(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-07
(45)【発行日】2025-07-15
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20250708BHJP
G08G 1/0968 20060101ALI20250708BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0968
(21)【出願番号】P 2022190688
(22)【出願日】2022-11-29
【審査請求日】2024-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 周典
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 主税
(72)【発明者】
【氏名】渡津 弘大
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 進哉
(72)【発明者】
【氏名】辰本 裕樹
【審査官】山田 嘉彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-133585(JP,A)
【文献】特開平10-325733(JP,A)
【文献】特開2009-069118(JP,A)
【文献】特開2009-236779(JP,A)
【文献】特開2006-184106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工衛星が地上を撮影した衛星画像を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記衛星画像に基づいて、目的地までに車両が走行し得る道路に関する道路情報を特定するとともに、前記道路情報に含まれる前記道路における交通量と前記車両の運転者の運転歴及び事故歴から推定される運転技量との関係に基づいて前記道路に前記車両の走行が規制される部分である規制部分があるか否かを特定する特定部と、
前記特定部が特定した前記道路情報に基づいて、前記目的地までの走行ルートを提案する提案部と、
を備え、
前記特定部は、前記道路情報の特定と、前記規制部分があるか否かの特定とを前記車両の走行前に実行し、
前記提案部は、前記道路に前記規制部分がある場合、前記規制部分を避けた前記走行ルートを提案し、
前記特定部は、
前記提案部が提案した前記走行ルートを前記車両が走行している場合、前記道路情報として前記走行ルートにおける渋滞の有無を特定するとともに、前記走行ルートで渋滞が発生していることを特定した場合、前記道路情報として渋滞が解消する可能性を特定し、
前記取得部が取得した前記衛星画像から、渋滞が左折待ち又は右折待ちによることを特定した場合、渋滞が所定時間内に解消可能であると特定し、
前記取得部が取得した前記衛星画像から、渋滞が事故又は工事によることを特定した場合、渋滞が所定時間内に解消可能でないと特定し、
前記提案部は、
前記車両が走行している前記走行ルートで発生している渋滞が所定時間内に解消可能であると前記特定部により特定された場合には現在の前記走行ルートを維持する提案を行い、当該渋滞が所定時間内に解消可能でないと前記特定部により特定された場合には別の前記走行ルートを提案する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記提案部は、前記目的地までの前記走行ルートが複数ある場合、複数の前記走行ルートの中から前記目的地までの所要時間が最短の前記走行ルートを提案する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記提案部は、前記目的地までの前記走行ルートの提案として、前記目的地までの道順の提案、及び前記目的地までに前記車両が走行する車線の提案の少なくとも1つを行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、リアルタイムの交通情報に基づいて、最適な迂回ルートを利用し、目的地へ確実にかつ最短時間又は最短距離で到達させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1の技術は、リアルタイムの渋滞情報に従って迂回の是非を判断するものであるが、迂回の是非等の走行ルートを精度良く提案するための情報には不足がある。
【0005】
