(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-07
(45)【発行日】2025-07-15
(54)【発明の名称】ルート算出装置、ルート算出方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/005 20060101AFI20250708BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20250708BHJP
【FI】
G08G1/005
G08G1/01 F
(21)【出願番号】P 2024505759
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 JP2022010595
(87)【国際公開番号】W WO2023170864
(87)【国際公開日】2023-09-14
【審査請求日】2024-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】トウ テイテイ
(72)【発明者】
【氏名】劉 健全
(72)【発明者】
【氏名】川合 諒
(72)【発明者】
【氏名】山崎 智史
(72)【発明者】
【氏名】吉田 登
(72)【発明者】
【氏名】ステファン カレン
(72)【発明者】
【氏名】進藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】並木 悠太
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 洋平
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-177328(JP,A)
【文献】特開2020-160603(JP,A)
【文献】特開2021-196916(JP,A)
【文献】特開2021-43866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが通行する通路における人物の分布状態を示す人物分布情報を取得する取得手段と、
前記通路の幅方向における通行位置を示した前記通路上のルートであって、他の人物との距離に基づき定義される条件を満たす前記通路上の好適ルートを、前記人物分布情報に基づき算出する算出手段と、
算出された前記好適ルートを示す好適ルート情報を出力する出力手段と、
を有
し、
前記条件は、他の人物との距離が閾値以上である基準保持状態を基準レベル以上維持できること、であるルート算出装置。
【請求項2】
前記取得手段は、前記通路を撮影した画像を解析し、解析結果に基づき前記人物分布情報を生成する請求項1に記載のルート算出装置。
【請求項3】
前記取得手段は、前記通路を撮影した画像を解析し、解析結果に基づき前記画像を撮影したタイミングから所定時間経過後の前記通路における人物の分布状態を示す前記人物分布情報を生成する請求項1又は2に記載のルート算出装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記通路における過去の人物の分布状態の傾向を示す前記人物分布情報を取得する請求項1から3のいずれか1項に記載のルート算出装置。
【請求項5】
前記条件は、
前記ユーザとすれ違う他の人物の数に対する前記ユーザとの距離が閾値以上である前記基準保持状態が保たれる他の人物の数の割合、
移動距離に対する他の人物との距離が閾値以上である前記基準保持状態が保たれる箇所の距離の割合、又は、
移動時間に対する他の人物との距離が閾値以上である前記基準保持状態が保たれる時間の割合、
である基準保持率が前記基準レベル以上である請求項
1から4のいずれか1項に記載のルート算出装置。
【請求項6】
前記出力手段は、前記好適ルートの前記基準保持率をさらに示す前記好適ルート情報を出力する請求項
5に記載のルート算出装置。
【請求項7】
前記好適ルートは、前記通路の進行方向に沿った複数地点各々において、前記通路の幅方向における通行位置を示すルートである請求項1から
6のいずれか1項に記載のルート算出装置。
【請求項8】
コンピュータが、
ユーザが通行する通路における人物の分布状態を示す人物分布情報を取得し、
前記通路の幅方向における通行位置を示した前記通路上のルートであって、他の人物との距離に基づき定義される条件を満たす前記通路上の好適ルートを、前記人物分布情報に基づき算出し、
算出された前記好適ルートを示す好適ルート情報を出力
し、
前記条件は、他の人物との距離が閾値以上である基準保持状態を基準レベル以上維持できること、であるルート算出方法。
【請求項9】
コンピュータを、
ユーザが通行する通路における人物の分布状態を示す人物分布情報を取得する取得手段、
前記通路の幅方向における通行位置を示した前記通路上のルートであって、他の人物との距離に基づき定義される条件を満たす前記通路上の好適ルートを、前記人物分布情報に基づき算出する算出手段、
算出された前記好適ルートを示す好適ルート情報を出力する出力手段、
として機能させ
、
前記条件は、他の人物との距離が閾値以上である基準保持状態を基準レベル以上維持できること、であるプログラ
ム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルート算出装置、ルート算出方法、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する技術が特許文献1、特許文献2、及び非特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1には、予め設定された回避エリアを回避した経路を探索し、出力する技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、画像に含まれる人体の複数のキーポイント各々の特徴量を算出し、算出した特徴量に基づき姿勢が似た人体や動きが似た人体を含む画像を検索したり、当該姿勢や動きが似たもの同士でまとめて分類したりする技術が開示されている。
【0005】
非特許文献1には、人物の骨格推定に関連する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-67311号
【文献】国際公開第2021/084677号
