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  • 特許-情報処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-07
(45)【発行日】2025-07-15
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20250708BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20250708BHJP
【FI】
G08G1/09 P
G01C21/26 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022182084
(22)【出願日】2022-11-14
(65)【公開番号】P2024071243
(43)【公開日】2024-05-24
【審査請求日】2024-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 豊和
(72)【発明者】
【氏名】西村 和浩
(72)【発明者】
【氏名】榊原 祥恵
(72)【発明者】
【氏名】野上 博高
(72)【発明者】
【氏名】田村 誠
(72)【発明者】
【氏名】市川 大悟
(72)【発明者】
【氏名】松谷 慎太郎
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-019683(JP,A)
【文献】特開2005-078566(JP,A)
【文献】特開2021-018715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
G01C 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害情報に基づく対象エリアについて、人工衛星が地上を撮影した衛星画像を取得する取得部と、
前記取得部で取得した衛星画像に基づいて、車両の通行に関する道路上の障害を検出する検出部と、
前記検出部で前記障害が検出されなかった道路を通行可能な道路として出力する出力部と、
を有し、
前記取得部は、前記対象エリアについて、日中に撮影された衛星画像と、夜間に撮影された衛星画像とを取得し、
前記検出部は、夜間に撮影された衛星画像に基づいて、前記対象エリアの道路に対して道路の明るさを示す輝度に応じた優先度を設定し、
日中に撮影された衛星画像に基づいて、優先度の高い道路から順に、車両の通行に関する道路上の障害を検出する情報処理装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記対象エリアについて、災害発生前に撮影された衛星画像と、災害発生後に撮影された衛星画像と、を取得し、
前記検出部は、災害発生前に撮影された衛星画像と災害発生後に撮影された衛星画像とを比較して車両の通行に関する道路上の障害を検出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、移動体に対して経路案内を行うとともに、災害発生時に、災害情報に基づく経路案内方法に切り替える情報送受信システムが開示されている。この文献には、道路の走行履歴を受信して、通行可能な道路を割り出すことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-176506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1に記載された技術では、災害地域を車両が走行した後でないと通行可能であることを判断できないため、通行可能な道路を迅速に提案することに関して改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、道路状態を俯瞰的に見て、通行可能な道路を迅速に提案することができる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、災害情報に基づく対象エリアについて、人工衛星が地上を撮影した衛星画像を取得する取得部と、前記取得部で取得した衛星画像に基づいて、車両の通行に関する道路上の障害を検出する検出部と、前記検出部で前記障害が検出されなかった道路を通行可能な道路として出力する出力部と、を有し、前記取得部は、前記対象エリアについて、日中に撮影された衛星画像と、夜間に撮影された衛星画像とを取得し、前記検出部は、夜間に撮影された衛星画像に基づいて、前記対象エリアの道路に対して道路の明るさを示す輝度に応じた優先度を設定し、日中に撮影された衛星画像に基づいて、優先度の高い道路から順に、車両の通行に関する道路上の障害を検出する。
【0007】
第1の態様に係る情報処理装置では、災害情報に基づく対象エリアについて、人工衛星が地上を撮影した衛星画像を取得する。そして、取得した衛星画像に基づいて、車両の通行に関する道路上の障害を検出し、障害が検出されなかった道路を通行可能な道路として出力する。これにより、災害時に、対象エリアの走行実績が得られないタイミングでも、道路状態を俯瞰的に見て、通行可能な道路を迅速に提案することができる。
