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  • 特許-情報処理装置、車両、およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-07
(45)【発行日】2025-07-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、車両、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20250708BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20250708BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20250708BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/09 V
G08G1/0969
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022169514
(22)【出願日】2022-10-21
(65)【公開番号】P2024061520
(43)【公開日】2024-05-07
【審査請求日】2024-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】箕浦 航
(72)【発明者】
【氏名】那須 史尋
(72)【発明者】
【氏名】元安 良彰
(72)【発明者】
【氏名】寺島 義喜
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-148747(JP,A)
【文献】特開2017-198585(JP,A)
【文献】特開2015-175824(JP,A)
【文献】国際公開第2017/006651(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G08G 1/09
G08G 1/0969
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までの車両の走行経路における一または複数の自動運転可能区間を抽出することと、
前記走行経路において自動運転継続可能時間が最も長い第1区間を特定することと、
前記第1区間における自動運転継続可能時間を出力することと、
前記車両の運転者が前記車両の走行経路として前記第1区間を含む走行経路を選択した後、前記車両が前記第1区間を含む走行経路を走行している最中に、前記第1区間における自動運転継続可能時間が、前記車両の走行経路として前記第1区間を含む走行経路が選択された時点での時間から所定の閾値よりも大きく変化した場合、前記運転者に通知することと、
を実行する制御部を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記抽出された一または複数の自動運転可能区間それぞれにおいて自動運転可能な時間の合計を出力することをさらに実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記目的地までの走行予定時間に対する、前記抽出された一または複数の自動運転可能区間それぞれにおいて自動運転可能な時間の合計の割合を出力することをさらに実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記走行経路を示す地図上において、前記抽出された一または複数の自動運転可能区間を、自動運転が不可能な区間と区別可能に表示することをさらに実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記走行経路を示す地図上において、前記第1区間を他の区間と区別可能に表示することをさらに実行する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記走行経路における各区間についての交通情報に基づいて、前記抽出された一または複数の自動運転可能区間それぞれにおいて自動運転可能な時間を算出することをさらに実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記走行経路を複数探索し、
各走行経路について、前記第1区間における自動運転継続可能時間を出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
自動運転と手動運転とを切替可能な車両であって、
請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理装置を備える車両。
【請求項9】
コンピュータに、
目的地までの車両の走行経路における一または複数の自動運転可能区間を抽出することと、
前記走行経路において自動運転継続可能時間が最も長い第1区間を特定することと、
前記第1区間における自動運転継続可能時間を出力することと、
前記車両の運転者が前記車両の走行経路として前記第1区間を含む走行経路を選択した後、前記車両が前記第1区間を含む走行経路を走行している最中に、前記第1区間における自動運転継続可能時間が、前記車両の走行経路として前記第1区間を含む走行経路が選択された時点での時間から所定の閾値よりも大きく変化した場合、前記運転者に通知することと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の運転者に目的地までの走行経路に関する情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動運転と手動運転とを切替可能な移動体の移動ルートの出力に関する技術が開示されている。特許文献1では、移動体の出発地および目的地と、移動体の操作者が移動体の運転に介入する度合いとに基づいて、第1ルートおよび第2ルートが算出される。第1ルートは操作者に運転が要求される手動区間を含む移動ルートである。第2ルートは手動区間を含まない移動ルートである。そして、算出された移動ルートが移動体内において出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2021/153382号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、自動運転と手動運転とを切替可能な車両の運転者が車両の走行経路を選択する際に有用な情報を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様に係る情報処理装置は、