【非特許文献】
【0007】
【文献】Zhe Cao, Tomas Simon, Shih-En Wei, Yaser Sheikh, "Realtime Multi-Person 2D Pose Estimation using Part Affinity Fields", The IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR), 2017, P. 7291-7299
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ウイルス感染等を考慮すると、周囲の人物との距離を十分に保って通行することが好ましい。しかし、通路上のどの位置を通行することが好ましいか、通行者が自身で判断するのは容易でない。
【0009】
特許文献1に開示の技術は、スタート地点からゴール地点まで行くために通る最適な通路を探索する技術であり、通路上のどの位置を通行することが好ましいか算出する技術ではない。このような特許文献1に開示の技術では、通行者は、最適な通路を把握できるが、通路上のどの位置を通行することが好ましいかを把握できないという問題点があった。
【0010】
また、特許文献2及び非特許文献1に開示の技術は、人物の骨格推定に関連する技術であり、通路上のどの位置を通行することが好ましいか算出する技術ではない。このような特許文献2及び非特許文献1に開示の技術では、通行者は、通路上のどの位置を通行することが好ましいかを把握できないという問題点があった。
【0011】
本発明の目的の一例は、上述した問題を鑑み、通行者が、通路上のどの位置を通行することが好ましいかを容易に把握できるようにするという課題を解決するルート算出装置、ルート算出方法、および記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、
ユーザが通行する通路における人物の分布状態を示す人物分布情報を取得する取得手段と、
前記通路の幅方向における通行位置を示した前記通路上のルートであって、他の人物との距離に基づき定義される条件を満たす前記通路上の好適ルートを、前記人物分布情報に基づき算出する算出手段と、
算出された前記好適ルートを示す好適ルート情報を出力する出力手段と、
を有するルート算出装置が提供される。
【0013】
本発明の一態様によれば、
コンピュータが、
ユーザが通行する通路における人物の分布状態を示す人物分布情報を取得し、
前記通路の幅方向における通行位置を示した前記通路上のルートであって、他の人物との距離に基づき定義される条件を満たす前記通路上の好適ルートを、前記人物分布情報に基づき算出し、
算出された前記好適ルートを示す好適ルート情報を出力する、
ルート算出方法が提供される。
【0014】
本発明の一態様によれば、
コンピュータを、
ユーザが通行する通路における人物の分布状態を示す人物分布情報を取得する取得手段、
前記通路の幅方向における通行位置を示した前記通路上のルートであって、他の人物との距離に基づき定義される条件を満たす前記通路上の好適ルートを、前記人物分布情報に基づき算出する算出手段、
算出された前記好適ルートを示す好適ルート情報を出力する出力手段、
として機能させるプログラムを記録した記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、通行者が、通路上のどの位置を通行することが好ましいかを容易に把握できるようにするという課題を解決するルート算出装置、ルート算出方法、および記録媒体が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0017】
【
図1】ルート算出装置の機能ブロック図の一例を示す図である。
【
図2】ルート算出装置と協働する他の装置を説明するための図である。
【
図3】ルート算出装置が出力する情報の一例を示す図である。
【
図4】ルート算出装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
【
図6】通路に関連する文言の内容を示すための図である。
【
図7】ルート算出装置が出力する情報の他の一例を示す図である。
【
図8】ルート算出装置が出力する情報の他の一例を示す図である。
【
図9】ルート算出装置が出力する情報の他の一例を示す図である。
【
図10】ルート算出装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図11】ルート算出装置が生成する情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0019】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係るルート算出装置10の概要を示す機能ブロック図である。ルート算出装置10は、取得部11と、算出部12と、出力部13とを備える。
【0020】
取得部11は、ユーザが通行する通路における人物の分布状態を示す人物分布情報を取得する。算出部12は、通路の幅方向における通行位置を示した通路上のルートであって、他の人物との距離に基づき定義される条件を満たす通路上の好適ルートを、人物分布情報に基づき算出する。出力部13は、算出された好適ルートを示す好適ルート情報を出力する。
【0021】
このような構成を備えるルート算出装置10によれば、通行者が、通路上のどの位置を通行することが好ましいかを把握できるようにするという課題が解決される。
【0022】
<第2の実施形態>
「概要」
第2の実施形態のルート算出装置10は、第1の実施形態のルート算出装置10をより具体化したものである。ここでは、ルート算出装置10の概要を簡単に説明する。
【0023】
図2に示すように、ルート算出装置10は、ユーザが所持するユーザ端末20、及び通路上の各所に設置された監視カメラ30と協働して、ユーザに所定の情報を提示する。
【0024】
まず、ルート算出装置10は、ユーザがいる位置を撮影する監視カメラ30が生成した画像(以下、「監視カメラ画像」)を解析することで、ユーザが通行する通路における人物の分布状態を示す人物分布情報を生成する。ユーザがいる位置の特定は、ユーザ端末20に搭載された現在地測位機能を利用してもよいし、顔認証技術を利用して監視カメラ画像内でユーザを検索することで実現してもよい。