【0008】
第2の態様に係る情報処理装置は、第1の態様に記載の構成において、前記取得部は、前記対象エリアについて、災害発生前に撮影された衛星画像と、災害発生後に撮影された衛星画像と、を取得し、前記検出部は、災害発生前に撮影された衛星画像と災害発生後に撮影された衛星画像とを比較して車両の通行に関する道路上の障害を検出する。
【0009】
第2の態様に係る情報処理装置では、対象エリアについて、災害発生前に撮影された衛星画像と、災害発生後に撮影された衛星画像と、を取得する。そして、災害発生前に撮影された衛星画像と災害発生後に撮影された衛星画像とを比較して車両の通行に関する道路上の障害を検出する。これにより、災害の発生前後における道路状態の変化を正確に捉えることができ、通行可能な道路をより正確に提案することができる。
【0011】
本態様に係る情報処理装置では、対象エリアについて、日中に撮影された衛星画像と、夜間に撮影された衛星画像とを取得する。そして、夜間に撮影された衛星画像に基づいて、前記対象エリアの道路に対して道路の明るさを示す輝度に応じた優先度を設定し、日中に撮影された衛星画像に基づいて、優先度の高い道路から順に、車両の通行に関する道路上の障害を検出する。ここで、夜間に撮影された衛星画像で輝度が低い道路では、道路照明が少ないことが考えられ、夜間の走行時に道路上の障害に気づかずに、二次災害が発生するリスクが高いことが想定される。そこで、例えば、輝度の低い道路について優先度を高く設定し、車両の通行に関する道路上の障害を優先的に検出することで、災害時における二次災害のリスクを効果的に下げることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明に係る情報処理装置では、道路状態を俯瞰的に見て、通行可能な道路を迅速に提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る情報処理装置によって構築されるシステムの概略構成を示す図である。
図2】情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】情報処理装置の機能構成の例を示すブロック図である。
図4】出力処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1図4に基づいて本実施形態に係るシステムSについて説明する。本実施形態に係るシステムSは、道路状態を俯瞰的に見て通行可能な道路を提案するシステムである。
【0017】
図1に示されるように、システムSは、サーバ10、車両20、災害情報センタ30、人工衛星40を含む。システムSでは、サーバ10、車両20、災害情報センタ30が、ネットワークNを介して接続されている。
【0018】
サーバ10は、サーバコンピュータである。サーバ10は、人工衛星40によって撮影された画像(以下、「衛星画像」とも称する)を人工衛星40から取得する。なお、衛星画像は、例えば、0.5km~20km四方の地上の範囲を撮影対象とした画像とすることができる。サーバ10は「情報処理装置」の一例である。
【0019】
車両20は、サーバ10とネットワークNを介して接続された車載器50を有する。図1では、車両20を一台だけ図示しているが、実際には、複数の車両20がネットワークNを介して接続されている。
【0020】
災害情報センタ30は、災害発生時において災害発生地域や災害発生状況等を示す災害情報を、広域通信網を介して配信する公的機関である。
【0021】
人工衛星40は、地球の衛星軌道上を所定の周期で周回し、地上を撮影する。人工衛星40が1日に地球を周回する回数及び人工衛星40の軌道の高度等は任意である。図1では、人工衛星40を1台だけ図示しているが、当該人工衛星40は、地上の同じ地点を撮影可能な複数台の人工衛星で構成されることが望ましい。
【0022】
サーバ10のハードウェア構成を説明する。図2は、サーバ10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0023】
図2に示すように、サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、記憶部14、入力部15、表示部16、及び通信部17を備えている。各構成は、バス18を介して相互に通信可能に接続されている。
【0024】
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12又は記憶部14からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12又は記憶部14に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0025】