目的地までの車両の走行経路における一または複数の自動運転可能区間を抽出することと、
前記走行経路において自動運転継続可能時間が最も長い第1区間を特定することと、
前記第1区間における自動運転継続可能時間を出力することと、
を実行する制御部を備える。
【0006】
本開示の第2の態様に係る車両は、自動運転と手動運転とを切替可能な車両であって、第1の態様に係る情報処理装置を備える。
【0007】
本開示の第3の態様に係るプログラムは、
コンピュータに、
目的地までの車両の走行経路における一または複数の自動運転可能区間を抽出することと、
前記走行経路において自動運転継続可能時間が最も長い第1区間を特定することと、
前記第1区間における自動運転継続可能時間を出力することと、
を実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、自動運転と手動運転とを切替可能な車両の運転者が車両の走行経路を選択する際に有用な情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る情報提供システムの概略構成を示す図である。
図2図2は、車載装置の機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図3図3は、ディスプレイにおける、目的地までの走行予定時間、総自動運転時間、および最長継続時間の表示の一例を示す図である。
図4図4は、ディスプレイに表示される地図および走行経路の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る表示処理のフローを示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係る通知処理のフローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
自動運転と手動運転とを切替可能な車両が走行する道路においては、自動運転が可能な区間と不可能な区間とが設定されることが想定される。ここで、自動運転が不可能な区間とは、自動運転が技術的に不可能な区間のみならず法令等により自動運転が不許可となっている区間が含まれてもよい。そして、自動運転が可能な区間(自動運転可能区間)を車両が走行する際には車両の運転者は自動運転を選択することができる。一方で、自動運転が不可能な区間を車両が走行する際には車両の運転者は手動運転を行う必要がある。
【0011】
本発明に係る情報処理装置において、制御部は、目的地までの車両の走行経路における一または複数の自動運転可能区間を抽出する。さらに、制御部は、車両の走行経路において自動運転継続可能時間が最も長い区間を第1区間として特定する。ここで、自動運転継続可能時間とは、自動運転可能区間における車両の走行予定時間である。車両の走行経路には自動運転可能区間が複数個所含まれる場合がある。この場合、制御部は、各自動運転可能区間における車両の走行予定時間を算出することで第1区間を特定してもよい。
【0012】
そして、制御部は、特定された第1区間における自動運転継続可能時間を出力する。これにより、運転者は、車両によって目的地まで走行経路を走行した場合に手動運転を行う必要がない時間が最も長く継続する時間を把握することができる。その結果、運転者が、手動運転を行う必要がない時間が最も長く継続する時間に基づいて、車両の走行経路を選択することが可能となる。
【0013】
以下、本開示の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、および、その相対配置等は、特に記載がない限りは本開示の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
<実施形態>
(システムの概略)
図1は、本実施形態に係る情報提供システムの概略構成を示す図である。本実施形態に係る情報提供システムは、車両10の運転者に対して、車両10の走行経路に関する情報を提供するためのシステムである。ここで、車両10は、自動運転と手動運転とを切替可能な車両である。また、車両10が走行する道路においては、自動運転可能区間と自動運転が不可能な区間とが含まれていることを想定する。
【0015】
情報提供システム1は、車載装置100および管理サーバ200を含んでいる。車載装置100は車両10に搭載された装置であり、コンピュータを含んでいる。管理サーバ200は交通情報を管理するサーバである。ここで、交通情報は、各道路の各区間における車両の交通状況に関する情報である。交通情報には、例えば、渋滞情報および速度規制情報が含まれる。
【0016】
情報提供システム1においては、車載装置100と管理サーバ200とがネットワークN1を介して相互に接続される。ネットワークN1には、例えば、インターネット等の世界規模の公衆通信網であるWAN(Wide Area Network)、または携帯
電話等の電話通信網が採用されてもよい。
【0017】