【0025】
次いで、ルート算出装置10は、取得した人物分布情報に基づき、通路の幅方向における通行位置を示したユーザが通行する通路上のルートであって、他の人物との距離に基づき定義される条件を満たす好適ルートを算出する。ルート算出装置10は、他の人物との距離を十分に確保できる好適ルートを算出する。
【0026】
そして、ルート算出装置10は、算出した好適ルートを示す好適ルート情報を出力し、ユーザ端末20に表示させる。
【0027】
図3に、ユーザ端末20に表示される好適ルート情報の一例を示す。
図3に示す通行ルート1及び通行ルート2が、ユーザに提示された好適ルートである。通路は、幅方向(通路の延伸方向に向かって左右方向)に広がっている。このため、通路を通行する際には「通路の右端を通行する」、「通路の左端を通行する」、「通路の真ん中付近を通行する」等、様々な選択肢が存在する。また、その通行位置を維持して通行する選択肢もあれば、通行位置を変えながら(すなわち、進行方向に向かって左右方向に通行位置を変えながら)通行する選択肢もある。ルート算出装置10が算出する好適ルートは、
図3に示すように、幅方向に広がった通路上のどの位置を通行するかを示す。
【0028】
図3及び上記説明から明らかなように、ルート算出装置10による好適ルートを算出する技術と、特許文献1に開示のようなスタート地点からゴール地点まで行くために通る最適な通路を探索する技術とは、その実現手段及び得られる結果物(算出結果)等が明らかに異なる。
【0029】
「ハードウエア構成」
次に、ルート算出装置10のハードウエア構成の一例を説明する。ルート算出装置10の各機能部は、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、メモリにロードされるプログラム、そのプログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット(あらかじめ装置を出荷する段階から格納されているプログラムのほか、CD(Compact Disc)等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムをも格納できる)、ネットワーク接続用インターフェイスを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0030】
図4は、ルート算出装置10のハードウエア構成を例示するブロック図である。
図4に示すように、ルート算出装置10は、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。ルート算出装置10は周辺回路4Aを有さなくてもよい。なお、ルート算出装置10は物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成されてもよい。この場合、複数の装置各々が上記ハードウエア構成を備えることができる。
【0031】
バス5Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、周辺回路4A及び入出力インターフェイス3Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。入出力インターフェイス3Aは、入力装置、外部装置、外部サーバ、外部センサ、カメラ等から情報を取得するためのインターフェイスや、出力装置、外部装置、外部サーバ等に情報を出力するためのインターフェイスなどを含む。入力装置は、例えばキーボード、マウス、マイク、物理ボタン、タッチパネル等である。出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ、プリンター、メーラ等である。プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行うことができる。
【0032】
「機能構成」
次に、第2の実施形態のルート算出装置10の機能構成を詳細に説明する。
図1に、第2の実施形態のルート算出装置10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、ルート算出装置10は、取得部11と、算出部12と、出力部13とを有する。
【0033】
取得部11は、ユーザが通行する通路における人物の分布状態を示す人物分布情報を取得する。
【0034】
第2の実施形態において、「ユーザが通行する通路」は、ユーザがいる通路である。取得部11は、ユーザがいる位置を撮影する監視カメラ30が生成した監視カメラ画像を解析することで、ユーザが通行する通路における人物の分布状態を示す人物分布情報を生成する。以下、当該処理を詳細に説明する。
【0035】
-ユーザがいる位置の特定-
ユーザがいる位置の特定は、ユーザ端末20に搭載された現在地測位機能(GPS(global positioning system)機能等)を利用してもよい。この場合、取得部11は、ユーザ端末20が測定した現在地を示す位置情報を、ユーザ端末20から受信し、その位置情報が示す位置をユーザがいる位置として特定する。
【0036】
その他、ユーザがいる位置の特定は、画像解析技術を利用して監視カメラ画像内でユーザを検索することで実現してもよい。この場合、予めユーザの特徴量(顔画像、顔の特徴量等)がルート算出装置10に登録されている。そして、取得部11は、当該特徴量を利用して、監視カメラ画像内でユーザを検索する。取得部11は、ユーザが見つかった監視カメラ画像を生成した監視カメラ30の撮影位置を、ユーザがいる位置として特定する。監視カメラ画像内でのユーザの検索は、以下で説明する画像解析システム40を利用して実現されてもよい。
【0037】
なお、上記例示した技術はあくまで一例であり、取得部11は、ビーコン等のその他の技術を利用して、ユーザがいる位置を特定してもよい。
【0038】
-監視カメラ画像の解析-
予め、複数の監視カメラ30各々の設置位置(撮影位置)を示す情報がルート算出装置10に登録されている。取得部11は、当該情報に基づき、ユーザがいる位置を撮影する監視カメラ30を特定する。そして、取得部11は、特定した監視カメラ30が生成した監視カメラ画像を解析し、人物分布情報を生成する。