ROM12は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
【0026】
記憶部14は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、各種プログラム及び各種データを格納する。記憶部14には、CPU11に後述する出力処理を実行させるためのプログラム14Aが格納されている。
【0027】
入力部15は、マウス等のポインティングデバイス、キーボード、マイク、及びカメラ等を含み、各種の入力を行うために使用される。
【0028】
表示部16は、例えば、液晶ディスプレイであり、種々の情報を表示する。表示部16は、タッチパネル方式を採用して、入力部15として機能してもよい。
【0029】
通信部17は、他の機器と通信するためのインターフェースである。当該通信には、例えば、イーサネット(登録商標)若しくはFDDI等の有線通信の規格、又は、4G、5G、Bluetooth(登録商標)、若しくはWi-Fi(登録商標)等の無線通信の規格が用いられる。通信部17は、ネットワークNに対して接続されている。
【0030】
次に、サーバ10の機能構成について説明する。図3は、サーバ10の機能構成の例を示す第1のブロック図である。
【0031】
取得部11Aは、災害発生時に、災害情報センタ30から送信される災害情報を取得する。この災害情報には、災害発生地域や災害発生状況等が含まれる。
【0032】
取得部11Aは、車両20の車載器50から送信されるユーザ情報を取得する。ユーザ情報は、例えば、災害発生時に、車載器50で通行可能な道路情報を求めるユーザからの要求が受け付けられると、車載器50からサーバ10に送信される情報である。ユーザ情報には、ユーザの利用する車両20に関する情報が含まれており、車両20に関する情報には、車両20の位置情報や、車両20の車種情報が含まれる。なお、ユーザ情報は、予めサーバ10に記憶されていてもよい。
【0033】
取得部11Aは、人工衛星40が地上を撮影した衛星画像を取得する。具体的には、災害情報に基づく対象エリアを撮影した衛星画像を取得する。
【0034】
取得部11Aで取得される衛星画像には、災害情報に基づく対象エリアについて、災害発生前に撮影された衛星画像と、災害発生後に撮影された衛星画像とが含まれる。これは、災害発生の前後において、同一のエリアを撮影した衛星画像を比較することで、道路状態に変化のある地点の特定を容易にするためである。
【0035】
また、取得部11Aで取得される衛星画像には、災害情報に基づく対象エリアについて、夜間に撮影された衛星画像が含まれる。これは、対象エリア内の道路について、衛星画像から、夜間の道路の明るさを示す輝度を特定するためである。道路の明るさを示す輝度が低い道路は、夜間の交通量や道路照明の少ない道路であることが分かる。従って、道路の明るさを示す輝度が低い道路は、夜間の走行時にユーザが道路上の障害に気づかずに、二次災害が発生するリスクが高いことが想定される。
【0036】
取得部11Aは、災害情報に基づく対象エリアの地図データを取得する。この地図データは、衛星画像に含まれる道路領域を抽出するために参照される。衛星画像に含まれる道路領域は、衛星画像のみに基づく画像解析によっても抽出可能であるが、地図データを参照することで、例えば、道路線の一部が街路樹などで隠れて撮影不能な地点でも、道路領域を正確に抽出できる点において好適である。なお、地図データは、予めサーバ10に記憶されていてもよい。
【0037】
取得部11Aは、災害情報に基づく対象エリアの道路について、車両のサイズに対応付けられた走行実績を取得する。これらの走行実績は、一例として、車載器50から送信される車両20の位置情報と車両20の車種情報とを対応付けることで取得される。なお、走行実績は、予めサーバ10に記憶されていてもよい。
【0038】
なお、災害情報に基づく対象エリアとは、例えば、災害情報センタ30で災害発生地域と認定されたエリアである。この対象エリアには、災害の種類に応じて災害の発生が予測されるエリアが含まれていてもよい。
【0039】
検出部11Bは、取得部11Aが取得した衛星画像に基づいて、車両の通行に関する道路上の障害を検出する。一例として、検出部11Bは、災害情報に基づく対象エリアの地図データを参照し、同対象エリアを撮影した衛星画像から道路領域を抽出する。検出部11Bは、公知の画像認識技術を用いて、衛星画像から道路領域として抽出された領域について、車両の通行に関する道路上の障害を検出する。なお、車両の通行に関する道路上の障害とは、例えば、道路上に倒壊物などの障害物がある場合や、道路の冠水などが挙げられる。
【0040】
ここで、検出部11Bは、夜間に撮影された衛星画像に基づいて、対象エリアの道路について障害検出の優先度を設定し、優先度の高い道路から順に道路上の障害を検出する。具体的には、対象エリアの道路について、夜間の道路の明るさを示す輝度を特定し、輝度の低い道路ほど、優先度が高くなるように設定する。これにより、道路証明が少なく、夜間の走行時に二次災害が発生するリスクが高い道路の優先度が高く設定される。