そこで、本開示は、車両の目的地までの道路を俯瞰的に見て特定した情報から目的地までの走行ルートを提案することができる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る情報処理装置は、人工衛星が地上を撮影した衛星画像を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記衛星画像に基づいて、目的地までに車両が走行し得る道路に関する道路情報を特定するとともに、前記道路情報に含まれる前記道路における交通量と前記車両の運転者の運転歴及び事故歴から推定される運転技量との関係に基づいて前記道路に前記車両の走行が規制される部分である規制部分があるか否かを特定する特定部と、前記特定部が特定した前記道路情報に基づいて、前記目的地までの走行ルートを提案する提案部と、を備え、前記特定部は、前記道路情報の特定と、前記規制部分があるか否かの特定とを前記車両の走行前に実行し、前記提案部は、前記道路に前記規制部分がある場合、前記規制部分を避けた前記走行ルートを提案し、前記特定部は、前記提案部が提案した前記走行ルートを前記車両が走行している場合、前記道路情報として前記走行ルートにおける渋滞の有無を特定するとともに、前記走行ルートで渋滞が発生していることを特定した場合、前記道路情報として渋滞が解消する可能性を特定し、前記取得部が取得した前記衛星画像から、渋滞が左折待ち又は右折待ちによることを特定した場合、渋滞が所定時間内に解消可能であると特定し、前記取得部が取得した前記衛星画像から、渋滞が事故又は工事によることを特定した場合、渋滞が所定時間内に解消可能でないと特定し、前記提案部は、前記車両が走行している前記走行ルートで発生している渋滞が所定時間内に解消可能であると前記特定部により特定された場合には現在の前記走行ルートを維持する提案を行い、当該渋滞が所定時間内に解消可能でないと前記特定部により特定された場合には別の前記走行ルートを提案する。
【0007】
請求項1に係る情報処理装置では、取得部は、人工衛星が地上を撮影した衛星画像を取得する。そして、提案部は、取得部が取得した衛星画像に基づいて特定された道路情報に基づいて、目的地までの走行ルートを提案する。これにより、当該情報処理装置では、車両の目的地までの道路を俯瞰的に見て特定した道路情報から目的地までの走行ルートを提案することができる。
また、請求項1に係る情報処理装置では、提案部は、道路情報及び車両情報に基づいて道路に車両の走行が規制される部分がある場合、車両の走行が規制される部分を避けた走行ルートを提案する。これにより、当該情報処理装置では、提案した走行ルートを車両が走行できない事態を抑制することができる。
【0008】
請求項2に係る情報処理装置は、請求項1において、前記提案部は、前記目的地までの前記走行ルートが複数ある場合、複数の前記走行ルートの中から前記目的地までの所要時間が最短の前記走行ルートを提案する。
【0009】
請求項2に係る情報処理装置では、提案部は、目的地までの走行ルートが複数ある場合、複数の走行ルートの中から目的地までの所要時間が最短の走行ルートを提案する。これにより、当該情報処理装置では、車両の目的地までの道路を俯瞰的に見て特定した道路情報から、目的地までの所要時間が最短の走行ルートを提案することができる。
【0011】
他の態様の情報処理装置では、提案部は、車両が走行している走行ルートで発生している渋滞が解消可能であると特定された場合には現在の走行ルートを維持する提案を行う。また、提案部は、当該渋滞が解消可能でないと特定された場合には別の走行ルートを提案する。これにより、当該情報処理装置では、発生している渋滞の原因を踏まえた走行ルートを提案することができる。
【0014】
請求項3に係る情報処理装置は、請求項1又は2において、前記提案部は、前記目的地までの前記走行ルートの提案として、前記目的地までの道順の提案、及び前記目的地までに前記車両が走行する車線の提案の少なくとも1つを行う。
【0015】
請求項3に係る情報処理装置では、提案部は、目的地までの走行ルートの提案として、目的地までの道順の提案、及び目的地までに車両が走行する車線の提案の少なくとも1つを行う。これにより、当該情報処理装置では、車両の目的地までの道路を俯瞰的に見て特定した道路情報から、目的地までの道順及び目的地までに車両が走行する車線の少なくとも1つを提案することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本開示に係る情報処理装置では、車両の目的地までの道路を俯瞰的に見て特定した情報から目的地までの走行ルートを提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】車両のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】車両の機能構成の例を示すブロック図である。
【
図4】提案処理の流れを示す第1のフローチャートである。
【
図5】提案処理の流れを示す第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施形態に係る提案システム100について説明する。
本実施形態に係る提案システム100は、車両の目的地までの道路を俯瞰的に見て特定した情報から目的地までの走行ルートを提案するシステムである。