【0039】
監視カメラ画像の解析は、予め用意された画像解析システム40が行う。
図5に示すように、取得部11は、監視カメラ画像を画像解析システム40に入力する。そして、取得部11は、監視カメラ画像の解析結果を画像解析システム40から取得する。画像解析システム40は、ルート算出装置10の一部であってもよいし、ルート算出装置10から物理的及び/又は論理的に独立した外部装置であってもよい。
【0040】
ここで、画像解析システム40について説明する。画像解析システム40は、顔認識機能、人型認識機能、姿勢認識機能、動き認識機能、外観属性認識機能、画像の勾配特徴検出機能、画像の色特徴検出機能、物体認識機能及び文字認識機能の中の少なくとも1つを備える。
【0041】
顔認識機能では、人物の顔特徴量を抽出する。さらに、顔特徴量間の類似性を照合・計算してもよい(同一人物であるかの判定等)。また、抽出した顔特徴量とデータベースに予め登録されている複数のユーザの顔特徴量との照合を行い、画像に写っている人物がどのユーザであるかを特定してもよい。なお、抽出した顔特徴量とデータベースに予め登録されている顔特徴量との照合は、画像解析システム40が行ってもよいし、取得部11が行ってもよい。
【0042】
人型認識機能では、人物の人体的特徴量(例えば、体形の肥痩や、身長、服装などの全体的な特徴を指す)を抽出する。さらに、人体的特徴量間の類似性を照合・計算してもよい(同一人物であるかの判定等)。また、抽出した人体的特徴量とデータベースに予め登録されている複数のユーザの人体的特徴量との照合を行い、画像に写っている人物がどの人物であるかを特定してもよい。なお、抽出した人体的特徴量とデータベースに予め登録されている人体的特徴量との照合は、画像解析システム40が行ってもよいし、取得部11が行ってもよい。
【0043】
姿勢認識機能及び動き認識機能では、人物の関節点を検出し、関節点を繋げて棒人間モデルを構成する。そして、その棒人間モデルに基づき人物を検出したり、人物の身長を推定したり、姿勢の特徴量を抽出したり、姿勢の変化に基づき動きを特定したりする。さらに、姿勢の特徴量間や動きの特徴量間の類似性を照合・計算してもよい(同一姿勢また同一の動きであるかの判定等)。また、推定した身長とデータベースに予め登録されている複数のユーザの身長との照合を行い、画像に写っている人物がどのユーザであるかを特定してもよい。なお、推定した身長とデータベースに予め登録されている身長との照合は、画像解析システム40が行ってもよいし、取得部11が行ってもよい。姿勢認識機能及び動き認識機能は、上記特許文献2及び非特許文献1に開示の技術で実現されてもよい。
【0044】
外観属性認識機能では、人物に付随する外観的な属性(例えば、服装色、靴色、髪型、帽子・ネクタイなどの着用、例えば合計100種類以上の外観属性がある)を認識する。さらに、認識した外観属性の類似性を照合・計算してもよい(同一属性であるかの判定が可能)。また、認識した外観的な属性とデータベースに予め登録されている複数のユーザの外観的な属性との照合を行い、画像に写っている人物がどのユーザであるかを特定してもよい。なお、認識した外観的な属性とデータベースに予め登録されている外観的な属性との照合は、画像解析システム40が行ってもよいし、取得部11が行ってもよい。
【0045】
画像の勾配特徴検出機能は、SIFT、SURF、RIFF、ORB、BRISK、CARD、HOGなどである。当該機能によれば、各フレーム画像の勾配特徴が検出される。
【0046】
画像の色特徴検出機能では、例えばカラーヒストグラムなど、画像の色の特徴を示すデータが生成される。当該機能によれば、各フレーム画像の色特徴が検出される。
【0047】
物体認識機能は、例えばYOLO(一般物体[例えば、スポーツやその他のパフォーマンスで利用される道具、設備など]の抽出や、人の抽出ができる)等のエンジンを利用して実現される。物体認識機能を利用することで、画像から各種物体を検出することができる。
【0048】
文字認識機能では、数字や字等を認識する。
【0049】
取得部11は、上述のような画像解析システム40から、解析結果として、監視カメラ画像内での人物の検出結果を取得する。当該解析結果では、監視カメラ画像内で検出された人物各々の監視カメラ画像内での位置が示される。
【0050】
-人物分布情報の生成-
取得部11は、上記解析結果に基づき、人物分布情報を生成する。なお、画像解析システム40が、人物分布情報を生成してもよい。
【0051】
人物分布情報は、ユーザが通行する通路における人物の分布状態を示す。すなわち、人物分布情報は、ユーザが通行する通路上のどの位置に人物がいるかを示す。人物分布情報において、人物の位置は、監視カメラ画像に設定された座標系における座標(画像上の座標)で示されてもよい。その他、人物の位置は、実空間に設定された座標系における座標(実空間上の座標)で示されてもよい。画像上の座標から実空間上の座標への変換は、あらゆる技術を利用して実現することができる。
【0052】
図1に戻り、算出部12は、通路の幅方向における通行位置を示したユーザが通行する通路上のルートであって、他の人物との距離に基づき定義される条件(以下、「ルート条件」という場合がある)を満たす好適ルートを、取得部11が取得した人物分布情報に基づき算出する。
【0053】
通路は、幅方向(通路の延伸方向に向かって左右方向)に広がっている。このため、通路を通行する際には、「通路の右端を通行する」、「通路の左端を通行する」、「通路の真ん中付近を通行する」等、様々な選択肢が存在する。また、その通行位置を維持して通行する選択肢もあれば、通行位置を変えながら(進行方向に向かって左右方向に通行位置を変えながら)通行する選択肢もある。好適ルートは、ユーザが通行する通路上のルートであって、幅方向に広がった通路のどの位置を通行するかを示す。好適ルートは、通路の進行方向に沿った複数地点各々において、通路の幅方向における通行位置を示すルートということもできる。
【0054】
算出部12は、監視カメラ画像に写っている通路上の好適ルートを算出する。第2の実施形態では、算出部12は、監視カメラ画像に写っていない通路における人物の分布状態を把握できない。このため、算出部12は、監視カメラ画像に写っていない通路上の好適ルートを算出できない。
【0055】
