが多い。そこで、本実施形態では、画像に対して彩度抽出処理を行うことにより、色づけされているグラフの線を画像から抽出するようにしている。従って、画像に描かれた目盛りや文字の影響を受けることなく、各画像に描かれたグラフの線のみを比較することができる。そのため、複数の画像にそれぞれ描かれたグラフの線を精度よく比較することができるようになる。
【0023】
(2)複数の画像にそれぞれ描かれたグラフの線を精度よく比較することができるため、実行装置100を用いてグラフの線を比較する際の自動判定の精度も向上するようになる。
【0024】
<変更例>
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0025】
・2つの画像を比較したが、3つ以上の画像を比較してもよい。
・第2工程S20を省略してもよい。
・第1工程S10の彩度抽出処理では、第1画像10及び第2画像20の背景を黒色に変換した第1画像10a及び第2画像20aを生成したが、第1画像10及び第2画像20の背景を白色に変換した第1画像10a及び第2画像20aを生成してもよい。この変更例の場合には、第2工程S20の2値化処理にて、第1グラフ線Ga及び第2グラフ線Gbの色をともにグレー色から黒色に変換して第1画像10b及び第2画像20bを生成すればよい。
【0026】
・第4工程S40では、縮尺調整処理と重ね合わせ処理とを実行した。この他、第4工程S40では縮尺調整処理を実行する。そして、次の第5工程S50として重ね合わせ処理を実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0027】
100…実行装置
200…画像表示装置
図1
図2