【0019】
(第1の実施形態)
まず、本実施形態に係る提案システム100の第1の実施形態について説明する。
【0020】
図1は、提案システム100の概略構成を示す図である。
図1に示すように、提案システム100は、車両10及び人工衛星50を含む。
【0021】
車両10は、エンジン車両、ハイブリッド車両、又は電気自動車の何れであってもよいが、第1の実施形態では、一例として、車両10はエンジン車両とする。そして、車両10に搭載された車載器20は、人工衛星50によって撮影された画像(以下、「衛星画像」とも称する)を人工衛星50から取得する。なお、衛星画像は、例えば、0.5km~20km四方の地上の範囲を撮影対象とした画像とすることができる。当該地上は、陸地、湖、池、及び海等を含む。車載器20は「情報処理装置」の一例である。
【0022】
ここで、
図1では、人工衛星50を1台だけ図示しているが、当該人工衛星50は、地上の同じ地点を撮影可能な複数台の人工衛星で構成されることが望ましい。また、人工衛星50が1日に地球を周回する回数及び人工衛星50の軌道の高度等は任意である。
【0023】
次に、車両10のハードウェア構成について説明する。
図2は、車両10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0024】
図2に示すように、車両10は、車載器20と、ECU(Electronic Control Unit)30と、車載機器40と、を含んで構成されている。
【0025】
車載器20は、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、記憶部24、車内通信I/F(InterFace)25、入出力I/F26及び無線通信I/F27を含んで構成されている。CPU21、ROM22、RAM23、記憶部24、車内通信I/F25、入出力I/F26及び無線通信I/F27は、内部バス28を介して相互に通信可能に接続されている。
【0026】
CPU21は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU21は、ROM22又は記憶部24からプログラムを読み出し、RAM23を作業領域としてプログラムを実行する。CPU21は、ROM22又は記憶部24に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0027】
ROM22は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM23は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
【0028】
記憶部24は、eMMC(embedded Multi Media Card)又はUFS(Universal Flash Storage)等の記憶装置により構成され、各種プログラム及び各種データを格納する。記憶部24には、CPU21に後述する提案処理を実行させるための提案プログラム24Aが格納されている。
【0029】
車内通信I/F25は、ECU30と接続するためのインターフェースである。当該インターフェースは、CANプロトコルによる通信規格が用いられる。車内通信I/F25は、外部バス29に対して接続されている。なお、図示を省略しているが、ECU30は、車両10の機能毎に複数設けられている。
【0030】
入出力I/F26は、車両10に搭載される車載機器40と通信するためのインターフェースである。
【0031】
車載機器40は、車両10に搭載される各種機器である。当該車両10は、車載機器40の例として、モニタ40A及びスピーカ40Bを備える。
【0032】
モニタ40Aは、インストルメントパネル、又はメータパネル等に設けられ、車両10の機能に係る作動の提案、及び当該機能の説明に係る画像等を表示するための液晶モニタである。モニタ40Aは、入力機能を兼ねたタッチパネルとして設けてもよい。
【0033】
スピーカ40Bは、インストルメントパネル、センタコンソール、フロントピラー、又はダッシュボード等に設けられ、車両10の機能に係る作動の提案、及び当該機能の説明に係る音声等を出力するための装置である。なお、スピーカ40Bは、モニタ40Aに設けられていてもよい。
【0034】
無線通信I/F27は、外部と通信するための無線通信モジュールである。当該無線通信モジュールは、例えば、5G、LTE、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格が用いられる。
【0035】
次に、車両10の機能構成について説明する。
図3は、車両10の機能構成の例を示すブロック図である。
【0036】
図3に示すように、車載器20のCPU21は、機能構成として、取得部21A、特定部21B、生成部21C、及び提案部21Dを有する。各機能構成は、CPU21が記憶部24に記憶された提案プログラム24Aを読み出し、実行することにより実現される。