また、第2の実施形態では、算出部12は、通路上の人物の位置は人物分布情報で示される位置に固定される前提でユーザと他の人物との距離を算出し、各種処理を行う。なお、以下の実施形態で、通路上の人物の位置の変化を考慮してユーザと他の人物との距離を算出し、各種処理を行う例を説明する。
【0056】
ルート条件を満たす好適ルートを算出する処理は様々であり、例えば機械学習等の技術を利用して実現されてもよい。以下、ルート条件を満たす好適ルートを算出する処理の一例を説明する。
【0057】
一例として、算出部12は、所定のルールで通路上の複数のルートを算出してもよい。そして、算出部12は、算出したルートの中のルート条件を満たすルートを、好適ルートとして決定してもよい。
【0058】
まず、所定のルールで通路上のルートを算出する処理の一例を説明する。算出部12は、
図6に示すように、通路上の任意の対象位置において、幅方向に広がった通路のどの地点を通過するかを決定してもよい。そして、算出部12は、対象位置を通路の延伸方向にずらしながら複数の対象位置各々で、幅方向に広がった通路のどの地点を通過するかを決定してもよい。そして、算出部12は、複数の対象位置各々で決定した通過地点を繋いで、ルートを決定してもよい。
【0059】
算出部12は、対象位置における通過地点として、「他の人物との距離が閾値以上を確保できる地点」を決定する。例えば、算出部12は、対象位置における通過地点として、「他の人物との距離が閾値以上を確保できる地点」の中の、「隣接する対象位置の通過地点からの距離が最も小さい地点」を決定してもよい。
【0060】
ところで、ある対象位置において通路の右端を通過地点とし、その直後の対象位置において通路の左端を通過地点とすると、ある対象位置からその直後の対象位置までの間における通路の幅方向の移動量が大きくなり、不自然なルートが決定されることとなる。そこで、算出部12は、「隣接する対象位置の通過地点からの通路の幅方向の距離が下限値以下」という条件を満たすように、各対象位置での通過地点を決定してもよい。下限値は、通路の幅方向の大きさや、隣接する対象位置との距離等に基づき決定される。
【0061】
なお、対象位置において「他の人物との距離が閾値以上を確保できる地点」が存在しない場合、算出部12は、その対象位置における通過地点として、「他の人物との距離が最も大きい地点」を決定してもよいし、「隣接する対象位置の通過地点からの距離が最も小さい地点」を決定してもよいし、その他の基準で決定してもよい。
【0062】
隣接する対象位置の距離(間隔)は設計的事項である。隣接する対象位置の距離をより小さくすることで、より精度の高い好適ルートを算出可能になる一方で、コンピュータの処理負担が大きくなる。
【0063】
また、上記ルートの決定において考慮する「他の人物」は、「監視カメラ画像内で検出されたすべての人物」であってもよいし、「監視カメラ画像内で検出された人物の中の通路上に存在する人物」であってもよいし、「監視カメラ画像内で検出された人物であって、通路上に存在し、かつ、進行方向がユーザの進行方向と反対である人物」であってもよい。進行方向は、監視カメラ画像から特定される身体や顔の向きに基づき特定されてもよいし(例:身体や顔の向きが進行方向となる)、監視カメラ画像が動画像の場合には動画像内での移動軌跡に基づき特定されてもよい。
【0064】
次に、好適ルートが満たす「ルート条件」について説明する。ルート条件は、「他の人物との距離が閾値以上である基準保持状態を基準レベル以上維持できること」である。
【0065】
ルート条件における「他の人物」は、上述したルートの決定において考慮する「他の人物」と同じ定義である。
【0066】
ルート条件は、より具体的には、
「ユーザとすれ違う他の人物の数に対するユーザとの距離が閾値以上である基準保持状態が保たれる他の人物の数の割合」、
「移動距離に対する他の人物との距離が閾値以上である基準保持状態が保たれる箇所の距離の割合」、又は、
「移動時間に対する他の人物との距離が閾値以上である基準保持状態が保たれる時間の割合」、
である基準保持率が基準レベル以上である。
【0067】
「ユーザとすれ違う他の人物の数」は、例えば、上述のように定義される他の人物の数としてもよい。
【0068】
「ユーザとの距離が閾値以上である基準保持状態が保たれる他の人物の数」は、他の人物の中の、決定されたルートをユーザが移動した場合にユーザとの距離が閾値以上である基準保持状態がずっと保たれる人物(ユーザとの距離が閾値未満になることがない人物)の数である。
【0069】
「移動距離」は、決定されたルートの移動距離である。監視カメラ画像上でのルートの長さを移動距離として算出してもよいし、実空間上でのルートの長さを移動距離として算出してもよい。
【0070】
「他の人物との距離が閾値以上である基準保持状態が保たれる箇所の距離」は、決定されたルートをユーザが移動した場合に他の人物との距離が閾値以上である基準保持状態が保たれる箇所の距離である。監視カメラ画像上での当該箇所の長さを算出してもよいし、実空間上での当該箇所の長さを算出してもよい。
【0071】
「移動時間」は、決定されたルートをユーザが移動するのに要する時間である。例えば、ユーザが一般的な歩行速度で移動する前提で、移動時間を算出してもよい。
【0072】
「他の人物との距離が閾値以上である基準保持状態が保たれる時間」は、決定されたルートをユーザが移動した場合に他の人物との距離が閾値以上である基準保持状態が保たれる時間である。例えば、ユーザが一般的な歩行速度で移動する前提で、当該時間を算出してもよい。
【0073】
出力部13は、算出部12により算出された好適ルートを示す好適ルート情報を出力する。出力部13により出力された好適ルート情報はユーザ端末20に送信され、ユーザ端末20のディスプレイに表示される。例えば、算出部12が、好適ルート情報を生成することができる。
【0074】
出力部13は、
図3に示すように、監視カメラ画像上に好適ルートを示す情報を重畳した好適ルート情報を出力してもよい。
図3中の通行ルート1及び2が好適ルートである。算出部12は、監視カメラ画像上の所定位置に好適ルートを示す情報を重畳して好適ルート情報を生成する。
【0075】
その他、出力部13は、
図7に示すように、地図上に好適ルートを示す情報を重畳した好適ルート情報を出力してもよい。