【0041】
なお、本実施形態では、情報提供の迅速性を得る観点から、災害発生前の夜間に撮影された衛星画像が使用される。但し、災害発生直後は、災害発生前の夜間に撮影された衛星画像を使用し、その後、災害発生後の夜間に撮影された衛星画像を使用してもよい。この場合、災害発生後の状況の変化に応じた二次災害のリスクをより正確に予測することができる。
【0042】
検出部11Bは、災害情報に基づく対象エリアについて、災害発生前に撮影された衛星画像と、災害発生後に撮影された衛星画像とを比較して、車両の通行に関する道路上の障害を検出する。具体的に、検出部11Bは、衛星画像から抽出された道路領域について、災害の発生前の画像と災害発生後の画像とを比較した特徴点の変化を抽出する。これにより、例えば、災害発生前の衛星画像では道路線が連続しているが、災害発生後の衛星画像では、同路線が不連続になっている箇所などが、障害が検出された地点として特定される。これにより、災害発生前から、建物や街路樹によって同路線が不連続になる箇所が、道路上に障害が検出された地点として誤認識されることを抑制することができる。また、特徴点の変化が検出された地点の画像を中心に画像解析を行うことができるため、画像解析の迅速性が確保される。
【0043】
出力部11Cは、検出部11Bで障害が検出されなかった道路を通行可能な道路として出力する。また、出力部11Cは、対象エリア内で複数の道路が通行可能な道路として出力される場合、ユーザの利用する車両20のサイズに対応する災害発生後の走行実績に基づいて、走行実績の高い道路を優先的に提示する。一例では、災害発生時に、車載器50で通行可能な道路情報を求めるユーザからの要求が受け付けられると、車載器50からサーバ10に車両20の車種情報が送信される。出力部11Cは、車種情報に基づいて、ユーザの利用する車両20のサイズを特定し、対応する車両のサイズの走行実績に基づいて、各道路の走行実績を参照する。なお、ユーザの利用する車両20のサイズに対応する走行実績とは、ユーザの利用する車両と同サイズの車両の走行実績及びユーザの利用する車両よりも大きいサイズの車両の走行実績である。
【0044】
出力部11Cは、走行実績の高い道路を優先的に出力する。これにより、出力情報を確認したユーザが、自車両のサイズに対応する走行実績のある道路を選択し易くなる。出力部11Cは、ネットワークNを介して出力した情報をユーザの車載器50に送信する。
【0045】
図4は、サーバ10がユーザに通行可能な道路情報尾を出力する出力処理の流れを示すフローチャートである。一例として、車載器50で通行可能な道路情報を求めるユーザからの要求が受け付けられると、ユーザの要求が車載器50を介してサーバ10で受け付けられて、出力処理が実行される。出力処理は、CPU11が記憶部14からプログラム14Aを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、出力処理が行われる。
【0046】
図4に示すステップS100において、CPU11は、取得部11Aの機能により各種データを取得する。具体的に、CPU11は、災害情報センタ30から送信される災害情報、車載器50から送信されるユーザ情報、人工衛星40が地上を撮影した衛星画像、地図データ及び道路の走行実績含む各種データを取得する。そして、CPU11は、ステップS101の処理に進む。
【0047】
ステップS101において、CPU11は、取得した災害情報に基づく対象エリアについて、夜間の道路の明るさを示す輝度を特定する。具体的に、CPU11は、夜間に撮影された衛星画像に基づいて、災害情報に基づく対象エリアの道路に対して道路の明るさを示す輝度を特定する。そして、CPU11は、ステップS102の処理に進む。
【0048】
ステップS102において、CPU11は、対象エリアの道路に対して、道路の明るさを示す輝度に応じた優先度を設定する。具体的には、道路の明るさを示す輝度が低い道路ほど、優先度が高く設定される。そして、CPU11は、ステップS103の処理に進む。
【0049】
ステップS103において、CPU11は、対象エリアの道路について、輝度に応じて設定された優先度の高い道路から順に車両の通行に関する道路上の障害を検出する。ここで、CPU11は、対象エリアについて、災害発生前に撮影された衛星画像と災害発生後に撮影された衛星画像とを比較して、道路上の障害を検出する。そして、CPU11は、ステップS104の処理に進む。
【0050】
ステップS104において、CPU11は、道路上の障害が検出されなかった道路を通行可能な道路として認識し、通行可能な道路が複数あるか否かについて判定する。通行可能な道路が複数ある場合に、ステップS104の判定が肯定され、CPU11は、ステップS105の処理に進む。一方で、通行可能な道路が一つ以下である場合、ステップS104の判定が否定され、CPU11は、ステップS106の処理に進む。