【0037】
取得部21Aは、人工衛星50が地上を撮影した衛星画像を取得する。例えば、取得部21Aは、車載機器40としてのカーナビゲーション装置(図示せず)に目的地が設定されたことに基づいて、人工衛星50から衛星画像を定期的に取得する。このとき、取得部21Aは、衛星画像として、車載機器40としてのGPS(Global Positioning System)装置(図示せず)が示す車両10の現在地周辺から目的地周辺までの地上の範囲を撮影対象とした俯瞰画像を取得する。
【0038】
ここで、記憶部24には、車両10に関する車両情報が記憶されている。車両情報は、車両10の全長、全幅、及び全高を示す車両サイズを少なくとも含む。そして、取得部21Aは、記憶部24から車両情報を取得可能である。
【0039】
特定部21Bは、取得部21Aが取得した衛星画像に基づいて、目的地までに車両10が走行し得る道路(以下、「走行道路」とする)に関する道路情報を特定する。走行道路は、車両10の現在地から目的地までの間に存在する道路であり、大通り及び抜け道等の各種の道路を含む。一例として、特定部21Bは、公知の画像認識技術を用いて、取得部21Aが取得した衛星画像から道路情報を特定する。これにより、走行道路における交通量、道幅、曲率、障害物の有無、渋滞の有無、及び渋滞が解消する可能性等の少なくとも1つが、特定部21Bにより道路情報として特定される。
【0040】
また、特定部21Bは、上記で特定した道路情報及び取得部21Aが取得した車両情報に基づいて、走行道路に車両10の走行が規制される部分(以下、「規制部分」とする)があるか否かを特定する。一例として、特定部21Bは、走行道路の道幅と車両10の全幅とを比較して道幅が全幅より狭い場合、走行道路に規制部分があると特定する。一方、特定部21Bは、走行道路における全ての道幅が車両10の全幅より広い場合、走行道路に規制部分がないと特定する。
【0041】
ここで、特定部21Bは、上記の道路情報の特定と、走行道路に規制部分があるか否かの特定とを車両10の走行前(出発前)に実行する。そして、特定部21Bは、乗員により指定された目的地までの走行ルートを車両10が走行している場合には以下の特定を実行する。
【0042】
特定部21Bは、上記の走行ルートを車両10が走行している場合、道路情報として当該走行ルートにおける渋滞の有無を特定する。さらに、特定部21Bは、当該走行ルートで渋滞が発生していることを特定した場合、道路情報として当該渋滞が解消する可能性を特定する。例えば、特定部21Bは、公知の画像認識技術を用いて、取得部21Aが取得した衛星画像から、当該渋滞が左折待ち又は右折待ち等によることを特定した場合、当該渋滞が短期的に解消可能であると特定する。一方、特定部21Bは、取得部21Aが取得した衛星画像から、当該渋滞が事故又は工事等によることを特定した場合、当該渋滞が短期的に解消可能でないと特定する。上記の「短期的」は「所定時間内」と言い換えることもできる。この場合の「所定時間」は、予め定めた固定値(例:5分)でもよいし、乗員の指示又はCPU21の制御に基づいて変動する変動値(例:5分、10分、又は15分等)でもよい。
【0043】
生成部21Cは、特定部21Bが特定した道路情報に基づいて、目的地までの走行ルートを生成する。第1の実施形態では、生成部21Cは、目的地までの走行ルートとして、車両10の現在地から目的地までの道順を生成する。このとき、生成部21Cは、目的地までの走行ルートを複数生成可能な場合は、目的地までの複数の走行ルートを生成する。
【0044】
また、生成部21Cは、特定部21Bが走行道路に規制部分があると特定した場合、規制部分を避けた走行ルートを生成する。
【0045】
提案部21Dは、特定部21Bが特定した道路情報に基づいて生成部21Cが生成した、目的地までの走行ルート、具体的には、目的地までの道順を提案する。一例として、提案部21Dは、走行ルートを示す文字及び画像の少なくとも一方をモニタ40Aに表示させる。
【0046】
ここで、提案部21Dは、生成部21Cが複数の走行ルートを生成した場合、複数の走行ルートの中から目的地までの所要時間が最短の走行ルートを提案する。この場合、提案部21Dは、公知のカーナビゲーション技術を用いて複数の走行ルートそれぞれの所要時間を算出し、算出した所要時間が最短の走行ルートを提案する。
【0047】
また、提案部21Dは、乗員により指定された目的地までの走行ルートを車両10が走行している場合に、当該走行ルートで発生している渋滞が短期的に解消可能であることが特定部21Bにより特定されたときには、現在の走行ルートを維持する提案を行う。この場合、提案部21Dは、例えば「渋滞中ですが、すぐに解消する見込みなので現在の走行ルートを継続しましょう」との文字をモニタ40Aに表示させる。一方、提案部21Dは、上記の走行ルートを車両10が走行している場合に、当該走行ルートで発生している渋滞が短期的に解消可能でないことが特定部21Bにより特定されたときには、別の走行ルートを提案する。この場合、提案部21Dは、例えば「渋滞中なので、この走行ルートに変更してはいかがでしょうか」との文字と、別の走行ルートを示す文字及び画像とをモニタ40Aに表示させる。