図7中の通行ルート1及び2が好適ルートである。算出部12は、予め保持している地図データ上の所定位置に好適ルートを示す情報を重畳して好適ルート情報を生成する。
【0076】
その他、出力部13は、
図8に示すように、
図7の地図上に、さらに人物分布情報で示される人物の位置を示す情報を重畳した好適ルート情報を出力してもよい。
図8中の通行ルート1及び2が好適ルートであり、丸内にバツを表示したマークにより人物の位置を示している。算出部12は、予め保持している地図データ上の所定位置に好適ルートを示す情報、及び人物分布情報で示される人物の位置を示す情報を重畳して好適ルート情報を生成する。
【0077】
その他、出力部13は、
図9に示すように、好適ルートの基準保持率をさらに示す好適ルート情報を出力してもよい。基準保持率の定義は、上述の通りである。
図9では、
図3の好適ルート情報に好適ルートの基準保持率を示しているが、
図7や
図8の好適ルート情報に好適ルートの基準保持率を示してもよい。
【0078】
次に、
図10のフローチャートを用いて、ルート算出装置10の処理の流れの一例を説明する。
【0079】
まず、取得部11は、ユーザが通行する通路における人物分布情報を取得する(S10)。例えば、取得部11は、ユーザが所持するユーザ端末20に搭載された現在地測位機能を利用して、ユーザの現在位置を特定する。次いで、取得部11は、特定したユーザの現在位置を撮影する監視カメラ30を特定し、特定した監視カメラ30が生成した監視カメラ画像を解析して、人物分布情報を生成する。
【0080】
次いで、算出部12は、通路の幅方向における通行位置を示したユーザが通行する通路上のルートであって、他の人物との距離に基づき定義されるルート条件を満たす好適ルートを、S10で取得された人物分布情報に基づき算出する(S11)。ルート条件は、例えば、「ユーザとすれ違う他の人物の数に対するユーザとの距離が閾値以上である基準保持状態が保たれる他の人物の数の割合」、「移動距離に対する他の人物との距離が閾値以上である基準保持状態が保たれる箇所の距離の割合」、又は、「移動時間に対する他の人物との距離が閾値以上である基準保持状態が保たれる時間の割合」である基準保持率が基準レベル以上である。
【0081】
そして、出力部13は、S11で算出された好適ルートを示す好適ルート情報を出力する(S12)。出力部13は、例えば
図3、7、8又は9に示すような好適ルート情報を出力する。出力部13により出力された好適ルート情報はユーザ端末20に送信され、ユーザ端末20のディスプレイに表示される。
【0082】
なお、ルート算出装置10は、上記S10乃至S12の処理を繰り返し行うことができる。ユーザの移動に伴いユーザの現在位置が変化すると、ルート算出装置10は、移動後のユーザの現在位置を撮影する監視カメラ30を新たに特定し、新たに特定した監視カメラ30が生成した監視カメラ画像を解析して人物分布情報を新たに生成する(S10)。その後、ルート算出装置10は、上述したS11及びS12の処理を行う。
【0083】
「作用効果」
第2の実施形態のルート算出装置10によれば、監視カメラ画像を解析してユーザが通行する通路における人物の分布状態を示す人物分布情報を生成し、当該情報に基づき、通路上の好適ルートを算出することができる。一般的に、監視カメラは上方から通路を撮影するため、通路全体の状況を示す画像を生成することができる。このような監視カメラ画像に基づき通路における人物の分布状態を把握し、通路上の好適ルートを算出することで、精度の高い好適ルートを算出することができる。
【0084】
また、「ユーザとすれ違う他の人物の数に対するユーザとの距離が閾値以上である基準保持状態が保たれる他の人物の数の割合」、「移動距離に対する他の人物との距離が閾値以上である基準保持状態が保たれる箇所の距離の割合」、又は、「移動時間に対する他の人物との距離が閾値以上である基準保持状態が保たれる時間の割合」である基準保持率が基準レベル以上というルート条件を満たす好適ルートを算出することで、他の人物との距離を十分に保った好適ルートを算出することができる。
【0085】
また、
図3、7、8又は9に示すような監視カメラ画像上、又は地図上に好適ルートを示す情報を重畳した好適ルート情報を出力することで、ユーザは、直感的に好適ルートを把握することができる。さらに、
図3、8又は9に示すように通路上にいる人物をさらに示すことで、算出された好適ルートの妥当性をユーザが判断できるようになる。さらに、
図9に示すように各好適ルートの基準保持率をさらに示すことで、複数の好適ルートの中のいずれが好ましいかをユーザが判断できるようになる。
【0086】
<第3の実施形態>
第2の実施形態では、算出部12は、通路上の人物の位置は人物分布情報で示される位置に固定される前提でユーザと他の人物との距離を算出し、各種処理を行った。第3の実施形態では、算出部12は、通路上の人物の位置の変化を考慮してユーザと他の人物との距離を算出し、各種処理を行う。以下、詳細に説明する。
【0087】
取得部11は、通路を撮影した監視カメラ画像を解析し、解析結果に基づきその監視カメラ画像を撮影したタイミングから所定時間経過後(その監視カメラ画像から数フレーム後)の通路における人物の分布状態を示す人物分布情報を生成する。そして、算出部12は、当該人物分布情報に基づき好適ルートを算出する。所定時間は、例えば数秒程度である。
【0088】
その監視カメラ画像を撮影したタイミングから所定時間経過後の通路上の複数の人物各々の位置は、その監視カメラ画像を撮影したタイミングにおける複数の人物各々の位置、複数の人物各々の進行方向、及び複数の人物各々の通行速度に基づき算出される。例えば、その監視カメラ画像を撮影したタイミングから所定時間経過後のある人物の位置は、その監視カメラ画像を撮影したタイミングにおけるその人物の位置から、その人物の進行方向にその人物の通行速度で所定時間の間移動した後に到達する位置とすることができる。
【0089】