車載装置100は、プロセッサ101、主記憶部102、補助記憶部103および通信インターフェース(通信I/F)104、およびディスプレイ105を有する。ここで、プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)である。主記憶部102は、例えば、RAM(Random Access Memory)である。補助記憶部103は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、またはフラッシュメモリである。また、補助記憶部103は、リムーバブルメディア(可搬記録媒体)を含んでもよい。ここで、リムーバブルメディアは、例えば、USBメモリ、SDカード、または、CD-ROM、DVDディスク、若しくはブルーレイディスクのようなディスク記録媒体である。
【0018】
通信I/F104は、車載装置100をネットワークN1に接続するためのインターフェースである。通信I/F104は、例えば、3G(3rd Generation)、またはLTE(Long Term Evolution)等の所定の無線通信規格を用いて、車載装置100をネットワークN1に接続する。通信I/F104は、例えば、LAN(Local Area Network)インターフェースボード、または無線通信のための無線通信回路を含んでいる。そして、ネットワークN1を介して、通信I/F104と管理サーバ200との間で情報が送受信される。ディスプレイ105は、車両10の運転者に対して提供する車両10の走行経路に関する情報を表示する。また、ディスプレイ105は、タッチパネル機能を有しており、車両10の運転者(または同乗者)による入力操作を受け付ける。
【0019】
そして、上記のような構成の車載装置100においては、補助記憶部103に、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、および各種情報テーブル等が格納されている。プロセッサ101が、補助記憶部103に記憶されたプログラムを主記憶部102にロードして実行することによって、後述するような、ディスプレイ105に走行経路に関する情報を表示させるための表示処理が実現される。ただし、車載装置100における一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。なお、車載装置100は、必ずしも単一の物理的構成によって実現される必要はなく、互いに連携する複数台のコンピュータによって構成されてもよい。また、本実施形態においては、車載装置100が、本開示の第1の態様に係る「情報処理装置」に相当する。ただし、本開示の第1の態様に係る「情報処理装置」は必ずしも車載装置である必要はない。
【0020】
車載装置100は、目的地までの車両10の走行経路を示す経路情報をネットワークN1を介して管理サーバ200に送信する。管理サーバ200は、車載装置100から経路情報を受信すると、走行経路の各区間についての交通情報を抽出する。そして、管理サーバ200は、抽出された各区間についての交通情報を、ネットワークN1を介して車載装置100に送信する。
【0021】
車載装置100は、管理サーバ200から受信した走行経路の各区間についての交通情報に基づいて目的地までの車両10の走行予定時間を算出する。目的地までの走行予定時間は、車両10が走行経路を走行して目的地に到着するまでにかかる時間である。このとき、車載装置100は、走行経路の各区間についての交通情報に基づいて、区間毎の車両10の走行予定時間を算出する。そして、車載装置100は、各区間の走行予定時間を合計することで目的地までの走行予定時間を算出する。
【0022】
また、車載装置100は、走行経路に含まれる各自動運転可能区間の走行予定時間を合計することで、車両10が走行経路を走行して目的地に到着するまでに自動運転が可能な時間の合計(以下、「総自動運転時間」と称する場合もある。)を算出する。さらに、車
載装置100は、各自動運転可能区間の走行予定時間に基づいて、目的地までの走行経路において自動運転継続可能時間が最も長い区間を第1区間として特定する。なお、以下においては、第1区間における自動運転継続可能時間を、「最長継続時間」と称する場合もある。
【0023】
そして、車載装置100は、走行経路に関する情報として、目的地までの走行予定時間をディスプレイ105に表示する。また、車載装置100は、走行経路に関する情報として、総自動運転時間および最長継続時間をディスプレイ105に表示する。
【0024】
さらに、車載装置100は、ディスプレイ105において、車両10の走行経路を地図上に表示する。このとき、車載装置100は、走行経路を示す地図上において、自動運転可能区間を自動運転が不可能な区間と区別可能に表示する。
【0025】
(機能構成)
次に、車載装置100の機能構成について図2に基づいて説明する。図2は、車載装置100の機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。車載装置100は、制御部110、通信部120、入出力部130、および地図情報データベース(地図情報DB)140を有している。制御部110は、車載装置100を制御するための演算処理を行う機能を有する。制御部110はプロセッサ101によって実現することができる。
【0026】
通信部120は、車載装置100をネットワークN1に接続する機能を有する。通信部120は通信I/F104を含んで構成される。通信部120はネットワークN1経由で管理サーバ200と通信することができる。入出力部130は、ディスプレイ11を含んで構成される。入出力部130はディスプレイ11を含んで構成される。入出力部130は、車両10の走行経路に関する情報をディスプレイ11に表示する機能を有する。また、入出力部130は、ディスプレイ11に入力された情報を受け付ける機能を有する。地図情報DB140は、ディスプレイ11に表示する地図情報が格納されている。地図情報DB140は補助記憶部103に構築されている。地図情報DB140には、どの道路が有料道路であるかを示す情報が記憶されている。また、地図情報DB140には、どの区間が自動運転可能区間であるかを示す情報も記憶されている。