【0048】
そして、車載器20のCPU21は、乗員により目的地までの所望の走行ルートが指定された場合、当該走行ルートに基づく道案内を開始する。
【0049】
図4は、車載器20が目的地までの走行ルートを乗員に提案する提案処理の流れを示す第1のフローチャートである。CPU21が記憶部24から提案プログラム24Aを読み出して、RAM23に展開して実行することにより、提案処理が行われる。一例として、
図4に示す提案処理は、カーナビゲーション装置に目的地が設定されたことに基づいて実行される。
【0050】
図4に示すステップS10において、CPU21は、人工衛星50が地上を撮影した衛星画像を取得する。そして、CPU21は、ステップS11に進む。
【0051】
ステップS11において、CPU21は、ステップS10で取得した衛星画像に基づいて、道路情報を特定する。そして、CPU21は、ステップS12に進む。
【0052】
ステップS12において、CPU21は、記憶部24から車両情報を取得し、当該車両情報及びステップS11で特定した道路情報に基づいて、走行道路に規制部分があるか否かを特定する。そして、CPU21は、ステップS13に進む。
【0053】
ステップS13において、CPU21は、ステップS11で特定した道路情報に基づいて、目的地までの走行ルートを生成する。このとき、CPU21は、ステップS12で走行道路に規制部分があると特定した場合、規制部分を避けた走行ルートを生成する。そして、CPU21は、ステップS14に進む。
【0054】
ステップS14において、CPU21は、ステップS13で生成した目的地までの走行ルートを提案する。このとき、CPU21は、ステップS13で複数の走行ルートを生成した場合、複数の走行ルートの中から目的地までの所要時間が最短の走行ルートを提案する。そして、CPU21は、提案処理を終了する。
【0055】
図5は、提案処理の流れを示す第2のフローチャートである。一例として、
図5に示す提案処理は、乗員により指定された目的地までの走行ルートを車両10が走行している場合に定期的に実行される。
【0056】
図5に示すステップS20において、CPU21は、人工衛星50が地上を撮影した衛星画像を取得する。そして、CPU21は、ステップS21に進む。
【0057】
ステップS21において、CPU21は、ステップS20で取得した衛星画像に基づいて、道路情報として車両10が走行している走行ルートにおける渋滞の有無を特定する。ここで、CPU21は、当該走行ルートで渋滞が発生していることを特定した場合(ステップS21:YES)、ステップS22に進む。一方、CPU21は、当該走行ルートで渋滞が発生していることを特定しない場合(ステップS21:NO)、提案処理を終了する。
【0058】
ステップS22において、CPU21は、車両10が走行している走行ルートで発生している渋滞が短期的に解消可能であると特定した場合(ステップS22:YES)、ステップS23に進む。一方、CPU21は、当該走行ルートで発生している渋滞が短期的に解消可能であると特定しない場合(ステップS22:NO)、ステップS24に進む。
【0059】
ステップS23において、CPU21は、現在の走行ルートを維持する提案を行う。そして、CPU21は、提案処理を終了する。
【0060】
ステップS24において、CPU21は、ステップS20で取得した衛星画像に基づいて特定した道路情報を用いて、現在の走行ルートとは別の走行ルートを生成する。そして、CPU21は、ステップS25に進む。
【0061】
ステップS25において、CPU21は、ステップS24で生成した目的地までの別の走行ルートを提案する。そして、CPU21は、提案処理を終了する。
【0062】
上記のように、第1の実施形態に係る車載器20では、CPU21は、人工衛星50が地上を撮影した衛星画像を取得する。そして、CPU21は、取得した衛星画像に基づいて特定した道路情報に基づいて、目的地までの走行ルートを提案する。これにより、当該車載器20では、車両10の目的地までの道路を俯瞰的に見て特定した道路情報から目的地までの走行ルートを提案することができる。また、CPU21は、複数台の人工衛星50で撮影した当該衛星画像を連続的(例:1秒毎)に取得し、道路情報を連続的(例:1秒毎)に特定することで、目的地までの道路をほぼリアルタイムに見ながら走行ルートを提案することができる。
【0063】
また、第1の実施形態に係る車載器20では、CPU21は、目的地までの走行ルートが複数ある場合、複数の走行ルートの中から目的地までの所要時間が最短の走行ルートを提案する。これにより、当該車載器20では、車両10の目的地までの道路を俯瞰的に見て特定した道路情報から、目的地までの所要時間が最短の走行ルートを提案することができる。