なお、一般的な歩行速度を複数の人物各々の通行速度として利用してもよいし、監視カメラ画像(動画像)を解析して複数の人物各々の実際の通行速度を算出してもよい。また、複数の人物各々の進行方向は、通路の延伸方向と仮定(すなわち、通路に沿って真っすぐ進行し、通路を斜めに進んだり、幅方向に進んだりしないと仮定)して算出してもよい。なお、通路の延伸方向の内、監視カメラ画像から特定される複数の人物各々の身体や顔が向く方向を、ユーザの進行方向とすることができる。その他、監視カメラ画像(動画像)を解析して複数の人物各々の移動軌跡を算出し、その監視カメラ画像を撮影したタイミングにおける進行方向を算出してもよい。
【0090】
算出部12は、上記監視カメラ画像を撮影したタイミングから所定時間経過後の通路における人物の分布状態を示す人物分布情報をさらに用いて、好適ルートを算出する。
【0091】
例えば、
図6を用いて説明したように、算出部12は、対象位置を通路の延伸方向にずらしながら複数の対象位置各々で、幅方向に広がった通路のどの地点を通過するかを決定し、複数の対象位置各々で決定した通過地点を繋いでルートを決定することができる。この場合、算出部12は、ユーザが複数の対象位置各々に到達するタイミングを特定し、特定した各タイミングに対応する人物分布情報を用いて、各対象位置において、幅方向に広がった通路のどの地点を通過するかを決定することができる。
【0092】
「ユーザが複数の対象位置各々に到達するタイミング」は、その監視カメラ画像を撮影したタイミングから所定時間経過後という形で表現される。所定時間の値は、その監視カメラ画像を撮影したタイミングにおけるユーザの位置、その位置と複数の対象位置各々との距離、及びユーザの通行速度に基づき算出される。
【0093】
一般的な歩行速度をユーザの通行速度として利用してもよいし、監視カメラ画像(動画像)を解析してユーザの実際の通行速度を算出してもよい。また、ユーザの進行方向は、通路の延伸方向と仮定(すなわち、通路に沿って真っすぐ進行し、通路を斜めに進んだり、幅方向に進んだりしないと仮定)して算出してもよい。なお、通路の延伸方向の内、監視カメラ画像から特定されるユーザの身体や顔が向く方向を、ユーザの進行方向とすることができる。
【0094】
また、算出部12は、決定したルートがルート条件を満たすか判断する処理においても、上記取得部11が生成した各タイミングに対応した人物分布情報を利用する。具体的には、算出部12は、ユーザがルート上の各地点に到達するタイミングを特定し、各タイミングにおける通路上の人物分布状態を上記取得部11が生成した各タイミングに対応した人物分布情報に基づき特定する。そして、ユーザがルート上の各地点を通過する際に他の人物との距離が閾値以上であるかを判断する。
【0095】
ルート算出装置10のその他の構成は、第1及び第2の実施形態と同様である。
【0096】
第3の実施形態のルート算出装置10によれば、第1及び第2の実施形態と同様の作用効果が実現される。また、通路上の人物の位置の変化を考慮してユーザと他の人物との距離を算出し、各種処理を行う第3の実施形態のルート算出装置10によれば、より精度の高い好適ルートを算出することが可能となる。
【0097】
<第4の実施形態>
第2及び第3の実施形態では、「ユーザが通行する通路」は、「ユーザがいる通路」であった。第4の実施形態では、「ユーザが通行する通路」は、「通路探索技術で探索されたスタート地点からゴール地点まで行くために通る最適な通路」である。
【0098】
そして、第2及び第3の実施形態では、「人物分布情報」は「ユーザがいる通路を撮影した監視カメラ画像を解析して生成されたリアルタイムな情報」であった。第4の実施形態では、「人物分布情報」は、「ユーザが通行する通路を撮影した過去の監視カメラ画像を解析して生成された過去の傾向を示す情報」である。
【0099】
第4の実施形態のルート算出装置10は、上述のような点で、第2及び第3の実施形態のルート算出装置10と異なる。以下、詳細に説明する。
【0100】
取得部11は、ユーザが通行する通路における過去の人物の分布状態の傾向を示す人物分布情報を取得する。
【0101】
第4の実施形態では、「ユーザが通行する通路」は、「通路探索技術で探索されたスタート地点からゴール地点まで行くために通る最適な通路」である。周知の通路探索技術を用いて、スタート地点からユーザが設定したゴール地点まで行くために通る最適な通路が探索される。そして、取得部11は、探索された通路を示す情報を取得する。なお、スタート地点はユーザが設定してもよいし、ユーザの現在地がスタート地点となってもよい。ユーザの現在地は、周知のあらゆる技術で特定される。最適な通路探索は、ルート算出装置10が行ってもよいし、ルート算出装置10と物理的及び/又は論理的に分かれた外部装置が行ってもよい。
【0102】
取得部11は、予め、複数の通路各々における過去の人物の分布状態の傾向を示す人物分布情報を生成し、記憶装置に登録しておく。そして、取得部11は、ユーザが通行する通路における過去の人物の分布状態の傾向を示す人物分布情報を、当該記憶装置から取得する。
図11に、取得部11が生成する人物分布状態の一例を示す、図示する例では、通路上の領域が、(1)混雑度大の領域と、(2)混雑度小の領域と、(3)混雑度中の領域とに分類されている。なお、このように3段階の混雑度に分類する手法はあくまで一例であり、これに限定されない。
【0103】
取得部11は、監視カメラ30により生成された過去の監視カメラ画像を画像解析システム40に入力し、過去の各時点における通路上の人物の位置を示す情報を生成する。そして、取得部11は、過去の複数の時点に対応する当該情報を統計処理して、
図11に示すような複数の通路各々における過去の人物の分布状態の傾向を示す人物分布情報を生成する。
【0104】
なお、取得部11は、曜日毎、月毎、時間帯毎、天気毎等、人物の分布状態に影響し得る要因に基づき場合分けをし、各場合に対応する人物分布情報を生成してもよい。
【0105】
算出部12は、上述のような第4の実施形態の人物分布情報に基づき、ユーザが通行する通路上の好適ルートを算出する。算出部12は、混雑度がより小さい場所を通る好適ルートを算出する。なお、取得部11が、曜日毎、月毎、時間帯毎、天気毎等、人物の分布状態に影響し得る要因に基づき場合分けをし、各場合に対応する人物分布情報を生成する場合、算出部12は、ユーザが通路を通行するタイミングが該当する場合を特定し、特定した場合に対応する人物分布情報に基づき、好適ルートを決定する。
【0106】