【0051】
ステップS105において、CPU11は、通行可能な複数の道路について、災害後の走行実績に応じた優先度を設定する。具体的に、CPU11は、通行可能と判断された複数の道路について、ユーザの利用する車両のサイズに対応する災害発生後の走行実績を取得し、取得した走行実績に応じてユーザに提案する際の優先度を設定する。なお、走行実績がない場合は、複数の道路の優先度が同一に設定される。そして、CPU11は、ステップS106の処理に進む。
【0052】
ステップS106で、CPU11は、通行可能な道路情報を出力する。この際ステップS105の処理を得た場合は、通行可能な複数の道路について、走行実績の高い道路を優先的に出力する。なお、出力の態様は、複数の道路を優先度順に一覧表示する態様であってもよいし、最も優先度の高い一つの道路を出力する態様でもよい。CPU11は、出力された情報を車載器50に送信し、出力処理を終了する。
【0053】
(作用並びに効果)
以上説明したように、本実施形態に係るサーバ10では、災害情報に基づく対象エリアについて、人工衛星40が地上を撮影した衛星画像を取得する。そして、取得した衛星画像に基づいて、車両の通行に関する道路上の障害を検出し、障害が検出されなかった道路を通行可能な道路として出力する。これにより、災害時に、対象エリアの走行実績が得られないタイミングでも、道路状態を俯瞰的に見て、通行可能な道路を迅速に提案することができる。
【0054】
サーバ10は、対象エリアについて、災害発生前に撮影された衛星画像と、災害発生後に撮影された衛星画像と、を取得する。そして、災害発生前に撮影された衛星画像と災害発生後に撮影された衛星画像とを比較して車両の通行に関する道路上の障害を検出する。これにより、災害の発生前後における道路状態の変化を正確に捉えることができ、通行可能な道路をより正確に提案することができる。
【0055】
サーバ10は、対象エリアについて、日中に撮影された衛星画像と、夜間に撮影された衛星画像とを取得する。そして、夜間に撮影された衛星画像に基づいて、前記対象エリアの道路に対して道路の明るさを示す輝度に応じた優先度を設定し、日中に撮影された衛星画像に基づいて、優先度の高い道路から順に、車両の通行に関する道路上の障害を検出する。ここで、夜間に撮影された衛星画像で輝度が低い道路では、道路照明が少ないことが考えられ、夜間の走行時に道路上の障害に気づかずに、二次災害が発生するリスクが高いことが想定される。そこで、本実施形態では、輝度の低い道路について優先度を高く設定し、車両の通行に関する道路上の障害を優先的に検出することで、災害時における二次災害のリスクを効果的に下げることができる。
【0056】
サーバ10は、ユーザの求めに応じて、通行可能な道路を出力する。ここで、サーバ10は、対象エリアの道路について、車両のサイズに対応付けられた走行実績を取得する。そして、車両の通行に関する道路上の障害を検出した結果、複数の道路が通行可能な道路として出力される場合、サーバ10は、ユーザの利用する車両20のサイズに対応した災害発生後の走行実績に基づいて、走行実績の高い道路を優先的に提示する。従って、ユーザが、自車両に対応する走行実績のある道路を選択し易くなる。その結果、例えば、運送用のトラックを利用するユーザなどが、災害による道路状態の変化によって、想定外の足止めを受けることが抑制され、災害時における物流の確保を行いやすくなる。
【0057】
[補足説明]
上記実施形態では、通行可能な道路情報を求めるユーザの要求が車載器50によってサーバ10に送信されたが、これに限らず、パソコンやスマートフォンなどのユーザ端末からサーバ10に送信される更新としてもよい。また、この場合に、サーバ10によって出力される通行可能な道路情報が、ユーザ端末に送信されてもよい。
【0058】
なお、上記実施形態でCPU11がソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した提供処理をCPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、提供処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0059】
また、上記実施形態では、提供プログラム14Aが記憶部14に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。提供プログラム14Aは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラム14Aは、ネットワークNを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 サーバ(情報処理装置)
11A 取得部
11B 検出部
11C 出力部
20 車両
40 人工衛星
図1
図2
図3
図4