【0027】
車載装置100において、制御部110は車両10の走行経路を探索する。制御部110は、車両10の走行経路を探索する際に、先ず、車両10に搭載されたGPS受信機によって検出される車両10の現在位置を取得する。なお、制御部110は、車両10の現在位置に代えて、運転者(または同乗者)によって入力される車両10の出発地を取得してもよい。また、制御部110は、運転者(または同乗者)によって入力される車両10の目的地を取得する。そして、制御部110は、取得した車両10の現在位置および目的地と、地図情報DB140に格納された地図情報に基づいて、現在位置から目的地までの車両10の走行経路を探索する。
【0028】
このとき、制御部110は、経路選択の条件がそれぞれ異なる複数の走行経路を探索する。経路選択の条件としては、有料道路を優先、一般道(有料ではない道路)を優先、または、目的地までの走行距離を優先といった条件を例示することができる。さらに、制御部110は、探索された複数の走行経路を示す経路情報を生成する。そして、制御部110は、生成された経路情報を、通信部120を用いて管理サーバ200に送信する処理を実行する。
【0029】
管理サーバ200は、交通情報データベース(交通情報DB)210を有している。交通情報DB210には、各道路の各区間についての交通情報が格納されている。管理サーバ200は、複数の走行経路を示す経路情報を車載装置100から受信すると、各走行経
路についての交通情報を交通情報DB210から抽出する。そして、管理サーバ200は、抽出された交通情報を車載装置100に送信する。車載装置100においては、制御部110が、管理サーバ200から送信された交通情報を、通信部120を用いて受信する処理を実行する。
【0030】
また、制御部110は、車両10の走行経路に関する情報をディスプレイ105へ表示させる表示処理を実現させるための機能部として、抽出部111、算出部112、および特定部113を有している。抽出部111は、探索された複数の走行経路それぞれにおける一または複数の自動運転可能区間を地図情報DB140に記憶された情報に基づいて抽出する。なお、自動運転可能区間が含まれていない走行経路に関しては、自動運転可能区間は抽出されない。
【0031】
算出部112は、管理サーバ200から受信した交通情報に基づいて、複数の走行経路それぞれについて目的地までの走行予定時間を算出する。また、算出部112は、複数の走行経路それぞれについて総自動運転時間を算出する。このとき、算出部112は、複数の走行経路それぞれについて、自動運転可能区間毎の走行予定時間を抽出する。そして、算出部112は、複数の走行経路それぞれについて、各自動運転可能区間の走行予定時間を合計することで総自動運転時間を算出する。さらに、特定部113は、複数の走行経路それぞれについて、第1区間および最長継続時間を特定する。
【0032】
そして、制御部110は、入出力部130を介して、各走行経路についての目的地までの走行予定時間、総自動運転時間、および最長継続時間をディスプレイ105に表示する。図3は、ディスプレイ105における、経路1-3についての、目的地までの走行予定時間、総自動運転時間、および最長継続時間の表示の一例を示す図である。
【0033】
さらに、制御部110は、入出力部130を介して、ディスプレイ105において車両10の走行経路を地図上に表示する。このとき、制御部110は、地図上において、自動運転可能区間を自動運転が不可能な区間と区別可能に表示する。また、制御部110は、地図上において、第1区間を他の区間と区別可能に表示する。
【0034】
図4は、図3に示された経路1-3のいずれかが車両10の運転者(または同乗者)によって選択された場合に、ディスプレイ105に表示される地図および走行経路の一例を示す図である。図4において、P0は車両10の現在位置を表しており、P5は車両10の目的地を表している。また。図4において、P1-P4は車両10の走行経路途中の地点を表している。そして、図4においては、実線、一点鎖線、および破線によって車両10の走行経路が表されている。
【0035】
図4において、P0からP1までの区間、P2からP3までの区間、および、P4からP5までの区間は、自動運転が不可能な区間である。そして、図4に示すように、これらの自動運転が不可能な区間では走行経路が実線で表されている。一方、図4において、P1からP2までの区間、および、P3からP4までの区間は、自動運転可能区間である。また、P1からP2までの区間が、図4に示す走行経路における第1区間である。そして、図4に示すように、第1区間であるP1からP2までの区間では走行経路が一点鎖線で表されており、第1区間以外の自動運転可能区間であるP3からP4までの区間では走行経路が破線で表されている。
【0036】
走行経路が図4に示すように表示されることで、自動運転可能区間を自動運転が不可能な区間と区別することができ、また、第1区間を他の区間と区別することができる。なお、地図上において走行経路を表示する際に、自動運転可能区間を自動運転が不可能な区間とは異なる色で表示してもよく、また、第1区間を他の区間とは異なる色で表示してもよ
い。
【0037】
(表示処理のフロー)
以下、本実施形態に係る、車両10の走行経路に関する情報をディスプレイ11に表示させるための表示処理のフローについて図5に基づいて説明する。図5は、本実施形態に係る表示処理のフローを示すフローチャートである。本フローは、制御部110によって複数の走行経路が探索された後に実行される。
【0038】