【0064】
また、第1の実施形態に係る車載器20では、CPU21は、車両10が走行している走行ルートで発生している渋滞が短期的に解消可能であると特定した場合には現在の走行ルートを維持する提案を行う。また、CPU21は、当該渋滞が短期的に解消可能でないと特定した場合には別の走行ルートを提案する。これにより、当該車載器20では、発生している渋滞の原因を踏まえた走行ルートを提案することができる。
【0065】
また、第1の実施形態に係る車載器20では、CPU21は、走行道路に規制部分がある場合、規制部分を避けた走行ルートを提案する。これにより、当該車載器20では、提案した走行ルートを車両10が走行できない事態を抑制することができる。
【0066】
(第2の実施形態)
次に、本実施形態に係る提案システム100の第2の実施形態について、上記実施形態との重複部分を省略又は簡略しつつ説明する。
【0067】
第2の実施形態では、車載器20のCPU21は、目的地までの走行ルートとして、車両10の現在地から目的地までの道順、及び目的地までに車両10が走行する車線を生成する。そして、CPU21は、当該走行ルートの提案として、生成した目的地までの道順及び目的地までに車両10が走行する車線を提案する。例えば、CPU21は、車線の提案として、車両10が走行する車線を示す文字及び画像の少なくとも一方をモニタ40Aに表示させる。
【0068】
上記の構成により、第2の実施形態に係る車載器20では、車両10の目的地までの道路を俯瞰的に見て特定した道路情報から、目的地までの道順及び目的地までに車両10が走行する車線を提案することができる。例えば、当該車載器20によれば、走行ルートに車線が複数ある道路が含まれる場合に、目的地までの所要時間が最短となる車線を提案することができる。さらに、当該車載器20によれば、走行ルートに含まれる高速道路の降り口付近で渋滞が発生していることを特定した場合には、事前に当該降り口となる車線とは異なる車線を走行することを提案することができる。
【0069】
ここで、走行ルートの提案として、目的地までの道順及び目的地までに車両10が走行する車線の双方を提案する場合、CPU21は、車両10の走行前は道順だけを提案し、車両10の走行中に道順及び車線の双方の維持又は変更を提案することとしてもよい。
【0070】
(その他)
上記実施形態では、車載器20を情報処理装置の一例としたが、これに限らず、人工衛星50から衛星画像を取得可能な他装置(例:サーバ)を情報処理装置の一例としてもよいし、車載器20及び他装置の組合せを情報処理装置の一例としてもよい。
【0071】
上記実施形態において、車両情報は、車両10の車両サイズに加えて、車両10の乗員、具体的には、運転者の運転歴、年齢、性別、及び事故歴等を含む運転者情報を含んでいてもよい。この場合、車載器20のCPU21は、車両情報に含まれる運転者の運転歴及び事故歴等と、道路情報とに基づいて走行道路に規制部分があるか否かを特定してもよい。
【0072】
上記実施形態では、走行道路の道幅と車両10の全幅とを比較して道幅が全幅より狭い場合、走行道路に規制部分があると特定したが、規制部分の特定方法はこれに限定されない。例えば、車載器20のCPU21は、走行道路における曲率と車両10の車両サイズとの関係で規制部分の有無を特定してもよいし、走行道路における交通量と運転者の運転歴及び事故歴等から推定される運転技量との関係で規制部分の有無を特定してもよい。
【0073】
上記実施形態では、車載器20のCPU21が複数の走行ルートそれぞれの所要時間を算出したが、これに限らず、人工衛星50側で複数の走行ルートそれぞれの所要時間を算出して、車載器20が人工衛星50から所要時間を取得する構成としてもよい。
【0074】
なお、上記実施形態でCPU21がソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した提案処理をCPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、提案処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0075】
また、上記実施形態では、提案プログラム24Aが記憶部24に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。提案プログラム24Aは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、提案プログラム24Aは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0076】
10 車両
20 車載器(情報処理装置)
21A 取得部
21D 提案部
50 人工衛星