取得部11は、現時点を、「ユーザが通路を通行するタイミング」として特定してもよい。その他、ユーザが、その通路を通行するタイミングを指定してもよい。例えば、ユーザは、通路探索を行う際に、ゴール地点に加えて、出発日時や到着日時を指定してもよい。そして、取得部11は、ユーザが指定した出発日時や到着日時に基づき、「ユーザが通路を通行するタイミング」を特定してもよい。
【0107】
ルート算出装置10のその他の構成は、第1乃至第3の実施形態と同様である。
【0108】
第4の実施形態のルート算出装置10によれば、第1乃至第3の実施形態と同様の作用効果が実現される。また、通路における過去の人物の分布状態の傾向を示す人物分布情報に基づき好適ルートを算出する第4の実施形態のルート算出装置10によれば、各通路を通行する際に通路上のどの位置を通行することが好ましいかを、ユーザがその場にいるときでなく、前もって、ユーザに通知することができる。ユーザは、前もって通知されるので、事前に通行の準備を行うことができる。
【0109】
<変形例>
以下、第1乃至第4の実施形態のルート算出装置10に適用可能な変形例を説明する。
【0110】
取得部11は、監視カメラ画像を解析し、通路上の障害物の位置を特定してもよい。そして、取得部11は、当該障害物を避けて通る好適ルートを算出してもよい。
【0111】
第4の実施形態に当該変形例を適用する場合、ベンチ、ポスト等、移動することがなく、常時通路上に存在する物体が障害物として予め登録され、監視カメラ画像内から検出されてもよい。
【0112】
一方、第2及び第3の実施形態に当該変形例を適用する場合、ベンチ、ポスト等、移動することがなく、常時通路上に存在する物体に加えて、停止している自動車、トラック等、一時的に通路上に存在する物体も障害物として予め登録され、監視カメラ画像内から検出されてもよい。
【0113】
当該変形例においても、第1乃至第4の実施形態と同様の作用効果が実現される。また、当該変形例によれば、障害物を避けて通る好適ルートを算出することができる。
【0114】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。上述した実施形態の構成は、互いに組み合わせたり、一部の構成を他の構成に入れ替えたりしてもよい。また、上述した実施形態の構成は、趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもよい。また、上述した各実施形態や変形例に開示される構成や処理を互いに組み合わせてもよい。
【0115】
また、上述の説明で用いたフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、各実施の形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。各実施の形態では、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。また、上述の各実施の形態は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
【0116】
上記の実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限られない。
1. ユーザが通行する通路における人物の分布状態を示す人物分布情報を取得する取得手段と、
前記通路の幅方向における通行位置を示した前記通路上のルートであって、他の人物との距離に基づき定義される条件を満たす前記通路上の好適ルートを、前記人物分布情報に基づき算出する算出手段と、
算出された前記好適ルートを示す好適ルート情報を出力する出力手段と、
を有するルート算出装置。
2. 前記取得手段は、前記通路を撮影した画像を解析し、解析結果に基づき前記人物分布情報を生成する1に記載のルート算出装置。
3. 前記取得手段は、前記通路を撮影した画像を解析し、解析結果に基づき前記画像を撮影したタイミングから所定時間経過後の前記通路における人物の分布状態を示す前記人物分布情報を生成する1又は2に記載のルート算出装置。
4. 前記取得手段は、前記通路における過去の人物の分布状態の傾向を示す前記人物分布情報を取得する1から3のいずれかに記載のルート算出装置。
5. 前記条件は、他の人物との距離が閾値以上である基準保持状態を基準レベル以上維持できること、である1から4のいずれかに記載のルート算出装置。
6. 前記条件は、
前記ユーザとすれ違う他の人物の数に対する前記ユーザとの距離が閾値以上である前記基準保持状態が保たれる他の人物の数の割合、
移動距離に対する他の人物との距離が閾値以上である前記基準保持状態が保たれる箇所の距離の割合、又は、
移動時間に対する他の人物との距離が閾値以上である前記基準保持状態が保たれる時間の割合、
である基準保持率が前記基準レベル以上である5に記載のルート算出装置。
7. 前記出力手段は、前記好適ルートの前記基準保持率をさらに示す前記好適ルート情報を出力する6に記載のルート算出装置。
8. 前記好適ルートは、前記通路の進行方向に沿った複数地点各々において、前記通路の幅方向における通行位置を示すルートである1から7のいずれかに記載のルート算出装置。
9. コンピュータが、
ユーザが通行する通路における人物の分布状態を示す人物分布情報を取得し、
前記通路の幅方向における通行位置を示した前記通路上のルートであって、他の人物との距離に基づき定義される条件を満たす前記通路上の好適ルートを、前記人物分布情報に基づき算出し、
算出された前記好適ルートを示す好適ルート情報を出力する、
ルート算出方法。
10. コンピュータを、
ユーザが通行する通路における人物の分布状態を示す人物分布情報を取得する取得手段、
前記通路の幅方向における通行位置を示した前記通路上のルートであって、他の人物との距離に基づき定義される条件を満たす前記通路上の好適ルートを、前記人物分布情報に基づき算出する算出手段、
算出された前記好適ルートを示す好適ルート情報を出力する出力手段、
として機能させるプログラムを記録した記録媒体。
【符号の説明】
【0117】
10 ルート算出装置
11 取得部
12 算出部
13 出力部
20 ユーザ端末
30 監視カメラ
40 画像解析システム
1A プロセッサ
2A メモリ
3A 入出力I/F
4A 周辺回路
5A バス