本フローでは、先ず、S101において、管理サーバ200から受信した各走行経路についての交通情報が取得される。次に、S102において、複数の走行経路それぞれにおける一または複数の自動運転可能区間が、地図情報DB140に記憶された情報に基づいて抽出される。次に、S103において、複数の走行経路それぞれについて、目的地までの走行予定時間Teおよび総自動運転時間Ttが算出される。
【0039】
このとき、各走行経路における区間毎の走行予定時間が交通情報に基づいて算出される。そして、一の走行経路における各区間の走行予定時間を合計することで、一の走行経路についての走行予定時間Teが算出される。また、一の走行経路における各自動運転可能区間の走行予定時間を合計することで、一の走行経路についての総自動運転時間Ttが算出される。
【0040】
次に、S104において、各走行経路における第1区間および最長継続時間Tlが特定される。次に、S105において、図3に例示するような、各走行経路についての目的地までの走行予定時間Te、総自動運転時間Tt、および最長継続時間Tlの表示を実行させるための表示信号がディスプレイ105に対して送信される。
【0041】
また、ディスプレイ105において複数の走行経路のいずれかが選択された場合、図4に例示するような、地図および選択された走行経路の表示を実行させるための表示信号がディスプレイ105に対して送信される。なお、各走行経路についての目的地までの走行予定時間Te、総自動運転時間Tt、および最長継続時間Tlの表示と、地図上における各走行経路の表示とを、ディスプレイ105において重畳させてもよい。
【0042】
(作用・効果)
上記のような表示処理によって、車両10の走行経路に関する情報がディスプレイ105に出力されることで、車両10の運転者は、各走行経路について、手動運転を行う必要がない時間が最も長く継続する時間を把握することができる。その結果、運転者は、手動運転を行う必要がない時間が最も長く継続する時間に基づいて、車両10の走行経路を選択することが可能となる。
【0043】
また、上記表示処理によれば、車両10の運転者は、各走行経路について、総自動運転時間、すなわち、手動運転を行う必要がない時間の合計も把握することができる。なお、表示処理においては、各走行経路について、目的地までの走行予定時間に対する総自動運転時間の割合を算出し、算出された割合をディスプレイ105に表示してもよい。
【0044】
さらに、上記表示処理によれば、車両10の運転者は、各走行経路について、手動運転を行う必要がない時間のみならず、走行経路上における手動運転を行う必要がない区間の位置を地図上で把握することができる。そして、運転者は、これらのような把握した情報に基づいて、車両10の走行経路を選択することが可能となる。
【0045】
(通知処理)
ここで、車両10の運転者が選択した走行経路を車両10が走行している最中に、該走
行経路の第1区間の交通状況が変化することに伴い、最長継続時間Tlが、運転者が走行経路を選択した時の時間から変化する場合がある。本実施形態では、このような場合、第1区間における最長継続時間Tlが変化したことを運転者に通知する通知処理が実行される。
【0046】
図6は、本実施形態に係る通知処理のフローを示すフローチャートである。本フローは、運転者が選択した走行経路を車両10が走行している最中に制御部110によって繰り返し実行される。
【0047】
本フローでは、先ず、S201において、管理サーバ200から受信した、現在車両10が走行中の走行経路についての交通情報が取得される。なお、このときに取得される交通情報は、運転者が走行経路を選択した時に取得された情報から更新されている。次に、S202において、S201で取得した交通情報に基づいて第1区間における最長継続時間Tlが算出される。
【0048】
次に、S203において、S202で算出された最長継続時間Tlが、運転者が走行経路を選択した時点での時間から変化したか否かが判別される。なお、S203においては、最長継続時間Tlの変化量が所定の閾値よりも大きい場合に肯定判定されてもよい。そして、S203において否定判定された場合、本フローの実行は終了される。この場合、運転者への通知は実行されない。
【0049】
一方、S203において肯定判定された場合、次に、S204において、運転者への通知が実行される。つまり、最長継続時間Tlが、運転者が現在走行中の走行経路を選択した時点での時間から変化したことが、運転者へ通知される。このときの通知方法としては、ディスプレイ105への表示を例示することができる。また、音声による通知が実行されてもよい。
【0050】
上記のような通知処理が実行されることで、車両10が現在走行中の走行経路における最長継続時間Tlが、運転者が走行経路を選択した時点での時間から変化したことを把握することができる。これにより、例えば、運転者は、目的地までの走行経路を選択し直すことが可能となる。
【0051】
<その他の実施形態>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。また、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0052】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0053】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メ
モリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、または光学式カードのような、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0054】
1・・・情報提供システム
10・・車両
100・・車載装置
105・・ディスプレイ
110・・制御部
120・・通信部
130・・入出力部
140・・地図情報データベース
200・・管理サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6